以下、一実施形態について図面を参照しつつ説明する。まず作業対象となるPTPシートについて詳しく説明する。
図1(a),(b)に示すように、本実施形態におけるPTPシート1は、複数のポケット部2を備えた容器フィルム3と、ポケット部2を塞ぐようにして容器フィルム3に取着されたカバーフィルム4とを有している。
本実施形態における容器フィルム3は、例えばPP(ポリプロピレン)やPVC(ポリ塩化ビニル)等の透明の熱可塑性樹脂材料により形成されている。一方、カバーフィルム4は、例えばポリプロピレン樹脂等からなるシーラントが表面に設けられた不透明材料(例えばアルミニウム箔等)により構成されている。
PTPシート1は、平面視略矩形状に形成されており、その長手方向に沿って配列された5個のポケット部2からなるポケット列が、その短手方向に2列形成されている。つまり、計10個のポケット部2が形成されている。各ポケット部2には、内容物として錠剤5が1つずつ収容されている。
また、容器フィルム3には、PTPシート1を2つのポケット部2が含まれるペア小片に切り離すことができるように、シート短手方向に沿った複数の横スリット(切離用スリット)6が形成されている。さらに、PTPシート1のシート長手方向一端部には、ロットナンバー等の識別情報が刻印されたタグ部7が形成されている。
PTPシート1は、従来同様、ブリスター包装機(図示略)において、容器フィルム3にポケット部2を成形するポケット成形工程、ポケット部2に錠剤5を充填する充填工程、ポケット部2を塞ぐように容器フィルム3に対しカバーフィルム4を取着するカバーフィルム取着工程、横スリット6を形成するスリット形成工程、タグ部7に対し刻印を行う刻印工程、シート状に打ち抜く打抜工程等を経て製造される。
上記各種工程を経て製造されたPTPシート1は、集積工程において複数段に積み重ねられた後、包装工程へと送られる。包装工程においては、ピロー包装やバンド結束等され後、箱詰め等されることとなる。
本実施形態における製造ライン(製造装置)は、PTPシート1の集積形態を切替えて生産を行うことができるように構成されている。具体的には、ポケット部2を有する表面側(容器フィルム3側)が互いに向き合うように、PTPシート1を2枚一組の抱き合わせ状態〔図2(a)参照〕とした上で、図2(b)に示すように所定組数(例えば5組10枚)ずつ積み重ねる「抱き合わせ集積形態」と、図2(c)に示すようにPTPシート1を同じ向きで所定枚数(例えば5枚)ずつ積み重ねる「積み上げ集積形態」とに切替え可能に構成されている。
以下、PTPシート1の製造ラインについて説明する。但し、本実施形態においては、製造ラインのうち、ブリスター包装機によって製造されたPTPシート1を順次搬送し所定枚数ずつ集積する機構部分に主たる特徴を有しているため、該機構部分の構成について詳しく説明する。
ブリスター包装機の下流側には、図3に示すように、上流側より順に反転装置9、移送装置10及び集積装置11が設けられている。反転装置9及び移送装置10によって、本実施形態におけるPTPシート搬送装置が構成される。また、移送装置10により下流側機構が構成され、集積装置11により集積手段が構成されることとなる。
反転装置9は、ブリスター包装機からコンベア8など公知の搬送機構により順次一定の方向に向けられて(本実施形態ではポケット部2が下を向いた状態で)受取り位置P1まで搬送されてくるPTPシート1を1枚ずつ所定のシート受渡し機構12を介して受取り、順次、受渡し位置P2へ旋回移送する機構である。
図3,4等に示すように、反転装置9は、回転可能に支持された駆動軸14と、該駆動軸14に取付けられ、キー15により駆動軸14とともに回転するよう支持された回転体としてのハウジング16とを備えている。
駆動軸14は、図示しない間欠駆動機構に接続されている。これにより、ハウジング16は、所定方向(図3の時計回り方向)へ所定角度(本実施形態では90度)ずつ間欠的に回転駆動されることとなる。
ハウジング16には駆動軸14の直径方向に延びる一対の軸受け孔17が形成されている。軸受け孔17内には回転軸18が挿通されており、該回転軸18はハウジング16にベアリング機構を介して回転可能に支持されている。また、ハウジング16には、回転軸18に直交するようにして固定軸19が立設固定されている。
固定軸19及び回転軸18の外側端にはPTPシート1を把持するための把持手段としてのクランプ装置21が取付けられている。つまり、クランプ装置21は、ハウジング16に対し固定された固定把持手段としての2つの固定クランプ装置21A(第1固定クランプ装置21A1、第2固定クランプ装置21A2)と、ハウジング16に対し自転可能に設けられた可動把持手段としての2つの可動クランプ装置21B(第1可動クランプ装置21B1、第2可動クランプ装置21B2)とからなる。回転軸18が可動把持手段の駆動軸に相当する。
尚、本実施形態では、図3に示すように、第1可動クランプ装置21B1が受渡し位置P2に位置する場合において、第1固定クランプ装置21A1が上方位置に位置し、第2可動クランプ装置21B2が受取り位置P1に位置し、第2固定クランプ装置21A2が下方位置に位置するよう、各クランプ装置21が配置されている。
クランプ装置21は、固定軸19又は回転軸18に固定された本体22と、該本体22に固定された板状の固定爪23と、前記本体22に対し各軸18,19の軸線と直交する方向に移動可能に設けられた可動爪24と、該可動爪24をスライドさせるためのスライド機構25とを有している。
通常、可動爪24は、スライド機構25に設けられたバネ等により固定爪23側に付勢されている。一方、所定のクランプ装置21が受取り位置P1又は受渡し位置P2に向いた状態となり、駆動軸14が間欠停止されると、該クランプ装置21のスライド機構25が作動して、可動爪24はバネ等の付勢力に抗して下方向へスライドし、固定爪23から離間する。
これに連動して、例えば受取り位置P1においては、シート受渡し機構12が作動し、コンベア8上から該クランプ装置21へPTPシート1が送り出されると、該PTPシート1はポケット部2を下向きにした状態で両爪23,24間に挿入される。
そして、PTPシート1の受渡しが完了すると、スライド機構25の作動が停止し、可動爪24は再びバネ等の付勢力により上方向へスライドする。これにより、PTPシート1は両爪23,24間に把持された状態となる。
次に可動クランプ装置21Bの自転機構について説明する。但し、本実施形態において、2つの可動クランプ装置21B(第1可動クランプ装置21B1、第2可動クランプ装置21B2)は、それぞれ個別の自転機構を有しており、ハウジング16に対しそれぞれ独立して自転可能に設けられている。以下、詳しく説明する。
図3~5等に示すように、第1可動クランプ装置21B1の回転軸18には、ハウジング16側の端部において第1遊星傘歯車261が取付けられている。一方、第2可動クランプ装置21B2の回転軸18には、ハウジング16側の端部において第2遊星傘歯車262が取付けられている。但し、第1遊星傘歯車261と第2遊星傘歯車262は、直径が異なる。
第1遊星傘歯車261に対応して、駆動軸14には、ベアリング機構(図示略)を介して円柱状の内筒部271が回転可能に組付けられている。内筒部271には、ハウジング16側の端部において第1太陽傘歯車271aが形成されている。第1太陽傘歯車271aは、第1遊星傘歯車261と噛合している。第1遊星傘歯車261が本実施形態における第1の遊星歯車に相当し、第1太陽傘歯車271aが第1の太陽歯車に相当する。
第2遊星傘歯車262に対応して、内筒部271の外周側には、ベアリング機構(図示略)を介して円柱状の外筒部272が回転可能に組付けられている。外筒部272には、ハウジング16側の端部において第2太陽傘歯車272aが形成されている。第2太陽傘歯車272aは、第2遊星傘歯車262と噛合している。第2遊星傘歯車262が本実施形態における第2の遊星歯車に相当し、第2太陽傘歯車272aが第2の太陽歯車に相当する。
つまり、反転装置9においては、直径の異なる「第1太陽傘歯車271a」と「第2太陽傘歯車272a」が駆動軸14の軸心を中心として同心円状に配置された構成となっている。
内筒部271の他端部には、第1平歯車281が嵌合固定されている。つまり、第1平歯車281と内筒部271(第1太陽傘歯車271a)とが一体となって、駆動軸14に対し相対的に回動変位可能となっている。
外筒部272の他端部には、第2平歯車282が嵌合固定されている。つまり、第2平歯車282と外筒部272(第2太陽傘歯車272a)とが一体となって、駆動軸14及び内筒部271に対し相対的に回動変位可能となっている。
第1平歯車281は、駆動制御手段を構成する第1制御機構291と接続されている。第1制御機構291は、第1制御モータ291aと、その回転軸に連結された第1制御歯車291bとから構成される。第1制御歯車291bは、第1平歯車281と噛合している。
かかる構成の下、第1平歯車281及び内筒部271(第1太陽傘歯車271a)を第1制御機構291により停止保持した状態で、駆動軸14(ハウジング16)を図3の時計回り方向に回転させた場合、第1可動クランプ装置21B1は、駆動軸14の軸線回りに旋回移動しながら、第1遊星傘歯車261及び第1太陽傘歯車271aの作用により、回転軸18の軸線回りに回転(自転)することとなる。
第2平歯車282は、駆動制御手段を構成する第2制御機構292と接続されている。第2制御機構292は、第2制御モータ292aと、その回転軸に連結された第2制御歯車292bとから構成される。第2制御歯車292bは、第2平歯車282と噛合している。
かかる構成の下、第2平歯車282及び外筒部272(第2太陽傘歯車272a)を第2制御機構292により停止保持した状態で、駆動軸14(ハウジング16)を図3の時計回り方向に回転させた場合、第2可動クランプ装置21B2は、駆動軸14の軸線回りに旋回移動しながら、第2遊星傘歯車262及び第2太陽傘歯車272aの作用により、回転軸18の軸線回りに回転(自転)することとなる。
以下、第1制御機構291によって内筒部271(第1太陽傘歯車271a)が停止保持され、第1可動クランプ装置21B1が自転可能に制御されている状態、及び、第2制御機構292によって外筒部272(第2太陽傘歯車272a)が停止保持され、第2可動クランプ装置21B2が自転可能に制御されている状態をそれぞれ「可動制御状態」という。
一方、第1平歯車281及び内筒部271(第1太陽傘歯車271a)を駆動軸14と同期して(同方向に同速度で)回転させた場合、第1可動クランプ装置21B1は、回転軸18の軸線回りに回転(自転)することなく、駆動軸14の軸線回りに旋回移動することとなる。
同様に、第2平歯車282及び外筒部272(第2太陽傘歯車272a)を駆動軸14と同期して(同方向に同速度で)回転させた場合、第2可動クランプ装置21B2は、回転軸18の軸線回りに回転(自転)することなく、駆動軸14の軸線回りに旋回移動することとなる。
以下、第1制御機構291によって内筒部271(第1太陽傘歯車271a)が駆動軸14と同期して回転し、第1可動クランプ装置21B1が自転しないように制御されている状態、及び、第2制御機構292によって外筒部272(第2太陽傘歯車272a)が駆動軸14と同期して回転し、第2可動クランプ装置21B2が自転しないように制御されている状態をそれぞれ「固定制御状態」という。
尚、本実施形態では、第1遊星傘歯車261と第1太陽傘歯車271aのギヤ比が1:1に設定されている。これにより、ハウジング16が駆動軸14の軸線回りに180度回転する間に、第1可動クランプ装置21B1が回転軸18の軸線回りに180度回転(自転)することとなる。
同様に、本実施形態では、第2遊星傘歯車262と第2太陽傘歯車272aのギヤ比が1:1に設定されている。これにより、ハウジング16が駆動軸14の軸線回りに180度回転する間に、第2可動クランプ装置21B2が回転軸18の軸線回りに180度回転(自転)することとなる。
従って、後述する第1搬送形態において可動制御状態にある可動クランプ装置21B(第1可動クランプ装置21B1、第2可動クランプ装置21B2)が、受取り位置P1においてPTPシート1を把持した後、駆動軸14の軸線回りに180度旋回し、受渡し位置P2に到達すると、該可動クランプ装置21Bに把持されたPTPシート1は、表裏面が反転されずにポケット部2が下を向いた状態のままで、かつ、シート長手方向(駆動軸14の軸線方向)に対するタグ部7の向きが180度反転した状態となる(図4参照)。
一方、後述する第2搬送形態において固定制御状態にある可動クランプ装置21B(第1可動クランプ装置21B1、第2可動クランプ装置21B2)が、受取り位置P1においてPTPシート1を把持した後、駆動軸14の軸線回りに180度旋回し、受渡し位置P2に到達すると、該可動クランプ装置21Bに把持されたPTPシート1は、シート長手方向(駆動軸14の軸線方向)に対するタグ部7の向きが変化せず、かつ、表裏面が反転されてポケット部2が上を向いた状態となる。
尚、第2搬送形態において固定制御状態にある可動クランプ装置21Bと同様に、固定クランプ装置21A(第1固定クランプ装置21A1、第2固定クランプ装置21A2)は、固定軸19の軸線回りに回転しないため、受取り位置P1においてPTPシート1を把持した固定クランプ装置21Aが駆動軸14の軸線回りに180度旋回し、受渡し位置P2に到達すると、該固定クランプ装置21Aに把持されたPTPシート1は、シート長手方向(駆動軸14の軸線方向)に対するタグ部7の向きが変化せず、かつ、表裏面が反転されてポケット部2が上を向いた状態となる。
従って、反転装置9によれば、図6~図9に示した各クランプ装置21の位置関係で、両可動クランプ装置21B1,21B2を可動制御状態としつつ、駆動軸14の軸線回りに各クランプ装置21を旋回させ、PTPシート1を受取り位置P1から受渡し位置P2へ順次搬送することにより、PTPシート1を1枚おきに表裏反転した状態で移送装置10へ受け渡すことができる。つまり、かかる搬送形態が「抱き合わせ集積形態」に対応した反転装置9に係る第1搬送形態となる。
一方、図10~図13に示した各クランプ装置21の位置関係で、両可動クランプ装置21B1,21B2を固定制御状態としつつ、駆動軸14の軸線回りに各クランプ装置21を旋回させ、PTPシート1を受取り位置P1から受渡し位置P2へ順次搬送することにより、PTPシート1を常にポケット部2が上を向いた状態で移送装置10へ受け渡すことができる。つまり、かかる搬送形態が「積み上げ集積形態」に対応した反転装置9に係る第2搬送形態となる。
尚、固定クランプ装置21A、及び、第2搬送形態において固定制御状態にある可動クランプ装置21Bが受渡し位置P2に停止した際に、該クランプ装置21に把持されたPTPシート1が停止する高さ位置と、第1搬送形態において可動制御状態にある可動クランプ装置21Bが受渡し位置P2に停止した際に、該可動クランプ装置21Bに把持されたPTPシート1が停止する高さ位置とが異なるように設定されている。
具体的には、固定クランプ装置21A、及び、第2搬送形態において固定制御状態にある可動クランプ装置21Bに把持されたPTPシート1の方がより下方位置に停止し、第1搬送形態において可動制御状態にある可動クランプ装置21Bに把持されたPTPシート1の方がより上方位置に停止するように設定されている。
次に移送装置10について詳しく説明する。移送装置10は、反転装置9の各クランプ装置21により受渡し位置P2へ順次搬送されてくるPTPシート1を所定のシート受渡し機構13を介して受取り、集積装置11(集積位置P3)まで移送する機構である。
図3に示すように、移送装置10は、PTPシート1を案内するガイド部材31と、該ガイド部材31に沿ってPTPシート1を移動させる移送機構32とを有している。
ガイド部材31は、PTPシート1の搬送経路を挟んで相対向するように、すなわち図3の紙面前後方向に相対向するように配置された一対のガイド壁部31a,31bにより構成されている。一対のガイド壁部31a,31bの対向面にはそれぞれ、上下に所定間隔をあけて、PTPシート1の長手方向端縁部を挿し込み可能な断面コ字状をなす2本のガイド溝33,34が形成されている。
但し、各ガイド溝33,34の入口部(図3左側)は、間口が大きくなるようにテーパ状に開口形成されている。これにより、反転装置9のクランプ装置21から受け渡されるPTPシート1を円滑にかつ確実に各ガイド溝33,34内に案内することができる。
上ガイド溝33は、入口部から出口部(図3右側)にかけて、その全区間が略水平方向に沿って直線状に形成されている。一方、下ガイド溝34は、入口側より順に、略水平方向に沿って直線状に形成された第1区間と、出口側に向け上方傾斜した第2区間と、上ガイド溝34と合流するように形成された第3区間とにより構成されている。
上ガイド溝33によって本実施形態における上シート案内手段が構成され、下ガイド溝34によって下シート案内手段が構成される。
上ガイド溝33の入口部は、第1搬送形態において可動制御状態にある可動クランプ装置21Bが受渡し位置P2に停止した際に、該可動クランプ装置21Bに把持されたPTPシート1が停止する高さ位置に合わせて形成されている。
下ガイド溝34の入口部は、固定クランプ装置21A、及び、第2搬送形態において固定制御状態にある可動クランプ装置21Bが受渡し位置P2に停止した際に、該クランプ装置21に把持されたPTPシート1が停止する高さ位置に合わせて形成されている(図10,11等参照)。
従って、反転装置9から移送装置10への受渡し時において、第1搬送形態において可動制御状態にある可動クランプ装置21Bの両爪23,24間からシート受渡し機構13によって押し出されるPTPシート1は、ポケット部2を下に向けた状態で、その長手方向両端部がそれぞれ上ガイド溝33に対し挿し込まれることとなる。
一方、固定クランプ装置21A、又は、第2搬送形態において固定制御状態にある可動クランプ装置21Bの両爪23,24間からシート受渡し機構13によって押し出されるPTPシート1は、ポケット部2を上に向けた状態で、その長手方向両端部がそれぞれ下ガイド溝34に対し挿し込まれることとなる。
本実施形態におけるシート送り手段を構成する移送機構32は、ガイド部材31の下方に配置され、複数の回転ローラ35に掛装された巡回手段としての無端ベルト36を備えている。複数の回転ローラ35のうち、少なくとも1つの回転ローラ35には、図示しないモータが接続されている。そして、回転ローラ35が間欠的に回転駆動することにより、無端ベルト36が所定経路に沿って間欠的に巡回可能となる。
無端ベルト36には、巡回方向に所定間隔で複数の送り爪37が突出形成されている。つまり、無端ベルト36の間欠的な巡回動作に伴い、送り爪37が順次ポジションを移動させながら間欠的に巡回移動することとなる。
各送り爪37は、ガイド部材31内(一対のガイド壁部31a,31b間)に入り込むように構成されている。これにより、無端ベルト36の巡回動作に伴い、ガイド溝33,34に挿し込まれたPTPシート1が送り爪37に押されて、ガイド溝33,34に沿って集積装置11(集積位置P3)まで移送されることとなる。
次に集積装置11について図3、図14~図18等を参照して詳しく説明する。集積装置11は、移送装置10のガイド部材31を介して案内されるPTPシート1を支持可能に設けられたシートホルダ40と、該シートホルダ40により支持されたPTPシート1を押し上げ可能に設けられた押上げ板44と、該押し上げられたPTPシート1の長手方向両端縁部を支持可能に設けられたシート受け機構45と、該シート受け機構45上に積み上げられる複数枚のPTPシート1の周囲を囲むように設けられた集積壁部46とを備えている。
シートホルダ40は、ガイド部材31の上ガイド溝33を介して案内されるPTPシート1の長手方向両端縁部を支持可能に設けられた一対の上ホルダ部41L,41Rと、ガイド部材31の下ガイド溝34を介して案内されるPTPシート1の長手方向両端縁部を支持可能に設けられた一対の下ホルダ部42L,42Rとを備えている。
一対の上ホルダ部41L,41Rは、上ガイド溝33の出口部の高さ位置に合わせて設けられている。一対の上ホルダ部41L,41Rの対向面には、それぞれ略水平方向に沿って、PTPシート1の長手方向端縁部を挿し込み可能な断面コ字状の支持溝51が形成されている。
支持溝51の入口部には、間口が大きくなるようにテーパ部(図示略)が形成されている。これにより、移送装置10の上ガイド溝33を介して案内されるPTPシート1を円滑にかつ確実に支持溝51内に案内することができる。
また、一対の上ホルダ部41L,41Rは、図示しない駆動手段により、シート挿し込み方向(図14~図18の紙面前後方向)と直交する水平方向(図14~図18の左右方向)に沿って開閉動作可能に設けられている。より詳しくは、上ホルダ部41L,41Rが互いに接近し、PTPシート1の長手方向両端縁部を支持可能な所定の接近位置と、上ホルダ部41L,41Rが互いに離間し、PTPシート1を開放可能な所定の離間位置と間を相対移動可能に設けられている(図15参照)。
一対の下ホルダ部42L,42Rは、下ガイド溝34の出口部の高さ位置に合わせて設けられている。一対の下ホルダ部42L,42Rの対向面には、それぞれ略水平方向に沿って、PTPシート1の長手方向端縁部を挿し込み可能な断面コ字状の支持溝52が形成されている。但し、本実施形態では、シート挿し込み方向と直交する水平方向に対する上壁部53aの突出長が下壁部53bの突出長よりも短く設定されている(図16参照)。
支持溝52の入口部には、間口が大きくなるようにテーパ部(図示略)が形成されている。これにより、移送装置10の下ガイド溝34を介して案内されるPTPシート1を円滑にかつ確実に支持溝52内に案内することができる。
押上げ板44は、図示しない駆動手段により上下方向に沿って昇降動作可能に設けられている。より詳しくは、一対の下ホルダ部42L,42Rから下方へ離間した所定の待機位置と、一対の上ホルダ部41L,41Rひいては後述するシート受け部材45L,45Rよりも上方へ突き出す押上げ位置との間で、上下方向に沿って昇降移動可能に設けられている(図15参照)。
シート受け機構45は、一対のシート受け部材45L,45Rを備えている。一対のシート受け部材45L,45Rは、その上端部がそれぞれ互いに相対向する側へ鉤状に屈曲した形状となっている。これにより、シート受け部材45L,45Rの上端部には、PTPシート1を載置可能な受台部55が形成されることとなる。
また、一対のシート受け部材45L,45Rは、それぞれシート挿し込み方向を回動軸として回動可能かつ上下動可能に設けられている。より詳しくは、一対のシート受け部材45L,45Rの受台部55の先端が互いに接近し、その間隔がPTPシート1の長手方向の長さよりも短くなる所定の接近位置(図15参照)と、一対のシート受け部材45L,45Rの受台部55の先端が互いに離間し、その間隔がPTPシート1の長手方向の長さよりも長くなる離間位置(図16参照)との間で変位可能となっている。
受台部55の上面部は略平坦に形成されており、一対のシート受け部材45L,45Rが接近位置にある場合には略水平面となる。そして、一対のシート受け部材45L,45Rが接近位置にある場合には、一対の受台部55間に掛け渡すようにして、PTPシート1を受台部55上に載置することが可能となる(図17参照)。
一方、受台部55の下面先端側には、テーパ部55aが形成されている(図17参照)。テーパ部55aは、一対のシート受け部材45L,45Rが接近位置にある場合において、鉛直方向及び水平方向に対し傾斜するように形成されている。これにより、受台部55は、先端部に向けて先細りした断面形状となっている。
通常、シート受け部材45L,45Rは、図示しないバネ等により接近位置側へ付勢されている。一方、受台部55のテーパ部55aに対し下方より力がかかった場合には、その作用により、一対のシート受け部材45L,45Rはバネ等の付勢力に抗して互いに離間位置側へ変位する。
また、シート受け部材45上に積み上げられる複数枚のPTPシート1の周囲を囲むように集積壁部46が設けられることにより、積み上げられる複数枚のPTPシート1に積み重ねずれが生じたり、積み上げられた複数枚のPTPシート1が崩れたりする等の不具合の発生を抑制することができる。
以下、上記のように構成された製造ラインの動作について説明する。但し、本実施形態においては、製造ラインのうち、ブリスター包装機によって製造されたPTPシート1を反転装置9及び移送装置10によって順次搬送し所定数ずつ集積装置11において集積する工程に主たる特徴を有しているため、該工程部分について詳しく説明する。
まず、PTPシート1の集積形態を「抱き合わせ集積形態」として製造ラインを稼働させる場合について説明する。
ブリスター包装機によって製造されたPTPシート1は、コンベア8によって受取り位置P1まで搬送され、反転装置9へ受け渡される。ここで、反転装置9は、「抱き合わせ集積形態」に対応した第1搬送形態に設定されている(図6~図9参照)。
反転装置9においては、例えば図6に示すように、最初に空の第1可動クランプ装置21B1が下方位置から受取り位置P1へ移動し一旦停止する。併せて、受取り位置P1においては、シート受渡し機構12(図3参照)が作動し、第1可動クランプ装置21B1へPTPシート1が受け渡される。これにより、第1可動クランプ装置21B1は、ポケット部2を下に向けた状態のPTPシート1を把持した状態となる。
続いて、図7に示すように、駆動軸14が90度間欠回転し、第1可動クランプ装置21B1が、受取り位置P1から駆動軸14の軸線周りに90度旋回した上方位置へ移動し一旦停止する。この際、可動制御状態にある第1可動クランプ装置21B1は、自身が把持したPTPシート1の向きを回転軸18の軸線回りに90度回転させた状態となる。
同時に、空の第1固定クランプ装置21A1が下方位置から受取り位置P1へ移動し一旦停止する。併せて、受取り位置P1においては、シート受渡し機構12が作動し、第1固定クランプ装置21A1へPTPシート1が受け渡される。これにより、第1固定クランプ装置21A1は、ポケット部2を下に向けた状態のPTPシート1を把持した状態となる。
続いて、図8に示すように、駆動軸14が90度間欠回転し、第1可動クランプ装置21B1が、上方位置から駆動軸14の軸線周りに90度旋回した受渡し位置P2へ移動し一旦停止する。この際、可動制御状態にある第1可動クランプ装置21B1は、自身が把持したPTPシート1の向きを回転軸18の軸線回りに、さらに90度回転させた状態となる。これにより、第1可動クランプ装置21B1に把持されたPTPシート1は、表裏面が反転することなく、ポケット部2を下に向けた状態のままとなる。
併せて、受渡し位置P2においては、シート受渡し機構13(図3参照)が作動し、第1可動クランプ装置21B1から移送装置10へPTPシート1が受け渡される。詳しくは、ガイド部材31の上ガイド溝33に対しPTPシート1の長手方向両端縁部が挿し込まれる。これにより、PTPシート1は、上ガイド溝33の入口付近に停留された状態となる。
同時に、第1固定クランプ装置21A1が、自身が把持したPTPシート1の向きを固定軸19の軸線回りに回転させることなく、受取り位置P1から駆動軸14の軸線周りに90度旋回した上方位置へ移動し一旦停止する。これにより、第1固定クランプ装置21A1により把持されたPTPシート1は、ポケット部2が第1固定クランプ装置21A1の進行方向とは反対方向(図8における反時計回り方向)に向いた状態となる。
さらに、第2可動クランプ装置21B2が下方位置から受取り位置P1へ移動し一旦停止する。併せて、受取り位置P1においては、シート受渡し機構12が作動し、第2可動クランプ装置21B2へPTPシート1が受け渡される。これにより、第2可動クランプ装置21B2は、ポケット部2を下に向けた状態のPTPシート1を把持した状態となる。
続いて、図9に示すように、駆動軸14が90度間欠回転し、第1固定クランプ装置21A1が、自身の把持したPTPシート1の向きを固定軸19の軸線回りに回転させることなく、上方位置から駆動軸14の軸線周りに90度旋回した受渡し位置P2へ移動し一旦停止する。これにより、第1固定クランプ装置21A1により把持されたPTPシート1は、表裏面が反転し、ポケット部2を上に向けた状態となる。
併せて、受渡し位置P2においては、シート受渡し機構13が作動し、第1固定クランプ装置21A1から移送装置10へPTPシート1が受け渡される。詳しくは、ガイド部材31の下ガイド溝34に対しPTPシート1の長手方向両端縁部が挿し込まれる。これにより、PTPシート1は、下ガイド溝34の入口付近に停留された状態となる。
同時に、第2可動クランプ装置21B2が、受取り位置P1から駆動軸14の軸線周りに90度旋回した上方位置へ移動し一旦停止する。この際、可動制御状態にある第2可動クランプ装置21B2は、自身が把持したPTPシート1の向きを回転軸18の軸線回りに90度回転させた状態となる。
さらに、第2固定クランプ装置21A2が下方位置から受取り位置P1へ移動し一旦停止する。併せて、受取り位置P1においては、シート受渡し機構12が作動し、第2固定クランプ装置21A2へPTPシート1が受け渡される。これにより、第2固定クランプ装置21A2は、ポケット部2を下に向けた状態のPTPシート1を把持した状態となる。
加えて、空の第1可動クランプ装置21B1が、受渡し位置P2から駆動軸14の軸線周りに90度旋回した下方位置へ移動し一旦停止する。この際、可動制御状態にある第1可動クランプ装置21B1は、自身の向きを回転軸18の軸線回りに90度回転させた状態となる。
以後、反転装置9において上記動作が繰り返し行われることにより、受渡し位置P2においては、1つおきに交互に表裏反転されたPTPシート1が移送装置10へ順次、受け渡されることとなる。
そして、移送装置10においては、ガイド部材31の下ガイド溝34に対しPTPシート1の挿し込みが完了するタイミング(すなわちガイド部材31に対し上下2枚のPTPシート1の挿し込みが完了するタイミング)に合わせて、移送機構32が無端ベルト36の巡回動作(送り爪37による移送動作)を開始する。
これにより、ガイド部材31の両ガイド溝33,34に挿し込まれた上下2枚のPTPシート1は、送り爪37により同時に押されて、互いにポケット部2を有する表面側を向かい合わせた状態で並走するように移送されていく。
つまり、送り爪37による上記移送動作が本実施形態における第1移送動作に相当する。また、かかる移送動作は、反転装置9に係る第1搬送形態に対応した第1の所定周期(例えば2秒間隔)で実行されることとなる。
ここで、上ガイド溝33に挿し込まれた上側のPTPシート1は、ポケット部2を下に向けた状態で、その長手方向両端縁部を上ガイド溝33に支持されつつ、上ガイド溝33に沿って移送されていく。
同様に、下ガイド溝34に挿し込まれた下側のPTPシート1は、ポケット部2を上に向けた状態で、その長手方向両端縁部を下ガイド溝34に支持されつつ、下ガイド溝34に沿って移送されていく。
そして、ガイド部材31の両ガイド溝33,34に沿って移送されてきた上下2枚のPTPシート1は、上ガイド溝33と下ガイド溝34の合流区間に達すると、抱き合わせ状態となる。
上下2枚のPTPシート1は、抱き合わせ状態のまま、さらに送り爪37により押されて集積位置P3まで移送されていき、集積装置11に受け渡される。
そして、集積装置11に受け渡された上下2枚のPTPシート1は、シートホルダ40に支持された状態となる。詳しくは、上側のPTPシート1は、その長手方向両端縁部が一対の上ホルダ部41L,41Rの支持溝51に挿し込まれた状態となり、下側のPTPシート1は、その長手方向両端縁部が一対の下ホルダ部42L,42Rの支持溝52に挿し込まれた状態となる(図14参照)。
このように上下の2枚のPTPシート1がシートホルダ40に支持された状態となると、一対の上ホルダ部41L,41Rが互いに離間し、上側のPTPシート1を開放する(図15参照)。
同時に、押上げ板44が上昇し、一対の下ホルダ部42L,42Rに支持された下側のPTPシート1を押し上げる(図16参照)。これにより、下側のPTPシート1の長手方向両端縁部が一対の下ホルダ部42L,42Rの支持溝52から抜け、抱き合わせ状態となった2枚のPTPシート1がさらに上方へ押し上げられていく。
尚、本実施形態では、上述したように下ホルダ部42L,42Rの支持溝52の上側を形成する上壁部53aの突出長が、支持溝52の下側を形成する下壁部53bの突出長よりも短く設定されているため、PTPシート1が上方へ押し上げられる際に、PTPシート1の長手方向両端縁部が支持溝52から抜けやすくなる(図16参照)。
そして、押上げ板44によってPTPシート1が押し上げられていくと、該PTPシート1の長手方向両端縁部が一対のシート受け部材45L,45Rのテーパ部55aに接触する。
さらに押上げ板44が上昇すると、テーパ部55aがPTPシート1に押され、一対のシート受け部材45L,45Rがバネ等の付勢力に抗して互いに離間するように変位する。これにより、押上げ板44によって押し上げられたPTPシート1は、一対のシート受け部材45L,45Rの受台部55間を通過し、該受台部55の上方へ移動する。PTPシート1が通過すると、一対のシート受け部材45L,45Rはバネ等の付勢力により元の接近位置へ戻る。
その後、押上げ板44が降下していくと、抱き合わせ状態となった2枚のPTPシート1が、一対のシート受け部材45L,45Rの受台部55間に掛け渡されるように、受台部55上に載置された状態となる(図17参照)。
以降、上記一連の動作が繰り返し行われることにより、集積壁部46内に既に積み上げられたPTPシート1の最下部に新たに抱き合わせ状態とされたPTPシート1が順次挿し差し込まれ、積み上げられていく(図18参照)。そして、所定数(例えば5組10枚)のPTPシート1が集積壁部46内に積み上げられると、該集積体(例えば5組10枚のPTPシート1の束)は、集積壁部46から次の包装工程へと送り出される。
次に、製造ラインにおいて、PTPシート1の集積形態を「抱き合わせ集積形態」から「積み上げ集積形態」に切替える作業について説明する。
まず反転装置9において、ハウジング16(駆動軸14)を停止させた状態で、第1制御機構291又は第2制御機構292の一方によって、第1太陽傘歯車271a又は第2太陽傘歯車272aの一方を停止保持し、第1可動クランプ装置21B1又は第2可動クランプ装置21B2の一方を固定した状態とする。
続いて、第1制御機構291又は第2制御機構292の他方によって、第1太陽傘歯車271a又は第2太陽傘歯車272aの他方を所定量回転させる。そして、第1可動クランプ装置21B1又は第2可動クランプ装置21B2の他方の向きを180°反転させる。
これにより、反転装置9は「抱き合わせ集積形態」に対応した第1搬送形態(図6~図9参照)から、「積み上げ集積形態」に対応した第2搬送形態(図10~図13参照)へ切替えられることとなる。
また、移送装置10については、移送機構32(送り爪37)の動作周期を、反転装置9に係る第1搬送形態に対応した第1の所定周期から、反転装置9に係る第2搬送形態に対応した第2の所定周期へ切替える。同様に、集積装置11についても、「抱き合わせ集積形態」に対応した動作周期から、「積み上げ集積形態」に対応した動作周期への切替えが行われる。
尚、反転装置9、移送装置10又は集積装置11に係る切替え作業は、それぞれ作業者が各種機構を操作して手作業により行う構成としてもよいし、ボタン操作など作業者の指令に基づき所定の制御装置が所定の駆動手段を駆動して自動で行う構成としてもよい。例えば作業者がタッチパネルを操作することにより「抱き合わせモード」や「積み上げモード」など、各種装置の運転モードの切替えを行う構成としてもよい。
次にPTPシート1の集積形態を「積み上げ集積形態」として製造ラインを稼働させる場合について説明する。
「抱き合わせ集積形態」の場合と同様、ブリスター包装機によって製造されたPTPシート1は、コンベア8によって受取り位置P1まで搬送され、反転装置9へ受け渡される。ここで、反転装置9は、「積み上げ集積形態」に対応した第2搬送形態に設定されている(図10~図13参照)。
反転装置9においては、例えば図10に示すように、最初に空の第1可動クランプ装置21B1が下方位置から受取り位置P1へ移動し一旦停止する。併せて、受取り位置P1においては、シート受渡し機構12(図3参照)が作動し、第1可動クランプ装置21B1へPTPシート1が受け渡される。これにより、第1可動クランプ装置21B1は、ポケット部2を下に向けた状態のPTPシート1を把持した状態となる。
続いて、図11に示すように、駆動軸14が90度間欠回転し、第1可動クランプ装置21B1が、受取り位置P1から駆動軸14の軸線周りに90度旋回した上方位置へ移動し一旦停止する。この際、固定制御状態にある第1可動クランプ装置21B1は、回転軸18の軸線回りに回転しない。つまり、第1可動クランプ装置21B1により把持されたPTPシート1は、ポケット部2が第1可動クランプ装置21B1の進行方向とは反対方向(図11の反時計回り方向)に向いた状態となる。
同時に、空の第1固定クランプ装置21A1が下方位置から受取り位置P1へ移動し一旦停止する。併せて、受取り位置P1においては、シート受渡し機構12が作動し、第1固定クランプ装置21A1へPTPシート1が受け渡される。これにより、第1固定クランプ装置21A1は、ポケット部2を下に向けた状態のPTPシート1を把持した状態となる。
続いて、図12に示すように、駆動軸14が90度間欠回転し、固定制御状態にある第1可動クランプ装置21B1は、自身が把持したPTPシート1の向きを回転軸18の軸線回りに回転させることなく、上方位置から駆動軸14の軸線周りに90度旋回した受渡し位置P2へ移動し一旦停止する。これにより、第1可動クランプ装置21B1に把持されたPTPシート1は、表裏面が反転し、ポケット部2を上に向けた状態となる。
併せて、受渡し位置P2においては、シート受渡し機構13(図3参照)が作動し、第1可動クランプ装置21B1から移送装置10へPTPシート1が受け渡される。詳しくは、ガイド部材31の下ガイド溝34に対しPTPシート1の長手方向両端縁部が挿し込まれる。これにより、PTPシート1は、上ガイド溝33の入口付近に停留された状態となる。
同時に、第1固定クランプ装置21A1が、自身が把持したPTPシート1の向きを固定軸19の軸線回りに回転させることなく、受取り位置P1から駆動軸14の軸線周りに90度旋回した上方位置へ移動し一旦停止する。これにより、第1固定クランプ装置21A1により把持されたPTPシート1は、ポケット部2が第1固定クランプ装置21A1の進行方向とは反対方向(図12の反時計回り方向)に向いた状態となる。
さらに、第2可動クランプ装置21B2が下方位置から受取り位置P1へ移動し一旦停止する。併せて、受取り位置P1においては、シート受渡し機構12が作動し、第2可動クランプ装置21B2へPTPシート1が受け渡される。これにより、第2可動クランプ装置21B2は、ポケット部2を下に向けた状態のPTPシート1を把持した状態となる。
ここで、移送装置10においては、ガイド部材31の下ガイド溝34に対しPTPシート1の挿し込みが完了するタイミングに合わせて、移送機構32が無端ベルト36の巡回動作(送り爪37による移送動作)を開始する。
これにより、ガイド部材31の下ガイド溝34に挿し込まれた1枚のPTPシート1は、送り爪37に押されて移送されていく。ここで、PTPシート1は、ポケット部2を上に向けた状態で、その長手方向両端縁部を下ガイド溝34に支持されつつ、下ガイド溝34に沿って移送されていく。
つまり、送り爪37による上記移送動作が本実施形態における第2移送動作に相当する。また、かかる移送動作は、反転装置9に係る第2搬送形態に対応した第2の所定周期(例えば1秒間隔)で実行されることとなる。
そして、1枚のPTPシート1は、ガイド部材31の下ガイド溝34に沿って集積位置P3まで移送されていき、集積装置11に受け渡される。
続いて、図13に示すように、反転装置9においては、駆動軸14が90度間欠回転し、第1固定クランプ装置21A1が、自身の把持したPTPシート1の向きを固定軸19の軸線回りに回転させることなく、上方位置から駆動軸14の軸線周りに90度旋回した受渡し位置P2へ移動し一旦停止する。これにより、第1固定クランプ装置21A1により把持されたPTPシート1は、表裏面が反転し、ポケット部2を上に向けた状態となる。
併せて、受渡し位置P2においては、シート受渡し機構13が作動し、第1固定クランプ装置21A1から移送装置10へPTPシート1が受け渡される。詳しくは、ガイド部材31の下ガイド溝34に対しPTPシート1の長手方向両端縁部が挿し込まれる。これにより、PTPシート1は、下ガイド溝34の入口付近に停留された状態となる。
ここで、移送装置10においては、上記同様の移送動作が行われ、該PTPシート1は、ガイド部材31の下ガイド溝34に沿って集積位置P3まで移送されていき、集積装置11に受け渡される。
同時に、反転装置9においては、固定制御状態にある第2可動クランプ装置21B2が、自身が把持したPTPシート1の向きを回転軸18の軸線回りに回転させることなく、受取り位置P1から駆動軸14の軸線周りに90度旋回した上方位置へ移動し一旦停止する。これにより、第2可動クランプ装置21B2により把持されたPTPシート1は、ポケット部2が第2可動クランプ装置21B2の進行方向とは反対方向(図13の反時計回り方向)に向いた状態となる。
さらに、第2固定クランプ装置21A2が下方位置から受取り位置P1へ移動し一旦停止する。併せて、受取り位置P1においては、シート受渡し機構12が作動し、第2固定クランプ装置21A2へPTPシート1が受け渡される。これにより、第2固定クランプ装置21A2は、ポケット部2を下に向けた状態のPTPシート1を把持した状態となる。
加えて、固定制御状態にある空の第1可動クランプ装置21B1が、自身の向きを回転軸18の軸線回りに回転することなく、受渡し位置P2から駆動軸14の軸線周りに90度旋回した下方位置へ移動し一旦停止する。
以後、反転装置9において上記動作が繰り返し行われることにより、受渡し位置P2においては、ポケット部2が上を向いた状態のPTPシート1が常に移送装置10へ受け渡されることとなる。
さて、集積装置11に受け渡された1枚のPTPシート1は、シートホルダ40に支持された状態となる。詳しくは、PTPシート1は、その長手方向両端縁部が一対の下ホルダ部42L,42Rの支持溝52に挿し込まれた状態となる(図14参照)。
尚、「積み上げ集積形態」に係る集積装置11の動作態様は、PTPシート1の集積速度を除き、上述した「抱き合わせ集積形態」に係る集積装置11の動作態様と同様であるため、上記「抱き合わせ集積形態」の場合と同様に、図14~図18を参照して説明する。但し、「積み上げ集積形態」では、図14~図18に示した状態から、抱き合わせ状態となった上下両PTPシート1のうち、上側のPTPシート1が省略された状態となる。
このように1枚のPTPシート1がシートホルダ40に支持された状態となると、押上げ板44が上昇し、一対の下ホルダ部42L,42Rに支持されたPTPシート1を押し上げる(図15参照)。
これにより、PTPシート1の長手方向両端縁部が一対の下ホルダ部42L,42Rの支持溝52から抜け、PTPシート1がさらに上方へ押し上げられていく。
そして、押上げ板44によってPTPシート1が押し上げられていくと、該PTPシート1の長手方向両端縁部が一対のシート受け部材45L,45Rのテーパ部55aに接触する。
さらに押上げ板44が上昇すると、テーパ部55aがPTPシート1に押され、一対のシート受け部材45L,45Rがバネ等の付勢力に抗して互いに離間するように変位する(図16参照)。これにより、押上げ板44によって押し上げられたPTPシート1は、一対のシート受け部材45L,45Rの受台部55間を通過し、該受台部55の上方へ移動する。PTPシート1が通過すると、一対のシート受け部材45L,45Rはバネ等の付勢力により元の接近位置へ戻る。
その後、押上げ板44が降下していくと、PTPシート1が、一対のシート受け部材45L,45Rの受台部55間に掛け渡されるように、受台部55上に載置された状態となる(図17参照)。
以降、上記一連の動作が繰り返し行われることにより、集積壁部46内に既に積み上げられたPTPシート1の最下部にPTPシート1が順次挿し差し込まれ、積み上げられていく(図18参照)。そして、所定数(例えば5枚)のPTPシート1が集積壁部46内に積み上げられると、該集積体(例えば5枚のPTPシート1の束)は、集積壁部46から次の包装工程へと送り出される。
以上詳述したように、本実施形態によれば、第1搬送形態とすることで、反転装置9から移送装置10に対し1枚おきに表裏反転したPTPシート1を受け渡すことができる。これにより、PTPシート1を2枚一組の抱き合わせ状態とした上で所定組数ずつ積み重ねる「抱き合わせ集積形態」に対応することができる。
一方、第2搬送形態とすることで、反転装置9から移送装置10に対し、常に同じ向きのPTPシート1を受け渡すことができる。これにより、全てのPTPシート1を同じ向きで所定枚数ずつ積み重ねる「積み上げ集積形態」に対応することができる。
つまり、本実施形態によれば、反転装置9からの受渡し位置を複数箇所に設定することなく、「抱き合わせ集積形態」及び「積み上げ集積形態」の両集積形態に対し、搬送形態を切替えて対応することができる。
結果として、各集積形態に対応して製造ラインを分岐させる必要もないため、製造ラインの設置コストや設置スペースの増大を抑制することができる。
特に本実施形態によれば、2つの可動クランプ装置21Bに係る自転機構(第1遊星傘歯車261及び第1太陽傘歯車271a等)がそれぞれ独立して設けられているため、集積形態の切替えを行うに際し、装置を分解して第1遊星傘歯車261及び第1太陽傘歯車271a等の噛み合わせを変更することなく、対応する第1太陽傘歯車271a等を回転させるだけで、可動クランプ装置21Bの向きを個別に変更することが可能となる。
また、集積形態を切替える場合には、予めすべての可動クランプ装置21Bの向きを所定の搬送形態(第1搬送形態又は第2搬送形態)に対応する向きに設定しておくことで、PTPシート搬送中において、例えば可動クランプ装置21Bが所定の作業位置に移動する度に第1太陽傘歯車271a等を回転させて、該可動クランプ装置21Bの姿勢を調整するような複雑な動作制御を行う必要もなく、可動クランプ装置21Bに係る動作制御の簡素化を図ることができる。
例えば第1搬送形態によるPTPシート搬送中においては、第1太陽傘歯車271a及び第2太陽傘歯車272aをすべて停止保持した状態でハウジング16のみを回転させるといった動作制御を行うだけで、「抱き合わせ集積形態」に対応することができる。また、第2搬送形態によるPTPシート搬送中においては、第1太陽傘歯車271a及び第2太陽傘歯車272aをすべてハウジング16と同期して回転させるといった動作制御を行うだけで、「積み上げ集積形態」に対応することができる。
結果として、反転装置9等の動作制御の簡素化や、集積形態の切替え作業の簡素化等を図ることができる。ひいては、搬送処理能力を向上させ、生産性の低下抑制を図ることができる。
また、本実施形態に係る移送装置10では、PTPシート1の集積形態の違い(反転装置9における搬送形態の違い)に応じて、移送機構32が、動作周期の異なる2種類の動作を行う構成となっている。
つまり、本実施形態に係る移送装置10によれば、部品交換等することなく、集積形態の違いに対応することができる。また、部品交換等の手間もかからず、集積形態の切替え作業の簡素化等を図ることができる。加えて、集積形態の違いに応じて、2種類の移送機構を備える構成に比べ、部品点数の削減や装置の小型化を図ることができる。
また、本実施形態における移送装置10では、上下2枚のPTPシート1を集積位置P3へ移送する過程において、抱き合わせ状態にすることができるため、生産性の向上を図ることができる。また、2枚のPTPシート1を抱き合わせ状態とする機構を別途設ける必要がないため、設置コストや設置スペースの増大を抑制することができる。
尚、上記実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。勿論、以下において例示しない他の応用例、変更例も当然可能である。
(a)上記実施形態では、内容物が錠剤5である場合について具体化しているが、内容物の種別、形状等については特に限定されるものではなく、例えばサプリメントや食品、電子部品等が内容物として充填される構成であってもよい。勿論、これらの内容物に対応して形成されるポケット部2の形状や大きさ等に関しても上記実施形態に限定されるものではない。
(b)容器フィルム3及びカバーフィルム4の素材、ポケット部2の数や配列など、PTPシート1の構成は上記実施形態(2列10個のポケット部)に限定されるものではない。
例えば容器フィルム3が、アルミラミネートフィルムなど、アルミニウムを主材料とした金属材料により形成された構成としてもよい。また、例えば3列12個のポケット部2を有するタイプをはじめ、様々な配列、個数からなるPTPシート1を採用することができる。
また、シート短手方向に沿った横スリット(切離用スリット)6が省略された構成としてもよいし、横スリット6に代えて又は加えて縦スリット(シート長手方向に沿った切離用スリット)が形成された構成としてもよい。勿論、タグ部7(耳部)を有しない構成としてもよい。
(c)上記実施形態では、詳しく言及していないが、抱き合わせ状態とされた2枚のPTPシート1は、ポケット部2を有する表面側(容器フィルム3側)が互いに向き合うように配置されると共に、互いのポケット部2がぶつかり合わない位置関係、すなわち互いのポケット部2の位置がシート長手方向及びシート短手方向に対し所定寸法ずつずれた状態で重ね合わされている。
また、上記実施形態では、各PTPシート1のタグ部7の位置がシート長手方向に対し反対側に位置するように、2枚のPTPシート1が抱き合わせ状態となっているため、両PTPシート1の長手方向両端縁部の位置はほぼ一致している。一方、両PTPシート1の短手方向端縁部の位置は、所定寸法だけずれた状態となる。
勿論、2枚のPTPシート1の抱き合わせ状態は、これに限定されるものではなく、例えば両PTPシート1の短手方向端縁部の位置ずれに代えて又は加えて、両PTPシート1の長手方向端縁部の位置が所定寸法だけずれた状態となる構成としてもよい。
(d)PTPシート1の集積体の構成(集積枚数等)は、上記実施形態に限定されるものではない。例えば抱き合せ状態となった2枚一組のPTPシート1を一組だけ集積したものを1つの集積体として取り扱い、ピロー包装等する構成としてもよい。
(e)反転装置9の構成は上記実施形態に限定されるものではない。例えば上記実施形態では、固定クランプ装置21Aと可動クランプ装置21Bとが90度間隔で1つおきに交互に計4つ設けられた構成となっているが、クランプ装置21の個数は4つに限定されるものではなく、例えば6つでもよいし、8つでもよい。但し、受取り位置P1及び受渡し位置P2との位置関係や、遊星傘歯車261,262及び太陽傘歯車271a,272aのギヤ比との関係で適切な個数設けられることが好ましい。
(f)勿論、遊星傘歯車261,262及び太陽傘歯車271a,272aのギヤ比に関しても上記実施形態に限定されるものではない。
上記実施形態では、遊星傘歯車261,262及び太陽傘歯車271a,272aのギヤ比が1:1に設定され、ハウジング16が駆動軸14の軸線回りに180度回転する間に、可動クランプ装置21Bが回転軸18の軸線回りに180度回転する構成となっている。
これに限らず、例えば遊星傘歯車261,262及び太陽傘歯車271a,272aのギヤ比を1:2としてもよい。かかる場合、ハウジング16が駆動軸14の軸線回りに90度回転する間に、可動クランプ装置21Bが回転軸18の軸線回りに180度回転することとなる。つまり、可動クランプ装置21Bが受取り位置P1から、駆動軸14の軸線回りに90度旋回した位置が受渡し位置P2となる。
(g)反転装置9において、可動クランプ装置21Bを駆動制御する機構は上記実施形態に限定されるものではない。
例えば上記実施形態では、制御モータ291a,292a等により太陽傘歯車271a,272aを駆動制御する構成となっているが、これに限らず、所定のクラッチ機構を設け、太陽傘歯車271a,272aの停止動作と回転動作を切替え制御する構成としてもよい。
また、上記実施形態では、直径の異なる「第1太陽傘歯車271a」と「第2太陽傘歯車272a」が、駆動軸14の軸線方向における可動クランプ装置21Bの回転軸18の位置を挟む両側のうちの一方側にまとめて配置されると共に、これらが駆動軸14の軸心を中心として同心円状に配置された構成となっている。
これに限らず、駆動軸14の軸線方向における可動クランプ装置21Bの回転軸18の位置を挟む両側のうちの一方側に「第1太陽傘歯車271a」を配置し、他方側に「第2太陽傘歯車272a」を配置した構成としてもよい。
(h)移送装置10の構成は上記実施形態に限定されるものではない。例えば上記実施形態における移送機構32は、抱き合わせ集積形態に対応して、ガイド部材31の両ガイド溝33,34に挿し込まれた上下2枚のPTPシート1を1つの送り爪37により同時に移送可能な構成となっている。
これに限らず、上ガイド溝33に挿し込まれた上側のPTPシート1を移送する上側送り機構と、下ガイド溝34に挿し込まれた下側のPTPシート1を移送する下側送り機構とを別々に設けた構成としてもよい。
かかる構成とすれば、積み上げ集積形態に対応して、下ガイド溝34にのみPTPシート1が挿し込まれた場合には、下側送り機構のみ駆動すればよい。また、抱き合わせ集積形態に対応して、両ガイド溝33,34にPTPシート1が挿し込まれる場合であっても、上下2枚のPTPシート1を別々もタイミングで移送することが可能となる。
また、移送機構32に代えて、PTPシート1を把持搬送可能なチャックや、PTPシート1を吸着搬送可能な吸着ヘッドをシート送り手段として採用してもよい。
(i)上記実施形態における移送装置10は、両ガイド溝33,34が下流側で合流した構成となっており、抱き合わせ集積形態に対応して、上下2枚のPTPシート1を集積位置P3へ移送する過程において、両PTPシート1を抱き合わせ状態とする構成となっている。
これに限らず、両ガイド溝33,34が合流せず、移送装置10において、上下2枚のPTPシート1を抱き合わせ状態とすることなく、集積装置11まで移送する構成としてもよい。
かかる場合、集積装置11において2枚のPTPシート1を抱き合わせ状態としてもよい。例えばシートホルダ40の上ホルダ部41L,41Rと、下ホルダ部42L,42Rとを上下方向に相対移動可能に設け、上下に離間状態にある上ホルダ部41L,41R及び下ホルダ部42L,42Rの双方に対し、移送装置10からそれぞれPTPシート1が挿し込まれた後、上ホルダ部41L,41R及び下ホルダ部42L,42Rを接近させることにより、2枚のPTPシート1を抱き合わせ状態とする構成としてもよい。
また、移送装置10によって、上下2枚のPTPシート1を集積装置11まで移送することなく、一旦、両ガイド溝33,34に停留させた状態とすると共に、移送装置10の下流側に設けられた所定のチャック機構を介して、上下2枚のPTPシート1を抱き合わせ状態とした上で集積装置11に対し受け渡す構成としてもよい。
(j)集積装置11において2枚のPTPシート1を抱き合わせ状態とする構成とした場合には、移送装置10を省略し、直接、反転装置9から下流側機構としての集積装置11へPTPシート1を受け渡す構成としてもよい。
(k)集積装置11の構成は上記実施形態に限定されるものではない。例えば上記実施形態では、押上げ板44によりPTPシート1を下方より押し上げて集積する構成となっているが、これに限らず、把持手段等により、PTPシート1を把持して上方から積み上げていく構成としてもよい。