JP4301789B2 - 特定植物属の検出方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば、そば、落花生、小麦、大豆等のアレルギーを引き起こす恐れのある植物のような特定の植物が属する植物属(特定植物属)を検出対象とし、当該特定植物属の植物が1種でも食品原料や製品等に含まれていた場合に、その量が微量であっても高感度で検出することを可能とする新しい検出方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、45S rRNA前駆体遺伝子(Small Subunit ribosomal RNA(SSU rRNA)遺伝子〜Internal Transcribed Spacer-1(ITS-1)〜5.8S ribosomal RNA(5.8S rRNA)遺伝子〜Internal Transcribed Spacer-2(ITS-2)〜Large Subunit ribosomal RNA(LSU rRNA)遺伝子)配列は種の分類に使われており、例えばShin JH, et al., J. Clin. Microbiol., 37:165-170(1999)には、5.8S rRNAと28S rRNA(LSU rRNA)遺伝子配列上の2個のプライマーとITS-2配列上の5種のカンディダ(カビ)それぞれの種に特異的なプローブを用いて、当該5種のカンディダ(カビ)を個々に検出し、その種を識別する方法が開示されている。しかし、当該検出、識別する方法はカビを対象とするものであり、且つITS-1またはITS-2配列中の塩基配列と相補的に結合するプライマーを使用するものではない。また、あくまでも“属”という範囲においてその中の“種”を特定する方法であり、アレルギー原因植物の混入評価に比べ高感度な検出方法である必要性もなく、さらには検出感度についての言及もない。また、プローブを用いる場合は、試薬や装置等が高くなりコストメリットに欠ける。
Proft J, et al., Parasitol. Res., 85:837-843(1999)には、5.8S rRNA遺伝子配列上のプライマーとITS-2配列上の6種のハマダラ蚊それぞれの種に特異的なプライマーを用いて、PCR法によって得られた増幅産物の長さを指標にして、ある選択されたハマダラ蚊が上記6種のハマダラ蚊のどの種に属するかを識別する方法が開示されている。しかし、当該識別は蚊を対象とするものであり、且つ混合物中に蚊が存在するか否かを検出するものではなく、予め選択された単体の蚊の種を識別するための方法が開示されているにすぎない。また、上記と同様にあくまでも“属”という狭い範囲においてその中の“種”を特定する方法であり、アレルギー原因植物の混入評価に比べ高感度な検出方法である必要性もなく、さらには検出感度についての言及もない。
Allmann M, et al., Z Lebensm Unters Forsch, 196:248-251(1993)には、25S rRNA(LSU rRNA)と18S rRNA(SSU rRNA)遺伝子配列との間のIGS配列上の小麦に特異的なプライマーを使用して、非小麦食品中の小麦の存否を検出しようとする方法が開示されている。しかし、この方法ではIGS配列に関する情報が少ない状況下でプライマーを設計することになり、その結果、上記プライマーのシミュレーション等による特異性確認が困難となり、得られた検出結果の信憑性に欠けるという問題がある。
このように、従来の技術は特定の種を検出識別しようとするもので、混合物中に特定の属のものが1種でも含まれていた場合の検出方法に関するものではない。また、幾つかの種にまたがる共通のプライマー配列は、SSU rRNA、5.8S rRNA、LSU rRNA遺伝子配列上にあり、ITS-1やITS-2配列にかかる部分に幾つかの種にまたがる共通のプライマーを見出しているものではない。
【0003】
【非特許文献1】
「ジャーナル オブ クリニカル マイクロバイオロジー(Journal of Clinical Microbiology)」,(米国),アメリカン ソサエティー フォア マイクロバイオロジー(American Society for Microbiology),1999年,第37巻,第1号,p.165−170
【非特許文献2】
「パラサイトロジー リサーチ(Parasitology Research)」,(独国),スプリンガー ヴェルラグ(Springer-Verlag),1999年,第85巻,第10号,p.837−843
【非特許文献3】
「ツァイトシュリフト フューア レーベンスミッテル ウンターズフング ウント フォルシュング A(Zeitschrift fur Lebensmittel-Untersuchung und -Forschung A)」,(独国),スプリンガー ヴェルラグ(Springer-Verlag),1993年,第196巻,第3号,p.248−251
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、食品原料や製品中に特定植物属、殊にそば属等のアレルギー原因植物属の植物が1種でも混入していた場合に高感度、例えば1ppmレベルで検出することが可能な検出方法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
アレルギーを起こす恐れのある食品原料、特にアレルギー原因植物属の植物は、生産、流通、加工段階での意図しない微量の混入も起こり得るため、食品原料ないし製品の提供者としてはそれらにアレルギー原因植物属の植物が混入されているか否かの品質管理を行うことが重要である。
例えば、そばについては、そば殻枕で発症した患者の例や、アナフィラキシーショックにより死亡した患者の例等が報告されているように、極微量のそばがそばアレルギー患者に重篤な症状をもたらす危険性があるにも関わらず、世の中にはそばの検出方法なるものが存在しない。食品の原料や製品にそばが混入する場合として、例えばそば以外の原料植物を栽培している土地の近くに生えているそばが収穫段階で混入するケース等が考えられる。従って、特に、そばの意図しない微量な混入を知るにはできるだけ高感度、例えば混入率が1ppmレベルであっても検出可能なそば検出方法を確立することが望まれる。さらに、一般に穀物アレルギーでは分類学的に近縁な場合に共通抗原性がある可能性が高く、食用そばだけに限定せず、そば属に含まれる植物を広く特異的に検出する方法を確立することが望まれる。
【0006】
落花生の検出方法については落花生特有の蛋白質に特異的な抗体を用いて検出する、検出感度が2.5ppmのELISAキットが販売されており、世の中で利用されている。しかし、ELISAで陽性が出た場合、疑陽性かどうかはWestern Blot等によりさらに詳細に確認することは可能であるが、あくまで抗原抗体反応の起きた蛋白質のサイズでしか確認できない。また、落花生に特有のDNAを検出する方法は報告されていない。様々な加工処理工程を経た食品原料や製品には検出対象として蛋白質だけではなく、蛋白質よりも加工処理に比較的強いとされるDNA配列等を標的にした検出方法の確立が求められている。また、そばの場合と同様に、落花生属に含まれる植物を広く特異的に検出する方法を確立することが望まれる。このように、アレルギー原因植物属の植物が食品原料や製品等の中に1種でも混入している場合に高感度で検出することが重要課題である。
【0007】
遺伝子組換え作物などの場合、検出対象とするDNA配列は組換えられたDNA配列に限定される。一方、自然界にもともと存在している植物の場合、無数にあるDNA配列からどの配列を検出対象に選ぶか、さらには様々な植物についてその配列を検出対象として選ぶ有効性や汎用性があるかということに関しては、明確な知見がなかった。検出対象とする植物に特異的なタンパク質を選定して、そのタンパク質をコードするDNA配列を検出の標的とすることも行われているが、この場合、個々の植物に対して個別に特異的なタンパク質を選定する必要がある。また、この様な特異的タンパク質が選定できたとしても、そのDNA配列のコピー数が少ないと、必要な検出感度が得られない場合があり、微量に混入する植物の検出には不都合がある。
【0008】
このような状況の中で、本発明者らは食品原料や製品中にアレルギー原因植物属等の植物が1種でも混入されていた場合にも確実にそれを検出することができる方法を開発すべく、検出対象となる植物属の遺伝子配列に着目して鋭意研究を重ねた。食品原料や製品中に特定の1種の植物が混入しているか否かを検出するためには、当該植物に特異的な遺伝子配列が食品原料や製品中から検出されるか否かを実施すればよい。しかし、特定植物属の植物が1種でも混入している場合を検出しようとすると、上記方法では属の複数種の植物それぞれについて同様の操作を複数回繰り返す必要があり、非常に煩雑で且つ非効率的である。
こうした問題を解決するために更に研究を進め、まずそば属の植物の21種の遺伝子配列と他属の植物の遺伝子配列の情報を収集し、いろいろな角度から種々検討した結果、そば属の植物21種の遺伝子配列中に、そば属の遺伝子配列に共通で他属の植物の遺伝子配列とは異なる特異的な配列が存在することを知見した。この知見を落花生属等の他の植物属についても検証した結果、同様の傾向があるとの知見をも併せ得た。
こうした知見から、植物DNA中に非常にコピー数の多い配列として存在し、かつ、様々なアレルギー原因植物属それぞれに特異的な配列であることを兼ね備えた配列として、45S rRNA前駆体遺伝子の配列を利用した検出方法が所期の目標を達成するのに有効であるとの知見を得た。PCRで陽性が出た場合には、ELISAと違って増幅産物のサイズだけではなく、増幅産物をシークエンスすることにより、さらに詳細な配列まで解析できるため、疑陽性かどうかをより正確に確認することができる。また、ITS-1又はITS-2配列を含む部分を検出対象として選定すれば、特異性を確保したり、属に含まれる植物に共通な部分を選定することができて、混合物中に微量に存在する特定植物属の植物を検出するのに有効であるという知見が得られた。また、45S rRNA前駆体遺伝子の配列は植物一般が持っている配列であるため、様々な植物にも適用できるという利点もある。
かかる知見に基づいて、本発明を完成するに至った。なお、以下に記載する検出方法はアレルギー原因植物属に限らず、他の植物属の植物の検出方法としても有効であるとの知見も併せ得た。
【0009】
従って、本発明は、45S rRNA前駆体遺伝子配列中で特定植物属に共通する塩基配列を有する核酸分子とストリンジェントな条件下でハイブリダイズし得るプライマーであって、該核酸分子とハイブリダイズしたときに3'末端が特定植物属のITS-1配列中の塩基と相補的に結合するプライマー(A)又はITS-2配列中の塩基と相補的に結合するプライマー(B)を1種以上使用したPCRの後、特定植物属のITS-1又はITS-2配列の少なくとも一部を含むPCR増幅産物の存在を指標として特定植物属の存在を検出することを特徴とする検出方法である。
【0010】
なお、「ストリンジェントな条件下でハイブリダイズする」とは、2つのDNA断片がSambrook Jらによって記載されたような標準的なハイブリダイゼーション条件下で、相互にハイブリダイズすることを意味する(Expression of cloned genes in E. coli(Molecular Cloning:A laboratory manual(1989))Cold Spring harbor Laboratory Press, New York, USA, 9. 47-9. 62及び11.45-11.61)。より具体的には、例えば以下の式で求められるTm値を基準としてハイブリダイゼーション及び洗浄(例えば約2.0×SSC、50℃)を行うことを意味する。
Tm=81.5+16.6(log10[Na+])+0.41(fraction G+C)−(600/N)
また、本明細書でいう属とは、属に含まれる植物全部を含むもの、又は属に含まれる植物の中から選んだ幾つかの種を含むものを意味する。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明の検出対象である特定植物属はいかなる植物属であってもよいが、食品原料や製品中における特定植物属の植物の極微量の存在を検出することが可能であることから、そば属、落花生属、小麦属及び大豆属等のアレルギー原因となる植物属の植物の混入の有無を検出するのに特に有効である。
本発明は、45S rRNA前駆体遺伝子配列中で特定植物属に共通する塩基配列を有する核酸分子とストリンジェントな条件下でハイブリダイズし得るプライマーであって、該核酸分子とハイブリダイズしたときに3'末端が特定植物属のITS-1配列中の塩基と相補的に結合するプライマー(A)又はITS-2配列中の塩基と相補的に結合するプライマー(B)を1個以上使用して被検査対象試料から抽出したDNAをPCRに供するが、PCRに当たっては、例えばSaiki RK, et al., Science, 230:1350-1354(1985)や植物細胞工学別冊、植物のPCR実験プロトコール、島本功・佐々木卓治監修(1995年)等に記載されている通常の方法に基づき、変性、アニーリング、伸長の各ステップの温度と時間、酵素(DNAポリメラーゼ)の種類と濃度、dNTP濃度、プライマー濃度、塩化マグネシウム濃度、鋳型DNA量等の条件を適宜、変更し最良のものを選択する。
また、PCR増幅で使用するプライマーとテンプレートDNAのアニーリング温度を、HYB Simulator TM version 4.0(Advanced Gene Computing Technologies, Inc.)やPrimer Express TM version 1.5(PE Applied Biosystems社)等の市販ソフトで算出した該プライマーのTm値よりも高い温度、好ましくはTm値+10〜+3℃に設定してPCR増幅を行い、次いでアニーリング温度を該プライマーのTm値近傍、好ましくはTm値+7〜±0℃の温度に設定してPCR増幅を行うこともできる。
【0012】
次に、食品原料や製品等の被検査対象試料から抽出したDNAのPCR後の反応液を、例えば電気泳動によって解析して特定植物属が被検査対象試料中に存在するか否かを検出する。この検出に当たっては、PCR後の反応液中に標的とするサイズのPCR増幅産物が存在するか否か、存在する場合は当該PCR増幅産物が特定植物属のITS-1またはITS-2配列の少なくとも一部を含むものであるか否かを指標とする。すなわち、特定植物属のITS-1又はITS-2配列の少なくとも一部を含む標的とするサイズのPCR増幅産物が存在すれば、被検査対象試料中に特定植物属の植物が混入していることになり、反対に、PCR増幅産物が存在しないか、又はPCR増幅産物が存在しても特定植物属のITS-1又はITS-2配列の少なくとも一部を含むPCR増幅産物が存在しなければ、被検査対象試料中に特定植物属の植物が混入していないことになる。そして、本発明では、この検出を高感度、例えば1ppmレベルでの検出を可能とした。
【0013】
こうした検出方法においては、例えば、2個以上のプライマーを使用してもよく、また、2つ以上の特定植物属の植物の存在を同時に検出する場合は3個以上のプライマーを使用してもよいが、45S rRNA前駆体遺伝子配列中で特定植物属に共通する塩基配列を有する核酸分子とストリンジェントな条件下でハイブリダイズし得るプライマーであって、該核酸分子とハイブリダイズしたときに3'末端が特定植物属のITS-1配列中の塩基と相補的に結合するプライマー(A)又はITS-2配列中の塩基と相補的に結合するプライマー(B)を、少なくとも1個以上含むことが重要である。ここで、プライマー(A)はITS-1と5.8S rRNA遺伝子配列との境界を含む領域にハイブリダイズするもの及びITS-1とSSU rRNA遺伝子配列との境界を含む領域にハイブリダイズするものをも含む。同様に、プライマー(B)はITS-2と5.8S rRNA遺伝子配列との境界を含む領域にハイブリダイズするもの及びITS-2とLSU rRNA遺伝子配列との境界を含む領域にハイブリダイズするものをも含む。プライマー(A)及び(B)は少なくとも15個の塩基からなるものが好ましく、より好ましくは15から30個の塩基からなる。ITS-1配列及びITS-2配列は種に特異的な配列を多く含んでいるので、45S rRNA前駆体遺伝子配列中で特定植物属に共通する塩基配列を有する核酸分子としてITS-1又はITS-2配列中で特定植物属に共通する特異的な塩基配列を有する核酸分子を好適に選択することにより特定種類の植物属に共通する特異性を持つプライマー(A)又は(B)を得ることができる。また、プライマー(A)又は(B)を1個又は2個以上使用してもよく、2個以上使用する場合には、さらに特定種類の植物属(殊にそば属)に対する特異性が高くなる。
【0014】
また、本発明の検出方法の別の態様としては、プライマー(A)と、特定植物属のITS-1、5.8S rRNA遺伝子、ITS-2及びLSU rRNA遺伝子が連続して結合した配列の一部の塩基配列を有する核酸分子とストリンジェントな条件下でハイブリダイズし得るプライマー(C)とを使用する。あるいはプライマー(A)と、特定植物属のSSU rRNA遺伝子及びITS-1が連続して結合した配列の一部の塩基配列を有する核酸分子とストリンジェントな条件下でハイブリダイズし得るプライマー(E)とを使用する。さらに、本発明の検出方法の別の態様としては、プライマー(B)と、特定植物属のSSU rRNA遺伝子、ITS-1、5.8S rRNA遺伝子及びITS-2が連続して結合した配列の一部の塩基配列を有する核酸分子とストリンジェントな条件下でハイブリダイズし得るプライマー(D)とを使用する。あるいはプライマー(B)と、特定植物属のITS-2及びLSU rRNA遺伝子がに連続して結合した配列の一部の塩基配列を有する核酸分子とストリンジェントな条件下でハイブリダイズし得るプライマー(F)とを使用する。ここで、5.8S rRNA遺伝子は保存性が高く、大多数の植物に共通な配列を多く含んでいる。それ故、プライマー(C)として、5.8S rRNA遺伝子の一部の塩基配列を有する核酸分子とストリンジェントな条件下でハイブリダイズし得るプライマーであって、該核酸分子とハイブリダイズしたときに3'末端が5.8S rRNA遺伝子配列中の塩基配列と相補的に結合するプライマーを好適に選択することにより、又はプライマー(D)として、5.8S rRNA遺伝子の一部の塩基配列を有する核酸分子とストリンジェントな条件下でハイブリダイズし得るプライマーであって、該核酸分子とハイブリダイズしたときに3'末端が5.8S rRNA遺伝子配列中の塩基配列と相補的に結合するプライマーを好適に選択することにより、該プライマーは種々の植物に対して共通して使用することも可能である。これらのプライマーを固定し、ITS-1又はITS-2領域から検出したい特定植物属に共通する特異的なプライマーを選択することによって、該特定植物属に含まれる植物の混入を高感度で検出するためのプライマーを容易に設計することができる。プライマー(C)〜(F)は少なくとも15個の塩基からなるものが好ましく、より好ましくは15から30個の塩基からなる。
【0015】
これらプライマーを設計するに当たっては、例えば「PCR法最前線−基礎技術から応用まで」(蛋白質・核酸・酵素 臨時増刊号1996年 共立出版株式会社)や「バイオ実験イラストレイテッド3本当に増えるPCR:細胞工学別紙 目で見る実験ノートシリーズ」(中山広樹著1996年 株式会社秀潤社)、「PCRテクノロジー−DNA増幅の原理と応用−」(Henry A Erlich編、加藤邦之進 監修、宝酒造株式会社)等に基づいて設計すればよいが、未加工品からの検出の場合には、DNAが分解している可能性が少ないので、700塩基以内の増幅産物を得ることができるプライマーであってもよく、加工食品からの検出の場合には、DNAが分解して短くなっている可能性が考えられ、このような観点から200塩基以内の増幅産物を得ることができるプライマーが高い感度を得ることができるという点から好ましい。
上述の観点から、プライマー(C)又は(D)は配列番号1で表される塩基配列又はその相補鎖の塩基配列を有する核酸分子とストリンジェントな条件下でハイブリダイズし得るプライマーであることが好ましい。5.8S rRNA遺伝子配列は、ほぼ全域にわたってアレルギー原因となる植物属間で相同性が高いため、どこの領域にハイブリダイズするプライマーであっても使用することができるが、配列番号1は特に高い相同性を有する領域であるため、前記プライマーが好ましい。さらに好ましくは、配列番号1の位置11〜63の塩基配列又はその相補鎖の塩基配列を有する核酸分子とストリンジェントな条件下でハイブリダイズし得るプライマーである。このようなプライマー(C)としては、配列番号2〜4で表されるオリゴヌクレオチドが好ましい(配列番号1にハイブリダイズする)。また、このようなプライマー(D)としては、配列番号5〜7で表されるオリゴヌクレオチドが好ましい(配列番号1の相補鎖にハイブリダイズする)。前記プライマーは、標的とする核酸分子と特異的にストリンジェントな条件下でハイブリダイズすることが必要であり、またハイブリダイズしたプライマーがプライマーとして機能し、伸長反応が起きるには3'末端の塩基が標的とするDNA配列部分と相補的な塩基となっている必要がある。従って、このような要件を満たしていれば、前記プライマーは、配列番号2〜7で表される塩基配列の1個又は数個の塩基が欠失、置換又は付加された塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドであってもよい。
【0016】
ITS-1やITS-2配列中で特定植物属に共通する特異的な塩基配列は、検出対象である特定植物属および他の植物属の種々の植物のITS-1〜5.8S rRNA遺伝子〜ITS-2配列をGenBankから取得し、アライメントを行い、該特定植物属に共通かつ、特異性の高い領域を探すことによって特定することができる。さらに、この特定した領域の中から、特に該特定植物属とその近縁種と考えられる植物との特異性が確保できる塩基を3'末端の塩基に設定して、プライマー配列を選定することができる。
例えば、特定植物属がそば属の場合、ITS-1配列中で共通する特異的な塩基配列としては、市販そばの大多数がFagopyrum esculentum(普通そば)であることや実際の市販そばの配列がGenBankのFagopyrum esculentum(普通そば)配列と合致したことにより、F. esculentumの配列から選択すればよく、具体的には、配列番号8、9又は10で表される塩基配列あるいはそれらの相補鎖の塩基配列を挙げることができる。好ましくは、配列番号8の位置11〜61の塩基配列又はその相補鎖の塩基配列、配列番号9の位置11〜67の塩基配列又はその相補鎖の塩基配列を挙げることができる。また、配列番号10は、特にそば属の一部であるF. esculentum(普通そば)、F. tataricum(だったんそば)、F. homotropicum、F. cymosumを特異的に検出したいプライマーを選ぶ領域として有用である。プライマー(A)としては、配列番号11〜16で表されるオリゴヌクレオチドが好ましい(配列番号11〜14は配列番号8の相補鎖にハイブリダイズし、配列番号15及び16は配列番号9にハイブリダイズする)。また、前記プライマーは配列番号11〜16で表される塩基配列の1個又は数個の塩基が欠失、置換又は付加された塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドであってもよい。また、ITS-2配列中で共通する特異的な塩基配列としては、配列番号21又は22で表される塩基配列あるいはそれらの相補鎖の塩基配列を挙げることができる。これらは、特にそば属の一部であるF. esculentum(普通そば)、F. tataricum(だったんそば)、F. homotropicum、F. cymosumを特異的に検出したいプライマーを選ぶ領域として有用である。そして、プライマーの組み合わせとしては、配列番号11〜14のいずれかと配列番号15、16または配列番号2〜4のいずれかとの組み合わせが好ましい。
【0017】
特定植物属が落花生属の場合、ITS-1配列中で共通する特異的な塩基配列としては、市販落花生の大多数がArachis hypogaeaであるが、実際の市販落花生の配列がGenBankのA. correntina、A. villosaの配列と合致したことにより、A. villosaの配列から選択すればよく、具体的には、配列番号17で表される塩基配列あるいはそれらの相補鎖の塩基配列を挙げることができる。好ましくは、配列番号17の位置1〜60の塩基配列又はその相補鎖の塩基配列、配列番号17の位置43〜99の塩基配列又はその相補鎖の塩基配列である。より好ましくは、配列番号17の位置11〜50の塩基配列又はその相補鎖の塩基配列、配列番号17の位置53〜89の塩基配列又はその相補鎖の塩基配列である。
プライマー(A)としては、配列番号18〜20で表されるオリゴヌクレオチドが好ましい(配列番号17の相補鎖にハイブリダイズする)。また、前記プライマーは配列番号18〜20で表される塩基配列の1個又は数個の塩基が欠失、置換又は付加された塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドであってもよい。また、ITS-2配列中で共通する特異的な塩基配列としては、配列番号23で表される塩基配列あるいはそれらの相補鎖の塩基配列を挙げることができる。好ましくは、配列番号23の位置11〜47の塩基配列又はその相補鎖の塩基配列である。さらに、プライマー(B)としては、配列番号24で表されるオリゴヌクレオチドが好ましい(配列番号23にハイブリダイズする)。また、前記プライマーは配列番号24で表される塩基配列の1個又は数個の塩基が欠失、置換又は付加された塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドであってもよい。そして、プライマーの組み合わせとしては、配列番号18〜20のいずれかと配列番号2〜4のいずれかとの組み合わせ、配列番号18〜20のいずれかと配列番号24との組み合わせ、または配列番号24と配列番号5〜7のいずれかとの組み合わせが好ましいが、配列番号18〜20のいずれかと配列番号2〜4のいずれかとの組み合わせがより好ましい。
【0018】
特定植物属が小麦属の場合、ITS-2配列中で共通する特異的な塩基配列として、配列番号25、26又は27で表される塩基配列あるいはそれらの相補鎖の塩基配列を挙げることができる。好ましくは、配列番号25の位置11〜50の塩基配列又はその相補鎖の塩基配列、配列番号26の位置11〜47の塩基配列又はその相補鎖の塩基配列、配列番号27の位置11〜47の塩基配列又はその相補鎖の塩基配列である。
プライマー(B)としては、配列番号28〜30で表されるオリゴヌクレオチドが好ましい(配列番号28は配列番号25の相補鎖にハイブリダイズし、配列番号29は配列番号26にハイブリダイズし、配列番号30は配列番号27にハイブリダイズする)。また、前記プライマーは配列番号28〜30で表される塩基配列の1個又は数個の塩基が欠失、置換又は付加された塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドであってもよい。そして、プライマーの組み合わせとしては、配列番号28と配列番号29,30の1個以上との組み合わせが好ましい。
【0019】
特定植物属が大豆属の場合、ITS-2配列中で共通する特異的な塩基配列として、配列番号31、32又は33で表される塩基配列あるいはそれらの相補鎖の塩基配列を挙げることができる。好ましくは、配列番号31の位置11〜48の塩基配列又はその相補鎖の塩基配列、配列番号32の位置11〜55の塩基配列又はその相補鎖の塩基配列、配列番号33の位置11〜52の塩基配列又はその相補鎖の塩基配列である。
プライマー(B)としては、配列番号34〜41で表されるオリゴヌクレオチドが好ましい(配列番号34は配列番号31の相補鎖にハイブリダイズし、配列番号35〜40は配列番号32にハイブリダイズし、配列番号41は配列番号33にハイブリダイズする)。また、前記プライマーは配列番号34〜41で表される塩基配列の1個又は数個の塩基が欠失、置換又は付加された塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドであってもよい。そして、プライマーの組み合わせとしては、配列番号34と配列番号35〜41の1個以上との組み合わせが好ましい。
【0020】
これらプライマーの設計や、設計したプライマーの評価にあたっては、PCRシミュレーションを利用しても良い。
例えば、そば属を検出するプライマーの設計においては、食用そば(普通そば、ダッタンそば)を含むそば属の植物21配列に共通かつ特異性の高い領域をITS-1〜5.8S rRNA遺伝子〜ITS-2配列部分から見出し、さらに他の植物との特異性が確保できる塩基を3'末端の塩基に設定して配列を選定する。ただし、そば属の場合ITS-1〜5.8S rRNA遺伝子〜ITS-2配列部分においては、種ごとに塩基の欠落部分や欠落塩基数に違いがあるため、そば属の植物21配列すべてから同じサイズの増幅産物を得るためには、さらに選別する必要がある。同じサイズの増幅産物を得ることができれば、容易にそば属の存在を検出することができる。そば属では、特にプライマー(A)とプライマー(C)、又は2個のプライマー(A)を選定することによって、そば属の植物21配列すべてから同じサイズの増幅産物を得ることがシミュレーションで確認できた。これにより、サイズによって非特異産物との識別が容易にできるプライマーを設計することができた。
【0021】
上記から、設計したプライマーについて、PCRシミュレーションによって標的とする増幅産物が得られるか否かを確認することができ、その結果はPCR後の電気泳動等による解析結果とほとんど同様であり、その信頼性は高い。なお、上記PCRシミュレーションに当たっては、PCRシミュレーションソフトAmplify 1.0(Bill Engels)等のソフトを使用することができる。
【0022】
なお、上記プライマーを用いたDNA配列の増幅は、PCR(Polymerase Chain Reaction)法(例えば、Saiki RK, et al., Science, 230:1350-1354(1985))のみならず、LAMP(Loop-Mediated Isothermal Amplification)法(Notomi T, et al., Nucleic Acids Res., 28:e 63(2000))又はそれらと同効の手段を用いて行うことができる。また、増幅産物の検出方法としては、電気泳動法が一般的であるが、その他の方法も用いることができる。
【0023】
【実施例】
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明する。
【実施例1】
A.そば検出用プライマーの設計
(1)そばの配列
そばの配列として、GenBankに登録されている下記配列中の5.8S rRNA、ITS-1及びITS-2のDNA配列を用いた。
1: Fagopyrum urophyllum(AB000342)
2: Fagopyrum urophyllum(AB000341)
3: Fagopyrum tataricum (sub_species:potanini)(AB000340)
4: Fagopyrum tataricum(AB000339)
5: Fagopyrum statice(AB000338)
6: Fagopyrum statice(AB000337)
7: Fagopyrum pleioramosum(AB000336)
8: Fagopyrum lineare(AB000335)
9: Fagopyrum leptopodum(AB000334)
10: Fagopyrum homotropicum(AB000333)
11: Fagopyrum gracilipes(AB000332)
12: Fagopyrum esculentum ancestralis(AB000331)
13: Fagopyrum esculentum(AB000330)
14: Fagopyrum cymosum(AB000329)
15: Fagopyrum cymosum(AB000328)
16: Fagopyrum cymosum(AB000327)
17: Fagopyrum cymosum(AB000326)
18: Fagopyrum cymosum(AB000325)
19: Fagopyrum cymosum(AB000324)
20: Fagopyrum capillatum(AB000323)
21: Fagopyrum callianthum(AB000322)
【0024】
(2)そば以外のアレルギーを起こす恐れのある植物の配列
落花生、小麦、大豆、クルミ、松茸、桃、リンゴ、オレンジの配列として、GenBankに登録されている下記配列中の5.8S rRNA、ITS-1及びITS-2のDNA配列を用いた。
1: 落花生 Arachis hypogaea(AF156675)
2: 小麦 Triticum aestivum(AJ301799)
3: 大豆 Glycine max(U60551)
4: クルミ Juglans regia(AF303809)
5: 松茸 Tricholoma matsutake(U62964)
6: 桃 Prunus persica(AF185621)
7: リンゴ Malus x domestica(AF186484)
8: バレンシアオレンジ Citrus sp.(E08821)
【0025】
(3)食品原料としてよく使われている植物の配列
とうもろこし、米、胡椒、からしの配列として、GenBankに登録されている下記配列中の5.8S rRNA、ITS-1及びITS-2のDNA配列を用いた。
1: とうもろこし Zea mays(U46648)
2: 米 Oryza sativa(AF169230)
3: 胡椒 Piper nigrum(AF275197)
4: からし Sinapis alba(X15915)
【0026】
(4)プライマー配列
そば属のITS-1配列の中から、21配列全てにハイブリダイズし、かつそば属に特異性の高い配列を選定し、配列番号11の塩基配列を有するプライマーを合成した。
センスプライマー
5'− GGA CCA CGA ACA GAA GCG CGT CCC G −3' (配列番号11)
そば属(21配列)及びそば以外のアレルギーを起こす恐れのある植物(8配列)の5.8S rRNA遺伝子配列の中から、これら植物全てにハイブリダイズする配列を選定し、配列番号3の塩基配列を有するプライマーを合成した。
アンチセンスプライマー
5'− ATC GCA TTT CGC TAC GTT CTT CAT CG −3' (配列番号3)
なお、これらセンスプライマーとアンチセンスプライマーについては、PCRシミュレーションソフトAmplify 1.0(Bill Engels)により、そば属の21配列から標的とする140bpの増幅産物が得られることを確認した。また、そば属以外のアレルギーを起こす恐れのある植物の8配列(落花生、小麦、大豆、クルミ、松茸、桃、リンゴ、オレンジ)と、食品原料としてよく使われている植物の4配列(とうもろこし、米、胡椒、からし)からは、標的とする140bpの増幅産物が得られないことを確認した。ただし、大豆、リンゴ、オレンジの配列からは、弱い増幅シグナルで標的とは異なるサイズの非特異的な増幅産物が得られる可能性のあるシミュレーション結果となった。シミュレーション結果を表1A〜1Bに示す。表1A〜1Bの省略文字、記号などは以下に示される。
★:標的サイズ付近(±10bp)の増幅産物が得られるもの
W値:増幅産物の得られる可能性
得られる可能性が高い…W6>W5>W4>W3>W2…得られる可能性が低い数値(bp):増幅産物のサイズ(bp)
Amplifyで得られた値から2を引いた値
−:増幅産物なし
【0027】
【表1A】
Figure 0004301789
【0028】
【表1B】
Figure 0004301789
【0029】
B.PCRに用いた鋳型DNA
(1)DNA抽出に用いた試料
そば:
市販の白花そば(普通そば)の種子と、ダッタンそばの種子を用いた。
そば殻:
市販の枕用のそば殻を用いた。
胡椒:
市販の黒胡椒、白胡椒を用いた。
大豆、小麦、とうもろこし、からし:
市販の大豆、小麦、とうもろこし、からしの各種子から発芽させた葉を用いた。
人為的にそば殻粉砕物を添加した黒胡椒粉砕物の作製:
粉砕した黒胡椒0.9gに、粉砕したそば殻0.1gを人為的に添加して、10%そば殻粉砕物を含む黒胡椒粉砕物を作製した。
【0030】
(2)そば、そば殻、黒胡椒、白胡椒、人為的にそば殻粉砕物を添加した黒胡椒粉砕物からのDNA抽出
DNA抽出は、QIAGEN社製のGenomic-tipを用い、基本的にはQIAGEN Genomic DNA Handbookに従い、一部プロトコールを改変した以下の方法で行った。細かく粉砕した試料1gを15ml容チューブに入れ、4mlのCarlson Lysis Buffer(0.1M Tris-HCl(pH 9.5)、2% CTAB、1.4M Polyethylene Glycol #6000、20mM EDTA)、8μlのRNase A(100mg/ml)、10μlの2-メルカプトエタノール、80μlのプロテイナーゼK(20mg/ml))を加え、混合した後、74℃で20分間保温した。
室温に戻した後、これに5mlのフェノール:クロロホルム:イソアミルアルコール(25:24:1)を加え、良く混合した後、遠心分離により水層を回収した。この水層に等量のクロロホルム:イソアミルアルコール(24:1)を加え、良く混合した後、遠心分離により水層を回収した。再度、この水層に等量のクロロホルム:イソアミルアルコール(24:1)を加え、良く混合した後、遠心分離により水層を回収した。
得られた水層の1/2量をとり、イソプロパノール沈殿により沈殿物を回収した。沈殿物は500μlのBuffer QBTに溶解し、予め1mlのBuffer QBTで平衡化したGenomic-tip 20/Gに供してDNAをカラムに吸着させた。その後、5mlのBuffer QBT、続いて2mlのBuffer QCでカラムを洗浄した。最終的に1.7mlのBuffer QFで溶出し、イソプロパノール沈殿により回収した沈殿物を40μlの滅菌超純水に溶解して、濃度を測定し、PCRの鋳型DNA試料とした。
【0031】
(3)小麦、大豆、とうもろこし、からしの葉からのDNA抽出
DNA抽出は、QIAGEN社製のDNeasy Plant Mini Kitを用い、同キット添付のDNeasy Plant Mini Kit Handbookに従って以下の方法で行った。
細かく粉砕した試料0.5gを15ml容チューブに入れ、3mlのBuffer AP1、30μlのRNase A(100mg/ml)を加え、混合した後、65℃で15分間保温した。その後、これに975μlのBuffer AP2を加えて、氷中で10分間放置し、遠心分離によりその上清液を得た。得られた上清をQIAshredder Spin Columnに供し、遠心分離によりColumnのパス液を得た。このパス液に0.5容量のBuffer AP3、1容量のエタノールを加えて混合した後、二本のDNeasy Spin Columnに一回に650μlずつ供し、約6,000×gで1分間遠心分離してDNAをColumnに吸着させた。これを、全液量処理するまで繰返した。その後、Columnに500μlのBuffer AWを加え、約6,000×gで1分間遠心分離してColumnを洗浄、再度500μlのBuffer AWをColumnに加え、最高速度で1分間遠心分離して、Columnに残っているBuffer AWを完全に除去した。最終的に65℃で予め保温しておいた120μlのBuffer AEをColumnに加え、約6,000×gで1分間遠心分離してColumnから溶出したものを、濃度を測定し、PCRの鋳型DNA試料とした。
【0032】
(4)感度確認用のDNA調製(黒胡椒中のそば)
(2)で得た10%そば殻粉砕物を含む黒胡椒粉砕物のDNAを、同じく(2)で得た黒胡椒のDNAで順次希釈して、そば殻のDNAを1%、0.1%、100ppm、10ppm、1ppm、100ppb、10ppb含む黒胡椒DNA溶液を調製した。
【0033】
(5)感度確認用のDNA調製(小麦中のそば)
(2)で得たそば種子のDNAを、(3)で得た小麦の葉のDNAで順次希釈して、そば種子のDNAを1ppm、100ppb、10ppb、1ppb含む小麦の葉DNA溶液を調製した。
【0034】
C.PCR
PCRは、QIAGEN社製のHotStarTaq Master Mix Kitを用い、同キット添付のHotStarTaq PCR Handbookに従って以下の方法で行った。
12.5μl の2×HotStartTaq Master Mix(HotStar Taq DNA Polymerase、PCR Buffer with 3mM MgCl2、400μM each dNTP)に、配列番号11のプライマーを終濃度で0.2μMと、配列番号3のプライマーを終濃度で0.2μM、及び鋳型DNAを加え、最終的に滅菌超純水で25μlとした反応用溶液を0.2mlマイクロチューブに入れ、Applied Biosystems社製のサーマルサイクラーGeneAmp PCR System 9600により、酵素活性化(95℃,15分)後、変性(95℃,1分)−アニーリング(68℃,2分)−伸長(72℃,1分)の反応を45回繰り返し、最終伸長(72℃,4分)で反応させた。得られたPCR反応液をエチジウムブロマイド含有の2%アガロースゲル電気泳動に供して、Amersham Pharmacia Biotech社製の蛍光イメージアナライザーFluorImager 595により解析した。その結果を図1、2及び3に示す。図1、2及び3の省略文字、記号などは以下に示される。
M : 100bp DNA Ladder Marker
(−) : 鋳型DNA未添加
数字 : 添加した鋳型DNA量
矢印 : 標的増幅産物のバンド(140bp)
なお、抽出したDNAがPCR増幅可能レベルの純度であることは、植物chloroplast DNAの一部を増幅するプライマーにより、PCR増幅産物が得られることで確認した。
【0035】
D.PCR結果
本発明のプライマーを用いて上記PCRを行い、解析した結果を図1〜3に示す。図1に示すように、白花そば(普通そば)とダッタンそばから、標的としたそばITS-1〜5.8S rRNA遺伝子配列からシミュレーションで予想される140bpのサイズの増幅産物が得られた。一方、小麦、からし、大豆、とうもろこし、白胡椒については、140bpのサイズの増幅産物は得られなかった。ただし、大豆からは標的とは異なる約230bpのサイズの非特異的な増幅産物が、小麦からは標的とは異なる約2,300bpの非特異的な増幅産物が得られた。これらPCRによる特異性確認の結果は、表1に示すシミュレーションの結果とほぼ一致しており、したがって、シミュレーション結果に対する信頼性を評価し得るものであった。以上、PCRシミュレーションの結果と併せて、食用そばである普通そばとダッタンそばを含むそば属を幅広く特異的に検出できることがわかった。
図2に示すように、黒胡椒中に存在する1ppmのそば殻からは、標的としたそばITS-1〜5.8S rRNA遺伝子配列より予想される140bpのサイズの増幅産物が得られた。この結果より、黒胡椒中に10〜1ppmのそば殻が存在する場合でも、そば殻を検出できることがわかった。
図3に示すように、小麦DNA中に存在する1ppmのそばDNAからは、標的としたそばITS-1〜5.8S rRNA遺伝子配列より予想される140bpのサイズの増幅産物が得られた。この結果より、小麦DNA中に10〜1ppmのそばDNAが存在する場合でも、そばを検出できることがわかった。
なお、小麦から、標的とした140bpの増幅産物とは明らかにサイズの異なる非特異的な増幅産物が得られているが、そばの検出感度への影響はなかった。小麦を含む試料の場合には、この小麦由来産物の有無を指標として、抽出したDNAの品質確認を同時に行うことが可能である。
【0036】
E.シークエンス用試料の調製
(1)そば殻由来増幅産物の精製
D.で得られたそば殻由来の増幅産物の精製は、QIAGEN社製のQIAquick PCR Purification Kitにより、同キット添付のQIAquick Spin Handbookに従って以下の方法で行った。
PCR反応液に5倍容量のBuffer PBを加え、混合後、遠心分離してスピンダウンした。この溶液をQIAquick Spin Columnに供し、約10,000×gで1分間遠心分離してDNAをColumnに吸着させた。その後、750μlのBuffer PEを加え、約10,000×gで1分間遠心分離してColumnを洗浄し、最後に空の状態で約10,000×gで1分間遠心分離して、Columnに残っているBuffer PEを完全に除去した。最終的に50μlのBuffer EBをColumnに加え、1分間放置後に、約10,000×gで1分間遠心分離してColumnからDNAを溶出したものをシークエンス反応用のDNA試料とした。
【0037】
(2)シークエンス反応とシークエンス解析試料の精製
(1)で得られたそば殻由来の精製DNA試料を用いたシークエンス反応は、Applied Biosystems社製のBigDye Terminator Cycle Sequencing FS Ready Reaction Kitにより、同キット添付のプロトコールに従って以下の方法で行った。
8μlのBigDye Terminator RR Mixに、配列番号3のプライマーを3.2pmol、及び2ngの鋳型DNAを加え、最終的に滅菌超純水で20μlとした反応用溶液を0.2mlマイクロチューブに入れ、Applied Biosystems社製のサーマルサイクラーGeneAmp PCR System 9600により、ホットスタートと変性(96℃,1分)後、変性(96℃,10秒)−アニーリングと伸長(60℃,1分)の反応を25回繰り返した。
続いて、得られた反応液のシークエンス解析試料の精製は、Amersham Pharmacia Biotech社製のAutoSeq G-50により、同キット添付のプロトコールに従って、以下の方法で行なった。
AutoSeq G-50のキャップを開け、10mM EDTAを100μl添加して、蓋を閉めてレジンを完全に縣濁した。キャップを緩め、カラムの先端を折り、2mlマイクロチューブに入れ、約2,000×gで1分間遠心分離した。チューブを移しかえてシークエンス反応で得られた反応液を全量カラムに添加して、約2,000×gで1分間遠心分離し、回収したものをシークエンス解析試料とした。
【0038】
F.シークエンス解析
E.(2)で得られたそば殻由来のシークエンス解析試料を、Applied Biosystems社製のシークエンサーABI PRISM 310 Genetic Analyzerにより解析して、得られた塩基配列をGenBankの普通そばFagopyrum esculentum(AB000330)の配列と比較した。その結果を図4に示す。図4の数字、文字、下線、記号などは以下に示される。
数字 : シークエンスを行った増幅産物の配列の塩基No.
Sample : そば殻由来のシークエンス解析試料
* : 合致した塩基
− : 解析できなかった塩基
S : CとGの混合と解析された塩基
一本下線: センスプライマー部分
二本下線: アンチセンスプライマー部分
【0039】
G.シークエンス結果
図4に示すように、本発明のプライマーを用いてPCRを行い、そば殻から得られた増幅産物の塩基配列は、GenBankの普通そばFagopyrum esculentum(AB000330)の配列と、プライマーに挟まれた89塩基のうち解析できた87塩基中の86塩基が合致し、44番目の混合塩基も含めると87塩基が合致した。この結果より、標的としたそばのITS-1〜5.8S rRNA遺伝子配列の部分が確実に検出できることがわかった。しかも、このそば殻の品種は、普通そばFagopyrum esculentumであることを特定できた。
【0040】
【実施例2】
A.そば検出用プライマーの設計
(1)そば、そば以外のアレルギーを起こす恐れのある植物、食品原料としてよく使われている植物の配列
実施例1のA.(1)そばの配列、(2)そば以外のアレルギーを起こす恐れのある植物の配列、(3)食品原料としてよく使われている植物の配列に記載のものを使用した。
【0041】
(2)そば近縁種の植物の配列
そば近縁種の植物の配列の代表として、GenBankに登録されている下記配列中の5.8S rRNA、ITS-1及びITS-2のDNA配列を用いた。なお、これらの配列は、そば(Fagopyrum esculentum AB000330)のITS-1配列部分をBLASTによるホモロジー検索に供してヒットした配列の中から、そば属以外のScore 60 bits以上となった属で、最もScoreが高い値となった一種を代表として選定したものである。
1: Aconogonum sp. Won 152(AF189731)
2: Fallopia scandens(AF040069)
3: Polygonum virginianum(U51274)
4: Rumex acetosella(AF189730)
5: Talinum paraguayense(L78056)
6: Bruinsmia styracoides(AF396438)
7: Talinella pachypoda(L78054)
8: Rehderodendron kwangtungense(AF396448)
9: Pterostyrax corymbosus(AF396445)
10: Anredera cordifolia(L78086)
11: Cistanthe quadripetala(L78062)
12: Xenia vulcanensis(L78060)
13: Talinopsis frutescens(L78058)
14: Talinaria palmeri(L78052)
15: Portulaca sp.(L78049)
16: Phemeranthus confertiflorus(L78039)
17: Montiopsis umbellata(L78033)
18: Grahamia bracteata(L78028)
19: Herniaria glabra(AJ310965)
20: Alluaudia dumosa(L78011)
21: Sinojackia xylocarpa(AF396451)
22: Halesia macgregori(AF396442)
23: Changiostyrax dolichocarpa(AF396439)
24: Alectryon subdentatus(AF314765)
25: Anacampseros recurvata(L78014)
26: Weinmannia racemosa(AF485597)
27: Bursera tecomaca(AF080029)
【0042】
(3)プライマー配列
そば属のITS-1配列の中から、21配列全てにハイブリダイズし、かつそば属に特異性が高く、さらには大豆由来の非特異的な増幅産物が得られない配列を選定し、配列番号14の塩基配列を有するプライマーを合成した。
センスプライマー
5'− CGC CAA GGA CCA CGA ACA GAA G −3' (配列番号14)
また、アンチセンスプライマーは、実施例1と同じく配列番号3のプライマーを用いた。
なお、これらセンスプライマーとアンチセンスプライマーについては、実施例1と同様にPCRシミュレーションソフトAmplifyにより、そば属の21配列から標的とする146bpの増幅産物が得られることを確認した。また、そば以外のアレルギーを起こす恐れのある植物の8配列(落花生、小麦、大豆、クルミ、松茸、桃、リンゴ、オレンジ)と、食品原料としてよく使われている植物の4配列(とうもろこし、米、胡椒、からし)と、タデ科のそば近縁種植物のうち2配列と、タデ科以外のそば近縁種植物の23配列からは、標的とする146bpの増幅産物が得られないことを確認した。なお、タデ科のそば近縁種植物のうちAconogonum sp. Won 152とFallopia scandensの配列からは、標的とする146bp付近のサイズの増幅産物が得らる可能性のあるシミュレーション結果となったが、増幅産物のシークエンス解析により、そばか近縁種かを識別することが可能である。シミュレーション結果を表2A〜2Cに示す。表2A〜2Cの省略文字、記号などは以下に示される。
★:標的サイズ付近(±10bp)の増幅産物が得られるもの
W値:増幅産物の得られる可能性
得られる可能性が高い…W6>W5>W4>W3>W2…得られる可能性が低い
数値(bp):増幅産物のサイズ(bp)
Amplifyで得られた値から2を引いた値
−:増幅産物なし
近縁種:Fagopyrum esculentum(AB000330)のITS-1配列の類似配列をBLASTにより検索し、Score 60 bits以上となった配列を対象とした。なお表には、 Score 60 bits以上となった属から、最もScoreの高い一種を代表として示した。
【0043】
【表2A】
Figure 0004301789
【0044】
【表2B】
Figure 0004301789
【0045】
【表2C】
Figure 0004301789
【0046】
B.PCRに用いた鋳型DNA
実施例1のB.(2)、(3)で抽出したそば、胡椒、小麦、大豆、とうもろこし、からしDNA試料ならびに、実施例1のB.(5)で調製した感度確認用のDNA溶液を用いた。
【0047】
C.PCR
プライマーとPCR条件以外については、基本的に実施例1のC.と同じ方法で行った。
プライマー:
配列番号14と3をそれぞれ終濃度で0.2μMを用いた。
PCR条件:
酵素活性化(95℃,15分)後、変性(95℃,1分)−アニーリング(66℃,2分)−伸長(72℃,1分)の反応を45回繰り返し、最終伸長(72℃,4分)で行った。
その結果を図5及び6に示す。図5及び6の省略文字、記号などは以下に示される。
M : 100bp DNA Ladder Marker
(−) : 鋳型DNA未添加
数字 : 添加した鋳型DNA量
矢印 : 標的増幅産物のバンド(146bp)
なお、抽出したDNAがPCR増幅可能レベルの純度であることは、植物chloroplast DNAの一部を増幅するプライマーにより、PCR増幅産物が得られることで確認した。
【0048】
D.PCR結果
本発明のプライマーを用いて上記PCRを行い、解析した結果を図5に示す。図5に示すように、白花そば(普通そば)とダッタンそばからは、標的としたそばITS1〜5.8S rRNA遺伝子配列からシミュレーションで予想される146bpのサイズの増幅産物が得られた。一方、小麦、からし、大豆、とうもろこし、白胡椒からは146bpの増幅産物は得られなかった。(実施例1で大豆から得られていた非特異的な増幅産物も得られなくなった。)なお、データには示さないが、米からも同様に146bpの増幅産物は得られなかった。ただし、小麦からは標的とは異なる約2,300bpの非特異的な増幅産物が得られた。これらPCRによる特異性確認の結果は、表2に示すシミュレーションの結果とほぼ一致しており、したがって、シミュレーションによる特異性確認結果に対する信頼性を評価し得るものであった。以上、実際のPCRとシミュレーションの結果とを併せて、食用そばである白花そば(普通そば)及びダッタンそばを含むそば属を幅広く特異的に検出できることがわかった。
図6に示すように、本発明のプライマーを用いて上記PCRを行い、解析した結果、小麦DNA中に存在する1ppmのそばDNAから、標的としたそばITS-1〜5.8S rRNA遺伝子配列より予想される146bpのサイズの増幅産物が得られた。この結果より、小麦DNA中に10〜1ppmのそばDNAが存在する場合でも、そばを検出できることがわかった。
なお、小麦から、標的とした146bpの増幅産物とは明らかにサイズの異なる非特異的な増幅産物が得られているが、そばの検出感度への影響はなかった。小麦を含む試料の場合には、この小麦由来産物の有無を指標として、抽出したDNAの品質確認を同時に行うことが可能である。
【0049】
E.シークエンス用試料の調製
(1)白花そば(普通そば)由来増幅産物の精製
D.で得られた白花そば(普通そば)種子由来の増幅産物の精製は、実施例1のE.(1)そば殻由来増幅産物の精製と同じ方法で行った。
【0050】
(2)シークエンス反応とシークエンス解析試料の精製
(1)で得られた白花そば(普通そば)由来の精製DNA試料を用いたシークエンス反応は、プライマーに配列番号14と3を用いたこと以外は、実施例1のE.(2)シークエンス反応とシークエンス解析試料の精製と同じ方法で行った。
【0051】
F.シークエンス解析
E.(2)で得られた白花そば(普通そば)由来のシークエンス解析試料を、Applied Biosystems社製のシークエンサーABI PRISM 310 Genetic Analyzerにより解析して、得られた塩基配列をGenBankの普通そばFagopyrum esculentum(AB000331)、ならびにF. homotropicum(AB000340)の配列と比較した。その結果を図7に示す。図7の数字、文字、下線、記号などは以下に示される。
数字 : シークエンスを行なった増幅産物の配列の塩基No.
Sample : 白花そば由来のシークエンス解析試料
* : F. esculentum(AB000331)とF. homotropicum(AB000340)
ともに合致した塩基
: F. esculentum(AB000331)とF. homotropicum(AB000340)の
何れか一方とだけ合致した塩基
一本下線: センスプライマー部分
二本下線: アンチセンスプライマー部分
【0052】
G.シークエンス結果
図7に示すように、本発明のプライマーを用いてPCRを行い、白花そば(普通そば)から得られた増幅産物の塩基配列は、GenBankの普通そばF. esculentum(AB000331)、あるいはF. homotropicum(AB000340)の何れかの配列と、プライマーに挟まれた98塩基100%が合致した。この結果より、標的としたそばのITS-1〜5.8S rRNA遺伝子配列の部分が確実に検出できることがわかった。しかも、この普通そば(白花そば)の品種が、普通そばF. esculentum、またはF. homotropicumであることを確認できた。
【0053】
【実施例3】
A.落花生検出用プライマーの設計
(1)落花生の配列
落花生の配列として、GenBankに登録されている下記配列中の5.8S rRNA、ITS-1及びITS-2のDNA配列を用いた。
1:Arachis batizocoi(AF203553)
2:Arachis correntina(AF203554)
3:Arachis hermannii(AF203556)
4:Arachis hoehnei(AJ320395)
5:Arachis hypogaea(AF156675)
6:Arachis magna(AF203555)
7:Arachis major(AF203552)
8:Arachis palustris(AF203557)
9:Arachis pintoi(AF203551)
10:Arachis triseminata(AF204233)
11:Arachis villosa(AF203558)
【0054】
(2)落花生以外のアレルギーを起こす恐れのある植物の配列
実施例1のA.(2)そば以外のアレルギーを起こす恐れのある植物の配列に記載のものを使用した。そばの配列として、GenBankに登録されている下記配列中の5.8S rRNA、ITS-1及びITS-2のDNA配列を用いた。
1:そば Fagopyrum esculentum(AB000330)
【0055】
(3)食品原料としてよく使われている植物の配列
実施例1のA.(3)食品原料としてよく使われている植物の配列に記載のものを使用した。
【0056】
(4)食品原料として使われているマメ科植物の配列
インゲンマメ、ライマメ、ヒラマメ、ヒヨコマメ、緑豆、小豆の配列として、GenBankに登録されている下記配列中の5.8S rRNA、ITS-1及びITS-2のDNA配列を用いた。(小豆(Vigna angularis var. nipponensis)は、ITS-1配列のみ。)
1:インゲンマメ Phaseolus vulgaris(AF115169)
2:ライマメ Phaseolus lunatus(AF115175)
3:ヒラマメ Lens culinaris subsp. culinaris(AF228066)
4:ヒヨコマメ Cicer arietinum(AJ237698)
5:緑豆 Vigna radiata(X14337)
6:小豆 Vigna angularis var. nipponensis(AB059747)
【0057】
(5)落花生近縁種の植物の配列
落花生近縁種の植物の配列の代表として、GenBankに登録されている下記配列中の5.8S rRNA、ITS-1及びITS-2のDNA配列を用いた。なお、これらの配列は、落花生(Arachis hypogaea AF156675)のITS-1配列部分をBLASTによるホモロジー検索に供してヒットした配列の中から、落花生属以外のScore 60 bits以上となった種で、最もScoreが高い値となった配列を代表として選定したものである。
1:Stylosanthes acuminata(AJ320282)
2:Stylosanthes angustifolia(AJ320284)
3:Stylosanthes aurea(AJ320285)
4:Stylosanthes biflora(AJ320289)
5:Stylosanthes bracteata(AJ320346)
6:Stylosanthes calcicola(AJ320348)
7:Stylosanthes campestris(AJ320291)
8:Stylosanthes capitata(AJ320350)
9:Stylosanthes cayennensis(AJ320292)
10:Stylosanthes erecta(AJ320352)
11:Stylosanthes fruticosa(AJ320356)
12:Stylosanthes gracilis(AJ320296)
13:Stylosanthes grandifolia(AJ320299)
14:Stylosanthes guianensis subsp. dissitiflora(AJ320301)
15:Stylosanthes hamata(AJ320365)
16:Stylosanthes hippocampoides(AJ320317)
17:Stylosanthes hispida(AJ320328)
18:Stylosanthes humilis(AJ320323)
19:Stylosanthes ingrata(AJ320329)
20:Stylosanthes leiocarpa(AJ320332)
21:Stylosanthes linearifolia(AJ320367)
22:Stylosanthes macrocarpa(AJ320369)
23:Stylosanthes macrocephala(AJ320371)
24:Stylosanthes macrosoma(AJ320333)
25:Stylosanthes mexicana(AJ320374)
26:Stylosanthes montevidensis(AJ320336)
27:Stylosanthes pilosa(AJ320377)
28:Stylosanthes scabra(AJ320382)
29:Stylosanthes seabrana(AJ320384)
30:Stylosanthes sericeiceps(AJ320386)
31:Stylosanthes subsericea(AJ320387)
32:Stylosanthes sundaica(AJ320389)
33:Stylosanthes sympodialis(AJ320391)
34:Stylosanthes tomentosa(AJ320337)
35:Stylosanthes tuberculata(AJ320392)
36:Stylosanthes viscosa(AJ320340)
37:Ormocarpum bernierianum(AF189036)
38:Ormocarpum coeruleum(AF189037)
39:Ormocarpum drakei(AF189039)
40:Ormocarpum flavum(AF189041)
41:Ormocarpum keniense(AF068155)
42:Ormocarpum kirkii(AF068152)
43:Ormocarpum klainei(AF189044)
44:Ormocarpum megalophyllum(AF068154)
45:Ormocarpum muricatum(AF068156)
46:Ormocarpum orientale(AF068159)
47:Ormocarpum pubescens(AF189045)
48:Ormocarpum rectangulare(AF189046)
49:Ormocarpum schliebenii(AF189047)
50:Ormocarpum sennoides(AF068153)
51:Ormocarpum somalense(AF189048)
52:Ormocarpum trachycarpum(AF189049)
53:Ormocarpum trichocarpum(AF068158)
54:Ormocarpum verrucosum(AF189050)
55:Chapmannia floridana(AF203543)
56:Chapmannia prismatica(AJ320400)
57:Chapmannia somalensis(AF203544)
58:Ormocarpopsis aspera(AF068148)
59:Ormocarpopsis calcicola(AF068145)
60:Ormocarpopsis itremoensis(AF068149)
61:Ormocarpopsis mandrarensis(AF068147)
62:Ormocarpopsis parvifolia(AF068144)
63:Ormocarpopsis tulearensis(AF068146)
64:Diphysa humilis(AF068162)
65:Diphysa macrophylla(AF189029)
66:Diphysa suberosa(AF189034)
67:Spigelia coelostylioides(AF177992)
68:Spigelia hedyotidea(AF178005)
69:Spigelia marilandica(AF177991)
【0058】
(6)プライマー配列
落花生属のITS-1配列の中から、11配列全てにハイブリダイズし、かつ落花生属に特異性の高い配列を選定し、配列番号18、19、20の塩基配列を有するプライマーを合成した。
センスプライマー
5'− GCG GAA AGC GCC AAG GAA GC −3' (配列番号18)
5'− CGG CTT CCG GAG ACG GCA −3' (配列番号19)
5'− CGG CTC CGG AGA CGG CA −3' (配列番号20)
また、アンチセンスプライマーは、実施例1と同じく配列番号3のプライマーを用いた。
ここで、配列番号18のセンスプライマーは、配列番号3のアンチセンスプライマーと組み合わせてPCRすることで、市販落花生の配列を確認することにも使用した。また、その結果をもとに、配列番号19と20の何れが落花生の検出に用いるセンスプライマーとして適当かを判断することにした。
なお、これらセンスプライマーとアンチセンスプライマーについては、実施例1と同様にPCRシミュレーションソフトAmplify 1.0(Bill Engels)により、落花生属の11配列から標的とする156〜157bp(配列番号18と配列番号3の組み合わせ)、114〜116bp(配列番号19と配列番号3の組み合わせ)、113〜115bp(配列番号20と配列番号3の組み合わせ)の増幅産物が得られることを確認した。
さらには、落花生以外のアレルギーを起こす恐れのある植物の8配列(そば、小麦、大豆、クルミ、松茸、桃、リンゴ、オレンジ)と、食品原料としてよく使用されている植物の4配列(とうもろこし、米、胡椒、からし)、食用のマメ科植物の6配列(インゲンマメ、ライマメ、ヒラマメ、ヒヨコマメ、緑豆、小豆)から増幅産物が得られるかどうかを確認した。
その結果、配列番号18と配列番号3の組み合わせについては、落花生以外のアレルギーを起こす恐れのある植物のうち7配列(そば、小麦、大豆、クルミ、松茸、桃、オレンジ)と、食品原料としてよく使用されている植物の4配列(とうもろこし、米、胡椒、からし)と、食用のマメ科植物の6配列(インゲンマメ、ライマメ、ヒラマメ、ヒヨコマメ、緑豆、小豆)からは、標的とする156bp付近の増幅産物が得られない結果となった。なお、落花生以外のアレルギーを起こす恐れのある植物のうちリンゴの配列からは、標的とする156bp付近のサイズの増幅産物が得らる可能性のあるシミュレーション結果となったが、増幅産物のシークエンス解析により、落花生かリンゴかを識別することが可能である。シミュレーション結果を表3A〜3Bに示す。表3A〜3Bの省略文字、記号などは以下に示される。
★:標的サイズ付近(±10bp)の増幅産物が得られるもの
W値:増幅産物の得られる可能性
得られる可能性が高い…W6>W5>W4>W3>W2…得られる可能性が低い
数値(bp):増幅産物のサイズ(bp)
Amplifyで得られた値から2を引いた値
−:増幅産物なし
−*:ITS-1配列へのプライマーの結合なし
Vigna angularis var. nipponensis(小豆)の配列については、ITS-1配列のみで5.8S rRNA遺伝子配列までは登録されていなかったので、ITS-1配列への配列番号18のプライマーのアニーリングがないことを確認した。
【0059】
【表3A】
Figure 0004301789
【0060】
【表3B】
Figure 0004301789
【0061】
また、配列番号20と配列番号3の組み合わせについては、落花生以外のアレルギーを起こす恐れのある植物のうち6配列(小麦、クルミ、松茸、桃、リンゴ、オレンジ)と、食品原料としてよく使用されている植物の4配列(とうもろこし、米、胡椒、からし)と、食用のマメ科植物のうち5配列(インゲンマメ、ライマメ、ヒラマメ、ヒヨコマメ、緑豆)からは、標的とする114bp付近の増幅産物が得られない結果となった。なお、落花生以外のアレルギーを起こす恐れのある植物のうちそばと大豆の配列と、食用のマメ科植物のうち小豆の配列からは、弱い増幅シグナルながら標的とする114bp付近のサイズの増幅産物が得らる可能性のあるシミュレーション結果となった。ここで、小豆(Vigna angularis var. nipponensis AB059747)の配列については、ITS-1配列のみで5.8S rRNA遺伝子配列までは登録されていなかったため、ITS-1配列上への配列番号20のプライマーの結合位置から100bp前後のサイズの増幅産物が得られることを予想したものである。しかし、これらの場合においては、落花生から得られる標的増幅産物よりも、増幅産物が得られる可能性が低く、また、増幅産物のシークエンス解析により、落花生かどうかを識別することが可能である。
これに加え、配列番号20と配列番号3の組み合わせについては、マメ科ならびにマメ科以外の落花生近縁種の植物の69配列から、標的とする114bp付近の増幅産物が得られないことを確認した。シミュレーション結果を表4A〜4Eに示す。表4A〜4Eの省略文字、記号などは以下に示される。
★:標的サイズ付近(±10bp)の増幅産物が得られるもの
W値:増幅産物の得られる可能性
得られる可能性が高い…W6>W5>W4>W3>W2…得られる可能性が低い数値(bp):増幅産物のサイズ(bp)
Amplifyで得られた値から2を引いた値
−:増幅産物なし
近縁種:Arachis hypogaea(AF156675)のITS-1配列の類似配列をBLASTにより
検索し、Score 60 bits以上となった配列を対象とした。なお表には、Score 60 bits以上となった種から、最もScoreの高い一配列を代表として示した。
+*:ITS-1配列へのプライマーの結合あり
Vigna angularis var. nipponensis(小豆)の配列については、ITS-1配列のみで5.8S rRNA遺伝子配列までは登録されていなかったので、ITS-1配列への配列番号20のプライマーのアニーリングがあることを確認した。
さらに、今回はITS-1配列上に配列番号20のプライマーがアニーリングすることが予想されたため、配列番号3のプライマーが5.8S rRNA遺伝子配列上に結合すると仮定して、増幅産物のおおよそのサイズを推定した。
【0062】
【表4A】
Figure 0004301789
【0063】
【表4B】
Figure 0004301789
【0064】
【表4C】
Figure 0004301789
【0065】
【表4D】
Figure 0004301789
【0066】
【表4E】
Figure 0004301789
【0067】
B.PCRに用いた鋳型DNA
(1)DNA抽出に用いた試料
落花生:
市販の落花生6品を用いた。
そば、小麦、大豆、小豆、とうもろこし:
市販の白花そば(普通そば)、小麦、大豆(2品)、小豆(2品)、とうもろこしの各種子から発芽させた葉を用いた。
【0068】
(2)落花生からのDNA抽出
DNA抽出は、QIAGEN社製のGenomic-tipを用いて行い、得られた抽出液をMACHEREY-NAGEL社製のNucleoSpinで精製を行う以下の方法で行った。
細かく粉砕した試料1gを15ml容チューブに入れ、10mlのBuffer G2、100μlのProteinase K(20mg/ml)、10μlのRNase A(100mg/ml)を加え、混合した後、50℃で1時間保温した。その後、約3,000×gで10分間遠心分離し、その上清液を得た。得られた上清液を、予め1mlのBuffer QBTで平衡化したGenomic-tip 20/Gに供してDNAをColumnに吸着させた。その後、4mlのBuffer QCでColumnを洗浄し、予め50℃に加温してある1mlのBuffer QFで溶出させた。溶出液に4容量のBuffer NT2を加えて混合した後、二本のNucleoSpin Extract Columnに一回に650μlずつ供し、約6,000×gで1分間遠心分離してDNAをColumnに吸着させた。これを全液量処理するまで繰り返した。その後、Columnに600μlのBuffer NT3を加え、約6,000×gで1分間遠心分離してColumnを洗浄、再度600μl のBuffer NT3を加え、最高速度で1分間遠心分離して、Columnに残っているBuffer NT3を完全に除去した。最終的に100μlのBuffer NEをColumnに加え、最高速度で1分間遠心分離してColumnから溶出し、イソプロパノール沈澱により回収した沈澱物を50μlの滅菌超純水に溶解して、濃度を測定し、PCRの鋳型DNA試料とした。
【0069】
(3)白花そば(普通そば)、小麦、大豆、小豆、とうもろこしの葉からのDNA抽出
DNA抽出は、QIAGEN社製のDNeasy Plant Mini Kitを用い、同キット添付のDNeasy Plant Mini Kit Handbookにしたがって以下の方法で行った。
細かく粉砕した試料約50mg程度を1.5ml容チューブに入れ、600μlのBuffer AP1、6μlのRNase A(100mg/ml)を加え、混合した後、65℃で1時間保温した。その後、これに200μlのBuffer AP2を加えて、氷中で10分間放置し、遠心分離によりその上清を得た。得られた上清をQIAshredder Spin Columnに供し、遠心分離によりColumnのパス液を得た。このパス液に0.5容量のBuffer AP3、1容量のエタノールを加えて混合した後、DNeasy Spin Columnに一回に650μlずつ供し、約6,000×gで1分間遠心分離してDNAをColumnに吸着させた。これを全液量処理するまで繰り返した。その後、Columnに500μlのBuffer AWを加え、約6,000×gで1分間遠心分離してColumnを洗浄、再度500μlのBuffer AWをColumnに加え、最高速度で1分間遠心分離して、Columnに残っているBuffer AWを完全に除去した。最終的に65℃で予め保温しておいた100μlのBuffer AEをColumnに加え、最高速度で1分間遠心分離し、再度65℃で予め保温しておいた100μlのBuffer AEをColumnに加え、最高速度で1分間遠心分離してColumnから溶出し、イソプロパノール沈澱により回収した沈澱物を50μlの滅菌超純水に溶解して、濃度を測定し、PCRの鋳型DNA試料とした。
【0070】
(4)感度確認用のDNA調製(小麦中の落花生)
(2)で得た落花生種子のDNAを、(3)で得た小麦の葉のDNAで順次希釈して、落花生種子のDNAを10ppm、1ppm含む小麦の葉DNA溶液を調製した。
【0071】
C.PCR(その1.配列番号18と配列番号3のプライマー)
PCRは、Applied Biosystems社製のAmpliTaq Gold(R) & 10×PCR Buffer II& MgCl2 Solution with dNTPを用い、以下の方法で行った。
2.5μlの10×PCR BufferIIに、0.125μlのAmpliTaq Gold(5U/μl)、2.5μlのdNTPs Mix(2mM each)、1.5μlのMgCl2 Solution(25mM)を加え、さらに配列番号18のプライマーを終濃度で0.5μMと、配列番号3のプライマーを終濃度で0.5μM、及び鋳型DNAを加え、最終的に滅菌超純水で25μlとした反応用溶液を0.2ml容マイクロチューブに入れ、サーマルサイクラーGeneAmp PCR System 2400(Applied Biosystems社製)により、酵素活性化(95℃,15分)後、変性(95℃,1分)−アニーリング(66℃,2分)−伸長(72℃,1分)の反応を45回繰り返し、最終伸長(72℃,4分)で反応させた。得られたPCR反応液をエチジウムブロマイド含有の2%アガロースゲル電気泳動に供して、Amersham Pharmacia Biotech社製の蛍光イメージアナライザーFluorImager 595により解析した。その結果を図8に示す。図8の省略文字、記号などは以下に示される。
M : 100bp DNA Ladder Marker
(−) : 鋳型DNA未添加
数字 : 添加した鋳型DNA量
矢印 : 標的増幅産物のバンド(156bp)
【0072】
D.PCR結果(その1.配列番号18と配列番号3のプライマー)
本発明のプライマーを用いて上記PCRを行い、解析した結果を図8に示す。図8に示すように、市販落花生6品全てから、標的とした落花生ITS-1〜5.8S rRNA遺伝子配列からシミュレーションで予想される156bpのサイズの増幅産物が得られた。この結果は、表3に示すシミュレーションの結果と一致しており、シミュレーション結果に対する信頼性を評価し得るものであった。
【0073】
E.シークエンス試料の調製(その1.配列番号18と配列番号3のプライマー)
(1)落花生由来増幅産物の精製
D.で得られた落花生由来増幅産物の精製は、実施例1のE.(1)そば殻由来増幅産物の精製と同じ方法で行った。
【0074】
(2)シークエンス反応とシークエンス解析試料の精製
(1)で得られた落花生由来の精製DNA試料を用いたシークエンス反応は、プライマーに配列番号18と3を用いたこと以外は、実施例1のE.(2)シークエンス反応とシークエンス解析試料の精製と同じ方法で行った。
【0075】
F.シークエンス解析(その1.配列番号18と配列番号3のプライマー)
E.(2)で得られた落花生由来のシークエンス解析試料を、Applied Biosystems社製のシークエンサーABI PRISM 310 Genetic Analyzerにより解析して、得られた塩基配列をGenBankの落花生属のArachis hypogaea(AF156675)、A. correntina(AF203554)、A. villosa(AF203558)の配列と比較した。その結果を図9に示す。図9の数字、文字、下線、記号などは以下に示される。
数字 : シークエンスを行った増幅産物の配列の塩基No.
Samples : 市販落花生(6品)由来のシークエンス解析試料
* : 比較した全てで合致した塩基
一本下線: センスプライマー部分
二本下線: アンチセンスプライマー部分
【0076】
G.シークエンス結果(その1.配列番号18と配列番号3のプライマー)
図9に示すように、本発明のプライマーを用いてPCRを行い、市販落花生から得られた増幅産物の塩基配列は6品全てで100%合致しており、さらにA. correntina(AF203554)とA. villosa(AF203558)の配列と、プライマーに挟まれた114塩基100%が合致した。この結果より、標的とした落花生のITS-1〜5.8S rRNA遺伝子配列の部分が確実に検出できることがわかった。なお、A. hypogaea(AF156675)とは、5ヶ所異なっており、特に48番目のTの塩基は、GenBankに登録されているA. hypogaea(AF156675)以外のArachis属に存在せず、今回の市販落花生にも存在しないものであった。市販落花生を含め、落花生属を幅広く検出するプライマーを設計するにあたっては、GenBankに登録されているA. hypogaea(AF156675)の配列の代わりに、市販落花生の配列、A. correntina(AF203554)やA. villosa(AF203558)の配列 を用いることが好ましく、A. hypogaea(AF156675)から設計した 配列番号19のセンスプライマーよりも、市販落花生の配列、A. correntina(AF203554)やA. villosa(AF203558)の配列から設計した配列番号20のセンスプライマーを用いることが好ましいことがわかった。
【0077】
H.PCR(その2.配列番号20と配列番号3のプライマー)
PCRは、QIAGEN社製のHotStarTaq Master Mix Kitを用い、同キット添付のHotStarTaq PCR Handbookに従って以下の方法で行った。
12.5μlの2×HotStarTaq Master Mix(HotStarTaq DNA Polymerase、PCR Buffer with 3mM MgCl2、400μM each dNTP)に、配列番号20のプライマーを終濃度で0.5μMと、配列番号3のプライマーを終濃度で0.5μM、及び鋳型DNAを加え、最終的に滅菌超純水で25μlとした反応用溶液を0.2ml容マイクロチューブに入れ、Applied Biosystems社製のシークエンサーSequence Detection System ABI PRISM 7700により、酵素活性化(95℃,15分)後、変性(95℃,30秒)−アニーリング・伸長(75℃,30秒)の反応を25回繰り返した後、変性(95℃,30秒)−アニーリング・伸長(72℃,30秒)の反応を30回繰り返し、最終伸長(72℃,5分)で反応させた。得られたPCR反応液をエチジウムブロマイド含有の2%アガロースゲル電気泳動に供して、Amersham Pharmacia Biotech社製の蛍光イメージアナライザーFluorImager 595により解析した。その結果を図10及び11に示す。図10及び11の省略文字、記号などは以下に示される。
M : 100bp DNA Ladder Marker
(−) : 鋳型DNA未添加
数字 : 添加した鋳型DNA量
矢印 : 標的増幅産物のバンド(114bp)
なお、全てのDNAは植物のchloroplast DNAの一部を増幅するプライマーにより産物が得られることを確認した。
【0078】
I.PCR結果(その2.配列番号20と配列番号3のプライマー)
本発明のプライマーを用いて上記PCRを行い、解析した結果を図10に示す。図10に示すように、落花生から、標的とした落花生ITS-1〜5.8S rRNA遺伝子配列からシミュレーションで予想される114bpのサイズの増幅産物が得られた。一方、そば、小麦、大豆、小豆、とうもろこしからは114bpの増幅産物は得られなかった。ただし、小麦からは標的とは異なる約250bpの非特異的な増幅産物が得られた。これらPCRによる特異性確認の結果は、表4に示すシミュレーションの結果とほぼ一致しており、したがって、シミュレーション結果に対する信頼性を評価し得るものであった。以上、実際のPCRとシミュレーションの結果とを併せて、市販落花生を含む落花生属を幅広く特異的に検出できることがわかった。
図11に示すように、本発明のプライマーを用いて上記PCRを行い、解析した結果、小麦DNA中に存在する1ppmの落花生DNAから、標的とした落花生ITS-1〜5.8S rRNA遺伝子配列より予想される114bpのサイズの増幅産物が得られた。この結果より、小麦DNA中に10〜1ppmの落花生DNAが存在する場合でも、落花生を検出できることがわかった。
なお、小麦から、標的とした114bpの増幅産物とは明らかにサイズの異なる非特異的な増幅産物が得られているが、落花生の検出感度への影響はなかった。小麦を含む試料の場合には、この小麦由来の産物の有無を指標として、抽出したDNAの品質確認を同時に行うことが可能である。
なお、これらの実施例1、2及び3に示す様に、Amplifyによるシミュレーションにおける増幅産物の得られる可能性を示すW値がW4以下の標的とは異なる非特異的な増幅産物は、実際のPCRでは得られたり、得られなかったりするレベルのものであることがわかった。表1、2、3及び4に示したAmplifyによるシミュレーション結果における増幅産物の有無は、念の為、W4よりも増幅産物の得られる可能性の低いW2までを記載して、それよりも増幅産物の得られる可能性がさらに低いと考えられるW1とW0については記載を省略した。
【0079】
J.シークエンス用試料の調製(その2.配列番号20と配列番号3のプライマー)
(1)落花生由来増幅産物の精製
I.で得られた落花生由来増幅産物の精製は、実施例1のE.(1)そば殻由来増幅産物の精製と同じ方法で行った。
【0080】
(2)シークエンス反応とシークエンス解析試料の精製
(1)で得られた落花生由来の精製DNA試料を用いたシークエンス反応は、プライマーに配列番号20と3を用いたこと以外は、実施例1のE.(2)シークエンス反応とシークエンス解析試料の精製と同じ方法で行った。
【0081】
K.シークエンス解析(その2.配列番号20と配列番号3のプライマー)
J.(2)で得られた落花生由来のシークエンス解析試料を、Applied Biosystems社製のシークエンサーABI PRISM 310 Genetic Analyzerにより解析して、得られた塩基配列をGenBankの落花生属のArachis hypogaea(AF156675)、Arachis correntina(AF203554)、Arachis villosa(AF203558)、Arachis major(AF203552)、Arachis hermannii(AF203556)の配列、及びG.で得られた市販落花生の塩基配列と比較した。その結果を図12に示す。図12の数字、文字、下線、記号などは以下に示される。
数字 : シークエンスを行った増幅産物の配列の塩基No.
市販落花生 : G.で得られた市販落花生の塩基配列の一部
Samples : 市販落花生(6品)由来のシークエンス解析試料
* : 比較した全てで合致した塩基
一本下線 : センスプライマー部分
二本下線 : アンチセンスプライマー部分
【0082】
L.シークエンス結果
図12に示すように、本発明のプライマーを用いてPCRを行い、市販落花生から得られた増幅産物の塩基配列は、GenBankのArachis correntina(AF203554)、Arachis villosa(AF203558)、Arachis major(AF203552)、Arachis hermannii(AF203556)の配列と、プライマーに挟まれた75塩基100%が合致した。なお、GenBankのArachis hypogaea(AF156675)とは4ヶ所の違いがみられたが、G.で得られた市販落花生の塩基配列とは100%が合致した。この結果より、標的とした落花生のITS-1〜5.8S rRNA遺伝子配列の部分が確実に検出できることがわかった。
【0083】
【実施例4】
A.そば検出用プライマーの設計
(1)そば、そば以外のアレルギーを起こす恐れのある植物、食品原料としてよく使われている植物の配列
実施例1のA.(1)そばの配列、(2)そば以外のアレルギーを起こす恐れのある植物の配列、(3)食品原料としてよく使われている植物の配列に記載のものを使用した。
【0084】
(2)そば近縁種の植物の配列
実施例2のA.(2)そば近縁種の植物の配列に記載のものを使用した。
【0085】
(3)プライマー配列
そば属のITS-1配列の中から、21配列全てにハイブリダイズし、かつそば属に特異性の高い配列選定し、配列番号15の塩基配列を有するプライマーを合成した。
センスプライマー
5'− CGT TGC CGA GAG TCG TTC TGT TT −3' (配列番号15)
また、アンチセンスプライマーは、実施例2と同じく配列番号14のプライマーを用いた。
【0086】
B.PCRシミュレーション
これらセンスプライマーとアンチセンスプライマーについては、実施例1と同様にPCRシミュレーションソフトAmplifyにより、そば属の21配列、そば以外のアレルギーを起こす恐れのある植物の8配列(落花生、小麦、大豆、クルミ、松茸、桃、リンゴ、オレンジ)、食品原料としてよく使われている植物の4配列(とうもろこし、米、胡椒、からし)、そば近縁種の植物の27配列から標的とするサイズの増幅産物が得られるかどうかを確認した。
シミュレーション結果を表5A〜5Cに示す。表5A〜5Cの省略文字、記号などは以下に示される。
★:標的サイズ付近(±10bp)の増幅産物が得られるもの
W値:増幅産物の得られる可能性
得られる可能性が高い…W6>W5>W4>W3>W2…得られる可能性が低い
数値(bp):増幅産物のサイズ(bp)
Amplifyで得られた値から2を引いた値
−:増幅産物なし
近縁種:Fagopyrum esculentum(AB000330)のITS-1配列の類似配列をBLASTにより検索し、Score 60 bits以上となった配列を対象とした。なお表には、 Score 60 bits以上となった属から、最もScoreの高い一種を代表として示した。
【0087】
C.PCRの鋳型として用いたDNA
実施例1のB.(2)で抽出した白花そば(普通そば)及び、ダッタンそばDNA試料を、滅菌超純水で順次希釈して用いた。また、実施例1のB.(2)で抽出した白胡椒DNA試料と、実施例1のB.(3)で抽出したからしDNA試料、実施例3のB.(2)で抽出した落花生DNA試料と、実施例3のB.(3)で抽出した小麦、大豆、とうもろこしDNA試料を用いた。ならびに、米の種子とソバカズラの葉から実施例1のB.(3)と同様の方法で抽出した米DNA試料とソバカズラDNA試料を用いた。ソバカズラDNAは、滅菌超純水で順次希釈して用いた。
【0088】
D.PCR
プライマーとPCR条件以外については、基本的に実施例1のC.と同じ方法で行った。
プライマー:
配列番号14と15をそれぞれ終濃度で0.5μMを用いた。
PCR条件:
酵素活性化(95℃, 15分)後、変性(95℃, 1分)−アニーリング(66℃, 2分)−伸長(72℃, 1分)の反応を45回繰り返し、最終伸長(72℃, 4分)で行った。
【0089】
E.結果
本発明のプライマーを用いて、AmplifyによりPCRシミュレーションを行い、各植物のITS-1〜5.8S rRNA遺伝子配列に対する特異性を確認した結果、表5A〜5Cに示すように、そば属の21配列から標的とする101bpの増幅産物が得られることが確認された。一方、そば以外のアレルギーを起こす恐れのある植物の8配列(落花生、小麦、大豆、クルミ、松茸、桃、リンゴ、オレンジ)と、食品原料としてよく使われている植物の4配列(とうもろこし、米、胡椒、からし)と、タデ科ならびにタデ科以外のそば近縁種植物の27配列からは、標的とする101bpの増幅産物は得られないことが確認された。また、非特異的な増幅産物も得られないことが確認された。この結果より、そば属を幅広く、かつ特異的に検出できることがわかった。
本発明のプライマーを用いて上記PCRを行い、解析した結果、500〜50fgの白花そば(普通そば)DNA、ならびに、ダッタンそばDNAから、標的としたそばITS-1〜5.8S rRNA遺伝子配列からシミュレーションで予想される101bpのサイズの増幅産物が検出された。この結果より、500〜50fgのそばDNAが存在する場合でも、そばを検出できることがわかった。なお、この感度は、ある試料から抽出した50ngのDNAを鋳型としてPCRした場合、その試料DNA中に含まれる10〜1ppmのそばDNAを検出できる感度に相当する。一方、小麦、落花生、大豆、とうもろこし、からし、胡椒、玄米からは、101bpのサイズの増幅産物ならびに非特異的な増幅産物も得られなかった。さらに、ソバカズラについては、鋳型DNA量が50〜5ngでは非常に薄いながら標的サイズの増幅産物が得られたものの、500pg以下では標的サイズの増幅産物ならびに非特異的な増幅産物は全く得られなかった。なお、このソバカズラに関しては、ある試料から抽出した50ngのDNAを鋳型としてPCRした場合、その試料DNA中に1%のソバカズラDNAが存在していたとしても疑陽性として検出しないレベルに相当する。また、PCR条件を変更することで、50〜5ngのソバカズラDNAからも標的サイズの増幅産物が得られなくなる可能性もある。
以上、PCRシミュレーションによる特異性確認とPCRによる感度確認ならびに特異性確認の結果とを併せて、食用そばである白花そば(普通そば)及びダッタンそばを含むそば属を幅広く、特異的かつ高感度に検出できることがわかった。
【0090】
【表5A】
Figure 0004301789
【0091】
【表5B】
Figure 0004301789
【0092】
【表5C】
Figure 0004301789
【0093】
【実施例5】
A.落花生検出用プライマーの設計
(1)落花生、落花生以外のアレルギーを起こす恐れのある植物、食品原料としてよく使われている植物、食品原料として使われているマメ科植物の配列
実施例3のA.(1)落花生の配列、(2)落花生以外のアレルギーを起こす恐れのある植物の配列、(3)食品原料としてよく使われている植物、(4)食品原料として使われているマメ科植物の配列に記載のものを使用した。なお、小豆の配列としては、GenBankに登録されている下記配列中のITS-2配列も用いた。1:小豆 Vigna angularis var. nipponensis(AB060088)
【0094】
(2)落花生近縁種の植物の配列
実施例3のA.(5)落花生近縁種の植物の配列に記載のものを使用した。なお、これらの配列は、落花生(Arachis hypogaea AF156675)のITS-1配列部分をBLASTによるホモロジー検索に供してヒットした配列の中から、落花生属以外のScore 60 bits以上となった種で、最もScoreが高い値となった配列を代表として選定したものである。
また、落花生近縁種の植物の配列の代表として、GenBankに登録されている下記配列中の5.8S rRNA、ITS-1及びITS-2のDNA配列も用いた。なお、これらの配列は、落花生(Arachis hypogaea AF156675)のITS-2配列部分をBLASTによるホモロジー検索に供してヒットした配列の中から、落花生属以外のScore 60 bits以上となった種で、最もScoreが高い値となった配列を代表として選定したものである。
1:Chapmannia floridana(AF203543)
2:Chapmannia gracilis(AF203546)
3:Chapmannia prismatica(AJ320400)
4:Chapmannia reghidensis(AF204232)
5:Chapmannia sericea(AF203548)
6:Chapmannia somalensis(AF203544)
7:Chapmannia tinireana(AF203547)
8:Fiebrigiella gracilis(AF203561)
9:Fissicalyx fendleri(AF189061)
10:Stylosanthes acuminata(AJ320282)
11:Stylosanthes angustifolia(AJ320284)
12:Stylosanthes aurea(AJ320285)
13:Stylosanthes biflora(AJ320289)
14:Stylosanthes bracteata(AJ320346)
15:Stylosanthes calcicola(AJ320348)
16:Stylosanthes campestris(AJ320291)
17:Stylosanthes capitata(AJ320350)
18:Stylosanthes cayennensis(AJ320292)
19:Stylosanthes erecta(AJ320352)
20:Stylosanthes fruticosa(AJ320356)
21:Stylosanthes gracilis(AJ320296)
22:Stylosanthes grandifolia(AJ320299)
23:Stylosanthes guianensis subsp. dissitiflora(AJ320301)
24:Stylosanthes hamata(AJ320365)
25:Stylosanthes hippocampoides(AJ320316)
26:Stylosanthes hispida(AJ320328)
27:Stylosanthes humilis(AJ320327)
28:Stylosanthes ingrata(AJ320329)
29:Stylosanthes leiocarpa(AJ320332)
30:Stylosanthes linearifolia(AJ320367)
31:Stylosanthes macrocarpa(AJ320369)
32:Stylosanthes macrocephala(AJ320371)
33:Stylosanthes macrosoma(AJ320333)
34:Stylosanthes mexicana(AJ320373)
35:Stylosanthes montevidensis(AJ320336)
36:Stylosanthes pilosa(AJ320377)
37:Stylosanthes scabra(AJ320382)
38:Stylosanthes seabrana(AJ320384)
39:Stylosanthes sericeiceps(AJ320386)
40:Stylosanthes subsericea(AJ320387)
41:Stylosanthes sundaica(AJ320389)
42:Stylosanthes sympodialis(AJ320391)
43:Stylosanthes tomentosa(AJ320337)
44:Stylosanthes tuberculata(AJ320392)
45:Stylosanthes viscosa(AJ320340)
【0095】
(3)プライマー配列
(a)落花生属(11配列)の5.8S rRNA遺伝子配列、及び落花生以外のアレルギーを起こす恐れのある植物(8配列)の5.8S rRNA遺伝子配列の中から、これら植物全てにハイブリダイズする配列を選定し、配列番号7の塩基配列を有するプライマーを合成した。
センスプライマー
5'− GAT GAA GAA CGT AGC GAA ATG CGA TAC T −3' (配列番号7)
落花生属のITS-2配列の中から、11配列に全てにハイブリダイズし、かつ落花生属に特異性の高い配列を選定し、配列番号24の塩基配列を有するプライマーを合成した。
アンチセンスプライマー
5'− CCA TCT GCC GCG GTG CC −3' (配列番号24)
(b)さらに他の組み合わせとして、ITS-1配列上のセンスプライマーには、実施例3の配列番号18のプライマーを用い、ITS-2配列上のアンチセンスプライマーには、配列番号24のプライマーを用いた。
【0096】
B.PCRシミュレーション
これらセンスプライマーとアンチセンスプライマーについては、実施例1と同様にPCRシミュレーションソフトAmplifyにより、落花生属の11配列、落花生以外のアレルギーを起こす恐れのある植物の8配列(そば、小麦、大豆、クルミ、松茸、桃、リンゴ、オレンジ)、食品原料としてよく使われている植物の4配列(とうもろこし、米、胡椒、からし)、食用のマメ科植物の6配列(インゲンマメ、ライマメ、ヒラマメ、ヒヨコマメ、緑豆、小豆)、落花生近縁種の植物の配列から標的とするサイズの増幅産物が得られるかどうかを確認した。
(a)配列番号7と配列番号24のプライマーのシミュレーション結果を表6A〜6Dに示す。表6A〜6Dの省略文字、記号などは以下に示される。
★:標的サイズ付近(±10bp)の増幅産物が得られるもの
W値:増幅産物の得られる可能性
得られる可能性が高い…W6>W5>W4>W3>W2…得られる可能性が低い
数値(bp):増幅産物のサイズ(bp)
Amplifyで得られた値から2を引いた値
−:増幅産物なし
近縁種:Arachis hypogaea(AF156675)のITS-2配列の類似配列をBLASTにより
検索し、Score 60 bits以上となった配列を対象とした。なお表には、Score 60 bits以上となった種から、最もScoreの高い一配列を代表として示した。
−*:ITS-2配列へのプライマーの結合なし
Vigna angularis var. nipponensis(小豆)の配列については、ITS-2配列のみで5.8S rRNA遺伝子配列までは登録されていなかったので、ITS-2配列への配列番号24のプライマーのアニーリングがないことを確認した。
(b)配列番号18と配列番号24のプライマーのシミュレーション結果を表7A〜7Eに示す。表7A〜7Eの省略文字、記号などは以下に示される。
★:標的サイズ付近(±10bp)の増幅産物が得られるもの
W値:増幅産物の得られる可能性
得られる可能性が高い…W6>W5>W4>W3>W2…得られる可能性が低い
数値(bp):増幅産物のサイズ(bp)
Amplifyで得られた値から2を引いた値
−:増幅産物なし
近縁種:Arachis hypogaea(AF156675)のITS-1配列の類似配列と、ITS-2配列の類似配列をそれぞれBLASTにより検索し、Score 60 bits以上となった配列を対象とした。なお表には、Score 60 bits以上となった種から、最もSco reの高い一配列を代表として示した。
−*:ITS-1もしくはITS-2配列へのプライマーの結合なし
Vigna angularis var. nipponensis(小豆)の配列については、ITS-1配列のみ、あるいはITS-2配列のみでITS-1〜5.8S rRNA遺伝子〜ITS-2配列の全長は登録されていなかったので、ITS-1配列への配列番号18のプライマーのアニーリング、ならびにITS-2配列への配列番号24のプライマーのアニーリングがないことを確認した。
【0097】
C.PCRの鋳型として用いたDNA
実施例3のB.(2)で抽出した落花生DNA試料を、滅菌超純水で順次希釈して用いた。
【0098】
D.PCR
プライマーとPCR条件以外については、基本的に実施例1のC.と同じ方法で行った。
プライマー:
(a)配列番号7と24をそれぞれ終濃度で0.5μMを用いた。
(b)配列番号18と24をそれぞれ終濃度で0.5μMを用いた。
PCR条件:
酵素活性化(95℃, 15分)後、変性(95℃, 1分)−アニーリング(68℃, 1分)−伸長(72℃, 1分)の反応を45回繰り返し、最終伸長(72℃, 4分)で行った。
なお、抽出したDNAがPCR増幅可能であることは、植物のchloroplast DNAの一部を増幅するプライマーにより、増幅産物が得られることで確認した。
【0099】
E.結果
(a)配列番号7と配列番号24の組み合わせの結果
本発明のプライマー(配列番号7と配列番号24の組み合わせ)を用いて、Amplifyにより上記PCRシミュレーションを行い、各植物の5.8S rRNA遺伝子〜ITS-2配列に対する特異性を確認した結果、表6A〜6Dに示すように、落花生属の11配列から標的とする253〜259bpの増幅産物が得られることが確認された。一方、落花生以外のアレルギーを起こす恐れのある植物の8配列(そば、小麦、大豆、クルミ、松茸、桃、リンゴ、オレンジ)と、食品原料としてよく使われている植物の4配列(とうもろこし、米、胡椒、からし)と、食用のマメ科植物の6配列(インゲンマメ、ライマメ、ヒラマメ、ヒヨコマメ、緑豆、小豆)と、マメ科の落花生近縁種植物のうち41配列からは、標的とする253〜259bpの増幅産物は得られないことが確認された。なお、マメ科の落花生近縁種植物のうちStylosanthes cayennensisとStylosanthes hispidaとStylosanthes viscosaとFissicalyx fendleriの配列からは、標的とする253〜259bp付近のサイズの増幅産物が得られるシミュレーション結果となったが、これらの増幅産物については、シークエンス解析により識別することが可能である。また、適宜、実施例3に示すPCR等により落花生かどうかを識別すればよい。この結果より、落花生属を幅広く、かつ特異的に検出できることがわかった。
【0100】
【表6A】
Figure 0004301789
【0101】
【表6B】
Figure 0004301789
【0102】
【表6C】
Figure 0004301789
【0103】
【表6D】
Figure 0004301789
【0104】
本発明のプライマーを用いて上記PCRを行い、解析した結果、500〜50fgの落花生DNAから、標的とした落花生5.8S rRNA遺伝子〜ITS-2配列からシミュレーションで予測された253〜259bpのサイズの増幅産物が検出された。この結果より、500〜50fgの落花生DNAが存在する場合でも、落花生を検出できることがわかった。なお、この感度は、ある試料から抽出した50ngのDNAを鋳型としてPCRした場合、その試料DNA中に含まれる10〜1ppmの落花生DNAを検出できる感度に相当する。
以上、PCRシミュレーションによる特異性確認とPCRによる感度確認の結果とを併せて、落花生を含む落花生属を幅広く、特異的かつ高感度に検出できることがわかった。
【0105】
(b)配列番号18と配列番号24の組み合わせの結果
本発明のプライマー(配列番号18と配列番号24の組み合わせ)を用いて、Amplifyにより上記PCRシミュレーションを行い、各植物のITS-1〜5.8S rRNA遺伝子〜ITS-2配列に対する特異性を確認した結果、表7A〜7Eに示すように、落花生属の11配列から標的とする384〜390bpの増幅産物が得られることが確認された。一方、落花生以外のアレルギーを起こす恐れのある植物の8配列(そば、小麦、大豆、クルミ、松茸、桃、リンゴ、オレンジ)と、食品原料としてよく使われている植物の4配列(とうもろこし、米、胡椒、からし)と、食用のマメ科植物の7配列(インゲンマメ、ライマメ、ヒラマメ、ヒヨコマメ、緑豆、小豆)と、マメ科の落花生近縁種植物のうち71配列と、マメ科以外の落花生近縁種植物の3配列からは、標的とする384〜390bpの増幅産物は得られないことが確認された。なお、マメ科の落花生近縁種植物のうちStylosanthes cayennensisとStylosanthes hispidaとStylosanthes viscosaとFissicalyx fendleriの配列からは、標的とする384〜390bp付近のサイズの増幅産物が得られるシミュレーション結果となったが、これらの増幅産物については、シークエンス解析により識別することが可能である。また、適宜、実施例3に示すPCR等により落花生かどうかを識別すればよい。この結果より、落花生属を幅広く、かつ特異的に検出できることがわかった。
【0106】
【表7A】
Figure 0004301789
【0107】
【表7B】
Figure 0004301789
【0108】
【表7C】
Figure 0004301789
【0109】
【表7D】
Figure 0004301789
【0110】
【表7E】
Figure 0004301789
【0111】
本発明のプライマーを用いて上記PCRを行い、解析した結果、500〜50fgの落花生DNAから、標的とした落花生ITS-1〜5.8S rRNA遺伝子〜ITS-2配列からシミュレーションで予測された384〜390bpのサイズの増幅産物が検出された。この結果より、500〜50fgの落花生DNAが存在する場合でも、落花生を検出できることがわかった。なお、この感度は、ある試料から抽出した50ngのDNAを鋳型としてPCRした場合、その試料DNA中に含まれる10〜1ppmの落花生DNAを検出できる感度に相当する。
以上、PCRシミュレーションによる特異性確認とPCRによる感度確認の結果とを併せて、落花生を含む落花生属を幅広く、特異的かつ高感度に検出できることがわかった。
【0112】
【実施例6】
A.小麦検出用プライマーの設計
(1)小麦の配列
小麦の配列として、GenBankに登録されている下記配列中の5.8S rRNA、ITS-1及びITS-2のDNA配列を用いた。
1:Triticum aestivum(AF440679)
2:Triticum aestivum(AF440676)
3:Triticum aestivum(AF438191)
4:Triticum aestivum(AF438188)
5:Triticum aestivum(AF438187)
6:Triticum aestivum(AF438186)
7:Triticum baeoticum(AJ238901)
8:Triticum urartu(AJ301803)
9:Triticum turgidum subsp. dicoccum(AJ301801)
10:Triticum monococcum(AJ301800)
11:Triticum aestivum(AJ301799)
12:Triticum monococcum(AJ245404)
13:Triticum turgidum(AJ238919)
14:Triticum turgidum(AJ238918)
15:Triticum turgidum(AJ238917)
16:Triticum turgidum(AJ238915)
17:Triticum turgidum(AJ238913)
18:Triticum turgidum(AJ238912)
19:Triticum turgidum(AJ238911)
20:Triticum timopheevii(AJ238924)
21:Triticum timopheevii(AJ238923)
22:Triticum timopheevii(AJ238922)
23:Triticum timopheevii(AJ238921)
24:Triticum timopheevii(AJ238920)
25:Triticum turgidum(AJ238916)
26:Triticum turgidum(AJ238914)
27:Triticum urartu(AJ238902)
28:Triticum aestivum(Z11761)
29:Triticum monococcum(L11581)
【0113】
(2)小麦以外のアレルギーを起こす恐れのある植物、食品原料としてよく使われている植物の配列
実施例1のA.(2)そば以外のアレルギーを起こす恐れのある植物の配列と、実施例1のA.(3)食品原料としてよく使われている植物の配列に記載のものを使用した。そばの配列として、GenBankに登録されている下記配列中の5.8S rRNA、ITS-1及びITS-2のDNA配列を用いた。
1:そば Fagopyrum esculentum(AB000330)
【0114】
(3)食品原料として使われている麦類の植物の配列
ライ麦、大麦、えん麦の配列として、GenBankに登録されている下記配列中の5.8S rRNA、ITS-1及びITS-2のDNA配列を用いた。
1:ライ麦 Secale cereale(L36504)
2:大麦 Hordeum vulgare(AF440678)
3:えん麦 Avena sativa(Z96893)
【0115】
(4)小麦近縁種の植物の配列
小麦近縁種の植物の配列の代表として、GenBankに登録されている下記配列中の5.8S rRNA、ITS-1及びITS-2のDNA配列を用いた。なお、これらの配列は、小麦(Triticum aestivum Z11761)のITS-2配列部分をBLASTによるホモロジー検索に供してヒットした配列の中から、小麦属以外のScore 60 bits以上となった属で、最もScoreが高い値となった種を代表として選定したものである。
1:小麦の原種 Aegilops sharonensis(AF149195)
2:Taeniatherum caput-medusae(L36505)
3:Agropyron puberulum(L36482)
4:Thinopyrum intermedium(AF507809)
5:Lophopyrum elongatum(L36495)
6:Pseudoroegneria spicata(L36502)
7:Peridictyon sanctum(L36497)
8:Australopyrum pectinatum(L36484)
9:Amblyopyrum muticum(AF149202)
10:Henrardia persica(L36491)
11:Eremopyrum bonaepartis(L36490)
12:Crithopsis delileana(L36487)
13:Psathyrostachys fragilis(L36498)
14:Heteranthelium piliferum(L36492)
15:Critesion violaceum(L36488)
16:Secale sylvestre(AJ409210)
17:Haynaldia villosa(L36489)
18:Bromus tectorum(L36485)
19:Helictotrichon gervaisii(AJ389134)
20:Festuca lasto(AF303418)
21:Lagurus ovatus(AJ389166)
22:Poa pratensis(AF171183)
23:Pseudarrhenatherum longifolium(AJ389162)
24:Alopecurus vaginatus(Z96921)
25:Calamagrostis epigejos(AJ306448)
26:Trisetum spicatum(AJ389168)
27:Koeleria pyramidata(Z96911)
28:Beckmannia eruciformis(AJ389164)
29:Lolium persicum(AF171157)
30:Diarrhena americana(AF019798)
31:Arrhenatherum elatius(AF019795)
32:Deschampsia christophersenii(AF486267)
33:Piptochaetium fimbriatum(L36523)
34:Vulpia fasciculata(AF303402)
35:Phalaris truncata(L36522)
36:Holcus lanatus(Z96919)
37:Merxmuellera stricta(AF019871)
38:Brachypodium mexicanum(AF019805)
39:Austrostipa nodosa(AF019804)
40:Ampelodesmos mauritanica(AF019799)
41:Nassella viridula(L36521)
42:Melica imperfecta(L36519)
43:Achnatherum hymenoides(L36507)
44:Austrodanthonia auriculata(AF367604)
45:Notodanthonia laevis(AF019875)
46:Oryzopsis exigua(AF019801)
47:Chionochloa rigida(AF367597)
48:Thysanolaena maxima(AF019854)
49:Monachather paradoxus(AF019852)
50:Stipagrostis zeyheri(AF019845)
51:Arundo donax(AF019809)
52:Zingeria biebersteiniana(AJ428836)
53:Centotheca lappacea(AF019814)
54:Briza minor(L36510)
55:Tribolium hispidum(AF367602)
56:Rytidosperma pumilum(AF019878)
57:Karroochloa purpurea(AF019874)
58:Centropodia glauca(AF019861)
59:Cortaderia archboldii(AF367620)
60:Lamprothyrsus peruvianus(AF367605)
61:Imperata cylindrica(AF345653)
62:Zizania latifolia(AF169234)
63:Prionanthium ecklonii(AF019866)
64:Pentaschistis aspera(AF019865)
65:Pentameris macrocalycina(AF019864)
66:Molinia caerulea(AF019857)
67:Dregeochloa pumilla(AF019853)
68:Diplopogon setaceus(AF019851)
69:Amphipogon amphopogonoides(AF019850)
70:Aristida purpurea(AF019807)
【0116】
(5)プライマー配列
小麦属のITS-2配列の中から、29配列に全てにハイブリダイズし、かつ小麦属に特異性の高い配列を選定し、配列番号28、29、30の塩基配列を有するプライマーを合成した。
センスプライマー
5'− CGG CAT CTG GTC CCT CGT CT −3' (配列番号28)
アンチセンスプライマー
5'− GCG AGG ACG CCC ACC AT −3' (配列番号29)
5'− GCA AAG ACG CCC ACC AT −3' (配列番号30)
【0117】
B.PCRシミュレーション
これらセンスプライマーとアンチセンスプライマーについては、実施例1と同様にPCRシミュレーションソフトAmplifyにより、小麦属の29配列、小麦以外のアレルギーを起こす恐れのある植物の8配列(そば、落花生、大豆、クルミ、松茸、桃、リンゴ、オレンジ)、食品原料としてよく使われている植物の4配列(とうもろこし、米、胡椒、からし)、食品原料として使われている麦類の植物の3配列(ライ麦、大麦、えん麦)、小麦の原種とされるAegilopesやコムギ連に属する小麦の品種改良などに使われている小麦近縁種の植物の配列から標的とするサイズの増幅産物が得られるかどうかを確認した。シミュレーション結果を表8A〜8Fに示す。表8A〜8Fの省略文字、記号などは以下に示される。
★:標的サイズ付近(±10bp)の増幅産物が得られるもの
W値:増幅産物の得られる可能性
得られる可能性が高い…W6>W5>W4>W3>W2…得られる可能性が低い
数値(bp):増幅産物のサイズ(bp)
Amplifyで得られた値から2を引いた値
−:増幅産物なし
近縁種:Triticum aestivum(Z11761)のITS-2配列の類似配列をBLASTにより検索し、Score 60 bits以上となった配列を対象とした。なお表には、Score 60 bits以上となった種から、最もScoreの高い一配列を代表として示した。
【0118】
C.PCRの鋳型として用いたDNA
(1)DNA抽出に用いた試料
小麦:
市販の小麦の種子を用いた。
【0119】
(2)小麦からのDNA抽出
小麦種子から、実施例1のB.(3)と同様の方法で抽出した。抽出した小麦DNA試料は、滅菌超純水で順次希釈してPCRの鋳型として用いた。
【0120】
D.PCR
プライマーとPCR条件以外については、基本的に実施例1のC.と同じ方法で行った。
プライマー:
配列番号28を終濃度で0.5μMと配列番号29、30をそれぞれ終濃度で0.25μMを用いた。
PCR条件:
酵素活性化(95℃, 15分)後、変性(95℃, 1分)−アニーリング(66℃, 1分)−伸長(72℃, 1分)の反応を45回繰り返し、最終伸長(72℃, 4分)で行った。
なお、抽出したDNAがPCR増幅可能であることは、植物のchloroplast DNAの一部を増幅するプライマーにより、増幅産物が得られることで確認した。
【0121】
E.結果
本発明のプライマーを用いて、Amplifyにより上記シミュレーションを行い、各植物のITS-2配列に対する特異性を確認した結果、表8A〜8Fに示すように、小麦属の29配列から標的とする93〜95bpの増幅産物が得られることが確認された。一方、小麦以外のアレルギーを起こす恐れのある植物の8配列(そば、落花生、大豆、クルミ、松茸、桃、リンゴ、オレンジ)と、食品原料としてよく使われている植物の4配列(とうもろこし、米、胡椒、からし)と、食用の麦類植物の3配列(ライ麦、大麦、えん麦)と、コムギ連の小麦近縁種植物のうち2配列と、コムギ連以外の小麦近縁種植物のうち51配列からは、標的とする93〜95bpの増幅産物が得られないことが確認された。なお、小麦の原種とされるAegilopesの配列や小麦の品種改良などに使われるとされるコムギ連に属する小麦近縁種植物の大多数の配列と、コムギ連以外の小麦近縁種植物の一部の配列からは、標的とする93〜95bp付近のサイズの増幅産物が得られるシミュレーション結果となった。
【0122】
【表8A】
Figure 0004301789
【0123】
【表8B】
Figure 0004301789
【0124】
【表8C】
Figure 0004301789
【0125】
【表8D】
Figure 0004301789
【0126】
【表8E】
Figure 0004301789
【0127】
【表8F】
Figure 0004301789
【0128】
本発明のプライマーを用いて上記PCRを行い、解析した結果、500〜50fgの小麦DNAから、標的とした小麦ITS-2配列からシミュレーションで予測された93〜95bpのサイズの増幅産物が検出された。この結果より、500〜50fgの小麦DNAが存在する場合でも、小麦を検出できることがわかった。なお、この感度は、ある試料から抽出した50ngのDNAを鋳型としてPCRした場合、その試料DNA中に含まれる10〜1ppmの小麦DNAを検出できる感度に相当する。
以上、PCRシミュレーションによる特異性確認とPCRによる感度確認の結果とを併せて、小麦を含む小麦属や、小麦の原種、大多数のコムギ連を幅広く、特異的かつ高感度に検出できることがわかった。
【0129】
【実施例7】
A.大豆検出用プライマーの設計
(1)大豆の配列
大豆の配列として、GenBankに登録されている下記配列中の5.8S rRNA、ITS-1及びITS-2のDNA配列を用いた。
1:Glycine max(U60551)
2:Glycine max(L36612)
3:Glycine max(AF144652)
4:Glycine max(AF144651)
5:Glycine max(BI674312)
6:Glycine soja(U60550)
7:Glycine soja(AF144653)
8:Glycine soja(AJ009790)
9:Glycine soja(AJ009791)
10:Glycine soja(AJ224109)
11:Glycine max(AJ011337)
12:Glycine max(AJ009787)
13:Glycine max(AF144654)
14:Glycine cyrtoloba(U60548)
15:Glycine tomentella(AF023447)
16:Glycine tomentella(U60544)
17:Glycine microphylla(U60537)
18:Glycine tomentella(U60542)
19:Glycine arenaria(U60543)
20:Glycine tabacina(U60539)
21:Glycine curvata(U60547)
22:Glycine tomentella(AJ011345)
23:Glycine pindanica(U60546)
24:Glycine lactovirens(U60540)
25:Glycine albicans(U60541)
26:Glycine argyrea(U60535)
27:Glycine tomentella(AF023446)
28:Glycine latifolia(U60538)
29:Glycine clandestina(U60534)
30:Glycine tomentella(AF023445)
31:Glycine dolichocarpa(AJ011340)
32:Glycine dolichocarpa(AJ224110)
33:Glycine canescens(AF023444)
34:Glycine hirticaulis(U60545)
35:Glycine tomentella(AJ011342)
36:Glycine dolichocarpa(AJ011341)
37:Glycine canescens(U60533)
38:Glycine canescens(AJ011348)
39:Glycine tabacina(AJ009788)
40:Glycine tabacina(AJ009789)
41:Glycine latrobeana(U60536)
42:Glycine tomentella(AJ011344)
43:Glycine tomentella(AJ011343)
44:Glycine tomentella(AJ011338)
45:Glycine tabacina(AJ011346)
46:Glycine dolichocarpa(AJ011339)
47:Glycine tabacina(AJ224111)
48:Glycine falcata(U60549)
49:Glycine latifolia(AJ009786)
50:Glycine tabacina(AJ011347)
【0130】
(2)大豆以外のアレルギーを起こす恐れのある植物、食品原料としてよく使われている植物の配列
実施例1のA.(2)そば以外のアレルギーを起こす恐れのある植物の配列と、実施例1のA.(3)食品原料としてよく使われている植物の配列に記載のものを使用した。そばの配列として、GenBankに登録されている下記配列中の5.8S rRNA、ITS-1及びITS-2のDNA配列を用いた。
1:そば Fagopyrum esculentum(AB000330)
【0131】
(3)食品原料として使われているマメ科植物の配列
実施例3のA.(4)食品原料としてよく使われているマメ科植物の配列に記載のものを使用した。小豆の配列として、GenBankに登録されている下記配列中のITS-2のDNA配列を用いた。
1:小豆 Vigna angularis var. nipponensis(AB060088)
【0132】
(4)大豆近縁種の植物の配列
大豆近縁種の植物の配列の代表として、GenBankに登録されている下記配列中の5.8S rNRA、ITS-1及びITS-2のDNA配列を用いた。なお、これらの配列は、大豆(Glycine max U60551)のITS-2配列部分をBLASTによるホモロジー検索に供してヒットした配列の中から、大豆属以外のScore 60 bits以上となった種で、最もScoreが高い値となった配列を代表として選定したものである。
1:Ophrestia radicosa(AF467484)
2:Myrospermum sousanum(AF187086)
3:Amphicarpaea bracteata(AF417019)
4:Amphicarpaea edgeworthii(AF417013)
5:Strophostyles umbellata(AF069115)
【0133】
(5)プライマー
大豆属のITS-2配列の中から、50配列に全てにハイブリダイズし、かつ大豆属に特異性の高い配列を選定し、配列番号34、35〜41からの塩基配列を有するプライマーを合成した。
センスプライマー
5'− CTG ACC TCC CGC GAG CAC −3' (配列番号34)
アンチセンスプライマー
5'− GCG TGG CTC ATC CAC CAT TTT ATC A −3' (配列番号35)
5'− GCG TTG CTC ATC CAC CAT TTT ATC A −3' (配列番号36)
5'− GCG TTG CTC ATC CAC CAT TTT GTC A −3' (配列番号37)
5'− GCA TTG CTC ATC CAC CAT TTT GTC A −3' (配列番号38)
5'− GCG CTG CTC ATC CGC CAT TTT GTC A −3' (配列番号39)
5'− GCG CTG CTC ATC CAC CAT TTT GTC A −3' (配列番号40)
5'− GCG TGG CTC ATC CAT TTT ATC A −3' (配列番号41)
【0134】
B.PCRシミュレーション
これらセンスプライマーとアンチセンスプライマーについては、実施例1と同様にPCRシミュレーションソフトAmplifyにより、大豆属の50配列、大豆以外のアレルギーを起こす恐れのある植物の8配列(そば、落花生、小麦、クルミ、松茸、桃、リンゴ、オレンジ)、食品原料としてよく使われている植物の4配列(とうもろこし、米、胡椒、からし)、食品原料としてよく使われているマメ科植物の6配列(インゲンマメ、ライマメ、ヒラマメ、ヒヨコマメ、緑豆、小豆)、大豆近縁種の5配列から標的とするサイズの増幅産物が得られるかどうかを確認した。シミュレーション結果を表9A〜9Cに示す。表9A〜9Cの省略文字、記号などは以下に示される。
★:標的サイズ付近(±10bp)の増幅産物が得られるもの
W値:増幅産物の得られる可能性
得られる可能性が高い…W6>W5>W4>W3>W2…得られる可能性が低い
数値(bp):増幅産物のサイズ(bp)
Amplifyで得られた値から2を引いた値
−:増幅産物なし
近縁種:Glycine max(U60551)のITS-2配列の類似配列をBLASTにより検索し、 Score 60 bits以上となった配列を対象とした。なお表には、Score 60 bits以上となった種から、最もScoreの高い一配列を代表として示した。
【0135】
C.PCRの鋳型として用いたDNA
(1)DNA抽出に用いた試料
大豆:
市販の大豆の種子を用いた。
【0136】
(2)大豆からのDNA抽出
大豆種子から、実施例1のB.(3)と同様の方法で抽出した。抽出した大豆DNA試料は、滅菌超純水で順次希釈してPCRの鋳型として用いた。
【0137】
D.PCR
プライマーとPCR条件以外については、基本的に実施例1のC.と同じ方法で行った。
プライマー:
配列番号34を終濃度で0.5μM、配列番号36、37をそれぞれ終濃度で0.25μMを用いた。
PCR条件:
酵素活性化(95℃,15分)後、変性(95℃,1分)−アニーリング(68℃,1分)−伸長(72℃,1分)の反応を45回繰り返し、最終伸長(72℃,4分)で行った。
なお、抽出したDNAがPCR増幅可能であることは、植物のchloroplast DNAの一部を増幅するプライマーにより、増幅産物が得られることで確認した。
【0138】
E.結果
本発明のプライマーを用いて、Amplifyにより上記シミュレーションを行い、各植物のITS-2配列に対する特異性を確認した結果、表9A〜9Cに示すように、大豆属の50配列から標的とする87〜89bpの増幅産物が得られることが確認された。一方、大豆以外のアレルギーを起こす恐れのある植物の8配列(そば、落花生、小麦、クルミ、松茸、桃、リンゴ、オレンジ)と、食品原料としてよく使われている植物の4配列(とうもろこし、米、胡椒、からし)と、食品原料としてよく使われているマメ科植物の6配列(インゲンマメ、ライマメ、ヒラマメ、ヒヨコマメ、緑豆、小豆)と、マメ科の大豆近縁種植物のうち3配列からは、標的とする87〜89bpの増幅産物が得られないことが確認された。なお、大豆近縁種植物のうちAmphicarpaea edgeworthii とOphrestia radicosaの配列からは、標的とする87〜89bp付近のサイズの増幅産物が得られるシミュレーション結果となったが、前者は増幅産物のシークエンス解析により大豆かどうかを識別することが可能であり、後者は適宜市販の大豆ELISAキットや報告されている各種PCR等を用いることにより大豆かどうかを識別できる可能性がある。
【0139】
【表9A】
Figure 0004301789
【0140】
【表9B】
Figure 0004301789
【0141】
【表9C】
Figure 0004301789
【0142】
本発明のプライマーを用いて上記PCRを行い、解析した結果、500〜50fgの大豆DNAから、標的としたそばITS-2配列からシミュレーションで予測された87〜89bpのサイズの増幅産物が検出された。この結果より、500〜50fgの大豆DNAが存在する場合でも、大豆を検出できることがわかった。なお、この感度は、ある試料から抽出した50ngのDNAを鋳型としてPCRした場合、その試料DNA中に含まれる10〜1ppmの大豆DNAを検出できる感度に相当する。
以上、PCRシミュレーションによる特異性確認とPCRによる感度確認の結果とを併せて、大豆を含む大豆属を幅広く、特異的かつ高感度に検出できることがわかった。
【0143】
【配列表】
Figure 0004301789
Figure 0004301789
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【図面の簡単な説明】
【図1】2%アガロースゲル電気泳動によって得られた実施例1の電気泳動図である。
【図2】2%アガロースゲル電気泳動によって得られた実施例1の電気泳動図である。
【図3】2%アガロースゲル電気泳動によって得られた実施例1の電気泳動図である。
【図4】ソバ殻由来の標的増幅産物のシークエンス解析により得られた塩基配列である。
【図5】2%アガロースゲル電気泳動によって得られた実施例3の電気泳動図である。
【図6】2%アガロースゲル電気泳動によって得られた実施例3の電気泳動図である。
【図7】白花そば由来の標的増幅産物のシークエンス解析により得られた塩基配列である。
【図8】2%アガロースゲル電気泳動によって得られた実施例5の電気泳動図である。
【図9】落花生由来の標的増幅産物のシークエンス解析により得られた塩基配列である。
【図10】2%アガロースゲル電気泳動によって得られた実施例6の電気泳動図である。
【図11】2%アガロースゲル電気泳動によって得られた実施例6の電気泳動図である。
【図12】落花生由来の標的増幅産物のシークエンス解析により得られた塩基配列である。
【図13】45S rRNA前駆体遺伝子の構造を表す。

Claims (3)

  1. 45S rRNA前駆体遺伝子配列中でそば属、落花生属又は大豆属のいずれかの植物属に共通する塩基配列からなる核酸分子とストリンジェントな条件下でハイブリダイズし得るプライマーであって、該核酸分子とハイブリダイズしたときに3’末端の塩基が前記植物属のITS-1又はITS-2配列中の塩基と相補的に結合するプライマーを使用したPCRを行い、前記植物属のITS-1又はITS-2配列の少なくとも一部を含む標的サイズのPCR増幅産物の存在を指標として前記植物属の存在を検出する植物属の検出方法であって、
    前記標的サイズは前記プライマーを用いたPCRシミュレーションで増幅が予想される産物のサイズと同じサイズを意味し、
    前記植物属がそば属の場合は、配列番号14で表される塩基配列からなるプライマーと配列番号15で表される塩基配列からなるプライマーとの組み合わせを使用して101bpの標的サイズのPCR増幅産物の存在を指標とすること、若しくは配列番号11で表される塩基配列からなるプライマーと配列番号3で表される塩基配列からなるプライマーとの組合せを使用して140bpの標的サイズのPCR増幅産物の存在を指標とすること、若しくは配列番号14で表される塩基配列からなるプライマーと配列番号3で表される塩基配列からなるプライマーとの組合せを使用して146bpの標的サイズのPCR増幅産物の存在を指標とすること、
    前記植物属が落花生属の場合は、配列番号20で表される塩基配列からなるプライマーと配列番号で表される塩基配列からなるプライマーとの組合せを使用して113〜115bpの標的サイズのPCR増幅産物の存在を指標とすること、又は
    前記植物属が大豆属の場合は、配列番号34で表される塩基配列からなるプライマーと配列番号36で表される塩基配列からなるプライマーと配列番号37で表される塩基配列からなるプライマーとの組み合わせを使用して87〜89bpの標的サイズのPCR増幅産物の存在を指標とすること
    を特徴とする検出方法。
  2. 前記植物属がそば属であり、プライマーが配列番号14で表される塩基配列からなるプライマーと配列番号15で表される塩基配列からなるプライマーとの組み合わせを使用して101bpの標的サイズのPCR増幅産物の存在を指標とする請求項1に記載の検出方法。
  3. 前記植物属が落花生属であり、プライマーが配列番号20で表される塩基配列からなるプライマーと配列番号3で表される塩基配列からなるプライマーとの組み合わせを使用して113〜115bpの標的サイズのPCR増幅産物の存在を指標とする請求項1に記載の検出方法。
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