JP4301672B2 - インクジェット記録用バインダー組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はインクジェット記録用バインダー組成物に関するものであり、さらに詳しくはインクジェットプリンターによる印刷後の耐光性、耐水性、発色性に優れ、かつインクジェットインクの吸収性、にじみ性にも優れたバインダー組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
インクジェット記録方式は、フルカラー化が容易であり、低騒音,低コストでかつ保守性にも優れていることから、近年急速に普及しつつある。また近年、低濃度のインクを多量に記録用シートに打つことでより微細な色の変化を表現したり、プリンターから打ち出されるインク滴を微小化することで画像の解像度を上げるなど、プリンターの高画質化技術が次々と実用化されるに従い、印刷物の画質もほぼ写真並みにまで向上してきている。デジタルカメラで撮ったデジタルデータなどが高画質インクジェットプリンターで印刷されることで、人物や動物、風景などが従来の写真と変わらない画質で簡便に得られるようになってきた。
【0003】
しかしながら画質に関してはほぼ写真と同等レベルにまで向上したものの、保存性に関してはいまだ写真には遠く及ばないのが現状である。得られた画像に水がかかったり光が当たったりすると、打たれたインクのにじみ出しや褪色を招きせっかくの高画質を台無しにする結果となる。そこでこの欠点を抑えるため様々な試みがなされている。例えば、特開平7−68919号公報には基材上に紫外線吸収剤または酸化防止剤と消光剤との混合物を含有する超微細擬ベーマイトゾル多孔質記録層を設けることが提案されているが、擬ベーマイトのインク吸収容量が小さく、インク吸収性の点で問題があった。また特許第2683013号公報にはMg、Ca、Zn、Baを含有するケイ素系顔料とカチオン性物質を含有し特定の性質を示す被記録材が提案されている。この提案は耐光性に関しては良好な性能を示すものの、耐水性の面で十分ではない。また特開昭57−87988号公報、特開平8−216502号公報には光、特に高エネルギーである紫外線による劣化を防ぐ目的で被記録材中に紫外線吸収剤を含有させたり、あるいは紫外線吸収能を持つ構造単位を組み込んだ重合体を含有させることが提案されている。しかしながらこれらについても同様に耐光性は良好であるものの耐水性の面では効果的でない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、高画質化したインクジェット印刷において、印刷後の耐光性、耐水性、発色性に優れ、かつインクジェットインクの吸収性、にじみ性にも優れたインクジェット記録用バインダー組成物を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
すなわち本発明は、
1.支持体の少なくとも一方の表面に、直接又は間接にインク受理層を有するインクジェット記録シートの該インク受理層形成用であって、カチオン性ラテックス、無機充填剤、及び多価金属とからなり、該カチオン性ラテックスがコア部とシェル部を有する多層構造ラテックスであって、シェル部がカチオン性ラジカル重合性モノマー、及びこれと共重合可能なラジカル重合性モノマーとの共重合体(A)からなり、コア部がノニオン性ラジカル重合性モノマー、及び架橋性ラジカル重合性モノマーとの共重合体(B)からなり、かつコア側のガラス転移温度Tg1とシェル側のガラス転移温度Tg2との差が10℃以上60℃以下であり、かつカチオン性ラテックスの粒子径が30nm以上300nm以下である、ことを特徴とするインクジェット記録用バインダー組成物、
2.無機充填剤が非晶質合成シリカであることを特徴とする1.に記載のインクジェット記録用バインダー組成物、
3.多価金属がカルシウム、マグネシウム、アルミニウム、亜鉛、鉄、チタン、ジルコニウム、バリウムから1種類以上選ばれてなることを特徴とする1.又は2.に記載のインクジェット記録用バインダー組成物、である。
【0006】
以下に本発明を詳細に説明する。
本発明のカチオン性重合体は、カチオン性の官能基を有する重合体を指し、形態は水溶性でも水分散型のラテックスでもよい。耐水性の面からラテックスの形態がよい。
カチオン性ラテックスは例えばカチオン性のラジカル重合性モノマーを主成分として乳化重合により得られ、又は乳化重合ではなく溶液重合後水を添加して水分散により得ることもできる。さらには、ラテックスの形態を取った後、第3級アミン、第4級アンモニウム化合物などを添加し、カチオン性としても良い。好ましくは乳化重合方法で得るカチオン性ラテックスである。
【0007】
乳化重合の方法に関しては特に制限はなく、従来公知の方法が適用できる。例えば、水性媒体中でラジカル重合性モノマー、ラジカル重合開始剤、界面活性剤、必要に応じて連鎖移動剤、その他添加剤の存在下で、ラジカル重合性モノマーを重合させる。重合に際しては、全ラジカル重合性モノマーを全重合過程で均一に重合する方法や、重合過程で逐次、あるいは連続的に変化させることもできる。
【0008】
カチオン性ラジカル重合性モノマーとしては、カチオン性の官能基を有するラジカル重合性モノマーであればよく、カチオン性官能基として例えば第3級アミノ基、第4級アンモニウム基が挙げられる。
第3級アミノ基、第4級アンモニウム基を有するラジカル重合性モノマーとしては、第3級アミノ基又はその塩基を有する種々のラジカル重合性モノマーほか、第4級アンモニウム塩基を有する又は第4級アンモニウム塩基を形成可能な種々のラジカル重合性モノマーが使用できる。
【0009】
例えば、ジC1-4 アルキルアミノ−C2-3 アルキル(メタ)アクリルアミド又はその塩[ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド又はこれらの塩など]、ジC1-4 アルキルアミノ−C2-3 アルキル(メタ)アクリレート又はその塩[ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレート又はこれらの塩など]、ジC1-4 アルキルアミノ−C2-3 アルキル基置換芳香族ビニル又はその塩[4−(2−ジメチルアミノエチル)スチレン、4−(2−ジメチルアミノプロピル)スチレンなどやこれらの塩など]、窒素含有複素環式単量体又はその塩[ビニルピリジン、ビニルイミダゾール、ビニルピロリドン又はこれらの塩など]などが含まれる。塩としては、ハロゲン化水素酸塩(塩酸塩,臭化水素酸塩など)、ハロゲン化アルキル(塩化メチル、塩化エチル、塩化プロピル、塩化ブチル、塩化ベンジル、エピクロルヒドリン、臭化メチル、臭化エチル、臭化プロピル、臭化ブチルなど)、硫酸塩、アルキル硫酸塩(メチル硫酸塩,エチル硫酸塩など)、アルキルスルホン酸塩,アリールスルホン酸塩、カルボン酸塩(ギ酸塩、酢酸塩など)などが挙げられる。
【0010】
好ましくは、ジC1-4 アルキルアミノ−C2-3 アルキル(メタ)アクリルアミド又はその塩、又はジC1-4 アルキルアミノ−C2-3 アルキル(メタ)アクリレート又はその塩である。
カチオン性ラジカル重合性モノマーと共重合可能なモノマーとは、例えば芳香族不飽和化合物、α,β−不飽和モノカルボン酸アルキルエステル、不飽和カルボン酸、等を挙げることができる。
【0011】
芳香族不飽和化合物としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエンなどが挙げられる
α,β−不飽和モノカルボン酸のアルキルエステルとしては、例えば、アクリル酸またはメタクリル酸のアルキルエステルが挙げられる。アクリル酸またはメタクリル酸のアルキルエステルとしては、例えば、メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、イソプロピルアクリレート、ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、ヘキシルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、ラウリルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、イソプロピルアクリレート、ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、ヘキシルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、ラウリルメタクリレートなどが挙げられる。
【0012】
不飽和カルボン酸としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、モノアルキルイタコネート等が挙げられる。
上記以外のラジカル重合性モノマーも必要に応じて組み合わせてもよい。例えば、水酸基含有モノマー、例えば、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、ポリエチレングリコールアクリレート;アミド基含有モノマー、例えば、アクリルアミド、メタクリルアミド、N,N−メチレンビスアクリルアミド、ダイアセトンアクリルアミド、マレイン酸アミド、マレイミド;等を挙げることができる。
【0013】
好ましい共重合可能なモノマーとしては、芳香族不飽和化合物、α、β−不飽和モノカルボン酸アルキルエステル、アミド基含有モノマーである。
カチオン性ラジカル重合性モノマーと共重合可能なモノマーの比は、カチオン性ラジカル重合性モノマーが全モノマーに対し5〜60重量%、これらと共重合可能なモノマーは40〜95重量%である。カチオン性ラジカル重合性モノマーが5重量%以上で発色性に問題がなく、60重量%以下で印刷物の耐水性に問題がない。好ましくは、カチオン性ラジカル重合性モノマーが10〜50重量%、これらと共重合可能なモノマーが50〜90重量%である。
【0014】
本発明に用いられる、ノニオン性ラジカル重合性モノマーとは、例えば先に挙げた芳香族不飽和化合物、α,β−不飽和モノカルボン酸アルキルエステル、水酸基含有モノマー、アミド基含有モノマー、等を挙げることができる。
好ましいノニオン性ラジカル重合性モノマーは、α,β−不飽和モノカルボン酸アルキルエステル、水酸基含有モノマーである。
また、本発明に用いられる架橋性ラジカル重合性モノマーとは、ラジカル重合性の二重結合を2個以上有しているか、または重合中、重合後に自己架橋構造を与える官能基を有しているビニル系単量体である。
【0015】
ラジカル重合性の二重結合を2個以上有しているビニル系単量体は例えば、ジビニルベンゼン、ポリオキシエチレンジアクリレート、ポリオキシエチレンジメタクリレート、ポリオキシプロピレンジアクリレート、ポリオキシプロピレンジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ブタンジオールジアクリレート、ブタンジオールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート等が挙げられる。
【0016】
重合中、重合後に架橋構造を与える官能基を有しているビニル系単量体としては例えば、エポキシ基含有モノマー、例えばグリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、アリルグリシジルエーテル、メチルグリシジルアクリレート、メチルグリシジルメタクリレート、メチロール基含有モノマー、例えばN−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、ジメチロールアクリルアミド、ジメチロールメタクリルアミド等、アルコキシメチル基含有モノマー、例えばN−メトキシメチルアクリルアミド、N−メトキシメチルメタクリルアミド、N−ブトキシメチルアクリルアミド、N−ブトキシメチルメタクリルアミド等、ヒドロキシル基含有モノマー、シリル基含有モノマー例えばビニルトリクロロシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、トリス−2−メトキシエトキシビニルシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン等が挙げられる。
【0017】
好ましい架橋性単量体は、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、シリル基含有単量体である。特に好ましくは、シリル基含有単量体である。
ノニオン性ラジカル重合性モノマーと架橋性ラジカル重合性モノマーの比は、ノニオン性ラジカル重合性モノマーが90〜99.95重量%で、架橋性ラジカル重合性モノマーが0.05〜10重量%である。架橋性ラジカル重合性モノマーが、0.05重量%以上で発色性に問題がなく、10重量%以下で重合性に問題がない。好ましくは、ノニオン性ラジカル重合性モノマーが95〜99.9重量%で、架橋性ラジカル重合性モノマーが0.1〜5重量%である。
【0018】
本発明の共重合体(A)と共重合体(B)の比は、共重合体(A)が10〜90重量%、共重合体(B)が90〜10である。共重合体(A)が10重量%以上で発色性に問題がなく、90重量%以下で印刷物の耐水性に問題がない。好ましくは共重合体(A)が20〜60重量%、共重合体(B)が40〜80重量%である。
共重合体(A)の重合に用いられるラジカル重合開始剤は、公知の過硫酸塩、過酸化物、水溶性のアゾビス化合物、過酸化物−還元剤のレドックス系等を用いることができる。好ましくは、カチオン性末端を与える重合開始剤である。
【0019】
カチオン性末端を与える重合開始剤としては次のものが使用できる。例えば2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)2塩酸塩、2,2’−アゾビス(N,N’−ジメチレンイソブチルアミジン)2塩酸塩、2,2’−アゾビス(2−メチルブタンアミドオキシム)2塩酸塩4水和物などが挙げられる。
これら以外にも、必要に応じて以下の開始剤が用いられる。過硫酸塩としては例えば過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリム等が挙げられ、過酸化物としては例えば過酸化水素、t−ブチルハイドロパーオキサイド、t−ブチルパーオキシマレイン酸、コハク酸パーオキシドが挙げられ、水溶性アゾビス化合物としては例えば2,2’−アゾビス(N−ヒドロキシエチルイソブチルアミド)、4,4’−アゾビス(4−シアノペンタン酸)等が挙げられる。
【0020】
過酸化物−還元剤のレドックス系としては、例えば先の過酸化物にナトリウムスルホオキシレートホルムアルデヒド、亜硫酸水素ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、ヒドロキシメタンスルフィン酸ナトリウム、L−アスコルビン酸、およびその塩、第一銅塩、第一鉄塩等の還元剤の添加が挙げられる。
油溶性の重合開始剤としては例えば過酸化物、油溶性のアゾビス化合物等が挙げられ、過酸化物としては、例えば過酸化ジブチル、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、クメンハイドロ過酸化物等が挙げられ、油溶性のアゾビス化合物としては、例えば2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス−2−メチルブチロニトリル、2,2’−アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル等が挙げられる。
【0021】
カチオン性界面活性剤としては次のものが挙げられる。例えば、第4級アンモニウム型、脂肪族アミン型、複素環アミン型が挙げられ、第4級アンモニウム型としては例えば長鎖第一級アミン塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、長鎖第三級アミン塩、アルキルトリメチルアンモニウム塩、アルキルピリジニウム塩等が挙げられ、脂肪族アミン型としては例えばポリオキシエチレンアルキルアミン等が挙げられ、複素環アミン型としては例えばアルキルイミダゾリン等が挙げられる。
【0022】
ノニオン性界面活性剤としては、例えばエーテル型、エステル型、アルカノールアミド型等が挙げられ、エーテル型としては例えばポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルチオエーテル等が挙げられ、エステル型としては例えばポリオキシエチレンモノ脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンジ脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンプロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンモノ脂肪酸エステル、グリセリンモノ脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル等が挙げられ、アルカノールアミド型としては例えば脂肪酸ジエタノールアミド、ポリオキシエチレンアルキルアミド等が挙げられる。
【0023】
これら以外にも必要に応じて、アニオン性、両性の界面活性剤やシリコーン系界面活性剤を用いてもよい。
アニオン性界面活性剤としては、例えばカルボン酸型、硫酸エステル型、スルホン酸型、リン酸エステル型等が挙げられる。
両性界面活性剤としては、例えばN−アルキルアミノ酸型、イミダゾリン型等が挙げられる。
シリコーン系界面活性剤としてはポリエーテル変性シリコーンオイルやポリグリセリン変性シリコーンオイル、ピロリドン変性シリコーンオイル等が挙げられる
【0024】
また上記で挙げた非反応性の界面活性剤とともに、反応性の界面活性剤も併用してもよい。反応性界面活性剤は一分子中にラジカル重合性二重結合の官能基を有するもので、例えばそれらとポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン複合タイプのアルキルエーテルまたはアルコールなどを有するものが上げられる。また一分子中にラジカル重合性二重結合を有しかつスルホン酸基、スルホン酸エステル基、スルホン酸塩基、スルホン酸エステル塩基から選ばれる一個以上の官能基を有するもの(なおここでいう塩とはナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩を指す)でもよい。また一分子中にラジカル重合性二重結合を有しかつ4級アンモニウム基を有するものでもよい。
【0025】
共重合体(B)も水性媒体中、又は有機溶媒中でラジカル重合開始剤を用いて、重合することにより得られる。好ましくは水性媒体中での重合であり、必要に応じてカチオン性、ノニオン性の界面活性剤を添加しても良い。
本発明において、コア部とシェル部を有する多層構造カチオン性ラテックスは例えば乳化重合法により得ることができる。
乳化重合の方法に関しては特に制限はなく、従来公知の方法が適用できる。例えば、水性媒体中でラジカル重合性モノマー、ラジカル重合開始剤、界面活性剤、必要に応じて連鎖移動剤、その他添加剤の存在下で、ラジカル重合性モノマーを重合させる。
【0026】
重合方法としては、例えば共重合体(A)を重合した後、共重合体(A)存在下に共重合体(B)を重合する方法、又共重合体(B)を重合した後共重合体(A)を重合しても良い。好ましくは、共重合体(A)を重合した後、共重合体(A)存在下に共重合体(B)を重合する方法である。本発明において、共重合体(A)は第3級アミノ基、及び/又は第4級アンモニウム基を有するラジカル重合性モノマーとこれらと共重合可能なモノマーからなっているため、共重合体(B)に比べより親水性となっていると思われる。したがって、シェル側にはより共重合体(A)が存在することになる。
【0027】
本発明のコアシェル構造を有するカチオン性ラテックスの場合、コアTg1とシェルTg2との関係がTg1<Tg2であってもよく、Tg1>Tg2であっても良い。好ましくはTg1>Tg2である。コア側Tg1は好ましくは10〜60℃であり、シェル側Tg2は好ましくは−30〜30℃である。
【0028】
Tg1とTg2の差は好ましくは10〜60℃であり、10℃以上の差で耐水性に問題がなく、60℃以下の差でインク受理層の強度に問題がない。
カチオン性ラテックスの粒子径は10nm〜500nmである。10nm以上でラテックスの製造上問題がなく、500nm以下で配合品の安定性に問題がない。好ましくは30nm〜300nmである。
本発明のカチオン性ラテックスには必要に応じて、界面活性剤、分散剤、防腐剤、消泡剤、増粘剤、溶剤、紫外線吸収剤、光安定剤、シランカップリング剤等を添加しても良い。特にスルホコハク酸エステル型界面活性剤は配合品への添加によって発色性が向上するため、非常に有用である。
【0029】
本発明に用いられる無機充填材は合成シリカ、アルミナ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛、酸化マグネシウム、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、硫酸バリウム、サチンホワイト、リトポン、カオリン、珪酸アルミニウム、珪酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、クレー、焼成クレー、ケイソウ土、合成ゼオライト、スメクタイト、層状無機高分子等が挙げられる。インク吸収性、発色性等から合成シリカであり、さらに非晶質合成シリカが好ましい。
無機充填材はカチオン性重合体100重量部に対して、10〜500重量部である。無機充填材が10重量部以上で発色性に問題がなく、500重量部以下で耐水性に問題がない。好ましくはカチオン性重合体100重量部に対して、50〜400重量部である。
【0030】
本発明に用いられる多価金属としては、カルシウム、マグネシウム、アルミニウム、亜鉛、鉄、チタン、ジルコニウム、バリウムが挙げられ、これらのうちから少なくとも1種類以上が選ばれる。使用に際しては化合物の形で組成物中に入れられるが化合物は水溶性のものでも水不溶性のものでも構わない。より好ましいのは、系内への均一な分散を考慮し水溶性金属塩である。水溶性金属塩としては例えば塩化物、硫酸塩、その他蟻酸塩、酢酸塩などの有機酸塩などが挙げられ、このうちから適宜1種類以上を選んで用いることができる。これら多価金属の添加量としては無機充填剤100gに対し0.1mmol〜100mmolである。0.1mmol以上で耐光性が良好となり、100mmol以下で吸収性、にじみ性に問題がない。好ましくは0.5mmol〜50mmolである。
【0031】
本発明において必要に応じて、次の材料を配合してもよい。例えば、水溶性樹脂、水溶性第4級アンモニウム塩オリゴマー等が挙げられる。
水溶性樹脂としては、例えばポリビニルアルコール、カチオン化ポリビニルアルコール、エチレン変性ポリビニルアルコール、シラノール変性ポリビニルアルコール、セルロース系樹脂(メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシセルロース、カルボキシセルロース等)、キチン、キトサン、デンプン、カチオンデンプン、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリビニルエーテル、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンイミン、エポキシ化ポリアミド、ポリビニルピリジン、ゼラチン、カゼイン類、シクロデキストリン類、水性硝化綿等を挙げることができる。
【0032】
水溶性第4級アンモニウム塩オリゴマーとしては、例えばポリエチレンイミン塩、ジメチルアミンエピハロヒドリン縮合体、ポリビニルアミン塩、ポリアリルアミン塩、ポリジメチルアミノエチルメタクリレート4級塩、ポリジアリルジメチルアンモニウム塩、ジアリルアミナクリルアミド共重合体の塩、ポリスチレンの4級アンモニウム塩等が挙げられる。
本発明において使用される支持体は紙、合成紙、プラスチックペーパー、フィルム、金属板、金属箔、アルミニウム等を蒸着したプラスチックフィルム等が挙げられる。
【0033】
本発明のインク受理層を支持体の上に直接塗布しても良く、必要に応じて多層構成でもよい。例えばインク受理層の下層にアンカー層があってもよく、またインク受理層の上層に光沢層があってもよい。
本発明のインク受理層を塗布する方法も限定されない。例えば、ロールコーター、エアナイフコーター、ブレードコーター、ロッドブレードコーター、カーテンコーター、バーコーター、ダイコーター、グラビアコーター等の一般的なコーターが挙げられる。
【0034】
本発明のインク受理層は支持体に1〜50g/m2 塗布してもよい。1g/m2 以上でにじみ性に問題がなく、50g/m2以下で発色性に問題がない。好ましくは3〜30g/m2 である。
本発明のインク受理層はカチオン性重合体、無機充填剤、多価金属からなる配合品を支持体に塗布後、例えば80〜160℃で5〜300秒の乾燥により得ることができる。
【0035】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施例を説明するが、これらは本発明の範囲を限定しない。なお、特に指定のない場合は重量基準とする。
本発明における各種物性の評価は以下の通りである。
(1)インク発色性
インクジェットカラープリンター(PM−750C;セイコーエプソン(株)製)により、インクジェット記録シートへ、黒、マゼンタ、イエロー、シアンのベタ印刷を行った。印刷に際しては設定を、用紙:フォトプリント紙、インク:カラー、モード:「きれい」の推奨設定、で行った。
ベタ印刷部のインク濃度測定に関しては、マクベス濃度計(RD−918:サカタインクス( 株) 製)を用い黒色の測定を行った。
【0036】
(2)にじみ性
黒、シアン、マゼンタ、イエローのベタ印刷部の境界間のにじみを目視観察した。 評価基準は以下の通り。
○:にじみなし
△:境界部に0.5mm以上のにじみがない
×:境界部に0.5mm以上のにじみがある。
△以上を合格とした。
【0037】
(3)インク吸収性
(1)のベタ印刷直後に、印刷面を指で擦りその状態を観察した。
評価基準は以下の通り。
○:指にインクの付着なし。
△:わずかに指にインクの付着がある
×:指にインクの付着が認められる。
△以上を合格とした。
【0038】
(4)耐水性
ベタ印刷物を流水中に5分浸漬し、印刷状態を目視観察した。
評価基準は以下の通り。
○:インクの流出がまったくない。
△:わずかにインクの流出が認められる。
×:全ての色でインクの流出が認められる。
△以上を合格とした。
【0039】
(5)耐光性
ベタ印刷物を1時間室温に放置したもので耐光性試験を行った。試験装置としてスガ試験器製紫外線ロングライフフェードメータFAL−3を用い、試験温度を62℃に設定し、60時間の照射を行った。ベタ印刷部の照射前後の黒のインク濃度を比較し、照射後のインク濃度を照射前のインク濃度で割った値を残存率として評価した。
【0040】
(6)粒子径
光散乱法により測定を行った。数平均粒径を採用した。
(7)ガラス転移点(Tg)
DSCを用いて測定した。セイコーインスツルメンツ( 株) 製DSC220Cを用い−60℃より120℃まで10℃/minの速度にて昇温し、吸熱曲線の変曲点をTgとした。
次に、カチオン性ラテックスの製造例を下記に示す。
【0041】
【製造例1】
撹拌機付きフラスコに蒸留水750部、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム塩25%水溶液20部、エマルゲン920[花王(株)製、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル]の25%水溶液20部を仕込み、80℃に昇温し、2、2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)2塩酸塩1部を水50部に溶解したものを添加する。添加後5分放置する。
5分後、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム塩の25%水溶液1部、エマルゲン920の25%水溶液1部、2、2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)2塩酸塩0.3部、蒸留水100部からなる水溶液部と、ジメチルアミノプロピルアクリルアミド塩化メチル塩30部、メチルメタクリレート20部、ブチルアクリレート50部からなるモノマー部を別々に30分かけて投入する。投入後、60分そのまま撹拌を続けた。
【0042】
次に、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム塩の25%水溶液9部、エマルゲン920の25%水溶液9部、2、2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)2塩酸塩2.7部、蒸留水500部からなる水溶液部と、メチルメタクリレート565部、ブチルアクリレート332.3部、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン2.7部からなるモノマー部を別々に210分かけて投入する。投入後、120分そのまま撹拌を続けた。
その後30℃以下まで冷却し、その後110メッシュの金網を用いて濾過を行った。濾過後、固形分を40%となるよう水を添加し調整した。得られたラテックスの粒径は125nmであった。
【0043】
【製造例2】
撹拌機付きフラスコに蒸留水750部、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム塩25%水溶液20部、エマルゲン920[花王(株)製、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル]の25%水溶液20部を仕込み、80℃に昇温し、2、2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)2塩酸塩1部を水50部に溶解したものを添加する。添加後5分放置する。
5分後、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム塩の25%水溶液3部、エマルゲン920の25%水溶液3部、2、2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)2塩酸塩0.9部、蒸留水180部からなる水溶液部と、ジメチルアミノプロピルアクリルアミド塩化メチル塩90部、メチルメタクリレート60部、ブチルアクリレート150部からなるモノマー部を別々に70分かけて投入する。投入後、60分そのまま撹拌を続けた。
【0044】
次に、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム塩の25%水溶液7部、エマルゲン920の25%水溶液7部、2、2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)2塩酸塩2.1部、蒸留水420部からなる水溶液部と、メチルメタクリレート440部、ブチルアクリレート257.9部、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン2.1部からなるモノマー部を別々に170分かけて投入する。投入後、120分そのまま撹拌を続けた。
その後30℃以下まで冷却し、その後110メッシュの金網を用いて濾過を行った。濾過後、固形分を40%となるよう水を添加し調整した。得られたラテックスの粒径は138nm、コア部Tgが25℃で、シェル部Tgが−8℃であった。
【0045】
【製造例3】
撹拌機付きフラスコに蒸留水750部、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム塩25%水溶液20部、エマルゲン920[花王(株)製、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル]の25%水溶液20部を仕込み、80℃に昇温し、2、2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)2塩酸塩1部を水50部に溶解したものを添加する。添加後5分放置する。
5分後、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム塩の25%水溶液5部、エマルゲン920の25%水溶液5部、2、2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)2塩酸塩1.5部、蒸留水300部からなる水溶液部と、ジメチルアミノプロピルアクリルアミド塩化メチル塩150部、メチルメタクリレート100部、ブチルアクリレート150部からなるモノマー部を別々に120分かけて投入する。投入後、60分そのまま撹拌を続けた。
【0046】
次に、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム塩の25%水溶液5部、エマルゲン920の25%水溶液5部、2、2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)2塩酸塩1.5部、蒸留水300部からなる水溶液部と、メチルメタクリレート315部、ブチルアクリレート183.5部、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン1.5部からなるモノマー部を別々に120分かけて投入する。投入後、120分そのまま撹拌を続けた。
その後30℃以下まで冷却し、その後110メッシュの金網を用いて濾過を行った。濾過後、固形分を40%となるよう水を添加し調整した。得られたラテックスの粒径は141nmであった。
【0047】
【製造例4】
撹拌機付きフラスコに蒸留水750部、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム塩25%水溶液20部、エマルゲン920[花王(株)製、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル]の25%水溶液20部を仕込み、80℃に昇温し、2、2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)2塩酸塩1部を水50部に溶解したものを添加する。添加後5分放置する。
【0048】
5分後、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム塩の25%水溶液3部、エマルゲン920の25%水溶液3部、2、2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)2塩酸塩0.9部、蒸留水180部からなる水溶液部と、ジメチルアミノプロピルアクリルアミド塩化メチル塩150部、メチルメタクリレート17部、ブチルアクリレート133部からなるモノマー部を別々に70分かけて投入する。投入後、60分そのまま撹拌を続けた。
【0049】
次に、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム塩の25%水溶液7部、エマルゲン920の25%水溶液7部、2、2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)2塩酸塩2.1部、蒸留水420部からなる水溶液部と、メチルメタクリレート440部、ブチルアクリレート257.9部、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン2.1部からなるモノマー部を別々に170分かけて投入する。投入後、120分そのまま撹拌を続けた。
その後30℃以下まで冷却し、その後110メッシュの金網を用いて濾過を行った。濾過後、固形分を40%となるよう水を添加し調整した。得られたラテックスの粒径は140nmであった。
【0050】
【製造例5】
撹拌機付きフラスコに蒸留水750部、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム塩25%水溶液20部、エマルゲン920[花王(株)製、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル]の25%水溶液20部を仕込み、80℃に昇温し、2、2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)2塩酸塩1部を水50部に溶解したものを添加する。添加後5分放置する。
【0051】
5分後、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム塩の25%水溶液10部、エマルゲン920の25%水溶液10部、2、2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)2塩酸塩3部、蒸留水600部からなる水溶液部と、ジメチルアミノプロピルアクリルアミド塩化メチル塩90部、メチルメタクリレート500部、ブチルアクリレート407.9部、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン2.1部からなるモノマー部を別々に240分かけて投入する。投入後、120分そのまま撹拌を続けた。
その後30℃以下まで冷却し、その後110メッシュの金網を用いて濾過を行った。濾過後、固形分を40%となるよう水を添加し調整した。得られたラテックスの粒径は200nmであった。
【0052】
【製造例6】
撹拌機付きフラスコに蒸留水750部、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム塩25%水溶液20部、エマルゲン920[花王(株)製、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル]の25%水溶液20部を仕込み、80℃に昇温し、2、2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)2塩酸塩1部を水50部に溶解したものを添加する。添加後5分放置する。
5分後、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム塩の25%水溶液3部、エマルゲン920の25%水溶液3部、2、2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)2塩酸塩0.9部、蒸留水180部からなる水溶液部と、メチルメタクリレート124部、ブチルアクリレート176部からなるモノマー部を別々に70分かけて投入する。投入後、60分そのまま撹拌を続けた。
【0053】
次に、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム塩の25%水溶液7部、エマルゲン920の25%水溶液7部、2、2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)2塩酸塩2.1部、蒸留水420部からなる水溶液部と、メチルメタクリレート440部、ブチルアクリレート257.9部、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン2.1部からなるモノマー部を別々に170分かけて投入する。投入後、120分そのまま撹拌を続けた。
その後30℃以下まで冷却し、その後110メッシュの金網を用いて濾過を行った。濾過後、固形分を40%となるよう水を添加し調整した。得られたラテックスの粒径は101nmであった。
【0054】
【実施例1〜10】
表1に示す材料を次のように配合した。攪拌下に水700部、続いて非晶質合成シリカ(ファインシールX37:(株)トクヤマ製)を所定量投入し、15分撹拌を行った。その後攪拌しながら多価金属化合物、ラテックス、スルホコハク酸エステル系界面活性剤(ノプコウェット50:サンノプコ( 株) 製)をこの順序で所定量投入する。しかる後、配合品の固形分が18%となるだけの水を投入して更に20分攪拌を続け、配合品を得た。
【0055】
次に坪量70gの上質紙にバーコーターで、配合品を塗布した。塗布後、速やかに130℃にコントロールした熱風乾燥機に90秒放置し、乾燥させ塗工紙を得た。塗布量は10g/m2 となるよう、バーコーターで調節した。
乾燥した塗工紙を、線圧500N/cmのカレンダーを通すことによって、インクジェット記録シートとした。
得られた本発明のインクジェット記録シートの評価結果を、合わせて表1に示す。
【0056】
【比較例1〜4】
表1に示す配合品を実施例と同様に作製した。また実施例と同様に記録シートを作製し、実施例と同様にインクジェット記録シートの評価を行った。
評価結果を合わせて表1に示す。
【0057】
【表1】
【発明の効果】
本発明によれば、高画質のインクジェット印刷における、耐光性、耐水性、発色性を高度に改善でき、かつインクジェットインクの吸収性、にじみ性にも優れたバインダー組成物を提供することができる。
Claims (3)
- 支持体の少なくとも一方の表面に、直接又は間接にインク受理層を有するインクジェット記録シートの該インク受理層形成用であって、カチオン性ラテックス、無機充填剤、及び多価金属とからなり、該カチオン性ラテックスがコア部とシェル部を有する多層構造ラテックスであって、シェル部がカチオン性ラジカル重合性モノマー、及びこれと共重合可能なラジカル重合性モノマーとの共重合体(A)からなり、コア部がノニオン性ラジカル重合性モノマー、及び架橋性ラジカル重合性モノマーとの共重合体(B)からなり、かつコア側のガラス転移温度Tg1とシェル側のガラス転移温度Tg2との差が10℃以上60℃以下であり、かつカチオン性ラテックスの粒子径が30nm以上300nm以下である、ことを特徴とするインクジェット記録用バインダー組成物。
- 無機充填剤が非晶質合成シリカであることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録用バインダー組成物。
- 多価金属がカルシウム、マグネシウム、アルミニウム、亜鉛、鉄、チタン、ジルコニウム、バリウムから1種類以上選ばれてなることを特徴とする請求項1又は2に記載のインクジェット記録用バインダー組成物。
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