JP2001217451A - 光電変換型カラー光センサーおよびイメージセンサー - Google Patents

光電変換型カラー光センサーおよびイメージセンサー

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JP2001217451A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 カラー光情報センシングに優れた光電変換型
カラー光センサー及びイメージセンサーを提供する。 【解決手段】 本発明の光電変換型カラー光センサー
は、感光波長領域の異なる複数の半導体電極と、少なく
とも1つの対極と、電荷移動層とを有し、前記感光波長
領域の異なる複数の半導体電極及び対極は相互に間隙を
設けて積層され、各半導体電極と対極との間隙には電荷
移動層が充填されているとともに、前記半導体電極は導
電層及び半導体を含む感光層を含んでなる。本発明の光
電変換型カラー光センサーは、吸収波長の異なる複数の
透明半導体電極を2層以上積層することにより、高効率
かつ大面積化が容易となる。また、本発明のイメージセ
ンサーは上記光電変換型カラー光センサーを単位とする
画素を複数配列したものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は色素により増感され
た半導体電極を用いた光電変換型のカラー光センサーお
よびイメージセンサーに関する。
【0002】
【従来の技術】汎用の固体光センサーには、結晶シリコ
ン、アモルファスシリコン、GaAsなどの化合物半導体の
p−n接合あるいはp−i−n接合を用いる素子が一般
に用いられており、高感度の光電変換型光センサーとし
て入力光信号を直接電気的デジタル出力信号として取り
出す多様な目的に利用されている。これらの固体接合素
子をピクセルとして2次元アレイ化した微小チップは画
像入力センサーとして実用化され、その典型がビデオ用
あるいはデジタルカメラ用のCCDである。しかしこれら
の固体光センサーは、基本的に光不透過性であるため、
感光域の異なる複数のピクセル(例えば青(B),緑
(G),赤(R))を積層することは困難であり、感光域の
異なる受光単位(画素)を平面的に並べた構造を取らざ
るを得なかった。
【0003】また上記欠点のほか、固体接合を用いたア
レイセンサーには下記の問題点がある。第1は、Siウ
エハの精密加工や蒸着などの工程を要するため素子がコ
スト高となる点である。第2は、シリコンを用いると赤
外光(熱線)に敏感なために屋内の暗光源下では画像検
出のS/N比が低下し、この対策として赤外カットフィ
ルターが必要となる点である。第3は、固体センサーの
感光波長領域はバンドギャップによって一義的に決まり
分光波長特性はフラットに近いかブロードとなるため、
センサー単独では分光検出機能がない点である。このた
めカラーセンシングには特定の波長領域の光を透過する
カラーフィルターが必要となる。第4は、シリコンウエ
ハを加工の出発素材とするためにセンサーの大面積化
(ウエハ以上のサイズ)が現実的に困難である点であ
る。第5には、センサー構造をフレキシブルな支持体上
に設けることが困難であり、センサーの形状(平面性)
が限定される点である。
【0004】一方、複雑な3次元的な接合構造を用いず
に電気化学的界面を利用して色素の吸収光を電気応答に
変換する方法として、有機色素を感光機構に取り入れた
光電変換素子が、Nature(第353巻、第737〜740頁、199
1年)、米国特許4927721号、同5350644号、特開平5-504
023号、及び特許2963276号などに開示されている。とく
に色素によって増感された多孔質半導体微粒子を用いた
光電池は、高い対入射光量子効率で電流を取り出すのに
優れている。したがって高効率の光センシングに有効で
あるが、このままの構成ではカラーの光情報のセンシン
グに直接使うことは出来ない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上記
問題を解決し、高効率かつ大面積化が容易な光電変換型
カラー光センサーを提供することである。さらには、こ
のカラー光センサーを用いた大面積イメージセンサーを
提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的に鑑み鋭意研究
の結果、本発明者らは、前述の色素増感型半導体電極を
用いた光電変換素子の構造を利用して、吸収波長の異な
る複数の透明半導体電極を2層以上積層することによ
り、高効率かつ大面積化が容易な光電変換型カラー光セ
ンサーを提供できることを見出し、本発明に想到した。
すなわち、本発明の光電変換型カラー光センサーは、導
電層及び半導体を含む感光層からなる半導体電極を用い
たものであり、感光波長領域の異なる複数の半導体電極
と、少なくとも1つの対極と、電荷移動層とを有し、前
記感光波長領域の異なる複数の半導体電極及び対極は相
互に間隙を設けて積層され、各半導体電極と対極との間
隙には電荷移動層が充填されている。
【0007】本発明の光電変換型カラー光センサーは、
感光層が光透過性であることを特徴とし、重層構成によ
り透過光を利用して波長域の異なる光情報や画像情報を
同時に検出することを可能としている。各感光層が、特
定の波長領域に選択的に強いバンド吸収を持つため、カ
ラーセンシングの色再現性を高めるとともに、感色性を
自在に調節することが可能である。
【0008】もう1つの本発明であるイメージセンサー
は、本発明の光電変換型カラー光センサーを単位とする
画素を複数配列させたものである。
【0009】本発明はまた下記条件を満たすことによ
り、一層優れた光電変換型カラー光センサー及びイメー
ジセンサーが得られる。
【0010】(1) 強度付与の観点から、前記導電層
及び/又は対極を支持体上に設置することが好ましい。
【0011】(2) 前記対極は、感光波長領域の異な
る半導体電極に対応して複数積層されているか、あるい
は、感光波長領域の異なる半導体電極のすべてに共通す
る共通対極の1層のみであることが好ましい。後者の場
合、複数の電荷移動層を、半導体電極及び/または該対
極を貫通するリーク孔を通じて相互に電気的に連結させ
ることが好ましい。
【0012】(3) 前記複数の半導体電極は、感光波
長領域が短波長の順に入射光側に配置されていることが
好ましい。特に光入射側から順にそれぞれ青色感光層、
緑色感光層および赤色感光層を有する半導体電極とする
ことが好ましい。
【0013】(4) 前記感光波長領域の異なる複数の
半導体電極のうち少なくとも1の半導体電極は、色素を
吸着した半導体微粒子を感光層に含有することが好まし
い。
【0014】(5) 前記半導体微粒子が、金属カルコ
ゲニド、あるいはTiO2、ZnO、SnO2およびWO3から選ばれ
る少なくとも一種の金属酸化物が好ましい。
【0015】(6) 電荷移動層がイオン伝導性の電解
質を含有することが好ましく、溶融塩電解質を含有する
ことがより好ましい。特にイミダゾリウム塩を主体と
し、揮発性成分を含まない室温溶融塩電解質を用いるこ
とが好ましい。
【0016】
【発明の実施の形態】以下に本発明の光電変換型カラー
光センサー及びイメージセンサーについて詳細に説明す
る。
【0017】[I] 光電変換型カラー光センサー (A) 光電変換型カラー光センサーの内部構造 まず本発明の光電変換型カラー光センサーの内部構造か
ら説明する。本発明の光電変換型カラー光センサーは、
感光波長領域の異なる複数の半導体電極を光の入射方向
に積層した新規な層構成を有するものである。
【0018】本発明の光センサーは、感光波長領域の異
なる複数の半導体電極と、少なくとも1つの対極と、電
荷移動層とを有し、前記感光波長領域の異なる複数の半
導体電極及び対極は相互に間隙を設けて積層され、各半
導体電極と対極との間隙には電荷移動層が充填されてい
る。それぞれの層の境界では、各層の構成成分同士が相
互に拡散混合していてもよい。
【0019】本発明に用いる半導体電極は、Nature(第
353巻、第737〜740頁、1991年)、米国特許4927721号、
同5350644号、特開平5-504023号、及び特許2963276号な
どに開示されている半導体電極の構成を用いたものであ
り、導電層及び半導体を含む感光層からなる。好ましく
は半導体電極2を、図1の拡大図に示すように、導電層
21と、色素222によって増感された半導体微粒子221を含
む感光層22と、当該半導体微粒子の間の空隙に充填され
た電荷輸送材料31とから構成する。電荷輸送材料31は電
荷移動層3と同様の組成物を用いることができる。
【0020】対極は、感光波長領域の異なる半導体電極
に対応して複数設けても良いし、複数の半導体電極に共
通する共通対極を1層のみ設けてもよい。後者の場合、
前記複数の半導体電極のすべてが電荷移動層を介して対
極と電気的に接触している必要があるため、半導体電極
及び/または対極に電荷移動用のリーク孔を設ける。
【0021】上記のカラー光センサーの構成に加えて、
機械的強度を付与するため、必要に応じて導電層および
/または対極に支持体を設けてもよい。支持体の片面に
のみ半導体電極(対極)を設けても良いし、支持体の両
面にそれぞれ感光波長領域の異なる2層の半導体電極
(対極)を設けても良い。
【0022】本発明においては、感光波長領域の異なる
複数の半導体電極のすべての感光層に光を到達させる必
要があるため、前述の光入射側の半導体感光層(たとえ
ば青色感光層)を担持した導電層(および必要に応じて
用いるその支持体)が実質的に光学的に透明でなければ
ならない。また、その他の色素増感半導体感光層を担持
する導電層や支持体も同様に透明であり、上層の感光層
を透過した光が導電層を透過し下層の感光層に至る状況
が満足されていなければならない。ただし、最下層の感
光層の導電層及びその支持体は、その下層に感光層が配
置していない場合は、不透明であってもよい。同様に、
最下層が対極である場合は、対極およびその支持体は不
透明であってよい。
【0023】カラー光センサーの分光性を向上するため
には、各半導体電極がシャープな分光波長特性を有する
ことが好ましく、半導体電極のうち少なくとも1層は、
色素を吸着した半導体微粒子を感光層に含有することが
好ましい。具体的には、青色(B)、緑色(G)、赤色
(R)の3色の波長領域にそれぞれ独立に強い吸収を持
った色素増感半導体電極を設けることが好ましい。な
お、色素を吸着しない半導体電極とする場合、半導体層
には可視光波長領域に光学吸収を持つ半導体が用いら
れ、このような半導体としては、例えばCdS,CdS
e,GaAs、GaP,Siなどの半導体が有効であ
る。
【0024】また、感光波長領域の異なる半導体感光層
が積層された構造において、光入射側に最も近い感光層
から最も遠い感光層向かって、感光波長が長波長となる
順序で配置することが好ましい。また、半導体感光層が
青色感光層(B層)、緑色感光層(G層)、赤色感光層
(R層)の3層からなる場合、光入射側から順次、B層、
G層、R層の順で配置されていることが好ましい。
【0025】本発明の光電変換素子の内部構造は、たと
えば、図1〜図3に示すように目的に合わせ様々な形態
が可能である。
【0026】図1は本発明に基づいたもっとも単純な構
成の例であり、3層の半導体電極と、1層の共通対極を
用いた構成の例である。ガラスのような透明な支持体1
を3枚使用し、第1の支持体1の下面に透明な青色半導
体電極2aを設け、第2の支持体1の上面に透明な緑色
半導体電極2bを設けるとともに下面に赤色半導体電極
2cを設け、第3の支持体1の上面に対極4を設け、前
記青色半導体電極2aと緑色半導体電極2bとの間及び、
赤色半導体電極2cと対極4との間にそれぞれ電荷移動
層3を充填した構成からなる。緑色半導体電極2b、第
2の支持体及び赤色半導体電極2cを貫通する電荷移動
用のリーク孔1aにより、青色半導体電極2aと、緑色
半導体電極2bと、赤色半導体電極2cと対極4とは、そ
れぞれ電荷移動層3を介して接している。ここで光は、
青色半導体電極2a側から入射して、青色半導体電極2a
を一部透過して緑色半導体電極2bへ、次いで赤色半導
体電極2cへと到達する。
【0027】図2は、3層の半導体電極と、2層の対極
を用いた構成の例である。透明な支持体1を3枚使用
し、第1の支持体1の下面に透明な青色半導体電極2
a、電荷移動層3、透明対極4、電荷移動層3の順に積
層し、第2の支持体1の上面に透明な緑色半導体電極2
bを設けるとともに下面に赤色半導体電極2cを設け、第
3の支持体1の上面に対極4、電荷移動層3の順に積層
し、前記第1〜第3の支持体を密着固定した構造からな
る。
【0028】図3は、3層の半導体電極それぞれに対応
して3層の対極を用いた構成の例である。透明な支持体
1を4枚使用し、第1の支持体1の下面に透明な青色半
導体電極2aを設け、第2の支持体1の上面に透明対極
4を設けるとともに下面に透明な緑色半導体電極2bを
設け、第3の支持体の上面に透明対極4を設けるととも
に下面に赤色半導体電極2cを設け、第4の支持体の上
面に対極4を設け、各半導体電極と対極の間に電荷移動
層3を充填した構成からなる。
【0029】尚、本発明の光電変換型カラー光センサー
の内部構造は、図1〜図3に限定されるものではなく、
例えば積層順序を入れ替えたり、2層あるいは4層以上
の半導体電極を用いた構成にすることもできる。
【0030】上記のような構成のカラー光センサーは、
感光波長領域の異なる半導体電極において、各感光波長
領域の光の強度に応じた光電流を発生させる。これを外
部回路によって検知することにより、入射光の色(波
長)とその強度をセンシングすることができる。
【0031】本発明で、色素で増感された半導体を感光
層に用いる場合、該色素を光励起することにより一方向
に電流が整流された電気伝導性を生じる。色素により増
感された半導体がn型半導体の場合は光アノード、p型
半導体の場合は光カソードと呼ばれ、それぞれ電流の流
れが一方向に制御された光電流(アノード光電流もしく
はカソード光電流)を生じる。光アノードを用いた場
合、感光層に入射した光は半導体上に吸着した色素を励
起する。励起状態の色素はエネルギーの高い励起電子を
n型半導体の粒子群の伝導帯に注入し、伝導帯電子は半
導体バルクに移行し、半導体を担持する導電層に到達す
る。電子注入した後の色素分子は電子の欠損した酸化体
ラジカルとなるが、色素と接する電荷移動層中の電子供
与体(電解質においてはイオン性還元剤)によって電子
的に還元され、速やかに色素に再生される。導電層が受
け取った電子は外部回路を通り対極に移行する。このと
き、光励起下で発生する電流が外部回路で光電流として
観測される。また、半導体電極に光カソードを用いた場
合は、色素の励起によって励起電子が電荷移動層中の電
子受容体に渡され、一方、色素の酸化体(正孔)はp型
半導体の価電子帯に注入されて半導体バルクに移行し、
結果として、外部回路では光アノードの場合とは逆方向
の光電流が観測される。
【0032】感光波長域の異なる半導体電極を素子に用
いることにより、それぞれ異なる波長の光に対して上記
の光電流を観測できるので、カラー光センサーとして機
能することができる。
【0033】(B) 各層を構成する物質 次いで、本発明の光電変換型カラー光センサーの各層を
構成する物質について詳細に説明する。
【0034】(a) 支持体 本発明においては、すべての半導体電極に入射光が到達
する必要があるため、最下層に用いる支持体を除いて、
ガラス又はプラスチック等の透明支持体を用いる。ガラ
スとしては低コストのソーダ石灰フロートガラス等が挙
げられる。透明ポリマーフィルムの材料としては、テト
ラアセチルセルロース(TAC)、ポリエチレンテレフタ
レート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、シ
ンジオクタチックポリステレン(SPS)、ポリフェニレ
ンスルフィド(PPS)、ポリカーボネート(PC)、ポリ
アリレート(PAr)、ポリスルフォン(PSF)、ポリエス
テルスルフォン(PES)、ポリエーテルイミド(PEI)、
環状ポリオレフィン、ブロム化フェノキシ等がある。
【0035】(b)半導体電極 (i)導電層 感光層に光を透過させるため、導電層は実質的に透明で
あるのが好ましい。実質的に透明であるとは光の透過率
が10%以上であることを意味し、50%以上であるのが好
ましく、70%以上が特に好ましい。好ましい導電剤とし
ては金属(例えば白金、金、銀、銅、アルミニウム、ロ
ジウム、インジウム等)、炭素、又は透明の導電性金属
酸化物(インジウム−スズ複合酸化物、酸化スズにフッ
素をドープしたもの等)が挙げられる。これらの中で特
に好ましいものは、導電性金属酸化物である。導電層の
厚さは0.02〜10μm程度が好ましい。
【0036】ただし、下層(光入射面と反対側)に感光
層が存在しない部位には、金属板等の不透明導電層を用
いることもできる。金属板が十分な強度を有する場合
は、半導体電極に支持体は不要である。
【0037】導電層は表面抵抗が低い程よい。好ましい
表面抵抗の範囲は100Ω/□以下であり、さらに好まし
くは40Ω/□以下である。表面抵抗の下限には特に制限
はないが、通常0.1Ω/□程度である。
【0038】導電層の抵抗を下げる目的で金属リードを
用いてもよい。金属リードの材質はアルミニウム、銅、
銀、金、白金、ニッケル等の金属が好ましく、特にアル
ミニウム及び銀が好ましい。金属リードは透明導電層上
に蒸着、スパッタリング等で設置するか、あるいは前述
の透明支持体上に金属リードを設け、その上にフッ素を
ドープした酸化スズ、又はITO膜からなる透明導電層を
設けるのが好ましい。金属リード設置による入射光量の
低下は好ましくは10%以内、より好ましくは1〜5%と
する。
【0039】(ii)感光層 感光層において、半導体はいわゆる感光体として作用
し、光を吸収して電荷分離を行い、電子と正孔を生ず
る。色素増感された半導体では、光吸収及びこれによる
電子及び正孔の発生は主として色素において起こり、半
導体はこの電子または正孔を受け取り、伝達する役割を
担う。本発明では、異なる半導体種および/または異な
る色素を適宜選択することにより、感光波長域の異なる
感光層(半導体電極)を作製することができる。
【0040】(イ)半導体 本発明で用いる半導体材料は、その固有光吸収域の光で
励起された場合に電気伝導性を生じる材料であり、エネ
ルギー準位として価電子帯と伝導帯を有し、バンドギャ
ップに相当する波長の光で励起すると伝導帯電子と価電
子帯正孔を生じる。このときn型半導体では伝導帯の電
子がキャリアー、p型半導体では価電子帯の正孔がキャ
リアーとなって移動し電気伝導性を生じる。好ましい半
導体は伝導に関わるキャリアーの濃度が1014〜1020個/
cm3の範囲の半導体である。本発明に関わる半導体電極
の色素増感の機構は、本多健一、藤嶋昭、化学総説No
7、p77(1976)、渡辺正、滝澤卓朗、本多健一、触
媒、20、p370(1978)に詳解されている。
【0041】半導体の材料としてはシリコン、ゲルマニ
ウムのような単体半導体の他に、III−V系化合物半導
体、金属カルコゲニド(例えば酸化物、硫化物、セレン
化物等)またはペロブスカイト構造を有する化合物等を
使用することができる。これら酸化物およびカルコゲニ
ドの金属として、好ましくはチタン、スズ、亜鉛、鉄、
タングステン、ジルコニウム、ハフニウム、ストロンチ
ウム、インジウム、セリウム、イットリウム、ランタ
ン、バナジウム、ニオブ、もしくはタンタルの酸化物、
カドミウム、亜鉛、鉛、銀、アンチモン、ビスマスの硫
化物、カドミウム、鉛のセレン化物、カドミウムのテル
ル化物等が挙げられる。他の化合物半導体としては亜
鉛、ガリウム、インジウム、カドミウム等のリン化物、
ガリウムヒ素、銅−インジウム−セレン化物、銅−イン
ジウム−硫化物等が挙げられる。
【0042】また、ペロブスカイト構造を有する金属化
合物として好ましくはチタン酸ストロンチウム、チタン
酸カルシウム、チタン酸ナトリウム、チタン酸バリウ
ム、ニオブ酸カリウムが挙げられる。
【0043】半導体は、不純物準位をもたず伝導帯電子
と価電子帯正孔によるキャリアーの濃度が等しい固有半
導体(あるいは真性半導体)の他に、不純物に由来する
構造欠陥により電子キャリアー濃度の高いn型半導体
と、正孔キャリアー濃度の高いp型半導体が存在する。
本発明では、n型半導体またはp型半導体のいずれかを
複数の半導体電極のそれぞれに用いることができる。好
ましくはn型半導体である。
【0044】本発明で好ましく用いられるn型の無機半
導体は、TiO2、TiSrO3、ZnO、Nb2 3、SnO2、WO3、Si、
CdS、CdSe、V2O5、ZnS、ZnSe、SnSe、KTaO3、FeS2、Pb
S、InP、GaAs、CuInS2、CuInSe2などである。これらの
うち最も好ましいのはTiO2、ZnO、SnO2、WO3である。ま
た好ましいp型の無機半導体は、Cu2O、CuI、GaP、GaA
s、NiO、CoO、FeO、GaP、Cr2O3、SnS、Bi2O3、MoO2、S
i、Geなどである。これらのなかでも特に好ましいのはC
u2O、NiOである。
【0045】本発明に用いられる半導体は、単結晶で
も、多結晶でもよい。変換効率においては単結晶が好ま
しいが、製造コスト、原材料確保、エネルギーペイバッ
クタイム等の点では多結晶が好ましく、特にナノメート
ルからマイクロメートルサイズの微粒子の集合体からな
る多孔質の半導体材料が好ましい。すなわち、多くの色
素を吸着することができるように表面積の大きいものが
好ましい。このため半導体微粒子層(多孔質膜)の表面
積は、投影面積に対して10倍以上であるのが好ましく、
さらに100倍以上であるのが好ましい。この上限は特に
制限はないが、通常1000倍程度である。
【0046】半導体微粒子を用いる場合、その粒径は、
投影面積を円に換算したときの直径を用いた平均粒径で
一次粒子として5〜200nmであることが好ましく、特に8
〜100nmであることが好ましい。また、分散物中の半導
体微粒子(二次粒子)の平均粒径としては0.01〜100μm
であることが好ましい。
【0047】また、2種類以上の粒子サイズ分布の異な
る微粒子を混合して用いてもよく、この場合、小さい粒
子の平均サイズは5nm以下であることが好ましい。ま
た、入射光を散乱させて光捕獲率を向上させる目的で、
粒子サイズの大きな、例えば300nm程度の半導体粒子を
混合してもよい。
【0048】半導体微粒子の作製法は、作花済夫の「ゾ
ルーゲル法の科学」アグネ承風社(1988)、技術情報協
会の「ゾルーゲル法による薄膜コーティング技術」(19
95)等に記載のゾル−ゲル法、杉本忠夫の「新合成法ゲ
ルーゾル法による単分散粒子の合成とサイズ形態制
御」、まてりあ、第35巻、第9号、1012〜1018頁(199
6)記載のゲル−ゾル法が好ましい。またDegussa社が開
発した方法すなわち塩化物を酸水素炎中で高温加水分解
により酸化物を作製する方法も好ましい。
【0049】酸化チタンの場合は上記のゾル−ゲル法、
ゲル−ゾル法、塩化物を酸水素炎中で高温加水分解法が
いずれも好ましいが、さらに清野学の「酸化チタン 物
性と応用技術」技報堂出版(1997)に記載の硫酸法、塩
素法を用いることもできる。さらにゾル−ゲル法とし
て、バーブらのジャーナル・オブ・アメリカン・セラミ
ック・ソサエティー、第80巻、第12号、3157〜3171頁
(1997)に記載の方法や、バーンサイドらのケミストリ
ー・オブ・マテリアルズ、第10巻、第9号、2419〜2425
頁記載の方法も好ましい。
【0050】半導体層は、蒸着、スパッタ、CVD、P
VDまたは塗布法などにより形成することができる。半
導体微粒子を塗布するには、半導体微粒子の分散液又は
コロイド溶液を導電層を付与した支持体上に塗布する方
法の他に、前述のゾル−ゲル法等を使用することもでき
る。
【0051】半導体層は単層であってもよいし、微粒子
の粒径の違った分散液を多層塗布した多層構成であって
もよい。また半導体の種類が異なる、あるいはバインダ
ー、添加剤の組成が異なる塗布層を多層塗布した構成で
あってもよい。
【0052】感光層の厚みが増大すると単位投影面積当
たりの担持色素量が増えるため光の捕獲率が高くなる
が、生成した電子の拡散距離が増すため電荷再結合によ
るロスも大きくなる。したがって、感光層の好ましい厚
さは、一般的には0.1〜100μmである。好ましくは0.5〜
30μmであり、1〜10μmであることがより好ましい。
【0053】(ロ)色素 本発明で用いる増感色素はとくに限定されないが、第一
に、カラーセンシングの目的で必要とする感色域に鋭い
吸収ピークを持ち、半導体を増感できるのに十分な励起
エネルギー準位を持った色素であることが好ましい。
【0054】また、第二に、色素は半導体微粒子の表面
に対する適当な結合基(interlockinggroup)を有して
いることが好ましい。好ましい結合基としては、COOH
基、SO3H基、OH基、シアノ基、-P(O)(OH)2基、-OP(O)(O
H)2基、または、オキシム、ジオキシム、 ヒドロキシキ
ノリン、サリチレートおよびα-ケトエノレートのよう
なπ伝導性を有するキレート化基が挙げられる。この中
でもCOOH基、-P(O)(OH)2基、-OP(O)(OH)2基が特に好ま
しい。これらの基はアルカリ金属等と塩を形成していて
もよく、また分子内塩を形成していてもよい。また、ポ
リメチン色素の場合、メチン鎖がスクアリリウム環やク
ロコニウム環を形成する場合のように酸性基を含有する
なら、この部分を結合基としてもよい。
【0055】第三には、色素は光に対して化学的に安定
であること、すなわちセンサーとして十分な光耐久性を
もつことが好ましい。
【0056】第四には、色素は高いモル吸光係数をもつ
ことが好ましい。モル吸光係数は、10,000以上あること
が好ましく、100,000以上あることがさらに好ましい。
【0057】本発明に使用する色素の好ましい例はシア
ニン色素、メロシアニン色素、スクアリリウム色素など
のポリメチン色素のファミリーである。特に好ましい色
素として、下記に示す色素があげられる。
【0058】1.一般式(II)により表される色素
【化1】 一般式(II)中、R21およびR25はそれぞれ独立に水素原
子、アルキル基、アリール基または複素環基を表し、R
22〜R24はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表
し、R21〜R25は互いに結合して環を形成してもよく、L
11およびL12はそれぞれ独立に窒素原子、酸素原子、硫
黄原子、セレン原子またはテルル原子を表し、n1および
n3はそれぞれ独立に0〜2の整数を表し、n2は1〜6の
整数を表す。この色素は分子全体の電荷に応じて対イオ
ンを有してもよい。
【0059】上記アルキル基、アリール基および複素環
基は置換基を有していてもよい。アルキル基は直鎖であ
っても分岐鎖であってもよく、またアリール基および複
素環基は、単環でも、多環(縮合環、環集合)でもよ
い。またR21〜R25により形成される環は置換基を有して
いてもよく、また単環でも縮合環でもよい。
【0060】2.一般式(III)により表される色素
【化2】 一般式(III)中、Zaは含窒素複素環を形成するために
必要な非金属原子群を表し、R31はアルキル基またはア
リール基を表す。Qaは一般式(III)で表される化合物
がメチン色素として機能するために必要なメチン基また
はポリメチン基を表し、Qaを介して多量体を形成しても
よい。X3は対イオンを表し、n4は0〜10の整数である。
【0061】上記Zaで形成される含窒素複素環は置換基
を有していてもよく、単環であっても縮合環であっても
よい。またアルキル基およびアリール基は置換基を有し
ていてもよく、アルキル基は直鎖でも分岐鎖でもよく、
またアリール基は単環でも多環(縮合環、環集合)でも
よい。
【0062】一般式(III)により表される色素のう
ち、下記一般式(III-a)〜(III-d):
【化3】 (ただし、R41〜R45、R51〜R54、R61〜R63、およびR71
〜R73はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アリー
ル基または複素環基を表し、L21、L22、L31、L32、L41
〜L45およびL51〜L56はそれぞれ独立に酸素原子、硫黄
原子、セレン原子、テルル原子、-CRR'-または-NR-(R
およびR'は水素原子、アルキル基、アリール基または複
素環基を表し、それぞれ同一でも異なっていてもよ
い。)を表し、L33はO-、S-、Se-、Te-または-N-Rを表
す。Y11、Y12、Y21、Y22、Y31およびY41はそれぞれ独立
に置換基を表し、n5、n6およびn7はそれぞれ独立に1〜
6の整数を表す。)により表される色素がより好まし
い。
【0063】一般式(III-a)〜(III-d)により表され
る化合物は、分子全体の電荷に応じて対イオンを有して
いてもよく、上記アルキル基、アリール基および複素環
基は置換基を有していてもよく、またアルキル基は直鎖
でも分岐鎖でもよく、さらにアリール基および複素環基
は単環でも多環(縮合環、環集合)でもよい。
【0064】以上のようなポリメチン色素の具体例は、
M.Okawara, T.Kitao, T.Hirashima, M.Matsuoka著の
Organic Colorants(Elsevier)等に詳しく記載されて
いる。
【0065】3.一般式(IV)により表される色素
【化4】 一般式(IV)中、Qbは5または6員の含窒素ヘテロ環を
形成するために必要な原子団を表し、Zbは3〜9員環の
いずれかを形成するために必要な原子団を表し、L61、L
62、L63、L64およびL65はそれぞれ独立に任意に置換基
を有するメチン基を表し、n8は0〜4の整数であり、n9
は0または1であり、R81は置換基を表し、X4は電荷を
中和させるのに対イオンが必要な場合の対イオンを表
す。
【0066】Qbにより形成される環は縮環していてもよ
く、また置換基を有していてもよい。含窒素ヘテロ環の
好ましい例としては、ベンゾチアゾール環、ベンゾオキ
サゾール環、ベンゾセレナゾール環、ベンゾテルラゾー
ル環、2-キノリン環、4-キノリン環、ベンゾイミダゾー
ル環、チアゾリン環、インドレニン環、オキサジアゾー
ル環、チアゾール環、イミダゾール環が挙げられる、さ
らに好ましくはベンゾチアゾール環、ベンゾオキサゾー
ル環、ベンズイミダゾール環、ベンゾセレナゾール環、
2-キノリン環、4-キノリン環、インドレニン環であり、
特に好ましくはベンゾチアゾール環、ベンゾオキサゾー
ル環、2-キノリン環、4-キノリン環、インドレニン環で
ある。
【0067】含窒素ヘテロ環上の置換基の例としては、
カルボキシル基、ホスホニル基、スルホニル基、ハロゲ
ン原子(F、Cl、Br、I等)、シアノ基、アルコキシ基
(メトキシ基、エトキシ基、メトキシエトキシ基等)、
アリーロキシ基(フェノキシ基等)、アルキル基(メチ
ル基、エチル基、シクロプロピル基、シクロへキシル
基、トリフルオロメチル基、メトキシエチル基、アリル
基、ベンジル等)、アルキルチオ基(メチルチオ基、エ
チルチオ基等)、アルケニル基(ビニル基、1-プロペニ
ル基等)、アリール基、複素環基(フェニル基、チエニ
ル基、トルイル基、クロロフェニル基等)等が挙げられ
る。
【0068】Zbは炭素原子、酸素原子、窒素原子、硫黄
原子および水素原子から選ばれる原子により構成され
る。Zbにより形成される環は、好ましくは4〜6個の炭
素により骨格が形成される環であり、より好ましくは以
下(ア)〜(オ):
【化5】 のいずれかであり、最も好ましくは(ア)である。
【0069】L61、L62、L63、L64およびL65がそれぞれ
独立に任意に有する置換基としては、置換または無置換
のアルキル基(好ましくは炭素原子数1〜12、さらに好
ましくは炭素原子数1〜7であり、例えばメチル基、エ
チル基、プロピル基、イソプロピル基、シクロプロピル
基、ブチル基、2-カルボキシエチル基、ベンジル基
等)、置換または無置換のアリール基(好ましくは炭素
原子数6、8ないし10、より好ましくは炭素原子数6な
いし8のものであり、例えばフェニル基、トルイル基、
クロロフェニル基、o-カルボキシフェニル基等)、複素
環基(例えばピリジル基、チエニル基、フラニル基、バ
ルビツール酸等)、ハロゲン原子(例えば塩素原子、臭
素原子等)、アルコキシ基(例えばメトキシ基、エトキ
シ基等)、アミノ基(好ましくは炭素原子数1〜12、よ
り好ましくは炭素原子数6〜12のものであり、例えばジ
フェニルアミノ基、メチルフェニルアミノ基、4-アセチ
ルピペラジン-1-イル基等)、オキソ基等が挙げられ
る。これらの置換基は互いに連結してシクロペンテン
環、シクロヘキセン環、スクアリリウム環等の環を形成
してもよく、助色団と環を形成してもよい。なおn8は0
〜4の整数であり、好ましくは0〜3である。またn9は
0または1である。
【0070】置換基R81は好ましくは芳香族基(置換基
を有してもよい)または脂肪族基(置換基を有してもよ
い)である。芳香族基の炭素原子数は好ましくは1〜1
6、より好ましくは5〜6である。脂肪族基の炭素原子
数は好ましくは1〜10、より好ましくは1〜6である。
無置換の脂肪族基および芳香族基としては、メチル基、
エチル基、n-プロピル基、n-ブチル基、フェニル基、ナ
フチル基等が挙げられる。
【0071】色素が陽イオンまたは陰イオンであるか、
あるいは正味のイオン電荷を持つかどうかは、その助色
団および置換基に依存し、分子全体の電荷は対イオンX4
により中和される。対イオンX4として典型的な陽イオン
は無機または有機のアンモニウムイオン(テトラアルキ
ルアンモニウムイオン、ピリジニウムイオン等)および
アルカリ金属イオンであり、一方、陰イオンは無機また
は有機の陰イオンのいずれであってもよく、ハロゲン化
物イオン(フッ化物イオン、塩化物イオン、臭化物イオ
ン、ヨウ化物イオン等)、置換アリールスルホン酸イオ
ン(p-トルエンスルホン酸イオン、p-クロロベンゼンス
ルホン酸イオン等)、アリールジスルホン酸イオン(1,
3-ベンゼンジスルホン酸イオン、1,5-ナフタレンジスル
ホン酸イオン、2,6-ナフタレンジスルホン酸イオン
等)、アルキル硫酸イオン(メチル硫酸イオン等)、硫
酸イオン、チオシアン酸イオン、過塩素酸イオン、テト
ラフルオロホウ酸イオン、ピクリン酸イオン、酢酸イオ
ン、トリフルオロメタンスルホン酸イオン等である。
【0072】さらに電荷均衡対イオンとして、イオン性
ポリマー、あるいは色素と逆電荷を有する他の色素を用
いてもよいし、例えばビスベンゼン-1,2-ジチオラトニ
ッケル(III)のような金属錯イオンを使用してもよい。
【0073】4.一般式(V)により表される色素
【化6】 一般式(V)中、Qcは少なくとも4官能以上の芳香族基
を表し、L71およびL72はそれぞれ独立に硫黄原子、セレ
ン原子またはCRR'(ただし、RおよびR'はそれぞれ独立
に水素原子またはアルキル基であり、同じでも異なって
いてもよい。)を表し、同一でも異なっていも良く、好
ましくはそれぞれ独立に硫黄原子またはCRR'であり、よ
り好ましくはCRR'である。またR91およびR92はそれぞれ
独立にアルキル基または芳香族基を表し、Y51およびY52
はそれぞれ独立にポリメチン色素を形成するのに必要な
非金属原子群を表す。X5は対イオンを表す。
【0074】芳香族基Qcの例としては、ベンゼン、ナフ
タレン、アントラセン、フェナントレン等の芳香族炭化
水素から誘導されるものや、アントラキノン、カルバゾ
ール、ピリジン、キノリン、チオフェン、フラン、キサ
ンテン、チアントレン等の芳香族へテロ環から誘導され
るものが挙げられ、これらは連結部分以外に置換基を有
していても良い。Qcは好ましくは芳香族炭化水素の誘導
基であり、より好ましくはベンゼンまたはナフタレンの
誘導基である。
【0075】Y51およびY52によりいかなるメチン色素を
形成することも可能であるが、好ましくはシアニン色
素、メロシアニン色素、ロダシアニン色素、3核メロシ
アニン色素、アロポーラー色素、ヘミシアニン色素、ス
チリル色素等が挙げられる。シアニン色素には色素を形
成するメチン鎖上の置換基がスクアリウム環やクロコニ
ウム環を形成したものも含まれる。これらの色素の詳細
については、F.M.Harmer著「Heterocyclic Compounds-C
yanine Dyes and Related Compounds」,John Wiley &
Sons社,ニューヨーク,ロンドン,1964年刊、D.M.Stur
mer著「Heterocyclic Compounds-Special Topics in He
terocyclic Chemistry」,第18章,第14節,482〜515頁
等に記載されている。またシアニン色素、メロシアニン
色素およびロダシアニン色素は、米国特許第5,340,694
号,第21〜22頁の(XI)、(XII)および(XIII)に示
されているものが好ましい。またY51およびY52により形
成されるポリメチン色素の少なくともいずれか一方のメ
チン鎖部分にスクアリリウム環を有するものが好まし
く、両方に有するものがさらに好ましい。
【0076】R91およびR92は芳香族基または脂肪族基で
あり、これらは置換基を有していてもよい。芳香族基の
炭素原子数は好ましくは5〜16、より好ましくは5〜6
である。脂肪族基の炭素原子数は好ましくは1〜10、よ
り好ましくは1〜6である。無置換の脂肪族基、芳香族
基としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、n-ブ
チル基、フェニル基、ナフチル基等が挙げられる。
【0077】R91、R92、Y51およびY52のうち少なくとも
一つは酸性基を有するのが好ましい。ここで酸性基とは
解離性のプロトンを有する置換基であり、例としてはカ
ルボン酸基、ホスホン酸基、スルホン酸基、ホウ酸基等
が挙げられ、好ましくはカルボン酸基である。またこの
ような酸性基上のプロトンは解離していても良い。
【0078】一般式(II)〜(V)により表されるポリ
メチン色素の具体例(1)〜(43)およびS-1〜S-42を
以下に示すが、本発明はこれらに限定されるものではな
い。
【0079】
【化7】
【0080】
【化8】
【0081】
【化9】
【0082】
【化10】
【0083】
【化11】
【0084】
【化12】
【0085】
【化13】
【0086】
【化14】
【0087】
【化15】
【0088】
【化16】
【0089】
【化17】
【0090】
【化18】
【0091】
【化19】
【0092】
【化20】
【0093】
【化21】
【0094】
【化22】
【0095】
【化23】
【0096】
【化24】
【0097】
【化25】
【0098】
【化26】
【0099】
【化27】
【0100】一般式(II)、(III)で表される化合物
は、F.M.Harmer著「Heterocyclic Compounds-Cyanine D
yes and Related Compounds」,John Wiley & Sons社,
ニューヨーク,ロンドン,1964年刊、D.M.Sturmer著「H
eterocyclic Compounds-Special Topics in Heterocycl
ic Chemistry」,第18章,第14節,第482〜515頁,John
Wiley & Sons社,ニューヨーク,ロンドン,1977年
刊、「Rodd's Chemistryof Carbon Compounds」,2nd.E
d., vol.IV, part B,第15章,第369〜422頁,Elsevier
Science Publishing Company Inc.社,ニューヨーク,
1977年刊、英国特許第1,077,611号等に記載の方法によ
り合成することができる。
【0101】式(IV)により表される化合物は、Dyes a
nd Pigments,第21巻,227〜234頁等の記載を参考にし
て合成することができる。また式(V)により表される
化合物は、Ukrainskii Khimicheskii Zhurnal,第40
巻,第3号,第253〜258頁、Dyes and Pigments,第21
巻,第227〜234頁およびこれらの文献中に引用された文
献の記載を参考にして合成することができる。
【0102】この他、錯体色素、金属錯体色素も光安定
性が高い点で、好ましく用いられる。とくに好ましいも
のは、フタロシアニンおよびナフタロシアニンとその誘
導体、金属フタロシアニン、金属ナフタロシアニンとそ
の誘導体、テトラフェニルポルフィリンやテトラアザポ
ルフィリンを含むポルフィリン類とその誘導体、金属ポ
ルフィリンとその誘導体、ルテニウム錯体とその誘導
体、などである。さらに、色素レーザー用に用いられる
色素類とその誘導体も本発明に用いることができる。
【0103】半導体に色素を吸着させるには、色素の溶
液中に良く乾燥した半導体電極を浸漬するか、色素の溶
液を半導体層に塗布する方法を用いることができる。溶
媒は、色素の溶解性に応じて適宜選択できる。例えば、
アルコール類(メタノール、エタノール、t-ブタノー
ル、ベンジルアルコール等)、ニトリル類(アセトニト
リル、プロピオニトリル、3-メトキシプロピオニトリル
等)、ニトロメタン、ハロゲン化炭化水素(ジクロロメ
タン、ジクロロエタン、クロロホルム、クロロベンゼン
等)、エーテル類(ジエチルエーテル、テトラヒドロフ
ラン等)、ジメチルスルホキシド、アミド類(N,N-ジメ
チルホルムアミド、N,N-ジメチルアセタミド等)、N-メ
チルピロリドン、1,3-ジメチルイミダゾリジノン、3-メ
チルオキサゾリジノン、エステル類(酢酸エチル、酢酸
ブチル等)、炭酸エステル類(炭酸ジエチル、炭酸エチ
レン、炭酸プロピレン等)、ケトン類(アセトン、2-ブ
タノン、シクロヘキサノン等)、炭化水素(へキサン、
石油エーテル、ベンゼン、トルエン等)やこれらの混合
溶媒が挙げられる。
【0104】色素の使用量は、半導体層の1m2当たり0.
01〜100mmolが好ましい。また、色素の半導体微粒子に
対する吸着量は半導体微粒子1gに対して0. 01〜1mmol
が好ましい。このような色素量とすることによって、半
導体における増感効果が十分に得られる。これに対し、
色素量が少ないと増感効果が不十分となり、色素量が多
すぎると、半導体に付着していない色素が浮遊し増感効
果を低減させる原因となる。
【0105】(c) 電荷移動層 電荷移動層は色素の酸化体に電子を補充する機能あるい
は色素から励起電子を受け取る機能を有する層である。
本発明で用いることのできる代表的な電荷輸送材料の例
としては、イオン輸送材料として、酸化還元対のイオ
ンが溶解した溶液(電解液)、酸化還元対の溶液をポリ
マーマトリクスのゲルに含浸したいわゆるゲル電解質、
酸化還元対イオンを含有する溶融塩電解質、さらには固
体電解質が挙げられる。また、イオンがかかわる電荷輸
送材料のほかに、固体中のキャリアー移動が電気伝導
にかかわる材料として、電子輸送材料や正孔(ホール)
輸送材料を用いることもできる。
【0106】(i)溶融塩電解質 上記電荷輸送材料のうち、溶融塩電解質は光電変換効率
と耐久性の両立という観点から好ましい。本発明の光電
変換素子に溶融塩電解質を用いる場合は、例えばWO95/1
8456号、特開平8-259543号、EP718288号、電気化学,第
65巻,11号,923頁(1997年)等に記載されているピリ
ジニウム塩、イミダゾリウム塩、トリアゾリウム塩等の
既知のヨウ素塩を用いることができる。
【0107】好ましく用いることのできる溶融塩として
は、下記一般式(Y-a)、(Y-b)及び(Y-c)のいずれ
かにより表されるものが挙げられる。
【0108】
【化28】
【0109】一般式(Y-a)中、Qy1は窒素原子と共に5
又は6員環の芳香族カチオンを形成しうる原子団を表
す。Qy1は炭素原子、水素原子、窒素原子、酸素原子及
び硫黄原子からなる群から選ばれる1種以上の原子によ
り構成されるのが好ましい。
【0110】Qy1により形成される5員環は、オキサゾ
ール環、チアゾール環、イミダゾール環、ピラゾール
環、イソオキサゾール環、チアジアゾール環、オキサジ
アゾール環又はトリアゾール環であるのが好ましく、オ
キサゾール環、チアゾール環又はイミダゾール環である
のがより好ましく、オキサゾール環又はイミダゾール環
であるのが特に好ましい。Qy1により形成される6員環
は、ピリジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、ピラジ
ン環又はトリアジン環であるのが好ましく、ピリジン環
であるのがより好ましい。
【0111】一般式(Y-b)中、Ay1は窒素原子又はリン
原子を表す。
【0112】一般式(Y-a)、(Y-b)及び(Y-c)中のR
y1〜Ry6はそれぞれ独立に置換又は無置換のアルキル基
(好ましくは炭素原子数1〜24、直鎖状であっても分岐
状であっても、また環式であってもよく、例えばメチル
基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ペンチル
基、ヘキシル基、オクチル基、2-エチルヘキシル基、t-
オクチル基、デシル基、ドデシル基、テトラデシル基、
2-ヘキシルデシル基、オクタデシル基、シクロヘキシル
基、シクロペンチル基等)、或いは置換又は無置換のア
ルケニル基(好ましくは炭素原子数2〜24、直鎖状であ
っても分岐状であってもよく、例えばビニル基、アリル
基等)を表し、より好ましくは炭素原子数2〜18のアル
キル基又は炭素原子数2〜18のアルケニル基であり、特
に好ましくは炭素原子数2〜6のアルキル基である。
【0113】また、一般式(Y-b)中のRy1〜Ry4のうち
2つ以上が互いに連結してAy1を含む非芳香族環を形成
してもよく、一般式(Y-c)中のRy1〜Ry6のうち2つ以
上が互いに連結して環構造を形成してもよい。
【0114】一般式(Y-a)、(Y-b)及び(Y-c)中のQ
y1及びRy1〜Ry6は置換基を有していてもよく、好ましい
置換基の例としては、ハロゲン原子(F、Cl、Br、I
等)、シアノ基、アルコキシ基(メトキシ基、エトキシ
基等)、アリーロキシ基(フェノキシ基等)、アルキル
チオ基(メチルチオ基、エチルチオ基等)、アルコキシ
カルボニル基(エトキシカルボニル基等)、炭酸エステ
ル基(エトキシカルボニルオキシ基等)、アシル基(ア
セチル基、プロピオニル基、ベンゾイル基等)、スルホ
ニル基(メタンスルホニル基、ベンゼンスルホニル基
等)、アシルオキシ基(アセトキシ基、ベンゾイルオキ
シ基等)、スルホニルオキシ基(メタンスルホニルオキ
シ基、トルエンスルホニルオキシ基等)、ホスホニル基
(ジエチルホスホニル基等)、アミド基(アセチルアミ
ノ基、ベンゾイルアミノ基等)、カルバモイル基(N,N-
ジメチルカルバモイル基等)、アルキル基(メチル基、
エチル基、プロピル基、イソプロピル基、シクロプロピ
ル基、ブチル基、2-カルボキシエチル基、ベンジル基
等)、アリール基(フェニル基、トルイル基等)、複素
環基(ピリジル基、イミダゾリル基、フラニル基等)、
アルケニル基(ビニル基、1-プロペニル基等)等が挙げ
られる。
【0115】一般式(Y-a)、(Y-b)又は(Y-c)によ
り表される化合物は、Qy1又はRy1〜R y6を介して多量体
を形成してもよい。
【0116】これらの溶融塩は、単独で使用しても、2
種以上混合して使用してもよく、また、ヨウ素アニオン
を他のアニオンで置き換えた溶融塩と併用することもで
きる。ヨウ素アニオンと置き換えるアニオンとしては、
ハロゲン化物イオン(Cl-、Br-等)、SCN-、BF4 -、P
F6 -、ClO4 -、(CF3SO2)2N-、(CF3CF2SO2)2N-、CF3SO3 -
CF3COO-、Ph4B-、(CF3SO2)3C-等が好ましい例として挙
げられ、(CF3SO2)2N-又はBF4 -であるのがより好まし
い。また、LiIなど他のヨウ素塩を添加することもでき
る。
【0117】本発明で好ましく用いられる溶融塩の具体
例を以下に挙げるが、これらに限定されるわけではな
い。
【0118】
【化29】
【0119】
【化30】
【0120】
【化31】
【0121】
【化32】
【0122】
【化33】
【0123】
【化34】
【0124】
【化35】
【0125】上記溶融塩電解質には、溶媒を用いない方
が好ましい。溶媒を添加しても構わないが、溶融塩の含
有量は電解質組成物全体に対して50質量%以上であるの
が好ましい。また、塩のうち、50質量%以上がヨウ素塩
であることが好ましく、70質量%以上であることがさら
に好ましい。
【0126】電解質組成物にヨウ素を添加するのが好ま
しく、この場合、ヨウ素の含有量は、電解質組成物全体
に対して0.1〜20質量%であるのが好ましく、0.5〜5質
量%であるのがより好ましい。
【0127】(ii)電解液 電荷移動層に電解液を使用する場合、電解液は電解質、
溶媒、および添加物から構成されることが好ましい。本
発明の電解質はI2とヨウ化物の組み合わせ(ヨウ化物と
してはLiI、NaI、KI、CsI、CaI2 などの金属ヨウ化物、
あるいはテトラアルキルアンモニウムヨーダイド、ピリ
ジニウムヨーダイド、イミダゾリウムヨーダイドなど4
級アンモニウム化合物のヨウ素塩など)、Br2と臭化物
の組み合わせ(臭化物としてはLiBr、NaBr、KBr、CsB
r、CaBr2 などの金属臭化物、あるいはテトラアルキル
アンモニウムブロマイド、ピリジニウムブロマイドなど
4級アンモニウム化合物の臭素塩など)のほか、フェロ
シアン酸塩−フェリシアン酸塩やフェロセン−フェリシ
ニウムイオンなどの金属錯体、ポリ硫化ナトリウム、ア
ルキルチオール−アルキルジスルフィドなどのイオウ化
合物、ビオロゲン色素、ヒドロキノン−キノンなどを用
いることができる。この中でもI2とLiIやピリジニウム
ヨーダイド、イミダゾリウムヨーダイドなど4級アンモ
ニウム化合物のヨウ素塩を組み合わせた電解質が本発明
では好ましい。上述した電解質は混合して用いてもよ
い。
【0128】好ましい電解質濃度は0.1M以上15M以下
であり、さらに好ましくは0.2M以上10M以下である。ま
た、電解質にヨウ素を添加する場合の好ましいヨウ素の
添加濃度は0.01M以上0.5M以下である。
【0129】本発明で電解質に使用する溶媒は、粘度が
低くイオン移動度を向上したり、もしくは誘電率が高く
有効キャリアー濃度を向上したりして、優れたイオン伝
導性を発現できる化合物であることが望ましい。このよ
うな溶媒としては、エチレンカーボネート、プロピレン
カーボネートなどのカーボネート化合物、3-メチル-2-
オキサゾリジノンなどの複素環化合物、ジオキサン、ジ
エチルエーテルなどのエーテル化合物、エチレングリコ
ールジアルキルエーテル、プロピレングリコールジアル
キルエーテル、ポリエチレングリコールジアルキルエー
テル、ポリプロピレングリコールジアルキルエーテルな
どの鎖状エーテル類、メタノール、エタノール、エチレ
ングリコールモノアルキルエーテル、プロピレングリコ
ールモノアルキルエーテル、ポリエチレングリコールモ
ノアルキルエーテル、ポリプロピレングリコールモノア
ルキルエーテルなどのアルコール類、エチレングリコー
ル、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、
ポリプロピレングリコール、グリセリンなどの多価アル
コール類、アセトニトリル、グルタロジニトリル、メト
キシアセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリ
ルなどのニトリル化合物、ジメチルスルフォキシド、ス
ルフォランなど非プロトン極性物質、水などを用いるこ
とができる。
【0130】また、本発明では、J. Am. Ceram. Soc.,8
0 (12)3157-3171(1997)に記載されているようなtert-ブ
チルピリジンや、2-ピコリン、2,6-ルチジン等の塩基性
化合物を添加することもできる。塩基性化合物を添加す
る場合の好ましい濃度範囲は0.05M以上2M以下である。
【0131】(iii)ゲル電解質 本発明では、電解質はポリマー添加、オイルゲル化剤添
加、多官能モノマー類を含む重合、ポリマーの架橋反応
等の手法によりゲル化(固体化)させて使用することも
できる。ポリマー添加によりゲル化させる場合は、"Pol
ymer Electrolyte Reviews-1および2"(J.R.MacCallumと
C.A. Vincentの共編、ELSEVIER APPLIEDSCIENCE)に記載
された化合物を使用することができるが、特にポリアク
リロニトリル、ポリフッ化ビニリデンを好ましく使用す
ることができる。オイルゲル化剤添加によりゲル化させ
る場合はJ. Chem Soc. Japan, Ind. Chem.Sec., 46,779
(1943), J. Am. Chem. Soc., 111,5542(1989), J. Che
m. Soc., Chem. Commun.,1993, 390, Angew. Chem. In
t. Ed. Engl., 35,1949(1996), Chem. Lett., 1996, 88
5, J. Chem. Soc., Chem. Commun., 1997,545に記載さ
れている化合物を使用することができるが、好ましい化
合物は分子構造中にアミド構造を有する化合物である。
【0132】(iv)有機正孔輸送材料 1.芳香族アミン類 N,N'-ジフエニル-N,N'-ビス(4-メトキシフェニル)-
(1,1'-ビフェニル)-4,4'-ジアミン(J. Hagen et a
l., Synthetic Metal 89, 2153〜220, (1997))、2,2',
7,7'-テトラキス(N,N-ジ-p-メトキシフェニルアミン)
9,9'-スピロビフルオレン(Nature, Vol.395, 8 Oct. 1
998, pp. 583-585およびWO97/10617)、1,1-ビス{4-
(ジ-p-トリルアミノ)フェニル}シクロヘキサンの3級
芳香族アミンユニットを連結した芳香族ジアミン化合物
(特開昭59−194393号)、4,4'-ビス[(N-1-ナフチ
ル)-N-フェニルアミノ]ビフェニルのように、2個以
上の3級アミンを含み、2個以上の縮合芳香族環が窒素
原子に結合した芳香族アミン(特開平5-234681号)、ト
リフェニルベンゼンの誘導体でスターバースト構造を有
する芳香族トリアミン(米国特許第4,923,774号、特開
平4-308688号)、N,N'-ジフェニル-N,N'-ビス(3-メチル
フェニル)-(1,1'-ビフェニル)-4,4'-ジアミン等の芳香
族ジアミン(米国特許第4,764,625号)、α,α,α',α'
-テトラメチル-α,α'-ビス{4-(ジ-p-トリルアミノ)
フェニル}-p-キシレン(特開平3-269084号)、p-フェ
ニレンジアミン誘導体、分子全体が立体的に非対称なト
リフェニルアミン誘導体(特開平4-129271号)、ピレニ
ル基に芳香族ジアミノ基が複数個置換した化合物(特開
平4-175395号)、エチレン基で3級芳香族アミン単位を
連結した芳香族ジアミン(特開平4-264189号)、スチリ
ル構造を有する芳香族ジアミン(特開平4-290851号)、
ベンジルフェニル化合物(特開平4-364153号)、フルオ
レン基で3級アミンを連結したもの(特開平5-25473
号)、トリアミン化合物(特開平5-239455号)、ビス
(ジピリジルアミノ)ビフェニル(特開平5-320634
号)、N,N,N-トリフェニルアミン誘導体(特開平6-1972
号)、フェノキザジン構造を有する芳香族ジアミン(特
開平7-138562号)、ジアミノフエニルフエナントリジン
誘導体(特開平7-252474号)等。
【0133】2. オリゴチオフェン化合物 α-オクチルチオフェンおよびα,ω-ジヘキシル-α-オ
クチルチオフェン(Adv. Mater.,Vol.9, No.7, 5578 (1
997))、ヘキサドデシルドデシチオフェン(Angew. Che
m. Int. Ed. Engl., 34, No.3, 303-307 (1995))、2,8-
ジヘキシルアンスラ[2,3-b:6,7-b']ジチオフェン(JACS,
Vol.120, N0.4,664〜672 (1998))等。
【0134】3. 導電性高分子 ポリピロール(K. Murakoshi et al., Chem. Lett. 199
7, p.471)、およびポリアセチレンおよびその誘導体、
ポリ(p-フェニレン) およびその誘導体、ポリ(p-フェニ
レンビニレン) およびその誘導体、ポリチエニレンビニ
レンおよびその誘導体、ポリチオフェンおよびその誘導
体、ポリアニリンおよびその誘導体、およびポリトルイ
ジンおよびその誘導体等(それぞれ「Handbook of Orga
nic Conductive Molecules and Polymers」, Vol.1〜4
(NALWA著、WILEY出版)に記載)。
【0135】有機正孔(ホール)輸送材料に、Nature,
Vol.395, 8 Oct. 583〜585 (1998)に記載されているよ
うに、ドーパントレベルをコントロールするためにトリ
ス(4-ブロモフェニル)アミニウムヘキサクロロアンチモ
ネートのようなカチオンラジカルを含有する化合物を添
加したり、酸化物半導体表面のポテンシャル制御(空間
電荷層の補償)を行うためにLi[(CF3SO2)2N]のような塩
を添加しても良い。
【0136】(v)無機正孔輸送材料 無機固体化合物を電解質の替わりに使用する場合、ヨウ
化銅(p-CuI)(J. Phys. D:Appl. Phys. 31(1998)1492-1
496)、チオシアン化銅(Thin Solid Films 261(1995)3
07-310、J. Appl. Phys. 80(8),15 October 1996, p474
9-4754、Chem.Mater. 1998, 10, 1501-1509、Semicond.
Sci. Technol. 10, 1689-1693)等を好ましく用いるこ
とができる。
【0137】電荷移動層の形成は、電荷輸送材料が液体
の場合は、液体層を電極の半導体層上に塗布または展開
する、あるいは2層以上の半導体電極対極とをスペーサ
ーを介して接合した後に、これらの電極の間隙に毛管現
象を利用し液体を注入して行うことができる。電荷移動
層が固体の場合は、蒸着などの手段で半導体電極または
対極上に固体電荷移動層を形成することができる。
【0138】電荷移動層は、感光波長領域の異なる2層
以上の半導体電極の感光層のすべておよび対極と電気的
に接触できるように2層以上存在し、かつ、これら2層
以上の電荷移動層がそれらの間に存在する半導体電極ま
たは対極を貫いて互いに電荷移動担体(電荷輸送材料)
が移動できるように半導体電極や対極に貫通孔が設けら
れているのが好ましい。
【0139】(d) 対極 対極は導電性を有する材料により形成する。最下層が対
極である場合(対極より下、すなわち光入射面の反対側
に感光層がない場合)は、対極は光の反射と散乱が小さ
い表面を有することが好ましく、とくに着色した表面を
持つことが好ましく、不透明であっても構わない。ま
た、半導体電極と半導体電極の間に対極を設ける場合
は、光透過の必要性から前述の導電層と同様の透明導電
性材料を用いる必要がある。対極は導電性の高い金属で
あることが好ましく、とくに電気化学的に安定な耐腐食
性の貴金属であることが好ましい。好ましい対極材料は
白金、金などであり、白金黒も好ましく用いられる。対
極の厚さは特に制限されないが、3nm〜10μmが好まし
い。
【0140】対極は感光波長領域の異なる半導体電極に
対応して複数積層されていてもよいし、感光波長領域の
異なる半導体電極のすべてに共通する共通対極の1層の
みであってもよい。構成および製造工程を簡単にするた
めには後者が好ましい。
【0141】対極を設ける手順としては、(イ)電荷移動
層を形成した後でその上に設ける場合と、(ロ)半導体電
極の上にスペーサーを介して対極を配置した後でその空
隙に電荷輸送材料を充填する場合の2通りある。(イ)の
場合、電荷移動層上に直接対極導電材を塗布、メッキ又
は蒸着(PVD、CVD)するか、導電層を有する支持体の導
電層側を貼り付ける。また(ロ)の場合、半導体電極の上
にスペーサーを介して対極を組み立てて固定し、得られ
た組立体の開放端を電解質溶液に浸漬し、毛細管現象又
は減圧を利用して半導体電極と対極との空隙に電荷輸送
材料を浸透させる。
【0142】(v) その他の層 本発明のカラー光センサーには、保護層、反射防止層、
フィルター層等の機能性層を設けても良い。また、密着
性良化や短絡防止の目的で導電層と感光層の間に半導体
(好ましくは、感光層と同種の半導体)からなる緻密な
下塗り層を塗設することも好ましい。組み立てられたカ
ラー光センサーは、各層の接合・固定と、接合部の絶縁
確保、外気からの遮断のためのシーリングを行う。シー
リングはセンサーの側面を接着剤や封止剤で封じて固め
る。
【0143】[II] イメージセンサー 異なる感光波長領域を有する複数の半導体電極を積層さ
せた上記のカラー光センサーをひとつの画素として、こ
れを二次元的に複数個配列させることにより、カラーの
イメージセンサーを形成することができる。これによ
り、二次元の画像情報を電気信号として得ることができ
る。
【0144】イメージセンサーは、これを構成する画
素、すなわち単位となるカラー光センサーを小さくし、
その数を多くすることにより、画像の空間分解能を向上
させることができ、大面積化を実現できる。イメージセ
ンサーの構成においては、全ての画素の対極をひとつの
共通対極とすることもできる。
【0145】図4は本発明に基づいて作られる単純な構
成のイメージセンサーの例の断面である。簡略化するた
めにB層、G層、R層それぞれに3個のピクセルを設け
たユニットを示した。ガラスのような透明な支持体1に
被覆した透明導電層21の上に色素吸着半導体微粒子層を
担持して青色感光層(B層)22aを形成し、別の透明支
持体1の両面に透明導電層21を被覆してこれらの上にそ
れぞれ緑色感光層(G層)22bと赤色感光層(R層)22c
を形成し、B層とG層との間およびR層と共通対極4と
の間に電荷移動層3を介在させた積層構成からなる。電
荷移動層3はB層、G層、及びR層に接合すると同時に
共通対極4に接合している。B層とG層、及びR層と共
通対極とはそれぞれスペーサー5によって空間的に隔離
されている。電荷移動層はこの隔離された間隙を満たす
と同時に、G層の側の電荷移動層とR層の側の電荷移動
層間を連絡するためにG層とR層の共通支持体に設けら
れたリーク孔1aの中も満たす構造となっている。この
構造によって電荷移動層は全ての感光層と対極に同時に
電気的に接合している。
【0146】各ピクセルはそれぞれ電気的に独立してお
り、個々のピクセルで生じた光電流は下地の導電層を通
って素子のターミナルに導かれるように、ピクセル下地
の導電層と配線用の導電層のパターンがB層、G層、R
層の二次元平面内に書きこまれている。
【0147】カラーセンシングにおいて光は青色感光層
側から入射し、青色感光層、緑色感光層を順次透過し
て、赤色感光層に到達し、ここで可視光の大部分が最終
的に吸収される。残る透過光と迷光は最下層の共通対極
4によって吸収される。導電層2は導電性酸化スズある
いは酸化インジウムスズのような透明導電膜であり、共
通対極層4は白金や白金黒のような金属薄膜である。
【0148】図5には、B層、G層、R層の光電流信号
を外部回路で同時検出するための等価回路を単一ピクセ
ルの感光層について示した。簡略化するために、各電極
の間隙に存在する電荷移動層を省略してある。光電流は
外部回路に設けた電流計Aあるいはそれに代わる電流検
出回路(たとえばオペレーションアンプと抵抗を用いる
簡単な回路)で短絡電流として検出する。その電流値は
感光層面内における電流密度(A/cm2)にピクセルの受
光面積をかけて得られる値であり、電流密度は本発明の
方法によれば、感光層への1mWの入射光強度のレベルに
おいて通常1〜100μA/cm2の範囲である。また、電流値
の検出は、各ピクセルの信号を並列回路で同時に検出す
る方法でも良いし、ピクセルの2次元アレイをシリアル
にスキャンして逐次に電気的に読み取る方法でも良い。
【0149】
【実施例】以下、本発明を実施例によって説明するが、
本発明はこれらに限定されるものではない。
【0150】1.透明導電性ガラス支持体の作製 パターニング用のフォトマスクを用いて、厚さ1.9mmの
無アルカリガラスの片面に、CVD法により、フッ素ド
ープ型の導電性の二酸化スズを蒸着することにより、図
6に示したように64個の正方ピクセル61(ピクセルサイ
ズ2.5×2.5mm)と、基板の4辺に配列した外部出力端子
62と、各ピクセルと外部出力素子とを連結する配線63
(幅100μm)とからなるパターン化導電膜を作成した。
このパターン化導電膜は、厚さが600nm、面抵抗約10Ω
/□、光透過率(500nm)が85%であった。つぎに、フォ
トレジスト法を利用して、このパターン膜のピクセルと
エッジ部の端子の配列を除く領域(すなわち配線が敷か
れた領域)に二酸化ケイ素を100nmの厚みで蒸着し絶縁
膜で被覆した。
【0151】2.二酸化チタン粒子含有塗布液の作製 C.J.BarbeらのJ.Am.Ceramic Soc.80巻,p3157の論文
に記載の製造方法に従い、チタン原料にチタニウムテト
ライソプロポキシドを用い、オートクレーブ中での重合
反応の温度を230℃に設定して二酸化チタン濃度11重量
%の二酸化チタン分散物を合成した。得られた二酸化チ
タン粒子の一次粒子の平均サイズは約10nmであった。こ
の分散物に二酸化チタンに対し30重量%のポリエチレン
グリコール(分子量20,000、和光純薬製)を添加し、混
練して塗布液を得た。
【0152】3.色素を吸着した青色感光層(B層)の
形成 この塗布液を、上記1で作製したパターン化透明導電性
膜の4辺の端子部を除く面上にドクターブレード法で70
μmの厚みで塗布し、25℃で60分間乾燥した後、電気炉
で450℃にて30分間焼成して二酸化チタン層を被覆し
た。二酸化チタンの被覆量は7g/m2であり、膜厚は3μm
であった。次いでフォトレジスト法により、二酸化チタ
ン層を64個の正方ピクセルにパターニングした。二酸化
チタン層のエッチングは濃硫酸と硫酸アンモニウムの混
合溶液により行った。
【0153】つぎに、下記の化学式の青色吸収のポリメ
チン系増感色素(色素1)0.1mM及び添加剤としてケノ
デオキシコール酸20mM含むジメチルスルホキシド(DMS
O):エタノール(1:20)の混合溶媒から成る溶液に、
上記の二酸化チタン層を設けた基板を浸漬して、攪拌下
40℃で10時間放置した。このようにして青色色素を染着
させた基板をエタノールで洗浄し、乾燥させ、青色感光
層を担持したガラス基板を作製した。色素の吸着量は、
二酸化チタンの塗布面積1m2あたりおよそ5×10- 4molで
あった。
【0154】
【化36】
【0155】4.緑色感光層(G層)および赤色感光層
(R層)の形成 厚さ50μmの無アルカリガラスの両面に、上記1と同様
な方法により図6と同様な64個のピクセルと配線から
なる導電性酸化スズのパターンを蒸着し、ピクセルとエ
ッジ部の端子の配列を除く領域(すなわち配線が敷かれ
た領域)を絶縁性の二酸化ケイ素の蒸着膜で覆った。な
お、ピクセルの蒸着においては、シート両面のピクセル
アレイの位置が互いに幾何学的に重なるように蒸着し
た。さらに、これらのパターンの上に、上記の3の方法
に従いドクターブレード法による塗布と焼成によって片
面に厚さが3μmの二酸化チタンの膜をG層用として、
別の片面に厚さが4μmの膜をR層用として形成し、それ
ぞれB層と同様にパターニングした。かくして、両面が
厚みの違う二酸化チタンの半透明の薄膜で被覆されたガ
ラスシートを得た。次いで、このシートの面内の隣り合
うピクセルの間隙に直径100μmの小孔を自作の掻き落
し装置とレーザーを併用して均等間隔で開けた。この小
孔は、後述する電解液がシートを横切って導通する連絡
口として機能する。
【0156】つぎにこのシートの両面に2個の角型テフ
ロン製セルの口を向かい合わせてサンドイッチし、シー
トが隔壁となる形で2個のセルの間に固定した。両側の
セルのチャンバーに2種の色素溶液を注入し、シートの
両面が異種の色素溶液で浸漬される状態とした。ここ
で、G層側チャンバーには下記構造のRu錯体からなる
緑色吸収増感色素(色素2)を0.3mM含むアセトニトリ
ル:t-ブタノール(1:1)の混合溶媒から成る色素溶液
を、R層側チャンバーには、下記構造のRuナフタロシ
アニン色素(色素3)を濃度5×10-5mol/L含むジメチ
ルスルホキシド(DMSO):エタノール(1:10)の混合溶
媒から成る色素溶液を満たし、40℃で10時間放置して、
それぞれの二酸化チタン層に色素の吸着を行った。色素
の吸着を終了後、二酸化チタン層をエタノールでリンス
し、乾燥させた。
【0157】
【化37】
【0158】
【化38】
【0159】5.感光層の積層と組立て 下記の手順でイメージセンサーの組み立てを行った。B
層を担持したガラス支持体上の二酸化チタン層が塗られ
た表面の周囲に厚みが25μmの熱収縮性樹脂シート(デ
ュポン製商品名FUSABOND)を2mmの幅でスペーサーとし
て敷き、その上に、上記のG層とR層を被覆したガラス
シートをピクセルアレイのパターンがB層と重なるよう
にG層をB層と対向させて重ね合せ、さらにその上に上
記の熱収縮性樹脂シートを挿入して、再上部には白金蒸
着膜を被覆した共通対極のガラス基板を重ねた。このよ
うに重ね合わせたセルを厚み方向に機械的に圧力をかけ
ながら130℃で20秒間加熱し、スペーサーを融解して圧
着させた。
【0160】次に、あらかじめ設けてあったスペーサー
の開口部から、Y7-2/Y8-1/ヨウ素=15:35:1(質量比)の組
成から成る溶融塩電解液を60℃のもとで毛細管現象を利
用して電極間の空隙にしみこませ、電極間を電解液で満
たした。以上のセル組立て工程と、電解液注入の工程を
すべて上記の露点-60℃の乾燥空気中で実施した。溶融
塩の注入後、真空下でセルを数時間吸引し色素吸着二酸
化チタン多孔質電極および溶融塩を含めたセル内部の脱
気を行った。最後に、セルの周囲を最外部の端子部周辺
を除いてエポキシ系接着剤によってシールして固めた。
このようにして、イメージセンサーを組立てた。
【0161】イメージセンサーの外形は受光面積が12.3
cm2、厚みが約3.9mmであり、上記の図4に示した本発明
の基本層構成をもち、B,G,R各層の64ピクセルが
作る合計192個の端子の配列が受光面の外に出た構造
のアレイセンサーである。センサーの4辺の端子部をオ
ペレーションアンプからなる短絡光電流計測のための並
列回路につなぎ、64画素のカラー画像のセンシングの
ためのモデルシステムを試作した。
【0162】6.光電流の測定とカラー画像情報のセン
シング 各ピクセルから生じる短絡光電流の測定にはオペレーシ
ョンアンプと40kΩの抵抗からなる回路を用い、直流
電流(DC)を電圧に変換して計測した。この回路によ
り、1μAの電流信号が40mVの電圧出力となって計測さ
れる。
【0163】100Wのタングステン/ハロゲンランプと平
行光照射用のコリメータレンズを含む光学系からなる単
純な光源を用い、カラーセンサーに色特性の異なるアル
ファベットの文字画像の複数を同時に入射し、文字情報
のB層、G層、R層の2次元ピクセルマトリクス内で発
生する光電流の強度分布をもとに、個々の文字情報の検
出を行った。
【0164】この画像センシングの実験に先立ち、ピク
セルで生じる光電流の入射光強度依存性を測った結果、
入射光の1000ルクスまでの強度において、ピクセルの面
積当たりB層で最大30μA/cm2,G層で50μA/cm2、R層
で最大20μA/cm2の電流密度で光電流が光強度に対して
直線的に比例する特性で出力されることが確認された。
【0165】図7(a)〜(c)は、このセンサーに青色のゴ
シック文字B、緑色の文字G、赤色の文字Rの画像をそ
れぞれ単独に入射した場合のB層、G層,R層における
ピクセルの光電流応答の値を示したものである。また、
図8(a)は、このセンサーに、白色の文字Tを入射した
場合、及び図8(b)は、青色文字B、緑色文字G、赤色
文字Rを同時に入射した場合に得られたB層、G層、R
層におけるピクセルの光電流応答の値を示したものであ
る。
【0166】これらの結果から、いずれの実験において
も3色の画像情報が電気信号としてそれぞれの感光層に
おいてイメージワイズに(すなわち信号の強度分布が画
像の光量分布を反映する形で)検出されていることが分
かる。また、特に図8(b)においては、3色の画像情報
が3層の感光層において識別されて検出されていること
がわかる。
【0167】以上のように、本発明の構造によるカラー
光センサーおよびイメージセンサーは、1)各感光層
が、特定の波長領域に選択的に強いバンド吸収を持つ特
長を利用し、カラーセンシングの色再現性を高めるとと
もに、感色性の調節を自在に実施できることと、2)感
光層が光透過性であることを特長とし、重層構成により
透過光を利用して波長域の異なる光情報や画像情報を同
時に検出することにおいて、従来のCCDなどで代表さ
れる固体センサーにはない応用が可能である。
【0168】
【発明の効果】本発明によって、カラー光情報と画像セ
ンシングに優れた光電変換型カラー光センサーおよびイ
メージセンサーが得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の光電変換型カラー光センサーの一例を
示す断面図である。
【図2】本発明の光電変換型カラー光センサーの他の一
例を示す断面図である。
【図3】本発明の光電変換型カラー光センサーの他の一
例を示す断面図である。
【図4】本発明のイメージセンサーの基本構成の1例を
示す断面図である。
【図5】本発明のイメージセンサーの外部回路の1例を
示す概略断面図である。。
【図6】本発明のイメージセンサーの感光層に用いる導
電性層のピクセルと配線のパターンの1例を示す図であ
る。
【図7】本発明のイメージセンサーに、画像をそれぞれ
単独に入射した場合のB層、G層,R層におけるピクセ
ルの光電流応答の値を示す図である。
【図8】本発明のイメージセンサーに、画像をそれぞれ
単独に入射した場合のB層、G層,R層におけるピクセ
ルの光電流応答の値を示す図である。
【符号の説明】
1・・・支持体、透明支持体 1a・・・リーク孔 2・・・半導体電極、透明半導体電極 2a・・・青色半導体電極 2b・・・緑色半導体電極 2c・・・赤色半導体電極 21・・・導電層 22・・・感光層 22a・・・青色感光層 22b・・・緑色感光層 22c・・・赤色感光層 221・・・半導体微粒子 222・・・色素 3・・・電荷移動層 31・・・電荷輸送材料 4・・・対極 5・・・スペーサー 6・・・イメージセンサー用パターン 61・・・ピクセル 62・・・外部出力端子 63・・・配線
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4M118 AA01 AB01 BA06 CB01 CB02 CB14 GC08 5F049 MA20 MB04 MB07 MB08 NB03 QA07 RA02 WA03 WA09

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 入射光を複数の波長領域に対応した電気
    信号に変換する光電変換型カラー光センサーにおいて、
    前記光電変換型カラー光センサーは、感光波長領域の異
    なる複数の半導体電極と、少なくとも1つの対極と、電
    荷移動層とを有し、前記感光波長領域の異なる複数の半
    導体電極及び対極は相互に間隙を設けて積層され、各半
    導体電極と対極との間隙には電荷移動層が充填されてお
    り、前記半導体電極は導電層及び半導体を含む感光層を
    含んでなることを特徴とする光電変換型カラー光センサ
    ー。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の光電変換型カラー光セ
    ンサーにおいて、前記導電層及び/又は対極が、支持体
    上に設置されていることを特徴とする光電変換型カラー
    光センサー。
  3. 【請求項3】 請求項1または2に記載の光電変換型カ
    ラー光センサーにおいて、前記対極が感光波長領域の異
    なる半導体電極に対応して複数積層されていることを特
    徴とする光電変換型カラー光センサー。
  4. 【請求項4】 請求項1または2に記載の光電変換型カ
    ラー光センサーにおいて、前記対極が感光波長領域の異
    なる半導体電極すべてに共通する共通対極の1層のみで
    あることを特徴とする光電変換型カラー光センサー。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4のいずれかに記載の光電変
    換型カラー光センサーにおいて、2層以上の電荷移動層
    が、半導体電極及び/または該対極を貫通するリーク孔
    を通じて相互に電気的に連結していることを特徴とする
    光電変換型カラー光センサー。
  6. 【請求項6】 請求項1〜5のいずれかに記載の光電変
    換型カラー光センサーにおいて、前記複数の半導体電極
    は、感光波長領域が短波長の順に入射光側に配置されて
    いることを特徴とする光電変換型カラー光センサー。
  7. 【請求項7】 請求項1〜6のいずれかに記載の光電変
    換型カラー光センサーにおいて、入射光側から順にそれ
    ぞれ青色感光層、緑色感光層および赤色感光層を有する
    少なくとも3層の半導体電極を有することを特徴とする
    光電変換型カラー光センサー。
  8. 【請求項8】 請求項1〜7のいずれかに記載の光電変
    換型カラー光センサーにおいて、前記感光波長領域の異
    なる複数の半導体電極のうち少なくとも1の半導体電極
    は、色素を吸着した半導体微粒子を感光層に含有するこ
    とを特徴とする光電変換型カラー光センサー。
  9. 【請求項9】 請求項8に記載の光電変換型カラー光セ
    ンサーにおいて、前記半導体微粒子が、金属カルコゲニ
    ド微粒子であることを特徴とする光電変換型カラー光セ
    ンサー。
  10. 【請求項10】 請求項8に記載の光電変換型カラー光
    センサーにおいて、前記半導体微粒子が、TiO2、ZnO、S
    nO2およびWO3から選ばれる少なくとも一種の金属酸化物
    であることを特徴とする光電変換型カラー光センサー。
  11. 【請求項11】 請求項1〜10のいずれかに記載の光
    電変換型カラー光センサーにおいて、前記電荷移動層が
    イオン伝導性の電解質を含有することを特徴とする光電
    変換型カラー光センサー。
  12. 【請求項12】 請求項1〜11のいずれかに記載の光
    電変換型カラー光センサーにおいて、前記電荷移動層が
    溶融塩電解質を含有することを特徴とする光電変換型カ
    ラー光センサー。
  13. 【請求項13】 請求項1〜12のいずれかに記載の光
    電変換型カラー光センサーにおいて、前記電荷移動層
    が、イミダゾリウム塩を主体とし、揮発性成分を含まな
    い室温溶融塩電解質からなることを特徴とする光電変換
    型カラー光センサー。
  14. 【請求項14】 請求項1〜13の光電変換型カラー光
    センサーを単位とする画素を複数配列させたことを特徴
    とするイメージセンサー。
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