JP4310937B2 - リチウム二次電池 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はリチウム二次電池に係り、特に、充放電によりリチウムイオンの放出・吸蔵が可能な正極活物質を用いた正極と負極とを電解液に浸潤させたリチウム二次電池に関する。
【0002】
【従来の技術】
リチウムイオン二次電池は、高エネルギー密度であるメリットを活かして、主にVTRカメラ、ノートパソコンや携帯電話等のポータブル機器や自動車の電源に使用されている。このようなリチウム二次電池の内部構造は、通常以下に示されるような捲回式構造とされている。電極は正極、負極共に活物質が金属箔に塗着された帯状であり、セパレータを挟んで正極、負極が直接接触しないように断面が渦巻状に捲回され、捲回群が形成されている。この捲回群が電池容器となる円筒状の電池缶に収納され、電解液注液後、封口されている。
【0003】
一般的な円筒形リチウム二次電池の外径寸法は、18650型と呼ばれる、直径18mm、高さ65mmであり、小形民生用リチウムイオン電池として広く普及している。近年、マンガン酸リチウム等の、リチウムと資源的に豊富で低コストのマンガンを含む複酸化物を正極活物質とするリチウム二次電池の研究が盛んに行われ、リチウムマンガン複酸化物を18650型リチウム二次電池に用いる技術開発もなされている。
【0004】
ところが、マンガン酸リチウムを活物質とした正極を用いた場合には、充電、放電によるリチウムイオンの挿入、脱離に伴いマンガン酸リチウムの結晶が膨張・収縮するため、充放電を繰り返すと結晶構造が崩れ正極としての電子伝導性が低下し放電容量が低下する、という問題がある。また、放電状態又は充電状態に関わらず、電解液中にマンガン成分が溶出し電流が流れにくくなるため、充放電サイクル寿命特性や保存特性の低下の大きな原因となる、という問題がある。
【0005】
これらの問題に対処するために、特開平10−182160号公報や特開平10−182157号公報には、マンガン酸リチウムの合成条件の改良や添加剤などによって結晶性の高いマンガン酸リチウムを作製する技術やマンガン酸リチウムの結晶構造中に異種元素をドープする技術が開示されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、これら公報の技術による正極活物質を用いても、結晶性が不十分なためマンガン成分が溶出し、十分な充放電サイクル寿命特性が得られていないのが現状である。従って、結晶構造を安定化させマンガン成分の溶出を低減して充放電サイクル寿命特性を高めたリチウム二次電池の開発が強く求められている。
【0007】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであって、寿命特性を改善した長寿命のリチウム二次電池を提供することを課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明は、充放電によりリチウムイオンの放出・吸蔵が可能な正極活物質を用いた正極と負極とを電解液に浸潤させたリチウム二次電池において、前記正極活物質は化学式Li1+xMn2−x−yMyO4−zAz(MはAl、AはF又はSの元素、0<x≦0.2、0≦y≦0.2、0<z≦0.05)で表されるスピネル系マンガン酸リチウムである。
【0009】
本発明では、下記化学式(1)で表されるように、正極活物質として、結晶構造中にリチウム、マンガン、酸素以外の異種元素を含むスピネル系マンガン酸リチウムが用いられる。一般に900°C以上の高温で焼成されるマンガン酸リチウムは、結晶構造中に占める酸素欠損量が大きくなるので、Mn−Oの結合力が低下し、特に高温環境における充放電や放置時にはマンガンの溶出が顕著となり、電池の劣化を促進する。本発明では、この酸素欠損部にF又はSの元素をドープすることで結晶構造が安定化すると共に、マンガンの一部をAlで置換し、式(1)中のxを0<x≦0.2としてリチウムを過剰にすることでスピネル系マンガン酸リチウムの結晶サイズを縮小でき、集合した二次粒子の表面がより滑らかになるため比表面積が減少するので、マンガンの溶出を抑制することができる。従って、本発明によれば、寿命特性に優れたリチウム二次電池を実現することができる。
【0010】
【数1】
【0011】
この場合において、スピネル系マンガン酸リチウムの比表面積を0.5m2/g以下とすれば、マンガンの溶出を更に抑制することができるので、長寿命のリチウム二次電池とすることができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のリチウム二次電池を電気自動車用の円筒形リチウムイオン電池に適用した実施の形態について説明する。
【0013】
(正極)
正極活物質に、化学式が上記式(1)で表され、Aは酸素欠損部にドープしたF(フッ素)又はS(硫黄)の元素、Mはマンガンの一部を置換したAl元素とし、比表面積を後述するように0.5m2/g以下としたスピネル系マンガン酸リチウムを用いた。正極活物質100重量部に、導電材として10重量部の鱗片状黒鉛と結着剤として10重量部のポリフッ化ビニリデンを添加し、これに分散溶媒としてN−メチルピロリドンを添加、混練した正極合剤(スラリ)を作製した。作製したスラリを厚さ20μmのアルミニウム箔(正極集電体)の両面に塗布、乾燥し、その後、プレス、裁断してアルミニウム箔を含まない活物質塗布部厚さ90μmの正極を得た。
【0014】
(負極)
負極活物質として非晶質炭素粉末100重量部に結着剤として10重量部のポリフッ化ビニリデンを添加し、これに分散溶媒としてN−メチルピロリドンを添加、混練したスラリを厚さ10μmの圧延銅箔(負極集電体)の両面に塗布、その後乾燥、プレス、裁断することにより圧延銅箔を含まない活物質塗布部厚さ70μmの負極を得た。
【0015】
(電池の組立)
図1に示すように、上記作製した正極と負極とを、これら両極が直接接触しないように厚さ40μmのポリエチレン製セパレータと共に捲回し捲回群6とした。このとき、正極リード片と負極リード片とが、それぞれ捲回群6の互いに反対側の両端面に位置するようにした。また、正極、負極、セパレータの長さを調整し、捲回群6の直径を38±0.1mmとした。
【0016】
正極リード片を変形させ、その全てを、捲回群6の軸芯のほぼ延長線上にある正極集電リングの周囲から一体に張り出している鍔部周面付近に集合、接触させた後、正極リード片と鍔部周面とを超音波溶接して正極リード片を鍔部周面に接続した。一方、負極集電リングと負極リード片との接続操作も、正極集電リングと正極リード片との接続操作と同様に実施した。
【0017】
その後、正極集電リングの鍔部周面全周に絶縁被覆を施し、捲回群6をニッケルメッキが施されたスチール製の電池容器内に挿入した。電池容器の外径は40mm、内径は39mmである。
【0018】
負極集電リングには予め電気的導通のための負極リード板が溶接されており、電池容器内に捲回群6を挿入後、電池容器の底部と負極リード板とを溶接した。一方、正極集電リングには、予め複数枚のアルミニウム製のリボンを重ね合わせて構成した正極リードを溶接しておき、正極リードの他端を、電池容器を封口するための電池蓋の下面に溶接した。電池蓋は、蓋ケースと、気密を保つ弁押さえと、開裂弁とで構成されており、これらが積層されて蓋ケースの周縁をカシメることによって組立てられている。
【0019】
非水電解液を所定量電池容器内に注入し、その後、正極リードを折りたたむようにして電池蓋で電池容器に蓋をし、EPDM樹脂製ガスケットを介してカシメて密封することにより設計容量4.0Ahの円筒形リチウムイオン電池20を完成させた。
【0020】
非水電解液には、エチレンカーボネートとジメチルカーボネートとジエチルカーボネートの体積比1:1:1の混合溶液中へ6フッ化リン酸リチウム(LiPF6)を1モル/リットル溶解したものを用いた。
【0021】
本実施形態では、正極活物質に、化学式が上記式(1)で表され、Aは酸素欠損部にドープしたF又はSの元素、Mはマンガンの一部を置換したAl元素とし、比表面積を0.5m2/g以下としたスピネル系マンガン酸リチウムを用いる。上述したように、マンガン酸リチウムの酸素欠損量が大きくなると、マンガンの溶出が顕著となるが、この酸素欠損部にF又はSの元素をドープすることにより結晶構造を安定化させ、マンガンの溶出を抑制することができる。更に、マンガンの一部をAl元素で置換し、このうえリチウムを過剰にすることにより比表面積を減少させ、マンガンの溶出を抑制することができる。従って、本実施形態により得られる円筒型リチウムイオン電池20は、寿命特性を改善した長寿命の電池とすることができる。更に、用いるスピネル系マンガン酸リチウムの比表面積を0.5m2/g以下とすれば、マンガンの溶出を更に抑制することができるので、一層長寿命の電池とすることができる。
【0022】
なお、本発明において、Mnを他の元素で置換又はドープしていない(上記式(1)中のMの価数y=0)スピネル系マンガン酸リチウムを用いてもよい。
【0023】
また、本発明の適用可能な電池の形状は円筒形電池に限定されず、角形、その他の多角形の電池としてもよい。また、本発明の適用可能な構造としては、上述した電池容器に電池蓋がカシメによって封口されている構造の電池以外であっても構わない。このような構造の一例として正負外部端子が電池蓋を貫通し、電池容器内で軸芯を介して正負外部端子が押し合っている状態の電池を挙げることができる。更に本発明は、正極及び負極を捲回式とせず、積層式の構造としたリチウム二次電池にも適用可能である。
【0024】
更に、本発明で用いられる負極活物質は、上述したような、晶質の炭素材料を用いた場合と比べて負極集電体への密着性に優れる非晶質炭素以外の天然黒鉛や、人造の各種黒鉛材、コークスなどの炭素材料等を使用してもよく、その粒子形状についても、鱗片状、球状、繊維状、塊状等、特に制限されるものではない。このような炭素材を負極活物質に用いると、断面渦巻状に捲回するときも可撓性に優れ、負極からの負極活物質層の剥離離脱を防止することができる。
【0025】
また、本発明で用いられる導電材、結着剤についても限定されず、通常用いられているいずれのものも使用可能である。導電材としては、黒鉛などの炭素材料等を使用することができ、結着剤としては、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリブタジエン、ブチルゴム、ニトリルゴム、スチレン/ブタジエンゴム、多硫化ゴム、ニトロセルロース、シアノエチルセルロース、各種ラテックス、アクリロニトリル、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、フッ化プロピレン、フッ化クロロプレン等の重合体及びこれらの混合体などを使用することができる。
【0026】
更にまた、本発明で用いられる非水電解液は、エチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネートを体積比1:1:1で混合した混合溶媒にLiPF6を溶解した非水電解液に限定されず、一般的なリチウム塩を電解質とし、これを有機溶媒に溶解して用いればよく、用いられるリチウム塩や有機溶媒にも特に制限されない。例えば電解質としては、LiClO4、LiAsF6、LiBF4、LiB(C6H5)4、CH3SO3Li、CF3SO3Li等やこれらの混合物を用いることができる。また、有機溶媒としては、プロピレンカーボネート、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、γ−ブチロラクトン、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、4−メチル−1,3−ジオキソラン、ジエチルエーテル、スルホラン、メチルスルホラン、アセトニトリル、プロピオニトリル等、又はこれらの2種類以上を混合した混合溶媒を用いることができ、更に、混合配合比についても限定されるものではない。このような非水電解液を用いることにより電池容量の向上や寒冷地での使用にも適合させることが可能となる。
【0027】
【実施例】
次に、本実施形態に従って作製した円筒形リチウムイオン電池20の実施例について説明する。なお、比較のために作製した比較例の電池についても併記する。
【0028】
(実施例1)
下表1に示すように、化学式がLi1.09Mn1.815Al0.095O3.98S0.02(x=0.09、y=0.095、z=0.02)で、比表面積を0.42m2/gとした酸素欠損部に硫黄元素をドープしたスピネル系マンガン酸リチウムを正極活物質として用い、電池を作製した。
【0029】
【表1】
【0030】
(実施例2〜実施例3)
表1に示すように、実施例2〜実施例3では、正極活物質に化学式、比表面積が異なるスピネル系マンガン酸リチウムを用いる以外は実施例1と同様に電池を作製した。実施例2では、化学式がLi1.09Mn1.815Al0.095O3.95S0.05(x=0.09、y=0.095、z=0.05)、比表面積を0.31m2/gとし、実施例3では、化学式がLi1.20Mn1.705Al0.095O3.98S0.02(x=0.20、y=0.095、z=0.02)、比表面積を0.44m2/gとした。
【0031】
(実施例4〜実施例5)
表1に示すように、実施例4〜実施例5では、正極活物質に化学式、比表面積が異なり酸素欠損部にフッ素元素をドープしたスピネル系マンガン酸リチウムを用いる以外は実施例1と同様に電池を作製した。実施例4では、化学式がLi1.09Mn1.815Al0.095O3.97F0.03(x=0.09、y=0.095、z=0.03)、比表面積を0.50m2/gとし、実施例5では、化学式がLi1.20Mn1.705Al0.095O3.98F0.02(x=0.20、y=0.095、z=0.02)、比表面積を0.48m2/gとした。
【0032】
(比較例1)
表1に示すように、比較例1では、正極活物質に化学式がLi1.09Mn1.815Al0.095O4(x=0.09、y=0.095、z=0)、比表面積を0.48m2/gとしたスピネル系マンガン酸リチウムを用いる以外は実施例1と同様に電池を作製した。
【0033】
(比較例2)
表1に示すように、比較例2では、正極活物質に化学式がLi1.09Mn1.815Al0.095O3.98□0.02(□は酸素欠損部を示す。表1においても同じ。)(x=0.09、y=0.095、z=0)で、比表面積を0.50m2/gとしたスピネル系マンガン酸リチウムを用いる以外は実施例1と同様に電池を作製した。
【0034】
(比較例3)
表1に示すように、比較例3では、正極活物質に化学式がLi1.09Mn1.815Al0.095O3.88S0.12(x=0.09、y=0.095、z=0.12)で、比表面積を0.30m2/gとした硫黄元素をドープしたスピネル系マンガン酸リチウムを用いる以外は実施例1と同様に電池を作製した。
【0035】
(比較例4)
表1に示すように、比較例4では、正極活物質に化学式がLi1.00Mn1.905Al0.095O3.98S0.02(x=0、y=0.095、z=0.02)で、比表面積を0.50m2/gとした硫黄元素をドープしたスピネル系マンガン酸リチウムを用いる以外は実施例1と同様に電池を作製した。
【0036】
(比較例5)
表1に示すように、比較例5では、正極活物質に化学式がLi1.00Mn1.905Al0.095O3.98F0.02(x=0、y=0.095、z=0.02)で、比表面積が0.57m2/gであるフッ素元素をドープしたスピネル系マンガン酸リチウムを用いる以外は実施例1と同様に電池を作製した。
【0037】
以上のように作製した実施例及び比較例の各電池について充放電試験を実施し、初期放電容量を測定した後、サイクル寿命を測定した。放電容量の測定は、25±2°Cの雰囲気において充電した後放電し、初期の放電容量を測定した。充電条件は、4.1V定電圧、制限電流5A、3.5時間とし、放電条件は、1A定電流、終止電圧2.7Vとした。
【0038】
サイクル試験は、50±3°Cの雰囲気温度にて、1時間率(1C)、上限電圧4.2Vで定電流定電圧充電し、1時間率(1C)で終止電圧2.7Vまで放電するサイクルを繰り返した。サイクルを繰り返した後の放電容量が、初期放電容量の80%に至ったときのサイクル数をサイクル寿命とした。下表2に試験結果を示す。
【0039】
【表2】
【0040】
表2に示すように、酸素欠損部に硫黄元素をドープし、硫黄元素の価数zを0<z≦0.05の範囲とし、比表面積を0.5m2/g以下としたスピネル系マンガン酸リチウムを用いた実施例1〜実施例3の電池は、サイクル寿命が880回以上であり優れた寿命特性を示す電池であった。これに対し、比表面積は0.5m2/g以下としたが、用いたスピネル系マンガン酸リチウムが、酸素欠損部を有していない比較例1の電池及び酸素欠損部に他の元素をドープしていない比較例2の電池は、サイクル寿命が700回以下となり十分なサイクル寿命を得ることができなかった。また、比表面積は0.5m2/g以下としたが、用いたスピネル系マンガン酸リチウムが、硫黄元素の価数zが0.05を超える比較例3の電池及びリチウム過剰にしていない(x=0)比較例4の電池においてもサイクル寿命は700回以下となり十分な寿命特性を得ることができなかった。
【0041】
また、酸素欠損部にフッ素元素をドープし、フッ素元素の価数zを0<z≦0.05の範囲とし、比表面積を0.5m2/g以下としたスピネル系マンガン酸リチウムを用いた実施例4〜実施例5の電池は、サイクル寿命が880回以上であり優れた寿命特性を示す電池であった。酸素欠損部に硫黄元素に変えてフッ素元素をドープしても同様の効果を得ることができることが判った。しかし、フッ素元素をドープし、リチウムを過剰にしていない(x=0)スピネル系マンガン酸リチウムの比表面積を0.5m2/g以上とした比較例5の電池においては、サイクル寿命は700回以下となり寿命特性改善の効果は見られなかった。
【0042】
以上の試験結果から、酸素欠損部にF又はSの元素をドープし、マンガンの一部をAl元素で置換し、比表面積を0.5m2/g以下としたスピネル系マンガン酸リチウムを正極活物質に用いた実施例1〜実施例5の各電池は、サイクル寿命が大きく向上することが明らかとなった。
【0043】
上述のように、本実施例では、化学式が上記式(1)で表され、AをF又はSの元素、MをAl元素とし、比表面積を0.5m2/g以下としたスピネル系マンガン酸リチウムを正極活物質に用いた。酸素欠損部にF又はSの元素をドープしたことで結晶構造が安定化すると共に、マンガンの一部をAlで置換し、このうえリチウムを過剰にしたことで比表面積が減少したので、マンガンの溶出を抑制することができ、寿命特性を改善した長寿命の円筒形リチウムイオン電池20を得ることができた。更に、用いるスピネル系マンガン酸リチウムの比表面積を0.5m2/g以下としたので、マンガンの溶出を更に抑制することができ、一層長寿命の電池とすることができた。
【0044】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、化学式Li1+xMn2−x−yMyO4−zAz(MはAl、AはF又はSの元素、0<x≦0.2、0≦y≦0.2、0<z≦0.05)で表されるスピネル系マンガン酸リチウムを正極活物質に用いることにより、酸素欠損部分に酸素以外の元素を含むため結晶構造が安定化してマンガンの溶出を抑制することができると共に、マンガンの一部にリチウム、マンガン以外の元素を含ませ、更にリチウムを過剰にするため比表面積が減少してマンガンの溶出を抑制することができるので、寿命特性を改善した長寿命のリチウム二次電池を実現することができる、という効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明が適用可能な実施形態の円筒形リチウムイオン電池の断面図である。
【符号の説明】
6 捲回群
20 円筒形リチウムイオン電池(リチウム二次電池)
Claims (2)
- 充放電によりリチウムイオンの放出・吸蔵が可能な正極活物質を用いた正極と負極とを電解液に浸潤させたリチウム二次電池において、前記正極活物質は化学式Li1+xMn2−x−yMyO4−zAz(MはAl、AはF又はSの元素、0<x≦0.2、0≦y≦0.2、0<z≦0.05)で表されるスピネル系マンガン酸リチウムであることを特徴とするリチウム二次電池。
- 前記スピネル系マンガン酸リチウムの比表面積が0.5m2/g以下であることを特徴とする請求項1に記載のリチウム二次電池。
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