JP4309772B2 - 磁気検出素子 - Google Patents

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Description

本発明は、特に固定磁性層の内部に鏡面反射効果を有するNOLを用いたときに、前記固定磁性層の最適な材質及び膜厚を選択し、高い抵抗変化率(ΔR/R)と一方向性交換バイアス磁界(Hex*)を得ることが可能な磁気検出素子に関する。
下記に示す特許文献1ではスピンバルブ型薄膜素子を構成する固定磁性層の内部に鏡面反射層を用いている。この文献では、鏡面反射効果を得るためにNOL(Nano Oxide Layer)を設けている。この文献の[0071]欄には「Ta 3nm/NiFeCr 2nm/CoFe 1.5nm/NiFeCr 1nm/PtMn 10nm/CoFe 0.5nm/NOL/CoFe 2nm/Cu 2.3nm/CoFeNi 2nm/Cu 1nm/TaO 1nm・・・」と記載されており、固定磁性層が、「CoFe 0.5nm/NOL/CoFe 2nm」の3層構造となっている。
またNOLの形成方法としては、[0086][0087]欄に記載されており、この記載内容からすると、固定磁性層を構成するCoFeの表面をプラズマ酸化等して形成できるとしている。
そしてこの文献での目的は、良好なバイアスポイントと高い抵抗変化率を得ることであるとしている。
また下記に示す特許文献2には、例えば図3に、積層構造の強磁性固定層15が開示されており、前記強磁性固定層15は、Ru等の反平行結合層150を挟んでその上下に強磁性膜が形成されたシンセティックフェリピンド構造となっている。前記反平行結合層150を挟んでその上下に形成された強磁性膜の磁化は互いに反平行に固定磁化された状態となっている。なおこの文献には上記NOLについて何も記載されていない。
特開2002−232035 特開2002−117508
本発明者らが後述する実験を種々を行ったところ、特許文献1における構造のスピンバルブ型薄膜素子では、抵抗変化率(ΔR/R)が効果的に向上しないことがわかった。
すなわち特許文献1では、固定磁性層としてCoFe/NOL/CoFeの3層構造を用いているが、後述する実験によれば、前記固定磁性層に前記NOLを設けない形態に比べてさほど磁気抵抗変化率(ΔR/R)が向上しなかった。
また別の形態として、Co/NOL/Coの3層構造を有する固定磁性層を形成して実験を行ったところ、抵抗変化率(ΔR/R)は、CoFe/NOL/CoFeの3層構造を用いた場合に比べて上昇したものの、一方向性交換バイアス磁界(Hex*)が大きく低下することがわかった。一方向性交換バイアス磁界(Hex*)とは、前記固定磁性層と反強磁性層間で発生する交換結合磁界や、前記固定磁性層がシンセティックフェリピンド構造のときに、磁性層間に生じるRKKY相互交換作用における結合磁界などを含む磁界の大きさである。
また後述する実験によれば、特にNOLとCuなどの非磁性材料層との間に形成される磁性層(本発明では非磁性材料当接層と呼んでいる)の膜厚や、NOLの形状等によって、前記抵抗変化率(ΔR/R)及び一方向性交換バイアス磁界(Hex*)が大きく左右されることがわかったので、本発明者らは、前記抵抗変化率(ΔR/R)及び一方向性交換バイアス磁界(Hex*)の双方を従来に比べてより大きくできるように、NOLを挟んで上下に形成される磁性層の材質、膜厚及びNOLの形状の適正化を目指し本発明に至った。
すなわち本発明は、上記従来の課題を解決するためのものであり、特に固定磁性層の内部に鏡面反射効果を有するNOLを用いたときに、前記固定磁性層の最適な材質及び膜厚を選択し、さらには前記NOLの形状を適正化し、高い抵抗変化率(ΔR/R)と一方向性交換バイアス磁界(Hex*)を得ることが可能な磁気検出素子を提供することを目的としている。
本発明は、少なくとも下から反強磁性層、磁化方向が固定される固定磁性層、非磁性材料層、磁化が外部磁界に対し変動するフリー磁性層の順に積層された積層体を有する磁気検出素子において、
前記固定磁性層は、非磁性材料層に接して形成された非磁性材料当接層と、反強磁性層側に形成された非磁性材料非当接層と、前記非磁性材料非当接層と非磁性材料当接層との間に、前記非磁性材料非当接層の表面が酸化されてなり鏡面反射効果を有するNOLとを有し、
前記非磁性材料当接層はCoで、前記非磁性材料非当接層はCoFe合金で形成され、前記非磁性材料当接層の平均膜厚は、16〜19Åの範囲内で形成され
前記NOLは、前記非磁性材料非当接層上に部分的に形成されたCrの酸化層と、前記非磁性材料非当接層の表面が部分的に酸化された酸化層とを有してなる間欠構造であり、非磁性材料非当接層と非磁性材料当接層とは前記NOLの間欠部を介して直接接合されていることを特徴とするものである。
本発明では、上記のように、固定磁性層を、CoFeで形成された非磁性材料非当接層、NOL、Coで形成された非磁性材料当接層で構成している。前記NOLは、前記非磁性材料非当接層の表面が酸化されてなる。
本発明では、上記の材質の適正化に加えて、前記非磁性材料当接層の平均膜厚を16〜19Åの範囲内に設定したことで、従来のようにCoFe/NOL/CoFeの3層構造やCo/NOL/Coの3層構造を有する固定磁性層を使用した場合に比べて抵抗変化率(ΔR/R)と一方向性交換バイアス磁界Hex*の両方を満足し得る値にまで引き上げることができることがわかった。
また本発明では、前記固定磁性層は、下から第1固定磁性層、非磁性中間層及び第2固定磁性層の順に積層されたシンセティックフェリピンド構造であり、前記第2固定磁性層が下から前記非磁性材料非当接層、NOL及び非磁性材料当接層の順に積層された構造であることが好ましい。
上記のような構成であると、より高い抵抗変化率(ΔR/R)と一方向性交換バイアス磁界(Hex*)を得ることが出来る。
また本発明は、少なくとも下から固定磁性層、非磁性材料層、フリー磁性層の順に積層された積層体を有する磁気検出素子において、
前記固定磁性層は、下から第1固定磁性層、非磁性中間層及び第2固定磁性層の順に積層されたシンセティックフェリピンド構造であり、前記固定磁性層は、前記固定磁性層自体の一軸異方性によって磁化が固定されており、
前記第2固定磁性層は、下から非磁性材料非当接層、前記非磁性材料非当接層の表面が酸化されてなり鏡面反射効果を有するNOL、非磁性材料当接層の順に積層された構造であり、
前記非磁性材料当接層はCoで、前記非磁性材料非当接層はCoFe合金で形成され、前記非磁性材料当接層の平均膜厚は、16〜19Åの範囲内で形成され
前記NOLは、前記非磁性材料非当接層上に部分的に形成されたCrの酸化層と、前記非磁性材料非当接層の表面が部分的に酸化された酸化層とを有してなる間欠構造であり、非磁性材料非当接層と非磁性材料当接層とは前記NOLの間欠部を介して直接接合されていることを特徴とするものである。
上記発明は、固定磁性層自体の一軸異方性によって固定磁性層の磁化が固定される、いわゆる自己固定式の磁気検出素子である。
従って、膜厚の厚い反強磁性層を有する磁気検出素子に比べて分流損失を少なくでき、磁気検出素子の磁界検出出力を向上させることができる。また、磁気検出素子の上下に設けられるシールド層間の距離も短くなるので、記録媒体のさらなる高線記録密度化に対応することもできる。
自己固定式の磁気検出素子においては、前記固定磁性層はシンセティックフェリピンド構造である。そして前記固定磁性層を構成する前記第2固定磁性層を、非磁性材料非当接層、NOL、及び非磁性材料当接層で構成し、前記非磁性材料当接層にCoを、前記非磁性材料非当接層にCoFe合金を用い、さらに前記非磁性材料当接層の平均膜厚を、16〜19Åの範囲内とすることで、非磁性材料非当接層及び非磁性材料当接層を共にCoFeで、あるいは非磁性材料非当接層と非磁性材料当接層を共にCoで形成した場合に比べて抵抗変化率(ΔR/R)と一方向性交換バイアス磁界(Hex*)の両方を満足し得る値にまで引き上げることができる。
この実施形態では、前記NOLにはCrの酸化物層も含まれる。このような構造にすることで間欠構造のNOLを薄く均一な膜厚で形成しやすく出来る。
また本発明では、前記NOLは自然酸化によって形成されたものであることが好ましい。前記NOLを間欠部を有する薄い膜として形成しやすい。
また本発明では、前記NOLの表面は、前記非磁性材料当接層にCoに代えてCoFe合金を用いたときに得られるNOL表面の平坦化度よりも高い平坦化度を有することが好ましい。非磁性材料非当接層及び非磁性材料当接層の両方にCoFeを用いた場合では、製造過程で行われる種々の熱処理等によって、非磁性材料当接層であるCoFeのFeが酸化され、この結果、NOL表面の平坦化度は悪くなる。
一方、本発明では、非磁性材料非当接層にCoFeを、非磁性材料当接層にCoを用いた構造の場合、前記熱処理によっても非磁性材料当接層であるCoはFeに比べて酸化されにくく、NOL表面は、上記のように非磁性材料当接層にCoFeを用いた場合に比べて高くなる。
このため本発明では前記NOLの鏡面反射効果は高くなり、抵抗変化率(ΔR/R)の向上を効果的に図ることが可能になる。
本発明では、固定磁性層を、CoFeで形成された非磁性材料非当接層、NOL、Coで形成された非磁性材料当接層で構成している。前記NOLは、前記非磁性材料非当接層の表面が酸化されてなる。
本発明では、上記の材質の適正化に加えて、前記非磁性材料当接層の平均膜厚を16〜19Åの範囲内に設定したことで、従来のようにCoFe/NOL/CoFeの3層構造やCo/NOL/Coの3層構造を有する固定磁性層を使用した場合に比べて抵抗変化率(ΔR/R)と一方向性交換バイアス磁界Hex*の両方を満足し得る値にまで引き上げることができる。
図1は、本発明の第1の実施の形態の磁気検出素子を記録媒体との対向面側からみた断面図である。
図1に示す磁気検出素子は、反強磁性層34、固定磁性層35、非磁性材料層36、フリー磁性層37が順次積層されてなるいわゆるボトム型のスピンバルブ型磁気検出素子である。
図1に示されたスピンバルブ型磁気検出素子は、固定磁性層35の磁化方向が、適正に図示Y方向に平行な方向に固定され、しかもフリー磁性層37の磁化が適正に図示X方向に平行な方向に揃えられており、固定磁性層35とフリー磁性層37の磁化が直交関係にある。そして記録媒体からの外部磁界に対し、フリー磁性層37の磁化が感度良く変動し、この磁化方向の変動と、固定磁性層35の固定磁化方向との関係で電気抵抗が変化し、この電気抵抗値の変化に基づく電圧変化により、記録媒体からの洩れ磁界が検出される。
図1では、下地層32、シード層33、反強磁性層34、第1固定磁性層50、非磁性中間層51、第2固定磁性層52からなるシンセティックフェリピンド型の固定磁性層35、非磁性材料層36、第2フリー磁性層37a及び第1フリー磁性層37bからなる積層型のフリー磁性層37、保護層39が積層された積層体が形成されている。なお前記積層体の上面の幅寸法がトラック幅寸法に対応する。
前記積層体の下層には、基板(図示せず)上に、アルミナなどの絶縁性材料からなる下地層(図示せず)を介して、下部シールド層30、下部ギャップ層31が成膜されている。
前記積層体中の反強磁性層34は、例えば前記反強磁性層34の上方にある各層よりも図示X方向に延長された延出部を有するものであってもよい。
図1に示すように、前記積層体の側面には、Cr、Ti、Mo、W50Mo50などによってバイアス下地層40が形成されている。
バイアス下地層40の上には、ハードバイアス層41が形成されている。ハードバイアス層41は例えば、Co−Pt(コバルト−白金)合金やCo−Cr−Pt(コバルト−クロム−白金)合金などで形成されており、図示X方向(トラック幅方向)に着磁されている。
ハードバイアス層41上には、Taなどの非磁性材料で形成された中間層42が形成され、この中間層42の上に、Cr、Au、Ta、W、などで形成された電極層43が形成されている。
積層体の表面、及び電極層43の表面に上部ギャップ層44が成膜され、上部ギャップ層44上には上部シールド層45が形成されている。上部シールド層45は、無機絶縁材料からなる図示しない保護層によって覆われる。
下部シールド層30及び上部シールド層45はNiFeなどの磁性材料を用いて形成される。なお、下部シールド層30及び上部シールド層45は磁化容易軸がトラック幅方向(図示X方向)を向いていることが好ましい。なお、下部シールド層30と上部シールド層45は、スパッタ法やメッキ法等によって形成される。
前記下部ギャップ層31、上部ギャップ層44、及び上部シールド層を覆う保護層はAl23やSiO2などの非磁性無機材料を用いて形成される。
前記シード層33は、面心立方晶の(111)面あるいは体心立方晶の(110)面が優先配向する磁性材料層あるいは非磁性材料層の単層構造であることが好ましい。これによって前記反強磁性層34の結晶配向を、(111)面を優先配向させることができ、磁気検出素子の抵抗変化率を向上させることができる。
またシード層33は高抵抗であることが好ましく、これによって前記電極層43からのセンス電流を前記シード層33に分流するのを抑制することができる。例えば本発明では、前記シード層33は、NiFeY合金(ただしYは、Cr、Rh、Ta、Hf、Nb、Zr、Tiから選ばれる少なくとも1種以上)で形成され、また前記下地層32は、Ta、Hf、Nb、Zr、Ti、Mo、Wのうち少なくとも1種以上で形成されることが好ましい。なお下地層32は形成されなくても良い。
前記反強磁性層34は、PtMn合金、または、X―Mn(ただしXは、Pd、Ir、Rh、Ru、Os、NiFeのいずれか1種または2種以上の元素である)合金で、あるいはPt―Mn―X′(ただしX′は、Pd、Ir、Rh、Ru、Au、Ag、Os、Cr、Ni、Ar、Ne、Xe、Krのいずれか1または2種以上の元素である)合金で形成される。
これらの合金は、成膜直後の状態では、不規則系の面心立方構造(fcc)であるが、熱処理によってCuAuI型の規則型の面心正方構造(fct)に構造変態する。または組成によっては(例えばMnが80at%前後では)、熱処理によっても不規則系の面心立方構造(fcc)を維持する。
前記反強磁性層34の膜厚は、トラック幅方向の中心付近において50〜300Å、例えば120Åである。
前記反強磁性層34に上記した合金を使用し、これを熱処理することにより、第1固定磁性層50との間で大きな交換結合磁界を発生する反強磁性層34を得ることができる。
前記固定磁性層35は、強磁性材料により形成される第1固定磁性層50及び第2固定磁性層52、及び非磁性材料により形成される非磁性中間層51からなるシンセティックフェリピンド構造である。本実施の形態では、第2固定磁性層52は、非磁性材料層36に接する非磁性材料当接層55,前記非磁性中間層51に接する非磁性材料非当接層53,前記非磁性材料非当接層53と非磁性材料当接層55の間に、前記非磁性材料非当接層53の表面を酸化してなり鏡面反射効果を有するNOL(Nano Oxide Layer)54から構成される。
前記第1固定磁性層50は、強磁性材料により形成されるもので、例えばNiFe合金、Co、CoNiFe合金、CoFe合金、CoNi合金などにより形成されるものであり、特にCoFe合金やCoNiFe合金により形成されると、スピンフロップ磁界の値を大きくすることができるので好ましい。これにより、前記固定磁性層35がフェリ磁性状態を保つ磁界の範囲が広くなり、固定磁性層35が安定してフェリ磁性状態を保つことができ、固定磁性層35の磁化方向を一定方向に固定するように働く力(一方向性交換バイアス磁界)が大きくなる。
なおスピンフロップ磁界とは、磁化方向が反平行である2つの磁性層に対して外部磁界を印加したときに、2つの磁性層の磁化方向が反平行でなくなる外部磁界の大きさである。スピンフロップ磁界が大きいほど、外部磁界中においてもフェリ磁性状態を安定して維持できる。
また、非磁性中間層51は、非磁性材料により形成されるもので、Ru、Rh、Ir、Cr、Re、Cuのうち1種またはこれらの2種以上の合金で形成されている。特にRuによって形成されることが好ましい。
前記第1固定磁性層50は反強磁性層34と接して形成され、磁場中熱処理が施されることにより、第1固定磁性層50と反強磁性層34との界面にて交換結合による交換異方性磁界が生じ、第1固定磁性層50の磁化方向が例えば図示Y方向に固定される。第1固定磁性層50の磁化方向が図示Y方向に固定されると、非磁性中間層51を介して対向する第2固定磁性層52の磁化方向が、前記第1固定磁性層50の磁化方向と反平行の状態で固定される。
このように、第1固定磁性層50と第2固定磁性層52の磁化方向が、反平行となるフェリ磁性状態になっていると、第1固定磁性層50と第2固定磁性層52とが互いに他方の磁化方向を固定しあうので、全体として固定磁性層35の磁化方向を一定方向に強力に固定することができる。
非磁性材料層36は、固定磁性層35とフリー磁性層37との磁気的な結合を防止し、またセンス電流が主に流れる層であり、Cu、Cr、Au、Agなど導電性を有する非磁性材料により形成されることが好ましい。特にCuによって形成されることが好ましい。
フリー磁性層37を構成する第2フリー磁性層37a及び第1フリー磁性層37bは、強磁性材料により形成されるもので、例えばNiFe合金、Co、CoFeNi合金、CoFe合金、CoNi合金などにより形成されるものである。なお前記第2フリー磁性層37aは形成されていなくてもよいし、前記フリー磁性層37は、シンセティックフェリフリー構造であっても良い。
前記第1フリー磁性層37bは、例えばNiFe合金で形成されている。前記NiFe合金は、前記非磁性材料層36との間で熱拡散を生じやすいので、相互拡散を抑制すべく、前記第1フリー磁性層37bと前記非磁性材料層36との間に拡散防止機能を有する例えばCoFe合金で形成された第2フリー磁性層37aを設けている。
保護層39はTa等で形成される。また前記電極層43とハードバイアス層41との間に設けられた中間層42は、TaまたはCrからなり、熱拡散を防ぐことができ、ハードバイアス層41の磁気特性の劣化を防止できる。
前記電極層43としてTaを用いる場合には、Crの中間層42を設けることによってCrの上層に積層されるTaの結晶構造を低抵抗の体心立方構造にしやすい。
また、電極層43としてCrを用いる場合には、Taの中間層42を設けることにより、Crがエピタキシャルに成長して、抵抗値を低減できる。
バイアス下地層40を結晶構造がbcc(体心立方格子)構造であるCr、Ti、Mo、W50Mo50などを用いて形成すると、ハードバイアス層41の保磁力及び角形比が大きくなりバイアス磁界を大きくできる。
本発明の特徴的部分について以下に説明する。本発明では上記したように、固定磁性層35を構成する第2固定磁性層52は、非磁性材料層36に接して形成された非磁性材料当接層55と、前記非磁性材料層36から離れた位置にあり、非磁性中間層51に接して形成された非磁性材料非当接層53と、前記非磁性材料非当接層53の表面が酸化されてなり鏡面反射効果を有するNOL54とで構成されている。ここで言う「当接層」であるか「非当接層」であるかは非磁性材料層36と接しているか否かによって決めている。
本発明では、前記非磁性材料当接層55はCoで、前記非磁性材料非当接層はCoFe合金で形成されており、さらに前記非磁性材料当接層55の平均膜厚は16〜19Åの範囲内で形成されている。
図2は図1に示す固定磁性層35を拡大した示した部分拡大断面図である。上記したように前記非磁性材料非当接層53はCoFe合金からなり、前記非磁性材料非当接層53の平均膜厚H2は3Å〜8Åの範囲内である。一例を示すと前記非磁性材料非当接層53の平均膜厚は5Å程度である。
図2に示すように、前記非磁性材料非当接層53の表面53aには、所々で酸化された酸化層53bが形成されている。前記酸化層53bの組成はCoFeOである。CoFe合金で形成された非磁性材料非当接層53の表面53aを酸化処理すると、CoとFeとのうち、Feの方が優先的に酸化される傾向が強いため、前記酸化層53bは主にFeが酸化された層として構成される。
図2に示すように、前記非磁性材料非当接層53上には部分的にCrの酸化層56が形成されている。前記Crの酸化層56と前記酸化層53bの両方でNOL54が構成されている。
図2に示すように、前記NOL54は、間欠構造であり、間欠部54aでは、前記非磁性材料非当接層53の表面53aが露出した状態になっている。そして前記間欠部54aでは、前記非磁性材料非当接層53と非磁性材料当接層55とが直接的に接しており、この間欠部54aでの前記非磁性材料非当接層53と非磁性材料当接層55との強磁性結合は強くなっている。
図2に示す実施形態では、前記NOL54にCrの酸化層56が含まれるが、前記Crの酸化層56は形成されていなくてもよい。かかる場合、前記NOL54は、前記非磁性材料非当接層53の表面が酸化されて出来た酸化層53bのみで構成されることになる。そして上記したように、CoFe合金の構成元素のうち、Feの方がCoよりも酸化されやすい傾向があるので、Coは酸化処理によっても酸化されないままの状態で残りやすい。このため、非磁性材料非当接層53を成膜した後、前記非磁性材料非当接層53の表面を酸化させると(本発明では自然酸化させる)、Coが未酸化で残るため図2のように酸化層53bは間欠構造として形成されやすい。
また前記非磁性材料非当接層53の上にCrの酸化層56を設ける場合は、まずCoFe合金で形成された非磁性材料非当接層上にCr層を成膜する。前記Cr層は非常に薄い膜厚で1Å程度である。このように薄い膜厚で前記Cr層を成膜すると、前記非磁性材料非当接層53の表面53a上は前記Cr層で完全に覆われることなく、部分的にCr層が形成された状態になる。すなわちCr層を成膜した時点で、既に図2に示す間欠部54aが前記Cr層に形成されている。
そして、次に前記Cr層及び非磁性材料非当接層53の表面53aを酸化処理する。Cr層は酸化される傾向が強いので、前記Cr層はほぼ全てが酸化された酸化層56となる。さらに前記酸化層56の下にある非磁性材料非当接層53にまで酸化が進み、前記酸化層56下の所々で前記非磁性材料非当接層53の表面53aが酸化された状態になる。
また前記Cr層を成膜した段階で形成された間欠部のうち、図2のAの部分では、前記非磁性材料非当接層53の表面53aが酸化され酸化層53bが形成され、前記酸化層53bによってAの部分は遮断された状態になっている。このようにCr層を成膜した時に出来た間欠部のうち、一部の間欠部から露出した非磁性材料非当接層53の表面53aは酸化されて前記間欠部を遮断してもかまわない。
一方、図2に示す間欠部54aでは、前記非磁性材料非当接層53の表面53aが少なくとも一部酸化されない状態で残り、前記間欠部54aからは前記非磁性材料非当接層53の表面53aが露出した状態になっている。
前記Cr層は、NOL54を薄く均一な膜厚の間欠構造とするために形成した方が良い。
なお図2に示すNOL54の形態は、模式図的に示したものであり、非磁性材料非当接層53とCr層との酸化のされ方を説明するために用いたものである。特にNOL54は非常に薄い膜厚(せいぜい10〜30Å程度)であるので、例えば図2のように、酸化層53bとCrの酸化層56との間に境界を見るのは実物においては非常に困難であるが、組成分析等によってCr酸化層56と酸化層53bとの存在を測定することは可能であり、また後でTEM写真で示すように、前記NOL54に間欠部54aが形成されていることを見ることはできる。
本発明では、前記非磁性材料非当接層53にCoFeを、非磁性材料当接層55にCoを用い、前記非磁性材料当接層55の平均膜厚を16〜19Åの範囲内にすることで、抵抗変化率(ΔR/R)と一方向性交換バイアス磁界Hex*の両方を適切に実用レベルにまで向上させることが出来る。
後述する実験結果によれば、非磁性材料非当接層及び非磁性材料当接層にCoFeを用い、同じ膜厚及び成膜条件の下に成膜された比較例に比して本発明の方が抵抗変化率を向上できることがわかった。その理由についてはいくつか考えられる。
まず第一に、本発明のように非磁性材料当接層55としてCoを用いると、CoFe合金に比べて不純物が少ないので、電子の平均自由行程を延ばすことができると考えられるからである。
GMR効果の基本原理について図3を用いて説明する。図3に示すように、非磁性材料層が2つの磁性層(フリー磁性層と非磁性材料当接層)に挟まれた構成で、前記2つの磁性層の磁化方向が平行状態である場合を考察してみる。
このとき磁性層内でのマジョリティスピン電子、例えば上向きのスピンをもつ伝導電子は、マイノリティスピン電子、例えば下向きのスピンをもつ伝導電子よりも平均自由行程が長いことが知られている。この上向きのスピンをもつ伝導電子と下向きのスピンをもつ伝導電子の平均自由行程差が大きいほどGMR効果は大きくなり、すなわち抵抗変化率を向上させることが可能になる。
前記GMR効果に寄与するのは、図3に示すフリー磁性層と非磁性材料当接層であるから、この2層の中を通る伝導電子の平均自由行程について考えてみると、上向きのスピンをもつ伝導電子は、NOLの表面で鏡面反射し、この反射後でもスピン状態は維持されるので前記NOLを設けない場合に比べて前記上向きのスピンの伝導電子の平均自由行程を延ばすことが出来る。
しかし前記非磁性材料当接層がCoFe合金で形成されると前記非磁性材料当接層内に不純物が多くなるので、前記上向きのスピンを持つ伝導電子がこの不純物に衝突しやすく、そこで拡散散乱が生じ、適切に前記上向きのスピンを持つ伝導電子の平均自由行程を延ばすことが出来なくなる。
このためCoFe合金に比べて不純物が少ないCoを非磁性材料当接層として用いた方が、前記不純物への衝突による拡散散乱の割合を減らすことが出来、この結果、上向きのスピンを持つ伝導電子と下向きのスピンを持つ伝導電子の平均自由行程差を大きくでき、GMR効果を大きく出来るものと考えられる。
第二に、各層を成膜した後、前記反強磁性層34と第1固定磁性層50との間で交換結合磁界を生じさせるべく、磁場中熱処理を行う。この熱処理のとき、非磁性材料当接層がCoFe合金で形成されていると、前記CoFe合金を構成するFeがCoに比べて酸化されやすい傾向にあるため、NOLに含まれている酸素等が前記非磁性材料当接層側へ拡散するマイグレーション等を起こし、前記NOLの表面が粗れた状態(すなわち平坦化度が低い状態)になりやすい。前記NOLの表面の平坦化度が高いほど、前記上向きのスピンを持つ伝導電子は前記NOL表面で鏡面反射しやすいが、前記のように前記NOL表面が粗れて平坦化度が落ちると前記NOL表面で上向きのスピンを持つ伝導電子が適切に鏡面反射できず拡散散乱が生じやすくなって、前記上向きのスピンを持つ伝導電子と下向きのスピンを持つ伝導電子の平均自由行程差を適切に大きくできない。
一方、本発明のように、非磁性材料当接層にCoを用いた場合、上記した磁場中熱処理等においても前記Coは酸化されにくく、前記NOL表面はきれいな鏡面を保つ。すなわち本発明の方が前記NOL表面の平坦化度が高い状態である。この結果、非磁性材料当接層にCoFe合金を用いた場合に比べて、前記上向きのスピンを持つ伝導電子と下向きのスピンを持つ伝導電子の平均自由行程差をより大きくでき、GMR効果を向上させることが出来ると考えられる。
ここで上記平坦化度は、例えば表面の中心線平均粗さで示され、中心線平均粗さが小さいほど平坦化度は高い関係にある。
また前記CoはCoFe合金よりも比抵抗が低いことも本発明の方がGMR効果を適切に向上させることができる一因であると考えられる。
次に本発明では、後述する実験結果によれば、非磁性材料非当接層及び非磁性材料当接層にCoを用い、同じ膜厚及び成膜条件の下に成膜された比較例に比して本発明の方が一方向性交換バイアス磁界(Hex*)を向上させることがわかった。ここで一方向性交換バイアス磁界(Hex*)とは、前記第1固定磁性層50と反強磁性層34間で発生する交換結合磁界や、前記第1固定磁性層50と非磁性材料非当接層53間に生じるRKKY相互交換作用における結合磁界、前記非磁性材料非当接層53と非磁性材料当接層55間に生じる強磁性結合磁界などを含む磁界の大きさである。
本発明では非磁性材料非当接層としてCoFe合金を用い、前記非磁性材料非当接層の表面を酸化処理したとき、Feが優先的に酸化され、一方、Coが未酸化のまま残りやすいため、図2で説明したように、前記非磁性材料非当接層53の表面53aを酸化処理したことで形成されたNOL54に間欠部54aが形成されやすい。このような間欠部54aがあると、前記間欠部54aでは前記非磁性材料非当接層53と非磁性材料当接層55とが適切に磁気的結合されており、この結果、一方向性交換バイアス磁界(Hex*)が大きくなる。
しかし、非磁性材料非当接層としてCoを使用し、前記非磁性材料非当接層の表面を酸化処理すると、前記非磁性材料非当接層の表面は均一に酸化され、図2に示したような間欠部を有するNOLが形成されにくい。このため非磁性材料非当接層と非磁性材料当接層間の磁気的結合は分断されやすく、一方向性交換バイアス磁界(Hex*)は、前記非磁性材料非当接層にCoFe合金を使用した場合に比べて低くなりやすい。
特に後述する実験結果では、非磁性材料非当接層;CoFe/NOL/非磁性材料当接層;Coの積層構造とし、前記非磁性材料当接層の膜厚を16〜19Åの範囲内に設定すると、非磁性材料非当接層;Co/NOL/非磁性材料当接層;Coの積層構造とし、前記非磁性材料当接層の膜厚を16〜19Åの範囲内に設定した場合に比べて確実に高い一方向性交換バイアス磁界(Hex*)を得ることが出来ることがわかった。
また本発明では、図1のように前記固定磁性層35は、下から第1固定磁性層50、非磁性中間層51、第2固定磁性層52の順に積層されたシンセティックフェリピンド構造であり、前記第2固定磁性層52が、下から前記非磁性材料非当接層53、NOL54、非磁性材料当接層55の順に積層された構造であることが好ましい。
シンセティックフェリピンド構造であると、前記第1固定磁性層50と第2固定磁性層52間にRKKY相互作用が働き、前記第1固定磁性層50と第2固定磁性層52の磁化が反平行状態になるとともに、前記第1固定磁性層50と反強磁性層34間に生じる交換結合磁界も相俟って前記固定磁性層35の磁化は、シンセティックフェリピンド構造を用いず、非磁性材料非当接層53、NOL54、非磁性材料当接層55の3層構造のみで構成した場合に比べて、強固に固定される。
図4は、本発明の別の実施の形態の磁気検出素子を記録媒体との対向面側から見た断面図である。
図4に示される磁気検出素子では、アルミナなどの絶縁性材料からなる下部ギャップ層10上に積層体が形成されている。
図4に示す実施形態では、前記積層体は、下からシード層21、非磁性金属層22、固定磁性層23、非磁性材料層24、フリー磁性層25及び保護層26の順に積層されたものである。
シード層21は、NiFe合金、NiFeCr合金あるいはCr、Taなどで形成されている。シード層21は、例えば(Ni0.8Fe0.260at%Cr40at%の膜厚35Å〜60Åで形成される。
シード層21があると、非磁性金属層22の[111]配向が良好になる。
前記固定磁性層23は、第1固定磁性層23aと第2固定磁性層23cが非磁性中間層23bを介して積層されたシンセティックフェリピンド構造を有している。前記固定磁性層23は、前記固定磁性層23自体の一軸異方性によって磁化が、ハイト方向(図示Y方向)に固定されている。
非磁性材料層24は、固定磁性層23とフリー磁性層25との磁気的な結合を防止する層であり、Cu,Cr,Au,Agなど導電性を有する非磁性材料により形成されることが好ましい。特にCuによって形成されることが好ましい。非磁性材料層の膜厚は17Å〜30Åである。
フリー磁性層25は、NiFe合金やCoFe合金等の磁性材料で形成される。図4に示す実施形態では特にフリー磁性層25がNiFe合金で形成されるとき、フリー磁性層25と非磁性材料層24との間にCoやCoFeなどからなる拡散防止層(図示しない)が形成されていることが好ましい。前記フリー磁性層25の膜厚は20Å〜60Åである。また、フリー磁性層25は、複数の磁性層が非磁性中間層を介して積層されたシンセティックフェリフリー構造であってもよい。
保護層26はTaなどからなり、前記積層体の酸化の進行を抑える。保護層26の膜厚は10Å〜50Åである。
図4に示す実施形態では、前記シード層21から保護層26までの積層体の両側にはバイアス下地層27、ハードバイアス層28及び電極層29が形成されている。ハードバイアス層28からの縦バイアス磁界によってフリー磁性層25の磁化はトラック幅方向(図示X方向)に揃えられる。
バイアス下地層27,27はCr、W、Tiで、ハードバイアス層28,28は例えばCo−Pt(コバルト−白金)合金やCo−Cr−Pt(コバルト−クロム−白金)合金などで形成されており、電極層29,29は、Cr、Ta,Rh,AuやW(タングステン)などで形成されている。
電極層29,29、及び保護層26上には、アルミナなどの絶縁性材料からなる上部ギャップ層20が積層される。なお、図示はしないが、下部ギャップ層10の下には下部シールド層が設けられ、上部ギャップ層20上には上部シールド層が設けられる。下部シールド層及び上部シールド層はNiFeなどの軟磁性材料によって形成される。
前記フリー磁性層25の磁化は、ハードバイアス層28,28からの縦バイアス磁界によってトラック幅方向(図示X方向)に揃えられる。そして記録媒体からの信号磁界(外部磁界)に対し、フリー磁性層25の磁化が感度良く変動する。
前記フリー磁性層25の磁化方向の変動と、固定磁性層23の固定磁化方向(特に第2固定磁性層23cの固定磁化方向)との関係で電気抵抗が変化し、この電気抵抗値の変化に基づく電圧変化または電流変化により、記録媒体からの洩れ磁界が検出される。
上記したように、図4に示される磁気検出素子の固定磁性層23は、第1固定磁性層23aと第2固定磁性層23cが非磁性中間層23bを介して積層されたシンセティックフェリピンド構造である。第1固定磁性層23aの磁化と第2固定磁性層23cの磁化は、非磁性中間層23bを介したRKKY相互作用によって互いに反平行方向に向けられている。
そして第1固定磁性層23aは、前記非磁性金属層22に接している。前記非磁性金属層22は、PtMn合金、または、X―Mn(ただしXは、Pt,Pd,Ir,Rh,Ru,Os,Ni,Feのいずれか1種または2種以上の元素である)合金によって形成されている。前記非磁性金属層22の膜厚は、5Å以上50Å以下であることが好ましい。
前記非磁性金属層22の膜厚がこの範囲内であると、非磁性金属層22の結晶構造は、成膜時の状態である面心立方構造(fcc)を維持しつづける。なお、非磁性金属層22の膜厚が、50Åより大きくなると、250℃以上の熱が加わったときに、非磁性金属層22の結晶構造がCuAuI型の規則型の面心正方構造(fct)に構造変態するので好ましくない。ただし、非磁性金属層22の膜厚が、50Åより大きくても、250℃以上の熱が加わらなければ、非磁性金属層の結晶構造は、成膜時の状態である面心立方構造(fcc)を維持しつづける。
前記PtMn合金、または、X―Mn(ただしXは、Pt,Pd,Ir,Rh,Ru,Os,Ni,Feのいずれか1種または2種以上の元素である)からなる非磁性金属層22が面心立方構造(fcc)の結晶構造を有するとき、この非磁性金属層22と第1固定磁性層23aとの界面には交換結合磁界は発生しないか、または極めて弱く、交換結合磁界によって第1固定磁性層23aの磁化方向を固定することはできない。
従って、図4に示される磁気検出素子は、固定磁性層23自体の一軸異方性によって固定磁性層23の磁化が固定されている。図4に示される磁気検出素子は、自己固定式の磁気検出素子と呼ばれる。
自己固定式の磁気検出素子は、200Å程度の厚い膜厚の反強磁性層を有する磁気検出素子に比べて分流損失を少なくできるので、磁気検出素子の磁界検出出力を向上させることができる。また、磁気検出素子の上下に設けられるシールド層間の距離も短くなるので、記録媒体のさらなる高線記録密度化に対応することもできる。
図4に示す実施形態では、前記固定磁性層23の磁化を固定する一軸異方性を決める、誘導磁気異方性と磁気弾性効果のうち、磁気弾性効果を主に利用している。前記磁気弾性効果は、磁気弾性エネルギーに支配される。磁気弾性エネルギーは、固定磁性層23にかかる応力σと固定磁性層23の磁歪定数λによって規定される。
図4に示す実施形態では、前記積層体の記録媒体との対向面は開放端となっているが、その他の周囲は、図4に示すハードバイアス層28,28や電極層29,29、図示しない絶縁材料層によって埋められている。
従って、もともと2次元的に等方的であった下部ギャップ層20及び上部ギャップ層30からの応力が記録媒体との対向面で開放された結果、対称性がくずれて、前記積層体には、ハイト方向(図示Y方向)に平行な方向に、引っ張り応力が加えられている。また、バイアス下地層27,27、ハードバイアス層28,28、及び電極層29,29の積層膜が圧縮性の内部応力を有している場合には、電極層29などが面内方向に延びようとするため、前記積層体には、トラック幅方向に(図示X方向)に平行な方向及び反平行な方向に圧縮応力を加えられている。
すなわち、記録媒体との対向面が開放されている固定磁性層23には、ハイト方向の引張り応力とトラック幅方向の圧縮応力が加えられる。そして、第1固定磁性層23aは、磁歪定数が正の値である磁性材料によって形成されており、磁気弾性効果によって、第1固定磁性層23aの磁化容易軸は磁気検出素子の奥側(ハイト方向;図示Y方向)に平行方向となり、第1固定磁性層23aの磁化方向がハイト方向と平行方向または反平行方向に固定される。前記第2固定磁性層23cの磁化は、非磁性中間層23bを介したRKKY相互作用によって第1固定磁性層23aの磁化方向と反平行方向を向いた状態で固定される。
図4の実施形態では、前記固定磁性層23の磁歪定数を大きくすることによって磁気弾性エネルギーを大きくし、これによって、前記固定磁性層23の一軸異方性を大きくするものである。前記固定磁性層23の一軸異方性が大きくなると、固定磁性層23の磁化は一定の方向に強固に固定され、磁気検出素子の出力が大きくなりかつ出力の安定性や対称性も向上する。
具体的には,前記固定磁性層23を構成する第1固定磁性層23aを、非磁性金属層22と接合させることによって、第1固定磁性層23aの結晶構造に歪みを生じさせて第1固定磁性層23aの磁歪定数λを大きくさせている。
先に述べたように、非磁性金属層22は、fcc構造をとり、界面と平行な方向に[111]面として表される等価な結晶面が優先配向するものである。
一方、固定磁性層23の第1固定磁性層23aがCoまたはCoxFey(y≦20,x+y=100)によって形成されていると、第1固定磁性層23aは面心立方格子(fcc)構造をとる。また、第1固定磁性層23aは、界面と平行な方向に、[111]面として表される等価な結晶面が優先配向している。
従って、第1固定磁性層23aを構成する原子と非磁性金属層22を構成する原子が互いに重なりあいやすくなるが、第1固定磁性層23aの[111]面内の最近接原子間距離と、非磁性金属層22の[111]面内の最近接原子間距離には、一定以上の差があることが必要である。
非磁性金属層22を構成する原子と第1固定磁性層23aの原子とを重なり合わせつつ、結晶構造に歪みを生じさせ、第1固定磁性層23aの磁歪を大きくするために、非磁性金属層22の材料である前記PtMn合金中のPt含有量、または、X―Mn合金中のX元素の含有量を調節する。
例えば、前記PtMn合金中のPt含有量、または、X―Mn合金中のX元素の含有量を、51原子%以上にすると、非磁性金属層22に重なる第1固定磁性層23aの磁歪が急激に増加する。また、前記PtMn合金中のPt含有量、または、X―Mn合金中のX元素の含有量が、55原子%以上99原子%以下であると、前記第1磁性層の磁歪が大きな値をとりつつ安定する。
また、非磁性金属層22の[111]面内の最近接原子間距離と、固定磁性層23の第1固定磁性層23aの[111]面内の最近接原子間距離との差を、第1固定磁性層23aの[111]面内の最近接原子間距離で割った値(ミスマッチ値)を、0.05以上0.20以下にすることが好ましい。
このように、第1固定磁性層23aの結晶構造に歪みが生じると、第1固定磁性層23aの磁歪定数λを大きくすることができるので、大きな磁気弾性効果を発揮することができる。
図4の実施形態でも前記固定磁性層23を構成する第2固定磁性層23cは、前記非磁性材料層24に接して形成された非磁性材料当接層23c3と、非磁性中間層23bに接して形成された非磁性材料非当接層23c1と、前記非磁性材料非当接層23c1と、非磁性材料当接層23c3との間に、前記非磁性材料非当接層23c1の表面が酸化されてなり鏡面反射効果を有するNOL23c2とを有して構成され、前記非磁性材料当接層23c3はCoで、前記非磁性材料非当接層23c1はCoFe合金で形成され、前記非磁性材料当接層23c3の平均膜厚は16〜19Åの範囲内で形成されている。
これにより図1に示す実施形態を用いて説明したのと同様に、抵抗変化率(ΔR/R)と一方向性交換バイアス磁界(Hex*)の両方を適切に実用レベルにまで向上させることが出来る。
また前記NOL23c2の形態については図2と同様であるのでそちらを参照されたい。
なお第1固定磁性層23a及び前記第2固定磁性層23cの非磁性材料非当接層23c1として、bcc構造をとるCoxFey(y≧20,x+y=100)を用いると、正磁歪を大きくすることができる。bcc構造をとるCoxFey(y≧20,x+y=100)は、保磁力が大きく、前記固定磁性層23の磁化固定を強固にすることができる。
本発明における磁気検出素子の製造方法について説明する。磁気検出素子を構成する固定磁性層の部分を中心に説明する。
磁気検出素子を構成する各層はスパッタ法や蒸着法を用いて成膜される。図5ないし図7は固定磁性層60の製造方法を示す一工程図である。
図5では、図1に示す反強磁性層34(あるいは図4に示す非磁性金属層22)の上に、前記固定磁性層60を構成する第1固定磁性層61を、CoFe合金、CoNiFe合金、CoあるいはNiFe合金等で形成する。好ましくは前記第1固定磁性層61をCoFe合金で形成する。前記第1固定磁性層61を10Å〜20Åの範囲内で形成する。
次に前記第1固定磁性層61の上に、Ru、Rh、Ir、Cr、Re、Cuのうち1種またはこれらの2種以上の合金で形成される非磁性中間層62を形成する。
次に前記非磁性中間層62の上に、第2固定磁性層66を構成する非磁性材料非当接層63を形成する。本発明では前記非磁性材料非当接層63をCoFe合金で形成する。前記非磁性材料非当接層63を3Å〜8Åの範囲内で形成することが好ましい。例えば前記非磁性材料非当接層63を5Åの膜厚で成膜する。
続いて前記非磁性材料非当接層63上にCr層64を成膜する。前記Cr層64を平均膜厚で1Å程度に成膜する。1Åは、原子粒径よりも小さい値なので、前記Cr層64を平均膜厚で1Å程度の非常に薄い膜で成膜すると、前記非磁性材料非当接層63上を完全に覆うように成膜されず、前記Cr層64には所々に間欠部64aが形成された状態になる。
次に酸化処理を行う。酸化は自然酸化であることが好ましく、500Lから100ML(0.07Pa・S〜13.3K Pa・S)の範囲内の酸化条件で行う。ここでLとは、酸化分圧(μTorr)×酸化時間(sec)(=1.33×10-4Pa・Sec)のことを意味する。前記酸化条件が500L(0.07Pa・S)よりも低いと、適切に前記Cr層64及び非磁性材料非当接層63の表面を酸化できず、効果的な鏡面反射効果を有するNOLを形成できない。一方、酸化条件を100ML(13.3K Pa・S)より大きくすると、前記非磁性材料非当接層63が酸化されすぎて膜厚が厚く間欠部の無いNOLが形成されてしまい、非磁性材料非当接層63と非磁性材料当接層66間の磁気的結合が弱くなり、一方向性交換バイアス磁界(Hex*)が低くなってしまい好ましくない。
図6で示すように、前記酸化処理を行うと前記Cr層64は酸化されCr−O層64bに変態する。また前記Cr−O層64b下や、図5の時点で間欠部64aから露出していた非磁性材料非当接層63の表面63aも一部酸化される。
ただし、前記非磁性材料非当接層63を構成するCoFe合金は、CoよりもFeの方が酸化されやすくCoは未酸化のまま残りやすいので、上記した酸化条件で酸化を行えば、Cr層64に形成されていた間欠部64aから露出する非磁性材料非当接層63の表面63aは、一部酸化されずに残り、その酸化されない部分は、前記Cr−O層64b及びCoFe−O層63bから成るNOL65の間欠部65aとして構成される。
図6に示すような間欠構造のNOL65を薄く均一な膜で形成するには、図5の工程で非磁性材料非当接層63上にCr層64を形成し、図6の工程時に前記Cr層64を酸化し、Cr−O層64bも含めてNOL65を構成することが好ましい。
前記NOL65は、あまりに薄い膜厚すぎて間欠部が多くなりすぎたり、表面のうねりが激しく平坦化度が低いと、上向きのスピンをもつ伝導電子が、前記NOL65表面で鏡面反射する割合が減るので、抵抗効果率を適切に向上させることができない。しかし一方、前記NOL65に間欠部65aが形成されていないと、非磁性材料非当接層63と非磁性材料当接層66間での強磁性結合が弱くなるため一方向性交換バイアス磁界(Hex*)を十分に大きくできないといった問題が発生する。
例えば前記Cr層64を図5工程時に形成していないと、前記非磁性材料非当接層63の表面63aの酸化によって形成されたCoFe−O層63bのみでNOL65が構成されることになる。ここで非磁性材料非当接層63を構成するCoFe合金の組成比は、前記第1固定磁性層61間でのRKKY相互作用による結合磁界を大きくするためFeよりもCoの含有量を多くすることが好ましい。一例をあげるとCo90Fe10合金(数値はat%)で前記非磁性材料非当接層63を形成する。すなわち前記非磁性材料非当接層63内に含有されているFe量は非常に少なく、上記したようにFeはCoより酸化されやすい性質があるが、前記非磁性材料非当接層63表面付近にあるFe量は少ないので、前記非磁性材料非当接層63表面での酸化は促進されにくく、低い酸化条件であると間欠箇所の割合がかなり大きく膜厚も不均一なNOL65が形成されやすく、一方、高い酸化条件であるとCoも酸化が促進されて間欠箇所の割合が少ないNOL65が形成されやすいと考えられる。
そこで前記非磁性材料非当接層63上にCr層64を形成し、特に前記Cr層64を非常に薄い均一な膜厚の間欠構造で形成すると、自然酸化処理によって前記Cr層64の部分は適切に酸化されるので、少なくとも前記Cr層64に形成された間欠部以外の部分が適切に酸化された薄い膜厚のNOL65を形成できる。
次に図7に示す工程では、前記NOL65上及び前記NOL65の間欠部65aから露出する非磁性材料非当接層63上に非磁性材料当接層66をスパッタ法あるいは蒸着法等で成膜する。
図7に示すように前記NOL65には間欠部65aが形成されているので、その部分では前記非磁性材料非当接層63と非磁性材料当接層66とが直接接し、両者の強磁性結合は、両者間にNOL65が介在している箇所に比べて強くなる。
本発明では前記非磁性材料当接層66をCoで形成し、且つ16〜19Åの膜厚内で形成する。その後、磁場中熱処理を行ない、図1に示す反強磁性層34と図7に示す固定磁性層60の第1固定磁性層61との間で交換結合磁界を生じさせる。
このとき、非磁性材料当接層66を構成するCoは、前記熱処理によっても酸化しにくく、NOL65内の酸素が前記非磁性材料当接層66側に拡散するマイグレーションを起こしにくい。このため前記NOL65の表面65bは上記した熱処理によっても粗れず、高い平坦化度を有する鏡面として維持される。
また非磁性材料当接層66を成膜するときに使用されるターゲットの純度を高くすることで前記非磁性材料当接層66内に不純物が混ざるのを抑制できる。例えば非磁性材料当接層66には4N以上(99.99%以上の純度、酸素含有量は20ppm程度)のCoターゲットを使用することが好ましい。ちなみに非磁性材料非当接層63を成膜するときには、3N(99.9%の純度、酸素含有量は40ppm程度)のCoFeターゲットを使用しても問題にはならない。
図8ないし図10は、以下の膜構成1からなる磁気検出素子を形成し、非磁性材料当接層と抵抗変化率(ΔR/R(%))及び一方向性交換バイアス磁界(Hex*)との関係を測定した実験結果である。
膜構成1は、Si/Al23/シード層;(Ni0.8Fe0.280Cr40(41Å)/反強磁性層;Pt50Mn50(120)/第1固定磁性層;Co90Fe10(14)/非磁性中間層;Ru(9)/非磁性材料非当接層;Co90Fe10(5)/Cr層(1)/自然酸化(10KL)/非磁性材料当接層/非磁性材料層;Cu(18)/フリー磁性層;[Co90Fe10(10)/Ni80Fe20(30)]/保護層;Ta(30)である。なお各材料の組成比はat%である。また括弧書きの数値は膜厚で単位はÅである。
また上記した自然酸化は、非磁性材料非当接層及びCr層を積層した後、10KL(1.4Pa・S)の条件で行った。この自然酸化処理によってNOLが形成される。このNOLはCr層と非磁性材料非当接層であるCoFeの表面が酸化されて形成されたものである。
さらに上記膜構成1を形成した後、磁場中熱処理によって前記反強磁性層と前記第1固定磁性層間に交換結合磁界を生じさせ、前記第1固定磁性層を所定の方向に磁化固定させた。なお前記第1固定磁性層と、非磁性材料非当接層及び非磁性材料当接層との磁化関係は、両者間に作用するRKKY相互作用によって反平行になっている。
実験では、実施例1として非磁性材料当接層にCoを使用した上記膜構成1から成る磁気検出素子を形成し、非磁性材料当接層の膜厚と抵抗変化率(ΔR/R)、及び一方向性交換バイアス磁界(Hex*)との関係を求めた。
また、比較例1として非磁性材料当接層にCoFeを使用した上記膜構成1から成る磁気検出素子を形成し、非磁性材料当接層の膜厚と抵抗変化率(ΔR/R)及び一方向性交換バイアス磁界(Hex*)との関係を求めた。
さらに、比較例2として非磁性材料当接層にCoFeを使用し、且つ上記自然酸化処理を行っていない(すなわちNOLが形成されていない)上記膜構成1から成る磁気検出素子を形成し、非磁性材料当接層の膜厚と抵抗変化率(ΔR/R)、及び一方向性交換バイアス磁界(Hex*)との関係を求めた。
図8は、非磁性材料当接層の膜厚と磁気検出素子(ΔR/R)との関係を示すグラフである。図8に示すように、実施例、比較例1及び比較例2ともに非磁性材料当接層の膜厚が大きくなると抵抗変化率(ΔR/R)が大きくなった。
図8に示すように実施例1、比較例1及び比較例2のうち、実施例1が最も大きい抵抗変化率を示した。その理由は、非磁性材料当接層にCoを使用した実施例1では、非磁性材料当接層にCoFeを使用した比較例1,2に比べて非磁性材料当接層に不純物が少なく、上向きのスピンをもつ伝導電子の平均自由行程を長くでき、特に実施例では自然酸化によるNOLが形成されているので、このNOLで前記伝導電子はスピンを依存したまま反射するので平均自由行程をより長くできるからと考えられる。
またCoはCoFeに比べて酸化されにくいため、上記した磁場中熱処理工程によっても前記Coは酸化されにくく、NOLの酸素が前記非磁性材料当接層側に拡散するのが抑制され、この結果、実施例1におけるNOL表面の平坦化度を、比較例2におけるNOL表面の平坦化度に比べて高い状態に維持できると考えられ、これも実施例1の方が比較例1及び比較例2に比べて飛躍的に抵抗変化率(ΔR/R)を高くできる要因の一つと思われる。
図9は、非磁性材料当接層の膜厚と一方向性交換バイアス磁界(Hex*)との関係を示すグラフである。ここで一方向性交換バイアス磁界(Hex*)とは、前記第1固定磁性層と反強磁性層間で発生する交換結合磁界や、前記第1固定磁性層と非磁性材料非当接層間に生じるRKKY相互交換作用における結合磁界、非磁性材料非当接層と非磁性材料当接層間に生じる強磁性結合磁界などを含む磁界の大きさである。
図9に示すように、実施例1、比較例1及び比較例2ともに非磁性材料当接層の膜厚が小さくなると一方向性交換バイアス磁界(Hex*)が大きくなることがわかった。
比較例2が実施例1や比較例1に比べてかなり高い一方向性交換バイアス磁界(Hex*)を示すのは、NOLが形成されていないからである。NOLが形成されている部分では、非磁性材料非当接層と非磁性材料当接層間の磁気的結合が分断されやすいが、NOLが形成されていない比較例2では、そのような磁気的結合の分断が生じにくいので、比較例2では実施例1や比較例2に比べて高い一方向性交換バイアス磁界を示しやすい。しかし図8に示すように、比較例2は抵抗変化率が低くなり、磁気抵抗変化率と一方向性交換バイアス磁界の双方を共に高くすることができないといった問題がある。
図9に示すように実施例1と比較例1は非磁性材料当接層の膜厚に対しほぼ同じような一方向性交換バイアス磁界を示すことがわかった。
図10は図8と図9に示す実験結果を下に、実施例1、比較例1及び比較例2の一方向性交換バイアス磁界(Hex*)と磁気抵抗変化率(ΔR/R)との関係を示したものである。
図10に示すように、一方向性交換バイアス磁界と磁気抵抗効果率の双方を高くできるのは実施例であることがわかった。
図8ないし図10に示す実験結果を総合的に勘案すると、実施例1のように非磁性材料非当接層にCoFeを用い、非磁性材料当接層にCoを用い、前記非磁性材料当接層と非磁性材料非当接層間にNOLを介在させた形態では、前記非磁性材料当接層の膜厚を16Å以上にすれば、比較例1や比較例2の形態において非磁性材料当接層を20Å程度まで大きくしても、実施例1の方が比較例1や比較例2よりも高い抵抗変化率を示すことがわかった。また一方向性交換バイアス磁界にあっては、実施例1の場合、比較例2に比べて低い一方向性交換バイアス磁界しか得られないものの比較例1と比較すると非磁性材料当接層の膜厚が同じ場合に、ほぼ同程度の一方向性交換バイアス磁界を得ることが出来ることがわかった。
図11ないし図13は、以下の膜構成2からなる磁気検出素子を形成し、非磁性材料当接層と磁気抵抗変化率(ΔR/R(%))及び一方向性交換バイアス磁界Hex*との関係を測定した実験結果である。
膜構成2は、Si/Al23/シード層;(Ni0.8Fe0.280Cr40(52Å)/反強磁性層;Pt50Mn50(140)/第1固定磁性層;Co90Fe10(14)/非磁性中間層;Ru(9)/非磁性材料非当接層(5)/Cr層(1)/自然酸化(100KL)/非磁性材料当接層:Co/非磁性材料層;Cu(18)/フリー磁性層;[Co90Fe10(10)/Ni80Fe20(35)]/保護層;Ta(30)である。なお各材料の組成比はat%である。また括弧書きの数値は膜厚で単位はÅである。
また上記した自然酸化は、非磁性材料非当接層及びCr層を積層した後、100KL(14Pa・S)の条件で行った。この自然酸化処理によってNOLが形成される。このNOLはCr層と非磁性材料非当接層の表面が酸化されて形成されたものである。
さらに上記膜構成を形成した後、磁場中熱処理によって前記反強磁性層と前記第1固定磁性層間に交換結合磁界を生じさせ、前記第1固定磁性層を所定の方向に磁化固定させた。なお前記第1固定磁性層と、非磁性材料非当接層及び非磁性材料当接層との磁化関係は、両者間に作用するRKKY相互作用によって反平行になっている。
実験では、実施例2として非磁性材料非当接層にCoFeを使用した上記膜構成から成る磁気検出素子を形成し、非磁性材料当接層(Co)の膜厚と磁気抵抗変化率(ΔR/R)、及び一方向性交換バイアス磁界(Hex*)との関係を求めた。
また、比較例3として非磁性材料非当接層にCoを使用した上記膜構成2から成る磁気検出素子を形成し、非磁性材料当接層(Co)の膜厚と磁気抵抗変化率(ΔR/R)及び一方向性交換バイアス磁界(Hex*)との関係を求めた。
図11は、非磁性材料当接層の膜厚と磁気検出素子(ΔR/R)との関係を示すグラフである。図11に示すように、実施例2及び比較例3ともに非磁性材料当接層の膜厚が大きくなると磁気抵抗変化率(ΔR/R)が大きくなった。
図11に示すように、比較例3の方が実施例2よりも高い磁気抵抗変化率を示した。
図12は、非磁性材料当接層の膜厚と一方向性交換バイアス磁界(Hex*)との関係を示すグラフである。ここで一方向性交換バイアス磁界(Hex*)とは、前記第1固定磁性層と反強磁性層間で発生する交換結合磁界や、前記第1固定磁性層と非磁性材料非当接層間に生じるRKKY相互交換作用における結合磁界、非磁性材料非当接層と非磁性材料当接層間に生じる強磁性結合磁界などを含む磁界の大きさである。
図12に示すように、実施例2及び比較例3ともに非磁性材料当接層の膜厚が大きくなると一方向性交換バイアス磁界(Hex*)が小さくなることがわかった。
ここで図12に示すように実施例2の方が比較例3に比べて高い一方向性交換バイアス磁界を示した。
実施例2の場合、自然酸化処理の際に、非磁性材料非当接層であるCoFeのうち、Feの方がCoに比べて優先的に酸化されCoは未酸化のまま残りやすく、その結果、図2で説明したようにNOL54には間欠部54aが形成されやすい。前記NOL54に間欠部54aが形成されていると前記間欠部54aを介して非磁性材料非当接層51と非磁性材料当接層55とが磁気的結合を起こし、一方向性交換バイアス磁界は高まる。
一方、比較例3のように、非磁性材料非当接層がCoで形成されていると、Coは均一に酸化されてしまうので、前記NOLには図2に示すような間欠部54aが形成されにくく、この結果、実施例2に比べて非磁性材料非当接層と非磁性材料当接層間の磁気的結合は分断されやすい状態になっている。
このため図12に示すように、実施例2の方が比較例3に比べて、高い一方向性交換バイアス磁界を示すものと考えられる。
図13は、図11及び図12の実験結果を下にして、実施例2、及び比較例3の一方向性交換バイアス磁界(Hex*)と磁気抵抗変化率(ΔR/R)との関係を示したものである。
図13に示すように、一方向性交換バイアス磁界が実施例2及び比較例3共に同じ値である場合、実施例2の方が比較例3に比べて高い磁気抵抗変化率(ΔR/R)を示すことがわかった。また、比較例3では、上記膜構成2の場合に、1400Oe(=約11.06×104A/m、1Oeを約79A/mとして計算)以上の一方向性交換バイアス磁界を得られないことがわかった。
図8ないし図13に示す実験の結果、次のことを導き出すことが出来る。すなわち実施例1,2のように、非磁性材料非当接層にCoFeを非磁性材料当接層にCoを用い、前記非磁性材料非当接層と非磁性材料当接層間にNOLを介在させた形態の場合、非磁性材料非当接層及び非磁性材料当接層にCoFeを用いた形態(比較例1,2)に比べて非磁性材料当接層が同じ膜厚のとき常に高い磁気抵抗効果率を得ることができ、しかも非磁性材料非当接層及び非磁性材料当接層にCoを用いた形態(比較例3)に比べて非磁性材料当接層が同じ膜厚のとき常に高い一方向性交換バイアス磁界を得ることが出来ることがわかった。
また実施例1の形態において非磁性材料当接層の膜厚を16〜19Åの範囲内にすると、図8に示すように、比較例1,2における非磁性材料当接層の膜厚を16〜20Åの範囲内で変動させても実施例1の方が比較例1,2に比べて常に高い磁気抵抗効果率を得ることが出来、また図12に示すように、比較例3における非磁性材料当接層の膜厚を16〜20Åの範囲内で変動させても実施例2の方が比較例3に比べて常に高い一方向性交換バイアス磁界を得ることが出来ることがわかった。
よって実施例1,2における非磁性材料当接層の膜厚を16〜19Åの範囲内に設定した。
図14ないし図19は、上記膜構成1あるいは膜構成2で形成された磁気検出素子を膜厚方向に切断し、その断面をTEMで撮影したTEM写真、及びその模式図である。
図14は上記膜構成1で形成された磁気検出素子で、非磁性材料非当接層にCoFe、非磁性材料当接層にはCo(膜厚は18Å)を用い、非磁性材料非当接層と非磁性材料当接層間にNOLを介在させた実施例3のTEM写真である。図15は図14に示すTEM写真の一部分の模式図である。
図14及び図15に示すように、実施例3の場合(すなわち非磁性材料非当接層:CoFe/NOL/非磁性材料当接層:Coの構成)、NOLには複数の間欠部が設けられており、非磁性材料非当接層と非磁性材料当接層とが前記間欠部を介して直接接合した状態にある。さらに前記NOLの表面は、次に説明する比較例4及び比較例5のNOL表面に比べて平坦化度が高くなっていることがわかった。
図16は上記膜構成1で形成された磁気検出素子で、非磁性材料非当接層にはCoFe、非磁性材料当接層にはCoFe(膜厚は18Å)を用い、前記非磁性材料非当接層と非磁性材料当接層間にNOLを介在させた比較例4のTEM写真である。図17は図16に示すTEM写真の一部分の模式図である。
図16及び図17に示すように、比較例4の場合(すなわち非磁性材料非当接層:CoFe/NOL/非磁性材料当接層:CoFeの構成)、NOLの表面は、実施例3に比べてかなり粗れた状態にあり、平坦化度は実施例3よりも低くなっていることがわかった。これは図8のところでも説明したように、非磁性材料当接層にCoFeを使用すると、FeはCoよりも酸化されやすいことから磁場中熱処理等によってNOLを構成する酸素が前記非磁性材料当接層側にも拡散し、その結果、前記NOL表面は粗れた状態になるものと考えられる。比較例4のようにNOL表面の平坦化度が低いと図8で説明したように抵抗変化率の低下が問題となる。
図18は上記膜構成2で形成された磁気検出素子で、非磁性材料非当接層にはCo、非磁性材料当接層として使用されるCoの膜厚を18Åとして形成し、前記非磁性材料非当接層と非磁性材料当接層間にNOLを介在させた比較例5のTEM写真である。図19は図18に示すTEM写真の一部分の模式図である。
図18及び図19に示すように、比較例5の場合(すなわち非磁性材料非当接層:Co/NOL/非磁性材料当接層:Coの構成)、NOLの表面は、比較例4におけるNOL表面の平坦化度と同じくらいかあるいはそれよりも高い(すなわち平坦化度が良好)ものと思われるが、実施例3のようにNOLに間欠部が形成されておらず、非磁性材料非当接層上全体にNOLが形成された状態にある。このため非磁性材料非当接層と非磁性材料当接層間の磁気的結合は前記NOLの存在で全体的に分断され、その結果、図12のところで説明したように、一方向性交換バイアス磁界が低くなるものと考えられる。
本発明の第1の実施の形態の磁気検出素子を記録媒体との対向面側からみた断面図、 図1に示す磁気検出素子を構成する固定磁性層の部分を拡大した部分拡大断面図、 磁気検出素子の鏡面反射層の作用を説明するための模式図、 本発明の第2の実施の形態の磁気検出素子を記録媒体との対向面側からみた断面図、 本発明の固定磁性層の製造方法を示す一工程図(部分拡大断面図)、 図5の次に行われる一工程図(部分拡大断面図)、 図6の次に行われる一工程図(部分拡大断面図)、 実施例1、比較例1及び比較例2における非磁性材料当接層の膜厚と抵抗変化率との関係を示すグラフ、 実施例1、比較例1及び比較例2における非磁性材料当接層の膜厚と一方向性交換バイアス磁界との関係を示すグラフ、 実施例1、比較例1及び比較例2における抵抗変化率と一方向性交換バイアス磁界との関係を示すグラフ、 実施例2及び比較例3における非磁性材料当接層の膜厚と抵抗変化率との関係を示すグラフ、 実施例2及び比較例3における非磁性材料当接層の膜厚と一方向性交換バイアス磁界との関係を示すグラフ、 実施例2及び比較例3における抵抗変化率と一方向性交換バイアス磁界との関係を示すグラフ、 実施例3のTEM写真、 図14の部分模式図、 比較例4のTEM写真、 図16の部分模式図、 比較例5のTEM写真、 図18の部分模式図、
符号の説明
23、35、60 固定磁性層
23a、50、61 第1固定磁性層
23b、51、62 非磁性中間層
23c、52 第2固定磁性層
23c1、53、63 非磁性材料非当接層
23c2、54、65 NOL
23c3、55、66 非磁性材料当接層
34 反強磁性層
37 フリー磁性層
53a 酸化層
54a、64a、65a 間欠部
55 非磁性材料当接層
56 Crの酸化層
63b CoFe−O層
64 Cr層
64b Cr−O層

Claims (5)

  1. 少なくとも下から反強磁性層、磁化方向が固定される固定磁性層、非磁性材料層、磁化が外部磁界に対し変動するフリー磁性層の順に積層された積層体を有する磁気検出素子において、
    前記固定磁性層は、非磁性材料層に接して形成された非磁性材料当接層と、反強磁性層側に形成された非磁性材料非当接層と、前記非磁性材料非当接層と非磁性材料当接層との間に、前記非磁性材料非当接層の表面が酸化されてなり鏡面反射効果を有するNOLとを有し、
    前記非磁性材料当接層はCoで、前記非磁性材料非当接層はCoFe合金で形成され、前記非磁性材料当接層の平均膜厚は、16〜19Åの範囲内で形成され
    前記NOLは、前記非磁性材料非当接層上に部分的に形成されたCrの酸化層と、前記非磁性材料非当接層の表面が部分的に酸化された酸化層とを有してなる間欠構造であり、非磁性材料非当接層と非磁性材料当接層とは前記NOLの間欠部を介して直接接合されていることを特徴とする磁気検出素子。
  2. 前記固定磁性層は、下から第1固定磁性層、非磁性中間層及び第2固定磁性層の順に積層されたシンセティックフェリピンド構造であり、前記第2固定磁性層が下から前記非磁性材料非当接層、NOL及び非磁性材料当接層の順に積層された構造である請求項1記載の磁気検出素子。
  3. 少なくとも下から固定磁性層、非磁性材料層、フリー磁性層の順に積層された積層体を有する磁気検出素子において、
    前記固定磁性層は、下から第1固定磁性層、非磁性中間層及び第2固定磁性層の順に積層されたシンセティックフェリピンド構造であり、前記固定磁性層は、前記固定磁性層自体の一軸異方性によって磁化が固定されており、
    前記第2固定磁性層は、下から非磁性材料非当接層、前記非磁性材料非当接層の表面が酸化されてなり鏡面反射効果を有するNOL、非磁性材料当接層の順に積層された構造であり、
    前記非磁性材料当接層はCoで、前記非磁性材料非当接層はCoFe合金で形成され、前記非磁性材料当接層の平均膜厚は、16〜19Åの範囲内で形成され
    前記NOLは、前記非磁性材料非当接層上に部分的に形成されたCrの酸化層と、前記非磁性材料非当接層の表面が部分的に酸化された酸化層とを有してなる間欠構造であり、非磁性材料非当接層と非磁性材料当接層とは前記NOLの間欠部を介して直接接合されていることを特徴とする磁気検出素子。
  4. 前記NOLは自然酸化によって形成されたものである請求項1ないしのいずれかに記載の磁気検出素子。
  5. 前記NOLの表面は、前記非磁性材料当接層にCoに代えてCoFe合金を用いたときに得られるNOL表面の平坦化度よりも高い平坦化度を有している請求項1ないしのいずれかに記載の磁気検出素子。
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