JP4284798B2 - スタンピング成形装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、加熱された熱可塑性板材と熱可塑性シートより積層体をスタンピング成形する装置、特に基材を覆う表皮が基材周辺のフランジ部から突出する自由端部を有している積層体を成形するスタンピング成形装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車のドアトリム等の内装材、家屋の内装材や家具の外装材等には、基材を表皮により覆って積層体とし、基材周辺のフランジ部の端末を表皮により巻き込んで外観を向上させたものがある。このような積層体を製造する場合には、基材45を覆って接着された柔軟な表皮40に、図5の二点鎖線で示すように、基材45周辺のフランジ部45aから突出する自由端部40aを設けておき、フランジ部45aの先端面及びそれに続く内面の一部に接着剤を塗布し、自由端部40aを内側に折り曲げて実線で示すように巻き込み接着している。図5に示す表皮40は、柔軟な表面層41の裏面に柔軟な発泡層42を接着したものであり、このようにすれば積層体の表面に一層柔軟な感触を与えることができる。
【0003】
フランジ部45aから突出する自由端部40aを表皮40に設けたこのような積層体を製造するには、従来は予め成形した木質系などの基材45の表面全体に接着剤を塗布してから充分な広さのある柔軟な表皮40を真空成形法などにより接着していた。この従来技術では基材45の成形装置と表皮40の接着装置を必要とし、2つの工程を必要とするので、製造コストが増大するという問題がある。
【0004】
基材45の成形と表皮40の接着を同時に行ってこのような問題を解決する手段としては、部分的に図1〜図3に示すように、積層体の表面と対応する形状の表皮側成形面12とそれから外方に延びる周辺面11を有する下型10と、この下型10に接近離隔可能に設けられると共に一定断面形状のパンチ部21とその先端面22から立ち上がり積層体の裏面と対応する形状の基材側成形面23が形成された上型20と、先端にストッパ部25aを設けた4本のガイドバー25を介してこの上型20に摺動自在に支持されて両成形型10,20の間に位置すると共にパンチ部21と多少の隙間をおいて嵌合可能なパンチ孔を有する厚板状の中間刃よりなるスタンピング成形装置を用いる方法がある。中間刃を除く構造は図1〜図3に示すものと実質的に同じであり、中間刃はパンチ孔付近の形状が図6に示すとおりである点を除き、図1〜図3に示すものと同じである。
【0005】
この従来技術の中間刃1のパンチ孔3付近の構造は、図6に示すように、上面2のパンチ孔3周辺に内向き斜め下方に延びる傾斜面2aが形成され、この傾斜面2aとパンチ孔3の境界に断面形状が鈍角の切断縁33が形成されている。上型20及び中間刃1が上昇した状態において、表皮40となる熱可塑性シート40mは下型10の周辺面11上に載せられ、上型20及び中間刃1の下降により下型10の周辺面11と中間刃1の下面5の間に挟まれる。これと前後して基材45となる熱可塑性板材45mが加熱軟化されて中間刃1の上に載せられ、次いで上型20だけが下降しパンチ部21がパンチ孔3と嵌合することにより、熱可塑性板材45mの周囲の不要部分45bが切断除去され(図6(a) 参照)、上型20が図6(a) に示す最下降位置まで下降することにより、熱可塑性板材45m及び熱可塑性シート40mは下型10と上型20によりスタンピング成形される。
【0006】
加熱軟化された熱可塑性板材45mはパンチ部21の先端面22が中間刃1の切断縁4に達して不要部分45bが切断されてから最下降位置に達するまでの間に成形され熱可塑性シート40mと接着されるので、この間の移動量を小さくしないと熱可塑性板材45mの周辺端末部が冷却されて成形及び接着に不良を生じるおそれがある。一方、中間刃1は剛性が低いと弾性変形を生じて熱可塑性シート40mの挟持及び熱可塑性板材45mの切断に不都合を生じるので、厚さを大きくする必要がある。傾斜面2aはこの相反する2つの条件を同時に満足させるために設けたものである。なお不要部分45bの切断後の移動の間に、熱可塑性板材45mと不要部分45bの間には、パンチ部21とパンチ孔3の隙間に相当する薄いばり45cが形成される。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上述したこの種のスタンピング成形装置では、成形される積層体のフランジ部45aから突出する自由端部40aの表面に損傷が生じるのを防ぐために、表皮40を挟持する下型10の周辺面11には表皮側成形面12との間に断面円弧状の導入部13が形成されている。このため図6に示す従来技術では、パンチ部21が最下降位置付近になれば、下型10の周辺面11の導入部13と上型20のパンチ部21と中間刃1の下面5の間に略三角形の空間Sが形成される。上型20が最下降位置に近づくにつれて熱可塑性板材45mが圧縮されて圧力が増大するので、熱可塑性板材45mの一部は図6(b) の符号45dに示すように発泡層42を圧縮して空間S内に入り込み、最下降位置では表皮40の自由端部40aの根本部となる発泡層42の内面に接してこれに固着された厚いばり45dが、薄いばり45cと重なって空間S内に形成される。
【0008】
図5の実線で示すようにフランジ部45aの先端部を表皮40の自由端部40aで巻き込み接着するには、発泡層42の内面に固着されたこの厚いばり45dを除去する必要があるが、これに伴い自由端部40aの内側の発泡層42の相当部分が破れて厚いばり45dと共に除去される。このため自由端部40aによる積層体の巻き込み部分の形状が崩れ、外観が低下するという問題がある。表皮40が緻密な一層だけからなる場合には厚いばり45dの除去に伴い表皮40の内側が破れるおそれは少ないが、この除去を完全に行うには相当な手間を要し、あるいはこの除去が不完全なまま巻き込みを行えば残った厚いばり45dにより巻き込み部分の形状が崩れて積層体の外観が低下するという問題がある。
【0009】
また、中間刃1の切断縁4は断面形状が鈍角であるので、不要部分45bの切断後のパンチ部21の移動につれて、まだ軟化されている不要部分45bの一部はパンチ部21とパンチ孔3の間に流れ込み、これにより薄いばり45cは緻密で連続したものになるので、薄いばり45cの除去も容易ではなくなる。本発明はこのような各問題を解決することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明によるスタンピング成形装置は、基材となる加熱された熱可塑性板材と、表面層を備えた柔軟な表皮となる熱可塑性シートを重ねてスタンピング成形して、基材の表面をこれと一体的に固着された表皮により覆うと共に同表皮には基材周辺のフランジ部から突出する自由端部を設けてなる積層体を成形するスタンピング成形装置において、積層体の表皮の表面と対応する形状の表皮側成形面と断面円弧状の導入部を介して表皮側成形面から外方に延びる周辺面を有する第1成形型と、この第1成形型の表皮側成形面側に接近離隔可能に設けられ一定断面形状で第1成形型に最も接近した状態ではその先端面の外縁が表皮の表面層の厚さよりも多少大きい隙間をおいて表皮側成形面に接近するパンチ部及びその先端面の外縁から所定幅をおいた内側より立ち上がり積層体の基材の裏面と対応する形状の基材側成形面が形成された第2成形型と、この両成形型の間にこの両者に対し接近離隔可能に設けられパンチ部と表皮の表面層の厚さよりも多少大きい隙間をおいて嵌合可能なパンチ孔が形成されると共に第1成形型側となる裏面と周辺面との間に熱可塑性シートを挟持する厚板状の中間刃を備えてなり、この中間刃の裏面の内周部には導入部と対応する断面円弧状の押圧部を突出して形成したことを特徴とするものである。中間刃は第2成形型よりも先に第1成形型に接近し、表皮の自由端部となる熱可塑性シートの周辺部は中間刃の裏面と第1成形型の周辺面の間に挟持され、周辺面の導入部上に位置する熱可塑性シートも裏面の押圧部により隙間なく押圧される。次いで第2成形型が第1成形型に接近してパンチ部がパンチ孔と嵌合し、更に最下降位置まで下降することにより、熱可塑性板材及び熱可塑性シートは第1成形型と第2成形型の間に圧縮されてスタンピング成形される。
【0011】
前項の発明は、第2成形型側となる中間刃の表面の内周部に、外側から裏面に向かって斜めに延びる内向き傾斜面とそれに続いて裏面から離れる向きでパンチ孔に向かって斜めに延びる切刃傾斜面を設けて、パンチ孔の表面側端縁に同表面よりも裏面側に位置し断面形状が鋭角の切断縁を形成することが好ましい。このようにすれば、成形の途中でパンチ部の先端面が中間刃の切断縁に達することにより切断された熱可塑性板材周辺の不要部分は、まだ軟化されたままではあるが、切断後のパンチ部の移動につれて、パンチ部とパンチ孔の間の隙間に流れ込むことはほとんどなくなる。
【0012】
また前2項の発明は、第2成形型の周辺部には前記接近離隔の方向と平行に延びる複数の案内支持部材を設け、中間刃は各案内支持部材により第2成形型に対し所定距離接近離隔可能に案内支持されると共に外力が作用しない状態では第2成形型から最も離れた位置となるように付勢されていることが好ましい。このようにすれば、第2成形型を第1成形型に対し移動させる機構は必要であるが、中間刃を第1成形型または第2成形型に対し移動させる機構は不要となる。
【0013】
【発明の実施の形態】
図1〜図5に示す一実施形態より、本発明によるスタンピング成形装置の説明をする。本発明により成形される積層体Aは、図5に示すように、肉厚がほゞ一定で周辺にフランジ部45aが形成された剛性のある基材45の外表面を表皮40により覆ったものである。この実施の形態の表皮40は、柔軟で緻密な薄い熱可塑性樹脂の表面層41の裏面に弾性に富んだシート状の合成樹脂発泡体よりなる発泡層42をラミネート接着したものであり、その外縁部は基材45周辺のフランジ部45aから突出して自由端部40a(図5の二点鎖線参照)を形成している。この積層体Aの成形後、フランジ部45aの先端面及びそれに続く内面の一部に接着剤を塗布し、自由端部40aは内側に折り曲げて実線で示すように巻き込み接着される。
【0014】
次に図1〜図3により、この実施の形態のスタンピング成形装置の説明をする。この成形装置は、下部の固定定盤(図示省略)に取り付けられる下型(第1成形型)10と、上部の可動定盤(図示省略)に取り付けられる上型(第2成形型)20と、上型20により摺動自在に案内支持されて両成形型10,20の間に位置する中間刃30を備えている。下型10の両側部に固定されて垂直に起立する4本の第1ガイドバー15(各図は1本のみを示す)には、中間刃30両側部に形成した第2ガイド孔36が摺動自在に嵌合され、また上型20の両側部にも各第1ガイドバー15と嵌合可能な第1ガイド孔26が形成されている。また上型20の四隅部に固定されて下方に延びる4本の第2ガイドバー(案内支持部材)25(各図は1本のみを示す)には、中間刃30の四隅に形成した第3ガイド孔37が摺動自在に嵌合され、中間刃30は第2ガイドバー25下端のストッパ部25aに当接する位置と上型20に当接する位置の間で移動自在である。
【0015】
下型10の上側には積層体Aの表皮40の表面と対応する形状の凹んだ表皮側成形面12が形成され、その外側には断面円弧状の導入部13を介して外方に延びる周辺面11が形成されている。上型20は下型10に対し上方から接近離隔可能であり、図1及び図2は離隔状態を示し、図3は上型20が下型10に最も接近した最下降状態を示している。上型20の下側には、一定断面形状のパンチ部21と、積層体Aの基材45の裏面と対応する形状でパンチ部21の先端面22から下向きに立ち上がる基材側成形面23が形成されている。図3に示す最下降位置では、パンチ部21の先端面22の外縁は、表皮40の表面層41の厚さよりも多少大きい隙間をおいて表皮側成形面12に接近している。また基材側成形面23は、先端面22の外縁からフランジ部45aの厚さより多少大きい所定幅をおいた内側から立ち上がっている。
【0016】
中間刃30は厚板状で、その中央部には上型20のパンチ部21と多少の隙間をおいて嵌合可能なパンチ孔32が形成されている。下型10と対向する中間刃30の下面(裏面)34の内周部には周辺面11の導入部13と対応する断面円弧状の押圧部34aが突出して形成されている。図2に示すように上型20が下降して、表皮40となる熱可塑性シート40mをその発泡層42が圧縮されるように下型10の周辺面11と中間刃30の下面34の間に挟持した状態では、周辺面11の導入部13と裏面34の押圧部34aの間の隙間はその外側の部分の隙間とほゞ同じになり、周辺面11の導入部13上に位置する熱可塑性シート40mの発泡層42も押圧部34aにより隙間なく押圧されてその外側の部分と同じ厚さまで圧縮される。また上型20と対向する中間刃30の上面(表面)31の内周部には、外側から斜め下方に延びる内向き傾斜面31aとそれからパンチ孔32に向かって斜め上方に延びる切刃傾斜面31bを形成し、これによりパンチ孔32の表面31側となる端縁には断面形状が鋭角の切断縁33が形成される。切断縁33は上面31よりも下面34側に位置しており、これにより先端面22が切断縁33に達して熱可塑性板材45m周辺の不要部分45bを切断してから上型20が最下降位置に達するまでの移動量を小さくしている。
【0017】
基材45の表面に接着されて表皮40となる熱可塑性シート40mは、柔軟な熱可塑性樹脂の緻密なソリッド層よりなる薄いシート状の表面層41(例えば厚さ0.35mmのポリプロピレン樹脂シート等)の裏面に、弾性に富んだシート状の合成樹脂発泡体(例えば厚さ2〜3mmのポリプロピレン樹脂発泡体シート)よりなる発泡層42を予めラミネート接着してシート状としたものである。基材45となる熱可塑性板材45mは、熱可塑性樹脂(例えばポリプロピレン樹脂)に繊維、木粉、石の粉等の増量材を混合し加熱圧縮して板状としたもの(混合比率は重量比で例えば50:50、厚さは例えば2.5mm)である。熱可塑性シート40mの表面層41は、意匠的効果を高めるために、皮革模様などのしぼが形成されている。
【0018】
次に以上に述べたスタンピング成形装置の作動を、図1〜図4により説明する。図1に示すように上型20が上昇した状態では、中間刃30は第2ガイドバー25下端のストッパ部25aに当接して支持されている。先ず熱可塑性シート40mを表面層41が下側となるように下型10の周辺面11上に載せ、上型20と共に中間刃30を下降させて、熱可塑性シート40mの周辺部を下型10の周辺面11と中間刃30の下面34の間に挟持させる。この実施の形態では、この挟持は中間刃30の重量によりなされ、前述のように熱可塑性シート40mの発泡層42は、周辺面11の導入部13上に位置する部分もその外側の部分と同じ厚さまで圧縮される(図2、図3及び図4参照)。この実施の形態では、熱可塑性シート40mは遠赤外線ヒータ等により予め加熱軟化させたものを用い、下型10内に設けられて表皮側成形面12に開口する多数の管路(図示省略)より空気を吸引することにより、熱可塑性シート40mを表皮側成形面12に密着させている。
【0019】
次いで図2に示すように、遠赤外線ヒータ等により加熱(例えば220℃)して軟化させた熱可塑性板材45mを中間刃30の上面31上に載せ、上型20を下型10に向けて下降させる。下型10の周辺面11上に載った中間刃30は下降しない。この下降により、先ずパンチ部21の先端面22が中間刃30の切断縁33に達して熱可塑性板材45m周辺の不要部分45bが切断除去され(図4(a) 参照)、上型20が更に下降すれば熱可塑性板材45mは表皮側成形面12に密着された熱可塑性シート40mとパンチ部21の先端面22及び基材側成形面23と中間刃30のパンチ孔32の間に圧縮充填される(図4(b) 参照)。更に上型20が下降して図3及び図4(c) に示す最下降位置に達すれば上型20は停止され、発泡層42は最も圧縮される。
【0020】
熱可塑性板材45mの不要部分45bを切断した後のパンチ部21の下降につれて、まだ軟化されている不要部分45bはパンチ部21とパンチ孔32の間の隙間に流れ込もうとするが、切断縁33は断面形状が鋭角であってこの流入の際の流線の向きの変化が大きいのでこの隙間への流入抵抗は大きく、ほとんど流れ込まない。従って、パンチ部21とパンチ孔32の間に形成される薄いばり45cは隙間の多いきれぎれのものになる。また、熱可塑性シート40mの発泡層42は、周辺面11の導入部13上に位置する部分もその外側の部分と同じ厚さまで圧縮されて隙間なく挟持されるので、上型20の下降により圧縮された熱可塑性板材45mが中間刃30の下面34の押圧部34aと発泡層42の間に入り込むことはない。
【0021】
そして、両成形型10,20及び中間刃30内部への熱伝達等により熱可塑性板材45m及び熱可塑性シート40mの温度が低下し硬化して、基材45及び表皮40となったところで、第2成形型20及び中間刃30を上昇させて成形された積層体Aを取り出せば、圧縮されていた発泡層42はほゞ元の厚さまで復元する。そして表皮40の自由端部40a先端の不要部分を削除すれば、表皮40の自由端部40a(図5の二点鎖線参照)が基材45のフランジ部45aから突出された積層体Aが得られる。
【0022】
上述した実施の形態によれば、圧縮された熱可塑性板材45mが中間刃30の下面34の押圧部34aと発泡層42の間に入り込むことはないので、前述した従来技術のように表皮40に接着される厚いばり45dが形成されることはなく、それを除去する作業は不要となるのでその分だけ積層体の製造コストを低下させることができ、またそのような除去に伴う表皮40の自由端部40aの損傷などにより積層体の巻き込み部分の形状が崩れて外観を低下させるおそれもない。また、パンチ部21とパンチ孔32の間に形成される薄いばり45cは隙間の多いきれぎれのものになるので、薄いばり45cの除去が容易になり、その分だけ積層体の製造コストを低下させることができる。なお表皮40は、上述した実施の形態のように、緻密で柔軟な薄い表面層41の裏面に発泡層42をラミネート接着たものに限らず、緻密で柔軟な一層だけからなるものでもよい。
【0023】
上述した実施の形態では、第2成形型20の四隅に設けた第2ガイドバー25に中間刃30を摺動自在として下端のストッパ部25aにより下向きの移動を拘束するようにしたので、中間刃30を下型10または上型20に対し移動させる別個の機構は不要となり、このようにすればスタンピング成形装置の構造が簡略化される。しかし本発明は、中間刃30を支持して移動させる別個の機構を設けて実施することも可能である。
【0024】
また本発明は、上述した実施の形態とは上下の配置を逆にして実施することもできる。この場合は中間刃30の上面の内周部に押圧部34aを、下面の内周部に内向き傾斜面31a及び切刃傾斜面31bを設け、パンチ部21、先端面22及び基材側成形面23を設けた下型の四隅から起立した第2ガイドバー25により中間刃30を摺動自在に支持し、第2ガイドバー25に巻き付けたコイルばねにより中間刃30を上向きに付勢して、自由状態では上端のストッパ部25aに当接して停止するようにすればよい。この場合は熱可塑性シート40mは中間刃30の上面に載せて下降する上型の周辺面11との間に挟持し、下型の基材側成形面23上に載せた熱可塑性板材45mを、同時に下降する上型と中間刃30により切断してスタンピング成形することになる。
【0025】
なお熱可塑性シート40m及び熱可塑性板材45mは、薄い枠状のホルダに周辺部を係止させてから加熱軟化させてスタンピング成形装置にセットするようにしてもよい。このようにすれば加熱軟化させた熱可塑性シート40m及び熱可塑性板材45mの取り扱いが簡単になるので積層体の製造が容易になる。
【0026】
【発明の効果】
本発明によれば、熱可塑性板材及び熱可塑性シートは第1成形型と第2成形型の間に圧縮されてスタンピング成形される前に、第1成形型の周辺面の導入部上に位置する熱可塑性シートは中間刃の裏面の押圧部により隙間なく押圧され、熱可塑性シートと中間刃の裏面の押圧部との間に熱可塑性板材が入り込むおそれはないので、自由端部となる表皮の裏面に接着されたばりが形成されることはない。従ってそのようなばりを除去する作業は不要となるのでその分だけ積層体の製造コストを低下させることができ、またそのようなばりの除去に伴う表皮の自由端部の損傷などにより積層体の巻き込み部分の形状が崩れることがないので外観を向上させることができる。
【0027】
中間刃の表面に、内向き傾斜面とそれに続く切刃傾斜面を設けて、パンチ孔の表面側端縁に同表面よりも裏面側に位置し断面形状が鋭角の切断縁を形成した発明によれば、熱可塑性板材の不要部分の切断後のパンチ部の移動につれて、まだ軟化されている不要部分がパンチ部とパンチ孔の間に流れ込むことがほとんどなくなるので、パンチ部とパンチ孔の間に形成される薄いばりは隙間の多いきれぎれのものになる。従って薄いばりの除去が容易になり、その分だけ積層体の製造コストを低下させることができる。
【0028】
また第2成形型の周辺部に接近離隔の方向と平行に延びる複数の案内支持部材を設け、中間刃は各案内支持部材により第2成形型に対し所定距離接近離隔可能に案内支持されると共に外力が作用しない状態では第2成形型から最も離れた位置となるように付勢した発明によれば、中間刃を第1成形型または第2成形型に対し移動させる機構は不要となるので、スタンピング成形装置の構造が簡略化される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明によるスタンピング成形装置の一実施形態の成形開始時における全体断面図である。
【図2】 図1に示す実施形態の成形途中における全体断面図である。
【図3】 図1に示す実施形態の成形終了時における全体断面図である。
【図4】 図1に示す実施形態の成形途中から成形終了時における部分拡大断面図である。
【図5】 本発明により成形される積層体の断面図である。
【図6】 従来技術によるスタンピング成形装置の図4に対応する部分拡大断面図である。
【符号の説明】
10…第1成形型(下型)、11…周辺面、12…表皮側成形面、13…導入部、20…第2成形型(上型)、21…パンチ部、22…先端面、23…基材側成形面、25…案内支持部材(第2ガイドバー)、30…中間刃、31…表面(上面)、31a…内向き傾斜面、31b…切刃傾斜面、32…パンチ孔、33…切断縁、34…裏面(下面)、34a…押圧部、40…表皮、40a…自由端部、40m…熱可塑性シート、45…基材、45a…フランジ部、45m…熱可塑性板材、A…積層体。
Claims (3)
- 基材となる加熱された熱可塑性板材と、表面層を備えた柔軟な表皮となる熱可塑性シートを重ねてスタンピング成形して、前記基材の表面をこれと一体的に固着された前記表皮により覆うと共に同表皮には前記基材周辺のフランジ部から突出する自由端部を設けてなる積層体を成形するスタンピング成形装置において、前記積層体の表皮の表面と対応する形状の表皮側成形面と断面円弧状の導入部を介して前記表皮側成形面から外方に延びる周辺面を有する第1成形型と、この第1成形型の表皮側成形面側に接近離隔可能に設けられ一定断面形状で前記第1成形型に最も接近した状態ではその先端面の外縁が前記表皮の表面層の厚さよりも多少大きい隙間をおいて前記表皮側成形面に接近するパンチ部及び前記先端面の外縁から所定幅をおいた内側より立ち上がり前記積層体の基材の裏面と対応する形状の基材側成形面が形成された第2成形型と、この両成形型の間にこの両者に対し接近離隔可能に設けられ前記パンチ部と前記表皮の表面層の厚さよりも多少大きい隙間をおいて嵌合可能なパンチ孔が形成されると共に前記第1成形型側となる裏面と前記周辺面との間に前記熱可塑性シートを挟持する厚板状の中間刃を備えてなり、この中間刃の前記裏面の内周部には前記導入部と対応する断面円弧状の押圧部を突出して形成したことを特徴とするスタンピング成形装置。
- 前記第2成形型側となる前記中間刃の表面の内周部には、外側から前記裏面に向かって斜めに延びる内向き傾斜面とそれに続いて前記裏面から離れる向きで前記パンチ孔に向かって斜めに延びる切刃傾斜面を設けて前記パンチ孔の前記表面側端縁に同表面よりも前記裏面側に位置し断面形状が鋭角の切断縁を形成したことを特徴とする請求項1に記載のスタンピング成形装置。
- 前記第2成形型の周辺部には前記接近離隔の方向と平行に延びる複数の案内支持部材が設けられ、前記中間刃は前記各案内支持部材により前記第2成形型に対し所定距離接近離隔可能に案内支持されると共に外力が作用しない状態では前記第2成形型から最も離れた位置となるように付勢されている請求項1または請求項2に記載のスタンピング成形装置。
Priority Applications (1)
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JP35222399A JP4284798B2 (ja) | 1999-12-10 | 1999-12-10 | スタンピング成形装置 |
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JP35222399A JP4284798B2 (ja) | 1999-12-10 | 1999-12-10 | スタンピング成形装置 |
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