JP4288061B2 - 変速機のカバー取付装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両用変速機のカバー取付装置、特に電気自動車用パーキングロック機構の防護カバーを取り付けるための装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
車両におけるパーキングロック機構においては、変速機のケース片側に操作系部品、センサースイッチ系部品(図1中参照番号63)を集中的に配置する必要があり、パーキングロック機構の構成部品であるコントロールシャフト80、及びコントロールレバーカバー110のオバーハング(突出部)が増大し、カバー110自体が大型化する。その結果、モータによる振動から発生される共鳴を減少させる対策が必要となる。このカバー110が大型化したことによる共鳴対策に一般に採用される構造としてラバーフローティング構造がある。
【0003】
ここでいうラバーフローティング構造とは、変速機ケース5にコントロールレバー90等を保護するコントロールレバーカバー110を取り付ける構造であり、カバー110を複数のボルト112でケースに取り付けるときに、カバー110とボルト112の間及びケース5とボルト112の間にそれぞれラバー部材114を配置させ、該ラバー部材114により振動を減衰させることで共鳴を防止することとしている。なお、ラバーフローティング構造は、コントロールレバーカバー110と変速機ケース5との取り付けに限られるものではなく、例えばシリンダヘッドカバーの取り付け等にも使用できる(例えば、特許文献1を参照)。
【0004】
【特許文献1】
特開平6−50210号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来のラバーフローティング構造には以下の問題がある。
1)車両の底部近傍に配置されるカバーを路面への衝突や路面からの飛散物による打撃から保護するために、カバーをケースに連結させるボルトの曲げ強度のみにより対応させるため、ボルトサイズが大型化し、またボルトを受容するケースの締め付け座ボスの剛性を高くする必要が生じ、結果として重量が増加する。
2)また、カバーの支持をボルトを堅く隙間なく締結させることにより行うため、打撃破損発生時にはボルト近傍に応力が集中し、ボルトの湾曲、ねじ部ケース座面の陥没を誘発する。従って、部品交換が必要となり、特に変速機ケース側に破損が生じた場合には部品費用、交換負担が大きい。
3)さらにカバーに生じた力を受容しラバー部材がかしめられたときにラバーはカバーを担持する要素であるため、ラバーの変形量に応じてカバー変位が生じる。この際、カバーの変位によりカバー内部部品がカバー内壁に衝突することを回避するために内部部品とカバーとの隙間を大きく設定する必要があり、結果、周辺の部品配置スペースを拡大させる必要がある。
【0006】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、従来の変速機のカバー取付装置に比してカバーとケースとを連結するボルトへの応力負担が少なくカバー内部部品とカバー内壁との間の隙間を縮小しカバー周辺部品の配置スペースを拡大することが可能な変速機のカバー取付装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を解決するために、車両の前後方向に延びる変速機ケース側面に設けられ、該変速機ケースに対してカバー部材をフローティング支持の状態でボルトを用いて取付ける変速機ケースのカバー取り付け装置であって、前記変速機ケースには、前記車両に対する前記カバー部材の上下方向上方への移動を制限するストッパ部分が設けられて構成されたことを特徴とする変速機のカバー取付装置を提供する。
【0008】
本発明における変速機のカバー取付装置によれば、カバー部材と変速機のケースとの間にカバー部材締結用のボルトのみならず、カバー部材の移動を規制するストッパ部分を介在させることとしている。具体的には、例えば、車両、特に電気自動車のパーキングロック機構におけるコントロールレバーやポジショニングセンサスイッチ等のケース外部突出部品を保護するために変速機ケースの下部前方に配置されるカバー部材の場合には、変速機のケースにカバー部材方向に突出するストッパリブを設け、カバー部材をケースに取付けた際に、該リブによりカバー部材が前後方向一方(カバー部材が前後に移動する方向、後述の実施形態では後方)、又は前後方向一方且つ上下方向上方に移動することを規制することができる。
【0009】
これにより、カバー部材に加わる外部入力される応力のうち大部分についてはケースから延びるストッパ部分が受容することとなり、該ストッパを経由してケースに分散されて伝達される。従って、ストッパ部分がない従来のカバー取付装置のように外部入力の応力がボルトへ集中することを回避することができ、ボルトへの負担が軽減される。その結果、ボルトサイズを小型且つ軽量化することが可能となる。また、カバー部材の移動量がストッパ部分により規制されるためにカバー部材の内部部品とカバー部材の内壁との隙間が小さくても内部部品がカバー部材の内壁に衝突するおそれがない。すなわち、本取付装置によれば、カバー部材の内部部品と該カバー部材内壁との隙間を縮小、ひいてはカバー部材を小型化することができ、結果、カバー部材の周辺部品の配置スペースを拡大することもできる。さらに、打撃破損時においては上述するようにカバー部材へ加えられた外部応力は変速機ケースに付与されるストッパ部分に受容され、ボルトへの負担は軽減されるため、ケースの中のボルトを受容する部分の破損を回避でき、結果、交換が困難なケースの破損を回避することができる。
【0010】
さらに、本発明の変速機カバー取付装置は、前記カバー部材が前記ストッパ部分に当接するまでの上下方向における移動可能距離が、前記カバー部材と前記ボルトとの上下方向における隙間よりも小さくなるように設定されている。なお、前記変速機ケースには、複数の前記ストッパ部分が設けられて構成され、前記複数のストッパ部分のうち少なくとも1つの前記ストッパ部分は、前記カバー部材が前記ストッパ部分に当接するまでの前後方向における移動可能距離が、前記カバー部材と前記ボルトとの前後方向における隙間よりも小さく構成されたことが好ましい。
【0011】
このため、本発明に係るカバー取付装置によれば、打撃破損等の衝撃時にカバー部材が移動しボルトに当接するよりも先にカバー部材をケースから突出するストッパ部分に当接することとなる。従って、カバー部材に入力される外部応力がボルトに伝達されるよりも先にストッパ部分に伝達されケースに分散されることとなり、上述するボルト負担の減少、ボルトサイズの小型軽量化をさらに達成することができる。
【0012】
さらに、本発明の変速機カバー装置は、前記ケースの内部に収容される部品と前記カバー部材の内壁との上下方向における隙間が、前記カバー部材と前記ボルトとの上下方向における隙間よりも大きいことが好ましい。このようなカバー取付装置によれば、打撃破損等の衝撃によりカバー部材が移動・変形した場合に、カバー部材の内壁が内部部品に当接するよりも先にボルトに当接することとなる。従って、カバー部材への外部応力が内部部品に加わらず、ボルトに伝達され、ケースに分散されることとなり、ポジションセンサのような衝撃に弱い内部部品を十分に保護することが可能となる。実際には、上述するようにカバー部材はボルトに当接するよりも先にケースのストッパ部分に当接することとなる。
以下、添付図面を参照しつつ本発明の好ましい実施の形態について説明する。
【0013】
【発明の実施の形態】
図2を参照すれば、本発明の一つの実施形態について説明の前提として車両、特に電気自動車用変速機の構成を示したスケルトン図である。この図に示すように、本実施形態の車両用変速機(以下、単に「変速機」と称す)1は、図示しない車両に搭載されたバッテリBからの電力供給を受けて出力軸Sに回転動力を与える電動モータMを原動機としており、いわゆる電気自動車に搭載される型の車両用変速機である。
【0014】
この変速機1におけるメインシャフト10は変速機ケース5の内部において第一ベアリング51及び第二ベアリング52により軸回り回転自在に支持されており、電動モータMの出力軸Sと直結結合されている。カウンタシャフト20はメインシャフト10と平行な位置に第三ベアリング53及び第四ベアリング54により軸回り回転自在に支持されている。
【0015】
メインシャフト10上に固定されたメインギア12はカウンタシャフト20上に固定されたカウンタギア22と常時嵌合しており、電動モータMよりメインシャフト10に入力された回転動力は、これらメインギア12及びカウンタギア22を介してカウンタシャフト20に伝達される。カウンタシャフト20上におけるカウンタギア22の右方位置にはファイナルドライブギア24が設けられており、このファイナルドライブギア24は、ディファレンシャルケース30に固定されたファイナルドリブンギア32と常時嵌合している。
【0016】
ディファレンシャルケース30の内部には2つのディファレンシャルオピニオン34及び2つのサイドギア36、36には左右のアクスルシャフト42、42が固定されている。これら左右のアクスルシャフト42、42の中心軸はメインシャフト10及びカウンタシャフト20の回転軸と平行に配置されており、ディファレンシャルケース30はこれら左右のアクスルシャフト42、42の中心軸を回転軸として回転できるように第五ベアリング及び第六ベアリング56により支持されている。また、左右のアクスルシャフト42、42の端部には図示しない駆動輪(車輪の前輪)が取り付けられている。
【0017】
図2に示すように、変速機1の変速機ケース5は右側ケース5aと左側ケース5bとからなっている。ここで、図3(A)は変速機1を左方より見た側面図であり、図3(B)は左側ケース5bを取り外した状態の変速機1を左方より見た側面図である。これらの図から分かるように、右,左側ケース5a,5bは複数の接合ボルト7により接合されるようになっており、右側ケース5aの右方には電動モータMが複数のモータ取付ボルト8により取り付けられている。
【0018】
図4は車両の運転席(図示せず)の内部に設けられたシフトレバー100を斜め上方から見た斜視図である。シフトレバー100の基部に設けられたエスカッション部102には4つのシフトポジションマーク「P(パーキング)」、「R(後退)」、「N(ニュートラル)」、「D(前進)」が順に前方から後方へ記されており、シフトレバー100はこれら4つのポジションマークに対応する4ポジションのいずれかに位置させることが可能である。なお、シフトレバー100の基部には図示しないデテント機構が設けられており、シフトレバー100は必ずこれら4つのポジションのいずれかにのみ位置しうるようになっている。
【0019】
また、図2に示すように、カウンタシャフト20上におけるカウンタギヤ22の左方位置にはパーキングギヤ26が固定されている(図3(B)も参照)。このパーキングギヤ26は、シフトレバー100が「P」ポジションにシフトされたときにカウンタシャフト20を変速機ケース5に対してロックするために使用されるギヤであり、外周部には後述するパーキングロックポール72が噛み合うための歯が多数設けられている。
【0020】
図5は、パーキングギヤ26を中心にカウンタシャフト20のロックに関する部材を取り出して描いた斜視図であり、図5における左方が図2における左方に相当している。この図に示すように、パーキングギヤ26が固定されたカウンタシャフト20と平行に延びる位置にはパーキングシャフト70が軸回り回転(揺動)自在に設けられており、このパーキングシャフト70には前述のパーキングロックポール72が固定されている。パーキングロックポール72の端部には、パーキングギヤ26の外周歯と対向するように突出して設けられた突起72aが形成されており、この突起72aがパーキングギヤ26の外周歯と噛み合ったときに、パーキングギヤ26、すなわちカウンタシャフト20が変速機ケース5に対してロックされる。
【0021】
ここで、パーキングロックポール72、すなわちパーキングシャフト70は、パーキングシャフト70上に設けられたコイル状のリターンスプリング74により、図5中に示す矢印Aの方向(パーキングギヤ26から離間する方向)に常時付勢された状態となっており、後述するように、シフトレバー100が「P」ポジションにシフトされてパーキングロックポール72がパーキングギヤ26に押し付けられない限りは、パーキングロックポール72の突起72aはパーキングギヤ26の外周歯と噛み合わないようになっている。従って、突起72aは、パーキングシャフト70を上記リターンスプリング74の付勢力に抗して図5中に示す矢印Bの方向に軸回り回転(揺動)させることによりはじめて、パーキングギヤ26の外周歯に噛み合わせることができる。
【0022】
パーキングシャフト70と平行に延びる位置にはコントロールシャフト80が軸回り回転(揺動)自在に設けられている。このコントロールシャフト80上にはその軸外方向に延びたコントロールレバー90とパーキングレバー82が設けられており、このうちコントロールレバー90はレバー取付ボルト86によりコントロールシャフト80上に着脱自在に固定されるようになっている。一方、パーキングレバー82は断面がコの字状に形成されたアーム部82aの基端側がコントロールシャフト80上に回転自在に取り付けられており、アーム部82aの他端側には円筒状のローラー部材82bが回転自在に取り付けられている。
【0023】
パーキングレバー82はコントロールシャフト80上に設けられた図示しないストッパにより図5中に示す矢印Cの方向への回転移動(揺動)が制限されるとともに、コントロールシャフト80上に設けられたコイル状のリターンスプリング84により常時矢印Cの方向に付勢されており、コントロールシャフト80が軸回りに回転したときには、これと一体となって回転するようになっている。しかしながら、コントロールシャフト80が矢印Cの方向に回転したとき、パーキングレバー82はこれに追従できずにリターンスプリング84により矢印Cの方向へ付勢されたまま「待ち」の状態となる場合がある。このような抵抗力が作用するのは、パーキングロックポール72の突起72aがパーキングギヤ26の外周歯と噛合できずに、外周歯上に乗り上げた場合である。
【0024】
ここで、シフトレバー100が「P」ポジション以外のポジションから「P」ポジションにシフトされると、コントロールシャフト80は矢印Cの方向に回転し、パーキングレバー82のローラー部82bはパーキングロックポール72のカム面72b上を転動移動しながらパーキングロックポール72を矢印Bの方向(パーキングギヤ26側)に押圧する。これによりパーキングロックポール72(及びパーキングシャフト70)はリターンスプリング74の付勢力に抗して矢印Bの方向に回転し、パーキングロックポール72に設けられた前述の突起72aがパーキングギヤ26の外周歯に噛み合う。これによりカウンタシャフト20は変速機ケース5に対してロックされ、左右のアクスルシャフト42,42に繋がる駆動輪(図示せず)は固定される。
【0025】
なお、このときパーキングロックポール72の突起72aがパーキングギヤ26の外周歯と噛合できずに外周歯上に乗り上げたときには、パーキングレバー82はパーキングロックポール72により矢印Dの方向に付勢された状態となり、リターンスプリング84を捻り状態にして「待ち」の状態となる。そして、その後、駆動輪が僅かに動いてカウンタシャフト20が矢印A若しくは矢印Bの方向に回転したとき、リターンスプリング84の付勢力によってパーキングレバー82は矢印C方向に回転移動し、パーキングロックポール72を矢印Bの方向へ押圧するので、パーキングロックポール72の突起72aはパーキングギヤ26の外周歯に噛み合うこととなる。
【0026】
一方、シフトレバー100が「P」ポジションから「P」以外のポジションにシフトされると、コントロールシャフト80は矢印Dの方向に回転し、パーキングレバー82はコントロールシャフト80上に設けられた前述のストッパにより押圧されてコントロールシャフト80と一体となって矢印D方向へ回転移動(揺動)する。このときパーキングレバー82のローラー部82bはパーキングロックポール72のカム面72b上を転動移動し、パーキングロックポール72がリターンスプリング74の付勢力により矢印Aの方向に移動するのを許容する。これによりパーキングロックポール72の突起72aはパーキングギヤ26の外周歯から離脱し、カウンタシャフト20の変速機ケース5に対する固定(すなわち左右のアクスルシャフト42、42に繋がる駆動輪の固定)は解除される。
【0027】
次に、上述する変速機1のパーキングロック機構のうちケース5外部に突出した部材、すなわち本発明のカバー取付装置によりケース5に取り付けられるコントロールレバーカバー110の内部に配置される部材について説明する。図1を参照すれば、変速機1においてコントロールシャフト80は、その右端部と中央部とが左側ケース5bにより軸周り揺動自在に保持されており、その左端側の部分が左側ケース5bより外部(左方)に突出して延びている。また、コントロールレバー90はコントロールシャフト80における左側ケース5bの外部に突出した上記部分に位置しており、このコントロールレバー90に取付けられたコントロールワイヤ104は、図1の紙面に垂直な方向に延びて設けられている。
【0028】
また、図3(A)及び図1に示すようにように、左側ケース5bの外面側には、コントロールシャフト80の左側ケース5bの外部に突出した部分を覆うようにコントロールレバーカバー110が取り付けられている。このコントロールレバーカバー110は、コントロールシャフト80における左側ケース5bの外部に突出した部分に取り付けられた諸部材(コントロールレバー90やベアリング126、ポジションセンサスイッチ63など)を、路面への衝突や路面からの飛散物による打撃から保護するために設けられる。
【0029】
ここで、本発明は、このコントロールレバーカバー110をケース5、特に左側ケース5bに取付けるための装置を提供するものである。
このコントロールレバーカバー110は、図3(A)及び図1に示すように、複数のカバー取付ボルト112により左側ケース5bに対して着脱自在に取付けられる。この際、左側ケース5bとコントロールレバーカバー110との間に何ら介在させることなく単にカバー取付ボルトのみで取付けると、変速機ケース5内の振動がコントロールレバーカバー110に伝達されてコントロールレバーカバー110が共振し、共鳴を生じさせる。従って、該共振を防止するために従来より、図6に示すようなラバーシート130をケース5bとカバー110の間に介挿させることとしている。また、同様の目的でカバー110とカバー取付ボルト112との間にもラバー部材114を介挿させている。このような共鳴対策のためにラバーシート130、ラバー部材114のような弾性材を介挿させる構造をラバーフローティング構造という。
【0030】
しかしながら、上述する従来式である図1、6に示すようなラバーフローティング構造においては、路面への衝突や路面からの飛散物によるカバーへの外部入力からカバーの変形等を保護する役割はカバー取付ボルト112が撓むことで達成される構造をなしている。すなわち、打撃からのカバー110の保護はボルト112がの曲げ強度で対応する構造をなしている。従って、ボルト112は大きな負荷に耐え得るだけのサイズを要し、結果、カバー110及びカバー取付装置全体として小型化を図ることができなくなる。また、ボルト112に大きな負荷が加えられたときにボルト112が湾曲し、ボルト112の湾曲により部品交換し難いケースのねじ穴付近(特に、変速機ケース5に設けられたボルトの締め付け座ボス)が変形する。さらに、このラバーフローティング構造ではラバー部材114が変形し、これに応じてラバー部材114に当接するカバー110もラバー部材114の変形するため、カバー110の内部の部品がカバー110の内壁に接触することとなり、内部部品のうちポジショニングセンサスイッチ63のごとき衝突に弱い部品の破損を招致する原因となる。従って、内部部品とカバー110との隙間を大きく設定する必要があり、結果としてカバー110の大型化を招き、ひいてはカバー周辺の部品用スペースを余分に設ける必要がある。
【0031】
このような従来式の図1、6に示すようなラバーフローティング構造における問題を解決するようなラバーフローティング構造が図7、8に示されている。図7は、変速機ケース360にカバー300が取り付けられた状態を示す略側面図である。また、図8は、図7のラインB−Bに沿った略側面図である。なお、両図は本カバー取付装置におけるラバーフローティング構造の理解を重視するために該構造の構成の説明に直接的でない変速機の種々の部品については省略している。
【0032】
図7を参照すれば、変速機ケース360からコントロールレバーカバー300に設けられた凹部分(図示せず)内に柱状のリブ320が延びていることが判る。このリブ320は、ケース360に対するカバー300の前後方向及び上下方向の移動を妨げるストッパ部分としての役割を有する。すなわち、本カバー取付装置によれば、カバー300に外部入力が作用し、カバー300が移動する場合にカバー300の移動をストッパ部分としてのリブ320が受容することとなる。従って、カバー300に作用する外部入力の大部分はリブ320に伝達し、ボルト310に伝達される力は全体の極一部に過ぎない。
【0033】
また、図8を参照すれば、変速機ケース360とコントロールレバーカバー300と各ボルト310との相互間の位置関係が示されている。ここで図8に示すラバー部材330とラバーシート340とはそれぞれ、従来式のフローティングラバー構造のカバー取付装置を示す図6の中のラバー部材114とラバーシート130とに相当する。具体的には、ラバー部材330がカバー300とボルト310との間に介挿され、ラバーシート340がカバー300とケース360との間に介挿される。また、ボルト310はケース360に固く締結される。従って、図8に示す構造ではケース360と一体化したボルト310に対してカバー300が隙間を空けて浮いている(フローティング)状態を構成し、該隙間に弾性材たるラバー部材330等を配置させていることとなっている。さらに、詳細には、ラバー部材330はカバー300がボルト310の長手後退方向(図8における左方向)に移動することを規制し、ラバーシート340はカバー300が上方向及びボルト310の長手前進方向(図8における右方向)に移動することを規制している。
【0034】
このようなカバー300の移動の規制は、ラバー部材330、ラバーシート340に対してカバー300が押し付けられることによるカバー300の運動減衰によりなされ、車両運転時のカバー300の共鳴の防止を促進させる。しかしながら、車両運転時にカバー300が路面に衝突し又は路面からの飛散物による打撃を受けるような場合、すなわち底部方向からの大きな外部入力が作用する場合には、カバー300とボルト310とケース360(特にケース360から突出するリブ320)との相互位置関係、あわせてカバー300のコントロールレバーやポジショニングセンサスイッチ等の内部部品350(図8においては、各部品ごとには示さず、総括して参照番号を付している)とカバー300内壁との位置関係が重要になる。カバー300に大きな荷重が作用するとラバー部材330等による運動減衰を超えて対向するケース360等の部材に力が伝達し、カバー300又はケース等の変形、破損を招くからである。特に、交換し難い変速機ケース360の部材、カバー300内部に配置される内部部品350の変形、破損を回避する必要があり、むしろカバー300が損傷することによりこれらの部材への荷重伝達を減少される方が望ましい。
【0035】
まず、本発明の実施形態では、底部からの外部入力がカバー300に作用した場合には該カバー300の端部がボルト310に到達するよりも先にケース360から突出するリブ320に到達するような位置関係を有する。具体的に図8を参照すれば、リブ320とカバー300に設けられたボルト310の挿入口400の外表面上側400aとの距離Sが、ボルト310と該挿入口400の内表面下側400bとの距離bよりも小さい関係を有する(S<b)。このような位置関係を有することにより底部からの外部入力によりカバー300が上方に移動した際に挿入口400の外表面上側400aがリブ320に到達した状態でもボルト310表面に挿入口400の内表面下側400bが到達しておらず隙間を残した状態を構成することとなる。従って、底部からカバー300への外部入力の大部分はリブ320が受容する、すなわち大きな外部入力がボルト310に伝達することを回避することができる。このことによりケース360に設けられたボルト310のねじ穴が破損することがなく、交換、修理が困難である変速機ケース360の破損を防止することができる。
【0036】
さらに、図7、8に示す本発明の実施形態においては、上述するボルト310と該挿入口400の内表面下側400bとの距離bが、カバー300の内部部品350のうち最も下方に位置するもの(図示せず)とカバー310の内壁との距離cよりも小さいように配置されている(b<c)。これにより、底部からの外部入力がカバー300に作用し、カバー300が上方に移動してもカバー300の内部部品350がカバー300の内壁に衝突することはない。このことは、カバーの内部部品350のうちでも衝撃に弱いセンサを保護することに役立つことになる。
【0037】
以上、車両用変速機1についての説明をしつつ本発明の実施形態の一例として、変速機から外部に突出する構成部品を保護するためのカバーの取付装置について説明してきたが、本発明はこれに限定されるものではなく他の種々の改良例、変形例が存在することが当業者に容易に理解されよう。例えば、本発明のカバー取付装置におけるラバー・フローティング構造は、車両用の変速機カバーの取り付けに使用するだけでなく、振動や外部荷重が作用する部分における部品を保護するカバー要素の取付装置として種々利用することができる。
【0038】
【発明の効果】
本発明によれば、コントロールレバーカバーに加わる外部入力を大部分をカバーのストッパとして変速機ケースから延びるリブに伝達させ、ケース全体に分散させることができる。従って、カバーを取付ける要素としてのボルトへの負担を軽減させ、ボルトサイズの小型軽量化を図ることができる。
【0039】
また、本発明のカバー取付装置によれば、外部入力が作用してもカバーの移動量が規制されるため、カバーで保護される内部部品とカバーとの隙間を縮小して設定することができ、カバー周辺の部品配置用スペースを小さくすることができる。さらに、本発明によれば、カバーに作用する外部入力をリブで受容することができるため、カバー側に強度の弱い部分を設定すれば、破損が生じる場合にもカバーが破損するだけであり、交換が困難で且つ高価な変速機ケースを破損させず、カバー交換をするだけで対応することができる。その結果、車両のユーザへのメンテナンス負担を軽減するとともに、メンテナンス時の作業性も向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のカバー取付装置が取り付けられる変速機の断面図である。
【図2】図1に示す変速機の構成を示すスケルトン図である。
【図3】(A)は図1の変速機を左方より見た側面図であり、(B)は変速機の左側ケースを取り外した状態の変速機を左方より見た側面図である。
【図4】車両の運転席内に設けられたシフトレバーを斜め後方から見た斜視図である。
【図5】パーキングギヤを中心にカウンタシャフトのロックに要する部材を取り出して描いた斜視図である。
【図6】図1の変速機において、ラバーシート及びコントロールレバーカバーの変速機ケースへの取り付けの様子を示す図である。
【図7】本発明のカバー取付装置によりコントロールレバーカバーが変速機に取付けられた状態を示す変速機の側面図である。
【図8】図7のラインB−Bに沿った断面図であり、本発明のカバー取付装置を略示している。
Claims (3)
- 車両の前後方向に延びる変速機ケース側面に設けられ、該変速機ケースに対してカバー部材をフローティング支持の状態でボルトを用いて取付ける変速機ケースのカバー取り付け装置であって、
前記変速機ケースには、前記車両に対する前記カバー部材の上下方向上方への移動を制限するストッパ部分が設けられて構成され、
前記カバー部材が前記ストッパ部分に当接するまでの上下方向における移動可能距離が、前記カバー部材と前記ボルトとの上下方向における隙間よりも小さいことを特徴とする変速機のカバー取付装置。 - 前記変速機ケースには、複数の前記ストッパ部分が設けられて構成され、
前記複数のストッパ部分のうち少なくとも1つの前記ストッパ部分は、前記カバー部材が前記ストッパ部分に当接するまでの前後方向における移動可能距離が、前記カバー部材と前記ボルトとの前後方向における隙間よりも小さく構成されたことを特徴とする請求項1に記載の変速機のカバー取付装置。 - 前記ケースの内部に収容される部品と前記カバー部材の内壁との上下方向における隙間が、前記カバー部材と前記ボルトとの上下方向における隙間よりも大きいことを特徴とする請求項1または2に記載の変速機のカバー取付装置。
Priority Applications (1)
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JP2002342450A JP4288061B2 (ja) | 2002-11-26 | 2002-11-26 | 変速機のカバー取付装置 |
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