JP4298133B2 - Ptpシート抱き合わせ搬送装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ブリスタ包装シート(以下、「PTPシート」という)に係り、特に、複数のPTPシートを、ポケット部が互いに向き合い、かつ、所定の相対位置関係を維持した状態で次のパッケージング装置等へ搬送するためのPTPシート抱き合わせ搬送装置を含む技術分野に属するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、PTPシート1は、図12に示すように、錠剤等が収容される複数のポケット部2を備えており、各ポケット部2単位のシート小片3に切り離すことができるように縦スリット4及び横スリット5が形成されている。また、PTPシート1の端部にはロットナンバー等の識別情報が刻印されたタグ部6が付設されている。
【0003】
かかるPTPシート1は、ポケット部2が形成された長尺状のフィルムを移送させつつポケット部2に錠剤を投入する工程、アルミニウム等よりなるカバーフィルムを貼着する工程、スリット4,5を形成する工程、PTPシート1単位に打ち抜く工程等を経て製造される。そして、上記工程を経て連続的に送られてきた複数のPTPシート1は、例えばパッケージング工程(封止や箱詰等を含む)等へと供される。
【0004】
前記パッケージングが行われる前段階において、複数段に積載されたPTPシート1の総合容積を最小限に抑えるために「抱き合わせ工程」を経る。すなわち、図13〜図15に示すように、上下一対のPTPシート1を、ポケット部2が互いに向き合うように重ね合わせるとともに、上下のポケット部2がぶつかり合わないように所定量だけ相互に位置をずらした状態で抱き合わせる工程を経る。そして、このように抱き合わされた上下一対のPTPシート1が所定組(例えば5組)積み上げられた状態で、次のパッケージング工程へと供されるのである。上述した抱き合わせ工程においては、次に記すような抱き合わせ搬送装置が用いられる。
【0005】
抱き合わせ搬送装置は、例えば反転装置と、位置調整搬送装置とを備えている。反転装置は、順次一定の方向に向けられて(例えばポケット部2が下を向いた状態で)搬送されてくるPTPシート1を、(1)上下面を反転させて送ること、(2)上下面を反転させることなく、かつ、向きを転回させて送ること、の上記(1),(2)を交互に(1枚おきに)行って次の工程へと導く装置である。また、位置調整装置搬送は、前記反転装置から送られてくるPTPシート1を上下2枚抱き合わせた状態で配置し、相互の位置を相対的にずらしながら図示しないコンベアで送る装置である(例えば特開平2−282031号公報等参照)。この位置調整装置においては、コンベアに設けられた爪によって相互に位置がずらされ、その後、両者が重ね合わされた状態で別途のコンベアに設けられた別の爪によって送られる。かかる別の爪は、相互に位置がずらされた状態で重ね合わされたPTPシート1のうち、上下いずれか一方(例えば上側のPTPシート)を押す。このとき、上下のポケット部2同士が互いに係合していることから、一方が押されれば他方もそれに追従して送られることとなる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記技術においては、次に記すような課題があった。すなわち、フィルム及びカバーフィルムの収縮率の差に起因して、PTPシート1には図16に示すようなカールが発生しやすい。このようにカールが発生した場合、ポケット部1同士の係合が解除されてしまい、或いは、係合量が少なくなってしまい、前記別の爪で押す際に、一方ではなく上下双方が押されることとなってしまう。このため、せっかくその前段階において位置調整を行ったにもかかわらず、該位置調整が無意味なものなってしまい、例えば、効率的なパッケージングを期待できない等、その後の工程に支障を来すおそれがあった。
【0007】
また、上記のようにコンベアの爪で搬送する位置調整搬送装置を用いた場合、コンベアの下部の機構が、軸、プーリ、ベルト等が密集して存在することにより非常に複雑なものとなる。このため、もしもPTPシート1が搬送途中で落下してしまった場合には、該シート1が複雑な機構内に噛み込まれてしまい、取り出すのが困難となってしまうことが考えられる。また、上述したように複雑な機構であることから、各種部材の保守、部品交換等におけるメンテナンス性の向上が望まれているのも実状である。
【0008】
本発明は、上記各事情に鑑みてなされたものであり、複数のPTPシートを、ポケット部が互いに向き合うよう所定の位置状態で重ね合わせて次の工程へ搬送するためのPTPシート抱き合わせ搬送装置において、位置ずれを起こしにくいPTPシート抱き合わせ搬送装置を提供することを主たる目的の一つとしている。
【0009】
【課題を解決するための手段及びその効果】
上記目的を達成し得る特徴的手段について以下に説明する。また、各手段につき、特徴的な作用及び効果を必要に応じて記載する。
【0010】
手段1.ポケット部を備えたPTPシートを搬送するとともに、1枚又は複数枚おきに表裏面の反転を伴うようにして搬送可能な反転装置と、前記反転装置にて搬送されてくる複数のPTPシートのうち、少なくとも2枚に関し互いに前記ポケット部が向き合い、かつ、所定の相対位置関係を維持した抱き合わせ状態にて次工程へ搬送可能な位置調整搬送装置とを備えたPTPシート抱き合わせ搬送装置であって、前記位置調整搬送装置は、前記反転装置から搬送されてくるPTPシートを所定の相対位置関係にて位置調整した状態で互いに前記ポケット部が向き合う位置に配列させ、その状態を維持したままPTPシートの面を挟むようにしてガイドしつつ次工程へ搬送可能に構成されていることを特徴とするPTPシート抱き合わせ搬送装置。
【0011】
手段1によれば、ポケット部を備えたPTPシートが反転装置によって搬送され、このとき1枚又は複数枚おきに表裏面の反転を伴うようにして搬送される。また、位置調整搬送装置では、反転装置にて搬送されてくる複数のPTPシートのうち、少なくとも2枚に関し互いにポケット部が向き合い、かつ、所定の相対位置関係が維持された抱き合わせ状態にて次工程へ搬送される。さて、位置調整搬送装置は、反転装置から搬送されてくるPTPシートを所定の相対位置関係にて位置調整した状態で互いにポケット部が向き合う位置に配列させ、その状態を維持したままPTPシートの面を挟むようにしてガイドしつつ次工程へ搬送するよう構成されているため、たとえPTPシートにカールが発生したとしても、相互に位置調整されたPTPシートが位置ずれを起こして次工程へ搬送されてしまうことがない。
【0012】
手段2.前記位置調整搬送装置は、前記反転装置から搬送されてくるPTPシートを、その両側部を保持することにより上下位置に配列させるべくホルダ手段を有していることを特徴とする手段1に記載のPTPシート抱き合わせ搬送装置。
【0013】
手段2によれば、位置調整搬送装置のホルダ手段により、前記反転装置から搬送されてくるPTPシートの両側部が保持され、これによりPTPシートが上下位置に配列させられる。このため、位置調整が比較的容易に行われる。なお、配列に際しては、「少なくとも2枚のPTPシートを、所定の距離を隔てて上下位置に配列させる」こととするのが望ましい。
【0014】
手段3.前記位置調整搬送装置は、所定の相対位置関係にて位置調整した状態で上下位置に配列されたPTPシートを、その表裏両面側から挟むチャック装置及び該チャック装置を移動させることによりPTPシートをガイドしつつ次工程へ搬送する移動手段とを有していることを特徴とする手段1又は2に記載のPTPシート抱き合わせ搬送装置。
【0015】
手段3によれば、位置調整搬送装置のチャック装置により、所定の相対位置関係にて位置調整された状態で、上下位置に配列されたPTPシートが、その表裏両面側から挟まれる。そして、移動手段により、チャック装置が移動させられることにより、PTPシートがガイドされつつ次工程へ搬送される。このため、相互に位置調整されたPTPシートの位置関係が次工程まで確実に維持される。
【0016】
手段4.ポケット部を備えたPTPシートを搬送するとともに、1枚又は複数枚おきに上下面の反転を伴うようにして搬送可能な反転装置と、前記反転装置にて搬送されてくる複数のPTPシートのうち、少なくとも2枚に関し互いに前記ポケット部が向き合い、かつ、所定の相対位置関係を維持した抱き合わせ状態にて次工程へ搬送可能な位置調整搬送装置とを備えたPTPシート抱き合わせ搬送装置であって、前記位置調整搬送装置は、前記反転装置から搬送されてくるPTPシートを上下段にて保持可能なホルダ手段と、前記PTPシートをホルダ手段の所定位置にてセットするためのセット手段と、前記ホルダ手段にて保持セットされている複数のPTPシートを保持し、所定の抱き合わせ状態のまま次工程へと送るための送り手段とを有していることを特徴とするPTPシート抱き合わせ搬送装置。
【0017】
手段4によれば、ポケット部を備えたPTPシートが、反転装置によって搬送され、このとき1枚又は複数枚おきに上下面の反転を伴うようにして搬送される。また、位置調整搬送装置では、反転装置にて搬送されてくる複数のPTPシートのうち、少なくとも2枚に関し互いにポケット部が向き合い、かつ、所定の相対位置関係が維持された抱き合わせ状態にて次工程へ搬送される。さて、位置調整搬送装置は、ホルダ手段、セット手段及び送り手段を備えており、まずホルダ手段によって反転装置から搬送されてくるPTPシートが上下段にて保持される。このとき、PTPシートはセット手段によってホルダ手段の所定位置にてセットされる。そして、送り手段によって、ホルダ手段にて保持セットされている複数のPTPシートが保持され、所定の抱き合わせ状態のまま次工程へと送られる。このため、たとえPTPシートにカールが発生したとしても、相互に位置調整されたPTPシートが位置ずれを起こして次工程へ搬送されてしまうことがない。
【0018】
手段5.前記ホルダ手段は、上下段に保持部を有する少なくとも一対のホルダにて構成されており、前記反転装置から搬送されてくるPTPシートの両側部を前記保持部にて保持可能としたことを特徴とする手段4に記載のPTPシート抱き合わせ搬送装置。
【0019】
手段5によれば、前記ホルダ手段の少なくとも一対のホルダの上下段に設けられた保持部にて、反転装置から搬送されてくるPTPシートの両側部が保持される。このため、セット手段による所定位置でのセットが比較的容易に行われる。なお、保持に際しては、「少なくとも2枚のPTPシートを、所定の距離を隔てて上下段に保持可能」とするのが望ましい。
【0020】
手段6.前記保持部は、前記ホルダに設けられた溝状のスリットにより構成されており、かつ、該スリットには前記PTPシートの過移送を規制するための規制手段が設けられていることを特徴とする手段5に記載のPTPシート抱き合わせ搬送装置。
【0021】
手段6によれば、溝状のスリットにより、PTPシートの上方、下方への移動が規制されることとなる。また、スリットに設けられた規制手段により、PTPシートの過移送が規制される。従って、前記セット手段による所定位置でのセットがより正確に行われる。
【0022】
手段7.前記セット手段は、前記PTPシートを前記ホルダ手段の上下段にセットする際の相対位置関係を調整可能な位置調整機構を具備していることを特徴とする請求項4乃至6のいずれかに記載のPTPシート抱き合わせ搬送装置。
【0023】
手段7によれば、位置調整機構により、PTPシートをホルダ手段の上下段にセットする際の相対位置関係を調整することができる。このため、そのときどきの要請に応じてPTPシートの抱き合わせ状態を調整、変更することができる。
【0024】
手段8.前記送り手段は、前記ホルダ手段にて保持セットされている複数のPTPシートを表裏両面側から挟むようにして保持するチャック装置と、該チャック装置を移動させることによりPTPシートをガイドしつつ次工程へ搬送する移動手段とを有していることを特徴とする手段4乃至7のいずれかに記載のPTPシート抱き合わせ搬送装置。
【0025】
手段8によれば、送り手段のチャック装置により、ホルダ手段にて保持セットされている複数のPTPシートが表裏両面側から挟まれるようにして保持される。そして、移動手段にてチャック装置が移動させられることによりPTPシートがガイドされつつ次工程へ搬送される。このため、相互に位置調整されたPTPシートが位置ずれを起こして次工程へ搬送されてしまうことがないという上記作用効果がより確実に奏される。また、コンベアの爪で搬送されていた従来技術とは異なり、少なくとも位置調整及びその後の搬送の機構としてコンベアが用いられることがないため、構造の簡素化が図られる。さらには、各種装置の保守、部品交換等におけるメンテナンスを容易に行うことができる。
【0026】
手段9.前記チャック装置は、固定爪及び該固定爪に対して接離方向に移動可能に設けられた可動爪を備えており、前記PTPシートを表裏両面側から挟むようにして保持する際には、可動爪を接触方向へ移動させるとともに、前記固定爪がPTPシート側へ近接する方向へチャック装置自体をも移動させるようにしたことを特徴とする手段8に記載のPTPシート抱き合わせ搬送装置。
【0027】
手段9によれば、前記チャック装置の固定爪及び可動爪により、PTPシートはその表裏両面側から挟まれるようにして保持される。この際、一方が固定爪となっていることから、構造が複雑になることがなく、また、保持に際しての基準を定めるための構造を容易に確保することができる。さらに、前記保持に際しては、可動爪が接触方向へ移動させられるとともに、前記固定爪がPTPシート側へ近接する方向へチャック装置自体をも移動させられる。従って、PTPシートは、上下両方から動く可動爪及び固定爪によって挟まれることとなる。そのため、可動爪のみが移動させられて挟まれる場合に比べて、PTPシートの撓み量を半分に抑えることができる。
【0028】
手段10.前記移動手段は、自身を回転させることにより自身の周りに設けられた前記チャック装置を回転移動させるものであることを特徴とする手段8又は9に記載のPTPシート抱き合わせ搬送装置。
【0029】
手段10によれば、移動手段が回転させられることにより、自身の周りに設けられたチャック装置が回転移動させられる。このため、構造の簡素化をより確実に図ることができ、メンテナンス性のさらなる向上を図ることができる。
【0030】
手段11.前記反転装置は、表裏面の反転を伴わない場合には、向きの転回を伴うように前記PTPシートを搬送可能となっていることを特徴とする手段1乃至10のいずれかに記載のPTPシート抱き合わせ搬送装置。
【0031】
手段11によれば、表裏面の反転を伴わない場合には、向きの転回を伴うようにPTPシートが搬送される。このため、PTPシートの転回に伴い、向かい合うポケット部同士にずれを生ぜしめることができる場合があり、この場合、位置調整をより容易に行うことができる。
【0032】
手段12.前記反転装置は前記PTPシートの搬送に際し、該PTPシートを表裏両面側からクランプするクランプ装置を備えており、該クランプ装置は固定爪及び該固定爪に対して接離方向に移動可能に設けられた可動爪を備えており、前記PTPシートのポケット部が設けられていない面が前記固定爪に当接するよう構成したことを特徴とする手段1乃至11のいずれかに記載のPTPシート抱き合わせ搬送装置。
【0033】
手段12によれば、反転装置のクランプ装置により、PTPシートが表裏両面側からクランプされる。該クランプ装置は固定爪及び該固定爪に対して接離方向に移動可能に設けられた可動爪を備えており、PTPシートのポケット部が設けられていない面、すなわち、フラットな面が、クランプに際し固定爪に当接する。このため、PTPシートのフラット面が基準となって、次の位置調整搬送装置へと搬送されることとなり、基準側がポケット部の影響(厚みの影響)を受けない。従って、PTPシートを上下の所定部位に的確、かつ、確実に導くことができる。
【0034】
手段13.ポケット部を備えたPTPシートを、1枚又は複数枚おきに上下面の反転を伴うようにして搬送可能なPTPシート反転装置であって、前記PTPシートの搬送に際し、該PTPシートを表裏両面側からクランプする複数のクランプ装置と、前記クランプ装置を移動させる移動手段とを備え、かつ、前記クランプ装置は固定爪及び該固定爪に対して接離方向に移動可能に設けられた可動爪を有しており、前記PTPシートのポケット部が設けられていない面が前記固定爪に当接するよう構成したことを特徴とするPTPシート反転装置。
【0035】
手段13によれば、ポケット部を備えたPTPシートが、1枚又は複数枚おきに上下面の反転を伴うようにして反転装置により搬送される。ここで、反転装置のクランプ装置により、PTPシートが表裏両面側からクランプされ、該クランプ状態でクランプ装置が移動手段にて移動させられることにより搬送される。前記クランプ装置は固定爪及び該固定爪に対して接離方向に移動可能に設けられた可動爪を備えており、PTPシートのポケット部が設けられていない面、すなわち、フラットな面が、クランプに際し固定爪に当接する。このため、PTPシートのフラット面が基準となって、次の工程へと搬送されることとなり、基準側がポケット部の影響(厚みの影響)を受けない。従って、PTPシートを次の工程における所定部位に的確、かつ、確実に導くことができる。
【0036】
なお、かかるPTPシート反転装置は、上述した手段1乃至12のいずれかに記載の位置調整搬送装置が次工程の装置として用いられた場合に、PTPシートを、位置調整搬送装置の所定部位に的確、かつ、確実に導くことができる。
【0037】
【発明の実施の形態】
以下、一実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。まず、図1等に基づいて、PTPシート1の抱き合わせ搬送装置1の概略について説明する。
【0038】
PTPシート1(図12参照)は、上述したように錠剤投入工程、カバーフィルム貼着工程、スリット形成工程、打抜工程等を経て製造される。そして、上記各工程を経て連続的に送られてきた複数のPTPシート1は、図の左部に配設された図示しないバッファと称される移送装置のフィンの上面に載置された状態で上方から下方へと連続的に案内されるようになっている。このとき、PTPシート1は順次一定の方向に向けられて(ポケット部2が下を向いた状態で)案内される。また、フィンに載置されたPTPシート1は、爪7及びロッド8等よりなる送り機構9によって、1枚ずつ抱き合わせ搬送装置11の方へと送られる。
【0039】
さて、抱き合わせ搬送装置11は、反転装置12と、位置調整搬送装置13とを備えている。反転装置12は、順次一定の方向に向けられて(例えばポケット部2が下を向いた状態で)搬送されてくるPTPシート1を、(1)上下面を反転させて送ること、(2)上下面を反転させることなく、かつ、向きを転回させて送ること、の上記(1),(2)を交互に(1枚おきに)行って次の工程へと導く装置である。なお、反転装置12及び位置調整搬送装置13は、PTPシート1を同時に複数列(2列)並行に送ることができるような構成となっている。
【0040】
まずは、反転装置12について説明する。この反転装置12は、前記バッファに近接した状態で設けられている。図2,3に示すように、反転装置12は、回転可能に支持された駆動軸14と、駆動軸14に取付けられ、キー15により駆動軸14とともに回転するよう支持されたハウジング16とを備えている。駆動軸14は間欠駆動機構に接続されていて所定の角度(90度)毎に間欠的に駆動されるようになっている。
【0041】
ハウジング16には駆動軸14の直径方向に延びる一対の軸受け孔17が形成されている。軸受け孔17内には回転軸18が挿通されており、該回転軸18はハウジング16にベアリング機構を介して回転可能に支持されている。また、ハウジング16には、回転軸18に直交するようにして固定軸19が立設固定されている。さらに、固定軸19及び回転軸18の外側端にはPTPシート1を把持するためのクランプ装置21が取り付けられている。
【0042】
クランプ装置21は、固定軸19及び回転軸18に固定された本体22と、該本体22に固定された板状の固定爪23と、前記本体22に対し各軸18,19の軸線と直交する方向に移動可能に設けられた可動爪24と、該可動爪24をスライドさせるためのスライド機構25とを有している。可動爪24は、スライド機構25に設けられたバネ等により固定爪23側に弾圧されている。また、クランプ装置21においては前記スライド機構25が作動することで固定爪23に対し可動爪24が離間する方向へスライドさせられ、両爪23,24間に前記PTPシート1が送り込まれるようになっている。
【0043】
図4に示すように、回転軸18のハウジング16側の端部には傘歯車26がそれぞれ取付けられている。該傘歯車26は、駆動軸14に関して回転可能に取付けられた傘歯車27と噛み合っている。傘歯車27には平歯車28が嵌合固定されており、その平歯車28は傘歯車27とともに回転するようになっている。
【0044】
平歯車28は公知のブレーキ機構を有する連結機構(図示略)に接続され、その連結機構を介して停止保持されるか、又は、駆動軸14と同方向に同速度で回転されるようになっている。
【0045】
上記のような構成において、傘歯車27及び平歯車28を連結機構により停止保持した状態から、駆動軸14を図2において時計回り方向に90度ずつ間欠回転させると、ハウジング16もそれとともに間欠回転する。従って、クランプ装置21は駆動軸14の軸線回りで間欠的に旋回する。このとき、回転軸18に関しては、傘歯車27,26の作用により駆動軸14の回りで旋回しながら、自身の軸線の回りで同じ速度で回転する。このため、回転軸18に設けられたクランプ装置21は回転軸18の軸線回りで回転するようになっている。
【0046】
このように構成された反転装置12においては、クランプ装置21が受け取り位置(図2の左位置)に向いた状態で駆動軸14が間欠停止したとき、スライド機構25が作動して可動爪24が押し下げられるとともに、前記送り機構9によって、PTPシート1がポケット部2を下にした状態で固定爪23及び可動爪24間に入れられる。そして、前記スライド機構25の作動が解除されて可動爪24が上方へスライドし、PTPシート1をクランプする。次に、駆動軸14が約90度間欠回転すると、今度は固定軸23のクランプ装置21が受け取り位置にきて、上記と同様にしてクランプ装置21にて次のPTPシート1がクランプされる。
【0047】
クランプ装置21が受け取り位置とは180度逆方向の受け渡し位置に到達すると、クランプ装置21は前記受け取り位置に向いていた状態から回転軸18の軸線の回りで180度回転した状態になるので、PTPシート1は上下面が反転されずにポケット部2が下向きになったままで、かつタグ部6は180度逆方向の向きとなる。
【0048】
一方、クランプ装置21は、固定軸19の軸線の回りで回転し得ないので、受け渡し位置に到達したとき、それにクランプされたPTPシート1は、上下面が反転されてポケット部2が上を向いた状態になり、かつ、前記タグ部6は前と同じ向きとなる。
【0049】
なお、クランプ装置21は、1つおきに停止位置(停止時の高さ)に差がでるように設定されており、これにより、後述するホルダ手段33の上部のスリット31に案内されるものと、下部のスリット32に案内されるものとが交互に存在するようになっている。
【0050】
次に、位置調整搬送装置13について説明する。位置調整搬送装置13は、反転装置12にて導かれてくるPTPシート1を2枚、上下2段にて保持するスリット31,32を有するホルダ手段33と、各PTPシート1をホルダ手段33のスリット31,32の所定位置にてセットするためのセット手段34と、前記ホルダ手段33にて保持セットされている上下2枚のPTPシート1を保持し、所定の抱き合わせ状態のまま次の装置(ここでは積載装置91)へと送るためのチャック送り手段35とを備えている。
【0051】
図9に示すように、ホルダ手段33は、対となって設けられた2組のホルダ36L,36R、37L,37Rと、これらホルダ36L,36R、37L,37Rを開閉動作させるためのホルダ駆動機構38とを備えている。図7,8に示すように、各一対のホルダ36L,36R、37L,37Rの上部には上下一対の溝状のスリット31,32が形成されている。スリット31,32は、PTPシート1の両側部を案内するよう断面コ字状(溝状)に形成されており、その中間部分において、前記スリット31,32はPTPシート1のカール方向とは逆向きの湾曲状に形成されている。なお、かかる湾曲状の部分によって、PTPシート1の過移送を規制するための規制手段が構成されている。また、スリット31,32の入口側(図7,8の左側)は、テーパ状に開口形成されており、これによりPTPシート1が円滑、かつ、確実にスリット31,32内に案内されるようになっている。
【0052】
図9に示すように、ホルダ36L,36R、37L,37Rを開閉動作させるためのホルダ駆動機構38が、ホルダ36L,36R、37L,37Rの下部に設けられている。ホルダ駆動機構38は、上下方向に立設固定された一対のブラケット41,42と、両ブラケット41,42間を連結する支持プレート43とを備えている。一方のブラケット41には、サーボモータ44が装着されており、該サーボモータ44には、ボールねじ45の一端が回転可能に支持されている。なお、ボールねじ45の他端側は、他方のブラケット42にベアリング機構を介して支持されている。ボールねじ45はそのほぼ両側部において互いに逆方向に形成されたねじ部46,47を有しており、各ねじ部46,47にボールナット48,49が螺合されている。そして、一方のボールナット48にはホルダ36Lが連結されているとともに、別途連結バー51を介してホルダ37Lが連結されている。また、他方のボールナット49にはホルダ37Rが連結されているとともに、別途連結バー52を介してホルダ36Rが連結されている。
【0053】
これにより、サーボモータ44が駆動されてボールねじ45が所定方向へ回った場合には、一対のボールナット48,49が互いに近接する方向へ移動する。このため、対となっているホルダ36L,36R及びホルダ37L,37R同士が互いに閉じる(近接する)方向へと移動し、前記PTPシート1をスリット31,32にて把持できるようになっている(図9の2点鎖線参照)。一方、サーボモータ44が逆駆動されボールねじ45が反対方向へ回った場合には、一対のボールナット48,49が互いに離間する方向へ移動する。このため、対となっているホルダ36L,36R及びホルダ37L,37R同士が互いに開く(離間する)方向へと移動し、前記PTPシート1の把持状態を解除できるようになっている。
【0054】
次にセット手段34について説明する。上記のように、セット手段34は各PTPシート1を前記ホルダ手段33のスリット31,32の所定位置にてセットするものである。図6に示すように、セット手段34は、一対の壁部53,54にベアリング機構を介して回転可能に支持された駆動軸55を備えている。この駆動軸55の一端(図の右端)にはプーリ56が設けられており、該プーリ56が別途の駆動手段により所定速度(例えば1分間に200回転)で回転させられることにより、駆動軸55も同速度で回転するようになっている。駆動軸55のうち、前記壁部53,54にて挟まれた部分には、上部カラー57が回転可能に設けられ、該上部カラー57には、一対のブラケット58が垂下されている。ブラケット58の下端には下部カラー59が設けられ、該下部カラー59内には従動軸61がベアリング機構を介して回転可能に設けられている。従動軸61の一端には、プーリ62が設けられており、該プーリ62にテンションプーリ60を介して、前記駆動軸55側のプーリ56の回転が伝達されるようになっている。すなわち、従動軸61は、前記駆動軸55に対し揺動可能となっているとともに、駆動軸55と同速度で回転可能となっている。
【0055】
前記駆動軸55の他端(図の左端)には、ブロック63が設けられており、該ブロック63の先端側に設けられた挿通孔には、スライド軸64がベアリング機構を介して設けられている。スライド軸64の先端には、スライドベアリング機構を介してロッド65が支持されている。前記スライド軸64の軸心は前記駆動軸55の軸心に対しずれている。このため、駆動軸55が回転することにより、スライド軸64が駆動軸55の軸心を中心として回転し、これに伴い、ロッド65が揺動させられるようになっている。なお、ロッド65は、前記スライドベアリング機構により、前記スライド軸64に対し図の上下方向に相対的にスライド可能となっている。
【0056】
一方、従動軸61の他端(図の左端)には、その軸心とは偏心した位置に偏心軸66が設けられており、該偏心軸66の周囲にベアリング機構を介してブロック67が設けられている。さらに、該ブロック67には、前記ロッド65の下端部が固定されている。このため、従動軸61が回転すると、偏心軸66が従動軸61の軸心を中心として回り、ブロック67がそれに伴って円周上を動く。このブロック67の動きに追従して、前記ロッド65の下端部が動くようになっている。
【0057】
ロッド65の上端には、アーム68が固定されており、該アーム68の上面には、PTPシート1を前方へ送るための爪69が並列状態で立設固定されている。このように構成されてなるセット手段34にあっては、爪69の先端が図5に2点鎖線で示すような軌跡をたどり、これにより、前記クランプ装置21に把持されていたPTPシート1がホルダ手段33のスリット31,32へと送られるようになっている。なお、本実施の形態では、駆動軸55とスライド軸64との偏心量に基づいて爪69の先端の移動量(前進後退量:前後ストローク)が主として決定され、従動軸61と偏心軸66との偏心量に基づいて爪61の先端の上下ストロークが主として決定されるようになっている。
【0058】
さらに、本実施の形態では、上部のスリット31へとPTPシート1を案内する場合と、下部のスリット32へとPTPシート1を案内する場合とでは、前記爪69の描く軌跡が相違するよう、つまり、爪69の先端の前後ストロークが異なったものとなるよう構成されている。より詳しくは、図5に示すように、前記駆動軸55の半分の速度(例えば1分間に100回転)で回転する回転軸71が別途設けられており、該回転軸71の軸心から若干の偏心量Hだけ偏心した位置にレバー72の基端部が支持されている。さらに、該レバー72の先端は、前記従動軸61側に連結されている。
【0059】
従って、例えば前記爪69が前進端(図の右端)にあるとき、レバー72の偏心が図の左側にあるよう(回転軸71の軸心に対し、レバー72の支持点が図の左側にくるよう)設定したとする。前記爪69は回転軸71の2倍の速度で回転(揺動)動作するため、次回のサイクルにおいて爪69が前進端にくるとき、レバー72の偏心が図の右側にくる(回転軸71の軸心に対し、レバー72の支持点が右側にくる)こととなる。このため、あるサイクルにおける爪69の前進端位置と、その次のサイクルにおける爪69の前進端位置とでは、前記偏心量Hの2倍の差が生じうるようになっている。これにより、例えば図7、図8(b)に示すように、上部のスリット31に案内されるPTPシート1の方が、下部のスリット32に案内されるPTPシート1よりも前進した位置まで送られ、ひいては、相対しあうポケット部2同士が所定量だけずれた位置にセットされるようになっているのである。
【0060】
また、本実施の形態において、前記偏心は適宜調整可能となっている。例えば、前記爪69が前進端(図の右端)にあるとき、レバー72の偏心が図の下側にあるよう(回転軸71の軸心に対し、レバー72の支持点が図の下側にくるよう)設定したとする。前記爪69は回転軸71の2倍の速度で回転(揺動)動作するため、次回のサイクルにおいて爪69が前進端にくるとき、レバー72の偏心が図の上側にくる(回転軸71の軸心に対し、レバー72の支持点が上側にくる)。このため、あるサイクルにおける爪69の前進端位置と、その次のサイクルにおける爪69の前進端位置とがほぼ同じとなり、送り量に差がほとんどなくなることとなる。このように、前記偏心を適宜調整することで、上部のスリット31に案内されるPTPシート1の送り位置と、下部のスリット32に案内されるPTPシート1の送り位置との相対位置関係を適宜調整することができるようになっている。
【0061】
次に、チャック送り手段35について説明する。チャック送り手段35は、上述したように、ホルダ手段33にて保持セットされている上下2枚のPTPシート1をその相対位置関係のまま保持し、所定の抱き合わせ状態にて次の装置(積載装置91)へと送るためのものである。図10に示すように、チャック送り手段35は、駆動軸73と、該駆動軸73の回転に伴って回転するインデックス74とを備えている。駆動軸73は間欠駆動機構に接続されていて、基本的には所定の角度(約90度)毎に間欠的に駆動されるようになっている。
【0062】
インデックス74には、駆動軸73の円周方向に等間隔毎に形成された複数の(4つの)固定爪75が固定されている。また、インデックス74にはスライド台76が固定されており、該スライド台76に可動爪77がスライド可能に取付けられている。これら固定爪75及び可動爪77により、PTPシート1を把持するチャック装置78が構成されている。可動爪77は、自身及び固定爪75間に設けられたコイルバネ79の引張力により、常にはチャック装置78が閉じられる方向(固定爪75に近接する方向)へと引っ張られている。
【0063】
また、本実施の形態では、前記可動爪77を適宜開閉方向へスライドさせるためのカム機構が備えられている。すなわち、図10及び図11(a)に示すように、前記駆動軸73に対しベアリング機構を介してカム81が設けられている。一方、インデックス74には、前記駆動軸73から所定距離離間した位置に前記可動爪77に対応するようにして4カ所に回転軸82が設けられている。回転軸82には第1レバー83が取付けられており、第1レバー83の先端には前記カム81に当接するカムフォロア84が設けられている。また、回転軸82には第2レバー85が取付けられており、該第2レバー85のほぼ先端部が前記可動爪77から突出する突出部86に当接している。これにより、カムフォロア84がカム81の突出部分(カムノーズ)に乗り上げた場合には、第1レバー83及び回動軸82が相対回動することとなり、これに伴って、第2レバー85が回動する。このため、第2レバー85の先端部分が突出部86を押すこととなり、可動爪77はコイルバネ79の引張力に抗して開き方向へとスライドするようになっている。なお、カム81は、駆動軸73に対して相対回転可能に設けられているとともに、図11(b)に示すようなプロフィールを有しており、チャック装置78(可動爪77)が前進位置(図の右方位置)を過ぎたあたりからカムフォロア84が乗り上げはじめる。そして、図の下端位置を過ぎたあたりから可動爪77の開き量Wが増大しはじめ、その後、図の左方位置(受け取り位置)に至るまでにかけて、可動爪77の開き量Wが最大となる。さらにその後、可動爪77は急激に閉じはじめ、PTPシート1を把持することができるようになっている。
【0064】
さらに、図1に示すように、チャック送り手段35は、前記チャック装置78が前進端位置にきたときに、該チャック装置78にて抱き合わせ状態で把持されている上下一対のPTPシート1を次の積載装置91へ送るための送り機構92を備えている。該送り機構92は、前述したセット手段34の場合と同様に、ロッド93や爪94等を備えており、爪94の先端部分が同図2点鎖線で示すような前後運動を行うことで、次の積載装置91へPTPシート1を把持状態のまま搬送することができるようになっている。
【0065】
また、次の積載装置91は、前記チャック装置78の前進端に近接した状態で設けられている。積載装置91では、上部ガイド及び下部ガイド(共に図示せず)によって抱き合わせ状態の一対のPTPシート1をガイドした状態で、複数組(例えば5組)のPTPシート1を積載できるような構造となっている。
【0066】
さて、以上のように構成された抱き合わせ搬送装置11によって図12に示したPTPシート1を抱き合わせて積載装置91へと搬送する手順について説明する。
【0067】
まず、フィンに載置されたPTPシート1は、爪7及びロッド8等よりなる送り機構9によって、1枚ずつ反転装置12の方へと送られる。反転装置12においては、クランプ装置21が受け取り位置(図2の左位置)に向いた状態で間欠停止させられている間に、PTPシート1がポケット部2を下にした状態で固定爪23及び可動爪24間に入れられる。そして、スライド機構25の作動が解除されて可動爪24が上方へスライドし、PTPシート1をクランプする。
【0068】
このとき、上側にある固定爪23が基準となって(不動状態で)、PTPシート1はクランプされる。このため、ポケット部2の設けられていないフラットな面が、基準となる固定爪23に当接することとなる。従って、PTPシート1のフラットな面が基準となって、次の工程へと搬送されることとなり、基準側がポケット部2の影響(厚みの影響)を受けない。その結果、ホルダ手段33のスリット31,32に的確、かつ、確実に導くことができる。
【0069】
次に、駆動軸14が約90度間欠回転すると、今度は固定軸23にクランプ装置21が受け取り位置にきて、上記と同様にしてクランプ装置21にて次のPTPシート1がクランプされる。そして、上記の動作が繰り返し行われる。
【0070】
さて、回転軸18側のクランプ装置21が受け取り位置とは180度逆方向の受け渡し位置に到達すると、上述したようにクランプ装置21は前記受け取り位置に向いていた状態から回転軸18の軸線の回りで180度回転した状態になるので、PTPシート1は上下面が反転されずにポケット部2が下向きになったままで、かつ、タグ部6は180度逆方向の向きとなる(向きが転回される)。そして、この状態から、前記セット手段34の爪69により、ポケット部2が下向きになっているPTPシート1が前方へ送られ、ホルダ36L,36R、37L,37Rの上部のスリット31へと案内される。
【0071】
また、固定軸19側のクランプ装置21は、固定軸19の軸線の回りで回転し得ないので、受け渡し位置に到達したとき、それにクランプされたPTPシート1は、上下面が反転されてポケット部2が上を向いた状態になり、かつ、前記タグ部6は前と同じ向きとなる。そして、この状態から、前記セット手段34の爪69により、ポケット部2が上向きになっているPTPシート1が前方へ送られ、ホルダ36L,36R、37L,37Rの下部のスリット32へと案内される。
【0072】
このとき、上述したように、各一対のホルダ36L,36R、37L,37Rは、相互に近づいた状態にあり、前記スリット31,32によりPTPシート1の両側が保持される。また、上部のスリット31へとPTPシート1を案内する場合と、下部のスリット32へとPTPシート1を案内する場合とでは、爪69の前後ストロークが異なっているため、図7、図8(b)に示すように、上部のスリット31に案内されるPTPシート1の方が、下部のスリット32に案内されるPTPシート1よりも前進した位置まで送られ、ひいては、相対しあうポケット部2同士が所定量だけずれた位置にセットされる。さらに、このとき、スリット31,32の中間部分は、PTPシート1のカール方向とは逆向きの湾曲状に形成されているため、該湾曲部分が抵抗となって、PTPシート1の行き過ぎが抑制される。そのため、当初予定された位置にてPTPシート1を停止、保持することができる。なお、前記偏心の程度が適宜調整可能となっているため、そのときどきのニーズに応じて、上部のスリット31に案内されるPTPシート1の送り位置と、下部のスリット32に案内されるPTPシート1の送り位置との相対位置関係を適宜調整することができる。
【0073】
さて、上下2枚のPTPシート1がスリット31,32に案内されたときに、今度は、前記チャック送り手段35のチャック装置78により把持される。このとき、前記カム81が図11(b)の半時計方向に若干回動させられる。これにより、カムノーズに乗り上げていたカムフォロア84が降りるよう制御されることから、可動爪77が固定爪75に対し近接する方向へ相対移動する。
【0074】
このとき、固定爪75側が一応の基準となっているため(可動爪77に対して相対不動状態となっており、双方可動ではないため)、構造が複雑になることがなく、また、チャック時の基準を定めるための構造を容易に確保することができる。
【0075】
但し、本実施の形態では、前記可動爪77が閉じ方向に相対移動するに際して、駆動軸73及びインデックス74が約3度ほど図10の時計回り方向に回動させられる。これにより、PTPシート1に対しては、上方から可動爪77が下方に向けて移動してくるのに合わせて、インデックス74が約3度動くことによって固定爪75も下方から上方に向けて移動してくることとなる。従って、上下一対のPTPシート1は、上下両方から可動爪77及び固定爪75によって把持されることとなる。このため、可動爪77のみが移動させられてPTPシート1がチャックされる場合に比べて、PTPシート1の撓み量の半分に抑えることができる。
【0076】
より詳しくは、固定爪75及び可動爪77間の距離が例えば「20mm」あった場合において、可動爪77のみがスライドすることによりチャックされる場合には、PTPシート1の撓み量が最大で「20mm」(ポケット部2を考慮しない場合)程度となる。これに対し、本実施の形態ではPTPシート1にとっては可動爪77及び固定爪75が双方動くことでチャックされるため、上下のPTPシート1の撓み量はそれぞれ最大で半分の「10mm」(ポケット部2を考慮しない場合)程度に抑えることができる。このため、撓み量が大きすぎることによるPTPシート1への悪影響を抑制することができる。そして、インデックス74が約3度動くことによって、固定爪75及び可動爪77による一対のPTPシート1の把持が完了する。
【0077】
なお、前記チャックに際しては、前記サーボモータ44が逆駆動されボールねじ45が反対方向へ回される。これにより、対となっているホルダ36L,36R及びホルダ37L,37R同士が互いに開く(離間する)方向へと移動し、PTPシート1の把持状態が解除される。
【0078】
その後、前記チャック装置78にて抱き合わせ状態にて把持されたPTPシート1は、インデックス74の回転に伴って前進端方向へと搬送される。なお、かかるインデックス74の動きに追従して、カム81も前記回動量だけ時計回り方向に回動する。これにより、カム81は元の位置に復帰する。
【0079】
そして、PTPシート1が前進端位置に到達したとき、前記送り機構92の爪94によって、抱き合わせ状態となっているPTPシート1が次の積載装置91へ把持状態のまま搬送される。次の積載装置91においては、抱き合わせ状態の一対のPTPシート1がガイドされた状態で、複数組(例えば5組)積載される。そして、次の例えばパッケージング工程へと供される。
【0080】
このように、本実施の形態によれば、ホルダ手段33のスリット31,32にて所定の相対位置関係にて保持されている上下一対のPTPシート1が、所定の抱き合わせ状態のまま次の積載装置91へと送られる。このため、たとえPTPシート1にカールが発生したとしても、相互に位置調整されたPTPシート1が位置ずれを起こして搬送されてしまうことがない。その結果、位置ずれに起因する各種不具合を防止することができる。
【0081】
また、コンベアの爪で搬送されていた従来技術とは異なり、本実施の形態では搬送機構としてコンベアが用いられることがないため、構造の簡素化が図られる。特に、万が一PTPシート1が下部に落下したとしても、抱き合わせ搬送装置11の下部にはベルトコンベア、それらを動かすためのプーリ等が存在せず、各種搬送部材が密集していることがないため、容易に落下したPTPシート1を取り出すことができる。さらには、各種装置の保守、部品交換等におけるメンテナンスを容易に行うことができる。
【0082】
尚、上述した実施の形態の記載内容に限定されることなく、例えば次のように実施してもよい。
【0083】
(a)上記実施の形態では、2枚のPTPシート1を抱き合わせることとしたが、3枚或いは4枚以上抱き合わせることとしてもよい。
【0084】
(b)上記(a)の場合、ポケット部2同士が互いに向き合わないPTPシート1が存在してもよい。
【0085】
(c)上記実施の形態ではPTPシート1を、(1)上下面を反転させて送ること、(2)上下面を反転させることなく、かつ、向きを転回させて送ること、の上記(1),(2)を1枚おきに交互に行うこととした。これに対し、上述した(a),(b)を鑑みると、必ずしも(1),(2)を1枚おきに行う必要はないあ。従って、例えば2回連続して上下面を反転させて送るよう構成したり、2回連続してって上下面を反転させることなく、かつ、向きを転回させて送るよう構成したりしてもよい。
【0086】
(d)クランプ装置21における固定爪23及び可動爪24の位置関係が互いに逆となっていてもよい。
【0087】
(e)チャック装置78における固定爪75及び可動爪77の位置関係が互いに逆となっていてもよい。
【0088】
(f)上記実施の形態ではPTPシート1を同時に複数列(2列)並行に送ることができるような構成となっているが、1列であってもよいし、3列以上並行に送ることができるような構成であってもよい。
【0089】
(g)PTPシート1の形状、構成については、図12に示したものに限定されず、少なくとも1つのポケット部2が存在すればよい。従って、例えばタグ部6が省略されていてもよいし、スリット4,5に代えて、ミシン目が形成されていてもよい。
【0090】
(h)上記実施の形態における反転装置12は、傘歯車26,27の作用により回転軸18が回転する構成となっているが、別途の駆動手段(例えばモータ等)により回転させる構成であってもよい。
【0091】
(i)反転装置12に設けられるクランプ装置21や、チャック送り手段35に設けられるチャック装置78の個数は、特に4つに限定されるものではなく、例えば2つでもよいし、6つでも8つでもよい。但し、ほぼ同等の間隔を隔てて、かつ、偶数個設けられていることが望ましい。
【0092】
(j)上記実施の形態では、抱き合わせ状態にあるPTPシート1が送り機構92により積載装置91へと搬送されるような構成であったが、例えばパッケージング装置等別途の装置に搬送されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】一実施の形態に係るPTPシート抱き合わせ搬送装置の搬送過程をを示す概略側面図である。
【図2】反転装置を示す一部破断側面図である。
【図3】反転装置を示す一部破断平面図である。
【図4】反転装置の反転機構を説明するための部分斜視図である。
【図5】セット手段を主として示す模式的な側面図である。
【図6】同じくセット手段を示す一部破断正面図である。
【図7】ホルダ手段を示す部分斜視図である。
【図8】(a)はホルダを示す部分側面図であり、(b)はスリットにPTPシートが保持された状態を示す模式図である。
【図9】ホルダ手段を示す一部破断正面図である。
【図10】チャック送り手段のうち、チャック装置、駆動軸等を示す側面図である。
【図11】(a)はカム及びカムフォロアの構成を説明する模式図であり、(b)はカムプロフィール及びレバーの動作等を説明する模式図である。
【図12】PTPシートの一例を説明する平面図である。
【図13】抱き合わせ状態にあるPTPシートを示す平面図である。
【図14】抱き合わせ状態にあるPTPシートを示す斜視図である。
【図15】抱き合わせ状態にあるPTPシートを示す側面模式図である。
【図16】カールが発生した場合の不具合を説明するPTPシートを示す側面模式図である。
【符号の説明】
1…PTPシート、2…ポケット部、11…抱き合わせ搬送装置、12…反転装置、13…位置調整搬送装置、18…回転軸、19…固定軸、21…クランプ装置、23…固定爪、24…可動爪、25…スライド機構、31…スリット、32…スリット、33…ホルダ手段、34…セット手段、35…送り手段としてのチャック送り手段、36L,36R,37L,37R…ホルダ、38…ホルダ駆動機構、55…駆動軸、61…従動軸、64…スライド軸、65…ロッド、66…偏心軸、69…爪、71…回転軸、72…レバー、73…駆動軸、74…インデックス、75…固定爪、77…可動爪、78…チャック装置、81…カム、91…積載装置、92…送り機構。

Claims (6)

  1. ポケット部を備えたPTPシートを搬送するとともに、1枚又は複数枚おきに表裏面の反転を伴うようにして搬送可能な反転装置と、
    前記反転装置にて搬送されてくる複数のPTPシートのうち、少なくとも2枚に関し互いに前記ポケット部が向き合い、かつ、所定の相対位置関係を維持した抱き合わせ状態にて次工程へ搬送可能な位置調整搬送装置と
    を備えたPTPシート抱き合わせ搬送装置であって、
    前記位置調整搬送装置は、
    前記反転装置から搬送されてくるPTPシートを、所定の相対位置関係にて位置調整された状態で互いに前記ポケット部が向き合う位置に配列させ、各両側部を保持することにより上下位置に配列させるべく、上下段に溝状のスリットを有する少なくとも一対のホルダにて構成されており、前記反転装置から搬送されてくるPTPシートの両側部を前記スリットにて保持可能であり、当該スリットには前記PTPシートの過移送を規制するための規制手段が設けられているホルダ手段と、
    前記所定の相対位置関係にて位置調整された状態を維持したまま、前記ホルダ手段にて上下位置に配列されたPTPシートを、その表裏両面側から挟むチャック装置及び該チャック装置を移動させることによりPTPシートをガイドしつつ次工程へ搬送する移動手段とを有していることを特徴とするPTPシート抱き合わせ搬送装置。
  2. ポケット部を備えたPTPシートを搬送するとともに、1枚又は複数枚おきに上下面の反転を伴うようにして搬送可能な反転装置と、
    前記反転装置にて搬送されてくる複数のPTPシートのうち、少なくとも2枚に関し互いに前記ポケット部が向き合い、かつ、所定の相対位置関係を維持した抱き合わせ状態にて次工程へ搬送可能な位置調整搬送装置と
    を備えたPTPシート抱き合わせ搬送装置であって、
    前記位置調整搬送装置は、前記反転装置から搬送されてくるPTPシートを上下段にて保持可能なホルダ手段と、
    前記PTPシートをホルダ手段の所定位置にてセットするためのセット手段と、
    前記ホルダ手段にて保持セットされている複数のPTPシートを保持し、所定の抱き合わせ状態のまま次工程へと送るための送り手段と
    を有しており、
    前記セット手段は、前記PTPシートを前記ホルダ手段の上下段にセットする際の相対位置関係を調整可能な位置調整機構を具備しており、
    前記ホルダ手段は、上下段に溝状のスリットを有する少なくとも一対のホルダにて構成されており、前記反転装置から搬送されてくるPTPシートの両側部を前記スリットにて保持可能であり、当該スリットには前記PTPシートの過移送を規制するための規制手段が設けられており、
    前記送り手段は、前記ホルダ手段の前記スリットにて保持セットされている複数のPTPシートを表裏両面側から挟むようにして保持するチャック装置と、該チャック装置を移動させることによりPTPシートをガイドしつつ次工程へ搬送する移動手段とを有していることを特徴とするPTPシート抱き合わせ搬送装置。
  3. 前記チャック装置は、固定爪及び該固定爪に対して接離方向に移動可能に設けられた可動爪を備えており、前記PTPシートを表裏両面側から挟むようにして保持する際には、可動爪を接触方向へ移動させるとともに、前記固定爪がPTPシート側へ近接する方向へチャック装置自体をも移動させるようにしたことを特徴とする請求項又はに記載のPTPシート抱き合わせ搬送装置。
  4. 前記移動手段は、自身を回転させることにより自身の周りに設けられた前記チャック装置を回転移動させるものであることを特徴とする請求項乃至のいずれかに記載のPTPシート抱き合わせ搬送装置。
  5. 前記反転装置は、表裏面の反転を伴わない場合には、向きの転回を伴うように前記PTPシートを搬送可能となっていることを特徴とする請求項1乃至のいずれかに記載のPTPシート抱き合わせ搬送装置。
  6. 前記反転装置は前記PTPシートの搬送に際し、該PTPシートを表裏両面側からクランプするクランプ装置を備えており、該クランプ装置は固定爪及び該固定爪に対して接離方向に移動可能に設けられた可動爪を備えており、前記PTPシートのポケット部が設けられていない面が前記固定爪に当接するよう構成したことを特徴とする請求項1乃至のいずれかに記載のPTPシート抱き合わせ搬送装置。
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