JP4289986B2 - 赤外線電球及び加熱装置 - Google Patents
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国際公開第WO01/041507号パンフレットに開示されている、従来例の赤外線電球を図8及び図9を用いて説明する。図8は、従来例の赤外線電球の全体構造を示す斜視図である。なお、図8は赤外線電球の両端側部分を示しており、その中央部分は両端側部分を繋ぐよう連続した構造を有しているため省略している。
放熱ブロック2自体の発熱は発熱体に比べて十分小さく無視できるものである。放熱ブロック2には発熱体1から熱が伝わってくるが、放熱ブロック2は表面積(輻射面積)が大きいため、その熱の一部は放熱ブロックの表面から発散する。そのため、放熱ブロック2と内部リード線3との接続部であるコイルバネ部3aの温度上昇を防ぐことができる。
発熱により発熱体1がその長手方向に膨張した場合でも、発熱体1とモリブデン箔5との間にスプリング部3bが設けられているため、発熱体1の膨張による寸法変化の影響はスプリング部3bの収縮により打ち消される。その結果、発熱体1に対して不要な曲げ力が働くことを防止することができる。このように、高温度で脆い状態の発熱体1に対して不要な曲げ力が加わることがないため、発熱体1は高温度になっても破損することがない。
発熱体1に溝92を形成することにより、発熱体1と放熱ブロック2との接触面積が増加し、接触抵抗を小さくすることができる。また、炭素系有機物質の接着剤91は黒鉛の放熱ブロック2に特に固着しやすいため、溝92に接着剤91が入り込み、発熱体1と放熱ブロック2との間は凹凸面の接合になり、接合強度は飛躍的に向上している。
接着剤を塗布した発熱体1を放熱ブロックに挿入しても接着剤の巻き込みが十分に起こらず、スリット内に均一に接着剤が塗布できない場合があった。その結果、発熱体1と放熱ブロック2との電気的接合面積が低下し、接触抵抗が増大することとなる。最悪の場合にはこの接合部の発熱により、放熱ブロック2が異常高温となり、放熱ブロック2の外周部に巻回されたコイルバネ部3aが溶断してしまうという問題があった。
接着剤の塗布から硬化の為の熱処理までの間に、大きな衝撃や取り扱い上の不注意により、発熱体1と放熱ブロック2との位置関係がずれてしまうおそれもあった。発熱体1と放熱ブロック2との位置関係がずれると、発熱部の抵抗値が変わり、赤外線電球のワット数も変わってしまう。
本発明は、発熱体とリード線の接続部の温度上昇を低く抑えることができ、発熱体と保持部材との取付部の信頼性を飛躍的に向上することができ、短時間で発熱体とリード線とを接続することができる赤外線電球を実現出来るという作用を有する。
本発明は、発熱体とリード線の接続部の温度上昇を低く抑えることができ、発熱体と保持部材との取付部の信頼性を飛躍的に向上することができ、短時間で発熱体とリード線とを接続することができる赤外線電球を実現出来るという作用を有する。
図1〜3及び図8を用いて、本発明の実施の形態1の赤外線電球について説明する。図8は、本発明の赤外線電球の全体の構成を示す斜視図である。図8は、赤外線電球の両端側部分を示しており、その中央部分は両端側部分を繋ぐよう連続した構造を有しているため省略している。
本発明の赤外線電球は、発熱体1、放熱ブロック2、内部リード線3、コイルバネ部3a、スプリング部3b、ガラス管4、モリブデン箔5、外部リード線6を有する。本発明の赤外線電球において、従来例と同一部には同一の符号を付している。
放熱ブロック(保持部材)2は導電性材料で形成されており、発熱体1の一端に電気的に接続されている。
内部リード線3のスプリング部3bは、放熱ブロック2の外周面から所定の間隔を有して配置されており、発熱体1の膨張による寸法変化を吸収できるように構成されている。実施の形態1において、内部リード線3はモリブデン線により形成する。
内部リード線3の他端は、ガラス管4の端部に結合されており、発熱体1は、両端を放熱ブロック2と内部リード線3とで保持される。
封止部において、内部リード線3の端には、モリブデン箔5が溶接して接続されている。モリブデン箔5には外部リード線6であるモリブデン線がスポット溶接法により接合されている。
外部リード線6に電力を印加すると、発熱体1に電流が流れ、その電流に対する発熱体の抵抗により熱が生じる。このとき、発熱体からは赤外線が輻射される。赤外線電球は、発熱体1の発熱温度が1500℃以下で定常状態になるように設計されている。
図1は、本発明の実施の形態1の赤外線電球における放熱ブロックの構造を示す正面図(a)及び右側面図(b)である。図1は、赤外線電球の一方の端の構造の一部を示したものであり、赤外線電球の他方の端も同様の構造となっている。本発明の放熱ブロック2は、導電性に優れた炭素系物質で形成されている。本発明の放熱ブロックは、第1の部材2aと第2の部材2bとで構成される。
この構成により、コイルバネ部3aは、第1の部材2aと第2の部材2bとが接点を支点として発熱体1の端部を挟み付ける方向にモーメントを生じるように、第1の部材2aと第2の部材2bに応力を加える。
第1の部材2aと第2の部材2bはそれぞれの凹部21a及び凸部21bを有し、それらが互いに嵌合することによって、第1の部材と第2の部材との位置が固定される。
放熱ブロック2は外周に角部22を有し、角部22によってコイルバネ部3aが回転しないように保持される。内部リード線3方向からコイルバネ部3aに引っ張り力を加えた場合においても、コイルバネ部3aが抜けない。
内部リード線3によって、放熱ブロック2がガラス管4の両端側に引っ張られる方向に力が働くが、放熱ブロック2と発熱体1とは凹凸部で固定されているため、発熱体1が放熱ブロック2から抜けることはない。発熱体1は内部リード線3のコイルバネ部3aが巻回された放熱ブロック2により両側に適度に引っ張られて安定して固定される。
発熱体1の中心に近い側の第1の部材2aと第2の部材2bの先端は、それぞれ面取りされている。これにより発熱体1と放熱ブロック2とが線接触し、点接触することを防ぐ。発熱体1と放熱ブロック2との接触面積が小さいと接触抵抗が大きくなり、接続部の温度が高くなり、放熱ブロック2の外周部に巻回されたコイルバネ部3aの弾性がなくなるからである。
図4を用いて、本発明の実施の形態2の赤外線電球について説明する。図4は、本発明の実施の形態2の赤外線電球における放熱ブロックの分解斜視図である。実施の形態2の赤外線電球が実施の形態1と異なる点は、発熱体と放熱ブロックがそれぞれ有する突出部の形状である。それ以外の点において、両者は同一である。実施の形態2の赤外線電球が実施の形態1と異なる点について説明し、同一の構成部分は説明を省略する。
図4において、第2の部材2bは、円形の突出部41を有し、発熱体1は円形の孔42を有する。第2の部材2bの突出部41を発熱体1の孔42に挿入し、その上に第1の部材2aを載せて、コイルバネ部3a(図示していない。)で挟み込む。第1の部材2aと第2の部材2bとは、実施の形態1と同様にそれぞれ凹型21a及び凸型21bの突起部で、位置が固定される。
コイルバネ部3aは、第1の部材2aと第2の部材2bとが接点を支点として発熱体1の端部を挟み付ける方向にモーメントを生じるように、第1の部材2aと第2の部材2bに応力を加える。これにより、発熱体1と放熱ブロック2は嵌合され、発熱体1が放熱ブロック2から抜けることはない。
図5を用いて、本発明の実施の形態3の赤外線電球について説明する。図5は、実施の形態3の第1の部材を示す3面図(正面図、底面図、右側面図)である。第2の部材2bは、第1の部材2aと同一形状である。第1の部材2aと第2の部材2bとは、第1の部材2aの凹部21a及び凸部21bが第2の部材2bの凸部21b及び凹部21aとそれぞれ向かい合って嵌合する様にし、第1及び第2の部材2a、2bの面51の間に発熱体1を挟み込んだ状態でコイルバネ3aによって固定される。
実施の形態3の赤外線電球が実施の形態1と異なる点は、放熱ブロック2が凸型の突出部31を有する代わりに、発熱体を挟持する部分51が所定以上の面粗さを有することである。それ以外の点において両者は同一である。実施の形態3の赤外線電球が実施の形態1と異なる点について説明し、同一の構成部分は説明を省略する。
実施の形態3の第1の部材2a及び第2の部材2bは、発熱体1と密着する部分51において所定以上の面粗さを有する。本発明において、最大面粗さRyは10μm以上である。
コイルバネ部3a(図示していない)は、第1の部材2aと第2の部材2bとが接点を支点として発熱体1の端部を挟み付ける方向にモーメントを生じるように、第1の部材2aと第2の部材2bとに応力を加える。
実施の形態3の放熱ブロック2は所定以上の面粗さを有する面51で発熱体1を挟持する。面51の大きな摩擦抵抗により、発熱体1が放熱ブロック2から抜けることはない。
図6を用いて、本発明の実施の形態4の赤外線電球について説明する。図6は、本発明の実施の形態4の赤外線電球における放熱ブロックの構造を示す斜視図である。実施の形態4の赤外線電球が実施の形態1と異なる点は、放熱ブロックの形状である。実施の形態4の赤外線電球が実施の形態1と異なる点について説明し、同一の構成部分は説明を省略する。
実施の形態4において、放熱ブロックは第1の部材2aと第2の部材2bとで構成され、第1の部材2aと第2の部材2bとの間に発熱体1を挟持した状態で、内部に板バネ62と空洞を有する筒状部材61に挿入される。板バネ62を筒状部材61の内壁に押し当てながら放熱ブロックを筒状部材61の中に挿入する構成により、板バネ62は、第1の部材と第2の部材とが接点を支点として発熱体1の端部を挟み付ける方向にモーメントを生じるように、第1の部材2aと第2の部材2bに応力を加える。
第1の部材2aと第2の部材2bとの位置合わせ、及び第1の部材2aと第2の部材2bとで発熱体1を挟み込む方法は実施の形態1〜3のいずれの方法を用いても良い。
図7を用いて、本発明の実施の形態5の赤外線電球を説明する。図7は、本発明の実施の形態5の赤外線電球における放熱ブロックの構造を示す正面図である。実施の形態5の赤外線電球が実施の形態1と異なる点は、放熱ブロックの形状である。それ以外の点において両者は同一である。実施の形態5の赤外線電球が実施の形態1と異なる点について説明し、同一の構成部分は説明を省略する。
実施の形態5の放熱ブロック71は一つの部材で形成されており、全体で連続する1つの面を形成する第1の面、第2の面、第3の面、第4の面及び第5の面を有する。第1の面と第5の面とは互いに対向してその間に発熱体1の端部を挟む。第1の面に続く第2の面と第5の面に続く第4の面とは発熱体と接しておらず、発熱体1の長手方向の延長線上にある第3の面は第2の面と第4の面とを結合する。
放熱ブロック71をコイルバネ部3aを半径方向に押し広げながらその中に挿入する構成により、コイルバネ部3aは、第1の面と第5の面とが第3の面を支点として発熱体1の端部を挟み付ける方向にモーメントを生じるように、放熱ブロック71に応力を加える。
2、71 放熱ブロック
2a 第1の部材
2b 第2の部材
3 内部リード線
3a コイルバネ部
3b スプリング部
4 ガラス管
5 モリブデン箔
6 外部リード線
61 筒状部材
62 板バネ
91 接着剤
Claims (16)
- 長手方向に延びる少なくとも1本の発熱体の両端に、それぞれリード線の一方の端部が直接又は他の導電体を介して電気的に接続され、前記リード線の他の端部がガラス管外に導出されるように、前記発熱体及び前記リード線がガラス管内に封入された赤外線電球であって、
前記発熱体の端部を保持する少なくとも1個の保持部材と、バネ材とを有し、
前記保持部材は、第1の部材と、第2の部材とを有し、
前記第1の部材と前記第2の部材とは、前記発熱体の長手方向の延長線上において互いの接点を有し、且つ前記発熱体の端部を挟持し、
前記バネ材は、前記第1の部材と前記第2の部材とを挟み込んで、前記第1の部材と前記第2の部材とが前記接点を支点として前記発熱体の端部を挟み付ける方向にモーメントを生じるように、前記第1の部材と前記第2の部材に応力を加えることを特徴とする赤外線電球。 - 前記バネ材はコイルバネであって、前記第1の部材と前記第2の部材とを前記コイルバネを半径方向に押し広げながらその中に挿入する構成により、前記バネ材は、前記第1の部材と前記第2の部材とが前記接点を支点として前記発熱体の端部を挟み付ける方向にモーメントを生じるように、前記第1の部材と前記第2の部材に応力を加えることを特徴とする請求項1に記載の赤外線電球。
- 前記バネ材は筒状部材の内面に取り付けられた板バネであって、前記第1の部材と前記第2の部材とを、前記板バネを前記筒状部材の内面に押し当てながら前記筒状部材の中に挿入する構成により、前記バネ材は、前記第1の部材と前記第2の部材とが前記接点を支点として前記発熱体の端部を挟み付ける方向にモーメントを生じるように、前記第1の部材と前記第2の部材に応力を加えることを特徴とする請求項1に記載の赤外線電球。
- 長手方向に延びる少なくとも1本の発熱体の両端に、それぞれリード線の一方の端部が直接又は他の導電体を介して電気的に接続され、前記リード線の他の端部がガラス管外に導出されるように、前記発熱体及び前記リード線がガラス管内に封入された赤外線電球であって、
前記発熱体の端部を保持する少なくとも1個の保持部材を有し、
前記保持部材は、全体で連続する1つの面を形成する第1の面、第2の面、第3の面、第4の面及び第5の面を有し、
前記第1の面と前記第5の面とは互いに対向してその間に前記発熱体の端部を挟み、前記第1の面に続く前記第2の面と前記第5の面に続く前記第4の面とは前記発熱体と接しておらず、前記発熱体の長手方向の延長線上にある前記第3の面は前記第2の面と前記第4の面とを結合し、
前記第1の面と前記第5の面との間隔は前記発熱体の厚さより狭く形成されており、それを押し広げて前記発熱体の端部を挿入することにより、前記保持部材は、前記第1の面と前記第5の面とが前記第3の面を支点として前記発熱体の端部を挟み付けるように、応力を生じる構成としたことを特徴とする赤外線電球。 - コイルバネを更に有し、
前記保持部材を前記コイルバネを半径方向に押し広げながらその中に挿入する構成により、前記コイルバネは、前記第1の面と前記第5の面とが前記第3の面を支点として前記発熱体の端部を挟み付ける方向にモーメントを生じるように、前記保持部材に応力を加えることを特徴とする請求項4に記載の赤外線電球。 - 前記保持部材は、外周に角部を有し、前記角部によってコイルバネが回転しないように保持されることを特徴とする請求項2又は請求項5に記載の赤外線電球。
- 前記保持部材が前記発熱体を挟持する部分における外径が、前記保持部材の支点における外径と同一又はそれ以下であることを特徴とする請求項6に記載の赤外線電球。
- 前記保持部材が前記発熱体と密着する部分が、前記発熱体の中心に近い側の前記保持部材の先端の近傍であって、且つその先端より前記発熱体の中心から遠い位置にあることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかの請求項に記載の赤外線電球。
- 前記発熱体の中心に近い側の前記保持部材の先端が面取りされていることを特徴とする請求項8に記載の赤外線電球。
- 前記保持部材又は前記発熱体に凸部を設け、前記凸部で前記保持部材と前記発熱体とが密着することを特徴とする請求項1から請求項9のいずれかの請求項に記載の赤外線電球。
- 前記発熱体又は前記保持部材において、前記凸部に対応する位置に前記凸部の突出量より浅い深さを有する凹部を設け、前記凸部で前記保持部材と前記発熱体とが密着することを特徴とする請求項10に記載の赤外線電球。
- 前記保持部材と前記発熱体が密着する部分において、両面または少なくとも一方が最大面粗さRy10μm以上の粗さを有することを特徴とする請求項1から請求項9のいずれかの請求項に記載の赤外線電球。
- 前記保持部材と前記発熱体との間に繊維状のカーボンシートを挟む構成を有することを特徴とする請求項1から請求項12のいずれかの請求項に記載の赤外線電球。
- 前記コイルバネが、その一端がガラス管の端部に結合されており、前記ガラス管内で、前記発熱体及び前記保持部材を保持することを特徴とする請求項2又は請求項5に記載の赤外線電球。
- 前記コイルバネが前記リード線を兼ねることを特徴とする請求項2又は請求項5に記載の赤外線電球。
- 請求項1から請求項15のいずれかの請求項に記載の赤外線電球を有する加熱装置。
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