JP2000107278A - 皮膚潰瘍補填修復材料 - Google Patents

皮膚潰瘍補填修復材料

Info

Publication number
JP2000107278A
JP2000107278A JP10284547A JP28454798A JP2000107278A JP 2000107278 A JP2000107278 A JP 2000107278A JP 10284547 A JP10284547 A JP 10284547A JP 28454798 A JP28454798 A JP 28454798A JP 2000107278 A JP2000107278 A JP 2000107278A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
collagen
collagen gel
gel
repairing
skin ulcer
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP10284547A
Other languages
English (en)
Inventor
Keiji Ishikawa
啓司 石川
Risako Matsui
理佐子 松井
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Terumo Corp
Original Assignee
Terumo Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Terumo Corp filed Critical Terumo Corp
Priority to JP10284547A priority Critical patent/JP2000107278A/ja
Publication of JP2000107278A publication Critical patent/JP2000107278A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Abstract

(57)【要約】 【課題】滅菌による安全性と、プラスチック製容器への
密封によるその滅菌性の長期間の保持性と、使用時に容
易にシリンジなどの容器から排出でき創傷面に塗布で
き、また不定形な創傷に合った適切な形状に加工できる
物理的特性を有し、また、ある程度の抗菌力を有しなが
ら、かつ各種皮膚創傷や疾患に優れた治癒性、及び一定
期間は生体で分解されにくい機械強度を有するコラーゲ
ンゲルからなる皮膚潰瘍修復材料を提供する。 【解決手段】0.1〜2.0w/v%のコラーゲン、放
射線保護物質(熱変性コラーゲン、ポリエチレングリコ
ール類、システイン類、アスコルビン酸類など)及び水
から構成され、プラスチック製容器内に密封され放射線
滅菌されたコラーゲンゲルからなる皮膚潰瘍補填修復材
料。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、褥瘡、皮膚潰瘍等
の創傷部の保護、充填、補填、修復等を目的とし、創傷
部の治癒促進を図る医療用材料として用いるコラーゲン
ゲルからなる皮膚潰瘍補填修復材料に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、高齢化社会の到来に伴い床ずれ等
による難治性の褥瘡、皮膚潰瘍に苦しむ患者の数は増加
の一途を辿っており、多くの褥瘡、皮膚潰瘍治療材
(剤)が販売されている。しかし、決め手となる治療法
は存在せず、多くは適切な治療法もないままに放置され
ているのが現状である。
【0003】III度以上の深い創の褥創、皮膚潰瘍に対
して、皮弁術等を用いた外科的治療が最も有効な手段で
あるが、基礎疾患などにより不可能なことが多く、その
治療には古くからガーゼに軟膏を塗布したものを患部に
適用し、毎日交換する保存的な軟膏処置が施されてき
た。また、近年では創傷は湿潤環境下の方が肉芽形成や
上皮形成等が起こりやすく速く治癒するという概念か
ら、創を湿潤環境に保つことを目的としたアルギン酸ナ
トリウムやカルボキシメチルセルロース等の高分子を主
成分とするハイドロコロイドドレッシング材が開発さ
れ、合成材料適用による閉鎖療法が臨床の場で行われる
ようになった。しかし、これら保存的軟膏処置や治療材
(剤)は自身に補填修復効果がなく、良好な肉芽が形成
されるまでに長期間を要する。また、生体親和性におと
るため、生体内に長期留置すると異物反応等の問題が生
じるので、頻繁なドッレシング交換と創傷面の洗浄操作
等の煩雑な作業が必要となり患者に対する負担も大きく
治療面から多くの問題を抱えてきた。創傷治癒が遅けれ
ば、それだけ患者の負担も大きく感染に曝される危険も
高くなる。仮に感染症状が発症した場合、難治化するの
は当然として患者の命を奪うことにもなりかねない。よ
って、創傷治癒を促進し、感染を防御できるものは極め
て有用である。
【0004】感染を防ぐという意味においては、抗菌剤
含有軟膏塗布ガーゼや抗菌剤を含有したドレッシング材
等が有効ではあるが、耐性菌の出現及び抗菌剤自体の細
胞毒性の問題から、創傷治癒能力の面においては満足す
る状態に至っていない。
【0005】本発明の目的はある程度の抗菌力を持ちな
がら、創傷治癒を促進する材料に関するものである。
【0006】創傷治癒を促進する材料として、補填修復
効果があり且つ生体吸収性であるキチン、キトサン、コ
ラーゲン等の生体吸収性材料が注目されている。特にコ
ラーゲンはその優れた生体適合性から医療分野の多岐に
わたって利用されている。
【0007】コラーゲンを用いた人工材料は生体由来で
あるため、創傷に適用した場合、組織親和性も良く、そ
れ自身細胞の足場となるため早期に細胞の伸展が促さ
れ、良好な肉芽組織を形成し、上皮形成をも促進するた
めに短期間に創閉鎖が終了し、且つ補填効果が期待でき
る。実際、細胞侵入性良好なコラーゲン−変性コラーゲ
ンマトリックスからなる人工材料も開発されており、
(特開平1-230366号)早期に好中球やマクロファージが
浸潤し、さらに線維芽細胞が侵入することができる。上
記なる人工材料の使用形態は、懸濁液もしくは懸濁液を
凍結乾燥したスポンジシート状であるが、コラーゲンを
種々の方法で処置することにより、乾燥重量の数十から
数百倍の水分を保持できるハイドロゲル状のコラーゲン
ゲルを調製することも可能である。その用途は、各種の
生体材料、皮膚や骨などの生体組織への補填材、軟膏・
湿布の基材、人工皮膚、創傷被覆材、粘着材、止血材、
癒着防止材、ドラッグデリバリーシステムのキャリアー
等があげられる。
【0008】上述のコラーゲンハイドロゲルを創傷面特
に褥瘡等に使用した場合、コラーゲンの持つ補填修復効
果より優れた創傷治癒促進効果が期待できる。また、合
成高分子材料のようにケア毎に洗浄する必要がなく治療
面から有利である。
【0009】しかし、コラーゲンハイドロゲルを皮膚潰
瘍補填修復材料として実際に使用する場合、医療材料で
あるがゆえに無菌或いは、滅菌することが要求される。
合成材料を主成分とした医療材料を滅菌することは容易
であるが、コラーゲンのようなタンパク質を主成分とす
る医療材料を滅菌するには困難を伴う。一般に、コラー
ゲンの滅菌方法としては、溶液であれば0.2〜0.45
μmのメンブランフィルターで濾過したり、乾燥粉末で
あれば放射線やEOGによる滅菌方法があげられる。し
かしながら、上述のような水分を多量に含有するハイド
ロゲル状のコラーゲンゲルを滅菌する場合、濾過及びガ
ス滅菌ではゲルの形態上、実施不可能である。また、放
射線滅菌ではコラーゲンの部分的な架橋反応や分解反応
を生じさせ、コラーゲンゲルの特性を著しく損なう虞が
あった。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】褥瘡、皮膚潰瘍の治療
に際して操作性、創傷治癒促進効果、感染防御といった
性質を全て兼ね備えた治療材(剤)は存在しない。
【0011】本発明の目的は、創傷面に適用しやすい形
態を有し、コラーゲンの持つ創傷治癒効果を損なわせず
に抗菌作用を有し且つ放射線滅菌されたコラーゲンゲル
からなる皮膚潰瘍補填修復材料を提供するものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成する本発
明は以下の通りである。
【0013】(1)0.1〜2.0w/v%のコラーゲ
ン、放射線保護物質及び水から構成され、プラスチック
製容器内に密封され放射線滅菌されたコラーゲンゲルか
らなる皮膚潰瘍補填修復材料。
【0014】(2)前記コラーゲンゲルは0.1〜3.
0Kgfのゲル強度を有し、ゾル状ではなく多量の水分
を含有した半透明な個体状のゲルであることを特徴とす
る上記(1)記載の皮膚潰瘍補填修復材料。
【0015】(3)前記コラーゲンゲルはγ線を照射す
ることにより架橋度が5〜100%であることを特徴と
する上記(1)または(2)記載の皮膚潰瘍補填修復材
料。
【0016】(4)前記放射線保護物質として、熱変性
アテロコラーゲンが0.025〜10w/v%、グリセ
リンが0.001〜10v/v%、ポリエチレングリコ
ール400が0.01〜10v/v%、エタノールが
0.01〜10v/v%、プロピレングリコールが0.
01〜10v/v%、イソアスコルビン酸ナトリウムが
0.0025〜10w/v%およびL−システイン塩酸
塩が0.0005〜5w/v%からなる群から選ばれる
少なくとも一つを添加することを特徴とする(1)〜
(3)のいずれか一つに記載の皮膚潰瘍補填修復材料。
【0017】(5)0.5〜5.0Mradのγ線を照射す
ることにより少なくとも10-6の滅菌保証を有することを
特徴とする上記(1)〜(4)のいずれか一つに記載の
皮膚潰瘍補填修復材料。
【0018】(6)前記コラーゲンゲルは0.01〜
1.0Mの酢酸及び/又は酢酸ナトリウムを含み、pHが
3〜7に調製され抗菌作用を有することを特徴とする上
記(1)〜(5)のいずれか一つに記載の皮膚潰瘍補填
修復材料。
【0019】
【発明の実施の形態】本発明の皮膚潰瘍補填修復材料の
特徴の一つは、コラーゲンゲルまたはコラーゲン溶液に
放射線保護物質を添加した状態で放射線を照射すること
を特徴とする。一般に、コラーゲン等のタンパク質への
放射線照射は部分的な架橋や分解反応を生じさせること
が知られている。実際、コラーゲンゲルまたはコラーゲ
ン溶液への直接の高線量の放射線照射は、コラーゲンの
凝集、硬化を生じさせ、コラーゲンゲルの特性を著しく
損なわせてしまう。コラーゲンの凝集、硬化は放射線照
射によって生じるラジカル等の活性遊離基がコラーゲン
分子に部分的な過度の架橋反応を生じさせることによる
ものと推測される。本発明は、放射線照射により生じる
活性遊離基を補足するような物質(放射線保護物質)を
添加することにより部分的な架橋反応を制御し、材料の
凝集、硬化を抑制する。
【0020】さらに、密封性を有するプラスチック製容
器に密封させた後に放射線照射することにより、コラー
ゲンゲルの特性を保持し、水分が損失することなくコラ
ーゲンゲルを滅菌し、且つその無菌性を長期間にわたり
保持しようとするものである。
【0021】また、上述の方法により放射線を照射する
ことによってコラーゲンゲルまたはコラーゲン溶液の物
理的特性が向上することも一つの特徴である。
【0022】物理的特性の向上とは放射線照射によって
適度に架橋が導入され、それに伴いゲル強度が上昇する
ものである。この特性の向上により、欠損創へコラーゲ
ンゲルを適用する際に、取り扱いやすく且つ容易に充填
できる形態をとることが出来る。
【0023】よって、上述した方法によって得られるコ
ラーゲンゲルは、容器から押圧手段により排出できる柔
軟性と、シート状に成形した場合はその形状を維持でき
る適度な強度を合わせ持つ物性を有するものであり、か
つ創傷修復効果を有しながら、滅菌性が保たれているも
のであることを特徴とする。
【0024】また、本発明の皮膚潰瘍補填修復材料の一
つの特徴は、コラーゲンゲルを酢酸緩衝液で洗浄したも
の、または酢酸緩衝液に溶解したコラーゲンに放射線を
照射することにより、抗菌性を付与することが出来る。
酢酸は古くから食品の防腐に用いられている短鎖脂肪酸
であり、抗菌力自体はそれほど強くはないが、細胞毒性
が低いことから、感染防御と創傷治癒を促進する作用を
併せ持つ皮膚潰瘍補填修復材料を提供することが出来
る。
【0025】本発明のコラーゲンゲルからなる皮膚潰瘍
補填修復材料は、0.1〜2.0w/v%のコラーゲン
と水を含むことにより、プラスチック製の容器から排出
でき、また種種の形状に加工することも可能なために不
定形な創傷に適切な形状を維持できる物性を保ちなが
ら、創傷修復効果を維持する。
【0026】本発明のコラーゲンゲルを構成するコラー
ゲンは特に限定しないが、牛、豚、鶏等の動物の真皮、
腱、骨、筋膜等のコラーゲンが豊富に含まれる組織を原
料とし、コラーゲンの主たる抗原性部位であるテロペプ
チド領域を酵素等を用いて除去したアテロコラーゲンを
使用することが好ましい。さらに乾燥重量の数十から数
百倍の水分を保持することができる水不溶性のコラーゲ
ンゲルであることが好ましく、これはコラーゲンの酸性
溶液に、水酸化ナトリウム等のアルカリ性物質や、リン
酸ナトリウム、トリス塩酸、ヘペス等の緩衝剤を加え、
溶液のpHを7から8に調整し、更にイソシアネート系
やグルタルアルデヒド等の薬品を加えるか、アスコルビ
ン酸−銅溶液等のフェントン(Fenton)反応の様な機構
により生じるラジカルによってコラーゲン分子同士に架
橋を導入することにより得られる。
【0027】以下、本明細書において単に%とある場合
はw/v(重量/容量)%を表すものとする。
【0028】本発明において、コラーゲンゲルに放射線
保護物質を添加する割合は、0.1〜2.0%好ましくは
0.3〜1.5%のコラーゲンを含有するコラーゲンゲ
ルに対して、熱変性アテロコラーゲンが0.025〜1
0%、好ましくは0.25〜5.0%、グリセリンが0.
001〜10%v/v、好ましくは0.01〜2.0v/v
%、ポリエチレングリコール400が0.01〜10v/
v%、好ましくは0.1〜5.0v/v%、エタノールが
0.01〜10%v/v、好ましくは0.1〜2.0%v
/v、プロピレングリコールが0.01〜10%v/v、
好ましくは0.1〜3.0%v/v、イソアスコルビン
酸ナトリウムが0.0025〜10%、好ましくは0.0
25〜0.5%またはL−システイン塩酸塩が0.000
5〜5%、好ましくは0.005〜0.5%を単独あるい
は混合して添加することが好ましい。
【0029】本発明における放射線照射は、特に限定し
ないが60Coからのγ線照射が最も一般的であり好まし
い。また、照射線量は材料の滅菌性及び物理的特性の兼
ね合いから選択される。つまり、少なくとも10-6レベ
ルの滅菌保証が得られ且つ所望の物理的特性が得られる
線量でなくてはならない。これは、0.5〜5.0Mra
d、好ましくは1.5〜2.5Mradの範囲のγ線照射で
達成することができる。
【0030】所望の物理的特性とは、欠損創に適用する
際に取り扱いやすく且つ容易に充填できる形態をとるこ
とである。この特性を示す一つの指標としてゲル強度が
あげられる。本発明におけるゲル強度とは、市販の万能
試験機による圧縮に対する抵抗力を示す。具体的には、
コラーゲンゲルを入れた口径2mmの10mlシリンジ
(テルモ(株)製)を万能試験機(ストログラフT;東
洋精機製)にセットし、プランジャー部に圧縮力をか
け、コラーゲンゲルがシリンジ内で破断され、シリンジ
先端部からコラーゲンゲルが排出される際の圧縮抵抗力
を測定しゲル強度と定義した。ゲル強度が低い値である
場合、材料は創面より容易に流失してしまう形状である
ため扱いにくい特性を示す。逆に高い場合は、容器から
押圧手段より排出できる柔軟性を欠くためやはり扱いに
くい特性を示す。よって、本発明における所望の物理的
特性を維持するためには、ゲル強度が0.1〜3.0k
gf、好ましくは0.5〜1.5Kgfの範囲であるこ
とが望ましい。
【0031】また、物理的特性を示す別の指標として架
橋度があげられる。本発明におけるコラーゲンゲルは、
γ線を照射して所望の物理的特性を示す架橋度を得るこ
とができる。通常、未架橋のコラーゲンは中性塩や希酸
溶液に抽出可能であるが、分子内や分子間に架橋が存在
する場合はこのような温和な条件では抽出されない。本
発明における架橋度とは、全体のコラーゲン量に占める
不溶性のコラーゲン量の割合を示す。具体的には、コラ
ーゲンゲルをリン酸緩衝液及び希塩酸溶液で抽出処理し
た後、抽出されなかった不溶性のコラーゲン量の全体の
コラーゲン量に対する割合を架橋度と定義した。未架橋
のコラーゲンはコラゲナーゼ等の酵素によって分解され
やすく、生体に適用した際に直ちに分解吸収されてしま
うため、ある程度の架橋が形成されている方が望まし
い。また、架橋の導入率は上述のゲル強度とある程度相
関しており、架橋導入率を求めることにより所望の物理
的特性を示す材料であるかを推測することができる。よ
って、本発明における所望の物理的特性を維持するため
には、架橋度が5〜100%、好ましくは30〜80%
の範囲であることが望ましい。
【0032】また、本発明におけるコラーゲン濃度は、
上述の物理的特性との兼ね合いから0.1〜2.0%、
好ましくは0.3〜1.5%が望ましい。つまり、コラ
ーゲン濃度が2%以上の場合ゲル強度が3Kgf以上と
高く、コラーゲン濃度が0.1%以下の場合ゲル強度は
0.1Kgf以下となり、共に扱いにくい特性を示すこ
とになる。
【0033】また、本発明において、コラーゲンゲルを
酢酸緩衝液で洗浄したものまたは酢酸緩衝液に溶解した
コラーゲンに放射線を照射することにより、抗菌性を付
与することができる。酢酸緩衝液は酢酸及び酢酸ナトリ
ウムを0.01〜1.0M、好ましくは0.05〜0.15
M含み、pHが3〜7、好ましくは5〜6に調製された
ものが望ましい。
【0034】本発明における放射線照射は、コラーゲン
ゲルをプラスチック製の容器に密封した状態で行う。容
器の形状は、少なくともコラーゲンゲルを排出するため
の押圧手段とノズルが設けられ、気密性を有する物であ
れば特に限定されず、市販されているシリンジやスポイ
ド等の形状があげられる。なお、ノズルは気密性を保つ
ため使用直前まで閉口しておかなければならない。
【0035】また、容器の形状はトレイに密封可能な蓋
体やシートをかぶせたシャーレ状のものでも良く、コラ
ーゲンゲルをシート状として創傷に貼付する際に用い
る。シート状のコラーゲンは指でつまみ上げられる程度
の物理的強度を保ち、トレイの深さを変えることにより
望みの厚さのシート状のコラーゲンゲルを得ることがで
きる。またこの際、トレイの形状を不定形な創傷の形態
に合せることにより様々な形状のシート状のコラーゲン
ゲル提供することができる。さらに、立体的な弾丸形状
のコラーゲンゲルを得ることもできる。
【0036】容器の材質については耐放射線性があれば
特に限定しないが、ポリエチレン、ポリエチレンテレフ
タレート、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリカーボ
ネート等があげられる。
【0037】
【実施例】以下、実施例を示し、本発明を更に詳細に説
明する。
【0038】(実施例1) コラーゲンゲル材料の調製 ウシ由来アテロコラーゲン粉末(高研(株)製)を0.3
%の含有率で含む3mM塩酸溶液(pH2〜3)に、塩
化銅(II)二水和物水溶液(CuCl2,2H2O:和光純
薬製)を終濃度が100μM及びアスコルビン酸水溶液(L
(+)−アスコルビン酸:和光純薬製)を終濃度が250
μMとなるように加え良く混和した。これに1/9容量
の線維化緩衝液(1M NaCl−0.3M Na2HP
4)を加え混和した後、37℃の恒温槽に4時間浸漬
した。エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム水溶液(ナ
カライ製)を終濃度が5mMになるように添加し良く混
和した後、4200rpmで5分間遠心分離(HITAC
HI:R5S2ローター)し上清を廃棄した。沈渣の3
容量の蒸留水を加え、4200rpmで5分間遠心分離し
上清を廃棄した。更に抗菌性を付与する目的で得られた
沈渣を以下のように酢酸緩衝液で洗浄置換した。沈渣の
3容量の0.05M酢酸緩衝液(0.0048M CH3COOH-0.045
2M CH3COONa,pH5.6)を加え良く混合した後、4200rp
mで5分間遠心分離し上清を廃棄した。更に沈渣の3容
量の0.05M酢酸緩衝液(pH5.6)を加え良く混合した
後、4200rpmで5分間遠心分離し上清を廃棄した。
得られた沈渣のイオン強度を生理的条件に近付けるため
NaClを0.1M添加して最終的に乾燥重量の約100倍
の90%以上の水分を含む濃度約1.0%のコラ−ゲン
ゲル()を得た。
【0039】(実施例2) コラーゲンゲル材料への放射線保護物質の添加 にL−システイン塩酸塩一水和物を0.01〜0.06
%となるように添加し、ポリプロピレン製の口径2mmの
10mlシリンジ(テルモ(株)製)に注入し、先端ノズル
を封止した。その後、60Coを線源(GAMMACELL 220)
としたγ線を1.6Mrad照射した。そしてγ線照射後の
材料の外観変化及びゲル強度を測定した。尚、ゲル強度
は以下の方法により測定した。コラーゲンゲル材料を入
れた口径2mmの10mlシリンジ(テルモ(株)製)を
万能試験機(ストログラフT;東洋精機製)にセット
し、プランジャー部に圧縮力をかけ、コラーゲンゲルが
シリンジ内で破断され、シリンジ先端部からコラーゲン
ゲルが排出される際の圧縮抵抗力を測定し、それをゲル
強度とした。結果を表1に示す。
【0040】
【表1】
【0041】L−システイン塩酸塩一水和物を添加する
ことにより、外観上ゲルの凝集が抑制できた。また、ゲ
ル強度は低くなり、つまりゲルの硬化が抑制されること
が分かった。また、γ線非照射のコラーゲンゲルと比較
すると、γ線照射により物理的強度が増し、操作性も良
好であった。
【0042】(実施例3) コラーゲン濃度変化に伴う特性変化 ウシ由来アテロコラーゲン粉末(高研(株)製)を0.3
%の含有率で含む3mM塩酸溶液(pH2〜3)に、終
濃度がそれぞれ100μMとなるように塩化銅(II)二
水和物水溶液(CuCl22H2O:和光純薬製)とアスコルビン
酸水溶液(L(+)−アスコルビン酸:和光純薬製)を
加え良く混和した。これに1/9容量の線維化緩衝液
(1M NaCl−0.3M Na2HPO4)を加え混和した後、37
℃の恒温槽に4時間浸漬した。エチレンジアミン四酢酸
二ナトリウム水溶液(C10H14N2Na2O8・2H2O,EDT
A:ナカライ製)を終濃度が5mMになるように添加し
良く混和した後、4200rpmで5分間遠心分離(HI
TACHI:R5S2ローター)し上清を廃棄した。沈
渣の3容量の蒸留水を加え、4200rpmで5分間遠心
分離し上清を廃棄した。更にこの操作を3回繰り返し遠
心濃縮することにより乾燥重量の約35倍の水分を含む
濃度約2.5%のコラーゲンゲルを得た。これに酢酸緩
衝液を0.05Mとなるように添加した後、0.05M酢酸
緩衝液(0.0048M CH3COOH-0.0452M CH3COONa,pH5.6)で各
濃度に希釈し、更にL−システイン塩酸塩一水和物(Cy
s)を0.05%となるように添加した。得られたコラー
ゲン濃度0.1〜2.5%のコラーゲンゲルをポリプロ
ピレン製の口径2mmの10mlシリンジ(テルモ(株)
製)に注入し、先端ノズルを封止した。その後、60Co
を線源(GAMMACELL 220)としたγ線を1.5Mrad照射し
た。その後は実施例2と同様な操作・実験を行った。こ
の時のゲル強度測定結果を図1に示す。
【0043】その結果、コラーゲン濃度上昇と共にゲル
強度の増加が見られ、コラーゲン濃度が2%以上ではゲ
ル強度が3Kgf以上と高く、コラーゲン濃度が0.1
%以下ではゾル状態であり共に扱いにくい特性を示し
た。よって、操作性の面においてはコラーゲン濃度が
0.1〜2.0%の範囲のコラーゲンゲルが良好である
ことがわかった。また、0.3〜1.5%の範囲のコラ
ーゲンゲルのゲル強度は0.5〜1.5Kgfの範囲で
あり、さらに良好な操作性を有することがわかった。
【0044】(実施例4) 照射量の変化に伴う特性変化 (4−1)にL−システイン塩酸塩一水和物(Cys)を
0.05%となるように添加した後、ポリプロピレン製
の口径2mmの10mlシリンジ(テルモ(株))に注入し、
先端ノズルを封止した。その後、60Coを線源(GAMMAC
ELL 220)としたγ線を1.0〜3.0Mradのγ線を照射
し、その後は(2)と同様な操作・実験を行った。この
時の外観変化及びゲル強度測定結果を表2に示す。
【0045】
【表2】
【0046】照射量を変化させた結果、3.0Mradの照
射においてもコラーゲンゲルの凝集は見られず、また、
著しい硬化も認められず操作性は良好であった。
【0047】(4−2)にL−システイン塩酸塩一水
和物(Cys)を0.05%となるように添加した後、ポリプ
ロピレン製の口径2mmの10mlシリンジ(テルモ(株))
に注入し、先端ノズルを封止した。その後、60Coを線
源(GAMMACELL 220)としたγ線を1.0〜3.0Mrad照
射した。そしてγ線照射後の材料の架橋度を測定した。
尚、架橋度は以下の方法により測定した。各コラーゲン
ゲル材料を遠沈管に量り取り、リン酸緩衝液(0.0016M
NaH2PO4-0.0084M Na2HPO4-0.15M NaCl)を加え、37
℃、2時間インキュベートした。遠心分離後、上清の蛋
白質濃度を測定しPBS溶出画分(A:変性、分解成分)と
した。沈渣に5mMとなるように塩酸を加え、4℃で一
晩インキュベートした。遠心分離後、上清の蛋白質濃度
を測定し5mM HCl(4℃)溶出画分(B:低分子成
分)とした。沈渣に5mMとなるように塩酸を加え、60
℃、30分間インキュベートした。遠心分離後、上清の蛋
白質濃度を測定し5mM HCl(60℃)溶出画分(C:
架橋成分)とした。更に残った沈渣に50mMとなるように
塩酸を加え、沸騰水浴中で60分間加熱処理し、この蛋
白質濃度を測定し50mM HCl溶出画分(D:高架橋成分)
とした。架橋度は全コラーゲン量に占める高架橋成分の
割合と定義し次式より求めた。
【0048】架橋度=D/(A+B+C+D)X100 架橋度測定結果を図2に示す。
【0049】その結果、γ線非照射の架橋度が約27%
であるのに対し、γ線を照射することにより架橋度は上
昇し、1.0Mradの照射で約57%、それ以上の照射で約
70%の架橋度であった。また、3.0Mradの照射まで
変性、分解成分の増加は見られなかった。また、γ線非
照射のコラーゲンゲルと比較すると、γ線照射により架
橋度上昇と共に物理的強度が増し、操作性も良好であっ
た。
【0050】(実施例5) トリプシンによる分解性 in vivoにおける分解性をシミュレートする一つの手法
として、トリプシンによる分解性を調べた。にL−シ
ステイン塩酸塩一水和物(Cys)を0.05%となるように
添加した後、ポリプロピレン製の口径2mmの10mlシリ
ンジ(テルモ(株)製)に注入し、先端ノズルを封止し
た。その後、60Coを線源(GAMMACELL 220)としたγ
線を1.0〜3.0Mradのγ線を照射した。
【0051】トリプシンの分解率の測定 ブタ膵臓由来のトリプシン結晶(EC 3.4.21.4
(和光純薬製))を5mg/mlとなるように1mM HC
lに溶解し(用事調製)、使用時に1mM HClで0.
1mg/mlに希釈し、これをトリプシン溶液とした。コラ
ーゲンゲル1g及びブランクとしてコラーゲンゲルと同
一組成の溶液1mlを遠心管に量り取り、これにトリプシ
ン溶液1mlを加え、良く混合した後、25℃で4時間イ
ンキュベートした。また、コラーゲンゲル1gにトリプ
シン溶液のかわりに1mM HClを1ml加えたものをコ
ントロールとした。インキュベート終了後、0.5mg/ml
のトリプシンインヒビター(大豆由来:和光純薬)を2
ml加えて反応を終了させ、3000rpm(RT3SSロ
ーター、日立製作所製)で15分間遠心分離した。沈渣
を蒸留水で数回洗浄、遠心分離した後、沈渣の蛋白質濃
度を測定した。そしてトリプシン分解率を以下の式より
求めた。
【0052】トリプシン分解率=((コントロールコラ
ーゲンゲル蛋白濃度−トリプシン添加コラーゲンゲル蛋
白濃度)/コントロールコラーゲンゲル蛋白濃度)×1
00 トリプシン分解率を図3に示す。
【0053】その結果、トリプシンに対する材料の分解
性は、γ線照射量が増すにつれ若干増加するものの、3.
0Mradのγ線照射でも10%以下であり、γ線照射におけ
りるコラーゲンゲル材料の変性分解は殆ど生じておら
ず、in vivoにおいてもラーゲンゲルの分解性には影響
ないことを示す。
【0054】(比較例)に放射線保護物質を添加しな
い状態で、γ線を0.5〜2Mradで照射すること以外は
(2)と同様な操作・実験を行った。結果を表3に示
す。
【0055】
【表3】
【0056】γ線の照射量に比例して著しい材料の凝集
が見られ、また、材料のゲル強度は高くなり、つまり材
料の硬化が認められた。
【0057】(実施例6)コラーゲンゲル材料の抗菌性 にL−システイン塩酸塩一水和物(Cys)を0.05%と
なるように添加した後、ポリプロピレン製の口径2mmの
10mlシリンジ(テルモ(株))に注入し、先端ノズルを
封止した。その後、60Coを線源(GAMMACELL 220)と
したγ線を1.5Mrad照射した。コラーゲンゲル材料を
シャーレに分注し、これに104〜105個の黄色ブドウ球菌
(S.aureus)又は、緑膿菌(Ps.aeruginosa)を接種
し、37℃で各時間培養した後、菌数を測定した。その結
果を図4に示す。
【0058】コラーゲンゲル材料中の黄色ブドウ球菌は
培養48時間後に104〜103個に減少し、やや静菌的に作
用した。緑膿菌に対しては培養24時間後には生菌数が0
となり、ある程度の殺菌性を示した。ちなみに、細胞株
(L929)を用いた細胞毒性試験より、細胞毒性がないこ
とを確認した。
【0059】(実施例7) 動物モデルへの適用 (7−1)にL−システイン塩酸塩一水和物(Cys)を
0.05%となるように添加した後、ポリプロピレン製
の口径2mmの10mlシリンジ(テルモ(株))に注入し、
先端ノズルを封止した。その後、60Coを線源(GAMMAC
ELL 220)としたγ線を1.5Mrad照射した(a)。ま
た、にL−システイン塩酸塩一水和物(Cys)を0.05
%となるように添加した後、ポリエチレンテレフタレー
ト製の直径10cm、厚さ5mmの円形状のトレイに分注し、
ポリエチレンテレフタレート製のシートで完全に密封し
た後、60Coを線源(GAMMACELL 220)としたγ線を1.
5Mrad照射した(b)。
【0060】得られた各コラーゲンゲル材料の操作性及
び創傷治癒効果を調べるため、モルモット背部の全層皮
膚欠損創への適用を試みた。体重450g前後のHar
tley系モルモットの背部皮膚をネンブタール麻酔下
で徐毛した後、背部皮膚に2×2cmの骨格筋筋膜を創面
とした欠損創を作製し、充分に止血した。次に欠損創に
得られたコラーゲンゲル材料(a)又は(b)を適用し
た。まず、操作性に関して(a)は、ノズルよりコラー
ゲンゲルが容易に排出できる柔軟性を有し、創部への充
填が容易で創面より流れ出ることもなく密着性も良好で
あった。また、(b)は、シート状であるため適当なサ
イズにカットして使用したが、軽くつまみ上げてもその
形状を維持できる強度を有しており、創部に容易に貼付
することができた。また、創面への密着性も良好であっ
た。また、適用後、10日目の創部の組織標本を観察し
た結果、強い炎症反応や過剰な肉芽組織の増殖のない良
好な線維芽細胞と毛細血管の侵入が認められた。また、
創周囲からコラーゲンゲル状への表皮伸展も認められ
た。
【0061】(7−2)更にIII度以上の深度の褥瘡・
皮膚潰瘍に適用した場合を想定し、難治性の皮膚潰瘍モ
デルを作製し、コラーゲンゲル材料の創傷治癒効果を調
べた。体重450g前後のHartley系モルモット
の背部皮膚をネンブタール麻酔下で徐毛した後、2ヶ所
/匹に尾部を基部とした5X5cmの皮弁を挙上した。そ
の皮弁の基部に沿って裏側から真皮層に達する切り込み
を入れ、更に、皮弁底部の疎性結合組織を切除した。そ
の後、皮弁を元の位置に戻し、皮弁周囲を1cmおきに逢
着した。皮弁作製7日後に、皮弁中央部に骨格筋筋膜に
達する2X2cmの欠損創を作製し、これを皮膚潰瘍モデ
ルとした。
【0062】この皮膚潰瘍モデルに(a)又は褥瘡・皮
膚潰瘍治療剤(材):ポビドドンヨウ素シュガー
(c)、ハイドロコロイドドレッシング(d)、アルギネ
ートドッレッシング(e)を適用し創傷治癒効果を比較
した。創面積の経時的変化を図5に示す。
【0063】コラーゲンゲル材料(a)は、(c)、
(d)、(e)に比べ創閉鎖がはやく、優れた創傷治癒効
果を発揮した。
【0064】(7−3)コラーゲン濃度変化に伴う操作
性及び創傷治癒効果を調べるため、実施例3と同様に調
製したコラーゲン濃度0.1〜2.5%のコラーゲンゲ
ルを実施例(6−1)と同様な操作で作製した全層皮膚
欠損創へ適用した。操作性に関しては、低濃度(0.1
%以下)ではコラーゲンゲルが創面より流れ出る傾向が
あり、逆に高濃度(2.0%以上)では創面への密着性
は良好なものの、ノズルよりコラーゲンゲルを排出する
のに困難を伴った。よって、操作性の面からはコラーゲ
ン濃度が0.1〜2.0%の物が好適に使用できること
がわかった。さらに、0.3〜1.5%の範囲の濃度の
物はコラーゲンゲルが創面より流れ出もせず、創面への
密着性は良好で、かつ、ノズルよりコラーゲンゲルを容
易に排出できるので更に好適に使用できることがわかっ
た。また、各濃度のコラーゲンゲル適用後、10日目の
創傷治癒効果を表4に示した。コラーゲンゲルを適用す
ることによって、どの濃度においてもある程度の創傷治
癒効果を示したが、コラーゲン濃度0.5〜1.5%の
範囲で最も良好な創傷治癒効果を発揮した。
【0065】
【表4】
【0066】(実施例8) コラーゲン溶液への放射線保護物質の添加 ウシ真皮由来アテロコラーゲン粉末(高研(株)製)を
0.5%の含有率で含む0.15M酢酸緩衝液(pH5.6)に、
L−システイン塩酸塩一水和物を0.01〜0.5%、
グリセリンを0.1〜5v/v%、ポリエチレングリコ
ール400を0.1〜5v/v%、エタノールを0.1〜
5v/v%、また、プロピレングリコールを0.1〜5
v/v%となるように添加し、ポリプロピレン製の口径
2mmの10mlシリンジ(テルモ(株)製)に注入
し、先端ノズルを封止した。その後、60Coを線源(GAMM
ACELL220)としたγ線を2.5Mrad照射した。そしてγ
線照射後の材料のゲル強度を(実施例2)と同様に測定
した。ゲル強度測定結果を図6に示す。
【0067】その結果、放射線保護物質の添加により、
ゲルの硬化が抑制されることが分かった。
【0068】(実施例9) コラーゲン濃度変化に伴う特性変化 ウシ真皮由来アテロコラーゲン粉末(高研(株)製)を
0.3〜0.8%の含有率で含む0.15M酢酸緩衝液(pH
5.6)に、L−システイン塩酸塩一水和物を0.05
%、グリセリンを1v/v%、ポリエチレングリコール4
00を1v/v%、エタノールを1v/v%、また、プロピ
レングリコールを1v/v%となるように添加し、ポリ
プロピレン製の口径2mmの10mlシリンジ(テルモ
(株)製)に注入し、先端ノズルを封止した。その後、
60Coを線源(GAMMACELL220)としたγ線を2.5Mrad照
射した。そしてγ線照射後の材料のゲル強度を(実施例
2)と同様に測定した。ゲル強度測定結果を図7に示
す。
【0069】その結果、コラーゲン濃度の上昇とともに
ゲル強度の増加が見られた。
【0070】(実施例10) モルモット背部全層皮膚欠損創への適用 ウシ真皮由来アテロコラーゲン粉末(高研(株)製)を
0.5%の含有率で含む0.15M酢酸緩衝液(pH5.6)に、
L−システイン塩酸塩一水和物を0.05%(f)、グ
リセリンを1v/v%(g)、ポリエチレングリコール4
00を1v/v%(h)、エタノールを1v/v%(i)、
また、プロピレングリコールを1v/v%(j)となる
ように添加し、ポリプロピレン製の口径2mmの10m
lシリンジ(テルモ(株)製)に注入し、先端ノズルを
封止した。その後、60Coを線源(GAMMACELL220)とした
γ線を2.5Mrad照射した。
【0071】得られた各コラーゲンゲル材料の操作性及
び創傷治癒効果を調べるため、モルモット背部の全層皮
膚欠損創への適用を試みた。体重450g前後のHar
tley系モルモットの背部皮膚をネンブタール麻酔下
で徐毛した後、背部皮膚に2×2cmの骨格筋筋膜を創面
とした欠損創を作製し、充分に止血した。次に欠損創に
得られたコラーゲンゲル材料(f)〜(j)を適用し
た。まず、操作性に関して(f)〜(j)は、ノズルよ
りコラーゲンゲルが容易に排出できる柔軟性を有し、創
部への充填が容易で創面より流れ出ることもなく密着性
も良好であった。また、適用後、10日目の創部の組織
標本を観察した結果、強い炎症反応や過剰な肉芽組織の
増殖のない良好な線維芽細胞と毛細血管の侵入が認めら
れた。また、創周囲からコラーゲンゲル上への表皮伸展
も認められた。
【0072】
【発明の効果】以上のように本発明のコラーゲンゲルか
らなる皮膚潰瘍補填修復材料は、放射線滅菌により滅菌
性を保持するという優れた安全性と、プラスチック製容
器への密封によるその滅菌性の長期間の保持性と、使用
時にシリンジなどの容器から容易に排出でき創傷面に塗
布でき、また不定形な創傷に合った適切な形状に加工で
きる物理的特性を有する。さらに、ある程度の抗菌力を
有しながら、皮膚創傷などの優れた治癒性、かつ一定期
間は生体で分解されにくいという機械強度もあわせ持
つ。従って、本発明のコラーゲンゲルからなる皮膚潰瘍
補填修復材料は、褥瘡、皮膚潰瘍等の創傷部の保護、充
填、補填、修復等を目的とした医療材料として各種皮膚
創傷や疾患に有効に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】コラーゲン濃度を0.1〜2.5%まで変化さ
せた時のコラーゲンゲルのゲル強度を示す。
【図2】コラーゲンゲルへのγ線照射量を0〜3.0Mra
dまで変化させた時のコラーゲンゲルの架橋度を示す。
【図3】コラーゲンゲルへのγ線照射量を0〜3.0Mra
dまで変化させた時のコラーゲンゲルのトリプシン分解
率を示す。
【図4】コラーゲンゲル材料中での菌の増殖性を示す。
【図5】皮膚潰瘍モデル適用における創面積の経時的変
化を示す。
【図6】コラーゲン溶液への放射線保護物質の添加量を
変化させた時のコラーゲンゲルのゲル強度を示す。
【図7】コラーゲン溶液のコラーゲン濃度を0.3〜
0.8%まで変化させた時のコラーゲンゲルのゲル強度
を示す。

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】0.1〜2.0w/v%のコラーゲン、放
    射線保護物質及び水から構成され、プラスチック製容器
    内に密封され放射線滅菌されたコラーゲンゲルからなる
    皮膚潰瘍補填修復材料。
  2. 【請求項2】前記コラーゲンゲルが0.1〜3.0Kg
    fのゲル強度を有する請求項1に記載の皮膚潰瘍補填修
    復材料。
  3. 【請求項3】前記コラーゲンゲルはγ線を照射すること
    により架橋度が5〜100%であることを特徴とする請
    求項1または請求項2に記載の皮膚潰瘍補填修復材料。
  4. 【請求項4】前記放射線保護物質として、熱変性アテロ
    コラーゲンが0.025〜10w/v%、グリセリンが
    0.001〜10v/v%、ポリエチレングリコール4
    00が0.01〜10v/v%、エタノールが0.01
    〜10v/v%、プロピレングリコールが0.01〜1
    0v/v%、イソアスコルビン酸ナトリウムが0.00
    25〜10w/v%およびL−システイン塩酸塩が0.
    0005〜5w/v%からなる群から選ばれる少なくと
    も一つを添加することを特徴とする請求項1〜3のいず
    れか1項に記載の皮膚潰瘍補填修復材料。
  5. 【請求項5】0.5〜5.0Mradのγ線を照射すること
    により少なくとも10-6の滅菌保証を有することを特徴と
    する請求項1〜4のいずれか1項に記載の皮膚潰瘍補填
    修復材料。
  6. 【請求項6】前記コラーゲンゲルは0.01〜1.0M
    の酢酸及び/又は酢酸ナトリウムを含み、pHが3〜7に
    調整され抗菌作用を有することを特徴とする請求項1〜
    5のいずれか1項に記載の皮膚潰瘍補填修復材料。
  7. 【請求項7】前記コラーゲンゲルは個体状の性質を有し
    ながら、押圧手段とコラーゲンゲルを排出するためのノ
    ズルを有する前記プラスチック製容器に充填した場合、
    容易に排出することが可能な柔軟性を有することを特徴
    とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の皮膚潰瘍補
    填修復材料。
  8. 【請求項8】前記コラーゲンゲルは個体状の性質を有
    し、シャーレ状の前記プラスチック製容器又はチューブ
    状の前記プラスチック製容器に充填しシ−ト状に成形し
    た場合は、その形状を維持できる適度な強度を有するこ
    とを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の皮
    膚潰瘍補填修復材料。
JP10284547A 1998-10-06 1998-10-06 皮膚潰瘍補填修復材料 Pending JP2000107278A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP10284547A JP2000107278A (ja) 1998-10-06 1998-10-06 皮膚潰瘍補填修復材料

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP10284547A JP2000107278A (ja) 1998-10-06 1998-10-06 皮膚潰瘍補填修復材料

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2000107278A true JP2000107278A (ja) 2000-04-18

Family

ID=17679873

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP10284547A Pending JP2000107278A (ja) 1998-10-06 1998-10-06 皮膚潰瘍補填修復材料

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2000107278A (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004065780A (ja) * 2002-08-08 2004-03-04 Gunze Ltd 生体材料およびそれを用いた癒着防止材
GB2470040A (en) * 2009-05-06 2010-11-10 Systagenix Wound Man Ip Co Bv Wound dressing material comprising N-acetyl cysteine
US8293225B2 (en) 2005-10-24 2012-10-23 Ed. Geistlich Soehne Ag Fuer Chemische Industrie Method and device for synovial cell-charged collagen membrane or gel
KR101272484B1 (ko) * 2011-01-19 2013-06-10 세원셀론텍(주) 방사선 가교화된 콜라겐 겔 및 그 제조방법과 사용방법

Cited By (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004065780A (ja) * 2002-08-08 2004-03-04 Gunze Ltd 生体材料およびそれを用いた癒着防止材
US8293225B2 (en) 2005-10-24 2012-10-23 Ed. Geistlich Soehne Ag Fuer Chemische Industrie Method and device for synovial cell-charged collagen membrane or gel
US8852580B2 (en) 2005-10-24 2014-10-07 Geistlich Pharma Ag Method and device for synovial cell-charged collagen membrane or gel
GB2470040A (en) * 2009-05-06 2010-11-10 Systagenix Wound Man Ip Co Bv Wound dressing material comprising N-acetyl cysteine
AU2010244273B2 (en) * 2009-05-06 2015-08-06 Systagenix Wound Management Ip Co. B.V. Wound dressing materials
US10293074B2 (en) 2009-05-06 2019-05-21 Kci Usa, Inc. Wound dressing materials
US11278638B2 (en) 2009-05-06 2022-03-22 Systagenix Wound Management, Limited Wound dressing materials
KR101272484B1 (ko) * 2011-01-19 2013-06-10 세원셀론텍(주) 방사선 가교화된 콜라겐 겔 및 그 제조방법과 사용방법
US20130287746A1 (en) * 2011-01-19 2013-10-31 Sewon Cellontech Co., Ltd. Radiation cross-linked collagen gel, and preparation method and usage method thereof
JP2014507135A (ja) * 2011-01-19 2014-03-27 セウォン セロンテック カンパニー リミテッド 放射線架橋化されたコラーゲンゲル及びその製造方法と使用方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Aramwit Introduction to biomaterials for wound healing
Gupta et al. The production and application of hydrogels for wound management: A review
JP7013336B2 (ja) インサイチュー架橋性ポリマー組成物およびその方法
US7709017B2 (en) Implantable preparations
CN108014366B (zh) 一种海洋生物材料复合水凝胶敷料及其制备方法
EP3659631B1 (en) Wound dressing comprising hyaluronic acid-calcium and polylysine and manufacturing method therefor
Corkhill et al. Synthetic hydrogels VI. Hydrogel composites as wound dressings and implant materials
US10576037B2 (en) Compositions comprising placental collagen for use in wound healing
US20070009580A1 (en) Non-adhesive hydrogels
Patino et al. Collagen as an implantable material in medicine and dentistry
US6458386B1 (en) Medicaments based on polymers composed of methacrylamide-modified gelatin
EP2535041A1 (en) Interpenetrating networks, and related methods and composition
KR20070010572A (ko) 방사선 조사기술을 이용한 상처 치료용 수화겔의 제조방법
Mercy et al. Chitosan-derivatives as hemostatic agents: Their role in tissue regeneration
Rehman et al. Hydrogel: A promising material in pharmaceutics
CN115400260B (zh) 一种含重组人源化胶原蛋白的修复凝胶及其制备方法
US20030095997A1 (en) Natural polymer-based material for use in human and veterinary medicine and method of manufacturing
CN111420126B (zh) 一种医用水凝胶、其成套原料及应用
KR20120035032A (ko) 은 나노입자를 함유하는 상처치료용 수화겔 및 이의 제조방법
JP2000107278A (ja) 皮膚潰瘍補填修復材料
JPH11137662A (ja) 放射線滅菌されたコラーゲンゲル及びその製造方法
Gomase et al. Polymeric Gel Scaffolds and Biomimetic Environments for Wound Healing
AU2004237992B2 (en) Insoluble globin injectable implant
CN112957519A (zh) 用于制备促进创口愈合的水凝胶的组合物、水凝胶及其制备方法
Shi et al. Recent progresses of collagen dressings for chronic skin wound healing