JP4299878B1 - 化粧料 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】溶解安定化剤として、ヒドロキシステアリン酸オクチル2量体〜7量体を使用することによって、長期にわたって紫外線吸収剤などの難溶性成分の析出を防止することができる。
【選択図】なし
Description
また、本発明は、ヒドロキシステアリン酸オクチルの2〜7量体から選ばれるヒドロキシステアリン酸オクチルオリゴマー(以下、単に「ヒドロキシステアリン酸オクチルオリゴマー」という)を溶解安定化剤として配合した化粧料に関する。
さらに詳しくは、本発明は、化粧料に使用する難溶性成分であって、結晶性の長波長紫外線吸収剤として知られる、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシルや4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン等の保存中に結晶析出しやすい成分を配合するときに、当該成分の経時的な分離析出がなく、紫外線防御効果、官能特性に優れ、かつ、顔料、色素の分散安定性、発色性に優れた化粧料に関する。
上記ヒドロキシステアリン酸オクチルの源化合物であるヒドロキシステアリン酸自体は、植物から得られるヒマシ油が起源の化合物で、近年の天然植物由来成分の利用ブームの影響もあり、注目されている化粧品原料の1つである。
その利用例としては、ヒドロキシステアリン酸又はそのオリゴマーの誘導体について、特許文献7に12−ヒドロキシステアリン酸亜鉛が、特許文献8にジペンタエリトリット12−ヒドロキシステアリン酸エステル、ヒドロキシステアリン酸フィトステリル、ヘキサ(ヒドロキシステアリン酸・ステアリン酸・ロジン酸)ジペンタエリスリチルが、特許文献9に12−ヒドロキシステアリン酸アミドが、特許文献10にヒドロキシステアリン酸の自己縮合物のポリグリセリンエステル、ヒドロキシステアリン酸の自己縮合物のポリエチレングリコールエステルが、特許文献11に12−ヒドロキシステアリン酸コレステリルが化粧料成分として報告されており、各種の検討が行われている。
上述するように、ヒドロキシステアリン酸及びそのオリゴマー、さらにはその誘導体、例えばヒドロキシステアリン酸オクチルは、化粧料用途に使用されることは知られるが、ヒドロキシステアリン酸オクチルのオリゴマーを化粧料用途に用いた例は見られない。
例えば、特許文献12の化粧料では紫外線吸収剤No.37(0085段落)、特許文献13の紫外線防御組成物の0037段落に示されている。特許文献14では、このジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシルを微粒子パウダー化して化粧料に配合すること、特許文献15にはこれを2,4,6−トリアニリノ−P−(カルボ−2’−エチルヘキシル−1’−オキシ)−1,3,5−トリアジンと混合したパウダーを微粉末状態で化粧料に配合することが示されている。
ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシルは、各種の油剤、溶媒に対する溶解性が悪く、一定の溶解度を有する溶媒としてパラメトキシケイ皮酸オクチル(パラメトキシケイ皮酸2−エチルヘキシルと同一化合物)を用いることが知られている。
例えば、非特許文献1には、溶剤としてのパラメトキシケイ皮酸2−エチルヘキシルに対してジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシルが42%溶解することが示されているが、現実に得られた溶解液は、秋から冬の季節になり、温度が低くなるとジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシルが結晶となって析出する問題がある。
また、非特許文献1には、さらに、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシルが揮発性シリコーンの1種であるシクロメチコンには0.4%しか溶解しないことが示されている。
このようにジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシルはシリコーン系の化粧料との相性が悪く、このジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシルの溶解性の改善は、化粧料分野では大きな問題とされていた。
上述するように、長波長紫外線吸収機能を有するジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシルは、その難溶性のために特許文献14、15のように粉末の分散体として配合されている例が多いが、その易溶化のための手段は開示されていない。
一般に、粉末の形態で配合した場合では、溶解して配合した場合と比べて紫外線防御効果は弱くなる。これは、粉末として配合されている場合、粉末と粉末の間の隙間が存在し、そこから紫外線が肌に向かってすり抜けるため、その部分の紫外線防御効果が低下するためであり、同じ紫外線吸収剤の配合量であれば、溶液状態で配合した方がより強い紫外線防御効果が得られるメリットがあり、紫外線吸収剤の化粧品への使用に際しては、溶液による使用の必要性が高い。
例えば、4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタンの溶解性と安定性を改善するために、特許文献19では、ベンジリデンショウノウ官能基を有するシラン又はオルガノシロキサン化合物の有効量をジベンゾイルメタン誘導体と組合せて、これを化粧品的に許容可能な支持体に含有せしめて組成物とすることによって、ジベンゾイルメタン誘導体の光安定性及び溶解性を改善することが、特許文献20では、ジベンゾイルメタンUV−A遮蔽剤及びp−メトキシシンナマートUV−B遮蔽剤を含有し、該遮蔽剤の一方が、ポリマーマトリックス中に取り込まれた光安定性の化粧料用又は医薬用光遮蔽性組成物が示されている。
しかしながら、現在市販されている化粧品における4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタンの配合量はわずかであり、未だ工業化に足る安定的な配合に難があることに起因する。
中波長紫外線に対する液状の有機系紫外線吸収剤は多く存在し、析出、結晶化を生じるなど配合上大きな問題を持つものは少なく、大きな問題にならなかったが、近年長波長紫外線の害が論じられるようになり、長波長紫外線吸収剤が注目されてきた。しかしながら、長波長紫外線吸収剤には公知成分の数が少なく、かつ難溶性かつ結晶性である成分が多いことから、上述するように、長波長紫外線吸収剤として知られるジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル又は4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタンなど結晶性を有する成分の化粧料への配合に際して、安定に溶解して用いるのに適した溶解安定化剤の検討が緊急の課題となっている。
しかしながら、ヒドロキシステアリン酸オクチルの1量体は、難溶性の物質を溶解し、長期にわたって安定な溶液状態を持続する、いわゆる溶解安定化剤としての機能は充分でなかった。
例えば、ヒドロキシステアリン酸オクチルの1量体は、化粧品における溶解後の安定化が難しい成分の代表的成分である、上述のジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシルや4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン等の結晶性のある長波長紫外線吸収剤を安定的には溶解できず、すなわち、一次的に溶解はできても経時的に結晶成分が析出してくるので、これでは難溶性成分の溶解安定化剤とはなり得なかった。
ヒドロキシステアリン酸オクチルの1量体に限らず、同系化合物のヒドロキシステアリン酸自体のオリゴマーやヒドロキシステアリン酸を用いても同様に溶解安定化剤としての機能は有していなかった。
そこで、本発明では、化粧料に使用する難溶性成分であって、結晶性の長波長紫外線吸収剤として知られる、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシルや4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン等を長期間にわたって安定的に溶解し、当該成分の経時的な分離析出がなく、紫外線防御効果、官能特性に優れ、かつ、顔料、色素の分散安定性、発色性に優れた化粧料を提供することを課題とする。
そして、本発明では、ヒドロキシステアリン酸オクチルオリゴマーを用いることによって、溶解安定化が難しいとされてきた、長波長紫外線吸収剤として知られる、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシルや4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタンの安定な配合について検討を行ったところ、大変優れた結果を得た。
以下の実施例・比較例に示すように、ヒドロキシステアリン酸オクチルオリゴマーは、従来公知の油剤に比較してジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシルや4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタンの際立った溶解安定化性能を有しており、しかも化粧料に配合したときの実用性をも充分に満たすことが確認できた。
そして、ヒドロキシステアリン酸オクチルオリゴマーを配合した製剤は、色、におい等の外観、皮膚刺激等の安全性、加熱時等の温度安定性、感触特性、シリコーン油等各種油剤との相溶性等、化粧品に必要とされる基本特性を高い次元で満たしていることもわかった。
第2の本発明は、結晶析出しやすい成分と、ヒドロキシステアリン酸オクチルの2〜7量体から選ばれるドロキシステアリン酸オクチルオリゴマーの一種以上を配合することを特徴とする化粧料にある。
第3の本発明は、ヒドロキシステアリン酸オクチルオリゴマーが2量体及び/又は5量体から選ばれることを特徴とする上記の化粧料にある。
すなわち、ヒドロキシステアリン酸オクチルオリゴマーの一種以上を溶解安定化剤として用いることで、上記紫外線吸収剤の製剤中での安定性、溶解安定性、シリコーン油との相溶性を向上させ、かつ得られた化粧料は、安全性、品質安定性、官能特性にも優れている。
従来、ヒドロキシステアリン酸オクチル(正確には「ヒドロキシステアリン酸オクチル1量体」)は、nが1の構造を有し、本発明のヒドロキシステアリン酸オクチルオリゴマーは2量体〜7量体であり、分子の構成単位が異なる。
本発明のヒドロキシステアリン酸オクチルオリゴマーは、ヒマシ油を水素添加して12−ヒドロキシステアリン酸を得た後、12−ヒドロキシステアリン酸を自己縮合させてヒドロキシステアリン酸のオリゴマーとし、これをオクチル化して得られるが、ヒドロキシステアリン酸オクチルオリゴマー自体合成されることがなく、本発明者らは初めてこれらオリゴマーの有用性を見出したのである。
本発明のヒドロキシステアリン酸オクチルオリゴマー(2量体〜7量体)を、本発明の範囲外成分であるヒドロキシステアリン酸オクチル(1量体)及びヒドロキシステアリン酸オクチルオリゴマー(8量体)との特性値を対比したものを表1に示す。
図1にヒドロキシステアリン酸オクチルオリゴマーの構造式を示す。
また、図2にヒドロキシステアリン酸オクチルオリゴマーとして2量体の赤外吸収スペクトルを示す。
ヒドロキシステアリン酸オクチル1量体は、難溶性の物質の溶解安定化が難しい問題があり、8量体を越えると、12−ヒドロキシステアリン酸が自己縮合し難くなって、分子量分布がブロードになり、品質が不安定になり、氷点下以下では固化する問題があり、また感触が優れない問題がある。
また、ヒドロキシステアリン酸オクチル1量体と、ヒドロキシステアリン酸オクチルオリゴマー(2〜7量体)の利用面での差は、上述した結晶析出しやすいジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシルや4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン等の成分の溶解安定化の作用以外にも存在する。
化粧品においては、これらの問題は消費者からのクレームにつながるため、品質上極めて重要な問題であり、そのため1量体は古くから使われているにも関わらず、多用されない原因となっていた。
この顔料等の色材の分散性に優れる効果は化粧料の品質に高影響を与える。例えば、口紅の発色が良くなったり、リクイドファンデーションの透明感が上がったりする効果があり、化粧料の品質向上に大きく寄与する。
本発明では、化粧料用の結晶析出しやすい、いわゆる難溶性成分を使用するときの溶解安定化剤としてヒドロキシステアリン酸オクチルの2量体〜7量体を使用するものであるが、得られた化粧料の官能特性、製剤の安定性を考慮した場合、とりわけ2量体及び/又は5量体を配合することが好ましい。
上記ヒドロキシステアリン酸オクチルオリゴマーを化粧料に使用する場合は、精製して特定の当該オリゴマーの分子量分布を狭くしたものを用いても、ある程度分布を持つものを用いても構わない。
また、本発明のヒドロキシステアリン酸オクチルオリゴマー(2量体〜7量体)は、化粧料中に化粧料の質量に対して0.1〜99質量%、さらに好ましくは10〜80質量%の範囲で配合することができる。
ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシルは、長波長紫外線(320〜400nm)に対応した有機系紫外線吸収剤であり、BASF社からユビナールA plusの名称で発売されており、常温常圧下では融点が50〜60℃の固体であって、パラメトキシケイ皮酸オクチルには42質量%まで溶解するが、5℃付近の低温領域で結晶が発生し、シクロメチコンやシクロペンタシロキサン等の揮発性シリコーン油が共存すると、さらに結晶が発生しやすくなる特性を持つ。
また、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシルは、溶剤に用いたパラメトキシケイ皮酸オクチルと同様に、加熱により炭化水素油やエステル油に一時的に溶解したように見えるが、経時的に結晶化する問題があった。
本発明では、この難溶性で、結晶析出のあるジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシルに対して、ヒドロキシステアリン酸オクチルオリゴマーを溶解安定化剤として用いることによって、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシルを安定的に化粧料に配合することが可能となった。
すなわち、本発明者らは、このヒドロキシステアリン酸オクチルオリゴマーを用いることによって、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシルの組み合わせで化粧料に配合すると、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシルは、結晶化することなく安定で、他の汎用油脂類や揮発性シリコーン油が同時に存在した場合でも、安定に溶解し、その状態が長期間継続すること、そしてこの溶解液を配合した化粧料中でもジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシルの結晶化は認められず安定に存在することを見出した。
すなわち、この4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタンは、長波長紫外線(320〜400nm)に対応した有機系紫外線吸収剤であり、DSM社からパルソール1789の名称で発売されており、常温常圧下では固体であり、結晶析出しやすく、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシルに似た製剤上の問題点を持つ。
この4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタンの使用に当たっても、上述するようにヒドロキシステアリン酸オクチルオリゴマーの一種以上を使用することによって同様に難溶性及び結晶析出性の問題を解決した。
すなわち、この組み合わせで化粧料に配合すると、4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタンは、結晶化することなく安定で、他の汎用油脂類や揮発性シリコーン油が同時に存在した場合でも、安定に溶解し、その状態が長期間継続すること、そしてこの溶解液を配合した化粧料中でも4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタンの結晶化は認められず、安定に存在することを確認している。
この処方では、難溶性及び結晶析出性の成分の安定性が目視で確認できるメリットがあり、また、化粧料の構成原料の投入の順番による析出等のトラブルを避けることができるメリットもある。
なお、紫外線吸収剤を含む混合溶解液を作成した場合では、その安定性の評価方法として、容器に充填した混合溶解液を室温、5℃、40℃、-15℃等の恒温槽に保管し、保管した溶液に結晶が析出していないかを確認し、またSPFアナライザー(登録商標)等の分光機器を用いて290〜400nmの範囲の紫外線領域の分光分布を測定することが好ましい。
油剤の例としては、例えばアボガド油、アマニ油、アーモンド油、オリーブ油、シア脂、カカオ脂、カルナウバロウ、キャンデリラロウ、キョウニン油、硬化油、小麦胚芽油、ゴマ油、コメ胚芽油、コメヌカ油、サフラワー油、ジョジョバロウ、セラックロウ、ツバキ油、月見草油、馬脂、ヒマシ油、硬化ヒマシ油、ヒマワリ油、ブドウ油、ホホバ油、マカデミアナッツ油、ミツロウ、ミンク油等;炭化水素油として、オゾケライト、スクワラン、セレシン、パラフィン、合成炭化水素ワックス、パラフィンワックス、流動パラフィン、ポリイソブチレン、マイクロクリスタリンワックス、ワセリン等;高級脂肪酸としては、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、ウンデシレン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸、エイコサペンタエン酸(EPA)、ドコサヘキサエン酸(DHA)、イソステアリン酸、12−ヒドロキシステアリン酸等;高級アルコールとしては、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、パルミチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、ヘキサデシルアルコール、オレイルアルコール、イソステアリルアルコール、ヘキシルドデカノール、オクチルドデカノール、セトステアリルアルコール、コレステロール、フィトステロール、モノステアリルグリセリンエーテル(バチルアルコール)、モノオレイルグリセリルエーテル(セラキルアルコール)等;エステル油としては、アジピン酸ジイソブチル、アジピン酸2−ヘキシルデシル、アジピン酸ジ−2−ヘプチルウンデシル、モノイソステアリン酸N−アルキルグリコール、イソステアリン酸イソセチル、イソノナン酸イソノニル、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、ジ−2−エチルヘキサン酸エチレングリコール、2−エチルヘキサン酸セチル、トリ−2−エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、テトラ−2−エチルヘキサン酸ペンタエリスリトール、オクタン酸セチル、オクチルドデシルガムエステル、オレイン酸オレイル、オレイン酸オクチルドデシル、オレイン酸デシル、イソノナン酸イソノニル、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、クエン酸トリエチル、コハク酸2−エチルヘキシル、酢酸アミル、酢酸エチル、酢酸ブチル、ステアリン酸イソセチル、ステアリン酸ブチル、セバシン酸ジイソプロピル、セバシン酸ジ−2−エチルヘキシル、乳酸セチル、乳酸ミリスチル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸2−エチルヘキシル、パルミチン酸2−ヘキシルデシル、パルミチン酸2−ヘプチルウンデシル、ジペンタエリスリトール脂肪酸エステル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、ミリスチン酸2−ヘキシルデシル、ミリスチン酸ミリスチル、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、ラウリン酸エチル、ラウリン酸ヘキシル、N−ラウロイル−L−グルタミン酸−2−オクチルドデシルエステル、リンゴ酸ジイソステアリル等;グリセライド油としては、アセトグリセリル、トリイソオクタン酸グリセリル、トリイソステアリン酸グリセリル、トリ(カプリル・カプリン酸)グリセリン、トリイソパルミチン酸グリセリル、モノステアリン酸グリセリル、ジ−2−ヘプチルウンデカン酸グリセリル、トリミリスチン酸グリセリル、ミリスチン酸イソステアリン酸ジグリセリル、エチレン・α−オレフィン・コオリゴマー、パーフルオロポリエーテル、フルオロカーボン、フルオロアルコール等のフッ素化合物等が挙げられる。
粉体表面処理の例としては、シリカ処理、アルミナ処理、珪酸亜鉛処理、シリコーン処理、フッ素化合物処理、アクリルシリコーン処理、アシル化アミノ酸処理、寒天処理、アルギン酸処理、アクリル酸処理、金属石鹸処理、油剤処理、ワックス処理、シラン処理、アルキルシラン処理、有機チタネート処理、有機アルミネート処理、シリコーン樹脂処理、シリコーンエラストマー処理、ホスホリルコリン誘導体処理等従来知られている表面処理の1種又は2種以上を用いることができる。特に微粒子酸化チタン、微粒子酸化亜鉛、微粒子酸化セリウム及びその撥水化処理粉体は、本発明の紫外線吸収剤溶解液と併用するとより高い紫外線防御効果が得られるメリットがある。
その結果を表2に示す。
なお、表2において評価に×がついているものは、その段階で結晶が析出したことを示す。
しかしながら、ヒドロキシステアリン酸オクチルオリゴマー(2量体〜7量体)を用いた場合は1量体と混合した場合であってさえも、長期間安定性が保たれている。
また、従来、化粧品で使用されている各種の油剤はいずれも結晶析出が発生し、溶解安定性に問題がある。
以上、本発明のヒドロキシステアリン酸オクチルオリゴマー(2量体〜7量体)は、従来化粧品に使用されている各種の油剤、さらにはヒドロキシステアリン酸オクチルの1量体との併用に較べて難溶性成分及び結晶析出性成分の溶解性に優れていることが確認できる。
表3の処方と製造方法により、サンスクリーン剤を作製した。
本実施例は、ヒドロキシステアリン酸オクチルオリゴマー(3量体〜7量体)と、難溶性かつ結晶析出性成分であるジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシルを併用した場合について試験した。
また、5℃及び室温での6ケ月間の経日観察の結果を下欄に示した。
なお、配合量の単位は質量%である(以下同様とする)。
(1)成分1〜11を80℃にて乳化する。
(2)成分15を80℃で成分16〜21に透明に溶解させた後、常温まで冷却する。
(3)(2)に成分12、13を常温で添加し、よく混合する。
(4)(1)に(3)及び成分14を加えてよく混合し、容器に充填して製品を得た。
<評価結果>
ヒドロキシステアリン酸オクチルオリゴマーとして2量体〜7量体の混合物を用いた実施例1〜7では、いずれも5℃環境及び室温での6ヶ月の保存後も沈殿物の分離はなく、使用感も問題なかった。
表4の処方により、サンスクリーン剤を作製した。
本実施例は、難溶性で、結晶析出性成分のジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル、4-tert−ブチル−4’−メトキシベンゾイルメタン又はそれ以外の紫外線防止剤に対して、ヒドロキシステアリン酸オクチルオリゴマー(2量体〜7量体)を溶解安定化剤として使用したときについて試験した。
なお、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル及び4-tert−ブチル−4’−メトキシベンゾイルメタン以外の紫外線吸収剤として表4のNo.17〜20を使用した。
5℃及び室温での6ケ月間の経日観察の結果は以下のとおりである。
(1)成分1〜11を80℃にて乳化する。
(2)成分15を80℃で成分16〜26に透明に溶解させた後、常温まで冷却する。
(3)(2)に成分12、13を常温で添加し、よく混合する。
(4)(1)に(3)及び成分14を加えてよく混合し、容器に充填して製品を得た。
<評価結果>
ヒドロキシステアリン酸オクチルオリゴマーとして2量体〜7量体を用いた実施例8〜13では、いずれも5℃環境及び室温での6ヶ月の保存後も沈殿物の分離はなく、使用感も問題なかった。
表5の処方を用いてサンスクリーン剤を作製した。
難溶性かつ結晶析出性成分であるジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル及び4-tert−ブチル−4’−メトキシベンゾイルメタンに対して、比較例として、溶解安定化剤としてヒドロキシステアリン酸オクチル1量体又は8量体を使用したときについて試験した。
なお、他の紫外線吸収剤として表4のNo.17〜20を使用した。
また、5℃及び室温での6ケ月間の経日観察の結果を下欄に示した。
(1)成分1〜11を80℃にて乳化する。
(2)成分15を80℃で成分16〜22に透明に溶解させた後、常温まで冷却する。
(3)(2)に成分12、13を常温で添加し、よく混合する。
(4)(1)に(3)及び成分14を加えてよく混合し、容器に充填して製品を得た。
<評価結果>
ヒドロキシステアリン酸オクチルオリゴマー1量体を用いた場合では、5℃環境及び室温での6ヶ月の保存後に結晶が分離析出し、化粧品としての品質を満たさなかった。
一方、8量体は、5℃環境、室温での6ヶ月の保存のいずれの条件においても結晶の析出が観察され、官能特性にも問題があった。このことから、8量体は溶解安定化剤としての機能に問題があることがわかる。
評価は、各パネラー単位で、評価が悪い場合を0点、優れている場合を5点として評価してもらい、その平均点数の小数点2桁以下を四捨五入した値を以って評価結果とした。
その結果を表6に示す。
表6の結果から、溶解安定化剤として本発明のヒドロキシステアリン酸オクチルオリゴマー2量体〜7量体を配合した実施例1〜13は、紫外線防御効果に優れ、塗布感に優れること、安全性にも問題がないことがわかった。
これに対して比較例1、3はヒドロキシステアリン酸オクチル(1量体)を用いた場合の例であるが、いずれも評価が低かった。また、比較例2、4はヒドロキシステアリン酸オクチル(8量体)を用いた場合の例であるが、いずれも評価が低かった。
これは、難溶性かつ結晶析出性成分であるジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシルが安定的に配合できなかったためと考えられる。
本比較例は、製剤中で難溶性かつ結晶析出性成分であるジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシルを用い、通常化粧料において汎用される油剤と組み合わせ化粧料とした場合に、各油剤に影響を受けることなく、安定的に化粧料に配合できるか否かを確認した。
実施例1で溶解安定化剤として用いたヒドロキシステアリン酸オクチルオリゴマー(2量体及び3量体)の代わりに、表2の成分番号16〜66の各油剤をそれぞれ20.00質量%配合した以外は全て実施例1と同様にして製品を製造した。
結果を下記表7に示す(なお、比較例の番号はそれぞれ表2の成分番号の順番に対応している)。
下記表7に示すように、比較例5〜55では、5℃及び室温での6ケ月間の経日観察を実施した結果、全ての試料について安定性に問題があった。このことから、他の一般的な油剤では溶解安定化に問題があることがわかった。
これに対して実施例1は安定に配合が可能であったことから、ヒドロキシステアリン酸オリゴマーは製剤の配合安定性を格段に向上させていることがわかった。
本比較例は、製剤中で難溶性かつ結晶析出性成分である4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタンが安定的に配合できるかことを確認した。
すなわち、実施例7で溶解安定化剤として使用したヒドロキシステアリン酸オクチルオリゴマー(2量体)の代わりに、表2の成分番号16〜66の各油剤をそれぞれ16.00質量%配合した以外は全て実施例7と同様にして製品を製造した。
なお、比較例の番号はそれぞれ表2の成分番号の順番に対応している。
試験の結果を下記表7に示す。
表7に示す通り、比較例56〜106について、5℃及び室温での6ケ月間の経日観察を実施した結果、全ての試料について安定性に問題があった。このことから、他の一般的な油剤では溶解安定化に問題があることがわかった。
これに対して実施例1は安定に配合が可能であったことから、ヒドロキシステアリン酸オリゴマーは製剤の配合安定性を格段に向上させていることがわかった。
表8の処方と製造方法により、口紅を作製した。
本実施例は、溶解安定化剤としてヒドロキシステアリン酸オクチルオリゴマー(2量体〜7量体)を配合した場合の口紅の発色性について試験した。
また、比較例としてヒドロキシステアリン酸オクチルの1量体を配合した場合を試験した。
また、5℃及び室温での6ケ月間の経日観察の結果を下欄に示した。
(1) 成分1〜16を90℃で均一に溶解して成分17〜22を加えローラーにかけた。
(2)(1)を再溶解して90℃以上に達したら成分23を加えてよく混合し、脱泡した。
(3)(2)を金型に流し込み冷却して型から取り出し、容器に挿入して試作品を得た。
<評価結果>
ヒドロキシステアリン酸オクチル2量体〜7量体を油剤として用いた実施例14〜19は、5℃環境で特に問題なく使用できたが、ヒドロキシステアリン酸オクチル1量体を用いた比較例107は固い感触でのびも悪く問題のある品質であった。
このことから、口紅等の化粧料で使用される各種難溶性成分に対する溶解安定性は、ヒドロキシステアリン酸オクチルオリゴマーがヒドロキシステアリン酸オクチル1量体に比して格段と優れていることが確認できた。
表9の処方と製造方法により、口紅を作製した。
本実施例は、ヒドロキシステアリン酸オクチルオリゴマー(2量体〜7量体)を複数組み合わせて配合した場合の口紅の発色性について試験した。
(1)成分1〜15を90℃で均一に溶解して成分16〜21を加えローラーにかけた。
(2)(1)を再溶解して90℃以上に達したら成分22を加えてよく混合し、脱泡した。
(3)(2)を金型に流し込み冷却して型から取り出し、容器に挿入して試作品を得た。
<評価結果>
実施例20〜27は、5℃環境で特に問題なく使用できた。
各評価項目について各パネラー10名が各自採点する。
評価基準は、評価が悪い場合を0点、優れている場合を5点として評価した(ただし、その平均点数の小数点以下2桁目を四捨五入した値とする)を以って評価結果とした。
その結果を表10に示す。
表10の結果から、本発明の実施例14〜27(ヒドロキシステアリン酸オクチル2量体〜7量体配合)の口紅は、いずれも発色と塗布感に優れ、安全性にも優れていることがわかった。
これに対して比較例107(ブランク)の口紅は、発色に関しては、いずれの実施例にも及ばなかった。
表11の処方と製造方法により、リップグロスを作製した。
本実施例は、溶解安定化剤としてヒドロキシステアリン酸オクチルオリゴマー(2量体〜6量体)を使用し、の配合量と発色性との関係において、比較例のヒドロキシステアリン酸オクチル1量体と発色性、使用感を対比した。
(1) 成分1〜12を110℃で均一に溶解して成分13〜14を加え均一に分散した。
(2)(1)を脱泡して容器に充填し、製品を得た。
<評価結果>
実施例28〜30(ヒドロキシステアリン酸オクチル2量体〜6量体配合)のリップグロスは5℃環境にて問題なく使用できたが、比較例(ヒドロキシステアリン酸オクチル1量体)は表面状態に斑が生じ、感触も重く、とれも悪かった。
表12の処方と製造方法により、油性ファンデーションを作製した。
本実施例は、無機顔料の量が増える油性ファンデーションにおける発色性を試験した。
(1)成分1〜14を90℃で均一に溶解し、成分15〜19を加えローラーにかけた。
(2)(1)を再溶解し、90℃で脱泡して容器に流し込んで冷却し、製品を得た。
<評価結果>
ヒドロキシステアリン酸オクチルオリゴマー(2量体〜6量体)を配合した実施例31〜36は、5℃環境で特に問題なく使用できたが、比較例(ヒドロキシステアリン酸オクチル1量体)は固い感触でのびも悪く問題のある品質となった。
表13の処方により、O/Wクリームファンデーションを作製した。
本実施例は、水系化粧料であるO/Wクリームファンデーションにおける発色性を試験した。
(1) 成分1に成分2〜6を加えて80℃で均一に溶解した。
(2)成分7〜14を80℃で均一に溶解した。
(3)(1)に(2)を加えて乳化した後、予め混合粉砕した成分15〜18を加えて均一に混合して冷却した後、チューブに充填して製品を得た。
<評価結果>
実施例37(ヒドロキシステアリン酸オクチル3量体と4量体の併用)は何ら問題なく使用できたが、比較例113(ヒドロキシステアリン酸1量体使用)はチューブから出にくく、固い感触でのびも悪く問題のある品質であった。
実施例28〜37及び比較例108〜113について、パネラー10名を用いて顔や口唇に塗布してもらい、官能特性及び発色について試験した(評価基準は上述)。
その結果を表14に示す。
表14の結果から、本発明の実施例(ヒドロキシステアリン酸2量体〜7量体)はいずれも発色と塗布感に優れ、安全性にも優れていることがわかった。
これに対して比較例(ヒドロキシステアリン酸1量体)では塗布感と安全性は比較的良い性能を示したものの、発色に関しては、いずれの実施例にも及ばなかった。
このことから、ヒドロキシステアリン酸オクチルオリゴマーは顔料の分散安定性を向上させ、発色を改善し、化粧料の彩度、明度を向上させていることが判った。また、表9の結果から、顔料は無機顔料、有機顔料のいずれにおいても発色を向上させていることがわかった。
表15の処方と製造方法により、O/Wクリームを作製した。
本実施例は、ヒドロキシステアリン酸オクチルオリゴマーが低温での官能特性に与える影響を試験した。
(1) 成分1に成分2〜4を加えて80℃で均一に透明溶解した。
(2) 成分5〜15を80℃で均一に溶解した。
(3)(1)に(2)を加えて乳化した後、50〜60℃付近で成分16〜17を加え、均一に混合した後常温まで冷却した後、チューブに充填して製品を得た。
実施例38〜42(ヒドロキシステアリン酸2量体〜7量体)及び比較例114〜115(ヒドロキシステアリン酸1量体)について、パネラー10名を用いて顔や手に塗布してもらい、官能特性について試験した。
その結果を表16に示す。
表16の結果から、本発明の実施例は比較例と比べて化粧料の伸び、なじみ、塗布感に大変優れていることがわかった。
Claims (2)
- 結晶析出しやすい成分としてジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル及び/又は4−tert−4’−メトキシジベンゾイルメタンから選ばれた成分を含有し、該成分の溶解安定剤としてヒドロキシステアリン酸オクチルの2〜7量体から選ばれるヒドロキシステアリン酸オクチルオリゴマーの一種以上を配合することを特徴とする化粧料。
- ヒドロキシステアリン酸オクチルオリゴマーが2量体及び/又は5量体であることを特徴とする請求項1に記載の化粧料。
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