JP4295482B2 - 癒着防止材 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、生体組織同士の癒着を防止する癒着防止材に関し、さらに詳しくは取扱性に優れる架橋ゼラチンフィルムからなる癒着防止材に関する。
【0002】
【従来の技術】
心臓外科、整形外科、脳神経外科、腹部外科、産婦人科等の臨床分野において、様々な外科手術および処置後に、あるいは外傷によって、患部の生体組織が癒着することが、重大な問題となっている。組織の癒着が発生すると、例えば、痛みや機能障害を引き起こし、ひどい場合には前記癒着を剥離するための手術が別途必要になることもある。また、癒着により、一度手術した部位の再手術が危険かつ困難になるという問題も生じている。そこで、従来、生体組織の癒着を防止するために、癒着が発生するおそれがある組織を覆い、保護する癒着防止材が開発されており、実際に、再生酸化セルロース布やヒアルロン酸・カルボキシルメチルセルロース混合膜等が、癒着防止材として実用化されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
具体的に、前記癒着防止材が前記癒着防止機能を果たすためには、前記癒着防止材が、必要な期間、癒着のおそれがある適用部位(患部)に存在し、前記適用部位の組織間のバリアとして働いた上で、最終的に分解され、生体に吸収される必要がある。つまり、前記癒着防止材には、生体適合性、生体吸収性等に優れることが求められている。
【0004】
しかしながら、このような従来の癒着防止材は平面状のシートであったため、前記適用部位に巻き付け、かつ、その状態を保持すべく、例えば、縫合糸により縫合する必要があった。しかし、前記適用部位や、要求される被覆(縫合)条件等によっては、捲回操作と縫合とに高度の技術と時間を要するという問題があった。
【0005】
そこで、本発明の目的は、生体適合性、生体吸収性に優れ、かつ、取り扱い性にも優れる癒着防止材の提供である。
【0006】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、本発明の癒着防止材は、架橋ゼラチンフィルムを含む癒着防止材であって、前記ゼラチンフィルムの表面と裏面とが、異なる架橋処理条件で処理されており、前記架橋されたゼラチンフィルムが、溶液に浸漬した際に湾曲することを特徴とする。なお、本発明において、「ゼラチンフィルムの表面と裏面とが、異なる架橋処理条件で処理されている」とは、両面が架橋処理されている場合のみならず、いずれか一方の表面のみを架橋処理し、他方の面が未処理である場合も含む。また、本発明においては、架橋ゼラチンフィルムの一方の面のみが紫外線処理によって架橋されていることも特徴とする。本発明の癒着防止材は、腱、神経および卵管からなる群から選択される1つの患部への巻きつけ用である。
【0007】
このように溶液に浸漬させることによって湾曲する架橋ゼラチンフィルムを含む本発明の癒着防止材であれば、平面状に広げても、湾曲形状に戻ろうとする復元力が働くため、例えば、従来の平面状の癒着防止材等の生体材料に比べて、例えば、腱や神経、卵管等の患部への巻き付けを迅速かつ簡便に行うことができる。このため、前述のような外科手術等をはじめとする臨床分野において非常に有用である。なお、本発明の癒着防止材は、後述するように、架橋ゼラチンフィルムが溶液に浸漬される前の状態であってもよいし、すでに溶液に浸漬されて湾曲した形状となっているものであってもよい。
【0008】
前述のように前記架橋ゼラチンフィルムが、溶液への浸漬によって湾曲するのは、以下の理由によると推測される。異なる架橋処理条件でゼラチンフィルムの両面を処理した場合、表面側と裏面側とが異なる架橋度の架橋ゼラチンフィルムが得られると考えられる。そして、このように表面側と裏面側とが異なる架橋度であるため、これに伴なって前記架橋度と密接な関係を示す含水率も、前記両面において異なったものとなる。そうすると、前記架橋ゼラチンフィルムを溶液に浸漬することによって、前記含水率の違いから、相対的に架橋度が小さく含水率が大きい面が膨張し、相対的に架橋度が大きく含水率が小さい他方の面が内側になるように湾曲すると考えられる。なお、「相対的に架橋度が小さい面」には、前述のように架橋処理がされていない場合も含まれる。
【0009】
本発明において、前述のように架橋ゼラチンフィルムは溶液に浸漬することによって湾曲するが、以下、湾曲によって内側となる面を表面といい、他方の面を裏面という。前述のように含水率の違いから湾曲するため、内側になる表面が、相対的に架橋度の大きく含水率が小さい面であり、裏面が相対的に架橋度が小さく含水率が大きい面となる。
【0010】
本発明において、前記架橋ゼラチンフィルムは、前述のように一方の面(表面)のみが架橋されている。前記表面のみを架橋させる場合は、架橋処理を片面のみに行うだけよいため、架橋度の調整や製造を容易に行うことができる。
【0011】
本発明の癒着防止材において、前記架橋ゼラチンフィルムは、溶液に浸漬した際に筒状体または捲回体となる。このような筒状体であれば、例えば、腱や神経、卵管等の患部に巻き付けやすく、また、使用する際に前記架橋ゼラチンフィルムを一旦開いても、元に戻ろうとする復元力を有するため、前記患部への巻き付けを前記復元力を利用して容易に行うことができるからである。
【0012】
また、このように捲回体の形状であれば、より一層強い復元力を有するため、前述のような患部への巻き付けを、前記復元力を利用してさらに迅速かつ簡便に行うことができる。また、この復元力によって、患部への巻き付けを維持することも十分可能であることから、例えば、縫合等の処理を省略することもできる。
【0013】
本発明において、前記架橋ゼラチンフィルムは、紫外線処理によって架橋されている
【0014】
前記紫外線照射の場合、その条件は、例えば、ゼラチンフィルムの厚み等に応じて適宜決定できる。具体的には、例えば、ゼラチンフィルムの一方の面のみを紫外線処理する場合、その条件が、ゼラチンフィルムの膜厚5〜500μm、UV照射灯電力1〜1000W、照射時間0.1〜100時間、照射距離1〜100cmの範囲であることが好ましい。
【0015】
このようにゼラチンフィルムの一方の面のみを紫外線処理した場合は、さらにゼラチンフィルム全体が真空条件下で熱処理されていることが好ましい。前記熱処理の条件としては、例えば、温度80〜200℃の範囲、時間5分〜48時間の範囲であり、好ましくは温度95〜180℃、時間30分〜40時間である。
【0017】
以上のように、本発明の癒着防止材は、架橋ゼラチンフィルムの表面側と裏面側を異なる架橋処理条件で架橋させるため、溶液に含浸させると湾曲した形状となり、筒状体または捲回体になる。このため、例えば、腱、神経、卵管等の患部への捲きつけを容易に行うことができ、取扱性にも優れる。また、前述のように、例えば、チューブ状組織の再生用足場として、また、薬物担体としても用いることができる。
【0018】
本発明において、前記架橋ゼラチンフィルムの厚みは、5〜500μmの範囲であることが好ましい。このような厚みであれば、前記溶液への浸漬によって湾曲し易いからである。
【0019】
本発明において、溶液に浸漬する前の前記架橋ゼラチンフィルムの形状は、特に制限されないが、平面状、湾曲状、正方形、長方形、円形、楕円形、角の丸い長方形であることが好ましく、特に好ましくは、角の丸い長方形である。
【0020】
また、本発明の癒着防止材は、溶液への浸漬によって湾曲させる前の架橋ゼラチンフィルムから構成されてもよく、このまま各種医療機関等に提供することができる。このような場合は、例えば、医療機関等において、使用時に溶液に浸漬させて架橋ゼラチンフィルムを湾曲させればよい。一方、予め溶液に浸漬させて湾曲させた癒着防止材とし、溶液に漬けた形態で提供することもできる。また、前記溶液に浸漬させて湾曲させた癒着防止材を乾燥させ、乾燥型の湾曲形状の癒着防止材として提供することもできる。乾燥型の場合は、例えば、使用前に、再度溶液に浸漬させればよい。
【0021】
本発明において、前記架橋ゼラチンフィルムの生体内存在時間が、12時間〜90日の範囲であることが好ましい。本発明において、「生体内存在時間」とは、前記癒着防止材を生体内に適用してから、生体内でゼラチンフィルムが分解・吸収され、消失する時間をいう(以下、「分解時間」ともいう)。なお、同じ架橋ゼラチンフィルムであっても、前記生体内存在時間は、適用する組織、器官によって異なるため、適用部位に応じて前記生体内存在時間を設定することが好ましい。
【0022】
この生体内存在時間は、例えば、前記架橋ゼラチンフィルムの架橋処理の程度によって、生体内で所望の期間経過後に分解されるように設定することもできる。前述のように癒着防止材は、必要な期間、適用部位に存在して癒着防止機能等を発揮する必要があり、かつ、前記期間を経過した後、組織との異物反応を回避するために、生体内で分解・吸収される必要があるためである。なお、架橋ゼラチンフィルムの架橋度が相対的に大きいほど、生体内での分解は遅くなる。
【0023】
本発明において、生体内において適用されることから、安全性を確保すべく、前記ゼラチンフィルムの原料であるゼラチンに含まれるエンドトキシン濃度は、0を超え200EU/g以下であることが好ましく、検出限界以下であることがより好ましい。なお、エンドトキシンの含有量は、理想的には全く無いこと、すなわち0であることだが、これは実際的ではないので、その下限値は「0を超え」とした。また、本発明の癒着防止材は、その他の問題物質を実質的に含有しないか、法的もしくは医学的許容範囲未満であることが好ましい。
【0024】
また、本発明の癒着防止材は、前記架橋ゼラチンフィルムに、さらに、布状、スポンジ状またはフィルム状である生体内分解吸収性の補強材が配置された構造であってもよい。前記補強材を前記架橋ゼラチンフィルムに配置すれば、架橋ゼラチンフィルムを補強できるため、取り扱い性をより一層向上できる。また、前記架橋ゼラチンフィルムを縫合する場合には、例えば、前記架橋ゼラチンフィルムの縫合部位に配置すれば、縫合によって前記ゼラチンフィルムが破れることも十分に回避できるからである。なお、前記補強材としては、前述のような架橋ゼラチンフィルムの湾曲を阻害しないものが好ましい。
【0025】
前記フィルム状の生体内分解吸収性補強材は、例えば、多孔質フィルムでも無孔質フィルムであってもよい。
【0026】
このように補強材をさらに備える場合、例えば、本発明の癒着防止材を使用する際の癒着防止効果は、ゼラチンフィルムの機能であることを重視すると、縫合部位以外がゼラチンフィルムであることが好ましく、前記ゼラチンフィルムの縁部に補強材が配置されていることが好ましい。一方、癒着防止材を切断して使用する場合には、例えば、所望の大きさに切断しやすく、また、癒着防止材の強度にも優れることから、前記ゼラチンフィルムの全面に補強材が配置されていることが好ましい。また、このように全面に補強材を配置した場合、癒着防止材全体の強度を補強することもでき、取扱性にも優れる。
【0027】
前記ゼラチンフィルムへの前記補強材の配置は、特に制限されず、例えば、接着剤等により一体化されていてもよいが、前記補強材内部の全部または一部にゼラチンが侵入してゲル化していることにより、前記補強材とゼラチンフィルムとが一体化していることが好ましい。このように、前記補強材内部においてもゼラチンをゲル化させれば、ゼラチンのフィルム形成と一体化とを同時に行うことができ、また、接着剤等の他の手段により、ゼラチンフィルムと補強材とを一体化する必要もないため、製造がより一層簡便となり、かつ、強固に一体化することができる。
【0028】
また、予め、前記補強材を親水化しておけば、より一層、ゼラチンフィルムとの接着が強固になる。前記親水化の方法としては、例えば、プラズマ処理、グロー放電処理、コロナ放電処理、オゾン処理、表面グラフト処理、コーティング処理、薬品処理、紫外線照射処理等があげられる。
【0029】
本発明の癒着防止材において、補強材である前記布状体は、特に制限されないが、不織布、織布、編物および組紐であることが好ましく、より好ましくは不織布、織布、編布であり、特に好ましくは織布、編布である。
【0030】
前記補強材が不織布の場合、例えば、メルトブロー法、ニードルパンチ法、スパンボンド法、フラッシュ紡糸法等の方法により製造された不織布であることが好ましい。
【0031】
そして、前記不織布は、さらに、加熱プレス処理されていることが好ましい。加熱プレス処理すれば、繊維間の接着性が向上し、また、毛羽の発生も抑制できる。
【0032】
本発明の癒着防止材において、前記補強材は生体内分解吸収性高分子から構成されることが好ましい。前記生体内分解吸収性高分子としては、例えば、ポリ乳酸、乳酸−カプロラクトン共重合体、ポリグリコール酸、ポリカプロラクトン、乳酸−グリコール酸共重合体、乳酸−エチレングリコール共重合体、ポリジオキサノン、グリコール酸−カプロラクトン共重合体、グリコール酸−トリメチレンカーボネート共重合体、グリコール酸−ジオキサノン−トリメチレンカーボネート共重合体、コラーゲン、ゼラチン、ヒアルロン酸、アルギン酸、キチン、キトサンおよびフィブリンからなる群から選択された少なくとも一つの高分子があげられ、この中でも、補強材を形成した場合に、より強度に優れ、厚みを薄くしても、十分な強度が得られることから、ポリ乳酸および乳酸−カプロラクトン共重合体であることが好ましい。
【0033】
本発明の癒着防止材用途は、神経、欠陥、卵管等を吻合した際に、これを保持するために使用できる。
【0034】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の癒着防止材について説明する。本発明の癒着防止材は、ゼラチンフィルムの表面と裏面とを異なる架橋処理条件で架橋させることによって得られる、両面の架橋度が異なる架橋ゼラチンフィルムから構成される。
【0035】
この架橋ゼラチンフィルムは、前述のように適用部位によって分解時間は異なるが、例えば、12時間〜90日で分解されることが好ましく、より好ましくは1〜60日の範囲であり、特に好ましくは2〜40日の範囲である。分解時間が12時間以上であれば、十分に組織の癒着を防ぐことが可能であり、分解時間が90日以下であれば、十分に癒着を防止し、かつ、ゼラチンフィルムが適用部位において癒着防止以外の反応(例えば、異物反応等)が発生することもない。この分解時間は、後述する架橋処理によって設定することもできる。
【0036】
前記架橋ゼラチンフィルムの厚みは、例えば、後述する湾曲の程度や、適用部位、架橋ゼラチンフィルムの所望の分解時間等に応じて適宜決定できるが、例えば、5〜500μmの範囲であり、好ましくは10〜300μmの範囲であり、より好ましくは15〜200μmの範囲である。前記架橋ゼラチンフィルムの厚みが、例えば、5μm以上であればさらに強度に優れ、また、厚みが500μm以下であれば、さらに柔軟性に優れた取り扱いが容易なフィルムとなる。
【0037】
また、前記架橋ゼラチンフィルムの含水率は、以下の方法で測定した場合、例えば、60〜99%であり、好ましくは70〜98%であり、より好ましくは75〜97%である。この含水率は、例えば、その値が相対的に低いほど、架橋度が相対的に高く、かつ、架橋ゼラチンフィルムの生体内における分解が遅くなることを示す。なお、本発明の癒着防止材における架橋ゼラチンフィルムは、異なる架橋処理条件で架橋させたことを特徴とするため、前述のようにその表面側と裏面側とを異なる架橋度となり、これに伴なって前記表面側と裏面側とで含水率も異なる値となるが、前記含水率の値は架橋ゼラチンフィルム全体の値を示す。
【0038】
前記含水率は、例えば、まず、前記架橋ゼラチンフィルムをリン酸緩衝液(PBS:pH7.4)に25℃で2時間浸漬した後、さらに蒸留水に25℃で6時間浸漬し、その湿潤重量を測定する。続いて、前記架橋ゼラチンフィルムを真空乾燥機で完全に乾燥し、乾燥後のフィルムの乾燥重量を測定する。そして、下記式に前記重量をそれぞれ代入して、含水率を求めることができる。
【0039】
含水率(%)=100×(湿潤重量−乾燥重量)/(湿潤重量)
【0040】
ゼラチンフィルムの原料としては、例えば、ウシ、ブタ、ウマ、ニワトリ等の哺乳類動物や鳥類あるいは魚類等の骨、腱、皮膚、とさか等から抽出したゼラチンが使用できる。これらのゼラチンは、例えば、前記動物から抽出して調製してもよいが、通常、市販の製品が使用できる。前記抽出方法としては、特に制限されず、例えば、従来公知の酸処理、アルカリ処理等の方法等があげられる、中でも安全性に優れるゼラチンを得ることができるため、アルカリ処理が好ましい。
【0041】
市販のゼラチンとしては、例えば、エンドトキシン含有量が極めて少ない、安全性に優れたアルカリ処理ゼラチンが好ましく、具体的には、株式会社ニッピ社製のウシまたはブタ由来のアルカリ処理ゼラチンが例示できる。
【0042】
また、ゼラチンフィルムの原料としては、ゼラチンの他に、例えば、フィルムに柔軟性を付与するため、グリセリン、ポリエチレングリコール、ヒアルロン酸、あるいは抗菌剤、抗炎症剤等の添加物を使用してもよい。
【0043】
このような架橋ゼラチンフィルムから構成される本発明の癒着防止材は、例えば、ゼラチンを平面状にフィルム化し、この平面状ゼラチンフィルムを架橋処理することによって製造できる。本発明において、架橋前のゼラチンフィルムを未処理ゼラチンフィルムといい、架橋後のゼラチンフィルムを架橋ゼラチンフィルムという。
【0044】
なお、架橋ゼラチンフィルムは、医療現場等に提供する際には、溶液に浸漬させる前の湾曲してない状態で提供し、使用の際に溶液に浸漬して湾曲させてもよいし、予め溶液に浸漬して筒状化したものを、溶液に封入した形態で、または、筒状化のまま乾燥させた形態で提供してもよい。
【0045】
ゼラチンフィルムは、例えば、ゼラチンをキャスト法、押出し法等の方法によってフィルム化することによって製造でき、これらの方法の中でも、好ましくはキャスト法である。
【0046】
前記キャスト法によるフィルム化は、例えば、以下に示すように行うことができる。
【0047】
まず、原料のゼラチンを加温状態の溶媒に溶解させて、ゼラチン溶液を調製する。前記溶媒としては、例えば、蒸留水、ジメチルスルホキシド(DMSO)等や、これらの混合液等が使用でき、この中でも取扱いの点で蒸留水が好ましい。ゼラチンの添加割合は、例えば、溶媒100mL当たり0.1〜50gの範囲であり、好ましくは1〜30gの範囲であり、より好ましくは5〜20gの範囲である。溶解温度は、例えば、10〜80℃の範囲であり、好ましくは30〜70℃の範囲であり、より好ましくは40〜60℃の範囲である。また、溶解時間は、前記ゼラチンが溶解できれば特に制限されないが、例えば、1分〜24時間の範囲であり、好ましくは5分〜5時間の範囲であり、より好ましくは10分〜2時間の範囲である。
【0048】
前記ゼラチン溶液が、前述のようなゼラチン以外の添加物を含む場合、その添加割合は、ゼラチン1gに対して、例えば、1mg〜20gの範囲であり、好ましくは5mg〜10gの範囲であり、より好ましくは10mg〜5gの範囲である。
【0049】
このゼラチン溶液をシャーレ等の容器に流し込んで乾燥させることにより、平面状のゼラチンフィルムが製造できる。前記シャーレの大きさは、特に制限されず、所望のフィルムの長さ、幅、厚み等に応じて設定してもよいし、また、フィルム化後、所望の大きさにカットして使用してもよい。
【0050】
前記ゼラチン溶液は、例えば、シャーレの面積(cm2)当たり0.01〜3mLの範囲で流延することが好ましく、より好ましくは0.03〜1mLの範囲であり、特に好ましくは0.05〜0.5mLの範囲である。なお、フィルムの厚みは、例えば、前記ゼラチン溶液におけるゼラチン濃度や、前記ゼラチン溶液の流延量によって調整できる。
【0051】
乾燥処理は、例えば、自然乾燥、加熱乾燥、減圧乾燥(真空乾燥)、強制排気乾燥、強制循環対流等により行うことができ、また、その条件は、例えば、前記ゼラチン溶液の量等に応じて適宜決定できる。具体的には、乾燥温度が、例えば、−40〜90℃の範囲であり、好ましくは0〜50℃の範囲であり、より好ましくは10〜30℃の範囲である。また、乾燥時間は、ゼラチン溶液の量や温度によって適宜決定できるが、例えば、1〜96時間の範囲であり、好ましくは3〜48時間の範囲であり、より好ましくは5〜24時間の範囲である。
【0052】
前述の一連のフィルム化工程は、例えば、クリーンベンチ、クリーンルーム内で無菌的に行うことが好ましい。これは、作業中における雑菌の繁殖によって、ゼラチンフィルムが汚染することを防止するためである。したがって、使用する製造器具は、例えば、オートクレーブ、EOG(エチレンオキサイドガス)、乾熱、電子線等で滅菌処理されたものを使用することが好ましい。また、前記ゼラチン溶解液も、例えば、従来公知のフィルターろ過滅菌を行ってから前記工程に供することが好ましい。
【0053】
つぎに、前記ゼラチンフィルムに架橋処理を施し、両面の架橋度が異なる架橋ゼラチンフィルムを調製する。
【0054】
前記架橋処理によって、ゼラチンフィルムの両面を異なる架橋度に設定するためには、例えば、前記ゼラチンフィルムのいずれか一方の面のみに架橋処理を施してもよいし、また、その両面に架橋処理を施す場合には、異なる条件で架橋処理を行えばよい。なお、この架橋処理によって、ゼラチンの生体内における分解時間を所望の時間に設定することもできる。
【0055】
前記架橋処理は、特にUV照射による方法を用いることが好ましい。前記UV照射によれば、例えば、条件設定が容易であり、また、体内で比較的短時間で分解され、低分子の毒性化学物質も残存しないという効果等に一層優れた架橋ゼラチンフィルムを容易に得ることができるからである。
【0056】
前記UV照射により架橋処理を行う場合は、例えば、前述のように一方の表面のみにUV照射を行うか、または、照射条件を変えて両面にUV照射を行う方法がある。
【0057】
図1に示すように、前述のようにして作製したゼラチンフィルム1のいずれか一方の表面のみにUV照射(同図において矢印A)を行なう場合、例えば、UV照射灯電力、照射時間、照射距離等の条件は特に制限されないが、その反対の裏面までもが同じ程度に架橋されることがないように条件設定を行なうことが好ましい。
【0058】
具体的には、例えば、ゼラチンフィルムの膜厚が5〜500μmの場合、例えば、UV照射灯電力1〜1000W、照射時間0.1〜100時間、照射距離1〜100cmの範囲の条件で、UV照射を行うことが好ましく、より好ましくは、UV照射灯電力5〜100W、照射時間0.5〜50時間、照射距離3〜90cmの範囲であり、特に好ましくは、UV照射灯電力10〜60W、照射時間1〜40時間、照射距離5〜80cmの範囲である。
【0059】
また、前記ゼラチンフィルムの両面にUV照射を行なう場合は、例えば、前述のUV照射灯電力、照射時間、照射距離等の少なくとも一つの照射条件を変えることによって、両面を異なる架橋度に設定することができる。
【0060】
例えば、ゼラチンフィルムの膜厚が5〜500μmであって、UV照射灯電力を10〜60W、照射距離を5〜80cmの範囲とする場合、表面の照射時間20時間に対して、裏面の照射時間0を越え15時間以内であることが好ましく、より好ましくは0を越え10時間以内であり、特に好ましくは0を越え5時間以内である。また、裏面のUV照射灯電力を、例えば、表面のUV照射電力の3/4〜1/10に設定したり、裏面の照射距離を、例えば、表面の照射距離の1.2〜20倍の範囲に設定すること等によっても調整できる。
【0061】
前記ゼラチンフィルムの架橋方法としては、前記UV(紫外線)照射法以外にも、例えば、熱処理、化学架橋剤処理等による方法も採用できる。前記化学架橋剤としては、例えば、アルデヒド類、エポキシ類、カルボジイミド類、イソシアネート類、タンニン、クロム等があげられる。前記アルデヒド類としては、例えば、ホルムアルデヒド、グルタルアルデヒド、酸アルデヒド、グリオキザール、マロン酸ジアルデヒド、スクシン酸ジアルデヒド、フタル酸アルデヒド、ジアルデヒドデンプン、ポリアクロレイン、ポリメタクロレイン等があげられる。また、エポキシ類としては、例えば、グリセロールジグリシジルエーテル、ソルビトールジグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル等があげられる。カルボジイミド類としては、水溶性カルボジイミド(例えば、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド、シクロヘキシル−3−(2−モルフォリノエチル)カルボジイミド等)、ジシクロヘキシルカルボジイミド等があげられる。これらの化学架橋剤は、前記ゼラチンを架橋できれば、その種類は特に制限されず、例えば、一種類でもよいし、二種類以上を併用してもよい。これらの方法によって架橋を行う場合も、ゼラチンフィルムの両面が異なる架橋度となるように、例えば、ゼラチンフィルムの膜厚に応じて適宜処理条件を決定すればよい。
【0062】
前記化学架橋剤処理は、例えば、ゼラチンフィルムの表面に、内部から裏面に浸透しないように有機溶剤中で反応させて架橋してもよい。
【0063】
得られる架橋ゼラチンフィルムは、その大きさは特に限定されず、適用する部位に応じて適宜決定できる。例えば、全体長さ1〜70cmの範囲、全体幅0.5〜50cmであり、好ましくは、全体長さ1〜50cmの範囲、全体幅1〜40cmであり、より好ましくは全体長さ1〜40cmの範囲、全体幅1〜30cmである。また、その厚みも特に制限されないが、後述するように使用時に湾曲し易いように、例えば、5〜500μmの範囲が好ましく、より好ましくは10〜300μmの範囲であり、特に好ましくは15〜200μmの範囲である。
【0064】
以上のようにして作製された架橋ゼラチンフィルムからなる本発明の癒着防止材は、例えば、以下のようにして使用できる。
【0065】
前記架橋ゼラチンフィルムを適用部位へ使用する際には、予め、前記癒着防止材を溶液に浸漬して、水分を含有させることによって湾曲させる。前述のように前記架橋ゼラチンフィルムは、表面側と裏面側とが異なる架橋度であるため、水分の含水率も架橋度に依存してそれぞれの表面において異なっている。このため、前記架橋ゼラチンフィルムを溶液に浸漬して水分を含浸させれば、相対的に架橋度の小さい裏面側は、架橋度の大きい表面側よりも水分を多く含浸して膨張するため、前記架橋ゼラチンフィルムは、表面側が内側になるようにして湾曲していくのである。
【0066】
前記溶液に浸漬した後の前記架橋ゼラチンフィルムの形状としては、例えば、図2〜図4に示す形状があげられる。図2〜図4において、同一箇所には同一符号を付している。図2(A)は、架橋度の大きい表面2aを内側にして湾曲した架橋ゼラチンフィルム2の斜視図であり、同図(B)は、前記図(A)のI−I方向断面図である。同図において2bは、架橋度の小さい裏面を表す。また、図3は、前記図(A)よりも、さらに湾曲が進み筒状となった架橋ゼラチンフィルム2の形態であり、図4は、前記架橋ゼラチンフィルム2が捲回体となった形態である。このような前記架橋ゼラチンフィルムの湾曲の程度は、例えば、表面と裏面の架橋度の差や、その膜厚等によって異なり、架橋条件の設定によって適宜決定できる。
【0067】
前記図3に示す筒状の架橋ゼラチンフィルムの直径(内径)は、ゼラチンフィルムの大きさによって異なるが、例えば、1〜200mmの範囲が好ましく、より好ましくは1〜150mmの範囲、特に好ましくは1〜100mmの範囲である。また、前記図4に示す捲回状の架橋ゼラチンフィルムは、例えば、最外周の内径1.5〜200mmの範囲、最内周の内径1〜199mmの範囲であることが好ましく、より好ましくは最内周の内径1〜149mmの範囲であり、特に好ましくは最内周の内径1〜99mmの範囲である。そして、前記捲回状の架橋ゼラチンフィルムは、例えば、1〜5重に捲回していることが好ましく、より好ましくは1〜3重の範囲である。
【0068】
前記溶液への架橋ゼラチンフィルムの浸漬時間は、前記架橋ゼラチンフィルムが十分に湾曲すれば、その時間は特に制限されないが、例えば、1分〜3時間の範囲であり、好ましくは1分〜1時間、特に好ましくは1分〜30分の範囲である。また、浸漬する際の温度は、例えば、10〜50℃の範囲であり、好ましくは20〜45℃、特に好ましくは30〜40℃の範囲である。
【0069】
また、架橋ゼラチンフィルムは、前述のように平面状の未処理ゼラチンフィルムから調製するだけでなく、例えば、筒状にディッピングあるいは押し出し成形し、これを乾燥させた未処理ゼラチンフィルムから作製することもできる。例えば、この筒状の未処理ゼラチンフィルムの内部面を架橋処理した後、これを軸方向に切断し、この筒状体を開く。そして、この未処理ゼラチンフィルムを溶液に浸漬すると、未処理の状態ですでに筒状となっているのに加えて、溶液への浸漬によって、さらに湾曲が促進されるため、前述のような復元力にすぐれた捲回体の架橋ゼラチンフィルムを得ることができる。
【0070】
また、本発明の癒着防止材は、例えば、適用部位への固定をより一層確実にするために縫合を行う場合、前述のように、前記架橋ゼラチンフィルムに、さらに補強材が配置された構造であってもよい。なお、本発明においては、使用時に前述のような溶液への浸漬よって架橋ゼラチンフィルムを湾曲させるため、この架橋ゼラチンフィルムの湾曲に対する応力が小さい、すなわち、湾曲を阻害しない補強材であることが望ましい。
【0071】
前記補強材は、例えば、縫合に対する補強を目的とすることから、前記ゼラチンフィルムがその役目を果たし、分解・吸収されれば、前記補強材自身も体内に残る必要はなく、また、体内に残存して、適用部位の組織と無用な異物反応を引き起こすことを回避するためにも、分解吸収される必要がある。このため、生体内分解吸収性高分子製の布状体やスポンジ状体、フィルム体等であることが好ましい。
【0072】
前記補強材は、前述のように生体内に残存しなければ特に制限されないが、前述のように架橋ゼラチンフィルムの湾曲を阻害するとがない柔軟性と、縫合に対するある程度の強度とを併せ持つことが望ましい。このため、前記生体分解吸収性高分子としては、例えば、ポリ乳酸、乳酸−カプロラクトン共重合体、ポリグリコール酸、ポリカプロラクトン、乳酸−グリコール酸共重合体、乳酸−エチレングリコール共重合体、ポリジオキサノン、グリコール酸−カプロラクトン共重合体、グリコール酸−トリメチレンカーボネート共重合体、グリコール酸−ジオキサノン−トリメチレンカーボネート共重合体、コラーゲン、ゼラチン、ヒアルロン酸、アルギン酸、キチン、キトサン、フィブリン等があげられ、好ましくはポリグリコール酸、ポリ乳酸、ポリカプロラクトン、ポリジオキノサン、これらの共重合体である。
【0073】
前記布状体の形態としては、前述のように、織物、不織布、編物、平組紐等の組紐等があげられ、好ましくは不織布、編物である。この中でも、不織布は、細い繊維が高度に絡まりあった構造で、方向性がなく、また、厚み設定の容易性、柔軟性、糸掛け張力に一層優れることから好ましく、編物は、糸かけ張力に優れることから好ましい。
【0074】
前記布状体が不織布の場合、その糸掛け張力は、例えば、0.3〜200Nの範囲であることが好ましく、より好ましくは0.4〜150Nの範囲であり、特に好ましくは0.5〜100Nの範囲である。なお、この値は、以下の方法によって求めることができる。
【0075】
(糸掛け張力の測定方法)
試料(5mm×50mm)を準備し、前記試料の長手方向の両端を、2つのチャック間距離が20mmになるように固定する。つぎに、前記試料の長手方向の中点の幅方向の端から2mmのところに、針つき3−0ナイロン糸(ネスコスーチャー、1/2円形丸針)(商品名ネスコスーチャー;アズウェル社製)を通し、糸を通した点から50mmのところで糸の端を固定する。そして、前記試料を固定したまま、糸の端を100mm/minの速度で引張り、その最大強力(糸掛け張力)を測定装置(商品名インストロン4302:インストロン社製)によって測定する。
【0076】
また、前記不織布の目付け量は、例えば、5〜100g/m2の範囲であり、好ましくは8〜80g/m2の範囲であり、より好ましくは10〜50g/m2の範囲である。また、後述するように、熱プレス加工した不織布の場合、その目付け量は、例えば、10〜100g/m2の範囲であり、好ましくは12〜80g/m2の範囲であり、より好ましくは15〜50g/m2の範囲であり、熱プレス加工していない不織布の場合、その目付け量は、例えば、5〜90g/m2の範囲であり、好ましくは8〜70g/m2の範囲であり、より好ましくは10〜45g/m2の範囲である。
【0077】
前記不織布の厚みは、例えば、架橋ゼラチンフィルムの厚みや大きさ等に応じて適宜決定できるが、例えば、10〜500μmの範囲であり、好ましくは20〜300μmの範囲であり、より好ましくは30〜200μmの範囲である。
【0078】
前記不織布は、例えば、従来公知の方法である、メルトブロー法、ニードルパンチ法、スパンボンド法、フラッシュ紡糸等の方法によって作製できる。この中でも、溶剤を使用せず、繊維の直径をより小さくし、細繊維を高度に絡み合わせて、薄い布を容易に作製できることから、メルトブロー法が特に好ましい。
【0079】
前記メルトブロー法は、例えば、溶融した原料を、押出機のダイから集積スクリーン上に、高速度の気流で吹き飛ばし、交絡させることによって、自己接着性マイクロファイバーのウェブを製造する製造方法である。
【0080】
前記ポリ乳酸製またはポリグリコール酸製の不織布を製造する場合、ラクチドまたはグリコリドをそれぞれ原料として重合した重合体を使用し、乳酸−カプロラクトン共重合体製の不織布を製造する場合、ラクチドとカプロラクトンとを混合して重合した共重合体を使用する。この場合、ラクチド(A)とカプロラクトン(B)とのモル比(A:B)は、例えば、A:B=85:15〜40:60の範囲であり、好ましくは、82:18〜42:58の範囲であり、より好ましくは80:20〜45:55の範囲である。
【0081】
以上のような方法により作製した不織布は、そのまま前記補強材として使用することも可能であるが、前述のように不織布の毛羽の発生を抑制し、繊維間の接着性をより一層向上させるために、さらに、前記不織布を熱プレス加工することが好ましい。
【0082】
前記プレス処理は、例えば、ウェブ形成直後に行ってもよいし、真空熱乾燥処理してから行ってもよい。なお、この処理は、前記不織布の両面について行うことが好ましい。
【0083】
ウェブ形成直後に行う場合、その条件は、例えば、温度65〜95℃の範囲、圧力0.01〜5MPaの範囲であり、好ましくは、温度70〜85℃の範囲、圧力0.05〜2MPaの範囲、より好ましくは温度75〜80℃の範囲、圧力0.1〜1MPaの範囲である。
【0084】
一方、後者の場合、まず、前記真空熱乾燥処理を、例えば、以下の条件で行う。乾燥温度は、例えば、40〜135℃の範囲であり、好ましくは、50〜125℃の範囲であり、より好ましくは60〜115℃の範囲である。また、乾燥時間は、例えば、1〜70時間の範囲であり、好ましくは、5〜50時間の範囲、より好ましくは、10〜30時間の範囲である。
【0085】
続いて、熱プレス処理を以下の条件で行うことが好ましい。処理条件は、例えば、温度80〜110℃の範囲、圧力0.01〜5MPaの範囲の範囲であり、好ましくは、温度85〜105℃の範囲、圧力0.05〜2MPaの範囲の範囲、より好ましくは温度90〜100℃の範囲、圧力0.1〜1MPaの範囲の範囲である。前記加熱温度が80℃以上であれば、十分に毛羽立ちをなくすことができ、また、110℃以下であれば、優れた柔軟性を保持できる。
【0086】
前記補強材の大きさは、例えば、適用部位や前記架橋ゼラチンフィルムの大きさによって適宜決定される。また、架橋ゼラチンフィルムに対する配置箇所は、特に制限されないが、前記架橋ゼラチンフィルムが癒着防止機能を発揮することから、前記補強材は、縫合や接着剤による接着等に対する補強が十分に行われる範囲において、出来るだけ少ない面積で一体化されていることが好ましい。このため、前述のように、架橋ゼラチンフィルムの縫合部位(例えば、端部)に配置してもよいし、架橋ゼラチンフィルムの全面に配置してもよい。
【0087】
具体的には、架橋ゼラチンフィルムの大きさが、長さ1〜70cm、幅0.5〜50cm、厚み5〜500μmであって、その端部に、前記補強材を幅1〜50mmの範囲で配置することが好ましく、より好ましくは2〜40mmの範囲であり、特に好ましくは幅3〜30mmの範囲である。また、その厚みは、10〜500μmの範囲が好ましく、より好ましくは20〜300μmの範囲、特に好ましくは30〜200μmの範囲である。
【0088】
前記癒着防止材は、前記架橋ゼラチンフィルムに前記補強材を配置した部分における、前述のような糸掛け張力が、例えば、0.20〜200Nの範囲であることが好ましく、より好ましくは0.25〜150Nの範囲であり、特に好ましくは0.30〜100Nの範囲である。
【0089】
前記ゼラチンフィルムへの前記補強材の配置は、例えば、図5(A)の断面図に示すように、ゼラチンフィルム1上に補強材5を積層した形態であってもよいし、同図(B)の断面図に示すように、ゼラチンフィルム1上に補強材5を介して、さらにゼラチンフィルム6を配置してもよい。なお、補強材は、架橋ゼラチンフィルム上に配置してもよいが、例えば、前記図5に示すように未処理のゼラチンフィルム上に配置した後、前記ゼラチンフィルムに架橋処理を施してもよい。
【0090】
前記架橋ゼラチンフィルムに前記補強材を配置する方法としては、例えば、以下に示す4つの方法があげられる。
【0091】
第1の方法は、まず、前記ゼラチン溶解液を前述のようなシャーレに流し込み、所望の箇所に補強材を浸漬させ、前記補強材内部に前記ゼラチン溶解液を染み込ませる。この場合、前記内部に十分にゼラチン溶解液を含浸させるために、脱気を行うことが好ましい。そして、前記ゼラチンを前述と同様にゲル化し、乾燥させる。これにより、ゼラチンフィルムの形成と共に、補強材内部においてもゼラチンがゲル化され、内部でゼラチンがゲル化した補強材とゼラチンフィルムとが一体化された、癒着防止材が作製できる。
【0092】
第2の方法は、まず、前記ゼラチン溶解液を前記シャーレに流し込み、前記ゼラチンのゲル化を開始する。そして、完全にゼラチンがゲル化する前に、ゲル化直前のゼラチン上の所望の箇所に補強材を載せ、さらに完全にゲル化し、乾燥させる。そうすると、前記補強材内部には部分的に前記ゼラチン溶解液が浸透するため、ゼラチンフィルムの形成と共に、補強材内部においてもゼラチンがゲル化する。これによって、前記補強材とゼラチンフィルムとが一体化した、癒着防止材が作製できる。
【0093】
この方法によれば、例えば、補強材内部に十分に前記ゼラチン溶解液を含浸させるために、前記脱気処理等を行う必要もないため、前記第1の方法よりもさらに簡便に一体化を行うことができる。
【0094】
第3の方法は、例えば、前記第2の方法により一体化させた補強材とゼラチンフィルムとの複合体を、前記補強材が対面するようにゼラチン溶解液に浸漬する方法である。これによって、前記補強材が二枚のゼラチンフィルム内に埋め込まれた構造の癒着防止材が得られる。このような構造の癒着防止材によれば、例えば、その表面に補強材が出ないため、適用部位の全面にゼラチンフィルムを接触させることができる。
【0095】
第4の方法は、予め、所望の厚みとなるように対抗させたガラス板とガラス板との間に所望の形状の不織布を保持させ、前記ガラス板の間に前記ゼラチン溶解液を流し込み、これを冷却してゲル化した後、乾燥する方法である。この場合も、ゼラチン溶解液が部分的に、前記補強材に浸透してからゲル化するため、補強材とゼラチンフィルムとが一体化した癒着防止材を得ることができ、前記第3の方法による癒着防止材と同様に、その表面に補強材が出ないため、例えば、適用部位の全面にゼラチンフィルムを接触させることができる。
【0096】
以上のような方法は、補強材へのゼラチン溶解液の浸透を利用して、前記補強材内部の全部または一部においてもゼラチンをゲル化するため、ゼラチンフィルムと補強材との一体化を十分に行うことができ、このようにして得られた癒着防止材は、例えば、使用に際して、補強材が剥離することもなく、癒着防止材の縫合等に対する強度を維持し、かつ、架橋ゼラチンフィルムと共に湾曲することができる。なお、前記一体化の方法は、前述の方法には限定されず、架橋ゼラチンフィルムの湾曲を阻害しない限り、例えば、接着剤等により行ってもよい。また、本発明は、以上のようにゼラチンフィルムの一部に補強材を配置する形態だけでなく、架橋ゼラチンフィルムの湾曲を阻害しない限り、前記ゼラチンフィルムの全面に補強材を配置した形態でもよい。
【0097】
【実施例】
(実施例1)
ブタ由来のアルカリ処理ゼラチン(商品名G0545P:新田ゼラチン社製)を水に溶解して、1、3、5、10重量%のゼラチン溶液を調製した。このゼラチン溶液をクリーンベンチ内でシャーレ(大きさ10×14cm)にキャストし、さらに風乾(20℃)することによって、各種厚み(150μm、75μm、45μmおよび15μm)の未処理ゼラチンフィルムを作製した。
【0098】
これらの未処理ゼラチンフィルムの両面またはその片面に紫外線を照射して架橋処理を施し、架橋ゼラチンフィルムを作製した。紫外線照射は、殺菌灯(商品名GL−15:東芝社製)を用いて行い、紫外線照射条件は、波長254nm、紫外線照射灯電力15W,照射距離45cmとした。未処理ゼラチンフィルムの両面または片面の紫外線処理時間については、下記表1に示す(実施例a〜k)。なお、実施例kの架橋ゼラチンフィルムのみは、さらに真空条件下で120℃、12時間熱処理を施した。比較例としては、未処理ゼラチンフィルムの両面を同条件で架橋処理して架橋ゼラチンフィルムを作製した。そして、得られた実施例および比較例の架橋ゼラチンフィルムを、全て長さ2cm×幅2cmの大きさに切断した。
【0099】
得られた実施例(a〜k)および比較例の架橋ゼラチンフィルムについて、以下の項目について評価を行った。
【0100】
(含水率)
架橋ゼラチンフィルムをPBS(pH7.4)に25℃で30分浸漬させた後、前記架橋ゼラチンフィルムの重量を測定し、これを湿潤重量とした。その後、前記架橋フィルムを真空乾燥器中で完全に乾燥させ、その重量を乾燥重量とした。そして、前記湿潤重量および乾燥重量の測定値を用いて、下記式より含水率を求めた。
含水率(%)=[(湿潤重量−乾燥重量)/湿潤重量]×100
【0101】
(架橋ゼラチンフィルムの湾曲性の評価)
前記架橋ゼラチンフィルム(2cm×2cm)を37℃でPBSに浸漬して、経時的な形状変化を下記評価基準に従って評価した。
【0102】
− : 形状変化なし
+ : 表面を内側として幅方向が湾曲し、幅方向両端の距離が15mm以上である
++ : 表面を内側として幅方向が湾曲し、幅方向両端の距離が15mm未満である
○ : 表面を内側として幅方向が湾曲し、幅方向両端部が接触して筒状、あるいは、捲回した状態となっている
【0103】
また、前記評価が「○」であって捲回体を形成している場合には、前記捲回体の内径と外径とをあわせて測定した。捲回体の架橋ゼラチンフィルムにおいて、内径とは、前記捲回体を軸方向に見た場合に、図6に示すように、最も内側の空間の最も狭い部分の直径(同図において矢印A)をいい、外径とは、最も外側の最も幅の広い部分の直径(同図において矢印B)をいう。
以上の結果を下記表1に示す。
【0104】
【表1】
Figure 0004295482
【0105】
前記表1に示すように、比較例の架橋ゼラチンフィルムは、PBSに浸漬しても全く形状は変化しなかった。これに対して、実施例の架橋ゼラチンフィルムは形状が変化する時間が若干異なるものの、全て湾曲形状(筒状、捲回状を含む)となった。このため、腱等の患部への巻き付けが容易に行なうことができる。
【0106】
前記表1に示す実施例の中でも、特に実施例fは、短時間で安定した捲回形状となり、また、ゼラチンフィルムの厚みによるコシや強度の点にも優れた架橋ゼラチンフィルムであった。
【0107】
【発明の効果】
以上のように、本発明の癒着防止材は、架橋ゼラチンフィルムの表面側と裏面側を異なる架橋処理条件で架橋させるため、溶液に含浸させると湾曲した形状となる。このため、腱、神経、卵管等の患部への捲きつけを容易に行うことができ、取扱性にも優れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の癒着防止材の製造方法の概略を示す製造工程の一例を示す断面図である。
【図2】本発明の一実施形態における癒着防止材の図であり、(A)がその斜視図であり、(B)が前記(A)の断面図である。
【図3】本発明のその他の実施形態における癒着防止材の斜視図である。
【図4】本発明のさらにその他の実施形態における癒着防止材の斜視図である。
【図5】(A)および(B)は、本発明のさらにその他の実施形態における癒着防止材の断面図である。
【図6】本発明の実施例における癒着防止材の断面図である。
【符号の説明】
1、6 ゼラチンフィルム
2 架橋ゼラチンフィルム
5 補強材

Claims (9)

  1. 架橋ゼラチンフィルムを含む癒着防止材であって、前記ゼラチンフィルムの表面と裏面とが、異なる架橋処理条件で処理されており、前記架橋されたゼラチンフィルムが、溶液に浸漬した際に湾曲し、筒状体または捲回体となり、
    架橋ゼラチンフィルムの一方の面のみが紫外線処理によって架橋されていることを特徴とする腱、神経および卵管からなる群から選択される1つの患部への巻きつけ用癒着防止材
  2. ゼラチンフィルムの一方の面のみが紫外線処理され、その条件が、ゼラチンフィルムの膜厚5〜500μm、UV照射灯電力1〜1000W、照射時間0.1〜100時間、照射距離1〜100cmの範囲である請求項1記載の癒着防止材
  3. ゼラチンフィルムの一方の面のみが紫外線処理された後、さらにゼラチンフィルム全体が真空条件下で熱処理されている請求項1または2記載の癒着防止材
  4. 前記熱処理の条件が、温度80〜200℃の範囲であり、時間5分〜48時間の範囲である請求項3記載の癒着防止材
  5. 前記溶液が、水、緩衝液、生理食塩水、ヒアルロン酸水溶液、全血、血漿および血清からなる群から選択された少なくとも一つの水溶液である請求項1〜4のいずれか一項に記載の癒着防止材
  6. 架橋ゼラチンフィルムの厚みが、5〜500μmの範囲である請求項1〜5のいずれか一項に記載の癒着防止材
  7. 架橋ゼラチンフィルムが、溶液に浸漬した後、乾燥させた湾曲状のゼラチンフィルムである請求項1〜6のいずれか一項に記載の癒着防止材
  8. 架橋ゼラチンフィルムに、さらに布状、スポンジ状またはフィルム状である生体内分解吸収性の補強材が配置されている請求項1〜7のいずれか一項に記載の癒着防止材
  9. 生体内分解吸収性の補強材が、ポリ乳酸、乳酸−カプロラクトン共重合体、ポリグリコール酸、ポリカプロラクトン、乳酸−グリコール酸共重合体、乳酸−エチレングリコール共重合体、ポリジオキサノン、グリコール酸−カプロラクトン共重合体、グリコール酸−トリメチレンカーボネート共重合体、グリコール酸−ジオキサノン−トリメチレンカーボネート共重合体、コラーゲン、キチン、キトサンおよびフィブリンからなる群から選択された少なくとも一つの生体内分解吸収性高分子から構成されている請求項8に記載の癒着防止材
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