JPH0315441Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 産業上の利用分野 この考案は、包装用フイルムの移送装置に関
し、更に詳細には、筒状に成形した極薄の軟質合
成樹脂製フイルムを、給送方向に案内するための
案内部材（例えば充填パイプ）の外面に沿つてス
リツプを生ずることなく、円滑かつ確実に移送し
得るよう構成した移送装置に関するものである。

従来技術 一般に「ピロー包装機」と称される縦型の製袋
充填包装機は、帯状の連続した包装用フイルムを
下流側に向けて間欠的に移送する過程で製袋器に
より筒状に成形し、得られた筒状フイルムにおけ
る長手方向の端縁部に縦方向のシールを施すと共
に所定間隔で横方向のシールを施し、該フイルム
中に被包装物品を所要のタイミングで供給した
後、更に該物品の上方で該フイルムに横シール・
切断を施すことによつて、いわゆるピロー包装袋
を得ている。この種のピロー包装機では、筒状に
成形した包装用フイルムを、スリツプを生ずるこ
となく、高速で下流側に向けて移送することが要
請されており、この要請を実現するために種々の
フイルム移送手段が提案されている。

なお、ピロー包装機の別の一形態である横型製
袋充填包装機では、筒状フイルムを水平に移送す
る途上において、該フイルムの長手方向両端縁部
を対向し合うローラにより挟圧して間欠移送する
装置が設置されている。これに対して縦型製袋充
填包装機では、その筒状に成形されたフイルムの
移送方向および被包装物品の供給充填方向が、何
れも垂直であるために、被包装物品の供給とフイ
ルムの案内とを行なう充填パイプの外周両側にお
いてフイルム移送をなす形態が一般的である。

考案が解決すべき課題 従来の縦型ピロー包装機では、第８図に略示す
るように、「ベルト・コロ併用式」のフイルム移
送装置が広く実施されている。この移送装置で
は、被包装物品の投入用ホツパー１１と連通する
よう垂直に立設した円筒状充填パイプ１２の外周
両側に、一対のベルト式移送体１３が縦設され、
該充填パイプ１２の外周両側の上下各部に適数個
の案内コロ１７，１７が配置されている。そして
充填パイプ１２の上方に設けた製袋器２０で筒状
に成形され、該充填パイプ１２の外周に繰出され
た筒状フイルムＦを、前記双方の移送体１３，１
３のベルト１６，１６と案内コロ１７，１７との
間で挟持しつつ下方へ送出すようになつている。

しかしこの装置では、ベルト１６と案内コロ１
７との間の押圧力が不足すると、充分なフイルム
挟持力が得られず、スリツプを生じて該フイルム
の良好な繰り出しをなし得ない欠点がある。また
ベルト１６と案内コロ１７との押圧力を強くし過
ぎると、フイルムが案内コロ１７間の隙間に食い
込んで皺や撚れを生じ、同じくフイルムの良好な
繰り出しをなし得ない。また充填パイプ１２が比
較的小径なものでは、案内コロ１７，１７の配設
が難しくなる等の問題点を有し、前述したベルト
１６と案内コロ１７との隙間調節が煩雑となる欠
点に加えて、フイルムの厚みが相違した場合に再
度の調節を必要とする等、多くの欠点があつた。

そこで、前述の形式の移送装置の一つとして、
考案「自動包装機におけるフイルム繰出装置」
（実公昭54−30293号）が提案されている。この装
置は、無端多孔ベルトと真空箱との組合せからな
るものであつて、第９図に示す如く、ホツパー２
１に連設した充填パイプ２２の外周両側に、真空
源に連通する真空箱２７，２７が配設されてい
る。この真空箱２７に開設した開口面と充填パイ
プ２２との間には、多数の透孔を穿設した無端ベ
ルト２６が走行自在に介在し、かつ該ベルト２６
と充填パイプ２２との間には若干の間隙が保持さ
れている。そして充填パイプ２２外周に位置する
筒状フイルムＦを、前記無端ベルト２６の穿孔部
を介して真空吸引しつつ、該ベルト２６の移行に
従つて下方に向け移送するようになつている。

かかる装置によれば、比較的高いフイルム吸着
力が得られることから、フイルムの高速移送が可
能となり、また充填パイプ２２が比較的小径であ
つても実施可能な利点がある。しかしこの装置で
は、前述の如く、ベルト２６の張り側部分と充填
パイプ２２外周との間に所要の隙間を保持させる
必要があり、その調整に精度を要する難点が依然
として存在する。殊に充填パイプ２２とベルト２
６とが接触してしまうと、その摩擦力により逆に
フイルムの送り不良を生じてしまう。また真空吸
引源を別途必要とすると共に、設備が複雑化して
製造コストが嵩む欠点もあり、小型の縦型ピロー
包装機に採用したり、小規模少量包装に対処する
には実施し難い問題がある。

このため近年では、小規模包装分野において
も、フイルム移送効率の良い、小型で安価な移送
装置の実用化が要請されている。

考案の目的 本考案の目的は、包装用フイルムに対して良好
な吸着作用をもつて移送効果を高め得ると共に、
製造コストが低廉で保守管理の容易なフイルム移
送装置を提供することにある。

課題を解決するための手段 前述した課題を克服し、所期の目的を達成する
ため本考案は、筒状に成形した包装用フイルムを
給送方向に案内する案内部材の両側に、夫々給送
方向に離間した一対のプーリを回転自在に配設
し、各対をなすプーリ間に掛架した無端ベルトの
片側面を、前記案内部材に位置する包装用フイル
ムに接触させ、前記無端ベルトの積極駆動により
該フイルムを移送するよう構成した包装用フイル
ムの移送装置において、 前記無端ベルトのフイルム接触側面に、前記包
装用フイルムに圧着可能な複数の圧着縁と、この
圧着縁で囲まれる部分に凹設した任意形状の凹部
とからなる吸着面を設けたことを特徴とする。

実施例 次に、本考案に係る包装用フイルムの移送装置
につき、好適な実施例を挙げて、添付図面を参照
しながら以下説明する。図示に係る装置は、一般
化されている縦型ピロー包装機に実施した場合に
ついて例示するものであつて、同包装機における
被包装物品の供給ホツパー１の下方に垂直に連設
した充填パイプ２の外周両側に、一対の移送体
３，３が縦設されている。この移送体３，３は、
共通の駆動部により伝達機構（図示せず）を介し
て同調回転される下方の駆動プーリ４と、上方の
従動プーリ５とを備え、各対をなす両プーリ４，
５の間に、フイルム移送用の無端ベルト６が着脱
交換自在に掛架されて、そのベルト表面部６ａを
前記充填パイプ２の外周に適宜圧接可能としてい
る。

前記の無端ベルト６は、好ましくは軟質の合成
ゴム材または合成樹脂材を材料とし、第３図に示
す如く、そのベルト表面部６ａにおける片面全域
に吸着面７が成形されている。この吸着面７は、
充填パイプ２の外周に位置する筒状フイルムＦに
適宜圧接された際に、負圧を内部に形成して自己
吸着作用を発揮し得るものであつて、一例として
第４図に示す如く、ベルト６の長手方向および幅
方向に多数条の圧接縁７ａ，７ａが同一平坦面で
整列形成してある。そして各圧着縁７ａ，７ａで
囲われる夫々の方形升目部分を台形状に凹設する
ことにより、吸引凹部７ｂ，７ｂを形成してい
る。すなわちベルト表面部６ａの面全体が方形凹
凸形状をなして、この吸着面７が筒状フイルムＦ
に剥離可能に吸着し得るようになつている。なお
符号１０は製袋器を示す。

実施例の作用 次に、この実施例に係るフイルム移送装置の作
用につき説明する。包装機の嫁動時において、充
填パイプ２の外周両側に配設した無端ベルト６，
６が、その包装動作とタイミングを合わせて図示
の矢印方向に回転する。これにより、各ベルト６
のベルト裏面部６ｂが従動プーリ５により駆動さ
れて、当該ベルト６の積極走行がなされる。これ
により無端ベルト６は、そのベルト表面部６ａを
充填パイプ２の外周に位置する筒状フイルムＦに
適宜の押圧力をもつて圧接しつつ走行することに
なる。すなわち同ベルト６の前記吸着面７におけ
る各圧着縁７ａが、筒状フイルムＦを充填パイプ
２に対して圧着すると共に、当該圧着縁７ａも僅
かに一時変形して、各吸引凹部７ｂの空気を追い
出して内部を負圧とする。このため、あたかも
「蛸の吸着盤」の如き吸引作用が発揮されて、前
記一群の吸着面７でフイルムＦを吸着保持したま
ま下方へ移送する（第５図参照）。

そして両無端ベルト６，６のベルト表面部６
ａ，６ａが当該の駆動プーリ４に沿つて非圧接側
に移行する際に、該ベルト表面部６ａにおける吸
着面７は、夫々の圧着縁７ａ，７ａが筒状フイル
ムＦに対し離隔方向へ変移しながら剥離し、夫々
の吸引凹部７ｂ，７ｂは常圧に復帰して吸引能力
を消失し、筒状フイルムＦから順次剥離される。
以下前述したところと同様に、吸着面６における
負圧形成による自己吸着と、常圧復帰による剥離
とを反復して、フイルムＦをスリツプを生ずるこ
となく確実に移送し得る。

本考案に係る包装用フイルムの移送装置は、充
填パイプの外周両側に配設される移送体における
無端ベルトに吸着面を形成してなるもので、かか
る技術例については、前述した実施例以外に種々
の変形例が提案される。例えば第６図に略示する
ように、両プーリ４，５間に掛架される無端ベル
ト６の片側面に、吸着面７を形成した吸着マツト
８を貼着した形式であつてもよい。また第７図に
略示する如く、両プーリ４，５間に掛架される無
端ベルト６の片側面に、ネツト状材９を貼着して
その表面を吸着面７とした形式であつてもよい。
更に、前述した何れの形式の無端ベルトであつて
も、吸着面７については、その吸引凹部７ｂを、
矩形状とする以外に、例えば円形状または六角形
状等に形成してもよい。

なお本実施例では、縦型の製袋充填包装機に充
填パイプを使用する例につき説明したが、筒状フ
イルムを給送方向に案内するべく機能するもので
あれば、図示例の如き充填パイプに限定されるも
のではない。従つて該充填パイプの配設に代え
て、所定間隔で対向させた一対の板材等であつて
もよいことは勿論である。

考案の効果 以上説明した如く本考案は、筒状フイルムを給
送方向に案内する案内部材、例えば充填パイプの
両側に、給送方向に離間して回転自在に一対のプ
ーリを配設し、各対をなすプーリ間に掛架した無
端ベルトの片側面を前記案内部材に位置するフイ
ルムに接触させると共に、前記無端ベルトの積極
駆動により該フイルムを移送する装置において、
前記無端ベルトのフイルム接触側面に、前記包装
用フイルムに圧着可能な複数の圧着縁と、この圧
着縁で囲まれる部分に凹設した任意形状の凹部と
からなる吸着面を設けてなるものである。そして
双方の無端ベルトが案内部材の外面と適宜圧接状
態で移行する過程において、吸着面が包装用フイ
ルムを弾性的に圧接する際にこれを吸着保持し
て、皺等を生ずることなく良好に移送し得る。

本案の装置では、無端ベルトに形成された吸着
面の自己吸引作用をもつて包装用フイルムを吸着
移送し得るものであるから、従来装置のような複
数個の案内コロや大掛かりな真空吸着機構を一切
必要とせず、製造コストを低廉に抑えることがで
き、スリツプを生ずることなく円滑にフイルム移
送をなし得る。特に本装置は、無端ベルトの片側
を案内部材の外周に通常程度に弾性的に圧接させ
て、同片側部分の吸着面で包装用フイルムを吸着
させるものであるから、該案内部材と無端ベルト
との圧接状態の特別な強弱調整や、両者の隙間設
定を不要にし得ると共に、構成部品数を省略する
ことができる。

【図面の簡単な説明】

第１図〜第７図は本考案に係る包装用フイルム
の移送装置の実施例を示すものであつて、第１図
は移送装置の実施態様を略示する正面図、第２図
は第１図の−線断面図、第３図は移送体の全
体を略示する斜視図、第４図は吸着面を示す詳細
図、第５図は本例装置によるフイルム吸着移送状
態を示す説明図、第６図および第７図は移送体の
別例を夫々略示する斜視図、第８図はこの種の移
送装置の従来例を略示する正面図、第９図は従来
の別移送装置を略示する正面図である。 ２……ホツパー、３……移送体、４……駆動プ
ーリ、５……従動プーリ、６……無端ベルト、７
……吸着面。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 〔１〕 筒状に成形した包装用フイルムを給送方
   向に案内する案内部材の両側に、夫々給送方向
   に離間した一対のプーリを回転自在に配設し、
   各対をなすプーリ間に掛架した無端ベルトの片
   側面を、前記案内部材に位置する包装用フイル
   ムに接触させ、前記無端ベルトの積極駆動によ
   り該フイルムを移送するよう構成した包装用フ
   イルムの移送装置において、 前記無端ベルトのフイルム接触側面に、前記
   包装用フイルムに圧着可能な複数の圧着縁と、
   この圧着縁で囲まれる部分に凹設した任意形状
   の凹部とからなる吸着面を設けた ことを特徴とする包装用フイルムの移送装置。 〔２〕 前記吸着面を、無端ベルトにおけるフイ
   ルム接触側面の全面に亘つて形成したことを特
   徴とする実用新案登録請求の範囲第１項記載の
   包装用フイルムの移送装置。