JP4299765B2 - 導電性ペースト - Google Patents

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Description

本発明は、積層セラミックコンデンサ(Multi Layer Ceramic Capacitor:MLCC)の内部電極等の形成に好適な導電性ペーストの改良に関するものである。
例えば、図1に断面構造を示すMLCC10を製造するに際しては、その誘電体層12を構成するための未焼成のセラミックグリーンシートの表面に、耐熱性を有する金属を導電性成分として含む導電性ペーストを用いて厚膜スクリーン印刷法等によって導電性ペースト層を形成し、これを多数枚積層して圧着した後、焼成処理を施すことにより、グリーンシートから誘電体層12を生成すると同時に導電性ペースト層から内部電極を構成する導体層14を生成する。なお、図において16はその内部電極(導体層14)に通電するための外部電極である。
上記のセラミックグリーンシートは、一般に、セラミック粉末と、バインダーと、溶剤等とを混合したスラリーからドクターブレード法等によってシート成形される。上記バインダーとしては、例えばブチラール樹脂やアクリル樹脂等の有機化合物が用いられる。また、溶剤としては、例えばトルエン等の有機溶剤が用いられる。
一方、上記の導電性ペーストは、例えば、導体粉末と、バインダーと、溶剤等とから構成され。導体粉末としては、誘電体層12の焼成温度に応じた耐熱性を有する金属材料、例えばPt,Pd,Ag-Pd,Ag,Ni,Cu等が用いられる。また、バインダーとしては、焼成過程で容易に焼失させられ且つ灰分の少ない有機化合物、例えばアルキド樹脂やエチルセルロース等が用いられる。また、溶剤としては、ペーストに適度な粘性を与え且つグリーンシートに塗布した後に乾燥処理によって容易に揮発させられる有機化合物、例えばターピネオール、ブチルカルビトールアセテート、ケロシン等が一般に用いられる。また、これらに代えてジヒドロターピニルアセテートを用いることも提案されている(例えば特許文献1等を参照)。
ところで、従来から導電性ペーストの溶剤として用いられてきたターピネオール等は、セラミックグリーンシートに含まれるブチラール樹脂やアクリル樹脂等の有機バインダーを溶解し、そのグリーンシートの厚さ寸法や密度等を変化させる。この現象はセラミックグリーンシートが比較的薄い場合には、その変化割合が無視できない程度に大きくなるため、誘電体層12を薄くすることの妨げとなっていた。導電性ペーストにはグリーンシートに対する親和性が要求されることから、誘電体層12が比較的厚い従来においては、溶解性を有する溶剤を用いて親和性を確保していたのであるが、誘電体層12が薄くなるとこのような特性が不都合をもたらすのである。これに対して、前記特許文献1に記載されるジヒドロターピニルアセテートはグリーンシートのバインダーを溶解し難いので、比較的薄い例えば3〜5(μm)程度の厚さ寸法の誘電体層12を形成する場合にも上記のような問題が生じ難くなる。
因みに、携帯型電子機器等の小型化や高性能化等のためにMLCCには静電容量を保ちつつ小型化および薄型化することが望まれており、現在は1005と称される外形寸法が1.0×0.5(mm)のものが主流であるが、その厚さ寸法は例えば0.5(mm)程度に過ぎない。また、これよりも外径寸法が大きいものにおいても、その大きさを保ったまま一層の高容量化の要求がある。そのため、何れにしても、誘電体層12の厚さ寸法を可及的に薄くして積層数を増すことが望まれるのである。
特許第2976268号公報
しかしながら、MLCCは更に小型化が進められ、0603と称される外径寸法が0.6×0.3(mm)のものの製造量が増えつつある。上記特許文献1に記載されたジヒドロターピニルアセテートを溶剤とする導電性ペーストを用いても、このような更に小型のMLCCにおいては、高い印刷精度を得ることが困難であると共に、連続して多量に印刷した場合の印刷バラツキが未だ大きく、また、一層の厚さ寸法が3(μm)未満のものではシート溶解性の問題があるため高い製造歩留まりを得ることができなかった。
印刷精度が得られないのは、スクリーンに形成されたパターン寸法に対してグリーンシート上における印刷寸法がペーストのダレや滲み等に起因して大きくなるためと考えられる。また、連続印刷時のバラツキが大きくなるのは、温度上昇に起因して、或いはそれによって促進される溶剤の揮発に起因して、ペースト性状が変化するためと考えられる。ジヒドロターピニルアセテートを用いた場合には、印刷寸法はパターン寸法に対して107(%)程度の大きさであって、ターピネオールが用いられる場合の110(%)程度に比較すればやや小さいが、上記のような極小寸法に対しては不十分であった。このように印刷寸法がパターン寸法に対して大きくなると、その拡大率を考慮して設計する必要が生じるので、電子部品を設計する上で大きな制約となるのである。また、ジヒドロターピニルアセテートを用いた場合の連続印刷時のバラツキは上記印刷寸法を中心にして±4(%)程度であって、このバラツキの大きさも電子部品設計を一層困難にする。
なお、このような問題は、MLCCに限られず薄いセラミックグリーンシート上に導体ペーストを塗布して導体層を形成する積層体であれば同様に生じ、また、グリーンシートが比較的厚い場合やシート形状以外の未焼成セラミックスに導体ペーストを塗布する場合においても、その厚さ寸法精度や導体層の寸法形状精度を要求される場合には同様に生じる。
本発明は、以上の事情を背景として為されたものであって、その目的は、一層高い印刷精度が得られ且つ印刷バラツキが小さく、極めて薄いセラミックグリーンシートの場合にもシート溶解性が低い導電性ペーストを提供することにある。
斯かる目的を達成するため、第1発明の要旨とするところは、導体粉末と、有機バインダーと、有機溶剤とを含む導電性ペーストであって、(a)ジヒドロターピネオールに炭素数が3以上の側鎖が縮合されたジヒドロターピネオール誘導体を前記有機溶剤として含むことにある。
また、第2発明の導電性ペーストの要旨とするところは、導体粉末と、有機バインダーと、ジヒドロターピニルプロピオネートとを含むことにある。
前記第1発明によれば、導電性ペーストは、炭素数が2以上の側鎖が縮合されたジヒドロターピネオール誘導体を溶剤として含むので、ターピネオールに可溶なバインダーが用いられているセラミックグリーンシートに導体ペースト層を設ける場合にも、炭素数が2の側鎖が縮合されたジヒドロターピネオール誘導体であるジヒドロターピニルアセテートを溶剤として含む導電性ペーストに比較して、シート溶解性が一層低くなり、また、パターン寸法(長さ寸法)に対する印刷寸法の大きさが105(%)以下に小さくなると共に、連続印刷時の寸法バラツキも小さくなる。なお、上記「炭素数が3以上の側鎖が縮合された」には、炭素数が3以上の側鎖が一つだけ縮合された場合だけでなく、縮合された複数(例えば2つ)の側鎖の炭素数の合計が3以上の場合も含まれる。なお、ジヒドロターピネオールは、下記の化1または化2に示される構造を備えたものであって、上記誘導体は、その水酸基(-OH)のHに代えて、またはこれに加えてメチル基(-CH3)が一つだけ結合した炭素(すなわち下記化1において化2の水酸基が結合されている位置に対応する位置にある炭素)に結合されたHに代えて、側鎖が結合されたものである。
Figure 0004299765
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また、前記第2発明によれば、導電性ペーストがジヒドロターピニルプロピオネートを溶剤として含むので、ターピネオールに可溶なバインダーが用いられているセラミックグリーンシートに導体ペースト層を設ける場合にも、ジヒドロターピニルアセテートを溶剤として含む導電性ペーストに比較して、パターン寸法に対する印刷寸法の大きさが105(%)以下に小さくなると共に、連続印刷時の寸法バラツキも小さくなる。なお、ジヒドロターピニルプロピオネートは、下記化3または化4に示されるように、ジヒドロターピネオールの水酸基の水素に代えてプロピオニル基(C2H5CO-)が結合された構造を備えている。下記化3の化合物は、例えば、CAS.No.6756-90-7(α,α,4-trimethylcyclohexylmethylpropanoate)として知られている。これらの分子式は何れもC13H24O2である。
Figure 0004299765
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なお、第1発明および第2発明において、上述したような効果が得られる理由は明らかではないが、ジヒドロターピネオールに側鎖が縮合されたものではグリーンシートのバインダーであるアクリル系樹脂やブチラール系樹脂を溶解しないこと、また、そのような特性に併せて、分子量が大きくなるに従ってグリーンシート上でにじみにくくなること、および、側鎖の炭素数を3以上にすることにより著しく揮発し難くなること、等によるものと考えられる。なお、上記第1発明および第2発明における印刷精度は105(%)程度以下であって、前記特許文献1に記載されているジヒドロターピニルアセテートを溶剤として用いた場合に比較すると、少なくとも2(%)程度改善される。この差異は数値としては小さいが、例えば0603等の極小サイズのMLCCを製造する場合などには、その製造歩留まりや特性のバラツキ等に著しく影響するのである。
ここで、好適には、前記ジヒドロターピネオール誘導体に縮合される側鎖は、末端にカルボニル基を有する直鎖型炭化水素である。また、側鎖は長いほど、すなわち炭素数が多いほどよく、分枝を有するものであっても差し支えない。
また、好適には、前記ジヒドロターピネオール誘導体は、下記の化3〜化6に構造式を示されるものである。なお、側鎖が一つだけ縮合された化5,化6においてはn≧2であり、側鎖が2つ縮合された化7,化8においてはm,n≧1である。すなわち、何れにおいても側鎖の炭素数は3以上である。
Figure 0004299765
Figure 0004299765
Figure 0004299765
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また、好適には、前記ジヒドロターピネオール誘導体は、ジヒドロターピネオールに炭素数が3〜5の側鎖が縮合されたものである。このようにすれば、揮発性の十分に高い範囲で炭素数が多くされていることから、導体ペースト層の形成後の乾燥処理に従来に比べて特に長時間を必要とすることなく、印刷精度向上効果およびバラツキ抑制効果を享受できる。したがって、前記化5,化6に示した各構造式において好ましい範囲は2≦n≦4であり、化7,化8に示した各構造式において好ましい範囲は2≦(m+n)≦4、すなわち(m,n)=(1,1)、(1,2)、(1,3)、(2,1)、(3,1)、(2,2)が好ましい組合せである。一層好適には、側鎖の炭素数は、3または4である。
上記のようなジヒドロターピネオール誘導体としては、前述した炭素数が3の側鎖が縮合されたジヒドロターピニルプロピオネートの他、側鎖の炭素数が4のジヒドロターピニルブチラート(すなわち前記化5,化6においてn=3のもの。構造式の一例を化9に示す。分子式はC14H26O2である。)、側鎖の炭素数が5のジヒドロターピニルペンタネート(すなわち前記化5,化6においてn=4のもの。構造式の一例を化10に示す。分子式はC15H28O2である。)、炭素数2の側鎖、例えばアセチル基(CH3CO-)を2つ備えたジヒドロターピニルジアセテート(すなわち前記化7,化8においてm=1,n=1のもの。構造式の一例を化11に示す。分子式はC14H24O3である。)等が挙げられる。なお、プロピオニル基を2つ備えたジヒドロターピニルジプロピオネートも用い得るが、側鎖の炭素数が6になることから、揮発性がやや低下して使い難くなる傾向がある。
Figure 0004299765
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なお、前記ジヒドロターピネオール誘導体またはジヒドロターピニルプロピオネートは、例えば、以下のようにして製造される。すなわち、先ず、ジヒドロターピネオールに、縮合しようとする側鎖に対応する化合物を混合して、適当な温度で加熱することによりこれらを反応させる。次いで、生成物を蒸留して精製すればよい。上記化合物の種類や反応条件は生成しようとする誘導体の構造に応じて適宜定められるが、例えば、プロピオニル基を縮合してジヒドロターピニルプロピオネートを生成する場合には、上記の化合物としては例えばプロピオン酸(C2H5COOH)が用いられ、反応条件は80(℃)で例えば16時間程度である。また、このような合成方法の他に、触媒を用いる合成も可能である。
また、前記導電性ペーストは、上記のようにして合成した溶剤を適当な有機バインダーに加えて加熱溶解し、導体粉末と混合した後、フィルターで濾過することにより製造することができる。上記有機バインダーおよび導体粉末の種類や加熱溶解条件は、調製しようとする導電性ペーストの種類や使用条件等に応じて適宜定められるが、例えば、上記有機バインダーとしては、例えば従来から一般に用いられているエチルセルロース等が好適である。この場合、加熱溶解条件は、例えば、110(℃)で3〜24時間程度が好適である。また、導体粉末としては、例えばPt,Pd,Ag-Pd,Ag,Ni,Cu等が用いられ、混合は例えば三本ロールミル等で行うことができる。
また、本発明の導電性ペーストは、有機溶剤として、前記ジヒドロターピネオール誘導体或いはジヒドロターピニルプロピオネートに加えて、他の有機溶剤を含むものであっても差し支えない。このような他の有機溶剤としては、例えば、ブチルカルビトール、ブチルカルビトールアセテート、高級アルコール、石油系溶剤等が用いられ得る。
また、本発明の導電性ペーストは、導体粉末、有機バインダー、有機溶剤の他に、導電性ペーストを塗布しようとする未焼成セラミックスの構成材料、例えば、グリーンシートを構成するセラミック原料の微粉末や、ガラス粉末等を適量含むことができる。このような添加物は、例えば、導体粉末を有機バインダーや有機溶剤と混合する際に同時に添加すれば良い。
また、導体ペーストの組成は、用途に応じて適宜定められるが、例えば、導体粉末を30〜70(wt%)程度、有機バインダーを1〜5(wt%)程度、残部を溶剤とした組成が好適である。また、これらに加えて、上記のような添加物を含む場合には、例えば、導体粉末を30〜70(wt%)程度、有機バインダーを1〜5(wt%)程度、添加物を5〜15(wt%)程度、残部を溶剤とする割合が好適である。
また、本発明の導電性ペーストは、種々の用途において導体層を形成するために用いることができるが、好適には、セラミック電子部品、特に積層型セラミック電子部品、例えばMLCCの内部導体形成等に用いられる。本発明の導電性ペーストは、誘電体層等のセラミック層が極めて薄く、且つ極めて高いパターン精度が要求される場合に特に好適である。
また、本発明の導電性ペーストは、例えば厚膜スクリーン印刷法に用いた場合に印刷精度が高く且つ印刷寸法バラツキが極めて小さい効果を奏するものであるが、従来に比較して著しくグリーンシートを溶解し難いので、他の種々の塗布方法の場合にも好適に用いられる。
また、本発明の導電性ペーストは、ターピネオールやジヒドロターピニルアセテート等に溶解させられるバインダーが用いられている未焼成セラミックスへの導体ペースト層形成に特に好適であり、例えば、ポリビニルブチラール樹脂やアクリル樹脂等の有機バインダーを結合剤とするグリーンシートに好適に用いられる。
以下、本発明の一実施例を図面を参照して詳細に説明する。
図2は、本発明の導電性ペーストの製造方法の一例を説明するための工程図である。以下、この図2に従って、ジヒドロターピニルプロピオネートを溶剤として含む導電性ペーストの製造方法を説明する。まず、加熱合成工程P1では、例えばジヒドロターピネオールにプロピオン酸を加え、例えば80(℃)程度の温度で16時間程度加熱する。これらの混合割合は、例えば、ジヒドロターピネオールを1(mol)に対してプロピオン酸を1〜3(mol)程度である。これにより、ジヒドロターピネオールがエステル化され、ジヒドロターピニルプロピオネートが生成される。なお、上記合成に用いられるジヒドロターピネオールは、前記化1,化2の何れかの構造のものでも、通常市販されているこれらの混合物でも差し支えない。次いで、蒸留工程P2では、この生成物を蒸留して精製することにより、ジヒドロターピニルプロピオネートが得られる。
次いで、以下の工程においては、上記のように合成されたジヒドロターピニルプロピオネートを用いて導電性ペーストを調製する。すなわち、加熱溶解工程P3では、例えばエチルセルロースに上記の溶剤を加え、加熱溶解してビヒクルを作製する。混合割合は、エチルセルロースが3〜10(wt%)程度で、残る97〜90(wt%)程度が溶剤である。また、加熱温度は例えば110(℃)で、加熱時間は例えば16〜24時間程度である。
次いで、混練工程P4では、例えばNi粉等の導体粉末と、添加剤と、上記のビヒクルとを混合し、例えば三本ロールミルを用いて、導体粉末および添加剤を十分に分散させる。上記の添加剤は、例えば導電性ペーストを塗布しようとするグリーンシートの構成材料すなわちチタン酸バリウムである。また、これらの混合割合は、例えば、導体粉末が40〜60(wt%)程度、添加剤が5〜20(wt%)程度で、残る45〜20(wt%)程度がビヒクルである。このようにして十分に混練した後、濾過工程P5においてフィルターで濾過することにより、本実施例の導電性ペーストが得られる。
前記の図1に示されるMLCC10を製造するに際しては、例えばポリビニルブチラール樹脂等をバインダーとして含む別途作製したグリーンシートに、例えば厚膜スクリーン印刷法を用いて上記の導電性ペーストを所定のパターンで塗布し、複数枚を積層して厚み方向に加圧することにより圧着させ、更に、所定の雰囲気および温度において焼成処理を施す。
このとき、本実施例においては、導電性ペーストをグリーンシートに塗布した際にシート溶解性が殆ど認められず、しかも、例えばスクリーン製版上のパターン寸法に対して105±4(%)程度の大きさの印刷寸法が得られ、印刷精度が比較的高くバラツキも少ない印刷状態が得られた。そのため、特性のバラツキの小さいMLCC10を歩留まり良く製造することが可能である。
すなわち、導電性ペーストは、その溶剤がジヒドロターピニルプロピオネートであることから、ポリビニールブチラール樹脂をバインダーとするグリーンシートに塗布しても、これを殆ど熔解せず、しかも、高い印刷精度が得られると共に連続印刷時に印刷寸法のバラツキが小さく留められるのである。以下、溶剤の評価試験について説明する。
下記の表1は、上述したようにジヒドロターピニルプロピオネートを溶剤として含む導電性ペーストを用いて、セラミックグリーンシートに導体ペースト層を形成して評価した結果を示したものである。表1には、他の溶剤を用いた本発明の他の実施例の導電性ペーストの評価結果、および、従来の溶剤を用いた比較例の導電性ペーストの評価結果を、これらの特性等と併せて示した。
上記評価は、グリーンシート上に1005サイズのMLCCを製造するための0.8×0.4(mm)の矩形パターンで導体層を形成して行った。なお、グリーンシートは、例えば誘電体材料であるチタン酸バリウム粉末にポリビニルブチラール樹脂およびトルエンを添加してドクターブレード法を用いてシート成形したものを用いた。
表1において、「ターピネオール」は従来から一般に用いられている溶剤、「ジヒドロターピネオール」はその改良として特許第3102454号公報等において提案されている溶剤、「ジヒドロターピニルアセテート」は前記特許文献1に記載されている溶剤であり、これらは比較のために示した。このジヒドロターピニルアセテートおよびそれ以下に示される各溶剤は、何れもジヒドロターピネオールに側鎖が縮合されたジヒドロターピネオール誘導体であるが、側鎖の炭素数が相互に異なるものである。表1における「側鎖炭素数」は、各溶剤の側鎖の炭素数を表している(前記化3,化9,化10等を参照)。
また、「沸点」は各溶剤の沸点で、単位は(℃)である。また、「シート溶解性」は、上記の導体印刷におけるシート溶解性の程度を×〜◎の4段階に分類して表示した。「×」はシートの溶解が顕著で、1005サイズでは使用不可能なものである。「△」はシートの溶解が明らかに認められるため、1005サイズでは歩留まりが著しく低いものである。また、「○」は、1005サイズで使用可能であるが、シートの溶解が僅かに認められ、これよりも小さい0603サイズ等への適用は困難なものである。また、「◎」はシートの溶解が殆ど認められず極めて良好な結果が得られたものである。
また、「印刷精度」は、厚膜スクリーン印刷法を用いて30秒間隔で2時間の連続印刷を実施し、形成された導電性ペースト層の印刷寸法(長さ寸法)を測定し、設計寸法すなわちスクリーン製版上のパターン寸法に対する大きさを百分率で表したものである。この欄に示されている誤差は、印刷寸法のバラツキの範囲を表している。なお、ターピネオールを溶剤とする導電性ペーストは、初期的な印刷バラツキのみを評価し、ジヒドロターピネオールを溶剤とする導電性ペーストは、シート溶解性が著しく高いことから実用に供し得ないので、印刷精度の評価を実施していない。
[印刷精度および安定性]
Figure 0004299765
上記の評価結果に示されるように、側鎖炭素数が3以上の溶剤を用いた場合には、シート溶解性の評価において全て良好な結果が得られ、しかも、印刷精度の向上が認められた。すなわち、側鎖炭素数が2のジヒドロターピニルアセテートを溶剤として用いたものではシートの溶解が僅かに認められると共に、印刷寸法が107(%)と未だ大きく、2時間の連続印刷におけるバラツキも±4(%)と比較的大きい結果であった。これに対して、側鎖炭素数が3のジヒドロターピニルプロピオネートを溶剤として用いたものでは、印刷寸法が105(%)まで小さくなり、また、バラツキも3(%)に留まった。また、側鎖炭素数が4のジヒドロターピニルブチラートを溶剤として用いたものでは、印刷寸法が更に104(%)まで小さくなり、側鎖炭素数が5のジヒドロターピニルペンタネートを溶剤として用いたものでは、バラツキが±2(%)まで小さくなった。
なお、印刷精度やバラツキは側鎖炭素数が多くなるほど向上する傾向が認められるが、これは、側鎖炭素数が多くなって分子量が大きくなるほどグリーンシートに塗布した際に滲み難くなり、延いては広がり難くなるためと考えられる。また、沸点も同様な上昇傾向にあるため、上記のような効果が得られたのは、沸点が高いことから揮発し難くなるので、印刷中の精度変動が生じ難いことも関係しているものと考えられる。
また、特にデータは示さないが、上記何れの溶剤を用いた場合にも、導電性ペーストを所望の形状で前記のグリーンシート上に印刷することができ、しかも、ピンホールなども殆ど認められなかった。すなわち、少なくとも前記のような構成のグリーンシートに対して導体ペーストが十分な親和性を有することが確かめられた。
下記の表2は、上記シート溶解性を定量的に確かめるために実施した実験結果を表している。この実験は、上記の評価に用いたグリーンシートに各溶剤を滴下し、12時間の室温放置の後に100(℃)で10分間の乾燥を施し、触針式表面粗さ計で各試験片の表面粗さを測定して行った。上記100(℃)の乾燥処理により、グリーンシート中の溶剤成分および水分は略完全に除去されている。溶剤でグリーンシートが溶解させられるとその表面粗さが変化することから、この評価は、完全乾燥の後に測定した表面粗さを溶剤滴下前の表面粗さと比較することにより、溶解の程度を定量化したものである。なお、表2において、Ra、Rmax、Rzは、それぞれJIS B 0601に定義された算術平均粗さ、最大高さ、十点平均粗さである。
[溶解性]
Figure 0004299765
上記の表2に示されるように、ジヒドロターピニルアセテートを滴下した場合には、各表面粗さ値が何れも明らかに大きくなっていることが認められる。これに対して、側鎖炭素数が3以上の他の溶剤を滴下した場合には、滴下前の表面粗さから殆ど変化が認められない。すなわち、本実施例の導電性ペーストに溶剤として含まれる側鎖炭素数が3以上のジヒドロターピネオール誘導体であるジヒドロターピニルプロピオネート、ジヒドロターピニルブチラート、ジヒドロターピニルペンタネートは、グリーンシートを殆ど溶解しない。そのため、前記表1に示されるようにシートの溶解が生じないのである。
以上、本発明を図面を参照して詳細に説明したが、本発明は更に別の態様でも実施でき、その主旨を逸脱しない範囲で種々変更を加え得るものである。
積層セラミックコンデンサーの構造を説明するための断面構造を模式的に示す図である。 本発明の一実施例の導電性ペーストの製造方法を説明するための工程図である。
符号の説明
10:MLCC、12:誘電体層、14:導体層、16:外部電極

Claims (2)

  1. 導体粉末と、有機バインダーと、有機溶剤とを含む導電性ペーストであって、
    ジヒドロターピネオールに炭素数が3以上の側鎖が縮合されたジヒドロターピネオール誘導体を前記有機溶剤として含むことを特徴とする導電性ペースト。
  2. 導体粉末と、有機バインダーと、ジヒドロターピニルプロピオネートとを含むことを特徴とする導電性ペースト。
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