JP3979044B2 - リチウム二次電池 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はリチウム二次電池に関し、特に、リチウムマンガン複酸化物を正極の活物質の主体とし、無定型炭素材を負極の活物質としたリチウム二次電池に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、一般に広く用いられているリチウム二次電池は、正極にコバルト酸リチウムを用いたものが主流である。しかし、コバルト酸リチウムは、原料となるコバルトの埋蔵量が少なくコスト高となるため、代わりの正極材料として資源量が豊富なマンガンを含むリチウムマンガン複酸化物を使用する動きが活発に進んでいる。そのリチウムマンガン複酸化物であっても、コバルト酸リチウムほどではないが、一般に負極に使用される炭素材と比較すれば、未だコスト高である。このようなリチウムマンガン複酸化物の中で、現在主に使用されているものはスピネル構造のリチウムマンガン複酸化物である。
【0003】
一般に、スピネル構造のリチウムマンガン複酸化物は活物質単体で見た場合の不可逆容量率が5%以下であり、また、負極に使用される炭素材の不可逆容量率は一般に5%以上である。不可逆容量率は、金属リチウムを対極とし、初期1回から5回程度充放電を繰り返した際の充電容量の総和と放電容量の総和の差である不可逆容量を初回充電容量で除し、それを百分率で表現したものである。従って、正極活物質にスピネル構造のリチウムマンガン複酸化物を、負極活物質に炭素材を使用した電池では、正極の不可逆容量率よりも負極の不可逆容量率が大きいため、初回充電時に正極から負極に移動したリチウムイオンの全量が放電時に負極から正極に戻ることができなくなり、高価な正極活物質の可逆容量を十分に使用することが出来ず、非経済的であった。
【0004】
また、充電中に負極表面で金属リチウムが析出することによりセパレータを貫通し、短絡に至るという問題があった。これを防止するためには、正極充電容量よりも負極充電容量を大きくする必要があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述のように正極の不可逆容量率よりも負極の不可逆容量率が大きいため、正極活物質の可逆容量を有効に使用することができず、高容量の電池を得ることができなかった。これを避けるために負極材料をできるだけ少なくして負極の不可逆容量を減少させた場合には、充放電にかかわる活物質量も少なくなるため負極材料を高利用率で使用することが必要となるので、負極材料の負担が大きくなり得られた電池は一般に短寿命であるという問題があった。
【0006】
本発明は、上記事案に鑑み、高容量かつ長寿命のリチウム二次電池を提供することを課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明は、リチウムマンガン複酸化物を正極の活物質の主体とし、無定型炭素材を負極の活物質としたリチウム二次電池において、前記リチウムマンガン複酸化物は結晶構造が異なる2種以上のリチウムマンガン複酸化物を含み、かつ、前記正極の可逆容量が負極の可逆容量以下であり、前記正極の不可逆容量率が20%以上29%以下であることを特徴とする。
【0008】
本発明では、正極の可逆容量を負極の可逆容量以下とすることにより、充電時に正極から離脱して負極に移動するリチウムイオンの量が負極の可逆容量以下となり、負極の負担を低減することができるので、負極の劣化を抑制することができると共に、充電時に正極から負極に移動したリチウムイオンと同量のリチウムイオンが放電時には正極に挿入され、正極を有効に活用することができるので、電池容量を高めることができる。また、負極の活物質に無定型炭素材を用いたことで、負極の可逆容量が少ないため、正極の不可逆容量率を20%以上29%以下とすることにより、充電時に負極に移動するリチウムイオン量を減少させることができるので、負極の負担を低減して長寿命とすることができる。このような効果を得るためのリチウムマンガン複酸化物として、結晶構造の異なる2種以上のリチウムマンガン複酸化物を配合したものを用いる。
【0009】
この場合において、リチウムマンガン複酸化物に層状構造リチウムマンガン複酸化物とスピネル構造リチウムマンガン複酸化物とを配合して用いるようにすれば、層状構造リチウムマンガン複酸化物の結晶の層間にリチウムイオンが挿入・離脱されるので、より高容量の電池とすることができる。このとき、層状構造リチウムマンガン複酸化物とスピネル構造リチウムマンガン複酸化物との配合重量比は30:70〜75:25の範囲が好ましい。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のリチウム二次電池を円筒型リチウムイオン電池に適用した実施の形態について説明する。
【0011】
<正極板>
結晶構造の異なるリチウムマンガン複酸化物としての層状構造マンガン酸リチウムとスピネル構造マンガン酸リチウムを後述する重量比で配合したマンガン酸リチウム粉末を正極活物質に用いた。マンガン酸リチウム粉末と、導電剤として鱗片状黒鉛と、結着剤としてポリフッ化ビニリデンと、を例えば86:9:5などの重量比で配合した正極合剤に分散溶媒としてN−メチルピロリドンを添加、混練してスラリとした。このスラリを厚さ20μmのアルミ箔(正極集電体)の両面に塗布した。その後乾燥、プレス、裁断して後述する所定寸法の正極板を得た。この正極板の一部を切り取り、金属リチウムを対極として、初期1回から5回までの充放電を繰り返し、充電容量と放電容量を測定して、正極板の初回充電容量、不可逆容量率、可逆容量を求めた。なお、充放電電圧範囲は4.5Vから3.2V(Li/Li+基準)とし、正極活物質中のリチウムイオンが離脱する反応を充電反応とした。
【0012】
<負極板>
負極活物質に無定型炭素材としての非晶質炭素粉末又は結晶性炭素材としての黒鉛粉末を用い、これに結着剤としてポリフッ化ビニリデンを例えば92:8などの重量比で添加、混合して負極合剤を作製した。この負極合剤に添加剤としてカーボンブラックを固形分中の割合が5重量%になるように添加し、分散溶媒としてN−メチルピロリドンを添加、混練してスラリとした。このスラリを厚さ10μmの圧延銅箔(負極集電体)の両面に塗布した。その後乾燥、プレス、裁断して後述する所定寸法の負極板を得た。この負極板の一部を切り取り、上述した正極板と同様に金属リチウムを対極として充電容量と放電容量を測定し、負極板の初回充電容量、不可逆容量率、可逆容量を求めた。なお、充放電電圧範囲は1.5Vから0V(Li/Li+基準)とし、負極活物質中にリチウムイオンが挿入する反応を充電反応とした。
【0013】
上述のように作製した正極板の可逆容量が負極板の可逆容量以下となるように正極板と負極板を組み合わせ、以下のようにして円筒型リチウムイオン電池を作製した。また、負極活物質に黒鉛を用いたときには不可逆容量率が10%以上の正極板と組み合わせるようにし、非晶質炭素を用いたときには不可逆容量率が20%以上の正極板と組み合わせるようにした。
【0014】
<電池の作製>
図1に示すように、上記正極板と負極板とを、これら両極板が直接接触しないように厚さ40μmのポリエチレン製セパレータと共に捲回し捲回群1とした。このとき、正極リード片と負極リード片とが、それぞれ捲回群1の互いに反対側の両端面に位置するようにした。また、正極板、負極板、セパレータの長さを調整し、捲回群1の直径を38±0.1mmとした。
【0015】
正極リード片を変形させ、その全てを、捲回群1の軸芯のほぼ延長線上にある正極集電リング4の周囲から一体に張り出している鍔部周面付近に集合、接触させた後、正極リード片と鍔部周面とを超音波溶接して正極リード片を鍔部周面に接続した。一方、負極集電リング5と負極リード片との接続操作も、正極集電リング4と正極リード片との接続操作と同様に実施した。
【0016】
その後、正極集電リング4の鍔部周面全周に絶縁被覆を施し、捲回群1をニッケルメッキが施されたスチール製の電池容器2内に挿入した。電池容器2の外径は40mm、内径は39mmである。
【0017】
負極集電リング5には予め電気的導通のための負極リード板が溶接されており、電池容器2内に捲回群1を挿入後、電池容器2の底部と負極リード板とを溶接した。一方、正極集電リング4には、予め複数枚のアルミニウム製のリボンを重ね合わせて構成した正極リードを溶接しておき、正極リードの他端を、電池容器2を封口するための電池蓋3の下面に溶接した。電池蓋は、蓋ケースと、気密を保つ弁押さえと、開裂弁とで構成されており、これらが積層されて蓋ケースの周縁をカシメることによって組立てられている。
【0018】
非水電解液を所定量電池容器2内に注入し、その後、正極リードを折りたたむようにして電池蓋3で電池容器2に蓋をし、EPDM樹脂製ガスケットを介してカシメて密封することにより円筒形リチウムイオン電池10を完成させた。
【0019】
非水電解液には、エチレンカーボネートとジメチルカーボネートの混合溶液中へ6フッ化リン酸リチウム(LiPF6)を1モル/リットル溶解したものを用いた。
【0020】
【実施例】
次に、本実施形態に従って作製した円筒形リチウムイオン電池10の実施例について説明する。なお、比較のために作製した比較例の電池についても併記する。また、実施例3及び実施例4は、本発明の範囲ではなく、参考として示したものである。
【0021】
<実施例1>
下表1及び下表2に示すように、実施例1では、正極活物質に層状構造マンガン酸リチウムとスピネル構造マンガン酸リチウムを重量比55:45で配合したものを用い、負極活物質に非晶質炭素を用いた。正極合剤層のかさ密度(以下、正極かさ密度という。)は2.4g/cm3とし、正極板の寸法は幅82mm、長さ2590mm、厚さ0.154mm、重量は80gとした。また、負極合剤層のかさ密度(以下、負極かさ密度という。)は1.0g/cm3とし、負極板の寸法は幅86mm、長さ2710mm、厚さ0.152mm、重量は53gとした。正極板の初回充電容量は11.2Ah、不可逆容量率は22%、可逆容量は8.7Ahであり、負極板の初回充電容量は11.7Ah、不可逆容量率は20%、可逆容量は9.3Ahであった。
【0022】
<実施例2>
下表1及び下表2に示すように、実施例2では、正極活物質に層状構造マンガン酸リチウムとスピネル構造マンガン酸リチウムを重量比75:25で配合したものを用い、負極板は実施例1と同一仕様のものを用いた。正極かさ密度は2.4g/cm3とし、正極板の寸法は幅82mm、長さ2590mm、厚さ0.125mm、重量は65gとした。正極板の初回充電容量は10.2Ah、不可逆容量率は29%、可逆容量は7.2Ahであった。
【0023】
<実施例3>
下表1及び下表2に示すように、実施例3では、正極活物質に層状構造マンガン酸リチウムとスピネル構造マンガン酸リチウムを重量比30:70で配合したものを用い、負極活物質に黒鉛を用いた。正極かさ密度は2.4g/cm3とし、正極板の寸法は幅82mm、長さ2620mm、厚さ0.190mm、重量は99gとした。また、負極かさ密度は1.8g/cm3とし、負極板の寸法は幅86mm、長さ2740mm、厚さ0.113mm、重量は64gとした。正極板の初回充電容量は11.4Ah、不可逆容量率は13%、可逆容量は9.9Ahであり、負極板の初回充電容量は11.8Ah、不可逆容量率は10%、可逆容量は10.6Ahであった。
【0024】
【表1】
【0025】
【表2】
【0026】
<実施例4>
表1及び表2に示すように、実施例4では、正極活物質に層状構造マンガン酸リチウムとスピネル構造マンガン酸リチウムを重量比50:50で配合したものを用い、負極板は実施例3と同一仕様のものを用いた。正極かさ密度は2.4g/cm3とし、正極板の寸法は幅82mm、長さ2620mm、厚さ0.159mm、重量は83gとした。正極板の初回充電容量は11.2Ah、不可逆容量率は20%、可逆容量は8.9Ahであった。
【0027】
<比較例1>
表1及び表2に示すように、比較例1では、正極活物質にスピネル構造マンガン酸リチウムのみを用い、負極活物質に非晶質炭素を用いた。正極かさ密度は2.7g/cm3とし、正極板の寸法は幅82mm、長さ2120mm、厚さ0.240mm、重量は111gとした。また、負極かさ密度は1.0g/cm3とし、負極板の寸法は幅86mm、長さ2710mm、厚さ0.152mm、重量は44gとした。正極板の初回充電容量は9.2Ah、不可逆容量率は4%、可逆容量は8.8Ahであり、負極板の初回充電容量は9.5Ah、不可逆容量率は20%、可逆容量は7.6Ahであった。
【0028】
<比較例2>
表1及び表2に示すように、比較例2では、正極活物質にスピネル構造マンガン酸リチウムのみを用い、負極活物質に黒鉛を用いた。正極かさ密度は2.7g/cm3とし、正極板の寸法は幅82mm、長さ2320mm、厚さ0.240mm、重量は121gとした。また、負極かさ密度は1.8g/cm3とし、負極板の寸法は幅86mm、長さ2440mm、厚さ0.113mm、重量は72gとした。正極板の初回充電容量は10.0Ah、不可逆容量率は4%、可逆容量は9.6Ahであり、負極板の初回充電容量は10.5Ah、不可逆容量率は10%、可逆容量は9.4Ahであった。
【0029】
上記実施例及び比較例の電池について、電池容量、正極板の可逆容量に対する電池容量の割合である正極利用率及び負極板の可逆容量に対する電池容量の割合である負極利用率を下表3に示す。また、それぞれの電池容量を定格容量とし、その定格容量の8時間率の電流値で、充電時の終止電圧を4.3V、放電時の終止電圧を3.0Vとして充放電サイクルを繰り返したときの、サイクル数に対する容量維持率の変化を図2に示す。
【0030】
【表3】
【0031】
表3に示したように、実施例1〜実施例4の電池は、正極板の不可逆容量が負極板の不可逆容量よりも大きい(表2参照)ため、電池容量は正極板の可逆容量と同じであった。これに対して、比較例1及び比較例2の電池は、負極板の不可逆容量が正極板の不可逆容量よりも大きいため初回充電時に正極板から負極板に移動したリチウムイオンの全量が放電時に正極に戻らないので、電池容量は正極板の初回充電容量から負極板の不可逆容量が差し引かれた結果となった。
【0032】
また、正極の可逆容量を負極の可逆容量以下とした実施例1〜実施例4の電池は、正極の可逆容量を負極の可逆容量以上とした比較例1及び比較例2の電池と比較して、正極利用率が100%と高く、電池容量も高くなった。正極利用率、負極利用率は、それぞれ正極、負極の可逆容量と逆比例の関係にあるので、可逆容量の低い方が利用率は高くなる。更に、図2から明らかなように、実施例1〜実施例4の電池は、サイクル数200回後でも96%以上の容量維持率を示した。従って、実施例1〜実施例4の電池は、正極活物質を効率よく使用しており経済的であると共に、高容量かつ長寿命の電池であった。
【0033】
また、表3に示したように、実施例1と比較例1の電池及び実施例3と比較例2の電池をそれぞれ比較すると、同一体積の捲回群を作製することにおいて同じ負極活物質を使用し、負極板の厚さを同じにした場合、正極活物質に層状構造マンガン酸リチウムとスピネル構造マンガン酸リチウムを重量比30:70〜75:25の範囲で配合して用いた実施例1及び実施例3の電池の方が高い電池容量であった。
【0034】
更に、実施例2と比較例1の電池及び実施例4と比較例2の電池をそれぞれ比較すると、同一容量の電池では、正極板の可逆容量を負極板の可逆容量以下とし、層状構造マンガン酸リチウムとスピネル構造マンガン酸リチウムを配合して用いた実施例2及び実施例4の電池の方が、負極利用率が低減され、サイクル数200回後でも98%以上の容量維持率を示した(図2参照)。
【0035】
また、負極活物質に結晶性の低い非晶質炭素を用いた実施例1及び実施例2の電池では、正極板の不可逆容量率を20%以上としたので、負極の負担が少なく、容量維持率の高い電池であり、逆に、結晶性の高い黒鉛を用いた実施例3及び実施例4の電池では、正極板の不可逆容量率を10%以上としたので、負極の負担が少なく、容量維持率の高い電池であった。
【0036】
更に、実施例1と実施例3の電池の定格容量をそれぞれ比較例1と比較例2の電池容量にあわせた場合、実施例1の電池では1.5Ahを実施例3の電池では1.0Ahを蓄積でき、かつ正極利用率、負極利用率共に低減されるため、長寿命である。
【0037】
上述のように、本実施例では、正極板の可逆容量を負極板の可逆容量以下としたので、充電時に正極板から負極板に移動したリチウムイオンと同量のリチウムイオンが正極に戻されるので電池容量を高めることができ、また、充電時の負極板の負担が少なく、負極板の劣化を抑制して容量維持率を高くすることができた。また、正極板の可逆容量と逆比例の関係にある正極利用率を高くすることができた。従って、本実施例の円筒形リチウムイオン電池10は、正極材料を有効に活用し、高容量かつ長寿命の電池とすることができた。また、層状構造マンガン酸リチウムとスピネル構造マンガン酸リチウムとを重量比が30:70〜75:25の範囲で配合して用いたので、層状構造マンガン酸リチウムの結晶の層間にリチウムイオンが挿入・離脱され、より高容量の電池とすることができた。更に、負極活物質に結晶性炭素材の黒鉛を用いたときには、正極板の不可逆容量率を10%以上としたことにより、負極板の可逆容量分のリチウムイオンを正極板から離脱させたので負極板の負担が低減して長寿命とすることができた。更に、負極活物質に無定型炭素材の非晶質炭素を用いたときには、正極板の不可逆容量率を20%以上としたことにより、充電時に負極に移動するリチウムイオン量を減少させたので負極板の負担が低減して長寿命とすることができた。
【0038】
なお、本実施形態では、円筒形電池について例示したが、本発明は電池の形状については限定されず、角形、その他の多角形の電池にも適用可能である。また、本発明の適用可能な構造としては、上述した電池容器に電池蓋がカシメによって封口されている構造の電池以外であっても構わない。このような構造の一例として正負外部端子が電池蓋を貫通し、電池容器内で軸芯を介して正負外部端子が押し合っている状態の電池を挙げることができる。更に本発明は、正極板及び負極板を捲回式の構造とせず、積層式の構造としたリチウム二次電池にも適用可能である。
【0039】
また、本実施形態では、結晶構造が異なる層状構造とスピネル構造の2種のマンガン酸リチウムを用いたが、本発明で用いることのできるリチウム二次電池用正極活物質としては、リチウムイオンを挿入・離脱可能な材料であり、予め十分な量のリチウムイオンを挿入したリチウムマンガン複酸化物であればよく、結晶構造の異なる3種以上を含むようにしてもよい。更に、結晶中のリチウムやマンガンの一部をそれら以外の元素で置換あるいはドープした材料を使用するようにしてもよい。
【0040】
更に、本実施形態では、負極活物質に、非晶質炭素又は黒鉛を用いた例を示したが、天然黒鉛や、人造の各種黒鉛材、コークスなどの炭素材料等を使用してもよく、用いる炭素材の結晶性により上述のように正極板の不可逆容量率を調整すればよい。また、粒子形状についても、鱗片状、球状、繊維状、塊状等、特に制限されるものではない。
【0041】
また、本発明は、本実施形態で例示した導電材、結着剤には限定されず、通常用いられているいずれのものも使用可能である。本実施形態以外で用いることのできるリチウム二次電池用極板活物質結着剤としては、テフロン、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリブタジエン、ブチルゴム、ニトリルゴム、スチレン/ブタジエンゴム、多硫化ゴム、ニトロセルロース、シアノエチルセルロース、各種ラテックス、アクリロニトリル、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、フッ化プロピレン、フッ化クロロプレン等の重合体及びこれらの混合体などがある。
【0042】
また更に、本実施形態では、正極合剤中のマンガン酸リチウム粉末と、鱗片状黒鉛と、ポリフッ化ビニリデンとを配合する重量比を86:9:5などとし、負極合剤中の非晶質炭素粉末又は黒鉛粉末と、ポリフッ化ビニリデンとを配合する重量比を92:8などとしたが、これらを配合する重量比については特に制限されるものではなく、正極合剤、負極合剤として通常用いられる範囲で配合して用いればよい。
【0043】
更にまた、本実施形態では、エチレンカーボネートとジメチルカーボネートの混合溶媒にLiPF6を溶解した非水電解液を例示したが、一般的なリチウム塩を電解質とし、これを有機溶媒に溶解した非水電解液を用いてもよく、本発明は用いられるリチウム塩や有機溶媒には特に制限されない。例えば、電解質としては、LiClO4、LiAsF6、LiBF4、LiB(C6H5)4、CH3SO3Li、CF3SO3Li等やこれらの混合物を用いることができる。また、有機溶媒としては、プロピレンカーボネート、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、γ−ブチロラクトン、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、4−メチル−1,3−ジオキソラン、ジエチルエーテル、スルホラン、メチルスルホラン、アセトニトリル、プロピオニトリル等、又はこれらの2種類以上を混合した混合溶媒を用いることができ、更に、混合配合比についても限定されるものではない。
【0044】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、正極活物質に結晶構造の異なる2種以上のリチウムマンガン複酸化物を配合したものを用い、正極の可逆容量を負極の可逆容量以下とすることにより、充電時に正極から離脱して負極に移動するリチウムイオンの量が負極の可逆容量以下となり、負極の負担を低減することができ、負極の活物質に無定型炭素材を用い正極の不可逆容量率を20%以上29%以下とすることにより、充電時に負極に移動するリチウムイオン量を減少させることができるので、負極の負担を低減して長寿命とすることができるため、負極の劣化を抑制することができると共に、充電時に正極から負極に移動したリチウムイオンと同量のリチウムイオンが放電時には正極に挿入され、正極を有効に活用することができるので、電池容量を高めることができる、という効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明が適用可能な実施形態の円筒形リチウムイオン電池の断面図である。
【図2】 本発明が適用可能な実施形態の円筒形リチウムイオン電池の充放電サイクル数に対する容量維持率の変化を示したグラフである。
【符号の説明】
1 捲回群
2 電池容器
3 電池蓋
4 正極集電リング
5 負極集電リング
10 円筒形リチウムイオン電池(リチウム二次電池)
Claims (3)
- リチウムマンガン複酸化物を正極の活物質の主体とし、無定型炭素材を負極の活物質としたリチウム二次電池において、前記リチウムマンガン複酸化物は結晶構造が異なる2種以上のリチウムマンガン複酸化物を含み、かつ、前記正極の可逆容量が負極の可逆容量以下であり、前記正極の不可逆容量率が20%以上29%以下であることを特徴とするリチウム二次電池。
- 前記リチウムマンガン複酸化物は、層状構造リチウムマンガン複酸化物とスピネル構造リチウムマンガン複酸化物とを含むものであることを特徴とする請求項1に記載のリチウム二次電池。
- 前記層状構造リチウムマンガン複酸化物と前記スピネル構造リチウムマンガン複酸化物との配合重量比が、30:70〜75:25であることを特徴とする請求項2に記載のリチウム二次電池。
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