JP4305973B2 - 燃料改質装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、燃料改質装置に関し、詳しくは、炭化水素と水蒸気とから水素リッチガスを生成する燃料改質装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
炭化水素と水蒸気とから水素リッチガスを生成する燃料改質装置は、燃料電池に燃料ガスを供給するための装置として知られている。燃料電池は、燃料の有する化学エネルギを、機械エネルギや熱エネルギを経由することなく直接電気エネルギに変換する装置であり、高いエネルギ効率が実現可能である。このような燃料電池は、水素を含有する燃料ガスを陰極側に供給され、酸素を含有する酸化ガスを陽極側に供給されて、両極で起きる電気化学反応によって起電力を得る。以下に、燃料電池で起こる電気化学反応を表わす式を示す。(1)式は陰極側における反応、(2)式は陽極側における反応を表わし、燃料電池全体では(3)式に示す反応が進行する。
【0003】
2 → 2H++2e- …(1)
(1/2)O2+2H++2e- → H2O …(2)
2+(1/2)O2 → H2O …(3)
【0004】
種々の燃料電池のうち、固体高分子型燃料電池、リン酸型燃料電池、溶融炭酸塩電解質型燃料電池などでは、その電解質の性質から、二酸化炭素を含んだ酸化ガスや燃料ガスを使用することが可能である。そこで、通常これらの燃料電池では、空気を酸化ガスとして用い、メタノールや天然ガス等の炭化水素を水蒸気改質して生成した水素リッチガスを燃料ガスとして用いている。そのため、このような燃料電池を備える燃料電池システムには、上記した燃料改質装置が設けられており、この燃料改質装置において水蒸気改質反応を行なって燃料ガスを生成している。以下に、燃料改質装置の内部で進行する改質反応について説明する。ここでは、改質反応に供する炭化水素としてメタノールを用いる場合について説明する。以下に、メタノールを水蒸気改質する反応を表わす式を示す。
【0005】
CH3OH+H2O →
CO2+3H2−49.5(kJ/mol) …(4)
【0006】
上記(4)式に示すように、水蒸気改質反応は吸熱反応であるため、改質反応を進行させるためには熱エネルギを供給する必要がある。改質反応に要する熱エネルギを供給する方法としては、燃料改質装置にバーナやヒータ等を設けて外部加熱を行なう方法や、燃料改質装置内部において、水蒸気改質反応に加えて発熱反応である酸化反応を行なわせ、酸化反応で生じる熱を利用して水蒸気改質反応を進行させる方法などが知られている。これらの方法のうちで、燃料改質装置内部で水蒸気改質反応と共に酸化反応を進行させる方法について説明する。
【0007】
CH3OH+(1/2)O2
→ CO2+2H2+189.5(kJ/mol) …(5)
【0008】
上記(5)式は、メタノールの酸化反応の一例(部分酸化反応)を表わす。水蒸気改質反応を行なう燃料改質装置に対して酸素を供給し、(4)式に表わす水蒸気改質反応と共にメタノールの酸化反応を行なわせるならば、酸化反応で生じた熱エネルギを、水蒸気改質反応において利用することができる。ここで、燃料改質装置に供給する酸素量を調節すれば、水蒸気改質反応で要する熱量と酸化反応で生じる熱量とを釣り合わせることができ、理論的には、水蒸気改質反応で要する熱量をすべて酸化反応で生じる熱量によって賄うことも可能となる。このような、水蒸気改質反応で要する熱量を酸化反応で生じる熱量によって賄う方法は、既述した外部加熱を行なう方法に比べて、放熱により失われるエネルギ量を減らすことができ、より高いエネルギ効率を実現することができる。さらに、外部加熱を行なう方法に比べて、燃料改質装置の構成を簡素化することができ、システム全体を小型化することができる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、燃料改質装置に対してメタノールや水蒸気と共に酸素を供給し、酸化反応によって生じた熱エネルギを水蒸気改質反応で利用する上記した方法は、燃料改質装置の内部において、温度の分布状態が不均一となってしまうという問題があった。図38は、メタノールおよび水蒸気と共に酸素を燃料改質装置に供給し、水蒸気改質反応と共に酸化反応を行なうときの、燃料改質装置内部における温度分布の様子を表わす説明図である。燃料改質装置に対して、メタノールおよび水蒸気と共に酸素を導入すると、水蒸気改質反応よりも酸化反応の方が反応速度が速いため、酸化反応で生じる熱量が水蒸気反応で要する熱量を上回り、図38に示すように、燃料改質装置における上流側(メタノール、水蒸気および酸素を含有するガスを導入する側)では、急激に内部温度が上昇して温度分布のピークを形成する。また、酸化反応で酸素が消費された後は水蒸気改質反応だけが進行するようになるため、上記した温度分布のピークの後は、燃料改質装置の内部温度は下流側(水素リッチガスが排出される側)に向かって下降を続ける。
【0010】
燃料改質装置内部で温度分布がピークを形成し、温度が上昇しすぎる場合には、触媒が劣化したり副生成物が生じるなどの問題を生じる。まず、触媒の劣化について説明する。例えば、メタノールの水蒸気改質反応および酸化反応を促進する触媒としてCu−Zn触媒を用いる場合には、300℃を越える高温下でこのCu−Zn触媒を使用すると、触媒の耐久性が低下してシンタリングを起こしてしてしまうおそれがある。ここでシンタリングとは、担体表面に担持された触媒が凝集してしまう現象をいう。Cu−Zn触媒は通常、亜鉛粒子の表面に銅微粒子が散在する形状をしているが、シンタリングを起こすと銅微粒子が凝集して粒子が巨大化する。このような現象が生じると、銅粒子の表面積の低下に伴って触媒の活性面積が減少してしまうため燃料改質装置の性能が低下してしまう。
【0011】
また、触媒温度が上昇しすぎることによるもう一つの問題である副生成物の発生とは、所定の高温下で改質反応が進行する際に、既述した正常な反応以外の反応が起こり、メタンが生じたり、供給した加圧空気中の窒素ガスが反応して窒素酸化物が生じたりすることをいう。これらの副生成物は、燃料改質装置における改質反応温度の範囲では分解されることがなく、そのまま燃料ガスとして燃料電池に供給されてしまう。特にメタン等の生成量が増えることは燃料ガス中の水素分圧の低下につながり好ましくない。
【0012】
一方、燃料改質装置の下流側において内部温度が低下すると、温度の低下と共に水蒸気改質反応の活性が低下するという問題を生じる。水蒸気改質反応の活性が低下してしまうと、改質反応の完了していないガス、すなわち、メタノールが残留して水素濃度が不十分なガスが生成されてしまうおそれがある。あるいは、下流側で内部温度が低下してしまっても改質反応が完了するように、充分に大きな燃料改質装置を備えることが必要になる。
【0013】
本発明の燃料改質装置は、こうした問題を解決し、燃料改質装置の内部温度を所定の温度範囲内で均一化することを目的としてなされ、次の構成を採った。
【0014】
【課題を解決するための手段およびその作用・効果】
本発明の第1の燃料改質装置は、
吸熱を伴う反応であって、炭化水素と水蒸気とから水素を生成する水蒸気改質反応と、発熱を伴う反応であって前記炭化水素を酸化する酸化反応とを進行し、前記水蒸気改質反応を進行する際に、前記酸化反応で生じた熱を利用する燃料改質装置であって、
前記水蒸気改質反応と前記酸化反応とを促進する触媒を備える触媒部と、
前記触媒部に対して、前記炭化水素と水蒸気と酸素とを含有する原燃料ガスを供給する原燃料ガス供給手段と、
前記触媒部で進行する前記水蒸気改質反応および前記酸化反応の結果生じた水素リッチな燃料ガスを、前記触媒部から排出する燃料ガス排出手段と、
前記触媒部において、前記原燃料ガスが供給される側の部分で起こる前記酸化反応で生じた熱が、充分に下流側に運ばれるように、前記原燃料ガスが導入される側の部分における前記原燃料ガスの流速を速くするガス流速調節手段と
を備えることを要旨とする。
【0015】
以上のように構成された本発明の第1の燃料改質装置は、水蒸気改質反応と酸化反応とを促進する触媒を備える触媒部に対して、炭化水素と水蒸気と酸素とを含有する原燃料ガスを供給すると、この触媒部において、吸熱を伴う反応であって、炭化水素と水蒸気とから水素を生成する水蒸気改質反応と、発熱を伴う反応であって前記炭化水素を酸化する酸化反応とを進行する。このとき、前記酸化反応で生じた熱を利用して前記水蒸気改質反応が進行し、水素リッチな燃料ガスが生成されて前記触媒部から排出される。ここで、触媒部においては、前記原燃料ガスが供給される側の部分で起こる前記酸化反応で生じた熱が、充分に下流側に運ばれるように、前記原燃料ガスが導入される側の部分における前記原燃料ガスの流速が調節される。
【0016】
このような燃料改質装置によれば、前記原燃料ガスが導入される側の部分で起こる酸化反応によって生じた熱が、充分に下流側に運ばれるため、前記原燃料ガスが導入される側の部分において温度が上昇しすぎてしまうことがない。したがって、温度が上昇しすぎることによる触媒劣化や副生成物の発生といった不都合が生じることがなく、改質器の耐久性を大きく向上させることができる。さらに、酸化反応で生じた熱が充分に下流側に運ばれることによって、下流側において、水蒸気改質反応の活性を充分に高くすることができ、燃料改質装置を小型化することが可能となる。
【0017】
ここで、原燃料ガスを構成する炭化水素、水蒸気および酸素は、予めすべてを混合してから供給する必要はなく、少なくとも一つの成分あるいは原燃料ガスの一部は別個に供給することとしてもよい。予め混合しておかなくても、原燃料ガスを構成するこれらの成分が、触媒部におけるガスの流れの向きの上流側から供給されれば上記した効果を得ることができる。また、水蒸気改質反応を促進する触媒と酸化反応を促進する触媒とは、同一であっても良く、異なっていてもよい。すなわち、水蒸気改質反応と酸化反応とは、単一の触媒によって両反応が促進されることとしてもよいし、異なる触媒によってそれぞれの反応が促進されることとしてもよい。異なる触媒を用いる場合には、改質器内で両者が充分に混合されていることが望ましい。
【0018】
上記本発明の第1の燃料改質装置において、
前記ガス流速調節手段は、前記触媒部における前記原燃料ガスが供給される側において、前記燃料ガスが排出される側よりも、前記原燃料ガスが流れる流路の断面の総面積を小さくしてなることとしてもよい。このような構成とすることによって、前記原燃料ガスが供給される側のにおける前記原燃料ガスの流速を、前記燃料ガスが排出される側よりも速くすることができ、上記した効果を得ることができる。
【0019】
本発明の第2の燃料改質装置は、
吸熱を伴う反応であって、炭化水素と水蒸気とから水素を生成する水蒸気改質反応と、発熱を伴う反応であって前記炭化水素を酸化する酸化反応とを進行し、前記水蒸気改質反応を進行する際に、前記酸化反応で生じた熱を利用する燃料改質装置であって、
前記水蒸気改質反応と前記酸化反応とを促進する触媒を備える触媒部と、
前記触媒部に対して、前記炭化水素と水蒸気と酸素とを含有する原燃料ガスを供給する原燃料ガス供給手段と、
前記触媒部で進行する前記水蒸気改質反応および前記酸化反応の結果生じた水素リッチな燃料ガスを、前記触媒部から排出する燃料ガス排出手段とを備え、
前記触媒部における前記触媒は、熱伝導性の比較的高い材料で形成される触媒担体に保持される
ことを要旨とする。
【0020】
以上のように構成された本発明の第2の燃料改質装置は、水蒸気改質反応と酸化反応とを促進する触媒を備える触媒部に対して、炭化水素と水蒸気と酸素とを含有する原燃料ガスを供給すると、この触媒部において、吸熱を伴う反応であって、炭化水素と水蒸気とから水素を生成する水蒸気改質反応と、発熱を伴う反応であって前記炭化水素を酸化する酸化反応とを進行し、生成した水素リッチな燃料ガスを排出する。ここで、前記触媒は、熱伝導性の比較的高い材料で形成される触媒担体に担持されるため、前記酸化反応で生じた熱は、触媒担体によって速やかに周辺部に伝えられ、前記水蒸気改質反応に利用される。
【0021】
このような燃料改質装置によれば、酸化反応で生じた熱が速やかに拡散するため、前記原燃料ガスが供給される側であって、前記酸化反応が活発に進行する側において、温度が上昇しすぎてしまうことがない。したがって、温度が上昇しすぎることによる触媒劣化や副生成物の発生といった不都合が生じることがなく、改質器の耐久性を大きく向上させることができる。さらに、酸化反応で生じた熱が拡散されて下流側に伝えられることによって、下流側において、水蒸気改質反応の活性を充分に高くすることができ、燃料改質装置を小型化することが可能となる。
【0022】
本発明の第3の燃料改質装置は、
吸熱を伴う反応であって、炭化水素と水蒸気とから水素を生成する水蒸気改質反応と、発熱を伴う反応であって前記炭化水素を酸化する酸化反応とを進行し、前記水蒸気改質反応を進行する際に、前記酸化反応で生じた熱を利用する燃料改質装置であって、
前記水蒸気改質反応を促進する触媒と前記酸化反応を促進する触媒とを備える触媒部と、
前記触媒部に対して、前記炭化水素と水蒸気とを含有する原燃料ガスを供給する原燃料ガス供給手段と、
前記触媒部に対して、酸素を含有する酸化ガスを供給する酸化ガス供給手段と、
前記触媒部で進行する前記水蒸気改質反応および前記酸化反応の結果生じた水素リッチな燃料ガスを、前記触媒部から排出する燃料ガス排出手段と、
前記触媒部における前記酸化ガスが導入される側において、前記酸化反応の進行を抑制する酸化反応抑制手段と
を備えることを要旨とする。
【0023】
以上のように構成された本発明の第3の燃料改質装置は、水蒸気改質反応と酸化反応とを促進する触媒を備える触媒部に対して、炭化水素と水蒸気とを含有する原燃料ガスと、酸素を含有する酸化ガスとを供給すると、この触媒部において、吸熱を伴う反応であって、炭化水素と水蒸気とから水素を生成する水蒸気改質反応と、発熱を伴う反応であって前記炭化水素を酸化する酸化反応とを進行する。このとき、前記酸化反応で生じた熱を利用して前記水蒸気改質反応が進行し、水素リッチな燃料ガスが生成されて前記触媒部から排出される。ここで、触媒部においては、前記酸化ガスが導入される側において、前記酸化反応の進行が抑制される。
【0024】
このような燃料改質装置によれば、前記酸化ガスが導入される側において、前記酸化反応の進行が抑制されるため、この前記酸化ガスが導入される側において温度が上昇しすぎてしまうことがない。したがって、温度が上昇しすぎることによる触媒劣化や副生成物の発生といった不都合が生じることがなく、改質器の耐久性を大きく向上させることができる。さらに、前記酸化ガスが導入される側で酸化反応の進行が抑制されることによって、酸化反応が進行する領域がより下流側に広がり、これによって下流側の温度を上昇させ、水蒸気改質反応の活性を充分に高くすることができる。したがって、燃料改質装置を小型化することが可能となる。
【0025】
上記本発明の第3の燃料改質装置において、
前記酸化反応抑制手段は、前記触媒部において、前記酸化ガスが導入される側の方が、前記燃料ガスが排出される側よりも、前記酸化反応を促進する触媒の量が小となるように形成してなることとしてもよい。
【0026】
また、本発明の第3の燃料改質装置において、
前記水蒸気改質反応を促進する触媒と前記酸化反応を促進する触媒とは同一の触媒であり、
前記酸化反応抑制手段は、前記酸化ガスが導入される側の方が、前記燃料ガスが排出される側よりも、前記触媒の量が小となるように形成してなることとしてもよい。
【0027】
本発明の第4の燃料改質装置は、
吸熱を伴う反応であって、炭化水素と水蒸気とから水素を生成する水蒸気改質反応と、発熱を伴う反応であって前記炭化水素を酸化する酸化反応とを進行し、前記水蒸気改質反応を進行する際に、前記酸化反応で生じた熱を利用する燃料改質装置であって、
前記水蒸気改質反応を促進する触媒と前記酸化反応を促進する触媒とを備える触媒部と、
前記触媒部に対して、前記炭化水素と水蒸気とを含有する原燃料ガスを供給する原燃料ガス供給手段と、
前記触媒部に対して、酸素を含有する酸化ガスを供給する酸化ガス供給手段と、
前記触媒部で進行する前記水蒸気改質反応および前記酸化反応の結果生じた水素リッチな燃料ガスを、前記触媒部から排出する燃料ガス排出手段と、
前記触媒部内で進行する反応の進行状態を検出する反応状態検出手段とを備え、
前記酸化ガス供給手段は、
前記触媒部に供給する単位時間当たりの酸素量を所望の量に維持しつつ、前記反応状態検出手段が検出した前記反応の進行状態に基づいて、前記触媒部に供給する前記酸化ガス中の酸素濃度を制御する酸素濃度調節手段をさらに備える
ことを要旨とする。
【0028】
以上のように構成された本発明の第4の燃料改質装置は、水蒸気改質反応と酸化反応とを促進する触媒を備える触媒部に対して、炭化水素と水蒸気とを含有する原燃料ガスと、酸素を含有する酸化ガスとを供給すると、この触媒部において、吸熱を伴う反応であって、炭化水素と水蒸気とから水素を生成する水蒸気改質反応と、発熱を伴う反応であって前記炭化水素を酸化する酸化反応とを進行する。このとき、前記酸化反応で生じた熱を利用して前記水蒸気改質反応が進行し、水素リッチな燃料ガスが生成されて前記触媒部から排出される。ここで、前記触媒部内で進行する反応の進行状態を検出し、前記触媒部に供給する単位時間当たりの酸素量を所望の量に維持しつつ、この検出した前記反応の進行状態に基づいて、前記触媒部に供給する前記酸化ガス中の酸素濃度を制御する。
【0029】
このような燃料改質装置によれば、前記酸化ガス中の酸素濃度が制御されるため、酸化ガスが導入される側において進行する酸化反応の反応速度を制御することができ、この前記酸化ガスが導入される側において温度が上昇しすぎてしまうのを防止することができる。したがって、温度が上昇しすぎることによる触媒劣化や副生成物の発生といった不都合が生じることがなく、改質器の耐久性を大きく向上させることができる。さらに、酸化ガス中の酸素濃度を制御して酸化反応の反応速度を制御することによって、酸化反応が進行する領域をより下流側に広げることができ、これによって下流側の温度を上昇させ、水蒸気改質反応の活性を充分に高くすることができる。したがって、燃料改質装置を小型化することが可能となる。
【0030】
上記した本発明の第4の燃料改質装置において、
前記触媒部は、前記触媒を備える複数の反応部からなり、
前記酸化ガス供給手段は、前記複数の反応部のそれぞれに対して前記酸化ガスを供給することとしてもよい。このような構成とすれば、酸化ガスが供給される箇所を複数にすることによって、触媒部内部の温度を均一化する効果をさらに高めることができる。
【0031】
本発明の第5の燃料改質装置は、
吸熱を伴う反応であって、炭化水素と水蒸気とから水素を生成する水蒸気改質反応と、発熱を伴う反応であって前記炭化水素を酸化する酸化反応とを進行し、前記水蒸気改質反応を進行する際に、前記酸化反応で生じた熱を利用する燃料改質装置であって、
前記水蒸気改質反応と前記酸化反応とを促進する触媒を備える触媒部と、
前記触媒部に対して、前記炭化水素と水蒸気と酸素とを含有する原燃料ガスを供給する原燃料ガス供給手段と、
前記触媒部で進行する前記水蒸気改質反応および前記酸化反応の結果生じた水素リッチな燃料ガスを、前記触媒部から排出する燃料ガス排出手段と、
前記触媒部において、前記原燃料ガス供給手段から前記原燃料ガスを導入される部位と、前記燃料ガス排出手段によって前記燃料ガスを排出する部位とを入れ替え、前記触媒部におけるガスの流れを逆転させるガス供給方向変更手段と
を備えることを要旨とする。
【0032】
以上のように構成された本発明の第5の燃料改質装置は、水蒸気改質反応と酸化反応とを促進する触媒を備える触媒部に対して、炭化水素と水蒸気と酸素とを含有する原燃料ガスを供給すると、この触媒部において、吸熱を伴う反応であって、炭化水素と水蒸気とから水素を生成する水蒸気改質反応と、発熱を伴う反応であって前記炭化水素を酸化する酸化反応とを進行する。このとき、前記酸化反応で生じた熱を利用して前記水蒸気改質反応が進行し、水素リッチな燃料ガスが生成されて前記触媒部から排出される。このような反応が進行する際に、前記触媒部において、前記原燃料ガスを導入される部位と、前記燃料ガスを排出する部位との入れ替えが行なわれる。
【0033】
このような燃料改質装置によれば、前記触媒部において、前記原燃料ガスを導入される部位と、前記燃料ガスを排出する部位との入れ替えが行なわれるため、原燃料ガスが導入される特定の領域において、温度が上昇しすぎてしまうことがない。したがって、温度が上昇しすぎることによる触媒劣化や副生成物の発生といった不都合が生じることがなく、改質器の耐久性を大きく向上させることができる。さらに、特定の下流側において温度が低下してしまうことがなく、触媒部全体で水蒸気改質反応の活性を充分に高くすることができる。したがって、燃料改質装置を小型化することが可能となる。
【0034】
上記した本発明の第5の燃料改質装置において、
前記触媒部において、前記原燃料ガス供給手段から前記原燃料ガスを供給される側の所定位置の温度を検出する端部温度検出手段をさらに備え、
前記ガス供給方向変更手段は、前記端部温度検出手段の検出結果に基づいて、前記原燃料ガス供給手段から前記原燃料ガスを導入される部位と、前記燃料ガス排出手段によって前記燃料ガスを排出する部位とを入れ替える
こととしてもよい。このような構成とすることによって、原燃料ガスが供給される側において温度が上昇しすぎてしまうのを、確実に防止することができる。
【0035】
本発明の第6の燃料改質装置は、
吸熱を伴う反応であって、炭化水素と水蒸気とから水素を生成する水蒸気改質反応と、発熱を伴う反応であって前記炭化水素を酸化する酸化反応とを進行し、前記水蒸気改質反応を進行する際に、前記酸化反応で生じた熱を利用する燃料改質装置であって、
前記水蒸気改質反応と前記酸化反応とを促進する触媒を備える粒子を、内部に封入してなる触媒部と、
前記触媒部に対して、前記炭化水素と水蒸気と酸素とを含有する原燃料ガスを供給する原燃料ガス供給手段と、
前記触媒部で進行する前記水蒸気改質反応および前記酸化反応の結果生じた水素リッチな燃料ガスを、前記触媒部から排出する燃料ガス排出手段と、
前記触媒を備える粒子を、前記触媒部内で撹拌する触媒撹拌手段と
を備えることを要旨とする。
【0036】
以上のように構成された本発明の第6の燃料改質装置は、水蒸気改質反応と酸化反応とを促進する触媒を備える粒子を、内部に充填してなる触媒部に対して、炭化水素と水蒸気と酸素とを含有する原燃料ガスを供給する。その際、前記触媒部において、前記触媒を備える粒子を撹拌しながら、吸熱を伴う反応であって、炭化水素と水蒸気とから水素を生成する水蒸気改質反応と、発熱を伴う反応であって前記炭化水素を酸化する酸化反応とを進行する。このとき、前記酸化反応で生じた熱を利用して前記水蒸気改質反応が進行し、水素リッチな燃料ガスが生成されて前記触媒部から排出される。
【0037】
このような燃料改質装置によれば、前記触媒部において、前記触媒を備える粒子を撹拌するため、この粒子が備える触媒は、順次前記酸化反応に関わり、原燃料ガスが導入される特定の領域において温度が上昇しすぎてしまうことがない。したがって、温度が上昇しすぎることによる触媒劣化や副生成物の発生といった不都合が生じることがなく、改質器の耐久性を大きく向上させることができる。さらに、特定の下流側において温度が低下してしまうことがなく、触媒部全体で水蒸気改質反応の活性を充分に高くすることができる。したがって、燃料改質装置を小型化することが可能となる。
【0038】
上記した本発明の第6の燃料改質装置において、
前記触媒撹拌手段は、前記原燃料ガス供給手段に備えられ、前記炭化水素と水蒸気と酸素とのうちの少なくとも一つを含有するガスを、前記触媒部内に噴霧して、前記触媒を備える粒子を前記触媒部内で撹拌することとしてもよい。このような構成とすれば、前記触媒部に対して、前記原燃料を構成するガスを噴霧することによって撹拌の動作を同時に行なうことができる。
【0039】
本発明の第7の燃料改質装置は、
吸熱を伴う反応であって、炭化水素と水蒸気とから水素を生成する水蒸気改質反応と、発熱を伴う反応であって前記炭化水素を酸化する酸化反応とを進行し、前記水蒸気改質反応を進行する際に、前記酸化反応で生じた熱を利用する燃料改質装置であって、
前記水蒸気改質反応と前記酸化反応とを促進する触媒を備える触媒部と、
前記触媒部に対して、前記炭化水素と水蒸気とを含有する原燃料ガスを供給する原燃料ガス供給手段と、
前記触媒部に対して、酸素を含有する酸化ガスを供給する酸化ガス供給手段と、
前記触媒部で進行する前記水蒸気改質反応および前記酸化反応の結果生じた水素リッチな燃料ガスを、前記触媒部から排出する燃料ガス排出手段と、
前記触媒部において、前記酸化ガス供給手段から前記酸化ガスが供給される箇所を、経時的に変化させる供給箇所変更手段と
を備えることを要旨とする。
【0040】
以上のように構成された本発明の第7の燃料改質装置は、水蒸気改質反応と酸化反応とを促進する触媒を備える触媒部に対して、炭化水素と水蒸気とを含有する原燃料ガスと、酸素を含有する酸化ガスとを供給すると、この触媒部において、吸熱を伴う反応であって、炭化水素と水蒸気とから水素を生成する水蒸気改質反応と、発熱を伴う反応であって前記炭化水素を酸化する酸化反応とを進行する。このとき、前記触媒部において、前記酸化ガスが供給される箇所は、経時的に変化させる。このようにして供給された酸化ガスを用いて進行する前記酸化反応で生じた熱を利用して、前記水蒸気改質反応が進行し、水素リッチな燃料ガスが生成されて前記触媒部から排出される。
【0041】
このような燃料改質装置によれば、前記触媒部において、前記酸化ガスが供給される箇所が、経時的に変化させるため、酸化ガスが導入される特定の領域において、温度が上昇しすぎてしまうことがない。したがって、温度が上昇しすぎることによる触媒劣化や副生成物の発生といった不都合が生じることがなく、改質器の耐久性を大きく向上させることができる。
【0042】
本発明の第8の燃料改質装置は、
吸熱を伴う反応であって、炭化水素と水蒸気とから水素を生成する水蒸気改質反応と、発熱を伴う反応であって前記炭化水素を酸化する酸化反応とを進行し、前記水蒸気改質反応を進行する際に、前記酸化反応で生じた熱を利用する燃料改質装置であって、
前記水蒸気改質反応と前記酸化反応とを促進する触媒を備える触媒部と、
前記触媒部に対して、前記炭化水素と水蒸気とを含有する原燃料ガスを供給する原燃料ガス供給手段と、
前記触媒部に対して、酸素を含有する酸化ガスを供給する酸化ガス供給手段と、
前記触媒部で進行する前記水蒸気改質反応および前記酸化反応の結果生じた水素リッチな燃料ガスを、前記触媒部から排出する燃料ガス排出手段と、
前記触媒部において、前記原燃料ガスと共に酸化ガスが供給される供給側と、前記燃料ガスが排出される排出側とを隣接し、前記供給側と前記排出側との間で熱交換を行なわせる均熱化手段と
を備えることを要旨とする。
【0043】
以上のように構成された本発明の第8の燃料改質装置は、水蒸気改質反応と酸化反応とを促進する触媒を備える触媒部に対して、炭化水素と水蒸気とを含有する原燃料ガスと、酸素を含有する酸化ガスとを供給すると、この触媒部において、吸熱を伴う反応であって、炭化水素と水蒸気とから水素を生成する水蒸気改質反応と、発熱を伴う反応であって前記炭化水素を酸化する酸化反応とを進行する。ここで、前記触媒部は、前記原燃料ガスと共に酸化ガスが供給される供給側と、前記燃料ガスが排出される排出側とを隣接して形成されているため、前記供給側と前記排出側との間で熱交換が行なわれ、前記酸化反応で生じた熱を利用して、前記水蒸気改質反応が進行し、水素リッチな燃料ガスが生成されて前記触媒部から排出される。
【0044】
このような燃料改質装置によれば、前記触媒部において、前記原燃料ガスと共に酸化ガスが供給される供給側と、前記燃料ガスが排出される排出側との間で熱交換が行なわれるため、酸化ガスが導入される特定の領域において、温度が上昇しすぎてしまうことがない。したがって、温度が上昇しすぎることによる触媒劣化や副生成物の発生といった不都合が生じることがなく、改質器の耐久性を大きく向上させることができる。さらに、特定の下流側において温度が低下してしまうことがなく、触媒部全体で水蒸気改質反応の活性を充分に高くすることができる。したがって、燃料改質装置を小型化することが可能となる。
【0045】
上記した本発明の第8の燃料改質装置において、
前記触媒部は、
各々内部に前記触媒を備え、各々の前記供給側と前記排出側とが互いに逆の位置にある少なくとも2つ以上の反応部を有し、
前記2つ以上の反応部を、一方の前記反応部の前記供給側と他方の前記供給部の前記排出側とを隣接して設けてなる
こととしてもよい。
【0046】
また、本発明の第8の燃料改質装置において、
前記触媒部は、内部に形成される前記原燃料ガスの流路において折り返し部を有し、前記流路の入り口部と出口部とを隣接して設けてなる
こととしてもよい。
【0047】
本発明の第9の燃料改質装置は、
吸熱を伴う反応であって、炭化水素と水蒸気とから水素を生成する水蒸気改質反応と、発熱を伴う反応であって前記炭化水素を酸化する酸化反応とを進行し、前記水蒸気改質反応を進行する際に、前記酸化反応で生じた熱を利用する燃料改質装置であって、
前記水蒸気改質反応と前記酸化反応とを促進する触媒を備える触媒部と、
前記触媒部に対して、前記炭化水素と水蒸気とを含有する原燃料ガスを供給する原燃料ガス供給手段と、
前記触媒部に対して、酸素を含有する酸化ガスを供給する酸化ガス供給手段と、
前記触媒部で進行する前記水蒸気改質反応および前記酸化反応の結果生じた水素リッチな燃料ガスを、前記触媒部から排出する燃料ガス排出手段と、
前記燃料改質装置を備えるシステムを構成する所定の部材において生じる熱を伝える所定の流体によって、前記酸化ガスが供給される側以外の部分を加熱する加熱手段と
を備えることを要旨とする。
【0048】
以上のように構成された本発明の第9の燃料改質装置は、水蒸気改質反応と酸化反応とを促進する触媒を備える触媒部に対して、炭化水素と水蒸気とを含有する原燃料ガスと、酸素を含有する酸化ガスとを供給すると、この触媒部において、吸熱を伴う反応であって、炭化水素と水蒸気とから水素を生成する水蒸気改質反応と、発熱を伴う反応であって前記炭化水素を酸化する酸化反応とを進行する。ここで、前記触媒部において、前記酸化ガスが供給されて前記酸化反応が行なわれる領域では、前記酸化反応で生じた熱を利用して、前記水蒸気改質反応が進行する。また、前記酸化ガスが供給される側以外の部分では、前記燃料改質装置を備えるシステムを構成する所定の部材において生じる熱が、所定の流体によって伝えられ、この熱を利用して前記水蒸気改質反応が進行する。生成された水素リッチな燃料ガスは、前記触媒部から排出される。
【0049】
このような燃料改質装置によれば、前記酸化ガスが供給される側以外の部分では、前記燃料改質装置を備えるシステムを構成する所定の部材において生じる熱を利用して前記酸化反応が進行するため、前記触媒部に供給する前記原燃料ガスの量に対して、前記触媒部に供給する前記酸化ガスの量を減らすことができ、前記酸化ガスが供給される側において、温度が上昇しすぎてしまうことがない。したがって、温度が上昇しすぎることによる触媒劣化や副生成物の発生といった不都合が生じることがなく、改質器の耐久性を大きく向上させることができる。さらに、前記酸化ガスが供給される側以外の部分では、前記燃料改質装置を備えるシステムを構成する所定の部材において生じる熱が伝えられるため、温度が低下することによって水蒸気改質反応の活性が低下してしまうことがない。したがって、触媒部全体で水蒸気改質反応の活性を充分に高くすることができ、燃料改質装置を小型化することが可能となる。また、前記燃料改質装置を備えるシステムを構成する所定の部材において生じる熱を利用するため、前記酸化ガスが供給される側以外の部分を加熱することによって、システム全体のエネルギ効率が低下してしまうこともない。
【0050】
また、上記した本発明の第9の燃料改質装置において、
前記加熱手段は、前記燃料改質装置を備えるシステムを構成する所定の部材から排出される高温ガスによって、前記酸化ガスが供給される側以外の部分を加熱することとしてもよい。
【0051】
本発明の第10の燃料改質装置は、
吸熱を伴う反応であって、炭化水素と水蒸気とから水素を生成する水蒸気改質反応と、発熱を伴う反応であって前記炭化水素を酸化する酸化反応とを進行し、前記水蒸気改質反応を進行する際に、前記酸化反応で生じた熱を利用する燃料改質装置であって、
前記水蒸気改質反応と前記酸化反応とを促進する触媒を備える触媒部と、
前記触媒部に対して、前記炭化水素と水蒸気とを含有する原燃料ガスを供給する原燃料ガス供給手段と、
前記触媒部に対して、酸素を含有する酸化ガスを供給する酸化ガス供給手段と、
前記触媒部で進行する前記水蒸気改質反応および前記酸化反応の結果生じた水素リッチな燃料ガスを、前記触媒部から排出する燃料ガス排出手段と、
前記炭化水素および水のうち少なくとも一方からなる液体を、前記原燃料ガスおよび前記酸化ガスが供給される側の部分に対して噴霧する端部冷却手段と
を備えることを要旨とする。
【0052】
以上のように構成された本発明の第10の燃料改質装置は、水蒸気改質反応と酸化反応とを促進する触媒を備える触媒部に対して、炭化水素と水蒸気とを含有する原燃料ガスと、酸素を含有する酸化ガスとを供給すると、この触媒部において、吸熱を伴う反応であって、炭化水素と水蒸気とから水素を生成する水蒸気改質反応と、発熱を伴う反応であって前記炭化水素を酸化する酸化反応とを進行する。ここで、前記触媒部において、前記酸化ガスが供給されて前記酸化反応が行なわれる領域では、前記酸化反応で生じた熱を利用して、前記水蒸気改質反応が進行するが、このとき、前記原燃料ガスおよび前記酸化ガスが供給される側の部分に対して、前記炭化水素および水のうち少なくとも一方からなる液体が噴霧され、前記液体が噴霧された部分が冷却される。生成された水素リッチな燃料ガスは、前記触媒部から排出される。
【0053】
このような燃料改質装置によれば、前記原燃料ガスおよび前記酸化ガスが供給される側の部分では、前記炭化水素および水のうち少なくとも一方からなる液体が噴霧されるため、前記酸化反応によって生じた熱の一部が気化熱として消費され、前記酸化ガスが供給される側において温度が上昇しすぎてしまうことがない。したがって、温度が上昇しすぎることによる触媒劣化や副生成物の発生といった不都合が生じることがなく、改質器の耐久性を大きく向上させることができる。
【0054】
本発明の第11の燃料改質装置は、
吸熱を伴う反応であって、炭化水素と水蒸気とから水素を生成する水蒸気改質反応と、発熱を伴う反応であって前記炭化水素を酸化する酸化反応とを進行し、前記水蒸気改質反応を進行する際に、前記酸化反応で生じた熱を利用する燃料改質装置であって、
前記水蒸気改質反応と前記酸化反応とを促進する触媒を備える第1の反応部と、前記水蒸気改質反応を促進する触媒を備える第2の反応部とを備える触媒部と、
前記触媒部に対して、前記炭化水素と水蒸気とを含有する原燃料ガスを供給する原燃料ガス供給手段と、
前記第1の反応部に対して、酸素を含有する酸化ガスを供給する酸化ガス供給手段と、
前記触媒部で進行する前記水蒸気改質反応および前記酸化反応の結果生じた水素リッチな燃料ガスを、前記触媒部から排出する燃料ガス排出手段とを備え、
前記触媒部は、前記第1の反応部と前記第2の反応部とを隣接させ、前記第1の反応部と前記第2の反応部との間で熱交換を行なわせる
ことを要旨とする。
【0055】
以上のように構成された本発明の第11の燃料改質装置は、水蒸気改質反応と酸化反応とを促進する触媒を備える第1の反応部に対して、炭化水素と水蒸気とを含有する原燃料ガスと、酸素を含有する酸化ガスとを供給すると、この第1の反応部において、吸熱を伴う反応であって、炭化水素と水蒸気とから水素を生成する水蒸気改質反応と、発熱を伴う反応であって前記炭化水素を酸化する酸化反応とを進行する。また、前記水蒸気反応を促進する触媒を備える第2の反応部に対して、前記原燃料ガスを供給すると、この第2の反応部において、前記水蒸気改質反応を進行する。ここで、前記第1の反応部では、前記酸化反応で生じた熱を利用して、前記水蒸気改質反応が進行するが、前記第2の反応部も、隣接する前記第1の反応部と熱交換することによって、前記第1の反応部における前記酸化反応で生じた熱を利用して前記水蒸気改質反応が進行する。生成された水素リッチな燃料ガスは、前記触媒部から排出される。
【0056】
このような燃料改質装置によれば、前記第1の反応部において、前記酸化ガスが供給されて前記酸化反応が進行する領域では、前記酸化反応によって生じた熱は、前記第1の反応部で進行する前記水蒸気改質反応に利用される他に、隣接する第2の反応部にも伝えられて、この第2の反応部で進行する前記水蒸気改質反応にも利用される。したがって、酸化反応で生じる熱によって前記触媒部の温度が上昇しすぎて、触媒劣化や副生成物の発生といった不都合が生じてしまうことがなく、改質器の耐久性を大きく向上させることができる。
【0057】
ここで、本発明の第1または第2の燃料改質装置、あるいは、本発明の第5ないし第10の燃料改質装置において、
前記炭化水素はメタノールであり、
前記水蒸気改質反応と前記酸化反応とを促進する触媒は、単一の銅系触媒であることとしてもよい。
【0058】
また、本発明の第3または第4の燃料改質装置において、
前記炭化水素はメタノールであり、
前記水蒸気改質反応を促進する触媒と前記酸化反応を促進する触媒とは同一の銅系触媒であることとしてもよい。
【0059】
また、本発明の第11の燃料改質装置において、
前記炭化水素はメタノールであり、
前記第1の反応部が備える触媒は、単一の銅系触媒であることとしてもよい。
【0060】
このような構成の燃料改質装置では、単一の銅系触媒によって、メタノールの水蒸気改質反応とメタノールの酸化反応とが促進される。銅系触媒によってメタノールの酸化反応を促進する場合には、白金など従来知られる他の酸化触媒を用いて酸化反応を促進する場合とは異なり、進行する酸化反応のほとんどは、一酸化炭素を生じない反応となる。したがって、このような構成とすることによって、より一酸化炭素濃度が低い燃料ガスを生成することができる。
【0061】
本発明の第12の燃料改質装置は、
吸熱を伴う反応であって、炭化水素と水蒸気とから水素を生成する水蒸気改質反応と、発熱を伴う反応であって前記炭化水素を酸化する酸化反応とを進行し、前記水蒸気改質反応を進行する際に、前記酸化反応で生じた熱を利用する燃料改質装置であって、
前記水蒸気改質反応と前記酸化反応とを促進する触媒を備える触媒部と、
前記触媒部に対して、前記炭化水素と水蒸気と酸素とを含有する原燃料ガスを供給する原燃料ガス供給手段と、
前記触媒部で進行する前記水蒸気改質反応および前記酸化反応の結果生じた水素リッチな燃料ガスを、前記触媒部から排出する燃料ガス排出手段とを備え、
前記触媒は、前記酸化反応として、一酸化炭素を生成する反応経路を経由しない反応を促進することを要旨とする。
【0062】
このような燃料改質装置によれば、前記触媒が、一酸化炭素を生成する反応経路を経由しない前記酸化反応を促進することができるため、触媒部内で進行する反応によって生じる一酸化炭素量を抑え、一酸化炭素濃度の低い燃料ガスを生成することができる。
【0063】
本発明の第12の燃料改質装置において、
前記炭化水素はメタノールであり、
前記水蒸気改質反応と前記酸化反応とを促進する触媒は、単一の銅系触媒であることとしてもよい。
【0064】
このような構成の燃料改質装置では、銅系触媒によってメタノールの酸化反応を促進するため、白金など従来知られる他の酸化触媒を用いて酸化反応を促進する場合とは異なり、進行する酸化反応のほとんどは、一酸化炭素を生じない反応となる。したがって、このような構成とすることによって、より一酸化炭素濃度が低い燃料ガスを生成することができる。また、単一の銅系触媒によって、メタノールの水蒸気改質反応とメタノールの酸化反応とが促進されるため、燃料改質装置の構成を簡素化することができる。
【0065】
【発明の実施の形態】
以上説明した本発明の構成・作用を一層明らかにするために、以下本発明の実施の形態を実施例に基づき説明する。図1は、本発明の好適な第1実施例である改質器を備える燃料電池装置20の構成を例示する概略構成図である。燃料電池装置20は、メタノールを貯蔵するメタノールタンク22、水を貯蔵する水タンク24、燃焼ガスを発生するバーナ26、空気の圧縮を行なう圧縮機28、バーナ26と圧縮機28とを併設した蒸発器32、改質反応により燃料ガスを生成する改質器34、燃料ガス中の一酸化炭素(CO)濃度を低減するCO低減部36、電気化学反応により起電力を得る燃料電池40、コンピュータにより構成される制御部50を主な構成要素とする。まず最初に、燃料電池装置20における発電の主体である燃料電池40について説明する。
【0066】
燃料電池40は、固体高分子電解質型の燃料電池であり、構成単位である単セルを複数積層したスタック構造を有している。図2は、燃料電池40を構成する単セル48の構成を例示する断面図である。単セル48は、電解質膜41と、カソード42およびアノード43と、セパレータ44,45とから構成されている。
【0067】
カソード42およびアノード43は、電解質膜41を両側から挟んでサンドイッチ構造を成すガス拡散電極である。セパレータ44,45は、このサンドイッチ構造をさらに両側から挟みつつ、カソード42およびアノード43との間に、燃料ガスおよび酸化ガスの流路を形成する。カソード42とセパレータ44との間には燃料ガス流路44Pが形成されており、アノード43とセパレータ45との間には酸化ガス流路45Pが形成されている。セパレータ44,45は、図2ではそれぞれ片面にのみ流路を形成しているが、実際にはその両面にリブが形成されており、片面はカソード42との間で燃料ガス流路44Pを形成し、他面は隣接する単セルが備えるアノード43との間で酸化ガス流路45Pを形成する。このように、セパレータ44,45は、ガス拡散電極との間でガス流路を形成するとともに、隣接する単セル間で燃料ガスと酸化ガスの流れを分離する役割を果たしている。もとより、単セル48を積層してスタック構造を形成する際、スタック構造の両端に位置する2枚のセパレータは、ガス拡散電極と接する片面にだけリブを形成することとしてもよい。
【0068】
ここで、電解質膜41は、固体高分子材料、例えばフッ素系樹脂により形成されたプロトン伝導性のイオン交換膜であり、湿潤状態で良好な電気伝導性を示す。本実施例では、ナフィオン膜(デュポン社製)を使用した。電解質膜41の表面には、触媒としての白金または白金と他の金属からなる合金が担持されている。
【0069】
カソード42およびアノード43は、共に炭素繊維からなる糸で織成したカーボンクロスにより形成されている。なお、カソード42およびアノード43は、カーボンクロスにより形成するほか、炭素繊維からなるカーボンペーパまたはカーボンフエルトにより形成する構成も好適である。
【0070】
セパレータ44,45は、ガス不透過の導電性部材、例えば、カーボンを圧縮してガス不透過とした緻密質カーボンにより形成されている。セパレータ44,45はその両面に、平行に配置された複数のリブを形成しており、既述したように、カソード42の表面とで燃料ガス流路44Pを形成し、隣接する単セルのアノード43の表面とで酸化ガス流路45Pを形成する。ここで、各セパレータの表面に形成されたリブは、両面ともに平行に形成する必要はなく、面毎に直行するなど所定の角度をなすこととしてもよい。また、リブの形状は平行な溝状である必要はなく、ガス拡散電極に対して燃料ガスまたは酸化ガスを供給可能であればよい。
【0071】
以上、燃料電池40の基本構造である単セル48の構成について説明した。実際に燃料電池40として組み立てるときには、セパレータ44、カソード42、電解質膜41、アノード43、セパレータ45の順序で構成される単セル48を複数組積層し(本実施例では100組)、その両端に緻密質カーボンや銅板などにより形成される集電板を配置することによって、スタック構造を構成する。
【0072】
以下、燃料電池装置20を構成する燃料電池40以外の構成要素およびそれらの接続関係について順次説明する。蒸発器32は、メタノールタンク22および水タンク24からメタノールと水の供給を受け、これらメタノールと水とを気化させる装置である。蒸発器32は、既述したようにバーナ26と圧縮機28とを併設しているが、後述するように圧縮機28を介してバーナ26の燃焼排ガスが導かれ、この燃焼熱が蒸発器32の備える図示しない熱交換器に伝えられて、蒸発器32に供給されたメタノールと水とを沸騰、気化させる。
【0073】
メタノールタンク22から蒸発器32に原燃料であるメタノールを送り込むメタノール流路60には第2ポンプ71が設けられており、蒸発器32に供給するメタノール量を調節可能となっている。この第2ポンプ71は、制御部50に接続されており、制御部50から出力される信号によって駆動され、蒸発器32に供給するメタノール流量を調節する。
【0074】
水タンク24から蒸発器32に水を送り込む水供給路62には第3ポンプ72が設けられており、蒸発器32に供給する水の量を調節可能となっている。この第3ポンプ72は、第2ポンプ71と同じく制御部50に接続されており、制御部50から出力される信号によって駆動され、蒸発器32に供給する水量を調節する。上記メタノール流路60と水供給路62とは合流して第1燃料供給路63を形成し、この第1燃料供給路63は蒸発器32に接続する。メタノール流量と水量とは上記第2ポンプ71と第3ポンプ72とによって調節されるため、所定量ずつ混合されたメタノールと水とは第1燃料供給路63を介して蒸発器32に供給される。
【0075】
蒸発器32に併設された圧縮機28は、燃料電池装置20の外部から空気を取り込んでこれを圧縮し、この圧縮空気を燃料電池40の陽極側に供給するための装置である。圧縮機28は、タービン28aおよびコンプレッサ28bを備え、これらは羽根車型に成形されている。タービン28aおよびコンプレッサ28bは同軸上のシャフト28cで連結されており、タービン28aを回転駆動することにより、コンプレッサ28bを回転駆動することができる。蒸発器32にはさらにバーナ26が併設されているが、このバーナ26からの高温の燃焼ガスによってタービン28aは駆動される。タービン28aの回転と共にコンプレッサ28bも回転し、このコンプレッサ28bは、既述したように空気の圧縮を行なう。コンプレッサ28bへは、空気導入路29を介して外部から空気が取り込み可能となっており、圧縮機28で圧縮された空気は、酸化ガス供給路68を介して燃料電池40に供給され、燃料電池40における電気化学反応に供される。
【0076】
ここで、タービン28aは、バーナ26からの高温の燃焼ガスにより駆動されるので、耐熱性および耐久性を実現するために超耐熱合金やセラミックス等により形成される。本実施例では、ニッケルベースの合金(インコネル700、インコネル社)を使用した。また、コンプレッサ28bは、軽量なアルミニウム合金により形成される。
【0077】
タービン28aを駆動するバーナ26は、燃焼のための燃料を、燃料電池40の陰極側およびメタノールタンク22から供給される。燃料電池40は、メタノールを改質器34で改質して生成した水素リッチガスを燃料として電気化学反応を行なうが、燃料電池40に供給されたすべての水素が電気化学反応において消費されるわけではなく、消費されずに残った水素を含む燃料排ガスは燃料排出路67に排出される。バーナ26は、この燃料排出路67に接続して燃料排ガスの供給を受け、消費されずに残った水素を完全燃焼させて燃料の利用率の向上を図っている。通常はこのような排燃料だけではバーナ26における燃焼反応のための燃料として不足するため、この不足分に相当する燃料、および燃料電池装置20の起動時のように燃料電池40から排燃料の供給を受けられないときの、バーナ26における燃焼反応のための燃料は、メタノールタンク22からバーナ26に対して供給される。バーナ26へメタノールを供給するためにメタノール分岐路61が設けられている。このメタノール分岐路61は、メタノールタンク22から蒸発器32にメタノールを供給するメタノール流路60から分岐している。
【0078】
ここで、バーナ26には第1温度センサ73が設けられており、バーナ26での燃焼熱の温度を測定して、この測定結果を制御部50に入力している。制御部50は、この第1温度センサ73からの入力結果を基に、第1ポンプ70に駆動信号を出力して、バーナ26に供給するメタノール量を調節し、バーナ26での燃焼温度を所定の範囲(約800℃から1000℃)に保っている。このバーナ26における燃焼ガスは、タービン28aを回転駆動したのち蒸発器32に導かれる。タービン28aでの熱交換効率は余り高くないため(約10%以内)、蒸発器32に導かれる燃焼排ガスの温度は約600〜700℃に達し、蒸発器32の熱源として充分となる。ここで、既述した第1燃料供給路63を介して供給されたメタノールと水との混合溶液は、蒸発器32に導かれたバーナ26の高温燃焼排ガスによって気化させる。蒸発器32で気化されたメタノールと水とからなる原燃料ガスは、第2燃料供給路64に導かれて改質器34に伝えられる。
【0079】
改質器34は、供給されたメタノールと水とからなる原燃料ガスを改質して水素リッチな燃料ガスを生成する。この改質器34の構成および改質器34で行なわれる改質反応は本発明の要部に対応するものであり、後に詳述する。なお、改質器34にメタノールと水とからなる原燃料ガスを供給する第2燃料供給路64には、第2温度センサ74が設けられており、改質器34に供給されるメタノールと水とからなる原燃料ガスの温度を測定している。この原燃料ガスの温度に関する測定結果は、制御部50に入力される。制御部50は、既述した第1温度センサ73からの入力結果に基づいて第1ポンプ70に駆動信号を出力する際に、この第2温度センサ74からの信号を基にして、上記第1ポンプ70の駆動量を補正し、バーナ26に供給するメタノール量を調節する。このようにしてバーナ26での燃焼ガスの温度を制御することによって、蒸発器32で気化された上記原燃料ガスの温度を調節する。蒸発器32から供給される原燃料ガスは、通常約250℃に昇温している。
【0080】
また、後述するように改質器34における改質反応では酸素が関与するが、この改質反応に必要な酸素を供給するために、改質器34にはブロワ38が併設されている。ブロワ38は、外部から空気を取り込んでこれを圧縮し、取り込んだ空気を空気供給路39を介して改質器34に供給する。本実施例では、空気供給路39は第2燃料供給路64に接続しており、ブロワ38が取り込んだ空気は、蒸発器32から供給される原燃料ガスと共に改質器34に供給される。ブロワ38は制御部50に接続されており、制御部50によってその駆動状態が制御される。
【0081】
CO低減部36は、第3燃料供給路65を介して改質器34から供給された燃料ガス中の一酸化炭素濃度を低減させる装置である。メタノールの一般的な改質反応はすでに(4)式に示したが、実際に改質反応が行なわれるときにはこれらの式に表わしたように理想的に反応が進行するわけではなく、改質器34で生成された燃料ガスは所定量の一酸化炭素を含んでいる。そこで、CO低減部36を設けることで、燃料電池40に供給する燃料ガス中の一酸化炭素濃度の低減を図っている。
【0082】
本実施例の燃料電池40は固体高分子型の燃料電池であって、電池反応を促進する白金または白金と他の金属とからなる触媒を備えているが(本実施例では白金触媒を電解質膜41の表面に塗布した)、燃料ガス中に一酸化炭素が含まれる場合には、この一酸化炭素が白金触媒に吸着して触媒としての機能を低下させ、(1)式に示したアノードにおける反応を阻害して燃料電池の性能を低下させてしまう。そのため、燃料電池40のような固体高分子型の燃料電池を用いて発電を行なうためには、供給する燃料ガス中の一酸化炭素濃度を所定量以下に低減して電池性能の低下を防ぐことが必須となる。なお、このような固体高分子型燃料電池において、供給される燃料ガス中の一酸化炭素濃度としての許容濃度は、通常は数ppm程度以下である。
【0083】
CO低減部36に供給される燃料ガスは、上記したように所定量の一酸化炭素を含有する水素リッチガスであり、CO低減部36においては、燃料ガス中の水素に優先して一酸化炭素の酸化が行なわれる。CO低減部36には、一酸化炭素の選択酸化触媒である白金触媒、ルテニウム触媒、パラジウム触媒、金触媒、あるいはこれらを第1元素とした合金触媒を担持した担体が充填されている。このCO低減部36で処理された燃料ガス中の一酸化炭素濃度は、CO低減部36の運転温度、供給される燃料ガス中の一酸化炭素濃度、CO低減部36への単位触媒体積当たりの燃料ガスの供給流量等によって定まる。CO低減部36には図示しない一酸化炭素濃度センサが設けられており、この測定結果に基づいてCO低減部36の運転温度や供給する燃料ガス流量を調節し、処理後の燃料ガス中の一酸化炭素濃度が数ppm以下となるように制御している。
【0084】
CO低減部36で上記のように一酸化炭素濃度が下げられた燃料ガスは、第4燃料供給路66によって燃料電池40に導かれ、陰極側における電池反応に供される。燃料電池40で電池反応に用いられた後の燃料排ガスは、既述したように燃料排出路67に排出されてバーナ26に導かれ、この燃料排ガス中に残っている水素が燃焼のための燃料として消費される。一方、燃料電池40の陽極側における電池反応に関わる酸化ガスは、既述したように、圧縮機28から酸化ガス供給路68を介して圧縮空気として供給される。電池反応に用いられた残りの酸化排ガスは、酸化排ガス路69を介して外部に排出される。
【0085】
制御部50は、マイクロコンピュータを中心とした論理回路として構成され、詳しくは、予め設定された制御プログラムに従って所定の演算などを実行するCPU54と、CPU54で各種演算処理を実行するのに必要な制御プログラムや制御データ等が予め格納されたROM56と、同じくCPU54で各種演算処理をするのに必要な各種データが一時的に読み書きされるRAM58と、既述した各種温度センサからの検出信号を入力すると共にCPU54での演算結果に応じて既述した各種ポンプやブロワ38などに駆動信号を出力する入出力ポート52等を備える。
【0086】
次に、本発明の要部に対応する改質器34の構成について説明する。図3は、改質器34の構成の概略を模式的に表わす説明図である。本実施例の改質器34は、第2燃料供給路64に接続する側の端部より原燃料ガスおよび空気の供給を受け、これら原燃料ガスおよび空気は、改質器34の内部を通過しながら水蒸気改質反応および酸化反応(部分酸化反応)に供される。改質器34内において、(4)式に示す水蒸気改質反応および(5)式に示す酸化反応によって生成された水素リッチな燃料ガスは、もう一方の端部より第3燃料供給路65に排出される。この改質器34は、その内部に、第1反応部80および第2反応部81を備えている。これら第1反応部80および第2反応部81は、表面にCu−Zn触媒を担持したメタルハニカムとして構成されており、上流側(第2燃料供給路64との接続部に近い側)に形成された第1反応部80は、下流側(第3燃料供給路65との接続部に近い側)に形成された第2反応部81よりも、後述するセル数が少なくなるように形成されている。
【0087】
図4は、第1反応部80および第2反応部81を形成するメタルハニカムの横断面の一部を表わす模式図である。メタルハニカムは、ステンレス板82,83を積層して形成されている。すなわち、平板状のステンレス板82と、波状に折り曲げたステンレス板83とを交互に配設して、メタルハニカムは形成されている。ステンレス板83は、1mm間隔で波状に折り曲げられているため、このステンレス板83と平板状のステンレス板82とを交互に積層することで、1辺の長さが1mmである略正方形の断面を有するセルからなるハニカムを形成することができる。
【0088】
ここで、第1反応部80と第2反応部81とでは、メタルハニカムを形成するために用いたステンレス板82,83の厚みが異なっており、これによって、第1反応部80と第2反応部81とは、それぞれが備えるセル数が異なって形成される。第1反応部80は、厚さが0.1mmのステンレス板82,83によって形成されたハニカムからなり、第2反応部81は、厚さが0.03mmのステンレス板82,83によって形成されるハニカムからなる。したがって、第1反応部80は、その断面積1cm2 あたり約75個のセルを備え、第2反応部81は、同じく1cm2 あたり約91個のセルを備えることになる。改質器34全体では断面積は一定であるため、上記したように厚みの異なるステンレス板によってハニカムを構成することによって、第1反応部80におけるガス流路の断面の総面積(第1反応部80を構成する各セルの断面積の総和)は、第2反応部81におけるガス流路の断面の総面積(第2反応部81を構成する各セルの断面積の総和)よりも小さくなる。
【0089】
第1反応部80および第2反応部81は、それぞれを構成するハニカム表面に触媒を担持しているため、上流側から原燃料ガスを供給すると、原燃料ガスは、上記ハニカム表面を通過する間に水蒸気改質反応および酸化反応に供されて水素リッチな燃料ガスとなる。本実施例では、ハニカム表面に担持させる触媒は、銅と酸化亜鉛とを用いて共沈法によって製造した。共沈法によって得たCu−Zn触媒は、これを粉砕してさらにアルミナゾル等のバインダを加え、ハニカム上に塗布する等の方法により、ハニカム上に担持させることができる。
【0090】
以上のように構成された改質器34に原燃料ガスを供給すると、原燃料ガスは、まず、セル数の少ない、すなわちガス流路断面の総面積が小さい第1反応部80内を通過し、次に、セル数の多い、すなわちガス流路断面の総面積が大きい第2反応部81内を通過する。このように、所定量の原燃料ガスが、ガス流路断面の総面積が小さいハニカム内を通過した後、ガス流路断面の総面積が大きいハニカム内を通過するため、改質器34内を通過する原燃料ガスの流速は、第1反応部80内を通過するときの方が、第2反応部81内を通過するときよりも速くなる。
【0091】
したがって、第1実施例の改質器34によれば、上流側における原燃料ガスの流速を速くすることによって、上流側における急激な温度上昇を抑え、改質器34内全体の温度分布状態を、改質反応に適した温度範囲である250〜300℃の温度範囲内で均一化するという効果を奏する。図5は、ハニカム断面積が一定である従来知られる改質器と、本実施例の改質器34とについて、ガスの流れ方向に関する内部の温度分布状態を表わした説明図である。既述したように、酸化反応は水蒸気改質反応よりも反応速度が速いため、従来の改質器では、原燃料ガスの入り口部付近で酸化反応が活発に進行し、この入り口部付近の温度が400℃程度に上昇してしまう。これに対し、本実施例の改質器34では、上流側での原燃料ガスの流速が速いため、上流側で進行した酸化反応によって生じた熱が、速いガスの流れによって速やかに下流側に運ばれる。また、上流側での原燃料ガスの流速が速いため、上流側の狭い領域で酸化反応が終了してしまうことがなく、酸化反応が活発に進行する領域がより下流側に広がる。したがって、入り口部付近で温度が急激に上昇してしまうことがない。さらに、上流側に配設された第1反応部80は、厚いステンレス板を用いて形成したハニカムを備えているため、大きな熱容量を有しており、酸化反応で生じた熱は、このハニカムに伝えられてハニカムを昇温させる前に、ガスの流れによって下流側に伝えられ易くなっている。
【0092】
このように、改質器34は、その入り口部付近で温度が急激に上昇してしまうことがないため、温度上昇に起因する既述した触媒劣化や副生成物の発生といった不都合を防止することができる。触媒の劣化が抑えられることによって改質器の耐久性を大きく向上させることが可能となり、従来の改質器が使用時間200時間程度の耐久性であったのに対し、本実施例の改質器34は、5000時間以上の使用が可能になった。
【0093】
また、上記したように、酸化反応が進行する領域が下流側に広がると共に、上流側で進行した酸化反応で生じた熱が速やかに下流側に運ばれることによって、本実施例の改質器34では、その下流側で従来の改質器のように温度が低下しすぎることがない。したがって、改質器の下流側においても、水蒸気改質反応の活性が高い状態に保たれ、下流側が備える触媒も充分に利用することができると共に、水蒸気改質反応の速度を向上させることができる。このように、下流側での水蒸気改質反応の活性が高められることによって、改質器をよりコンパクトにすることが可能となる。
【0094】
上記した第1実施例では、改質器34が備えるハニカムはメタルハニカムとしたが、セラミックハニカムを用いることとしてもよい。メタルハニカムを用いた構成を、第1実施例の変形例として以下に示す。この変形例における改質器も、第1実施例の改質器34と同様に、第1反応部80と第2反応部81とからなる。セラミックハニカムによって形成した第1反応部80および第2反応部81の断面の模式図を図6に示す。図6(A)は、セラミックハニカムで構成する第1反応部80の一例、図6(B)は、同じく第1反応部80の他の例、図6(C)は、セラミックハニカムで構成する第2反応部81を表わす。
【0095】
図6(A)では、ハニカムを構成する各セルの断面積をそれぞれ小さく形成し、図6(B)では、ハニカムを構成するセルの総数を少なくすることによって、図6(C)のハニカムに比べてガスの流路断面の総面積を小さくしている。したがって、図6(A)と図6(B)のいずれの第1反応部80を用いる場合にも、図6(C)に表わした第2反応部81と組み合わせて改質器34を構成することによって、既述した第1実施例と同様の効果を得ることができる。
【0096】
また、上記実施例では、改質器34の内部を第1反応部80と第2反応部81の2つに分割して、前半部と後半部とで内部を通過する原燃料ガスの流速が異なる構成としたが、改質器の内部を3つ以上に分割する構成としてもよい。この場合にも、上流側のガス流速が下流側よりも速くなる構成とすることによって、上記した実施例と同様の効果を得ることができる。
【0097】
既述した実施例では、改質器の上流側に配設されたハニカムにおいて、単位断面積当たりのセルの数を少なくしたり、各セルの断面積を小さく形成することによって、上流側におけるガス流路断面の総面積を下流側に比べて小さくしている。上流側のガス流速が下流側よりも速くなる改質器の構成としては、既述した構成の他に、改質器全体の断面積を、上流側でより小さくなるように形成する構成を挙げることができる。このような改質器34Aの構成を図7に示す。改質器34Aは、総断面積の異なる3つのハニカムから構成されており、上流側ほど総断面積の小さなハニカムによって形成されている。このような構成とすれば、上流側のガス流速が下流側よりも速くなるため、既述した実施例と同様の効果を得ることができる。図5に、改質器34Aにおける内部の温度分布状態を示す。上記改質器34Aのように、改質器全体の総断面積を次第に大きくする構成とするならば、単位断面積当たりのセル数および各単セルの断面積は同じであってもよい。また、改質器を総断面積が異なる複数の部位によって構成する際には、3つ以外の複数の部位からなることとしてもよく、上流側ほど流路断面の総面積が小さくなる構成とするならば、既述した効果を得ることができる。
【0098】
次に、改質器の上流部で進行する酸化反応によって生じた熱を積極的に下流側に伝達する他の構成として、水蒸気改質反応および酸化反応を促進する触媒を、熱伝導性の比較的高い材料で形成される担体で保持する構成を、第2実施例として以下に説明する。図8は、第2実施例の改質器90の構成を模式的に表わす説明図である。第2実施例の改質器90は、図1の燃料電池装置20と同様の構成の燃料電池装置に備えられている。図8に示すように、改質器90は、ハニカムによって構成された単一の反応部92からなる。この反応部92を構成するハニカムの断面の一部を表わす断面模式図を図9(A)に、また、図9(A)に示したハニカムの表面の一部(図9(A)中に領域Bとして円で囲んだ範囲)をさらに拡大した様子を模式的に表わす図を図9(B)に示す。
【0099】
本実施例の改質器90は、第1実施例の改質器34と同様に、メタルハニカムによって構成されている。なお、本実施例では、厚さが0.05mmのステンレス板94を用いてハニカムを形成した。このステンレス板94の表面には、水蒸気改質反応および酸化反応を促進する触媒を含有し、厚さが約0.05mmの触媒層96が形成されている。触媒層96では、Cu−Zn触媒を構成する銅分子と酸化亜鉛分子とが、熱伝導性の高いバインダ中に分散した状態で担持されている。
【0100】
ここで、触媒層96の調製方法について説明する。まず、触媒原料として、周知の共沈法によりCuO・ZnO粉末を作製し、これにバインダとしてアルミナゾル5%と、さらに、酸化アルミニウムに比べて熱伝導性の高い物質を添加する。ここで用いる熱伝導性の高い物質としては、窒化物である窒化アルミニウム(AlN)や窒化チタン(TiN)、あるいは炭化物である炭化シリコン(SiC)や炭化ホウ素(B4C)、 あるいはグラファイトなどを挙げることができ、添加量としては5〜30%が好ましい。例えば、上記した熱伝導性の高い物質の中で、AlNは、0.07cal/cm/s/℃の熱伝導率を示し、SiCは0.1cal/cm/s/℃、グラファイトは0.30.1cal/cm/s/℃の熱伝導率を示し、いずれも、従来用いられてきた酸化アルミニウム(0.02cal/cm/s/℃)に比べて高い熱伝導率を示す。
【0101】
これらを水で希釈してボールミルで粉砕混合し、ステンレス板94上に塗布し、さらに加熱処理および還元処理を行なう。このような処理によって、上記触媒原料は、銅分子と酸化亜鉛分子とからなるCu−Zn触媒となり、これらのCu−Zn触媒は、熱伝導性の高い物質を含有するバインダ中に分散して担持された状態で、触媒層96を形成する。
【0102】
以上のように構成した改質器90を燃料電池装置20に適用し、改質器90に対して原燃料ガスを供給すると、既述したように、酸素が供給される上流側では酸化反応が活発に行なわれて多くの熱が生じる。このように酸化反応によって生じた熱は、上流側で進行する水蒸気改質反応で利用される他に、既述した熱伝導性の高い物質を含有するバインダ中を速やかに伝えられる。このようにバインダ中を伝えられる熱のうちの所定量は、熱伝導性の高いステンレスによって形成されたハニカム基材にさらに伝えられる。ステンレスからなるハニカム基材に伝えられた熱は、このハニカム基材を介して下流側に伝えられる。また、ハニカム基材に伝えられない残りの熱は、そのままバインダ中を下流側に伝えられる。このように改質器90の下流側に伝えられた熱は、下流側で進行する水蒸気改質反応で利用される。
【0103】
したがって、本実施例の改質器90によれば、熱伝導性の高いバインダ中に触媒が担持されているため、上流側で酸化反応のために生じた熱が速やかに下流側に伝えられ、上流側における急激な温度上昇を抑えることができる。図10は、上記熱導電性の高い物質を含まないバインダを用いた従来知られる改質器と、本実施例の改質器90とついて、ガスの流れ方向に関する内部の温度分布状態を表わした説明図である。本実施例の改質器90は、従来の改質器とは異なり、上流側で進行する酸化反応で生じた熱が速やかに下流側に伝えられるため、上流側が急激に昇温されることなく、改質器の内部温度を250〜300℃の温度範囲で均一化することができる。このように、改質器90は、その入り口部付近で温度が急激に上昇してしまうことがないため、温度上昇に起因する既述した触媒劣化や副生成物の発生といった不都合を防止することができる。触媒の劣化が抑えられることによって改質器の耐久性を大きく向上させることが可能となり、従来の改質器が使用時間200時間程度の耐久性であったのに対し、本実施例の改質器90は、5000時間以上の使用が可能になった。
【0104】
また、上記したように、上流側で進行した酸化反応によって生じた熱が速やかに下流側に伝えられるため、本実施例の改質器90では、その下流領域で従来の改質器のように温度が低下しすぎることがない。したがって、改質器の下流側においても、水蒸気改質反応の活性が高い状態に保たれ、下流側が備える触媒も充分に利用することができると共に、水蒸気改質反応の速度を向上させることができる。そのため、改質器をよりコンパクトにすることが可能となる。
【0105】
上記第2実施例では、熱伝導性に優れたステンレス板を基材とするハニカム上に、熱伝導性の高い物質を含有するバインダを用いた触媒層96を形成したため、上流から下流への熱伝導は、触媒層96自身によるものと、ステンレス板94を介するものの両方が行なわれ、高い効率で伝熱を行なうことができ、特に優れた効果を得ることができた。ここで、触媒層96を、セラミックハニカム上に形成したり、触媒を熱伝導性の高いバインダとともにペレット状に成形し、改質器内に充填する構成としても、上流側から下流側への熱伝導性が向上することによる所定の効果を得ることができる。
【0106】
次に、第3実施例として、改質器内の上流側が担持する触媒量を下流側に比べて少なくすることによって、上流側において酸化反応の活性を抑えた構成を以下に示す。図11は、第3実施例の改質器100の構成を模式的に表わす説明図である。この改質器100は、図1の燃料電池装置20と同様の構成の燃料電池装置に備えられている。図11に示すように、改質器100は、第1反応部101と第2反応部102とを備えている。これら第1反応部101および第2反応部102は、同様の形状のハニカムによって構成されており、このハニカム表面に、既述した実施例と同様のCu−Zn触媒が担持されているが、ハニカム上に担持された触媒の量が、第1反応部101よりも第2反応部102の方が多くなっている。すなわち、第1反応部101は、50g/l(ハニカムの単位体積当たりの触媒量)の割合でCu−Zn触媒を担持しているのに対し、第2反応部102は、180g/lの割合でCu−Zn触媒を担持している。
【0107】
以上のように構成した改質器100によれば、上流側の第1反応部101が担持する触媒量が少ないため、原燃料ガスおよび空気の導入側での酸化反応の進行が抑えられる。したがって、改質器の上流側で急激に酸化反応が進行してしまうことがなく、酸化反応が行なわれる領域がより下流側に広がる。したがって、上流側における急激な温度上昇を抑えることができる。
【0108】
図12は、上流側も下流側と同量の触媒を担持するハニカムを備えた従来知られる改質器と、本実施例の改質器100とについて、ガスの流れ方向に関する内部の温度分布状態を表わした説明図である。本実施例の改質器100は、従来の改質器とは異なり、上流側では酸化反応の進行が抑えられるため、上流側が急激に昇温されることなく、改質器の内部温度を250〜300℃の温度範囲で均一化することができる。このように、改質器100は、その入り口部付近で温度が急激に上昇してしまうことがないため、温度上昇に起因する既述した触媒劣化や副生成物の発生といった不都合を防止することができる。触媒の劣化が抑えられることによって改質器の耐久性を大きく向上させることが可能となり、従来の改質器が使用時間200時間程度の耐久性であったのに対し、本実施例の改質器100は、5000時間以上の使用が可能になった。
【0109】
また、上記したように、発熱を伴う酸化反応が進行する領域がより下流側に広がるため、本実施例の改質器100では、その下流領域で従来の改質器のように温度が低下しすぎることがない。したがって、改質器の下流側においても、水蒸気改質反応の活性が高い状態に保たれ、下流側が備える触媒も充分に利用することができると共に、水蒸気改質反応の速度を向上させることができる。そのため、改質器をよりコンパクトにすることが可能となる。
【0110】
なお、上記第3実施例では、改質器100において、担持する触媒量を2段階に変化させることにしたが、3段階以上に変化させることとしてもよく、上流側の触媒担持量を減らすことによって、上記した所定の効果を得ることができる。ここで、上流側ほど触媒の担持量を減らす構成とし、触媒の担持量を変化させる段階の数を調節することによって、改質器内部の温度をより均一化させることが可能となり、既述した効果を高めることができる。
【0111】
また、上記第3実施例では、水蒸気改質反応と酸化反応とは、同一のCu−Zn触媒によって促進することとしたが、水蒸気改質反応と酸化反応とを異なる触媒によって促進することとしてもよい。このような場合には、改質器の上流側と下流側とで触媒の総担持量を変える代わりに、酸化反応を促進する触媒の担持量だけを、上流側で少なくすればよい。
【0112】
次に、第4実施例として、改質器に供給するガス中の酸素濃度を下げることによって、上流側での酸化反応の活性を抑えると共に、供給するガスの流速を速めて上流側における酸化反応で生じた熱を下流側に伝える構成を示す。図13は、第4実施例の改質器110の構成を模式的に表わす説明図である。この改質器110は、図1の燃料電池装置20とほぼ同様の構成の燃料電池装置に備えられており、共通する部材には同じ部材番号を付して以下の説明を行なう。
【0113】
ここで、既述した実施例では、ブロワ38から改質器に空気を供給する空気供給路39は一旦第2燃料供給路64と合流しており、原燃料ガスは、空気を混合された上で改質器に供給されていたが、第4実施例の改質器110を備える燃料電池装置では、上記空気供給路39は、改質器110に直接接続している。また、本実施例の改質器110を備える燃料電池装置では、燃料電池40から酸化排ガス路69に排出される酸化排ガスもまた、ブロワ38から取り込まれる空気と共に、改質器110に供給可能となっている。通常の空気には約20%の酸素が含有されているが、燃料電池から排出される酸化排ガスは、燃料電池における電気化学反応で所定量の酸素が消費されているため、含有する酸素量は空気より少ない。酸化排ガス中の酸素濃度は、燃料電池に供給される酸化ガスにおける空気過剰率(実際に供給した空気中の酸素量と理論上必要とされる酸素量との割合)などによって変わるが、本実施例の燃料電池装置では、酸化排ガス中の酸素濃度は、約10%となる。したがって、改質器110に対して、空気と酸化排ガスとを混合して供給可能とすることによって、改質器110に供給する空気中の酸素濃度を、約10%〜約20%の範囲内で調節することが可能となる。
【0114】
図13に基づいて、改質器110の構成を詳しく説明する。改質器110は、表面にCu−Zn触媒が担持されたハニカムによって構成される単一の反応部111を備える。また、上記空気供給路39および酸化排ガス路69は、合流して第2空気供給路115となり、この第2空気供給路115は、改質器110において、第2燃料供給路64から原燃料ガスが供給される上流側に対して、空気と酸化排ガスとの混合気体(以下、混合空気と呼ぶ)を供給する。空気供給路39には、第2空気供給路115への合流部の付近にマスフロコントローラ112が設けられており、第2空気供給路115側に供給する空気量を調節可能になっている。また、酸化排ガス路69には、同じく第2空気供給路115への合流部の付近にマスフロコントローラ113が設けられており、第2空気供給路115側に供給する酸化排ガス量を調節可能になっている。これらマスフロコントローラ112,113は、既述した制御部50に接続されており、制御部50によって、空気供給路39から供給される空気と、酸化排ガス路69から供給される酸化排ガスとが混合される際の混合量が制御される。さらに、第2空気供給路115には酸素濃度センサ114が設けられている。この酸素濃度センサ114もまた制御部50に接続されており、混合空気中の酸素濃度に関する情報が、制御部50に入力可能となっている。また、反応部111内部において、その上流側の端部から所定の位置には、温度センサ117が設けられている。この温度センサ117も制御部50に接続されており、反応部111内の温度に関する情報が、制御部50に入力可能となっている。
【0115】
本実施例の改質器110は、所定量の酸素を含有する混合空気を改質器110に供給する際に、この混合空気中の酸素濃度を低下させると共に、反応部111内を通過するガス全体の流速を増加させ、改質器110の上流部で温度が急激に上昇してしまうのを抑える。すなわち、改質器110に供給する混合空気中の酸素濃度を低下させることによって、反応部111内を通過するガス中の酸素濃度も低下し、それによって上流側での酸化反応の活性が抑えられ、急激な温度上昇を防ぐことができる。また、所定量の酸素を含有する混合空気中の酸素濃度を低下させることによって、反応部111に供給される混合空気量が増大し、反応部111内を通過するガスの流速が速まる。それによって、上流側で進行する酸化反応で酸素が使い果たされる前に、より下流側に酸素が運ばれ、酸化反応が進行する領域をより下流側に広げることができる。さらに、反応部111内を通過するガスの流速を速めることによって、上流側で進行する酸化反応で生じた熱は速やかに下流側に伝えられ、反応部の上流側が昇温しすぎるのを防ぐことができる。
【0116】
図14は、本実施例の改質器110を備える燃料電池装置で実行される空気混合量制御処理ルーチンを表わすフローチャートである。本ルーチンは、改質器110を備える燃料電池装置において、図示しない所定のスタートスイッチを操作することによってこの燃料電池装置の始動が指示された後に、改質器110内部が充分に昇温して定常状態に達したと判断されると、所定の時間毎に実行される。
【0117】
本ルーチンが実行されると、CPU54は、まず、メタノール流路60に設けられた第2ポンプ71の駆動量を基に、改質器110に供給される原燃料ガス中のメタノール量の読み込みを行なう(ステップS200)。次に、このメタノール量に基づいて、改質器110に供給すべき酸素量を求め、必要量の酸素を供給可能となるように、マスフロコントローラ112,113を駆動する(ステップS210)。すなわち、改質器に供給されるメタノール量が決定されれば、水蒸気改質反応で要する熱量と酸化反応で生じる熱量とを釣り合わせるために必要な酸素量を決定することができるため、この決定した酸素量を含有する空気が改質器110に供給されるように、マスフロコントローラ112,113を駆動する。ここで、供給すべき酸素量が決定されたときに、供給すべき酸素量を供給するために各マスフロコントローラを駆動する駆動量は、基準駆動量として、それぞれの供給酸素量に対して予め決定されて制御部50内に記憶されている。
【0118】
マスフロコントローラ112,113を駆動して、必要量の酸素を含有する混合空気を改質器110に対して供給し始めると、次に、温度センサ117から、反応部111における上流側の内部温度T1 を読み込む(ステップS220)。次に、この内部温度T1 を、所定の基準温度Taと比較する(ステップS230)。ここで、所定の基準温度Ta とは、上流側の内部温度T1 の上限として予め設定して制御部50に記憶させておいた値であり、本実施例では300℃とした。
【0119】
ステップS230において、上流側の内部温度T1 が上記所定の基準温度Taよりも小さい場合には、反応部111の上流側の内部温度T1 は充分に低い温度であると判断されて、そのまま本ルーチンは終了される。上流側の内部温度T1 が上記所定の基準温度Ta以上である場合には、マスフロコントローラ112の駆動量を減らすと共に、マスフロコントローラ113の駆動量を増やす。すなわち、改質器110に供給する混合空気において、単位時間当たりに供給する酸素量を変えることなく、酸化排ガスの割合を増加させる(ステップS240)。このステップS240における酸化排ガスの割合の変化量、すなわち、改質器110に供給する混合空気中の酸素濃度の変化量は、本実施例では、予め最小単位の変化量を定めておき、この最小単位毎に酸素濃度を低下させることとした。あるいは、内部温度T1 が基準温度Taを越える量に応じて調節することとしてもよい。酸化排ガスの割合を増加させることによって、改質器110に供給されるガス全体での酸素濃度が低下するため、上流側で進行する酸化反応が抑えられる。また、単位時間当たりに供給する酸素量を変えることなく酸化排ガスの割合を増加させることで、改質器110に供給される混合空気量が増加し、改質器110内を通過するガスの流速が速まり、上流側で進行する酸化反応で生じた熱がより速やかに下流側に運ばれるようになる。したがって、ステップS240を実行することによって、反応部111の上流側の内部温度T1 を下げることができる。
【0120】
ステップS240において酸化排ガスの割合を変えると、次に、再びステップS220に戻って、内部温度T1 の読み込みおよびこの内部温度T1 と所定の基準温度Taとの比較の動作を繰り返す。ステップS230において内部温度T1 が所定の基準温度Taよりも低くなると、改質器110に供給される混合空気中の酸化排ガスの割合が適当となり、反応部111の上流側の内部温度T1 は充分に低くなったと判断されて、本ルーチンを終了する。
【0121】
なお、本実施例の改質器110を備える燃料電池装置は、既述したように酸素濃度センサ114を第2空気供給路115に備えており、その検出結果に基づいて、改質器110に供給する混合空気中の酸素濃度を補正する。すなわち、上記空気混合量制御処理ルーチンにおけるステップS210あるいはステップS240において、マスフロコントローラを駆動したときには、改質器110に供給する混合空気中の酸素濃度を酸素濃度センサ114によって検出し、その結果に基づいてマスフロコントローラの駆動量を補正している。
【0122】
以上のように構成された第4実施例の改質器110を備える燃料電池装置によれば、改質器110に供給される混合空気中の酸素濃度を制御することができるため、上記混合空気中の酸素濃度を低くすることによって、原燃料ガスおよび混合空気の導入側において酸化反応が進行するのを抑えることができる。したがって、上流側における急激な温度上昇を抑えることができる。さらに、単位時間当たり所定量の酸素を改質器110に供給しながら混合空気中の酸素濃度を下げることによって、混合空気の流量が増大し、反応部111内部を通過するガスの流速が速まる。したがって、上流側で進行する酸化反応で生じた熱は速やかに下流側に伝えられて、上流側で温度が上昇しすぎるのを抑えることができる。
【0123】
また、上記したように上流側において酸化反応が抑えられることによって、酸化反応が進行する領域がより下流側に広がるため、本実施例の改質器110では、その下流領域で従来の改質器のように温度が低下しすぎることがない。さらに、反応部111内部を通過するガスの流速が速まることによって、上流側で生じた熱が下流側に伝えられ易くなるため、下流領域での温度低下がさらに抑えられる。したがって、改質器110では、その下流側においても水蒸気改質反応の活性が高い状態に保たれ、下流側が備える触媒も充分に利用することができると共に、水蒸気改質反応の速度を向上させることができる。そのため、改質器をよりコンパクトにすることが可能となる。
【0124】
上記第4実施例では、メタノール流路60に設けられた第2ポンプ71の駆動量を基に、改質器110に供給される原燃料ガス中のメタノール量を読み込み、また、温度センサ117の検出結果を基に、上流側において酸化反応が過剰に進行していないかどうかを判断している。改質器110に供給されるメタノール量や、改質器110における酸化反応と水蒸気改質反応との進行状態に関するこのような判断は、上記以外の測定量によって、あるいは、上記以外の測定量をさらに利用して行なうこととしてもよい。例えば、改質器110内における水蒸気改質反応と酸化反応との進行状態を判断するために、第3燃料供給路65に、第3燃料供給路65を通過するガス中の成分を分析可能な機器を配設し、改質器110から排出される燃料ガス中のメタノール、水素、二酸化炭素、酸素などの量を測定し、この測定結果をさらに利用して、改質器110内における水蒸気改質反応および酸化反応の進行状態を判断することとしてもよい。
【0125】
上記第4実施例では、混合空気は、改質器110の上流側だけから供給する構成としたが、複数箇所から混合空気を供給する構成も好ましい。このような構成を、第4実施例の変形例として以下に示す。図15は、第4実施例の変形例である改質器110Aの構成を模式的に表わす説明図である。改質器110Aは、2つの反応部111A、111Bを備えており、それぞれの反応部に対して混合酸素が供給される。ここで、改質器110Aに供給される原燃料ガスは、反応部111A、111Bの順で通過する。また、改質器110Aに対して空気および酸化排ガスを供給する空気供給路39および酸化排ガス路69は、それぞれ、空気分岐路39A,39B、酸化排ガス分岐路69A,69Bに分岐する。空気分岐路39Aと酸化排ガス分岐路69Aとは合流して第2空気供給路115Aとなり、上流側に配設された反応部111Aに対して混合空気を供給する。空気分岐路39Bと酸化排ガス分岐路69Bとは合流して第2空気供給路115Bとなり、下流側に配設された反応部111Bに対して混合空気を供給する。それぞれの反応部に供給される混合空気中の酸素量および酸素濃度は、第4実施例と同様に、改質器110Aに供給されるメタノール量や、各反応部の上流側の温度などに基づいて、マスフロコントローラ112A,112B,113A,113Bの駆動量を調節することによって制御される。
【0126】
以上のように構成された改質器110Aによれば、混合空気を分割して供給しているため、一度に供給する混合ガス中の酸素量を減らすことができ、局所的に温度が上昇しすぎてしまうのを防ぐ効果をさらに高めることができる。さらに、改質器内部を複数の反応部に分割し、各反応部ごとに混合空気を供給することによって、改質器内部の温度分布をより精度よく制御することが可能となり、より容易に改質器の内部全体を望ましい温度範囲に保つことができる。
【0127】
図16は、酸化反応で要する酸素源として、改質器に対しては通常の空気だけを供給する従来知られる改質器と、上述した改質器110Aとついて、ガスの流れ方向に関する内部の温度分布状態を表わした説明図である。改質器110Aは、従来の改質器とは異なり、上流側における酸化反応の進行が抑えられるため、上流側が急激に昇温されることなく、改質器の内部温度を250〜300℃の温度範囲で均一化することができる。以上説明したように、本実施例の改質器110および110Aは、その入り口部付近で温度が急激に上昇してしまうことがないため、温度上昇に起因する既述した触媒劣化や副生成物の発生といった不都合を防止することができる。したがって、既述した実施例と同様に、改質器の耐久性を大きく向上させることが可能となる。
【0128】
また、既述した実施例の改質器110および110Aは、ハニカムによって構成された反応部を備えることとしたが、改質器の内部に、触媒を担持したペレットを充填する構成としてもよい。この場合にも、酸化反応に要する酸素源として、改質器に供給する混合空気中の酸素濃度を制御可能とすることによる同様の効果を得ることができる。
【0129】
上記第3および第4実施例では、改質器の上流側で進行する酸化反応の活性を抑えることによって、上流側で急激な温度上昇が起こらないようにしたが、触媒部内部において、酸化反応が活発に進行する領域と、酸化反応の進行が不活発な領域とを変更可能とすることによって、熱が生じる領域を変更し、局所的に温度が上昇しすぎるのを防ぐことも可能である。以下に、このような構成として、原燃料ガスおよび酸素が導入される入り口部と、水素リッチな燃料ガスが排出される出口部とが切り替え可能な改質器を、第5実施例として説明する。
【0130】
図17は、第5実施例の改質器120の構成を模式的に表わす説明図である。この改質器120は、図1の燃料電池装置20と同様の構成の燃料電池装置に備えられている。図17に示すように、改質器120は、表面にCu−Zn触媒を担持するハニカムによって構成された単一の反応部121を備える。この反応部121は、その両端部の内部温度を測定する温度センサ122および温度センサ123を備えている。これらの温度センサは、既述した制御部50に接続されており、反応部121の両端部における内部温度に関する情報は、制御部50に入力される。
【0131】
また、本実施例では、第2燃料供給路64は、第1供給分岐路124と第2供給分岐路125とに分岐しており、それぞれの分岐路は、改質器120のそれぞれの端部に接続する。ここで、改質器120の一端は、上記第1供給分岐路124と接続するほかに、第1排出分岐路126とも接続している。また、改質器120の他端は、上記第2供給分岐路125と接続するほかに、第2排出分岐路127と接続している。これらの第1排出分岐路126と第2排出分岐路127とは、合流して第3燃料供給路65となり、CO低減部36に接続する。さらに、上記第1供給分岐路124,第2供給分岐路125,第1排出分岐路126,第2排出分岐路127には、それぞれ、電磁弁128,129,128A,129Aが設けられている。これらの電磁弁128,129,128A,129Aは、制御部50に接続されており、制御部50によってその開閉状態が制御される。
【0132】
このような改質器120では、通常は、上記電磁弁の開閉状態は、電磁弁128と128Aが開状態、電磁弁129と129Aが閉状態となる第1の状態と、電磁弁129と129Aが開状態、電磁弁128と128Aが閉状態となる第2の状態のいずれかとなる。電磁弁の開閉状態が上記第1の状態となるときには、第2燃料供給路64から供給される原燃料ガスは、反応部121内において、図13中向かって左側から右側に向かって通過する。また、電磁弁の開閉状態が上記第2の状態となるときには、原燃料ガスは、反応部121内において、図13中向かって右側から左側に向かって通過する。
【0133】
図18は、改質器120において上記したようなガスの入り口部の切り替えが行なわれる際に、燃料電池装置20で実行されるガス入り口切り替え処理ルーチンを表わすフローチャートである。本ルーチンは、燃料電池装置20において、図示しない所定のスタートスイッチを操作することによって燃料電池装置20の始動が指示されると、所定の時間毎に実行される。
【0134】
本ルーチンが実行されると、まず、CPU54は、既述した各電磁弁の開閉状態から、電磁弁の開閉状態が第1の状態であるか否かを判断する(ステップS300)。第1の状態であると判断された場合には、ガスが供給される上流側の端部における内部温度T1 を、温度センサ122から読み込む(ステップS310)。次に、この内部温度T1 を、予め設定した所定の基準温度T0 と比較する(ステップS320)。ここで、所定の基準温度T0 とは、反応部121の内部温度が非所望の状態にまで昇温しつつあることを示す基準となる温度として予め制御部50内に記憶させた値であって、本実施例では、300℃に設定した。ステップS320において内部温度T1 が基準温度T0 に達していないときには、ステップS310に戻り、内部温度T1 が基準温度T0 に達するまで、上記した内部温度の読み込みと比較の動作を繰り返す。
【0135】
ステップS320において内部温度T1 が基準温度T0 以上であると判断されると、次に、すべての電磁弁を閉状態にすると共に、制御部50に備えられた図示しない所定のタイマにより経過時間tの測定を開始する(ステップS330)。ステップS330においてすべての弁を閉状態にすることによって、改質器120におけるガスの出入りは停止され、反応部121内では、残留する原燃料ガスを用いた水蒸気改質反応および酸化反応がそのまま続行される。次に、経過時間tを、予め設定した所定の基準時間t0 と比較する(ステップS340)。ここで、所定の基準時間t0 とは、上記したようにすべての弁を閉状態としたときに、改質器120内部に残留する原燃料ガスを用いた水蒸気改質反応および酸化反応が完了するのに要する時間として、予め制御部50内に記憶させた値であって、本実施例では1secに設定した。ステップS340において経過時間tが基準時間t0 に達していないときには、基準時間t0 が経過するまでステップS340の動作を繰り返す。ステップS340において、経過時間tが基準時間t0 に達したときには、所定の電磁弁に駆動信号を出力して電磁弁の開閉状態を第2の状態にして(ステップS350)、本ルーチンを終了する。
【0136】
また、ステップS300において、第1の状態でないと判断されたときには、改質器120は第2の状態であると判断され、ガスが供給される上流側の端部における内部温度T2 を、温度センサ123から読み込む(ステップS360)。その後は、ステップS370〜ステップS390まで、既述したステップS320〜ステップS340までと同様の処理を行なう。すなわち、酸化反応の進行と共に内部温度T2 が所定の基準値T0 (本実施例では300℃)に達すると、所定の時間(本実施例では1sec)すべての弁を閉状態とし、その後電磁弁の開閉状態を第1の状態にして(ステップS400)、本ルーチンを終了する。
【0137】
なお、上記したガス入り口切り替え処理ルーチンは、既述したように、図示しない所定のスタートスイッチを操作することによって燃料電池装置20の始動が指示されると、所定時間毎に実行されることとしたが、燃料電池装置20の始動が指示された最初の状態としては、各電磁弁の開閉状態は、上記した第1の状態または第2の状態となるようにしておけばよい。例えば、前回に燃料電池装置20を停止したときと同じ状態で、次回に燃料電池装置20を始動することとしてもよいし、燃料電池装置20の始動時には各電磁弁の開閉状態が上記第1の状態あるいは第2の状態になるように設定しておいてもよい。
【0138】
以上のように構成された第5実施例の改質器120を備える燃料電池装置によれば、改質器120に供給する混合空気中の供給箇所を上流側と下流側とで切り替え、反応部121内のガスの流れの方向を逆転させることができるため、酸化反応で生じる熱によって、改質器の一方の端部だけが昇温しすぎることがない。したがって、上流側における急激な温度上昇を抑えることができる。ここで、ガスの流れの方向の切り替えは、反応部121の端部の温度に基づいて行なうため、反応部121の端部の温度が上昇しすぎてしまうのをより確実に防ぐことが可能となる。
【0139】
また、上記したようにガスの流れの方向を切り替えることによって、反応部121の両端が上流側となり得るため、従来の改質器のように特定の下流側で温度が低下しすぎることがない。したがって、改質器120では、その両側で水蒸気改質反応の活性が高い状態に保たれ、反応部121全体が備える触媒を充分に利用することができると共に、水蒸気改質反応の速度を向上させることができる。そのため、改質器をよりコンパクトにすることが可能となる。
【0140】
図19は、内部のガスの流れの方向が一定である従来知られる改質器と、上述した改質器120とついて、一端側から他端側への内部の温度分布状態を表わした説明図である。改質器120は、従来の改質器とは異なり、特定の端部側において酸化反応が進行しすぎるのが抑えられ、また、両端部側が上流側となり得るため、改質器の内部温度を250〜300℃の温度範囲で均一化することができる。以上説明したように、本実施例の改質器120は、その入り口部付近で温度が急激に上昇してしまうことがないため、温度上昇に起因する既述した触媒劣化や副生成物の発生といった不都合を防止することができる。したがって、既述した実施例と同様に、改質器の耐久性を大きく向上させることが可能となる。
【0141】
なお、本実施例の改質器120は、ハニカムによって構成された反応部を備えることとしたが、改質器の内部に、触媒を担持したペレットを充填する構成としてもよい。この場合にも、改質部内を通過するガスの流れの方向を切り替えることによる同様の効果を得ることができる。
【0142】
また、本実施例の改質器120は、反応部121の端部の温度に基づいて、ガスの流れの方向を切り替えることとしたが、切り替えのタイミングは、他の要因に基づくこととしても良い。反応部121の端部温度に基づく場合には、改質器120に供給される原燃料ガスの量が変動して、改質器120内部で進行する水蒸気改質反応と酸化反応との量が変動する場合にも、内部温度を所定の範囲内に保つ上で高い効果が得られるという利点があるが、例えば、改質器に供給される原燃料ガス量の変動が小さい場合には、所定の時間毎にガスの流れの方向を切り替えることとしてもよい。
【0143】
次に、第6実施例として、改質器内部に封入した触媒粒子を撹拌することによって、改質器内の特定の上流側だけが昇温しすぎてしまうのを防ぐ構成を示す。図20は、第6実施例の改質器130およびこの改質器130と接続される部材の構成を模式的に表わす説明図である。本実施例の改質器130は、図1の燃料電池装置20と同様の構成の燃料電池装置に備えられているため、以下の説明では、共通する部材については同じ部材番号を付して詳しい説明を省略する。
【0144】
改質器130は、既述したCu−Zn触媒からなる粒子を内部に封入されている。この触媒は、周知の共沈法により作製したCu−Zn触媒を、約500μmの粒径となるように造粒したものである。あるいは、Cu−Zn触媒を、所定の溶媒に分散させた上でスプレードライヤ装置に供給し、噴霧することによって上記した粒径の微粒子を作製することとしてもよい。また、触媒粒子の粒径は、上述するようにこの触媒粒子を封入する改質器内にガスを噴射する際に、このガスによって充分に撹拌されうる大きさであればよく、例えば、100μm〜数mmの粒径とすることが好ましい。また、触媒粒子の形状はいかなるものであってもよいが、後述する撹拌の効率を考えると、球状に近い方が好ましい。
【0145】
改質器130は、既述した実施例と同様に、メタノールおよび水蒸気からなる原燃料ガスが蒸発器32から供給されると共に、ブロワ38から空気が供給されるが、本実施例では、これらの原燃料ガスおよび空気は、調圧弁132および噴射ノズル134を介して改質器130内に供給される。蒸発器32では、メタノールおよび水が気化・昇温されるため、蒸発器32からは所定の温度と圧力を有する状態で原燃料ガスが排出される。この原燃料ガスは、空気供給路39から供給される空気と混合された後、調圧弁132および噴射ノズル134を介して改質器130内に噴射される。改質器130内には、上記したように触媒粒子が封入されているため、空気を含有する原燃料ガスを噴射することによって触媒粒子は、図20中矢印で示すように改質器130内で流動し、撹拌される。ここで、本実施例の改質器130では、空気を含有する原燃料の噴射は7カ所から行なうこととしたが、改質器内で触媒粒子を充分に撹拌可能であれば噴射箇所の数は異なる構成としてもよい。また、改質器130内部の容積は、所定量の触媒粒子が、所定の流量、所定の圧力で供給されるガス(酸素を含む原燃料ガス)によって、充分に撹拌され得る大きさであればよい。
【0146】
改質器130において、噴射ノズルが接続する端部と反対側の端部には、発泡ニッケルによって形成されたフィルタ136が設けられている。このフィルタ136は、充分に目の細かいメッシュ状に形成されているため、改質器130内に封入された触媒粒子が外部に漏れるのは妨げるが、改質器130内で生成された燃料ガスがCO低減部36側に供給されるのは妨げない。フィルタ136を通過した燃料ガスは、CO低減部36に供給されて一酸化炭素濃度が低減された後、燃料電池40に供給される。
【0147】
以上のように構成された改質器130を備える燃料電池装置によれば、改質器130内に封入された触媒粒子は、空気を含有する原燃料ガスによって常に撹拌されるため、高濃度の酸素を含む原燃料ガスが供給される位置に存在する触媒粒子が常に入れ替わり、酸化反応で生じる熱によって触媒の特定の領域だけが昇温しすぎてしまうことがない。ここで、触媒粒子を撹拌するために改質器内に噴射するガスは、改質器内で進行する水蒸気改質反応および酸化反応に供するためのガス(空気を含有する原燃料ガス)であるため、改質器130に原燃料を供給する動作と、触媒粒子を撹拌する動作とを同時に行なうことができる。また、改質器内にガスを噴射することによって、改質器内の反応や燃料電池における電気化学反応が影響を受けることがない。
【0148】
また、改質器130内における触媒粒子の撹拌によって、酸化反応で生じた熱も改質器130内に分散されるため、従来の改質器のように特定の下流側で温度が低下しすぎることがない。したがって、改質器130では、触媒粒子全体において水蒸気改質反応の活性が高い状態に保たれ、水蒸気改質反応の速度を向上させることができる。
【0149】
図21は、内部のガスの流れの方向が一定である従来知られる改質器と、上述した改質器130とについて、一端側から他端側への内部の温度分布状態を表わした説明図である。ここで、改質器130に供給するガスは、温度250℃、流量670l/minの原燃料ガスと、流量140l/minの空気とを混合し、5気圧にて噴射ノズル134から改質器130内に噴射した。改質器130は、従来の改質器とは異なり、特定の端部側において酸化反応が進行しすぎることがなく、また、内部の触媒粒子が均等な状態で反応に関わるため、改質器の内部温度を250〜300℃の温度範囲で均一化することができる。以上説明したように、本実施例の改質器130は、その入り口部付近で温度が急激に上昇してしまうことがないため、温度上昇に起因する既述した触媒劣化や副生成物の発生といった不都合を防止することができる。したがって、既述した実施例と同様に、改質器の耐久性を大きく向上させることが可能となる。
【0150】
なお、上記第6実施例では、撹拌のために改質器130内に噴射するガスとして、空気を含有する原燃料ガスを用いたが、メタノールガス、水蒸気、空気のうち少なくともいずれか一つからなるガスを用いることとしてもよい。この場合には、触媒の撹拌のために改質器内に噴射するのに用いなかった残りの成分は、改質器の所定の位置(上記噴射位置に近い上流側であることが望ましい)から、改質器内に対して、触媒粒子が封入された状態を維持しつつ供給することとすればよい。
【0151】
また、上記第6実施例では、改質器130内に高圧のガスを噴射することによって、改質器130内に封入した触媒粒子を撹拌しているが、ガスの噴射以外の手段によって触媒粒子を撹拌することとしてもよい。例えば、改質器内に、内部の触媒粒子を撹拌可能な機械的な手段を設けることとしてもよい。
【0152】
次に、第7実施例として、触媒部において、酸化反応に供する空気が供給される箇所を経時的に変化させる構成を示す。図22は、第7実施例の改質器140の構成を模式的に示す説明図である。この改質器140は、図1の燃料電池装置20と同様の構成の燃料電池装置に備えられている。図22に示すように、改質器140は、表面にCu−Zn触媒を担持するハニカムによって構成された単一の反応部141を備え、略円筒形状に形成されている。また、改質器140は、図示しない所定のモータによって回転可能となっている。ここで、改質器140は、既述した実施例と同様に、第2燃料供給路64から原燃料ガスが供給されると共に、生成した燃料ガスを第3燃料供給路65へ排出するが、これら第2燃料供給路64および第3燃料供給路65は、改質器140の略円形をした断面の略中心部に接続している。上記したモータを駆動することによって、改質器140は、上記断面の中心部を中心として、毎秒1回転の速度で回転する。
【0153】
また、改質器140には、第2燃料供給路64から原燃料ガスが供給されると共に、空気供給路39から空気が供給されるが、本実施例では、この空気供給路39における改質器140との接続側の端部は、第2燃料供給路64内に形成されている。第2燃料供給路64内に形成された空気供給路39の端部は、改質器140において反応部141の上流側に設けられた空間内で湾曲し、その後吹き出し口142として開口している。この吹き出し口142は、反応部141の上流側の端部に対面して開口しており、その開口する位置は、本実施例では、反応部141の端部断面の中心点と、同じく端部断面の円周部との中間付近とした。空気供給路39から供給される空気を、この吹き出し口142から吹き出すことによって、反応部141を構成するハニカムの各セルのうち、吹き出し口142の全面にあるセルを中心として、約半数のセルに対して空気を供給することができる。
【0154】
したがって、本実施例の改質器140を用いると、吹き出し口142から空気の供給を受けるセルにおいては、水蒸気改質反応と酸化反応との両方が進行し、空気の供給を受けないセルにおいては、水蒸気改質反応だけが進行する。このとき、改質器140は、既述したように回転し、吹き出し口142の位置は改質器140の回転の状態に関わらず変化しないため、空気の供給を受けるセルは経時的に変化する。
【0155】
以上のように構成された第7実施例の改質器140によれば、空気の供給を受けて酸化反応を進行するセルが経時的に変化するため、特定のセルの上流部において温度が上昇しすぎてしまうことがない。空気の供給を受けて酸化反応が進行し、上流側が昇温しかかったセルでは、直ちに空気の供給を受けない状態となって酸化反応が停止し、生じた熱は水蒸気改質反応で消費されるため、それ以上温度が上昇することがない。また、空気の供給を受けずに水蒸気反応によって熱が消費されたセルでは、直ちに空気が供給されて酸化反応によって熱が生じるため、温度が低下しすぎてしまうことがない。
【0156】
なお、改質器140において、供給されるメタノール量と空気量との比は、既述した実施例と同様に、改質器内で進行する水蒸気改質反応で要する熱量と、酸化反応で生じる熱量とから定まるため一定である。ここで、本実施例の改質器140では、空気の供給を受けるセルは、常に、ハニカムを構成するセル全体の約半分である。したがって、各セルが空気の供給を受ける際には、メタノール量に対して通常よりも過剰な量の酸素を供給されることになり、供給されたメタノールを水蒸気改質するのに要する熱以上の熱を生じる酸化反応が起こる。しかしながら、上述したように、これらのセルは直ちに空気の供給が停止されるため、空気が供給された上流側で温度が上昇しすぎることがない。また、酸素が過剰な状態で空気と原燃料ガスが供給されるため、通常の濃度の酸素を供給する場合より、酸化反応が起きる領域がより下流側にまで広がる。したがって、従来の改質器のように下流側で温度が低下しすぎることがない。このように、改質器140では、反応部全体を所定の温度範囲に保ち、水蒸気改質反応の活性を高い状態に保つと共に、水蒸気改質反応の速度を向上させることができる。
【0157】
図23は、ハニカムを構成するセル全体に、常に所定の割合の酸素を供給する従来知られる改質器と、上述した改質器140とついて、上流側から下流側への内部の温度分布状態を表わした説明図である。この温度分布状態の測定は、改質器140に供給するガスにおいて、LHSV(一時間に処理するメタノール体積/触媒体積)=3、酸素/メタノールの比が11%となる空気、水/メタノールの比が2となる水を含む条件において行なった。改質器140は、従来の改質器とは異なり、上流側で温度が上昇しすぎてしまうことがなく、改質器の内部温度を250〜300℃の温度範囲で均一化することができる。したがって、本実施例の改質器140は、温度上昇に起因する既述した触媒劣化や副生成物の発生といった不都合を防止することができ、既述した実施例と同様に、改質器の耐久性を大きく向上させることが可能となる。なお、上記した条件において改質器140を用いて燃料ガスを生成すると、H2 =50%、CO2 =23%、H2O =17.5%、N2 =9%、CO=0.5%となる燃料ガスが得られ、良好に作動することが確かめられた。
【0158】
以上説明した第7実施例の改質器140は、空気が供給される吹き出し口142が固定され、改質器140が回転する構成としたが、吹き出し口が回転し、改質器が固定された構成とすることもできる。このような構成の改質器を、第7実施例の変形例として以下に示す。図24は、第7実施例の変形例である改質器140Aの構成を模式的に表わす説明図である。改質器140Aは、改質器140とほぼ同様の構成を備えており、対応する部材には同一の番号に符号Aを付して説明する。この改質器140Aにおいては、改質器140Aは回転することがない。また、空気供給路39における吹き出し口142Aに至る端部側において設けられた既述した湾曲部には、所定の回転機構144が設けられている。この回転機構144によって、吹き出し口142Aを備えた空気供給路39の端部は回転し、反応部141Aの上流側端部面において、吹き出し口142Aから空気が供給される領域が経時的に変化する。
【0159】
このように構成された改質器140Aを用いる場合にも、第7実施例の改質器140と同様の効果を奏することができる。なお、空気供給路39の端部付近に設けられた回転機構144は、吹き出し口142Aを備える端部部材143と、空気供給路39の基部とを回転自在に支持する構成とし、上記端部部材143は、吹き出し口142Aから空気が吹き出される反力によって回転することとしてもよいし、外部から供給される所定の動力を用いて回転力を発生することとしてもよい。
【0160】
なお、上記実施例では、空気の吹き出し口と改質器とのうちのいずれかを回転させることとしたが、改質器の上流部に複数の空気供給口を設け、実際に空気が供給される空気供給口を経時的に切り替える構成としてもよく、反応部において空気が供給される部位を経時的に変化させることができればよい。また、上記改質器140および改質器140Aは、ハニカムによって構成された反応部を有することとしたが、それぞれの反応部は、触媒を担持するペレットを充填することによって構成してもよい。この場合にも、反応部において空気が供給される部位を経時的に変化させることによって、実施例と同様の効果を得ることができる。
【0161】
さらに、既述した第6実施例および第7実施例の改質器は、上記した効果の他に、始動時において内部でより多くの酸化反応を進行させ、改質器をより速く定常状態にまで昇温させることができるという効果をも奏する。始動時には改質器の温度が室温付近にまで低下しているため、速やかに昇温させて定常状態にする必要がある。ここで、メタノールおよび酸素を大量に供給して積極的に酸化反応を起こさせ、改質器を内部から加熱する方法が考えられるが、従来の改質器では、多量の空気を供給して酸化反応を起こさせると、改質器全体の温度が低い場合であっても、上流の特定領域だけが昇温しすぎてしまうおそれがあった。上記第6および第7実施例の改質器によれば、酸化反応が活発に進行する領域(酸素が高い濃度で供給される触媒部位)が経時的に変化するため、多量の酸素を供給して積極的に酸化反応を行なわせても、特定部位だけが昇温しすぎることがなく、速やかに改質器を昇温させることが可能となる。
【0162】
次に、第8実施例として、改質器内に複数の反応部を設け、これらの反応部の一部について残りの反応部とはガスの流れを逆向きにすることによって、隣接する反応部の間で、原燃料ガスおよび空気が供給される上流側と、燃料ガスが排出される下流側とで熱交換させる構成を示す。図25は、第8実施例の改質器150の構成を表わす断面模式図である。改質器150は、図1の燃料電池装置20と同様の燃料電池装置に備えられている。この改質器150は、略円柱状に形成されており、その内壁に沿って環状に反応部152を備え、反応部152の内側に反応部151を備えており、2重管状の構造を有している。反応部151は、その一端側(図25中向かって左側)から原燃料ガスおよび空気の供給を受け、他端側(図25中向かって右側)において燃料ガスを排出する。反応部152も一方の端部側から原燃料ガスおよび空気の供給を受け、他方の端部において燃料ガスを排出するが、それぞれの位置は反応部151とは逆である。したがって、反応部151と反応部152では、内部のガスの流れの方向が逆向きになる。ここで、それぞれの反応部151および反応部152は、表面にCu−Zn触媒を担持するハニカムによって構成してもよいし、Cu−Zn触媒からなるペレットを充填して形成してもよい。
【0163】
以上のように構成された第8実施例の改質器150によれば、内側に設けた反応部151の上流側と外側に設けた反応部152の下流側、および、反応部151の下流側と反応部152の上流側とが隣接した状態となるため、それぞれ、上流側と下流側との間で熱交換を行なうことが可能となる。したがって、一方の反応部の上流側において酸化反応のために生じた熱は、隣接する他方の反応部の下流側に伝えられ(図25中の点線矢印参照)、原燃料ガスと共に空気を供給される上流側で温度が上昇しすぎてしまうことがない。
【0164】
また、改質器150を構成する各反応部の下流側では、上述したように、隣接する反応部の上流側から熱が供給されるため、従来の改質器のように下流側で温度が低下しすぎることがない。したがって、改質器150では、各反応部全体において水蒸気改質反応の活性が高い状態に保たれ、水蒸気改質反応の速度を向上させることができる。
【0165】
図26は、改質器が備える反応部において内部のガスの流れの方向が一定である従来知られる改質器と、上述した改質器150とについて、一端側から他端側への内部の温度分布状態を、各反応部ごとに表わした説明図である。改質器150は、従来の改質器とは異なり、特定の上流側において酸化反応で生じた熱によって昇温しすぎることがなく、また、特定の下流側において内部の温度が低下しすぎることがないため、改質器の内部温度を250〜300℃の温度範囲で均一化することができる。以上説明したように、本実施例の改質器150は、その入り口部付近で温度が急激に上昇してしまうことがないため、温度上昇に起因する既述した触媒劣化や副生成物の発生といった不都合を防止することができる。したがって、既述した実施例と同様に、改質器の耐久性を大きく向上させることが可能となる。
【0166】
以上説明した第8実施例の改質器150は、内側に形成された反応部151と外側に形成された反応部152とを備える2重管タイプとし、それぞれの反応部においてガスの流れの方向が逆になる構成としたが、改質器を複数の反応部によって構成し、それらのうち、一部の反応部において、残りの反応部とはガスの流れの方向が逆になる構成とすれば、発熱量が多い上流側と熱の消費量が多い下流側との間で熱交換を行なうことができ、上記第8実施例と同様の所定の効果を得ることができる。例えば、改質器を2重管タイプとする代わりに、複数個の薄型の反応部を積層した積層タイプとし、これら積層した各反応部について交互にガスの流れの方向が逆向きになる構成としてもよい。このような場合にも、隣接する反応部間において、上流側と下流側とで熱交換を行ない、内部温度を均熱化することができる。
【0167】
次に、第9実施例として、所定の反応部が形成する流路において途中で折り返し部を形成し、この所定の反応部において上流側と下流側とを隣接させて熱交換を行なわせる構成を示す。図27は、第9実施例の改質器160の構成を表わす断面模式図である。改質器160は、図1の燃料電池装置20と同様の燃料電池装置に備えられている。この改質器160は、第8実施例の改質器150と同様に略円柱状に形成されており、その内部は内側部161と外側部162とに分かれた2重管構造となっている、これら内側部161および外側部162は連続した構造として形成されており、両者は単一の反応部163を構成している。
【0168】
第2燃料供給路64は内側部161の一端に接続されており、第2燃料供給路64から供給される原燃料ガスおよび空気は、内側部161において一端側から他端側に向かって移動する。内側部161の他端では、内側部161は外側部162と接続しており、内側部161内を通過するガスは、上記他端において外側部162に導入される(図27中の実線矢印参照)。外側部162内に導入されたガスは、そのまま外側部162内を通過して、内側部161における上記一端側に対応する端部において第3燃料供給路65に接続し、反応部163内をガスが通過する際に生成した燃料ガスを、この第3燃料供給路65に排出する。なお、反応部163を構成する内側部161および外側部162は、Cu−Zn触媒を担持するハニカムによって構成してもよいし、Cu−Zn触媒からなるペレットを充填して形成してもよい。
【0169】
以上のように構成された第9実施例の改質器160によれば、内側に設けた内側部161と外側に設けた外側部162とが隣接した状態となるため、これら内側部161と外側部162との間で熱交換を行なうことが可能となる。内側部161は、反応部163では上流側に相当し、酸化反応が活発に行なわれて多くの熱が生じる。また、外側部162は、反応部163では下流側に相当し、主として水蒸気改質反応だけが行なわれて熱を要する。改質器160では、多くの熱を生じる内側部161から、熱を要する外側部162に対して熱が伝えられるため、(図27中の点線矢印参照)上流側に相当する内側部161において温度が上昇しすぎてしまうことがない。
【0170】
また、改質器160において、下流側に相当する外側部162では、上述したように、隣接する内側部161から熱が供給されるため、従来の改質器のように下流側で温度が低下しすぎることがない。したがって、改質器160では、各反応部全体において水蒸気改質反応の活性が高い状態に保たれ、水蒸気改質反応の速度を向上させることができる。
【0171】
図28は、改質器が備える反応部において内部のガスの流れの方向が一定である従来知られる改質器と、上述した改質器160とについて、第2燃料供給路64との接続側から他端側への内部の温度分布状態を表わした説明図である。改質器160は、従来の改質器とは異なり、上流側において酸化反応で生じた熱によって昇温しすぎることがなく、また、下流側において内部の温度が低下しすぎることがないため、改質器の内部温度を250〜300℃の温度範囲で均一化することができる。以上説明したように、本実施例の改質器160は、その入り口部付近で温度が急激に上昇してしまうことがないため、温度上昇に起因する既述した触媒劣化や副生成物の発生といった不都合を防止することができる。したがって、既述した実施例と同様に、改質器の耐久性を大きく向上させることが可能となる。
【0172】
以上説明した第9実施例の改質器160は、内側に形成された内側部161と外側に形成された外側部162とを備える2重管タイプとし、内側部161と外側部162とでガスの流れの方向が逆になる構成としたが、改質器を上記2重管以外の構成としてもよい。原燃料ガスおよび空気が通過する流路において途中で折り返し部を設け、上流側と下流側とを隣接させて両者の間で熱交換が可能な構成とすれば、上記第9実施例と同様の所定の効果を得ることができる。例えば、改質器を2重管タイプとする代わりに、所定の流路を2つに折り畳んだ形状とし、上流側と下流側とでガスの流れの方向が逆向きになる構成としてもよい。このような構成の改質器160Aを図29に示す。このような場合にも、隣接する上流側から下流側へ熱が伝えられ(図29中の矢印参照)、内部温度を均熱化することができる。
【0173】
次に、第10実施例として、蒸発器32から排出される高温の燃焼排ガスを用いて、改質器の下流側を加熱する構成を示す。図30は、第10実施例の改質器170の構成を表わす断面模式図である。改質器170は、図1の燃料電池装置20と同様の燃料電池装置に備えられている。この改質器170は、表面にCu−Zn触媒を担持するハニカムによって構成された2つの反応部171,172を備えている。このように改質器170内部を2つの反応部に分割することによって、上流側の反応部171においてハニカムの各セルによって分離されたガスを、途中で混合し直すことができ、反応部170内を通過するガスの状態をより均一にすることができる。改質器170は、空気供給路39から空気を供給される第2燃料供給路64と接続し、空気を含有する原燃料ガスの供給を受ける。空気を含有し第2燃料供給路64から供給された原燃料ガスは、反応部171,172の順で通過し、水素リッチな燃料ガスとなって第3燃料供給路65に排出される。
【0174】
また、反応部171,172には、温度センサ173,174がそれぞれ設けられている。これら温度センサ173,174は制御部50に接続されており、反応部171,172の内部温度に関する情報は、制御部50に伝えられる。後述するように、温度センサ173の検出結果は、反応部171の内部温度が上昇しすぎるのを防ぐために用いられ、温度センサ174の検出結果は、反応部172の内部温度が低下しすぎるのを防ぐために用いられる。したがって、温度センサ173は、反応部171のより上流側に、温度センサ174は、反応部172のより下流側に設けることが望ましい。
【0175】
また、改質器170において、反応部172が設けられている位置に対応する外周部には、既述した蒸発器32から排出される燃焼排ガスが導入される排ガス導入部175が設けられている。蒸発器32では、既述したように、圧縮機28を経由して、燃焼排ガスがバーナ26から供給され、この燃焼排ガスの有する熱量を利用してメタノールおよび水を昇温・気化させる。このようにメタノールおよび水を昇温・気化させた後に圧縮機28から排出される燃焼排ガスは、蒸発器32で熱量を消費した後であっても所定の熱量を有しており、本実施例の改質器170では、この燃焼排ガスを上記排ガス導入部175に導入することによって、下流側に設けた反応部172を加熱している。
【0176】
本実施例の改質器170を備える燃料電池装置には、蒸発器32から排出される燃焼排ガスを排ガス導入部175に供給する燃焼排ガス路176が設けられており、この燃焼排ガス路176には、排ガス導入部175に供給する燃焼排ガスの量を調節するマスフロコントローラ177が設けられている。マスフロコントローラ177は、制御部50に接続されており、制御部50によって、排ガス導入部175に供給される燃焼排ガス量が制御可能となっている。ここで、蒸発器32から排ガス導入部175に供給される燃焼排ガスの温度は、約300℃程度であり、マスフロコントローラ177の駆動状態を制御して、排ガス導入部175に供給する燃焼排ガス量を調節することによって、反応部172の内部温度を制御することができる。上記したように排ガス導入部175に導入された燃焼排ガスは、反応部172を加熱した後、燃料電池装置の外部に排出される。
【0177】
本実施例の改質器170における上流側の反応部171では、この反応部171で進行する水蒸気改質反応に要する熱量は、酸化反応で生じた熱量によって賄っている。これに対し、下流側の反応部172では、この反応部172で進行する水蒸気改質反応に要する熱量としては、上流側で進行する酸化反応で生じた熱量に加えて、排ガス導入部175に供給される上記燃焼排ガスの有する熱が用いられる。ここで、本実施例の改質器170を備える燃料電池装置において、制御部50は、改質器170に供給する空気を取り込むブロワ38の駆動量を、温度センサ173の検出結果に基づいて制御しており、反応部171の内部温度が300℃を越えないように、改質器170に供給する空気量を調節している。また、同じく本実施例の燃料電池装置において、制御部50は、上記マスフロコントローラ177の駆動量を、温度センサ174の検出結果に基づいて制御しており、反応部172の内部温度が250℃以上となるように、排ガス導入部175に供給する燃焼排ガス量を調節している。
【0178】
以上のように構成された第10実施例の改質器170によれば、下流側の反応部172は、既述した燃焼排ガスによって加熱されるため、改質器170内で進行する水蒸気改質反応で要する熱量のすべてを酸化反応で生じる熱量によって賄う必要はなく、酸化反応に供するために改質器170に供する空気の量を減らし、上流側で進行する酸化反応の量を減らすことができる。ここで、改質器170に供給する空気量は、反応部171の内部温度に基づいて調節されるため、酸化反応が活発に行なわれる反応部171において温度が上昇しすぎてしまうことがない。
【0179】
また、改質器170において、下流側の反応部172では、上述したように、排ガス導入部175に導入される燃焼排ガスから熱が供給されるため、従来の改質器のように下流側で温度が低下しすぎることがない。したがって、改質器170では、各反応部全体において水蒸気改質反応の活性が高い状態に保たれ、水蒸気改質反応の速度を向上させることができる。さらに、反応部172を加熱するために、従来廃棄されていた燃料排ガスの熱を利用しているため、反応部172を加熱することによってエネルギ効率が低下してしまうことがない。
【0180】
図31は、水蒸気改質反応で要する熱量の略全体を、酸化反応で生じる熱によって賄う従来知られる改質器と、上述した改質器170とについて、空気を含む原燃料ガスが供給される上流側から下流側への内部の温度分布状態を表わした説明図である。改質器170は、従来の改質器とは異なり、上流側において酸化反応で生じた熱によって昇温しすぎることがなく、また、下流側において内部の温度が低下しすぎることがないため、改質器の内部温度を250〜300℃の温度範囲で均一化することができる。以上説明したように、本実施例の改質器170は、その入り口部付近で温度が急激に上昇してしまうことがないため、温度上昇に起因する既述した触媒劣化や副生成物の発生といった不都合を防止することができる。したがって、既述した実施例と同様に、改質器の耐久性を大きく向上させることが可能となる。
【0181】
以上説明した第10実施例の改質器170は、ハニカムによって構成された2つの反応部171,172を備えることとしたが、ハニカムを用いる代わりに、触媒を担持したペレットを内部に充填する構成としてもよい。この場合には、改質器内部を2つに分けることなく、改質器内部に均一にペレットを充填することとしても差し支えない。
【0182】
また、下流側を加熱するために、蒸発器32から排出される燃焼排ガス以外の高温ガスを用いることとしてもよい。例えば、本実施例の改質器170を備える燃料電池装置において、蒸発器32で要する熱を供給する熱源と、燃料電池40の陰極側に圧縮空気を供給するための圧縮機28の駆動源が異なる場合には、上記熱源と上記駆動源のうち、いずれから排出される排ガスを用いることとしてもよい。また、燃料電池装置を構成する他の高温部から排出されるガスを用いることとしてもよく、改質器の内部温度を250〜300℃の温度範囲に保つために使用可能なエネルギを有していればよい。あるいは、高温の部材から排出される高温の排ガスを用いる代わりに、高温の部材と改質器との間に所定の流体を循環させ、この流体によって高温の部材の熱エネルギを改質器に供給することとしてもよい。
【0183】
次に、第11実施例として、改質器の上流側において原燃料の一部を液体の状態で供給する構成を示す。図32は、第11実施例の改質器180の構成の概要を表わす説明図である。改質器180は、図1の燃料電池装置20と同様の燃料電池装置に備えられている。この改質器180は、表面にCu−Zn触媒を担持するハニカムによって構成された単一の反応部181を備えている。ここで、改質器180は、第2燃料供給路64と接続して原燃料ガスの供給を受けるが、その他に、メタノールと水との混合液(以下、液体原燃料と呼ぶ)の供給を受ける。液体原燃料は、既述したように、第1燃料供給路63を介して蒸発器32に供給されるが、この第1燃料供給路63は途中で分岐して原燃料分岐路182となり、改質器180に対しても液体原燃料が供給可能となっている。さらに、本実施例では、空気供給路39は、第2燃料供給路64とは合流せずに、上記原燃料分岐路182と合流して原燃料路183となる。この原燃料路183は、改質器180の上流側端部に接続しており、空気を混合された液体原燃料が改質器180に供給可能となっている。
【0184】
なお、空気供給路39にはマスフロコントローラ184が、原燃料分岐路182にはマスフロコントローラ185が設けられており、改質器180に供給する空気量および液体原燃料の量を制御可能となっている。これらのマスフロコントローラ184,185は制御部50に接続されており、制御部50によってその駆動量が制御される。また、改質器180内部において、反応部181の上流側端部の近傍には、原燃料路183の端部構造として噴射ノズル187が設けられている。上記したように空気を混合された液体原燃料は、この噴射ノズル187から、空気の圧力を利用して反応部181の端部に向かって噴射され、反応部181の端部断面に対して広い範囲で供給される。なお、噴射ノズル187は、液体を広い範囲に噴射可能な形状であればよく、ノズル状以外の形状としても構わない。さらに、改質器180において、反応部181の上流側端部付近には、温度センサ186が設けられている。この温度センサ186は、制御部50に接続されており、反応部181の上流側の温度に関する情報が制御部50に入力される。
【0185】
既述したように、改質器に対して原燃料ガスと共に空気を供給すると、酸素の濃度が高い上流側では、酸化反応が活発に進行して温度が上昇するが、本実施例では、反応部181の上流側に対して液体原燃料を噴射することによって、この上流側の温度を制御している。すなわち、所定の高温となっている反応部181に対して液体原燃料を噴射すると、液体原燃料は、噴射された反応部181から熱を奪って気化・昇温する。したがって、この液体原燃料の供給量を調節することによって、反応部181の上流側の温度を所定の温度以下に制御することができる。
【0186】
このような構成の改質器180を用いて水素リッチな燃料ガスの生成を行なう際には、温度センサ186が検出した反応部181内の温度に基づいて、改質器180に対して液体原燃料量を供給するかどうか、あるいはその供給量が制御される。改質器180に供給されるメタノールの総量は、燃料電池40に接続される負荷の大きさ、すなわち、燃料電池40に供給すべき燃料ガス量に基づいて決定されるが、温度センサ186の検出結果に基づいて、第1燃料供給路63から液体のまま改質器180に供給されるメタノール量が調節される。具体的には、反応部181の温度が所定の温度(本実施例では300℃)を越えると、噴射ノズル187から液体原燃料の噴射を行なうようになり、反応部181の温度が上記所定の温度以下となるように、噴射ノズル187から供給する液体原燃料の量を調節する。なお、反応部181の温度が上記所定の温度以下の場合には、噴射ノズル187からは、空気だけが噴射される。
【0187】
以上のように構成された第11実施例の改質器180によれば、改質器180内で液体を噴射して気化させることによって、反応部181の上流部を冷却することができるため、酸化反応で生じる熱のために反応部181の上流部の温度が上昇しすぎてしまうのを防ぐことができる。ここで、反応部181の上流部を冷却するために改質器180中で噴射する液体は、改質器180内で進行する水蒸気改質反応および酸化反応で利用される原燃料からなるため、このような液体噴射の操作を行なうことによって、改質器180内で進行する反応が影響を受けることがない。
【0188】
図33は、所望の量の燃料ガスを生成するために要するメタノールの全量を、蒸発器32を経由して供給される従来知られる改質器と、上述した改質器180とについて、空気を含む原燃料ガスが供給される上流側から下流側への内部の温度分布状態を表わした説明図である。改質器180は、従来の改質器とは異なり、上流側において酸化反応で生じた熱によって昇温しすぎることがないため、改質器の内部温度を250〜300℃の温度範囲で均一化することができる。このように、本実施例の改質器180は、その入り口部付近で温度が急激に上昇してしまうことがないため、温度上昇に起因する既述した触媒劣化や副生成物の発生といった不都合を防止することができる。したがって、既述した実施例と同様に、改質器の耐久性を大きく向上させることが可能となる。
【0189】
なお、改質器180の上流側の温度が上昇しすぎて噴射ノズル187から噴射する液体原燃料量を増やした際に、燃料電池40に接続される負荷における所要電力が減少すると、改質器180に供給するメタノール量が過剰となって、必要量以上の燃料ガスが生成される場合がある。本実施例の改質器180を備える燃料電池装置では、燃料電池40から排出される燃料排ガスは、既述したようにバーナ26における燃焼のための燃料として利用されるため、上記した場合であっても、システム全体のエネルギ効率が低下してしまうことがない。
【0190】
また、本実施例の改質器180では、反応部181の上流部を冷却するために噴射ノズル187から噴射するのは、メタノールと水との混合液としたが、メタノールあるいは水だけを噴射する構成としてもよい。この場合には、第1燃料供給路63の代わりに、メタノール流路60あるいは水供給路62において分岐路を設け、この分岐路によって、噴射ノズル187と同様のノズルに対してメタノールあるいは水を供給することとすればよい。このような構成としても、反応部181の上流部において、噴射された液体が気化する際に熱を奪うため、上記第11実施例の改質器180と同様の効果を得ることができる。
【0191】
次に、第12実施例として、水蒸気改質反応と酸化反応との両方が進行する反応部と、水蒸気改質反応だけが進行する反応部とを隣接して設け、両者の間で熱交換を行なわせて、酸化反応で生じる熱によって過度の温度上昇が引き起こされるのを防止する構成を示す。図34は、第12実施例の改質器190の構成の概要を表わす説明図である。改質器190は、図1の燃料電池装置20と同様の燃料電池装置に備えられている。この改質器190は、略円柱状に形成されており、ハニカムによって構成された3つの反応部191,192,193を備えている。改質器190の内壁に沿って、環状に反応部193が形成されており、この反応部193の内側に、反応部191,192が形成されている。ここで、反応部191は上流側、反応部192は下流側に設けられており、両者の間には所定の空間200が形成されている。
【0192】
この改質器190において、反応部191,192,193は、いずれも、既述したCu−Zn触媒を表面に担持している。ここで、反応部193は、第2燃料供給路64と接続しており、原燃料ガスを供給されるが、空気の供給は受けないため、反応部193においては水蒸気改質反応は行なわれる、酸化反応は行なわれない。第2燃料供給路64は、上記反応部193の他に反応部191にも接続しており、反応部191に供給された原燃料ガスは、反応部191、反応部192の順で内部を通過する。また、空気供給路39は、途中で空気分岐路194,195に分岐し、これらの空気分岐路は、それぞれ反応部191および反応部192の上流側に接続する。これらの空気分岐路194,195は、それぞれの反応部に対して空気を供給する。したがって、反応部191および反応部192では、水蒸気改質反応と共に酸化反応が進行する。反応部191,192における水蒸気改質反応および酸化反応によって生じた水素リッチガスと、反応部193における水蒸気改質反応によって生じた水素リッチガスとは、第3燃料供給路65へ排出されてCO低減部36に供給される。
【0193】
また、空気供給路39から分岐する空気分岐路194,195には、それぞれマスフロコントローラ196,197が設けられており、反応部191,192に供給する空気量を調節可能となっている。これらマスフロコントローラ196,197は制御部50に接続されており、制御部50によって、各反応部に供給されれる空気量が制御される。また、反応部191,192それぞれの上流側には、各反応部の内部温度を検出する温度センサ198,199が設けられている。これらの温度センサ198,199は制御部50に接続されており、各反応部の内部温度を検出した結果は制御部50に入力される。制御部50は、各温度センサから入力される上記検出結果に基づいて、各反応部に供給する空気量を制御する。
【0194】
本実施例の改質器190における反応部191、192では、内部で進行する水蒸気改質反応に要する熱量は、同じく内部で進行する酸化反応で生じた熱量によって賄っている。これに対し、外周部に設けた反応部193では、この反応部193で進行する水蒸気改質反応に要する熱は、内側に隣接する反応部191,192における酸化反応で生じた熱を利用している(図34中の点線矢印参照)。ここで、本実施例の改質器190を備える燃料電池装置において、制御部50は、反応部191,192に供給する空気量を調節するマスフロコントローラ196,197の駆動量を、温度センサ198,199の検出結果に基づいて制御しており、反応部191,192の内部温度が300℃を越えないように、供給する空気量を調節している。
【0195】
以上のように構成された第12実施例の改質器190によれば、反応部191,192で進行する酸化反応で生じた熱は、隣接する反応部であって吸熱反応だけが進行する反応部193においても消費される。したがって、酸化反応が活発に進行する反応部191,192の上流部において、過度に温度が上昇してしまうのを防ぐことができる。ここで反応部191,192に供給する空気量は、各反応部の内部温度に基づいて調節されるため、各反応部の内部温度を所定の温度以下に保つよう制御することができる。
【0196】
また、本実施例の改質器190では、反応部191,192のそれぞれに対して空気を供給しているため、反応部191の下流側に位置する反応部192においても発熱反応である酸化反応を行なわせることができ、従来の改質器のように下流側で温度が低下しすぎることがない。したがって、改質器190では、各反応部全体において水蒸気改質反応の活性が高い状態に保たれ、水蒸気改質反応の速度を向上させることができる。
【0197】
図35は、水蒸気改質反応と酸化反応との両方を進行させる反応部によってのみ構成された従来知られる改質器と、上述した改質器190とについて、原燃料ガスが供給される上流側から下流側への内部の温度分布状態を表わした説明図である。改質器190は、従来の改質器とは異なり、上流側において酸化反応で生じた熱によって昇温しすぎることがなく、また、下流側において内部の温度が低下しすぎることがないため、改質器の内部温度を250〜300℃の温度範囲で均一化することができる。以上説明したように、本実施例の改質器190は、その入り口部付近で温度が急激に上昇してしまうことがないため、温度上昇に起因する既述した触媒劣化や副生成物の発生といった不都合を防止することができる。したがって、既述した実施例と同様に、改質器の耐久性を大きく向上させることが可能となる。
【0198】
なお、上記第12実施例の改質器190では、内側に設けられて水蒸気改質反応と酸化反応との両方を進行する反応部191,192において、それぞれに対して空気を供給する構成としたため、下流側において温度が低下するのを抑える効果を大きくすることができたが、空気の供給を上流側だけから行なう場合にも、上流側における過度の温度上昇を抑える所定の効果を得ることができる。
【0199】
上記第12実施例の改質器190は、水蒸気改質反応と酸化反応との両方を行なう反応部と、水蒸気改質反応だけを行なう反応部とは、内側と外周部とに分かれており、2重管型に形成したが、以下に、第12実施例の変形例として、上記2種類の反応部を交互に積層する積層型の構成を示す。図36は、第12実施例の変形例である改質器190Aの構成の概略を模式的に示す説明図である。改質器190Aは、改質器190と同様に図1の燃料電池装置20と同様の燃料電池装置に備えられており、改質器190と共通する部材には部材番号に符号Aを付して以下の説明を行なう。
【0200】
改質器190Aは、それぞれ平板型に形成された反応部191Aと反応部193Aとを交互に複数個積層した構造を有している。これらの反応部191Aおよび193Aは、表面にCu−Zn触媒を担持したハニカムによって構成されており、各反応部に対しては、第2燃料供給路64から原燃料ガスが供給される。また、空気供給路39は、分岐してそれぞれの反応部191Aの上流部に接続し、各反応部191Aに対して空気を供給する。複数の反応部191Aに対して供給する空気量は、空気供給路39に設けられたマスフロコントローラ196Aによって制御されるが、この制御は、第12実施例と同様に、各反応部191Aの上流部に設けた温度センサ(図示せず)による検出結果に基づいて行なわれる。
【0201】
以上のように構成された第12実施例の変形例である改質器190Aによれば、第12実施例の改質器190と同様に、酸化反応で生じた熱は隣接する反応部で進行する水蒸気改質反応で消費されるため、酸化反応が活発に進行する上流部の温度が過度に上昇してしまうことがない。したがって、改質器190と同様に、触媒劣化や副生成物の発生といった不都合を防止し、改質器の耐久性を大きく向上させることができるという効果を得ることができる。
【0202】
次に、第12実施例の第2の変形例として、多管挿入型の改質器190Bを示す。図37は、第12実施例の第2の変形例である改質器190Bの構成の概略を表わす断面模式図である。図37(A)は、改質器190Bの縦断面図、図37(B)は、図37(A)のB−B線における横断面図である。改質器190Bは、改質器190と同様に図1の燃料電池装置20と同様の燃料電池装置に備えられており、改質器190と共通する部材には部材番号に符号Bを付して以下の説明を行なう。
【0203】
改質器190Bは、略円柱状に形成されており、その内部に反応部191Bと反応部193Bとを備えている。反応部191Bは、底面の直径が短い略円柱状に形成されており、改質器190B内に7個が形成されている。改質器190B内において、反応部191Bが形成されていない空間は、反応部193Bを構成している。これらの反応部191Bおよび193Bは、表面にCu−Zn触媒を担持したハニカムによって構成されており、各反応部に対しては、第2燃料供給路64から原燃料ガスが供給される。また、空気供給路39は、分岐してそれぞれの反応部191Bの上流部に接続し、各反応部191Bに対して空気を供給する。複数の反応部191Bに対して供給する空気量は、空気供給路39に設けられたマスフロコントローラ196Bによって制御されるが、この制御は、第12実施例と同様に、各反応部191Bの上流部に設けた温度センサ(図示せず)による検出結果に基づいて行なわれる。
【0204】
以上のように構成された第12実施例の変形例である改質器190Bによれば、第12実施例の改質器190と同様に、酸化反応で生じた熱は隣接する反応部で進行する水蒸気改質反応で消費されるため、酸化反応が活発に進行する上流部の温度が過度に上昇してしまうことがない。したがって、改質器190と同様に、触媒劣化や副生成物の発生といった不都合を防止し、改質器の耐久性を大きく向上させることができるという効果を得ることができる。
【0205】
上記した改質器190,190A,190Bでは、酸化反応を限られた反応部において行なわせている。改質器内で進行する水蒸気改質反応で要する熱が一定である場合に、酸化反応が進行する領域を小さくすると、供給した酸素量に比べて触媒量が不足した状態となり、酸素が供給される領域における酸化反応の速度を抑えることができる。したがって、酸化反応が進行する領域をより下流側に広げることができ、改質器の下流側において温度が低下しすぎるのを抑える効果をより大きくすることができる。
【0206】
なお、上記した第12実施例の変形例である改質器190A,190Bにおいて、改質器190と同様に、改質器の上流側に加えてその中程でも空気を供給する構成としてもよい。このような構成とすれば、改質器の下流側で温度が下降しすぎるのを防ぐことができる。また、上記改質器190,190A,190Bのそれぞれを構成する各反応部は、ハニカムによって構成したが、触媒を担持したペレットを充填する構成としても構わない。この場合にも、水蒸気改質反応と共に酸化反応を進行する反応部と、水蒸気改質反応だけを進行する反応部とを隣接させることによって、反応部の上流側で温度が上昇しすぎてしまうのを防ぐことができる。
【0207】
既述した第1ないし第12実施例では、それぞれの改質器が備える触媒として、Cu−Zn触媒を用いているため、単一の触媒によって、(4)式に示した水蒸気改質反応と(5)式に示した酸化反応との両方を促進させることができる。もとより、水蒸気改質反応と酸化反応との両方を促進可能なCu−Zn触媒以外の触媒(例えばPd−Zn触媒など)を用いることとしてもよい。このような触媒を用いる場合にも、この触媒を既述した実施例の改質器に備えさせることによって、改質器内部の一部の領域で内部温度が上昇しすぎてしまうのを抑える既述した効果を得ることができる。
【0208】
また、上記それぞれの実施例において、水蒸気改質反応と酸化反応とを単一の触媒によって促進する代わりに、それぞれの反応を異なる触媒を用いて促進する構成としてもよい。あるいは、Cu−Zn触媒に対して、酸化反応を促進する他の触媒をさらに加えて用いることとしても良い。このように、複数の種類の触媒を用いる場合にも、改質器内でのこれらの触媒の混在状態が充分であり、酸素が供給されている領域において、(5)式に示した酸化反応と(4)式に示した水蒸気改質反応との両方が充分な効率で進行可能となるならば、それぞれの実施例の構成において、改質器内部の一部の領域で内部温度が上昇しすぎてしまうのを抑える既述した効果を得ることができる。ここで、酸化反応を促進可能な他の触媒としては、例えば、パラジウム、白金、ニッケル、ロジウム、クロム、タングステン、レニウム、金、銀、鉄などの金属、あるいはこれらの金属と他の金属との合金等を挙げることができる。
【0209】
また、既述した実施例では、原燃料としてメタノールを用いることとしたが、他種の炭化水素を原燃料として用い、この原燃料を水蒸気改質反応および酸化反応に供することとしても良い。このようにメタノール以外の原燃料を用いる場合にも、用いる原燃料に応じた触媒を、既述した実施例の構成を有する改質器に備えさせることによって、改質器内部の一部の領域で内部温度が上昇しすぎてしまうのを抑える既述した効果を得ることができる。
【0210】
なお、既述した第1ないし第12実施例の改質器において備えられたCu−Zn触媒は、メタノールの水蒸気改質反応を促進する触媒としては周知の触媒である。既述したように、Cu−Zn触媒は、300℃を超える高温下では劣化してしまうため、水蒸気改質反応が進行する反応温度が高い炭化水素を原燃料とする場合には、水蒸気改質反応を促進する触媒として用いることはできないが、他の炭化水素に比べて水蒸気改質反応の際の反応温度が低いメタノールを原燃料として用いる場合には、この反応を促進する触媒として良好に働く。しかしながら、このCu−Zn触媒を酸化触媒として用いる使用方法は従来知られていなかった。すなわち、Cu−Zn触媒は容易に酸化される性質を持っており(銅が酸化劣化する)、酸素の存在下では速やかに酸化されて触媒活性が損なわれてしまうため、通常は酸化触媒として用いることができない。これに対して、このCu−Zn触媒をメタノールの存在下で用いると、酸化自由エネルギ差から、銅よりもメタノールの方が酸化され易いため、触媒自身は酸化されてしまうことなく、上記両反応を促進する触媒として有効に働くことができる。
【0211】
このように、Cu−Zn触媒を用いることによって、単一の触媒で、メタノールの水蒸気改質反応と酸化反応との両方を促進させることができ、改質器の構成を簡素化できるという効果が得られるが、Cu−Zn触媒を用いてメタノールの酸化反応を促進することにより、改質器で生成される水素リッチな燃料ガス中の一酸化炭素濃度をより低くすることができるという効果を、さらに得ることができる。ここで、改質器内で生じる一酸化炭素について説明する。Cu−Zn触媒は、二酸化炭素と水素の存在下では、以下に示す(6)式の反応を僅かに進行させる活性を有する。
【0212】
CO2 + H2 → CO + H2O … (6)
【0213】
Cu−Zn触媒によって、メタノールの水蒸気改質反応、あるいはこれと同時にメタノールの酸化反応を促進させると、既述したように水素と二酸化炭素が生成されるが、水素と二酸化炭素の生成量が増えるに従って、上記(6)式の反応が僅かに進行して一酸化炭素が生成される。その結果、改質器で生成される燃料ガス中には、所定量の一酸化炭素が含有されることになる。
【0214】
このように、メタノールを改質するためにCu−Zn触媒を用いることは、所定量の一酸化炭素の生成を伴ってしまうが、既述した実施例のように、水蒸気改質反応と同時に進行するメタノールの酸化反応を促進する触媒としてCu−Zn触媒を用いる場合には、この酸化反応が進行する際に一酸化炭素が生成されないため、燃料ガス中の一酸化炭素濃度の上昇が抑えられる。Cu−Zn触媒によって促進されるメタノールの酸化反応は、既述した(5)式に表わしたが、この反応は、主として、以下の(7)式および(8)式に示す反応からなっており、全体として(5)式の反応が進行する。
【0215】
CH3OH + (1/2)O2 → HCHO+H2O … (7)
HCHO + H2O → CO2+2H2 … (8)
【0216】
(7)式および(8)式に示すように、Cu−Zn触媒によって促進されるメタノールの酸化反応は、主として、一酸化炭素を生じない反応経路を経由する。これに対し、既述した従来知られる酸化触媒、例えば白金触媒によって促進される酸化反応は、主として、以下の(9)式および(10)式に示す反応からなっており、全体として(5)式の反応が進行するため、反応の途中で一酸化炭素が生じてしまう。したがって、白金触媒のような従来知られる酸化触媒を用いてメタノールの酸化反応を促進する場合には、このようにして生じた一酸化炭素の一部が、改質器内で生成される燃料ガス中に残留し、燃料ガス中の一酸化炭素濃度をさらに引き上げてしまう。
【0217】
CH3OH → CO+2H2 … (9)
CO + (1/2)O2 → CO2 … (10)
【0218】
既述した実施例のように、Cu−Zn触媒を用いてメタノールの水蒸気改質反応と酸化反応の両方を促進する場合には、その酸化反応は、一酸化炭素を生成しない反応経路を経由するため、従来知られる白金などの酸化触媒を用いてメタノールの酸化反応を促進し、Cu−Zn触媒を用いて水蒸気改質反応を促進する場合に比べて、生成される燃料ガス中の一酸化炭素濃度をはるかに低くすることが可能となる。従来知られる白金などの酸化触媒を改質器内に備えさせ、Cu−Zn触媒によってメタノールの水蒸気改質反応を、上記酸化触媒によってメタノールの酸化反応を進行させた場合には、通常は1.5〜2%以上の一酸化炭素が燃料ガス中に残留してしまう。これに対し、Cu−Zn触媒だけを用いてメタノールの水蒸気改質反応と酸化反応とを進行させた場合には、燃料ガス中に残留する一酸化炭素濃度を0.5%程度に抑えることが可能となる。
【0219】
一酸化炭素が残留する燃料ガスを燃料電池に供給すると、この一酸化炭素は、電解質膜上に設けられた白金を含有する触媒層に吸着し、電気化学反応の進行を阻害してしまう。既述した実施例の燃料電池装置では、改質器の下流にCO低減部を設け、燃料電池に供給する燃料ガス中の一酸化炭素濃度を低減しているが、Cu−Zn触媒を用いてメタノールの酸化反応と水蒸気改質反応とを促進し、改質器で生成される燃料ガス中の一酸化炭素濃度を低減することによって、CO低減部に要求される処理量(CO低減部で酸化すべき一酸化炭素量)が少なくなる。したがって、CO低減部をより小型化しても、充分に一酸化炭素濃度が低い燃料ガスを燃料電池に供給することが可能となる。なお、改質器で生成される燃料ガス中の一酸化炭素濃度が充分に低ければ、CO低減部を設けないこととしても良い。このように、Cu−Zn触媒を用いて、メタノールの水蒸気改質反応とメタノールの酸化反応との両方を促進することによって、改質器で生成される燃料ガス中の一酸化炭素濃度をより低くし、この改質器を備える燃料電池装置全体をコンパクト化することができる。
【0220】
なお、上記した実施例のCu−Zn触媒では、この触媒を製造する材料として酸化銅(CuO)と酸化亜鉛(ZnO)を用いたが、これらを共沈させる際に、他の物質をさらに加えることとしても良い。例えば、酸化銅と酸化亜鉛を共沈させてCu−Zn触媒を製造する際に、アルミナを2〜5%程度加えてもよく、このような構成とすれば、Cu−Zn触媒の耐熱性を向上させ、触媒を形成する銅と酸化亜鉛とのばらつき状態を向上させることができる。
【0221】
また、上記した説明では、メタノールの水蒸気改質反応とメタノールの酸化反応との両方を促進する触媒として、酸化銅と酸化亜鉛を材料とするCu−Zn触媒を用いることとしたが、Cu−Zn以外の銅系触媒を用いても、メタノールの水蒸気改質反応と酸化反応とを促進し、一酸化炭素濃度の低い燃料ガスを生成できるという効果を得ることができる。例えば、酸化銅と酸化クロム(Cr23)を材料として用いたり、酸化銅と酸化ケイ素(SiO2) を材料として用いたり、あるいは酸化銅と他の金属酸化物を材料として用いても、既述した両反応を促進可能な触媒を得ることができる。このとき、これらの銅系触媒を製造する方法としては、既述した共沈法の他、含浸法や混練法、あるいはイオン交換法など、用いる材料に応じた製造方法を採ればよい。
【0222】
以上本発明の実施例について説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々なる様態で実施し得ることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の好適な一実施例である燃料電池装置20の構成の概略を表わすブロック図である。
【図2】燃料電池40が備える単セル48の構成を表わす断面模式図である。
【図3】改質器34の構成を模式的に表わす説明図である。
【図4】改質器34を構成するハニカムの断面を模式的に表わす説明図である。
【図5】改質器34および従来知られる改質器における内部の温度分布状態を表わす説明図である。
【図6】第1実施例の変形例におけるハニカム断面の様子を表わす説明図である。
【図7】第1実施例の他の変形例である改質器の構成を模式的に表わす説明図である。
【図8】第2実施例の改質器90の構成を模式的に表わす説明図である。
【図9】(A)は、反応部92を構成するハニカムの断面の一部を表わす断面模式図、(B)は、ハニカムの表面の一部をさらに拡大した様子を表わす模式図である。
【図10】改質器90および従来知られる改質器における内部の温度分布状態を表わす説明図である。
【図11】第3実施例の改質器100の構成を模式的に表わす説明図である。
【図12】改質器100および従来知られる改質器における内部の温度分布状態を表わす説明図である。
【図13】第4実施例の改質器110の構成を模式的に表わす説明図である。
【図14】改質器110を備える燃料電池装置で実行される空気混合量制御処理ルーチンを表わすフローチャートである。
【図15】第4実施例の変形例である改質器110Aの構成を模式的に表わす説明図である。
【図16】改質器110Aおよび従来知られる改質器における内部の温度分布状態を表わす説明図である。
【図17】第5実施例の改質器120の構成を模式的に表わす説明図である。
【図18】燃料電池20において実行されるガス入り口切り替え処理ルーチンを表わすフローチャートである。
【図19】改質器120および従来知られる改質器における内部の温度分布状態を表わす説明図である。
【図20】第6実施例の改質器130およびこの改質器130と接続される部材の構成を模式的に表わす説明図である。
【図21】改質器130および従来知られる改質器における内部の温度分布状態を表わす説明図である。
【図22】第7実施例の改質器140の構成を模式的に表わす説明図である。
【図23】改質器140および従来知られる改質器における内部の温度分布状態を表わす説明図である。
【図24】第7実施例の変形例である改質器140Aの構成を模式的に表わす説明図である。
【図25】第8実施例の改質器150の構成を表わす断面模式図である。
【図26】改質器150および従来知られる改質器における内部の温度分布状態を表わす説明図である。
【図27】第9実施例の改質器160の構成を表わす断面模式図である。
【図28】改質器160および従来知られる改質器における内部の温度分布状態を表わす説明図である。
【図29】第9実施例の変形例である改質器160Aの構成を模式的に表わす説明図である。
【図30】第10実施例の改質器170の構成を表わす断面模式図である。
【図31】改質器170および従来知られる改質器における内部の温度分布状態を表わす説明図である。
【図32】第11実施例の改質器180の構成を模式的に表わす説明図である。
【図33】改質器180および従来知られる改質器における内部の温度分布状態を表わす説明図である。
【図34】第12実施例の改質器190の構成を模式的に表わす説明図である。
【図35】改質器190および従来知られる改質器における内部の温度分布状態を表わす説明図である。
【図36】第12実施例の変形例である改質器190Aの構成を模式的に表わす説明図である。
【図37】第12実施例の変形例である改質器190Bの構成を模式的に表わす説明図である。
【図38】従来の燃料改質装置内部における温度分布の様子を表わす説明図である。
【符号の説明】
20…燃料電池装置
22…メタノールタンク
24…水タンク
26…バーナ
28…圧縮機
28a…タービン
28b…コンプレッサ
28c…シャフト
29…空気導入路
32…蒸発器
34,34A…改質器
36…CO低減部
38…ブロワ
39…空気供給路
39A,39B…空気分岐路
40…燃料電池
41…電解質膜
42…カソード
43…アノード
44,45…セパレータ
44P…燃料ガス流路
45P…酸化ガス流路
48…単セル
50…制御部
52…入出力ポート
54…CPU
56…ROM
58…RAM
60…メタノール流路
61…メタノール分岐路
62…水供給路
63…第1燃料供給路
64…第2燃料供給路
65…第3燃料供給路
66…第4燃料供給路
67…燃料排出路
68…酸化ガス供給路
69…酸化排ガス路
69A,69B…酸化排ガス分岐路
70…第1ポンプ
71…第2ポンプ
72…第3ポンプ
73…第1温度センサ
74…第2温度センサ
80…第1反応部
81…第2反応部
82,83…ステンレス板
90…改質器
92…反応部
94…ステンレス板
96…触媒層
100…改質器
101…第1反応部
102…第2反応部
110…改質器
110A…改質器
111,111A,111B…反応部
112,112A,112B…マスフロコントローラ
113,113A,113B…マスフロコントローラ
114…酸素濃度センサ
115,115A,115B…第2空気供給路
117…温度センサ
120…改質器
121…反応部
122…温度センサ
123…温度センサ
124…第1供給分岐路
125…第2供給分岐路
126…第1排出分岐路
127…第2排出分岐路
128,129,128A,129A…電磁弁
130…改質器
132…調圧弁
134…噴射ノズル
136…フィルタ
140,140A…改質器
141,141A…反応部
142,142A…吹き出し口
143…端部部材
144…回転機構
150…改質器
151…反応部
152…反応部
160,160A…改質器
161…内側部
162…外側部
163…反応部
170…改質器
171,172…反応部
171,172…反応部
173,174…温度センサ
175…排ガス導入部
176…燃焼排ガス路
177…マスフロコントローラ
180…改質器
181…反応部
182…原燃料分岐路
183…原燃料路
184,185…マスフロコントローラ
186…温度センサ
187…噴射ノズル
190,190A,190B…改質器
191,192,193…反応部
191A,193A…反応部
191B、193B…反応部
194,195…空気分岐路
196,197…マスフロコントローラ
196A,196B…マスフロコントローラ
198,199…温度センサ

Claims (20)

  1. 吸熱を伴う反応であって、炭化水素またはメタノールから成る原燃料と水蒸気とから水素を生成する水蒸気改質反応と、発熱を伴う反応であって前記原燃料を酸化する酸化反応とを進行し、前記水蒸気改質反応を進行する際に、前記酸化反応で生じた熱を利用する燃料改質装置であって、
    前記水蒸気改質反応と前記酸化反応とを促進する触媒を備える触媒部と、
    前記触媒部に対して、前記原燃料と水蒸気と酸素とを含有する原燃料ガスを供給する原燃料ガス供給手段と、
    前記触媒部で進行する前記水蒸気改質反応および前記酸化反応の結果生じた水素リッチな燃料ガスを、前記触媒部から排出する燃料ガス排出手段と、
    前記触媒部において、前記原燃料ガスが供給される側の部分で起こる前記酸化反応で生じた熱が、充分に下流側に運ばれるように、前記原燃料ガスが導入される側の部分における前記原燃料ガスの流速を、前記ガスが排出される側よりも速くするガス流速調節手段と
    を備える燃料改質装置。
  2. 前記ガス流速調節手段は、前記触媒部における前記原燃料ガスが供給される側において、前記燃料ガスが排出される側よりも、前記原燃料ガスが流れる流路の断面の総面積を小さくしてなる
    請求項1記載の燃料改質装置。
  3. 請求項1または2記載の燃料改質装置であって、
    前記原燃料はメタノールであり、
    前記水蒸気改質反応と前記酸化反応とを促進する触媒は、単一の銅系触媒である
    燃料改質装置。
  4. 吸熱を伴う反応であって、炭化水素またはメタノールから成る原燃料と水蒸気とから水素を生成する水蒸気改質反応と、発熱を伴う反応であって前記原燃料を酸化する酸化反応とを進行し、前記水蒸気改質反応を進行する際に、前記酸化反応で生じた熱を利用する燃料改質装置であって、
    前記水蒸気改質反応を促進する触媒と前記酸化反応を促進する触媒とを備える触媒部と、
    前記触媒部に対して、前記原燃料と水蒸気とを含有する原燃料ガスを供給する原燃料ガス供給手段と、
    前記触媒部に対して、酸素を含有する酸化ガスを供給する酸化ガス供給手段と、
    前記触媒部で進行する前記水蒸気改質反応および前記酸化反応の結果生じた水素リッチな燃料ガスを、前記触媒部から排出する燃料ガス排出手段と、
    前記触媒部内で進行する反応の進行状態を検出する反応状態検出手段とを備え、
    前記酸化ガス供給手段は、
    前記触媒部に供給する単位時間当たりの酸素量を所望の量に維持しつつ、前記反応状態検出手段が検出した前記反応の進行状態に基づいて、前記触媒部に供給する前記酸化ガス中の酸素濃度を制御する酸素濃度調節手段をさらに備える
    燃料改質装置。
  5. 請求項記載の燃料改質装置であって、
    前記触媒部は、前記触媒を備える複数の反応部からなり、
    前記酸化ガス供給手段は、前記複数の反応部のそれぞれに対して前記酸化ガスを供給する
    燃料改質装置。
  6. 請求項4または5記載の燃料改質装置であって、
    前記原燃料はメタノールであり、
    前記水蒸気改質反応を促進する触媒と前記酸化反応を促進する触媒とは同一の銅系触媒である
    燃料改質装置。
  7. 吸熱を伴う反応であって、炭化水素またはメタノールから成る原燃料と水蒸気とから水素を生成する水蒸気改質反応と、発熱を伴う反応であって前記原燃料を酸化する酸化反応とを進行し、前記水蒸気改質反応を進行する際に、前記酸化反応で生じた熱を利用する燃料改質装置であって、
    前記水蒸気改質反応と前記酸化反応とを促進する触媒を備える触媒部と、
    前記触媒部に対して、前記原燃料と水蒸気と酸素とを含有する原燃料ガスを供給する原燃料ガス供給手段と、
    前記触媒部で進行する前記水蒸気改質反応および前記酸化反応の結果生じた水素リッチな燃料ガスを、前記触媒部から排出する燃料ガス排出手段と、
    前記触媒部において、前記原燃料ガス供給手段から前記原燃料ガスを導入される部位と、前記燃料ガス排出手段によって前記燃料ガスを排出する部位とを入れ替え、前記触媒部におけるガスの流れを逆転させるガス供給方向変更手段と
    を備える燃料改質装置。
  8. 請求項記載の燃料改質装置であって、
    前記触媒部において、前記原燃料ガス供給手段から前記原燃料ガスを供給される側の所定位置の温度を検出する端部温度検出手段をさらに備え、
    前記ガス供給方向変更手段は、前記端部温度検出手段の検出結果に基づいて、前記原燃料ガス供給手段から前記原燃料ガスを導入される部位と、前記燃料ガス排出手段によって前記燃料ガスを排出する部位とを入れ替える
    燃料改質装置。
  9. 吸熱を伴う反応であって、炭化水素またはメタノールから成る原燃料と水蒸気とから水素を生成する水蒸気改質反応と、発熱を伴う反応であって前記原燃料を酸化する酸化反応とを進行し、前記水蒸気改質反応を進行する際に、前記酸化反応で生じた熱を利用する燃料改質装置であって、
    前記水蒸気改質反応と前記酸化反応とを促進する触媒を備える粒子を、内部に封入してなる触媒部と、
    前記触媒部に対して、前記原燃料と水蒸気と酸素とを含有する原燃料ガスを供給する原燃料ガス供給手段と、
    前記触媒部で進行する前記水蒸気改質反応および前記酸化反応の結果生じた水素リッチな燃料ガスを、前記触媒部から排出する燃料ガス排出手段と、
    前記触媒を備える粒子を、前記触媒部内で攪拌する触媒攪拌手段と
    を備える燃料改質装置。
  10. 請求項記載の燃料改質装置であって、
    前記触媒攪拌手段は、前記原燃料ガス供給手段に備えられ、前記原燃料と水蒸気と酸素とのうちの少なくとも一つを含有するガスを、前記触媒部内に噴霧して、前記触媒を備える粒子を前記触媒部内で攪拌する
    燃料改質装置。
  11. 吸熱を伴う反応であって、炭化水素またはメタノールから成る原燃料と水蒸気とから水素を生成する水蒸気改質反応と、発熱を伴う反応であって前記原燃料を酸化する酸化反応とを進行し、前記水蒸気改質反応を進行する際に、前記酸化反応で生じた熱を利用する燃料改質装置であって、
    前記水蒸気改質反応と前記酸化反応とを促進する触媒を備える触媒部と、
    前記触媒部に対して、前記原燃料と水蒸気とを含有する原燃料ガスを供給する原燃料ガス供給手段と、
    前記触媒部に対して、酸素を含有する酸化ガスを供給する酸化ガス供給手段と、
    前記触媒部で進行する前記水蒸気改質反応および前記酸化反応の結果生じた水素リッチな燃料ガスを、前記触媒部から排出する燃料ガス排出手段と、
    前記触媒部において、前記酸化ガス供給手段から前記酸化ガスが供給される箇所を、経時的に変化させる供給箇所変更手段と
    を備える燃料改質装置。
  12. 吸熱を伴う反応であって、炭化水素またはメタノールから成る原燃料と水蒸気とから水素を生成する水蒸気改質反応と、発熱を伴う反応であって前記原燃料を酸化する酸化反応とを進行し、前記水蒸気改質反応を進行する際に、前記酸化反応で生じた熱を利用する燃料改質装置であって、
    前記水蒸気改質反応と前記酸化反応とを促進する触媒を備える触媒部と、
    前記触媒部に対して、前記原燃料と水蒸気とを含有する原燃料ガスを供給する原燃料ガス供給手段と、
    前記触媒部に対して、酸素を含有する酸化ガスを供給する酸化ガス供給手段と、
    前記触媒部で進行する前記水蒸気改質反応および前記酸化反応の結果生じた水素リッチな燃料ガスを、前記触媒部から排出する燃料ガス排出手段と、
    前記触媒部において、前記原燃料ガスと共に酸化ガスが供給される供給側と、前記燃料ガスが排出される排出側とを隣接し、前記供給側と前記排出側との間で熱交換を行なわせる均熱化手段と
    を備え、
    前記触媒部は、内部に形成される前記原燃料ガスの流路において折り返し部を有し、前記流路の入り口部と出口部とを隣接して設けてな
    料改質装置。
  13. 吸熱を伴う反応であって、炭化水素またはメタノールから成る原燃料と水蒸気とから水素を生成する水蒸気改質反応と、発熱を伴う反応であって前記原燃料を酸化する酸化反応とを進行し、前記水蒸気改質反応を進行する際に、前記酸化反応で生じた熱を利用する燃料改質装置であって、
    前記水蒸気改質反応と前記酸化反応とを促進する触媒を備える触媒部と、
    前記触媒部に対して、前記原燃料と水蒸気とを含有する原燃料ガスを供給する原燃料ガス供給手段と、
    前記触媒部に対して、酸素を含有する酸化ガスを供給する酸化ガス供給手段と、
    前記触媒部で進行する前記水蒸気改質反応および前記酸化反応の結果生じた水素リッチな燃料ガスを、前記触媒部から排出する燃料ガス排出手段と、
    前記燃料改質装置を備えるシステムを構成する所定の部材において生じる熱を伝える所定の流体によって、前記酸化ガスが供給される側以外の部分を加熱する加熱手段と
    を備え、
    前記加熱手段は、前記燃料改質装置を備えるシステムを構成する所定の部材から排出される高温ガスによって、前記酸化ガスが供給される側以外の部分を加熱す
    料改質装置。
  14. 吸熱を伴う反応であって、炭化水素またはメタノールから成る原燃料と水蒸気とから水素を生成する水蒸気改質反応と、発熱を伴う反応であって前記原燃料を酸化する酸化反応とを進行し、前記水蒸気改質反応を進行する際に、前記酸化反応で生じた熱を利用する燃料改質装置であって、
    前記水蒸気改質反応と前記酸化反応とを促進する触媒を備える触媒部と、
    前記触媒部に対して、前記原燃料と水蒸気とを含有する原燃料ガスを供給する原燃料ガス供給手段と、
    前記触媒部に対して、酸素を含有する酸化ガスを供給する酸化ガス供給手段と、
    前記触媒部で進行する前記水蒸気改質反応および前記酸化反応の結果生じた水素リッチな燃料ガスを、前記触媒部から排出する燃料ガス排出手段と、
    前記原燃料および水のうち少なくとも一方からなる液体を、前記原燃料ガスおよび前記酸化ガスが供給される側の部分に対して噴霧する端部冷却手段と
    を備える燃料改質装置。
  15. 請求項ないし14いずれか記載の燃料改質装置であって、
    前記原燃料はメタノールであり、
    前記水蒸気改質反応と前記酸化反応とを促進する触媒は、単一の銅系触媒である
    燃料改質装置。
  16. 吸熱を伴う反応であって、炭化水素またはメタノールから成る原燃料と水蒸気とから水素を生成する水蒸気改質反応と、発熱を伴う反応であって前記原燃料を酸化する酸化反応とを進行し、前記水蒸気改質反応を進行する際に、前記酸化反応で生じた熱を利用する燃料改質装置であって、
    前記水蒸気改質反応と前記酸化反応とを促進する触媒を備える第1の反応部と、前記水蒸気改質反応を促進する触媒を備える第2の反応部とを備える触媒部と、
    前記触媒部に対して、前記原燃料と水蒸気とを含有する原燃料ガスを供給する原燃料ガス供給手段と、
    前記第1の反応部に対して、酸素を含有する酸化ガスを供給する酸化ガス供給手段と、
    前記触媒部で進行する前記水蒸気改質反応および前記酸化反応の結果生じた水素リッチな燃料ガスを、前記触媒部から排出する燃料ガス排出手段とを備え、
    前記触媒部は、前記第1の反応部と前記第2の反応部とを、ガス流れ方向に沿って各々の前記反応部の壁面が接するように配置し、前記第1の反応部と前記第2の反応部との間で熱交換を行なわせる
    燃料改質装置。
  17. 請求項16記載の燃料改質装置であって、
    前記触媒部は、該触媒部の外周部に配置された前記第2の反応部と、該第2の反応部の内側に配置された前記第1の反応部とから成る2重管型構造を有している
    燃料改質装置。
  18. 請求項16記載の燃料改質装置であって、
    前記触媒部は、複数の前記第1の反応部と複数の前記第2の反応部とを備え、前記第1の反応部と前記第2の反応部とを交互に積層した積層型構造を有している
    燃料改質装置。
  19. 請求項16記載の燃料改質装置であって、
    前記触媒部は、複数の前記第1の反応部を内部に備え、前記触媒部内において、前記複数の第1の反応部が配置されていない空間によって、前記第2の反応部が形成された多管挿入型構造を有している
    燃料改質装置。
  20. 請求項16ないし19いずれか記載の燃料改質装置であって、
    前記原燃料はメタノールであり、
    前記第1の反応部が備える触媒は、単一の銅系触媒である
    燃料改質装置。
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