JP2001044006A - チップ型サーミスタの製造方法および抵抗値調整方法 - Google Patents

チップ型サーミスタの製造方法および抵抗値調整方法

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JP2001044006A
JP2001044006A JP11212194A JP21219499A JP2001044006A JP 2001044006 A JP2001044006 A JP 2001044006A JP 11212194 A JP11212194 A JP 11212194A JP 21219499 A JP21219499 A JP 21219499A JP 2001044006 A JP2001044006 A JP 2001044006A
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thermistor
chip
wafer
insulating layer
resistance value
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Junichi Hamaya
淳一 浜谷
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Murata Manufacturing Co Ltd
Original Assignee
Murata Manufacturing Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 抵抗値のばらつきが小さく、信頼性に優れた
チップ型サーミスタを得ることを可能とするチップ型サ
ーミスタの製造方法および抵抗値調整方法を提供する。 【解決手段】 絶縁層の一部を除去して厚み方向に窓を
形成し、この窓から表面電極の一部またはサーミスタ素
体の一部を除去し、チップ型サーミスタに凹部を形成し
つつチップ型サーミスタの抵抗値を調整した後、前記絶
縁層の窓周辺部を加熱し、溶融した絶縁材料で前記凹部
を埋める。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、例えば温度補償
回路や温度検出素子に用いられる面実装タイプのチップ
型サーミスタの製造方法および抵抗値調整方法に関し、
特に、サーミスタ素体主面に形成された表面電極の一部
またはサーミスタ素体の一部を除去して抵抗値を調整す
るチップ型サーミスタの製造方法および抵抗値調整方法
に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、正もしくは負の抵抗温度特性を有
する半導体セラミックスを用いたチップ型サーミスタ
が、温度検出素子や温度補償回路などにおいて幅広く用
いられている。
【0003】従来例として、特開昭60−76103号
公報に開示されたチップ型サーミスタの構造を、図7を
参考に説明する。図7に示すチップ型サーミスタ1は、
半導体セラミックスからなるサーミスタ素体2の一面上
にAg−Pdからなる表面電極3、4を形成し、表面電
極3、4を覆うように、ほうけい酸ガラス膜などからな
る絶縁層5を形成したものであり、所望の抵抗値を有す
るように、表面電極3の一部が絶縁層5の上からレーザ
トリミングで除去されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】チップ型サーミスタ1
は、絶縁層5の上から表面電極3をトリミングするの
で、絶縁層5および表面電極3を除去した個所に凹部6
が形成され、この凹部6からサーミスタ素体2および表
面電極3が露出する。
【0005】このようなチップ型サーミスタ1を温度検
出素子や温度補償回路に用いると、チップ型サーミスタ
1の特性が変化したり、抵抗値がばらつくことがあっ
た。この原因は、まず、チップ型サーミスタ1の両端面
に、表面実装用の端子電極としてメッキをともなう外部
電極を形成する際、凹部6からメッキ液が浸透し、サー
ミスタ素体2が溶解してしまう。また、チップ型サーミ
スタ1をプリント回路基板などに面実装する際、凹部6
にはんだやフラックスが付着してしまう。さらに、凹部
6が形成されたチップ型サーミスタ1は、使用中にも外
部環境の影響を受けやすく、また、絶縁性も不十分で表
面電極間のマイグレーションが発生しやすい。
【0006】これらのことから、凹部6が形成されたチ
ップ型サーミスタ1は、高精度の抵抗値を有することが
求められる温度検出素子や温度補償回路に用いるには、
信頼性の点で問題があった。
【0007】この発明の目的は、抵抗値のばらつきが小
さく、信頼性に優れたチップ型サーミスタを得ることを
可能とするチップ型サーミスタの製造方法および抵抗値
調整方法を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】この第1の発明のチップ
型サーミスタの製造方法は、半導体セラミックスよりな
るサーミスタウエハを準備する工程と、前記サーミスタ
ウエハの主面に表面電極を形成した後、この表面電極を
覆うように絶縁層を形成する工程と、前記サーミスタウ
エハから1個分のチップ型サーミスタ素子を切り出す工
程と、前記表面電極と電気的に接続する外部電極を形成
する工程と、前記チップ型サーミスタ素子の外部電極間
に表れる抵抗値を測定する工程と、前記絶縁層の一部を
除去して厚み方向に窓を形成し、この窓から前記表面電
極の一部または前記サーミスタ素体の一部を除去して、
前記チップ型サーミスタ素子に凹部を形成しつつ前記外
部電極間に表れる抵抗値を所望の抵抗値にする工程と、
前記絶縁層の窓周辺部を加熱し、溶融した絶縁材料で前
記チップ型サーミスタ素子の凹部を埋める工程と、を備
えることを特徴とする。
【0009】この第2の発明のチップ型サーミスタの製
造方法は、半導体セラミックスよりなるサーミスタウエ
ハを準備する工程と、前記サーミスタウエハの主面に表
面電極を形成した後、この表面電極を覆うように絶縁層
を形成する工程と、前記サーミスタウエハ上の表面電極
間の抵抗値を測定する工程と、前記絶縁層の一部を除去
して厚み方向に窓を形成し、この窓から前記表面電極の
一部または前記サーミスタ素体の一部を除去して、前記
サーミスタウエハに凹部を形成しつつ前記表面電極間の
抵抗値を所望の抵抗値にする工程と、前記絶縁層の各窓
周辺部を加熱し、溶融した絶縁材料で前記サーミスタウ
エハの各凹部を埋める工程と、前記サーミスタウエハか
ら1個分のチップ型サーミスタ素子を切り出す工程と、
前記表面電極と電気的に接続する外部電極を形成する工
程と、を備えることを特徴とする。
【0010】この第3の発明のチップ型サーミスタの製
造方法は、前記サーミスタウエハを準備する工程は、こ
のサーミスタウエハの内部に内部電極を形成する工程を
含むことを特徴する。
【0011】この第4の発明のチップ型サーミスタの製
造方法は、前記サーミスタウエハから1個分のチップ型
サーミスタ素子を切り出す工程は、サーミスタウエハを
短冊状のウエハ分割体に切り出す工程と、この短冊状の
ウエハ分割体を1個分のチップ型サーミスタ素子に切り
出す工程と、からなり、前記表面電極と電気的に接続す
る外部電極を形成する工程は、前記短冊状のウエハ分割
体の両側面に外部電極を形成することを特徴とする。
【0012】この第5の発明のチップ型サーミスタの抵
抗値調整方法は、チップ状のサーミスタ素体と、このサ
ーミスタ素体の主面に形成された表面電極と、この表面
電極の上に形成された絶縁層と、前記サーミスタ素体の
両端面に、前記表面電極と電気的に接続するように形成
された外部電極と、を備えたチップ型サーミスタを準備
し、前記絶縁層の一部を除去して厚み方向に窓を形成
し、この窓から前記表面電極の一部または前記サーミス
タ素体の一部を除去して、前記チップ型サーミスタに凹
部を形成しつつ前記表面電極間の抵抗値を所望の抵抗値
に調整した後、前記絶縁層の窓周辺部を加熱し、溶融し
た絶縁材料で前記凹部を埋めることを特徴とする。
【0013】これにより、絶縁層の上から表面電極の一
部またはサーミスタ素体の一部を除去して抵抗値を調整
したチップ型サーミスタのサーミスタ素体主面全面を、
再び絶縁層で覆うことができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
【0015】
【実施例1】この発明における一つの実施の形態につい
て、図1(a),(b)に示すチップ型サーミスタ11
aを用いて説明する。チップ型サーミスタ11aは、半
導体セラミックスよりなるサーミスタ素体12と、この
サーミスタ素体12の上面に形成された表面電極13、
14と、この表面電極13、14を被覆するようにサー
ミスタ素体12の上面全面に形成された絶縁層15およ
びサーミスタ素体12の下面全面に形成された絶縁層1
6と、表面電極13、14と電気的に接続するようにサ
ーミスタ素体12の端面に形成された外部電極17、1
8とからなる。
【0016】上記チップ型サーミスタ11aの製造方法
について、図2(a)〜(f)を用いて説明する。ま
ず、Mn化合物、Ni化合物およびCo化合物をバイン
ダーと共に混練し、スラリーを調製し、これをドクター
ブレード法によりシート状に成形し、65×65mmの
平面形状を有するようにカットし、薄板状のグリーンシ
ートを得た。このグリーンシートを複数枚積層し、圧着
した後、1300℃で1時間の条件で焼成し、50×5
0×0.5mmの寸法のサーミスタウエハ12’を得
た。
【0017】次にサーミスタウエハ12’の上面の全面
にNi−Cr膜、Au膜を、真空蒸着にてそれぞれ0.
5μmの厚みとなるように順次形成し、電極膜を形成し
た。表面電極材料としては、サーミスタ素体12と電気
的にオーミックに接続され、機械的剥離強度が強く、後
加工しやすい材料を用いることが望ましい。
【0018】さらに、電極膜上に、フォトレジスト材を
スピンコートし、厚み1μmのフォトレジスト層を形成
し、このフォトレジスト層上に所定形状のマスクを当接
し、露光し、溶剤を用いて現像した。
【0019】フォトレジスト層をパターニングした後、
電極膜のうち、フォトレジスト層で覆われていない部分
のAu膜をヨウ化カリウム水溶液で、Ni−Cr膜を塩
化第2鉄水溶液でエッチングし、除去し、電極膜をパタ
ーニングした。
【0020】さらに、パターニングされた電極膜上に残
存しているフォトレジスト層を溶剤にて乖離し、最終的
に表面電極13、14を形成するようパターニングされ
た電極膜を得た。電極膜は、複数のサーミスタ素子の表
面電極13、14を集合した形状を有する。このとき、
個々のサーミスタ素子部分における一対の表面電極1
3、14間の対向距離はおよそ200μmとした。
【0021】次に、上記電極膜を形成したサーミスタウ
エハ12’の上面および下面に絶縁層15、16として
20μmの厚みのSiを主成分とするガラス膜を印刷
し、このガラス膜を600℃で熱処理して硬化させた。
図2(a)は、以上の工程を経て得られた、表面電極1
3、14および絶縁層15、16が形成されたサーミス
タウエハ19の斜視図である。
【0022】なお、絶縁層15、16は、ガラス膜の
他、ポリイミドなど、絶縁性に優れ、高熱により液状と
なる熱可塑型樹脂を用いて形成してもよい。
【0023】その後、前記サーミスタウエハ19を、ダ
イシングソウにて短冊状に分割し、図2(b)に示すよ
うな短冊状のウエハ分割体20を得た。この短冊状のウ
エハ分割体20の幅は、サーミスタ素体12の長辺の長
さとなる。
【0024】さらに、図2(c)に示すように、上記短
冊状のウエハ分割体20の両側面に、外部電極17、1
8の下地層17a、18aとして、それぞれ0.5μm
のNi−CrおよびAg積層膜を形成した。さらに、下
地層17a、18aの上に、電解メッキにより、中間層
のNi膜(図示せず)および外側層17b、18bのS
n−Pb膜をそれぞれ2μmの厚みとなるように形成し
た。
【0025】さらに、外部電極17、18を形成した上
記短冊状のウエハ分割体21を幅方向に切断し、図2
(d)に示すような複数のチップ型サーミスタ素子22
を得た。このとき、サーミスタ素体12の寸法は、長辺
1mm、短辺0.5mm、厚み0.5mmであった。な
お、このチップ型サーミスタ素子22は、抵抗値が所望
の抵抗値より1〜5%低くなるように作製した。
【0026】そして、個々のチップ型サーミスタ素子2
2の外部電極間にプローブを当てて抵抗値を測定した
後、この測定値をもとに、絶縁層15の上からYAGレ
ーザを照射し、図2(e)に示すように、絶縁層15の
一部を除去して窓15aを形成すると同時に、この窓1
5aから露出する表面電極13をトリミングし、所定の
抵抗値に調整した。このとき、表面電極13の下のサー
ミスタ素体12もいくらかトリミングされた。このYA
Gレーザによる抵抗値調整により、チップ型サーミスタ
素子22の上面に凹部23aが形成された。
【0027】続いて、絶縁層15の窓15aの周辺部に
CO2レーザを照射し、窓15aの周辺部の絶縁層15
を加熱し、溶融したガラスで凹部23aを埋めることに
より、図2(f)に示すようなチップ型サーミスタ11
aを得た。
【0028】このチップ型サーミスタ11aを10個準
備し、85℃、85%Rh、印加電圧0.5Vで耐湿負
荷試験を行ない、表面電極13、14間のマイグレーシ
ョンの発生数を調べた。その結果を表1に示す。
【0029】なお、比較例として、凹部6からサーミス
タ素体2および表面電極3が露出している従来例のチッ
プ型サーミスタ1を10個準備し、同様の耐湿負荷試験
を行なった。
【0030】
【表1】
【0031】表1に明らかなように、凹部6が絶縁層5
で覆われていない比較例のチップ型サーミスタ1は、経
時的にマイグレーションの発生数が増加し、1000時
間後には、10個全てのチップ型サーミスタ1にマイグ
レーションが発生した。
【0032】一方、凹部23aを溶融したガラスで埋め
て、サーミスタ素体12上面全面を絶縁層15で覆った
本発明のチップ型サーミスタ11aは、1000時間経
過後もマイグレーションは発生しなかった。
【0033】マイグレーションは、水分の存在により加
速するといわれている。
【0034】チップ型サーミスタ1は、表面電極3、4
間のサーミスタ素体2表面が完全に絶縁層5で覆われて
いないため、耐湿負荷試験環境下の水分の影響をうけや
すいのに対し、本発明のチップ型サーミスタ11aは、
表面電極13、14間のサーミスタ素体12表面が完全
に絶縁層15で覆われているため、水分の影響を受けに
くい。
【0035】
【実施例2】この発明における他の実施の形態として、
図3(a),(b)に示すチップ型サーミスタ11bの
製造方法について、図4を用いて説明する。なお、実施
例1と同一のものについては、同一の符号を付して詳細
な説明を省略する。
【0036】まず、実施例1と同様、Mn、Ni、Co
を主成分とする半導体セラミックからなるグリーンシー
トを複数枚積層し、圧着した後焼成して、サーミスタウ
エハ12’を得た。
【0037】次に、実施例1と同様、前記サーミスタウ
エハ12’の上面全面にNi−Cr膜、Au膜を薄膜形
成し、電極膜を形成した後、フォトリソ法で前記電極膜
をパターニングし、最終的に表面電極13、14を形成
するようパターニングされた電極膜を得た。
【0038】さらに、実施例1と同様、前記電極膜が形
成されたサーミスタウエハ12の上面および下面に絶縁
層15、16としてSiを主成分とするガラス膜を形成
し、図4(a)に示すようなサーミスタウエハ19を得
た。
【0039】そして、各表面電極13、14間にプロー
ブを当てて抵抗値を測定した後、この測定値をもとに、
絶縁層15の上からYAGレーザを照射し、絶縁層15
の一部を除去して窓15bを形成すると同時に、この窓
15bから露出する表面電極13の一部をトリミング
し、所定の抵抗値に調整した。図4(b)は、各表面電
極13、14間の抵抗値調整を行なったサーミスタウエ
ハ24を示す斜視図である。サーミスタウエハ24上面
には、複数の凹部23bが形成されている。
【0040】続いて、前記サーミスタウエハ24の絶縁
層15の窓15bの周辺部にCO2レーザを照射し、各
窓15bの周辺部の絶縁層15を加熱し、図4(c)に
示すような、溶融したガラスで各凹部23bを埋めたサ
ーミスタウエハ25を得た。
【0041】その後、前記サーミスタウエハ25をダイ
シングソウにて短冊状に分割し、図4(d)に示すよう
な短冊状のウエハ分割体26を得た。この短冊状のウエ
ハ分割体26の幅は、サーミスタ素体12の長辺の長さ
となる。
【0042】さらに、図4(e)に示すように、上記短
冊状のウエハ分割体26の両側面に、外部電極17、1
8の下地層17a、18aとして、それぞれNi−Cr
およびAg積層膜を形成した。さらに、下地層17a、
18aの上に、電解メッキにより、中間層のNi膜(図
示せず)および外側層17b、18bのSn−Pb膜を
それぞれ形成した。
【0043】さらに、外部電極17、18を形成した上
記短冊状のウエハ分割体27を幅方向に切断することに
より、図4(f)に示すような複数のチップ型サーミス
タ11bを得た。
【0044】このチップ型サーミスタ11bを100個
作製し、図4(e)に示す外部電極17、18を形成す
る工程の前後の抵抗値を測定し、外部電極17、18形
成時のメッキ液によるチップ型サーミスタ11bの抵抗
値の変化を調べた。
【0045】さらに、比較例として、抵抗値調整を行な
った後、図4(c)の工程を省いて、凹部23bをガラ
スで埋めずに、窓15bからサーミスタ素体12および
表面電極13が露出した状態で外部電極17、18を形
成したチップ型サーミスタを100個作製し、同様に外
部電極17、18を形成する工程の前後のチップ型サー
ミスタの抵抗値を測定した。
【0046】なお、抵抗値調整を行なった後、凹部23
bを埋めず、外部電極17、18も形成しない、すなわ
ちメッキを施さないチップ型サーミスタの抵抗値を測定
し、これを基準値として、このチップ型サーミスタの抵
抗値に対する本発明のチップ型サーミスタ11bおよび
比較例のチップ型サーミスタの抵抗値変化を表2に示し
た。
【0047】
【表2】
【0048】表2に明らかなように、凹部23bを絶縁
層15で覆わずに外部電極17、18を形成した比較例
のチップ型サーミスタは、基準値に対して平均8.1
%、ばらつき6.7%とメッキの前後で大きく抵抗値が
変化した。
【0049】一方、凹部23bを絶縁層15で覆ってか
ら外部電極17、18を形成した本発明のチップ型サー
ミスタ11bは、基準値に対して平均0.3%、ばらつ
き0.3%と、メッキによる抵抗値変化が大幅に抑えら
れた。
【0050】これは、凹部23bからサーミスタ素体1
2が露出した状態で外部電極17、18を形成した比較
例のチップ型サーミスタは、外部電極17、18形成時
のメッキ液によりサーミスタ素体12が溶解してしまう
のに対し、本発明のチップ型サーミスタ11bは、サー
ミスタ素体12が外部に露出していないので、外部電極
17、18形成時のメッキ液によるサーミスタ素体12
の溶解が防止できるからである。
【0051】なお、実施例1、実施例2においては、絶
縁層15の一部を除去して窓15a、15bを形成する
と同時に、この窓15a、15bから露出する表面電極
13の一部をトリミングするのにYAGレーザを用いた
が、この他、エキシマレーザなど、波長が短く、金属反
射率が低く、微細加工や表面電極13のトリミングに適
したレーザを用いてもよい。
【0052】また、実施例1、実施例2においては、絶
縁層15の一部を除去して窓15a、15bを形成する
工程と、窓15a、15bから露出する表面電極13を
トリミングする工程とを、同じYAGレーザを用いて同
時に行なっているが、それぞれを別の方法で行なうこと
もできる。例えば、絶縁層15の一部をYAGレーザで
所定の面積だけ除去して、正確な大きさの窓15a、1
5bを形成した後、エッチングやサンドブラストなどの
方法で窓15a、15bから露出する表面電極13をト
リミングしてもよい。
【0053】さらに、実施例1、実施例2においては、
絶縁層15の窓15a、15b周辺部のみを加熱、溶融
して凹部23a、23bを埋めるのに、YAGレーザと
比較して波長が長く、金属反射率が高いCO2レーザを
用いているが、レーザの他、オーブンや炉など熱加工で
きるものであれば、絶縁層15を溶融して凹部23a、
23bを埋めることは可能である。
【0054】さらにまた、実施例1、実施例2において
は、表面電極13をトリミングすることにより抵抗値の
調整を行なっているが、図5に示すチップ型サーミスタ
11cのように、サーミスタ素体12をトリミングし
て、抵抗値の調整を行なってもよい。サーミスタ素体1
2をトリミングする場合、表面電極13、14をトリミ
ングするよりも、抵抗値を微調整することができる。
【0055】さらにまた、実施例1、実施例2におい
て、図6に示すチップ型サーミスタ11dのように、サ
ーミスタ素体12内部に内部電極28、29を形成して
もよい。チップ型サーミスタ11dは、サーミスタウエ
ハを準備する工程において、グリーンシートの積層前
に、必要に応じてグリーンシートの表面に内部電極2
8、29を形成することにより製造することができる。
チップ型サーミスタ11dにおいて、表面電極13、1
4の一部あるいはサーミスタ素体12の一部を除去する
際、トリミング深さが深い場合は、内部電極28、29
の一部も除去されるが、この内部電極28、29の除去
量をも制御することにより、より高精度の抵抗値調整を
行なうことができる。
【0056】さらにまた、実施例1、実施例2におい
て、表面電極13の一部を除去する態様については、そ
の除去部分は、一方の表面電極13の一ヶ所のみに限定
される理由はなく、複数箇所設けてもよく、他方の表面
電極14に設けてもよい。
【0057】
【発明の効果】以上述べたように、この発明の1つのチ
ップ型サーミスタの製造方法によれば、絶縁層の上から
表面電極の一部またはサーミスタ素体の一部をトリミン
グして抵抗値を調整した後、トリミング個所周辺部の絶
縁層を加熱し、トリミングにより形成された凹部を溶融
した絶縁材料で埋めるので、サーミスタ素体および表面
電極が外部に露出せず、表面電極間が完全に絶縁され
る。したがって、表面電極間のマイグレーション、実装
時のはんだやフラックスの付着にともなう特性値の変化
などを防止して、信頼性に優れたチップ型サーミスタを
製造することができる。
【0058】さらに、この発明の他のチップ型サーミス
タの製造方法によれば、トリミングにより形成された凹
部を溶融した絶縁材料で埋めた後、メッキをともなう外
部電極を形成するので、メッキ液によるサーミスタ素体
の溶解を防止でき、抵抗値などの特性値変化がほとんど
ない高精度のチップ型サーミスタを製造することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に係る一つの実施の形態のチップ型サ
ーミスタを示しており、(a)は平面図、(b)は側面
図である。
【図2】この発明に係る一つの実施の形態のチップ型サ
ーミスタの製造方法を示しており、(a)は表面電極と
絶縁層を形成したサーミスタウエハ、(b)は短冊状の
ウエハ分割体、(c)は外部電極を形成したウエハ分割
体、(d)はチップ型サーミスタ素子、(e)は抵抗値
調整を行なったチップ型サーミスタ素子、(f)は、凹
部を埋めた図1のチップ型サーミスタを示す斜視図であ
る。
【図3】この発明に係る他の実施の形態のチップ型サー
ミスタを示しており、(a)は平面図、(b)は縦断面
図である。
【図4】この発明に係る他の実施の形態のチップ型サー
ミスタの製造方法を示しており、(a)は表面電極と絶
縁層を形成したサーミスタウエハ、(b)は抵抗値調整
を行なったサーミスタウエハ、(c)は凹部を埋めたサ
ーミスタウエハ、(d)は短冊状のウエハ分割体、
(e)は外部電極を形成したウエハ分割体、(f)は図
3のチップ型サーミスタを示す斜視図である。
【図5】この発明に係るチップ型サーミスタの一つの変
形例を示す縦断面図である。
【図6】この発明に係るチップ型サーミスタの他の変形
例を示す縦断面図である。
【図7】従来例のチップ型サーミスタを示す斜視図であ
る。
【符号の説明】
11a、11b、11c、11d チップ型サーミス
タ 12 サーミスタ素体 12’ サーミスタウエハ 13、14 表面電極 15、16 絶縁層 15a、15b 窓 17、18 外部電極 22 チップ型サーミス
タ素子 23a、23b 凹部 28、29 内部電極

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 半導体セラミックスよりなるサーミスタ
    ウエハを準備する工程と、 前記サーミスタウエハの主面に表面電極を形成した後、
    この表面電極を覆うように絶縁層を形成する工程と、 前記サーミスタウエハから1個分のチップ型サーミスタ
    素子を切り出す工程と、 前記表面電極と電気的に接続する外部電極を形成する工
    程と、 前記チップ型サーミスタ素子の外部電極間に表れる抵抗
    値を測定する工程と、 前記絶縁層の一部を除去して厚み方向に窓を形成し、こ
    の窓から前記表面電極の一部または前記サーミスタ素体
    の一部を除去して、前記チップ型サーミスタ素子に凹部
    を形成しつつ前記外部電極間に表れる抵抗値を所望の抵
    抗値にする工程と、 前記絶縁層の窓周辺部を加熱し、溶融した絶縁材料で前
    記チップ型サーミスタ素子の凹部を埋める工程と、を備
    えることを特徴とするチップ型サーミスタの製造方法。
  2. 【請求項2】 半導体セラミックスよりなるサーミスタ
    ウエハを準備する工程と、 前記サーミスタウエハの主面に表面電極を形成した後、
    この表面電極を覆うように絶縁層を形成する工程と、 前記サーミスタウエハ上の表面電極間の抵抗値を測定す
    る工程と、 前記絶縁層の一部を除去して厚み方向に窓を形成し、こ
    の窓から前記表面電極の一部または前記サーミスタ素体
    の一部を除去して、前記サーミスタウエハに凹部を形成
    しつつ前記表面電極間の抵抗値を所望の抵抗値にする工
    程と、 前記絶縁層の各窓周辺部を加熱し、溶融した絶縁材料で
    前記サーミスタウエハの各凹部を埋める工程と、 前記サーミスタウエハから1個分のチップ型サーミスタ
    素子を切り出す工程と、 前記表面電極と電気的に接続する外部電極を形成する工
    程と、を備えることを特徴とするチップ型サーミスタの
    製造方法。
  3. 【請求項3】 前記サーミスタウエハを準備する工程
    は、このサーミスタウエハの内部に内部電極を形成する
    工程を含むことを特徴する請求項1または請求項2記載
    のチップ型サーミスタの製造方法。
  4. 【請求項4】 前記サーミスタウエハから1個分のチッ
    プ型サーミスタ素子を切り出す工程は、サーミスタウエ
    ハを短冊状のウエハ分割体に切り出す工程と、この短冊
    状のウエハ分割体を1個分のチップ型サーミスタ素子に
    切り出す工程と、からなり、 前記表面電極と電気的に接続する外部電極を形成する工
    程は、前記短冊状のウエハ分割体の両側面に外部電極を
    形成することを特徴とする請求項1または請求項2記載
    のチップ型サーミスタの製造方法。
  5. 【請求項5】 チップ状のサーミスタ素体と、このサー
    ミスタ素体の主面に形成された表面電極と、この表面電
    極の上に形成された絶縁層と、前記サーミスタ素体の両
    端面に、前記表面電極と電気的に接続するように形成さ
    れた外部電極と、を備えたチップ型サーミスタを準備
    し、 前記絶縁層の一部を除去して厚み方向に窓を形成し、こ
    の窓から前記表面電極の一部または前記サーミスタ素体
    の一部を除去して、前記チップ型サーミスタに凹部を形
    成しつつ前記表面電極間の抵抗値を所望の抵抗値に調整
    した後、前記絶縁層の窓周辺部を加熱し、溶融した絶縁
    材料で前記凹部を埋めることを特徴とするチップ型サー
    ミスタの抵抗値調整方法。
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