JP4311908B2 - 穿孔装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、積層前のセラミックグリーンシートやフレキシブル基板用フィルム等のシート状ワークに穴を明ける穿孔装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
この種の穿孔装置においては、パンチピンが摩耗したり、折れたり、穴径が変わったりした場合に、パンチピンを交換する必要がある。なお、穴径が変わった場合はダイも交換する。このピン交換に際し、従来は、特開平11−254395号公報又は特開2000−108088号公報に開示されているように、パンチヘッドをパンチユニットごと穿孔装置の機体から取り外し、機外でパンチピンを交換したのち、パンチユニットを機体に取り付け、試し打ち、パンチピンの高さ調整、パンチピンとダイとの芯合わせを行い、検査確認後に運転を再開していた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
このため、従来の穿孔装置によると、パンチピンの交換に時間がかかり、ロスタイムが長くなり、稼働率が低下するばかりでなく、重いパンチユニットの脱着に難儀するという問題点があった。
【0004】
そこで、本発明の課題は、パンチヘッドを取り外すことなく、パンチピンを簡単かつ迅速に交換することができる穿孔装置を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、本発明の穿孔装置は、シート状のワークを位置させるワーク配置空間の上側にパンチユニットを設置し、ワーク配置空間の下側にダイユニットを設置し、ダイユニットにダイを設け、パンチユニットにパンチヘッドを設け、パンチヘッドに、ダイと協働してワークを穿孔するパンチピンと、穿孔時にダイに接近してピン抜き時のワーク浮き上がりを阻止するキャップとを、それぞれパンチヘッドを取り外すことなくダイ側へ取り外し可能に組み付けた穿孔装置であって、パンチユニットのフレームに、左右2本のラムを垂下状に固定し、ダイユニットが固定される基盤に、ラムを昇降案内する筒形のガイドを立設して、基盤の下側に、エアシリンダを垂直に設置すると共に、その左右両側にレバーを揺動可能に支持して、レバーの内端をエアシリンダのピストンロッドに、レバーの外端をラムの下端にそれぞれ連結して、エアシリンダの駆動により、パンチユニットを、ラムの上端に設けた太径部がガイドの上端に当接する定常位置から、パンチピン及びキャップの着脱が可能なピン交換位置に上昇させるリフト手段を構成する一方、パンチユニットに、連結板を介してパンチヘッドに連結され、パンチヘッドをダイに接近する穿孔位置とダイから離間した待機位置とに昇降させるアクチュエータと、穿孔位置でパンチピンを降下させるハンマー機構とを設け、そのハンマー機構を、連結板に固定される頭部とその頭部に薄肉の首部を介して弾性変形可能に連結される一対の脚部とからなるヒト形のハンマーベースと、ハンマーベースの頭部と脚部との間に架設されて通電による伸縮で脚部を開閉させる圧電素子と、脚部の下端に板バネを介して支持されるハンマーと、ハンマーにロッドを介して連結される中空状の出力軸と、から構成して、ハンマー機構の出力軸をパンチヘッドに挿入し、出力軸の下端にパンチピンをダイ側へ取り外し可能に組み付けた、ことを特徴とする。
【0007】
また、パンチヘッドに対する突き出し長さが予め調整されたスペアのパンチピンを用意できるように、パンチピンに、当該パンチピンが組み付けられるパンチヘッド側の出力軸の下端面に当接するカラーを高さ調整自在に圧入し、事前に(外段取りで)パンチピン端からカラー端までの寸法をプリセットするのが好ましい。さらに、キャップの組み付けにはネジも使用可能であるが、ワンタッチで着脱できる点で、キャップをパンチヘッドに弾性部材を介し取り外し可能に組み付けるのが望ましい。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。この実施形態の穿孔装置は、積層前(焼成前)の柔軟なセラミックグリーンシートをワークとして穿孔加工するパンチングマシンに装備されている。このパンチングマシンは、精細なスルーホール印刷(導通印刷)を可能にするために、例えば、150mm×150mmのワークに0.05〜0.2mmの穴径のスルーホール穴を±0.01mmのピッチ精度で数万個穿孔できるように構成されている。
【0009】
図1及び図2に示すように、パンチングマシンの機体1の上部にはカバーQによって閉じられている加工室2が形成され、加工室2の底部に基盤3が水平に固定されている。基盤3の上には、ワークWを保持する保持枠Hが載置されるワークテーブル4と、ワークテーブル4上で保持枠Hを前後左右に送る平面サーボモータ5と、平面サーボモータ5とワークテーブル4との間でワークWにスルーホール穴を明ける穿孔装置6とが設置されている。平面サーボモータ5は、上面に多数の永久磁石が配列された固定部5aと、下面に複数の電磁石が配設された可動部5bとから構成されている。
【0010】
穿孔装置6はワークWを位置させるワーク配置空間の上側にパンチユニット7を備え、ワークWのワーク配置空間の下側にダイユニット8を備えている。パンチユニット7は基盤3の上方を左右に延びるフレーム9上に設置されている。ダイユニット8は、基盤3上にダイベース10を設置し、ダイベース10にダイホルダ11を設け、ダイホルダ11に3つのダイ12を保持し、ダイ12にチップ(穿孔屑)吸引ホース13を接続して構成されている。
【0011】
図3に示すように、ダイホルダ11と相対する位置において、パンチユニット7のフレーム9にはパンチベース21が固定され、パンチベース21に3つのパンチヘッド22が昇降自在に支持されている。フレーム9の上方にはブラケット23を介し3基のエアシリンダ24が並設され、そのピストンロッド24aはカップリング25及び連結板26を介しパンチヘッド22に連結されている。エアシリンダ24はパンチヘッド22を昇降するアクチュエータであって、ピストンロッド24aの伸長時にパンチヘッド22をダイ12に接近する穿孔位置に下降し、ピストンロッド24aの収縮時にパンチヘッド22をダイ12から離間した待機位置に上昇するようになっている。
【0012】
図4に示すように、パンチヘッド22にはダイ12と協働してワークWを穿孔するパンチピン28が設けられ、連結板26にはパンチピン28をダイ12に打ち付ける為のハンマー機構29が設置されている。ハンマー機構29はヒト形のハンマーベース30を備え、その頭部30aは複数のボルト31で連結板26に固定され、頭部30aに薄肉の首部30bを介し一対の脚部30cが弾性変位可能に連結されている。頭部30aには一対の圧電素子32が装着され、その下端は連結部30dを介し脚部30cに連結されている。
【0013】
脚部30cの下端には板バネ33によりハンマー34が支持され、ハンマー34にロッド35を介し中空状の出力軸36が連結されている。出力軸36はパンチヘッド22に上下一対のスリーブ22Aを介して上下摺動自在に挿入され、出力軸36の下端にパンチピン28が止めネジ37によりダイ12側へ取り外し可能に組み付けられている。そして、パンチヘッド22の穿孔位置において、圧電素子32を通電により上下方向に伸縮させて脚部30cを開閉し、板バネ33を揺動させてハンマー34を上下に振動させ、パンチピン28をダイ12に打ち付けて(ダイ12の対応孔に挿入することを意味する)ワークWを穿孔するようになっている。
【0014】
図5及び図6に示すように、パンチヘッド22の下端小径部22aにはピン抜き時のワークW(シート)の浮き上がりを阻止するキャップ39が被せられ、パンチヘッド22が穿孔位置に配置されたときに、このキャップ39がダイ12に接近してダイ12との間に細隙Gを形成し、ワークWの浮き上がりを阻止するようになっている。キャップ39の複数の周壁溝39aにはそれぞれ板バネ40が収容され、その下端は筒形のリテーナ41でキャップ39に保持されている。板バネ40の上端はパンチヘッド22の切欠22bに掛止され、パンチヘッド22にキャップ39が弾性部材としての板バネ40を介しダイ12側へ取り外し可能に組み付けられている。
【0015】
パンチピン28にはカラー43が圧入により高さ調整自在に挿着され、カラー43の上端面を出力軸36の下端面に当接させることにより、パンチピン28をパンチヘッド22に対し一定の突き出し長さL(ピン部28aの下端がキャップ39の下端より僅かに上側に位置して低壁孔39bに納まる長さ)で組み付けできるようになっている。なお、カラー43は機外で図7に示す治具44を用いてスペアのパンチピン28に挿着される。治具44には、カラー43を保持する保持部45と、パンチピン28をカラー43に圧入するハンドル46と、パンチピン28の突き出し長さLを測定するダイヤルゲージ47とが設けられている。
【0016】
図3に示すように、パンチユニット7のフレーム9には、左右2本のラム15が垂下状に固定され、基盤3にラム15を昇降案内する筒形のガイド16が立設されている。基盤3の下側にはパンチユニット7を上昇させるリフト手段としてのエアシリンダ17がブラケット14を介し垂直に設置され、その左右両側にレバー18が軸19により上下に揺動可能に支持されている。レバー18の内端はエアシリンダ17のピストンロッド17aにジョイント20を介し結合され、レバー18の外端はラム15の下端切欠部15aに連結されている。
【0017】
そして、穿孔装置6の通常運転時には、パンチユニット7がガイド16を介しダイユニット8に接近する定常位置に配置される。ダイユニット8の定常位置はラム15の上端太径部がガイド16の上端に当接して位置決めされ、この位置によって上記細隙Gの大きさが設定される。なお、この細隙Gの大きさは、ラム15の上端太径部とガイド16の上端の間に介在させるライナー(図示省略)の交換によって変更できる。この状態で穿孔する穴に適合したパンチヘッド22に対応するエアシリンダ24が作動してパンチヘッド22を図3に示すようにダイ12に接近した位置に下降させ、この状態で穿孔作業を行なう。また、パンチピン28の交換時には、エアシリンダ17のピストンロッド17aが引き下げられ、レバー18及びラム15を介しフレーム9が上昇され、パンチユニット7がその下側でパンチピン28及びキャップ39の着脱が可能なピン交換位置(図3の鎖線位置)に配置される。なお、パンチベース21には左右一対の芯出し穴48を設け、組付けの際に芯出しピンを通してダイホルダ11の芯出し穴に挿入するようになっている。
【0018】
従って、この実施形態の穿孔装置6によれば、次のような作用効果が得られる。
(a)パンチユニット7をピン交換位置に上昇させて、キャップ39及びパンチピン28を着脱するので、パンチヘッド22を取り外すことなく、不良のパンチピン28をスペアのパンチピン28と短時間に交換することができる。
(b)パンチピン28の交換時にパンチベース21を取り外さないため、交換後のパンチピン28はダイ12と同一芯になって再度芯合わせする必要がなく、ロスタイムを短縮できる。
(c)パンチピン28にカラー43が高さ調整自在に挿着されているので、パンチピン28の突き出し長さLを機外で予め正確に調整しておくことができ、機内でのパンチピン28の高さ調整を不要にして、ロスタイムを短縮できる。
(d)板バネ40の弾性を利用して、キャップ39をパンチヘッド22にワンタッチで着脱できる。
【0019】
(e)パンチヘッド22をダイ12に接近する穿孔位置に配置した状態で、パンチピン28をハンマー機構29により駆動するので、パンチピン28の昇降ストロークを短くし、ワークWに短時間に多数の穴を明けることができる。
(f)このとき、キャップ39はワークWが移送可能な範囲でできる限りダイ12に接近して細隙Gを形成し、ワークWからパンチピン28を抜く際にワークWが浮き上がるのを(パンチピン28について浮き上がるのを)阻止し、高精度のスルーホール穴を明けることができる。
(g)また、ハンマー機構29の駆動源に圧電素子32を用いたので、パンチピン28を高速に駆動し、穿孔能率を向上できるとともに、ワークWの厚さに応じてパンチピン28の昇降ストロークを容易に変更できる。
【0020】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、例えば、以下に例示するように、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で各部の形状並びに構成を適宜に変更して実施することも可能である。
(1)パンチヘッド22及びダイ12の数を適宜増減すること。
(2)パンチピン28にカラー43をネジにより高さ調整自在に挿着すること。
(3)本発明の穿孔装置をフレキシブル基板用フィルムや金属箔など、グリーンシート以外の各種シート状ワークの穿孔加工に適用すること。
【0021】
【発明の効果】
以上詳述したように、請求項1の発明によれば、パンチヘッドにパンチピンとキャップとをダイ側へ取り外し可能に組み付け、パンチユニットをピン交換位置に上昇させるリフト手段を設けたので、パンチヘッドを取り外すことなく、パンチピンを簡単かつ迅速に交換できるという優れた効果を奏する。
【0022】
特に、パンチヘッドの穿孔位置でパンチピンを、ヒト形のハンマーベースや圧電素子を用いたハンマー機構により高速で駆動させるので、パンチピンの昇降ストロークを短くして、ワークに短時間で多数の穴を明けることができる。よって、穿孔能率を向上できるとともに、ワークの厚さに応じてパンチピンの昇降ストロークを容易に変更できる効果がある。
【0023】
請求項2の発明によれば、予めパンチピンに、当該パンチピンが組み付けられるパンチヘッド側の出力軸の下端面に当接するカラーを高さ調整自在に圧入してパンチピンとカラーをプリセットするようにしたので、機内でのパンチピンの高さ調整を不要にして、ロスタイムを短縮できる効果がある。
【0024】
請求項3の発明によれば、キャップを弾性部材を介しパンチヘッドに組み付けたので、キャップをワンタッチで着脱できる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の穿孔装置を装備したパンチングマシンの側面図である。
【図2】同パンチングマシンの平面図である。
【図3】穿孔装置の一実施形態を示す図2のA−A線断面図である。
【図4】穿孔装置のハンマー機構を示す図3のB−B線断面図である。
【図5】穿孔装置のパンチピン及びキャップの組付構造を示す図4のC−C線断面図である
【図6】パンチピン及びキャップの取外形態を示す断面図である。
【図7】パンチピンの突き出し長さを調整する治具の正面図である。
【符号の説明】
6・・穿孔装置、7・・パンチユニット、8・・ダイユニット、9・・フレーム、12・・ダイ、17・・エアシリンダ、22・・パンチヘッド、24・・エアシリンダ、28・・パンチピン、29・・ハンマー機構、32・・圧電素子、34・・ハンマー、36・・出力軸、37・・止めネジ、39・・キャップ、40・・板バネ、43・・カラー、G・・ワーク移送用の細隙、L・・パンチピンの突き出し長さ、W・・ワーク。
Claims (3)
- シート状のワークを位置させるワーク配置空間の上側にパンチユニットを設置し、ワーク配置空間の下側にダイユニットを設置し、ダイユニットにダイを設け、パンチユニットにパンチヘッドを設け、パンチヘッドに、ダイと協働してワークを穿孔するパンチピンと、穿孔時にダイに接近してピン抜き時のワーク浮き上がりを阻止するキャップとを、それぞれパンチヘッドを取り外すことなくダイ側へ取り外し可能に組み付けた穿孔装置であって、
パンチユニットのフレームに、左右2本のラムを垂下状に固定し、ダイユニットが固定される基盤に、ラムを昇降案内する筒形のガイドを立設して、基盤の下側に、エアシリンダを垂直に設置すると共に、その左右両側にレバーを揺動可能に支持して、レバーの内端をエアシリンダのピストンロッドに、レバーの外端をラムの下端にそれぞれ連結して、エアシリンダの駆動により、パンチユニットを、ラムの上端に設けた太径部がガイドの上端に当接する定常位置から、パンチピン及びキャップの着脱が可能なピン交換位置に上昇させるリフト手段を構成する一方、
パンチユニットに、連結板を介してパンチヘッドに連結され、パンチヘッドをダイに接近する穿孔位置とダイから離間した待機位置とに昇降させるアクチュエータと、穿孔位置でパンチピンを降下させるハンマー機構とを設け、
そのハンマー機構を、連結板に固定される頭部とその頭部に薄肉の首部を介して弾性変形可能に連結される一対の脚部とからなるヒト形のハンマーベースと、ハンマーベースの頭部と脚部との間に架設されて通電による伸縮で脚部を開閉させる圧電素子と、脚部の下端に板バネを介して支持されるハンマーと、ハンマーにロッドを介して連結される中空状の出力軸と、から構成して、
ハンマー機構の出力軸をパンチヘッドに挿入し、出力軸の下端にパンチピンをダイ側へ取り外し可能に組み付けた、
ことを特徴とする穿孔装置。 - パンチピンに、当該パンチピンが組み付けられるパンチヘッド側の出力軸の下端面に当接するカラーを高さ調整自在に圧入し、パンチピンをパンチヘッドに対して一定の突き出し長さで組み付け可能とした請求項1記載の穿孔装置。
- ワーク浮き上がり阻止用のキャップをパンチヘッドに弾性部材を介し取り外し可能に組み付けた請求項1又は2記載の穿孔装置。
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