JP4290823B2 - バッグ・イン・ボックス - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、バッグ・イン・ボックスに関し、特に、二軸延伸ブロー成形されたポリエステル樹脂製の容器を有するバッグ・イン・ボックスに関する。
【0002】
【背景技術及び発明が解決しようとする課題】
ディスペンサーやカップ式自動販売機など、いわゆるベンダーと称される機器では、5〜20リットルという、大容量の内容物を収容することが要求される。
【0003】
そこで、近年、バッグ・イン・ボックス(以下、BIBという)と称される容器が提案されている。
【0004】
このBIBは、段ボール箱またはカートンを外装し、内装にはプラスチック製袋または中空容器を装着した複合構造容器となっている。
【0005】
このようなBIBにおけるプラスチック製袋または中空容器は、通常ポリオレフィン系樹脂とされ、折り畳んだ状態で輸送され、かつ、内容物を充填するまでの間折り畳んだ状態で保管されるようになっており、内容物を充填した後、段ボール箱やカートン内に収納され、輸送されるようになっている。
【0006】
これに対し、リサイクル性、ボトル成形性、ガスバリア性等の優れたポリエステル樹脂、例えばPET(ポリエチレンテレフタレート)樹脂によるBIB用の中空容器の実現が望まれていた。
【0007】
しかしながら、PET製のBIB用中空容器においては、折り曲げられた部分の強度の低下や、内容物充填後のBIB輸送時の振動による肩部の破裂やピンホール対策等の問題が残されていた。
【0008】
本発明の目的は、二軸延伸ブロー成形されたポリエステル樹脂製の容器の肩部の強度を向上させ、輸送時における肩部の破裂やピンホールの発生等を防止することのできるバッグ・イン・ボックスを提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するため、本発明のバッグ・イン・ボックスは、二軸延伸ブロー成形されたポリエステル樹脂製の容器を有するバッグ・イン・ボックスにおいて、
前記容器は、ほぼ矩形状の側面を有する有底の胴部と、
前記胴部の一端側に配置された開口するネック部と、
前記ネック部と前記胴部との間に配置された肩部とを有し、
前記肩部は、ネック部側から胴部側へと徐々に拡径しているなで肩形状とされ、
前記肩部と前記胴部との境界付近に環状リブが形成されることを特徴とする。
【0010】
本発明によれば、肩部をネック部側から胴部側へと徐々に拡径しているなで肩形状とすることにより、内容物の内圧を分散して、振動を低減し、容器の変形、しわ寄りを防止することができ、しかも、肩部と胴部との境界付近に環状リブを形成することで、肩部と胴部の境界付近の強度を向上させ、肩部の変形等を極力低減して、輸送時における肩部の破裂やピンホールの発生を確実に防止することができる。
【0011】
本発明においては、前記肩部は、外方に向けて凸状となる緩やかな丸形状とされていることが好ましい。
【0012】
このような構成とすることにより、内容物の内圧を有効に分散させて振動による容器への負荷を低減させることができる。
【0013】
本発明においては、前記環状リブは、外側に向けて凸状に形成されていることが好ましい。
【0014】
このような構成とすることにより、内容物の内圧によって環状リブが変形するのを確実に防止することができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0016】
図1及び図2は、本発明の一実施の形態に係るバッグ・イン・ボックス(BIB)を示す図である。
【0017】
このBIB10は、図2に示すように、外装に、例えば段ボール箱12を用い、この段ボール箱12内に容器14を内装するようにしている。
【0018】
この容器14は、図示せぬポリエステル樹脂、例えばPET樹脂製のプリフォームを二軸延伸ブロー成形することで成形されるようになっている。
【0019】
また、この容器14は、ほぼ矩形状の4つの側面を有する有底の胴部16と、この胴部16の一端側に配置された開口するネック部18と、これらネック部18と胴部16との間に配置された肩部20とを有している。
【0020】
胴部16は、容器14の折り畳みを容易とするために薄肉とされ、例えば0.04〜0.13mmの肉厚に設定されている。
【0021】
この容器14の胴部16の肉厚は、さらに好ましくは、0.06〜0.09mmとするのがよい。
【0022】
これは、容器14の胴部16の肉厚を薄くしすぎると応力白化が生じ、厚くしすぎると折り畳み時の変形が阻害されるからである。
【0023】
胴部16の4つの側面には、各側面のほぼ対角線に沿った位置にて谷部となる折り目ライン2が形成されている。
【0024】
この折り目ライン22は、胴部16の各側面の折り目ライン22の外側には、折り目ライン22に向かうに従い、容器14の内方に向けて傾斜する第1、第2の斜面24、26が形成されている。
【0025】
この構造により、容器14は、胴部16の4つの側面の折り目ライン22を境にして、各側面の2つの第1、第2の斜面24、26が互いに近接する方向に谷折りされて折り畳まれるようになっている。
【0026】
さらに、胴部16の折り目ライン22にて仕切られた2つの第1、第2の斜面24、26には、折り目ライン22と例えば直交する方向に沿って延びる複数の第1、第2の斜面補強リブ28、30が形成され、これによって第1、第2の斜面24、26が面補強されている。
【0027】
従って、これら第1、第2の斜面補強リブ28、30の存在により、第1、第2の斜面24、26は、面変形することなく、折り目ライン22を境として、互いに密着するように谷折りされることとなる。
【0028】
また、4つの側面に位置する各側辺部には、2つの縦リブ32が形成され、この縦リブ32によって、各側辺部を補強するようにしている。
【0029】
なお、この胴部16における第1、第2の斜面補強リブ28、30及び縦リブ32は、容器14の内方に突出した凹リブとして形成され、段ボール箱12と、容器14の壁部との間の隙間を極力少なくし、BIB10の搬送時に衝撃によって段ボール箱12と容器14が衝突して、容器14が破裂するのを防止するようにしている。
【0030】
ネック部18は、図2に示すように破線で示したキャップを装着して段ボール箱12の内側にがたつきの無いようにピッタリと収納されるようになっている。
【0031】
肩部20は、、ネック部18から胴部16にかけて、外方に向けて凸状となる湾曲したなで肩形状とされている。
【0032】
具体的には、肩部20は、全体的に緩やかな丸形状とされている。
【0033】
このように、肩部20を外方に向けて凸状となる緩やかな丸形状に湾曲したなで肩形状とすることで、輸送時における内容物の内圧を分散して、振動を低減し、容器の変形、しわ寄りを防止し、肩部全体の強度を向上させることができる。
【0034】
肩部20は、段ボール箱12に収納された際に、ブロー成形された容器14の所望の形状、つまり、肩部が折り返されることなく段ボール箱12に収納されている。
【0035】
また、肩部20と胴部16との境界付近に、横リブを周方向に連続させた環状リブ34を形成している。
【0036】
具体的には、肩部20の下部位置に複数、例えば3本の環状リブ34を形成するようにしている。
【0037】
このように、環状リブ34によって肩部20と胴部16の境界付近の強度を向上させ、肩部20の変形等を極力低減して、輸送時における肩部の破裂やピンホールの発生を確実に防止することができるようにしている。
【0038】
また、環状リブ34は、外側に向けて凸状に形成され、内容物の内圧によって環状リブ34が変形するのを防止できるようにしている。
【0039】
容器14は、内容物、例えば水などを規定容量充填して、キャッピングされ、図2のように段ボール箱12に収納される。
【0040】
このように収納されたBIBは、輸送後、使用者によってミシン目に沿って段ボール箱12が開口され、BIBを横倒しにした状態で、ネック部18を段ボール箱から突出するように容器14をずらして使用する。
【0041】
次に、BIBの試験結果について説明する。
【0042】
この試験においては、BIBに対する振動試験と、輸送試験を行った。
【0043】
試験1
1.振動試験
(1)試験サンプル
内装用のPET樹脂製容器として、肩部を、外方に向けて凸状となる緩やかに円形状に湾曲したなで肩形状とし、肩部と胴部との境界付近に環状リブが形成されていないものを使用した。外装用には、段ボール箱を使用した。
(2)加振条件
伊東精機1S振動試験機により、全振幅5mm、振動方向上下、振動数600回/分、振動加速度1G、加振時間30分に設定した。
(3)試験手順
▲1▼PET樹脂製容器を外装用段ボール箱に入れ、規定容量まで注水。
▲2▼キャッピング、手できつく締める。段ボール箱の蓋を締めてガムテープで止める。
▲3▼試験器上に段ボール箱を固定。
▲4▼試験開始
▲5▼30分後、PET樹脂製容器の外観検査を行う。
2.試験結果
前記条件での試験結果は、PET樹脂容器の肩部に破裂やピンホールは見あたらず、内容物の漏れが発見されなかった。これは、肩部20に折り返しがないことと、肩部20を外方に向けて凸状となる緩やかな丸形状としたことによって、内圧に十分耐えることができるようになったためであると考えられる。
【0044】
試験2
1.輸送試験
振動試験と同様の試験サンプルを用いた。小諸市から名張市まで約450km及び名張市から川崎市まで約500kmについて路線便で輸送を行った。
2.試験結果
名張市においては、外観異常発見されず、そのまま川崎へ転送した。川崎市においては、PET製容器の肩部に若干のピンホールが発見された。これは、輸送中の振動によって肩部に細かな縦方向のしわ(折り目状)が発生するためと考えられる。
【0045】
試験3
1.振動試験及び輸送試験
前記試験1における輸送試験の結果をふまえ、PET樹脂製容器の形状変更を実施した。試験3におけるPET樹脂製容器は、試験1及び試験2における肩部の形状に加え、肩部と胴部との境界付近に外側に向けて凸状となる3本の環状リブを形成した。この試験サンプルを用いて試験1及び試験2と同様の振動試験及び輸送試験を再度行った。
2.試験結果
振動試験及び輸送試験のいずれにおいても、PET樹脂製容器の外観異常が発見されず、十分に使用に耐えうるものであることが判明した。これは、環状リブによって、肩部にしわが発生することを防止できたためである。
【0046】
本発明は、前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内において種々の形態に変形可能である。
【0047】
例えば、前記実施の形態では、PET樹脂製の容器を用いているが、PET樹脂製に限らず種々のポリエステル樹脂製の容器に適用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態に係るBIBに用いる容器を示す斜視図である。
【図2】図1の容器を仮想線で示す外装用の段ボール箱内に収納した状態を示す側面図である。
【符号の説明】
10 BIB
12 段ボール箱
14 容器
16 胴部
18 ネック部
20 肩部
34 環状リブ
Claims (3)
- 二軸延伸ブロー成形されたポリエステル樹脂製の容器を有するバッグ・イン・ボックスにおいて、
前記容器は、
4つの幅広の側面と、隣り合う各2つの側面の間に各一つずつ設けられた4つの幅狭の側辺部とを有する有底の胴部と、
前記胴部の一端側に配置された開口するネック部と、
前記ネック部と前記胴部との間に配置された肩部とを有し、
前記肩部は、ネック部側から胴部側へと横断面が円形状に徐々に拡径し、かつ外方に向けて凸状となるなで肩形状とされ、
前記肩部と前記胴部との境界付近に複数の環状リブが形成されることを特徴とするバッグ・イン・ボックス。 - 請求項1において、
前記4つの幅広の側面の各々には、ほぼ対角線に沿った折り目ラインを形成するように、前記折り目ラインの両側の面を補強する第1の補強リブが形成され、
前記4つの幅狭の側辺部の各々には、該側辺部を補強する第2のリブが形成されていることを特徴とするバッグ・イン・ボックス。 - 請求項1または2において、
前記環状リブは、外側に向けて凸状に形成されていることを特徴とするバッグ・イン・ボックス。
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