JP3888767B2 - 顆粒状半導体封止用エポキシ樹脂組成物の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、顆粒状半導体封止用エポキシ樹脂組成物の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、半導体封止用エポキシ樹脂組成物(以下樹脂組成物という)は、電気特性、耐熱性等に優れるエポキシ樹脂とフェノール樹脂硬化剤,硬化促進剤、離型剤、難燃剤、着色剤等の添加剤及び無機充填材を50〜90重量%含む構成からなっている。
樹脂組成物の製造方法としては、樹脂組成物を構成する各成分を混練機で予備混合後、ロール、単軸押出機とロールの組合せ、又は2軸押出機により混練を行い、混練物をシート状に圧延、冷却後に溶融粉砕機、パルベライザー、ナイフミル、ハンマーミル等の粉砕機を用いて粉砕した後、タブレットに成形する工程が一般的である。このような工程では容易に樹脂組成物が吸湿し成形品に空隙が発生し易くなり製品の信頼性を損なうことになる。また、タブレットの変形や粉塵による設備トラブル、作業環境の悪化を招いている。
また作業性等を悪化させる微粉を篩分工程を通過させることにより除去することが行われているが篩分顆粒品の外観は角があり、表面は充填材がむき出しの状態であるため顆粒間の摩擦、顆粒と設備との摩擦で容易に粉落ち現象を生じて微粉が発生するという問題があった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、タブレットや粉砕顆粒状物を篩分した顆粒に代わる顆粒状半導体封止用エポキシ樹脂組成物の製造方法に関するものであり、タブレット化する前の粉砕顆粒の表面を二次加工(以下、表面改質という)することによって外観が平滑で顆粒間の擦れ等による微粉の発生が少ない顆粒状半導体封止用エポキシ樹脂組成物を提供するものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は、エポキシ樹脂組成物を溶融混練後粉砕して得られる顆粒状樹脂組成物の顆粒の角取りや顆粒破断面からの微粉落下を防止したり、あるいは粉砕の際付着する微粉を除去するものである。
即ち本発明は、エポキシ樹脂、フェノール樹脂硬化剤、無機充填材及び硬化促進剤を必須成分とし、無機充填材を全樹脂組成物中に70〜93重量%含有する半導体封止用エポキシ樹脂組成物を、溶融混練後粉砕し粉砕顆粒状物にした後、遠心回転装置に投入し、該遠心回転装置の槽内の温度が、70℃以下になるように槽内に冷風投入口から冷却空気を連続的に導入すると共に、熱風投入口から100〜180℃の熱風を顆粒状物に吹き付け、顆粒状物の表面を溶融し、回転させながら顆粒間の摩擦衝撃で表面を滑らかにした後、顆粒状物を遠心回転装置外に排出し、急冷することを特徴とする顆粒状半導体封止用エポキシ樹脂組成物の製造方法であり、好ましくは熱風投入口の形状が、フィッシュテール形状であり、更に好ましくは、遠心回転装置に投入される粉砕顆粒状物が、32メッシュの篩分機で通過する微粒を除去する工程を有し、該粉砕顆粒状物の150μm以下の微粒の含有量が1重量%のものを使用する上記記載の顆粒状半導体封止用エポキシ樹脂組成物の製造方法である。
【0005】
【発明の実施の形態】
本発明は、エポキシ樹脂、フェノール樹脂硬化剤、無機充填材及び硬化促進剤を必須成分とし、無機充填材を全樹脂組成物中に70〜93重量%含有する半導体封止用エポキシ樹脂組成物を二軸押出機、あるいはロール、バンバリー等の混練機で混合溶融した後、シート状に冷却引き延ばし粉砕機にて所定の粒度以下に粉砕する。この粉砕品あるいは粉砕品を特定の目開きの篩分機で微粉を除去した樹脂組成物を遠心回転装置に投入し回転させながら、顆粒表面に100〜180℃の熱風を吹き付けながら、かつ回転装置内部の雰囲気温度を70℃以下となるよう空気を外部から導入した状態下で縄目状の模様を描きながら回転している顆粒表面を溶融させ、顆粒間の摩擦衝撃で表面を滑らかにした後遠心装置外に排出し急冷することを特徴とする顆粒状樹脂組成物の製造方法である。
【0006】
本発明は、既知の樹脂組成物を混合後二軸押出機等の連続混練機、バンバリー等のバッチ式混練機にて溶融混練した後粉砕し易い板状に冷却引き延ばし、粉砕機により粉砕する工程で得られた粉砕顆粒状物と、この粉砕顆粒状物を遠心回転装置内で顆粒表面を二次加工する工程で構成されるものである。
【0007】
粉砕工程を経た粉砕顆粒状物の破断面は充填材等の添加物が露出し、角が立ち、破断屑も含まれているため粉塵の原因となっている。粉砕された顆粒状物を遠心回転装置の中に投入し遠心力で遠心回転装置のターンテーブル上で運動させ縄目状に回転している顆粒表面に100〜180℃の熱風を吹き付け、顆粒表面を軟化溶融させ顆粒間の摩擦衝撃によって粒の角が取れ、顆粒表面も平滑化する。熱風を回転している槽内全体の顆粒表面に吹き付け加熱すると早期に硬化が進み顆粒樹脂組成物の流動性が阻害されるので好ましくない。このため熱風の吹き付け方としてはフィッシュテール形状を有する熱風投入口にし、顆粒全体に熱風が広がらないようすることが好ましい。槽内温度は70℃以下、望ましくは60℃以下となるように槽内に冷風を導入する方が好ましい。所定の時間熱風を吹き付けて顆粒間の衝突によって顆粒表面が改質されたら槽外に排出し冷却する。
熱風温度が100℃未満だと処理時間が掛かり生産性が悪く、180℃を越えると顆粒表面での硬化が促進し顆粒内外の品質差が生じる不具合があり、製造時の処理時間管理も極めて困難となる。
【0008】
本発明に用いるエポキシ樹脂、フェノール樹脂硬化剤、無機充填材及び硬化促進剤は、通常半導体封止用エポキシ樹脂組成物に用いるものならば、特に限定しない。
エポキシ樹脂としては、例えばクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビフエニル型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン変性フェノール型エポキシ樹脂等が挙げられる。
フェノール樹脂としては、フェノールノボラック樹脂、フェノールアラルキル樹脂、ジシクロペンタジエン変性フェノール樹脂等が挙げられる。
【0009】
本発明に用いる無機充填材としては、シリカ、アルミナ等が挙げられ、全樹脂組成物中の無機充填材の量は、70〜93重量%が好ましい。無機充填材が70重量%未満であると、樹脂組成物の吸水率が高くなり、耐湿信頼性が充分でなく、また、93重量%を越えると流動性が損なわれるため、成形性に不具合を生じ、好ましくない。
硬化促進剤には、イミダゾール、有機リン化合物、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7等が使用できる。これら以外に必要に応じて、シランカップリング剤、三酸化アンチモン等の難燃剤、着色剤、ワツクス等の離型剤、シリコーンオイル、ゴム等の低応力剤を適宜添加してもよい。
【0010】
【実施例】
以下,実施例を用いて本発明を具体的に説明するが、本実施例に限定されるものではない。
下記の配合割合で、各原材料をヘンシェルミキサーで予備混合した後、二軸混練機にて溶融混練し、押出機から排出後直ちにシーティングロールにて2mm以下の肉厚に引き延ばし冷却する。このシートを直径4mmの複数の穴の空いたスクリーンを有する粉砕機で粉砕し、32メッシュの篩分機で通過する微粒を除去し、該粉砕顆粒状物の150μm以下の微粒の含有量が1重量%のものを使用した。
【0011】
《配合処方(重量部)》
・クレゾールノボラック型エポキシ樹脂 89
・フェノールノボラック樹脂 44
・2−メチルイミダゾール 1
・カルナバワックス 2
・カーボンブラック 1
・シランカップリング剤 3
・溶融シリカ粉末 360
【0012】
次に、図1に示すモータ5により150rpmで回転している遠心回転装置のターンテーブル3上に粉砕顆粒状物7を所定量投入する。投入された粉砕顆粒状物7は遠心力で縄目状の模様を呈して槽内を回転する。縄目状を呈して運動している粉砕顆粒状物7面上で120℃となるようフィッシュテール形状の熱風投入口2から熱風を4分間吹き付けた後、表面改質品排出口6から表面改質された表面が平滑で粉落ちのない顆粒状に変化した顆粒品8を得た。ここで、熱風吹き付け時間4分でも槽内温度が70℃以下となるように、槽内に冷風投入口1から20℃の空気を強制的に導入し槽内温度を55℃以下に維持した。粉砕顆粒状物7の回転によって生じる縄目状表面が改質に必要な温度になるまでは粉砕顆粒状物7間の摩擦により微粉が発生しこの微粉は装置内面とターンテーブルとのクリアランスを通り微粉排出口4から排出される。このような工程で得られた表面改質された顆粒(以下、表面改質顆粒)を実施例1、従来からの粉砕顆粒状物をタブレット(以下、粉砕圧縮タブ)にしたもの比較例1、粉砕顆粒状物を32メッシュの篩で篩分し微粉を除去した顆粒(以下、篩分顆粒)を比較例2とした。
【0013】
得られた粉砕圧縮タブ、顆粒品の特性を比較した評価結果を表1に、実施例1において熱風温度を変化した場合の評価結果を表2に示した。明らかに、表面改質することによって粉落ちがなく、嵩密度が向上することにより嵩高さを低くすることができ、粒自体にも丸みができ顆粒自体の流動性が改善されるため安息角が低い方に改善されていることが判明した。
【0014】
ここで粉砕顆粒状物を予め32メッシュの篩で篩分した顆粒を用いることにより表面改質時の歩留まりが向上する。装置内のターンテーブル外径と装置内壁には0.5mm以下の間隙があり回転運動の初期に顆粒中の微細なものがこの間隙から落下してしまい歩留まりの悪化を引き起こすことによる。一方、表面改質された顆粒は表面改質前と粒径を比較すると小径の方に分布が移動しており、0.5mm以下の表面改質された微小顆粒は半導体封止成形の際に静電気による帯電で封止金型内の樹脂投入ポット内への供給、計量等に悪影響を与えることがあるため篩分して微粒分を除去しておくことが望ましい。
【0015】
《評価方法》
・スパイラルフロー
EMMI−I−66に準じた金型を用い、前記樹脂組成物を低圧トランスファー成形機にて175℃、射出圧70kgf/cm2、保圧時間120秒の条件で成形
し、スパイラルフローを測定。
・アセトン不溶分
前記樹脂組成物100gとアセトン500mlを容器に入れ20分間浸漬し、
液を100メッシュの篩に通し、篩上に残った重量を%で表示。
・その他の評価
評価値: × 劣る、 ○ 優れる、 △ 良
【0016】
尚、嵩高さ(φ18x13g)とは、径が18mmの容器に13g入れた時の高さを表している。
【0017】
【0018】
【発明の効果】
本発明によると粉砕顆粒状物を表面改質することによって粉落ちがなく、嵩密度が高くなることにより嵩高さを低くすることができ、顆粒自体にも丸みができ流動性が改善されため安息角が低い方に改善された優れた顆粒品を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明で使用する遠心回転装置の概略図
【符号の説明】
1 冷風投入口
2 熱風投入口
3 ターンテーブル
4 微粉排出口
5 モータ
6 表面改質品排出口
7 粉砕顆粒状物
8 顆粒品
Claims (3)
- エポキシ樹脂、フェノール樹脂硬化剤、無機充填材及び硬化促進剤を必須成分とし、無機充填材を全樹脂組成物中に70〜93重量%含有する半導体封止用エポキシ樹脂組成物を、溶融混練後粉砕し粉砕顆粒状物にした後、遠心回転装置に投入し、該遠心回転装置の槽内の温度が、70℃以下になるように槽内に冷風投入口から冷却空気を連続的に導入すると共に、熱風投入口から100〜180℃の熱風を顆粒状物に吹き付け、顆粒状物の表面を溶融し、回転させながら顆粒間の摩擦衝撃で表面を滑らかにした後、顆粒状物を遠心回転装置外に排出し、急冷することを特徴とする顆粒状半導体封止用エポキシ樹脂組成物の製造方法。
- 熱風投入口の形状が、フィッシュテール形状である請求項1記載の顆粒状半導体封止用エポキシ樹脂組成物の製造方法。
- 粉砕顆粒状物の粒径150μm以下の微粒の含有量が1重量%以下である請求項1又は2記載の顆粒状半導体封止用エポキシ樹脂組成物の製造方法。
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