JP2009037974A - ニッケルペースト - Google Patents

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Abstract

【課題】 シートアタックが生じ難く且つ粘度変化の生じ難いニッケルペーストを提供する。
【解決手段】 硫黄を含まないニッケル粉末が用いられていることから、ペースト中に含まれる硫黄分に起因する粘度変化が好適に抑制される。そのため、溶剤や樹脂結合剤が何ら限定されないので、シートアタックの生じ難い溶剤を用いながら粘度上昇を好適に抑制できる。したがって、シートアタックが生じ難く且つ粘度変化の生じ難いニッケルペーストが得られる。
【選択図】図2

Description

本発明は、積層セラミックコンデンサ(Multi Layer Ceramic Capacitor:MLCC)の内部電極等の形成に好適なニッケルペーストに関する。
例えば、図1に断面構造を模式的に示すMLCC10を製造するに際しては、その誘電体層12を構成するための未焼成のセラミックグリーンシートの表面に、耐熱性を有する金属を導電性成分として含む導電性ペーストを用いて厚膜スクリーン印刷法等によって導電性ペースト層を形成し、これを多数枚積層して圧着した後、焼成処理を施すことにより、グリーンシートから誘電体層12を生成すると同時に導電性ペースト層から内部電極を構成する導体層14を生成する。なお、図において16はその内部電極(導体層14)に通電するための外部電極である。
上記のセラミックグリーンシートは、一般に、セラミック粉末と、バインダーと、溶剤等とを混合したスラリーからドクターブレード法等によってシート成形される。上記バインダーとしては、例えばブチラール樹脂やアクリル樹脂等の有機化合物が用いられる。また、溶剤としては、例えばトルエン等の有機溶剤が用いられる。
一方、上記の導電性ペーストは、例えば、導体粉末と、バインダーと、溶剤等とから構成される。導体粉末としては、誘電体層12の焼成温度に応じた耐熱性を有する金属材料、例えばPt,Pd,Ag-Pd,Ag,Ni,Cu等が用いられている。近年では、電子材料の一層の低価格化の要求に応え、可及的に安価な卑金属材料、特に、ニッケル系への転換が急激に進んでいる。また、バインダーとしては、焼成過程で容易に焼失させられ且つ灰分の少ない有機化合物、例えばアルキド樹脂やエチルセルロース等が用いられる。また、溶剤としては、ペーストに適度な粘性を与え且つグリーンシートに塗布した後に乾燥処理によって容易に揮発させられる有機化合物、例えばターピネオール、ブチルカルビトールアセテート、ケロシン等が一般に用いられる。また、導電性ペーストにはその粘度が経時的に変化しない安定性も求められており、このような観点からジヒドロターピニルアセテートやジヒドロターピネオール等も用いられている。
ところで、携帯型電子機器等の小型化や高性能化等のためにMLCCには静電容量を保ちつつ小型化および薄型化することが望まれている。現在は1005と称される外形寸法が1.0×0.5(mm)のものが主流であるが、その厚さ寸法は例えば0.5(mm)程度に過ぎない。また、これよりも外径寸法が大きいものにおいても、その大きさを保ったまま一層の高容量化の要求がある。そのため、何れにおいても、誘電体層12の厚さ寸法を可及的に薄くして積層数を増すことが望まれる。また、積層数が増加すると導体粉末の必要量が多くなるため、安価なニッケル系導体粉末を用いる必要性が一層高くなる。
しかしながら、従来から導電性ペーストの溶剤として用いられてきたターピネオール等は、セラミックグリーンシートに含まれるブチラール樹脂やアクリル樹脂等の有機バインダーを溶解し、そのグリーンシートの厚さ寸法や密度等を変化させる。この現象はシートアタックと称され、セラミックグリーンシートが比較的薄い場合には、その変化割合が無視できない程度に大きくなるため、誘電体層12を薄くすることの妨げとなっていた。導電性ペーストにはグリーンシートに対する親和性が要求されるので、溶解性を有する溶剤を用いて親和性を確保することが従来から行われている。しかしながら、誘電体層12が薄くなると、このような特性が却って不都合をもたらすのである。
そこで、誘電体層12の厚さ寸法を薄くする場合には、ターピネオールやジヒドロターピネオール等に代えて、溶解性の弱い溶剤が用いられる。例えば、ジヒドロターピネオール誘導体系溶剤や、ジヒドロターピネオールに炭化水素等の石油系溶剤を混合した溶剤等が挙げられる。なお、後者の場合には石油系溶剤として例えばシンナーが用いられ、混合比は、例えばジヒドロターピネオール:シンナーが7:3程度である。
しかしながら、上記のようなシートアタックの生じ難い溶剤を用いた導電ペーストは、保管中に経時的に粘度変化が生じ易い傾向がある。特に、低価格化の目的でニッケル系導体粉末が用いられる場合には、この傾向が顕著であった。理由は定かではないが、ニッケルが触媒として作用していることが考えられる。因みに、ペースト粘度が変化すると、印刷時に適正な膜厚や形状が得られなくなり、或いは、焼成後にクラックが発生する等、製造工程上の種々の問題が生じる。
これに対して、粘度変化を抑制して安定性を高めることを目的として、種々の提案が為されている。例えば、銅ペーストの例であるが、分散剤として機能するリン酸エステル化合物を添加して粘度変化を抑制するものがある(例えば特許文献1を参照。)。また、ブチラール樹脂を結合剤として含むニッケルペーストにターピニルアセテートを主成分とする溶剤を用いて粘度変化を抑制するものがある(例えば特許文献2を参照。)。また、樹脂結合剤にポリアクリレート共重合体を用いることで粘度変化を抑制するものがある(例えば特許文献3を参照。)。また、テルピネオール等を溶剤とし、エチルセルロース等を結合剤とするニッケルペーストや銅ペーストにおいて、分散剤として機能するアミン系界面活性剤を添加して粘度変化を抑制するものがある(例えば特許文献4を参照。)。
特開2006−004905号公報 特開2006−012690号公報 特開2005−243333号公報 特開2001−006436号公報 特開平11−080816号公報 特許第3787032号公報 特開2006−099965号公報
上記特許文献1〜4に記載されている技術は、有機分散剤を添加して導体粉末の表面に吸着させることでその表面を安定化させ延いてはその触媒作用を抑制し、或いは、用いる溶剤や樹脂結合剤を変更することで、粘度変化を抑制する。このような技術をニッケルペーストに適用すれば、シートアタックおよび粘度変化の問題を同時に解決することが可能であると考えられる。しかしながら、ニッケルペーストの組成は用途や要求特性に応じて適宜変更される。そのため、上記何れの技術を用いた場合にも、溶剤や樹脂結合剤に応じて適切な有機分散剤を選択すると共にその添加量を決定する必要があり、或いは、溶剤や樹脂結合剤の最適化を図る必要があるので、何れも汎用的な技術にはなり得なかった。なお、例えば、有機分散剤を十分に多量に添加すれば、溶剤や樹脂結合剤が変更された場合にも粘度安定性を得ることが容易になるが、有機分散剤の過剰な添加は、乾燥膜密度の低下、脱脂不良、粘度特性(レオロジー)の著しい変化等、ペースト特性に悪影響を与える場合がある。
本発明は、以上の事情を背景として為されたものであって、その目的は、シートアタックが生じ難く且つ粘度変化の生じ難いニッケルペーストを提供することにある。
斯かる目的を達成するため、本発明の要旨とするところは、ニッケル粉末と、樹脂結合剤と、有機溶剤とを含むニッケルペーストであって、(a)前記ニッケル粉末の硫黄含有量が100(ppm)未満であることにある。
このようにすれば、硫黄含有量が極めて少ないニッケル粉末が用いられていることから、ペースト中に含まれる硫黄分に起因する粘度変化が好適に抑制される。このように硫黄分を微少量に限定することで安定性が高められることから、溶剤や樹脂結合剤が何ら限定されないので、前述したようなシートアタックの生じ難い溶剤を用いながら粘度変化を抑制できる。したがって、シートアタックが生じ難く且つ粘度変化の生じ難いニッケルペーストが得られる。
因みに、従来から用いられてきたニッケル粉末やニッケルペーストは、ペースト中におけるニッケル粉末の分散性を高め或いは低温におけるる樹脂の燃焼性や燃え抜け性を改善することを目的として、例えば500(ppm)以上の硫黄を含むものが一般に用いられていた(例えば特許文献5〜7を参照。)。すなわち、ニッケル粉末を用いる場合には、硫黄が少なくともペースト中に含まれていることが好ましいと考えられており、硫黄を含まないニッケルペーストを調製することは全く考えられていなかった。しかしながら、本発明者がニッケルペーストの安定性を改善すべく鋭意研究を重ねたところ、硫黄含有量が著しく少ないニッケル粉末を用いると、硫黄を含む一般的なニッケル粉末を用いた場合に比較してペースト安定性が著しく改善されることを見出した。本発明は、斯かる知見に基づいて為されたものである。
なお、硫黄分が多量に含まれていると粘度変化が生じ易くなるのは、硫黄がペースト中の樹脂結合剤の分子間に作用して架橋結合を形成するためであると考えられる。ニッケル粉末に硫黄分が含まれている場合、すなわち硫黄分がニッケルと化学結合している場合には、ペースト中に遊離した状態で含まれている場合に比較して粘度変化が生じ難いものの、何れにしてもペースト中の硫黄分は粘度安定性を低下させる。したがって、ペースト中に硫黄を添加しないだけでなく、硫黄が極めて少ないニッケル粉末を用いることが粘度安定性を得るためには必須となる。
ここで、好適には、前記ニッケル粉末は硫黄を含まないものである。このようにすれば、粘度安定性が一層高められる。なお、本願において、「硫黄を含まない」とは、ニッケル粉の不純物分析に一般的に用いられている赤外線吸収法およびICP発光分光法の何れによっても硫黄が検出されないことを意味する。
また、好適には、前記有機溶剤はジヒドロターピネオール誘導体(例えばジヒドロターピネオールプロピオネート)または石油系溶剤である。このようにすれば、ジヒドロターピネオール誘導体や石油系溶剤を用いたペーストはシートアタックが生じ難いため、粘度安定性に優れ且つシートアタックが一層生じ難いニッケルペーストが得られる。なお、本発明が適用されるニッケルペーストを構成する有機溶剤は特に限定されず、従来から用いられているターピネオールや、ジヒドロターピネオール等のターピネオール誘導体、或いはこれらに石油系溶剤を添加したもの等も好適に用いられる。但し、ペーストを塗布しようとするシートの厚さ寸法が著しく小さく、3(μm)以下、一層好適には1(μm)以下の場合には、シートアタックの問題が顕著になるため、ジヒドロターピネオール誘導体または石油系溶剤を用いることが好ましい。
また、好適には、前記樹脂結合剤はエチルセルロースである。樹脂結合剤は特に限定されず、ポリビニルブチラール、アクリル系樹脂、エポキシ樹脂等を適宜用い得るが、前記ジヒドロターピネオール誘導体を有機溶剤として用いる場合にはエチルセルロースが好適である。
また、好適には、前記ニッケルペーストは、前記各成分の他に分散剤を含むことができる。分散剤としては周知の適宜のものを用い得るが、例えば、ビニル系ポリマー、ポリカルボン酸アミン塩、ポリカルボン酸系等が挙げられる。
また、本発明の導電性ペーストは、有機溶剤として、前記ジヒドロターピネオール誘導体に加えて、他の有機溶剤を含むものであっても差し支えない。このような他の有機溶剤としては、例えば、ブチルカルビトール、ブチルカルビトールアセテート、高級アルコール、石油系溶剤等が用いられ得る。
また、本発明のニッケルペーストは、ニッケル粉末、樹脂結合剤、有機溶剤の他に、ニッケルペーストを塗布しようとする未焼成セラミックスの構成材料、例えば、グリーンシートを構成するセラミック原料の微粉末や、ガラス粉末等を適量含むことができる。このような添加物は、例えば、ニッケル粉末を樹脂結合剤や有機溶剤と混合する際に同時に添加すれば良い。このようにすれば、シートと導体層との接着強度が高められると共にそれらの熱膨張係数の相違が緩和される。この場合、添加するセラミック微粉末等の平均粒径は、0.02〜0.3(μm)の範囲内が好ましく、0.03〜0.1(μm)の範囲内が一層好ましい。
また、本発明のニッケルペーストは、種々の用途において導体層を形成するために用いることができるが、好適には、セラミック電子部品、特に積層型セラミック電子部品、例えばMLCCの内部導体形成等に用いられる。本発明の導電性ペーストは、誘電体層等のセラミック層が極めて薄い場合に特に好適である。
また、本発明のニッケルペーストは、ターピネオールやジヒドロターピニルアセテート等に溶解させられるバインダーが用いられている未焼成セラミックスへの導体層形成に特に好適であり、例えば、ポリビニルブチラール樹脂やアクリル樹脂等の有機バインダーを結合剤とするグリーンシートに好適に用いられる。
以下、本発明の一実施例を図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の実施例において図は適宜簡略化或いは変形されており、各部の寸法比および形状等は必ずしも正確に描かれていない。
下記の表1〜3は、本発明の実施例1〜3のニッケルペーストの調合仕様および安定性の評価結果を、比較例1〜3と併せてまとめたものである。このニッケルペーストは、例えば前記図1に示されるようなMLCC10を製造するに際して、その導体層14を形成するために用いられる。MLCC10の誘電体層12は、例えばチタン酸バリウムで構成されたもので、焼成前の厚さ寸法は例えば3(μm)程度である。
Figure 2009037974
Figure 2009037974
Figure 2009037974
上記の表1〜3において、「Ni粉」は、各実施例および比較例で用いたニッケル粉末の種類を表している。試料1は、平均粒径が0.4(μm)、比表面積が1.7(m2/g)で、800(ppm)程度の割合で硫黄を含むものである。試料2は、平均粒径が0.4(μm)、比表面積が1.8(m2/g)で、硫黄を含まないものである。これら試料1,2は、互いに異なる製造工程で製造されたニッケル粉末であるが、硫黄含有の有無の他は略同様な特性を有する。また、試料3は、平均粒径が0.2(μm)、比表面積が3.2(m2/g)で、1200(ppm)程度の割合で硫黄を含むものである。試料4は、平均粒径が0.2(μm)、比表面積が3.1(m2/g)で、硫黄を含まないものである。これら試料3,4も、互いに異なる製造工程で製造されたニッケル粉末であるが、硫黄含有の有無の他は略同様な特性を有する。ペースト全体に対するニッケル粉末の量は、例えば、40〜60(wt%)の範囲内、例えば50(wt%)である。
また、「セラミック」は、焼成工程における焼結に伴うニッケルペーストと誘電体層12の収縮カーブを合わせる目的で添加されたセラミック粉末である。本実施例においては、誘電体層12がチタン酸バリウムで構成されることから、例えば平均粒径が0.02〜0.3(μm)程度のチタン酸バリウムを用いた。ペースト全体に対するセラミック粉末の添加量は、例えば20(wt%)以下、例えば10(wt%)である。
また、「樹脂」および「溶剤」はニッケル粉末を分散させるためのビヒクルを構成するもので、樹脂としてはエチルセルロースを用い、「溶剤」は比較例1および実施例1ではジヒドロターピネオールを、比較例2および実施例2ではn-アルコールとn-パラフィンの混合液を、比較例3および実施例3ではジヒドロターピネオールプロピオネートをそれぞれ用いた。ビヒクルの構成割合は、例えば、エチルセルロースが3〜10(wt%)程度で、残る97〜90(wt%)程度が溶剤である。なお、ジヒドロターピネオールを用いた比較例1および実施例1については、乾燥膜に接着性を付与する目的でロジンを添加した。ペースト全体に対するビヒクルの添加量は例えば32〜56(wt%)の範囲内、例えば39(wt%)程度で、エチルセルロースが例えば2〜6(wt%)の範囲内、例えば3(wt%)、溶剤が例えば30〜50(wt%)の範囲内、例えば36(wt%)である。ビヒクルを調製するに際しては、樹脂に溶剤を加えて例えば110(℃)で16〜24時間程度加熱溶解する。
また、「分散剤」は、ペースト中におけるニッケル粉末の分散性を高めるためのもので、比較例1および実施例1ではビニル系ポリマーを、比較例2および実施例2ではビニル系ポリマーにポリカルボン酸アミン塩を混合したものを、比較例3および実施例3ではポリカルボン酸系をそれぞれ用いた。なお、比較例1および実施例1と比較例2および実施例2に用いたビニル系ポリマーは同一のものとした。分散剤の添加量は、ペースト全体に対して例えば2(wt%)以下、例えば1(wt%)程度である。
各比較例および実施例のペーストは、ニッケル粉末、セラミック粉末、ビヒクル、および分散剤を混合し、例えば三本ロールミルを用いて、ニッケル粉末およびセラミック粉末を十分に分散させることで調製される。なお、必要に応じて、混練後にフィルターで濾過する。
前記の図1に示されるMLCC10を製造するに際しては、例えばポリビニルブチラール樹脂等をバインダーとして含む別途作製したグリーンシートに、例えば厚膜スクリーン印刷法を用いて上記のニッケルペーストを所定のパターンで塗布し、複数枚を積層して厚み方向に加圧することにより圧着させ、更に、所定の雰囲気および温度において焼成処理を施す。これにより、前記MLCC10が得られる。
ところで、前記の表1〜3において、「粘度変化」欄には、括弧書きで示した条件でそれぞれ長期保管した後の粘度増加率を示している。粘度増加率は、調製直後の粘度をそれぞれ測定し、表1においては50(℃)で1ヶ月保管、表2においては50(℃)で1週間保管、表3においては通常の保管温度である25(℃)で1ヶ月保管した後の粘度をそれぞれ測定して、粘度増大量を調製直後の粘度で除して百分率で求めた。なお、ペーストを50(℃)で保管すると、25(℃)で保管した場合に比較して粘度変化が2〜5倍に加速されることが判っており、上記表1、2はこのような前提で行った加速試験である。
前記表1によれば、800(ppm)の硫黄を含む試料1のニッケル粉末を用いた比較例1では60(%)の粘度上昇が認められたのに対し、硫黄を含まない試料2のニッケル粉末を用いた実施例1では、粘度上昇が30(%)に留まった。ペースト安定性の目安とされるのは25(℃)で1ヶ月保管した場合の粘度上昇が20(%)以下、好ましくは15(%)以下に留まることであり、比較例1のペーストは、斯かる条件における粘度上昇が20(%)以下に留まるものである。
また、前記表2によれば、1200(ppm)の硫黄を含む試料3のニッケル粉末を用いた比較例2では、200(%)もの粘度上昇が認められたのに対し、硫黄を含まない試料4のニッケル粉末を用いた実施例2では、粘度上昇が40(%)に留まった。表2に示す石油系溶剤を用いたペーストは、シートアタックが生じ難い反面で粘度変化が生じ易いものである。硫黄を含む場合には、粘度変化が著しく大きく、加速試験であることを考慮しても到底使用に耐えないが、硫黄を含まない場合には、石油系でも粘度変化が比較的小さく留まり、十分な安定性を有することが判る。
また、前記表3に示すジヒドロターピネオールプロピオネート等のジヒドロターピネオール誘導体は、ジヒドロターピネオールに比較してシートアタックが生じ難い溶剤である。この溶剤を用いた場合にも、1200(ppm)の硫黄を含む試料3のニッケル粉末を用いた比較例3では、25(℃)で1ヶ月保管した後の粘度上昇が95(%)にも達する。これに対して、硫黄を含まない試料4のニッケル粉末を用いた実施例3では、粘度上昇が10(%)に留まり、極めて安定性に優れることが明らかである。図2に上記比較例3および実施例3の20日間までの粘度上昇傾向を評価した結果を示す。比較例3のニッケルペーストは、4日間程度までは初期の粘度に略保たれるが、その後、急激に粘度が上昇する。これに対して、実施例3では粘度上昇が殆ど認められない。
なお、上記の図2において、比較例4は、硫黄の含有形態による相違を確かめるために、実施例3のニッケルペーストに硫黄を1000(ppm)添加したものである。比較例4の粘度変化傾向から明らかなように、ペースト中に硫黄を添加した場合にも粘度安定性が得られない。しかも、硫黄がニッケル粉末に含まれている場合に比較して粘度上昇傾向が一層顕著になる。
また、図3は、ジヒドロターピネオールとシンナーとを7:3の割合で混合した溶剤を用いた場合の粘度変化傾向を評価した結果を示したものである。比較例5には前記試料3のニッケル粉末を、実施例4には前記試料4のニッケル粉末をそれぞれ用い、分散剤はビニル系ポリマーとポリカルボン酸アミン塩を用いた。各成分の割合は前記各比較例および実施例と同様である。上記の溶剤は、石油系(炭化水素系)溶剤であるシンナーを混合することでシートアタックを緩和したものである。比較例5に示されるように硫黄を含むニッケル粉末を用いると、硫黄を含まないニッケル粉末を用いた実施例4のペーストに比較して、短期間で粘度が急激に上昇する。この比較例5は、25(℃)で30日保管した場合の粘度上昇が20(%)未満で、現在のところ要求されている特性を何とか満たす程度である。そのため、このような溶剤を用いた場合にも、硫黄を含まないニッケル粉末を用いる利点がある。
また、図4は、ジヒドロターピネオールを溶剤として用いた更に他のペースト調製例において、加速試験による粘度増加傾向を評価した結果を示したものである。溶剤が異なる他は、上記図3に示す比較例5および実施例4と同一条件であり、比較例6には、前記試料3のニッケル粉末を、実施例5には、前記試料4のニッケル粉末をそれぞれ用いた。この試験条件でも、硫黄を含む比較例6の粘度増加傾向が、硫黄を含まない実施例5の粘度増加傾向に比較して著しく大きいことが確かめられた。
図5は、平均粒径が0.2(μm)程度で硫黄を含まない前記試料4のニッケル粉末を用い、溶剤としてジヒドロターピネオールを用いた他は前記実施例2と同様な組成でペーストを調製し、ペースト中に硫黄を添加しない実施例6、ニッケル粉末量に対して1(ppm)添加した実施例7、10(ppm)添加した実施例8、100(ppm)添加した比較例7、および1000(ppm)添加した比較例8の粘度変化傾向を調べたものである。試験条件は表3に示すものと同一、すなわち25(℃)で保管するものとした。
上記図5に示されるように、硫黄添加量が10(ppm)以下の実施例6〜8では、相当日数経過後にも粘度変化が殆ど認められない。なお、粘度変化は、硫黄を含まない実施例6では50日経過まで、実施例7,8では30日経過までそれぞれ確認した。一方、硫黄を100(ppm)以上添加した比較例7,8は、これらに対して著しく粘度が増大する傾向を示した。なお、比較例7,8は、硫黄添加量が相違するが粘度増加傾向は略同程度である。この結果によれば、硫黄が100(ppm)以上含まれていると粘度安定性が著しく損なわれ、粘度安定性を得るためには100(ppm)未満、好ましくは10(ppm)以下の硫黄含有量のニッケル粉末が必要であることが判る。
また、図6は、粘度変化が大きい傾向にある前記表2に示す比較例2において、分散剤を種々変更して粘度上昇の抑制を図った結果をまとめたものである。実施例2および比較例2も併せて図6に示した。比較例9〜12は互いに異なり且つ比較例2とも異なる分散剤を用いたものである。本発明を理解するために分散剤の詳細は無用であるから省略するが、図6に示されるように、分散剤の種類に応じて粘度増加傾向が異なり、比較例11では比較例2に対して粘度増加を抑制できている。しかしながら、最も良好な結果が得られたその比較例11においても、50(℃)、6日間の保管で100(%)を越える粘度上昇が認められる。
これに対して、硫黄を含まない実施例2では、35(%)程度の粘度上昇に留まっている。したがって、適当な分散剤を添加することで粘度上昇を抑制することは可能であるが、比較例2のような粘度上昇が大きいペーストでは有効な対策にはならない。すなわち、硫黄を含まない或いは硫黄含有量が100(ppm)未満のニッケル粉末を用いることが必要である。
以上、説明したように、実施例1〜8のニッケルペーストによれば、硫黄を含まない或いは硫黄含有量が100(ppm)未満のニッケル粉末が用いられていることから、ペースト中に含まれる硫黄分に起因する粘度変化が好適に抑制される。そのため、溶剤や樹脂結合剤が何ら限定されないので、実施例2,3に示したようなシートアタックの生じ難い溶剤を用いながら粘度上昇を好適に抑制できる。したがって、シートアタックが生じ難く且つ粘度変化の生じ難いニッケルペーストが得られる。
以上、本発明を図面を参照して詳細に説明したが、本発明は更に別の態様でも実施でき、その主旨を逸脱しない範囲で種々変更を加え得るものである。
積層セラミックコンデンサーの構造を説明するための断面構造を模式的に示す図である。 比較例3,4および実施例3の粘度増加傾向を示す図である。 比較例5および実施例4の粘度増加傾向を示す図である。 比較例6および実施例5の加速試験による粘度増加傾向を示す図である。 ペースト中の硫黄添加量が互いに異なる実施例6〜8および比較例7,8の粘度増加傾向を示す図である。 種々の分散剤を添加した比較例9〜12の粘度増加傾向を比較例2および実施例2と対比して示す図である。
符号の説明
10:MLCC、12:誘電体層、14:導体層、16:外部電極

Claims (2)

  1. ニッケル粉末と、樹脂結合剤と、有機溶剤とを含むニッケルペーストであって、
    前記ニッケル粉末の硫黄含有量が100(ppm)未満であることを特徴とするニッケルペースト。
  2. 前記有機溶剤はジヒドロターピネオール誘導体または石油系溶剤である請求項1のニッケルペースト。
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