JP4298078B2 - 基板吸着保持装置および該基板吸着保持装置を用いた露光装置ならびにデバイスの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、被加工物である基板を把持する基板吸着保持装置に関し、特に半導体製造装置、液晶基板製造装置、磁気ヘッド製造装置、半導体検査装置、液晶基板検査装置、磁気ヘッド検査装置、およびマイクロマシンの製造等に用いられる基板吸着保持装置に関し、さらに、このような基板吸着保持装置を用いた露光装置およびデバイス製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、半導体素子製造等に用いられる縮小投影露光装置は、素子の微細化に対応するための高NA化が進んでいる。高NA化によって解像力は向上するものの、有効な焦点深度は逆に減少してしまう。そこで、解像力は維持しかつ十分な実用深度を確保するために、投影光学系の像面湾曲の軽減や、ウェハの厚みムラやチャックの平面精度の向上などウェハフラットネス(平面度)の改善が図られてきた。
【0003】
ウェハ表面のフラットネスを悪化させる原因として、チャックとウェハとの間の異物挟み込みがある。一旦数μmの異物を挟み込むとその部分のウェハは変形を受け盛り上がってしまう。有効な焦点深度が1μm以下である場合、その部分はローカルなデフォーカスを引き起こし、最悪な場合パターン不良を生じる。このような異物による歩留まりの悪化を確率的に回避するため、チャックとウェハとの接触率を極限まで減少させたいわゆるピンコンタクトチャック(ピンチャック)が主流となっている。
【0004】
しかし、ピンチャックにおいては、ウエハがピンとピンとの間で真空吸引力により変形してたわみ、ウェハ表面の平面度が悪化することが知られており、これを改善するための種々の提案がなされている。例えば、特許第2574818号公報においては、チャック外周部にリング状の溝を設け、それより内側の中心部には2mm以下のピンピッチのピンを設けることにより、チャック外周部のウェハ平面度とチャック中心部のピンピッチ間のウェハ平面度を良好にする提案がなされている。この提案では、ピンが格子状に配列されたピンチャックにおいて、ピンピッチ間の平面度を両端自由支持梁のモデルで近似できるとし、目標とする平面度から必要なピンピッチが2mm以下になることを開示している。しかしながら、両端自由支持梁で近似するということは、中心部より悪い条件である外周部の先端で支持する条件を使って全体のピンピッチを求めているのであって、平面度として最適なピンピッチを外周部と中心部それぞれで求める開示はない。したがって、中心部のピンピッチは必要以上に小さくなり、結果として接触率が不必要に大きくなる問題が発生してしまう。
【0005】
この問題を改善するために、特許第2821678号公報においては、チャック外周部のピンピッチよりチャック中心部のピンピッチを大きくすることにより、接触率を小さく抑えつつ、チャック外周部と中心部のウェハ平面度を良好にする提案がなされている。この提案では、外周部のピンピッチ間の平面度を片側固定・片側自由支持梁のモデルで、中心部のピンピッチ間の平面度を両端固定梁のモデルで近似できるとし、外周部と中心部のピンピッチの比を最適にできることを開示している。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、前記の特許第2821678号公報においては、チャック外周部と中心部の吸着力は同じであることを前提としており、ウェハ平面度として最適な吸着力をチャック外周部と中心部それぞれで求める開示はなされていないし、ウェハ平面度として最適なピンピッチと吸着力の関係を求める開示もない。
【0007】
ところで、このようなウェハ平面度すなわちピンピッチ間で発生するたわみによってウェハ表面の平面度が悪化してしまう問題もさることながら、実際には、このピンピッチ間のたわみに起因してディストーション(ウェハディストーション)が発生してしまうことの方がはるかに深刻な問題となる。例えば、後述するように、現在の主流となっているφ200mmウェハをピンピッチが2mmの格子配列のピンチャックに吸着した場合、このウェハディストーションはウェハ平面度の約1/2.6も発生する。そして、現在量産されている0.25μmルールの半導体プロセスの場合、ウェハ平面度の許容値は、焦点深度800nmの1割として80nmであるのに対し、ウェハディストーションの許容値は、オーバーレイ精度50nmの1割として5nmであり、これをウェハ平面度に換算すれば、13nmとなって、80nmよりはるかに小さい。すなわち、焦点深度から要求される平面度よりも、オーバーレイ精度から要求される平面度の方がはるかに厳しい。従来は、ウェハ平面度を許容値内にしようとしての平面度矯正は行なっていたが、ウェハディストーションとして許容値内にしようとする認識はなかった。そのため、ウェハディストーションは許容値外となっていて、オーバーレイ精度を悪化させ、歩留まりを低下させる原因となっていた。あるいは、余計なプロセスマージンを必要とし、半導体デバイスの微細化、高集積化を阻害する原因となっていた。
【0008】
なお、前記の特許第2821678号公報において、ウェハ外周部の平面度を良好にすると、ウェハ外周部のアライメントマークの位置ずれが、ウェハ中心部のアライメントマークの位置ずれと同様に小さくできる旨の記述がある。しかし、アライメントマークの位置ずれについて定量的な開示は成されていない。また、チャック中心部のピンピッチ間のたわみに起因したウェハディストーションが問題になるという認識がなく、ウェハディストーションとして最適なピンピッチと吸着力の関係を求める開示もなされておらず、それらの関係を外周部と中心部それぞれにおいて求める開示もなされていない。すなわち、ウェハディストーションを許容値内にする方法は開示されていない。
【0009】
そこで、本発明は、上記の従来技術の有する未解決の課題に鑑みてなされたものであって、ウェハ等の基板を複数の凸部を用いて吸着保持する際に生じる基板表面の変形に起因する基板表面の平面度の悪化やディストーションを減少させて最適な状態で基板を吸着保持することができ、オーバーレイ精度の向上を図ることができる基板吸着保持装置、および該基板吸着保持装置を用いた露光装置ならびにデバイスの製造方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明の基板吸着保持装置は、基板を支持するための複数の凸部を備え、該凸部上に支持される基板を吸着保持する基板吸着保持装置において、前記凸部の配列ピッチL(m)と基板の吸着力P(N/m 2 )は、ディストーション許容値をdxdy(m)とし、基板の縦弾性係数をE(N/m)、基板厚さをh(m)、凸部配列による補正係数をc、中立面補正係数をkとしたとき、
【数3】
の関係を満足するように設定されていることを特徴とする。
【0010】
本発明の基板吸着保持装置は、基板を支持するための複数の凸部を備え、該凸部上に支持される基板を吸着保持する基板吸着保持装置において、前記凸部の配列ピッチL(m)と基板の吸着力P(N/m 2 )は、
P・L3 ≦0.00427
の関係を満足するように設定されていることを特徴とする。
【0011】
また、本発明の基板吸着保持装置においては、基板厚さをh(m)、基板密度をρ(kg/m 3 )、基板の静止摩擦係数をμ、基板吸着保持装置を搭載するステージの最大加速度をG(m/s 2 )としたとき、前記凸部の配列ピッチL(m)と基板の吸着力P(N/m 2 )は、さらに、
G・h・ρ/μ≦P≦100000
かつ、0.0005≦L≦0.005
の関係を満足するように設定されていることを特徴とする。
【0012】
さらに、本発明の基板吸着保持装置は、基板を支持するための複数の凸部を備え、該凸部上に支持される基板を吸着保持する基板吸着保持装置において、前記凸部の配列ピッチL(m)と基板の吸着力P(N/m 2 )は、
P・L3 ≦0.00427
かつ、33≦P≦100000
かつ、0.0005≦L≦0.005
の関係を満足するように設定されていることを特徴とする。
【0013】
本発明の基板吸着保持装置は、基板を支持するための複数の凸部を備え、該凸部上に支持される基板を吸着保持する基板吸着保持装置において、前記凸部には、基板の外周部を支持する外周凸部と基板の外周部より内側の中心部を支持する中心凸部があり、前記中心凸部の配列ピッチをLa(m)、前記中心凸部の基板の吸着力をPa(N/m 2 )、前記外周凸部と該外周凸部の内側に隣接する中心凸部との間の配列ピッチをLb(m)、前記外周凸部と該外周凸部の内側に隣接する中心凸部との間の基板の吸着力をPb(N/m 2 )とするとき、それぞれの配列ピッチLa、Lbと吸着力Pa、Pbは、ディストーション許容値をdxdy(m)とし、基板の縦弾性係数をE(N/m)、基板厚さをh(m)、凸部配列による補正係数をc、中立面補正係数をkとしたとき、
【数4】
の関係を満足するようにそれぞれ設定されていることを特徴とする。
【0014】
本発明の基板吸着保持装置は、基板を支持するための複数の凸部を備え、該凸部上に支持される基板を吸着保持する基板吸着保持装置において、前記凸部には、基板の外周部を支持する外周凸部と、基板の外周部より内側の中心部を支持する中心凸部があり、前記中心凸部の配列ピッチをLa(m)、前記中心凸部の基板の吸着力をPa(N/m 2 )、前記外周凸部と該外周凸部の内側に隣接する中心凸部との間の配列ピッチをLb(m)、前記外周凸部と該外周凸部の内側に隣接する中心凸部との間の基板の吸着力をPb(N/m 2 )とするとき、それぞれの配列ピッチLa、Lbと吸着力Pa、Pbは、
Pa・La3 ≦0.00427
および、
Pb・Lb3 ≦0.00164
の関係を満足するようにそれぞれ設定されていることを特徴とする。
【0015】
本発明の基板吸着保持装置は、基板を支持するための複数の凸部を備え、該凸部上に支持される基板を吸着保持する基板吸着保持装置において、前記凸部には、基板の外周部を支持する外周凸部と基板の外周部より内側の中心部を支持する中心凸部があり、前記中心凸部の配列ピッチをLa(m)、前記中心凸部の基板の吸着力をPa(N/m 2 )、前記外周凸部と該外周凸部の内側に隣接する中心凸部との間の配列ピッチをLb(m)、前記外周凸部と該外周凸部の内側に隣接する中心凸部との間の基板の吸着力をPb(N/m 2 )とするとき、それぞれの配列ピッチLa、Lbと吸着力Pa、Pbは、
Pa・La3 ≦0.00427
かつ、33≦Pa≦100000
かつ、0.0005≦La≦0.005
および、
Pb・Lb3 ≦0.00164
かつ、33≦Pb≦100000
かつ、0.0005≦Lb≦0.005
の関係を満足するようにそれぞれ設定されていることを特徴とする。
【0016】
また、本発明の基板吸着保持装置において、前記中心凸部の配列ピッチを、前記外周凸部と該外周凸部の内側に隣接する中心凸部との間の配列ピッチより大きくし、かつ、前記中心凸部の基板の吸着力を、前記外周凸部と該外周凸部の内側に隣接する中心凸部との間の基板の吸着力より小さくすることができ、さらにまた、前記中心凸部の配列ピッチを、前記外周凸部と該外周凸部の内側に隣接する中心凸部との間の配列ピッチ以上とし、かつ、前記中心凸部の基板の吸着力を、前記外周凸部と該外周凸部の内側に隣接する中心凸部との間の基板の吸着力より大きくすることもできる。
【0017】
本発明の基板吸着保持装置においては、前記凸部の先端を球面状に形成することが好ましい。
【0018】
そして、本発明の露光装置は、上述した基板吸着保持装置と、該基板吸着保持装置に吸着保持された基板を原版のパターンを介して露光する露光手段とを備えていることを特徴とする。
【0019】
本発明のデバイスの製造方法は、上述した露光装置を用いて基板を露光する工程を含む製造工程によってデバイスを製造することを特徴とする。
【0020】
【作用】
本発明の基板吸着保持装置によれば、ウェハ等の基板を支持するための複数の凸部の配列ピッチと基板の吸着力を所定の関係式を満足するように設定することにより、さらには、基板の中心部を支持する中心凸部の配列ピッチと中心凸部での基板の吸着力、および基板の外周部を支持する外周凸部と該外周凸部の内側に隣接する中心凸部との間の配列ピッチと外周凸部での基板吸着力をそれぞれ所定の関係式を満足するように設定することにより、複数の凸部を用いて基板を吸着保持する際に生じる基板表面の変形に起因する基板表面の平面度の悪化やディストーションを減少させ、平面度やディストーションをそれぞれの許容値内に抑えることが可能となる。
【0021】
これにより、ウェハ等の基板を最適な状態で吸着保持することができ、オーバーレイ精度を向上させて、より微細な素子製造の工程であっても歩留まりを大きく向上させることができる。
【0022】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0023】
図1は、本発明の基板吸着保持装置の一実施例を示し、(a)はその平面図、(b)は部分断面図であり、図2は、本発明の基板吸着保持装置の他の実施例を示す平面図である。
【0024】
図1において、1は、半導体露光装置等のXYステージ上に設置される基板吸着保持装置としてのチャックであり、ウエハ等の基板を載置する支持面は、基板を支持するための複数のピン状の凸部10、13、14(以下、単にピンともいう。)から構成され、各凸部の先端面は、高精度のラップ加工によって超平面に形成されている。
【0025】
図1に図示するピン状の凸部10は、ピン径φ0.2mmで、配列ピッチLmmで格子状に並設されており、チャック上面側に真空源に連通する真空吸着用の吸引穴11が少なくとも1個設けられている。なお、ピン状の凸部10の配列は、格子配列以外にも、図2に図示するように同心円状に配列することもでき、60度千鳥格子配列、あるいはピンピッチがLmm以下のランダム配列とすることもでき、また、それらを組み合わせた配列であってもよい。
【0026】
チャック1の外周部には、基板の外周部を支持するための複数のピン状の(外周)凸部13が円周状に並設され、この外周凸部13の僅かに内側に環状の隔壁12が設けられている。この環状の隔壁12の高さは、凸部13の上面から1〜2μm程度低く形成されている。これは、1〜2μm程度の隙間では吸着用の真空圧の低下は僅かであって問題とならず、その1〜2μm程度の差よりも小さい径のごみが隔壁12に付着してもごみが基板に接触しないので、接触率が増えずにすむようにするものである。なお、図1において、14は、最外周の凸部13から1ピッチ内側に円周状に配設された凸部であり、環状の隔壁12の内側に隣接して設けられている。
【0027】
以上のように構成されたチャック1においては、ウエハ等の基板2がチャックの支持面上に載置され、真空源の作動により吸引穴11を介して真空吸引されることにより、基板2は、図3および図9に示すように、チャック1に凸部10、13、14に支持され吸着保持される。このとき、基板としてのウェハ2は凸部間では真空吸着力により変形したわむことになり、ウェハ平面度が悪化する。また、ウェハがたわむことによりウェハ表面は水平方向に歪み、位置ずれを起こすことになり、ウェハディストーションが発生する。
【0028】
そこで、このウェハ平面度およびウェハディストーションの発生量を材料力学上のモデルから考察する。
【0029】
図3は、チャック1の中心部においてピン状の凸部10が一方向に連続してピンピッチLで並設されている部分において、ウェハ2が吸着保持されている時のたわみの様子を示す断面図である。この場合、材料力学上のモデルとしては、図4に示すような等分布荷重を受ける両端固定の梁のモデルが当てはまる。
【0030】
ここで、梁の幅をb、厚さをh、断面2次モーメントをIとすると、
【数5】
となり、真空圧をP、単位長さあたりの荷重をwとすると、
w=P・b ……(2)
となり、梁の長さをL、縦弾性係数をEとすると、梁の最大たわみ量vは、
【数6】
となる。さらに、式(3)を式(1)および(2)で変形すると、
【数7】
となる。すなわち、梁の最大たわみ量vは、幅bによらずに、真空圧P、梁の長さL、縦弾性係数E、厚さhによって決まることを意味する。そして、この最大たわみ量vがウェハ平面度に相当する。
【0031】
次に、この梁の長さ方向の座標をx、曲げモーメントをMとすると、
【数8】
となる。図5には、このxと曲げモーメントMの関係(15)および梁のたわみ曲線(16)を示す。この図5からもわかるように、曲げモーメントMは、xの範囲aと範囲cでは負で、範囲bでは正となっている。また、Mが0となる2ヵ所の位置x1とx2において梁のたわみ曲線の傾斜角が最大となり、この最大傾斜角をαとすると、
【数9】
となる。さらに、式(1)および(2)で変形すると、
【数10】
となる。
【0032】
そして、実際には、ウェハは厚さhをもっているから、それを誇張して表わすと図6となる。図6において、厚さhの中ほどを通る一点鎖線(17)は、どのxの位置においても伸縮しない面である中立面を示す。この中立面よりウェハ表面側においては、曲げモーメントMによって、xの範囲aと範囲cでは引張りによるx方向の伸びが発生し、範囲bでは圧縮によるx方向の縮みが発生する。逆に、中立面よりウェハ裏面側においては、xの範囲aと範囲cでは圧縮による縮み発生し、範囲bでは引張りによるx方向の伸びが発生する。そして、このx方向の伸び量あるいは縮み量は、中立面からの距離に比例し、さらに中立面の傾斜角に比例する。すなわち、吸着によるウェハ表面のx方向の伸縮によって発生する位置ずれは、傾斜角が0である位置x3、x5、x7では0となり、傾斜角が最大となる位置x4、x6で最大となる。中立面からウェハ表面までの距離は、単結晶Siウェハの場合、ほぼh/2と考えられるが、例えば、ウェハやウェハ相当の基板の材質、均一性、表面あるいは裏面に施されたプロセス、チャックとの吸着状態などにより、h/2と異なる場合が考えられるので、中立面補正係数をkとして、k・h/2とし、最大位置ずれ量をuとすると、
【数11】
となる。さらに、式(7)で変形すると、
【数12】
となる。すなわち、ウェハ表面の最大位置ずれ量uは、幅bによらずに、中立面補正係数k、真空圧P、梁の長さL、縦弾性係数E、厚さhによって決まることを意味する。そして、この状態で露光されることとなるので、ウェハに露光された像は、ウェハがたわんでいない状態を基準に考えると、この位置ずれ分、ウェハに対し相対的に歪んだ像となってしまう。したがって、この最大位置ずれ量uが、ウェハディストーションに相当する。
【0033】
以上の説明においては、ピン状の凸部10が一方向に連続的にピンピッチLで並んでいる部分において、一次元の梁のモデルで考察したが、実際のピン配列は二次元配列であり、格子配列、円周状配列、60度千鳥格子配列、ランダム配列等によって、上記の最大たわみ量vと最大位置ずれ量uの値は変わってしまう。そこで、実際にフラットなウェハを吸着したときのウェハ平面度をV1、ウェハディストーションをU1、ピン配列による補正係数をc1、c2とすると、
【数13】
【数14】
となる。
【0034】
そして、格子配列の場合、図7のように、最大たわみは、4本のピン19〜23の中心18の位置となるから、ピン19と20で支持した梁23を想定し、長さLとして求めた場合より大きくなるし、4本のピンの内、対角の凸部19と21で支持した梁24を想定し、長さをL・21/2として求めた場合よりは小さくなると考えられる。したがって、補正係数c1は、1から4(=(21/2)4 )、c2の値は1から2.8(=(21/2)3 )になると考えられる。但し、対角のピン19と21で支持した梁24と対角のピン20と22で支持した梁25は、独立に同量たわむと考えられるので、梁の長さをL・21/2として求めた場合に近い値になると考えられる。
【0035】
また、60度千鳥格子配列の場合、図8に示すように、最大たわみは、3本のピンの中心26の位置となるから、ピン27と28で支持した梁31を想定し、長さLとして求めた場合より大きくなるし、3本のピンの中心26を通りピン27と28で支持した梁32、33を想定し、梁の長さをL・2/31/2として求めた場合より小さくなる。したがって、補正係数c1の値は、1から1.8(=(2/31/2)4 )、c2の値は1から1.5(=(2/31/2)3 )になると考えられる。
【0036】
また、円周状配置あるいはランダムピン配置の場合においては、格子配列あるいは60度千鳥配列の変形配列と捉えることができ、その変形の度合いによって補正係数の値が変わってくる。しかし、僅かな変形であれば、格子配列あるいは60度千鳥格子配列とほぼ同じとみなすことができ、補正係数もほぼ同じ値となる。
【0037】
なお、実際には各種のピン配列毎に、補正係数c1、c2は、FEMで計算すればより正確な値が得られるし、補正係数c1あるいはk・c2は、実験で実際に評価すればより正確な値が得られる。
【0038】
以上のように、実際にフラットなウェハを吸着したときのウェハ平面度V1、ウェハディストーションU1は、式(10)、(11)で表わされるので、チャックとして許容されるウェハ平面度許容値をdz、ウェハディストーション許容値をdxdyとすれば、
【数15】
【数16】
にすればよい。ここで、吸着されるウェハ(基板)が決まれば、縦弾性係数E、厚さh、中立面補正係数kは決まり、ピン(凸部)配列を決めれば、ピン(凸部)配列による補正係数c1、c2は決まるので、真空圧PとピンピッチLを式(12)、(13)の条件を満足する組み合わせで選択すればよいことになる。
【0039】
すなわち、式(12)、(13)を変形すると、
【数17】
【数18】
となり、この条件式(14)、(15)をともに満足する真空圧PとピンピッチLのチャックにすれば、ウェハ平面度とウェハディストーションを許容値dz、dxdy以下に収めることができる。
【0040】
ところで、この2つの条件は、ピンピッチLがある値以下であれば、条件式(15)さえ満足すれば、条件式(14)も満足する。そのLの値は、条件式(14)の右辺より条件式(15)の右辺が小さいという条件で求められ、
【数19】
となる。すなわち、ピンピッチLが式(16)を満足する範囲においては、条件式(15)を満足する真空圧PとピンピッチLのチャックにすればよいことになる。
【0041】
そこで、例えば代表的なφ200mmSiウェハを格子配列のピンチャックを用いて吸着保持する場合を考えると、縦弾性係数E=1.69×1011N/m、厚さh=0.725mmであり、中立面補正係数k=1、補正係数c1=4、c2=2.8とする。また、現在量産されている0.25μmルールの半導体プロセスの場合、ウェハ平面度許容値dzは、焦点深度800nmの1割として80nmとなり、ウェハディストーション許容値dxdyは、オーバーレイ精度50nmの1割として5nmとなる。すると、Pの単位をN/m2 、Lの単位をmとして、式(15)、(16)は、
P≦0.0033/L3 ……(17)
L≦0.0125 ……(18)
となる。よって、ピンピッチLが12.5mm以下においては、条件式(17)を満足する真空圧PとピンピッチLにすればよいことになる。そして、後述するように、ピンピッチLは通常5mm以下であるので、これに当てはまる。
【0042】
因みに、このように通常のピンピッチにおいて、条件式(15)さえ満足すれば、条件式(14)も満足するということは、ウェハ平面度よりもウェハディストーションを許容値以下にするほうが、厳しい条件になっているといことを意味する。それを明確にするため、式(10)、(11)から、ウェハを吸着した時に発生するウェハ平面度V1とウェハディストーションU1の比を求めると、
【数20】
となり、ここに前記と同様の代表的な諸係数を代入すると、
【数21】
となる。
【0043】
これは、例えばピンピッチLが2mmだと、U1はV1の1/2.6発生することを意味する。つまり、ウェハディストーションの許容値が5nmであれば、そのときのウェハ平面度は13nmしか許容されないことを意味する。これは、焦点深度から決まるウェハ平面度許容値の80nmに比べてはるかに厳しい値となっている。そして、ピンピッチLが大きければ、ウェハ平面度に対するウェハディストーションの発生量の割合は小さくなり、ピンピッチLを12.5mmにしてようやくウェハ平面度の許容値に対するウェハディストーションの許容値の割合と同じになることを意味する。
【0044】
次に、ウェハ中心部において、具体的に取り得る真空圧PとピンピッチLの範囲を図15を用いて説明する。図15は、ピンピッチLを横軸に、真空圧Pを縦軸にして示す図表であり、条件式(17)を満足する真空圧PとピンピッチLの範囲は、実線42から左下側の領域となる。
【0045】
なお、条件式(17)は、φ200mmSiウェハで厚さh=0.725mmとして求めたが、φ125mmSiウェハの場合、厚さh=0.725mmであるので、その場合には、
P≦0.00245/L3 ……(21)
となり、図15においては、実線43から左下側の領域となる。
【0046】
また、φ300mmSiウェハの場合だと、厚さh=0.775mmであるが、さらに将来はφ400mmSiウェハ等、さらなる大口径化が進み、厚さh=0.825mm程度になることが予測される。そこで、厚さh=0.825mmの場合で求めると、
P≦0.00427/L3 ……(22)
となり、図15においては、実線41から左下側の領域となる。
【0047】
また、今後、半導体デバイスのさらなる微細化が進み、半導体プロセスが、0.18μm、0.13μm、さらには0.1μmルールとなっていくに従い、オーバーレイ精度のさらなる向上は必須であり、それによって、ウェハディストーションの許容値dxdyも、5nmから2.5nm、さらには1nmと厳しくなっていくと考えられる。
【0048】
そこで、ウェハディストーションの許容値dxdy=2.5nm、厚さh=0.825mmの場合で求めると、
P≦0.00213/L3 ……(23)
となり、図15においては、破線44から左下側の領域となる。
【0049】
同様に、ウェハディストーションの許容値dxdy=2.5nm、厚さh=0.725mmの場合で求めると、
P≦0.00165/L3 ……(24)
となり、図15においては、破線45から左下側の領域となる。
【0050】
同様に、ウェハディストーションの許容値dxdy=2.5nm、厚さh=0.625mmの場合で求めると、
P≦0.00123/L3 ……(25)
となり、図15においては、破線46から左下側の領域となる。
【0051】
また、ウェハディストーションの許容値dxdy=1nm、厚さh=0.825mmの場合で求めると、
P≦0.00085/L3 ……(26)
となり、図15においては、二点鎖線47から左下側の領域となる。
【0052】
同様に、dxdy=1nm、厚さh=0.725mmの場合で求めると、
P≦0.00066/L3 ……(27)
となり、図15においては、二点鎖線48から左下側の領域となる。
【0053】
同様に、dxdy=1nm、厚さh=0.625mmの場合で求めると、
P≦0.00049/L3 ……(28)
となり、図15においては、二点鎖線49から左下側の領域となる。
【0054】
以上のように、ウェハ中心部において、具体的に取り得る真空圧PとピンピッチLの範囲を、いくつかのウェハ厚さhとウェハディストーションの許容値dxdyの条件で、条件式(15)から求めた。ところで、これら全てにおいて、式(16)から求まるピンピッチLの範囲が、後述する通常のピンピッチ5mm以下を満足しているので、条件式(14)も満足している。それは、式(16)の右辺が最小になる場合、すなわち最小のh=0.625mmと最大のdxdy=5nmの場合においてさえも、L≦0.011となり、後述する通常のピンピッチ5mm以下を満足しているからである。したがって、ウェハ中心部において、以上の範囲から選択した真空圧PとピンピッチLのチャックにすることにより、所望のウェハ平面度の許容値dzとウェハディストーションの許容値dxdyを満足することができる。
【0055】
ところで、チャックの真空圧Pの通常取り得る範囲は、チャックの別の条件で以下のようになる。先ず、取り得る最小の真空圧Pは、チャックを保持するXYステージが最大加速度で移動してもウェハを保持できる条件で求まる。すなわち、XYステージの最大加速度をG、静止摩擦係数をμ、ウェハ面積を(s)、ウェハ密度をρとすると、
P・(s)・μ≧G・(s)・h・ρ ……(29)
すなわち、
P≧G・h・ρ/μ ……(30)
となる。ここで、例えば、XYステージの最大加速度G=0.2×9.8=1.96m/s2 、静止摩擦係数μ=0.1、厚さh=0.625mm、ウェハ密度ρ=2330kg/m3 とすると、
P≧33 ……(31)
となり、図15においては、実線50から上側の領域となる。
【0056】
次に、取り得る最大の真空圧Pは、大気圧100kN/m2 とすると、
P≦100000 ……(32)
となり、図15においては、実線51から下側の領域となる。
【0057】
一方、チャックのピンピッチLの通常取り得る範囲は、チャックの別の条件で以下のようになる。取り得る最小のピンピッチLは、チャックとウェハとの接触率によって求まる。そこで、最初にピンピッチと接触率の関係を説明する。先ず、単位面積当たりのピンの本数をnとすると、図7の格子配列の場合、4本のピン19〜22の各中心で囲む面積にピンが1本相当あるので、
n=1/L2 ……(33)
となる。また、図8の60度千鳥格子配列の場合も、4本のピン27〜30の各中心で囲む面積にピンが1本相当あるので、
n=(2/31/2)/L2 ……(34)
となる。さらに、ピンの先端面の面積をs、ウェハとピンとの接触率をNとすると、N=s・nであるので、
格子配列の場合: N=s/L2 ……(35)
60度千鳥格子配列の場合:
N=(2/31/2)・s/L2 ……(36)
となる。したがって、ウェハとピンとの接触率Nは、ピンの先端面の面積s、ピンピッチLによって決まる。実際の接触率Nは、これまでの半導体プロセスの経験では、ピンピッチLを2mm程度、ピンの先端面をφ0.2mmすなわちピンの先端面の面積s=π・(0.1)2 =0.0314mm2 程度にすることにより、0.008程度である。したがって、ピンの先端面を例えばφ0.05mm程度に加工することにより、同程度の接触率のまま、ピンピッチLを0.5mmまで小さくできる。したがって、
L≧0.0005 ……(37)
となり、図15においては、実線52から右側の領域となる。
【0058】
次に、取り得る最大のピンピッチLの値は、ウェハのローカルな反りの周期によって決まる。実際、ウェハは、ウェハ全体のわたるグローバルな反りから、細かい周期のうねりのようなローカルな反りまで、さまざまな周期の反りを持っている。ウェハチャックは、これらの反りを平面に矯正することが重要な機能であるが、ピンチャックの場合、ピンピッチ以下の周期の反りは、原理的に矯正できない。つまり、少なくとも、ウェハディストーションとして問題となる13nm程度の振幅の反りの最低周期より小さいピンピッチとする必要があり、確実に矯正の効果を上げるには、最低周期の半分以下のピンピッチとする必要がある。現状のウェハの反りの周期は、測定精度の問題や厚さムラとの分離が難しいため明確には分かっていないが、今後ウェハ自体の反りも改善されていくことを考慮しても、最大10mm程度の周期の反りは存在してしまうと考えられる。したがって、ピンピッチは5mm以下にする必要があり、
L≦0.005 ……(38)
となり、図15においては、実線53から左側の領域となる。
【0059】
以上から、ウェハ中心部における、具体的な真空圧PとピンピッチLの範囲は、式(22)、(31)、(32)、(37)、(38)から、
P≦0.00427/L3
かつ、 33≦P≦100000
かつ、 0.0005≦L≦0.005 ……(39)
となり、図15においては、実線41、実線51、実線52、実線50および実線53で囲まれた範囲となる。
【0060】
以上においては、ピン状凸部10が一方向に連続してピンピッチLでならんでいる部分、すなわち、チャックの外周部より内側の中心部について説明したが、次に、チャックの外周部について説明する。図9は、チャックの外周部において、ウェハ2が吸着保持されている時のたわみの様子を示す断面図であり、この図において、隔壁12は最外周の凸部13の僅かに内側に設けられており、隔壁12の高さは、凸部13の上面から1〜2μm程度低く形成されている。これは、1〜2μm程度の隙間では吸着用の真空圧の低下は僅かであって問題とならず、その1〜2μm程度の差よりも小さい径のごみが隔壁12に付着してもごみが基板に接触しないので、接触率が増えずにすむようにするものである。
【0061】
チャックの外周部におけるウェハのたわみの状態の材料力学上のモデルは、図10に図示するような等分布荷重を受ける片側固定・片側自由の梁のモデルが当てはまる。ただし、図9のように、最外周のピン13は、ウェハ2をピン13の中心ではなく角部で支持することになるので、この場合のピンピッチLはピン13の内側の角部から1ピッチ内側にあるピン14の中心までの距離となる。
【0062】
この梁の最大たわみ量をvとすると、
【数22】
となり、さらに式(1)、(2)で変形すると、
【数23】
となる。
【0063】
また、最外周のピン13の支持位置において梁のたわみ曲線の傾斜角が最大となり、この最大傾斜角をαとすると、
【数24】
となる。さらに、式(1)および(2)で変形すると、
【0064】
【数25】
となる。よって、最大位置ずれ量uは、式(8)から、
【数26】
となる。
【0065】
したがって、実際にフラットなウェハを吸着した時のウェハ平面度をV2、ウェハディストーションをU2、ウェハ中心部と同様にピン配列による補正係数をc1、c2とすると、
【数27】
【数28】
となる。
【0066】
このように、ウェハ外周部においても、実際にフラットなウェハを吸着した時のウェハ平面度V2、ウェハディストーションU2は、式(45)、(46)で表されるので、チャックとして許容されるウェハ平面度許容値をdz、ウェハディストーション許容値をdxdyとすれば、
【数29】
【数30】
になればよい。さらに、式(47)、(48)を変形すると、
【数31】
【数32】
となり、この条件式(49)、(50)をともに満足する真空圧PとピンピッチLのチャックにすれば、ウェハ平面度とウェハディストーションを許容値dz、dxdy以下に収めることができる。
【0067】
また、この2つの条件は、ピンピッチLがある値以下であれば、条件式(50)さえ満足すれば、条件式(49)も満足する。そのLの値は、条件式(49)の右辺より条件式(50)の右辺が小さいという条件で求められ、
【数33】
となる。すなわち、ピンピッチLが式(51)を満足する範囲においては、条件式(50)を満足する真空圧PとピンピッチLのチャックにすればよいことになる。
【0068】
そこで、前述したウェハ中心部と同様に、代表的なφ200mmSiウェハを格子配列のピンチャックを用いて吸着保持する場合を考えると、縦弾性係数E=1.69×1011N/m、厚さh=0.725mmであり、中立面補正係数k=1、補正係数c1=4、c2=2.8とし、0.25μmルールの半導体プロセスとして、ウェハ平面度許容値dz=80nm、ウェハディストーション許容値dxdy=5nmとすると、Pの単位をN/m2 、Lの単位をmとして、式(50)は、
P≦0.00127/L3 ……(52)
となる。
【0069】
図16は、ウェハ外周部において、具体的に取り得る真空圧PとピンピッチLの範囲を表わすための図表であり、横軸はピンピッチL、縦軸は真空圧Pを示す。この図16において、条件式(52)を満足する真空圧PとピンピッチLの範囲は、実線62から左下側の領域となる。
【0070】
なお、厚さh=0.625mmの場合で求めると、
P≦0.00094/L3 ……(53)
となり、図16においては、実線63から左下側の領域となる。
【0071】
同様に、厚さh=0.825mmの場合で求めると、
P≦0.00164/L3 ……(54)
となり、図16においては、実線61から左下側の領域となる。
【0072】
また、ウェハディストーションの許容値dxdy=2.5nm、厚さh=0.825mmの場合で求めると、
P≦0.00082/L3 ……(55)
となり、図16においては、破線64から左下側の領域となる。
【0073】
同様に、dxdy=2.5nm、h=0.725mmの場合で求めると、
P≦0.00063/L3 ……(56)
となり、図16においては、破線65から左下側の領域となる。
【0074】
同様に、dxdy=2.5nm、h=0.625mmの場合で求めると、
P≦0.00047/L3 ……(57)
となり、図16においては、破線66から左下側の領域となる。
【0075】
また、dxdy=1nm、h=0.825mmの場合で求めると、
P≦0.00033/L3 ……(58)
となり、図16においては、二点鎖線67から左下側の領域となる。
【0076】
同様に、dxdy=1nm、h=0.725mmの場合で求めると、
P≦0.00025/L3 ……(59)
となり、図16においては、二点鎖線68から左下側の領域となる。
【0077】
同様に、dxdy=1nm、h=0.625mmの場合で求めると、
P≦0.00019/L3 ……(60)
となり、図16においては、二点鎖線69から左下側の領域となる。
【0078】
以上のように、ウェハ外周部において、具体的に取り得る真空圧PとピンピッチLの範囲を、いくつかのウェハ厚さhとウェハディストーションの許容値dxdyの条件で、条件式(50)から求めた。ところで、これら全てにおいて、式(51)から求まるピンピッチLの範囲が、前述した通常のピンピッチ5mm以下を満足しているので、条件式(49)も満足している。それは、式(51)の右辺が最小になる場合、すなわち最小のh=0.625mmと最大のdxdy=5nmの場合においてさえも、L≦0.013となり、前述した通常のピンピッチ5mm以下を満足しているからである。したがって、ウェハ外周部においても、以上の範囲から選択した真空圧PとピンピッチLのチャックにすることにより、所望のウェハ平面度の許容値dz、ウェハディストーションの許容値dxdyを満足することができる。
【0079】
因みに、このような通常のピンピッチにおいて条件式(50)さえ満足すれば、条件式(49)も満足するということは、ウエハ外周部においても、ウェハ中心部と同様に、ウェハ平面度よりもウェハディストーションを許容値以下にするほうが、厳しい条件になっているということを意味する。
【0080】
ところで、チャックの真空圧Pの通常取り得る範囲は、ウェハ中心部と同様に、式(31)、(32)となり、図16において実線70から上の領域と実線71から下の領域となる。
【0081】
一方、チャックのピンピッチLの通常取り得る範囲は、ウェハ中心部と同様に、式(37)、(38)となり、図16において実線72から右側の領域と実線73から左側の領域となる。
【0082】
以上から、ウエハ外周部における、具体的な真空圧PとピンピッチLの範囲は、式(54)、(31)、(32)、(37)、(38)から、
P≦0.00164/L3
かつ、 33≦P≦100000
かつ、 0.0005≦L≦0.005 ……(61)
となり、図16においては、実線61、実線71、実線72、実線70および実線73で囲まれた範囲となる。
【0083】
以上から、ウェハ中心部とウェハ外周部は、ウェハを支持する形態が異なることから、それぞれ上述の範囲から選択した真空圧PとピンピッチLのチャックにすることにより、所望のウェハ平面度の許容値dz、ウェハディストーションの許容値dxdyをウェハ全面にわたって満足することができる。
【0084】
したがって、真空圧PあるいはピンピッチLは、上述の範囲内において、それぞれウェハ中心部とウェハ外周部で共通に設定してもよいし、独立に設定することもできる。なお、真空圧Pをそれぞれ独立して設定する場合には、最外周部の隔壁12以外に、最外周のピン13から1ピッチ内側に円周状に配列されているピン14をすべてつなげる連続した内側の隔壁を設けて、ウェハ中心部とウェハ外周部それぞれに吸引用の開口穴を設け、独立の真空圧を供給しうるように構成すればよい。また、内側の隔壁として、図11に図示するように、ピン14から僅かにずらしてリング状に内側の隔壁34を設けてもよく、それにより内側の隔壁34の段差加工を容易にできる。なお、内側の隔壁の高さはピン14も上面より1〜2μm程度低く設けることが望ましい。これは、ウェハがたわんでも接触しないし、その隙間以下の径のごみが付着しても、ごみがウェハに接触しないので、接触率が増えずにすむからである。
【0085】
また、内側の隔壁の高さをピン14の上面より適度に低く設定して、ウェハ中心部だけに真空圧を供給すると、ウェハ中心部よりウェハ外周部の真空圧を低くすることができるし、あるいは、ウェハ中心部に大気につながる開口穴を設け、ウェハ外周部だけに真空圧を供給すると、ウェハ外周部の真空圧をウェハ中心部より高くすることができ、この場合には真空供給系統を一つですませることが可能となる。
【0086】
なお、最外周部の隔壁12は、図9や図11に図示するように、ピン13から僅かに内側にずらして設けたが、ピン13の外側に設けてもよく、あるいは、ピン13をすべてつなげる連続した隔壁を設け、チャック外周部を囲うように設けてもよい。また、接触率は高くなるが、ピン13を代えてピン13の上面と同じ高さの最外周部の隔壁を設けてもよい。
【0087】
以上のように、真空圧Pをウェハ中心部とウェハ外周部で独立に設定できるようにすると、例えば、ウェハ中心部の真空圧は、XYステージが最大加速度で移動してもウェハを保持できる条件で設定し、ウェハ外周部の真空圧は、ウェハ全体にわたる大きな反りがあるウェハでも吸着できる条件で設定することができる。より具体的には、ウェハ外周部の真空圧をウェハ中心部より高くし、ピンピッチを狭くすることにより、ウェハの反りの有無にかかわらずウェハ外周部でのウェハの吸着が確実になり、外周部での平面矯正およびウェハディストーション矯正が良好に行なうことができ、ウェハ中心部は真空圧をウェハ保持のための最低限に抑えることによりピンピッチを大きくでき、接触率を下げることが可能となる。
【0088】
また、例えば、ウェハ中心部と外周部のピンピッチは同じでも、ウェハ中心部より外周部の真空圧を適度に低くすることにより、ウェハ中心部と外周部のウェハディストーションを同量にできるので、外周部の接触率を上げずに済むことができる。
【0089】
また、例えば、ウェハ中心部より外周部の真空圧を適度に低くし、ピンピッチを適度に狭くすることにより、ウェハ中心部と外周部のウェハディストーションを同量にできるだけでなく、それらの分布形状がほぼ一致する領域をより広くすることができる。それを、図17で説明する。図17の(a)は、ピンピッチ間のウェハのたわみ曲線を表しており、縦軸はたわみ量vである。(b)は、ピンピッチ間のウェハディストーションの分布形状を表しており、縦軸はウェハディストーションuである。(a)、(b)共に、横軸はピンピッチ間のウェハ位置xで、右方向がウェハ外周側である。図17の(a)において、80はウェハ中心部でのたわみ曲線であり、81はウェハ中心部より真空圧を適度に低くしピンピッチを適度に狭くした場合のウェハ外周部でのたわみ曲線である。なお、82は従来例で、真空圧は同じままでウェハ中心部よりピンピッチを適度に狭くした場合のウェハ外周部でのたわみ曲線である。また、(b)において、83はたわみ曲線80の場合の、84はたわみ曲線81の場合の、85はたわみ曲線82の場合のウェハディストーションの分布形状である。
【0090】
これらから、ウェハディストーションの分布形状は、従来例の82と85ではxの範囲aの狭い領域でしかほぼ一致しないのに対し、本実施例の83と84では、範囲aの2倍近い範囲bでほぼ一致するので、一致する領域をより広くできることがわかる。なお、範囲bより外周側には一致できない領域が残るが、ウェハの最外周には少なくとも1mm程度の半導体デバイスを設けないインバリッドエリアがあるので、ピンピッチが2mm程度以下である場合には問題にならない。このように、ウェハ中心部と外周部で発生するウェハディストーションの分布形状をほぼ同じにすることができると、例えば、ピン配置が露光されるショット毎に一致しているチャックを用いることにより、どのショットにおいてもウェハディストーションの分布形状をほぼ同じにすることができる。すると、結像レンズやレチクルを駆動させたりたわませたりすることにより、あるいはレチクルパターンの位置を予め補正しておくことにより、露光される像をウェハディストーションの分布形状に合わせて補正することができ、ウェハ外周部を含む広い範囲にわたりオーバーレイ精度のさらなる高精度化が図れることになる。
【0091】
なお、ウェハ中心部と外周部の真空圧は、大気圧変動等の影響を受けず所望の設定値で一定になるよう、例えば精密レギュレーターにより一定の真空圧を供給したり、それぞれの真空圧を検知してそれぞれ一定値に制御することが一般に望ましいが、特にこの場合は、ウェハディストーションの分布形状の再現性を良くできるのでより望ましい。
【0092】
なお、図17は、材料力学上のモデルによる以下の数式に基づいたものである。まず、ウェハ中心部出のたわみ曲線80は、
【数34】
で表せられ、ウェハ外周部でのたわみ曲線81、82は、
【数35】
で表せられる。ここで、81の場合は、Q=0.85・P、R=0.87・Lとし、82の場合は、Q=P、R=0.83・Lとした。
【0093】
また、たわみ曲線80の場合のウェハディストーションの分布形状83は、
【数36】
で表せられ、たわみ曲線81、82の場合のウェハディストーションの分布形状84、85は、
【数37】
で表せられる。ここで、84の場合は、Q=0.85・P、R=0.87・Lとし、85の場合は、Q=P、R=0.83・Lとした。
【0094】
また、例えば、ウェハ製造時の研磨工程の影響で、あるいは、半導体製造時の多様なプロセスの影響で、ウェハのローカルな反りの周期が、ウェハ中心部と外周部で違っていて、ウェハ中心部より外周部の方が周期が長い場合、周期に合わせてウェハ中心部よりウェハ外周部のピンピッチを広くし、真空圧はウェハディストーションが発生しない条件でそれぞれ適切に設定することにより、ごみが比較的付きやすいウェハ外周部の接触率を下げることが可能である。
【0095】
ところで、ウェハを載置する支持面を構成する複数のピン状凸部の先端面は超平面であると説明したが、実際の加工精度によっては、各ピン毎にわずかな傾きが発生する場合がある。このため、ウェハを支持するピンのピッチは必ずしも前述したピンピッチLにはならない場合が生じる。ウェハ中心部においては、例えば最悪の場合、図12に示すように、ピン10の先端面35と36が反対方向に傾くと、ウェハと接する点のピッチは、ピンピッチLよりピン径分大きいLxとなる。したがって、この場合のウェハ平面度とウェハディストーションは、式(10)、(11)のV1、U1より大きくなる。一方、ウェハ外周部においては、例えば最悪の場合、図13に示すように、ピン13と14のそれぞれの先端面37、38が内側に下がる方向に傾くと、ピンピッチLよりもピン径分の1.5倍分大きいLyとなる。したがって、この場合のウェハ平面度とウェハディストーションは、式(45)、(46)のV2、U2より大きくなる。そこで、ウェハディストーションを全面で許容値内にするには、前述のように求まるピンピッチLからピン径あるいはピン径の1.5倍分を差し引いたものを実際のピンピッチとすればよい。ただし、こうするとピンとウェハの接触率はその分大きくなるので、その点では好ましくない。よって、影響を受けない程度の傾きのない平面に加工することが有効であり、あるいはピン径をできるだけ小さくすることが有効である。また、図14に示すように、ピン先端面39を球面状にするのも有効である。そうすれば、ピン径をほとんど0にしたのと等価になり、接触率を極端に小さくでき望ましい。なお、加工が困難ではあるが、傾きのない凹面状にしてもよい。
【0096】
ところで、図9に図示するウェハの外周部において、最外周のピン13から外側へ張り出しているウェハは、外周部のピン13と14の間の変形に起因して跳ね上がるが、この部分のウェハ平面度とウェハディストーションについて説明する。外周部での傾斜角は、ピン13の支持位置で最大となり、この最大傾斜角αは、式(43)となることを示したが、ピン13の支持位置から外側においては、この最大傾斜角αのまま一定となる。したがって、最大傾斜角で決まるウェハディストーションも一定で増えないので、ウェハディストーションに関しては問題がない。しかし、ウェハの張り出し量が増えると、この最大傾斜角αのまま跳ね上がっていくから、その跳ね上がりの量は、ウェハ平面度の許容値dzよりは小さくする必要がある。したがって、ウェハの張り出し量をJとすると、
dz≧J・α ……(66)
となり、式(43)と、ピン配列による補正係数c2を考慮すると、
【数38】
となる。この式(67)の右辺が最小になるのは、先ず、P・L3 が最大の場合であるが、式(50)から、
【数39】
であるから、式(67)は、
【数40】
となる。さらに、この式(69)の右辺が最小になるのは、中立面補正係数k=1、最小の厚さh=0.625mm、ウェハ平面度許容値dz=80nm、最大のウェハディストーション許容値dxdy=5nmの場合で、そうすると、J≦0.005となる。つまり、ピンピッチ間の変形に起因するウェハ平面度の許容値dzを満足するには、ウェハの張り出し量Jを5mm以下にすればよい。よって、最外周のピン13の径やウェハの外形公差やチャックに置かれる時の位置精度、あるいはピン13から外側に設けた場合の隔壁12の幅を考慮しても問題ない。したがって、外周部に おけるウェハの反りを平面に矯正することの方が厳しい条件であって、その点から、チャックの最外周にあるピン13をウェハの外周にできるだけ近づけて設けることが望ましい。
【0097】
なお、以上の説明においては、チャックのピンピッチをLとして、ウェハ中心部と外周部それぞれにおいて、前述した範囲の真空圧PとピンピッチLのチャックにすればよいとしたが、ピンピッチは、ウェハ中心部と外周部それぞれにおいて独立に設けてよいのはもちろん、ウェハ中心部の中においてもあるいはウェハ外周部の中においても、均一のピッチである必要はなく、前述した範囲のピンピッチであれば、不均一のピッチであってもよい。
【0098】
また、チャックに吸着される基板は、Siウェハとして説明したが、それに限定されるものではなく、例えば、ガリ砒素ウェハ、複合接着ウェハ、ガラス基板、液晶パネル基板、レクチルなどの各種基板でもよい。また、外形形状も円形だけでなく方形などでもよく、その場合、チャックの外形も基板外形に合わせた形状にすればよい。
【0099】
さらに、上述したチャックは、真空吸着方式のものとして説明したが、それに限定されるものではなく、例えば、静電チャック方式のものでもよいし、真空吸着方式と静電チャック方式など他の方式を併用するものでもよい。それらの場合、本実施例の真空圧Pは、他の方式の吸着力、あるいはそれに真空圧を足したものに置き換えればよい。
【0100】
また、チャックは、いわゆるピンチャックを用いて説明したが、その他の形状でもよい。例えば、吸着溝である同心円状の環状凹部とウェハ支持面となる同心円状の環状凸部が交互に構成された、いわゆるリング状チャックでもよい。その場合、環状凸部の放射方向のピッチをピンピッチLとみなし、ウェハ中心部と外周部それぞれにおいて、本実施例で示した真空圧PとピンピッチLのチャックにすれば、同様の効果が得られる。
【0101】
次に、上述した基板吸着保持装置を用いることができる露光装置について図18を用いて説明する。
【0102】
図18は、縮小投影露光装置の構成を概略的に図示する構成図であり、同図において、シリコンウェハ等の基板2に転写するパターンが形成されている原版としてのレチクル102は、レチクルチャックを介してレチクルステージ101上に載置され、照明光学系103を通して導かれる露光光に照射される。レチクル102を透過した露光光は、投影光学系105によって1/5に縮小され、被加工物である基板2上に照射される。基板2を保持する基板保持装置としての前述したチャック1は、水平面で移動可能なXYステージ106上に搭載されている。被露光基板2上には、予め露光光によって化学反応を効果的に起こす感光材であるレジスト材料が薄く塗布されており、次工程のエッチングマスクとして機能する。なお、107、108はそれぞれオフアクシススコープ、面位置計測手段である。
【0103】
露光シーケンスは、次のとおりである。被露光基板2が露光装置に自動的にあるいは作業者の手によってセッチングされた状態から、露光開始指令により露光装置の動作が開始される。先ず、1枚目の基板2が搬送システムによってXYステージ106上に搭載されたチャック1上に送り込まれ吸着保持される。続いて、装置に搭載されたオフアクシススコープ107によって基板2上に記されたアライメントマークを複数個検出して基板の倍率、回転、XYずれ量を確定し、位置補正を行なう。XYステージ106は、搭載した基板2の第1ショット位置が露光装置の露光位置に合うように基板2を移動する。面位置計測手段108により合焦後、約0.2秒程度の露光を行ない、その後、基板上の第2ショット位置に基板をステップ移動して順次露光を繰り返す。最終ショットまで同様のシーケンスを繰り返して1枚の基板の露光処理は完了する。チャック1上から回収搬送ハンドに受け渡された基板は基板キャリアに戻される。
【0104】
なお、本発明の基板吸着保持装置(チャック)は、露光装置における使用に限定されるものではなく、例えば、液晶基板製造装置、磁気ヘッド製造装置、半導体検査装置、液晶基板検査装置、磁気ヘッド検査装置、およびマイクロマシンの製造等においても用いることができることはいうまでもない。
【0105】
次に、上述した本発明の露光装置を利用したデバイスの製造方法の実施形態を説明する。
【0106】
図19は、微小デバイス(ICやLSI等の半導体チップ、液晶パネル、CCD、薄膜磁気ヘッド、マイクロマシン等)の製造のフローを示す。ステップ1(回路設計)ではデバイスのパターン設計を行なう。ステップ2(マスク製作)では設計したパターンを形成したマスクを製作する。一方、ステップ3(ウェハ製造)ではシリコンやガラス等の材料を用いてウェハを製造する。ステップ4(ウェハプロセス)は前工程と呼ばれ、上記用意したマスクとウェハを用いて、リソグラフィ技術によってウェハ上に実際の回路を形成する。次のステップ5(組立)は後工程と呼ばれ、ステップ4によって作製されたウェハを用いて半導体チップ化する工程であり、アッセンブリ工程(ダイシング、ボンディング)、パッケージング工程(チップ封入)等の工程を含む。ステップ6(検査)ではステップ5で作製された半導体デバイスの動作確認テスト、耐久性テスト等の検査を行なう。こうした工程を経て半導体デバイスが完成し、これが出荷(ステップ7)される。
【0107】
図20は、上記ウェハプロセスの詳細なフローを示す。ステップ11(酸化)ではウェハの表面を酸化させる。ステップ12(CVD)ではウェハ表面に絶縁膜を形成する。ステップ13(電極形成)ではウェハ上に電極を蒸着によって形成する。ステップ14(イオン打込み)ではウェハにイオンを打ち込む。ステップ15(レジスト処理)ではウェハにレジストを塗布する。ステップ16(露光)では上述した投影露光装置によってマスクの回路パターンをウェハの複数のショット領域に並べて焼き付け露光する。ステップ17(現像)では露光したウェハを現像する。ステップ18(エッチング)では現像したレジスト像以外の部分を削り取る。ステップ19(レジスト剥離)ではエッチングが済んで不要となったレジストを取り除く。これらのステップを繰り返し行なうことによって、ウェハ上に多重に回路パターンが形成される。
【0108】
このようなデバイスの製造方法を用いれば、従来は製造が困難であった高集積度のデバイスを安定的に低コストで製造することができる。
【0109】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、ウェハ等の基板が保持されるときのピンピッチ間のたわみに起因して発生するウェハ平面度の悪化とウェハディストーションを大幅に減ずることができる。これにより、より微細な素子製造の工程にあっても素子欠陥をなくし歩留まりを向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の基板吸着保持装置の一実施例を示し、(a)はその平面図、(b)は部分断面図である。
【図2】本発明の基板吸着保持装置の他の実施例を示す平面図である。
【図3】本発明の基板吸着保持装置において、基板を吸着保持した状態におけるチャック中心部と基板の状態を示す断面図である。
【図4】チャック中心部における基板のたわみの状態に相当する等分布荷重を受ける両端固定梁のモデル図である。
【図5】図4に図示する両端固定梁における曲げモーメントとたわみ曲線を示す図である。
【図6】基板のディストーションを説明するための図である。
【図7】格子配列のピン配置を説明するための図である。
【図8】60度千鳥格子配列のピン配置を説明するための図である。
【図9】本発明の基板吸着保持装置において、基板を吸着保持した状態におけるチャック外周部と基板の状態を示す断面図である。
【図10】チャック外周部における基板のたわみの状態に相当する等分布荷重の片側固定・片側自由の梁のモデル図である。
【図11】本発明の基板吸着保持装置におけるチャック外周部の他の実施形態を示す断面図である。
【図12】チャック中心部における他の形態を説明するための断面図である。
【図13】チャック外周部における他の形態を説明するための断面図である。
【図14】本発明の基板吸着保持装置におけるピン状凸部の変形例を示す部分断面図である。
【図15】本発明の基板吸着保持装置において、基板中心部における真空圧とピンピッチの範囲を示す図表である。
【図16】本発明の基板吸着保持装置において、基板外周部における真空圧とピンピッチの範囲を示す図表である。
【図17】(a)はピンピッチ間のウェハのたわみ曲線を示す図であり、(b)はピンピッチ間のウェハディストーションの分布形状を示す図である。
【図18】露光装置の構成を図示する概略図である。
【図19】半導体デバイスの製造工程を示すフローチャートである。
【図20】ウェハプロセスを示すフローチャートである。
【符号の説明】
1 基板吸着保持装置(チャック)
2 基板(ウェハ)
10 ピン状の凸部(ピン)
11 吸引穴
12 隔壁
13 (外周)のピン状の凸部(ピン)
14 ピン状の凸部(ピン)
101 レチクルステージ
102 レチクル(原版)
103 照明光学系
105 投影光学系
106 XYステージ
107 オフアクシススコープ
108 面位置計測手段
Claims (12)
- 基板を支持するための複数の凸部を備え、該凸部上に支持される基板を吸着保持する基板吸着保持装置において、前記凸部の配列ピッチL(m)と基板の吸着力P(N/m 2 )は、
P・L3 ≦0.00427
の関係を満足するように設定されていることを特徴とする基板吸着保持装置。 - 基板厚さをh(m)、基板密度をρ(kg/m 3 )、基板の静止摩擦係数をμ、基板吸着保持装置を搭載するステージの最大加速度をG(m/s 2 )としたとき、前記凸部の配列ピッチL(m)と基板の吸着力P(N/m 2 )は、さらに、
G・h・ρ/μ≦P≦100000
かつ、0.0005≦L≦0.005
の関係を満足するように設定されていることを特徴とする請求項1または2記載の基板吸着保持装置。 - 基板を支持するための複数の凸部を備え、該凸部上に支持される基板を吸着保持する基板吸着保持装置において、前記凸部の配列ピッチL(m)と基板の吸着力P(N/m 2 )は、
P・L3 ≦0.00427
かつ、33≦P≦100000
かつ、0.0005≦L≦0.005
の関係を満足するように設定されていることを特徴とする基板吸着保持装置。 - 基板を支持するための複数の凸部を備え、該凸部上に支持される基板を吸着保持する基板吸着保持装置において、前記凸部には、基板の外周部を支持する外周凸部と基板の外周部より内側の中心部を支持する中心凸部があり、前記中心凸部の配列ピッチをLa(m)、前記中心凸部の基板の吸着力をPa(N/m 2 )、前記外周凸部と該外周凸部の内側に隣接する中心凸部との間の配列ピッチをLb(m)、前記外周凸部と該外周凸部の内側に隣接する中心凸部との間の基板の吸着力をPb(N/m 2 )とするとき、それぞれの配列ピッチLa、Lbと吸着力Pa、Pbは、ディストーション許容値をdxdy(m)とし、基板の縦弾性係数をE(N/m)、基板厚さをh(m)、凸部配列による補正係数をc、中立面補正係数をkとしたとき、
- 基板を支持するための複数の凸部を備え、該凸部上に支持される基板を吸着保持する基板吸着保持装置において、前記凸部には、基板の外周部を支持する外周凸部と、基板の外周部より内側の中心部を支持する中心凸部があり、前記中心凸部の配列ピッチをLa(m)、前記中心凸部の基板の吸着力をPa(N/m 2 )、前記外周凸部と該外周凸部の内側に隣接する中心凸部との間の配列ピッチをLb(m)、前記外周凸部と該外周凸部の内側に隣接する中心凸部との間の基板の吸着力をPb(N/m 2 )とするとき、それぞれの配列ピッチLa、Lbと吸着力Pa、Pbは、
Pa・La3 ≦0.00427
および、
Pb・Lb3 ≦0.00164
の関係を満足するようにそれぞれ設定されていることを特徴とする基板吸着保持装置。 - 基板を支持するための複数の凸部を備え、該凸部上に支持される基板を吸着保持する基板吸着保持装置において、前記凸部には、基板の外周部を支持する外周凸部と基板の外周部より内側の中心部を支持する中心凸部があり、前記中心凸部の配列ピッチをLa(m)、前記中心凸部の基板の吸着力をPa(N/m 2 )、前記外周凸部と該外周凸部の内側に隣接する中心凸部との間の配列ピッチをLb(m)、前記外周凸部と該外周凸部の内側に隣接する中心凸部との間の基板の吸着力をPb(N/m 2 )とするとき、それぞれの配列ピッチLa、Lbと吸着力Pa、Pbは、
Pa・La3 ≦0.00427
かつ、33≦Pa≦100000
かつ、0.0005≦La≦0.005
および、
Pb・Lb3 ≦0.00164
かつ、33≦Pb≦100000
かつ、0.0005≦Lb≦0.005
の関係を満足するようにそれぞれ設定されていることを特徴とする基板吸着保持装置。 - 基板を支持するための複数の凸部を備え、該凸部上に支持される基板を吸着保持する基板吸着保持装置において、前記凸部には、基板の外周部を支持する外周凸部と基板の外周部より内側の中心部を支持する中心凸部があり、前記中心凸部の配列ピッチを、前記外周凸部と該外周凸部の内側に隣接する中心凸部との間の配列ピッチより大きくし、かつ、前記中心凸部の基板の吸着力を、前記外周凸部と該外周凸部の内側に隣接する中心凸部との間の基板の吸着力より小さくしたことを特徴とする基板吸着保持装置。
- 基板を支持するための複数の凸部を備え、該凸部上に支持される基板を吸着保持する基板吸着保持装置において、前記凸部には、基板の外周部を支持する外周凸部と基板の外周部より内側の中心部を支持する中心凸部があり、前記中心凸部の配列ピッチを、前記外周凸部と該外周凸部の内側に隣接する中心凸部との間の配列ピッチ以上とし、かつ、前記中心凸部の基板の吸着力を、前記外周凸部と該外周凸部の内側に隣接する中心凸部との間の基板の吸着力より大きくしたことを特徴とする基板吸着保持装置。
- 前記凸部の先端を球面状に形成してあることを特徴とする請求項1ないし9のいずれか1項に記載の基板吸着保持装置。
- 請求項1ないし10のいずれか1項に記載の基板吸着保持装置と、該基板吸着保持装置に吸着保持された基板を、原版のパターンを介して露光する露光手段とを備えていることを特徴とする露光装置。
- 請求項11に記載の露光装置を用いて基板を露光する工程を含む製造工程によってデバイスを製造することを特徴とするデバイスの製造方法。
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