JP2013226166A - 生体吸収性癒着防止材料 - Google Patents
生体吸収性癒着防止材料 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2013226166A JP2013226166A JP2012098310A JP2012098310A JP2013226166A JP 2013226166 A JP2013226166 A JP 2013226166A JP 2012098310 A JP2012098310 A JP 2012098310A JP 2012098310 A JP2012098310 A JP 2012098310A JP 2013226166 A JP2013226166 A JP 2013226166A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- gelatin
- film
- adhesion
- gelatin film
- crosslinking
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Landscapes
- Materials For Medical Uses (AREA)
Abstract
【解決手段】生体内に埋入2日後に重量残存率が50〜90%となるように、ゼラチンフィルムを真空下で、130〜150℃に加熱して3〜14時間熱処理することにより架橋ゼラチンフィルムからなる生体吸収性癒着防止材料を作製する。
【選択図】 なし
Description
以下に本発明を詳述する。
原料となるゼラチンは特に限定されるものではなく、牛、豚、鶏、鮭などの皮膚、骨、腱などから調製されたものを用いることができる。前記ゼラチンフィルムの原料となるゼラチンは、GPCでの測定による重量平均分子量の好ましい下限が10万、好ましい上限が30万である。上記重量平均分子量が10万未満であると、得られる本発明の癒着防止膜の引張強度が低くなることがあり、一方、ゼラチンの性質上その上限が30万を越えることはないのでこれを上限とする。上記重量平均分子量のより好ましい下限は15万、より好ましい上限は25万である。
すなわち、原料ゼラチンを溶媒に加えた後に加熱して溶解させることにより、ゼラチン溶液を調製する。前記溶媒としては、例えば、蒸留水、ジメチルスルホキシド(DMSO)等や、これらの混合液等が使用でき、この中でも取扱いの点で蒸留水、特に注射用水が好ましい。ゼラチンの添加割合は特に限定されないが、好ましい下限は溶媒100mL 当たり0.1g 、好ましい上限は50g である。0.1g未満であると、成膜が困難であることがあり、50gを超えると、溶液の粘度が高くて均一に流延するのが困難となることがある。より好ましい下限は1g、より好ましい上限は30gである。溶解温度としては特に限定されないが、好ましい下限は30℃、好ましい上限は60℃である。30℃未満であると、溶解に長時間を要することがあり、60℃を超えると、ゼラチンが分解、低分子化しゼリー強度が低下することがある。より好ましい下限は40℃、より好ましい上限は50℃である。
前記乾燥方法としては特に限定されず、例えば、自然乾燥、加熱乾燥、減圧乾燥(真空乾燥)、強制排気乾燥、強制循環対流等により行うことができる。
上記乾燥温度の好ましい下限は10℃、好ましい上限は60℃である。10℃未満であると、乾燥に必要以上に時間を要することがあり、60℃を超えると、ゼラチンが分解、低分子化する。より好ましい下限は15℃、より好ましい上限は40℃である。
含水率(%)=[(Ws−Wd) / Ws]×100(%) (1)
式(1) 中、Ws は、癒着防止材を25 ℃ においてリン酸緩衝生理食塩水中に1 時間浸漬したときの重量(湿潤重量)を表し、Wd は、ゼラチンフィルムを真空乾燥機を用いて完全に乾燥したときの重量(乾燥重量)を表す。
このような含水率とするための熱架橋条件としては、減圧下(1Torr) 、120〜170℃ 、30分〜72時間程度の条件を適宜設定することが好ましい。
一般的に、熱処理温度が高いほど、また、処理時間が長いほど架橋が多く入り、架橋度は高くなる。また、含水率は架橋度が高いほど低くなる。従って、所望の品質を得るためには、これらの条件を適宜設定して行うのであるが、低い温度に設定すると架橋に長時間を要し、逆に高い温度で行うとフィルムが脆くなって割れやすい。
本発明の癒着防止材を得るためのより好ましい熱架橋条件の一例を挙げると、120〜150℃ 、3〜20時間である。
ゼラチン粉末(商品名メディゼラチン、株式会社ニッピ社製)を蒸留水に添加し、40℃に加温して溶解し、2.65%濃度のゼラチン水溶液を調製した。得られたゼラチン溶液をガラス板上に流延し、クリーンベンチ中で風乾させることによって未架橋ゼラチンフィルムを得た。
得られたゼラチンフィルムを、真空オーブン(4VO―250N、AZ ONE社製)に入れ、真空下、140℃で1、3、8、14時間加熱加熱処理を行い、約30μmの厚さの架橋ゼラチンフィルムを得た。
得られた架橋ゼラチンフィルムについて、以下の方法により評価を行った。なお、対照として、未架橋のゼラチンフィルム、および、ヒアルロン酸とカルボキシメチルセルロースとを含有するフィルムからなるジェンザイム社製の癒着防止材料「セプラフィルム」(登録商標)についても同様の評価を行った。
熱架橋ゼラチンフィルム、未架橋ゼラチンフィルムと「セプラフィルム」(登録商標)をそれぞれ直径15mmの円形に切抜き、24wellプレートの底に置いた。7週齢のWister/STラットの皮下から採取し、培養した線維芽細胞を1.33×103cells/μLとなるように細胞懸濁液を調製した。24wellプレートの各wellに、前記細胞懸濁液を750μLずつ入れ、FBS10%、L−glutamine1%、ABAM1%のD-MEM培養液を用いて温度37℃、CO2濃度5%条件下で培養した。1日後、3日後、5日後、7日後に、ATP Lite Kit(PerkinElmer社製,USA)を用い、1wellあたりの線維芽細胞の細胞数を計測した。
結果を図1に示す。
熱架橋ゼラチンフィルム、未架橋ゼラチンフィルムでは、経時的に細胞増加がみられた。一方、セプラフィルム(登録商標)上では細胞がほとんど増殖していなかった。
熱架橋ゼラチンフィルム、未架橋ゼラチンフィルム、セプラフィルム(登録商標)を2×2cmの大きさに切り、エチレンオキサイド滅菌を行ったものを試験材料とした。
動物は8週齢、200〜300gのメスWistar S/Tラットを用いた。イソフルランの吸入により基礎麻酔を行ったあと、ペントバルビタール腹腔内投与による全身麻酔をした。開腹して熱架橋ゼラチンフィルム、未架橋ゼラチンフィルム、セプラフィルム(登録商標)をそれぞれ腹腔内に挿入し、4−0縫合糸で閉腹した。ラット1匹につき3枚のサンプルを挿入した。1日後、3日後、5日後、7日後に過剰量のペントバルビタール腹腔内投与しラットを安楽死させてから開腹した。残存するフィルムを取り出し蒸留水で洗浄後、風乾して乾燥重量を測定した。各群においてN=6で測定を行った。
結果を図2に示す。
熱架橋時間ゼラチンフィルムは架橋時間が長いほど分解が遅くなり、熱架橋時間が8、14時間のゼラチンフィルムは埋入後7日目においても生体内に残存していた。一方、未架橋ゼラチンフィルムは、埋入後1日目には完全に分解しており、セプラフィルム(登録商標)は埋入1日目には90%程度が消失していた。
熱架橋ゼラチンフィルム、未架橋ゼラチンフィルム、セプラフィルム(登録商標)を2×3cmの大きさに切り、エチレンオキサイド滅菌を行ったものを試験材料とした。
動物は8週齢、200〜300gのメスWistar S/Tラットを用いた。イソフルランの吸入により基礎麻酔を行ったあと、ペントバルビタール腹腔内投与による全身麻酔をした。開腹し、盲腸部を取り出し、歯科用サンドペーパー(商品名 SHARP-MINI. 極細、OHKI CHEMICAL社製)を用いて1cm ×1cmの大きさに盲腸部及び右側腹壁の腹膜を擦過損傷させた。損傷部に熱架橋ゼラチンフィルム、未架橋ゼラチンフィルム、あるいはセプラフィルム(登録商標)を貼付した。閉腹前に両損傷部間の癒着を誘発すべく両損傷部を接着させるように損傷部同士を6−0縫合糸で一針逢着た後に、腹部を4−0縫合糸で縫合した。3週間後に過剰量のペントバルビタール腹腔内投与しラットを安楽死させてから、フィルム貼付部における癒着範囲及び癒着強度について、下記に示す癒着スコアを元に評価した。各群においてN=8で評価をおこなった。
癒着の面積
0:癒着なし
1:処置面積の1〜25%の癒着
2:処置面積の26〜50%の癒着
3:処置面積の51〜75%の癒着
4:処置面積の76〜100%の癒着
癒着の強度
0:癒着なし
1:容易に剥がれる
2:力を加えた剥離が必要な強い癒着
3:鈍的剥離の漿膜損傷を伴い、50%以下の鋭利剥離が必要な強い癒着
4:鈍的剥離の漿膜損傷を伴い、51%以上の鋭利剥離が必要な強い癒着
癒着の面積を図3に、癒着の強度を図4に示す。
熱架橋時間3、8、14時間の架橋ゼラチンフィルムは無処置群に対して癒着の面積と癒着の強度ともに有意に癒着防止効果が認められたが、その他の群においては認められなかった。熱架橋14時間の熱架橋ゼラチンは3週間後の評価時においても約半数が腹腔内に残存していたが、その他のフィルムはすべて残存していなかった。
Claims (3)
- 熱架橋されたゼラチンフィルムからなる、生体吸収性癒着防止材料。
- 130〜150℃、3〜14時間の条件で熱架橋されたことを特徴とする、請求項1に記載の生体吸収性癒着防止材料。
- 生体内に埋入2日後の重量残存率が50〜90%であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の生体吸収性癒着防止材料。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2012098310A JP2013226166A (ja) | 2012-04-24 | 2012-04-24 | 生体吸収性癒着防止材料 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2012098310A JP2013226166A (ja) | 2012-04-24 | 2012-04-24 | 生体吸収性癒着防止材料 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2013226166A true JP2013226166A (ja) | 2013-11-07 |
Family
ID=49674519
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2012098310A Pending JP2013226166A (ja) | 2012-04-24 | 2012-04-24 | 生体吸収性癒着防止材料 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2013226166A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR20170128385A (ko) | 2015-03-12 | 2017-11-22 | 잇빤 자이단호진 가가쿠오요비겟세이료호겐쿠쇼 | 탈세포화 조직을 사용한 유착 방지재 및 대용 생체막 |
WO2020050102A1 (ja) | 2018-09-05 | 2020-03-12 | 国立研究開発法人物質・材料研究機構 | 癒着防止材 |
WO2022172930A1 (ja) * | 2021-02-09 | 2022-08-18 | 信越化学工業株式会社 | 移植デバイス |
Citations (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2004065780A (ja) * | 2002-08-08 | 2004-03-04 | Gunze Ltd | 生体材料およびそれを用いた癒着防止材 |
WO2007018093A1 (ja) * | 2005-08-05 | 2007-02-15 | Gunze Limited | 癒着防止膜 |
JP2010046249A (ja) * | 2008-08-21 | 2010-03-04 | Nippon Dental Univ | 硬組織補填材 |
WO2011021706A1 (ja) * | 2009-08-19 | 2011-02-24 | 国立大学法人東北大学 | 角膜移植用シート |
-
2012
- 2012-04-24 JP JP2012098310A patent/JP2013226166A/ja active Pending
Patent Citations (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2004065780A (ja) * | 2002-08-08 | 2004-03-04 | Gunze Ltd | 生体材料およびそれを用いた癒着防止材 |
WO2007018093A1 (ja) * | 2005-08-05 | 2007-02-15 | Gunze Limited | 癒着防止膜 |
JP2010046249A (ja) * | 2008-08-21 | 2010-03-04 | Nippon Dental Univ | 硬組織補填材 |
WO2011021706A1 (ja) * | 2009-08-19 | 2011-02-24 | 国立大学法人東北大学 | 角膜移植用シート |
Non-Patent Citations (1)
Title |
---|
JPN6016001960; THE SCIENCE AND ENGINEERING REVIEW OF DOSHISHA UNIVERSITY Vol. 52, No. 2, 201107, p. 57-63 * |
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR20170128385A (ko) | 2015-03-12 | 2017-11-22 | 잇빤 자이단호진 가가쿠오요비겟세이료호겐쿠쇼 | 탈세포화 조직을 사용한 유착 방지재 및 대용 생체막 |
US11033661B2 (en) | 2015-03-12 | 2021-06-15 | Adeka Corporation | Anti-adhesion material and substitute biomembrane using decellularized tissue |
WO2020050102A1 (ja) | 2018-09-05 | 2020-03-12 | 国立研究開発法人物質・材料研究機構 | 癒着防止材 |
EP3848066B1 (en) * | 2018-09-05 | 2024-03-13 | National Institute for Materials Science | Adhesion prevention material |
WO2022172930A1 (ja) * | 2021-02-09 | 2022-08-18 | 信越化学工業株式会社 | 移植デバイス |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
CA2617977C (en) | Method for producing an anti-adhesion membrane comprising thermally crosslinked gelatin film | |
CA2978401C (en) | Anti-adhesion material and substitute biomembrane using decellularized tissue | |
KR101772316B1 (ko) | 생체 내 분해속도 및 물성 조절 가능한 생체적합성 돼지연골 유래 세포외기질 막 제조방법 및 상기 돼지연골 유래 세포외기질을 유효성분으로 함유하는 유착방지용 조성물 | |
US20080241203A1 (en) | Antiadhesive Kit, Process for Producing the Same and Method of Adhesion Prevention | |
CN109125808A (zh) | 一种可生物降解的胶原基角膜替代物及其制备方法 | |
JP2013226166A (ja) | 生体吸収性癒着防止材料 | |
CN107519541B (zh) | 一种预防腹腔术后粘连的水凝胶及其制备方法和应用 | |
WO2013018864A1 (ja) | 癒着防止膜 | |
EP3305339B1 (en) | Method for manufacturing collagen film using ultraviolet light, collagen film manufactured by using same, and biomaterial prepared using collagen film | |
JP3420851B2 (ja) | 癒着防止剤 | |
JP7351545B2 (ja) | 生体組織接着シート、生体組織補強材料キット、及び、生体組織接着シートの製造方法 | |
EP3086819A1 (en) | Medical device | |
KR101406637B1 (ko) | 실크 플레이트의 제조방법 및 이에 의하여 제조된 실크 플레이트 | |
CN115569242B (zh) | 一种防粘连腹壁疝复合补片及其制备方法 | |
CN115850745B (zh) | 一种天然高分子水凝胶薄膜的制备方法及其产品和应用 | |
CN109731146B (zh) | 一种改性聚对苯二甲酸丁二醇酯pbt补片及其制备和应用 | |
WO2021054232A1 (ja) | 生体組織接着シート、生体組織補強材料キット、及び、生体組織接着シートの製造方法 | |
WO2015049800A1 (ja) | 生体内付着性の医療用フィルム | |
CN107029285A (zh) | 一种可吸收甲壳素基复合补片及其应用 | |
WO2016046251A1 (en) | Method for preparing an anti-adhesion barrier film | |
CN118001456A (zh) | 一种新型抗粘连腹壁补片及其制备方法 | |
CN110893250A (zh) | 瘢痕/粘连阻挡膜及其制备方法和用途 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20150320 |
|
RD02 | Notification of acceptance of power of attorney |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422 Effective date: 20150320 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821 Effective date: 20150320 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20160126 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20160225 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20160705 |
|
A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20161004 |