JP4303928B2 - 動力伝達ベルト - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、エチレン−α−オレフィンエラストマー、非移行性内部潤滑剤および共架橋剤の反応生成物を含むフリーラジカル硬化エラストマー組成物により特徴づけられる動力伝達ベルトに関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車のボンネット内での用途における高温、ならびに使用温度範囲をより広げ保証期間をより長くするようにというカスタマの要求のために、高温および低温での耐性が向上したベルト用エラストマーが求められるようになった。結果として、自動車のマルチVリブドベルト用途向けの主なエラストマーとして、エチレン−α−オレフィンポリマーがポリクロロプレンに取って代わった。
【0003】
しかし、エチレン−α−オレフィンエラストマーの知られている不利な点は耐磨耗性が劣ることである。このタイプのエラストマーに固有な独特の問題は動荷重および摩損磨耗により鎖が切断されやすいことである。マルチVリブドベルトの場合にはこの特質により「ピリング(pilling)」と呼ばれること、すなわちベルトの溝に粘着性の摩損材料がたまることが起こる。この現象はベルトの望ましくない騒音のよくある原因であり、極端な場合にはベルトの突然の破壊を招く可能性がある。
【0004】
エチレン−α−オレフィンベルトの耐ピリング性を向上させるいくつかの方法が知られており、従来技術として記載されている。耐ピリング性を向上させる1つの方法には、エチレン含量の多いエチレン−α−オレフィンエラストマーを使用することが含まれる。この手法の1つの不利な点は、これらのエラストマーの高エチレングレードが、動力伝達ベルトの製造において通常使用されるオープンミルおよびカレンダで加工することが困難であるということである。高エチレン含量エチレン−α−オレフィンエラストマーはガラス転移温度が高く結晶化度が高いために、エチレン含量が少ない比較のエラストマーより低温特性が劣っている。
【0005】
エチレン−α−オレフィン系コンパウンドの耐ピリング性を向上させる別の手法は、テナシティが大きく耐摩耗性である繊維、特にKevlar、TwaronおよびTechnoraの商標で販売されているものなどのアラミド繊維を組み込むことである。耐ピリング性を改善するためにこのような繊維を用いることは、Yarnell他(米国特許第5,610,217号)、Sedlacek(米国特許第4,798,566号)およびTakehara他(米国特許第6,177,202)号を含むいくつかの先行する刊行物に記載されている。このような繊維が組み込まれたマルチVリブドベルトの溝がカッティングあるいはグラインディングにより形成されるとき、これらの繊維の一部分が露出しリブ表面から突き出る。これらの繊維は、ベースエラストマー自体の耐ピリング性を向上させることによるよりもむしろ、本質的にはベースエラストマーとベルトプーリの接触を最少化するように機能する。しかし、このような繊維を使用することの主な不都合は、動力伝達ベルトに通常用いられる他の繊維に比べてかなり高いそれらのコストである。例えば、アラミド繊維の原材料コストは典型的には、適切なコットン繊維のコストの20倍を超える。さらに、アラミド繊維は通常のゴム混合装置で効果的に分散させるのが難しく、したがってより念入りでよりコストのかかる混合手法を必要とする。
【0006】
マルチVリブドベルトのピリングの問題を克服する第3の手法は、ベルトリブ表面に移行してベルトとプーリの間の接触部分で潤滑作用をする材料をエラストマーコンパウンドに組み込むことである。この手法の例はConnell他(米国特許第5,284,456号)により記載された、ポリシロキサン材料の利用である。しかし、この方法にはいくつかの不利な点がある。動力伝達ベルトとプーリ表面の間の摩擦を減らすことにより負荷伝動力が制限される。さらに、このような材料の移行速度は雰囲気条件に強く依存し、そしてベルト表面のレベルは環境条件と使用頻度のいずれにも依存する。このために、極度に広い使用温度域と使用サイクルが要求される自動車用途では、ある条件では表面の潤滑性が不十分で、別の条件では潤滑性が過剰であるということになる。
【0007】
動力伝達ベルトに用いられるエラストマー組成物に必要な不可欠な性質は動的状態でいつでも負荷を伝達できることである。したがって、この用途で用いられるコンパウンドには通常高レベルの強化微粒子フィラーが含まれている。カーボンブラックおよびシリカは最も広く用いられる2つの強化微粒子フィラーである。残念ながら、動力伝達ベルトで用いられた場合、これらのフィラーにはいくつかの不都合な点がある。不都合な点の1つは、変形サイクル毎に歪みエネルギーインプットが増加するために、これらのレベルに比例してこれらが耐屈曲/疲労性を低下させることである。高レベルの強化微粒子フィラーを含むコンパウンドの別の不都合はコンパウンドのヒステリシスが大きくなることであり、このことは動荷重のもとでコンパウンドにより散逸されるエネルギーの量に関係する。動荷重のもとで高ヒステリシスコンパウンドは低ヒステリシスコンパウンドより熱の蓄積が大きく、熱エージングプロセスを加速し、またそのため早い時期に破損してしまう。高ヒステリシスコンパウンドはまた、比較の低ヒステリシスコンパウンドより耐磨耗、特にピリング性が劣る。
【0008】
動力伝達ベルトに非移行性の内部潤滑剤を使用することが、例えばBrew(米国特許第4,464,153号)、Standley(米国特許第4,244,234号)およびHenderson他(米国特許第4,032,768号)により記載されている。これらのすべての場合において、潤滑剤はベルトとプーリの間の摩擦係数を低下させるのに用いられた。多くの用途で、特にマルチVリブドベルトでは、摩擦係数はベルトドライブのデザインあるいはカスタマの要求に対応するある最小値より上に維持されなければならない。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
許容できる負荷伝動力を維持したままで、エチレン−α−オレフィンエラストマーの耐磨耗性を改良しヒステリシスを最小化する既知の方法に関連する不都合のために、高エチレンポリマー、アラミド繊維、移行性潤滑剤あるいは高レベルの強化微粒子フィラーを使用する必要がなく、ヒステリシスが小さく耐磨耗、特にピリング性に優れるエチレン−α−オレフィンエラストマーが求められている。さらに、エラストマーと標準ベルトプーリの間の摩擦係数を低下させることなくこれらの要求を満たすことが求められている。
【0010】
(1)テンション部分;
(2)クッション部分;
(3)前記テンション部分と前記クッション部分の間に配置される荷重支持部分(load−carrying section)を有するエンドレス動力伝達ベルトであって、
前記テンション部分、前記クッション部分および前記荷重支持部分の少なくともひとつが、
(a)エチレン−α−オレフィンエラストマー;
(b)ゴム全体の100重量部(phr)あたり10から100重量部のグラファイト;および
(c)20から60重量部(phr)のα,β−不飽和有機酸の金属塩
の反応生成物を含むフリーラジカル硬化エラストマー組成物を含むベルトによって前記課題は解決される。
【0011】
【発明の実施の形態】
ここで、全体として参照番号20により指定される、エンドレス動力伝達ベルト構造体あるいは本発明のベルトが例示される図1を参照する。ベルト20は当技術分野において知られている技術に従って、関連するシーブ(sheave)で使用されるのに特に向いている。このベルトは、短距離センタードライブ、運動機具、自動車の駆動、農業機械、いわゆるトルクセンシングドライブ、変動するベルトテンションの衝撃荷重がベルトに加えられる用途、様々な速度でベルトを走行させる用途、そのテンションを制御するためにベルトがスプリング負荷方式(spring−loaded)である用途などに特に適している。
【0012】
ベルト20はテンション部分21、クッション部分23およびテンション部分21とクッション部分23の間に配置される荷重支持部分25を含む。ベルト20は任意選択で、ファブリックでコートされている駆動表面28と3つのリブあるいはVに接着している内側層(ply)あるいは内部ファブリック層(示されていない)を有していてもよい。図1のベルト20はファブリックの裏打ち30を有する。このファブリック裏打ち30は、2方向性(bidirectional)ファブリック、不織布、織布あるいは編物でありうる。ファブリック裏打ち層30を、フリクション加工、浸漬、散布、コートあるいはラミネートすることができる。
【0013】
荷重支持部分25は、当技術分野においてよく知られている技術に従って、エラストマーのクッションあるいはマトリックス33に適切に埋め込まれた荷重支持コード31あるいはフィラメントの形の荷重支持手段を有する。当技術分野において知られており用いられている適切な材料の何れかで、コード31あるいはフィラメントをつくることができる。このような材料の代表的な例には、アラミド、ガラス繊維、ナイロン、ポリエステル、コットン、スチール、炭素繊維およびポリベンゾオキサゾールが含まれる。
【0014】
図1のベルト20の駆動表面28には、複数のV溝が存在する。本明細書においては、他の実施形態と合わせて、本発明のベルトにはベルトの駆動表面がフラット、単一V溝およびシンクロナスであるベルトも含まれると想定されている。シンクロナスの代表的な例には、台形あるいは曲線の歯(tooth)を有するベルトが含まれる。歯のデザインは米国特許第5,209,705号および5,421,789号に示されるようなヘリカルオフセット歯デザインでもよい。
【0015】
図1のベルト20は1つの駆動表面28を有する。しかし、本明細書では、ベルトは、両面ベルトのように駆動表面が2つ(示されていない)あってもよい。このような事例では、本明細書に記載されるように、片方あるいは両方の駆動表面にファブリックがあってよい。好ましくは、ベルト20の駆動表面は1つである。
【0016】
テンション部分21、クッション部分23および荷重支持部分25に用いられるエラストマー組成物は同一であってもよいし異なっていてもよい。
【0017】
テンション部分21および/またはクッション部分23および荷重支持部分25に用いられるエラストマー組成物は、エチレン−α−オレフィンゴムあるいはエラストマーを含む。エチレン−α−オレフィンゴムあるいはエラストマー以外に、さらなるゴムを用いてもよい。一般的に言えば、ゴム全体の50から100重量部がエチレン−α−オレフィンエラストマーである。好ましくは、70から100重量部がエチレン−α−オレフィンエラストマーである。エチレン−α−オレフィンエラストマーには、エチレンとプロピレン単位(EPM)、エチレンとブテン単位、エチレンとペンテン単位あるいはエチレンとオクテン単位(EOM)からなるコポリマー、ならびにエチレンおよびプロピレン単位と不飽和成分(EPDM)、エチレンおよびブテン単位と不飽和成分、エチレンおよびペンテン単位と不飽和成分、エチレンおよびオクテン単位と不飽和成分からなるターポリマー、ならびにこれらの混合物が含まれる。ターポリマーの不飽和成分として適切な非共役ジエンの何れかを用いることができ、例えば1,4−ヘキサジエン、ジシクロペンタジエンあるいはエチリデンノルボルネン(ENB)が含まれる。本発明に好ましいエチレン−α−オレフィンエラストマーは、約35重量パーセントから約90重量パーセントのエチレン単位、約65重量パーセントから約5重量パーセントのプロピレンあるいはオクテン単位、および0から10重量パーセントの不飽和成分を含む。より好ましい実施形態において、エチレン−α−オレフィンエラストマーは、約50重量パーセントから約70重量パーセントのエチレン単位を、そして最も好ましい実施形態においては、エチレン−α−オレフィンエラストマーは約55重量パーセントから約65重量パーセントのエチレン単位を含む。最も好ましいエチレン−α−オレフィンエラストマーはEPDMである。
【0018】
エチレン−α−オレフィンエラストマーに加えてあるゴムを用いることが望ましい場合、このさらなるゴムは、用いられるゴムの全体の0から50重量部の範囲にあるであろう。このようなゴムを、シリコーンゴム、ポリクロロプレン、エピクロロヒドリン、アクリロニトリルゴム、水素化アクリロニトリルゴム、不飽和カルボン酸の亜鉛塩エステルグラフト水素化ニトリルブタジエンエラストマー(zinc salt of unsaturated carboxylicacid ester grafted hydrogenated nitrile butadien elastomer)、天然ゴム、合成のシス−1,4−ポリイソプレン、スチレンブタジエンゴム、エチレン−酢酸ビニルコポリマー、エチレン−メタクリレートコポリマーおよびターポリマー、塩素化ポリエチレン、クロロスルホン化ポリエチレン、アルキル化クロロスルホン化ポリエチレン、トランスポリオクテナマー(trans−polyoctenamer)、ポリアクリルゴム、非アクリレート化(non−acrylated)シスー1,4−ポリブタジエン、およびこれらの混合物からなる群から選択することができる。好ましくは、エラストマー全体の100重量部のうち、0から30重量部が1種または複数の前記ゴムである。
【0019】
テンション部分、クッション部分、荷重支持部分、これらの部分のうちの2つあるいは3つの部分すべてに、エチレン−α−オレフィンエラストマーおよび任意選択で第2のゴムを含むエラストマー組成物を用いることができる。好ましくは、このエラストマー組成物はクッション部分に用いられる。
【0020】
本発明のベルトに用いられるエラストマー組成物は非移行性内部潤滑剤を含む。用語「非移行性」は、エラストマーマトリックス内を動くかあるいは移動する潤滑剤を除外しようとするものである。用語「非移行性」から除外されるこのような移行性潤滑剤の代表的な例は、オイル、ポリシロキサン、あるいはワックスである。用語「内部」は、潤滑剤がエチレン−α−オレフィンエラストマーを含むコンパウンドに混ざっているかあるいは一体化されているということを表わそうとするものである。本発明で用いられる適切な非移行性内部潤滑剤の代表的な例には、グラファイト、二硫化モリブデン、ポリテトラフルオロエチレンおよびこれらの混合物が含まれる。グラファイトは天然産あるいは合成品であってよい。内部潤滑剤のレベルは10から100phrで変化しうる。好ましくは、このレベルは10から60phrの範囲であろうし、20から40phrの範囲が最も好ましい。
【0021】
フラーラジカル架橋反応がベルトのゴム含有組成物を硬化するのに用いられる。この反応はUV硬化システムあるいは過酸化物硬化システムによることができる。用いることができる過酸化物のよく知られた種類にはジアシルペルオキシド、ペルオキシエステル、ジアルキルペルオキシドおよびペルオキシケタールが含まれる。具体例には、ジクミルペルオキシド、n−ブチル−4,4−ジ(t−ブチルペルオキシ)バレレート、1,1−ジ(t−ブチルペルオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ジ(t−ブチルペルオキシ)シクロヘキサン、1,1−ジ(t−アミルペルオキシ)シクロヘキサン、エチル−3,3−ジ(t−ブチルペルオキシ)ブチレート、エチル−3,3−ジ(t−アミルペルオキシ)ブチレート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキサン、t−ブチルクミルペルオキシド、α,α’−ビス(t−ブチルペルオキシ)ジイソプロピルベンゼン、ジ−t−ブチルペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキシン−3、t−ブチルパーベンゾアート、4−メチルー4−t−ブチルペルオキシ−2−ペンタノンおよびこれらの混合物が含まれる。好ましい過酸化物は2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキサンである。過酸化物の通常の量は0.1から12phr(過酸化物の活性部分に基づいて)範囲である。好ましくは、過酸化物の量は2から6phrの範囲である。
【0022】
共架橋剤はフリーラジカル架橋反応の間存在する。共架橋剤は、架橋特性向上のためにフリーラジカル開始剤と共に用いられる、1官能性および多官能性不飽和有機化合物である。代表的な例には有機アクリレート、有機メタクリレート、α,β−不飽和有機酸の金属塩およびこれらの混合物が含まれる。
【0023】
共架橋剤はある範囲のレベルで存在することができる。一般的に言えば、共架橋剤は0.1から100phrの範囲の量で存在する。当然、共架橋剤のレベルは用いられる共架橋剤により変わるであろう。好ましくは、共架橋剤は20から60phrの範囲の量で存在する。
【0024】
前記のように、共架橋剤の1種はアクリレートおよびメタクリレートである。このような共架橋剤の代表例には、2、3、4および5官能性アクリレート、2、3、4および5官能性メタクリレートおよびこれらの混合物が含まれる。このような共架橋剤の具体例には、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、2−フェノキシエチルアクリレート、アルコキシ化(alkoxylated)ジアクリレート、アルコキシ化ノニルフェノールアクリレート、アリルメタクリレート、カプロラクトンアクリレート、シクヘキサンジメタノールジアクリレート、シクロヘキサンジメタノールメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、エトキシ化(ethoxylated)トリメチロールプロパントリアクリレート、エトキシ化ビスフェノールAジメタクリレート、エトキシ化ノニルフェノールアクリレート、エトキシ化テトラブロモビスフェノールAジアクリレート、エトキシ化ビスフェノールAジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、グリシジルメタクリレート、高プロポキシ化(highlypropoxylated)グリセリルトリアクリレート、イソボルニルアクリレート、イソボルニルメタクリレート、イソデシルアクリレート、イソデシルメタクリレート、イソオクチルアクリレート、ラウリルアクリレート、メトキシポリエチレングリコールモノメタクリレート、メトキシポリエチレングリコールモノアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、オクチルデシルアクリレート、ペンタアクリレートエステル、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、プロポキシ化グリセリルトリアクリレート、プロポキシ化ネオペンチルグリコールジアクリレート、プロポキシ化アリルメタクリレート、プロポキシ化グリセリルトリアクリレート、プロポキシ化トリメチロールプロパントリアクリレート、プロポキシ化トリメチロールプロパントリメタクリレート、ステアリルアクリレート、ステアリルメタクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、トリデシルアクリレート、トリデシルメタクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、3官能アクリレートエステル、3官能メタクリレートエステル、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジメタクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリアクリレートおよびトリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリメタクリレートが含まれる。
【0025】
α,β−不飽和有機酸の金属塩にはアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、エタクリル酸、ビニルアクリル酸、イタコン酸、メチルイタコン酸、アコニット酸、メチルアコニット酸、クロトン酸、α−メチルクロトン酸、ケイ皮酸および2,4−ジヒドロキシケイ皮酸を含む酸の金属塩が含まれる。金属は、亜鉛、カドミニウム、カルシウム、マグネシウム、ナトリウムあるいはアルミニウムでありうる。ジアクリル酸亜鉛およびジメタクリル酸亜鉛が好ましい。
【0026】
通常のカーボンブラックもまた組成物中に存在してもよい。このようなカーボンブラックは、0から250phrの範囲の量で用いられる。本発明の1つの利点はこのような強化フィラーを無くすこともできるということである。用いることができるカーボンブラックの代表的な例には、それらのASTM呼称、N110、N121,N242、N293、N299、S315、N326、N330、M332、N339、N343、N347、N351、N358、N375、N550、N582、N630、N624、N650、N660、N683、N754、N762、N907、N908、N990およびN991により知られるものが含まれる。
【0027】
本発明の動力伝達ベルトを製造するためのゴム組成物の強度と一体性を増すために、様々なカーボンブラック以外の強化ファラーおよび/または強化剤を加えることができる。強化剤の例はシリカ、タルク、炭酸カルシウムなどである。約0から80phrの量でこのようなカーボンブラック以外の強化剤を用いることができ、好ましくは約0から20phrである。
【0028】
ゴム組成物は、様々なゴム成分と、例えば硬化剤とオイルなどの加工助剤、粘着性付与樹脂を含む樹脂と可塑剤、フィラー、顔料、脂肪酸、ワックス、抗酸化剤および抗オゾン剤などの通常用いられる様々な添加剤を混合することなどの、ゴム混練技術において広く知られている方法により混練されるであろうということが、当分野の技術者により容易に理解される。前記の添加剤は選ばれ通常の量で広く用いられている。
【0029】
用いられる場合、粘着性付与樹脂(tackifier resin)の通常の量は約0.5から約10phr、普通約1から約5phrである。加工助剤の通常の量は約1から約50phrである。このような加工助剤には、例えばポリエチレングリコール、ナフテン系および/またはパラフィン系オイルを含めることができる。抗酸化剤の通常の量は約1から約5phrである。代表的な抗酸化剤はトリメチル−ジヒドロキノリンである。用いられる場合、脂肪酸(ステアリン酸を含めることができる)の通常の量は、約0.5から約3phrである。ワックスの通常の量は約1から約5phrである。マイクロクリスタリンおよびカルバナワックスがしばしば用いられる。用いられる場合、可塑剤の通常の量は1から100phrである。このような可塑剤の代表的例にはセバシン酸ジオクチル、塩素化パラフィンなどが含まれる。
【0030】
エラストマー組成物はまた全体に分散する繊維あるいはフロック(flock)を含んでいてもよい。エマストマー混合物に均一に分散される繊維あるいはフロックは何らかの適切な材料でよく、好ましくはコットンなどの非金属繊維あるいはアラミド、ナイロン、ポリエステル、ガラス繊維などを含む適切な合成材料からなる繊維である。各繊維の直径は0.001インチから0.050インチ(0.025mmから1.3mm)の間の範囲であり、長さは0.001インチから0.5インチ(0.025mmから12.5mm)の間の範囲である。5から50phrの範囲の量で繊維を用いることができる。
【0031】
ゴム混合技術の分野の技術者に知られている方法により、ゴム組成物の混合を完全に実施することができる。例えば、1段階で成分を混合することもできるが、通常少なくとも2段階で、すなわち少なくとも1回の非生産的(non−productive)段階に続く生産的混合(productive mix)段階で混合される。架橋剤を含む最後の硬化剤は通常、先行する(複数の)非生産的混合段階の(複数の)混合温度より低いある温度、あるいは極限温度で通常混合がおこなわれる「生産的」混合段階と普通言われる最後の段階で混合される。
【0032】
ベルトで用いられるゴム組成物の硬化は一般に、約160℃から190℃の範囲の通常の温度で実施される。好ましくは、この硬化は約170から180℃の範囲の温度で実施される。
【0033】
当分野の技術者に知られているように、ドラム装置上で動力伝達ベルトをつくり上げることができる。最初に、裏打ちがシートとしてドラムに当てられる。次に、シートとしてすべてのテンション部分が当てられ、続いてドラムにコードあるいは引張り部材(荷重支持部分)を巻き付ける。その後クッション部分、続いてファブリック(用いられる場合に)を当てる。組合せられたラミネートあるいはスラブとドラムをモールドの中に入れ硬化させる。当分野の技術者に知られているやり方で、硬化後、リブをスラブに切り込み、スラブはベルトに切断される。
【0034】
実施例1
表1に示される配合処方で3試料をつくった。試料1は非移行性潤滑剤を含まないコントロールと考えられている。試料3は共架橋剤を含まないコントロールと考えられている。過酸化物以外のすべての成分を混合の非生産的段階に加えた。
【0035】
【表1】
【0036】
【表2】
コントロール試料1および試料2はカーボンブラックとグラファイトの比較である。グラファイトベルトでは耐屈曲性の向上が見られ、耐ピリング性がカーボンブラック充填ベルトより優れていた。
【0037】
試料2とコントロール試料3はZDA添加とZDA非添加グラファイトコンパウンドの比較である。ZDA非添加コンパウンドは耐久時間が低下し、またピリング試験でずっとひどいピリングが起こった。
【0038】
本発明のこの例示的実施形態とそれを実施する方法が示され記載されたが、本発明は特許請求の範囲内で別な仕方で様々に具体化され実施されうるということが認められるであろう。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のエンドレス動力伝達ベルトの一実施形態を示す部分斜視図である。
【符号の説明】
20 エンドレス動力伝達ベルト構造体(本発明のベルト)
21 テンション部分
23 クッション部分
25 荷重支持部分
28 駆動表面
29 リブ(V)
30 裏打ちファブリック
31 荷重支持コード
33 エラストマーのクッション(マトリックス)
Claims (3)
- (1)テンション部分;
(2)クッション部分;
(3)前記テンション部分と前記クッション部分の間に配置される荷重支持部分を有するエンドレス動力伝達ベルトであって、
前記テンション部分、前記クッション部分および前記荷重支持部分の少なくともひとつが、
(a)エチレン−α−オレフィンエラストマー;
(b)ゴム全体の100重量部(phr)あたり10から100重量部のグラファイト;および
(c)20から60重量部(phr)のα,β−不飽和有機酸の金属塩
の反応生成物を含む、フリーラジカル硬化エラストマー組成物を含むベルト。 - 前記エラストマー組成物が、
(1)50から100重量部のエチレン−α−オレフィンエラストマー;および
(2)0から50重量部の、シリコーンゴム、ポリクロロプレン、エピクロロヒドリンゴム、アクリロニトリルゴム、水素化アクリロニトリルゴム、不飽和カルボン酸亜鉛塩エステルグラフト水素化ニトリルブタジエンエラストマー、天然ゴム、スチレンブタジエンゴム、エチレン−酢酸ビニルコポリマー、エチレン−メタクリレートコポリマーおよびターポリマー、塩素化ポリエチレン、クロロスルホン化ポリエチレン、アルキル化クロロスルホン化ポリエチレン、トランスポリオクテナマー、ポリアクリルゴム、およびこれらの混合物からなる群から選択されるゴム
を含むことを特徴とする請求項1に記載のエンドレス動力伝達ベルト。 - 前記エラストマー組成物が、ジアシルペルオキシド、ペルオキシエステル、ジアルキルペルオキシドおよびペルオキシケタールからなる群から選択される過酸化物で硬化されたことを特徴とする請求項1に記載のエンドレス動力伝達ベルト。
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