JP4305699B2 - 電子部品用錫系めっき条材とその製造法 - Google Patents

電子部品用錫系めっき条材とその製造法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、比較的厚い表面めっき層を下地めっき上にほぼ平滑に形成する電子部品用錫系めっき条材に関し、コンデンサ、リードフレーム、コネクタ、リードピンなどの電子部品に用いると、鉛フリーはんだを用いた実装時のはんだ付けが確実になるための鉛フリーした錫系めっき条材に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
電子部品用条材は、一般にスタンピングをした後に、電子部品のリード端子の電極材などに広く用いられ、銅または銅系合金の母材の上に、電気めっき浴に光沢剤を添加した光沢錫めっきまたは光沢はんだ(錫−鉛合金)めっきを施したものが主流であった。近年では、人体に有毒である鉛を含むはんだめっきを排除する運動が盛んになり、電子部品の電極端子にも鉛を含むはんだめっきを使用せず、鉛フリーの錫または錫系合金のめっきを施すようになっている。
【0003】
光沢錫めっきを施した電子部品用条材は、高温高湿(例えば60℃、95%RH)での放置において、ウイスカーの発生を殆ど防止できず、特に薄めっきではウイスカーの発生が著しくなるという問題があった。この問題を回避するために、錫めっき層を溶融めっき法で形成したり、めっき後に加熱溶融するリフロー処理法などが用いられている。これらの改良法において、溶融めっき法で錫または錫合金層を形成すると、該錫または錫合金層の厚みの偏肉が大きくなって均質性を欠いてしまう。
【0004】
一方、リフロー処理法を実施すると、厚さが3μm未満の錫めっき層であると、めっき表面が平滑になるうえにウイスカーの発生を防止できるので好ましい。しかしながら、錫めっき層の厚さが3μmを超えると、めっき厚が増すにつれて錫めっき表面の平滑さが失われてしまう。つまり、厚さ3μmを超えるような表面積の大きい錫めっき層では、リフロー処理において加熱の際に酸化錫などの酸化物の生成が多くなり、加熱で溶融した錫の流動が妨げられ、めっき表面において平滑さを得られなくなってしまう。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
電子部品用条材では、表面の錫めっき層の厚みを3μm以上にし、可能ならば4μm程度に厚くすることが、後加工の表面酸化などで錫めっき層が消失する分を見込むと絶対に必要である。表面の錫めっき層をこの程度まで厚くしておかないと、電子部品用条材としては、最終の実装時のはんだ付け加工で接合不良を発生する恐れがある。
【0006】
特開昭62−20895号では、表面の錫めっき層を厚くするために、まず無光沢錫めっきを施してから2μm以下の光沢錫めっき層を形成し、この後にリフロー処理を行っている。このような2段階めっき法は、めっき回数が増えることによってコスト高になるうえに、リフロー処理時に酸素濃度が高く且つ急冷になっていないので酸化皮膜が厚く、錫めっき表面の凹凸差を2μm未満に下げることが実際上困難であり、めっき表面の平滑さが多少とも失われることによってはんだ付け性とはんだ濡れ性が低下している。
【0007】
本発明は、表面に錫めっき層を形成した電子部品用部品に関する前記の問題点を改善するために提案されたものであり、厚さ3〜10μmの表面めっき層における偏肉や表面の凹凸差が小さく、はんだ付け性およびはんだ濡れ性が良好な電子部品用錫めっき条材を提供することを目的としている。本発明の他の目的は、リフロー処理時に酸素濃度が低く且つほぼ急冷であるので、溶融処理の際に錫めっき層の酸化膜の生成を抑制できる電子部品用錫めっき条材の製造法を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明に係る電子部品用錫系めっき条材は、平坦な金属基材の上に下地めっきを施し、さらに表面めっき層を条材の全面または帯状に形成する。この錫系めっき条材では、表面めっき層は厚さ3〜10μmの錫または錫系合金からなり、該条材における表面めっき層の凹凸差が約2μm以下であって平滑性が高くなっている。
【0009】
本発明の錫系めっき条材において、金属基材は例えば鉄、銅、アルミニウム、ニッケルまたはこれらの合金であり、好ましくは鉄−ニッケル合金である。下地めっき層は例えば厚さ0.5〜2.0μmであって錫以外の金属からなり、好ましくはニッケルまたは銅からなる。表面めっき層は好ましくは厚さ4〜10μmの錫からなり、該表面めっき層として、錫−銅合金めっきをしたり、錫めっきの上にさらに銀、ビスマス、銅、アンチモンまたはインジウムめっきを形成してもよい。これらの2層めっきは、リフロー処理で錫を拡散させることにより、表面めっき層は実質的に鉛フリーの錫系合金に相当する。
【0010】
この錫系めっき条材を製造するには、平坦な金属基材の上に下地めっきを施し、さらに電気めっき法で厚さ3〜10μmの錫または錫系合金の表面めっきを施し、得ためっき素材を溶融炉に導き、該溶融炉内で昇温させながら少なくとも2台のバ−ナによって該条材の表裏面を直接加熱して溶融した後に、直ちに冷却液へ送り込む。このリフロー処理により、平滑性が優れた表面めっき層を形成するものである。
【0011】
前記の製造法において、めっき素材を100ppm以下の低酸素濃度の雰囲気下で溶融することにより、めっき表面における酸化膜の生成を抑制すると好ましい。また、めっき素材を加熱する直火型バーナを冷却液の真上に設置することにより、溶融から凝固までの時間を短縮してめっき表面の平滑性を保たせると好ましい。なお、冷却液としては、上水、純水、イオン交換水あるいは10〜20%濃度のエチールアルコール液などの液体を用いたものであり、この時の液温度としては15〜40℃であればよい。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明に係る電子部品用錫系めっき条材1では、図1に示すように、金属基材2の上に下地めっき層3を形成し、さらに厚さ3〜10μmの表面めっき層5をに形成している。金属基材2は、図示のように平坦な帯状であり、例えばスタンピング可能な幅15〜80mm前後であればよい。金属基材2に対して、めっき層3,5は全面または部分的に形成し、部分的な場合は一般に基材2の長手方向に沿って帯状に設ける。
【0013】
金属基材2は、鉄、鉄系合金、銅、銅系合金、アルミニウム、アルミニウム系合金、ニッケル、ニッケル系合金であり、鉄系合金には炭素鋼,ステンレス鋼などを含み、銅系合金としてはリン青銅,黄銅(真鍮)などが例示できる。金属基材2として鉄材や鋼材を使用する場合には、該鋼材の前処理が必要であり、少なくとも鋼材を陽極としてアルカリ電解脱脂洗浄と酸電解洗浄とを行い、さらに該鋼線を陰極としてアルカリ電解脱脂洗浄した後に酸浸漬洗浄し、各洗浄工程の終了後にはその都度水洗することを要する。
【0014】
下地めっき層3は、例えば、表面めっき層5の錫から発生しうるウイスカーを抑制するために設け、このために錫以外の金属であると好ましい。下地めっき層3において、ウイスカー発生の抑制効果を発揮できる最低のめっき厚が0.5μmであり、厚みが2.0μmを超えると条材1の曲げ加工などで障害を生じる可能性が高くなる。下地めっき層3がニッケルであると、金属基材2が銅や銅系合金である場合に、その銅が表面めっき層5の錫と拡散反応を起こすことを抑制する作用があるので好ましい。また、下地めっき層3が銅であると、金属基材2が鉄や鉄系合金である際に、その鉄の熱伝導性が低いことをカバーし、溶融の際に錫が短時間で溶融することを促進する作用がある。
【0015】
表面めっき層5は、環境保全の面から鉛フリーの錫または錫系合金からなると好ましい。表面めっき層5は厚さ3〜10μmの錫または錫系合金からなり、錫系合金としてSn−Cu、Sn−Ag、Sn−Bi、Sn−Sb、Sn−In、Sn−Sb−Cuなどが例示できる。錫めっきの表面めっき層5において、条材1の接合効果を発揮できる最低のめっき厚が3μmであり、厚みが10μmを超えると、折り曲げ加工時のヒビ割れが発生する可能性が高くなる。さらに好ましくは、錫めっき層の厚さは3.5〜10μmであり、この範囲内であると条材1の接合効果を十分発揮でき、しかもウイスカー発生の恐れがないうえに経済的でもある。
【0016】
表面めっき層5は、その表面の凹凸差が約2μm以下であることを要する。条材1の表面の凹凸差が2μmを超えると、後加工の多いリード端子電極材などに使用した際の組立精度が確保できず、めっき表面の平滑性が低くなって所定のはんだ濡れ性を得ることができない。
【0017】
表面めっき層5として、厚さ3〜8μmの錫めっきを形成し、ついで厚さ0.5〜2μmの銀、ビスマス、銅、アンチモンまたはインジウムめっきを形成してもよい。この場合、表面めっき層5中の錫は、常温でも多少拡散するけれども、めっき後にリフロー処理で加熱することによって効果的に拡散し、銀、ビスマス、銅、アンチモンまたはインジウムと所定の合金を形成する。これらの合金において、Sn−BiやSn−Agは耐疲労性に優れ、Sn−Sbは強度、耐高温クリープ性が共晶はんだよりも優れ、Sn−Inは強度、耐クリープ性に問題がない。錫めっきの上に銀、ビスマス、銅、アンチモンまたはインジウムめっきを形成することにより、錫めっきにおけるウィスカーの発生を未然に防止できる。所望に応じて、銀、ビスマス、銅、アンチモンまたはインジウムめっきの上に、さらに1μm以下の錫めっきを形成してもよく、この場合には表面の錫めっきは非常に薄いのでウィスカーの影響は殆どない。
【0018】
錫系めっき条材1を製造するには、めっき素材7(図2)を用い、該めっき素材は前記のように平坦な金属基材2の上にまず薄い下地めっきを施し、さらに電気めっき法で厚さ3〜10μmの表面めっき層5を形成している。めっき素材7は、図2に例示する溶融炉8に導入し、該溶融炉内で昇温させながら2台のバ−ナ10,10(太矢印で図示)によってめっき素材7の表裏面を800〜900℃に直接加熱する。この加熱で表面めっき層5が溶融した後に、これを直ちに冷却液12の中へ送り込んで実質的に急冷することを要する。
【0019】
溶融炉8は、一般に縦長の筒形形状であり、その内部下方にバ−ナ10,10を対向設置し、両バーナは高さ方向で異なった位置に配置する。溶融炉8には、その上方に筒形延長部12を垂直に取り付け、該延長部の上方部に排気孔14を設ける。めっき素材7は、筒形延長部12を通して垂直方向下向きに溶融炉8へ送り込む。排気孔14は、吸引排気によって溶融炉8内の酸素濃度を100ppm以下、好ましくは50ppm前後に調整するとともに、可変式で温度分布を作ることにより、めっき素材7が排気口の位置を通過すると次第に昇温させる。めっき素材7を100ppm以下の低酸素濃度の雰囲気下で溶融することにより、めっき表面における酸化膜の生成を抑制する。
【0020】
冷却液12を収納する水槽(図示しない)は、溶融炉8の直下に配置し、該水槽を通過した条材1をローラ14によって上方へ送り、ロール(図示しない)に巻き取る。条材1は、直火型バーナ10,10で溶融された後に冷却液12で実質的に急冷されることにより、溶融からから凝固までの時間を短縮してめっき表面の平滑性を保つ。
【0021】
【実施例】
次に、本発明を実施例に基づいて説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
【0022】
実施例1
図1に示すように、幅25mm、厚み0.1mmの基材2は42%ニッケル−鉄合金(42アロイ)であり、該基材を陰極電解脱脂(NaOH:15%)ついで酸浸漬(HSO:10%)によって洗浄する。洗浄した基材2にニッケル下地めっき層3を形成するため、下記の浴組成の電気めっき浴に浸漬する。この浴条件は液温40℃および陰極電流密度10A/dm2であり、強攪拌しながら80秒間めっきすることにより、基材2に厚さ1.0μmのニッケル下地めっき層3を形成する。
スルファミン酸ニッケル 320g/l
ホウ酸 30g/l
【0023】
次に、ニッケル下地めっきした基材2を下記の浴組成の電気めっき浴に浸漬し、液温25℃および陰極電流密度10A/dmにおいて、強攪拌しながら60秒間めっきすることにより、厚さ5μmの錫表面めっき層5を形成する。
アルカノールスルホン酸第一錫(商品名:UTB AS-S、石原薬品製)600g/l
アルカノールスルホン酸(商品名:UTB MS-A、石原薬品製) 50g/l
添加剤(品名:UTB 519M、石原薬品製) 50ml/l
【0024】
得ためっき素材7を第三燐酸ソーダに浸漬して洗浄してから乾燥する。めっき素材7を溶融炉8(図2)の上方から導入し、該溶融炉内の酸素濃度は50ppmである。めっき素材7を溶融炉8内で昇温させながら、約2秒後に2台の直火バ−ナ10,10によってその表裏を850℃に直接加熱する。この加熱で表面めっき層5が溶融した後に、これを3秒後に冷却液12の中へ送り込んで実質的に急冷する。
【0025】
リフロー処理した条材1について、下記の表1および表2に示すように、表面めっき層5のめっき厚さおよびはんだ濡れ性などを測定する。得た条材1は、リフロー処理時に酸素濃度を低くし且つ急冷に近いので、リフロー処理後において酸化皮膜の厚さが薄く、錫表面めっき層5の凹凸差が2μm以下であって、平坦な5μmの厚い錫めっき層の形成が可能である。また、条材1ははんだ付け性とはんだ濡れ性が良好である。
【0026】
比較例
実施例1でニッケル下地めっきした基材2を下記の浴組成の電気めっき浴に浸漬し、液温40℃および陰極電流密度8A/dmにおいて、強攪拌しながら60秒間めっきすることにより、厚さ3μmの錫表面めっき層5を形成する。
硫酸第一錫 60g/l
硫酸 40g/l
添加剤(市販の硫酸浴用の添加剤) 75ml/l
【0027】
得ためっき素材を第三燐酸ソーダに浸漬して洗浄してから乾燥する。このめっき素材を公知の溶融炉に導入し、該溶融炉内の酸素濃度は200ppmである。このめっき素材を溶融炉内で加熱し、この加熱で表面めっき層5が溶融した後に、これを5秒後に水の中へ送り込む。
【0028】
比較例では、厚さ3μmの錫表面めっき層を形成し、これに公知のリフロー処理を施している。得た条材は、リフロー処理時に酸素濃度が高く且つ急冷になっていないので、リフロー処理後において酸化皮膜が厚く、表面めっき層の凹凸差が3μmを超えている。この条材は、錫表面めっき層の膜厚にかなりの凹凸が生じ、はんだ付け性とはんだ濡れ性が悪い。
【0029】
実施例2
実施例1でニッケル下地めっきした基材2を下記の浴組成の電気めっき浴に浸漬し、液温25℃および陰極電流密度5A/dmにおいて、強攪拌しながら130秒間めっきすることにより、厚さ5μmの錫−銅合金の表面めっき層5を形成する。
ソフトアロイGSC(上村工業製) 116ml/l
ソフトアロイGCC(上村工業製) 10ml/l
ソフトアロイGAC(上村工業製) 200ml/l
ソフトアロイGTC−RS(上村工業製) 100ml/l
ソフトアロイGTC−RA(上村工業製) 90ml/l
【0030】
得ためっき素材7を第三燐酸ソーダに浸漬して洗浄してから乾燥する。めっき素材7を溶融炉8(図2)の上方から導入し、該溶融炉内の酸素濃度は50ppmである。めっき素材7を溶融炉8内で昇温させながら、約2秒後に2台の直火バ−ナ10,10によってその表裏面を850℃に直接加熱する。この加熱で表面めっき層5が溶融した後に、これを3秒後に冷却液12の中へ送り込んで実質的に急冷する。
【0031】
実施例2で得た条材1について、下記の表1および表2に示すように、表面めっき層5のめっき厚さおよびはんだ濡れ性などを測定する。得た条材1は、リフロー処理後において酸化皮膜の厚さが薄く、錫−銅合金の表面めっき層5の凹凸差が2μm以下であって、はんだ付け性が良好である。
【0032】
実施例3
実施例1でニッケル下地めっきした基材2を実施例1と同様に錫めっきする。ついで下記の浴組成の電気めっき浴に浸漬し、液温25℃および陰極電流密度4A/dmにおいて、強攪拌しながら30秒間めっきすることにより、厚さ2μmのビスマスめっき層を形成する。
アルカンスルホン酸ビスマス(品名:UTB PF-Bi、石原薬品製) 200g/l
アルカンスルホン酸(品名:UTB PF-Acid、石原薬品製) 50g/l
添加剤(品名:UTB 05M、石原薬品製) 30ml/l
【0033】
得ためっき素材7を第三燐酸ソーダに浸漬して洗浄してから乾燥し、その後、めっき素材7を溶融炉8(図2)の上方から導入し、該溶融炉内の酸素濃度は50ppmである。めっき素材7を溶融炉8内で昇温させながら、約2秒後に2台の直火バ−ナ10,10によってその表裏を850℃に直接加熱する。この加熱で表面めっき層5が溶融した後に、これを3秒以内に冷却液12の中へ送り込んで実質的に急冷する。
【0034】
実施例3では、表面めっき層5として、錫めっき5μmの上にさらにビスマスめっきを2μm形成した2層めっきとし、この後にリフロー処理している。表面めっき層5は、実質的に錫−ビスマス合金めっきである。実施例3で得た条材1について、下記の表1および表2に示すように、表面めっき層5のめっき厚さおよびはんだ濡れ性などを測定する。得た条材1は、リフロー処理後において酸化皮膜の厚さが薄く、錫−ビスマス合金の表面めっき層5の凹凸差が2μm以下であって、はんだ付け性が良好である。
【0035】
実施例4
幅35mm、厚み0.1mmの基材2は42%ニッケル−鉄合金(42アロイ)であり、該基材を陰極電解脱脂(NaOH:15%)ついで酸浸漬(HSO:10%)によって洗浄する。洗浄した基材2に銅下地めっき層3を形成するため、下記の浴組成の電気めっき浴に浸漬する。この浴条件は液温30℃および陰極電流密度20A/dm2であり、強攪拌しながら30秒間めっきすることにより、基材2に厚さ1.0μmの銅下地めっき層3を形成する。
シアン化第1銅 60g/l
シアン化ナトリウム 80g/l
酒石酸カリウムナトリウム 50g/l
チオシアン酸カリウム 10g/l
水酸化カリウム 10g/l
【0036】
次に、銅下地めっきした基材2を下記の浴組成の電気めっき浴に浸漬し、液温25℃および陰極電流密度10A/dmにおいて、強攪拌しながら50秒間めっきすることにより、厚さ4μmの錫表面めっき層5を形成する。
アルカノールスルホン酸第一錫(商品名:UTB AS-S、石原薬品製)600g/l
アルカノールスルホン酸(商品名:UTB MS-A、石原薬品製) 50g/l
添加剤(品名:UTB 519M、石原薬品製) 50ml/l
【0037】
ついで下記の浴組成の電気めっき浴に浸漬し、液温25℃および陰極電流密度1.0A/dmにおいて、強攪拌しながら120秒間めっきすることにより、厚さ1μmの銀めっき層を形成する。
シアン化銀 50g/l
シアン化ナトリウム 50g/l
炭酸カリウム 30ml/l
【0038】
得ためっき素材7を第三燐酸ソーダに浸漬して洗浄してから乾燥する。めっき素材7を溶融炉8(図2)の上方から導入し、該溶融炉内の酸素濃度は50ppmである。めっき素材7を溶融炉8内で昇温させながら、約2秒後に2台の直火バ−ナ10,10によってその表裏面を850℃に直接加熱する。この加熱で表面めっき層5が溶融した後に、これを3秒以内に冷却液12の中へ送り込んで実質的に急冷する。
【0039】
実施例4では、表面めっき層5として、錫めっき4μmの上にさらに銀めっきを1μm形成した2層めっきとし、この後に低酸素濃度雰囲気中でリフロー処理している。表面めっき層5は、実質的に錫−銀合金めっきである。実施例4で得た条材1について、下記の表1および表2に示すように、表面めっき層5のめっき厚さおよびはんだ濡れ性などを測定する。得た条材1は、リフロー処理後において酸化皮膜の厚さが薄く、錫−銀合金の表面めっき層5の凹凸差が2μm以下であって、はんだ付け性が良好である。
【0040】
【表1】
Figure 0004305699
【0041】
表1において、めっき厚分布は、蛍光X線膜厚計を用いて条材1の長手方向へ2mm間隔で測定する。
【0042】
【表2】
Figure 0004305699
【0043】
表2において、測定条件において、「常態」とはリフロー処理直後に測定し、「大気加熱後」とは温度155℃で16時間の大気加熱を施した後に測定し、「加湿後」とは温度60℃×湿度95%で168時間の加湿処理を施した後に測定し、「PCT(プレッシャークッカーテスト)後」とは温度121℃×湿度100%で2気圧 ×5時間の処理を施した後に測定する。
【0044】
また、測定項目について、「はんだ付け性」とは、20mm幅に切断した試料を用い、この試料を溶融した錫−鉛合金に浸漬して引き上げた後に、その表面がどれくらい新しいはんだで蔽われているかを面積比で表し、100%で完全である。この場合、溶融した錫−鉛合金は、Sn37%−Pbの共晶はんだであり、230℃に加熱し、ロジン25%のフラックスを使用する。「はんだ濡れ性」とは、溶融した錫−鉛合金に試料を浸漬し、はんだが濡れはじめるまでの時間をゼロクロスタイムとして測定する。専用の測定器(SAT5000、レスカ製)を使用し、数値は短いものほどよい。「硬度」とは、マイクロビッカース硬度計による測定値であり、数値が大きいものほど硬い。
【0045】
【発明の効果】
本発明の電子部品用錫系めっき条材は完全に鉛フリーであり、有毒な鉛を全く含有していないので、鉛による環境汚染の問題が生じることもない。しかも、本発明の錫系めっき条材は、100ppm以下の低酸素濃度の雰囲気下でリフロー処理によって酸化膜が薄く、はんだ付け性とはんだ濡れ性が良好になり、その保管状態が高温高湿での放置、例えば60℃、95%RHに達しても、ウィスカーの発生による短絡事故を発生することはない。
【0046】
本発明の錫系めっき条材は、厚さ3〜10μmという厚い表面めっき層が下地めっき上に形成されることにより、後加工の表面酸化などで錫めっき層が一部消失しても、電子部品用条材として最終のはんだ付け加工で接合不良を発生することがない。本発明の錫系めっき条材は、表面めっきを一般に電気めっき法で連続的に形成するので比較的コスト安であり、条材表面の凹凸差が約2μm以下であって表面の平滑さが高く、はんだ付け性およびはんだ濡れ性が優れている。
【0047】
本発明の錫系めっき条材の製造法では、リフロー処理において、溶融した後に直ちに冷却液へ送り込んで実質的に急冷することにより、表面めっき層の平滑性が優れ、条材のはんだ付け性および滑り性が良好になる。リフロー処理の際には、めっき素材を100ppm以下の低酸素濃度の雰囲気下で溶融し、めっき表面における酸化膜の生成を抑制している。また、表面に鉛フリーの錫または錫系めっきを施こすと、そのめっきが厚くてもめっき時間が比較的掛からずに大量生産に向いている。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の錫系めっき条材を例示する拡大断面図である。
【図2】 本発明の錫系めっき条材の製造装置を示す概略断面図である。
【符号の説明】
1 電子部品用錫系めっき条材
2 金属基材
3 下地めっき層
5 表面めっき層
8 低酸素濃度雰囲気の溶融炉
10,10 バ−ナ
12 冷却液

Claims (5)

  1. 平坦な金属基材の上に無鉛化の下地めっきを施し、さらに無鉛化した表面めっき層を全面または帯状に形成する電子部品用錫系めっき条材であって、表面めっき層は厚さ3〜10μmの錫または錫系合金からなり、100ppm以下の低酸素濃度の雰囲気下でめっき条材を800〜900℃に直接加熱して溶融した後に、直ちに冷却液に送り込むリフロー処理により、該リフロー処理後に表面めっき層の凹凸差が2μm以下になっている平滑性が高い電子部品用錫系めっき条材。
  2. 金属基材が鉄、銅、アルミニウム、ニッケルまたはこれらの合金であり、下地めっき層はニッケル、銅またはこれらの合金からなり、且つ表面めっき層は厚さ4〜10μmの無鉛化した錫または錫合金からなる請求項1記載の錫系めっき条材。
  3. 表面めっき層として、錫めっきの上にさらに銀、ビスマス、アンチモンまたはインジウムめっきを形成し、さらにリフロー処理で錫を溶融させることにより、該表面めっき層が実質的に無鉛化した錫系合金である請求項1記載の錫系めっき条材。
  4. 平坦な金属基材の上に無鉛化の下地めっきを施し、さらに電気めっき法で厚さ3〜10μmの錫または錫系合金の表面めっきを施し、得ためっき素材を溶融炉に導き、100ppm以下の低酸素濃度の雰囲気下において、該溶融炉内で昇温させながら少なくとも2台のバ−ナによって該条材の表裏面を800〜900℃に直接加熱して溶融した後に、直ちに冷却液へ送り込むことにより、平滑性が優れた表面めっき層を形成する電子部品用錫系めっき条材の製造法。
  5. めっき素材を100ppm以下の低酸素濃度の雰囲気下で溶融することにより、めっき表面における酸化膜の生成を抑制し、且つめっき素材を加熱する直火型バーナを冷却液の真上に設置することにより、溶融から凝固までの時間を短縮してめっき表面の平滑性を保たせる請求項4記載の製造法。
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