JP4294228B2 - ポリッシング装置の回転駆動装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、ポリッシング装置の回転駆動装置に関する。より詳しくは、本発明は、半導体のウエーハの端面や液晶ガラスの端面等を平坦化するために用いるポリッシングテーブル、CMP(化学的機械的ポリッシング)用テーブルまたはポリッシャの回転駆動装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
半導体ウエーハ等の平坦化にはCMP(化学的機械的ポリッシング)と言う工法がよく用いられる。簡略的に説明すると、ウエーハを回転テーブルに載置し、ポリッシャによりウエーハを回転テーブルに押し付け、ウエーハと回転テーブルの間に散布したスラリーを介してポリッシングするのである(例えば、特開平8−167585号公報参照)。
【0003】
低振動、低騒音でこの回転テーブルおよび/またはポリッシャを回転駆動する必要があり、このために、低速回転のダイレクト駆動モータ(DDモータという)がよく使用されている。すなわち、回転テーブルの中心部の駆動軸をDDモータの出力軸と連結する。しかし、従来のDDモータ方式の場合は、非常に大きく、重いという問題があった。
【0004】
加えて、ウエーハサイズの増大(例えば8インチから12インチに)により、テーブルの駆動には一層大きいトルクを必要とする。このため、その問題は更に深刻化する。すなわち、DDモータは大きなトルクを得るため、モータの体積と重量が大きくなり、必要な電流も大きくなって発熱が増大する。
【0005】
一方、CMPではウエーハに高い品位の平坦度を得るため、テーブルの回転速度の変動と振動を厳しく抑えることが重要な課題である。しかし、一般にモータ変動の絶対値はほぼ決まっており、モータ速度の変動率はモータ速度に対する変動の割合であるので、モータ速度が低いDDモータにあっては速度の変動率を小さく抑えることが困難である。
【0006】
これに対して、高速モータとギヤ減速機を使用して駆動装置の小型化を図るとともに速度の変動率を低減する試みもある。例えば、回転テーブルの中心部から駆動軸を下向きに設け、この駆動軸に形成した歯車と駆動モータの出力に取着した歯車を噛合させて、回転テーブルを回転駆動する(例えば、実開昭62−78260号公報参照)。しかし、ギヤ減速機の歯と歯の噛み合いのために、比較的大きな振動と騒音が発生するという問題が生じる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上述のように、CMPテーブル等の駆動装置は、ウエーハの大口径化により、必要とするトルクも大きくなる。一方、半導体ウエーハ等のポリッシング装置は、クリーンルーム内で使用するため、クリーンルーム床の耐荷重制限から装置の軽量化が要求される。
【0008】
また、ウエーハを高精度に平坦化するため、ポリッシングテーブル、CMP用テーブルまたはポリッシャの回転には高い回転精度(回転速度の変動、振動、テーブルの面フレが小さいこと)が厳しく要求される。
【0009】
更に、ポリッシングテーブル、CMP用テーブルまたはポリッシャの温度を制御するため、ポリッシングテーブル、CMP用テーブルまたはポリッシャが中空構造であることとともに低発熱であることが必要とされる。
【0010】
【発明の目的】
本発明は上述した要求を同時に満たすことができるポリッシング装置の回転駆動装置、すなわち、ポリッシングテーブル、CMP(化学的機械的ポリッシング)用テーブルまたはポリッシャの回転駆動装置を提供することを目的とする。
【0011】
より詳しくは、本発明は、大きな出力トルクと高い回転速度精度を有し、且つ、低振動、低騒音で、更に中空であるコンパクトで、軽量なポリッシング、CMP用テーブルまたはポリッシャの駆動装置を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明においては、半導体のウエーハの端面や液晶ガラスの端面等を平坦化するために用いるポリッシングテーブル、CMP用テーブルまたはポリッシャの回転駆動装置において、外接軸および外接軸の周囲に等配的に配置されて外接軸に外接する複数の中間軸からなるトラクションドライブ減速機を用いてポリッシングテーブル、CMP用テーブルまたはポリッシャに回転を伝達することを特徴とするポリッシング装置の回転駆動装置により、上記の目的を達成する。
【0013】
より詳しくは、本発明は、実施例に示すように、トラクションドライブ減速機が、リング状の中空円筒からなり中心に配設された外接軸、外接軸の周囲に等配的に配置されて外接軸に外接するとともに少なくとも1本が入力軸となっている複数の中間軸、および中間軸が内接する内接円筒からなり、中空円筒外接軸は自由状態の外径が複数の中間軸に外接する円の直径より若干大きく形成されていて中空円筒の変形によって圧接荷重を発生するようになっていることを特徴とするポリッシング装置の回転駆動装置とすることが好ましい。
【0014】
この場合に、内接円筒が同心状の二重中空リングからなり、二重中空リングの内側リングと外側リングとが連結部材により連結されていることが好ましい。すなわち、内接円筒は外周に複数の凹部を有しており、該凹部に装着したころを介して二重中空リングの外側リング(出力軸)に一体的に係合している。これにより、真円であった浮動リング(中空リング状内接円筒)の形状は、その弾性域において波状に変形して圧接力を発生し、ポリッシングテーブル、CMP用テーブルまたはポリッシャの回転には高い回転精度(回転速度の変動、振動、テーブルの面フレが小さいこと)が達成でき、ウエーハを高精度に平坦化することができる。
【0015】
更に、本発明においては、実施例に示すように、内接円筒がポリッシングテーブル、CMP用テーブルまたはポリッシャにピンまたはキーにより連結されていることが好ましい。より具体的には、内接円筒が主軸受の内輪となっており、主軸受が2列のアンギュラ玉軸受からなり、主軸受の外輪がポリッシング装置のハウジングに一体化されていることが構造がコンパクトとなり、クリーンルーム床の耐荷重制限にたえ、クリーンルーム内で使用する半導体ウエーハ等のポリッシング装置として、軽量化が達成でき好ましい。
【0016】
更に、本発明においては、実施例に示すように、入力軸に電気モータが連結されており、入力軸が外接軸の中心から電気モータの半径より大きくオフセットしていることにより、ポリッシングテーブル、CMP用テーブルまたはポリッシャを中空構造とでき、ポリッシングテーブル、CMP用テーブルまたはポリッシャの温度を制御することができる。
【0017】
また、別の実施例に示すように、本発明は、中心に配設されるとともに入力軸となっている外接軸、外接軸の周囲に等配的に配置された複数の中間軸、および中間軸が内接する内接円筒からなり、中間軸または内接円筒から出力を取出すようになっているポリッシング装置の回転駆動装置としてもよい。。
【0018】
この場合に、外接軸がポリッシングテーブル、CMP用テーブルまたはポリッシャの回転中心から偏心して設けられ、複数の中間軸を回転可能に具備した出力軸が外接軸の軸線上に設けられており、出力軸が前記ポリッシングテーブル、CMP用テーブルまたはポリッシャに動力伝達部材により連結されていることが好ましい。動力伝達部材としては歯付きベルト等を用いることができる。また、入力軸となっている外接軸には電気モータが連結されていればよい。
【0019】
前述したように、DDモータは大きなトルクを得るため、モータの体積と重量が大きくなり、必要な電流も大きくなって発熱が増大する。これに対して、本発明によれば、高速モータ(1000rpm以上)を使用し、特殊構造の減速機を介して出力トルクを減速比R倍に拡大して取出すことにより、コンパクトで大トルクを得られる。
【0020】
また、前述したように、ポリッシングテーブル、CMP用テーブルまたはポリッシャではウエーハの高い品位の平坦度を得るため、テーブルの回転速度の変動と振動を厳しく抑えることが重要な課題である。本発明においては、上述した構成からなる特別の減速機構を用いることにより、この課題を達成することができる。
【0021】
【実施例】
以下、本発明の実施例を図示した図面を参照して本発明を詳細に説明する。図1は、本発明をCMPテーブルに適用した一実施例の断面図であり、図2は図1の2−2断面を示す。
【0022】
図1において、テーブル10は、その上に半導体のウエーハや液晶ガラス等が載置され、上からポリッシャ(図示せず)で押圧されて、ウエーハの端面や液晶ガラスの端面等を平坦化するために用いられる。テーブル10はフレーム11の上に載置されており、後述するように、トラクションドライブ減速機20を介して、駆動モータ1により水平面内で回転可能である。
【0023】
本発明に係る回転駆動装置の一実施例を図2を参照して説明する。リング状の中空円筒からなる外接軸5がキャリア4(図1)によってテーブル10の回転中心位置に配設されている。外接軸5の周囲に複数(図2では3個)の中間軸2が等配的に配置されており、図1に示すように、軸受13を介して、キャリア4に回転可能に支承されている。各中間軸2は、外接軸5に外接している。従って、中間軸2の各軸心はリング状の中空円筒からなる外接軸5の軸心からオフセットしている。このオフセット量は、後述する駆動モータ1の半径より大きくしている。
【0024】
図1に示すように、電気モータからなる駆動モータ1がボルト14によりフレーム11に取着され、駆動モータ1の出力軸1aは垂直となっている。中間軸2のうちの1本は、駆動モータ1の出力軸1aにスプライン(図示せず)結合されており、この中間軸2はCMPテーブルの回転駆動力の入力軸となっている。
【0025】
上述したように中間軸2の位置は、駆動モータ1の半径より大きくオフセットしており、テーブルの中心部にリング状の中空円筒からなる外接軸5が位置しており、テーブル10の中心部にキャリア4により薄肉円筒16を支持して中空構造としており、この中空部にジョイント3を通し、ポリッシングテーブル、CMP用テーブルまたはポリッシャの温度を制御する。
【0026】
再び図2を参照して、前述した複数の中間軸2の外周が、内接円筒6の内周面に内接している。本実施例において、内接円筒6と同心状の中空リングからなる出力軸8が内接円筒6の外側に設けられ、内接円筒6と出力軸8とによって同心状の二重中空リングが構成されている。
【0027】
二重中空リングの内側リング(内接円筒6)の外周面と外側リング(出力軸8)の内周面の対応する位置に多数の凹部が形成され、内側リング(内接円筒6)と外側リング(出力軸8)との間の凹部に多数のころ12が連結部材として装着されている。従って、内側リング(内接円筒6)と外側リング(出力軸8)とはころ12により連結されており、内側リング(内接円筒6)の半径方向の変形を許容するとともに、回転に対しては内側リング(内接円筒6)と外側リング(出力軸8)からなる二重中空リングは一体となっている。
【0028】
ここに、リング状の中空円筒からなる外接軸5は特別な支持ベアリングを設けることなく複数の中間軸2によって保持されて浮動リングとなっている。そして、中空円筒外接軸5は自由状態の外径が複数の中間軸2に外接する円の直径より若干大きく形成されていて、中空円筒外接軸5、中間軸2および内接円筒6の組み込み状態において、中空円筒外接軸5および内接円筒6の変形によって圧接荷重を発生するようになっている。
【0029】
二重中空リングの外側リング(出力軸8)は主軸受の内輪となっており、ケース17が主軸受の外輪となっている。従って、外側リング(出力軸8)、ケース17およびその間に装着された軸受ボール7によって上下2列のアンギュラ玉軸受からなる主軸受が構成されている。その結果、ころ12を介して内側リング(内接円筒6)と連結された外側リング(出力軸8)は、ケース17に対して回転可能である。
【0030】
ケース17は前述したフレーム11上にピンまたはキー15により固定されている。一方、外側リング(出力軸8)はフランジ9、ボルト18を介して前述したテーブル10に取着されている。なお、符号19は隣接する中間軸2の間に設けられた支持部材であり、キャリア4の剛性を高めている。
【0031】
上記の構成からなる本発明の実施例においては、内接円筒6および外接軸5はリング状中空円筒であり、弾性域内において自由変形できるように浮動している構造、すなわち軸受の支持がない状態で中間軸2により保持されている。なお、リング状の中空円筒からなる外接軸5および内接円筒6の寸法、材質は中間軸2に外接または内接して所望の圧接力を生じるとともに繰返し応力により疲労しないように適宜選定している。
【0032】
すなわち、外接軸5は一方の浮動リングとして作用するので、この浮動リング(中空外接軸5)は自由状態の外径が中間軸2に外接する円の直径より若干大きく形成されている。この浮動リングを複数の中間軸2に外接するように中心に組み込む。これにより、真円であった浮動リング(中空外接軸5)の形状は、その弾性域において波状に変形して圧接力を発生する。なお、この場合に、浮動リングの変形により生じる波の数は、中間軸2の数に等しくなる。
【0033】
また、内接円筒6を他方の浮動リングとしており、この浮動リング(中空リング状内接円筒6)の自由状態の内径は、複数の中間軸2が内接する円の直径より若干小さく形成されている。複数の中間軸2が浮動リングに内接するように、この浮動リングを中間軸2の外側に組み込んでいる。
【0034】
駆動モータ1を回転させると、その出力軸1aの回転が中間軸2に伝えられ、中間軸2の回転はトラクション力によって内接円筒6に伝えられ、内接円筒6と中間軸2との半径比で中間軸2のトルクが増大される。この場合に、本実施例では歯と歯の噛合いがないのでスムーズな減速回転が実現できる。
【0035】
また、図2に示すように中間軸2に対して外接円筒(外接軸)5が突張る荷重と内接円筒6の絞る荷重とをつり合わせて中間軸2、外接円筒(外接軸)5および内接円筒6の間をバランス状態に保ち、内部の加圧荷重が中間軸2を支持するベースや主軸受に余計なアンバランス力、或いは変形を与えないために装置全体の振動と騒音を著しく減少する。
【0036】
更に、最内側中央の外接軸5の変形による圧接力が中間軸2および内接円筒6に作用し、内接円筒6が振れてその回転精度が低下する心配の対策として、本実施例においては、内接円筒6が同心状の二重中空リングからなり、二重中空リングの内側リング6と外側リング8とが連結部材(ころ12)により連結されていてもよい。これにより、リング状の中空円筒からなる外接軸5の変形に起因する該内側リングの変形が外側リングに伝わり難くなり、内接円筒6の回転精度が向上する
すなわち、トラクション力を得るための加圧荷重がベースとケーシングに伝わらないので、主軸受をトラクション機構の近くに配置しても、主軸受の回転精度に悪影響を及ぼすことなく、扁平型の駆動装置が得られる。
【0037】
更に、電気モータは減速機の回転軸中心からモータ半径より大きくオフセットして配置し中空構造を設けた。その中空構造部にテーブルの温度を制御するためのジョイントを通すことによって温度制御が簡単にできる。
【0038】
テーブルの回転主軸受の内外輪はそれぞれ出力軸のケーシングと一体であり、厚い肉厚で高精度、高剛性を実現することができる。
【0039】
以上のことで大きな出力トルクと高い回転速度精度があり、且つ、低振動、低騒音で、中空構造を有するコンパクトで軽量なポリッシングテーブル、CMP (化学的機械的ポリッシング)用テーブルまたはポリッシャの回転駆動装置が提供され、すなわち、従来よりコンパクトで優れた回転安定性を持つポリッシング装置の回転駆動装置が実現できる。
【0040】
本発明の別の実施例を次に説明する。図3は、本発明をCMPテーブルに適用した別の実施例の断面図であり、図4は図3に用いられているトラクション減速機の拡大断面図、図5は図4の5−5断面を示す。
【0041】
図3において、テーブル10は円板状をしており、その上に半導体のウエーハや液晶ガラス等が載置され、上からポリッシャ(図示せず)で押圧されて、ウエーハの端面や液晶ガラスの端面等を平坦化するために用いられる。符号11はフレームを示す。
【0042】
テーブル10の中心部から中空軸10aが下向きに突出している。中空軸10aとフレーム11の開口11aとの間にラジアル軸受21が装着され、またテーブル10の下面とフレーム11の上面との間にスラスト軸受22が装着されている。テーブル10は、ラジアル軸受21およびスラスト軸受22を介して、フレーム11の上に垂直軸の回りに回転可能に載置されている。
【0043】
フレーム11の内部には、その開口11aの中心から偏心した位置に、トラクションドライブ減速機20が設けられ、トラクションドライブ減速機20には駆動モータ1が連結されている。
【0044】
前述したフレーム11の中空軸10aの下端部に中空プーリ10bが形成され、トラクションドライブ減速機20の出力軸23に中実プーリ24が取着され、中空プーリ10bと中実プーリ24との間に歯付きベルトのような伝導部材25が係合されている。従って、テーブル10は、駆動モータ1からトラクションドライブ減速機20および伝導部材25を介して水平面内で回転可能である。
【0045】
なお、トラクションドライブ減速機20の設置位置の偏心量は、トラクションドライブ減速機20の半径または駆動モータ1の半径のうち大きいものより、大きくしており、フレーム11の開口11aの下方が開いた状態として、このテーブル10の中空軸10a内にジョイント3を通し、ポリッシングテーブル、CMP用テーブルまたはポリッシャの温度を制御可能としている。
【0046】
本実施例のトラクションドライブ減速機20の詳細を図4および図5を参照して説明する。駆動モータ1の出力軸1aに外接軸5がスプライン結合26され、外接軸5は出力軸1aと同軸上に位置している。
【0047】
一方、トラクションドライブ減速機20の出力軸23は下端部23aが円板状となっている。また、キャリア4も円板状となっている。出力軸23の円板状下端部23aと円板状キャリア4はボルト31により一体的に連結されている。トラクションドライブ減速機20の外接軸5は、上下の軸受41を介して、上述の如く一体的に連結された出力軸23およびキャリア4に回転可能に支承されてトラクションドライブ減速機20の回転中心に位置している。
【0048】
出力軸23の円板状下端部23aには、その中心の周囲に複数(図5では3個)の孔23bが等配的に形成されている。中間軸支持軸2aの頭部が孔23bに挿入され、中間軸支持軸2aの下端がボルト32によりキャリア4に固定されており、出力軸23とキャリア4との間において、外接軸5の周囲に複数(図5では3個)の中間軸支持軸2aが等配的に配置されている。中間軸支持軸2aに軸受13を介して中間軸2が回転可能に支承されており、各中間軸2は軸5に外接している。
【0049】
複数の中間軸2の外周が、内接円筒6の内周面に内接している。本実施例においては、内接円筒6は支持部材11aを介してフレーム11に固定されている。前述したように一体的に連結された出力軸23およびキャリア4は、上下の軸受42を介して支持部材11aの内側に回転可能に支承されている。
【0050】
上述したスプライン結合26と下側の軸受41との間において、外接軸5と駆動モータカバー1bとの間にオイルシール51が設けられている。また、オイルシール51の半径方向外側の駆動モータカバー1bに凹部1cが形成されて、トラクションドライブ減速機20内で発生する摩耗粉の貯溜部が形成されている。なお、52は着脱可能なボルトであり、ボルト52を外して貯溜凹部1cに溜まった摩耗粉を除去可能としている。
【0051】
オイルシール51を損傷することなく摩耗粉が貯溜凹部1cへ移行するようにするために、下側の内側軸受41をシール付き軸受とするとともに下側の外側軸受42をシールなし軸受としてもよいし、図6(a)に示すように両軸受41、42をシールなし軸受とするとともにキャリア4に摩耗粉通過用の孔4aを形成してもよい。更に、図6(b)に示すようにキャリア4に摩耗粉通過用の孔4aを形成するとともに、下側の内側軸受41をシール付き軸受とし下側の外側軸受42をシールなし軸受としてもよいし、または、図6(c)に示すように両軸受41、42をシール付き軸受としてもよい。
【0052】
本実施例においては、駆動モータ1の出力軸1aの回転はトラクションドライブ減速機20の外接軸5に伝達される。この際に、内接円筒6がフレーム11に固定されているため、外接軸5の回転がトラクションドライブ減速機20の中間軸2、内接円筒6を経て減速されて出力軸23に伝達される。出力軸23に取着された中実プーリ24から歯付きベルトのような伝導部材25を経て中空プーリ10bに回転が伝達され、テーブル10は水平面内で回転される。
【0053】
以上のことにより、大きな出力トルクと高い回転速度精度があり、且つ、低振動、低騒音で、中空構造を有するコンパクトで軽量なポリッシングテーブル、CMP(化学的機械的ポリッシング)用テーブルまたはポリッシャの回転駆動装置が提供され、すなわち、従来よりコンパクトで優れた回転安定性を持つポリッシング装置の回転駆動装置が実現できる。
【0054】
以上の実施例においては、本発明をCMP(化学的機械的ポリッシング)用テーブルの回転駆動装置に適用した実施例につきの説明したが、本発明は、CMP用テーブルに限られず、広くポリッシングテーブルやポリッシャの回転駆動装置に適用することができる。
【0055】
【発明の効果】
本発明によれば、CMPテーブルの回転トルクの増大に伴う研磨の圧力の向上によって、スループット数を増大させ生産性を向上させる効果があり、また、テーブルの下に簡単に完全に納まるコンパクト化で設置面積を削減できる。軽量化で耐荷重が比較的低いクリーンルーム床へ圧迫を軽減できるとともに、低コストが実現される。優れた回転の安定性がウエーハの均一平坦化に大きく寄与し、CMPテーブル駆動装置の性能を著しく向上させる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明をCMPテーブルに適用した一実施例の断面図である。
【図2】図1の2−2断面を示す。
【図3】本発明をCMPテーブルに適用した別の実施例の断面図である。
【図4】図3の実施例のトラクションドライブ減速機の拡大断面図である。
【図5】図4の5−5断面を示す。
【図6】(a)〜(c)は更に異なるトラクションドライブ減速機の実施例の部分断面図である。
【符号の説明】
1 駆動モータ
1a 出力軸
2 中間軸
3 ジョイント
4 キャリア
5 外接軸
6 内接円筒
8 出力軸
9 フランジ
10 テーブル
10a 中空軸
10b 中空プーリ
11 フレーム
12 ころ
13 軸受
14 ボルト
15 ピンまたはキー
16 薄肉円筒
17 ケース
23 出力軸
24 中実プーリ
25 歯付きベルト

Claims (3)

  1. 半導体のウエーハの端面や液晶ガラスの端面等を平坦化するために用いるポリッシングテーブル、CMP用テーブルまたはポリッシャを回転させるポリッシング装置の回転駆動装置において、
    リング状の中空円筒からなり中心に配設された外接軸、該外接軸の周囲に等配的に配置されて該外接軸に外接する複数の中間軸、および該中間軸が内接する内接円筒からなるトラクションドライブ減速機を用いて前記ポリッシングテーブル、CMP用テーブルまたはポリッシャに回転を伝達しており、
    前記中空円筒からなる外接軸は自由状態の外径が複数の中間軸に外接する円の直径より若干大きく形成されていて該中空円筒の変形によって圧接荷重を発生するようになっており、
    前記内接円筒は、同心状の内側リングと外側リングとからなり、その間の複数の凹部に装着された連結部材により連結された二重中空リングからなり、
    該外側リングは、ポリッシングテーブル、CMP用テーブルまたはポリッシャに取着されるとともに、主軸受を介してケースに回転可能に支持されており、
    該ケースはポリッシング装置のフレームに固定されていて、
    前記外側リングに取着された前記ポリッシングテーブル、CMP用テーブルまたはポリッシャが、前記ポリッシング装置の前記フレームに固定された前記ケースに対して回転するようになっていることを特徴とするポリッシング装置の回転駆動装置。
  2. 前記内接円筒が主軸受の内輪となっていることを特徴とする請求項1に記載のポリッシング装置の回転駆動装置。
  3. 前記主軸受が2列のアンギュラ玉軸受からなり、該主軸受の外輪が前記ポリッシング装置の前記ケースに一体化されていることを特徴とする請求項に記載のポリッシング装置の回転駆動装置。
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