JP6484012B2 - Pcrによる落花生の検出方法及びキット - Google Patents

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Description

本発明は、飲食品中の食物アレルゲンである落花生について陽性/陰性判定を行うためのPCR検査法にて利用することができる、増幅効率の高い新規の落花生検出用のプライマーセット及びそれを用いた検査法に関する。
落花生は、小麦、そば等と共にアレルギーを引き起こす主要な食物アレルゲンとして知られており、患者によっては微量の摂取であっても重篤なアナフィラキシーショックを引き起こす。また、食物アレルギー患者の数は近年増加の一途をたどっており、世界的に大きな社会問題の一つとなっている。
この様な背景のもと、日本をはじめとする諸外国において、食物アレルギー表示制度が施行されている。この表示制度は、特定のアレルゲンが含まれない食品を選択するために必要な情報を患者に提供することを目的としたもので、併せて表示の妥当性を検証する手段としての検査方法が必要となる。日本では、義務表示となる特定原材料7品目、推奨表示となる特定原材料に準ずる20品目が対象として指定されており(非特許文献1)、そのうち小麦、そば、落花生などの特定原材料については検査方法が通知されている(非特許文献2)。これら通知によると、特定原材料などのタンパク質が一定量(数μg/g、数μg/mL)以上含まれている食品には表示が必要となり、食品採取重量1gあたりの特定原材料などに由来するタンパク質含量がELISAによる定量のスクリーニング検査で10μg以上となったものを陽性と判断するとされる。また、スクリーニング検査で陽性と判断された食品については、必要に応じてPCR法やウェスタンブロット法による定性の確認検査が行われている。ここで、アレルゲンの確認検査に用いられている定性PCR法では、増幅産物の有/無を電気泳動で確認して陽性/陰性を判定する。例えば、落花生の定性PCRによる検査法としては、非特許文献2や特許文献1に記載されているものが報告されている。また、PCR反応液中の増幅産物に由来する蛍光シグナル強度をモニタリング検出するリアルタイムPCRがあり、アレルゲンである小麦、そば、落花生の検査法(特許文献2、3)が報告されている。
特許第4658816号公報 特開2013−188164号公報 特許第4399417号公報
アレルギー物質を含む食品に関する表示指導要領(消費者庁ホームページ) アレルギー物質を含む食品の検査方法について(平成22年9月10日付け消食表第286号)
本発明者らはこれまでに、特許文献3に改良を加えた方法として、特許文献1(以下、特許文献1に記載のPCR法を「従来PCR法」と記載する)に記載された落花生定性プライマーセット(配列番号8−9)と特許文献3に記載された落花生定量用TaqManプローブ(配列番号10)を組み合わせた定性リアルタイムPCR法を確立し、これにより、特許文献2、3に記載された小麦、そばの検査法と、同一条件下にて同時検査を行うことができ、食物アレルゲンの分析の手間を少なくできることを報告した(特願2014−57107、以下、当該定性リアルタイムPCR法を「従来リアルタイムPCR法」と記載する)。この際、小麦、そば、落花生をタンパク質濃度として10μg/g相当量となるように添加したモデル加工食品を作製し、このモデル加工食品より抽出したDNAを鋳型として小麦、そば、及び落花生のDNAについてリアルタイムPCR法により分析した。この結果、落花生DNAの増幅効率が、小麦DNA及びそばDNAの増幅効率と比べて低く、それ故に検査におけるPCR条件(より詳細には、サイクル数)を最も増幅効率の低い落花生の条件に合わせる必要があった。
しかしながら、この落花生の条件に合わせたPCR条件(サイクル数)は、小麦の検査法及びそばの検査法にとっては必要以上に長く、検出感度が必要以上に高くなるために、これら検査法においては検査環境由来の微量のコンタミネーションに起因するシグナルを検出し得、これにより検査の精度を低下させる可能性があった。
そこで本発明は、落花生DNAを検出するための従来PCR法および従来リアルタイムPCR法に用いるプライマーセットと比べて増幅効率の高い新規のプライマーセットを提供することを目的とする。また、本発明は、小麦の検査法及びそばの検査法に適したPCR条件下にて、同時に実施することができる落花生の検査法を提供することを目的とする。
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、配列番号1に示す塩基配列を含むオリゴヌクレオチド、及び配列番号2に示す塩基配列を含むオリゴヌクレオチドをプライマーセットとして用いたPCRにおいて、落花生DNAを効率良く増幅できること、またかかるプライマーセットを用いた場合には、小麦の検査法及びそばの検査法に適したPCR条件下にて、落花生の検査法を同時に実施することができることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は以下の発明を包含する。
[1] 飲食品又は飲食品原材料中に含まれる食物アレルゲンをPCR法により検出するためのプライマーセットであって、該プライマーセットが以下の(a)と(b)のオリゴヌクレオチド又はその変異体を含む落花生検出用プライマーセットを含む、上記プライマーセット:
(a) 配列番号1に示す塩基配列を含むオリゴヌクレオチド、及び
(b) 配列番号2に示す塩基配列を含むオリゴヌクレオチド。
[2] 落花生検出用プライマーセットがさらに、以下の(c)のオリゴヌクレオチド又はその変異体を含むプローブを含む、[1]のプライマーセット:
(c) 配列番号3に示す塩基配列を含むオリゴヌクレオチド。
[3] さらに、以下の(d)、(e)、(f)及び(g)のオリゴヌクレオチド又はその変異体を含む小麦検出用プライマーセット、ならびに/あるいは、
以下の(h)と(i)のオリゴヌクレオチド又はその変異体を含むそば検出用プライマーセット、を含む[1]又は[2]のプライマーセット:
(d) 配列番号11に示す塩基配列を含むオリゴヌクレオチド、
(e) 配列番号12に示す塩基配列を含むオリゴヌクレオチド、
(f) 配列番号13に示す塩基配列を含むオリゴヌクレオチド、及び
(g) 配列番号14に示す塩基配列を含むオリゴヌクレオチド;
(h) 配列番号16に示す塩基配列を含むオリゴヌクレオチド、及び
(i) 配列番号17に示す塩基配列を含むオリゴヌクレオチド。
[4] 小麦検出用プライマーセットがさらに、以下の(j)のオリゴヌクレオチド又はその変異体を含むプローブを含む、ならびに/あるいは、
そば検出用プライマーセットがさらに、以下の(k)のオリゴヌクレオチド又はその変異体を含むプローブを含む、
[3]のプライマーセット:
(j) 配列番号15に示す塩基配列を含むオリゴヌクレオチド;
(k) 配列番号18に示す塩基配列を含むオリゴヌクレオチド。
[5] 飲食品又は飲食品原材料中に含まれる食物アレルゲンをPCR法により検出するための方法であって、
該飲食品又は飲食品原材料に由来するDNAを鋳型として、以下の(a)と(b)のオリゴヌクレオチド又はその変異体を含む落花生検出用プライマーセットを用いてPCRを行うこと、次いで、落花生DNAに由来するPCR増幅産物の有無を判定することを含む、上記方法:
(a) 配列番号1に示す塩基配列を含むオリゴヌクレオチド、及び
(b) 配列番号2に示す塩基配列を含むオリゴヌクレオチド。
[6] 同一条件下においてさらに、該飲食品又は飲食品原材料に由来するDNAを鋳型として、以下の(d)、(e)、(f)及び(g)のオリゴヌクレオチド又はその変異体を含む小麦検出用プライマーセット、ならびに/あるいは、
以下の(h)と(i)のオリゴヌクレオチド又はその変異体を含むそば検出用プライマーセット、を用いてPCRを行うこと、次いで、小麦DNAならびに/あるいはそばDNAに由来するPCR増幅産物の有無を判定することを含む、[5]の方法:
(d) 配列番号11に示す塩基配列を含むオリゴヌクレオチド、
(e) 配列番号12に示す塩基配列を含むオリゴヌクレオチド、
(f) 配列番号13に示す塩基配列を含むオリゴヌクレオチド、及び
(g) 配列番号14に示す塩基配列を含むオリゴヌクレオチド;
(h) 配列番号16に示す塩基配列を含むオリゴヌクレオチド、及び
(i) 配列番号17に示す塩基配列を含むオリゴヌクレオチド。
[7] PCRがリアルタイムPCRであり、PCR増幅産物の検出をプローブを用いて行う、[5]又は[6]の方法。
[8] 落花生DNAに由来するPCR増幅産物の検出を、以下の(c)のオリゴヌクレオチド又はその変異体を含むプローブを用いて行う、[7]の方法:
(c) 配列番号3に示す塩基配列を含むオリゴヌクレオチド。
[9] 小麦DNAに由来するPCR増幅産物の有無を判定する場合において、小麦DNAに由来するPCR増幅産物の検出を、以下の(j)のオリゴヌクレオチド又はその変異体を含むプローブを用いて行う、ならびに/あるいは、
そばDNAに由来するPCR増幅産物の有無を判定する場合において、そばDNAに由来するPCR増幅産物の検出を、以下の(k)のオリゴヌクレオチド又はその変異体を含むプローブを用いて行う、[7]又は[8]の方法:
(j) 配列番号15に示す塩基配列を含むオリゴヌクレオチド;
(k) 配列番号18に示す塩基配列を含むオリゴヌクレオチド。
本発明によれば、従来公知の落花生検出用のプライマーセットと比べて増幅効率の高い新規の落花生検出用のプライマーセットを提供することができる。
また、本発明によれば、小麦の検査法及びそばの検査法に適したPCR条件下にて、同時に実施することができる落花生の検査法を提供することができる。
本発明によれば、従来公知の落花生検出用のプライマーセットと比べて短いPCRサイクル条件で同等の感度・特異性を得ることができるために、小麦の検査法及びそばの検査法に合わせた短いPCR条件(サイクル数)で、落花生の検出を行うことができ、小麦、そば、及び落花生の同時検査を実施することができる。これにより落花生の検査条件に合わせて必要以上に高感度となっていた小麦の検査法及びそばの検査における問題、すなわち、検査環境由来の微量の小麦コンタミネーションによるシグナルの発生を低減することができる。
図1−1は、配列番号1−2のプライマーセット及び配列番号8−9の従来PCR法のプライマーセットを利用した定性PCR法(アニーリング温度68℃)による落花生DNA(5pg、500fg、50fg)の検出結果を示す。 図1−2は、配列番号1−2のプライマーセット及び配列番号8−9の従来PCR法のプライマーセットを利用した定性PCR法(アニーリング温度66℃)による落花生DNA(5pg、500fg、50fg)の検出結果を示す。 図2は、市販の加工食品のDNA抽出量とDNA分解度の分析結果を示す。X軸は抽出DNA量、Y軸はDNA断片長をそれぞれ示す。 図3は、配列番号1−2と配列番号3のプライマー・プローブセット、配列番号11、12、13及び14と配列番号15の小麦検出用のプライマー・プローブセット、及び配列番号16−17と配列番号18のそば検出用のプライマー・プローブセットを利用した、同一条件のリアルタイムPCR法によるモデル加工食品における各食物アレルゲンの検出結果(Ct値)を示す。(A)はライフテクノロジーズジャパン社製ABI PRISM 7900HT、(B)はロシュ・ダイアグノスティックス社製LightCycler Nanoを使用した解析結果を示す。 図4は、落花生DNA、牛肉DNAの存在下における落花生DNA、及び牛肉DNAを鋳型とする、配列番号1−2のプライマーセットを利用したリアルタイムPCR法による増幅産物を、電気泳動した結果を示す。
1.プライマーセット
本発明のプライマーセットは、PCR法により落花生由来のDNAを検出するためのプライマーセット(以下、「落花生検出用のプライマーセット」と記載する)を含み、当該プライマーセットは落花生に由来するDNA、より詳細にはリボゾームRNA遺伝子のITS(Internal Transcribed Spacer)−2領域にある相補的な塩基配列と、ストリンジェントな条件下で結合する(ハイブリダイズする)ことができる以下のプライマーを含む:
配列番号1に示す塩基配列を含むか、当該塩基配列からなるオリゴヌクレオチド;及び
配列番号2に示す塩基配列を含むか、当該塩基配列からなるオリゴヌクレオチド。
「ストリンジェントな条件下で結合する(ハイブリダイズする)」とは、相補的関係にある2つの核酸断片が標準的なハイブリダイゼーション条件下で相互にハイブリダイズすることを意味する(Expression of cloned genes in E.coli(Molecular Cloning:A laboratory manual(1989))Cold Springharbor Laboratory Press,New York,USA,9.47−9.62及び11.45−11.61)。より具体的には、例えば以下の式で求められるTm値を基準としてハイブリダイゼーション(例えば約3.0×SSCまたは2.0×SSC、30℃または37℃)を行った後、ハイブリダイゼーションの条件よりストリンジェンシーの高い条件での洗浄(例えば約2.0×SSC、30℃、37℃、40℃、44℃もしくは48℃以上、または1.0×SSCもしくは0.5×SSC、37℃以上など)を行うことを意味する。ハイブリダイズする塩基配列などに応じて適宜ハイブリダイゼーションおよび洗浄に適切な「ストリンジェントな条件」を選択することは、当技術分野では周知技術である。
Tm=81.5+16.6(log10[Na])+0.41(fraction G+C)−(600/N)
[Na]:Naのモル濃度(mol/L)
fraction G+C:オリゴヌクレオチド中のGおよびCの割合(%)
N:オリゴヌクレオチドの長さ(塩基数)
なお、「ストリンジェントな条件下で結合する(ハイブリダイズする)」とは、特に記載しない限り、以下においても同じ意味で使用する。
本発明における落花生検出用のプライマーセットは、従来PCR法のプライマーセット(配列番号8−9)と比べて増幅効率が高いため、従来PCR法のプライマーセットと同等の感度及び/又は特異性を維持しながらPCRサイクル条件、より詳細には、サイクル数を短縮することができる。
落花生検出用のプライマーセットには上記プライマーに加えてさらに、プローブを含めることができる。プローブは上記プライマーを用いたPCR反応により増幅されたDNA中の標的配列にストリンジェントな条件下で結合する(ハイブリダイズする)ことができるものであればよく特に限定はされないが、好ましくは配列番号3に示す塩基配列を含むか、当該塩基配列からなるオリゴヌクレオチドである。
プローブは、蛍光物質(例えば、FAMTM、TETTM、VICTM、HEXTM、NEDTM、PET等)及び/又は消光物質(クエンチャー)(例えば、TAMRA、ROX等)で標識されていてもよい。このように標識されたプローブはTaqManプローブとも称される。
本発明のプライマーセットは、上記「落花生検出用のプライマーセット」に加えてさらに、PCR法により小麦由来のDNAを検出するためのプライマーセット(以下、「小麦検出用のプライマーセット」と記載する)及び/又はPCR法によりそば由来のDNAを検出するためのプライマーセット(以下、「そば検出用のプライマーセット」と記載する)を含めることができる。
小麦検出用のプライマーセットは、増幅効率の高い従来公知のプライマーセット(特開2013−188164号公報)を利用することができ、以下のプライマーを含む:
配列番号11に示す塩基配列を含むか、当該塩基配列からなるオリゴヌクレオチド;
配列番号12に示す塩基配列を含むか、当該塩基配列からなるオリゴヌクレオチド;
配列番号13に示す塩基配列を含むか、当該塩基配列からなるオリゴヌクレオチド;及び
配列番号14に示す塩基配列を含むか、当該塩基配列からなるオリゴヌクレオチド。
小麦検出用のプライマーセットには上記プライマーに加えてさらに、プローブを含めることができる。プローブは上記プライマーを用いたPCR反応により増幅されたDNA中の標的配列にストリンジェントな条件下で結合する(ハイブリダイズする)ことができるものであればよく特に限定はされないが、好ましくは、配列番号15に示す塩基配列を含むか、当該塩基配列からなるオリゴヌクレオチドである。プローブは、上記蛍光物質及び/又は消光物質(クエンチャー)で標識されていてもよい。
そば検出用のプライマーセットは、増幅効率の高い従来公知のプライマーセット(特許第4399417号公報)を利用することができ、以下のプライマーを含む:
配列番号16に示す塩基配列を含むか、当該塩基配列からなるオリゴヌクレオチド;及び
配列番号17に示す塩基配列を含むか、当該塩基配列からなるオリゴヌクレオチド。
そば検出用のプライマーセットには上記プライマーに加えてさらに、プローブを含めることができる。プローブは上記プライマーを用いたPCR反応により増幅されたDNA中の標的配列にストリンジェントな条件下で結合する(ハイブリダイズする)ことができるものであればよく特に限定はされないが、好ましくは、配列番号18に示す塩基配列を含むか、当該塩基配列からなるオリゴヌクレオチドである。プローブは、上記蛍光物質及び/又は消光物質(クエンチャー)で標識されていてもよい。
本発明における落花生検出用のプライマーセットは、増幅効率の高い従来公知の上記小麦検出用のプライマーセット及び/又はそば検出用のプライマーセットを用いたPCR条件と同一条件で試料中に存在する落花生由来のDNAを高感度に検出することができる。すなわち、本発明のプライマーセットを利用することによって、小麦及び/又はそば検出用のPCR反応条件下にて、落花生の検出を行うことが可能であり、小麦及び/又はそば、ならびに落花生の検出を、同一条件下にて同時に進めることができ、分析の手間を少なくすることができる。
また、本発明においては、上記配列番号にて示されるそれぞれの塩基配列に相補的な塩基配列とストリンジェントな条件下で結合する(ハイブリダイズする)塩基配列を有し、同様にプライマー又はプローブとしての機能を有するオリゴヌクレオチドも、上記プライマー及びプローブとして利用することができる。ここで「ストリンジェントな条件」とは、上記配列番号にて示される塩基配列を有するプライマー及びプローブを用いたPCR反応と同じ条件、特にアニーリングステップと同じ条件を指す。本明細書においては、このようなプライマー又はプローブのことを上記配列番号にて示される塩基配列を有するプライマー及びプローブの「変異体」と記載する場合があるが、特に記載しない限り、上記プライマー及びプローブには当該「変異体」も含まれる。このような変異体には、上記配列番号にて示されるいずれかの塩基配列において数塩基の付加、置換、欠失又は挿入を有する塩基配列からなるオリゴヌクレオチドや(ここで「数塩基」とは、4塩基以内、3塩基以内、又は2塩基以内の塩基数を意味する)、上記配列番号にて示されるいずれかの塩基配列と、BLAST等(例えば、デフォルトすなわち初期設定のパラメータ)を用いて計算したときに、80%以上、より好ましくは90%以上、最も好ましくは95%以上の同一性を有する塩基配列からなるオリゴヌクレオチド等が含まれ得る。
上記プライマー又はプローブとなるオリゴヌクレオチドは、オリゴヌクレオチドの合成法として当技術分野で公知の方法、例えば、ホスホトリエチル法、ホスホジエステル法等により、通常用いられるDNA自動合成装置を利用して合成することができる。
本発明のプライマーセットは上記の各要素が、それぞれ別個の容器に収容されていてもよいし、また一回の使用及び使用量ごとに容器に収容されていてもよい。あるいは、複数回分の量が一つの容器に収容されていてもよい(使用者は一回の使用に必要な量を取り出して用いることができる)。上記の各要素は乾燥形態で容器に収容されていてもよいし、適当な溶媒中に溶解した形態で容器に収容されていてもよい。
本発明のプライマーセットはさらに、dNTPミックス、DNAポリメラーゼ、SYBR(登録商標)Green I、塩化マグネシウム、及び使用説明書より選択される一以上の要素を含めることができる。
2.落花生の検出方法
本発明によれば、飲食品又は飲食品原材料中に含まれる落花生DNAをPCR法を用いて検出することができる。本発明にて得られた結果は、アレルギー表示の正しさの確認や、アレルギー表示をするべきか否かの判断材料に用いることができる。
本発明において「落花生」とは、落花生属のうち食用として広く流通するものを意味し、より詳細には、Arachis hypogaeaを意味する。
「飲食品又は飲食品原材料」とは、食物アレルゲンである落花生が含まれる又は含まれる可能性のある飲食品、及びそれらの原料や、加工過程にある飲食品原料などを意味する。
飲食品又は飲食品原材料からのDNAの抽出は、核酸抽出法として当業者に公知のいかなる方法を用いてもよく、例えば、フェノール/クロロホルム法、界面活性剤による細胞溶解やプロテアーゼ酵素による細胞溶解、ガラスビーズによる物理的破壊方法、凍結溶融を繰り返す処理方法、及びそれらの組合せを用いて行うことができる。また、市販のDNeasy Plant mini KitやGenomic−tip 20/G、DNeasy mericon Food Kit(いずれもQIAGEN社)等の各種DNA抽出キットを用いても良い。
抽出されたDNAの濃度および精製度は、分光光度計を用いて波長230、260、及び280nmにおける吸光度を測定することにより評価することができる。すなわち、抽出されたDNAの濃度は、下記式を用いて算出することができる。
DNA濃度(ng/μL)=波長260nmにおける吸光度×50
また、DNAの精製度は、PCR反応が良好に行われるべく260/230nmの吸光度比が2.0以上、260/280nmの吸光度比が1.8〜2.0であることが好ましい。
さらに、抽出されたDNAについて、植物又は動物が共通に持つ内在性遺伝子に対するプライマーセットを用いてPCR反応を行い、増幅産物が得られることを確認してもよい。
抽出されたDNAは、消費者庁が情報提供する「アレルギー物質を含む食品の検査方法について」(上記非特許文献2)に記載されるDNAの調製方法に基づいて適宜濃度を調整することができる。濃度調整したDNAは、適宜鋳型DNAとして利用することができる。好ましくは5〜500ngとなる量にて、より好ましくは50ngとなる量にて鋳型DNAとして利用する(この量は、消費者庁が情報提供する「アレルギー物質を含む食品の検査方法について」(上記非特許文献2)にて特定される量である)。
PCR反応は、例えばSaiki RK,et al.,Science,230:1350−1354(1985)や植物細胞工学別冊、植物のPCR実験プロトコル、島本功・佐々木卓治監修(1995年)等に記載されている通常の方法に基づいて行うことができる。PCR条件(変性、アニーリング、伸長の各ステップの温度及び時間、ならびにサイクル数等)、PCR反応液の組成(緩衝液の種類、プライマー濃度、DNAポリメラーゼの種類や濃度、dNTP濃度、塩化マグネシウム濃度等)は、前記のプライマー対を用いたPCRにおいて高感度でPCR増幅産物が得られるような条件を予備実験等により当業者であれば適切に選択及び設定することができる。DNAポリメラーゼ、dNTP濃度、塩化マグネシウム濃度等がほぼ最適化されたPCR用マスターミックス等が市販されており、これらを利用してもよい。
一態様において、本発明方法は定性PCR法を利用することができる。定性PCR法においては、飲食品又は飲食品原材料より抽出されたDNA中に含まれる落花生DNAを、上記落花生検出用のプライマーを利用するPCR反応により増幅し、それを電気泳動により分離、染色することで検出することができる。
上記落花生検出用のプライマーを用いた場合には、およそ71〜73bp、好ましくはおよそ71bpのサイズのPCR増幅産物の有無を指標として、落花生の混入を検出することができる。すなわち、落花生のITS−2配列の少なくとも一部を含む、上記サイズのPCR増幅産物が検出されれば、飲食品又は飲食品原材料中に落花生が混入していることを示し、一方、落花生のITS−2配列の少なくとも一部を含む、上記サイズのPCR増幅産物が検出されない場合には、飲食品又は飲食品原材料中に落花生が混入していないことを示す。
上記落花生検出用のプライマーを用いた場合には高感度の検出が可能であり、下記実施例に詳述されるとおりPCR反応液25μLの系で、落花生DNA 50fgを検出することができる。
また、別の態様において、本発明方法はリアルタイムPCR法を利用することができる。
リアルタイムPCR法は、インターカレーター法及びTaqMan法のいずれも用いることができるが、好ましくはTaqMan法を利用する。インターカレーター法では、蛍光を発する化合物(例えば、SYBR(登録商標)Green I等)をPCR反応系に加えることにより、これが増幅されたDNAに結合する。これに励起光を照射することにより蛍光を発し、この蛍光強度を測定することにより、PCR増幅産物の生成量を測定することができる。一方、TaqMan法では、蛍光物質で標識されたプローブ(TaqManプローブ)をPCR反応系に加えることにより、これがアニーリングステップで増幅されたDNA中の標的配列に結合(ハイブリダイズ)する。その後の伸長反応ステップで、Taq DNAポリメラーゼのもつ5’→3’エキソヌクレアーゼ活性により、DNAに結合(ハイブリダイズ)したプローブが分解され、その際、蛍光物質がプローブから遊離し蛍光を発する。この蛍光強度を測定することにより、PCR増幅産物の生成量を測定することができる。リアルタイムPCR反応を行う装置は特に限定されず、ABI PRISM 7900HT(ライフテクノロジーズ社)、LightCycler Nano(ロシュ・ダイアグノスティクス社)等、リアルタイムPCR反応を可能とする様々な機種を用いることができ、特に限定はされない。
リアルタイムPCR法においては、飲食品又は飲食品原材料より抽出されたDNA中に含まれる落花生DNAを、上記落花生検出用のプライマーを利用するPCR反応により増幅し、上記のとおり、蛍光強度を測定することによりPCR増幅産物の生成量を測定し、増幅曲線を得る。次に、蛍光シグナルが有意に増加したサイクル数(Cq値)を指標とするか、または蛍光シグナルがサイクル数に対して指数関係にある領域で、蛍光量増加(ΔRn)の適当な閾値(Threshold)を設定し、適当なサイクル数条件下にて、増幅曲線と閾値(Threshold)が交わるサイクル数(Ct値(Threshold Cycle))を指標とすることで、落花生の混入有無を検出することができる。すなわち、適当なサイクル数条件下にて、蛍光シグナルの有意な増加が見られるか、または増幅曲線と閾値が交わる場合には、飲食品又は飲食品原材料中に落花生が混入していることを示し、一方、蛍光シグナルの有意な増加が見られないか、または増幅曲線と閾値が交わらない場合には、飲食品又は飲食品原材料中に落花生が混入していないことを示す。
蛍光強度が有意に増加したサイクル数(Cq値)、または増幅曲線と閾値が交わるサイクル数はCt値として示されるが、以下本明細書では両者を区別せずCt値とする。プライマーに依拠してCt値は増減し得、他の条件(PCR条件、PCR反応液の組成等)が同じであれば、増幅効率が高いプライマーを使用することによってCt値を小さくすることができる。上記落花生検出用のプライマーは従来PCR法の落花生検出用のプライマー(配列番号8−9)よりも増幅効率が高く、同量の落花生DNAを検出するに際し小さいCt値、より詳細には3〜8程度小さいCt値を有する。
本発明に係る上記落花生検出用プライマーセットを使用する定性PCR法又はリアルタイムPCR法と、上記小麦検出用のプライマーセットを使用する定性PCR法又はリアルタイムPCR法、ならびに/あるいは、上記そば検出用のプライマーセットを使用する定性PCR法又はリアルタイムPCR法とは、同一の条件下にて、鋳型DNA量として同程度の検出感度を示す。故に、本発明の落花生の検出方法は、上記小麦検出用のプライマーセットを使用して同様に実施される小麦の検出方法、及び/又は、上記そば検出用のプライマーセットを使用して同様に実施されるそばの検出方法と、同一の条件下にて同時に行うことができ、飲食品又は飲食品原材料中に含まれる食物アレルゲンを、迅速かつ効率的に検出することができる。
以下、実施例を用いて本発明を更に詳細に説明するが、本発明の技術的範囲は以下の実施例に限定されるものではない。
実施例1:プライマー・プローブの設計
(1)落花生属植物の配列
GenBankに登録されている落花生(Arachis hypogaea)、落花生の祖先種(Arachis ipaensis、Arachis villosa)の配列のITS−1及びITS−2領域を収集し、下記表1に記載するアクセッション番号の配列が得られた。
Figure 0006484012
(2)プライマー・プローブの配列
落花生及び落花生の祖先種のITS−2領域のうち、配列が他のものと大きく異なるArachis hypogaea由来の配列(HQ537458)を除いて他の全ての配列にハイブリダイズすると予想された配列を選定し、配列番号1及び2の塩基配列を有するプライマーセット、および配列番号3の塩基配列を有するプローブをそれぞれ合成した。
配列番号1:5’−TTG GTT CAA AGA GAC GGG CTC−3’
配列番号2:5’−CAC GAG GGT TGT TCT CGA CC−3’
配列番号3:FAM−5’−ACC GCG GCA GAT GG−3’−MGB
同様に、落花生及び落花生の祖先種のITS−1領域のうち、配列が他のものと大きく異なるか、または配列情報の一部が無いArachis hypogaea配列(HQ537458)及びArachis ipaensis配列(AY862311)を除いて他の全ての配列にハイブリダイズすると予想された配列を選定し、配列番号4及び5の塩基配列を有するプライマーセット、ならびに配列番号6及び7の塩基配列を有するプライマーセットをそれぞれ合成した。
配列番号4:5’−TCA TTG TCG ATG CCG CAC−3’
配列番号5:5’−CCT CGG GTG TTT GTG GAC TC−3’
配列番号6:5’−GGC GCC CCG TCT CAA−3’
配列番号7:5’−TTC CTT GGC GCT TTC CG−3’
実施例2:PCRによる感度の評価
(1)プライマーの選別
実施例1で設計・合成した3つのプライマーセット(配列番号1−2、4−5、及び6−7)について、従来PCR法にて用いられているプライマーセット(配列番号8−9)よりも短いサイクル数で検出できる増幅効率の良いプライマーセットを選別するため、リアルタイムPCR法及び定性PCR法により落花生希釈DNAのCt値および増幅産物の有無を評価し、従来PCR法にて用いられているプライマーセットとの比較を行った。
<落花生DNAの抽出>
落花生DNAの抽出はQIAGEN社製のGenomic−tip 20/Gを用い、以下の方法で行った。
細かく粉砕した落花生試料約0.5gを50mL容チューブに入れ、7.5mLのBuffer G2、20μLのRNase A(100mg/mL)、200μLのプロテイナーゼK溶液を加え混合後、50℃,2時間保温した。遠心分離により水層を回収し、予め1mLのBuffer QBTで平衡化したGenomic−tip 20/Gに供してDNAをカラムに吸着させた。その後、6mLのBuffer QCでカラムを洗浄し、1mLのBuffer QFでDNAを溶出させてイソプロパノール沈殿により沈殿物を回収した。TE buffer(pH8.0)に溶解後、260nmの吸光度を測定してDNA濃度を求め、適宜希釈した液を落花生希釈DNAとした。
<SYBR GreenIを用いたリアルタイムPCR>
上記で調製した落花生希釈DNAを実施例1で設計したプライマーの組み合わせ3セット(配列番号1−2、4−5、6−7)および従来PCR法のプライマーセット(配列番号8−9)によりSYBR GreenIを用いたリアルタイムPCR測定に供し、増幅シグナルが得られる/得られない、及び増幅シグナルから求められたCt値が従来PCR法プライマーよりも小さい/大きいかを確認した。
従来PCR法のプライマーは、特許第4658816号公報の開示に基づいて以下の塩基配列を有するプライマーセットをそれぞれ合成して使用した。
配列番号8:5’−CAA AAC CCC GGC GCG GAA A−3’
配列番号9:5’−GTC GCC CCG ACC GGA TGC−3’
リアルタイムPCRは、QIAGEN社製のQuantiTect SYBR Green PCR Kitを用い、以下の方法で行った。
12.5μLの2×QuantiTect SYBR Green PCR Master Mixに各プライマーを終濃度で0.2μMと鋳型DNAを加え、最終的に滅菌超純水で25μLとした。鋳型は落花生DNA 5pgと500fgとなるようにそれぞれ加えた。また、各鋳型DNA濃度において、2点併行で測定した。リアルタイムPCR装置はロシュ・ダイアグノスティクス社製LightCycler Nanoを用い、PCR反応液を入れる容器は専用の8連PCRチューブを用いた。PCR反応液を入れた容器をリアルタイムPCR装置にセットし、95℃,15分の後、95℃,30秒(変性)に続いて68℃,1分(アニーリングおよび伸長ステップ)を行うサイクルを46回繰り返して反応させた。反応終了後、反応液の温度を60℃から97℃まで0.1℃/秒で上昇させ、融解曲線分析を行った。解析条件は装置に付属する解析ソフトのデフォルト条件で行った。なお、LightCycler NanoでCq値と呼ばれる値は、Ct値と読み替えた。
伸長ステップ後に取得した蛍光データを解析した結果、配列番号4−5及び6−7の各プライマーセットを用いた場合には増幅シグナルが得られずCt値は求められなかった。
一方、配列番号1−2のプライマーセットからは増幅シグナルが得られ、2点併行測定の落花生DNA 5pgの平均Ct値は34.1、500fgの平均Ct値は37.9となった。
また、従来PCR法のプライマーセット(配列番号8−9のプライマーセット)においては、落花生5pgの平均Ct値は35.7、500fgの平均Ct値は40.1となった。
配列番号1−2のプライマーセットおよび従来PCR法のプライマーセットの融解曲線はシングルピークとなり、非特異的増幅が起こっている可能性は低いと判断した。
以上の結果より、同じ落花生DNA量を鋳型とした時に、配列番号1−2のプライマーセットは従来PCR法のプライマーセットよりも小さいCt値が得られたため、より増幅効率の高いプライマーと判断し、配列番号1−2プライマーセットを選別することとした。
<TaqManプローブを用いたリアルタイムPCR>
上記にて選別した配列番号1−2のプライマーセットと配列番号3のプローブ、及び従来リアルタイムPCR法に用いるプライマーセット(配列番号8−9のプライマーセット)とプローブ(下記配列番号10のプローブ:特許第4399417号公報)を、TaqManプローブを用いたリアルタイムPCR測定に供し、Ct値との比較を行った。
配列番号10:FAM−5’−TGC TCT CCC CGC CGG C −3’−MGB
リアルタイムPCRは、QIAGEN社製のQuantiTect Probe PCR Kitを用い、以下の方法で行った。
12.5μLの2×QuantiTect Probe PCR Master Mixに、各プライマーを終濃度で0.2μMとTaqManプローブを終濃度で0.1μM、ならびに鋳型DNAを加え、最終的に滅菌超純水で25μLとした。鋳型は落花生DNA 5pgと500fgとなるようにそれぞれ加えた。また、各鋳型DNA濃度において、2点併行で測定した。リアルタイムPCR装置はロシュ・ダイアグノスティクス社製LightCycler Nanoを用い、PCR反応液を入れる容器は専用の8連チューブを用いた。PCR反応液を入れた容器をリアルタイムPCR装置にセットし、95℃,15分の後、95℃,30秒(変性)に続いて68℃,1分(アニーリングおよび伸長ステップ)を行うサイクルを46回繰り返して反応させた。反応終了後、伸長ステップ後に取得した蛍光データを解析した。解析条件は装置に付属する解析ソフトのデフォルト条件で行った。
伸長ステップ後に取得した蛍光データを解析した結果を下記表2に示す。配列番号1−2のプライマーセットと配列番号3のプローブを用いた場合には、2点併行測定の落花生DNA 5pgの平均Ct値は30.6となり、落花生DNA 500fgの平均Ct値は34.0となった。
一方、従来リアルタイムPCR法のプライマーセットとプローブを用いた場合には、落花生DNA 5pgの平均Ct値は35.9となり、落花生DNA 500fgの平均Ct値は40.0となった。
Figure 0006484012
以上の結果より、配列番号1−2のプライマーセットと配列番号3のプローブを用いることによって、従来リアルタイムPCR法のプライマーセットとプローブを用いた場合よりも落花生DNA 5pgでCt値が5.3小さく、500fgでCt値が6.0小さいことから、従来リアルタイムPCR法よりも短いサイクル数で従来リアルタイムPCR法と同等の感度が得られることが確認された。
<リアルタイムPCR装置を用いないPCR>
リアルタイムPCR装置を用いないPCRでも、従来PCR法と比べて感度高い検査が可能であるか確認するため、配列番号1−2のプライマーセットと従来PCR法のプライマーセット(配列番号8−9)を用いたPCRを行い、落花生希釈DNAから増幅された産物について検出し易さを比較した。増幅産物の検知差を明確にするため、アニーリング温度はリアルタイムPCR条件で用いた68℃と2℃下げた66℃でもPCRを行った。
PCRはQIAGEN社製のHotStarTaq Master Mix Kitを用い、以下の方法で行った。
12.5μLの2×HotStarTaq Master Mixに、各プライマーを終濃度で0.2μMと鋳型DNAを加え、最終的に滅菌超純水で25μLとした。鋳型DNAは落花生DNA 5pg、500fg、50fgとなるようにそれぞれ加え、各鋳型DNA濃度において、2点併行で測定した。PCR装置はライフテクノロジーズジャパン社製Veritiを使用し、PCR反応液を入れる容器は専用の96wellプレートを用いた。PCR反応液を入れた容器をPCR装置にセットし、95℃,15分の後、95℃,30秒(変性)に続いて68℃または66℃,1分(アニーリングおよび伸長ステップ)を行うサイクルを40回繰り返した後、72℃,4分間保持させた。得られたPCR反応液を島津製作所製のMultiNA MCE−202によりDNA−500キットで蛍光物質にSYBR Goldを用いて電気泳動し解析した。
その結果、アニーリング温度68℃でのPCRでは、配列番号1−2のプライマーセットを用いた場合には落花生DNA 50fgの2点のうち1点で標的増幅産物が検出されたが、従来PCR法のプライマーセットを用いた場合には落花生DNA 50fgの2点ともに標的増幅産物は検出されなかった(図1−1)。なお、本実施例においては配列番号1−2のプライマーセット由来の標的増幅産物は78−80bpの位置に、従来PCR法のプライマーセット由来の標的増幅産物は92−94bpの位置に検出されているが、別途行なったシークエンス等により、それぞれ約71bp、約86bpであることを確認している。また、Mupidアガロースゲル電気泳動装置/エチジウムブロマイド解析、MultiNA MCE−202/GelStar解析では、配列番号1−2のプライマーセット由来の標的増幅産物はそれぞれ約71bp、86bp付近に検出されている。
従来PCR法のプライマーセットとの差異を明確にするためにアニーリング温度66℃で行ったPCRでは、配列番号1−2のプライマーセットを用いた場合には落花生DNA 50fgの2点について共に検出されたが、従来PCR法のプライマーセットを用いた場合には50fgの2点共に検出されなかった(図1−2)。
各DNA濃度の増幅産物のバンドの濃さを比較すると、いずれも配列番号1−2のプライマーセットを用いた場合の方が濃く検出されていた。
これらの結果より、リアルタイムPCR装置を用いないPCRでも配列番号1−2のプライマーセットを用いた場合の方が、従来PCR法のプライマーセットを用いた場合よりも検出感度が高いことが確認された。
(2)モデル加工食品による感度評価
タンパク質濃度10μg/g相当量の落花生を添加して加工した食品を、配列番号1−2のプライマーセットと配列番号3のプローブによりリアルタイムPCR測定に供して感度を確認し、小麦及びそば検査法と同時測定が可能なサイクル数を設定した。
<リアルタイムPCR検査が難しい加工食品の選定>
1)DNA抽出量とDNA分解度の分析
リアルタイムPCR検査が難しい加工食品を選定する指標として、(1)DNA抽出量と(2)DNA分解度を用いることができる。加工食品はそれぞれ異なる原材料を含んでおり、食品毎に1g(又は単位重量)あたりから抽出されてくるDNA量は異なる。そのため、同量のアレルゲンを含む食品であっても、抽出されたDNA量が多いもの程、PCRの鋳型として20ng/μLに調整した鋳型DNA試料液の希釈率が高くなり、その中に含まれる食物アレルゲンのDNA濃度は低くなる。よって、DNAが多く抽出されるもの程、検査が難しい食品であるといえる。また、多くの加工食品では、食品自体のpHや加工による加熱などによりDNAが短く分解されており、その程度も異なる。そのため、同量のアレルゲンを含む食品であっても、抽出されたDNAの分解が進んでいるもの程、食物アレルゲンのDNA由来の標的配列を含むDNA分子の残存量は少なくなる。よって、DNAが短く断片化されているもの程、リアルタイムPCR検査が難しい食品であるといえる。
市販されているさまざまな種類の加工食品について、下記方法により抽出DNA量とDNA分解度を求めた。
<DNA抽出量の算出>
DNA抽出はQIAGEN社製のGenomic−tip 20/Gを用い、以下の方法で行った。
細かく粉砕した試料約2gを50mL容チューブに入れ、15mLのBuffer G2、20μLのRNase A(100mg/mL)、100μLのプロテイナーゼK溶液を加え混合後、50℃にて2時間保温した。遠心分離により水層を回収し、予め1mLのBuffer QBTで平衡化したGenomic−tip 20/Gに供してDNAをカラムに吸着させた。その後、6mLのBuffer QCでカラムを洗浄し、1mLのBuffer QFでDNAを溶出させてイソプロパノール沈殿により沈殿物を回収した。TE buffer(pH8.0)に溶解後、260nmの吸光度を測定してDNA濃度を求め、食品2gから抽出されるDNA量(μg)を算出した。
<DNA分解度の分析>
上記方法で抽出したDNA試料をDNA濃度20ng/μLとなるようにTE buffer(pH8.0)を用いて適宜希釈した。それらDNA試料をDNA分析用マイクロチップ電気泳動装置MultiNA MCE−202(島津製作所)およびDNA−2500キットと蛍光物質にSYBR Goldを用いて電気泳動し、DNA断片長によってそれぞれのDNAを分離した。DNA二重らせんにインターカレートする化合物を利用して得られた蛍光強度の極大値、および極大値に対応するDNA断片長(bp)を求めた。極大値に対応するDNA断片長は、DNA分解が激しいほど短くなる。
2)市販の加工食品評価
市販の加工食品38品の抽出DNA量とDNA断片長を上記方法により分析した。
Figure 0006484012
X軸に抽出DNA量、Y軸にDNA断片長としたグラフを用いて加工食品の評価を行い、検査の難しい加工食品を選定することとした。分析した各加工食品の結果(図2)から、グラフの一番右下にプロットされたあさり水煮(缶詰食品)を検査が難しい加工食品として見出した。あさり水煮の殺菌条件は、黒変リスクへの対応として120℃でF値35程度(日本缶詰協会発行「缶・びん詰・レトルト食品・飲料製造講義II(各論編)」平成14年5月20日)と設定されており、一般的な水産缶詰食品の殺菌条件とされるF値5〜8程度と比べて非常に厳しいものとなっている。そのため、缶詰食品のあさり水煮は、他の食品に比べてDNA分解が進んでおり、リアルタイムPCR検査が難しい加工食品となっていると考えられる。
<検査の難しい加工食品(あさり水煮)での感度確認>
タンパク質濃度10μg/g相当量の落花生を添加して加工したあさり水煮モデル加工食品から抽出したDNAをリアルタイムPCR測定に供し、各プライマーセットとプローブを用いてCt値を求め、その感度を評価した。リアルタイムPCR条件は上記の<TaqManプローブを用いたリアルタイムPCR>に記載した方法および装置を用いた。あさり水煮モデル加工食品からのDNA抽出は、消費者庁が情報提供する「アレルギー物質を含む食品の検査方法について」の別添1に従って2併行抽出で行い、得られたDNAは動物DNA検出用プライマー対を用いたPCRで増幅することを確認した。鋳型DNA量は50ngとなるように加え、それぞれの抽出液から1点で測定を行った。ポジティブコントロールは落花生希釈DNAを5pgと500fgとなるように加え、各鋳型DNA濃度において、2点併行で測定した。解析条件は付属する解析ソフトのデフォルト条件で行った。
結果、配列番号1−2のプライマーセットと配列番号3のプローブを用いた場合にあさり水煮モデル加工食品の平均Ct値は31.1となり、一方、従来リアルタイムPCR法のプライマーセット(配列番号8−9)とプローブ(配列番号10)を用いた場合のCt値は36.6となった(下記表4)。
Figure 0006484012
よって、検出が難しい加工食品でも配列番号1−2のプライマーセットと配列番号3のプローブを用いることによって、従来リアルタイムPCR法のプライマーセットとプローブを用いた場合よりもCt値が5.5小さくなることが確認された。
ここで、リアルタイムPCR装置の機種を限定せずに検査で陽性/陰性判定を行う場合、被検試料と同時に測定して判定する基準を設定する必要がある。この基準としては、検査の難しいあさり水煮モデル加工食品を確実に陽性と判定できるCt値を与える既知量の落花生DNAや落花生標的配列を含むプラスミド分子などを用いることが有効である。例えば落花生DNA希釈系列のCt値とあさり水煮モデル加工食品のCt値との比較から、落花生DNA 500fgを判定基準に設定することができる。従来リアルタイムPCR法のプライマーセットとプローブを用いた場合、落花生DNA 500fgの平均Ct値は40.0であったためサイクル数は40より長く設定する必要があるが、配列番号1−2のプライマーセットと配列番号3のプローブを使用した場合、落花生DNA 500fgの平均Ct値は34.0となったため、サイクル数を40と短くしても十分に検査可能となる。
<様々なモデル加工食品を用いた小麦、そば、落花生のCt値の比較>
各種タンパク質濃度10μg/g相当量となるような小麦、そば、落花生を添加して加工した様々な加工食品を作製し、3種のリアルタイムPCRにおけるCt値を比較した。作製したモデル加工食品は、白粥、オレンジジュース、味噌汁、トマトパスタソース、鶏肉団子、フリーズドライ野菜スープ、ふりかけ及び上記で用いたあさり水煮の8品とした。
小麦及びそばのリアルタイムPCR法による検査法は以下の手法で行った。
・小麦
小麦検出のリアルタイムPCRでは、12.5μLの2×QuantiTect Probe PCR Master Mixに、配列番号11のプライマーを終濃度で0.2μMと、配列番号12のプライマーを終濃度で0.1μMと、配列番号13と配列番号14のプライマーを終濃度でそれぞれ0.05μMと、配列番号15のTaqManプローブを終濃度で0.1μM、鋳型DNAを加え、最終的に滅菌超純水で25μLとした。
<小麦検出用のプライマー及びプローブ>
配列番号11:5’−CATGGTGGGCGTCCTC−3’
配列番号12:5’−AAAGGCCATAATGCCAGCTG−3’
配列番号13:5’−TGAGGCCGTCATGCCGGCTG−3’
配列番号14:5’−TGAGGCCATAATGTCGGCTG−3’
配列番号15:FAM−5’−CGGATGCACTGCITTGATAAAG−3’−MGB
・そば
そば検出のリアルタイムPCRでは、12.5μLの2×QuantiTect Probe PCR Master Mixに、配列番号16のプライマーを終濃度で0.2μMと、配列番号17のプライマーを終濃度で0.2μMと、配列番号18のTaqManプローブを終濃度で0.1μM、鋳型DNAを加え、最終的に滅菌超純水で25μLとした。
<そば検出用のプライマー及びプローブ>
配列番号16:5’−CGTTGCCGAGAGTCGTTCTGTTT−3’
配列番号17:5’−CGCCAAGGACCACGAACAGAAG−3’
配列番号18:FAM−5’−CGGGACGCGCTTC−3’−MGB
8品のモデル加工食品を測定し、小麦、そば検出のリアルタイムPCRで得られたCt値と配列番号1−2のプライマーセットと配列番号3のプローブを用いて落花生リアルタイムPCRで得られたCt値を比較して同時測定が可能なサイクル数を確認した。なお、モデル加工食品からのDNA抽出は、消費者庁が情報提供する「アレルギー物質を含む食品の検査方法について」の別添1に従って2併行抽出で行い、得られたDNAは植物検出用プライマー対を用いたPCRまたは動物検出用プライマー対を用いたPCRで増幅することを確認した。リアルタイムPCR条件は上記の<TaqManプローブを用いたリアルタイムPCR>に記載した方法で行った。リアルタイムPCR装置は2機種(ロシュ・ダイアグノスティックス社製LightCycler Nano、ライフテクノロジーズジャパン社製ABI PRISM 7900HT)を用い、PCR反応液を入れる容器は専用の8連PCRチューブまたは96wellプレートを用いた。鋳型DNA量は50ngとなるように加え、それぞれの抽出液から1点で測定を行った。ポジティブコントロールとして、小麦のPCR標的DNA配列とそばのPCR標的DNA配列とを含むpGEM−T Easy Vector(Promega社製)を調製し、これを500,100コピーとなるように加え、落花生は落花生希釈DNAを5pgと500fgとなるように加えた。各種ポジティブコントロールは鋳型DNA濃度において、2点併行で測定した。LightCycler Nano装置での解析条件は付属する解析ソフトのデフォルト条件で行った。ABI PRISM 7900HT装置での解析条件は付属する解析ソフトのデフォルト条件で行い、閾値(Threshold Line)のみ、ポジティブコントロールの測定wellの解析によって算出された値を用いた。
8種類のモデル加工食品を2機種のリアルタイム装置で測定した結果、小麦、そば、落花生リアルタイムPCRにおける同一モデルのCt値は±3.0サイクルの幅の中に収まった(図3)。よって、全てのモデルのCt値は40サイクル未満となったことと併せて、リアルタイムPCR測定サイクル数を40サイクルに統一しても、必要な感度で小麦、そば、落花生を同時に検査できることが確認できた。
実施例3:リアルタイムPCRによる特異性の評価
77品の食材から抽出したDNAを用いて、配列番号1−2のプライマーセットと配列番号3のプローブによる落花生リアルタイムPCRを行い特異性を評価した。更に得られた反応液を電気泳動で解析し、非特異産物が得られた試料への落花生検出感度への影響を確認した。
1)DNA抽出
下記表5に示す77品の食材から以下QIAGEN社製3キットのいずれかを用いてDNA抽出を行い、消費者庁が情報提供する「アレルギー物質を含む食品の検査方法について」の別添1に従って抽出したDNAは、植物検出用プライマー対を用いたPCRまたは動物検出用プライマー対を用いたPCRで増幅することを確認した。
Genomic−tip 20/Gキットを用いた場合、細かく粉砕した試料を50mL容チューブに入れ、7.5mLのBuffer G2、10μLのRNase A(100mg/mL)、100μLのプロテイナーゼK溶液を加え混合後、50℃,2時間保温した。遠心分離により水層を回収し、予め1mLのBuffer QBTで平衡化したGenomic−tip 20/Gに供してDNAをカラムに吸着させた。その後、6mLのBuffer QCでカラムを洗浄し、1mLのBuffer QFでDNAを溶出させてイソプロパノール沈殿により沈殿物を回収した。TE buffer(pH8.0)に溶解後、260nmの吸光度を測定してDNA濃度を求め、20ng/μLに調整した液を鋳型DNA溶液とした。
DNeasy plant miniキットを用いた場合は、細かく粉砕した試料を2mL容チューブに入れ、1mLのBuffer AP1、10μLのRNaseA(100mg/mL)を加え、混合した後、65℃,2時間保温した。その後、これに130μLのBuffer P3を加えて、氷中で5分間放置し、遠心分離によりその上清液を得た。得られた上清をQIAshredder Spin Columnに供し、遠心分離によりColumnのパス液を得た。このパス液に1.5倍容量のBuffer AW1を加えて混合した後、DNeasy Spin Columnに一回650μLずつ供し、約6,000×gで1分間遠心分離してDNAをColumnに吸着された。これを、全液量処理するまで繰返した。その後、Columnに500μLのBuffer AW2を加え、約6,000×gで1分間遠心分離してColumnを洗浄、再度500μLのBuffer AW2をColumnに加え、最高速度で1分間遠心分離して、Columnに残っているBuffer AW2を完全に除去した。最終的に65℃で予め保温しておいた200μLの滅菌水をColumnに加え、約6,000×gで1分間遠心分離して得たColumn溶出液に20μLの3M酢酸ナトリウム溶液と200μLのイソプロパノールを加え、混合した。遠心分離した後の上清を廃棄し、沈殿物に200μLの70%(vol/vol)エタノールを加えて混合後、上清を廃棄した。その沈殿物を完全に乾燥させた後、50μLのTE buffer(pH8.0)に溶解し、260nmの吸光度を測定してDNA濃度を求め、20ng/μLに調整した液を鋳型DNA溶液とした。
DNeasy mericon Foodキットを用いた場合は、キットに添付されているプロトコルに従って抽出を行い、TE buffer(pH8.0)によりDNA濃度を20ng/μLに調整した液を鋳型DNA溶液とした。
Figure 0006484012
2)リアルタイムPCR
リアルタイムPCR条件は上記の<TaqManプローブを用いたリアルタイムPCR>に記載した方法で、サイクル数を40と設定し行った。リアルタイムPCR装置はライフテクノロジーズジャパン社製ABI PRISM 7900HTを用い、PCR反応液を入れる容器は専用の96wellプレートを用いた。鋳型DNA量は50ngとなるように加え、各食材DNA抽出液から1点で測定を行った。ポジティブコントロールとして落花生希釈DNAを5pgと500fgとなるように加え、各濃度2点併行で測定した。ABI PRISM 7900HT装置での解析条件は付属する解析ソフトのデフォルト条件で行い、閾値(Threshold Line)のみ、ポジティブコントロールの測定wellの解析によって算出された値を用いた。
その結果、落花生以外の全77試料から増幅シグナルは得られず、Ct値は求められなかった。よって、配列番号1−2のプライマーセットと配列番号3のプローブは落花生のみを特異的に増幅してシグナルを検出させると判断した。
3)反応液中の非特異産物による落花生検出感度の確認
リアルタイムPCR反応後の溶液を島津製作所製のMultiNA MCE−202によりDNA−500キットで蛍光物質にSYBR Goldを用いて電気泳動し解析した結果、表5の試料名NO.59の牛肉の反応液中に非特異産物が検出された。そこで、牛肉DNA 50ngに落花生DNA 500fgを添加して得られたCt値が非特異産物の影響により大きくならないこと(落花生DNAの検出感度を低下させないこと)を確認した。
リアルタイムPCR条件は上記の<TaqManプローブを用いたリアルタイムPCR>に記載した方法で、サイクル数を40と設定し行った。リアルタイムPCR装置はロシュ・ダイアグノスティクス社製LightCycler Nanoを用い、PCR反応液を入れる容器は専用の8連PCRチューブを用いた。鋳型量は落花生DNA 500fg、落花生DNA 500fg+牛肉DNA 50ng、牛肉DNA 50ngとなるように加え、それぞれ2点併行で測定した。解析条件は付属する解析ソフトのデフォルト条件で行った。更に、得られたPCR反応液を島津製作所製のMultiNA MCE−202によりDNA−500キットで蛍光物質にSYBR Goldを用いて電気泳動し、解析した。
その結果、下記表6に示すとおり、落花生DNA 500fg+牛肉DNA 50ngから得られたCt平均値は33.7となり、落花生DNA 500fgのCt平均値34.0とほぼ同等の値となった。
Figure 0006484012
また、落花生DNA 500fg+牛肉DNA 50ngのPCR反応後の非特異産物バンドは薄くなることが確認された(図4)。これらの結果より、牛肉DNA 50ngから検出された非特異産物は落花生検出感度を低下させることはないことが確認できた。

Claims (9)

  1. 飲食品又は飲食品原材料中に含まれる食物アレルゲンをPCR法により検出するためのプライマーセットであって、該プライマーセットが以下の(a)と(b)のオリゴヌクレオチドを含む落花生検出用プライマーセットを含む、上記プライマーセット:
    (a) 配列番号1に示す塩基配列を含むオリゴヌクレオチド、及び
    (b) 配列番号2に示す塩基配列を含むオリゴヌクレオチド。
  2. 落花生検出用プライマーセットがさらに、以下の(c)のオリゴヌクレオチドを含むプローブを含む、請求項1に記載のプライマーセット:
    (c) 配列番号3に示す塩基配列を含むオリゴヌクレオチド。
  3. さらに、以下の(d)、(e)、(f)及び(g)のオリゴヌクレオチドを含む小麦検出用プライマーセット、ならびに/あるいは、
    以下の(h)と(i)のオリゴヌクレオチドを含むそば検出用プライマーセット、を含む請求項1又は2に記載のプライマーセット:
    (d) 配列番号11に示す塩基配列を含むオリゴヌクレオチド、
    (e) 配列番号12に示す塩基配列を含むオリゴヌクレオチド、
    (f) 配列番号13に示す塩基配列を含むオリゴヌクレオチド、及び
    (g) 配列番号14に示す塩基配列を含むオリゴヌクレオチド;
    (h) 配列番号16に示す塩基配列を含むオリゴヌクレオチド、及び
    (i) 配列番号17に示す塩基配列を含むオリゴヌクレオチド。
  4. 小麦検出用プライマーセットがさらに、以下の(j)のオリゴヌクレオチドを含むプローブを含む、ならびに/あるいは、
    そば検出用プライマーセットがさらに、以下の(k)のオリゴヌクレオチドを含むプローブを含む、
    請求項3に記載のプライマーセット:
    (j) 配列番号15に示す塩基配列を含むオリゴヌクレオチド;
    (k) 配列番号18に示す塩基配列を含むオリゴヌクレオチド。
  5. 飲食品又は飲食品原材料中に含まれる食物アレルゲンをPCR法により検出するための方法であって、
    該飲食品又は飲食品原材料に由来するDNAを鋳型として、以下の(a)と(b)のオリゴヌクレオチドを含む落花生検出用プライマーセットを用いてPCRを行うこと、次いで、落花生DNAに由来するPCR増幅産物の有無を判定することを含む、上記方法:
    (a) 配列番号1に示す塩基配列を含むオリゴヌクレオチド、及び
    (b) 配列番号2に示す塩基配列を含むオリゴヌクレオチド。
  6. 同一条件下においてさらに、該飲食品又は飲食品原材料に由来するDNAを鋳型として、以下の(d)、(e)、(f)及び(g)のオリゴヌクレオチドを含む小麦検出用プライマーセット、ならびに/あるいは、
    以下の(h)と(i)のオリゴヌクレオチドを含むそば検出用プライマーセット、を用いてPCRを行うこと、次いで、小麦DNAならびに/あるいはそばDNAに由来するPCR増幅産物の有無を判定することを含む、請求項5に記載の方法:
    (d) 配列番号11に示す塩基配列を含むオリゴヌクレオチド、
    (e) 配列番号12に示す塩基配列を含むオリゴヌクレオチド、
    (f) 配列番号13に示す塩基配列を含むオリゴヌクレオチド、及び
    (g) 配列番号14に示す塩基配列を含むオリゴヌクレオチド;
    (h) 配列番号16に示す塩基配列を含むオリゴヌクレオチド、及び
    (i) 配列番号17に示す塩基配列を含むオリゴヌクレオチド。
  7. PCRがリアルタイムPCRであり、PCR増幅産物の検出をプローブを用いて行う、請求項5又は6に記載の方法。
  8. 落花生DNAに由来するPCR増幅産物の検出を、以下の(c)のオリゴヌクレオチドを含むプローブを用いて行う、請求項7に記載の方法:
    (c) 配列番号3に示す塩基配列を含むオリゴヌクレオチド。
  9. 小麦DNAに由来するPCR増幅産物の有無を判定する場合において、小麦DNAに由来するPCR増幅産物の検出を、以下の(j)のオリゴヌクレオチドを含むプローブを用いて行う、ならびに/あるいは、
    そばDNAに由来するPCR増幅産物の有無を判定する場合において、そばDNAに由来するPCR増幅産物の検出を、以下の(k)のオリゴヌクレオチドを含むプローブを用いて行う、請求項7又は8に記載の方法:
    (j) 配列番号15に示す塩基配列を含むオリゴヌクレオチド;
    (k) 配列番号18に示す塩基配列を含むオリゴヌクレオチド。
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