JP4289917B2 - 加湿装置及び加湿機能付き換気装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、加湿雰囲気を形成する気化式の加湿装置及び換気とともに加湿雰囲気を形成する加湿機能付き換気装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
気化式の加湿装置は、透湿膜でできた多数の袋体による加湿器を送風通路内に置き、加湿器に水を供給して、空気との熱交換により加湿器の水を気化させ、空気を加湿するものであり、空気中の潜熱を増加させる機能を果たすものである。このような気化式の加湿装置では、加湿運転を停止すると、多量の水分を含有した状態で袋体が放置されることになり、送風機も停止するため、袋体の周囲に空気が滞留し、袋体から蒸発した水蒸気が飽和して加湿器の周辺を含め湿潤状態になり易い。このような湿潤状態においてでは、空気中に浮遊しているカビの胞子や細菌が袋体に付着し、繁殖し易い。このような湿潤状態を解消するために、加湿運転を予め設定された時刻に停止させるに際し、その時刻より所定時間前に加湿器への給水を停止させ、送風機だけを運転させて、加湿器を乾燥させる方法が採られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開2002−235946号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上述した従来の加湿装置は、加湿運転の停止時刻前に加湿器を所定時間の間乾燥させる乾燥運転を行うものであるため、加湿運転中に停電等で通電が遮断された場合には、停電が復帰し復電したときには加湿器は運転停止で起動することになる。そしてこの運転停止状態のまま加湿運転が行われなければ、加湿器は湿潤状態のまま放置され、カビや細菌の増殖を招き、その後、加湿運転を行うと加湿空気が臭いを帯たりすることになる。
【0005】
本発明は、上記した従来の課題を解消するためになされたもので、その課題とするところは、運転中に停電等で通電が遮断されても、復電したとき加湿器の乾燥運転を行い、加湿器が湿潤状態に放置されることのない加湿装置を得ることであり、その加湿装置を組込んだ加湿機能付き換気装置を得ることである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するために本発明は、透湿膜に臨む複数の通風路を備え、その通風路を通過する空気を加湿する加湿器と、給水源に接続され、加湿器に加湿用の水を送水する給水系と、加湿器から水を排水する排水系と、通風路を通過する空気流を形成する送風機と、給水系や排水系並びに送風機を制御するとともに運転情報を記憶する不揮発性の記憶手段を持つ制御手段とを備え、その制御手段により、運転中に停電等で通電が遮断した後、復電したとき、通電遮断時の記憶手段の運転情報を読出し、通電遮断時の運転モードが加湿運転であったときには給水系を閉止すると共に排水系を開放して送風機を運転することで加湿器を乾燥させる乾燥運転を所定時間行ってから、通電遮断時の記憶手段の運転情報に基づく運転モードで運転させるようにする手段を採用する。
【0007】
前記課題を達成するために他の発明は、換気装置の熱交換器の下流側の給気通路に上記した加湿装置を組込む手段を採用する。
【0008】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
図1〜図5は本実施の形態の加湿機能付き換気装置を示すものである。この加湿機能付き換気装置は、給排気流間で連続的に熱交換させながら換気を行う熱交換換気装置に加湿装置を組込み、必要時には室内へ供給する給気流を加湿して加湿雰囲気の気流にするものである。換気装置の本体箱体1内には、室外の新鮮な空気を室内へ供給するための給気通路2と、室内の空気を室外へ排気するための排気通路3とが仕切壁により全経路において独立状態に画成されている。排気通路3には排気流を形成する送風機4が、また、給気通路2には給気流を形成する送風機5が組込まれている。
【0009】
給気通路2と排気通路3のそれぞれの一部は、内蔵された積層型で六面体の熱交換器6の二次通路と一次通路でそれぞれ構成され、排気流と給気流との間で連続的な熱交換が可能に構成されている。熱交換器6に近い給気通路2には、給気通路2の当該部分を横断する状態に加湿装置の中核となる加湿器7が組込まれている。送風機5は、給気通路2に熱交換器6の二次通路を経て加湿器7を通過する給気流を吸込み側において形成するように本体箱体1内の一側部側に組込まれ、送風機4は、排気通路3に熱交換器6の一次通路を通過する排気流を吸込み側において形成するように本体箱体1内の他側部側に組込まれている。
【0010】
給気通路2の入口端は、本体箱体1の一側に開設された給気吸込口8であり、ダクト接続可能の接続口として形成され、その出口端は、本体箱体1の他側に開設された給気吹出口9で、ダクト接続可能の接続口として形成されている。また、排気通路3の入口端は、本体箱体1の他側に開設された排気吸込口10で、ダクト接続可能の接続口として形成され、その出口端は、本体箱体1の一側に開設された排気吹出口11で、ダクト接続可能の接続口として形成されている(図1参照)。
【0011】
加湿装置は、図2に斜視図で示すように加湿器7と、加湿器7で生じるドレンを受容し外部に排水するドレン容器12と、水道設備等の給水源に接続され、加湿器7に加湿用の水を送水する給水系と、加湿器7に空気流を通過させる送風機5とから構成されている。換気装置に加湿装置を組込む場合には、送風機に関しては、換気装置の給気用の送風機5がその機能を果たすため別に設ける必要はない。
【0012】
加湿器7は、図1に示すように熱交換器6より下流側の給気通路2の下部に設置されたドレン容器12上に一個又は複数個(図示のものは二個)が直接設置される。各加湿器7の天部構造の両側の稜角部は、仕切壁と本体箱体1の正面側内壁面とに装架されたガイドレールに抜き差し可能に保持されている。加湿器7には加湿用の水を供給する電磁弁14を備えた給水系と、排水のための排水弁15を有する排水系が構成されている。
【0013】
加湿器7自体は自然蒸発式であり、同形同寸法の多数の加湿機能体が複数枚積層されて、図2に示すような六面体に構成されている。加湿器7には空気を通す通風路となる送気層と水を蓄える保水層とが一層おきに形成されている。各加湿機能体は、保水層を構成する導水体と送気層を構成するスペーサとから構成され、保水層を構成する導水体は、剛直性と通水性を持つ三次元多孔板よりなる導水部材(図示しない)を、水は透過せずに水蒸気については透過する多孔性の透湿膜により形成した袋状の膜体内に封入し、両者の結合した複合シート構造の長方形や正方形の扁平部材として構成されている。
【0014】
加湿器7に加湿用の水を送水する給水系は、加湿器7に給水する水の圧力と流量を調整する電磁弁14と、給水系への塵の侵入を防ぐストレーナを含む水路として構成され、給水源側との接続部を除く給水系の各接続部分は、図2に示すように全てドレン容器12内に集約されている。
【0015】
加湿装置の停止時には給水系の電磁弁14は閉止され、排水系の排水弁15は開放される。この電磁弁14や排水弁15並びに送風機5は制御手段16により制御される。制御手段16は、マイクロプロセッサやシーケンサ等によって構成され、図3に示すように加湿装置の運転情報を記憶する不揮発性の記憶手段17と、通電検知部18とを備えている。また、例えば、停電等によって給電が断たれた場合でも、少しの時間は通電状態を維持できるように図示しないコンデンサ等のバックアップ手段が備えられていて、このバックアップ手段により、停電等により給電が断たれたときでも加湿装置の運転情報を記憶手段17に書込むことができる。制御手段16には、コントロール部に加湿運転、乾燥運転、停止を指示するコントロールスイッチ20が設けられ、このコントロールスイッチ20により、運転モードの設定が行われる。
【0016】
加湿装置が運転中に停電等により通電が遮断されると、制御手段16は図4に示すフローチャートに従って停電時の処理動作を行う。即ち、ステップ♯1で通電検知部18が停電を検知すると、ステップ♯2で、そのときの運転情報を記憶手段17に書込む処理をして、停電時の処理を終了する。そして、通電検知部18が通電を検知し、復電したときは、制御手段16は、図5に示すフローチャートに従って復電時の処理を行う。即ち、ステップ♯3で記憶手段17から停電時の運転情報の読込みを行い、ステップ♯4へ進む。ステップ♯4では運転情報が加湿運転かどうかを判定し、加湿運転であればステップ♯5へ進み、そうでなければステップ♯7へ進む。ステップ♯5では、所定時間(透湿膜により形成された袋状の膜体の水分を乾燥させるに十分な時間、例えば3時間)、電磁弁14を閉じ、排水弁15を開放し、送風機5を運転させる乾燥運転を行う処理をしてステップ♯6へ進み、加湿運転に移行する処理をして終了する。ステップ♯7では、運転情報の運転モード、乾燥運転か停止の処理をして処理を終了する。
【0017】
復電した際に、停電時の運転情報が加湿運転であってもステップ♯5で乾燥運転を行うのは、停電して加湿装置が停止した場合、復電時には一旦、加湿器7を乾燥させ、カビの胞子や細菌の付着を防止する意味がある。乾燥運転と言っても、加湿器7には水分が残存し、これを蒸発させる動作であるので、時間の進行につれ加湿量は少なくなるが消極的な加湿運転ということができる。
【0018】
実施の形態2.
図6から図8に示す本実施の形態は加湿装置に関するものである。この加湿装置も基本的構成は実施の形態1で示した熱交換換気装置に組込んだ加湿装置と同じである。従って、実施の形態1のものと同じ部分については、実施の形態1のものと同じ符号を用い、それらについての説明は省略する。また、図4については本実施の形態でも援用することにする。
【0019】
この加湿装置は、コントロール部に停電復帰自動運転スイッチ21が設けられている。この停電復帰自動運転スイッチ21は、停電復帰後の運転モードを設定する設定スイッチであり、利用者が予め停電復帰後の運転モードを加湿運転か乾燥運転かのいずれかに設定するものである。この加湿装置の制御手段16は、図6に示すように空調装置22と通信線で接続でき、空調装置22からも運転モードの指示が可能である。
【0020】
加湿装置が運転中に停電等により通電が遮断されると、制御手段16は図4に示すフローチャートと同様の停電時の処理動作を行う。即ち、ステップ♯1で通電検知部18が停電を検知すると、ステップ♯2で、そのときの運転情報を記憶手段17に書込む処理をして、停電時の処理を終了する。そして、通電検知部18が通電を検知し、復電したときは、制御手段16は、図7に示すフローチャートに従って復電時の処理を行う。即ち、ステップ♯8で記憶手段から停電時の運転情報の読込みを行い、ステップ♯9へ進む。ステップ♯9では運転情報が加湿運転かどうかを判定し、加湿運転であればステップ♯10へ進み、そうでなければステップ♯12へ進む。ステップ♯10では停電復帰自動運転スイッチ21が加湿運転に設定されているかどうかの判定を行い、加湿運転に設定されていればステップ♯11で加湿運転する処理をして終了する。ステップ♯10で乾燥運転に設定されていれば、ステップ♯13で乾燥運転する処理をして終了する。ステップ♯12では、停電時の運転情報に基づき、停止又は乾燥運転の処理をして終了する。これにより、停電が復電したとき、停電時の運転モードが、停止又は乾燥運転であれば停止又は乾燥運転で起動し、加湿運転モードであれば、停電復帰自動運転スイッチ21の設定に従って、加湿運転モード又は乾燥運転モードで起動することになる。
【0021】
この制御シーケンスでは、停電時の運転情報が加湿運転で、停電復帰自動運転スイッチ21が加湿運転に設定されている場合には、加湿器7は乾燥されることはなく、停電が長期にわたることはあまりないので、カビの繁殖や細菌の繁殖といった問題はないが、停電が長期にわたった場合に対応できる制御シーケンスを採用することも可能である。即ち、図8のフローチャートで示すように図7のフローチャートのステップ♯9とステップ♯10の間に、乾燥運転の処理をするステップ♯14を挿入すればよい。これにより、加湿運転モードで停電した場合の復電時の起動は、乾燥運転モードから行われ加湿器7は乾燥状態におかれることになる。
【0022】
【発明の効果】
本発明によれば、運転中に停電等で通電が遮断されても、復電したとき加湿器の乾燥運転を行い、加湿器が湿潤状態に放置されることのない加湿装置が得られる。
【0023】
また他の発明によれば、運転中に停電等で通電が遮断されても、復電したとき加湿器の乾燥運転を行い、加湿器が湿潤状態に放置されることのない加湿機能付き換気装置が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施の形態1の加湿機能付き換気装置の構成を天板部及び側板を除いて示す斜視図である。
【図2】 実施の形態1の加湿装置を拡大して示す斜視図である。
【図3】 実施の形態1の加湿装置の制御手段を示すブロック構成図である。
【図4】 実施の形態1の加湿装置の停電時の制御動作を示すフローチャートである。
【図5】 実施の形態1の加湿装置の復電時の制御動作を示すフローチャートである。
【図6】 実施の形態2の加湿装置の制御手段を示すブロック構成図である。
【図7】 実施の形態2の加湿装置の復電時の制御動作を示すフローチャートである。
【図8】 実施の形態2の加湿装置の復電時の他の制御動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1 本体箱体、 2 給気通路、 3 排気通路、 4 送風機、 5 送風機、 6 熱交換器、 7 加湿器、 14 電磁弁、 15 排水弁、 16制御手段、 17 記憶手段、 18 通電検知部、 21 停電復帰自動運転スイッチ。

Claims (4)

  1. 透湿膜に臨む複数の通風路を備え、その通風路を通過する空気を加湿する加湿器と、給水源に接続され、前記加湿器に加湿用の水を送水する給水系と、前記加湿器から水を排水する排水系と、前記通風路を通過する空気流を形成する送風機と、前記給水系や排水系並びに前記送風機を制御するとともに運転情報を記憶する不揮発性の記憶手段を持つ制御手段とを備え、その制御手段により、運転中に停電等で通電が遮断した後、復電したとき、通電遮断時の前記記憶手段の運転情報を読出し、通電遮断時の運転モードが加湿運転であったときには前記給水系を閉止すると共に前記排水系を開放して送風機を運転することで前記加湿器を乾燥させる乾燥運転を所定時間行ってから、通電遮断時の前記記憶手段の運転情報に基づく運転モードで運転させるようにした加湿装置。
  2. 請求項1に記載の加湿装置であって、制御手段に停電復帰自動運転設定手段を設け、この制御手段により、運転中に停電等で通電が遮断した後、復電したとき、通電遮断時の記憶手段の運転情報を読出し、加湿運転であれば、前記停電復帰自動運転設定手段の設定に基づいて加湿運転又は乾燥運転を行わせるようにした加湿装置。
  3. 請求項1に記載の加湿装置であって、制御手段に停電復帰自動運転設定手段を設け、この制御手段により、運転中に停電等で通電が遮断した後、復電したとき、通電遮断時の記憶手段の運転情報を読出し、加湿運転であれば、所定時間の間乾燥運転を行わせた後、前記停電復帰自動運転設定手段の設定に基づいて加湿運転又は乾燥運転を行わせるようにした加湿装置。
  4. 室内の空気を取入れ室外へ排気するための排気通路と、室外の空気を取入れ室内へ給気するための給気通路とを本体箱体内に画成し、その給気通路の一部を熱交換器の二次通路と加湿器の通風路で構成し、前記排気通路の一部を前記熱交換器の一次通路で構成し、前記給気通路には前記熱交換器の二次通路を経て前記加湿器を通過する給気流を形成する給気用送風機を設け、前記排気通路には前記熱交換器の一次通路を通過する排気流を形成する排気用送風機を設けた加湿機能付き換気装置であって、前記加湿器を、透湿膜に臨む複数の通風路を備え、その通風路を通過する空気を加湿する構成とするとともに、加湿に係る運転情報を記憶する不揮発性の記憶手段を持つ制御手段を設け、この制御手段により、運転中に停電等で通電が遮断した後、復電したとき、通電遮断時の前記記憶手段の運転情報を読出し、通電遮断時の運転モードが加湿運転であったときには前記給水系を閉止すると共に前記排水系を開放して送風機を運転することで前記加湿器を乾燥させる乾燥運転を所定時間行ってから、通電遮断時の前記記憶手段の運転情報に基づく運転モードで運転させるようにした加湿機能付き換気装置。
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