JP4295392B2 - 粉末状水硬性組成物用分散剤およびその製造法並びにこれを用いた粉粒状水硬性組成物 - Google Patents

粉末状水硬性組成物用分散剤およびその製造法並びにこれを用いた粉粒状水硬性組成物 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は流動性に優れたセメント等の水硬性組成物を製造するのに適した粉末状水硬性組成物用分散剤、その製造法及びこれを含む水硬性組成物に関し、詳細には、プレミックス製品にもあらかじめ配合することができる粉末状の水硬性組成物用分散剤、その製造法及びこれを含む水硬性組成物に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
コンクリートやモルタルなどのセメントを使用した組成物の強度や耐久性は、一般的に水/セメント比(W/C)が小さくなるほど向上する。しかしながら、W/C比が小さいと流動性や作業性が悪くなるという問題があるため、W/C比が小さくても良好な流動性が確保できるようにセメント分散剤が使用されている。このような水硬性組成物用分散剤としてはナフタレンスルホン酸塩ホルマリン縮合物やメラミンスルホン酸塩ホルマリン縮合物を主成分とする液状分散剤及び粉末状分散剤が広く使用されているが、流動性の経時低下が大きく、作業性が低下するという問題があるためにアクリル酸又はメタアクリル酸などのポリカルボン酸系の高分子化合物を有効成分とする分散剤も広く使用されつつある。
【0003】
しかしながら、ポリカルボン酸系高分子化合物を主成分とする分散剤は、液状のものが一般的であり、このため、例えば左官材料などで頻繁に使われるプレミックス製品に予め配合しておくことが実質不可能であったり、粉末状分散剤と比べて輸送面や容器及び容器処理などで多くの配慮を必要とし、そのための経費も割高となる等の問題があった。また、スルホン酸塩系ホルマリン縮合物ではホルマリンが有害物質であるため、その取り扱いや使用に於いて必然的に制約せざるを得なかった。
【0004】
このためポリカルボン酸系高分子化合物を主成分とする分散剤を粉末化することも試みられているが、既知の粉末化技術(特公平7−14829号)で水への溶解度が高い粉末状分散剤を得ようとすると、粉末製造過程中に不溶性のゲルが生成し、得られた粉末は分散作用を始めとする性状面での安定性を欠き易かった。
【0005】
また、噴霧乾燥装置を用いた粉末化方法(特許第2669761号)も知られているが、多量の無機粉体を併用しなければならないため、分散剤中のポリカルボン酸系高分子化合物含量が低下したり、無機粉体に吸着され、水溶液状態で使用した場合よりも分散性能が低下する問題がある。更に、100%に近い高濃度粉末分散剤を製造しようとした場合、乾燥塔での付着による収率低下の問題もある。更に、攪拌乾燥機を用いて粘弾性の高い高分子化合物を粉末化しようとした場合、モーターに過負荷がかかるため連続的で安全な操業ができなかった。また、乾燥過程で生じる留去水のCOD値も高くなることが多いため、留去水の排水処理が必要であった。
【0006】
従って本発明の目的は、性能の高いポリアルキレングリコール鎖を有するポリカルボン酸系高分子化合物を用いた、流動性の良好な粉末状水硬性組成物用分散剤及びその効率的な製造法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
そこで本発明者等は種々検討した結果、ポリアルキレングリコール鎖を有するポリカルボン酸系高分子化合物に、還元性無機化合物と還元性有機化合物を添加・配合すれば、効率良く流動性に優れた粉末状分散剤が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明はポリアルキレングリコール鎖を有するポリカルボン酸系高分子化合物を主成分とする液に、還元性無機化合物及び還元性有機化合物を添加し、次いで乾燥粉末化することを特徴とする粉末状水硬性組成物用分散剤の製造法、並びにこうして得られる粉末状水硬性組成物用分散剤を提供するものである。
また本発明は上記粉末状水硬性組成物用分散剤と水硬性材料とを含有する粉粒状水硬性組成物を提供するものである。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明で用いるポリアルキレングリコール鎖を有するポリカルボン酸系高分子化合物は、セメント分散剤として用いられるものであれば特に限定されず、例えば(A)ポリアルキレングリコール鎖を有する(メタ)アクリル酸系共重合体及び(B)ポリアルキレングリコール鎖を有するマレイン酸系共重合体(ただし、(B)の場合、多価金属塩を除く)等が挙げられ、これらは1種でも2種以上を混合して用いてもよい。
【0010】
これらのうち(A)としては、基−COOM(式中、Mは水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム又は有機アミンを示す)及びポリアルキレングリコール鎖を有する(メタ)アクリル酸系共重合体が好ましいものとして挙げられる。また(B)としては、ポリアルキレングリコールアルケニルエーテル−無水マレイン酸共重合体(ただし、多価金属塩を除く)等が好ましいものとして挙げられる。
【0011】
上記(A)(メタ)アクリル酸系共重合体の基−COOM中のMは、水素原子;ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属;カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属;アンモニウム又は有機アミンが好ましい。
【0012】
上記(A)及び(B)におけるポリアルキレングリコール鎖としては、炭素数2〜4のポリアルキレングリコール鎖が好ましく、より好ましくは−O(CH2CH(Ra )O)b−で示されるものである。ここでRa は水素原子又はメチル基を示し、bは2〜200であるが、5〜109が好ましく、特に20〜109、更に30〜109が好ましい。
【0013】
更に(A)(メタ)アクリル酸系共重合体の好ましいものとしては、全構成単位中に、下記式(1)で示される構成単位(1)を40〜80モル%、下記式(2)で示される構成単位(2)を2〜25モル%、下記式(3)で示される構成単位(3)を3〜20モル%及び下記式(4)で示される構成単位(4)を1〜45モル%の割合で有する数平均分子量2000〜50000の(メタ)アクリル酸系共重合体が挙げられる。
【0014】
【化1】
Figure 0004295392
【0015】
〔式中、R1 、R2 、R4 及びR5 は同一又は異なって水素原子又はメチル基を示し、R3 及びR6 は炭素数1〜3のアルキル基を示し、M1 は水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム又は有機アミンを示し、Xは−SO32又は−O−Ph−SO32(ここで、M2 は水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム又は有機アミンを示し、Phはフェニレン基を示す)を示し、nは2〜200の整数を示す〕
【0016】
上記式(1)〜(4)中、R1 、R2 、R4 及びR5 は、メチル基が好ましい。またR3 及びR6 としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基が挙げられ、就中メチル基が好ましい。また、M1 としては、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、アルカノールアミン等が好ましく、特に、水に対する溶解性の面からナトリウムが好ましい。また基X中のM2 としては、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属原子、カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属、アンモニウム及びエタノールアミン等のアルカノールアミン等の有機アミンが挙げられる。これらのうちXとしては、−SO3Naが好ましい。また、(4)式中のnは2〜200であるが、5〜109が好ましく、特に20〜109、更に30〜109が好ましい。構成単位(1)は40〜80モル%であることが好ましく、特に45〜75モル%であることが好ましい。構成単位(2)は2〜25モル%であることが好ましく、特に5〜20モル%であることが好ましい。構成単位(3)は3〜20モル%であることが好ましく、特に5〜15モル%であることが好ましい。また、構成単位(4)は1〜45モル%であることが好ましく、特に3〜40モル%であることが好ましい。なお、構成単位のモル%は、(1)〜(4)の全構成単位を100モル%とした場合の夫々の構成単位のモル%を示す。
【0017】
また特に(A)(メタ)アクリル酸系共重合体の好ましいものとしては、全構成単位中に、下記式(5)で示される構成単位(5)を40〜70モル%、下記式(6)で示される構成単位(6)を5〜30モル%、下記式(7)で示される構成単位(7)を1〜20モル%、下記式(8)で示される構成単位(8)を1〜30モル%及び下記式(9)で示される構成単位(9)を1〜30モル%の割合で有する数平均分子量2000〜50000の(メタ)アクリル酸系共重合体が挙げられる。
【0018】
【化2】
Figure 0004295392
【0019】
〔式中、R7 、R8 、R10、R11、R13及びR14は同一又は異なって水素原子又はメチル基を示し、R9 、R12及びR15は炭素数1〜3のアルキル基を示し、M3 は水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム又は有機アミンを示し、Yは−SO34又は−O−Ph−SO34(ここで、M4 は水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム又は有機アミンを示し、Phはフェニレン基を示す)を示し、mは2〜200の整数を示し、pは2〜109の整数を示す。〕
【0020】
上記式(5)〜(9)中、R7 、R8 、R10、R11、R13及びR14はメチル基が好ましい。また、R9 、R12及びR15としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基が挙げられ、就中、メチル基が好ましい。また、M3 及びM4 としては、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、アルカノールアミン等が好ましく、特にナトリウムが好ましい。また基Yとしては−SO3Naが好ましい。(8)式中のmは2〜200であるが、5〜109が好ましく、特に20〜109が好ましく、更に30〜109が好ましい。また、(9)式中のpは2〜109であるが、5〜50が好ましい。構成単位(5)は40〜70モル%であることが好ましく、特に45〜65モル%であることが好ましい。構成単位(6)は5〜30モル%であることが好ましく、特に8〜23モル%であることが好ましい。構成単位(7)は1〜20モル%であることが好ましく、特に1〜15モル%であることが好ましい。構成単位(8)は1〜30モル%であることが好ましく、特に5〜25モル%であることが好ましい。また、構成単位(9)は1〜30モル%であることが好ましく、特に3〜25モル%であることが好ましい。なお、構成単位のモル%は(5)〜(9)の全構成単位の合計を100モル%とした場合の夫々の構成単位のモル%を示す。
【0021】
上記構成単位からなる(メタ)アクリル酸系共重合体としては、数平均分子量2000〜50000(GPC法、ポリエチレングリコール換算)のものが好ましく、3500〜30000のものがより好ましい。
【0022】
一方、(B)マレイン酸系共重合体としては、メチルポリエチレングリコールビニルエーテル−無水マレイン酸共重合体、ポリエチレングリコールアリルエーテル−無水マレイン酸共重合体、メチルポリエチレングリコールアリルエーテル−無水マレイン酸共重合体、メタクリル酸メチルポリエチレングリコール−マレイン酸共重合体等が挙げられる。当該共重合体(B)の好ましい数平均分子量(GPC法、ポリエチレングリコール換算)は、3000〜200000、特に3000〜80000が好ましい。
【0023】
ポリアルキレングリコール鎖を有するポリカルボン酸系高分子化合物を主成分とする液に、還元性無機化合物及び還元性有機化合物を配合すれば、乾燥粉末化工程における混練攪拌機の負荷が低減され、更に乾燥時にゲルの発生がなく、かつ留去される水のCOD値(化学的酸素要求量)が低下する。
【0024】
還元性無機化合物としては、亜硫酸塩、亜硝酸塩、チオ硫酸塩等が挙げられる。これらの塩としてはアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩が好ましい。当該還元性無機化合物の添加により乾燥工程の混練攪拌時のゲル化が防止できる理由は、明らかではないが、当該還元性無機化合物がポリカルボン酸系共重合体含有液中に残存するラジカル反応開始剤を失活させるためと考えられる。従って、還元性無機化合物の添加量は、混合物中に残存するラジカル反応開始剤の種類や残存量に応じて決定すればよく、通常は高分子化合物合成に用いたラジカル反応開始剤の固型分の量(モル%値)以下であるが、残存ラジカル反応開始剤の固型分の量(モル%値)以下で残存ラジカル反応開始剤の酸化力を失活できる量以上とするのが望ましい。
【0025】
また、還元性有機化合物としては、アミン系化合物、特にアルカノールアミン類が好ましい。具体的にはトリエタノールアミン、ジエタノールアミン、モノエタノールアミン、イソプロパノールアミン、N,N−ジエチルエタノールアミン等のアルカノールアミン、sec−ブチルアミン等のアルキルアミン、エチレンジアミン等のジアミン類等が挙げられる。当該還元性有機化合物の添加により、混練攪拌機の負荷が大きく低減され、乾燥粉末時に排出される留去水のCOD値が低下(200mg/L以下)する。
【0026】
還元性無機化合物及び還元性有機化合物のそれぞれの添加量は、前記ポリカルボン酸系高分子化合物の固型分含有量の0.01〜2.5重量%、特に0.5〜1.5重量%が好ましい。尚、このような還元性有機化合物添加により、乾燥粉末化工程に於ける混合攪拌機の負荷が低減され、また乾燥時に留去される水のCOD値が低下する理由は、これが解砕助剤として作用すると共に、アミン効果によって室温付近の低温下で重合反応が進行し、未反応モノマーが消費されるためと推測される。
【0027】
本発明では、粉末分散剤の吸湿性やブロッキング性等を改善したり、計量誤差を少なくするために乾燥後、上記必須成分の他、更にポリアルキレングリコール、炭素数8〜22の脂肪酸又はその塩、無機粉体を配合してもよい。
【0028】
ポリアルキレングリコールとしては、分子量1000〜20000のポリエチレングリコール、分子量2000〜6000のポリプロピレングリコールが好ましいものとして挙げられる。このうちポリエチレングリコールが特に好ましく、更に平均分子量2000〜4000のポリエチレングリコールが好ましい。
【0029】
また、炭素数8〜22の脂肪酸又はその塩は、飽和でも不飽和でもよく、また直鎖でも分岐を有するものであってもよい。具体的には、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ウンデシル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、ヘプタデシル酸、ステアリン酸、ノナデカン酸、アラキン酸、ベヘン酸、ウンデシレン酸、オレイン酸、エライジン酸、セトレイン酸、エルカ酸、ブラシジン酸及びそれらの塩が挙げられる。上記脂肪酸の塩としては、ナトリウム、カリウム、バリウム、カルシウム、亜鉛、アルミニウム、マグネシウム等の金属塩が好ましい。就中、ステアリン酸又はその塩が好ましく、特に好ましいものとしては、ステアリン酸カルシウムが挙げられる。これらのポリアルキレングリコール及び炭素数8〜22の脂肪酸又はその塩の配合量は、前記ポリアルキレングリコール鎖を有するポリカルボン酸系高分子化合物の固型分含有量の0.2〜30重量%、特に0.5〜20重量%が好ましい。
【0030】
無機粉体としては、炭酸カルシウムや珪酸カルシウム等の無機塩類の粉末やカオリナイト、ベントナイト等の粘土鉱物粉末、又は高炉スラグやフライアッシュなどの微粉末が使用できる。これら無機粉体は、特に粉末化が困難なポリカルボン酸系高分子化合物を粉末化するのに効果的であるが、ポリカルボン酸系高分子化合物の溶液を高濃度で粉末化するためには、無機粉末の使用量はポリカルボン酸系高分子化合物の固型含有量に対し、0.1〜30重量%とすることが好ましく、特に0.5〜10重量%とすることが好ましい。
【0031】
本発明の粉末状水硬性組成物用分散剤は、ポリアルキレングリコール鎖を有するポリカルボン酸系高分子化合物を主成分とする液に、還元性無機化合物及び還元性有機化合物を添加混合し、乾燥後、必要に応じてポリアルキレングリコール、炭素数8〜22の脂肪酸又はその塩、無機粉体の何れか1種又は2種以上を配合することにより得られる。
【0032】
ここで、上記ポリカルボン酸系高分子化合物を主成分とする液には、水又は有機溶媒の溶液又は分散液が含まれていてもよい。
【0033】
また、上記ポリカルボン酸系高分子化合物含有液は、通常酸性液となっているので、還元性無機化合物及び還元性有機化合物を添加後、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウムなどのアルカリ金属又はアルカリ土類金属の水溶液を加えてpH7〜9に調整するのが好ましい。pHが未調整の場合、加温乾燥処理時に混合物中の高分子化合物が加水分解を起こし易くなったり、乾燥時に留去される水分のCOD値が高くなる。尚、ポリカルボン酸系高分子化合物含有液が当初よりpH7〜9である場合はpH調整剤を添加して調整する必要はない。
【0034】
乾燥は熱風式などの対流型の乾燥装置又は熱伝導型の乾燥装置であれば特に限定されないが、処理物が5〜40%の溶液の場合は前者の乾燥装置であるスプレードライヤー、フラッシュジェトドライヤーなどが適している。処理物が40%を超える高濃度溶液や粘弾性の高いものの場合は、後者の混練攪拌乾燥機、バンド型連続真空乾燥機等の乾燥機を用いるのがよい。しかしながら、ポリアルキレングリコール鎖を有するポリカルボン酸系高分子化合物は、濃縮過程で粘性を帯びることがあるため粉末化の効率等の点から、混練攪拌を行うことにより乾燥粉末化する手段が特に好ましい。混練・攪拌の温度は、40〜120℃程度が好ましく、より好ましくは60〜110℃程度とする。混練・攪拌は大気中でも行うことができるが、変質防止の観点から減圧又は窒素やアルゴンなどの不活性ガス雰囲気で行うことが望ましい。また、硬度が30°以上になるまで濃縮した後に、0.5kg/m3/rpm 以上の馬力で混練攪拌しながら、乾燥粉末化するのが好ましい。このような乾燥操作を行うことにより、粉末状の分散剤を得ることができる。尚、乾燥後の粉末は小塊状に凝集している場合もあるが、この塊状物は脆弱であるため僅かな解砕力で容易に単粒子化できる。
【0035】
粉末化した分散剤は使用上の利便性から任意の粉砕・分級方法により平均粒径5〜2000μm、より好ましくは10〜500μmに調整することが望ましい。しかし、製造された粉末状分散剤は熱に比較的弱いため蓄熱性が低い粉砕機が好ましく、具体的にはピン型ミルが好ましい。また、粒度調整用にスクリーンと一体型の粉砕機もあるが、未粉砕物が滞留すると粉砕熱が増大するので粉砕と分級を別々に行う方が好ましい。
【0036】
本発明の粉末状分散剤は、水硬性組成物、例えばセメント、石膏、フライアッシュ、高炉スラグ、シリカヒュームの分散剤として有用であるが、セメント分散剤とするのが特に好ましい。
【0037】
本発明の粉末状分散剤を適用できる水硬性材料、例えばセメントは特に限定されず、普通ポルトランドセメント、早強セメント、超早強セメント、中庸熱セメント、耐硫酸塩セメント等、また混合セメントとして高炉セメント、フライアッシュセメント、シリカセメント等を挙げることができる。更にカルシウムアルミネート相を多く含むアルミナセメントや都市ゴミ焼却灰の1種以上を原料としてなる焼成物であるエコセメントを用いることもできる。また、急結剤を含有させた吹付け用セメント、更には高炉スラグやフライアッシュ等を骨材成分として含むコンクリート組成物であっても良い。また、セメント以外の水硬性材料としては、石膏、高炉スラグ、フライアッシュ、シリカヒューム等を挙げることができる。本分散剤の水硬性材料、例えばセメントへの配合量はセメント100重量%に対し、0.005〜5重量%が適当であり、この中でもセメント100重量%に対し、0.01〜3重量%の本分散剤を含有せしめた粉粒状のセメント混合物とするのが特に好ましい。尚、本分散剤の添加が0.005重量%未満の場合は分散効果が乏しくなり、また5重量%を超える添加を行ってもそれ以上分散性が向上しない。
【0038】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例に使用した材料は以下の通りである。
〔使用材料〕
【0039】
【表1】
Figure 0004295392
【0040】
【表2】
Figure 0004295392
【0041】
〔水分測定方法〕
ケット水分測定器(KETT ELECTRIC LABORATORY社製、FD−600)で測定
【0042】
〔COD測定法〕
JIS K0102に従い、試料を硫酸酸性とし、酸化剤として過マンガン酸カリウムを加え、沸騰水浴中で30分間反応させ、そのとき消費した過マンガン酸カリウムの量から相当する酸素の量を求めた。
【0043】
【数1】
COD=(b−a)×f×0.2×1000÷V(mg/L)
【0044】
b:滴定に要したN/40の過マンガン酸カリウム標準液(mL)
a:空試験の滴定に要したN/40の過マンガン酸カリウム標準液(mL)
V:検水量(mL)
f:N/40 KMnO4標準液のファクター
また、混練攪拌機にかかる負荷は、トルクメーター(山崎精機研究所製)により測定し、ゲルの発生量は粉末分散剤20gを蒸留水200mLに溶解し、不溶性ゲルを濾集、乾燥して重量を測定した。
【0045】
実施例1〜5
表1及び2に記載した高分子化合物を主成分とする固型分濃度45%の液状混合物各800gに、pH調整を行うものについては、この溶液に10重量%の水酸化ナトリウム水溶液75.2gを加えて常温で約3分間攪拌を行った。そして、還元剤処理を施すものについては、亜硫酸ソーダ又はトリエタノールアミンの1種又は2種を固型分濃度に対して0.5〜2重量%添加し3分間攪拌し、これを処理容積が1Lのニーダー型混練攪拌機に入れて温度90℃、30torrの減圧下で混練しながら濃縮・乾燥を行った。使用した還元剤の組み合せ、pH調整の有無と乾燥粉末化後のゲル発生量、混練攪拌機にかかる負荷及び乾燥後の留去水のCOD(化学的酸素要求量)値を表3に示した。
【0046】
【表3】
Figure 0004295392
【0047】
表3から明らかなように、還元性無機化合物及び還元性有機化合物を添加して乾燥粉末化を行うと、攪拌機への負荷が小さく良好に粉末化できることがわかる。また、留去水のCOD値が低く、排水処理の必要がない。更に本発明の場合には、粉末化工程でゲルが生じることがない。
【0048】
試験例1
上記で得た乾燥粉末をピン型ミルで粉砕し、0.6mmのふるいに通し0.6mm以下に調整し粉末状セメント分散剤とした。この粉末状セメント分散剤を普通ポルトランドセメント100g(太平洋セメント(株))に0.10g加えて乾式混合し、セメント混合物を作製した。このセメント混合物に水30gを加えてホバートミキサーで3分間混練し、混練物のペーストフロー値を測定した。比較例として表1の高分子化合物水溶液を用いた。添加量は固型分換算で0.10g添加した。尚、ペーストフロー値の測定は、次の如くして行った。すなわち、厚さ5mmのみがき板ガラスの上に内径50mm、高さ51mmの塩化ビニール製パイプ(内容積100mL)を置き、調整したペーストを充填した後、パイプを引き上げる。広がりが静止した後、直角2方向の直径を測定しその平均値をペーストフロー値とした。その結果を表4に示した。
【0049】
【表4】
Figure 0004295392
【0050】
【発明の効果】
本発明の粉末状分散剤は、液状の分散剤と比較し、優るとも劣らない優れた分散性状を発現することができ、例えばセメント組成物のW/C比を小さくしても良好な流動性が確保でき、凝結遅延を生じることがない。また、本分散剤は、予めセメント等に加えて粉粒状混合物として保管・輸送することもできるため、いわゆるプレミックス製品などに利用できる。

Claims (3)

  1. ポリアルキレングリコール鎖を有する(メタ)アクリル酸系共重合体を主成分とする液に、亜硫酸塩及びアルカノールアミンをそれぞれ該共重合体の固型分含有量の0.01〜2.5重量%(固型分)添加した後、pHを7〜9に調整し、次いで乾燥粉末化することを特徴とする粉末状水硬性組成物用分散剤の製造法。
  2. ポリアルキレングリコール鎖を有する(メタ)アクリル酸系共重合体が、全構成単位中に、下記式(1)で示される構成単位(1)を40〜80モル%、下記式(2)で示される構成単位(2)を2〜25モル%、下記式(3)で示される構成単位(3)を3〜20モル%及び下記式(4)で示される構成単位(4)を1〜45モル%の割合で有する数平均分子量2000〜50000の(メタ)アクリル酸系共重合体である請求項1記載の製造法。
    Figure 0004295392
    〔式中、R 1 、R 2 、R 4 及びR 5 は同一又は異なって水素原子又はメチル基を示し、R 3 及びR 6 は炭素数1〜3のアルキル基を示し、M 1 は水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム又は有機アミンを示し、Xは−SO 3 2 又は−O−Ph−SO 3 2 (ここで、M 2 は水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム又は有機アミンを示し、Phはフェニレン基を示す)を示し、nは2〜200の整数を示す〕
  3. 混練攪拌を行いながら乾燥粉末化する請求項1又は2記載の製造法。
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