JP4456680B2 - 水硬性セメント組成物 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、都市ごみ焼却灰や下水汚泥焼却灰等の廃棄物を原料として製造された水硬性セメント組成物(以下エコセメントと称する)にしばしば発生する混練後の急激な流動性の低下を、エコセメントの水和反応を抑制することなく低減し、作業性を向上させた水硬性セメント組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、都市ごみや下水汚泥等の一般廃棄物及び産業廃棄物は著しく増加し、廃棄物の有効利用、再資源化が各方面で試みられているが、廃棄物処理に関する決定的な方法はなく、現状は埋め立てに頼っている。しかし、セメントの製造分野では、廃棄物の有効利用及び再資源化を目的として、都市ゴミ焼却灰や下水汚泥焼却灰等の廃棄物を原料としてエコセメントが製造されるようになった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
従来、エコセメントはその主成分としてC117CaCl2,C3Aといった水和活性の高い化合物を含むため、混練後に急激な流動性の低下を生じる場合があった。
エコセメントと同様に反応性の高い化合物を含有する材料である急硬材の流動性低下を防止するため、クエン酸等の有機遅延剤が使用される例もあるが、エコセメントの流動性改善のためにこのような遅延剤を用いるとエコセメントの水和反応が抑制され強度発現性に悪影響をおよぼす場合があった。
【0004】
また、エコセメントと粉末セメント分散剤、及び必要に応じて骨材やその他セメント混和剤を既調合の水硬性セメント組成物として供給しようとした場合には、現状では粉末セメント分散剤としてナフタレンスルホン酸塩ホルマリン縮合物やメラミンスルホン酸塩ホルマリン縮合物を主成分とするものを配合することが考えられるが、これら従来の粉末セメント分散剤は減水性及び流動性保持効果が比較的低いため、高い流動性を保持するためには、粉末セメント分散剤の添加量を増したり、水セメント比を高くしたりしなければならなかった。しかし粉末セメント分散剤の添加量を増したり、水セメント比を高くしたりすると、凝結が必要以上に遅延し強度発現性が損なわれたりする問題があった。また、有機遅延剤をセメント分散剤と共に使用するときに、粉末セメント分散剤が従来のナフタレンスルホン酸塩ホルマリン縮合物やメラミンスルホン酸塩ホルマリン縮合物を主成分とする場合には、高い流動性を保持するためには有機遅延剤の配合量が多く必要であり、その結果、エコセメントの水和反応が必要以上に抑制され強度発現性が悪化するという問題があった。
【0005】
これに対し、近年、流動性保持効果の高いポリカルボン酸系高分子化合物を主成分とするセメント分散剤がコンクリート用減水剤として用いられるようになってきたが、このセメント分散剤は水溶液として製造されるため、既調合のエコセメントを使用した水硬性セメント組成物に配合しておくことは不可能であった。
【0006】
そこで、ポリカルボン酸系セメント分散剤の粉末化が望まれる。
【0007】
液状セメント分散剤などのセメント混和剤を粉末化する技術としては、生石灰の消化反応熱を利用する方法(特公平7−14829号)、噴霧乾燥器を使用する方法(特許第2669761号)、セメント分散剤の主成分である高分子化合物の水に対する溶解度を低下させて粉末化を容易にする方法(特開平9−309756号)があるが、これらの方法でポリカルボン酸系高分子化合物濃度の高い粉末セメント分散剤を製造しようとすると、乾燥固化の過程でガム状となったり、粉末化したものが固結したり、乾燥のために多大な熱エネルギーが必要であったり、セメント用分散剤の性能が低下したりする問題があった。このようにポリカルボン酸系セメント分散剤の粉末化物は従来の粉末セメント分散剤であるナフタレンスルホン酸塩ホルマリン縮合物の粉末又はメラミンスルホン酸塩ホルマリン縮合物などに比べ性能及びコスト的に満足できるものは得られず、既調合のエコセメントを使用した水硬性セメント組成物には適応できなかった。
【0008】
従って本発明の目的は、上記問題点を解決し、ポリカルボン酸系セメント分散剤の水溶液を高濃度で粉末化した粉末セメント分散剤を配合し、廃棄物から製造されたエコセメントの水和反応を抑制することなく実用上十分な流動性を示し、強度の低下を生じない既調合の水硬性セメント組成物を提供することにより、廃棄物から製造されたエコセメントの用途の拡大を通して廃棄物の有効利用及び再資源化を図るものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
斯かる実情に鑑み本発明者は鋭意研究を行った結果、特定のポリアルキレングリコール鎖を有するポリカルボン酸系高分子化合物を用いるが、ポリアルキレングリコール鎖を有するポリカルボン酸系高分子化合物とポリアルキレングリコール又は/及び特定の脂肪酸とを組合せて用いれば、ガム状になったりせず粉末化でき、この後固結することがない粉体のセメント分散剤が得られ、これを含有せしめれば、強度の低下がなく、流動性に優れた廃棄物利用の水硬性セメント組成物が得られることを見出し本発明を完成した。
【0010】
すなわち本発明は、都市ごみ焼却灰及び/又は下水汚泥焼却灰を原料として製造されたセメント並びに次の粉末状セメント分散剤(A)又は(B)を含有する粉粒状水硬性セメント組成物を提供するものである。
(A)分子内に少なくとも下記式(1)及び(2)
【0011】
【化2】
Figure 0004456680
【0012】
(式中、R1 、R2 及びR3 は同一又は異なって水素原子又はメチル基を示し、R4 は炭素数1〜3のアルキル基を示し、Mは水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム又は有機アミンを示し、Yは−CH2O−又は−COO−を示し、nは20〜109の数を示す)
で表される構成単位を有するポリカルボン酸系高分子化合物並びに水を含有する混合物を、乾燥粉末化した粉末状セメント分散剤。
(B)ポリアルキレングリコール鎖を有するポリカルボン酸系高分子化合物と、ポリアルキレングリコール及び炭素数8〜22の脂肪酸から選ばれる1種又は2種以上とを含む粒子を含有する粉末状セメント分散剤。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明に用いる粉末状セメント分散剤(A)のポリカルボン酸系高分子化合物(A)は、式(1)及び式(2)の構成単位を含むものであり、構成単位(1)は40〜80モル%であることが好ましく、特に45〜75モル%であることが好ましく、構成単位(2)は、1種類の場合1〜45モル%であることが好ましく、特に3〜40モル%であることが好ましい。構成単位(1)中のMは、水素原子;ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属;カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属;アンモニウム又はエタノールアミン等のアルカノールアミン等が挙げられる。また、構成単位(2)中のnは、20〜109の数を示すが、nが20未満であると、ガム状となり、乾燥粉末化が困難になることがある。また、nが109を超えると、分散力が低下し、セメント組成物の流動性が低下するため、好ましくない。特に好ましいnの範囲は30〜109である。R4 で示されるアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基が挙げられる。
【0014】
なお、構成単位(2)は、Yが−CH2O−のものと−COO−のものの2種類が存在するが、これらは、いずれか一方でも両方が存在するものであってもよい。両方が存在する場合は、Yが−COO−である(2)が1〜30モル%でYが−CH2O−である(2)が1〜30モル%であるものが好ましく、特にYが−COO−である(2)が5〜25モル%であり、Yが−CH2O−である(2)が3〜25モル%であるものが好ましい。また、(2)が混在する場合、いずれか一方の構成単位のnが20〜109の範囲であればよい。
【0015】
本発明に用いるポリカルボン酸系高分子化合物(A)は、更に次に示す構成単位の1又は2以上を有するものであってもよい。
【0016】
【化3】
Figure 0004456680
【0017】
〔式中、R5 は水素原子又はメチル基を示し、R6 は炭素数1〜3のアルキル基を示し、Xは−SO32 又は−O−Ph−SO32 (ここで、M2 は水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム又は有機アミンを示し、Phはフェニレン基を示す)を示す〕
【0018】
上記構成単位(3)及び(4)において、R6 で示される炭素数1〜3のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基が挙げられ、M2 としては、水素原子;ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属;カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属;アンモニウム又はエタノールアミン等のアルカノールアミン等が挙げられる。構成単位(3)は2〜25モル%であることが好ましく、特に5〜20モル%であることが好ましい。構成単位(4)は3〜20モル%であることが好ましく、特に5〜15モル%であることが好ましい。なお構成単位のモル%は(1)〜(4)の全構成単位の合計を100モル%とした場合の夫々の構成単位のモル%を示す。
【0019】
構成単位(1)〜(4)において、R1 〜R6 はメチル基が特に好ましく、Mとしては、特にナトリウムが好ましく、Xとしては、−SO3Naが好ましい。
また、ポリカルボン酸系高分子化合物(A)としては、構成単位(1)〜(4)のすべてを含むものが好ましく、この際構成単位(2)は、1種でも2種でもよい。ポリカルボン酸系高分子化合物(A)の数平均分子量は2000〜50000の範囲内のものが好ましく、特に3500〜30000のものが好ましい。(GPC法、ポリエチレングリコール換算)。
【0020】
粉末状セメント分散剤(A)は、上記ポリカルボン酸系高分子化合物(A)及び水を含有する混合物を乾燥粉末化することにより得られる。
【0021】
ここで用いる乾燥器としては、スプレードライヤー、フラッシュジェットドライヤー、流動層乾燥器等の熱風乾燥装置、攪拌型乾燥器、バンド型連続真空乾燥器等の伝導伝熱乾燥装置が好ましい。
しかしながら、構成単位(2)中のnが30未満の場合は、単に加熱乾燥したのみでは、ガム状のものが得られ良好な粉末とすることができないことがあるため、混合物を混練攪拌しながら乾燥粉末化することが好ましい。
混練攪拌の温度は40〜120℃程度が好ましく、特に60〜100℃程度が好ましい。また混練攪拌は減圧下又は乾燥ガス雰囲気下で行うことが変質防止の観点から好ましい。
更に好ましくは、上記混合物の硬度(ゴム硬度計(テクロック(株)社製、型式GS−701、JIS K6301準拠品)で測定した)が予め30°以上になるまで濃縮した後、0.5kw/m3/rpm 以上の馬力で混練攪拌しながら乾燥粉末化する方法が挙げられる。ここで用いる混練攪拌乾燥器としては、馬力が0.5kw/m3/rpm 以上のニーダー型混練攪拌乾燥器が好ましい。
【0022】
また、セメント分散剤(B)に用いるポリアルキレングリコール鎖を有するポリカルボン酸系高分子化合物は、セメント分散剤として用いられるものであれば特に限定されず、例えば(a)(メタ)アクリル酸系共重合体及び(b)マレイン酸系共重合体等が挙げられ、これらは1種でも2種以上を混合して用いてもよい。
【0023】
これらのうち(a)としては、基−COOM1 (式中、M1 は水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム又は有機アミンを示す)及びポリアルキレングリコール鎖を有する(メタ)アクリル酸系共重合体が好ましいものとして挙げられ、また(b)は、特開平6−239652号公報記載のポリアルキレングリコールアルケニルエーテル−無水マレイン酸共重合体等が好ましいものとして挙げられる。
【0024】
上記(a)の(メタ)アクリル酸系共重合体の基−COOM1 中のM1 は、水素原子;ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属;カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属;アンモニウム又は有機アミンが好ましい。また、ポリアルキレングリコール鎖は−O(CH2C(Ra)HO)b−で示されるものであり、ここでRa は水素原子又はメチル基を示し、bは5〜109が好ましく、特に20〜109、更に30〜109が好ましい。
【0025】
更に(a)として好ましいものとしては、(A)成分で用いるポリカルボン酸系高分子化合物が挙げられるが、式(2)で表される構成単位中のnは20〜109に限られず5〜109の範囲でも好適に用いることができる。
【0026】
また、粉末化に用いるポリアルキレングリコールとしては、分子量1000〜20000のポリエチレングリコール、分子量2000〜6000のポリプロピレングリコールが好ましいものとして挙げられる。このうちポリエチレングリコールが特に好ましく、更に平均分子量2000〜4000のポリエチレングリコールが好ましい。
【0027】
また、炭素数8〜22の脂肪酸は、飽和でも不飽和でもよく、また直鎖でも分岐を有するものであってもよい。具体的には、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ウンデシル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、ヘプタデシル酸、ステアリン酸、ノナデカン酸、アラキン酸、ベヘン酸、ウンデシレン酸、オレイン酸、エライジン酸、セトレイン酸、エルカ酸、ブラシジン酸及びそれらの塩が挙げられる。上記脂肪酸の塩としては、ナトリウム、カリウム、バリウム、カルシウム、亜鉛、アルミニウム、マグネシウム等の金属塩が好ましい。就中、ステアリン酸及びその塩が好ましく、特に好ましいものとしては、ステアリン酸カルシウムが挙げられる。
【0028】
ポリアルキレングリコール及び脂肪酸は、1種でも2種以上を混合して用いてもよく、その使用量は、前記ポリカルボン酸系高分子化合物等の高分子化合物の固形分100重量部に対し、0.2〜30重量部とすることが好ましく、特に0.5〜20重量部が好ましい。
【0029】
粉末状セメント分散剤(B)は、例えばポリカルボン酸系高分子化合物と、ポリアルキレングリコール及び炭素数8〜22の脂肪酸から選ばれる1種又は2種以上と、必要により無機粉体と、水を含有する混合物を乾燥固化し、粉砕することにより製造することができる。好ましくは(A)の分散剤の製法に準じて混練攪拌しながら乾燥を行うと比較的容易に解砕されるため、ポリカルボン酸系高分子化合物の含有量が高く、状態の良好な粉末セメント分散剤を製造することができ、好ましい。
【0030】
本発明では、上記(A)又は(B)に、更に無機粉体を添加してもよい。
本発明で用いられる無機粉体としては、炭酸カルシウムや珪酸カルシウム等の無機塩類の粉末やカオリナイト、ベントナイト等の粘土鉱物粉末、又は高炉スラグやフライアッシュなどの微粉末が使用できる。
これら無機粉体は、特に粉末化が困難な高分子化合物を粉末化するのに効果的であるが、ポリカルボン酸系高分子化合物の水溶液を高濃度で粉末化するためには、無機粉体の使用量は該高分子化合物水溶液の固形分100重量部に対し、0.1〜30重量部とすることが好ましく、特に0.5〜10重量部とすることが好ましい。
【0031】
セメント分散剤(A)又は(B)の平均粒径は5〜2000μmの範囲とすることが好ましく、特に10〜1000μmとすることが好ましい。平均粒径が5μm未満になると粉末セメント分散剤が凝集しやすくなり、2000μmを超えると水に対する溶解性が低下し、セメントに対する分散性の経時的な変動が大きくなるため好ましくない。なお、平均粒径を上記範囲に調整するには、従来の粉砕・分級方法を用いればよい。
【0032】
セメント分散剤(A)又は(B)の使用量は、エコセメント100重量部に対して0.01〜5重量部とすることが好ましく、特に0.05〜3重量部とすることが好ましい。この量が0.01重量部未満では分散効果がなく5重量部を超えると凝結遅延や強度低下の原因となるため好ましくない。
【0033】
本発明で用いるエコセメントは、都市ごみ焼却灰、下水汚泥焼却灰の一種以上を原料として製造されたセメントであるが、特にC117CaCl2 及びC3Aから選ばれる一種以上を10〜40重量%含み、かつC2S及びC3Sから選ばれる一種以上を含む焼成物と石膏からなるものが好ましい。
【0034】
尚、ここで使用する原料は、貝殻や下水汚泥に生石灰を混合した下水汚泥乾粉、その他の一般廃棄物や産業廃棄物、更には普通のセメント原料である石灰石、粘土、珪石、アルミ灰、ボーキサイト、鉄等と混合して成分調整した原料であってもよい。係る原料を1200〜1500℃で焼成して得たクリンカーを粉砕後、この焼成物に石膏を添加してエコセメントを製造する。
【0035】
この焼成物中のアルミニウム源は焼却灰から主に由来するので、C117CaCl2、C3A等のアルミニウム化合物の含有量が10重量%未満では、焼却灰の使用量が少なくなり、廃棄物の有効利用及び再資源化の観点から好ましくない。また、40重量%を超えると水和の進行によって過大に膨張する場合がある。
エコセメントに用いる石膏は、無水石膏、二水石膏、半水石膏のいずれも使用でき、強度の発現性から、石膏は、焼成物100重量部に対して1〜30重量部添加するのが好ましい。
【0036】
本発明の水硬性セメント組成物には骨材としては川砂、海砂、陸砂、砕砂、珪砂等を使用することができ、これらの砂は乾燥砂が好ましい。また、フライアッシュ、高炉スラグ、炭酸カルシウム等を単独で、あるいは上記の砂と併用することもできる。水硬性セメント組成物を既調合モルタル組成物として供給する場合には、配合する骨材の粒度は5mm以下で、FMが1.5〜3.0程度のものが好ましい。また、モルタル組成物の場合の骨材使用量はセメント100重量部に対して30〜300重量部が好ましく、30重量部未満では収縮量が増大し、300重量部を超えると強度及び流動性の低下を招くので好ましくない。使用量は、特に60〜150重量部が好ましい。
【0037】
本発明の水硬性セメント組成物には物性に悪影響を及ぼすものでない限り、上記材料以外に、増量材や各種混和剤を使用することもできる。
【0038】
本発明の水硬性セメント組成物は上記材料を調合して、通常袋詰めなどの形態で提供され、使用するときにミキサーを用いて水と混練した後打設される。ここで使用されるミキサーは特に限定されるものではなく、また、水の添加量は通常結合材100重量部に対して30〜100重量部とすることが好ましい。
【0039】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例に使用した材料は以下の通りである。
【0040】
(1)エコセメント
〔エコセメント▲1▼の製造方法及び組成〕
表1に示す乾燥した都市ごみ焼却灰43.3重量%、石灰石粉54.5重量%、アルミ灰1.3重量%、粘土0.9重量%を原料として、ロータリーキルンを用いて1300〜1450℃でクリンカーを焼成した。クリンカーの鉱物組成を表2に示す。得られたクリンカーは、縦型ミルでブレーン比表面積が4000cm2/gになるよう粉砕し、この焼成物100重量部に対して無水石膏を12重量部添加してブレーン比表面積が4700cm2/gのエコセメントを製造した(以下エコセメント▲1▼と称す)。
【0041】
【表1】
Figure 0004456680
【0042】
【表2】
Figure 0004456680
【0043】
〔エコセメント▲2▼の製造方法及び組成▲2▼〕
表3に示す乾燥した都市ごみ焼却灰29.7重量%、石灰石粉68.6重量%、アルミ灰1.5重量%、粘土0.2重量%を原料として、ロータリーキルンを用いて1300〜1450℃でクリンカーを焼成した。クリンカーの鉱物組成を表4に示す。得られたクリンカーは、縦型ミルでブレーン比表面積が4000cm2/gになるように粉砕し、この焼成物100重量部に対して無水石膏6重量部と半水石膏6重量部添加してブレーン比表面積が4700cm2/gのエコセメントを製造した(以下エコセメント▲2▼と称す)。
【0044】
【表3】
Figure 0004456680
【0045】
【表4】
Figure 0004456680
【0046】
(2)細骨材
珪砂(山形産)FM=1.9
【0047】
(3)粉末セメント分散剤
実施例に用いた粉末状セメント分散剤の製造に使用したポリカルボン酸系高分子化合物を以下に示す。
【0048】
ポリカルボン酸系高分子化合物水溶液(1)(固形分30%水溶液)
表5に構成単位及びその反応比(モル%)を示す。
【0049】
【表5】
Figure 0004456680
【0050】
ポリカルボン酸系高分子化合物水溶液(2)(固形分45%水溶液)
表6に構成単位及びその反応比(モル%)を示す。
【0051】
【表6】
Figure 0004456680
【0052】
ポリカルボン酸系高分子化合物水溶液(3)(固形分30%水溶液)
表7に構成単位及びその反応比(モル%)を示す。
【0053】
【表7】
Figure 0004456680
【0054】
ポリカルボン酸系高分子化合物水溶液(4)(固形分45%水溶液)
表8に構成単位及びその反応比(モル%)を示す。
【0055】
【表8】
Figure 0004456680
【0056】
本発明に用いる粉末状セメント分散剤(A)の製造方法1
表6記載の分散剤水溶液800g(固形分45%)を容量1Lの混練攪拌乾燥器(入江商会社製卓上式ニーダーPNV−1)に仕込み、90℃、30Torrの条件で混練攪拌しながら濃縮し乾燥粉末化した。得られた粉粒体を粉砕器(マツバラ社製MCG180)で粉砕して、粒径50〜500μmとし、表9に示す粉末状セメント分散剤(A1)を得た。同様にして、表8記載の分散剤水溶液を乾燥粉末化し表9に示す粉末状セメント分散剤(A2)を得た。
【0057】
【表9】
Figure 0004456680
【0058】
本発明に係わる粉末状セメント分散剤(B)の製造方法2
表5記載のポリカルボン酸系高分子化合物水溶液(固形分30%)33gとポリエチレングリコール(分子量4000)1gの混合物を、ロータリーエバポレーター(柴田科学社製R114−A−W)に仕込み、バス温度80℃、真空度30Torrで、5時間濃縮乾固し、得られた固体を乳鉢で粉砕し、粒径50〜500μmに調整して、表10に示す粉末状セメント分散剤(B1)を得た。同様にして、表7記載の分散剤水溶液を乾燥粉末化し表10に示す粉末状セメント分散剤(B2)を得た。
【0059】
本発明に係わる粉末状セメント分散剤(B)の製造方法3
表5記載のポリカルボン酸系高分子化合物水溶液(固形分30%)33gとステアリン酸カルシウム1gの混合物を、ロータリーエバポレーター(柴田科学社製 R114−A−W)に仕込み、バス温度80℃、真空度30Torrで、5時間濃縮乾固し、得られた固体を乳鉢で粉砕し、粒径50〜500μmに調整して、表10に示す粉末状セメント(B3)を得た。同様にして、表7記載の分散剤水溶液を乾燥粉末化し表10に示す粉末状セメント分散剤(B4)を得た。
【0060】
【表10】
Figure 0004456680
【0061】
実施例
表11及び表12に示す組成の水硬性セメント組成物を常法により混合し製造した。
【0062】
【表11】
Figure 0004456680
【0063】
【表12】
Figure 0004456680
【0064】
試験例
表9、10に示す配合に従い調合した材料100重量部に対し、水21重量部を加え、ホバートミキサーを用いて3分間混合した後、得られたスラリーに対して流動性の評価としてフロー値、エコセメントの水和反応性の評価として凝結時間を測定した。また、材齢7、28日の圧縮強度を測定した。試験結果を表13〜16に示す。
〔フロー値測定方法〕
JIS R5201「セメントの物理試験方法」に準じて測定した。
〔凝結測定方法〕
JIS R5201「セメントの物理試験方法」に準じて測定した。
〔圧縮強度測定方法〕
JIS R5201「セメントの物理試験方法」に準じて材齢7、28日で測定した。
【0065】
【表13】
Figure 0004456680
【0066】
【表14】
Figure 0004456680
【0067】
【表15】
Figure 0004456680
【0068】
【表16】
Figure 0004456680
【0069】
表13〜16より、本発明のエコセメントを使用した水硬性セメント組成物は、従来の粉末セメント分散剤を使用したものに比べて、実用上必要な流動性を保持でき、しかも凝結の著しい遅延や強度低下が生じないことが確認された。
【0070】
【発明の効果】
本発明の水硬性セメント組成物は、強度の低下等を生じることなく実用上必要な流動性を有するものであり、廃棄物から製造されたエコセメントの用途拡大により廃棄物の有効利用及び再資源化を図るものである。

Claims (5)

  1. 都市ごみ焼却灰及び/又は下水汚泥焼却灰を原料として製造されたセメント並びに次の粉末状セメント分散剤(A)又は(B)を含有する粉粒状水硬性セメント組成物。
    (A)分子内に少なくとも下記式(1)及び(2)
    Figure 0004456680
    (式中、R1 、R2 及びR3 は同一又は異なって水素原子又はメチル基を示し、R4 は炭素数1〜3のアルキル基を示し、Mは水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム又は有機アミンを示し、Yは−CH2O−又は−COO−を示し、nは30〜75の数を示す)で表される構成単位を有するポリカルボン酸系高分子化合物並びに水を含有する混合物を、乾燥粉末化した粉末状セメント分散剤。
    (B)分子内に少なくとも上記式(1)及び(2)で表される構成単位を有するポリカルボン酸系高分子化合物(ただし、nは5〜109の数を示す)と、ポリアルキレングリコール及び炭素数8〜22の脂肪酸から選ばれる1種又は2種以上とを含む粒子を含有する粉末状セメント分散剤。
  2. (A)において乾燥粉末化を混練攪拌しながら行うものである請求項1記載の粉粒状水硬性セメント組成物。
  3. 都市ごみ焼却灰及び/又は下水汚泥焼却灰を原料として製造されたセメントが、C117CaCl2 及びC3Aから選ばれる一種以上を10〜40重量%含み、かつC2S及びC3Sから選ばれる一種以上を含む焼成物と石膏からなるものである請求項1又は2記載の粉粒状水硬性セメント組成物。
  4. 粉末状セメント分散剤が、更に無機粉体を含むものである請求項1、2又は3記載の粉粒状水硬性セメント組成物。
  5. 粉末状セメント分散剤の平均粒径が5〜2000μmである請求項1〜4のいずれか1項記載の粉粒状水硬性セメント組成物。
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