JP4300646B2 - 成形用熱硬化性樹脂粒状体およびその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は成形用熱硬化性樹脂粒状体およびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
現在、例えば、半導体封止成形用材料としてはタブレット(円柱)形状に成形されたものを用いるのが一般的である。このタブレット形状の成形材料を用いて半導体チップの樹脂封止(パッケージ)を行なうには、通常、トランスファー成形法が使用されている。このトランスファー成形法においては、トランスファー成形機の金型キャビティに半導体チップをセットし、一般的には、予備加熱した熱硬化性樹脂タブレットをトランスファー成形機のポットに入れ、このタブレットを加熱により溶融すると共にプランジャーで加圧し、スプール、ランナー並びにゲート等を経て該溶融樹脂を金型キャビティに導入し、賦形並びに硬化を完了させている。さらに最近では、タブレットやポット内等に存在する空気が成形時に加熱により溶融された成形材料内に混入し、成形品内に気泡として残ることで成形品の機械強度や耐湿性等が悪化し、半導体チップの性能が損なうことを抑制するため、ポットやプランジャー等に外部に通じる空気排気口を設け、そこから空気を吸引することで、溶融樹脂内に混入した気泡を除去することも行われるようになってきている。
【0003】
ところが最近になって、製造コストを低減することを目的にタブレット形状の成形材料に代わり、粒状の成形材料を用いて上記した半導体チップの樹脂封止を行うことが提案されている。これは成形用材料を粒状にすることで、以下のような利点があるためである。
【0004】
すなわち、現在、成形用タブレットは個々の半導体チップ毎に要求されている樹脂組成および重量になるように成形して用いるため、全品種数(樹脂品種数×重量品種数)としては、百以上となり、多大な管理コストが必要であるが、粒状の成形材料を必要な重量になるように計量して用いることで重量管理の必要がなくなるため、管理品種数が激減する。
【0005】
また、タブレット形状へ成形する工程が不要となり製造工程が簡略化される。
【0006】
そして、上記粒状体には、以下のような特性が要求されている。
1)成形用材料の樹脂特性(硬化強度、流動性等)にバラツキがないこと。
2)粒状体を用いて半導体チップの樹脂封止を行なう際の成形材料の計量方法としては、ある一定の容積に粒状体を充填して行われるのが一般的である。これは、重量を計量するよりも計量設備が簡便で済み、かつ計量のために要する時間が短くて済むといった利点があるためである。すなわち、容積充填計量に対応するために、嵩密度のバラツキが小さいこと。
3)作業環境の向上、成形装置への悪影響の低減のため、粒状体には微粉塵の発生が少ないこと。
【0007】
現在、熱硬化性樹脂粒状体を成形するためには、例えば熱硬化性樹脂組成物を溶融混練し、塊状で吐出し冷却固化した後に該塊状物を粉砕し、分級する方法が挙げられるが、得られる粒状体粒径のバラツキが大きく、製品収率が極めて低い。また粉砕品であるため角ばった形状となり、取り扱い時に粒状体同士の擦れ等により微粉塵が発生しやすく、作業環境を悪化させる。さらに半導体封止成形用樹脂の場合、組成物としてシリカを大量に含有しているため、非常に材料が固く、粉砕装置(特にカッター刃)の摩耗が著しく、その金属摩耗粉が成形用熱硬化性粒状体に混入してしまうといった問題があった。
【0008】
別の方法として、特開平10−41327号公報では、一旦冷却固化された混合物を再加熱して造粒する方法が提案されているが、混合物を再加熱することで熱履歴増大による混合物の特性悪化は避けられない。特に半導体封止成形用樹脂の場合、樹脂成分としてエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂を含むため、樹脂への熱履歴の影響は非常に大きい。また、加熱した後、固化させるための冷却工程は必須であるため、造粒時間を長く取る必要があるといった問題があった。
【0009】
さらに別の方法として、特開平10−34647号公報では、溶融混練物を直径0.5〜5mmの円形吐出口から丸棒状に吐出し、該丸棒状吐出物を該吐出口端面に接して回転するカッターで、長さ0.5〜5mmの略円柱状顆粒体になるように連続して切断する方法が提案されているが、切断した直後の顆粒体は溶融状態を維持しているため、顆粒体同士が融着しやすい。また、半導体封止成形用樹脂の場合、溶融粘度が非常に高いため、直径が数mm程度の小径吐出口より大流量の溶融樹脂を吐出させるためには、非常に大きな吐出力が必要となり、混練機自体に多大の負荷が係ることはもちろんのこと、樹脂自体にも大きな吐出力が加わることで発熱し樹脂特性も悪化してしまうため、大きな処理量に対応することは困難であるという問題があった。必要吐出力は以下のように表すことができる。
【0010】
〔吐出力〕={〔樹脂溶融粘度〕×〔樹脂流量〕×〔流路長さ〕×〔係数〕}÷{〔吐出口径〕4}
さらに小径吐出口より溶融樹脂組成物を吐出した場合、吐出口内部での溶融樹脂組成物の流動性不均一が生じやすく、滞留部分ができる。特に熱硬化性樹脂の場合、滞留部分ができるとそこから樹脂の硬化が進み、最悪は溶融樹脂流路を硬化樹脂が閉鎖し、吐出不能に陥るという問題があった。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上述した問題点を鑑みてなされたもので、その目的とするところは、成形材料を容積で計量する際に計量精度が優れ、微粉末の発生が少ない成形用熱硬化性樹脂粒状体を安定した樹脂特性を確保しつつ、かつ生産性を飛躍的に向上できる製造方法を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明の成形用熱硬化性樹脂粒状体は、主として次の構成を有する。すなわち、
「粒径が0.5〜5mmの範囲内であり、その嵩密度のバラツキの範囲が±10%以内であることを特徴とする成形用熱硬化性樹脂粒状体」である。
【0013】
また、本発明の熱硬化性樹脂粒状体の製造方法は、主として次の構成を有する。すなわち、「溶融樹脂組成物の流動性を維持した状態から造粒しつつ、冷却固化する成形用熱硬化性樹脂粒状体の製造方法であって、底面部回転羽根と側面部回転羽根を配備した造粒装置を用いて溶融樹脂組成物を造粒しつつ、冷却固化する工程を有し、作製した成形用熱硬化性樹脂粒状体が、半導体用エポキシ樹脂粒状体でかつ嵩密度のバラツキの範囲が±10%以内であることを特徴とする成形用熱硬化性樹脂粒状体の製造方法。」である。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳しく説明する。本発明に用いられる成形用熱硬化性樹脂は特に用途を限定するものではないが、半導体封止成形用熱硬化性樹脂組成物を一例として挙げ、説明する。
【0015】
半導体封止成形用熱硬化性樹脂組成物は、一般的に熱硬化性樹脂成分、硬化剤成分、無機質充填材が適宜の割合で配合されたものである。
【0016】
上記熱硬化性樹脂成分としては、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、シリコン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエステル樹脂等が挙げられるが、電気特性や価格のバランスが優れるため、エポキシ樹脂が好ましい。エポキシ樹脂としては特に限定するものではないが、例えば、ビフェニール型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂等が挙げられる。これらは単独で用いても2種類以上を併用してもよい。
【0017】
また、上記硬化剤成分としては、通常フェノールノボラック樹脂が用いられるがこれに限定されるわけではない。
【0018】
さらに、上記無機質充填材としては、特に限定するものではないが、結晶シリカ、溶融シリカ、アルミナ、炭酸カルシウム、酸化チタン等が挙げられる。これらは単独で用いても2種類以上を併用してもよい。なお、無機質充填材として結晶シリカまたは溶融シリカ等のシリカを用いた場合、樹脂硬化物の線膨張係数が小さくなり、半導体素子の線膨張係数に近づくため好ましい。そして、上記無機質充填材を組成物全体に対して60〜95重量%の範囲で配合することで吸湿ハンダ耐熱性が優れ、好ましい。
【0019】
なお、これらの材料以外にも、必要に応じて、シランカップリング剤、硬化促進剤、離型剤、難燃剤、着色剤等の各種添加剤を適宜配合することができる。
【0020】
以下、本発明の一実施例を図面を参照して説明する。
【0021】
図1は本発明の熱硬化性樹脂粒状体の製造方法手順の一例を示した簡略模式図である。
【0022】
図1において、1は混練機である。2は樹脂組成物投入口であり、3はスクリューであり、混練機1の内部において樹脂組成物の送り、混練、押出しを行なう。4は溶融樹脂組成物吐出口である。5は冷却ベルト装置であり、混練機1の吐出口4より吐出された溶融樹脂組成物を薄板状に延伸しつつ冷却する。6は切断手段であり、板状に延伸冷却された溶融樹脂組成物を適当な大きさに切断する。切断手段としては、吐出された該溶融樹脂組成物の走行方向とほぼ直交する方向に平刃カッター等を走行させて行ってもよいが、ワイヤー等を用いて切断した方が切断時、該溶融樹脂組成物との接触面積が小さくなり、該溶融樹脂組成物の切断手段への融着を低減することができるため、好ましい。なお、切断手段を配置する位置は、混練機1の吐出口4から造粒装置7の投入口までの間であれば、特に限定されるものではない。7は造粒装置であり、底面部回転羽根8、側面部回転羽根9を内部に配備している。さらに10は冷却ジャケットであり、通常は冷水を通水することで造粒装置7を外面から冷却し、供給された溶融樹脂組成物を冷却できるようになっている。11は樹脂粒状体の取り出し口であり、樹脂粒状体取り出し時以外は閉鎖してある。
【0023】
ここで、造粒装置7において、粒径は下記の条件によってほぼ決定される。
【0024】
1)溶融樹脂組成物の粘度
2)底面部回転羽根8の回転数
3)側面部回転羽根9の回転数
さらに、粒径バラツキは上記条件の中で、溶融樹脂組成物の粘度バラツキによって主に発生するため、できるだけ溶融樹脂組成物の粘度バラツキを抑えることが好ましい。一般的には、溶融樹脂組成物の粘度は温度に起因しているため、温度管理を厳密に行うことで粘度バラツキを抑える。
【0025】
なお、本発明において、上記成形用熱硬化性樹脂粒状体はその粒径が0.5〜5mmの範囲内であることが必要である。上記範囲よりも粒径が小さいものは、粒状体自体が壊れて微粉塵化しやすく、また上記範囲よりも粒径が大きいものは、半導体チップの封止成形時に、粒状体間の空気層が大きくなるため、加熱により溶融された成形材料内に気泡が残りやすく、成形欠陥が発生しやすくなるという問題が生じるためである。なお、嵩密度のバラツキをより低減するためには、粒径を1〜3mmの範囲内にすることがより好ましい。
【0026】
さらに上記成形用熱硬化性粒状体の嵩密度のバラツキの範囲は±10%以内でなければならない。上記範囲よりバラツキが大きいと、半導体チップの封止成形時に計量誤差が生じ、成形欠陥となるためである。
【0027】
すなわち、粒径が0.5〜5mmの範囲内であり、その嵩密度のバラツキの範囲を±10%以内にするためには、用いる材料の組成等により適宜条件を設定する必要があるが、上記半導体封止成形用熱硬化性樹脂の場合、造粒装置7に投入する溶融樹脂組成物の温度を10〜80℃の範囲内とし、かつ温度ムラを±10℃以内にすることが好ましい。また、造粒装置7の運転条件としては、溶融樹脂組成物の投入温度により適宜設定する必要があるが、通常、底面部回転羽根8の回転数は周速が4〜10m/秒の範囲内(造粒装置容器内径が400mmの場合は200rpm〜500rpm)とし、側面部回転羽根9の回転数は500〜4000rpmの範囲に設定することが好ましい。
【0028】
また、造粒装置7は、溶融樹脂組成物を所定量投入した後、造粒が完了するまでにある一定時間必要であるため、混練機1より連続して供給される溶融樹脂組成物を滞らせることなく、連続して熱硬化性樹脂粒状体に成形するために造粒装置7を複数個配備し、溶融樹脂組成物が投入されていない造粒装置7に振り分けて供給できるようにしておく方が生産性が向上しより好ましい。
【0029】
上記図1に示す装置を使用して本発明の製造方法により、熱硬化性樹脂粒状体を製造するには、混練機1の投入口2に熱硬化性樹脂組成物を投入し、混練機1のスクリュー3の回転により該投入口2内の熱硬化性樹脂組成物を混練機1内で加熱溶融しつつ混練し、この溶融樹脂組成物をスクリュー3の押出力で吐出口4を介して冷却ベルト装置5に吐出する。次に吐出された該溶融樹脂組成物は、上側と下側の冷却ベルト間を通過することで板状に延伸されつつ、冷却される。次に板状に延伸冷却された該溶融樹脂組成物は、切断手段により該溶融樹脂組成物を適当な大きさに切断し、造粒装置7に所定量供給される。また、該溶融樹脂組成物を切断する大きさは、造粒装置7の1回で処理可能な量としてもかまわないが、投入される溶融樹脂組成物の粘度(この粘度は溶融樹脂温度でほぼ決定される)を均一にして処理した方が造粒される熱硬化性樹脂粒状体の粒径を均一に保つことができるので、小片ごとに切断し、複数片で所定の1回分の処理量になるように投入した方がより好ましい。これは、溶融樹脂組成物は冷却ベルト装置5により冷却される際、溶融樹脂組成物は外層から内部に向かって冷却されるため、切断片が大きいと外層部と内部との温度差が大きくなり、結果として粒径のバラツキが大きくなりやすいためである。
【0030】
造粒装置7に所定量溶融樹脂組成物の投入が完了したら、振り分け手段(図示していない)により別の造粒装置7に順次溶融樹脂組成物の投入を振り分ける。ここで振り分け手段とは、切断手段6から排出された溶融樹脂組成物を各造粒装置7の投入口へ適宜案内することができる手段のことを意味している。
【0031】
また、混練機1の吐出口4から吐出される溶融樹脂組成物を冷却ベルト装置5を介さずに、切断し、造粒装置7に投入して造粒を行うことも考えられるが、一般的に造粒装置7の冷却能力は冷却ベルト装置5の冷却能力に比べると極めて低いため、冷却時間が長く必要となり、結果として熱硬化性樹脂粒状体の成形時間が長くなり、生産性が低下するといった問題や高温の溶融樹脂組成物は融着性が高いため、造粒装置7内に付着しやすくなるといった問題があるため、流動性を保っていることを前提に適度に冷却された溶融樹脂組成物を造粒装置7に投入して熱硬化性樹脂粒状体を成形した方がより好ましい。
【0032】
このようにして得られる熱硬化性樹脂粒状体は、混練機1を連続運転し、かつ溶融樹脂組成物の固化後の再加熱等も行わないため、溶融樹脂組成物への熱履歴が安定し、熱硬化性樹脂粒状体の特性も安定するし、造粒時間も短くすることができる。また、樹脂組成物の溶融状態からの造粒であるため、熱硬化性樹脂粒状体に角ばった部分が生じにくく、取り扱い時に粒状体同士の擦れ等による微粉塵の発生も低減することができる。さらに、固体状態からの粉砕時にみられたような粉砕装置の摩耗による金属摩耗粉の混入も大幅に低減することができる。
【0033】
また、小径吐出口から溶融樹脂組成物を吐出させる必要もないため、吐出口内部での溶融樹脂組成物の流動性不均一が生じにくく、滞留部分ができにくいため、熱硬化性樹脂へも対応することができる。また、大きな処理量に対しても対応することができる。
【0034】
【実施例】
<実施例1>
下記に示す熱硬化性樹脂組成物を用い、図1に示した製造方法により、熱硬化性樹脂粒状体を製造した。
【0035】
1)エポキシ樹脂(ビフェニール型): 6 重量部
2)硬化剤(フェノール樹脂) : 4 重量部
3)無機充填剤(シリカ) : 88 重量部
4)シランカップリング剤 : 0.8 重量部
5)離型剤 : 0.5 重量部
6)難燃剤 : 0.4 重量部
7)着色剤 : 0.3 重量部
上記熱硬化性樹脂組成物をヘンシェルミキサーで混合した後、この混合樹脂組成物を混練機1に180kg/hで供給し、混練機1により該混合樹脂組成物を混練溶融化し(約100℃)、スクリュー3の押出力で冷却ベルト装置5に供給し、約5mmの厚みの板状に延伸しつつ、該溶融樹脂組成物が30〜40℃になるまで冷却した後、約50g程度の小片に分割し、造粒装置7に投入した。造粒装置7への1回の投入量合計は約3kgとした。
【0036】
造粒装置7の運転条件としては、底面回転羽根8の回転数は200rpm、側面回転羽根9の回転数は2500rpm、造粒時間は3分間とした。
【0037】
このようにして熱硬化性樹脂粒状体を製造した結果、粒径は1〜4mmの範囲内で嵩密度のバラツキは±7%以内であった。
【0038】
ここで、嵩密度のバラツキの測定にあたっては、以下の方法で行った。すなわち、上記条件によって製造された成形用熱硬化性樹脂粒状体(約3kg)をホッパーに投入し、該ホッパー吐出口を、内径13mm、高さ16mmの内容積を有する円筒容器上部近傍に配置し、常温(23℃)、常圧下のもと自由落下により該円筒容器内に上記粒状体を順次充填し、1バッチ(約3kg)内での充填量のバラツキを算出した。
【0039】
また、混練機1を連続運転し、かつ溶融樹脂組成物の固化後の再加熱等も行わないため、熱硬化性樹脂粒状体の特性も安定していた。また、樹脂組成物の溶融状態からの造粒であるため、熱硬化性樹脂粒状体に角ばった部分が生じず、微粉塵の発生もほとんど皆無であり、固体状態での粉砕時にみられたような金属摩耗粉の混入も皆無であった。
【0040】
【発明の効果】
本発明に係る樹脂粒状体は、混練機1を連続運転し、かつ溶融樹脂組成物の固化後の再加熱等も行わないため、溶融樹脂組成物への熱履歴が安定し、熱硬化性樹脂粒状体の特性も安定するし、造粒時間も短くすることができる。また、樹脂組成物の溶融状態からの造粒であるため、熱硬化性樹脂粒状体に角ばった部分が生じにくく、取り扱い時に粒状体同士の擦れ等による微粉塵の発生も低減することができる。さらに、固体状態からの粉砕時にみられたような粉砕装置の摩耗による金属摩耗粉の混入も大幅に低減することができる。
【0041】
また、小径吐出口から溶融樹脂組成物を吐出させる必要もないため、吐出口内部での溶融樹脂組成物の流動性不均一が生じにくく、滞留部分ができにくいため、熱硬化性樹脂へも対応することができる。また、大きな処理量に対しても対応することができる。
【0042】
また、成形用熱硬化性樹脂粒状体の粒径が0.5〜5mmの範囲内であるため、粒状体自体が壊れて微粉塵化しにくく、かつ半導体チップの封止成形時に成形欠陥が発生しにくい。
【0043】
さらに成形用熱硬化性樹脂粒状体の嵩密度のバラツキの範囲は±10%以内であるため、計量精度にも優れるという利点を有する。
【0044】
すなわち、本発明により、成形材料を容積で計量する際に計量精度が優れ、微粉末の発生が少ない成形用熱硬化性樹脂粒状体を安定した樹脂特性を確保しつつ、かつ生産性を飛躍的に向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る熱硬化性樹脂粒状体の製造方法手順の一実施例の概略模式図である。
【符号の説明】
1:混練機
2:樹脂組成物投入口
3:スクリュー
4:吐出口
5:冷却ベルト装置
6:切断手段
7:造粒装置
8:底面部回転羽根
9:側面部回転羽根
10:冷却ジャケット
11:樹脂粒状体取り出し口
Claims (3)
- 溶融樹脂組成物の流動性を維持した状態から造粒しつつ、冷却固化する成形用熱硬化性樹脂粒状体の製造方法であって、底面部回転羽根と側面部回転羽根を配備した造粒装置を用いて溶融樹脂組成物を造粒しつつ、冷却固化する工程を有し、作製した成形用熱硬化性樹脂粒状体が、半導体用エポキシ樹脂粒状体でかつ嵩密度のバラツキの範囲が±10%以内であることを特徴とする成形用熱硬化性樹脂粒状体の製造方法。
- 前記底面部回転羽根と側面部回転羽根を配備した造粒装置を用いて溶融樹脂組成物を造粒しつつ、冷却固化する工程の前に、冷却ベルト装置にて冷却する工程を有することを特徴とする請求項1記載の成形用熱硬化性樹脂粒状体の製造方法。
- 前記底面部回転羽根と側面部回転羽根を配備した造粒装置を用いて溶融樹脂組成物を造粒しつつ、冷却固化する工程において、底面部回転羽根の回転数が200〜500rpm、側面部回転羽根の回転数が500〜4000rpmであることを特徴とする請求項1または2に記載の成形用熱硬化性樹脂粒状体の製造方法。
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