JP3502272B2 - 生体組織接着性医用材料及びその製造法 - Google Patents

生体組織接着性医用材料及びその製造法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、生体組織に対して
接着性を有する医用材料と、その製造法に関する。さら
に詳しくは、生体組織同士の癒着を防止する癒着防止材
などに使用した場合に優れた効果を発揮する生体組織接
着性医用材料とその製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】外科手術後には、しばしば生体組織同士
の癒着が発生し、痛みや機能障害を引き起こすが、癒着
は産婦人科、消化器外科、整形外科および心臓外科分野
においてとくに問題となり、ひどい場合は癒着を剥離す
るための手術が必要になる。また、癒着のため、原疾患
の再手術が困難であることが多い。この癒着を防止する
ために、癒着の発生する恐れのある部位を膜で隔離する
方法があり、一部で使用されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】このような癒着防止法
に現在使用されている材料としては、酸化セルロース膜
やヒアルロン酸・カルボキシメチルセルロース混合膜が
あるが、その効果はきわめて不十分で、限られた症例に
使用されているにすぎない。本発明者らは、酸化セルロ
ース膜の癒着防止効果が不十分な理由について種々検討
を行った結果、以下に述べる2つ問題点があることが判
明した。すなわち、第1の問題点は、膜が生体に十分に
固定されず、当初の位置から動いてしまうことである。
そのため、癒着防止が必要な部位で遮蔽効果が発揮され
ないことになる。これに対して、膜を確実に固定する方
法として接着剤による接着や縫合糸による縫合が考えら
れるが、酸化セルロース膜は強度が弱いために、これら
の方法で固定するのは困難である。また、たとえこのよ
うな方法で固定できたとしても、そのような固定処置自
体が逆に癒着を惹起したり促進する可能性があること
が、本発明者らの検討で明らかになった。したがって、
優れた癒着防止効果を得るためには、生体組織に貼付す
るだけで確実かつ容易に固定できることが必要である。
次に第2の問題は、酸化セルロース膜を生体内に挿入す
ると、短時間で形態が崩れて消失し、必要な期間遮蔽効
果を維持できなくなることである。したがって、酸化セ
ルロース膜よりも長期間形態を維持できることが必要で
あり、数日間程度は形態を保持しその後は速やかに吸収
される材料が好ましいと考えられる。
【0004】尚、化学的(ホルムアルデヒド)に架橋さ
れたゼラチン製癒着防止膜が、アップジョン(UPJO
HN)社よりGel film(登録商標)として市販
されているが、この膜は生体内での分解吸収時間が長
く、また生体内での移動や異物反応の点で有用なものと
はいえなかった。
【0005】本発明の目的は、このような機能を持った
医用材料を提供することにある。すなわち、生体組織に
確実かつ容易に固定できるようにするために、生体に対
して適度な接着性を持ち、生体組織に簡単に貼付できる
材料を提供するものである。他の目的は、数日程度の期
間は生体内で形態を保持し、その後は速やかに生体に吸
収される材料を提供することにある。さらに他の目的
は、そのような材料の製造方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明においては、ゼラ
チンにカルボキシル基を導入することによって、上記の
目的を達成した。すなわち本発明は、カルボキシル基を
含有するゼラチンからなることを特徴とする生体組織接
着性医用材料である。ゼラチンにカルボキシル基を導入
する方法としては、ゼラチンとジカルボン酸無水物とを
反応させる。すなわち、両者を反応させると、ゼラチン
のアミノ基とジカルボン酸無水物が反応し、両者がアミ
ド結合により結合する。或いは、ゼラチンの水酸基とジ
カルボン酸無水物が反応し、両者がエステル結合により
結合する。これらの反応により、より多くのカルボキシ
ル基を導入することができる。
【0007】この材料が生体組織接着性を有する理由
は、導入したカルボキシル基と生体組織のアミノ基ある
いはカルボキシル基との相互作用によって、イオン結合
や水素結合などの弱い結合を形成するためではないかと
推定される。このようにして得られた材料はそのまま使
用することもできるが、生体への吸収速度を遅くしたい
場合は、成形後さらに紫外線を照射することによってゼ
ラチンを架橋してもよい。この架橋の程度を調節するこ
とにより、生体への吸収速度を調節することができるの
で、紫外線の照射量を調節することにより、使用目的に
応じて最適な吸収特性を示す材料を製造することができ
る。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明において使用するゼラチン
としては、通常市販されているゼラチンを使用すること
ができるが、食品用として供給されているものよりも医
療用に提供されているものの方が好ましく、パイロジェ
ンの含有量が少ないものが特に好ましい。
【0009】本発明におけるカルボキシル基を導入した
ゼラチンにおいて、カルボキシル基の含有量は、アミノ
酸1000残基中にカルボキシル基130〜310であ
り、好ましくはアミノ酸1000残基中にカルボキシル
基140〜250である。カルボキシル基の含有量が1
30未満の場合は、生体組織との接着力が弱く、逆に3
10を超えると、水への溶解性が低くなり、フィルム成
形時の取り扱いが困難となる。このようにカルボキシル
基が導入されたゼラチンは、生体接着強度が50〜15
0gf/cm2 という高い生体接着力を示す。
【0010】本発明においてゼラチンと反応させるジカ
ルボン酸無水物としては、無水シュウ酸、無水マロン
酸、無水コハク酸、無水グルタル酸、無水アジピン酸、
無水マレイン酸、無水フタル酸、無水イタコン酸、無水
グルタコン酸、無水ジグリコール酸、無水シトラコン
酸、無水ジフェン酸などを例示することができる。これ
らの中でも、無水マレイン酸と無水コハク酸が好まし
く、無水コハク酸が特に好ましい。ジカルボン酸無水物
とゼラチンとを反応させると、反応がスムーズに進むの
で好ましい。反応は、ゼラチンとジカルボン酸無水物の
両者を溶解することができるジメチルスルホキシドなど
の有機溶媒中で行なうのが好ましく、溶媒は水を含まな
いものが特に好ましい。反応温度は、30〜50℃前後
の温度が好ましく、反応時間は1〜24時間程度が適当
である。また、水を溶媒とした場合は、ジカルボン酸無
水物が加水分解されるため、反応効率は低下するもの
の、ゼラチン中のアミノ基をカルボキシル基に変換する
ことは可能である。
【0011】ジカルボン酸無水物の配合量としてはゼラ
チン1gに対して100〜1200μmolの範囲が好
ましく、有機溶媒の使用量としてはゼラチンに対して4
00〜2000重量%の範囲が好ましい。
【0012】ゼラチンとジカルボン酸無水物を反応させ
た後、反応液をアセトンなどに投入して沈殿させれば、
カルボキシル基を含有するゼラチンを回収することがで
きる。得られたジカルボン酸無水物処理ゼラチンの成形
は、ゼラチンの成形法として公知の方法により行なうこ
とができる。例えばフィルム状に成形したい場合は、ジ
カルボン酸無水物処理ゼラチンを水または有機溶媒に溶
解し、ガラス板等の平面上に流延して乾燥させれば、フ
ィルム状の成形物を得ることができる。或いは、無機塩
等の造孔剤をゼラチンに混入した後、造孔剤のみを溶解
させたり、発泡化して凍結乾燥し、スポンジ状の成形物
を得ることもできる。さらに、上記を組み合わせてスポ
ンジ状のシートを成形しても良い。
【0013】また、上記方法にてゼラチンの成形物を作
製し、これを下記の方法にて架橋不溶化した後、成形物
を膨脹させるジメチルスルホキシドなどの溶媒中でジカ
ルボン酸無水物と反応させることで、同じ目的を達する
ことができる。
【0014】フィルム状の成形物を得た場合に、生体組
織接着性医用材料としては、10〜300μmの厚みの
フィルムとすることが好ましい。50〜150μmの厚
みのフィルムがさらに好ましい。薄すぎると破れやす
く、逆に厚すぎると硬く、使いにくい。
【0015】スポンジ状の成形物を得た場合に、生体組
織接着性医用材料としては、厚み50〜500μm、孔
径5μm以下とすることが好ましい。
【0016】得られた成形物は、生体内に挿入すると、
通常のゼラチンと同程度の速度で生体に吸収されるが、
使用目的によっては、これよりもゆっくりと吸収される
方が好ましいことがある。とくに癒着防止材として使用
する場合は、通常のゼラチンより吸収速度が遅いほうが
好ましいことが多い。このような場合は、成形物に紫外
線を照射することによりゼラチンが架橋され、吸収速度
を遅くすることができる。吸収速度の低下の程度は、紫
外線の照射量と相関があるので、目標とする吸収速度に
なるように照射量を調節すれば良い。例えば、吸収速度
を遅くするために成形物に照射する紫外線照射量を増加
させることもできるし、逆に吸収速度を速くするために
紫外線照射量を減少させることもできる。
【0017】紫外線照射量としては、特に限定されるも
のではないが、例えば15ワットの紫外線を60cmの
距離で5時間以上照射することが好ましい。生体内での
吸収分解性の点からは、紫外線を10時間以上照射する
ことが特に好ましい。紫外線の照射時間が5時間未満の
場合は、架橋の程度が不充分なため、分解が速すぎ、充
分に損傷部を遮蔽できない。尚、紫外線の照射時間が1
00時間を超えると、フィルムの劣化が起こる可能性が
ある。
【0018】上記のように紫外線処理を行なったジカル
ボン酸無水物処理ゼラチンは、癒着防止材として好まし
いものであり、含水率95〜98重量%、グルコース拡
散係数1×10-5〜3×10-5cm2/s という、高い
含水率及びグルコース透過性を持つ。また、生体内での
重量半減日数は0.5〜10日である。
【0019】また架橋の目的では、紫外線照射以外に熱
処理やジアルデヒド、カルボジイミド、ジエポキシ等の
化学的架橋剤も使用することができる。但し、ジカルボ
ン酸処理によってアミノ基が減少しているため、架橋は
しにくくなる。
【0020】熱処理の温度としては120〜170℃で
処理するのが好ましく、化学的架橋剤を使用する場合に
はジカルボン酸無水物処理ゼラチンを1〜200mMの
架橋剤溶液に浸漬することが好ましい。
【0021】フィルム状成形物を生体に密着しやすくす
るためには、優れた柔軟性を有することが好ましいが、
グリセリンを添加することにより、成形物の柔軟性を向
上することができる。グリセリンは、成形前にジカルボ
ン酸無水物処理ゼラチンに混合し成形する。グリセリン
の添加量は、ジカルボン酸無水物処理ゼラチンに対して
50重量%程度までが適当である。
【0022】
【実施例】以下、実施例により本発明をさらに具体的に
説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
尚、以下の例において、「部」は「重量部」であり、癒
着発生率以外の「%」は「重量%」である。
【0023】[実施例1]ゼラチン(新田ゼラチン製G
0545P)5部をジメチルスルホキシド(以下、DM
SOと略す)35部に溶解し、これとは別に無水コハク
酸0.138部を10部のDMSOに溶解して、2種類
のDMSO溶液を調製した。これら2つの溶液を混合
し、撹拌しながら37℃で24時間反応させた。反応終
了後、反応液を多量のアセトン中に投入し、ゼラチンを
沈殿させた。次に、沈殿をアセトンで洗浄した後乾燥し
た。
【0024】このようにして得られたゼラチンのアミノ
基を定量したところ、反応前にくらべて約60%低下し
ており、ゼラチンのアミノ基と無水コハク酸が反応し、
ゼラチンにカルボキシル基が導入されていることが確認
された。理論的には、100%反応したと仮定すると、
アミノ酸1000残基中に含有されるカルボキシル基
は、142となる。次に、得られたジカルボン酸無水物
処理ゼラチンを水に溶解して10%水溶液を調製し、こ
れを撥水処理したガラス板上に流延して乾燥し、厚さ約
100μmのフィルムを得た。
【0025】脂肪層を取り除いた2枚の豚皮の表皮(1
0×30mm)の間に得られたフィルム(10×10mm)
を挟み、50gの荷重を10分間かけた後、引っ張り試
験機で豚皮の両端を引っ張り、引き剥がした。この方法
で測定した生体組織との接着強度は、57.1gf/cm2
あり、良好な生体組織接着性を示した。
【0026】[実施例2]無水コハク酸の使用量を実施
例1の0.5倍、2倍および4倍とする以外は実施例1
と同様にして3種類のフィルムを作製し、その生体組織
接着性を測定した。結果は、以下の通りであった。
【0027】 <無水コハク酸使用量> <生体組織接着強度(gf/cm2)> 0.5倍 44.7 2倍 82.5 4倍 108.6 かかる結果は、無水コハク酸の使用量が増加するに従っ
てカルボキシル基の導入量が増加し、その結果、接着強
度が高まることを示している。
【0028】[比較例]無水コハク酸との反応を行なわ
せることなく、実施例1と同様にしてゼラチンフィルム
を作製し、生体組織接着性を測定した。その結果、3
9.8gf/cm2であった。この結果と実施例1及び2の結
果を比較すると、無水コハク酸の使用量が多いほど接着
力が強くなることが判る。
【0029】[実施例3]殺菌用の紫外線ランプ(東芝
(株)製、GL−15)を使用して、実施例1及び2で
得られた4種類のフィルムに15ワットの紫外線を60
cmの距離で40時間照射し(表と裏を半分の時間ず
つ)、以下の癒着防止効果の評価に使用した。麻酔下で
7週齢のWistarラット腹部を剃毛し、腹部を消毒
後、腹部の皮膚および筋組織を正中線で切開した。腹壁
内側の腸骨静脈を切断し、絹糸を結んで止血した。血管
切断部および絹糸を覆うように腹壁に、酸化エチレンガ
スにて滅菌した1×1.5cmのフィルムを貼付して、
腹部を縫合した。1週間後に開腹して、癒着の有無を観
察し、癒着防止効果を評価した。結果は以下の通りであ
る。
【0030】 <無水コハク酸使用量> <癒着発生率(%)> 対照(フィルムを貼付せず) 80 0.5倍 56 1倍 50 2倍 42 4倍 22
【0031】上記の結果から明らかなように、無水コハ
ク酸を反応させたゼラチンは、癒着防止効果があり、そ
の効果は無水コハク酸の反応量が多いほど(すなわち組
織接着力が大きいほど)優れている。
【0032】成形後の架橋の程度については、至適な範
囲が存在する。すなわち、ゼラチンは架橋するほど、生
体内で分解吸収されにくくなるが、あまり長期間体内に
残存すると、生体がゼラチンを異物として認識してしま
う。しかし、架橋が少な過ぎても、分解吸収が速過ぎて
癒着防止のためのバリアとして役に立たない。
【0033】[実施例4]殺菌用の紫外線ランプ(東芝
(株)製、GL−15)を使用して、実施例2で得られ
た無水コハク酸2倍処理ゼラチンフィルムに15ワット
の紫外線を60cmの距離で10、20時間照射し(表
と裏を半分の時間ずつ)、実施例3の癒着防止効果の評
価に使用した。結果は以下の通りである。
【0034】 *1:フィルムを貼付しない。 *2:紫外線照射していないフィルムを貼付する。
【0035】上記の結果から明らかなように、無水コハ
ク酸を反応させたゼラチンは、紫外線で架橋しないと癒
着防止効果が低く、10〜40時間の紫外線照射では、
ほぼ一定の癒着防止効果を示す。
【0036】[実施例5]殺菌用の紫外線ランプ(東芝
(株)製、GL−15)を使用して、実施例2で得られ
た無水コハク酸2倍処理ゼラチンフィルムに15ワット
の紫外線を60cmの距離で5、10、20、40時間
照射し(表と裏を半分の時間ずつ)、以下の生体吸収分
解性試験の評価に使用した。結果は図1に示す通りであ
る。
【0037】フィルム(1×1.5cm)を酸化エチレ
ンガス滅菌し、次のようにして埋入試験を行なった。フ
ィルムの乾燥重量を測定した後、7週齢のWistar
ラットの腹腔内に埋入した。一定期間後にラットを犠牲
死させ、腹腔内からフィルムを摘出した。摘出したフィ
ルムを軽く洗浄し、真空乾燥器を用いて完全に乾燥させ
た後、重量を測定した。フィルムの初期重量と残存重量
との比からゼラチンフィルムの分解性を測定した。
【0038】図1から明らかなように、紫外線を5〜2
0時間照射して架橋させたゼラチンフィルムは1〜6日
間で分解し生体に吸収されているため、腹壁、腸管、卵
管、子宮等の生体組織のための癒着防止材として好まし
く使用することができる。
【0039】[実施例6]殺菌用の紫外線ランプ(東芝
(株)製、GL−15)を使用して、未処理ゼラチンフ
ィルムや実施例2で得られた無水コハク酸2倍処理ゼラ
チンフィルムに15ワットの紫外線を60cmの距離で
1、5、10、20、40時間照射し(表と裏を半分の
時間ずつ)、以下に示す方法で含水率を測定し、結果を
図2に示した。
【0040】フィルムをリン酸緩衝水溶液(PBS
(−))に25℃で2時間浸漬した後、さらに蒸留水に
25℃で6時間浸漬した。このフィルムの重量を測定
し、湿潤重量とした。その後、このフィルムを真空乾燥
器中で完全に乾燥させ、重量を測定し、乾燥重量とし、
以下の式に従い、含水率を算出した。 含水率(%)=[(湿潤重量−乾燥重量)/湿潤重量]
×100
【0041】図2から明らかなように、未処理ゼラチン
フィルムと比較して、無水コハク酸による処理を行なっ
たゼラチンフィルムは、いずれも95%以上の高い含水
率を示している。
【0042】
【発明の効果】本発明の医用材料は、生体組織との接着
性が優れており、生体組織に貼付するだけで容易に固定
できる。また、本発明の医用材料は生体吸収性で適度の
吸収速度を有しているので、フィルム状に成形して癒着
防止材として使用すると、優れた癒着防止効果を得るこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例5において、紫外線照射時間を変化させ
た各種ゼラチンフィルムの生体吸収分解性試験の結果を
示すグラフである。
【図2】実施例6において、紫外線照射時間を変化させ
たゼラチンフィルムの含水率を示すグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 岩田 博夫 大阪府三島郡島本町若山台1丁目5番地 8−203 (72)発明者 筏 義人 京都府宇治市五ケ庄広岡谷2番地182 (56)参考文献 特開 平9−103479(JP,A) 特開 平2−19164(JP,A) 特開 昭63−290572(JP,A) 特開 昭61−135651(JP,A) 特開 平7−163860(JP,A) 特開 平8−257111(JP,A) 特開 平7−213597(JP,A) 特表 平3−503371(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A61L 24/00 A61L 31/00

Claims (21)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アミノ酸1000残基中にカルボキシル
    基を130〜310含有するゼラチンからなることを特
    徴とする生体組織接着性医用材料。
  2. 【請求項2】 カルボキシル基を含有するゼラチンが、
    ゼラチンとジカルボン酸無水物との反応物である請求項
    1に記載の医用材料。
  3. 【請求項3】 ジカルボン酸無水物が、無水コハク酸あ
    るいは無水マレイン酸である請求項2に記載の医用材
    料。
  4. 【請求項4】 形態がフィルム状である請求項1〜3の
    いずれか1項に記載の医用材料。
  5. 【請求項5】 形態がスポンジ状である請求項1〜4の
    いずれか1項に記載の医用材料。
  6. 【請求項6】 生体接着強度が50〜150gf/cm
    2 である請求項1〜5のいずれか1項に記載の医用材
    料。
  7. 【請求項7】 医用材料が癒着防止材である請求項1〜
    6のいずれか1項に記載の医用材料。
  8. 【請求項8】 ゼラチンとジカルボン酸無水物との反応
    物を成形した後、さらに紫外線を5時間以上照射して架
    橋された請求項7に記載の癒着防止材。
  9. 【請求項9】 ゼラチンを成形した後、ジカルボン酸無
    水物と反応させ、さらに紫外線を5時間以上照射して架
    橋された請求項7に記載の癒着防止材。
  10. 【請求項10】 含水率が95〜98重量%である請求
    項8又は9に記載の癒着防止材。
  11. 【請求項11】 生体内での重量半減日数が0.5〜1
    0日である請求項8〜10のいずれか1項に記載の癒着
    防止材。
  12. 【請求項12】 ゼラチンをジカルボン酸無水物と反応
    させた後、成形することを特徴とする生体組織接着性医
    用材料の製造法。
  13. 【請求項13】 ゼラチンを成形した後、ジカルボン酸
    無水物と反応させることを特徴とする生体組織接着性医
    用材料の製造法。
  14. 【請求項14】 ジカルボン酸無水物が、無水コハク酸
    または無水マレイン酸である請求項12又は13に記載
    医用材料の製造法。
  15. 【請求項15】 さらに架橋処理を行なうことを特徴と
    する請求項12〜14のいずれか1項に記載の医用材料
    の製造法。
  16. 【請求項16】 前記架橋処理が紫外線照射である請求
    項15に記載の医用材料の製造法。
  17. 【請求項17】 紫外線を5時間以上照射する請求項1
    6に記載の医用材料の製造法。
  18. 【請求項18】 前記架橋処理が熱処理である請求項1
    5に記載の医用材料の製造法。
  19. 【請求項19】 前記架橋処理が化学的架橋剤によるも
    のである請求項15に記載の医用材料の製造法。
  20. 【請求項20】 前記化学的架橋剤がジアルデヒド、カ
    ルボジイミド又はジエポキシである請求項19に記載の
    医用材料の製造法。
  21. 【請求項21】 医用材料が癒着防止材である請求項1
    2〜20のいずれか1項に記載の医用材料の製造法。
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