JP4280344B2 - コイル吊り具 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、フェルト交換することなく塗油材及び無塗油材を吊り下げることが可能なコイル吊り具に関する。
【0002】
【従来の技術】
鋼帯を巻き取ったコイルを工場内,積出しヤード等で移送する際のハンドリングに、コイル吊り具が使用されている。
コイル吊り具は、天井クレーンに走行可能に設けられ、図1に示すようにワイヤで滑車1を吊り下げている。滑車1から垂下させたフック2に、係止金具3を備えた筒部4を懸け、筒部4に挿通されたビーム5を水平方向に延ばしている。ビーム5は、吊り下げられるコイルCの幅に対応して長手方向に伸縮可能になっており、両端からアーム6R,6Lが下方に延びている。
【0003】
アーム6R,6Lの下端は、互いに接近する方向に突出した爪7R,7Lになっている。また、コイルCに対向するアーム6R,6Lの内側にコイルタッチセンサ8R,8Lを装着し、吊り下げるコイルCとの接触状態を検出する。更に,フェルトFをゴムGで吊り下げ、アーム6R,6LとコイルCとの直接接触を防止している。なお、爪7R,7Lには、コイルの在荷有無を検出するセンサ9R, 9Lが取り付けられている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ハンドリングされるコイルCには、防錆油等を塗布した塗油材及びOA機器用材料等に使用される無塗油材がある。塗油材を吊り下げて移送した後のコイル吊り具では、鋼帯に塗布されている油がフェルトFに付着している。このコイル吊り具を用いて無塗油材を吊り下げると、フェルトFからコイルCに油が転写される。
無塗油材への油の転写は、アーム6R,6Lに装着されているフェルトFを交換することにより防止される。しかし、フェルトFを交換するため、ハンドリングされるコイルCが変わるたびに作業者がクレーンから地上に降りてフェルトFを付け替える作業が必要となり、作業者の負担が増えるばかりでなく、クレーン作業の効率も低下する。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、このような問題を解消すべく案出されたものであり、アームの両面を塗油材用及び無塗油材用に使い分けることにより、フェルトの交換作業を不要にし、コイルハンドリング作業能率を向上させることを目的とする。
本発明のコイル吊り具は、その目的を達成するため、フックに吊り下げられる係止金具が一体化された筒部と、筒部に挿通された伸縮可能なビームと、ビームの両端に設けられ、モータ駆動によって垂直軸回りに回転可能な一対のアームと、上端がビームに固着され、固定軸として各アームに挿通された一対のシャフトと、各シャフトの下端に固着されるとともに、各アームの下端に覆い被さり、頂面が一方向に傾斜した案内面とされている案内金具と、各アームの下端近傍で相対向するアーム側面に設けられた一対の溝と、各溝の内部で各アームに起伏可能に取り付けられ、アームが回転された際に案内面によって案内されて一方が起立されるとともに他方が倒伏される一対の爪と、アームの側面に巻き付けられたフェルトとを備え、塗油材コイル及び無塗油材コイルのハンドリングがアームの反転で切り替えられる。
アームの側面に装着されるフェルトは、塗油材用と無塗油材用に使い分けることができる。この場合、塗油材用フェルトが装着されたアーム側面とは反対側の側面に無塗油材用のフェルトを装着させる。
【0006】
【実施の形態】
本発明に従ったコイル吊り具は、図2に示すようにビーム5の両端に設けられるアーム6R,6Lにシャフト11を固定軸として挿通している。シャフト11の上端はビーム5の端部近傍に固着され、アーム6R,6Lの下端に覆い被さる案内金具12がシャフト11の下端に固着されている。案内金具12は、円筒形状をもち、頂面が一方向に傾斜した案内面12Gになっている。
アーム6R,6Lは、ビーム5の両端近傍に設けられたモータ13,13の出力軸に動力的に連結され、垂直軸回りに180度回転可能になっている。なお、180度以上の回転角でアーム6R,6Lが回転しないように、ビーム5とアーム6R,6Lとの間に、適宜の回転規制機構を設けることが好ましい。
【0007】
アーム6R,6Lの下端近傍では、第1爪14及び第2爪15を収容する溝16がアーム6R,6Lの相対向する側面に形成されている。第1爪14及び第2爪15は、それぞれ溝16に収容され、枢着点14C及び15Cでアーム6L,6Rに枢支されている。枢着点14C,15Cは、爪が起立状態にあるとき(図2(b)では第2爪15)、爪14,15の重心が枢着点14C,15Cよりも外側に位置するように設定される。また、爪14,15の起伏動作を円滑にするため、バネ等の付勢機構を組み込んでも良い。
アーム6R,6Lの一面には塗油材吊り下げ時に使用されるコイルタッチセンサ17を取り付け、無塗油材吊り下げ時に使用されるコイルタッチセンサ18を反対面に取り付ける。アーム6R,6LとコイルCとの直接接触を防止するフェルトFは、コイルタッチセンサ17,18の上からアーム6R,6Lに巻き付けられ、ゴムGで吊り下げられる。
【0008】
塗油材のコイルCを吊り上げて移送する場合、塗油材用コイルタッチセンサ17が内側に位置するようにアーム6R,6Lの回転位置を調節する。このとき、第1爪14は、案内金具12の案内面12Gが下方に位置しているので、枢着点14Cを中心として内側に倒伏する図2(a,b)。他方、第2爪15は、案内面12Gで押し上げられ、側方に突出することなく起立する(図2a,b)。この状態で塗油材コイルCを移送する。
【0009】
移送されるコイルCが塗油材から無塗油材に替わったとき、モータ13,13を駆動させアーム6R,6Lを180度回転させる(図2c)。アーム6R,6Lが回転すると、第1爪14に接する案内面12Gが高くなり、第2爪15に接する案内面12Gが低くなる。
第1爪14は、案内面12Gで押し上げられ、枢着点14Cを中心として回転し、アーム6R,6Lの側面に設けられている溝16に収容される。他方の第2爪15は、案内面12Gによる拘束から開放されるため、自重によって枢着点15Cから側方に傾斜する。その結果、図2(b)とは逆に第1爪14が起立し、第2爪15が倒伏した状態になる。このとき、アーム6R,6Lの側面では、油付着のないフェルトFの表面がコイルCに対向し、油付着したフェルトFの表面が外側に向く。
【0010】
アーム6R,6Lを反転させた後では、塗油材コイルの移送に使用されたことで油付着したフェルト面及び第1爪14が待機位置に移動し、油付着のないフェルト面及び第2爪15を用いて塗油材コイルがハンドリングされる。しかも、第1爪14がアーム6R,6Lに沿って起立しているため、ハンドリング作業に支障を来すこともない。このように、フェルトFの張替えなしに塗油材コイル及び無塗油材コイルをハンドリングできるため、作業能率が大幅に改善される。
取り扱うコイルCが更に塗油材に替わった場合、アーム6R,6Lを逆方向に180度回転させると、第1爪14が内側に突出し、油付着したフェルト面が内側に位置する図2の状態になる。
【0011】
【発明の効果】
以上に説明したように、本発明のコイル吊り具は、アームの側面を塗油材用及び無塗油材用に使い分けているため、フェルト張替えの必要なく、塗油材コイル及び無塗油材コイルの移送に使用できる。そのため、コイルのハンドリング作業性が大幅に向上し、作業者に与える負担も軽減される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 従来のコイル吊り具
【図2】 本発明に従ったコイル吊り具の全体図(a),一対の爪を起伏可能に設けたアームの下端近傍(b)及び爪の起伏を説明する図(c)
【符号の説明】
5:ビーム 11:シャフト 12:案内金具 12G:案内面 13:モータ 14:第1爪 15:第2爪 14C,15C:爪の枢着点16:溝 17,18:コイルタッチセンサ F:フェルト G:ゴム
Claims (1)
- フックに吊り下げられる係止金具が一体化された筒部と、
筒部に挿通された伸縮可能なビームと、
ビームの両端に設けられ、モータ駆動によって垂直軸回りに回転可能な一対のアームと、
上端がビームに固着され、固定軸として各アームに挿通された一対のシャフトと、
各シャフトの下端に固着されるとともに、各アームの下端に覆い被さり、頂面が一方向に傾斜した案内面とされている案内金具と、
各アームの下端近傍で相対向するアーム側面に設けられた一対の溝と、
各溝の内部で各アームに起伏可能に取り付けられ、アームが回転された際に案内面によって案内されて、一方が起立されるとともに他方が倒伏される一対の爪と、
アームの側面に巻き付けられたフェルトと
を備え、塗油材コイル及び無塗油材コイルのハンドリングがアームの反転で切り替えられるコイル吊り具。
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