JP4285673B2 - 光電変換型カラー光センサーおよびイメージセンサー - Google Patents

光電変換型カラー光センサーおよびイメージセンサー Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は色素により増感された半導体電極を用いた光電変換型のカラー光センサーおよびイメージセンサーに関する。
【0002】
【従来の技術】
汎用の固体光センサーには、結晶シリコン、アモルファスシリコン、GaAsなどの化合物半導体のp−n接合あるいはp−i−n接合を用いる素子が一般に用いられており、高感度の光電変換型光センサーとして入力光信号を直接電気的デジタル出力信号として取り出す多様な目的に利用されている。これらの固体接合素子をピクセルとして2次元アレイ化した微小チップは画像入力センサーとして実用化され、その典型がビデオ用あるいはデジタルカメラ用のCCDである。しかしこれらの固体光センサーは、基本的に光不透過性であるため、感光域の異なる複数のピクセル(例えば青(B),緑(G),赤(R))を積層することは困難であり、感光域の異なる受光単位(画素)を平面的に並べた構造を取らざるを得なかった。
【0003】
また上記欠点のほか、固体接合を用いたアレイセンサーには下記の問題点がある。第1は、Siウエハの精密加工や蒸着などの工程を要するため素子がコスト高となる点である。第2は、シリコンを用いると赤外光(熱線)に敏感なために屋内の暗光源下では画像検出のS/N比が低下し、この対策として赤外カットフィルターが必要となる点である。第3は、固体センサーの感光波長領域はバンドギャップによって一義的に決まり分光波長特性はフラットに近いかブロードとなるため、センサー単独では分光検出機能がない点である。このためカラーセンシングには特定の波長領域の光を透過するカラーフィルターが必要となる。第4は、シリコンウエハを加工の出発素材とするためにセンサーの大面積化(ウエハ以上のサイズ)が現実的に困難である点である。第5には、センサー構造をフレキシブルな支持体上に設けることが困難であり、センサーの形状(平面性)が限定される点である。
【0004】
一方、複雑な3次元的な接合構造を用いずに電気化学的界面を利用して色素の吸収光を電気応答に変換する方法として、有機色素を感光機構に取り入れた光電変換素子が、Nature(第353巻、第737〜740頁、1991年)、米国特許4927721号、同5350644号、特開平5-504023号、及び特許2963276号などに開示されている。とくに色素によって増感された多孔質半導体微粒子を用いた光電池は、高い対入射光量子効率で電流を取り出すのに優れている。したがって高効率の光センシングに有効であるが、このままの構成ではカラーの光情報のセンシングに直接使うことは出来ない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上記問題を解決し、高効率かつ大面積化が容易な光電変換型カラー光センサーを提供することである。さらには、このカラー光センサーを用いた大面積イメージセンサーを提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的に鑑み鋭意研究の結果、本発明者らは、前述の色素増感型半導体電極を用いた光電変換素子の構造を利用して、吸収波長の異なる複数の透明半導体電極を2層以上積層することにより、高効率かつ大面積化が容易な光電変換型カラー光センサーを提供できることを見出し、本発明に想到した。すなわち、本発明の光電変換型カラー光センサーは、導電層及び半導体を含む感光層からなる半導体電極を用いたものであり、感光波長領域の異なる複数の半導体電極と、少なくとも1つの対極と、電荷移動層とを有し、前記感光波長領域の異なる複数の半導体電極及び対極は相互に間隙を設けて積層され、各半導体電極と対極との間隙には電荷移動層が充填されている。
【0007】
本発明の光電変換型カラー光センサーは、感光層が光透過性であることを特徴とし、重層構成により透過光を利用して波長域の異なる光情報や画像情報を同時に検出することを可能としている。各感光層が、特定の波長領域に選択的に強いバンド吸収を持つため、カラーセンシングの色再現性を高めるとともに、感色性を自在に調節することが可能である。
【0008】
もう1つの本発明であるイメージセンサーは、本発明の光電変換型カラー光センサーを単位とする画素を複数配列させたものである。
【0009】
本発明はまた下記条件を満たすことにより、一層優れた光電変換型カラー光センサー及びイメージセンサーが得られる。
【0010】
(1) 強度付与の観点から、前記導電層及び/又は対極を支持体上に設置することが好ましい。
【0011】
(2) 前記対極は、感光波長領域の異なる半導体電極に対応して複数積層されているか、あるいは、感光波長領域の異なる半導体電極のすべてに共通する共通対極の1層のみであることが好ましい。後者の場合、複数の電荷移動層を、半導体電極及び/または該対極を貫通するリーク孔を通じて相互に電気的に連結させることが好ましい。
【0012】
(3) 前記複数の半導体電極は、感光波長領域が短波長の順に入射光側に配置されていることが好ましい。特に光入射側から順にそれぞれ青色感光層、緑色感光層および赤色感光層を有する半導体電極とすることが好ましい。
【0013】
(4) 前記感光波長領域の異なる複数の半導体電極のうち少なくとも1の半導体電極は、色素を吸着した半導体微粒子を感光層に含有することが好ましい。
【0014】
(5) 前記半導体微粒子が、金属カルコゲニド、あるいはTiO2、ZnO、SnO2およびWO3から選ばれる少なくとも一種の金属酸化物が好ましい。
【0015】
(6) 電荷移動層がイオン伝導性の電解質を含有することが好ましく、溶融塩電解質を含有することがより好ましい。特にイミダゾリウム塩を主体とし、揮発性成分を含まない室温溶融塩電解質を用いることが好ましい。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の光電変換型カラー光センサー及びイメージセンサーについて詳細に説明する。
【0017】
[I] 光電変換型カラー光センサー
(A) 光電変換型カラー光センサーの内部構造
まず本発明の光電変換型カラー光センサーの内部構造から説明する。本発明の光電変換型カラー光センサーは、感光波長領域の異なる複数の半導体電極を光の入射方向に積層した新規な層構成を有するものである。
【0018】
本発明の光センサーは、感光波長領域の異なる複数の半導体電極と、少なくとも1つの対極と、電荷移動層とを有し、前記感光波長領域の異なる複数の半導体電極及び対極は相互に間隙を設けて積層され、各半導体電極と対極との間隙には電荷移動層が充填されている。それぞれの層の境界では、各層の構成成分同士が相互に拡散混合していてもよい。
【0019】
本発明に用いる半導体電極は、Nature(第353巻、第737〜740頁、1991年)、米国特許4927721号、同5350644号、特開平5-504023号、及び特許2963276号などに開示されている半導体電極の構成を用いたものであり、導電層及び半導体を含む感光層からなる。好ましくは半導体電極2を、図1の拡大図に示すように、導電層21と、色素222によって増感された半導体微粒子221を含む感光層22と、当該半導体微粒子の間の空隙に充填された電荷輸送材料31とから構成する。電荷輸送材料31は電荷移動層3と同様の組成物を用いることができる。
【0020】
対極は、感光波長領域の異なる半導体電極に対応して複数設けても良いし、複数の半導体電極に共通する共通対極を1層のみ設けてもよい。後者の場合、前記複数の半導体電極のすべてが電荷移動層を介して対極と電気的に接触している必要があるため、半導体電極及び/または対極に電荷移動用のリーク孔を設ける。
【0021】
上記のカラー光センサーの構成に加えて、機械的強度を付与するため、必要に応じて導電層および/または対極に支持体を設けてもよい。支持体の片面にのみ半導体電極(対極)を設けても良いし、支持体の両面にそれぞれ感光波長領域の異なる2層の半導体電極(対極)を設けても良い。
【0022】
本発明においては、感光波長領域の異なる複数の半導体電極のすべての感光層に光を到達させる必要があるため、前述の光入射側の半導体感光層(たとえば青色感光層)を担持した導電層(および必要に応じて用いるその支持体)が実質的に光学的に透明でなければならない。また、その他の色素増感半導体感光層を担持する導電層や支持体も同様に透明であり、上層の感光層を透過した光が導電層を透過し下層の感光層に至る状況が満足されていなければならない。ただし、最下層の感光層の導電層及びその支持体は、その下層に感光層が配置していない場合は、不透明であってもよい。同様に、最下層が対極である場合は、対極およびその支持体は不透明であってよい。
【0023】
カラー光センサーの分光性を向上するためには、各半導体電極がシャープな分光波長特性を有することが好ましく、半導体電極のうち少なくとも1層は、色素を吸着した半導体微粒子を感光層に含有することが好ましい。具体的には、青色(B)、緑色(G)、赤色(R)の3色の波長領域にそれぞれ独立に強い吸収を持った色素増感半導体電極を設けることが好ましい。なお、色素を吸着しない半導体電極とする場合、半導体層には可視光波長領域に光学吸収を持つ半導体が用いられ、このような半導体としては、例えばCdS,CdSe,GaAs、GaP,Siなどの半導体が有効である。
【0024】
また、感光波長領域の異なる半導体感光層が積層された構造において、光入射側に最も近い感光層から最も遠い感光層向かって、感光波長が長波長となる順序で配置することが好ましい。また、半導体感光層が青色感光層(B層)、緑色感光層(G層)、赤色感光層(R層)の3層からなる場合、光入射側から順次、B層、G層、R層の順で配置されていることが好ましい。
【0025】
本発明の光電変換素子の内部構造は、たとえば、図1〜図3に示すように目的に合わせ様々な形態が可能である。
【0026】
図1は本発明に基づいたもっとも単純な構成の例であり、3層の半導体電極と、1層の共通対極を用いた構成の例である。ガラスのような透明な支持体1を3枚使用し、第1の支持体1の下面に透明な青色半導体電極2aを設け、第2の支持体1の上面に透明な緑色半導体電極2bを設けるとともに下面に赤色半導体電極2cを設け、第3の支持体1の上面に対極4を設け、前記青色半導体電極2aと緑色半導体電極2bとの間及び、赤色半導体電極2cと対極4との間にそれぞれ電荷移動層3を充填した構成からなる。緑色半導体電極2b、第2の支持体及び赤色半導体電極2cを貫通する電荷移動用のリーク孔1aにより、青色半導体電極2aと、緑色半導体電極2bと、赤色半導体電極2cと対極4とは、それぞれ電荷移動層3を介して接している。ここで光は、青色半導体電極2a側から入射して、青色半導体電極2aを一部透過して緑色半導体電極2bへ、次いで赤色半導体電極2cへと到達する。
【0027】
図2は、3層の半導体電極と、2層の対極を用いた構成の例である。透明な支持体1を3枚使用し、第1の支持体1の下面に透明な青色半導体電極2a、電荷移動層3、透明対極4、電荷移動層3の順に積層し、第2の支持体1の上面に透明な緑色半導体電極2bを設けるとともに下面に赤色半導体電極2cを設け、第3の支持体1の上面に対極4、電荷移動層3の順に積層し、前記第1〜第3の支持体を密着固定した構造からなる。
【0028】
図3は、3層の半導体電極それぞれに対応して3層の対極を用いた構成の例である。透明な支持体1を4枚使用し、第1の支持体1の下面に透明な青色半導体電極2aを設け、第2の支持体1の上面に透明対極4を設けるとともに下面に透明な緑色半導体電極2bを設け、第3の支持体の上面に透明対極4を設けるとともに下面に赤色半導体電極2cを設け、第4の支持体の上面に対極4を設け、各半導体電極と対極の間に電荷移動層3を充填した構成からなる。
【0029】
尚、本発明の光電変換型カラー光センサーの内部構造は、図1〜図3に限定されるものではなく、例えば積層順序を入れ替えたり、2層あるいは4層以上の半導体電極を用いた構成にすることもできる。
【0030】
上記のような構成のカラー光センサーは、感光波長領域の異なる半導体電極において、各感光波長領域の光の強度に応じた光電流を発生させる。これを外部回路によって検知することにより、入射光の色(波長)とその強度をセンシングすることができる。
【0031】
本発明で、色素で増感された半導体を感光層に用いる場合、該色素を光励起することにより一方向に電流が整流された電気伝導性を生じる。色素により増感された半導体がn型半導体の場合は光アノード、p型半導体の場合は光カソードと呼ばれ、それぞれ電流の流れが一方向に制御された光電流(アノード光電流もしくはカソード光電流)を生じる。光アノードを用いた場合、感光層に入射した光は半導体上に吸着した色素を励起する。励起状態の色素はエネルギーの高い励起電子をn型半導体の粒子群の伝導帯に注入し、伝導帯電子は半導体バルクに移行し、半導体を担持する導電層に到達する。電子注入した後の色素分子は電子の欠損した酸化体ラジカルとなるが、色素と接する電荷移動層中の電子供与体(電解質においてはイオン性還元剤)によって電子的に還元され、速やかに色素に再生される。導電層が受け取った電子は外部回路を通り対極に移行する。このとき、光励起下で発生する電流が外部回路で光電流として観測される。また、半導体電極に光カソードを用いた場合は、色素の励起によって励起電子が電荷移動層中の電子受容体に渡され、一方、色素の酸化体(正孔)はp型半導体の価電子帯に注入されて半導体バルクに移行し、結果として、外部回路では光アノードの場合とは逆方向の光電流が観測される。
【0032】
感光波長域の異なる半導体電極を素子に用いることにより、それぞれ異なる波長の光に対して上記の光電流を観測できるので、カラー光センサーとして機能することができる。
【0033】
(B) 各層を構成する物質
次いで、本発明の光電変換型カラー光センサーの各層を構成する物質について詳細に説明する。
【0034】
(a) 支持体
本発明においては、すべての半導体電極に入射光が到達する必要があるため、最下層に用いる支持体を除いて、ガラス又はプラスチック等の透明支持体を用いる。ガラスとしては低コストのソーダ石灰フロートガラス等が挙げられる。透明ポリマーフィルムの材料としては、テトラアセチルセルロース(TAC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、シンジオクタチックポリステレン(SPS)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリカーボネート(PC)、ポリアリレート(PAr)、ポリスルフォン(PSF)、ポリエステルスルフォン(PES)、ポリエーテルイミド(PEI)、環状ポリオレフィン、ブロム化フェノキシ等がある。
【0035】
(b)半導体電極
(i)導電層
感光層に光を透過させるため、導電層は実質的に透明であるのが好ましい。実質的に透明であるとは光の透過率が10%以上であることを意味し、50%以上であるのが好ましく、70%以上が特に好ましい。好ましい導電剤としては金属(例えば白金、金、銀、銅、アルミニウム、ロジウム、インジウム等)、炭素、又は透明の導電性金属酸化物(インジウム−スズ複合酸化物、酸化スズにフッ素をドープしたもの等)が挙げられる。これらの中で特に好ましいものは、導電性金属酸化物である。導電層の厚さは0.02〜10μm程度が好ましい。
【0036】
ただし、下層(光入射面と反対側)に感光層が存在しない部位には、金属板等の不透明導電層を用いることもできる。金属板が十分な強度を有する場合は、半導体電極に支持体は不要である。
【0037】
導電層は表面抵抗が低い程よい。好ましい表面抵抗の範囲は100Ω/□以下であり、さらに好ましくは40Ω/□以下である。表面抵抗の下限には特に制限はないが、通常0.1Ω/□程度である。
【0038】
導電層の抵抗を下げる目的で金属リードを用いてもよい。金属リードの材質はアルミニウム、銅、銀、金、白金、ニッケル等の金属が好ましく、特にアルミニウム及び銀が好ましい。金属リードは透明導電層上に蒸着、スパッタリング等で設置するか、あるいは前述の透明支持体上に金属リードを設け、その上にフッ素をドープした酸化スズ、又はITO膜からなる透明導電層を設けるのが好ましい。金属リード設置による入射光量の低下は好ましくは10%以内、より好ましくは1〜5%とする。
【0039】
(ii)感光層
感光層において、半導体はいわゆる感光体として作用し、光を吸収して電荷分離を行い、電子と正孔を生ずる。色素増感された半導体では、光吸収及びこれによる電子及び正孔の発生は主として色素において起こり、半導体はこの電子または正孔を受け取り、伝達する役割を担う。本発明では、異なる半導体種および/または異なる色素を適宜選択することにより、感光波長域の異なる感光層(半導体電極)を作製することができる。
【0040】
(イ)半導体
本発明で用いる半導体材料は、その固有光吸収域の光で励起された場合に電気伝導性を生じる材料であり、エネルギー準位として価電子帯と伝導帯を有し、バンドギャップに相当する波長の光で励起すると伝導帯電子と価電子帯正孔を生じる。このときn型半導体では伝導帯の電子がキャリアー、p型半導体では価電子帯の正孔がキャリアーとなって移動し電気伝導性を生じる。好ましい半導体は伝導に関わるキャリアーの濃度が1014〜1020個/cm3の範囲の半導体である。本発明に関わる半導体電極の色素増感の機構は、本多健一、藤嶋昭、化学総説No7、p77(1976)、渡辺正、滝澤卓朗、本多健一、触媒、20、p370(1978)に詳解されている。
【0041】
半導体の材料としてはシリコン、ゲルマニウムのような単体半導体の他に、III−V系化合物半導体、金属カルコゲニド(例えば酸化物、硫化物、セレン化物等)またはペロブスカイト構造を有する化合物等を使用することができる。これら酸化物およびカルコゲニドの金属として、好ましくはチタン、スズ、亜鉛、鉄、タングステン、ジルコニウム、ハフニウム、ストロンチウム、インジウム、セリウム、イットリウム、ランタン、バナジウム、ニオブ、もしくはタンタルの酸化物、カドミウム、亜鉛、鉛、銀、アンチモン、ビスマスの硫化物、カドミウム、鉛のセレン化物、カドミウムのテルル化物等が挙げられる。他の化合物半導体としては亜鉛、ガリウム、インジウム、カドミウム等のリン化物、ガリウムヒ素、銅−インジウム−セレン化物、銅−インジウム−硫化物等が挙げられる。
【0042】
また、ペロブスカイト構造を有する金属化合物として好ましくはチタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ナトリウム、チタン酸バリウム、ニオブ酸カリウムが挙げられる。
【0043】
半導体は、不純物準位をもたず伝導帯電子と価電子帯正孔によるキャリアーの濃度が等しい固有半導体(あるいは真性半導体)の他に、不純物に由来する構造欠陥により電子キャリアー濃度の高いn型半導体と、正孔キャリアー濃度の高いp型半導体が存在する。本発明では、n型半導体またはp型半導体のいずれかを複数の半導体電極のそれぞれに用いることができる。好ましくはn型半導体である。
【0044】
本発明で好ましく用いられるn型の無機半導体は、TiO2、TiSrO3、ZnO、Nb23、SnO2、WO3、Si、CdS、CdSe、V2O5、ZnS、ZnSe、SnSe、KTaO3、FeS2、PbS、InP、GaAs、CuInS2、CuInSe2などである。これらのうち最も好ましいのはTiO2、ZnO、SnO2、WO3である。また好ましいp型の無機半導体は、Cu2O、CuI、GaP、GaAs、NiO、CoO、FeO、GaP、Cr2O3、SnS、Bi2O3、MoO2、Si、Geなどである。これらのなかでも特に好ましいのはCu2O、NiOである。
【0045】
本発明に用いられる半導体は、単結晶でも、多結晶でもよい。変換効率においては単結晶が好ましいが、製造コスト、原材料確保、エネルギーペイバックタイム等の点では多結晶が好ましく、特にナノメートルからマイクロメートルサイズの微粒子の集合体からなる多孔質の半導体材料が好ましい。すなわち、多くの色素を吸着することができるように表面積の大きいものが好ましい。このため半導体微粒子層(多孔質膜)の表面積は、投影面積に対して10倍以上であるのが好ましく、さらに100倍以上であるのが好ましい。この上限は特に制限はないが、通常1000倍程度である。
【0046】
半導体微粒子を用いる場合、その粒径は、投影面積を円に換算したときの直径を用いた平均粒径で一次粒子として5〜200nmであることが好ましく、特に8〜100nmであることが好ましい。また、分散物中の半導体微粒子(二次粒子)の平均粒径としては0.01〜100μmであることが好ましい。
【0047】
また、2種類以上の粒子サイズ分布の異なる微粒子を混合して用いてもよく、この場合、小さい粒子の平均サイズは5nm以下であることが好ましい。また、入射光を散乱させて光捕獲率を向上させる目的で、粒子サイズの大きな、例えば300nm程度の半導体粒子を混合してもよい。
【0048】
半導体微粒子の作製法は、作花済夫の「ゾルーゲル法の科学」アグネ承風社(1988)、技術情報協会の「ゾルーゲル法による薄膜コーティング技術」(1995)等に記載のゾル−ゲル法、杉本忠夫の「新合成法ゲルーゾル法による単分散粒子の合成とサイズ形態制御」、まてりあ、第35巻、第9号、1012〜1018頁(1996)記載のゲル−ゾル法が好ましい。またDegussa社が開発した方法すなわち塩化物を酸水素炎中で高温加水分解により酸化物を作製する方法も好ましい。
【0049】
酸化チタンの場合は上記のゾル−ゲル法、ゲル−ゾル法、塩化物を酸水素炎中で高温加水分解法がいずれも好ましいが、さらに清野学の「酸化チタン 物性と応用技術」技報堂出版(1997)に記載の硫酸法、塩素法を用いることもできる。さらにゾル−ゲル法として、バーブらのジャーナル・オブ・アメリカン・セラミック・ソサエティー、第80巻、第12号、3157〜3171頁(1997)に記載の方法や、バーンサイドらのケミストリー・オブ・マテリアルズ、第10巻、第9号、2419〜2425頁記載の方法も好ましい。
【0050】
半導体層は、蒸着、スパッタ、CVD、PVDまたは塗布法などにより形成することができる。半導体微粒子を塗布するには、半導体微粒子の分散液又はコロイド溶液を導電層を付与した支持体上に塗布する方法の他に、前述のゾル−ゲル法等を使用することもできる。
【0051】
半導体層は単層であってもよいし、微粒子の粒径の違った分散液を多層塗布した多層構成であってもよい。また半導体の種類が異なる、あるいはバインダー、添加剤の組成が異なる塗布層を多層塗布した構成であってもよい。
【0052】
感光層の厚みが増大すると単位投影面積当たりの担持色素量が増えるため光の捕獲率が高くなるが、生成した電子の拡散距離が増すため電荷再結合によるロスも大きくなる。したがって、感光層の好ましい厚さは、一般的には0.1〜100μmである。好ましくは0.5〜30μmであり、1〜10μmであることがより好ましい。
【0053】
(ロ)色素
本発明で用いる増感色素はとくに限定されないが、第一に、カラーセンシングの目的で必要とする感色域に鋭い吸収ピークを持ち、半導体を増感できるのに十分な励起エネルギー準位を持った色素であることが好ましい。
【0054】
また、第二に、色素は半導体微粒子の表面に対する適当な結合基(interlocking group)を有していることが好ましい。好ましい結合基としては、COOH基、SO3H基、OH基、シアノ基、-P(O)(OH)2基、-OP(O)(OH)2基、または、オキシム、ジオキシム、 ヒドロキシキノリン、サリチレートおよびα-ケトエノレートのようなπ伝導性を有するキレート化基が挙げられる。この中でもCOOH基、-P(O)(OH)2基、-OP(O)(OH)2基が特に好ましい。これらの基はアルカリ金属等と塩を形成していてもよく、また分子内塩を形成していてもよい。また、ポリメチン色素の場合、メチン鎖がスクアリリウム環やクロコニウム環を形成する場合のように酸性基を含有するなら、この部分を結合基としてもよい。
【0055】
第三には、色素は光に対して化学的に安定であること、すなわちセンサーとして十分な光耐久性をもつことが好ましい。
【0056】
第四には、色素は高いモル吸光係数をもつことが好ましい。モル吸光係数は、10,000以上あることが好ましく、100,000以上あることがさらに好ましい。
【0057】
本発明に使用する色素の好ましい例はシアニン色素、メロシアニン色素、スクアリリウム色素などのポリメチン色素のファミリーである。特に好ましい色素として、下記に示す色素があげられる。
【0058】
1.一般式(II)により表される色素
【化1】
一般式(II)中、R21およびR25はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アリール基または複素環基を表し、R22〜R24はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表し、R21〜R25は互いに結合して環を形成してもよく、L11およびL12はそれぞれ独立に窒素原子、酸素原子、硫黄原子、セレン原子またはテルル原子を表し、n1およびn3はそれぞれ独立に0〜2の整数を表し、n2は1〜6の整数を表す。この色素は分子全体の電荷に応じて対イオンを有してもよい。
【0059】
上記アルキル基、アリール基および複素環基は置換基を有していてもよい。アルキル基は直鎖であっても分岐鎖であってもよく、またアリール基および複素環基は、単環でも、多環(縮合環、環集合)でもよい。またR21〜R25により形成される環は置換基を有していてもよく、また単環でも縮合環でもよい。
【0060】
2.一般式(III)により表される色素
【化2】
一般式(III)中、Zaは含窒素複素環を形成するために必要な非金属原子群を表し、R31はアルキル基またはアリール基を表す。Qaは一般式(III)で表される化合物がメチン色素として機能するために必要なメチン基またはポリメチン基を表し、Qaを介して多量体を形成してもよい。X3は対イオンを表し、n4は0〜10の整数である。
【0061】
上記Zaで形成される含窒素複素環は置換基を有していてもよく、単環であっても縮合環であってもよい。またアルキル基およびアリール基は置換基を有していてもよく、アルキル基は直鎖でも分岐鎖でもよく、またアリール基は単環でも多環(縮合環、環集合)でもよい。
【0062】
一般式(III)により表される色素のうち、下記一般式(III-a)〜(III-d):
【化3】
(ただし、R41〜R45、R51〜R54、R61〜R63、およびR71〜R73はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アリール基または複素環基を表し、L21、L22、L31、L32、L41〜L45およびL51〜L56はそれぞれ独立に酸素原子、硫黄原子、セレン原子、テルル原子、-CRR'-または-NR-(RおよびR'は水素原子、アルキル基、アリール基または複素環基を表し、それぞれ同一でも異なっていてもよい。)を表し、L33はO-、S-、Se-、Te-または-N-Rを表す。Y11、Y12、Y21、Y22、Y31およびY41はそれぞれ独立に置換基を表し、n5、n6およびn7はそれぞれ独立に1〜6の整数を表す。)により表される色素がより好ましい。
【0063】
一般式(III-a)〜(III-d)により表される化合物は、分子全体の電荷に応じて対イオンを有していてもよく、上記アルキル基、アリール基および複素環基は置換基を有していてもよく、またアルキル基は直鎖でも分岐鎖でもよく、さらにアリール基および複素環基は単環でも多環(縮合環、環集合)でもよい。
【0064】
以上のようなポリメチン色素の具体例は、M.Okawara, T.Kitao, T.Hirashima, M.Matsuoka著のOrganic Colorants(Elsevier)等に詳しく記載されている。
【0065】
3.一般式(IV)により表される色素
【化4】
一般式(IV)中、Qbは5または6員の含窒素ヘテロ環を形成するために必要な原子団を表し、Zbは3〜9員環のいずれかを形成するために必要な原子団を表し、L61、L62、L63、L64およびL65はそれぞれ独立に任意に置換基を有するメチン基を表し、n8は0〜4の整数であり、n9は0または1であり、R81は置換基を表し、X4は電荷を中和させるのに対イオンが必要な場合の対イオンを表す。
【0066】
Qbにより形成される環は縮環していてもよく、また置換基を有していてもよい。含窒素ヘテロ環の好ましい例としては、ベンゾチアゾール環、ベンゾオキサゾール環、ベンゾセレナゾール環、ベンゾテルラゾール環、2-キノリン環、4-キノリン環、ベンゾイミダゾール環、チアゾリン環、インドレニン環、オキサジアゾール環、チアゾール環、イミダゾール環が挙げられる、さらに好ましくはベンゾチアゾール環、ベンゾオキサゾール環、ベンズイミダゾール環、ベンゾセレナゾール環、2-キノリン環、4-キノリン環、インドレニン環であり、特に好ましくはベンゾチアゾール環、ベンゾオキサゾール環、2-キノリン環、4-キノリン環、インドレニン環である。
【0067】
含窒素ヘテロ環上の置換基の例としては、カルボキシル基、ホスホニル基、スルホニル基、ハロゲン原子(F、Cl、Br、I等)、シアノ基、アルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基、メトキシエトキシ基等)、アリーロキシ基(フェノキシ基等)、アルキル基(メチル基、エチル基、シクロプロピル基、シクロへキシル基、トリフルオロメチル基、メトキシエチル基、アリル基、ベンジル等)、アルキルチオ基(メチルチオ基、エチルチオ基等)、アルケニル基(ビニル基、1-プロペニル基等)、アリール基、複素環基(フェニル基、チエニル基、トルイル基、クロロフェニル基等)等が挙げられる。
【0068】
Zbは炭素原子、酸素原子、窒素原子、硫黄原子および水素原子から選ばれる原子により構成される。Zbにより形成される環は、好ましくは4〜6個の炭素により骨格が形成される環であり、より好ましくは以下(ア)〜(オ):
【化5】
のいずれかであり、最も好ましくは(ア)である。
【0069】
L61、L62、L63、L64およびL65がそれぞれ独立に任意に有する置換基としては、置換または無置換のアルキル基(好ましくは炭素原子数1〜12、さらに好ましくは炭素原子数1〜7であり、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、シクロプロピル基、ブチル基、2-カルボキシエチル基、ベンジル基等)、置換または無置換のアリール基(好ましくは炭素原子数6、8ないし10、より好ましくは炭素原子数6ないし8のものであり、例えばフェニル基、トルイル基、クロロフェニル基、o-カルボキシフェニル基等)、複素環基(例えばピリジル基、チエニル基、フラニル基、バルビツール酸等)、ハロゲン原子(例えば塩素原子、臭素原子等)、アルコキシ基(例えばメトキシ基、エトキシ基等)、アミノ基(好ましくは炭素原子数1〜12、より好ましくは炭素原子数6〜12のものであり、例えばジフェニルアミノ基、メチルフェニルアミノ基、4-アセチルピペラジン-1-イル基等)、オキソ基等が挙げられる。これらの置換基は互いに連結してシクロペンテン環、シクロヘキセン環、スクアリリウム環等の環を形成してもよく、助色団と環を形成してもよい。なおn8は0〜4の整数であり、好ましくは0〜3である。またn9は0または1である。
【0070】
置換基R81は好ましくは芳香族基(置換基を有してもよい)または脂肪族基(置換基を有してもよい)である。芳香族基の炭素原子数は好ましくは1〜16、より好ましくは5〜6である。脂肪族基の炭素原子数は好ましくは1〜10、より好ましくは1〜6である。無置換の脂肪族基および芳香族基としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、n-ブチル基、フェニル基、ナフチル基等が挙げられる。
【0071】
色素が陽イオンまたは陰イオンであるか、あるいは正味のイオン電荷を持つかどうかは、その助色団および置換基に依存し、分子全体の電荷は対イオンX4により中和される。対イオンX4として典型的な陽イオンは無機または有機のアンモニウムイオン(テトラアルキルアンモニウムイオン、ピリジニウムイオン等)およびアルカリ金属イオンであり、一方、陰イオンは無機または有機の陰イオンのいずれであってもよく、ハロゲン化物イオン(フッ化物イオン、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン等)、置換アリールスルホン酸イオン(p-トルエンスルホン酸イオン、p-クロロベンゼンスルホン酸イオン等)、アリールジスルホン酸イオン(1,3-ベンゼンジスルホン酸イオン、1,5-ナフタレンジスルホン酸イオン、2,6-ナフタレンジスルホン酸イオン等)、アルキル硫酸イオン(メチル硫酸イオン等)、硫酸イオン、チオシアン酸イオン、過塩素酸イオン、テトラフルオロホウ酸イオン、ピクリン酸イオン、酢酸イオン、トリフルオロメタンスルホン酸イオン等である。
【0072】
さらに電荷均衡対イオンとして、イオン性ポリマー、あるいは色素と逆電荷を有する他の色素を用いてもよいし、例えばビスベンゼン-1,2-ジチオラトニッケル(III)のような金属錯イオンを使用してもよい。
【0073】
4.一般式(V)により表される色素
【化6】
一般式(V)中、Qcは少なくとも4官能以上の芳香族基を表し、L71およびL72はそれぞれ独立に硫黄原子、セレン原子またはCRR'(ただし、RおよびR'はそれぞれ独立に水素原子またはアルキル基であり、同じでも異なっていてもよい。)を表し、同一でも異なっていも良く、好ましくはそれぞれ独立に硫黄原子またはCRR'であり、より好ましくはCRR'である。またR91およびR92はそれぞれ独立にアルキル基または芳香族基を表し、Y51およびY52はそれぞれ独立にポリメチン色素を形成するのに必要な非金属原子群を表す。X5は対イオンを表す。
【0074】
芳香族基Qcの例としては、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン等の芳香族炭化水素から誘導されるものや、アントラキノン、カルバゾール、ピリジン、キノリン、チオフェン、フラン、キサンテン、チアントレン等の芳香族へテロ環から誘導されるものが挙げられ、これらは連結部分以外に置換基を有していても良い。Qcは好ましくは芳香族炭化水素の誘導基であり、より好ましくはベンゼンまたはナフタレンの誘導基である。
【0075】
Y51およびY52によりいかなるメチン色素を形成することも可能であるが、好ましくはシアニン色素、メロシアニン色素、ロダシアニン色素、3核メロシアニン色素、アロポーラー色素、ヘミシアニン色素、スチリル色素等が挙げられる。シアニン色素には色素を形成するメチン鎖上の置換基がスクアリウム環やクロコニウム環を形成したものも含まれる。これらの色素の詳細については、F.M.Harmer著「Heterocyclic Compounds-Cyanine Dyes and Related Compounds」,John Wiley & Sons社,ニューヨーク,ロンドン,1964年刊、D.M.Sturmer著「Heterocyclic Compounds-Special Topics in Heterocyclic Chemistry」,第18章,第14節,482〜515頁等に記載されている。またシアニン色素、メロシアニン色素およびロダシアニン色素は、米国特許第5,340,694号,第21〜22頁の(XI)、(XII)および(XIII)に示されているものが好ましい。またY51およびY52により形成されるポリメチン色素の少なくともいずれか一方のメチン鎖部分にスクアリリウム環を有するものが好ましく、両方に有するものがさらに好ましい。
【0076】
R91およびR92は芳香族基または脂肪族基であり、これらは置換基を有していてもよい。芳香族基の炭素原子数は好ましくは5〜16、より好ましくは5〜6である。脂肪族基の炭素原子数は好ましくは1〜10、より好ましくは1〜6である。無置換の脂肪族基、芳香族基としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、n-ブチル基、フェニル基、ナフチル基等が挙げられる。
【0077】
R91、R92、Y51およびY52のうち少なくとも一つは酸性基を有するのが好ましい。ここで酸性基とは解離性のプロトンを有する置換基であり、例としてはカルボン酸基、ホスホン酸基、スルホン酸基、ホウ酸基等が挙げられ、好ましくはカルボン酸基である。またこのような酸性基上のプロトンは解離していても良い。
【0078】
一般式(II)〜(V)により表されるポリメチン色素の具体例(1)〜(43)およびS-1〜S-42を以下に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0079】
【化7】
【0080】
【化8】
【0081】
【化9】
【0082】
【化10】
【0083】
【化11】
【0084】
【化12】
【0085】
【化13】
【0086】
【化14】
【0087】
【化15】
【0088】
【化16】
【0089】
【化17】
【0090】
【化18】
【0091】
【化19】
【0092】
【化20】
【0093】
【化21】
【0094】
【化22】
【0095】
【化23】
【0096】
【化24】
【0097】
【化25】
【0098】
【化26】
【0099】
【化27】
【0100】
一般式(II)、(III)で表される化合物は、F.M.Harmer著「Heterocyclic Compounds-Cyanine Dyes and Related Compounds」,John Wiley & Sons社,ニューヨーク,ロンドン,1964年刊、D.M.Sturmer著「Heterocyclic Compounds-Special Topics in Heterocyclic Chemistry」,第18章,第14節,第482〜515頁,John Wiley & Sons社,ニューヨーク,ロンドン,1977年刊、「Rodd's Chemistry of Carbon Compounds」,2nd.Ed., vol.IV, part B,第15章,第369〜422頁,Elsevier Science Publishing Company Inc.社,ニューヨーク,1977年刊、英国特許第1,077,611号等に記載の方法により合成することができる。
【0101】
式(IV)により表される化合物は、Dyes and Pigments,第21巻,227〜234頁等の記載を参考にして合成することができる。また式(V)により表される化合物は、Ukrainskii Khimicheskii Zhurnal,第40巻,第3号,第253〜258頁、Dyes and Pigments,第21巻,第227〜234頁およびこれらの文献中に引用された文献の記載を参考にして合成することができる。
【0102】
この他、錯体色素、金属錯体色素も光安定性が高い点で、好ましく用いられる。とくに好ましいものは、フタロシアニンおよびナフタロシアニンとその誘導体、金属フタロシアニン、金属ナフタロシアニンとその誘導体、テトラフェニルポルフィリンやテトラアザポルフィリンを含むポルフィリン類とその誘導体、金属ポルフィリンとその誘導体、ルテニウム錯体とその誘導体、などである。さらに、色素レーザー用に用いられる色素類とその誘導体も本発明に用いることができる。
【0103】
半導体に色素を吸着させるには、色素の溶液中に良く乾燥した半導体電極を浸漬するか、色素の溶液を半導体層に塗布する方法を用いることができる。溶媒は、色素の溶解性に応じて適宜選択できる。例えば、アルコール類(メタノール、エタノール、t-ブタノール、ベンジルアルコール等)、ニトリル類(アセトニトリル、プロピオニトリル、3-メトキシプロピオニトリル等)、ニトロメタン、ハロゲン化炭化水素(ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム、クロロベンゼン等)、エーテル類(ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等)、ジメチルスルホキシド、アミド類(N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセタミド等)、N-メチルピロリドン、1,3-ジメチルイミダゾリジノン、3-メチルオキサゾリジノン、エステル類(酢酸エチル、酢酸ブチル等)、炭酸エステル類(炭酸ジエチル、炭酸エチレン、炭酸プロピレン等)、ケトン類(アセトン、2-ブタノン、シクロヘキサノン等)、炭化水素(へキサン、石油エーテル、ベンゼン、トルエン等)やこれらの混合溶媒が挙げられる。
【0104】
色素の使用量は、半導体層の1m2当たり0.01〜100mmolが好ましい。また、色素の半導体微粒子に対する吸着量は半導体微粒子1gに対して0. 01〜1mmolが好ましい。このような色素量とすることによって、半導体における増感効果が十分に得られる。これに対し、色素量が少ないと増感効果が不十分となり、色素量が多すぎると、半導体に付着していない色素が浮遊し増感効果を低減させる原因となる。
【0105】
(c) 電荷移動層
電荷移動層は色素の酸化体に電子を補充する機能あるいは色素から励起電子を受け取る機能を有する層である。本発明で用いることのできる代表的な電荷輸送材料の例としては、▲1▼イオン輸送材料として、酸化還元対のイオンが溶解した溶液(電解液)、酸化還元対の溶液をポリマーマトリクスのゲルに含浸したいわゆるゲル電解質、酸化還元対イオンを含有する溶融塩電解質、さらには固体電解質が挙げられる。また、イオンがかかわる電荷輸送材料のほかに、▲2▼固体中のキャリアー移動が電気伝導にかかわる材料として、電子輸送材料や正孔(ホール)輸送材料を用いることもできる。
【0106】
(i)溶融塩電解質
上記電荷輸送材料のうち、溶融塩電解質は光電変換効率と耐久性の両立という観点から好ましい。本発明の光電変換素子に溶融塩電解質を用いる場合は、例えばWO95/18456号、特開平8-259543号、EP718288号、電気化学,第65巻,11号,923頁(1997年)等に記載されているピリジニウム塩、イミダゾリウム塩、トリアゾリウム塩等の既知のヨウ素塩を用いることができる。
【0107】
好ましく用いることのできる溶融塩としては、下記一般式(Y-a)、(Y-b)及び(Y-c)のいずれかにより表されるものが挙げられる。
【0108】
【化28】
【0109】
一般式(Y-a)中、Qy1は窒素原子と共に5又は6員環の芳香族カチオンを形成しうる原子団を表す。Qy1は炭素原子、水素原子、窒素原子、酸素原子及び硫黄原子からなる群から選ばれる1種以上の原子により構成されるのが好ましい。
【0110】
Qy1により形成される5員環は、オキサゾール環、チアゾール環、イミダゾール環、ピラゾール環、イソオキサゾール環、チアジアゾール環、オキサジアゾール環又はトリアゾール環であるのが好ましく、オキサゾール環、チアゾール環又はイミダゾール環であるのがより好ましく、オキサゾール環又はイミダゾール環であるのが特に好ましい。Qy1により形成される6員環は、ピリジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、ピラジン環又はトリアジン環であるのが好ましく、ピリジン環であるのがより好ましい。
【0111】
一般式(Y-b)中、Ay1は窒素原子又はリン原子を表す。
【0112】
一般式(Y-a)、(Y-b)及び(Y-c)中のRy1〜Ry6はそれぞれ独立に置換又は無置換のアルキル基(好ましくは炭素原子数1〜24、直鎖状であっても分岐状であっても、また環式であってもよく、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、2-エチルヘキシル基、t-オクチル基、デシル基、ドデシル基、テトラデシル基、2-ヘキシルデシル基、オクタデシル基、シクロヘキシル基、シクロペンチル基等)、或いは置換又は無置換のアルケニル基(好ましくは炭素原子数2〜24、直鎖状であっても分岐状であってもよく、例えばビニル基、アリル基等)を表し、より好ましくは炭素原子数2〜18のアルキル基又は炭素原子数2〜18のアルケニル基であり、特に好ましくは炭素原子数2〜6のアルキル基である。
【0113】
また、一般式(Y-b)中のRy1〜Ry4のうち2つ以上が互いに連結してAy1を含む非芳香族環を形成してもよく、一般式(Y-c)中のRy1〜Ry6のうち2つ以上が互いに連結して環構造を形成してもよい。
【0114】
一般式(Y-a)、(Y-b)及び(Y-c)中のQy1及びRy1〜Ry6は置換基を有していてもよく、好ましい置換基の例としては、ハロゲン原子(F、Cl、Br、I等)、シアノ基、アルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基等)、アリーロキシ基(フェノキシ基等)、アルキルチオ基(メチルチオ基、エチルチオ基等)、アルコキシカルボニル基(エトキシカルボニル基等)、炭酸エステル基(エトキシカルボニルオキシ基等)、アシル基(アセチル基、プロピオニル基、ベンゾイル基等)、スルホニル基(メタンスルホニル基、ベンゼンスルホニル基等)、アシルオキシ基(アセトキシ基、ベンゾイルオキシ基等)、スルホニルオキシ基(メタンスルホニルオキシ基、トルエンスルホニルオキシ基等)、ホスホニル基(ジエチルホスホニル基等)、アミド基(アセチルアミノ基、ベンゾイルアミノ基等)、カルバモイル基(N,N-ジメチルカルバモイル基等)、アルキル基(メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、シクロプロピル基、ブチル基、2-カルボキシエチル基、ベンジル基等)、アリール基(フェニル基、トルイル基等)、複素環基(ピリジル基、イミダゾリル基、フラニル基等)、アルケニル基(ビニル基、1-プロペニル基等)等が挙げられる。
【0115】
一般式(Y-a)、(Y-b)又は(Y-c)により表される化合物は、Qy1又はRy1〜Ry6を介して多量体を形成してもよい。
【0116】
これらの溶融塩は、単独で使用しても、2種以上混合して使用してもよく、また、ヨウ素アニオンを他のアニオンで置き換えた溶融塩と併用することもできる。ヨウ素アニオンと置き換えるアニオンとしては、ハロゲン化物イオン(Cl-、Br-等)、SCN-、BF4 -、PF6 -、ClO4 -、(CF3SO2)2N-、(CF3CF2SO2)2N-、CF3SO3 -、CF3COO-、Ph4B-、(CF3SO2)3C-等が好ましい例として挙げられ、(CF3SO2)2N-又はBF4 -であるのがより好ましい。また、LiIなど他のヨウ素塩を添加することもできる。
【0117】
本発明で好ましく用いられる溶融塩の具体例を以下に挙げるが、これらに限定されるわけではない。
【0118】
【化29】
【0119】
【化30】
【0120】
【化31】
【0121】
【化32】
【0122】
【化33】
【0123】
【化34】
【0124】
【化35】
【0125】
上記溶融塩電解質には、溶媒を用いない方が好ましい。溶媒を添加しても構わないが、溶融塩の含有量は電解質組成物全体に対して50質量%以上であるのが好ましい。また、塩のうち、50質量%以上がヨウ素塩であることが好ましく、70質量%以上であることがさらに好ましい。
【0126】
電解質組成物にヨウ素を添加するのが好ましく、この場合、ヨウ素の含有量は、電解質組成物全体に対して0.1〜20質量%であるのが好ましく、0.5〜5質量%であるのがより好ましい。
【0127】
(ii)電解液
電荷移動層に電解液を使用する場合、電解液は電解質、溶媒、および添加物から構成されることが好ましい。本発明の電解質はI2とヨウ化物の組み合わせ(ヨウ化物としてはLiI、NaI、KI、CsI、CaI2 などの金属ヨウ化物、あるいはテトラアルキルアンモニウムヨーダイド、ピリジニウムヨーダイド、イミダゾリウムヨーダイドなど4級アンモニウム化合物のヨウ素塩など)、Br2と臭化物の組み合わせ(臭化物としてはLiBr、NaBr、KBr、CsBr、CaBr2 などの金属臭化物、あるいはテトラアルキルアンモニウムブロマイド、ピリジニウムブロマイドなど4級アンモニウム化合物の臭素塩など)のほか、フェロシアン酸塩−フェリシアン酸塩やフェロセン−フェリシニウムイオンなどの金属錯体、ポリ硫化ナトリウム、アルキルチオール−アルキルジスルフィドなどのイオウ化合物、ビオロゲン色素、ヒドロキノン−キノンなどを用いることができる。この中でもI2とLiIやピリジニウムヨーダイド、イミダゾリウムヨーダイドなど4級アンモニウム化合物のヨウ素塩を組み合わせた電解質が本発明では好ましい。上述した電解質は混合して用いてもよい。
【0128】
好ましい電解質濃度は0.1M以上15M以下であり、さらに好ましくは0.2M以上10M以下である。また、電解質にヨウ素を添加する場合の好ましいヨウ素の添加濃度は0.01M以上0.5M以下である。
【0129】
本発明で電解質に使用する溶媒は、粘度が低くイオン移動度を向上したり、もしくは誘電率が高く有効キャリアー濃度を向上したりして、優れたイオン伝導性を発現できる化合物であることが望ましい。このような溶媒としては、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネートなどのカーボネート化合物、3-メチル-2-オキサゾリジノンなどの複素環化合物、ジオキサン、ジエチルエーテルなどのエーテル化合物、エチレングリコールジアルキルエーテル、プロピレングリコールジアルキルエーテル、ポリエチレングリコールジアルキルエーテル、ポリプロピレングリコールジアルキルエーテルなどの鎖状エーテル類、メタノール、エタノール、エチレングリコールモノアルキルエーテル、プロピレングリコールモノアルキルエーテル、ポリエチレングリコールモノアルキルエーテル、ポリプロピレングリコールモノアルキルエーテルなどのアルコール類、エチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、グリセリンなどの多価アルコール類、アセトニトリル、グルタロジニトリル、メトキシアセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリルなどのニトリル化合物、ジメチルスルフォキシド、スルフォランなど非プロトン極性物質、水などを用いることができる。
【0130】
また、本発明では、J. Am. Ceram. Soc.,80 (12)3157-3171(1997)に記載されているようなtert-ブチルピリジンや、2-ピコリン、2,6-ルチジン等の塩基性化合物を添加することもできる。塩基性化合物を添加する場合の好ましい濃度範囲は0.05M以上2M以下である。
【0131】
(iii)ゲル電解質
本発明では、電解質はポリマー添加、オイルゲル化剤添加、多官能モノマー類を含む重合、ポリマーの架橋反応等の手法によりゲル化(固体化)させて使用することもできる。ポリマー添加によりゲル化させる場合は、"Polymer Electrolyte Reviews-1および2"(J.R.MacCallumとC.A. Vincentの共編、ELSEVIER APPLIED SCIENCE)に記載された化合物を使用することができるが、特にポリアクリロニトリル、ポリフッ化ビニリデンを好ましく使用することができる。オイルゲル化剤添加によりゲル化させる場合はJ. Chem Soc. Japan, Ind. Chem.Sec., 46,779(1943), J. Am. Chem. Soc., 111,5542(1989), J. Chem. Soc., Chem. Commun., 1993, 390, Angew. Chem. Int. Ed. Engl., 35,1949(1996), Chem. Lett., 1996, 885, J. Chem. Soc., Chem. Commun., 1997,545に記載されている化合物を使用することができるが、好ましい化合物は分子構造中にアミド構造を有する化合物である。
【0132】
(iv)有機正孔輸送材料
1.芳香族アミン類
N,N'-ジフエニル-N,N'-ビス(4-メトキシフェニル)-(1,1'-ビフェニル)-4,4'-ジアミン(J. Hagen et al., Synthetic Metal 89, 2153〜220, (1997))、2,2',7,7'-テトラキス(N,N-ジ-p-メトキシフェニルアミン)9,9'-スピロビフルオレン(Nature, Vol.395, 8 Oct. 1998, pp. 583-585およびWO97/10617)、1,1-ビス{4-(ジ-p-トリルアミノ)フェニル}シクロヘキサンの3級芳香族アミンユニットを連結した芳香族ジアミン化合物(特開昭59−194393号)、4,4'-ビス[(N-1-ナフチル)-N-フェニルアミノ]ビフェニルのように、2個以上の3級アミンを含み、2個以上の縮合芳香族環が窒素原子に結合した芳香族アミン(特開平5-234681号)、トリフェニルベンゼンの誘導体でスターバースト構造を有する芳香族トリアミン(米国特許第4,923,774号、特開平4-308688号)、N,N'-ジフェニル-N,N'-ビス(3-メチルフェニル)-(1,1'-ビフェニル)-4,4'-ジアミン等の芳香族ジアミン(米国特許第4,764,625号)、α,α,α',α'-テトラメチル-α,α'-ビス{4-(ジ-p-トリルアミノ)フェニル}-p-キシレン(特開平3-269084号)、p-フェニレンジアミン誘導体、分子全体が立体的に非対称なトリフェニルアミン誘導体(特開平4-129271号)、ピレニル基に芳香族ジアミノ基が複数個置換した化合物(特開平4-175395号)、エチレン基で3級芳香族アミン単位を連結した芳香族ジアミン(特開平4-264189号)、スチリル構造を有する芳香族ジアミン(特開平4-290851号)、ベンジルフェニル化合物(特開平4-364153号)、フルオレン基で3級アミンを連結したもの(特開平5-25473号)、トリアミン化合物(特開平5-239455号)、ビス(ジピリジルアミノ)ビフェニル(特開平5-320634号)、N,N,N-トリフェニルアミン誘導体(特開平6-1972号)、フェノキザジン構造を有する芳香族ジアミン(特開平7-138562号)、ジアミノフエニルフエナントリジン誘導体(特開平7-252474号)等。
【0133】
2. オリゴチオフェン化合物
α-オクチルチオフェンおよびα,ω-ジヘキシル-α-オクチルチオフェン(Adv. Mater.,Vol.9, No.7, 5578 (1997))、ヘキサドデシルドデシチオフェン(Angew. Chem. Int. Ed. Engl., 34, No.3, 303-307 (1995))、2,8-ジヘキシルアンスラ[2,3-b:6,7-b']ジチオフェン(JACS, Vol.120, N0.4,664〜672 (1998))等。
【0134】
3. 導電性高分子
ポリピロール(K. Murakoshi et al., Chem. Lett. 1997, p.471)、およびポリアセチレンおよびその誘導体、ポリ(p-フェニレン) およびその誘導体、ポリ(p-フェニレンビニレン) およびその誘導体、ポリチエニレンビニレンおよびその誘導体、ポリチオフェンおよびその誘導体、ポリアニリンおよびその誘導体、およびポリトルイジンおよびその誘導体等(それぞれ「Handbook of Organic Conductive Molecules and Polymers」, Vol.1〜4(NALWA著、WILEY出版)に記載)。
【0135】
有機正孔(ホール)輸送材料に、Nature, Vol.395, 8 Oct. 583〜585 (1998)に記載されているように、ドーパントレベルをコントロールするためにトリス(4-ブロモフェニル)アミニウムヘキサクロロアンチモネートのようなカチオンラジカルを含有する化合物を添加したり、酸化物半導体表面のポテンシャル制御(空間電荷層の補償)を行うためにLi[(CF3SO2)2N]のような塩を添加しても良い。
【0136】
(v)無機正孔輸送材料
無機固体化合物を電解質の替わりに使用する場合、ヨウ化銅(p-CuI)(J. Phys. D:Appl. Phys. 31(1998)1492-1496)、チオシアン化銅(Thin Solid Films 261(1995)307-310、J. Appl. Phys. 80(8),15 October 1996, p4749-4754、Chem. Mater. 1998, 10, 1501-1509、Semicond. Sci. Technol. 10, 1689-1693)等を好ましく用いることができる。
【0137】
電荷移動層の形成は、電荷輸送材料が液体の場合は、液体層を電極の半導体層上に塗布または展開する、あるいは2層以上の半導体電極対極とをスペーサーを介して接合した後に、これらの電極の間隙に毛管現象を利用し液体を注入して行うことができる。電荷移動層が固体の場合は、蒸着などの手段で半導体電極または対極上に固体電荷移動層を形成することができる。
【0138】
電荷移動層は、感光波長領域の異なる2層以上の半導体電極の感光層のすべておよび対極と電気的に接触できるように2層以上存在し、かつ、これら2層以上の電荷移動層がそれらの間に存在する半導体電極または対極を貫いて互いに電荷移動担体(電荷輸送材料)が移動できるように半導体電極や対極に貫通孔が設けられているのが好ましい。
【0139】
(d) 対極
対極は導電性を有する材料により形成する。最下層が対極である場合(対極より下、すなわち光入射面の反対側に感光層がない場合)は、対極は光の反射と散乱が小さい表面を有することが好ましく、とくに着色した表面を持つことが好ましく、不透明であっても構わない。また、半導体電極と半導体電極の間に対極を設ける場合は、光透過の必要性から前述の導電層と同様の透明導電性材料を用いる必要がある。対極は導電性の高い金属であることが好ましく、とくに電気化学的に安定な耐腐食性の貴金属であることが好ましい。好ましい対極材料は白金、金などであり、白金黒も好ましく用いられる。対極の厚さは特に制限されないが、3nm〜10μmが好ましい。
【0140】
対極は感光波長領域の異なる半導体電極に対応して複数積層されていてもよいし、感光波長領域の異なる半導体電極のすべてに共通する共通対極の1層のみであってもよい。構成および製造工程を簡単にするためには後者が好ましい。
【0141】
対極を設ける手順としては、(イ)電荷移動層を形成した後でその上に設ける場合と、(ロ)半導体電極の上にスペーサーを介して対極を配置した後でその空隙に電荷輸送材料を充填する場合の2通りある。(イ)の場合、電荷移動層上に直接対極導電材を塗布、メッキ又は蒸着(PVD、CVD)するか、導電層を有する支持体の導電層側を貼り付ける。また(ロ)の場合、半導体電極の上にスペーサーを介して対極を組み立てて固定し、得られた組立体の開放端を電解質溶液に浸漬し、毛細管現象又は減圧を利用して半導体電極と対極との空隙に電荷輸送材料を浸透させる。
【0142】
(v) その他の層
本発明のカラー光センサーには、保護層、反射防止層、フィルター層等の機能性層を設けても良い。また、密着性良化や短絡防止の目的で導電層と感光層の間に半導体(好ましくは、感光層と同種の半導体)からなる緻密な下塗り層を塗設することも好ましい。組み立てられたカラー光センサーは、各層の接合・固定と、接合部の絶縁確保、外気からの遮断のためのシーリングを行う。シーリングはセンサーの側面を接着剤や封止剤で封じて固める。
【0143】
[II] イメージセンサー
異なる感光波長領域を有する複数の半導体電極を積層させた上記のカラー光センサーをひとつの画素として、これを二次元的に複数個配列させることにより、カラーのイメージセンサーを形成することができる。これにより、二次元の画像情報を電気信号として得ることができる。
【0144】
イメージセンサーは、これを構成する画素、すなわち単位となるカラー光センサーを小さくし、その数を多くすることにより、画像の空間分解能を向上させることができ、大面積化を実現できる。イメージセンサーの構成においては、全ての画素の対極をひとつの共通対極とすることもできる。
【0145】
図4は本発明に基づいて作られる単純な構成のイメージセンサーの例の断面である。簡略化するためにB層、G層、R層それぞれに3個のピクセルを設けたユニットを示した。ガラスのような透明な支持体1に被覆した透明導電層21の上に色素吸着半導体微粒子層を担持して青色感光層(B層)22aを形成し、別の透明支持体1の両面に透明導電層21を被覆してこれらの上にそれぞれ緑色感光層(G層)22bと赤色感光層(R層)22cを形成し、B層とG層との間およびR層と共通対極4との間に電荷移動層3を介在させた積層構成からなる。電荷移動層3はB層、G層、及びR層に接合すると同時に共通対極4に接合している。B層とG層、及びR層と共通対極とはそれぞれスペーサー5によって空間的に隔離されている。電荷移動層はこの隔離された間隙を満たすと同時に、G層の側の電荷移動層とR層の側の電荷移動層間を連絡するためにG層とR層の共通支持体に設けられたリーク孔1aの中も満たす構造となっている。この構造によって電荷移動層は全ての感光層と対極に同時に電気的に接合している。
【0146】
各ピクセルはそれぞれ電気的に独立しており、個々のピクセルで生じた光電流は下地の導電層を通って素子のターミナルに導かれるように、ピクセル下地の導電層と配線用の導電層のパターンがB層、G層、R層の二次元平面内に書きこまれている。
【0147】
カラーセンシングにおいて光は青色感光層側から入射し、青色感光層、緑色感光層を順次透過して、赤色感光層に到達し、ここで可視光の大部分が最終的に吸収される。残る透過光と迷光は最下層の共通対極4によって吸収される。導電層2は導電性酸化スズあるいは酸化インジウムスズのような透明導電膜であり、共通対極層4は白金や白金黒のような金属薄膜である。
【0148】
図5には、B層、G層、R層の光電流信号を外部回路で同時検出するための等価回路を単一ピクセルの感光層について示した。簡略化するために、各電極の間隙に存在する電荷移動層を省略してある。光電流は外部回路に設けた電流計Aあるいはそれに代わる電流検出回路(たとえばオペレーションアンプと抵抗を用いる簡単な回路)で短絡電流として検出する。その電流値は感光層面内における電流密度(A/cm2)にピクセルの受光面積をかけて得られる値であり、電流密度は本発明の方法によれば、感光層への1mWの入射光強度のレベルにおいて通常1〜100μA/cm2の範囲である。また、電流値の検出は、各ピクセルの信号を並列回路で同時に検出する方法でも良いし、ピクセルの2次元アレイをシリアルにスキャンして逐次に電気的に読み取る方法でも良い。
【0149】
【実施例】
以下、本発明を実施例によって説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0150】
1.透明導電性ガラス支持体の作製
パターニング用のフォトマスクを用いて、厚さ1.9mmの無アルカリガラスの片面に、CVD法により、フッ素ドープ型の導電性の二酸化スズを蒸着することにより、図6に示したように64個の正方ピクセル61(ピクセルサイズ2.5×2.5mm)と、基板の4辺に配列した外部出力端子62と、各ピクセルと外部出力素子とを連結する配線63(幅100μm)とからなるパターン化導電膜を作成した。このパターン化導電膜は、厚さが600nm、面抵抗約10Ω/□、光透過率(500nm)が85%であった。つぎに、フォトレジスト法を利用して、このパターン膜のピクセルとエッジ部の端子の配列を除く領域(すなわち配線が敷かれた領域)に二酸化ケイ素を100nmの厚みで蒸着し絶縁膜で被覆した。
【0151】
2.二酸化チタン粒子含有塗布液の作製
C.J.BarbeらのJ.Am.Ceramic Soc.80巻,p3157の論文に記載の製造方法に従い、チタン原料にチタニウムテトライソプロポキシドを用い、オートクレーブ中での重合反応の温度を230℃に設定して二酸化チタン濃度11重量%の二酸化チタン分散物を合成した。得られた二酸化チタン粒子の一次粒子の平均サイズは約10nmであった。この分散物に二酸化チタンに対し30重量%のポリエチレングリコール(分子量20,000、和光純薬製)を添加し、混練して塗布液を得た。
【0152】
3.色素を吸着した青色感光層(B層)の形成
この塗布液を、上記1で作製したパターン化透明導電性膜の4辺の端子部を除く面上にドクターブレード法で70μmの厚みで塗布し、25℃で60分間乾燥した後、電気炉で450℃にて30分間焼成して二酸化チタン層を被覆した。二酸化チタンの被覆量は7g/m2であり、膜厚は3μmであった。次いでフォトレジスト法により、二酸化チタン層を64個の正方ピクセルにパターニングした。二酸化チタン層のエッチングは濃硫酸と硫酸アンモニウムの混合溶液により行った。
【0153】
つぎに、下記の化学式の青色吸収のポリメチン系増感色素(色素1)0.1mM及び添加剤としてケノデオキシコール酸20mM含むジメチルスルホキシド(DMSO):エタノール(1:20)の混合溶媒から成る溶液に、上記の二酸化チタン層を設けた基板を浸漬して、攪拌下40℃で10時間放置した。このようにして青色色素を染着させた基板をエタノールで洗浄し、乾燥させ、青色感光層を担持したガラス基板を作製した。色素の吸着量は、二酸化チタンの塗布面積1m2あたりおよそ5×10-4molであった。
【0154】
【化36】
【0155】
4.緑色感光層(G層)および赤色感光層(R層)の形成
厚さ50μmの無アルカリガラスの両面に、上記1と同様な方法により図6と同様な64個のピクセルと配線からなる導電性酸化スズのパターンを蒸着し、ピクセルとエッジ部の端子の配列を除く領域(すなわち配線が敷かれた領域)を絶縁性の二酸化ケイ素の蒸着膜で覆った。なお、ピクセルの蒸着においては、シート両面のピクセルアレイの位置が互いに幾何学的に重なるように蒸着した。さらに、これらのパターンの上に、上記の3の方法に従いドクターブレード法による塗布と焼成によって片面に厚さが3μmの二酸化チタンの膜をG層用として、別の片面に厚さが4μmの膜をR層用として形成し、それぞれB層と同様にパターニングした。かくして、両面が厚みの違う二酸化チタンの半透明の薄膜で被覆されたガラスシートを得た。次いで、このシートの面内の隣り合うピクセルの間隙に直径100μmの小孔を自作の掻き落し装置とレーザーを併用して均等間隔で開けた。この小孔は、後述する電解液がシートを横切って導通する連絡口として機能する。
【0156】
つぎにこのシートの両面に2個の角型テフロン製セルの口を向かい合わせてサンドイッチし、シートが隔壁となる形で2個のセルの間に固定した。両側のセルのチャンバーに2種の色素溶液を注入し、シートの両面が異種の色素溶液で浸漬される状態とした。ここで、G層側チャンバーには下記構造のRu錯体からなる緑色吸収増感色素(色素2)を0.3mM含むアセトニトリル:t-ブタノール(1:1)の混合溶媒から成る色素溶液を、R層側チャンバーには、下記構造のRuナフタロシアニン色素(色素3)を濃度5×10-5mol/L含むジメチルスルホキシド(DMSO):エタノール(1:10)の混合溶媒から成る色素溶液を満たし、40℃で10時間放置して、それぞれの二酸化チタン層に色素の吸着を行った。色素の吸着を終了後、二酸化チタン層をエタノールでリンスし、乾燥させた。
【0157】
【化37】
【0158】
【化38】
【0159】
5.感光層の積層と組立て
下記の手順でイメージセンサーの組み立てを行った。B層を担持したガラス支持体上の二酸化チタン層が塗られた表面の周囲に厚みが25μmの熱収縮性樹脂シート(デュポン製商品名FUSABOND)を2mmの幅でスペーサーとして敷き、その上に、上記のG層とR層を被覆したガラスシートをピクセルアレイのパターンがB層と重なるようにG層をB層と対向させて重ね合せ、さらにその上に上記の熱収縮性樹脂シートを挿入して、再上部には白金蒸着膜を被覆した共通対極のガラス基板を重ねた。このように重ね合わせたセルを厚み方向に機械的に圧力をかけながら130℃で20秒間加熱し、スペーサーを融解して圧着させた。
【0160】
次に、あらかじめ設けてあったスペーサーの開口部から、Y7-2/Y8-1/ヨウ素=15:35:1(質量比)の組成から成る溶融塩電解液を60℃のもとで毛細管現象を利用して電極間の空隙にしみこませ、電極間を電解液で満たした。以上のセル組立て工程と、電解液注入の工程をすべて上記の露点-60℃の乾燥空気中で実施した。溶融塩の注入後、真空下でセルを数時間吸引し色素吸着二酸化チタン多孔質電極および溶融塩を含めたセル内部の脱気を行った。最後に、セルの周囲を最外部の端子部周辺を除いてエポキシ系接着剤によってシールして固めた。このようにして、イメージセンサーを組立てた。
【0161】
イメージセンサーの外形は受光面積が12.3cm2、厚みが約3.9mmであり、上記の図4に示した本発明の基本層構成をもち、B,G,R各層の64ピクセルが作る合計192個の端子の配列が受光面の外に出た構造のアレイセンサーである。センサーの4辺の端子部をオペレーションアンプからなる短絡光電流計測のための並列回路につなぎ、64画素のカラー画像のセンシングのためのモデルシステムを試作した。
【0162】
6.光電流の測定とカラー画像情報のセンシング
各ピクセルから生じる短絡光電流の測定にはオペレーションアンプと40kΩの抵抗からなる回路を用い、直流電流(DC)を電圧に変換して計測した。この回路により、1μAの電流信号が40mVの電圧出力となって計測される。
【0163】
100Wのタングステン/ハロゲンランプと平行光照射用のコリメータレンズを含む光学系からなる単純な光源を用い、カラーセンサーに色特性の異なるアルファベットの文字画像の複数を同時に入射し、文字情報のB層、G層、R層の2次元ピクセルマトリクス内で発生する光電流の強度分布をもとに、個々の文字情報の検出を行った。
【0164】
この画像センシングの実験に先立ち、ピクセルで生じる光電流の入射光強度依存性を測った結果、入射光の1000ルクスまでの強度において、ピクセルの面積当たりB層で最大30μA/cm2,G層で50μA/cm2、R層で最大20μA/cm2の電流密度で光電流が光強度に対して直線的に比例する特性で出力されることが確認された。
【0165】
図7(a)〜(c)は、このセンサーに青色のゴシック文字B、緑色の文字G、赤色の文字Rの画像をそれぞれ単独に入射した場合のB層、G層,R層におけるピクセルの光電流応答の値を示したものである。また、図8(a)は、このセンサーに、白色の文字Tを入射した場合、及び図8(b)は、青色文字B、緑色文字G、赤色文字Rを同時に入射した場合に得られたB層、G層、R層におけるピクセルの光電流応答の値を示したものである。
【0166】
これらの結果から、いずれの実験においても3色の画像情報が電気信号としてそれぞれの感光層においてイメージワイズに(すなわち信号の強度分布が画像の光量分布を反映する形で)検出されていることが分かる。また、特に図8(b)においては、3色の画像情報が3層の感光層において識別されて検出されていることがわかる。
【0167】
以上のように、本発明の構造によるカラー光センサーおよびイメージセンサーは、1)各感光層が、特定の波長領域に選択的に強いバンド吸収を持つ特長を利用し、カラーセンシングの色再現性を高めるとともに、感色性の調節を自在に実施できることと、2)感光層が光透過性であることを特長とし、重層構成により透過光を利用して波長域の異なる光情報や画像情報を同時に検出することにおいて、従来のCCDなどで代表される固体センサーにはない応用が可能である。
【0168】
【発明の効果】
本発明によって、カラー光情報と画像センシングに優れた光電変換型カラー光センサーおよびイメージセンサーが得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の光電変換型カラー光センサーの一例を示す断面図である。
【図2】本発明の光電変換型カラー光センサーの他の一例を示す断面図である。
【図3】本発明の光電変換型カラー光センサーの他の一例を示す断面図である。
【図4】本発明のイメージセンサーの基本構成の1例を示す断面図である。
【図5】本発明のイメージセンサーの外部回路の1例を示す概略断面図である。。
【図6】本発明のイメージセンサーの感光層に用いる導電性層のピクセルと配線のパターンの1例を示す図である。
【図7】本発明のイメージセンサーに、画像をそれぞれ単独に入射した場合のB層、G層,R層におけるピクセルの光電流応答の値を示す図である。
【図8】本発明のイメージセンサーに、画像をそれぞれ単独に入射した場合のB層、G層,R層におけるピクセルの光電流応答の値を示す図である。
【符号の説明】
1・・・支持体、透明支持体
1a・・・リーク孔
2・・・半導体電極、透明半導体電極
2a・・・青色半導体電極
2b・・・緑色半導体電極
2c・・・赤色半導体電極
21・・・導電層
22・・・感光層
22a・・・青色感光層
22b・・・緑色感光層
22c・・・赤色感光層
221・・・半導体微粒子
222・・・色素
3・・・電荷移動層
31・・・電荷輸送材料
4・・・対極
5・・・スペーサー
6・・・イメージセンサー用パターン
61・・・ピクセル
62・・・外部出力端子
63・・・配線

Claims (11)

  1. 入射光を複数の波長領域に対応した電気信号に変換する光電変換型カラー光センサーにおいて、前記光電変換型カラー光センサーは、導電層及び青色感光層を有する半導体電極、導電層及び緑色感光層を有する半導体電極、並びに導電層及び赤色感光層を有する半導体電極と、少なくとも1つの対極と、溶融塩電解質を含有する電荷移動層とを有し、前記半導体電極及び対極は相互に間隙を設けて積層され、各半導体電極と対極との間隙には電荷移動層が充填されており、前記各感光層はそれぞれ半導体を含み、前記青色感光層は下記一般式(IV'):
    [一般式(IV')中、Q b により形成される含窒素ヘテロ環はインドレニン環であり、Zbにより形成される環は下記(ア)であり、
    L61、L62 及びL63はそれぞれ独立に任意に置換基を有するメチン基を表し、n8は0〜4の整数であり、n9は0であり、R81炭素原子数1〜16の芳香族基又は炭素原子数1〜10の脂肪族基を表し、X4は電荷を中和させるのに対イオンが必要な場合の対イオンを表す。]で表される色素を吸着した半導体微粒子を含有し、前記緑色感光層及び前記赤色感光層はそれぞれ、フタロシアニン、ナフタロシアニン、金属フタロシアニン、金属ナフタロシアニン、ポルフィリン、金属ポルフィリン、ルテニウム錯体、及びそれらの誘導体からなる群から選ばれた少なくとも1種の色素を吸着した半導体微粒子を含有し、前記各半導体微粒子の間の空隙には溶融塩電解質が浸透していることを特徴とする光電変換型カラー光センサー。
  2. 請求項1に記載の光電変換型カラー光センサーにおいて、前記導電層及び/又は対極が、支持体上に設置されていることを特徴とする光電変換型カラー光センサー。
  3. 請求項1又は2に記載の光電変換型カラー光センサーにおいて、前記対極が感光波長領域の異なる半導体電極に対応して複数積層されていることを特徴とする光電変換型カラー光センサー。
  4. 請求項1又は2に記載の光電変換型カラー光センサーにおいて、前記対極が感光波長領域の異なる半導体電極すべてに共通する共通対極の1層のみであることを特徴とする光電変換型カラー光センサー。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の光電変換型カラー光センサーにおいて、2層以上の電荷移動層が、半導体電極及び/又は該対極を貫通するリーク孔を通じて相互に電気的に連結していることを特徴とする光電変換型カラー光センサー。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の光電変換型カラー光センサーにおいて、入射光側から順にそれぞれ前記青色感光層、緑色感光層及び赤色感光層を有する半導体電極を有することを特徴とする光電変換型カラー光センサー。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載の光電変換型カラー光センサーにおいて、前記半導体微粒子が、金属カルコゲニド微粒子であることを特徴とする光電変換型カラー光センサー。
  8. 請求項1〜6のいずれかに記載の光電変換型カラー光センサーにおいて、前記半導体微粒子が、TiO2、ZnO、SnO2及びWO3から選ばれる少なくとも一種の金属酸化物であることを特徴とする光電変換型カラー光センサー。
  9. 請求項1〜8のいずれかに記載の光電変換型カラー光センサーにおいて、前記電荷移動層がイオン伝導性の電解質を含有することを特徴とする光電変換型カラー光センサー。
  10. 請求項1〜9のいずれかに記載の光電変換型カラー光センサーにおいて、前記電荷移動層が、イミダゾリウム塩を主体とし、揮発性成分を含まない室温溶融塩電解質からなることを特徴とする光電変換型カラー光センサー。
  11. 請求項1〜10の光電変換型カラー光センサーを単位とする画素を複数配列させたことを特徴とするイメージセンサー。
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