JP4291424B2 - 誘導型絶対位置測定装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、電子的絶対位置トランスジューサに係り、特に複数の誘導結合巻線を用いた絶対位置トランスジューサに関する。
【0002】
【従来の技術】
現在種々の変位及び位置トランスジューサが用いられている。これらのトランスジューサの多くは、直線,回転及び角度変位を測定することができる。光学式トランスジューサは通常、走査ユニットと格子が形成されたガラススケールとを有する。走査ユニットは一般に、光源,光源光をコリメートするコンデンサレンズ,インデックス格子が形成された走査レチクル,及び受光素子を有する。スケールは走査ユニットに対して相対移動し、これによりスケールのラインは、インデックス格子のライン及びスペースと交互に一致して、周期的光強度の変化を作る。周期的光強度の変化は受光素子により電気的信号に変換され、この電気信号が処理されて位置が決定される。光学式トランスジューサは、特にレーザ光を用いた場合に、高精度位置測定が可能である。
【0003】
最近は、効率改善のために、汚染物のない検査室ではなく、工作室内で手持ちのエンコーダその他の測定器を用いることが望まれるようになっている。しかし、光学式トランスジューサは汚染に敏感であり、多くの生産或いは工作環境でむき出しで用いるのは実際的でない。このため光学式トランスジューサは、高価でしかも信頼性のない環境シールを用いたり、或いはトランスジューサをダストやオイルが入らないように覆う他の手段を講じることが必要になる。更に、光源はしばしば大電流を必要とする。このため、バッテリーを用いたハンドツール等では光学式トランスジューサを用いることができない。
【0004】
静電容量型トランスジューサは非常に小さい電流で動作可能であり、バッテリーを用いた測定ツールによく適している。静電容量式トランスジューサは、平行電極により形成される容量を利用する。送信電極と受信電極は第1の部材に形成され、これらにそれぞれ適当な電圧が与えられ、受信回路が接続される。これらの送受信電極のそれぞれがキャパシタの一方の電極となり、キャパシタの他方の電極は多くの空間分離電極の一つとして相対移動部材又はスケールに形成される。スケールが第1の部材に対して相対移動すると、送信及び受信電極はスケール上の種々の電極に容量結合する。読み出し回路は、スケール上の電極が送受信電極に対して相対移動したときの受信電極の電圧変化を検出する。
【0005】
しかし、容量式トランスジューサは、相対移動部材の電極間のギャップを小さいものとすることが要求される。この電極間のギャップとして、厳しい許容公差が求められるるため、製造コストが高いものとなる。更に、静電容量式トランスジューサは、特にオイル等の誘電体流体や、水や冷却媒体等の導電性流体等による汚染に敏感である。従って、光学式トランスジューサと同様に、高価なシールが多くの環境で必要になるが、シールの信頼性は十分ではない。
【0006】
磁気式トランスジューサは、オイルや水その他の流体による汚染に鈍感である。磁気式トランスジューサ(例えば、Sony Magnescale encoders (商標))は、磁界を検出する読み出しヘッドと、選択的に磁化されて周期的磁気パターンを有する強磁性体スケールを用いる。読み出しヘッドは、スケールが移動したときの磁気スケールパターン内での磁界変化を検出する。しかし、磁気式トランスジューサは、微粒子、特に磁化されたスケールに吸着される強磁性粒子の影響を受ける。このため磁気式トランスジューサも、光学式或いは静電容量式トランスジューサと同様にシールや覆い等、ダストを防ぐ手段が必要になる。
【0007】
誘導型トランスジューサは、オイルや水その他の流体に鈍感であり、またダスト,強磁性体粒子等にも鈍感である。誘導型トランスジューサ(例えば、INDUCTOSYN(登録商標)型トランスジューサ)は、第1の部材に設けられた多数の巻線(例えば、プリント回路基板に繰り返し形成された、一連の平行なヘアピンターン)と、第2の部材に形成された多数の可変磁界を発生させる送信巻線及び受信巻線とを用いて構成される。第2の部材により受信される信号は、両部材の相対位置と共に周期的に変化する。従って、適当な回路により、両部材の相対位置を決定することができる。しかし、両部材ともにアクティブであり、それぞれ電気的に必要な回路に接続される。
【0008】
この様に、両部材共に電気的に接続しなければならないことは、製造及び組立コストの増大をもたらす。加えて、誘導型トランスジューサは、両部材を電気的に接続しなければならないために、ノギスのようなハンドツールに組み込むことが困難である。更にロータリエンコーダの場合、可動部材をスリップリングを介して接続することになるため、コストの増大と信頼性低下の原因となる。
【0009】
従来のいくつかのエンコーダは、汚染に敏感でないような変位或いは位置トランスジューサとする試みがなされているが、上述した光学式,静電容量式,磁気式或いは誘導式のトランスジューサに比べてまだ十分な低価格化は図られていない。Howbrookの米国特許第4,697,144号,Dreoniの米国特許第5,233,294号,Ichikawa et alの米国特許第7,743,786号,Thatcherの英国特許出願第2,064,125号は、非活性で駆動されない部材と駆動される部材の間の位置を検出する位置測定デバイスを示している。これらのデバイスは、二つの可動部材の電気的接続を除いているが、従来の光学式或いは誘導型のトランスジューサのような高精度測定はできていない。またこれらのデバイスは、測定レンジが制限される、高価で比較的構成が複雑である、本質的に信号強度が小さい、といった欠点も有する。
【0010】
十分な信号強度を得るためには、非活性部材は好ましくは強磁性体として強い磁界を発生させるようにする。或いは、非活性部材を、活性部材により発生される磁界を集中させる複雑な構造に組み込んで移動させるようにする。更にこれらのトランスジューサは、広い範囲の応用、例えば低電力のハンドツール,或いは悪くても10μm オーダーの精度が要求されるリニア,ロータリ,角度その他の位置トランスジューサ応用等ができない。
【0011】
Auchterlonieの米国特許第4,893,077は、数個のリニアトラックを用いた絶対位置トランスジューサについて述べている。このセンサの各トラックは、僅かに異なる波長又は周波数を持つ。センサ回路は、トラックの位相差を解析して読み出しヘッドの絶対位置を測定する。同様のシステムは、Andermoによる米国特許第4,879,508号,米国特許第5,023,599号のような、静電容量型トランスジューサを用いたものが知られている。Auchterlonie 及びAndermoの絶対位置トランスジューサはしかし、上述した静電容量型及び誘導型トランスジューサと同様の問題を有する。
【0012】
Howbrookのトランスジューサは、数個のコイルピッチ(各ピッチが360°の位相変化を示す)を用いて、非活性部材の絶対位置を測定する。しかしこのトランスジューサは、非活性部材の絶対位置を測定するレンジが制限され、しかも多くの応用に必要な精度が得られない。
HEIDENHAINのいくつかの製品は、受光素子とスケールを用いた光学式トランスジューサを用いている。スケールには、粗い絶対位置を特定するための光学式マーカーが形成されている。しかし、HEIDENHAINのいくつかの製品は、高精度の位置合わせとマーカーの特定を必要とする。いくつかのケースでは、汚染に弱く、消費電力が大きいという問題がある。
【0013】
Craneの米国特許第5,027,526号は、巻かれたテープに印刷されたバーコードを読み取るようにした光学式トランスジューサを示している。そのバーコードパターンは、スタートバーコードパターンとストップバーコードパターンの間のいくつかの数をエンコードするように、5つのバーコード符号の間に2つをインターリーブするという基準を持つ。その数は、回転によりテープの粗い絶対位置に対応する。回路は、コード符号を読み取ってこれをテープの絶対位置を表す数に変換する。テープを巻いたドラムの位置に基づくクロック発生を利用して、高精細位置測定を行う。
【0014】
しかし、この絶対位置トランスジューサでは、上述した光学式トランスジューサの問題が解決されていない。しかも、絶対位置を求めるためにはバーコードの長さの範囲走査変位させることが必要であるから、如何なる位置でも正しい絶対位置を示すことにはならない。このことは多くの用途への利便性を妨げている。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
従って、絶対位置トランスジューサに要求されることは、1)オイルや強磁性体粒子等の汚染に対して強いこと、2)測定レンジが広い用途及び低電力用途を含む種々の広い用途に適用できること、3)高精度であること、4)従来のトランスジューサと比較して高価でないこと、5)絶対位置出力信号を出すこと、等である。少なくともこれらの5つの要求を満たすトランスジューサは、現在まだ実用化されていない。
従ってこの発明は、汚染物に鈍感な絶対位置トランスジューサを提供することを目的とする。
この発明はまた、比較的低コストで製造できる絶対位置トランスジューサを提供することを目的とする。
更にこの発明は、高精度の絶対位置トランスジューサを提供することを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】
この発明に係る誘導電流型絶対位置測定装置は、スケール部材と、このスケール部材に対して測定軸に沿って相対移動可能に配置された読み出しヘッド部材と、この読み出しヘッド部材とスケール部材の相対位置に応じた位置信号を出力するコードトラック誘導位置トランスジューサとを備え、前記コードトラック誘導位置トランスジューサは、前記読み出しヘッド部材に形成されたコードトラック用送信巻線と、前記読み出しヘッド部材に形成されて各組がそれぞれn個(nは正の整数)の受信巻線を含む少なくとも1組のコードトラック用受信巻線と、前記スケール部材に形成されて、測定軸に沿って分散配置された複数個の磁束変調器領域を含み、その複数の磁束変調器領域のいくつかに少なくとも一つの磁束変調器が形成されたコードトラックと、前記コードトラック用送信巻線と各組の各コードトラック用受信巻線に電気的に接続された信号発生及び処理回路とを有し、前記磁束変調器は、前記各受信巻線と前記コードトラック用送信巻線の間の誘導結合を前記読み出しヘッドとスケール部材の間の相対位置に応じて変調するものであり、前記磁束変調器は、前記磁束変調器領域が測定軸に沿って延びる一連のコード要素を形成し、m個の隣接するコード要素の各組が唯一のコード語を形成して、前記磁束変調器領域のそれそれが重なる一つのコードトラック用受信巻線に1組の出力状態の一方を生成し得るように、前記スケール部材に分散配置され、且つ前記唯一の一コード語それぞれが所定の分解能で前記読み出しヘッド部材のスケール部材に対する絶対位置を決定することを特徴とする。
【0017】
この発明による絶対位置トランスジューサは、リニア或いはロータリエンコーダのような高精度応用の誘導型トランスジューサであり、10μm オーダー或いはそれ以上の分解能と読み出しヘッドでの変位精度を持つものである。この発明による絶対位置トランスジューサは相対移動する二つの部材を用い、能動的な第1の部材(読み出しヘッド部材)は受動的な第2の部材(スケール部材)に渦電流を誘導する。受動的なスケール部材には外部電源及び配線は接続されない。読み出しヘッド部材は、磁界を発生する少なくとも一つの能動的送信器と、発生された磁界を受信する少なくとも二つの受信器とを有する。第1の実施例においては、二つの受信器は、相似であるが異なる波長を持つ。これにより、所定位置での二つの波長の間の位相差が、固有波長のいずれよりも長い粗い波長を定義する。
【0018】
受動的なスケール部材は、二つの受信器との相対位置に依存する受信磁界を変調する少なくとも2組の受動的磁束変調要素を有する。送信器及び受信器に結合される電気回路は、受信器の二つの出力を比較し、二つの部材間の絶対位置を解析して、ディスプレイ上に位置を表示する。即ちこの発明による誘導型絶対位置トランスジューサは二つの部材間の絶対位置を決定する。
この発明による誘導型絶対位置トランスジューサは、例えばプリント回路基板技術を用いて容易に且つ低価格で製造することができる。第1及び第2の部材の間のギャップは、容易に設定できしかも精度を低下させることなく大きく変更することもできる。このことは、製造上の許容公差を低下させ、誘導型絶対位置トランスジューサをより低価格に作ることを可能にする。
【0019】
また、この発明に係る誘導型絶対位置トランスジューサは、強磁性体粒子やオイル,水その他の流体等を含む粒子による汚染に鈍感であり、従って高価な環境シールを用いることなく多くの工場環境の使用が可能になる。またパルス駆動型駆動回路は低消費電力動作を可能とし、これにより、手持ちのバッテリー駆動型ハンドツールへの組み込みを可能とする。
更に一般的に、この発明に係る誘導型絶対位置トランスジューサは、好ましくは交流電流源を含む磁界発生源を有する。交流電流源は少なくとも一つの誘導的パス(送信巻線)に結合される。この少なくとも一つの送信巻線は、実質的に磁束領域を囲い込み、磁界発生源はこの磁束領域に可変磁束を作る。磁束領域内に配置された第1及び第2の受信巻線は、それぞれ所定の周期パターンの磁束受信領域を有し、測定軸に沿って配列される。各受信巻線は、可変磁束に応答する少なくとも一つの出力を横切る電磁力(EMF)を発生する。第1及び第2の受信巻線における各周期パターンの一つがそれぞれ第1及び第2の波長を決定する。
【0020】
各受信巻線の周期パターンは、好ましくは第1及び第2の複数の可変ループを有する。第1のループのそれぞれは可変磁束に応答して第1極性の第1のEMFを発生し、同様に第2のループのそれぞれは可変磁束に応答して第2極性の第2のEMFを発生する。第1及び第2の各受信巻線内のある第1のループと隣接する第2のループはそれぞれ、第1及び第2の波長を定義する。第1及び第2の波長は相似であるが同じではない。そして、第1及び第2の波長の相関関係が、第1及び第2の波長のいずれよりも長い第3の粗い波長を生成する。
【0021】
スケール部材は、これに沿って所定の第1及び第2の間隔で配置された所定形状の第1及び第2の磁束変調器の組を有する。磁束変調器は、磁束減衰器(flux disrupter)又は磁束拡大器(flux enhancer)のいずれかであって、磁束領域内に配置される。磁束減衰器は導体により形成され、これが磁束領域に配置されると磁束は渦電流を生成し、これが磁束を減衰させる方向に作用する。第1及び第2の磁束減衰器の組は、それぞれ第1及び第2の受信巻線の第1及び第2の波長位置に配置される。磁束減衰器の波長は、一つの磁束変調器とその隣接スペースとにより決まる。
【0022】
第1及び第2の磁束減衰器の組は、第1及び第2の受信巻線に対して第1の位置から第2の位置へと相対移動可能である。第1の位置では、第1及び第2の受信巻線の第1のループが、第1及び第2の磁束減衰器の組のうちの少なくとも一つの磁束減衰器に近接する。これにより磁束減衰器は、各受信巻線内に変化した第1のEMFを発生する。第2の位置では、第1及び第2の受信巻線の第2のループが、第1及び第2の磁束減衰器の組のうちの少なくとも一つの磁束減衰器に近接する。これにより磁束減衰器は、各受信巻線内に変化した第2のEMFを発生する。
解析回路は第1及び第2の受信巻線に接続され、第1及び第2の減衰器に対する第1及び第2の受信巻線の絶対位置を、第1及び第2の受信巻線のそれぞれの出力を横切って発生する第1及び第2のEMFに基づいて決定する。
【0023】
第2の実施例においては、第1の可変磁束を発生させる少なくとも一つの導体パスを持つ部材を備える。コード検出導体の組がこの部材上に、磁束領域内に配列されて可変磁束に応答して少なくとも一対の出力端子にEMFを発生するように形成される。
スケール部材は、バイナリコード要素を形成する、1組の磁束減衰器とスペースを有する。即ち、各減衰器と減衰器の間のスペースは、一連のバイナリコードビットを形成する。バイナリコードビットは、バイナリコード語にグループ化することができる。各バイナリコード語は、測定軸に沿ったある絶対位置を決定する。磁束減衰器の組は磁束内で移動可能であり、可変磁束は磁束減衰器に近づくとその磁束減衰器内に渦電流を生成する。
【0024】
コードトラック用受信巻線の組及びコード要素は、測定軸に沿って互いに第1の位置から第2の位置に相対移動するようになっている。第1の位置では、コードトラック用受信巻線の組が第1のグループの磁束減衰器とスペースに近づき、この第1のグループがコードトラック用受信巻線に第1組の変化するEMFを発生する。この第1組の変化するEMFは第1のコード語を決定する。
第2の位置では、コードトラック用受信巻線の組が第2のグループの磁束減衰器とスペースに近づき、この第2のグループがコードトラック用受信巻線内に第2組の変化するEMFを発生する。この第2組の変化するEMFは第2のコード語を決定する。これら第1及び第2のコード語が、コード要素を含む磁束減衰器とスペースの組に対する受信巻線の絶対位置を決定する。この絶対位置の精度はコード要素のピッチに関係する。
【0025】
コードトラック用受信巻線は好ましくは、それぞれ可変磁束に応答して逆極性の第1及び第2の信号要素を生成する第1及び第2のコードループを少なくとも含んだ導体パスにより形成された少なくとも一つのセンサ要素を有する。各センサ要素は、少なくとも一つの磁束減衰器をそれが第1又は第2のコードループに接近したときに検出可能である。磁束減衰器に近づいたコードトラック用受信巻線の組の各センサ要素は、コード要素の相対位置に応じて変化した磁束を受信する。これが、対応する変化するEMF信号を生成し、少なくとも対応する第1又は第2のコード語の一部を形成する。
【0026】
この発明によると、従来のトランスジューサ固有の問題を解決した高精度絶対位置トランスジューサ、即ち、1)オイルや粒子の汚染に鈍感であり、2)広範囲の用途に適用可能であり、3)大きいレンジで高精度を得ることが可能であり、4)従来のものに比べて低価格で作ることが可能であるトランスジューサが得られる。
【0027】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して、この発明の実施例を説明する。
簡単化と明確化のため、動作原理,設計ファクタ及びトランスジューサ巻線のレイアウトは、図1〜図3に示すノギスに適用したインクリメンタル型トランスジューサを参照して説明する。インクリメンタル型トランスジューサ巻線の動作の基本説明は、この発明の絶対型トランスジューサに用いられる要素巻線の理解と設計に適用可能である。
【0028】
図1に示すように、誘導型ノギス100は、細長いビーム102を有する。ビーム102は、通常矩形断面を有する剛体又は半剛体のバーであり、その上部表面には溝106が形成されている。細長いスケール104は、ビーム102の溝106に強固に接合されている。ビーム102の溝106はスケール104の厚みとほぼ同じ深さで形成されており、従ってスケール104の表面とビーム102のエッジ表面とがほぼ同一面となる。
【0029】
横方向に一対突き出たジョー108及び110はビーム102の第1の端部112の近くにビーム102と一体に形成されている。対応して横方向に一対突き出た可動のジョー116及び118は、スライダ組立体120側に形成されている。測定対象物の外形寸法は、その対象物をジョー108と116の一対の使用面114の間に配置することにより測定される。同様に対象物の内側寸法は、その対象物の内側にジョー110及び118を配置することにより測定される。ジョー110と118の使用面122は対象物の表面に接触する。
使用面112と114は、ジョー108及び116の使用面114が互いに接触したときに、ジョー110及び118の使用面112が互いに一列に並ぶように、位置が設定される。この位置がゼロ点(図示しない)であり、ここでノギス100により測定される外側及び内側寸法がゼロとなる。
【0030】
ノギス100はまた、スライダ組立体120に取り付けられたデプスバー126を有する。デプスバー126はビーム120の長手方向に突き出して使用端128を有する。デプスバー126の長さは、ノギス100がゼロ点にあるときに使用端128がビームの第1の端部132と揃うように設定される。孔が形成された面にビーム102の第2の端部132を据えて、デプスバー126をその孔に端部128が底につくまで延ばすことにより、ノギス100は孔の深さを測定することができる。
【0031】
測定が、外形測定用ジョー108及び116,内径測定用ジョー110及び118を用いる、或いはデプスバー126のいずれを用いるかに拘らず、測定された寸法はノギス100のカバー139に搭載された通常のディジタルディスプレイ138に表示される。カバー139にはまた一対の押しボタンスイッチ134及び136が搭載されている。スイッチ134は、スライダ組立体120の信号処理及び表示の電気回路166のオンオフに用いられ、スイッチ136はディスプレイ138をゼロリセットするために用いられる。
【0032】
図1に示すように、スライダ組立体120は、ガイドエッジ142を持つベース140を有する。ガイドエッジ142は、スライダ組立体120をビーム102に組み立てる時にビーム102の側方エッジ146に接触して、これがノギス100の高精度動作を確実にする。一対のネジ147は弾性の圧力バー148をビーム102のエッジに押し付けて、スライダ組立体120とビーム102の間の自由な遊びがなくなるようにしている。
【0033】
デプスバー126は、ビーム102の底面側に形成されたバー溝152に挿入される。バー溝152はビーム102の底面に沿ってデプスバー126を収める隙間を形成するように延びている。デプスバー126は溝152内に、ビーム102の第2の端部132で底面に取り付けられたエンドストップ154により保持される。エンドストップ154は、スライダ組立体120が測定動作中にビーム102の第2の端部132から外れるのを防止する役目もする。
【0034】
スライダ組立体120はまた、ベース140に搭載されてビーム102上に位置するピックオフ組立体160を有する。従って、ベース140とピックオフ組立体160は一体として動く。ピックオフ組立体160は、通常のプリント回路基板のような基板162を有する。この基板162は、その下の面に誘導型読み出しヘッド164を持つ。基板162の上の面には信号処理及び表示の電気回路166が搭載されている。カバー139と基板162の間には弾性のシール163を圧縮された状態で介在させており、これにより電気回路166の汚染が防止されるようになっている。
図2に示すように、読み出しヘッド164は、薄く、耐久性がある絶縁性のコーティング167で覆われている。コーティング167の厚みは好ましくは、50μm 程度である。
【0035】
スケール104は、一次変換要素としての細長いプリント配線基板168を有する。図1に示すように、このプリント配線基板168に沿って、周期パターンをもって1組の減衰器170が互いに離れて形成されている。減衰器170は好ましくは銅であり、通常のプリント配線技術を利用して作られる。但し他の方法で作ることもできる。図2に示すように、減衰器170は保護絶縁層172(好ましくは、100μm 厚)により覆う。保護層172は図1に示すようにマーキングを有するものとすることができる。
【0036】
スライダ組立体120は、絶縁コーティング167と172の間に形成されるエアギャップ171によりビーム102から僅かに離れた状態で読み出しヘッド164を運ぶ。エアギャップ171は好ましくは、0.5mmオーダーとする。読み出しヘッド164と減衰器170によって誘導型トランスジューサが構成される。この誘導型トランスジューサと関連する回路は、米国特許出願第08/441,769号に開示された適当なものを用いることができる。ノギス100は、例えば米国分割出願第60/015,707号(1996年4月17日出願)に開示されたような低電力電気回路を用いることもできる。
【0037】
この発明においては、図1〜図3に示すノギスにおいて、読み出しヘッド164と減衰器170により形成される誘導型トランスジューサは、可変磁界を発生させることにより動作する。この可変磁界が、その中に置かれた減衰器内に渦電流として知られる循環する電流を誘導する。
例えば、減衰器170が電磁石の極の間に位置するとする。この電磁石を交流電流で駆動して磁界を時間と共に変化させると、減衰器170内の閉ループを通る磁束が変化する。この結果、閉ループの回りに電磁力EMFが発生する。減衰器170は導体であるから、渦電流は、これを減衰器170の材料のループに沿った抵抗で除した値に等しいEMFを発生する。
この様な渦電流はしばしばトランスの磁気コアに生じる。トランスにおいては、その様な渦電流は電力損失と発熱の原因となるから望ましいものではない。しかしこの発明においては、渦電流の存在が有用な結果をもたらすものとして用いられている。
【0038】
図3は、より具体的に読み出しヘッド164の部分を示す。読み出しヘッド164は、好ましくは、実質的に平面導体である5個の導体180〜184を有する。二つの導体181と182は第1の受信巻線178を構成し、他の二つの導体183と184は第2の受信巻線179を構成する。これら第1及び第2の受信巻線178及び179は、基板162の中央に、基板162に沿ってオーバーラップした状態で延びるように配置されている。
第1及び第2の受信巻線178及び179はそれぞれ、同じ波長の正弦波状パターンをもって配列されている。導体181は、端子185から、導体182につながる相互接続端子189aまで延び、導体182は端子187まで戻るように延びている。第1の受信巻線178を形成する導体181及び182は、複数の正弦波状ループ191を構成する。
【0039】
同様の方式で、導体183は、端子188から、導体184につながる相互接続端子189bまで延び、導体184は端子186まで戻るように延びている。第2の受信巻線179を形成する導体183と184はやはり複数の正弦波状ループ192を構成する。ループ192は、第1の受信巻線178により形成されるループ191に対して、1/4波長又は1/2波長オフセットしている。
図3において、導体181〜184は基板162の実質的に同じ面に形成されているが、実際には導体181〜184のそれぞれの一つおきの半波長部分は基板162の別の層に形成されている。即ち、巻線178と179とは互いに物理的にコンタクトしない。同様に、巻線178と179は、それぞれのパターンの中間の“交差”点でも物理的にコンタクトしない。そして、導体181〜184のそれぞれの半波長部分は、基板162に形成された貫通配線190により同じ導体の他の半波長部分とは接続されている。
導体181〜184は、基板162の同じ面ではないが、薄い領域内にある。即ち、基板162上の導体181〜184の最上層と最下層の間の距離は、ごく小さく、従って導体181〜184はほぼ同一面にある。
【0040】
第2の受信巻線179は、空間位相のオフセットをもつ他、第1の受信巻線178と実質的に同じである。従って、以下の議論は先ず、第1の受信巻線178に着目して行うが、第2の受信巻線179にも同様に適用できることを知るべきである。
【0041】
第5の巻線180は、送信巻線であって、第1及び第2の受信巻線178及び179が形成された薄い領域内で実質的に第1及び第2の受信巻線178及び179を取り囲むように形成されている。送信巻線180は基板162のある層或いは表面に、通常のプリント配線技術を用いて形成されている。第1及び第2の受信巻線178及び189を取り囲むに十分な長さ194と幅195を有する。他の方法で特定される場合を除き、図3及び図4での測定は、測定軸300に沿って行われる。“長さ”は、測定軸300に平行に延びる方向の寸法であり、“幅”は測定軸300と直交する方向の寸法である。第1の受信巻線178により形成される隣接する二つのループ間の距離、或いは第2の受信巻線179により形成される隣接する二つのループ間の距離は読み出しヘッド164のピッチ或いは波長193として定義される。一つのループ191或いは192の広がりは、波長193の1/2に等しい。各減衰器170の間の距離も、波長193の1/2に等しい。
【0042】
第1の受信巻線178と第2の受信巻線179の間の1/4波長オフセットは、矩象(quadrature)関係の信号を生成する。これにより、読み出しヘッド164のスケール104に対する移動方向が観測できることになる。また減衰器170のあるエッジと隣接する減衰器170の対向するエッジ間の距離304は好ましくは、波長193に等しく設定される。
もし全ての減衰器が実質的に同じであるとすれば、エッジ・エッジ間距離304は、波長193の整数倍“K”とすることができることを理解すべきである。この場合好ましくは、各受信巻線の長さは波長193の“N・K”倍とする。Nも整数である。
【0043】
図4に示すように、第1の受信巻線178は正弦波パターンのループ191を有する。第1の受信巻線178は、正弦波或いはジグザグパターンで、一方向に配設されて逆方向に戻る導体181と182により形成されている。従って導体181及び182は、物理的には(電気的ではなく)互いにクロスオーバーしてループ190を形成する。或いは、ループ191は、絶縁ワイヤのループを時計回り或いは半時計回りに一定距離ずつ180°捻ることによって作ることもできる。
【0044】
ループ191のクロスオーバー構造の結果、隣接するループ190は異なる巻線方向をもつことになる。送信巻線180を流れる交流電流は均一であり、第1の受信巻線178を通って延びる時間的に変化する磁界を発生する。この可変磁界は、第1の受信巻線178内にEMF或いは可変電流を生じさせる。隣接するループ191に発生するEMF或いは可変電流は、図4に“+”,“−”で示したように交互に逆極性となる。
各ループ191は実質的に同じ面積である。従って、均一磁束を受信するループ191の“+”ループ191aの数と“−”ループ191bの数が同じであれば、磁界は第1の受信巻線191の端子185,187間に正味ゼロのEMFを誘導することになる。これは第2の受信巻線179についても同様である。
【0045】
もし、スケール104上の減衰器170或いは他の導体が読み出しヘッド164に近づくと、送信巻線180により発生される磁界は、減衰器170或いは他の導体内に渦電流を生じさせる。減衰器の近くに送信巻線180により発生される磁界に反作用する磁界が生成される。このように渦電流は減衰器170の近くに送信磁界を減ずる逆磁界を発生する。
この結果、第1の受信巻線178が受信する磁束は空間的に変化し或いは途絶する。この途絶の“+”ループ191aと“−”ループ191bに対する影響は同じではないから、第1の受信巻線178はゼロではないEMF信号を出力する。従って、出力端子185,187の間のEMF信号は、導体減衰器170が“+”ループ191aの近くから“−”ループ191bの近くに移動する時に極性が反転する。
【0046】
減衰器170のサイズは好ましくは波長193と等しくないものとする。例えば、もし減衰器170の長さ302が波長193と等しく、幅が幅195と等しいとすると、減衰器170が測定軸300に沿ってループ191に対してどの様な位置にあるかに拘らず、隣接する“+”ループ191aと“−”ループ191bの等しい面積上で送信磁界を途絶させることになり、受信巻線178から出力されるEMF信号の振幅は名目上ゼロとなるからである。また、受信巻線178からの出力は、ループ191に相対する対象物の位置に鈍感であり、減衰器170の測定軸に沿った位置によらずゼロとなる。この様な幾何学関係からは有効信号が得られないから、減衰器170のサイズは波長193と等しくないことが望まれる。減衰器170の長さを1波長193より大きくできる。しかしこの場合、減衰器のフル波長193に等しい部分は有効な信号強度に寄与しないから、減衰器170の長さは好ましくは、1波長193よりも小さくする。
【0047】
減衰器170の長さが1波長193又はその整数倍と等しくない場合、多くの位置で、ループ191の“+”面積と“−”面積とが等しくなくなる。減衰器170の長さが波長193の1/2に設定された時に、信号出力は位置の関数として最大の振幅変化を示す。減衰器170の長さが波長193の1/2に設定された時、減衰器170は周期的に一つの“+”ループ191a全体或いは一つの“−”ループ191b全体を、隣接する“−”ループ191b或いは“+”ループ191aの一部に重ならずにカバーすることになる。従って,1/2波長長さの減衰器170が最も強い信号を発生することになる。
【0048】
図3に示すように、減衰器170は、スケール104上に1波長のピッチ(あるエッジから隣接する対応エッジまでの距離)をもって配列される。連続する減衰器は波長193の1/2ずつ離れる。減衰器170は好ましくは、強磁性体ではなく、高い電気的導電性を有するものとする。これにより減衰器170は磁化されることなく、強磁性体粒子を引きつけることもない。図1に示すように、第1の好ましい実施例においては、スケール104の長さは読み出しヘッド164の長さより大きい。これによりスケール104の長さが、ノギス100の測定レンジを決定することになる。
【0049】
ノギス100の第1の好ましい実施例において、第1の受信巻線178のループ191は、好ましくは送信巻線180の内側の所定領域内に配置される。発明者等の実験によれば、送信巻線はその導体からの距離の関数で急速に強度が減衰する磁界を発生する。しかしまた発明者等の実験によれば、送信巻線180の内部領域では、磁界が、送信巻線導体から所定距離を越えたところで一定値となる傾向があることも明らかになっている。
上記所定距離は、比較的均一磁界が得られる領域の周囲を規定することになる。この磁界が均一になる距離は、送信巻線の幾何学的関数である。従ってこの発明による誘導型トランスジューサの精度を改善するためには、ループ191,192は送信巻線180から上記所定距離だけ離して配置することが好ましい。より好ましくは、第1及び第2の受信巻線178及び179のループ191及び192は、比較的均一な磁界内に全てが配置されるようにする。
【0050】
典型的な実施例においては、減衰器170,受信巻線178及び179,及び送信巻線180は次の表1のような寸法に設定される。
【0051】
【表1】
受信巻線波長=0.200inch
減衰器長=0.100inch
減衰器幅=0.490inch
送信巻線幅=0.400inch
受信巻線幅=0.340inch
1/4受信器波長=0.050inch
送信巻線長=1.950inch
【0052】
“+”ループ191aと“−”ループ191bを高精度にバランスをとって交互にインターリーブすることにより、第1の受信巻線178は、減衰器170がない場合に名目上ゼロ出力となる。また、“+”ループ191aと“−”ループ191bを交互に近接配置することにより、減衰器170が測定軸300に沿って移動するにつれて各受信巻線出力に連続信号が得られる。これらの設計ファクタは、ノギス100の高いS/N比を実現し、高精度の測定を可能とする。
【0053】
読み出しヘッド164及びスケール104の上述した幾何学的設計は、ノギス100のトランスジューサの高精度化を確実にするのみならず、測定軸300に直交する読み出しヘッド164の幅方向の不均一送信磁界の影響を効果的に除去する。また上述の幾何学的設計は、この発明の誘導型トランスジューサのバランスのとれた“差動検出”に対する“同相誤差”となる非本質的な磁界を低減する。ノギス100の誘導型トランスジューサの正確さの度合いは、読み出しヘッド164及びスケール104の設計及び構成に大きく依存する。
【0054】
図5(a)〜(c)は誘導型ノギス100の動作例を示す。スケール104とその上の減衰器170(斜線で示す)が送信巻線180及び第1の受信巻線178に対して相対移動すると、減衰器170は“+”ループ191aの全てに重なって“−”ループ191bに全く重ならない状態、“+”ループ191aと“−”ループ191bの比率が変化する状態、“−”ループ191aの全てに重なって“+”ループ191bとは重ならない状態が生じる。
図5(a)は、減衰器170が第1の受信巻線178の“−”ループ191aの全てに重なって“+”ループ191bとは重ならない状態を示している。送信巻線180は減衰器170に誘導的に結合して渦電流を生じさせ、この結果、減衰器170は“−”ループ191bを通る送信器磁界に反作用する磁界を発生させる。これにより、“−”ループ191bを通る正味の磁束は、“+”ループ191aのそれより小さくなり、“−”ループ191bは“+”ループ191aより小さい誘導EMFを発生する。従って、第1の受信巻線178は端子185,187間に正味“正”極性の電流及び電圧が生じる。
【0055】
出力信号は、送信巻線180が時間的に変化する磁界を発生するために、時間と共に変化する。入力信号に対する時間変化する出力信号の振幅及び極性は、読み出しヘッド164のスケール104に対する相対位置を示す。図5(c)は、出力信号の振幅と極性がスケール104の読み出しヘッド164に対する相対位置(変位)に応じて変化する様子を示している。
図5(c)に示す波形の最初のピークは、端子185,187間の正極性振幅の例を示している。出力信号の極性は、時間変化する出力信号の入力信号に対する時間位相を示しており、入力信号に対して同相か又は逆相(180°差)のいずれかになる。
【0056】
図5(b)は、スケール104が動いて、減衰器170が第1の受信巻線178の“+”ループ191aの全てに重なって“−”ループ191bとは重ならない状態を示している。この相対位置においては、減衰器170に生じる誘導電流は、“+”ループ191aを通る送信磁界に対して反作用する。即ち、“−”ループ191bを通る正味の磁束は、“+”ループ191aのそれより大きくなり、“−”ループ191bは“+”ループ191aより大きい誘導EMFを発生する。従って、第1の受信巻線178は端子185,187間に正味“負”極性の電流及び電圧が生じる。図5(c)に示す波形の最初の谷は、端子185,187間の負極性振幅の例を示している。
【0057】
減衰器170が、図5(a)に示すように、“−”ループ191bに完全にオーバーラップしたとき、出力信号は、図5(c)の波形のピークに示すように、最大正極性振幅をもつ。逆に、図5(b)に示すように、減衰器170が“+”ループ191aに完全にオーバーラップしたとき、図5(c)の波形の谷に示すように、最大負極性振幅をもつ。
減衰器170が測定軸300に沿って、図5(a)の位置と図5(b)の位置の間を移動する間、図5(c)の波形の振幅は連続的に変化する。そして、減衰器170が“+”ループ191aと“−”ループ191bに正確に1/2ずつオーバーラップしたとき、図5(c)の波形の振幅はゼロとなる。この位置から、減衰器170が図5(a)又は図5(b)の位置に近づくように移動することにより、受信器出力信号の振幅は次第に正又は負方向に増大する。
【0058】
図3に示すように、 読み出しヘッド164はスケール波長193の1/4だけ互いにずれた二つの受信巻線178,179を有する。即ち、第2の受信巻線179は第1の受信巻線178とオーバーラップし且つスケール波長193の1/4のオフセットをもつ。従って、第2の受信巻線179の各“+”ループ192aは、第1の受信巻線178の“+”ループ191a及び“−”ループ191bの各一部と重なる。同様に、第2の受信巻線179の各“−”ループ192bは、第1の受信巻線178の“+”ループ191a及び“−”ループ191bの各一部と重なる。
【0059】
第1及び第2の受信巻線178及び179は、基板上又は内部に適当に形成された絶縁層及びクロスオーバー中継により電気的に分離されている。第1及び第2の受信巻線178及び179をスケール波長193の1/4ずらすことによって、これらの出力信号は空間的に矩象となる。即ち、これらの受信巻線178及び179に得られる出力信号振幅は位置の関数である正弦波パターンとなり、第2の受信巻線179の正弦波パターンは第1の受信巻線178のそれに対して空間的に90°シフトしたものとなる。
【0060】
この結果、信号処理及びディスプレイ電気回路166はこれらの受信巻線178及び179の出力信号の相関関係を検出し、これを解析することによって、読み出しヘッド164のスケール104に対する相対移動の方向を決定する。上述のように、巻線178,179の出力信号振幅は、読み出しヘッド164のスケール104に対する相対位置に基づいて正弦波状に変化する。
信号処理及びディスプレイ電気回路166は、次の数1に従って、読み出しヘッド164のスケール104に対する相対位置を決定する。
【0061】
【数1】
Figure 0004291424
p:位置
λ:スケール波長193
n:波長193の数を示す整数
S1:第1の受信巻線178の出力信号
S2:第2の受信巻線179の出力信号
【0062】
S1,S2の符号は、次の表2に従って角度がどの象限にあるかを決定する。
【0063】
【表2】
Figure 0004291424
【0064】
ノギス100の精度を改善するために、及び/又は受信信号のアナログ信号処理回路に対する要求を緩和するために、読み出しヘッド164が3個或いはそれ以上オーバーラップする受信巻線を持つようにすることができる。読み出しヘッド164が3個或いはそれ以上オーバーラップする受信巻線を持つようにすることは製造を難しくするが、適当な信号処理技術の組み合わせにより、二つだけの受信巻線を持つ場合に比べてより高精度の測定を可能とする。この様な多重巻線の読み出しヘッドは好ましくは、等しい位相シフト量を持つものとする。例えば、巻線数mの場合、位相シフト量を180°/mとする。
【0065】
信号処理及びディスプレイ電気回路166は、よく知られた内挿処理と一つの受信巻線だけを用いて、波長193の1/2の範囲で絶対位置を求めることができる。
例えば、図6に示すように、信号処理及びディスプレイ電気回路166は、波長193の1/2の範囲で第1の位置d1と第2の位置d2の間の差を、点287と288の受信信号の振幅と極性を比較することにより求めることができる。
点287は、V1なる電圧値を有し、一方点288はV2なる電圧値を有する。位置d3は受信信号内の点289に対応し、点289は287と同じ電圧値V1を有するが、信号処理及びディスプレイ電気回路166は、第1の位置d1と第3の位置d3の間の相違位置の差は内挿を用いては決定することができない。
【0066】
スケール104,読み出しヘッド164及び他の構成要素は、通常の技術により容易に製造することができる。例えば、よく知られたプリント回路基板技術(硬い基板或いはフレキシブル基板上の)を用いて送信巻線180及び受信巻線178,179をプリント回路基板上に形成することにより、読み出しヘッド164を作ることができる。受信巻線178,179それぞれの交差点では導通を生じないように適当な絶縁を行うことが必要である。
スケール104も同様にプリント回路基板技術を用いて作ることができる。磁束減衰器170は、プリント回路基板に薄い銅箔バーを形成することにより作られる。減衰器170には、銅以外の他の高導電率材料、例えばアルミニウム,クロム,銀,金等を用いることもできる。代表的なプリント回路基板としては、FR4等のグラスファイバ強化プラスチックを用いることができる。
【0067】
スケール104の寸法安定性はこの発明の誘導型絶対位置トランスジューサの精度に影響を与える。従って、高い精度が要求される用途には、より安定なスケール基板、例えば、ガラス,水晶,スチール,インバール或いはセラミックス等を用いることが好ましい。スチール及びインバールは導電性材料である。しかしこれらは、銅に比べると導電性は低い。銅の磁束減衰器170とスチール或いはインバール基板116との間の導電率比は、スケール104の読み出しヘッド164に対する相対移動により受信巻線178,179に出力信号を得るに十分である。
【0068】
いくつかの用途においては、フレキシブル金属テープに1乃至複数層の金属プレートを積層或いは固着することにより磁束減衰器170を作ることも有効である。金属プレートはフレキシブルテープとは異なる金属とする。例えば、金属プレートが積層される金属テープは、位置測定がなされるべき備品やワークピースに搭載される。或いは金属テープは、特定の測定に用いられない部分を収縮或いは巻き込んで保持するようにすることもできる。更に寸法安定性は、基板を補強し、磁束減衰器170をスチールその他の寸法が安定な基板や支持部材に保持することによっても得られる。
【0069】
磁束変調器170は、この出願に含まれる関連米国特許出願第08/645,483号及び第08/645,490号(1996年5月13日出願)に述べられているように、磁束を減衰させ或いは拡大する要素のいずれかである。同様に、磁束減衰及び磁束拡大の要素には、関連米国特許出願第08/645,483号及び第08/645,490号に述べられているように、種々のフォーマット及び構造を用いることができる。
【0070】
図7は、この発明の誘導型絶対位置トランスジューサ200の第1の好ましい実施例である。誘導型絶対位置トランスジューサ200は、並列に配置された3つのトランスジューサ210,220及び230を有する。各トランスジューサは、図1〜図5で説明したと実質的に同様に設計され同様の動作をする。
3つのトランスジューサ21,220,230のそれぞれは、送信巻線212,222,232を有し、二つずつオーバーラップする受信巻線(214,216),(224,226),(234,236)を有する。各トランスジューサ21,220,230はまた、それぞれスケール218,228,238を有する。これらのスケール218,228,238は誘導型絶対位置トランスジューサ200の一つのスケール部材202上に形成されている。各スケール218,228,238は複数の磁束変調器170を有する。ここで重要なことは、各トランスジューサ218,228,238の受信巻線(214,216),(224,226),(234,236)がそれぞれ、波長λ1,λ2,λ3を持つことである。また、スケール218,228,238上の磁束変調器170はそれぞれ測定軸300に沿って波長λ1,λ2,λ3の1/2に等しい長さを有する。
【0071】
図7には、波長λ3の間隔の複数の縦の実線Aと、その半波長位置を示す破線Bを示している。実線Aと破線Bは、波長λ1及びλ2が波長λ3とどの様に異なるかを分かりやすく示すためのものである。
好ましくは、波長λ1は2.54mm ,波長λ2は2.4094mm ,波長λ3は2.56mmである。トランスジューサ210,230のいずれかを密の波長測定を行うために用いることができる。波長λ3(=2.56mm)は、簡単な計算ができるため、ミリメータの測定に適当である。波長λ1(=2.54mm)は0.1inchであり、従って簡単なインチ/ミリメータ変換計算によりインチ測定に用いられる。
【0072】
波長λ1,λ2,λ3は互いに相似であり、これらの対の空間位相差は、固有の波長λ1,λ2,λ3を越えるある空間距離で360°となる。従って、異なる波長の二つのトランスジューサからの位置出力情報、例えばトランスジューサ(210,220)と230の二つの出力情報は長いレンジの測定のために合成することができる。
合成された位置情報は、空間的“位相関係”の計算に基づいて、“中波長(medium wavelength)”或いは、“粗波長(coarse wavelength)”の絶対位置を与える。この“中”或いは“粗”波長は相対的に360°の空間位相差を有し、二つのトランスジューサの空間波長から導かれるもので、トランスジューサ210,220,230のいずれか単独で得られる絶対測定レンジより長い。
【0073】
二つのトランスジューサの空間波長がある関係を有すると、移動するにつれて、二つのトランスジューサの信号から導かれる位相差は、ある“位相関係”波長より長いところを越えると360°を通過する。これがより大きい絶対測定レンジに対応する。
トランスジューサ210,220,230の波長の間の許容される実際的な関係、従ってデバイスのトータルの絶対測定レンジは、3波長のトランスジューサそれぞれの測定精度に依存する。個々のトランスジューサにとっての高い測定精度とは、位置がトランスジューサ波長の小部分に対応する分解能で決定できることを意味する。
“内挿比”とは、波長以下の分解能又は精度が得られる度合いを言う。即ちこれは、波長の、選択された位置分解能のインクリメントに対する比を指している。この語は、一つのトランスジューサの波長にも、或いは上述した“中”,“粗”波長にも適用できる。
【0074】
図7に示す誘導型絶対位置トランスジューサ200は、相対位相計算のために緩やかな“誤差マージン”をもって作らなければならない。即ち、最悪の条件のもとで、“中”或いは“粗”の相対位相計算は、絶対システムの“次の密”測定モードの特定波長に対応する相対移動するトランスジューサの位置を特定しなければならない。さもないと、“次の密”測定モードの少なくとも1波長に対応する誤差が、全体の絶対位置計算において生じるからである。“波長比”は、例えば、粗/中,或いは中/密といった“次の密”の有効波長に対するより粗い有効波長の比を言う。
【0075】
図7の誘導型絶対位置トランスジューサ200にとって、緩やかな誤差マージンは、個々のトランスジューサの内挿比に低い相関を示す波長比を用いることにより得られる。この実施例の誘導型絶対位置トランスジューサに用いられた波長比は、中/密については16/1、粗/中については8/1である。これらの波長比は、個々のトランスジューサ210,220,230に期待される256/1の名目精度或いは内挿比、及びそれらの関連する密波長に対して十分に安全なマージンを与える。波長比は、システム設計の許容公差やコストに応じて大きくすることができる。しかしこれは、不正確な絶対測定をもたらす誤差のリスク増大につながる。
【0076】
波長λ1とλ2の間の位相差は、325.12mmの実効粗波長を与える。中波長λMとしては、2.56mmの波長λ3と2.409mmの波長λ2の差が、16×2.56mm及び17×2.409mmに等しい波長40.96mmを与える。従って、粗/中の比は、325.12/40.96,或いはほぼ8であり、この結果、粗/密の比はほぼ128となる。誘導型絶対位置トランスジューサの十分な測定レンジを持つことを確実にするためには、粗/密比を少なくとも100、中/密比を少なくとも10とすることが好ましい。次の説明は、この発明の誘導型絶対位置トランスジューサにおける、密(ミリメータ或いはインチ),中及び粗の動作モードに対応する好ましい設計ガイドラインの概要である。
波長λ1,λ2,λ3はそれぞれ、λ1=2.54mm,λ2=2.4094mm,λ3=2.56mmとする。各トランスジューサ210,220,230の空間位相位置はそれぞれ、φ1,φ2,φ3とする。波長λ1とλ3とが密モード波長λFを決定し、この波長λFがミリメータの密モード測定に用いられる。波長λ1はインチの密モード測定に用いられる。中モード波長λMは、下記数2で与えられる。
【0077】
【数2】
Figure 0004291424
【0078】
これにより、中モード波長λM3は、40.96mmである。或いは、λM1=46.86mmがいくつかの状況下では用いられる。粗モード波長λCは、下記数3で与えられる。
【0079】
【数3】
Figure 0004291424
【0080】
数3から、λ1=2.54mm,λ3=2.56mmのとき、粗モード波長は、λC=325.12mmとなる。
粗波長λCのための位相位置は、φ1−φ3であり、中波長λM3のための位相位置は、φ2−φ3であり、中波長λM1のための位相位置は、φ2−φ1である。一般的な位相位置φnの計算は以下に説明する。波長λ1,λ3のいずれかの位相位置は、上述のように矩象により決定される。
【0081】
トランスジューサ210,220,230の送信巻線212,222,232及び受信巻線(214,216),(224,226),(234,236)はそれぞれ、好ましくは、先に述べたようにプリント回路基板の二つの面に形成される。
各トランスジューサ210,220,230はそれぞれ、2つの受信巻線(214,216),(224,226),(234,236)を用いており、これらをスケール波長の1/4ずらすことにより、各二つの受信巻線の出力は90°位相がずれる。二つの受信巻線の出力信号の関係は、相対移動方向を決定し、密波長内での任意の密位置を確実に計算することを可能とする。
図7の誘導型絶対位置トランスジューサにおいて、受信巻線の信号振幅は、スケール202の測定軸300に沿う移動に伴って正弦波関数を示す。リニア位置x及び位相位置φnは、スケールの対応する受信巻線に対するある1波長内で、次の数4のように求められる。
【0082】
【数4】
x=tan-1(s1/s2)(λn/2π)
φ1n=tan-1(s1/s2)
【0083】
数4において、φ1nが位相位置であって、n=1,2,3がそれぞれトランスジューサ210,220,230に対応する。s1,s2は対応する受信巻線の出力信号の振幅であり、λnが対応する波長である。逆正接関数(tan-1)は、信号s1,s2の極性を用いて信号に対応する波長の“象限”を特定するように、0と2πの間を往復する値である。
【0084】
トランスジューサ210,220,230は、ある程度寄生的に結合することができ、これはトランスジューサからの出力信号の誤差となる。これらトランスジューサ210,220,230間の寄生結合を低減するために、誘導型絶対位置トランスジューサ200内で最も近い二つの波長を最大距離をおいて離す。即ち、λ1はほぼλ2に等しいから、トランスジューサ210と230とがトランスジューサ220を挟んで配置される。
また好ましい実施例では、各トランスジューサ210,220,230における受信巻線の長さは、中波長λMに最も近くなるような整数個の波長分に設定すべきである。好ましくは、中波長λMが各トランスジューサ210,220,230についての波長のある整数個に等しくなるようにする。しかし、トランスジューサ210,220,230の中のせいぜい二つが、中波長λMに等しい波長の整数個分を持つことになるであろう。
【0085】
中モードの測定に用いられるまん中のトランスジューサ220は、これと隣接トランスジューサ210,230との間で、中波長上でほぼ1波長差を持つ。即ち、N×λ1=(N+1)×λ2=N×λ3である。上に述べた例では、16×2.56mm=17×2.4094mm≒16.126×2.54mmである。隣接するトランスジューサ間が中波長λM上で1波長差であるということは、寄生結合による誤差要素が1つの中波長の範囲で1空間サイクルを経験することを意味し、従って寄生結合の効果が実質的に相殺される。即ち、誘導型絶対位置トランスジューサ200内で生じるその様な誤差要素は、好ましい実施例の受信巻線のスパン上で加算されてほぼ相殺される。
【0086】
ここまでは一般的に、トランスジューサに関して説明しているが、この発明は、ここまでの詳細な説明から明らかなように、プレーナ型ロータリエンコーダ,円筒型ロータリエンコーダその他のタイプにも同様に適用することができる。また、精度を更に改善し、受信信号のアナログ信号処理に求められる要求を緩くするために、各トランスジューサ210,220,230において二つ以上のオーバーラップする受信巻線を用いてもよい。これらの或いは他の設計変更及び動作の詳細は、この出願に組み込まれる米国特許出願第08/441,769号に開示されているものと同様である。
【0087】
図9に示すように、第1の好ましい実施例の誘導型絶対位置トランスジューサ200に用いられる信号発生処理回路240は、トランスジューサ210,220,230に対応して3系統設けられる。トランスジューサ210,220,230の各受信巻線は、模式的に、オーバーラップさせずに横に並べて示している。
信号発生処理回路240は一つの信号発生器250を有する。この信号発生器250は、数MHzレベルの一連のパルスからなる高周波電流を、選択スイッチ242を介してトランスジューサ210,220,230の送信巻線212,222,232に供給する。信号発生器250は、手持ちの或いはバッテリー駆動用のトランスジューサ、例えば小型低電力のノギス,マイクロメータ,テープメジャー等の低電力デバイス用として設計されたものである。この信号発生器250は、図示のように接続されたキャパシタ251,二つの抵抗252,253,二つのスイッチ254,255及びコンパレータ256を有する。一般にこの信号発生処理回路240内では、スイッチとしてはトランジスタが用いられる。
【0088】
休止時(測定期間以外)は、キャパシタ251の電荷は抵抗252を通して放電されている。抵抗252は好ましくは、小さい抵抗であって、簡単にはスイッチ255の内部抵抗を用いることができる。ディジタル制御ユニット244は、第1の活性化信号P1をスイッチ254の制御端子に供給する。この信号P1はスイッチ254を時間tcだけ閉じる。電源電圧VDDは、バッテリ等の適当な電力源から発生される。スイッチ254を閉じることにより、電源電圧VDDはキャパシタ251を充電する。これにわずか遅れて、ディジタル制御ユニット244はスイッチ255を閉じる第2の活性化信号P2を供給する。これによりキャパシタ251は送信巻線212,222,232の一つを通して接地される。図9の例では、キャパシタ251は送信巻線212を通して接地されている。
【0089】
ディジタル制御ユニット244は、好ましくは一つのASIC、或いは後述するタイミング制御やスイッチ制御機能を持つ回路を含むICの一部である。しかし、ディジタル制御回路244はまた、例えばPLD,PLA,PAL等を含む他のIC,個別部品やプルグラマブル論理デバイスの動配線による電気回路或いはロジック回路を用いて構成することもできる。
【0090】
図10は、スイッチ254,255に与えられるパルスP1,P2のタイミング,これによりノードV1,V2及び受信巻線214,216の出力端子に得られる信号を示している。図10はまた、スイッチ262,267に与えられるタイミングパルスP3,P4と、サンプルホールド用キャパシタ263,268に保持される電圧を示している。
導体である送信巻線212とキャパシタ251とは共振回路を構成するから、信号発生器250はノードV2に図示のような過渡電圧を発生する。ノードV2の過渡信号は送信巻線212により受信巻線214,216に誘導的に送信される。これにより、図10に示すように、受信巻線214は第1の測定期間、波形VAを出力し、受信巻線216は第2の測定期間、波形VBを出力する。
【0091】
受信信号の振幅は、それぞれトランスジューサ210,220,230におけるスケール218,228,238と受信巻線(214,216),(224,226),(234,246)との間の相対位置に依存する。
位相スイッチ243は、受信巻線(214,216),(224,226)及び(234,236)からの信号を多重化する。例えば、位相スイッチが接点Aにあるとき、トランスジューサ210,220,230について受信巻線216,226,236が出力イネーブルとなって選択スイッチ242に受信信号を出力する。位相スイッチが接点Bにあるときは、受信巻線214,224,234が選択スイッチ242に受信信号を出力する。
【0092】
図9に示す信号発生処理回路240の好ましい実施例においては、各トランスジューサ210,220,230からの受信信号の一つが位相スイッチ243により出力イネーブルとなって、スイッチ242により多重化されて出力され、差動アンプ245に入力される。
選択スイッチ242は3つのトランスジューサ210,220,230に対応する3接点を有する。選択スイッチ242のサブスイッチ242aは、交流電流信号を送信巻線212,222,232の一つの選択的に接続する。例えば、選択スイッチ242が接点2にあり、位相スイッチ243が接点Aにあるとき、選択スイッチ242は交流電流信号をトランスジューサ220の送信巻線222に選択的に接続し、またトランスジューサ220の受信巻線226,224の端子からの信号がサブスイッチ242b,242cを介して選択的に差動アンプ245に接続される。
【0093】
差動アンプ245は、受信巻線からスイッチ242,243を介して取り出された出力信号を同相ノイズを除去して増幅する。増幅された信号は、サンプルホールド回路260の4個併設されたサンプルホールドサブ回路261,266,271,276の一つに入力される。第1のサンプルホールドサブ回路261は、第1のスイッチ262,蓄積キャパシタ263,アンプ264及び第2のスイッチ265を有する。第2のサンプルホールドサブ回路266は、第1のスイッチ267,蓄積キャパシタ268,アンプ269及び第2のスイッチ270を有する。第3のサンプルホールドサブ回路271は、第1のスイッチ272,蓄積キャパシタ273,アンプ274及び第2のスイッチ275を有する。第4のサンプルホールドサブ回路276は、第1のスイッチ277,蓄積キャパシタ278,アンプ279及び第2のスイッチ280を有する。
【0094】
これら4個のサンプルホールドサブ回路261,266,271,276は、読み出しヘッド204のスケール202に対する高速の相対移動により生じる誤差をできるだけ小さいものとするために短時間内に4つの信号を捕らえる。例えば、スケール移動がある状態で高精度の位置決定を行うためには、トランスジューサ210,220,230の受信巻線からの信号のサンプリングデータの間に位置の変化がないことが望まれる。また、トランスジューサ210,220,230からの、例えば中モードと粗モードといった二つの情報を計算により合成する場合には、4つの受信巻線からの信号のサンプリングデータの間に、位置変化がないことが望ましい。
【0095】
この実施例の場合、4個のサンプルホールドサブ回路261,266,271,276は同時にサンプリングデータを保持することができないが、選択スイッチ242は送信巻線の一つに対する接続と、3つのトランスジューサ210,220,230の受信巻線の一つに対する接続を同時に行うことができるから、4つのサンプリングデータの保持を高速に続けることができる。数μsecの間に捕らえられた4つのサンプリング信号は、スイッチ265,270,275,280によって順次A/Dコンバータ246に送られる。即ちこれらのスイッチ265,270,275,280は、バッファアンプ264,269,274,279の出力を順次A/Dコンバータ246に接続する。
【0096】
A/Dコンバータ246は、入力値をディジタル値に変換してこれをマイクロプロセッサ241に送る。マイクロプロセッサ241は、サンプルホールド回路260に保持された受信信号から取り出されたディジタル値を用いて、個々のトランスジューサ210,220,230の空間位相角,及びトランスジューサ210,220,230の間の空間位相差を計算し、得られた値を合成して、誘導型絶対位置トランスジューサ200の絶対位置を求める。
マイクロプロセッサ241は、ディジタル制御ユニット244と共に、スイッチ242,243,254,255,262,265,267,270,272,275,277及び280のタイミング制御を行う。スイッチ262,267,272及び277のタイミングと、スイッチ265,270,275及び280のタイミングとは、ノードV2での過渡信号に基づく送信発振と同期がとられる。これにより、スイッチ262,267,272及び277のそれぞれは、スイッチ242及び243を介して得られる受信巻線端子からの出力信号を同期的に復調する。
【0097】
アンプ264,269,274及び279はそれぞれ、ノードV2での信号と同相のAC信号を受信したときに正極性の電圧信号を出力する。ノードV2での信号と位相がずれたAC信号を受信したときに負極性の電圧信号を出力する。これらのAC信号は、ノードV2の信号と同相か、又は180°ずれているかのいずれかである。また、ディジタル制御ユニット244は、抵抗252とキャパシタ251の間のノードV1の信号に基づいて、スイッチ262,267,272,277及びスイッチ265,270,275,280のタイミング制御を行う。
ここで重要なことは、図10に示すように、ノードV2の信号がピーク振幅であるときに、ノードV1の信号はゼロ振幅であることである。従って、ノードV1の信号は、従来のようにサンプルホールド回路260内のスイッチ262,267,272,277を制御して受信器出力信号の最初の(最大の)ピークをサンプリングするために利用することができる。これにより、ノードV1の電圧信号はコンパレータ256によってディジタル信号に変換されてディジタル制御ユニット244に入力される。ディジタル制御ユニット244は、コンパレータ256から出力される矩形波信号の最初の立下がりエッジを利用して、スイッチ262,267,272,277の動作制御を行う。
【0098】
以上のようにしてこの発明では、同期復調検波を利用して、ノードV2の送信器信号との関係で受信器出力信号を最適にサンプリングする。図10に示すように、それぞれ受信巻線216,214からの出力信号の最初のピークがサンプリングされてキャパシタ263,268に蓄積されることになる。
【0099】
信号発生処理回路240のサンプルホールド部分のより好ましい実施例においては、差動アンプ245はサンプルホールド回路260の下流側に配置される。また、二つのサンプルホールド回路260が、選択スイッチ242の各出力毎に一つずつ用いられる。この様な実施例においては、選択スイッチ242からの出力信号は直接サンプリングされ、出力されると同時に増幅されて、A/Dコンバータ246に入力される。
またこの実施例では、差動アンプ245はトランスジューサ210,220,230からの高周波出力信号を増幅する必要がなく、スイッチ265,270,275或いは280の一つが閉じたときにサンプルホールド回路260からの非常に低周波の信号を増幅すればよい。
【0100】
信号発生処理回路240のサンプルホールド部分の第2の好ましい実施例においては、図11に示すように、サンプルホールド回路260の高周波側にアンプ245に代わってトランス248が配置される。このトランス248は、トランスジューサ210,220,230の受信巻線からの高周波信号をノイズを誘導することなく増幅することができる。更にトランスは、高周波で優れた直線性を有するという利点がある。
選択スイッチ242の二つの出力はトランス248の一次コイルの二つの端子に接続される。二次コイルの一つの端子はサンプルホールド回路260のスイッチ262,267,272,277の入力端子に接続され、もう一つの端子は接地される。従ってトランス248は、選択スイッチ242の出力の間の差信号をシングルエンド信号に変換する。
【0101】
図12は、サンプルホールド部分の第3の好ましい実施例である。この実施例では、差動アンプ245もトランス248も用いず、トランスジューサ210,220,230の受信巻線からスイッチ242を通して得られる出力信号が直接サンプルホールド回路260に入力される。
この実施例では、サンプルホールドサブ回路261,266,271,276が、選択スイッチ242からの両方の信号を同時にサンプリングするように変形されている。即ち、図11に示す回路に対して、第2のスイッチ262a,267a,272a,277aと、第2のキャパシタ263a,268a,273a,278aがそれぞれ追加されている。
【0102】
スイッチ262,267,272及び277は選択スイッチ242の出力端子の一方に接続され、従ってキャパシタ263,268,273及び278はその出力端子からの信号を蓄積することができるようになっている。また、スイッチ262a,267a,272a及び277aは選択スイッチ242の出力端子の他方に接続され、キャパシタ263a,268a,273a及び278aはその出力端子からの信号を蓄積することができるようになっている。
この実施例においては、演算増幅器264,269,274及び279は、第1及び第2の実施例と異なり、単なるバッファアンプはなく、差動アンプを構成している。第1のサブ回路161のキャパシタ262,262aの信号はアンプ264により差動増幅されて、A/Dコンバータ246に送られる。他のサブ回路266,271,276においても同様である。
【0103】
従って、位置測定のとき、トランスジューサ210,220,230の一つの受信巻線の出力信号は、位相スイッチ243及び選択スイッチ242を介して直接サンプルホールド回路260のサブ回路に入力されて、サンプルホールドされる。保持された信号は差動増幅されて、A/Dコンバータ246に入力される。
そして、差動アンプ264,269,274,279はキャパシタの下流側に配置されるから、低周波増幅器とすることが可能であり、優れた直線性を得るための設計も容易である。更にこれらは、選択スイッチ242からの差動信号をシングルエンド信号に変換するから、トランス等の付加回路要素を必要としない。
【0104】
図13は、信号発生処理回路240のサンプルホールド部分の好ましい第4の実施例である。この実施例では、図11の実施例でのトランス248と、図12の実施例でのサンプルホールド回路構成を組み合わせている。この実施例では、トランス248の二次コイルの第2端子は接地することなく、サンプルホールドサブ回路261,266,271,276の第2のキャパシタ262a,267a,272a,277aに接続している。
この実施例の場合、トランス248は、サンプルホールド回路260の同相成分除去の性能を改善する。トランスは他のノイズや直線誤差を誘導しないという利点もある。
【0105】
サンプルホールド回路部分の第1〜第4の実施例の一つの難点は、サンプルホールド回路260が、あるタイミングでトランスジューサ210,220,230の一つの受信巻線の一つの信号しかサンプルホールドできないということである。この様に、同じトランスジューサの二つの受信巻線の信号をシリアルにサンプリングすると、実際には第1の受信巻線の信号サンプリングと第2の受信巻線の信号サンプリングが同時ではないため、位置測定精度を低下させる。
【0106】
図14は、上述の難点を解決したサンプルホールド部分の第5の実施例である。
この実施例では、位相スイッチ243が除かれ、選択スイッチ242は、二つの付加的なサブスイッチを含むように変形されて、トータルで5個のスイッチを有する。第1のトランスジューサ210の受信巻線214と216は、選択スイッチ242の4つのサブスイッチの“1”端子に直接接続される。同様に、第2のトランスジューサ220の受信巻線224と226は、4つのサブスイッチの“2”端子に直接接続され、第3のトランスジューサ230の受信巻線234と236は、4つのサブスイッチの“3”端子に直接接続される。
【0107】
第1の受信巻線214,224,234につながる選択スイッチ242の二つのサブスイッチの出力は、トランス248の一次コイル巻線に接続される。同様に、第2の受信巻線216,226,236につながる選択スイッチ242の二つのサブスイッチの出力は、第2のトランス249の一次コイル巻線に接続される。サンプルホールド回路260は第1の実施例のものと同じである。トランス248の二次コイルの一方の端子は、第1及び第3のサンプルホールドサブ回路261及び271のスイッチ262及び272に接続され、他方の端子は接地される。同様に、トランス249の二次コイルの一方の端子は、第2及び第4のサンプルホールドサブ回路266及び276のスイッチ268及び278に接続され、他方の端子は接地される。
【0108】
位置測定時、トランスジューサ210,220,230の一つが駆動されると、そのトランスジューサの第1の受信巻線の出力信号は第1及び第3のサンプルホールドサブ回路261及び271によりサンプルホールドされ、同時に第2の受信巻線の出力は第2及び第4のサンプルホールドサブ回路266及び276によりサンプルホールドされる。この様に二つの受信巻線の出力が同時にサンプリングされるから、サンプリングされた位置は同じであり、従って位置測定精度が低下することはない。
【0109】
サンプルホールド回路部分の第1〜第4の実施例のもう一つの難点は、第5の実施例においても同様であるが、同時にはトランスジューサ210,220,230のなかの一つの受信巻線の出力信号しかサンプルホールドできないことである。第5の実施例では、一つのトランスジューサの二つの受信巻線の信号がシリアルにサンプリングされることによる位置測定誤差を除去できるものの、トランスジューサ自身がシリアルにサンプリングされると、粗,中の波長位置測定の測定精度が同様の理由で低下する。即ち、二つのトランスジューサの受信巻線の出力がシリアルにサンプリングされると、第1のトランスジューサの出力サンプリングと第2のトランスジューサの出力サンプリングとが実際には同じ位置ではなく、従って位置測定誤差が生じる。
【0110】
図15は、この様な難点を解決した第6の実施例のサンプルホールド回路部分である。この実施例でも選択スイッチ242は変形され、位相スイッチ243は除かれる。
選択スイッチ242では、信号発生器250と送信巻線212,222,232との間のサブスイッチを除去している。即ち、3つの送信巻線は全て直接信号発生器250に接続されて位置測定の間駆動されるようにしている。その他、選択スイッチ242は、第5の実施例と同様に、4つのサブスイッチが直接受信巻線214,216,224,226,234及び236に接続されるように、変形されている。加えて、第2の選択スイッチ242aが、4つのサブスイッチが直接受信巻線214,216,224,226,234及び236に接続されるように設けられている。これら第1及び第2の選択スイッチ242,242aは、それぞれトランスジューサ210,220,230の異なるものに接続されるように、制御される。
【0111】
更に、第1及び第2のトランス248,249はそれぞれ二つのトランス回路を持つように変形されている。トランス248の各トランス回路は第1の選択スイッチ242の二つのサブスイッチに接続され、トランス249の各トランス回路は同様に選択スイッチ249の二つのサブスイッチに接続される。
具体的に説明すれば、トランス248の一方のトランス回路の一次コイルは、第1の受信巻線214,224又は234につながる第1の選択スイッチ242のサブスイッチに接続され、トランス248の他方のトランス回路の一次コイルは、第2の受信巻線216,226又は236につながる第1の選択スイッチ242のサブスイッチに接続される。同様に、トランス249の一方のトランス回路の一次コイルは、第1の受信巻線214,224又は234につながる第1の選択スイッチ242のサブスイッチに接続され、トランス249の他方のトランス回路の一次コイルは、第2の受信巻線216,226又は236につながる第1の選択スイッチ242のサブスイッチに接続される。
【0112】
トランス248,249の各トランス回路の二次コイルの一方の端子は、接地される。トランス248の一つのトランス回路の二次コイルの他方の端子は、スイッチ262に接続され、もう一つのトランス回路の二次コイルの他方の端子はスイッチ267に接続される。同様に、トランス249の一つのトランス回路の二次コイルの他方の端子は、スイッチ272に接続され、もう一つのトランス回路の二次コイルの他方の端子はスイッチ277に接続される。
この様な構成とすることにより、第6の実施例によれば、二つのトランスジューサの受信巻線の出力を同時にサンプリングすることができる。即ち、全てのサンプリングデータが同じ位置でとられることになり、二つのトランスジューサがシリアルにサンプリングされることにより生じる粗,中測定の位置誤差が発生することはない。
【0113】
上述した信号発生処理回路240のサンプルホールド部分の実施例は、以下に説明する誘導型絶対位置トランスジューサの他の実施例にも同様に適用することができる。また、上述したサンプルホールド部分の実施例を、以下に説明するトランスジューサの実施例に組み込む際に必要な変形は、通常の技術の範囲であって詳細な説明はしない。
【0114】
図16は、誘導型絶対位置トランスジューサ200からの受信信号を合成して、中,粗の絶対位置測定値を得る動作タイミングを示している。読み出しヘッドがスケール218,228,238に対して高速で相対移動する時、その移動は遅延時間に相当する望ましくない空間位相変位を生じるから、中,粗位置の測定値はそれぞれ、殆ど同じタイミングでサンプリングすることが望ましい。その誤差は、測定サイクルが初期化されたときの基準位置によってのみ決まる望ましい空間位相値に加算されることになるからである。
【0115】
4個併設したサンプルホールド回路を用いれば、サンプリング間隔t1の中の殆ど同じタイミングで4つのサンプルを得ることができる。これら4つのサンプルは、3つのトランスジューサ210,220,230の中の二つについての、受信巻線214と216、及び224と226それぞれからの一つのサンプルを含む。例えば、サンプリング間隔t1内で、4つのサンプルホールドサブ回路261,266,271及び276がそれぞれ受信巻線214,216,234及び236の出力信号をサンプリングすることができる。
【0116】
サンプリング間隔t1は、信号発生器250,差動アンプ245及びサンプルホールド回路260のみによって制限される。各サンプルは道理上、1μsはかかるから、4サンプルをとるために要求されるサンプリング間隔t1はほぼ4μm である。また、1m/sの速度は、1mm/ms又は、1μm /μsであり、この速度で、読み出しヘッド202はサンプリング間隔t1内にスケール204に対してトータル4μm 動く。これは、第1の実施例のトランスジューサにおける3波長λ1,λ2或いはλ3の約1/640である。従ってこの距離は、中,粗モードの計算精度には殆ど影響を与えない。
より高精度が要求される密モードの測定には、4サンプルの全てについて、密のトランスジューサ210,230の一方のみが用いられる。例えば、受信巻線214及び216の受信出力信号は2度とられてサンプルホールドされる。これにより、各2μs毎に各受信巻線から1サンプルがとられる。これは、密モードの位置測定には何等影響を与えない。
【0117】
図16に示すように、マイクロプロセッサ241は、サンプリング間隔t1内に第1及び第3のトランスジューサ210及び230からの受信出力信号をサンプリングする。サンプルホールドサブ回路261,266,271,276はこれらの受信信号を順次保持し、その後A/Dコンバータ246がこれらのサンプリング値を順次ディジタルデータに変換してマイクロプロセッサ241に送る。そしてマイクロプロセッサ241は、次のグループの信号がサンプリングされている間に取り込まれたデータを処理する。
【0118】
信号は非常に短時間にサンプリングすることが必要であるが、A/Dコンバータ246及びマイクロプロセッサ241はそれらの信号をその短時間内で処理することは必要ではなく、4μsより実質的に長い時間、即ち、サンプル信号を合成して所定の計算(密,中,粗モードの計算)を行うに必要な、ほぼサンプリング間隔t1と等しい時間で処理することができる。即ち図16に示すように、より長い期間t2内で、A/Dコンバータ246は受信信号をディジタル化し、マイクロプロセッサ241は絶対位置を計算する。これにより、この発明の誘導型絶対位置トランスジューサ200は、受信巻線からの信号のサンプリングと絶対位置計算の間に遅れを許容することができる。この遅れの誤差は非常に小さい。
【0119】
例えば、時間間隔t2が100μsであり、速度が1m/sであるとすると、トランスジューサ200が期間t2の間に動く距離は0.1mmより小さい。サンプリング値から計算された位置はサンプリングタイミングでの位置にほぼ対応する。しかし、マイクロプロセッサ241からは、サンプリング点からトランスジューサ200がほぼ0.1mm進んだ後に、そのサンプリング位置のデータが出力される。この様な、速度1m/sでの0.1mmの遅れは、ほとんどのハンドツール用途では問題にならない。
しかし、この距離は、位置トランスジューサ200が動いている間リアルタイムで位置情報を出力する必要がある特定用途ではカウントしなければならない。コスト及び/又は複雑性を増し、信号発生処理回路240を二系統用意して同時に動作させれば、高速性を向上し、前述の遅れを低減することができる。
【0120】
マイクロプロセッサ241により実行される、図16に示すサンプリングシーケンスについて、図17〜図22を用いて更に具体的に説明する。図17及び図18は、マイクロプロセッサ241により実行される全体の測定ルーチンを示している。図17に示すように、測定コントロールプログラムはステップS100で始まる。スタートステップS100の後、コントロールはステップS110に続く。ステップS110では、二つの密波長トランスジューサ210及び230の受信巻線214,216,234及び236をサンプリングする事により、密/粗測定の信号がとられる。コントロールは次にステップS120に続く。
【0121】
ステップS120では、マイクロプロセッサ241は、密波長トランスジューサ210の受信巻線214及び216からの信号の相対振幅に基づく位相φ1を決定する。次にステップS130において、マイクロプロセッサ241は、密波長トランスジューサ230の受信巻線234及び236からの信号に対する相対振幅に基づく位相φ3を決定する。コントロールは次にステップS140に続く。ステップS140では、マイクロプロセッサ241は、粗波長λCと、上に求められた位相φ1及びφ3に基づき、次の数5に従って、位置トランスジューサ200の粗位置PCを決定する。
【0122】
【数5】
PC=λC・(φ3−φ1)/2π
【0123】
次にステップS150では、マイクロプロセッサ241は、密トランスジューサ210及び中トランスジューサ220を用いて、受信巻線214,216,224及び226からの測定信号を発生する。これらの受信巻線214,216,224及び226からの出力信号はそれぞれ、サンプルホールド回路261,266,271及び276に格納される。保持された信号はA/Dコンバータ246によりディジタル信号に変換される。
【0124】
コントロールは次に、図18のステップS160に続く。ステップS160では、マイクロプロセッサ241は、密トランスジューサ210の受信巻線214及び216の出力信号の相対振幅に基づく位相φ1を再度計算する。次に、ステップS170において、マイクロプロセッサ241は、中波長トランスジューサ220からの信号の相対振幅に基づく位相φ2を決定する。コントロールは次にステップS180に続く。
ステップS180では、マイクロプロセッサ241は、中波長λM1と、求められた位相φ1及びφ2とに基づき、次の数6に従って、中位置PMを決定する。
【0125】
【数6】
PM=λM1・(φ2−φ1)/2π
【0126】
或いは、λM1とφ1とに代わってそれぞれ、数2に示すλM3とφ3とを用いて、中位置PMを求めてもよい。コントロールは次にステップS190に続く。
ステップS190では、位置トランスジューサ200の密モードリニア位置PFを、第1のトランスジューサ210の波長λ1と位相φ1から決定する。密モードリニア位置の計算は、インチの場合はトランスジューサ210に基づき、ミリメータの場合はトランスジューサ230に基づいて行うことが好ましい。マイクロプロセッサ241が、既にステップS160において第3のトランスジューサ230の受信巻線234及び236からの信号の相対振幅に基づく位相φ3を決定しており、第3のトランスジューサ230を用いているとすると、ステップS190の一部として、中波長λ3内で次の数7に従って、密モードリニア位置PFを決定する。
【0127】
【数7】
PF=φ3・(λ3/2π)
【0128】
ステップS195において、マイクロプロセッサ241は、密,中及び粗の位置値を合成して、誘導型絶対位置トランスジューサ200の正確なトータルの絶対位置を決定する。位置トランスジューサ200は、複数の中波長分を含む1粗波長分の最大絶対測定レンジを有する。粗位置値PCは、絶対位置の第1の概算値である。マイクロプロセッサ241は、粗位置値PCを解析して、それが多重の中波長のどれ(“n”番目の中波長)に対応するかを決定する。一般に、(PC/λM)=(n・λM)+RMである(RMは、中波長の残り)。
マイクロプロセッサ241は、ある中波長内の位置である中位置PMを用いる。中位置値PMは、RMであるはずである。しかし、中モード計算は、より短波長と関連する。従って、粗波長計算に比べてより高精度になる。従ってマイクロプロセッサ241は、PM+(n・λM)として改良された絶対位置の概算を計算する。
【0129】
マイクロプロセッサ241はその後、PM+(n・λM)を解析し、これが多重の密波長のどれ(“N”番目の密波長)に対応するかを設定する。一般に、PM+(n・λM)=(N・λF)+RFである(RFは密波長の残り)。
原理的に、この密位置値PFは、RFに等しいはずである。しかし、密モード測定及び計算は、トランスジューサ間の関係ではなく、単一のトランスジューサのみから、より短い波長について行われる。従って、中波長の測定及び計算より高精度となる。マイクロプロセッサ241は、絶対対置の改良された最終概算値を、(N・λF)+PFとして計算して、スケール218,228及び238の読み出しヘッド204に対する絶対位置の決定する。これが、位置トランスジューサ200の絶対位置に対応する。
【0130】
更に、ステップS195において、マイクロプロセッサ241は、決定された絶対位置を適当な出力デバイス、例えばディスプレイ247等に出力する。コントロールは次にステップS199に続く。
ステップS199では、マイクロプロセッサ241は2,3の測定サイクルが始まったか否かを判定する。測定サイクルが始まっていると判定すれば、マイクロプロセッサ241は、ステップS110に戻って再び測定信号を取り込んで密/粗の測定を行う。それ以外は判定ステップS199を繰り返す。
【0131】
図19及び図20は、密/粗測定ステップS110のより具体的なフローである。図19に示すように、ステップS110が始まると、コントロールはステップS200に続く。ステップS200において、選択スイッチ242は、ポジション1に設定され、一方位相スイッチ243はポジションAに設定される。従って、信号発生器250は発振する駆動信号を送信巻線212に供給する。これにより受信巻線216から測定信号が読み出される。受信巻線216からの受信信号は、アンプ245により増幅され、第1のサンプルホールドサブ回路261に保持される。コントロールは次にステップS210に続く。
【0132】
ステップS210において、位相スイッチ243は、ポジションAからBに切替えられ、これにより信号発生器250は駆動信号を送信巻線212に供給し、受信巻線214から測定信号が読み出される。その受信信号は、アンプ245により増幅され、第2のサンプルホールドサブ回路266に保持される。コントロールは次にステップS220に続く。
【0133】
ステップS220では、選択スイッチ242がポジション3に設定され、一方位相スイッチ243はポジションAにリセットされる。これにより、信号発生器250からの駆動信号は送信巻線232に送られ、従って測定信号は受信巻線236から読まれる。その受信信号は、アンプ245により増幅され、第3のサンプルホールドサブ回路271に保持される。次にステップS230において、位相スイッチ243は再度、ポジションAからBに切替えられ、信号発生器250は駆動信号を送信巻線232に送る。このとき測定信号は受信巻線234から読まれる。その受信信号は、アンプ245により増幅され、第4のサンプルホールドサブ回路276に保持される。コントロールは次に、図20のステップS240に続く。
【0134】
ステップS240において、第1のサンプルホールドサブ回路261のスイッチ265が閉じられ、キャパシタ263に保持されたサンプリング信号がA/Dコンバータ246に送られ、受信巻線216の受信アナログ信号がディジタル値に変換されて、マイクロプロセッサ241に送られる。
ステップS250では、第2のサンプルホールドサブ回路266のスイッチ270が閉じられる。これにより、キャパシタ268に保持された受信信号がA/Dコンバータ246に送られ、ディジタル化データはマイクロプロセッサ241に送られる。
ステップS260では、第3のサンプルホールドサブ回路271のスイッチ275が閉じられる。これにより、キャパシタ273に保持された受信信号がA/Dコンバータ246に送られ、ディジタル化データはマイクロプロセッサ241に送られる。
ステップS270では、第4のサンプルホールドサブ回路276のスイッチ280が閉じられる。これにより、キャパシタ278に保持された受信信号がA/Dコンバータ246に送られ、ディジタル化データはマイクロプロセッサ241に送られる。ステップS280では、コントロールはステップS120に戻る。
【0135】
ステップS200〜S280と同様のステップは、ステップS150においても実行され、これにより中位置測定が行われる。この場合、ステップS220及びS230において、選択スイッチ242は、ポジション2ではなく、ポジション3に設定される。またこの場合、ステップS200には、ステップS150を通って入り、ステップS280はステップS160への戻りとなることに注意すべきである。
【0136】
図21は、ステップS120のより具体的なフローである。ステップS120の開始により、コントロールはステップS300に続く。ステップS300において、マイクロプロセッサ241は、ステップS200でサンプリングされた信号(これを、位相スイッチ243の位置に基づいて、信号Aとする)を、ステップS210でサンプリングされた信号(これを、位相スイッチ243の位置に基づいて、信号Bとする)により除する。得られた商の絶対値が1以下であれば、コントロールはステップS310に続き、1を越えていれば、ステップS340に続く。
【0137】
ステップS310では、マイクロプロセッサ241は信号Bが正であるか否かを判定する。正であれば、ステップS320に行き、ここで信号Aを信号Bで除した値の逆正接(即ち,tan-1(A/B))としての位相を求める。コントロールはその後、ステップS370にジャンプする。
もし、ステップS310で、信号Bが負であることが判定されると、ステップS330に行く。ステップS330では、位相が、180°+tan-1(A/B)として決定される。その後コントロールは、ステップS370に行く。
ステップS300で、信号Aの絶対値が信号Bの絶対値より大きい(即ち、|A/B|>1)と判定されると、コントロールはステップS340にジャンプする。ステップS340では、マイクロプロセッサ241は信号Aが正であるか否かを判定し、正であればコントロールはステップS350に行く。ステップS350では、位相が、90°−tan-1(B/A)として決定される。その後コントロールは、ステップS370に行く。
【0138】
ステップS340で信号Aが負であることが判定されると、ステップS360にジャンプする。ステップS360では、位相が、270°−tan-1(B/A)として決定される。これらの場合、信号A及び信号Bに対応して測定された信号は、選択スイッチ242の位置に応じて異なる。更に、ステップS370は、これらのサブルーチンが呼び込まれるステップに応じて、ステップS120,S130,S160,S170のコントロールに戻る。
ステップS370で、コントロールはステップS130に戻る。ステップS140,S170,S180もまた、ここでのサブルーチンとなる。即ち、表2を実行するこのサブルーチンの計算によって、φ1,φ2又はφ3のいずれかが求められる。
【0139】
図22は、図19におけるステップS200のより具体的なフローを示す。図示のようにステップS200の開始により、コントロールはステップS400に行く。ステップS400において、選択スイッチ242がポジション1にセットされ、位相スイッチ243はポジションAにセットされる。更に第1のサンプルホールドサブ回路261のスイッチ262が閉じられる。その後コントロールはステップS410に続く。
ステップS410において、スイッチ254が開かれ、スイッチ262が閉じられる。そしてステップS420で、スイッチ255が閉じられて送信巻線212を駆動する。コントロールは次にステップS430に続く。
【0140】
ステップS430では、送信巻線212に誘導結合する受信巻線216には振幅変化する信号電圧が誘導される。この受信信号は、位相スイッチ243及び選択スイッチ242によりアンプ245に導かれ、ここで増幅される。アンプ245で増幅された信号は、閉じられた第1のスイッチ262により第1のサンプルホールドサブ回路261のキャパシタ263に転送される。その後、図10に示すように、信号ピークに同期して第1のスイッチ262が開かれる。その後コントロールはステップS440に続く。
ステップS440では、ステッチ255が開かれ、スイッチ254が閉じられる。そして、ステップS210への戻りコントロールを行うステップS450に続く。
【0141】
このサブルーチンは、ステップS210,S220,S230についても実行される。これらのステップにより呼ばれた時、ステップS400での選択スイッチ242及び位相スイッチ243のポジションは、そのステップに応じて、送信巻線212,222,232の特定のものを活性化し、受信巻線214,216,224,226又は236からの信号を受信する。ステップS200〜S280がステップS110ではなくステップS150により呼ばれると、ステップS200〜S230のそれぞれがステップS400を呼んだときに、スイッチポジションが最適にセットされる。同様に、サンプルホールド回路260の第1〜第4のスイッチ262,267,272,277の異なるものが閉じられて、サンプルホールドサブ回路261,266,271,276の異なるものに受信信号を格納することになる。
【0142】
マイクロプロセッサ241は、ディスプレイ247に適当に信号を送り絶対位置を表示させる。マイクロプロセッサ241に設けられたユーザーの選択スイッチ(図示しない)を用いることにより、表示すべき長さ単位を二つの中から選択できる。上述したように、回路及び計算を簡単化するために、マイクロプロセッサ241は、“インチモード”の密位置測定計算にはトランスジューサ210を、“ミリメータモード”の密位置測定計算にはトランスジューサ230を選択する。求められた位置は、同時に或いは交互に、例えばスタティックなプロセス制御システムやサーボ位置制御システム等の外部システムに出力される。
【0143】
上述したこの発明の第1の実施例による誘導型絶対位置トランスジューサ200は、最も長い波長λCの範囲で絶対位置を決定する。即ちこの実施例ではこのレンジは、約325mmである。更に、よく知られた内挿処理ルーチンを用いることにより、マイクロプロセッサ241は、密波長λ1或いはλ3のいずれかより十分小さい分解能を得ることができる。
受信器のサイズ及び形状は、この発明の誘導型絶対位置トランスジューサの主要な特徴を保って変形することが可能である。受信巻線及び磁束減衰器170のレイアウトや形状も十分な結果が得られるように変形できる。受信巻線に得られる磁界は、送信巻線により発生される磁界に比べて弱い。従って、読み出しヘッド全体の形状を変更しながら、受信巻線のループ191及び192の面積も同様に信号オフセットエラーを最小化し、また漏洩信号ノイズを除去するようにすべきである。
【0144】
必要なら、製造誤差や信号オフセット発生の傾向を補償するために、ループ191及び192のサイズ及び形状を意図的に受信巻線の出力に“同調”するように変更することができる。この同調は、磁束減衰器170がない場合に、受信巻線の正味の出力がゼロとなるように、なされる。また、正弦波状位置信号が欲しい場合には、形状及び波形を、空間的に受信信号をフィルタリングするように選択して、高調波歪を低減することができる。
“ループ”なる用語は、実質的に領域を囲むものであればよく、円形,矩形,台形,三角形,正弦波等を含む。更に受信巻線は、測定軸に沿って所定の周期的パターン或いは空間変化を持つ検出導体或いは単一の導体パスでもよい。
受信巻線の面と測定軸の双方に直交する軸回りの回転(“ヨー”)による読み出しヘッド204のアライメント誤差に対する感度は、誘導型絶対位置トランスジューサ200の一つの欠点である。ヨーは、測定軸300に沿って、トランスジューサ210の受信巻線をトランスジューサ230の受信巻線側に相対的に動かすことになる。この結果、波長λ1とλ3の間の空間位相関係は設計値からずれて、粗モード位置測定にいくらかの誤差をもたらす。
【0145】
また、誘導型絶対位置トランスジューサ200は、絶対位置測定に関する実際上の制限を受ける。そのひとつは、レンジを拡張しようとすると、トランスジューサ200に対して異なる波長の付加的なトランスジューサを追加しなければならないことである。この付加的なトランスジューサは、誘導型絶対位置トランスジューサ200のコストとサイズの増大をもたらす。或いは、レンジを増大するためには、回路精度の向上、及びトランスジューサ210,220,230の製造精度の向上が必要になる。そしてこれは、より高い比(粗/中,中/密)と、より高い内挿レベルを必要とする。しかし、トランスジューサ210,220,230の精度を任意に増大させることは、一般に厳しい経済的制約を受けることになる。
【0146】
図23〜図25は、この発明による誘導型絶対位置トランスジューサの第2の好ましい実施例である。この実施例の絶対位置トランスジューサ400は、ヨーのアライメント誤差の影響を受けない。また、所定の測定分解能に対して、この実施例の絶対位置トランスジューサは、先の絶対位置トランスジューサ200により一般的に得られるレンジより長い絶対位置測定レンジを経済的に得ることができる。
【0147】
この実施例の絶対位置トランスジューサ400は、一対の誘導型トランスジューサ410と420を有する。これらのトランスジューサ410と420は上述した原理に従って動作する。即ち誘導型絶対位置トランスジューサ400の多くの要素は実質的に第1の実施例と同様である。従って、構成上異なる要素についてのみ、その構成と動作を説明する。
誘導型絶対位置トランスジューサ400は好ましくは、読み出しヘッド402と、スケール部材404と、密スケールトランスジューサ410及びバイナリコードトランスジューサ420を有する。密スケールトランスジューサ410とバイナリコードトランスジューサ420は測定軸300に沿って延びる。密スケールトランスジューサ410は、先に説明したトランスジューサ210及び230と同様に、密波長λ1又はλ3のいずれかを持つ。
【0148】
読み出しヘッド402は、密スケールトランスジューサ410の受信巻線414及び416と、バイナリコードトランスジューサ420の複数の受信巻線422とを有する。トランスジューサ410と420は、読み出しヘッド402上に形成された送信巻線412を共有する。
スケール部材404は、密スケールトランスジューサ410の密波長スケール418と、バイナリコードトランスジューサ420のバイナリコードスケール428とを有する。密波長スケールは、先の実施例の誘導型絶対位置トランスジューサ200のトランスジューサ210及び230のスケール218及び238と同様である。
バイナリコードスケール428は、測定軸300に沿って配列された磁束変調器170とスペース172のパターンを有する。磁束変調器170は、先の実施例で説明したように、磁束減衰器又は磁束拡大器である。隣接する磁束変調器170とスペース172の各組は、それぞれ異なる一連の多ビットバイナリコード語の一つを決定している。この設計ルールを以下に詳細に説明する。
【0149】
図23に示すように、バイナリコードスケール428では、各磁束変調器170及び各スペース172が測定軸300に沿って長さ308を持つ。長さ308は好ましくは、密波長スケール418の波長304の1/2に等しいものとする。またバイナリコードスケール428について、磁束変調器170の長さ306は、そのエッジ−エッジ間距離308より僅かに小さい。これは、磁束変調器170が互いに隣接して配置されたときに、磁束変調器170を取り囲んで定義する狭い絶縁性領域を与える。これにより、情報の1ビットは、各エッジ−エッジ間距離308の範囲でエンコードされる。この長さ308はまた、バイナリコードトランスジューサ420の各受信ループ424及び426の長さ425に等しい。エッジ−エッジ間距離308で並ぶ多ビットコード語に用いられるビット数は、バイナリコードトランスジューサ420の、従って誘導型絶対位置トランスジューサ400の最大絶対測定レンジを決める。
【0150】
多ビットのバイナリコード語のそれぞれは、バイナリコードスケール428に沿った粗い絶対位置を特定する。誘導型絶対位置トランスジューサ400は好ましくは、バイナリコードトランスジューサ420と密波長トランスジューサ410を共に使用するが、密波長トランスジューサ410を用いることなく、バイナリコードトランスジューサ420のみを用いることもできる。但しこの場合、位置測定の分解能は低下する。
図23では、スケール部材404の一部、従ってバイナリコードスケール428の一部しか示していないことに注意すべきである。一般に、スケール部材404は、十分な磁束変調器170とスペース172を含んで、唯一の多ビットバイナリコード語のそれぞれを形成するように十分長く形成される。この長さは勿論、多ビットバイナリコード語を作るビット数と設計規則に依存する。
【0151】
図23に示すように、密トランスジューサ410の受信巻線414と416の対は、先の実施例における受信巻線214と216の対,及び234と236の対と同様である。受信巻線414と416は測定軸300に沿って延びる。受信巻線414は複数の極性が変化するループ191を形成する。第2の受信巻線416も同様に複数の極性が変化するループ192を形成する。受信巻線414,416の変化する部分は、トランスジューサ400の読み出しヘッド402を構成するプリント回路基板の異なる層に形成される。
【0152】
バイナリコードトランスジューサ420は同様に、読み出しヘッド402のプリント回路基板の一方の面に形成された複数の第1極性ループ424を有し、他方の面に形成された複数の第2極性ループ426を有する。第1極性ループ424は第2極性ループ426から1ループ長(距離425)だけオフセットしている。これは、図24に具体的に示されている。即ち、第1及び第2極性ループ424及び426の数nとして、第1及び第2極性ループ424及び426は、バイナリコードスケール428の磁束変調器170とスペース172のn+1個の上に跨って配置される。
【0153】
第1極性ループ424のそれぞれは、図24に示すように、第1極性ループの一方側にすぐ隣接する第1極性ループ424とは別の配線層からなる第2極性ループ426の一つに接続されている。従って隣接する第1及び第2極性ループ424と426の対が、複数の平衡ループ対427を構成する。平衡ループ対427のそれぞれは、送信巻線により形成される磁束を変調する変調器がない場合に正味ゼロの出力を出す。
平衡ループ対427の第1極性ループ424と第2極性ループ426が共にスペース172の対或いは磁束変調器170の対の上に位置する時、第1及び第2極性ループ424及び426に誘導されるEMFは同じである。これにより、平衡ループ対427からの出力信号電圧は正味ゼロとなる。
【0154】
これに対して、磁束変調器170が磁束減衰器タイプであり、第1極性ループ424が正極性ループ,第2極性ループ426が負極性ループであるとして、正極性ループがスペース172上に位置し、負極性ループが磁束変調器170上に位置すると、平衡ループ対427は正極性の信号電圧を発生する。即ち、正極性ループ424に誘導されるEMFは減衰しない。
更に、平衡ループ対427の正極性ループ424が磁束変調器170上に位置し、負極性ループ426がスペース172上に位置する場合は、平衡ループ対427は負極性電圧信号を出力する。正極性ループ424での誘導EMFが減衰するのに対して、負極性ループ426での誘導EMFは減衰しないからである。 磁束変調器170が磁束減衰器タイプでなく、拡大器タイプであるか、或いは第1,第2極性ループ424,426が上と逆であるとすれば、電圧振幅極性も逆になる。勿論、これらの変更を同時に行った場合には、電圧振幅極性は同じに保たれる。
【0155】
図25は、スケール部材404をより具体的に、平衡ループ対427が隣接する磁束変調器170及び/又はスペース172の対と関連した時の平衡ループ対427についての出力チャート430と共に示し、またスケール部材404に沿った各位置でのバイナリコードトランスジューサ420からの出力と関連するバイナリコード値の結果470を示している。上述し、また図25に示すように、磁束変調器170の一対又はスペース172の一対が隣接したとき、これらの磁束変調器の対又はスペースの対上にある平衡ループ対427の出力はゼロである。これは、図25に示すように、論理“0”値を定義する。
これに対して、あるスペース172がある磁束変調器170に隣接すると、これらの隣接するスペース172と磁束変調器170の対の上に位置する平衡ループ対427の出力は正極性又は負極性のいずれかになる。これらの電圧は共に、論理“1”と定義する。
【0156】
各論理“1”値は、コードスケール428に沿った磁束変調器170とスペース172の間の遷移領域に対応する。各論理“0”値は、コードスケール428における遷移のないところに対応する。図25に示す出力対コード対位置のチャート430は、読み出しヘッド402がコードスケール428に沿って移動するにつれてトランスジューサ420の複数の平衡ループ対427により発生される受信出力信号に対応する。
バイナリコードスケール428の隣接する7個の磁束変調器170とスペース172の対のそれぞれの組431が、7ビットバイナリコードを定義する。即ち、8個の隣接する磁束変調器170及び/又はスペース172が、7対の隣接要素或いは7つのコード対を形成する。隣接要素の7つのコード対のそれぞれは、バイナリコードトランスジューサ420の7つの平衡ループ対の中の一つにより検出される。
【0157】
従って、バイナリコードスケール428には、エンコード可能なコード語が、“0000000”から“1111111”まで、128(=27)個ある。磁束変調器170とスペース172は、バイナリコードスケール428内で測定軸300に沿って、読み出しヘッド402の移動につれてこれらのバイナリコード語が一つずつ順次読み出されるように、適当に配列される。即ち、読み出しヘッド402が距離308だけ移動する毎に、バイナリコードトランスジューサ420からのコード語出力は、128コード語の一つから他の一つに変化する。
【0158】
バイナリコードトランスジューサ420は、平衡ループ対427の数を増やしてもよい。バイナリコードトランスジューサ420の平衡ループ対427を一つ増やすと、バイナリコードスケール428内でエンコードできる有効なコード語を約2倍にすることができる。また、平衡ループ対427を用いることによって、バイナリコードトランスジューサ420は、一つのバイナリコード語を読むためにバイナリコードスケール428に沿って動かされねばならないということもない。
【0159】
平衡ループ対427は遷移の有無を検出するから、バイナリコードスケール428内で隣接する要素の間にスペースを設けることは必要ではないことも認識すべきである。例えば、二つの磁束変調器170は間隔を開けることなく直接接して配置することができる。この場合、距離306は距離308に等しくなる。従ってこの第2の実施例においては、バイナリコードトランスジューサ420のバイナリコードスケール428は、磁束変調器170とスペース172の最大密度を有効的に利用できることになる。
送信巻線412及び平衡ループ対427の受信巻線についての信号処理は、実質的に図9を用いて説明したと同様に、或いは図31を用いて以下に説明する例と同様に実行される。7つの平衡ループ対427からの出力信号は、サンプルホールド回路(図示せず)にサンプリング保持される。保持された信号はA/Dコンバータによりディジタル化されて、マイクロプロセッサに出力される(図示せず)。マイクロプロセッサは、正及び負の信号を論理“1”として解釈し、ほぼゼロの受信信号を論理“0”として解釈する。
【0160】
もし、誘導型絶対位置トランスジューサ400のバイナリコードトランスジューサ420がただ一つの平衡ループ対427を持つとすると、また電源投入時(或いは絶対データが悪化しているとすると)、その平衡ループ対427は、バイナリコードスケール428に沿ってエッジ−エッジ距離308の7倍を粗く通過することにより、絶対位置を示すコード語全体を得ることができることになる。この様な単一平衡ループ対427を用いた場合、中間データ保持デバイスとしてシフトレジスタ(図示しない)を用いることができる。この代替法は、バイナリコードトランスジューサ420内の平衡ループ対427の数がコード語の中のビット数より小さい場合に一般に用いられる。シフトレジスタは、読み出しヘッド402がバイナリコードスケール428に沿って移動する間、シリアルにビットデータを取り込むことになる。
【0161】
平衡ループ対427がコード対上の中心にない場合に不明瞭なコードビット読み出しを避けるために、密波長トランスジューサ410の信号を用いて、平衡ループ対427が磁束変調器170とスペース172上の中心にあることを判定することができる。即ち、密波長トランスジューサ410の信号は平衡ループ対427がいつ活性化されたかを示すから、そのとき新しいビットをシフトレジスタに入力すればよい。
一旦フルコード語が捕らえられると、これはマイクロプロセッサに並列に送られる。シフトレジスタは、移動方向に応じてクロックアップ/ダウンされる。移動方向は、密波長トランスジューサ410の象限信号から決定される。これにより、シフトレジスタは常に、エッジ−エッジ距離308の分解能で誘導型絶対位置トランスジューサ400の絶対位置に対応したコード語を格納する。この結果、電源投入後(或いはデータ悪化後)に最初のコード語が取得された後、単一の平衡ループ対427は一つのエッジ−エッジ距離308の最大値分を走査して次の絶対位置を決定する。
【0162】
電源投入後(或いはデータ劣化後)、読み出しヘッドが絶対位置決定のために移動しなければならない距離を最小化するために、バイナリコードトランスジューサ420は好ましくは、図23に示すように、コード語におけるビット数と同じ数の平衡ループ対を用いることが好ましい。この手法では、適当な信号処理回路及び適当なデコードアルゴリズムを選択することにより、読み出しヘッド402のスケール部材404に対する移動を最小限にし、或いは少しも移動するこなく、コード語の読み出しとデコードを行うことができる。
コードビットの信号処理回路が、例えば一つの平衡ループ対の出力についての分解能が2ビットというような粗末なものである場合は、読み出しヘッド402は、スケール部材404上で全コードビットを確実に決定するためにいくつかの位置を移動することが必要になる。しかし、これでも必要な移動距離は、エッジ−エッジ距離308の±1/2のオーダーである。
【0163】
バイナリコードトランスジューサ420の一つの欠点は、信号振幅が論理値に対応するという点にある。特に、論理“0”はゼロ振幅信号に対応し、平衡ループ対427はコード対の要素が共に磁束変調器170、或いは共にスペース172(即ち遷移がない)のとき、信号を出さない。論理“1”は、十分な正又は負に対応する。即ち、平衡ループ対427は、スケール要素の対応する対が同時に磁束変調器170でない場合、或いは同時にスペース172でない場合(即ち、遷移がほぼ平衡ループ対427の中央にある場合)にのみ、強い信号を出す。
【0164】
図26及び図27は、この発明の誘導型絶対位置トランスジューサの第3の実施例を示す。この実施例では、受信信号の改良により、より大きい論理値間の信号差を得るようにしている。図26に示すようにこの実施例では、誘導型絶対位置トランスジューサとして、バイナリコードトランスジューサ420の変形例440を用いている。このバイナリコードトランスジューサ440では、コードスケール要素174(即ち、磁束変調器170とスペース172)が二つの部分に分けられている。各コードスケール要素174は、1)磁束変調器170とスペース172を持つ態様、2)二つの磁束変調器を持つ態様、3)二つのスペースを持つ態様、のいずれかの態様で配列されている。バイナリコードスケール448のスケール要素174は、図27に示すように、隣接するスケール要素174の間に常に、磁束減衰器170とスペース172の遷移があるように、配列されている。
また、図26に示すように、平衡ループ対447は、第1の正極性ループ444と第2の負極性ループ446が長手方向に半分ずつ、重ならないように配列されている。平衡ループ対447からの正電圧は論理“1”に対応し、負電圧は論理“0”に対応する。
【0165】
図27は、出力対コード対位置のチャート432を示している。図示のように、平衡ループ対447は、正極性ループ444がスペース172上にあり、負極性ループ446が磁束減衰器170上にあるとき、正の振幅信号(即ち、論理“1”)を出力する。また平衡ループ対447は、正極性ループ444が磁束減衰器170上にあり、負極性ループ446がスペース172上にあるとき、負の振幅信号(即ち、論理“0”)を出力する。従って、論理“1”と“0”の間の電圧差は、先のバイナリコードトランスジューサ420の場合の2倍あり、論理“1”,“0”間の差別化能力が改善されている。
【0166】
この第3の実施例では、第2の実施例におけるように、正信号と負信号とが同じ論理値を出すことはない。従ってこの実施例では、磁束変調器170が磁束減衰器であるとして、スペース172を磁束拡大器に置き換えることができる。この場合、平衡ループ対447により得られる正負信号の振幅は、スペース172を用いた場合に比べてより大きくなる。このことは、論理“1”,“0”間の電圧差をより大きくし、論理“1”,“0”間の差別化能力を一層改善できることを意味する。
【0167】
図28〜図30は、この発明の誘導型絶対位置トランスジューサ400の第4の実施例である。この第4の実施例では、図28に示すように、バイナリコードトランスジューサ450は、8個の平衡ループ対457を有する。これらの平衡ループ対457は、受信巻線414,416を取り囲む送信巻線412とは独立に設けられた送信巻線452により取り囲まれる。これは、送信巻線を共有した第2及び第3の実施例と異なる点である。
各平衡ループ対457は、第2及び第3の実施例と同様に、正極性ループ454と負極性ループ456を持つが、これらは先の実施例のように測定軸300方向に沿ってではなく、測定軸300と直交する方向に配置されている。
【0168】
この実施例のバイナリコードトランスジューサ450は、スケール部材404上に形成された二つの平行な部分からなるスケール要素174を有する。バイナリコードスケール458は、測定軸300に沿って配列された上部459と下部459′を持つ。これらの上部459及び下部459′はそれぞれ、磁束変調器170とスペース172を含む複数のスケール要素174を有する。各スケール要素174の長さは、エッジ−エッジ間距離308に等しい。
【0169】
この実施例では、正極性電圧が論理“1”に、負極性電圧が論理“0”に対応する。図30は、この実施例での出力対コード対位置のチャート434を示している。図示のように、正極性ループ454がスペース172上に位置し、負極性ループ456が磁束減衰器170上に位置するとき、平衡ループ対457は正極性信号(即ち、論理“1”)を出力する。また、正極性ループ454が磁束減衰器170上に位置し、負極性ループ456がスペース172上に位置するとき、平衡ループ対457は負極性信号(即ち、論理“0”)を出力する。従って、論理“1”と“0”の間の電圧差は、先のバイナリコードトランスジューサ420の場合の2倍あり、論理“1”,“0”間の差別化能力が改善されている。
【0170】
またこの第4の実施例では、第3の実施例と同様に、正信号と負信号が同じ論理値を出力しない。従ってこの実施例でも、磁束変調器170が磁束減衰器であるとしたとき、スペース172を磁束拡大器で置換することができる。この場合、平衡ループ対457により得られる正負信号の振幅は、スペース172を用いた場合に比べてより大きくなる。これは、論理“1”,“0”間の電圧差をより大きくし、論理“1”,“0”間の差別化能力を一層改善する。
【0171】
小さいエッジ−エッジ間距離308に対しては、このバイナリコードトランスジューサ450は、磁束変調器170をより均一性よく例えば矩形に形成することができるから、好ましい。これは、第2及び第3の実施例におけるバイナリコードトランスジューサ420及び440により長い変調器170が用いられているのと対照的である。この様に、バイナリコードトランスジューサ450における、均一性がよくポテンシャル的に大きい変調器170の寸法は、一般により容易に製造することができる。
【0172】
小さいエッジ−エッジ間距離308と共に、この実施例のバイナリコードトランスジューサ450は、読み出しヘッド402とスケール部材404の間の所定ギャップ171に対しても、先のバイナリコードトランスジューサ420及び440に比べてより大きい受信信号を出力することが可能である。しかし、第3及び第4の実施例のバイナリコードトランスジューサ440及び450は、強い出力信号を出す。即ち、各平衡ループ対447或いは457は、速やかに識別できる正又は負信号を出力し、バイナリコードに対して強い基準を与える。
【0173】
上述のように、平衡ループ対のコード検出巻線を含む受信巻線に誘導される信号は、磁束変調器170の磁束変調効果のために、送信巻線により発生される送信磁界に比べて小さい。従って送信磁界効果のバランスをとることは、信号対ノイズ比を改善し、また送信巻線と受信巻線の間の望ましくない“不平衡”クロストークを除去し或いは低減する上で重要である。この様なクロストークは、巻線の入出力端子や巻線のエッジとエッジで多く生じる。従って端子は巻線からできるだけ離して配置する。また送信巻線の終端部が、測定軸300に沿って受信巻線より少なくとも1波長193分外側に来るように形成することが望ましい。これにより、不平衡エッジ効果をより低減することができる。
【0174】
図31は、読み出しヘッド402に接続される信号発生処理回路240の第2の好ましい実施例である。図において、先の実施例の図9と同じ番号が付された部分は同じ動作をするので、詳細な説明はしない。読み出しヘッド402は、本質的に図28のそれと同様であり、8ビットのバイナリコードトランスジューサ450′を有する。この実施例の回路240は、トランスジューサ220及び230に代わって、バイナリコードトランスジューサ420,440,450或いは450′に接続可能な部分を有する。またこの実施例の回路240は、二つのトランスジューサ410と420(或いは、440,450,450′)だけ有するから、選択スイッチ242は2ポジションのみである。
【0175】
密波長トランスジューサと関連する信号処理は、図9以下を用いて説明したものと同様である。信号発生処理回路240の第1の実施例と同様に、信号発生器250は、密波長トランスジューサ410の送信巻線212を駆動する。受信巻線424,416の出力信号は、プリアンプ245で増幅されてサンプルホールド回路260に入力される。しかしこの実施例では、先の実施例の密,中の3波長トランスジューサ210,220,230を持つ場合と異なり、一つの密波長トランスジューサ410しか持たないから、サンプルホールド回路260も二つのサンプルホールドサブ回路261及び266のみにより構成される。
【0176】
サンプルホールド回路260の出力はA/Dコンバータ246に入力される。A/Dコンバータ246には、第2のサンプルホールド回路460の出力も入力される。第2のサンプルホールド回路460は複数の増幅器462を有する。図31に示すバイナリコードトランスジューサ450′は、8ビットのコード語を用いており、読み出しヘッド402は8個の平衡ループ対457を有するから、サンプルホールド回路460は、8個の増幅器462と8個のサンプルホールド回路464を有する。バイナリコードトランスジューサ450′からのバイナリコード語を決定するために、駆動信号はスイッチ242の端子2を介して送信巻線に供給される。これにより、8個の平衡ループ対457の全てに同時に一つの出力信号を誘導する。
【0177】
密波長トランスジューサのサンプリングに関して先に説明したと同様に、送信信号ピークに同期して、8個のサンプルホールド回路464は、平衡ループ対457からのアンプ462を通ったコード信号を同時にサンプルホールドする。この同時サンプリングは、トランスジューサの移動に伴う問題を解決する。
平衡ループ対457からのコード信号は、高精度に解析する必要がないことに注意すべきである。ほぼ、3から5ビットの測定分解能で十分である。従って増幅器462は一つで済み、集積回路上で無用の面積を必要としない。
【0178】
受信巻線414,416からの密位置信号が最初にサンプリングされ、次に平衡ループ対457からのコード或いは粗位置信号がサンプリングされる。A/Dコンバータ246は好ましくは、選択的な変換分解能を有するものとする。即ち、受信巻線414,416からの密位置信号は、高い8ビット分解能とし、8個の平衡ループ対457からの粗位置信号は、より低い、従ってより高速の3ビット分解能とする。
【0179】
図32のタイミング図に示すように、受信巻線414,416からの受信信号をサンプリングした後、平衡ループ対457からのコード信号が並列にサンプリングされる。受信巻線414,416からの受信信号と平衡ループ対457からのコード信号は、サンプルホールドサブ回路261,266及び464に短い時間t11内にサンプリングされて保持される。これらの受信信号及びコード信号がサンプルホールドされた後、保持された信号は同時に出力され、A/Dコンバータ246により、より長い時間t12内でマイクロプロセッサ241で処理可能なディジタル信号に変換される。
【0180】
受信信号及びコード信号がマイクロプロセッサ241に入力された後、マイクロプロセッサ241は先に説明したフローの関連ステップを用いて位相φ1を決定する。その後、マイクロプロセッサ241は、コード信号から得られた絶対位置コード語を以下に述べるようにして決定する。コード語は、図34に示し、以下に説明するように、ただ一つの特定の位置番号“POS#”を特定する。各位置番号は、読み出しヘッド402のスケール部材404に対する絶対位置XCODEに対応する。
この実施例では、その様な絶対位置はそれぞれ、隣接する密波長の同じ相対位相位置φCODEと空間的に同期している。即ち、“POS#”の各インクリメントは、一つの密波長λ1の絶対位置インクリメントに対応する。好ましくは、絶対位置は、空間的にφCODE=0で同期するようにする。これにより、最も高レベルの分解能で絶対位置を計算するには、マイクロプロセッサ241は、先のフローチャートの適当なステップを利用して、PF=φ1・(λ1/2π)を計算し、全体の高分解能絶対位置を、XCODE+PFとして計算する。
【0181】
もし、平衡ループ対457がスケール要素174上の中央に位置していない場合には、不明瞭で低振幅のコードビット信号が発生されるが、それでもマイクロプロセッサ241は、以下に述べるようにコード語を決定する。例えば、コートビット信号の一つが、正電圧最大値の1/4と負電圧最大値の1/4の間の低振幅であるとすると、マイクロプロセッサ241は先ず、十分な高電圧振幅を持つ明瞭なコード信号に対応するビットを決定する。その後、不明瞭な値を後に述べるようにして埋める。これは、図32において、クリーン・アップとして示されている。その後、マイクロプロセッサ241は全絶対位置を上述のように決定する。
【0182】
バイナリコードトランスジューサ420,440,450或いは450′に接続されたマイクロプロセッサ241は、サンプリングされたコード語をルックアップテーブルと比較することにより、粗の絶対位置を決定する。このルックアップテーブルは、好ましくは不揮発性メモリ(図示しない)に格納される。ルックアップテーブルは、与えられたコード語と与えられた粗絶対位置XCODEの相関関係を示す。
コードの好ましい第1の実施例としては、7ビットコード語が用いられる。7ビットコード語は、スタート/ストップマーカーと2進数を含む。3つの連続するビットがスタート/ストップマーカーとして用いられる。これらのマーカービットは、コード語の始めと終わりを特定する。例えば、スタート/ストップマーカーは、“001”とする。7ビットコード語の残り4ビットが、いくつかの2進数の一つを形成する。上述のように、各2進数が特定の粗絶対位置に対応する。理論的には、4ビットで、“0000”から“1111”まで16の2進数が有効である。
【0183】
しかし、いくつかの数は、マイクロプロセッサ241がスタート/ストップマーカーと誤認するから、除かれる。この様な誤認される数は、“0001”,“0010,”“0011”,“1001”である。これらの誤認される数を除いて、12の2進数即ち、“0000”,“0100”,“0101”,“0110”,“0111”,“1000”,“1010”,“1011”,“1100”,“1101”,“1110”,“1111”が有効になる。
図25,27及び30に示すバイナリコードスケール428,448及び458は、スタート/ストップマーカー“001”と4ビットバイナリコードが如何に組み合わされるかをマーク470で示している。手ごろな製造許容度で、且つ通常のプリント回路基板技術を用いて高精度位測定を行うためには、エッジ−エッジ距離308を、密スケール波長λ1の1/2に等しくすること、即ちλ1/2にすることが望ましい。図23〜図31に示す密波長トランスジューサ410のスケール418は、好ましくは、λ1=5.12mmの波長を有する。マイクロプロセッサ241はこの波長を内挿して、ほぼ0.01mmの位置分解能を得ることができる。エッジ−エッジ距離308は従って、2.56mmである。
【0184】
もし、バイナリコードスケール428が7ビットコード語を用いたとすると、各コード語の全長は、このエッジ−エッジ間距離の7倍になる。即ち、コード語は、7×2.56mm=17.92mmの長さを持つ。上に述べた12個の2進数が7ビットコード語の中でエンコードされ、スタートビットの位置が特定できるから、7ビットバイナリコードトランスジューサ420,440,450の全レンジは、コード語長の12倍、即ち、12×17.92mm=215.04mmとなる。殆どのノギス用途には、ほぼ215mmの全長で十分である。
【0185】
他方、テープ測定等にはより長いレンジが必要になる。この場合には、コード語長を11ビットまで大きくすることができる。これらの11ビットのうち、4ビットがスタート/ストップマーカー“0001”として用いられる。これにより、96個の2進数が有効となる。この結果、11ビットのコード語長により、全長としてほぼ、2700mm(96×11×2.56mm=2.703m)が得られる。
【0186】
7ビットコード語長を用いた場合、少なくとも7個の平衡ループ対427,447或いは457を持つ読み出しヘッドが必要である。マイクロプロセッサが読み出しヘッドの位置決定を行うには、読み出しヘッドが一つのコード語と並ぶことは必要ではなく、平衡ループ対427,447或いは457が隣接する二つのコード語に跨ってもよい。例えば、図23に示すように、バイナリコードトランスジューサ420,440或いは450により読まれる7ビットバイナリ列が、例えば“101001”,“1011001”のような隣接する二つのコード語に完全に跨って、バイナリ列“0110110”を出力するようにすることもできる。この場合、二つの隣接するコード語“101001”,“1011001”のスタート/ストップマーカーはどちらも完全に読み出されない。
【0187】
この様な場合、マイクロプロセッサ241は、先ず、そのバイナリ列がスタート/ストップマーカー“001”を持っていないことを認識し、二つの隣接コード語から、二つに分離されたスタート/ストップマーカーの部分を含むバイナリ列の最初と最後を決定する。更にマイクロプロセッサ241はスタート/ストップマーカーが“1”ではなく、“0”で始まることを知っている。そこでこの情報に基づいて、マイクロプロセッサ241は、バイナリ列“0110110”の最も右側の“0”が、右側のスタート/ストップマーカーの最初の“0”であることを決定する。これにより、最も右側の“0”の左にある4ビット“1011”が、粗の絶対位置としてエンコードする2進数ということになる。これによりマイクロプロセッサ241は、適当なルックアップテーブルを用いることにより、2進数“1011”に基づく読み出しヘッド402の絶対位置を決定する。
【0188】
マイクロプロセッサ241は中位置測定用として、スタート/ストップマーカーを用いる。例えば、バイナリコードスケール428,448或いは458における各コード語は、バイナリ列“001”をストップマーカーとして用いる。即ち、ストップマーカー“001”は2進数に先行され、粗の絶対位置は各コード語の先頭部に対応する。上の例では、マイクロプロセッサは、バイナリ列“0110110”の最も左側の2ビット“01”が左側のストップマーカーの2,3ディジットに対応するものと認識した。
バイナリ列は、2進数“1011”によりエンコードされる粗絶対位置の先頭部の左側に、エッジ−エッジ間距離308の二個分あるから、マイクロプロセッサ241はこのエッジ−エッジ間距離308の2個分により、粗絶対位置を調整する。即ち、2進数“1011”により決定される粗絶対位置から、エッジ−エッジ間距離308の2個分を差し引く。密波長トランスジューサ410はその後、マイクロプロセッサが読み出しヘッド402のトータルの絶対位置を決定するために利用する密測定を行う。
【0189】
バイナリコードスケール428,448或いは458の好ましい第2の実施例は、8ビットスケールパターンと、これと共に用いられる対応ルックアップテーブルを有する。図33及び図34はそれぞれ、8ビットパターンとルックアップテーブルを示している。図33に示す8ビットパターンは、コードトラックに沿ってエンコードされて、エッジ−エッジ間距離308毎に“0”と“1”の列を出力する。この8ビットコード語はスタート/ストップマーカーを用いない。即ち、コード語の全8ビットが粗の絶対位置を決定するために用いられる。
【0190】
従って、スケールパターンの第2の実施例に用いられる8ビットパターンは、スケールパターンの第1の実施例に用いられた7ビットスケールパターンに比べて大きいレンジを有する。図33に示すエンコードされる各8ビットコード語は、少なくとも一つの強い“1”又は少なくとも一つの強い“0”を有する。即ち、各8ビットコード語において、少なくとも一対の隣接する“1”又は少なくとも一対の隣接する“0”を有する。
8ビットコード語は、エンコード可能な数がより大きいことにより、より大きい位置レンジを持つものとなる。ビットパターンが8個の平衡ループ対427,447或いは457により読まれるものとすると、これらは、読み出しヘッド402がスケール部材404の一方の端から他方の端に移動する間に、256のコード語を出力する。
【0191】
以下に説明するように、“0”,“1”の交互列は、不明瞭な信号を出す可能性がある。従って、8ビット数“01010101”及び“10101010”を除くとすれば、254個のコード語が残る。ビットパターンは、バイナリコードスケールの2端を連結して円形に形成することもできる。これは、図35及び図36に示すように、バイナリコードスケールをロータリエンコーダ或いは円筒型エンコーダとして構成する一つの方法である。この様に構成すると、バイナリコードスケールの完全な1サンプリングの期間に複数のコード語が読み出されることはない。バイナリコードスケールの両端を連結してロータリ或いはシリンドリカルエンコーダを形成するときは、図33に示す先端の8個の“0”と後端の7個の“0”をオーバーラップさせて一つの8連続の“0”を形成することになる。
【0192】
8ビットスケールパターンの絶対測定レンジは、エッジ−エッジ間距離308の254倍になる。例えば、密波長λ1が5.12mmとすると、バイナリコードトランスジューサ420,440,450の絶対レンジは、254×5.12mm=1300mmとなる。
より長い絶対測定スケールが要求される用途においては、12ビットコード語が用いられる。この場合、密波長λ1が5.12mmとして、12ビットスケールパターンの絶対測定レンジは、(212−2)×5.12mm=20.96mとなる。この例においても、“0”と“1”か交互になる二つのコード語は除いている。
【0193】
読み出しヘッド402がバイナリコードスケール428,448或いは458に沿って、8個の平衡ループ対427,447或いは457がコード語“00001100”と並んだ位置にくると、マイクロプロセッサはこのコード語の2進数値を“12”として解釈する。図34に示すルックアップテーブルから、12の10進コード値は、位置15に対応する。
密波長λ1が5.12mmであるとすると、粗の絶対位置は約76.8mm(15×5.12mm)となる。読み出しヘッド402が右方向にエッジ−エッジ間距離308の2個分移動したとすると、読み出しヘッド402は、バイナリコード語“00110000”と並ぶ。マイクロプロセッサはこのバイナリコード語を“48”と判断する。図34のルックアップテーブルに示すように、この値は位置17に対応する。従って、このときの粗の絶対位置は、約87.04mmとなる。以上の説明から、ルックアップテーブル及びマイクロプロセッサ241は、バイナリコード語を10進変換することなく、バイナリコード語のみに基づいて読み出しヘッド402の絶対位置を認識できるように構成することも可能である。
【0194】
バイナリスケールトランスジューサ420及び440は、平衡ループ対がバイナリコードスケール428及び448内のスケール要素174と整列して一つの明瞭なバイナリコード信号を出力するようにすることが必要である。従って、3つのバイナリスケールトランスジューサを用いた誘導型絶対位置トランスジューサ400は、常に真の絶対位置を出すわけではない。これは、ある位置では、バイナリスケールトランスジューサが読み出しヘッド402を幾らか移動させることによって読み出しヘッド402をスケール要素174と整列させて平衡ループ対から明瞭な信号を得るようにしているからである。従って、誘導型絶対位置トランスジューサ400は望ましくは、バイナリコードトランスジューサ450を用いるようにする。なぜなら、バイナリコードトランスジューサ450は、スケール部材404の如何なる位置にあっても読み出しヘッド402の絶対位置を決定できるようになっているからである。
【0195】
図37〜図39は、典型的なバイナリコードスケール472の一部と、8個の平衡ループ対470及びその平衡ループ対470の複数個からの出力の波形436を示している。バイナリコードスケール472は、複数の磁束変調器と複数のスペースを含む複数のスケール要素474を持つ。
図37〜図39において、平衡ループ対470に論理“1”信号を生成する磁束変調器とスペースの配列は、塗りつぶして磁束変調器474aとして示し、論理“0”信号を生成する磁束変調器とスペースの配列は塗りつぶさずスペース474bとして示している。
波形436の正電圧振幅(ピーク)は論理“1”に、負電圧(谷)は論理“0”に対応する。波形436内の各ピーク又は谷の幅は、波形436内の連続する論理“1”或いは“0”の数に対応する。
【0196】
図37〜図39に示すように、8個の平衡ループ対470は同時にコード語の8ビットを検出する。図37においては、8個の平衡ループ対470が1コード語476を形成するスケール要素474と整列している。従って平衡ループ対470はそのコード語“10100100”を検出する。8個の平衡ループ対470が測定軸300に沿って右方向に移動すると、図38に示すように8個の平衡ループ対470はコード語478と整列し、これにより次のコード語“01001001”を検出する。
誘導型絶対位置トランスジューサ400は、バイナリコードスケール472内の8個の平衡ループ対470が各スケール要素474と厳密に整列しない時にも、コード語を判定することができる。このことを、図39を用いて以下に説明する。
【0197】
図39に示すように、8個の平衡ループ対470が図37と図38の中間、即ちコード語476と478の間に位置するものとする。このとき8個の平衡ループ対470は、コード語“uuu0uu0u”(uは、特定されない、或いは未知の値)を検出する。“u”は、“1”と“0”の間の出力信号を意味する。図39に示すように、各平衡位470の中心は、一つのスケール要素474から隣接するスケール要素474への遷移領域に一致している。従って、8個の平衡ループ対470の内2個だけが、論理“0”に対応して、はっきりした谷を持つ信号を出力する。
マイクロプロセッサ241は、この場合にも、平衡ループ対470のスケール472に対する相対位置を、次のようにして決定する。マイクロプロセッサ241は、同じタイプの隣接する2個或いはそれ以上のスケール要素474(例えば、二つの磁束変調器、或いは二つのスペース)のみを認識して、明瞭な論理“1”或いは“0”を生成し、二つの隣接するスケール要素474が異なるタイプである場合(例えば、磁束変調器がスペースに隣接する場合)は、未決定の不明瞭な値を生成することから始まる。
【0198】
動作の間、マイクロプロセッサ241は、8個の平衡ループ対470のそれぞれからの信号の振幅をクラス分けする。この平衡ループ対470の構成にバイナリコードトランスジューサ450を用いたとすると、論理“1”は、A/Dコンバータ246に与えられる正の基準電圧Vamp(例えば、+5V)にほぼ等しい電圧値に対応し、論理“0”は、同じくA/Dコンバータ246に与えられる負の基準電圧−Vamp(例えば、−5V)に対応する。これらの正,負の基準電圧は、好ましくは、コード語の最も強い正,負のビット信号の振幅に等しく設定される。
マイクロプロセッサ241は、平衡ループ対470からの出力コード信号が、強い“1”,弱い“1”のいずれであるか、強い“0”,弱い“0”のいずれであるか、或いは決定できないか、を次のように分類する。
【0199】
先ずマイクロプロセッサ241は、対応する平衡ループ対470がスペース474bと一致し或いはほぼ一致したか、或いはバイナリコードスケール472内の二つのスペース474bの間に位置するときに、そのコード信号を強い“0”と判定する。また対応する平衡ループ対470がスペース474bと磁束変調器474aの間に位置し、しかもスペース474bに十分近い時に、そのコード語を弱い“0”と判定する。
また、対応する平衡ループ対470がスペース474bと磁束変調器474aの間の中心近くに位置するときは、そのコード語を不定論理値と判定する。対応する平衡ループ対470がスペース474bと磁束変調器474aの間でしかも磁束変調器474aに近い位置にあるときは、そのコード語を弱い論理“1”と判定する。更に対応する平衡ループ対470が磁束変調器474aと一致し或いはほぼ一致する時、或いは二つの磁束変調器474aの間に位置する時には、そのコード語を強い“1”と判定する。
【0200】
A/Dコンバータ246は、各平衡ループ対470からの電圧信号を2値データに変換する。下記表3に基づいて、マイクロプロセッサ241は、得られた平衡ループ対出力が、強い“1”,“0”であるか、弱い“1”,“0”であるか、或いは不定値であるかを決定する。表3は、A/Dコンバータ246に与えられる電圧に基づく論理値の典型的な判定を示している。Vampは、平衡ループ対470の信号の電圧振幅であり、その信号レンジは+Vampと−Vampの間である。
【0201】
【表3】
Figure 0004291424
【0202】
表3に示す5つの論理値の境界を選択的に設定するためには、A/コンバータ246ではなく、アナログコンパレータを用いることができる。
A/Dコンバータ246から出力される変換されたコード信号に基づいて、マイクロプロセッサ241は次の一連のステップで各コード語を解析する。先ず、マイクロプロセッサ241は、平衡ループ対470からのコード信号が信号振幅の0.2より大きいか否か(>0.2Vamp)を判定する。大きければ、その信号は論理“1”に対応する。第2のステップでは、変換されたコード信号が信号振幅の−0.2Vampより小さいか否かを判定し、小さければ論理“0”とする。もし、コード語のなかに論理“1”及び“0”だけがある場合には、そのコード語と、引き続き読み出しヘッドの絶対位置とが、更なる処理を行うことなく決定できる。
【0203】
平衡ループ対470の一つ或いは複数個が、それらのレンジのいずれにも入っていない場合には、追加的処理が必要になる。この場合、マイクプロセッサ241は、平衡ループ対470から得られるコード信号の論理値をより正確に判定する。
即ち、第3のステップで、コード信号が、信号振幅の0.6より大きいか否か(>0.6Vamp)を判定し、大きければ強い“1”と決定する。これは、平衡ループ対470が二つの磁束変調器474aの間に位置する時にしばしば生じる。コード信号が信号振幅の0.5に等しいかそれより小さく(≦0.6Vamp)、且つ信号振幅の0.2より大きい(>0.2Vamp)場合は、弱い論理“1”と決定する。
【0204】
第4のステップでは、マイクロプロセッサ241は同様に、表3に基づいて強い論理“0”と弱い論理“0”を判定する。もし、コード信号が強い“1”でも弱い“1”でもなく、また強い“0”でも弱い“0”でもない場合は、“不定”として分類される。弱い論理“1”と“0”のコード信号値は、不定のコード信号を判定する際には不定として処理されることが望ましい。しかし、弱い論理“1”及び“0”は、読み出しヘッド402がどのコード語に近づいているかの情報を提供する。
従って、弱い論理“1”と“0”は、マイクロプロセッサ241が中間位置を決定する際の助けになる。第5のステップでは、既に決定された強い論理“1”と“0”を用いて、不定のコード信号値を決定する。もし、不定の或いは弱い値が論理“1”の次である場合には、論理“0”が続いているはずであり、逆の場合も同様である。
【0205】
例えば、図39に示すように、マイクロプロセッサ241がA/Dコンバータ246からコード語“1uuu1u”を受信した場合、二つの“”は、強い論理“”であると決定され、二つの論理“1”は弱い論理“1”であると決定される。マイクロプロセッサ241は、強い“0”が二つの隣接するスペースの間にあることを知っているからである。
下記表4は、図39に示す8個の平衡ループ対に対応するセンサ要素0〜7を示している。表4のセンサ要素ビット値は、平衡ループ対470による出力コード信号に基づいてマイクロプロセッサ241により決定される。コードトラックビットは、バイナリコードスケール472内でエンコードされた論理値である。不定のセンサ要素ビットがあるため、平衡ループ対470はバイナリコードスケール要素474と並んでおらず、これが表4ではオフセットで示されている。
【0206】
【表4】
Figure 0004291424
【0207】
アンダラインを引いたセンサ要素4に対応するセンサ要素ビットは、強い論理“0”である。従ってマイクロプロセッサ241はこの値が二つの隣接するスペース474bに対応することを認識する。これは、表4のコードトラックビット4,5のコードトラックビット列に論理“0”として加えられ、下記表5のようになる。
【0208】
【表5】
Figure 0004291424
【0209】
同様にして、コードトラックビット1,2について、論理“0”がコードトラックビット列に加えられて、下記表6のようになる。
【0210】
【表6】
Figure 0004291424
【0211】
その後、コードトラックビット1,2,4,5についての知られた値から、マイクロプロセッサ241は、コードトラックビット0,3,6についての値を決定する。センサ要素0は不定であり、論理“0”値を持つコードトラックビットと論理“1”値を持つコードトラックビットの間になければならない。コードトラックビット1は既に、論理“0”値を持つと分かっているから、コードトラックビット0は論理“1”値でなければならない。もし、コードトラックビット0が論理“0”であったとすると、センサ要素0は、不定ではなく、強い“0”であるはずだからである。
同様に、コードトラックビット3,6は論理“1”を持つことが決定される。下記表7は、コードトラックビット0,3,6について論理値を入れたコード語を示している。
【0212】
【表7】
Figure 0004291424
【0213】
その後、コードトラックビット7,8の論理値が決定される。センサ要素6は不定であり、従って論理“0”を持つコードトラックビットと論理“1”を持つコードトラックビットの間になければならない。コードトラックビット6は論理“1”であるから、コードトラックビット7は論理“0”でなければならない。もし、コードトラックビット7が論理“1”であったとしたら、センサ要素6は不定ではなく、強い“1”であるはずだからである。下記表8は、コードトラックビット7に論理値を入れたコード語を示している。
【0214】
【表8】
Figure 0004291424
【0215】
次に、コードトラックビット7の決定された論理値から、コードトラックビット8の論理値が決定される。センサ要素7は弱い“1”を持つから、論理“0”を持つコードトラックビットと論理“1”を持つコードトラックビットの間にあるはずである。そしてコードトラックビット7が論理“0”であるから、コードトラックビット8は論理“1”でなければならない。下記表9は、こうして完全に決定されたコード語を示している。
【0216】
【表9】
Figure 0004291424
【0217】
結果をテストするために、マイクロプロセッサ241は、同様の方法で全ての弱い値がコードトラックビットに対応するかどうかをチェックする。即ち、センサ要素7が、コードトラックビット7よりもコードトラックビット8に近い結果として論理“1”であるとすれば、センサ要素2は、コードトラックビット2ではなくコードトラックビット3の値であるべきである。テストはこの様なことを確認する。
この結果、マイクロプロセッサ241は、読み出しヘッド402が、それぞれバイナリ値が“10100100”と“01001001”であるコード語466と468の間にあることを判定する。マイクロプロセッサは更に、読み出しヘッド402が実際にコード語466に近いことを決定する。読み出しヘッドがどのコード語の間にあるかを決定するために、弱い“0”及び“1”を用いるのではなく、密スケールを読むことができる。トランスジューサが密波長λFの一つ分移動した時、密位相φFは2πラジアン変化する。この位相φFは、−πからπまで変化し、コードトラックスケールの二つのコード語の間の境界でゼロを通るものとする。コードトラックスケールの二つの隣接するコード語の間のどこに選択があるかについては、正の密位相φFはトランスジューサ位置がより高い位置側のコード語の中にあることを意味し、負の密位相φFはトランスジューサ位置がより低い位置側のコード語中にあることを意味する。
【0218】
この不定値を決定する方法は、この明細書で説明した誘導型絶対位置トランスジューサだけでなく、例えば光学式トランスジューサ等の他のトランスジューサにも適用することができる。光学式トランスジューサ等では、上述したように、ゼロを中心としてではなく、正の値を中心とした値を出す。それでも、バイナリスケールトランスジューサのセンサ要素からの出力信号の振幅を、5つの範囲に分類する方法は同様に有効である。
【0219】
読み出しヘッド402がコードトラックビットの中間位置にあるとき、全て不定値を出すのは二つのコード語のみ、即ち、“0”,“1”が交互に並ぶ“01010101”及び“10101010”である。しかし、これらの二つのコード語のみがその様な出力を出すことを認識するようにすれば、マイクロプロセッサはこれらのコード語を検出して解釈することができる。或いは、バイナリコードスケール472から予めこれらのコード語を除くこともできる。
【0220】
上述したようにこの発明は、リニアエンコーダ以外の用途にも適用することができる。前述した図35及び図36は、密波長トランスジューサ410とバイナリコードトランスジューサ450を組み込んだ誘導型絶対位置トランスジューサ400の好ましい第5の実施例であり、図36は図35の要部拡大図である。
この実施例においては、誘導型絶対位置トランスジューサ400はロータリエンコーダ500として作られている。ロータリエンコーダ500は、静止部分或いはステータ502と回転部分或いはロータ504を有する。送信巻線412,452、受信巻線414,416及び平衡ループ対457は、ステータ502上に形成され、或いは取り付けられる。ステータ502は図示のように、小さいくさび型に加工されたものである。
【0221】
より高精度化のため、また機械的アライメント誤差を許容するためには、ステータ502は、ロータ504と同様に完全な円盤状部材として形成してもよいし、いくつかの同様なくさび状のものを対称的に円形に配置して構成することもできる。コードトラックには、図35に示すように、8ビットコード語と同様に連続する6ビットコード語を用いる。
6ビットコード語は、可能な2進数として64を出し、従って1回転につき64の粗の絶対位置を測定することができる。密波長内の位置は、1波長の1/512の精度で測定することができる。また、密波長トランスジューサ410のスケール418は、1回転(360°)につき、32の密波長を与える。従って全体として、1回転につき32×512=16,384の角度分解能が得られる。
【0222】
バイナリコードトランスジューサ420,440或いは450を用いた誘導型絶対位置トランスジューサは、図7に示すトランスジューサ210〜230を用いたものより有利であるが、図40,図41に示すこの発明の第6の実施例はある付加的な利点を有する。
この発明の第1の実施例による誘導型絶対位置トランスジューサの一つの欠点は、二つのスケールからの読み出しが中又は粗の位置測定について行われている時に生じる動きに非常に敏感であることである。密波長トランスジューサ210,220,230の読み出しの際に生じる小さいエラーは、中,粗の位置計算の際により大きなエラーの原因となる。このエラーは、波長比λM/λF,λC/λFに等しい係数を持つ。従って、密波長トランスジューサ220と230の間の測定の間にわずか80μm の移動があると、中位置測定に約1.28mmの誤差を生じる。
この約1.28mmの誤差は、ほぼ密波長λ1或いはλ3の1/2に等しい。中位置測定は、トランスジューサの読み出しヘッドが位置する特定の密波長内で決定するから、密波長λ1或いはλ3の1/2のエラーは許容できない。二つの密波長の間で約160μm のエラー毎に、計算される粗位置測定は中波長の1/2の大きさだけずれることになる。
【0223】
上述のような二つの密波長の間の動きによるエラーを避けるために、図40に示す第6の実施例による誘導型絶対位置トランスジューサ600は、第1の実施例のように二つの密波長トランスジューサから中波長を引き出す代わりに、40.96mmの中波長λM1を持つ中波長トランスジューサ610を持つ。中波長トランスジューサ610は、中波長或いは20.48mmの約1/2に等しい長さの磁束変調器を持つスケール618を有する。読み出しヘッド602のスケール612上には受信巻線614と616を有する。受信巻線614は、一つの細長い“+”ループ191aと、一つの細長い“−”ループ191bを有する。同様に受信巻線616は、細長い“+”ループ192aと、細長い“−”ループ192bを有し、これらの受信巻線を取り囲んで送信巻線612が形成されている。
【0224】
中波長の位置は、二つの密波長トランスジューサからではなく、中波長トランスジューサ610により直接測定されるため、移動による上述したエラーはなくなる。粗位置測定のために、このトランスジューサ600は第2の中波長トランスジューサ620を有する。この第2の中波長トランスジューサ620は、第1の中波長トランスジューサ610とほぼ同様に形成された、読み出しヘッド602上の受信巻線624,626とこれを取り囲む送信巻線622、及びスケール部材上の中波長スケール628を有する。この第2の中波長トランスジューサ620は、35.84mmの中波長λM2を持つ。λM1とλM2の間の位相差は、286.72mmの粗波長を与える。これらの波長は、以下にその理由を説明するように、好ましくは、基本波長の異なる整数倍、更に好ましくは偶数倍とする。具体的に、この実施例のトランスジューサ600における好ましい波長は、λM1=16・λ3,λM2=14・λ3(但し、λ3=2.56mm)なる関係を持つ。
【0225】
この実施例では、粗位置計算に用いられる二つの中波長λM1,λM2が密波長λ3より約15倍大きいから、空間位相位置計算は移動に対して15倍感度が低下する。
例えば、中波長λM1の約1/2の移動エラーを起こすためには、粗位置測定は約20mmずれていなければならない。これは、二つの中波長トランスジューサ610,620の間の約2.7mmのエラーに対応する。2.7mmのエラーは、上述した160mmのエラーに比べて遥かに防止が容易である。
【0226】
この実施例のトランスジューサ600はまた、二つの中波長トランスジューサ610,620の間に配置された、波長λ3の密波長トランスジューサ630を有する。密波長トランスジューサ630と中波長トランスジューサ610,620との間の電磁的なまた寄生的な結合を最小化するため、密波長スケール318,328における磁束変調器の長さは、密波長の整数倍とする。これにより、中波長トランスジューサ610,620が密波長トランスジューサ630に与える影響は最小化される。
【0227】
中波長トランスジューサ610,620と密波長トランスジューサ630の間の結合は、中波長スケール618,628における磁束変調器の端部が常に、密波長スケール638における密波長と並んでいるために最小化される。スケール618,628,638が読み出しヘッド602に対して相対移動した時、密波長トランスジューサ630内の送信巻線と受信巻線の間で、中波長スケール318,328の一方の磁束変調器によって生じる結合のある端部での増大は、別の端部での結合の減少により相殺される。受信巻線614と616の間、又は624と626の間の対称性のための密波長トランスジューサ630と中波長トランスジューサ610,620の間のトータルの寄生結合は、ほぼゼロとなる。
【0228】
更に、電磁結合を低減するために、読み出しヘッド602は好ましくは、図41(a)〜(d)ように作られる。図41(a)〜(d)は読み出しヘッド602の異なる層或いは面を示している。図41(a),(b)に示すように、中波長トランスジューサ610の受信巻線614,616、中波長トランスジューサ620の受信巻線624,626、及び密波長トランスジューサ630の受信巻線634,636は、読み出しヘッド602の基板の二つの層、又は対向面に形成される。
同様に、図41(c)(d)は、中波長トランスジューサ610,620の送信巻線612,622,及び密波長トランスジューサ630の送信巻線632の一部と、密波長トランスジューサ630の送信巻線632の残部とが異なる層又は面に形成されることを示している。波長の近い二つの中波長トランスジューサ610,620は、密波長トランスジューサ630を挟んで離して配置される。
【0229】
密波長トランスジューサ630の受信巻線634,636は、密波長の3.5倍毎に反転させている。同様に、密波長トランスジューサ630の送信巻線632も密波長の3.5倍毎に反転させている。この様に密波長トランスジューサ630の送受巻線を所定周期で反転させることにより、中波長トランスジューサからの受信信号に対する影響、密位置計算結果に対する影響を低減している。一般に、送信巻線及び受信巻線の反転は、密波長のz/2倍毎(zは奇数の整数)にすることができる。
【0230】
二つの中波長スケール618,628の磁束変調器は、密波長λ3の約7倍の長さを持つ。中波長λM2は実質的に、密の“反転”波長の整数倍であるから、密波長トランスジューサ630の送信巻線632からの漏洩磁界は、中波長トランスジューサ620の受信巻線624及び626内で中和され、逆も同様である。一般に、密の反転波長を、(z・λF)/2とすると、中波長λM1,λM2は、λFの偶数倍にすべきである。
【0231】
中波長トランスジューサ610のスケール618の磁束変調器は、正確に中波長λM1の1/2と等しい長さを持たない。中波長トランスジューサ610のための中波長λM1は正確に密の“反転”波長の整数倍ではないが、第1の実施例のトランスジューサ200と比べてこの実施例のトランスジューサ600では、実質的にトランスジューサ間の寄生結合を低減することができる。中波長トランスジューサ610は連続信号を生成するが、きれいな正弦波状出力曲線からのズレに誤差がある可能性がある。しかしこの小さい誤差は、中波長計算に大きな影響を与えない。
【0232】
中波長トランスジューサ610は、読み出しヘッド602がどの密波長λ3内に位置するかを特定するに十分な精度を持つことが必要である。中波長トランスジューサ610が十分な精度を出せない場合には、もう一つの中波長トランスジューサ620を“一次゛中波長トランスジューサとして用いることができる。
第2〜第5の実施例においては、バイナリコードスケールと密波長スケールがトータルスケール幅をできるだけ抑えられる様に近接して配置されている。本発明者等は、密波長トランスジューサとバイナリスケールトランスジューサの間の距離を少なくとも、0.6λFINE(λFINEは密波長トランスジューサの波長)にすべきことを決めている。この距離では、バイナリスケールトランスジューサは密波長トランスジューサに殆ど影響を与えない。
【0233】
しかし、バイナリコードスケールが密波長スケールに余りにも近く配置されると、密波長測定が攪乱されるおそれがある。これは、密の送信磁界が、密波長スケール要素のみならず、バイナリコードスケール要素によってもある程度変調されるからである。この送信磁界の余分な変調は、密波長測定のエラーの原因となる。この様なエラーを防止するために、バイナリコードスケールは密波長スケールから離すことができる。しかしこれは、トータルスケール幅及び読み出しヘッド幅の増大をもたらす。
【0234】
図42は、この発明の誘導型絶対位置トランスジューサの第7の実施例によるトランスジューサ700であり、この実施例では、バイナリコードスケールを、トータルスケール幅及び読み出しヘッド幅の増大をもたらすことなく、密波長スケールから離す一つの方法を実現している。
この実施例では、図28の実施例におけるバイナリコードスケール458の上の列を除いており、バイナリコードスケール728は一列のスケール要素のみとしている。バイナリコードスケール728の下の1,0は、スケール要素の2値を示している。
【0235】
この様な一列のバイナリコードスケールをデコードするためには、スケール語は、各8ビットコード語の中の一列に少なくとも二つの“1”があるように配置することが必要である。これにより、図39の例に示すように、平衡ループ対が二つのコード語の間に位置する時に平衡ループ対727からの出力コード信号中に少なくとも一つの強い“1”があるようにすることができる。
より好ましいバイナリコードスケール728においては、各コード語が一列内に少なくとも二つずつの“1”と“0”を持つようにする。これは、各コード語が少なくとも一つの強い“1”と、一つの強い“0”の両方を持つことを確実にする。これにより、各コード語について、コード語ビットとその信号振幅の間の信号オフセットを測定することが常に可能になる。これは、バイナリコードスケール728が信号オフセットと信号振幅について自律校正するために、バイナリコードスケール728の読み出しをより確実にする。
【0236】
即ち、各位置で、コード信号オフセットSoffとコード信号振幅SAMPとが測定される。コード信号オフセットSoffは、平衡ループ対727から出力される全てのコード信号の最小値として定義される。コード信号振幅SAMPは、平衡ループ対727により出力コード信号振幅の最大値SMAXと最小値SMINの差として、次の数8のように表される。
【0237】
【数8】
SAMP=(SMAX−SMIN)
【0238】
コード信号オフセットSoffは、各コード信号SXから差し引かれ、その結果がコード信号振幅SAMPにより除されて、各平衡ループ対727について正規化されたコード信号値SNが、数9のように得られる。
【0239】
【数9】
SNX=(SX−Soff)/SAMP
【0240】
正規化されたコード信号値SNは、0から1の間で変化する。このコード信号値は一般に例えば、表3に対応して、下記表10に示すように、5つの範囲に分類される。
【0241】
【表10】
強い0: 0.0≦SN<0.2
弱い0: 0.2≦SN<0.4
不定 : 0.4≦SN≦0.6
弱い1: 0.6<SN≦0.8
強い1: 0.8<SN≦1.0
【0242】
粗位置は、先に表4〜表9で説明したと同様にデコードされる。この方法は、第2〜第5の実施例におけるような、2列を用いたバイナリコードスケールに対しても、光学的トランスジューサのような一般的な絶対位置トランスジューサのシリアルコードトラックについてと同様に、適用することができる。
上述したように、ビット信号の分類は、好ましくは、コード信号がディジタル変換された後、マイクロプロセッサにより行われる。コード信号オフセットとコード信号振幅を見つけることは、A/Dコンバータの前で行うこともできる。この場合コード信号振幅は、A/Dコンバータの基準電圧として用いられ、これにより、A/Dコンバータの出力は自動的に正規化される。この場合、マイクロプロセッサは、コード信号をコード信号振幅で除するための時間を必要としない。
【0243】
図43は、図31のA/Dコンバータ246から正規化されたディジタル出力を得るための信号処理回路730の好ましい実施例である。図示のように、図31のサンプルホールド回路460のバッファアンプ462のそれぞれからの出力は、高/低コード信号選択回路732とコード信号選択スイッチ734に接続される。高/低コード信号選択回路732は、最も高い信号振幅と最も低い信号振幅を持つコード信号を選択する。
この高/低コード信号選択回路732からの最も高い信号振幅と最も低い信号振幅を持つコード信号は、差動アンプ736に入力される。特に、最も高い振幅のコード信号は、差動アンプ736の非反転入力端子に、最も低い振幅のコード信号は反転入力端子にそれぞれ入力される。差動アンプ736は、最も高い振幅のコード信号と最も低い振幅のコード信号の差をとり、これが基準電圧としてA/Dコンバータ246に入力される。これにより、A/Dコンバータ246から出力されるディジタル値が0と1の間で正規化される。
【0244】
コード信号選択スイッチ734は、コード信号を一度に一つ選択して減算回路738を通してA/Dコンバータ246に与える。コード信号選択スイッチ734は、減算回路738の演算増幅器の非反転入力端子に接続され、その反転入力端子には最も低い振幅のコード信号が入力される。減算回路738は現在のコード信号から最も振幅の低いコード信号を減算して、その結果をA/Dコンバータ246に入力する。
図44は、高/低コード信号選択回路732の典型的な回路例を示している。この回路は、4つの入力信号に対して、高/低信号を判定するものであるが、任意ビットに対して拡張することができる。
【0245】
上では、コード語内のビット数を一定として種々のバイナリコードスケールについて説明した。下記表11は、異なる設計ルールとについて、及び1コード語当たりの異なるビット数について有効なコード語の数を示している。
【0246】
【表11】
Figure 0004291424
【0247】
下記表12は、スケール波長3.2mmと仮定して、表11において用いられた異なる設計ルールとビット数/コード語についての有効レンジを示している。
【0248】
【表12】
Figure 0004291424
【0249】
上述のように、バイナリコードスケールを読み取る際に、いくつかの平衡ループ対は不明瞭又は不定の信号を出力する。これは、読み出しヘッドがスケール要素と並んだ時でなく、スケール要素の間に位置した時に生じる。この問題は、表3〜表12で説明した方法により、少なくとも一つの平衡ループ対が明瞭なコード信号を出力する事を確実にすることにより解決される。しかしこれは、コード信号の振幅整合やオフセット整合に関して、コード信号や信号処理回路にかなり厳しい要求を突きつけることになる。
【0250】
図45は、この発明による誘導型絶対位置トランスジューサの好ましい第8の実施例を示す。この実施例のトランスジューサ800においては、バイナリコードトランスジューサ820が第1の組821の平衡ループ対827と、第2の組823のへ平衡ループ対827を有する。第1の組821と第2の組823とは、エッジ−エッジ距離308の1/2又は奇数倍だけオフセットしている。
第1,第2の組821,823の一方がスケール要素174の間に位置するとき、他方の組はスケール要素174と整列する。従って、第1,第2の組821,823の一方が特定できないコード信号を出力する場合にも、他方はコード信号の全てが明瞭に特定できる。
また、エッジ−エッジ距離308に等しく設定された波長λ810で示す密波長トランスジューサは、第1,第2の組821,823のいずれが用いられるべきかを決定できる。即ち、受信巻線の電圧振幅が正のとき、第1の組821を用い、受信巻線の電圧振幅が負の時第2の組823を用いるようにする。
【0251】
この実施例の一つの欠点は、読み出しヘッドを2倍の長さにしなければならないことである。この付加的なスペースは、平衡ループ対の第2の組に必要とされるのみならず、信号処理回路への接続にも必要とされる。しかし、この付加的なスペースの大部分は、平衡ループ対の第2の組により必要とされるものである。
この欠点は、図46に示すように、2組の平衡ループ対を、エッジ−エッジ間距離308の1/2のオフセットを保ってインターリーブする事により、十分に小さくすることができる。
この第8の実施例の変形は、2組の平衡ループ対を薄い絶縁層を挟んで配置することを要する。即ち、2組の平衡ループ対は、先に説明した受信巻線のインターリーブと同様の方法でインターリーブされる。
【0252】
更にこの変形は、2組の平衡ループ対についてだけでなく、任意の複数組の平衡ループ対を用いた場合にも可能である。この場合、n組の平衡ループ対について、各組のオフセットは、エッジ−エッジ間距離308をnで除した値とする。即ち、4組の平衡ループ対の場合、各組は、エッジ−エッジ間距離308の1/4ずつオフセットさせる。平衡ループ対の組の数は、矩象関係にある二つの受信巻線により示される象限に基づいて選択される。
【0253】
図47は、この発明の好ましい第9の実施例による誘導型絶対位置トランスジューサ900を示す。これは、図28〜図30に示した第4の実施例の一変形例である。図示のように、バイナリコードトランスジューサ950は、密波長トランスジューサ920を挟み込む。即ち、読み出しヘッド902に形成されたバイナリコードトランスジューサ950の8個の平衡ループ対957のそれぞれにおいて、負極性巻線956は密波長トランスジューサ920の一方のサイドに、正極性巻線954は他方のサイドに配置されている。各平衡ループ対957の負極性巻線956と正極性巻線954とは、長い平行配線955により接続されている。
【0254】
同様に、バイナリコードスケール958の上部959と下部959′は、スケール部材904上の密波長スケール918を挟み込んでいる。そして、読み出しヘッド902上には一つの送信巻線912が配設されている。この送信巻線912は、密スケールトランスジューサ920の受信巻線912と、バイナリコードトランスジューサ950の平衡ループ対957の正極性ループ954及び負極性ループ956の全てを囲む。
【0255】
第4の実施例と比較して、この第9の実施例によるトランスジューサ900では、バイナリコードトランスジューサ950が、密波長測定を妨害することなく、密波長トランスジューサ920により近くなっている。これは、読み出しヘッド902でのスペースを抑え、位置トランスジューサ900全体でのスペースを抑えることになる。加えて、送信巻線912が一つだけでよいから、駆動回路の簡単化が図られる。送信巻線の低減と駆動回路の簡単化は更にスペースの削減を可能とする。
更に、送信巻線912が一つであるから、密波長トランスジューサ920とバイナリコードトランスジューサ950の駆動とサンプリングが同時に可能である。従って、第4の実施例と異なり、密波長測定とバイナリコード測定の間の遅延時間がなくなる。これは、第4の実施例に比べて、誘導型絶対位置トランスジューサ900の精度向上をもたらす。
【0256】
図48(a)(b)は、この発明の好ましい第10の実施例による誘導型絶対位置トランスジューサ1000を示す。これらの図では、トランスジューサ1000におけるスケール1058の模式的構成と、複数の平衡ループ対1057のみを示している。送受信巻線の構造は、先の各実施例のバイナリコードトランスジューサと同様のものが用いられる。
スケール1058はバイナリコードスケールではなく、インクリメンタルスケールである。即ち、位置トランスジューサ1000において、スケール1058は測定軸300方向に沿って延びるように配置され、平衡ループ対1057により形成される個々の受信巻線は測定軸に直交する方向に延びる。これは、測定軸に平行に延びる受信巻線を持つ先の実施例とは対照的な点である。
【0257】
平衡ループ対1057が測定軸300に沿って移動するにつれて、平衡ループ対1057のそれぞれは、負極性ループ1056が磁束減衰器170と一致する時、及び正極性ループ1054がスペース172と一致する時に最大の正極性振幅の位置信号を出し、また正極性ループ1054が磁束減衰器170と一致する時、及び負極性ループ1056がスペース172と一致する時に最大の負極性振幅の位置信号を出す。
従ってこの実施例のトランスジューサ1000は、第1〜第9の実施例における密波長トランスジューサに置き換えて用いることができる。例えば、3つの密波長インクリメンタル位置トランスジューサ210,220,230はそれぞれ、対応する波長を持つインクリメンタル位置トランスジューサ1000により置き換えることができる。
【0258】
磁束減衰器又は磁束拡大器のいずれかである磁束変調器170、及びスペース172は、スケール1058上で交互に“0”位置と“1”位置に配置された同じ形状に加工された要素とすることができる。読み出しヘッドの平衡ループ対1057は、図48に示すように、巻線方向が正,負極性を持つように直列に接続される。
図48(a)の実施例においては、測定軸300に直交する方向の非対称性磁界分布に極めて敏感であることに注意すべきである。もし、磁界分布がスケール1058の中心線301について対称でないとすると、出力信号は測定エラーの原因となるオフセットを持つことになる。
【0259】
これに対して、図48(b)の実施例はこの様な問題がない。図48(b)の実施例においては、巻線方向が再度交互に正,負極性を持つよう直列接続されている。これにより、平衡ループ対1057の各隣接対1059は、測定軸300方向及び測定軸300に直交する方向いずれについての非対称性磁界についてもバランスがとれる。従って、出力信号のオフセットはゼロとなる。
更に、出力信号のオフセットは、ピッチやロールのアライメント誤差によっても変化しない。これは、スケール1058が導体スケールベースに搭載されたとしても言える。図48(b)の実施例の信号振幅は、図48(a)の実施例における場合の2倍になることも注目すべきである。
【0260】
図47,図48の各実施例においは、密スケールトランスジューサ920及び1000の一つの受信巻線又は1組の受信巻線のみを示し、バイナリコードトランスジューサ950の一つの平衡ループ対957のみを示しているが、第1〜第8の実施例におけるように、2或いはそれ以上の密スケール受信巻線を用いることができる。更に、第8の実施例に示すように、バイナリコードトランスジューサ950に2組或いはそれ以上の平衡ループ対を用いることもできる。
【0261】
図49(a)〜(c)は、この発明による第11の実施例の誘導型絶対位置トランスジューサ1100を示している。図49(a)に示すように、密波長トランスジューサ1120とバイナリコードトランスジューサ1150は、並べてではなく、第2〜第5の実施例、及び第7〜第9の実施例におけると同様に、互いに重ねて配置している。従って、バイナリコードトランスジューサ1150のバイナリスケール1158は、バイナリコードスケールとしてと同時に、密波長スケールとしても用いられる。第9の実施例におけると同様に、密波長受信巻線1114と、バイナリコードトランスジューサ1150の各平衡ループ対1157とを同時に駆動するように一つの送信巻線1112が用いられている。
【0262】
図49(b),(c)は、受信巻線1114と平衡ループ対1157の関係をより分かりやすくするために、これらを別々に示している。磁束変調器170とスペース172の測定軸300方向の幅は、密波長λFの1/2である。これに対して、平衡ループ対1157の測定軸方向の幅はほぼ密波長λFである。密スケール受信巻線1114の波長も同様に、ほぼ密波長λFである。
密波長トランスジューサ1120の正極性ループが磁束変調器170と一致した時に、負極性ループは磁束変調器170の間の未変調ギャップ173と一致し、逆も同様である。これに対して、バイナリコードトランスジューサ1150においては、負極性ループ1156が磁束変調器170(又はスペース172)と一致した時に、正極性ループ1154がスペース172(又は磁束変調器170)と一致する。
【0263】
以上のようにして、密波長トランスジューサ1120は、磁束変調器170及びスペース172により更に変調された、連続的な空間的変調を受けた誘導結合を出力することができる。しかしこの実施例の信号振幅レンジは、他の実施例に比べて約1/2小さくなる。同時に、バイナリコードトランスジューサ1150は、強い“1”及び強い“0”に対応する信号振幅を出力することができるが、この振幅も他の実施例に比べて約1/2になる。
【0264】
この実施例の場合、送信巻線1112は一つであるから、駆動回路は簡単になり、また密波長トランスジューサ1120及びバイナリコードトランスジューサ1150は同時に駆動及びサンプリングが可能である。更に、二つのトランスジューサが重ねられているから、先の第9の実施例に比べても付加的なスペースを大きく抑制することができる。図49では、一つの密波長受信巻線1114と1組の平衡ループ対1157のみを示しているが、第1及び第8の実施例で説明したと同様に、これらを複数個設けることもできる。
【0265】
図50(a)〜(c)は、この発明の第12の好ましい実施例による誘導型絶対位置トランスジューサ1200である。図50(a)〜(c)は、一般的に第11の実施例の図49(a)〜(c)に対応するが、第11の実施例では密波長トランスジューサ及びバイナリコードトランスジューサに対して共に一つのバイナリコードスケールを用いたのに対し、この第12の実施例では、図49(c)に示すバイナリコードトランスジューサ1258は、図49(b)に示す密波長スケール1228に重ねられている。その他は、第12の実施例は、第11の実施例と同様であり、従って詳細な説明は省く。
【0266】
図51(a)〜(c)は、この発明の第13の好ましい実施例による誘導型絶対位置トランスジューサ1300である。この第13の実施例は、ほぼ第12の実施例と同様であるが、図51(a)及び(c)に示すように、図50(c)におけるバイナリコードスケール1258の磁束変調器170とスペース172に代わって、閉じた領域1370と閉じられない領域1372を持つ巻線1374によって形成されたバイナリコードスケール1358を有する。閉じた領域1370が磁束変調器170に対応し、閉じられない領域1372がスペース172に対応する。その他は、図51(a)〜(c)に示す第13の実施例と、図50(a)〜(c)に示す第12の実施例と同じである。
【0267】
図52は、図51(a)〜(c)に示す第13の実施例の変形例である。これは、第13の実施例における密波長トランスジューサ1320の密波長スケール1328の各磁束変調器170を、ループ巻線1376により置き換えた密波長スケール1318を用いている。その以外は、図51(a)〜(c)に示す第13の実施例と同じである。
【0268】
以上この発明の誘導型絶対位置トランスジューサの実施例を説明したが、バイナリコードトランスジューサは、他の知られたトランスジューサ構成、例えば光学式エンコーダを用いて構成することができる。光学式エンコーダを用いる場合、磁束変調器170としては、スペースとは異なる反射率を持つ反射器を用いて、反射器を論理“1”,スペースを論理“0”に対応させればよい。この場合、読み出しヘッドは、反射器の反射率に基づいて、論理“1”,“0”を1ビットずつ検出する光検出器を含むことになる。この発明は好ましくは、密波長トランスジューサと共にバイナリコードトランスジューサを用いるが、絶対位置トランスジューサとしては、密のリニアエンコードを用いず、簡単にバイナリコードトランスジューサのみを用いてもよい。
【0269】
上述したように、この発明によると、高精度の位置信号を出力することができ、しかも現行のプリント回路基板技術を利用して安価に製造することができる誘導型絶対位置トランスジューサが得られる。この発明によるトランスジューサは、強磁性体やオイル,水その他の流体を含む粒子の汚染に対して強い。従って、ほとんどの仕事場やアウトドア環境においても使用することができ、しかも汚染防止のための複雑な或いは高価なシールを必要としない。
スケールと読み出しヘッドの間のギャップは、インクリメンタル測定のためには、受信可能性と高精度を保ちながら2mm程度まで大きくすることができる。バイナリコードトランスジューサはより大きなギャップとすることができる。従って、製造許容誤差は厳しくはなく、他のタイプの絶対位置トランスジューサに比べて安価に製造することができる。
【0270】
この発明において、読み出しヘッドは、幅及び長さに対して実質的に小さい厚みをもって作ることができる。従って、通常の絶対位置トランスジューサに比べて小さい体積で多くの用途に適用することができる。受信巻線は、能動回路により駆動されず、受動的であって、EMFを発生する。このEMFを適当な解析回路により解析することにより、読み出しヘッドのスケールに対する測定軸に沿った変位を測定することができる。
この発明においては、スケールとコードトラックもまた受動的である。従って、これらは能動部分、即ち送信巻線に電気的に接続する必要がない。この結果この発明に係るトランスジューサは、他の誘導型エンコーダと異なり、ハンドツールに容易に組み込むことができる。更にこの発明は、バッテリー駆動のハンドツールに容易に組み込むことを可能とする低電力駆動回路を用いている。この発明に係るトランスジューサは、所定長さのコード語に許容される最も長い波長又は最も長い距離にわたって唯一の絶対位置を測定することが可能である。従って、電力を下げ或いはオフとした後、再度電力をオンとして、同じ位置を測定することができる。
【0271】
当業者であれば、この発明に係る誘導型絶対位置トランスジューサが種々の用途に組み込み可能であることが分かるであろう。即ち、特定の実施例及び具体例について説明したが、この発明の精神を逸脱しない範囲で種々の等価な変形が可能である。例えば、正弦波状受信巻線及び平衡ループ対を説明したが、所定の読み出しヘッド内で異なる位相を与えるための形状を含む種々の幾何形状を用いることが可能である。同様に、一般的に矩形である磁束変調器を説明したが、これも他の幾何形状を用い得る。その形状は、出力信号対変位の関数が非正弦波関数であって、ルックアップテーブルにモデル化できるもの、或いは他の手段でモデル化できるものであればよい。即ち、ここに述べられた位置計算式は、よく知られた信号処理技術により変形或いは置換が可能である。
【0272】
上に述べられた種々のセンサ要素に加えて、この発明は、しきい値検出回路に接続された一つのループを用いてバイナリコードスケール内の磁束変調器を検出するようにしたセンサ要素を用いることもできる。この場合、磁束変調器はエッジ−エッジ間距離と等しい長さをもつ。またこの発明は、2個或いはそれ以上の送信巻線を用いた例を説明したが、実質的に全ての受信巻線と全てのセンサ要素を囲むようにした一つの送信巻線を用いてもよい。
更に、バイナリコードトラックは好ましい実施例として、各コードトラック受信巻線がバイナリコード語の1ビットを出力するようにしたが、当業者であれば、コードトラック受信巻線からより高分解能測定が可能であることが分かる。この場合、各磁束変調器のサイズは種々のサイズの組から選択することができる。即ち、コードトラック受信巻線に対応する各コード語要素は、3或いはそれ以上の状態の一つを示すことができる。更に、“平衡”巻線がコードトラック受信巻線として用いられたが、簡単な不平衡ループもいくつかの条件下で用い得る。
【0273】
【発明の効果】
以上述べたようにこの発明による誘導型絶対位置トランスジューサは、高精度の位置信号を出力することができ、プリント回路基板技術を利用して安価に製造することができ、磁性体やオイル,水その他の粒子の汚染に対して強く、ほとんどの仕事場において汚染防止のための複雑高価なシールを必要としない、といった利点を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の基本検出原理を説明するための、減衰器タイプの変調器を用いたインクリメンタル型ノギスの分解斜視図である。
【図2】 図1のノギすのA−A′断面図である
【図3】 この発明の基本検出原理を用いたインクリメンタル型読み出しヘッドの送受信巻線のレイアウトと対応する減衰器スケール要素を示す平面図である。
【図4】 図3の受信巻線の一方のループを示す平面図である。
【図5】 図4の受信巻線とスケールの重なりの様子と出力信号を示す図である。
【図6】 一つの密波長に関する出力振幅と極性の位置に対する波形を示す。
【図7】 3スケールを持つ好ましい実施例の誘導型絶対位置トランスジューサの平面図である。
【図8】 僅かに異なる波長を持つ二つの巻線についての相対位置に対する電圧振幅及び極性を示す波形図である。
【図9】 この発明の実施例の誘導型絶対位置トランスジューサの電気回路ブロックを示す。
【図10】 図9の回路の動作タイミング図である。
【図11】 サンプルホールド回路部の第2の実施例の構成を示す。
【図12】 サンプルホール回路部の第3の実施例の構成を示す。
【図13】 サンプルホール回路部の第4の実施例の構成を示す。
【図14】 サンプルホールド回路部の第5の実施例の構成を示す。
【図15】 サンプルホールド回路部の第6の実施例の構成を示す。
【図16】 誘導型絶対位置トランスジューサ200からの受信信号を合成して、中,粗の絶対位置測定値を得る動作タイミングを示す。
【図17】 マイクロプロセッサ241により実行される全体の測定ルーチンの前半を示す。
【図18】 マイクロプロセッサ241により実行される全体の測定ルーチンの後半を示す。
【図19】 図17における密/粗測定ステップS110のより具体的なフローの前半を示す。
【図20】 同密/粗測定ステップS110のより具体的なフローの後半を示す。
【図21】 図17におけるステップS120のより具体的なフローを示す。
【図22】 図19におけるステップS200のより具体的なフローを示す。
【図23】 この発明による誘導型絶対位置トランスジューサの第2の好ましい実施例である。
【図24】 図23における平衡ループ対を拡大して示す図である。
【図25】 同実施例のスケールと出力信号を示す図である。
【図26】 この発明の誘導型絶対位置トランスジューサの第3の実施例を示す。
【図27】 同実施例のスケールと出力信号を示す図である。
【図28】 この発明の誘導型絶対位置トランスジューサの第4の実施例を示す。
【図29】 同実施例のバイナリコードトランスジューサとその出力を示す

【図30】 同実施例での出力対コード対位置のチャートを示す。
【図31】 読み出しヘッドに接続される信号発生処理回路の第2の好ましい実施例である。
【図32】 同信号発生処理回路の動作タイミング図である。
【図33】 バイナリコードスケールの好ましい第2の実施例における8ビットスケールパターンを示す。
【図34】 同バイナリコードスケールのルックアップテーブルを示す。
【図35】 密波長トランスジューサ410とバイナリコードトランスジューサ450を組み込んだ誘導型絶対位置トランスジューサ400の好ましい第5の実施例である。
【図36】 同実施例の要部を拡大して示す図である。
【図37】 典型的なバイナリコードスケール472の一部と、8個の平衡ループ対470及びその平衡ループ対470の複数個からの出力の波形436を示す。
【図38】 典型的なバイナリコードスケール472の一部と、8個の平衡ループ対470及びその平衡ループ対470の複数個からの出力の波形436を示す。
【図39】 典型的なバイナリコードスケール472の一部と、8個の平衡ループ対470及びその平衡ループ対470の複数個からの出力の波形436を示す。
【図40】 この発明の第6の実施例による誘導型絶対位置トランスジューサ600を示す図である。
【図41】 同実施例の各層の導体パターンを示す図である。
【図42】 この発明の第7の実施例による誘導型絶対位置トランスジューサ700を示す図である。
【図43】 A/Dコンバータ246から正規化されたディジタル出力を得るための信号処理回路730の好ましい実施例である。
【図44】 図43における高/低コード信号選択回路732の典型的な回路例を示す。
【図45】 この発明の好ましい第8の実施例による誘導型絶対位置トランスジューサ800を示す。
【図46】 図45に示すトランスジューサの変形例を示す。
【図47】 この発明の好ましい第9の実施例による誘導型絶対位置トランスジューサ900を示す。
【図48】 この発明の好ましい第10の実施例による誘導型絶対位置トランスジューサ1000を示す。
【図49】 この発明の好ましい第11の実施例による誘導型絶対位置トランスジューサ1100を示す。
【図50】 この発明の好ましい第12の実施例による誘導型絶対位置トランスジューサ1200を示す。
【図51】 この発明の好ましい第13の実施例による誘導型絶対位置トランスジューサ1300を示す。
【図52】 図51に示す実施例の変形例を示す。
【符号の説明】
400…誘導型絶対位置トランスジューサ、402…読み出しヘッド部材、404…スケール部材、410…密スケールトランスジューサ、420…コードトラックトランスジューサ、412…送信巻線、414,426…密スケール用受信巻線、422…コードトラック用受信巻線、424…正極性ループ、426…負極性ループ、427…平衡ループ対、170…磁束変調器、170…スペース。

Claims (9)

  1. スケール部材と、このスケール部材に対して測定軸に沿って相対移動可能に配置された読み出しヘッド部材と、前記スケール部材及び読み出しヘッド部材に備えられると共に前記読み出しヘッド部材とスケール部材の相対位置に応じた位置信号を出力するインクリメンタルトラック誘導位置トランスジューサ及び前記読み出しヘッド部材とスケール部材の絶対位置に応じた位置信号を出力するコードトラック誘導位置トランスジューサとを備えた誘導型絶対位置測定装置において、
    前記インクリメンタルトラック誘導位置トランスジューサは、
    前記読み出しヘッド部材に形成されたインクリメンタルトラック用送信手段と、
    前記読み出しヘッド部材に形成される少なくとも一つの受信器を含むインクリメンタルトラック用受信手段と、
    前記スケール部材に形成されると共に、測定軸に沿って配置された複数の磁束変調器が備えられたインクリメンタルトラックとを備え、
    前記コードトラック誘導位置トランスジューサは、
    前記読み出しヘッド部材に形成されたコードトラック用送信手段と、
    前記読み出しヘッド部材に形成されて各組がそれぞれn個(nは正の整数)の受信器を含む少なくとも1組のコードトラック用受信手段と、
    前記スケール部材に形成されると共に、測定軸に沿って分散配置された複数の領域に少なくとも一つの磁束変調器が備えられたコードトラックとを備え、
    前記磁束変調器は、前記各受信器と前記インクリメンタルトラック用送信手段又は前記コードトラック用送信手段の間の誘導結合の度合いを前記スケール部材と前記読み出しヘッドとの間の相対位置に応じて変調するものであり、且つ、
    前記コードトラックに備えられた磁束変調器は、測定軸に沿って一連のコード要素を形成すると共に、m個の隣接するコード要素の組が唯一のコード語を形成するものであり、且つ、
    前記唯一のコード語それぞれが所定の分解能で前記読み出しヘッド部材の前記スケール部材に対する絶対位置を決定し、
    前記インクリメンタルトラック誘導位置トランスジューサは、前記コードトラック誘導位置トランスジューサの分解能よりも細かい分解能で前記読み出しヘッド部材の前記スケール部材に対する相対位置を決定する
    ことを特徴とする誘導型絶対位置測定装置。
  2. コードトラックの磁束変調器として、磁束減衰器と磁束拡大器の両方又はいずれか一方を備えた
    ことを特徴とする請求項1記載の誘導型絶対位置測定装置。
  3. コードトラック用受信手段は、第1のコードトラック用受信手段と、この第1のコードトラック用受信手段に対して測定軸方向に磁束変調器領域の1/2ピッチだけ空間的にオフセットされた第2のコードトラック用受信手段とを備えた
    ことを特徴とする請求項1記載の誘導型絶対位置測定装置。
  4. コードトラック用送信手段に駆動信号を供給するための信号発生回路と、
    コードトラック用受信手段の出力信号をサンプリングしてホールドするサンプルホールド回路と、
    このサンプルホールド回路の出力をディジタル信号に変換するA/Dコンバータと、
    前記信号発生回路,サンプルホールド回路及びA/Dコンバータに制御信号を供給する論理回路とを有する信号発生及び処理回路を備えた
    ことを特徴とする請求項1記載の誘導型絶対位置測定装置。
  5. 少なくとも1組のコードトラック用受信手段は、複数組の受信器を有し、
    この複数組の受信器の少なくとも一つの受信器をサンプルホールド回路に選択的に接続するスイッチを備えた
    ことを特徴とする請求項記載の誘導型絶対位置測定装置。
  6. 前記インクリメンタルトラック用受信手段は、第1のインクリメンタルトラック用受信手段と、この第1のインクリメンタルトラック用受信手段に対してインクリメンタルトラック用受信手段の波長の1/4だけ空間的にオフセットされた第2のインクリメンタルトラック用受信手段とを有する
    ことを特徴とする請求項記載の誘導型絶対位置測定装置。
  7. 各コードトラック用受信手段は、正極性巻線と負極性巻線を含む平衡ループ対を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の誘導型絶対位置測定装置。
  8. インクリメンタルトラック受信手段は、正極性巻線と負極性巻線を含む平衡ループ対を有する
    ことを特徴とする請求項又は6に記載の誘導型絶対位置測定装置。
  9. 平衡ループ対は、インクリメンタルトラック用受信手段とは電気的に絶縁された状態でインクリメンタルトラック用受信手段上に重ねて配置され、且つ一つのスケール部分がコードトラックとインクリメンタルトラック部分を形成する
    ことを特徴とする請求項7記載の誘導型絶対位置測定装置。
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