JP4281136B2 - チップ型サーミスタの抵抗値修正方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば温度補償回路や温度検出素子に用いられるサーミスタに関し、より詳細には、サーミスタ素体表面に互いに対向するように第1,第2の表面電極を形成してなるサーミスタの抵抗値修正方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、正もしくは負の抵抗温度特性を有する半導体セラミックスを用いたチップ型サーミスタが、温度検出素子や温度補償回路などにおいて幅広く用いられている。また、プリント回路基板等に容易に表面実装し得るチップ型サーミスタとして、種々の構造のものが提案されている。
【0003】
チップ型サーミスタにおいては、サーミスタ素体自体の比抵抗にばらつきがあると共に、製造工程上、素子寸法にもばらつきがあるため、製造された個々のチップ型サーミスタの完成品において抵抗値にばらつきがあることが知られている。
【0004】
図15及び図16は、チップ型サーミスタを製造した後、チップ型サーミスタの抵抗値を修正することができる従来のチップ型サーミスタの一例を示す斜視図及び断面図である。図15に示すように、サーミスタ素体41の両端部には、チップ型サーミスタを半田付け等により表面実装するための外部電極42及び43が設けられている。図16に示すように、サーミスタ41の内部には、面状の内部電極44及び45が設けられており、内部電極44及び45はそれぞれ外部電極42及び43に電気的に接続されている。サーミスタ素体41の一面の上には、トリミング用導体層46が設けられている。このトリミング用導体層46は、内部電極44及び45と対向するように設けられている。従って、内部電極44、トリミング用導体層46、及び内部電極45によって抵抗値が規定されている。
【0005】
このような従来のチップ型サーミスタ40において抵抗値の修正は、トリミング用導体層46のトリミング領域46aにレーザービームを照射し、トリミング溝を形成するか、あるいはトリミング用導体層46の一部または全部を除去することによりなされている。
【0006】
しかしながら、このような抵抗値の調整方法は、完成したサーミスタ毎にレーザービーム等の照射を行う必要があり、大量に製造されたサーミスタに対しては効率的でないという問題があった。さらに、レーザーのエネルギーによる発熱で、サーミスタ素体のセラミックに微小なクラックを発生するおそれがあり、このようなクラックのため抵抗値がばらつくおそれがあった。
【0007】
本発明の目的は、チップ状に完成した後、サーミスタの抵抗値を容易にかつ精度良く調整することができるチップ型サーミスタの抵抗値修正方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、 サーミスタ素体と、前記サーミスタ素体の一面上において一方端が互いに対向し、他方端が前記サーミスタ素体の端部に向かってそれぞれ延びるように形成された第1,第2の表面電極と、前記第1,第2の表面電極にそれぞれ電気的に接続されており、かつサーミスタ素体端部に形成された第1,第2の外部電極とを備え、前記第1,第2の表面電極が異なる電極材料からなる複数の層を積層した構造を有し、対向する各層の一方端間の距離が最下層から上方に向かうにつれて広がるように前記第1,第2の表面電極の一方端が階段状に形成されており、前記第1,第2の表面電極の階段状に形成された一方端の部分以外の前記第1,第2の表面電極の部分を被覆する絶縁層をさらに備える第1,第2の表面電極を構成する各層が、それぞれ異なるエッチング液で溶解する材料から形成されているチップ型サーミスタの抵抗値を修正する方法であって、前記第1,第2の表面電極の一方端の最下層より上方の所定層までの各層の端部を、チップ型サーミスタが所定の抵抗値となるように除去する工程を有し、かつ該工程において、除去すべき各層の構成材料に応じて異なるエッチング液を用い、各層の端部を上方層から下方層に順次エッチングにより除去することを特徴とするチップ型サーミスタの抵抗値修正方法である。
【0012】
なお、本発明に係るチップ型サーミスタの抵抗値修正方法は、正の抵抗温度特性を有するサーミスタ素体及び負の抵抗温度特性を有するサーミスタ素体のいずれを用いるものであってもよく、すなわち、サーミスタはNTCサーミスタ及びPTCサーミスタのいずれであってもよい。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しつつ本発明の非限定的な実施例を挙げることにより、本発明を明らかにする。
【0014】
図1及び図2は、本発明の一実施例に係るチップ型サーミスタを示す側面図及び平面図である。
チップ型サーミスタ1は、半導体セラミックスよりなるサーミスタ素体2を用いて構成されている。サーミスタ素体2の上面2a上には、第1,第2の表面電極3,4が形成されている。第1の表面電極3は、複数の層3a,3b,3cを積層することにより構成されている。第2の表面電極4も同様に、複数の層4a,4b,4cを積層することにより構成されている。第1,第2の表面電極3,4を構成する層3a,4aと、層3b,4bと、層3c,4cは異なる電極材料から形成されている。また、このような異なる電極材料として、異なるエッチング液で溶解する材料を用いることにより、層3a,4a、層3b,4b、または層3c,4cを選択的にエッチングすることができる。本実施例では、最下層3a,4aをNi/Cr合金膜から形成し、その上の層3b,4bをCu膜から形成し、その上の層3c,4cをAg膜から形成している。Ni/Cr合金膜は塩酸系溶剤でエッチングすることができ、Cu膜は硫酸系溶剤でエッチングすることができ、Ag膜は硝酸系溶剤でエッチングすることができる。なお、各層の厚みは約0.5μmとなるように形成している。
【0015】
また、第1,第2の表面電極3,4において対向する各層の一方端間の距離は、最下層の層3a,4aから上方に向かうにつれて広がるように形成されている。すなわち、層3b,4b間の距離は、層3a,4a間の距離よりも長くなるように形成されており、層3c,4c間の距離は、層3b,4b間の距離よりも長くなるように形成されている。本実施例では、層3b,4bの一方端が、下層である層3a,4aの一方端より10μm内側に位置するように形成されており、層3c,4cの一方端が、下層である層3b,4bの一方端より10μm内側に位置するように形成されている。第1の表面電極3及び第2の表面電極4の一方端においては、このように最下層から上方に向かうにつれて、各層の一方端が順次内側に位置しており、全体として階段状に形成されている。また、図2に示すように、層3a〜3c及び4a〜4cの両側の側方端部も階段状になるように形成されている。
【0016】
第1,第2の表面電極3,4の階段状に形成された一方端の部分以外の第1,第2の表面電極3,4の部分は、それぞれ絶縁層5,6により被覆されている。本実施例では、ポリイミド樹脂により被覆されている。絶縁層5,6の一方端は、図1に示すように、第1,第2の表面電極3,4の最上層である層3c,4cの一方端よりも10μm内側になるように形成されている。
【0017】
第1,第2の表面電極3,4を構成する各層3a〜3c,4a〜4cの他方端は、セラミック素体2の両端部へ向かってそれぞれ延びており、これらの他方端に電気的に接続するように、外部電極8,9が設けられている。セラミック素体2の下面2b上には、絶縁層7が設けられている。本実施例において絶縁層7は、ポリイミド樹脂から形成されている。
【0018】
最下層である層3a,4aの電極材料は、サーミスタ素体2と電気的にオーミック接続する材料を用いることが好ましく、それより上層の2層目以降は、上述のように異なるエッチング液で溶解させることが可能な電極材料を選ぶことが好ましい。
【0019】
図3は、図1及び図2に示す実施例のチップ型サーミスタの縦方向断面図である。本実施例のチップ型サーミスタの抵抗値は、第1の表面電極3の最下層である層3aと、第2の表面電極4の最下層である層4aの対向距離(すなわち層3aの一方端と層4aの一方端間の距離)により決定される。従って、図3に示す状態では、距離Aにより決定される。このような状態のチップ型サーミスタ1の抵抗値を測定し、測定された抵抗値が所望の抵抗値である場合にはこの状態のままで使用することができる。しかしながら、所望の抵抗値より低い場合には、図4に示すように、層3bの一方端より外側に出ている層3aの一方端の部分、及び層4bの一方端より外側に出ている層4aの一方端の部分を除去し、層3a,4a間の対向距離を長くすることにより、抵抗値を修正することができる。本実施例では、層3a,4aはNi/Cr合金膜から形成されているので、エッチング液として塩酸系溶剤を用いることにより、層3a,4aを選択的にエッチングすることができる。このような選択的エッチングにより、図4に示すように、層3a,4aの一方端は、その上層である層3b,4bの一方端の端面にほぼ揃うようになるまでエッチング除去される。また図4には図示されないが、層3a,4aの両側側方の端部(一方端の端面に対し略垂直方向の端部)も同様に上方の層3b,4bの側方端面に揃うまで除去される。
【0020】
以上のように層3a,4aの端部をエッチング除去することにより、図4に示すように、層3a,4aの一方端の端面は、その上の層である層3b,4bの一方端の端面にほぼ揃うようになるので、層3a,4a間の対向距離が広がり、A1となる。このように電極間距離が広がることにより、チップ型サーミスタの抵抗値を上昇させることができる。この状態で抵抗値を測定し、所望の抵抗値である場合にはこの状態で用いることができる。また、所望の抵抗値より低い場合には、さらに以下のようにして、層3a,4a間の距離を長くするようエッチング処理を施す。
【0021】
先ず、Cu膜からなる層3b,4bを、エッチング液として硫酸系溶剤を用いてエッチングし、層3b,4bの一方端の端面が、その上層である層3c,4cの一方端の端面に揃うまでエッチング除去する。図示されないが、層3b,4bの両側側方の端面も同様にその上層である層3c,4cの両側端面に揃うまで除去される。
【0022】
以上のようにして、層3b,4bの各端面が層3c,4cの各端面にほぼ揃うように除去され後退するので、次にその下層の3a,4bを上記と同様にして塩酸系溶剤をエッチング液として用いエッチング除去し、層3a,4aの各端面を、それぞれその上層の層3b,3c及び4b,4cの各端面に揃える。これにより、図5に示すように、各層3a〜3c及び4a〜4cの端面が揃い、この結果層3aと4aの一方端間の距離がさらに広くなり、A2となる。従って、電極間距離が広がり、抵抗値が上昇する。
【0023】
以上のように、本実施例のチップ型サーミスタは、完成後において電極間距離を調整することができ、抵抗値を容易に修正することができる。
以上の実施例においては、表面電極3,4の両側の側方端部も階段状に形成しているが、側方端部については必ずしも階段状に形成する必要はない。
【0024】
次に、チップ型サーミスタ1についての具体的な実験例につき説明する。
以下の要領で、上記チップ型サーミスタ1を作製した。
先ず、Mn化合物、Ni化合物及びCo化合物をバインダーと共に混練し、スラリーを調製し、これをドクターブレード法によりシート状に成形し、65×65mmの平面形状を有するようにカットし、矩形のグリーンシートを得た。図6(a)に示すように、複数枚の上記グリーンシート11を積層し、圧着した後、1300℃1時間の条件で焼成し、図6(b)に示す、50×50×0.5mmの寸法のサーミスタウエハー12を得た。
【0025】
次に、図6(c)に示すように、ウエハー12の上面の全体に、表面電極を構成する各層13a,13b,13cを順次スパッタリングにより形成し、積層した。最下層の層13aとしては、サーミスタ素体と電気的にオーミック接続される材料であるNi/Cr合金膜を形成し、層13bとしてはCu膜を形成し、層13cとしてはAg膜を形成した。各層13a,13b,13cの厚みは約0.5μmとなるように形成した。
【0026】
次に、図6(d)に示すように、層13cの上に、フォトレジスト材をスピンコートし、厚み約1μmのフォトレジスト層14を形成した。
次に、図6(e)に示すように、フォトレジスト層14の上に所定パターン形状のマスク15を配置して露光し、図6(f)に示すように、フォトレジスト層14を溶剤を用いて現像し、パターニングした。
【0027】
次に、図7(a)に示すように、層13cのうち、フォトレジスト層14で覆われていない部分を、Ag膜のエッチング液である硝酸系溶剤を用いてエッチングし、層13cをパターニングした。その後、図7(b)に示すように、フォトレジスト層14を溶剤により剥離した。このパターニングにより、分離した層13c間の距離はおよそ100μmとした。なお、サーミスタの抵抗値の精度は、この電極間の距離に大きく依存する。フォトリソグラフィーの加工精度及び求める抵抗値の関係から、電極間の対向距離は、数十〜数百μm程度とすることが好ましい。
【0028】
次に、図7(c)に示すように、フォトレジスト材を全面上にスピンコート法で厚さ約1μmとなるように塗布し、フォトレジスト層16を形成した。
次に、図7(d)に示すように、フォトレジスト層16の上にマスク17を配置し、露光した。マスク17としては、露光現像後のフォトレジスト層16の端部が層13cの端部より10μm外側に位置するようなパターン形状を有するものを用いた。
【0029】
図7(e)に示すように、露光後溶剤を用いて現像し、フォトレジスト層16をパターニングした。
次に、硫酸系溶剤をエッチング液として用い、Cu膜からなる層13bをエッチングし、層13bをパターニングした。パターニングした後、残存しているフォトレジスト層16を溶剤により剥離し、図8(a)に示すように、パターニングされた層13bを得た。図8(a)に示すように、層13bの端面は、層13cの端面よりも10μm外側に位置するようパターニングされている。
【0030】
次に、18(b)に示すように、全面上にフォトレジスト材を塗布し、フォトレジスト層18を形成した後、フォトレジスト層18の上にマスク19を配置し、露光した。マスク19としては、層13bの端部より10μm外側までの領域を露光することができるパターンを有するものを用いた。
【0031】
次に、図8(c)に示すように、フォトレジスト層18を現像してパターニングした。フォトレジスト層18により覆われていない層13aの部分を、Ni/Cr合金膜のエッチング液である塩酸系溶剤を用いてエッチングした。
【0032】
次に、図8(d)に示すように、パターニング後、残存しているフォトレジスト層18を溶剤により剥離し、パターニングされた層13aを得た。図8(d)に示すように、層13aの端部が、層13bの端部よりも10μm外側に位置するようにパターニングされている。
【0033】
次に、図8(e)に示すように、全面上に、感光性のポリイミド樹脂溶液をスピンコート法で厚み10μmとなるように塗布し、ポリイミド膜20を形成した。ポリイミド膜20の上にマスク21を配置し、マスク21を通して露光することにより、ポリイミド膜20を露光した。マスク21としては、露光領域が最上層である層13cの端部より10μm内側になるようなパターンを有するマスクを用いた。
【0034】
図9(a)に示すように、その後ポリイミド膜20を現像し、その後硬化させて厚み3μmのポリイミド膜20を形成した。ポリイミド膜20は、その端部が層13cの端部より10μm内側に位置するように形成されている。
【0035】
次に、図9(b)に示すように、ウエハー12の裏面全体に、ポリイミド膜22を形成した。
次に、図9(c)に示すように、層13a〜13cを形成した主面全体上に、フォトレジスト材をスピンコート法で塗布し、厚み1.5μmのフォトレジスト層23を形成した。次に、マスク24を用いて、フォトレジスト層23を露光した。マスク24としては、露光領域の両端がポリイミド膜20の端部より10μm内側となるパターンを有するものを用いた。
【0036】
次に、図9(d)に示すように、露光したフォトレジスト層23を現像した。図9(d)に示すように、フォトレジスト層23の両端部は、ポリイミド膜20の端部より10μm内側に位置するように形成されている。
【0037】
次に、図9(e)に示すように、ウエハー12をダイシングカットして、短冊状の素子を得た。
次に、図10(a)及び(b)に示すように、短冊状素子の側面に、Ni/Cr合金膜及びAg膜をスパッタリングで厚み約1μmとなるように形成し下地電極とした後、この下地電極の上に、湿式電解メッキで、Ni膜を形成した後、次いでSn膜を形成した。それぞれの膜厚は2μmとした。このようにして、下地電極の上にメッキにより金属膜を形成することにより、短冊状素子の両端部に外部電極25及び26を形成した。なお、図10において(a)は短冊状素子の縦方向断面図を示しており、(b)は短冊状素子の平面図を示している。以下、(a)及び(b)は同様の断面図及び平面図を示している。
【0038】
上記のように、第1,第2の表面電極となる層13a〜13cの階段状の部分を、外部電極25,26形成の際フォトレジスト層23で被覆しておくことにより、これらの部分にメッキ膜等が形成されるのを防いでいる。
【0039】
次に、図11(a)及び(b)に示すように、短冊状素子を0.8mm幅でダイシングカットして、チップ状の素子を得た。
次に、図12(a)及び(b)に示すように、フォトレジスト層23を溶剤で剥離して、最終形状のチップ型サーミスタを得た。得られたチップ型サーミスタは、図1及び図2に示すチップ型サーミスタと同様の構造を有している。
【0040】
図12に示す状態でチップ型サーミスタの抵抗値を測定し、所望の抵抗値である場合には、そのまま用いることができる。所望の抵抗値より低い場合には、図4を参照して説明したように、最下層の電極であるNi/Cr合金膜からなる層13aを塩酸系溶剤でエッチングし、図13(a)及び(b)に示すように、その上の層である層13bの端面にほぼ揃うように形成して、電極間距離を広げ、抵抗値を上昇させる。この状態でチップ型サーミスタの抵抗値を測定し、所望の抵抗値である場合にはそのまま用いることができる。
【0041】
所望の抵抗値より低い場合には、図5を参照して説明したように、Cu膜からなる層13b及びNi/Cr合金膜からなる層13aを、それぞれ硫酸系溶剤及び塩酸系溶剤を用いてエッチングし、層13cの端面にほぼ揃うようにそれらの端部を除去する。これにより、層13aからなる電極間の距離がさらに広がり、抵抗値を上昇させることができる。
【0042】
以上のように、チップ状に完成した後のサーミスタの抵抗値を測定し、必要に応じてエッチング液中に浸漬して電極の各層の端部をエッチング除去することにより抵抗値を調整することができる。従って、例えば、図12に示す状態で所定の抵抗値を示すものをランク1とし、図13に示す状態で所定の抵抗値を示すものをランク2とし、図14に示す状態で所定の抵抗値を示すものをランク3としてクラス分けし、ランク2及びランク3のものについては、同じランクのものを一括して同時にエッチング処理を行い、抵抗値を修正することができる。従って、多量のチップ型サーミスタについて効率良くかつ精度良く抵抗値を調整することができる。
【0043】
本発明のチップ型サーミスタでは、第1,第2の表面電極の段差の幅に応じて、電極間距離を調節することができるので、チップ型サーミスタの抵抗値を高い精度で修正することができる。上記の実施例においては、各段差の幅は10μmとなるように形成されているので、電極間の距離を10μm毎に高い精度で広げていくことができる。
【0044】
また、上記実施例では、第1,第2の表面電極を構成する各層の電極材料として、異なるエッチング液で溶解する材料を用いているので、異なるエッチング液を用いることにより、選択的に各層をエッチングすることができ、最下層の電極間距離を高い精度で設定することができる。従って、高い精度で抵抗値を修正することができる。
【0045】
また、本発明のチップ型サーミスタにおいては、第1,第2の表面電極の階段状に形成された一方端の部分以外の部分を被覆する絶縁層(第1図及び第2図における絶縁層5,6及び図9〜図12におけるポリイミド膜20)が設けられている。このように階段状部分を除き電極全体を絶縁層で被覆することにより、第1,第2の表面電極の階段状部分の層をエッチングする際、階段状部分以外の部分がエッチングされないよう保護することができる。
【0046】
上記実施例では、3つの層からなる第1,第2の表面電極を例にして説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、さらに多くの層から第1,第2の表面電極を構成させてもよい。
【0047】
また、上記実施例においては、第1,第2の表面電極として、矩形形状の電極を示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば凹凸を有するくし歯状の表面電極を対向して設けてもよい。この場合、一方のくし歯電極の凸部が他方のくし歯電極の凹部に嵌まり合うような配置状態とすることが好ましい。このようなくし歯電極とすることにより、サーミスタの抵抗値を低くすることができ、また、くし歯の本数の増減により容易に任意の抵抗値を設定することができる。
【0048】
【発明の効果】
【0051】
本発明によれば、第1,第2の表面電極の一方端の最下層より上方の所定層までの各層の端部を、チップ型サーミスタが所定の抵抗値となるように除去する。この抵抗値修正方法によれば、チップ状に完成した後、各サーミスタの抵抗値を測定し、表面電極の階段状部分のどの層までの端部を除去する必要があるかにより、各サーミスタをクラス分けし、クラス分けしたサーミスタについては同時に一括して抵抗値の修正を行うことができる。従って、同時に多量のサーミスタについて精度良く抵抗値の調整を行うことができる。
【0052】
本発明では、除去すべき各層の構成材料に応じて異なるエッチング液を用い、各層の端部をエッチングにより除去する。この方法によれば、上記のようにクラス分けしたサーミスタについて、同一のエッチング液中に多量のサーミスタを浸漬させて電極の各層の端部をエッチング除去することができる。従って、大量に製造されたサーミスタをエッチング液に同時に浸漬させて、抵抗値の調整を行うことができる。従って、精度良くかつ効率的に抵抗値の調整を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例のチップ型サーミスタを示す側面図。
【図2】本発明の一実施例のチップ型サーミスタを示す平面図。
【図3】本発明の一実施例のチップ型サーミスタを示す縦方向断面図。
【図4】図3に示す実施例において、表面電極の最下層を除去し2層目の端面に揃えた状態を示す縦方向断面図。
【図5】図3に示す実施例において、表面電極の最下層及び2層目の端部をエッチング除去し、3層目(最上層)の端面に揃えた状態を示す縦方向断面図。
【図6】本発明の一実施例の製造工程を示す断面図。
【図7】本発明の一実施例の製造工程を示す断面図。
【図8】本発明の一実施例の製造工程を示す断面図。
【図9】本発明の一実施例の製造工程を示す断面図。
【図10】短冊状素子に外部電極を形成した状態を示しており、(a)は断面図、(b)は平面図。
【図11】短冊状素子をカッティングした後の状態を示しており、(a)は断面図、(b)は平面図。
【図12】表面電極の階段状部分からフォトレジスト層を剥離した後の状態を示しており、(a)は断面図、(b)は平面図。
【図13】図12に示す実施例において、表面電極の最下層の端部をエッチング除去し、2層目の端面に揃えた状態を示しており、(a)は断面図、(b)は平面図。
【図14】図12に示す実施例において、表面電極の最下層及び2層目の端部を、3層目(最上層)の端面に揃えた状態を示しており、(a)は断面図、(b)は平面図。
【図15】従来のチップ型サーミスタを示す斜視図。
【図16】従来のチップ型サーミスタを示す縦方向断面図。
【符号の説明】
1…チップ型サーミスタ
2…サーミスタ素体
2a…サーミスタ素体の上面
2b…サーミスタ素体の下面
3,4…第1,第2の表面電極
3a〜3c,4a〜4c…第1,第2の表面電極を構成する層
5,6,7…絶縁層
8,9…外部電極
11…グリーンシート
12…サーミスタウエハー
13a,13b,13c…表面電極を構成する層
14…フォトレジスト層
15…マスク
16…フォトレジスト層
17…マスク
18…フォトレジスト層
19…マスク
20…ポリイミド膜
21…マスク
22…ポリイミド膜
23…フォトレジスト層
24…マスク
25,26…外部電極
Claims (1)
- サーミスタ素体と、
前記サーミスタ素体の一面上において一方端が互いに対向し、他方端が前記サーミスタ素体の端部に向かってそれぞれ延びるように形成された第1,第2の表面電極と、
前記第1,第2の表面電極にそれぞれ電気的に接続されており、かつサーミスタ素体端部に形成された第1,第2の外部電極とを備え、
前記第1,第2の表面電極が異なる電極材料からなる複数の層を積層した構造を有し、対向する各層の一方端間の距離が最下層から上方に向かうにつれて広がるように前記第1,第2の表面電極の一方端が階段状に形成されており、
前記第1,第2の表面電極の階段状に形成された一方端の部分以外の前記第1,第2の表面電極の部分を被覆する絶縁層をさらに備える第1,第2の表面電極を構成する各層が、それぞれ異なるエッチング液で溶解する材料から形成されているチップ型サーミスタの抵抗値を修正する方法であって、
前記第1,第2の表面電極の一方端の最下層より上方の所定層までの各層の端部を、チップ型サーミスタが所定の抵抗値となるように除去する工程を有し、かつ該工程において、
除去すべき各層の構成材料に応じて異なるエッチング液を用い、各層の端部を上方層から下方層に順次エッチングにより除去することを特徴とするチップ型サーミスタの抵抗値修正方法。
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