JP4279915B2 - α−シアンヒドリンエステル及びα−ヒドロキシ酸の製造方法 - Google Patents

α−シアンヒドリンエステル及びα−ヒドロキシ酸の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、エノールエステル化合物又はオキシムエステル化合物とカルボニル化合物とシアン化剤とからα−シアンヒドリンエステル及びα−ヒドロキシ酸又はその塩を製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
α−ヒドロキシ酸は、医薬、農薬などの精密化学品又はその中間体として極めて有用な化合物である。
α−ヒドロキシ酸の一般的な製造法として、アルデヒドなどのカルボニル化合物とシアン化水素などのシアン化剤とを反応させて、対応するα−シアンヒドリン化合物を得た後、前記α−シアンヒドリン化合物を加水分解する方法が知られている。しかし、この方法では、シアン化反応が可逆的であるため、対応するα−シアンヒドリン化合物(特にアルデヒドから誘導されるα−シアンヒドリン化合物)を高い収率で得ることが困難な場合が多い。また、α−シアンヒドリン化合物を加水分解に付す際、α−シアンヒドリン化合物がカルボニル化合物とシアン化水素に分解しやすいため、高い収率でα−ヒドロキシ酸を製造することが困難である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、安定性が高く、α−ヒドロキシ酸の前駆体として有用なα−シアンヒドリンエステルを収率よく製造できる方法を提供することにある。
本発明の他の目的は、α−ヒドロキシ酸又その塩を高い収率で製造する方法を提供することにある。
本発明のさらに他の目的は、適用範囲が広く、汎用性に優れたα−ヒドロキシ酸又その塩の製造方法を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記目的を達成するため鋭意検討の結果、金属触媒の存在下で、エノールエステル化合物又はオキシムエステル化合物とカルボニル化合物とシアン化剤とを反応させると、対応するα−シアンヒドリンエステルが収率よく生成すること、及び前記α−シアンヒドリンエステルを加水分解により、対応するα−ヒドロキシ酸又はその塩に効率よく誘導できることを見出だし、本発明を完成した。
【0005】
すなわち、本発明は、金属触媒の存在下、式(1)
【0006】
【化7】
Figure 0004279915
(式中、R1 は非反応性原子又は非反応性有機基を示す。R2 、R3 及びR4 は、同一又は異なって、水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基を示す。R2 、R3 及びR4 は、互いに結合して、隣接する1又は2個の炭素原子と共に環を形成していてもよい)
で表されるエノールエステル化合物または式(2)
【0007】
【化8】
Figure 0004279915
(式中、R5 、R6 は、同一又は異なって、非反応性原子又は非反応性有機基を示す。R5 及びR6 は、互いに結合して、隣接する炭素原子と共に環を形成していてもよい。R1 は前記に同じ)
で表されるオキシムエステル化合物と、式(3)
【0008】
【化9】
Figure 0004279915
(式中、R7 、R8 は、同一又は異なって、非反応性原子又は非反応性有機基を示す。R7 及びR8 は、互いに結合して、隣接する炭素原子と共に環を形成していてもよい)
で表されるカルボニル化合物と、シアン化剤とを反応させて、式(4)
【0009】
【化10】
Figure 0004279915
(R1 、R7 、R8 は前記に同じ)
で表されるα−シアンヒドリンエステルを生成させるα−シアンヒドリンエステル誘導体の製造方法を提供する。
前記金属触媒として遷移金属化合物などを使用できる。R1 には、例えば、水素原子、C1-6 アルキル基、C2-6 アルケニル基、C5-8 シクロアルキル基、C6-10アリール基などが含まれる。R2 は、例えば水素原子又はメチル基であり、R3 及びR4 は、例えば水素原子である。R5 、R6 には、C1-6 アルキル基、C5-8 シクロアルキル基、C6-10アリール基などが含まれる。R5 及びR6 は、隣接する炭素原子と共に、例えば5〜10員程度のシクロアルカン環を形成していてもよい。前記シアン化剤としては、例えば、シアン化水素、金属シアニド、シアンヒドリン化合物、シアン化アシルなどが挙げられる。
【0010】
本発明は、また、上記の製造方法により製造された式(4)で表されるα−シアンヒドリンエステルを加水分解して、式(5)
【0011】
【化11】
Figure 0004279915
(式中、R7 、R8 は前記に同じ)
で表されるα−ヒドロキシ酸又はその塩を生成させるα−ヒドロキシ酸又はその塩の製造方法を提供する。
【0012】
【発明の実施の形態】
[金属触媒]
金属触媒には、種々の金属元素の単体及び化合物が含まれ、一種又は二種以上組合わせて使用できる。前記金属元素として、例えば、周期表2A族元素(マグネシウムMg、カルシウムCa、ストロンチウムSr、バリウムBaなど)、遷移金属元素、周期表3B族元素(ホウ素B、アルミニウムAlなど)などが挙げられる。なお、本明細書では、ホウ素Bも金属元素に含めるものとする。
前記遷移金属の元素としては、例えば、周期表3A族元素[希土類元素(例えば、スカンジウムSc、イットリウムY、ランタノイド系列元素(ランタンLa、セリウムCe、プラセオジムPr、ネオジムNd、プロメチウムPm、サマリウムSm、ユーロピウムEu、ガドリニウムGd、テルビウムTb、ジスプロシウムDy、ホルミウムHo、エルビウムEr、ツリウムTm、イッテルビウムYb、ルテチウムLu)、アクチノイド系列元素(例えば、アクチニウムAcなど)]、4A族元素(チタンTi、ジルコニウムZr、ハフニウムHfなど)、5A族元素(バナジウムV、ニオブNb、タンタルTaなど)、6A族元素(クロムCr、モリブデンMo、タングステンWなど)、7A族元素(マンガンMn、テクネチウムTc,レニウムReなど)、8族元素(鉄Fe、ルテニウムRu、オスミウムOs、コバルトCo、ロジウムRh、イリジウムIr、ニッケルNi、パラジウムPd、白金Ptなど)、1B族元素(銅Cu、銀Ag、金Auなど)、2B族元素(亜鉛Zn,カドミウムCdなど)などが挙げられる。
好ましい金属触媒を構成する元素には、遷移金属の元素(例えば、ランタノイド系列元素などの希土類元素、アクチノイド系列元素などの周期表3A族元素、4A族元素、5A族元素、6A族元素、7A族元素、8族元素、1B族元素、2B族元素)、3B族元素などが含まれる。
金属元素の化合物には、水酸化物、金属酸化物(複酸化物又は酸素酸若しくはその塩)、有機酸塩、無機酸塩、ハロゲン化物、前記金属元素を含む配位化合物(錯体)やポリ酸(ヘテロポリ酸やイソポリ酸)又はその塩などが含まれる。金属化合物において元素の原子価は特に制限されず、例えば2〜6価程度であってもよい。
【0013】
水酸化物には、例えば、Sm(OH)2 、Sm(OH)3 、Mn(OH)2 、MnO(OH)、Fe(OH)2 、Fe(OH)3 、及び対応する他の金属の水酸化物などが含まれる。金属酸化物には、例えば、SmO2 、SmO3 、TiO2 、ZrO2 、V2 3 、V2 5 、CrO、Cr2 3 、MoO3 、MnO、Mn34 、Mn23 、MnO2 、Mn27 、FeO、Fe2 3 、Fe3 4 、RuO2 、RuO4 、CoO、CoO2 、Co2 3 、RhO2 、Rh2 3 、Cu2 3 、及び対応する他の金属の酸化物などが含まれる。複酸化物または酸素酸若しくはその塩としては、例えば、MnAl24 、MnTiO3 、LaMnO3 、K2 Mn25 、CaO・xMnO2 (x=0.5,1,2,3,5)、マンガン酸塩[例えば、Na3 MnO4 、Ba3 [MnO42 などのマンガン(V)酸塩、K2 MnO4 、Na2 MnO4 、BaMnO4 などのマンガン(VI)酸塩、KMnO4 、NaMnO4 、LiMnO4 、NH4 MnO4 、CsMnO4 、AgMnO4 、Ca(MnO42 、Zn(MnO42 、Ba(MnO42 、Mg(MnO42 、Cd(MnO42 などの過マンガン酸塩]、モリブデン酸、タングステン酸、及び対応する他の金属の複酸化物または酸素酸若しくはその塩などが含まれる。
有機酸塩としては、例えば、有機カルボン酸(ギ酸、酢酸、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、ナフテン酸、ステアリン酸などのモノカルボン酸、シュウ酸、マレイン酸などの多価カルボン酸)、オキシカルボン酸(グリコール酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸など)、チオシアン酸、スルホン酸(メタンスルホン酸、トリクロロメタンスルホン酸、トリフルロメタンスルホン酸、エタンスルホン酸などのアルキルスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸などのアリールスルホン酸など)などの有機酸との塩が例示され、無機酸塩としては、例えば、硝酸塩、硫酸塩,リン酸塩、炭酸塩、過塩素酸塩など挙げられる。有機酸塩又は無機酸塩の具体例としては、例えば、酢酸サマリウム(II)、酢酸サマリウム(III)、酢酸コバルト、酢酸マンガン、プロピオン酸コバルト、プロピオン酸マンガン、ナフテン酸コバルト、ナフテン酸マンガン、ステアリン酸コバルト、ステアリン酸マンガン、チオシアン酸マンガン、トリクロロ酢酸サマリウム(II)、トリクロロ酢酸サマリウム(III)、トリフルオロ酢酸サマリウム(II)、トリフルオロ酢酸サマリウム(III)、トリフルオロメタンスルホン酸サマリウム(II)(すなわち、サマリウム(II)トリフラート)、トリフルオロメタンスルホン酸サマリウム(III)(すなわち、サマリウム(III)トリフラート)、硝酸サマリウム(II)、硝酸コバルト、硝酸鉄、硝酸マンガン、硝酸ニッケル、硝酸銅、硫酸サマリウム(II)、硫酸コバルト、硫酸鉄、硫酸マンガン、リン酸サマリウム(II)、リン酸コバルト、リン酸鉄、リン酸マンガン、炭酸サマリウム(II)、炭酸鉄、炭酸マンガン、過塩素酸鉄、及び対応する他の金属の有機酸塩または無機酸塩などが挙げられる。
ハロゲン化物としては、フッ化物、塩化物、臭化物およびヨウ化物が含まれ、例えば、SmCl2 、SmCl3 、TiCl2 、TiCl4 、ZrCl2 、ZrOCl2 、VCl3 、VOCl2 、MoCl3 、MnCl2 ,MnCl3 、FeCl2 、FeCl3 、RuCl3 、CoCl2 、RhCl2 、RhCl3 、NiCl2 、PdCl2 、PtCl2 、CuCl、CuCl2 、AlCl3 などの塩化物や、これらに対応するフッ化物,臭化物やヨウ化物(例えば、SmF2 、SmF3 、SmBr2 、SmBr3 、SmI2 、SmI3 、MnF2 、MnBr2 、MnF3 、FeF2 、FeF3 、FeBr2 、FeBr3 、FeI2 、CuBr、CuBr2 など)などのハロゲン化物、M1 MnCl3 、M1 2MnCl4 、M1 2MnCl5 、M1 2MnCl6 (M1 は一価金属を示す)などの複ハロゲン化物、及び対応する他の金属のハロゲン化物などが挙げられる。
【0014】
錯体を形成する配位子としては、OH(ヒドロキソ)、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ基などのアルコキシ基、アセチル、プロピオニルなどのアシル基、メトキシカルボニル(アセタト)、エトキシカルボニルなどのアルコキシカルボニル基、アセチルアセトナト、シクロペンタジエニル、C1-4 アルキル置換シクロペンタジエニル(ペンタメチルシクロペンタジエニルなど)、塩素、臭素などハロゲン原子、CO、CN、酸素原子、H2 O(アコ)、ホスフィン(例えば、トリフェニルホスフィンなどのトリアリールホスフィン)などのリン化合物、テトラヒドロフランなどの酸素含有化合物、NH3 (アンミン)、NO、NO2 (ニトロ)、NO3 (ニトラト)、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、ピリジン、フェナントロリンなどの窒素含有化合物などが挙げられる。錯体又は錯塩において、同種又は異種の配位子は一種又は二種以上配位していてもよい。
好ましい錯体における配位子は、例えば、OH、アルコキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アセチルアセトナト、シクロペンタジエニル、C1-2 アルキル置換シクロペンタジエニル、ハロゲン原子、CO、CN、H2 O(アコ)、トリフェニルホスフィンなどのリン化合物や、テトラヒドロフラン(THF)などの酸素含有化合物、NH3 、NO2 、NO3 を含めて窒素含有化合物である場合が多い。錯体として、例えば、アセチルアセトナト錯体(Ce,Ti,Zr,V,Cr,Mo,Mn,Fe,Ru,Co,Ni,Cu,Znなどのアセチルアセトナト錯体や、チタニルアセチルアセトナト錯体TiO(AA)2 、ジルコニルアセチルアセトナト錯体ZrO(AA)2 、バナジルアセチルアセトナト錯体VO(AA)2 、ジアセチルアセトナトサマリウム(II)、トリアセチルアセトナトサマリウム(III)など)、シアノ錯体(ヘキサシアノマンガン(I)酸塩,ヘキサシアノ鉄(II)酸塩など)、カルボニル錯体やシクロペンタジエニル錯体(ジシクロペンタジエニルサマリウム(II)、トリシクロペンタジエニルサマリウム(III)、ジペンタメチルシクロペンタジエニルサマリウム(II)、トリペンタメチルシクロペンタジエニルサマリウム(III)などのサマロセン型錯体、トリカルボニルシクロペンタジエニルマンガン(I)、ビスシクロペンダジエニルマンガン(II)、ビスシクロペンタジエニル鉄(II)、Fe(CO)5 、Fe2 (CO)9 、Fe3 (CO)12など)、ニトロシル化合物(Fe(NO)4 、Fe(CO)2 (NO)2 など)、チオシアナト錯体(コバルトチオシアナト、マンガンチオシアナト、鉄チオシアナトなど)、アセチル錯体(酢酸ジルコニルZrO(OAc)2 、酢酸チタニルTiO(OAc)2 、酢酸バナジルVO(OAc)2 など)、及び対応する他の金属の錯体などが挙げられる。
【0015】
ポリ酸(イソポリ酸やヘテロポリ酸)は、例えば、周期表5A族又は6A族元素、例えば、V(バナジン酸)、Mo(モリブデン酸)およびW(タングステン酸)の少なくとも一種である場合が多く、中心原子は特に制限されず、例えば、Cu、Be、B、Al、Si、Ge、Sn、Ti、Th、N、P、As、Sb、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、S、Se、Te、Mn、I、Fe、Co、Ni、Rh、Os、Ir、Pt、Cuなどであってもよい。ヘテロポリ酸またはその塩の具体例としては、例えば、リンモリブデン酸、リンタングステン酸、ケイモリブデン酸、ケイタングステン酸、コバルトモリブデン酸、コバルトタングステン酸、モリブデンタングステン酸、マンガンモリブデン酸、マンガンタングステン酸、マンガンモリブデンタングステン酸、バナドモリブドリン酸、リンバナドモリブデン酸,マンガンバナジウムモリブデン酸、マンガンバナドモリブドリン酸、及びこれらの塩などが挙げられる。
また、ホウ素化合物としては、例えば、ホウ酸(オルトホウ酸、メタホウ酸、四ホウ酸など)、ホウ酸塩(例えば、ホウ酸ニッケル、ホウ酸マグネシウム、ホウ酸マンガンなど)、B2 3 などのホウ素酸化物、ボラザン、ボラゼン、ボラジン、ホウ素アミド、ホウ素イミドなどの窒素化合物、BF3 、BCl3 、テトラフルオロホウ酸塩などのハロゲン化物、ホウ酸エステル(例えば、ホウ酸メチル、ホウ酸フェニルなど)などが挙げられる。
【0016】
前記金属触媒は、均一系であってもよく、不均一系であってもよい。また、触媒は、担体に触媒成分が担持された固体触媒であってもよい。担体としては、活性炭、ゼオライト、シリカ、シリカ−アルミナ、ベントナイトなどの多孔質担体を用いる場合が多い。固体触媒における触媒成分の担持量は、担体100重量部に対して、触媒成分0.1〜50重量部、好ましくは0.5〜30重量部、さらに好ましくは1〜20重量部程度である。
【0017】
上記触媒は、前記式(1)で表されるエノールエステル化合物と式(2)で表されるカルボニル化合物とシアン化剤との反応により、前記式(3)で表されるα−シアンヒドリンエステル誘導体を生成させる上で有用である。
【0018】
[エノールエステル化合物(1)]
式(1)で表されるエノールエステル化合物(エノールエステル化合物(1))において、R1 は、非反応性原子または非反応性有機基を示す。
非反応性原子又は非反応性有機基には、例えば、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、シクロアルキル基、複素環基などが含まれる。
前記ハロゲン原子には、ヨウ素、臭素、塩素およびフッ素が含まれる。アルキル基には、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、デシル、ウンデシル、ドデシル、テトラデシル、オクタデシル基などの炭素数1〜20程度の直鎖状又は分岐鎖状アルキル基(好ましくは炭素数1〜10程度のアルキル基)が含まれる。好ましいアルキル基としては、例えば、炭素数1〜6程度、特に炭素数1〜4程度の低級アルキル基が挙げられる。
【0019】
アルケニル基には、ビニル、プロペニル、2−プロペニル、ブテニル、ペンテニル、オクテニル、ドデシル基などの炭素数2〜20程度のアルケニル基(好ましくは炭素数2〜10、特に2〜6程度のアルケニル基)が含まれる。アルキニル基には、エチニル、プロピニル、オクチニル基などの炭素数2〜20程度のアルキニル基(好ましくは炭素数2〜10、特に2〜6程度のアルキニル基)が含まれる。
【0020】
アリール基には、フェニル基、ナフチル基などの炭素数6〜14程度のアリール基が含まれ、シクロアルキル基には、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル基などの炭素数3〜10程度のシクロアルキル基が含まれる。
複素環基に対応する複素環には、例えば、ヘテロ原子として酸素原子を含む複素環(例えば、フラン、オキサゾール、イソオキサゾール、テトラヒドロフランなどの5員環、ピランなどの6員環、ベンゾフラン、イソベンゾフラン、ジベンゾフラン、キサントン、キサンテン、クロマン、イソクロマン、クロメンなどの縮合環)、ヘテロ原子として硫黄原子を含む複素環(例えば、チオフェン、チアゾール、イソチアゾール、チアジアゾール、ベンゾチオフェンなど)、ヘテロ原子として窒素原子を含む複素環(例えば、ピロール、ピラゾール、イミダゾール、トリアゾール、ピロリジンなどの5員環、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、ピペリジン、モルホリンなどの6員環、インドール、インドレン、イソインドール、インダゾール、インドリン、イソインドリン、キノリン、イソキノリン、キノリンキノリン、キノキサリン、キナゾリン、フタラジン、プリン、カルバゾール、アクリジン、ナフトキノリン、フェナントロジン、フェナントロリン、ナフチリジン、ベンゾキノリン、フェノキサジン、フタロシアニン、アントラシアニンなどの縮合環)などが含まれる。
【0021】
1 における上記アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、シクロアルキル基、複素環基は置換基を有していてもよい。置換基としては、例えば、ヒドロキシル基、メルカプト基、カルボキシル基、置換オキシ基(例えば、アルコキシ基、アリールオキシ基など)、置換チオ基(例えば、アルキルチオ基、アリールチオ基)、置換オキシカルボニル基(例えば、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基など)、オキソ基、カルバモイル基、置換カルバモイル基、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、置換アミノ基、スルホ基、芳香族炭化水素基、複素環基、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基などが例示される。
【0022】
好ましいR1 には、水素原子、C1-10 アルキル基(例えば、C1-6 アルキル基、特にC1-4 アルキル基など)、C2-6 アルケニル基、C6-10 アリール基(例えば、フェニル基など)、C3-10 シクロアルキル基(例えば、C5-8 シクロアルキル基など)などが含まれる。なかでも、R1 として、水素原子、メチル基、エチル基、ビニル基、2−プロペニル基、フェニル基などが好ましい。
【0023】
式(1)中、R2 、R3 、R4 における炭素数1〜5のアルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、ペンチル基などが挙げられる。R2 、R3 、R4 のうち少なくとも2つの基は、互いに結合して、隣接する1又は2個の炭素原子と共に環を形成していてもよい。このような環には、シクロプロパン環、シクロブタン環、シクロペンタン環、シクロヘキサン環、シクロヘキセン環、シクロヘプタン環などのシクロアルカン環またはシクロアルケン環などが挙げられる。前記環の員数は、例えば3〜10程度である。
【0024】
2 として、好ましくは水素原子又はメチル基であり、R3 、R4 として、好ましくは水素原子である。
好ましいエノールエステル化合物(1)には、例えば、ギ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ギ酸イソプロペニル、酢酸イソプロペニル、プロピオン酸イソプロペニルなどが含まれる。
【0025】
[オキシムエステル化合物(2)]
前記式(2)で表されるオキシムエステル化合物(オキシムエステル化合物(2))において、R1 としては前記と同様の基が挙げられる。また、R5 、R6 で示される非反応性原子及び非反応性有機基としては、前記R1 において例示した非反応性原子及び非反応性有機基を使用できる。
好ましいR5 、R6 には、C1-10 アルキル基(例えば、C1-6 アルキル基など)、C6-10 アリール基(例えば、フェニル基など)、C3-10 シクロアルキル基(例えば、C5-8 シクロアルキル基など)などが含まれる。また、R2 及びR3 が、互いに結合して、隣接する炭素原子と共に環(例えば3〜20員環、好ましくは3〜16員環、さらに好ましくは3〜12員環、特に5〜10員環)を形成するのも好ましい。
【0026】
前記オキシムエステル化合物(2)は、例えば、前記エノールエステル化合物(1)と、式(6)
【0027】
【化12】
Figure 0004279915
(式中、R5 、R6 は前記に同じ)
で表されるオキシム化合物とを、前記金属触媒(例えば、サマリウム化合物などの周期表3族元素化合物など)の存在下で反応させることにより得ることができる。
【0028】
式(6)で表されるオキシム化合物(オキシム化合物(6))としては、前記オキシムエステル化合物(2)に対応する化合物を使用する。オキシム化合物(6)として、例えば、2−ヘキサノンオキシムなどの脂肪族オキシム、シクロヘキサノンオキシム、シクロペンタノンオキシムなどの脂環式オキシム、アセトフェノンオキシム、ベンゾフェノンオキシム、ベンジルジオキシムなどの芳香族オキシムなどが例示できる。
【0029】
エノールエステル化合物(1)とオキシム化合物(6)との反応は、通常、溶媒中で行われる。前記溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼンなどの芳香族炭化水素類;四塩化炭素、クロロホルム、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタンなどのハロゲン化炭化水素類;ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタンなどの脂肪族炭化水素類;シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンなどの脂環式炭化水素類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、酢酸アミル、酢酸セロソルブ、プロピオン酸エチルなどのエステル類;ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフランなどのエーテル類;アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類;アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドなどの非プロトン性極性溶媒などが挙げられる。
【0030】
上記反応において、エノールエステル化合物(1)とオキシム化合物(6)との割合は、例えば、前者/後者(モル比)=1/5〜5/1、好ましくは1/2〜2/1、さらに好ましくは1/1.5〜1.5/1程度である。また、前記金属触媒の使用量は、オキシム化合物(6)1モルに対して、例えば、0.001〜1モル、好ましくは0.01〜0.5モル、さらに好ましくは0.05〜0.2モル程度である。反応温度は、例えば、0〜100℃、好ましくは10〜60℃、さらに好ましくは10〜40℃程度である。
【0031】
反応終了後、慣用の分離精製手段、例えば、濾過、濃縮、抽出、晶析、再結晶、カラムクロマトグラフィーなどにより、オキシムエステル化合物(2)を分離精製することができる。
【0032】
[カルボニル化合物(3)]
本発明の方法は、アルデヒド及びケトンを問わず広範囲のカルボニル化合物に適用できる。
前記式(3)で表されるカルボニル化合物(カルボニル化合物(3))において、R7 、R8 で示される非反応性の原子又は有機基としては、前記R1 において例示した原子、有機基などが挙げられる。R7 及びR8 が、互いに結合して、隣接する炭素原子と共に形成する環としては、シクロプロパン環、シクロブタン環、シクロペンタン環、シクロヘキサン環、シクロヘキセン環、シクルヘプタン環、シクロオクタン環、シクロデカン環、シクロドデカン環などのシクロアルカン環またはシクロアルケン環;ヘテロ原子として、酸素原子、イオウ原子、窒素原子を1〜3個含む非芳香族性複素環などが挙げられる。前記環の員数は、例えば3〜20、好ましくは3〜16、さらに好ましくは3〜12、特に5〜10程度である。
【0033】
カルボニル化合物(3)のうち、アルデヒドの具体例としては、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ブタナール、2−メチルプロパナール、ペンタナール、3−メチルブタナール、2,2−ジメチルプロパナール、ヘキサナール、ヘプタナール、オクタナール、デカナール、ドデカナール、オクタデカナールなどの炭素数2〜20(好ましくは2〜10)程度の脂肪族飽和アルデヒド;3−ブテナール、3−オクテナールなどの炭素数4〜20(好ましくは4〜10)程度の脂肪族不飽和アルデヒド;シクロペンタンカルバルデヒド、シクロヘキサンカルバルデヒド、シクロヘプタンカルバルデヒドなどの炭素数4〜20(好ましくは4〜15)程度の脂環式アルデヒド;ベンズアルデヒド、フェニルアセトアルデヒド、3−フェニルプロパナールなどの炭素数7〜15(好ましくは7〜11)程度の芳香族アルデヒド;2−フランカルバルデヒド、2−フリルアセトアルデヒド、2−チオフェンカルバルデヒド、2−チエニルアセトアルデヒド、2−ピリジンカルバルデヒド、3−ピリジンカルバルデヒド、4−ピリジンカルバルデヒド、2−ピリジルアセトアルデヒド、3−ピリジルアセトアルデヒド、4−ピリジルアセトアルデヒド、3−(2−キノリル)プロパナールなどの、酸素原子、硫黄原子及び窒素原子から選択された少なくとも1種のヘテロ原子を1〜3個程度有する5〜6員の複素環又はこれにベンゼン環等が縮合した縮合複素環を有する複素環式アルデヒド等が挙げられる。
【0034】
カルボニル化合物(3)のうちケトンとしては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルプロピルケトン、メチルイソプロピルケトン、メチルブチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルペンチルケトン、メチルイソペンチルケトンなどの炭素数3〜15(好ましくは3〜10、特に3〜8)程度の脂肪族飽和ケトン;メチルビニルケトン、メシチルオキシド、メチルヘプテノンなどの炭素数4〜15程度の脂肪族不飽和ケトン;シクロブタノン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、シクロドデカノンなど炭素数3〜20(好ましくは3〜16)程度の脂環式ケトン;アセトフェノン、プロピオフェノン、ブチロフェノン、バレロフェノン、ジベンジルケトン、2−アセトナフトンなどの炭素数8〜18(好ましくは8〜15)程度の芳香族ケトン;アセトチエノン、2−アセトフロン、2−アセチルピリジン、3−アセチルピリジン、3−プロピオニルピリジン、4−アセチルピリジン、3−アセチルキノリンなどの、酸素原子、硫黄原子及び窒素原子から選択された少なくとも1種のヘテロ原子を1〜3個程度有する5〜6員の複素環又はこれにベンゼン環等が縮合した縮合複素環を有する複素環式ケトンなどが挙げられる。
7 、R8 を変化させることにより、対応する種々のα−シアンヒドリンエステル(引いては、種々のα−ヒドロキシ酸またはその塩)を製造することができる。
【0035】
[シアン化剤]
シアン化剤としては、シアン化反応に用いられる慣用のシアン化剤を使用でき、例えば、シアン化水素、金属シアニド、シアンヒドリン化合物、シアン化アシル、ハロゲン化シアンなどが挙げられる。金属シアニドには、例えば、シアン化ナトリウム、シアン化カリウムなどのアルカリ金属のシアン化物;シアン化カルシウムなどのアルカリ土類金属のシアン化物;シアン化銅などの遷移金属のシアン化物などが含まれる。シアンヒドリン化合物には、脂肪族、脂環式または芳香族のアルデヒドまたはケトンに対応する広範囲のα−シアンヒドリン化合物が含まれる。α−シアンヒドリン化合物の代表的な例として、例えば、ヒドロキシアセトニトリル、ラクトニトリル、アセトンシアンヒドリン、2−ヒドロキシブタンニトリル、2−ヒドロキシ−4−メチルブタンニトリル、2−ヒドロキシ−3−メチルブタンニトリル、2−ヒドロキシ−3−ブテンニトリル、2−ヒドロキシペンタンニトリル、2−ヒドロキシヘキサンニトリル、2−ヒドロキシオクタンニトリルなどの脂肪族α−シアンヒドリン;2−ヒドロキシ−シクロヘキサンアセトニトリル、シクロペンタノンシアンヒドリン、シクロヘキサノンシアンヒドリンなどの脂環式α−シアンヒドリン;マンデロニトリル、2−ヒドロキシ−3−フェニルブタンニトリルなどの芳香族α−シアンヒドリンなどが挙げられる。シアン化アシルには、シアン化アセチル、シアン化プロピオニルなどのシアン化脂肪族アシル;シアン化ベンゾイルなどのシアン化芳香族アシルなどが含まれる。ハロゲン化シアンには、塩化シアン、臭化シアンなどが含まれる。
好ましいシアン化剤には、シアン化水素、金属シアニド、シアンヒドリン化合物及びシアン化アシルなどが含まれる。なかでも、シアン化水素、アルカリ金属のシアン化物、シアンヒドリン化合物(特に、炭素数3〜8程度の脂肪族α−シアンヒドリン、とりわけケトンから誘導されるα−シアンヒドリン)などが好ましい。
【0036】
[α−シアンヒドリンエステルの製造]
本発明のα−シアンヒドリンエステルの製造方法では、金属触媒の存在下で、前記エノールエステル化合物(1)又はオキシムエステル化合物(2)と、カルボニル化合物(3)と、シアン化剤とを反応させる。
この反応は、溶媒の非存在下で行ってもよいが、通常、溶媒中で行われる。溶媒としては、前記例示の溶媒などが挙げられる。
【0037】
エノールエステル化合物(1)又はオキシムエステル化合物(2)の使用量は、カルボニル化合物(3)1モルに対して、例えば、0.5〜5モル、好ましくは0.8〜4モル、さらに好ましくは1〜3モル(特に、1.5〜2.5モル)程度である。シアン化剤の使用量は、カルボニル化合物(3)1モルに対して、例えば、0.8モル以上(例えば、0.8〜5モル程度)、好ましくは0.8〜3モル、さらに好ましくは0.9〜1.5モル程度である。
金属触媒の使用量は、カルボニル化合物(3)1モルに対して、例えば、0.001〜1モル、好ましくは0.01〜0.5モル、さらに好ましくは0.05〜0.2モル程度である。反応温度は、反応を損なわない範囲で適宜選択でき、例えば、0〜100℃、好ましくは10〜60℃、さらに好ましくは10〜40℃程度である。
【0038】
なお、反応成分としてエノールエステル化合物(1)を用いる場合、系内に前記オキシム化合物(6)を存在させてもよい。系内にオキシム化合物(6)を存在させることにより反応速度が向上する場合がある。この場合、オキシム化合物(6)の使用量は、広い範囲で選択でき、例えば、カルボニル化合物(3)1モルに対して、0.001〜2モル程度、好ましくは0.01〜0.5モル程度である。
【0039】
反応は、回分式、半回分式、連続式などの慣用の方法により行うことができる。上記反応により、対応する式(4)で表されるα−シアンヒドリンエステル誘導体が生成する。なお、反応終了後、必要に応じて、反応系に水などのプロトン性化合物を添加してもよい。
この反応は不可逆的に進行するため、α−シアンヒドリンエステル(4)を高い収率で得ることができる。
生成したα−シアンヒドリンエステル(4)は、慣用の分離精製手段、例えば、濾過、濃縮、抽出、晶析、再結晶、カラムクロマトグラフィーなど、またはこれらを組合せることにより分離精製できる。
こうして得られたα−シアンヒドリンエステル(4)は、α−シアンヒドリンとは異なり、加水分解条件下において、脱シアン化水素などの脱離反応が起こりにくいため、α−ヒドロキシ酸の前駆体として有用である。
【0040】
[α−ヒドロキシ酸またはその塩の製造]
α−ヒドロキシ酸またはその塩は、前記方法により得られたα−シアンヒドリンエステル(4)を加水分解することによって得ることができる。
加水分解は、慣用の加水分解法、例えば、酸加水分解法、アルカリ加水分解法などにより行うことができる。
【0041】
酸加水分解に用いる酸としては、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸などの無機酸;メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸などのスルホン酸などが挙げられる。酸の使用量は、例えば、α−シアンヒドリンエステル(4)1モルに対して、0.0001〜10モル程度、好ましくは0.01〜4モル程度である。
水の使用量は、α−シアンヒドリンエステル(4)1モルに対して1モル以上、例えば、1〜100モル程度の範囲で適当に選択できる。加水分解は、反応を損なわない範囲で、有機溶媒の存在下で行ってもよい。有機溶媒としては、前記例示の溶媒が例示される。反応温度は、例えば、0〜150℃、好ましくは10〜110℃、さらに好ましくは40〜100℃程度である。
酸加水分解により、通常、遊離のα−ヒドロキシ酸またはそのアンモニウム塩が生成する。これらの生成物は、慣用の方法により、α−ヒドロキシ酸の塩基性塩に変換できる。
【0042】
アルカリ加水分解は塩基の存在下で行われる。塩基としては、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属の水酸化物;水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウムなどのアルカリ土類金属の水酸化物;炭酸ナトリウム、炭酸カリウムなどのアルカリ金属の炭酸塩;炭酸マグネシウムなどのアルカリ土類金属の炭酸塩;炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウムなどのアルカリ金属の炭酸水素塩などが挙げられる。
塩基の使用量は、α−シアンヒドリンエステル(4)1モルに対して、1モル以上、例えば、1〜10モル程度、好ましくは1〜5モル程度、さらに好ましくは2〜3モル程度である。水の使用量は酸加水分解と同様であり、反応は前記の有機溶媒やアルコール(例えば、メタノール、エタノールなど)の存在下で行ってもよい。反応温度は、例えば、0〜150℃、好ましくは10〜110℃程度である。
アルカリ加水分解により、通常、対応するα−ヒドロキシ酸の塩基性塩が生成する。α−ヒドロキシ酸の塩基性塩は、慣用の方法により、遊離のα−ヒドロキシ酸またはその酸性塩に変換できる。
【0043】
加水分解反応は、回分式、半回分式、連続式などの慣用の方法により行なうことができる。反応終了後、反応生成物は、必要に応じてpHを調整した後、慣用の方法、例えば、濾過、濃縮、蒸留、抽出、晶析、再結晶、カラムクロマトグラフィーなどの分離手段や、これらを組合せた分離手段により、容易に分離精製できる。
【0044】
【発明の効果】
本発明によれば、エノールエステル化合物又はオキシムエステル化合物、カルボニル化合物及びシアン化剤から、α−シアンヒドリンエステルを高い収率で得ることができる。
また、前記α−シアンヒドリンエステルを加水分解することにより、対応するα−ヒドロキシ酸またはその塩を収率よく製造できる。この方法は適用範囲が広く、汎用性に優れる。
【0045】
【実施例】
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
調製例1
シクロヘキサノンオキシム2.3g(20ミリモル)、酢酸イソプロペニル2.0g(20ミリモル)、ジ(η5 −ペンタメチルシクロペンタジエニル)サマリウム[Cp* 2Sm(THF)2 ]0.9g(2ミリモル)、及びトルエン20mlの混合物を室温で1時間撹拌し、析出した結晶を濾過することにより、3.1gのアセチルオキシイミノシクロヘキサン(シクロヘキサノンオキシム アセテート)が得られた(収率100%)。
【0046】
実施例1
酢酸イソプロペニル 1ミリモル、プロパナール 1ミリモル、アセトンシアンヒドリン 1ミリモル、ジ(η5 −ペンタメチルシクロペンタジエニル)サマリウム[Cp* 2Sm(THF)2 ] 0.1ミリモル、及びトルエン1mlの混合物を、50℃で5時間撹拌した。ガスクロマトグラフィーにより分析した結果、反応混合液中には、プロパナールの転化率79%で、2−アセチルオキシブタンニトリルが収率73%で生成していた。
【0047】
実施例2
プロパナールに代えて、ブタナールを1ミリモル用いた以外は、実施例1と同様に反応を行ったところ、ブタナールの転化率86%で、2−アセチルオキシペンタンニトリルが収率81%で生成していた。
【0048】
実施例3
プロパナールに代えて、ペンタナールを1ミリモル用いた以外は、実施例1と同様に反応を行ったところ、ペンタナールの転化率86%で、2−アセチルオキシヘキサンニトリルが収率80%で生成していた。
【0049】
実施例4
プロパナールに代えて、ヘキサナールを1ミリモル用いた以外は、実施例1と同様に反応を行ったところ、ヘキサナールの転化率86%で、2−アセチルオキシヘプタンニトリルが収率81%で生成していた。
【0050】
実施例5
プロパナールに代えて、3−メチルブタナールを1ミリモル用いた以外は、実施例1と同様に反応を行ったところ、3−メチルブタナールの転化率84%で、2−アセチルオキシ−4−メチルペンタンニトリルが収率79%で生成していた。
【0051】
実施例6
プロパナールに代えて、2−フェニルアセトアルデヒドを1ミリモル用いた以外は、実施例1と同様に反応を行ったところ、2−フェニルアセトアルデヒドの転化率78%で、2−アセチルオキシ−3−フェニルプロパンニトリルが収率72%で生成していた。
【0052】
実施例7
プロパナールに代えて、アセトアルデヒドを1ミリモル用いた以外は、実施例1と同様に反応を行ったところ、2−フェニルアセトアルデヒドの転化率81%で、2−アセチルオキシプロパンニトリルが収率74%で生成していた。
【0053】
実施例8
ジ(η5 −ペンタメチルシクロペンタジエニル)サマリウム[Cp* 2Sm(THF)2 ]に代えて、無水塩化アルミニウム(AlCl3 )を0.1ミリモル用いた以外は、実施例1と同様に反応を行ったところ、プロパナールの転化率87%で、2−アセチルオキシブタンニトリルが収率81%で生成していた。
【0054】
実施例9
ジ(η5 −ペンタメチルシクロペンタジエニル)サマリウム[Cp* 2Sm(THF)2 ]に代えて、塩化ジルコニル(ZrOCl2 )を0.1ミリモル用いた以外は、実施例1と同様に反応を行ったところ、プロパナールの転化率77%で、2−アセチルオキシブタンニトリルが収率74%で生成していた。
【0055】
実施例10
ジ(η5 −ペンタメチルシクロペンタジエニル)サマリウム[Cp* 2Sm(THF)2 ]に代えて、四塩化チタン(TiCl4 )を0.1ミリモル用いた以外は、実施例1と同様に反応を行ったところ、プロパナールの転化率81%で、2−アセチルオキシブタンニトリルが収率77%で生成していた。
【0056】
実施例11
ジ(η5 −ペンタメチルシクロペンタジエニル)サマリウム[Cp* 2Sm(THF)2 ]に代えて、亜鉛アセチルアセトナト[Zn(AA)2 ]を0.1ミリモル用いた以外は、実施例1と同様に反応を行ったところ、プロパナールの転化率66%で、2−アセチルオキシブタンニトリルが収率62%で生成していた。
【0057】
実施例12
ジ(η5 −ペンタメチルシクロペンタジエニル)サマリウム[Cp* 2Sm(THF)2 ]に代えて、塩化銅[Cu(Cl)2 ]を0.1ミリモル用いた以外は、実施例1と同様に反応を行ったところ、プロパナールの転化率58%で、2−アセチルオキシブタンニトリルが収率56%で生成していた。
【0058】
実施例13
ジ(η5 −ペンタメチルシクロペンタジエニル)サマリウム[Cp* 2Sm(THF)2 ]に代えて、塩化第二鉄[Fe(Cl)3 ]を0.1ミリモル用いた以外は、実施例1と同様に反応を行ったところ、プロパナールの転化率55%で、2−アセチルオキシブタンニトリルが収率53%で生成していた。
【0059】
実施例14
ジ(η5 −ペンタメチルシクロペンタジエニル)サマリウム[Cp* 2Sm(THF)2 ]に代えて、塩化バナジル(VOCl2 )を0.1ミリモル用いた以外は、実施例1と同様に反応を行ったところ、プロパナールの転化率78%で、2−アセチルオキシブタンニトリルが収率72%で生成していた。
【0060】
実施例15
ジ(η5 −ペンタメチルシクロペンタジエニル)サマリウム[Cp* 2Sm(THF)2 ]に代えて、塩化モリブデン[Mo(Cl)3 ]を0.1ミリモル用いた以外は、実施例1と同様に反応を行ったところ、プロパナールの転化率72%で、2−アセチルオキシブタンニトリルが収率70%で生成していた。
【0061】
実施例16
反応温度を25℃、反応時間を3時間とした以外は、実施例2と同様にして反応を行ったところ、2−アセチルオキシペンタンニトリルが収率56%で生成していた。
【0062】
実施例17
反応温度を25℃、反応時間を15時間とした以外は、実施例2と同様にして反応を行ったところ、2−アセチルオキシペンタンニトリルが収率63%で生成していた。
【0063】
実施例18
ジ(η5 −ペンタメチルシクロペンタジエニル)サマリウム[Cp* 2Sm(THF)2 ]に代えて、ジ(η5 −ペンタメチルシクロペンタジエニル)イッテルビウム[Cp* 2Yb(THF)2 ]を0.1ミリモル用い、反応温度を25℃、反応時間を3時間とした以外は、実施例2と同様にして反応を行ったところ、2−アセチルオキシペンタンニトリルが収率21%で生成していた。
【0064】
実施例19
ジ(η5 −ペンタメチルシクロペンタジエニル)サマリウム[Cp* 2Sm(THF)2 ]に代えて、サマリウムイソプロポキシド[Sm(O−i−Pr)3 ]を0.1ミリモル用い、反応温度を25℃、反応時間を3時間とした以外は、実施例2と同様にして反応を行ったところ、2−アセチルオキシペンタンニトリルが収率61%で生成していた。
【0065】
実施例20
ジ(η5 −ペンタメチルシクロペンタジエニル)サマリウム[Cp* 2Sm(THF)2 ]に代えて、サマリウムイソプロポキシド[Sm(O−i−Pr)3 ]を0.1ミリモル用い、反応温度を25℃、反応時間を15時間とした以外は、実施例2と同様にして反応を行ったところ、2−アセチルオキシペンタンニトリルが収率70%で生成していた。
【0066】
実施例21
酢酸イソプロペニル 2ミリモル、アセトアルデヒド 1ミリモル、アセトンシアンヒドリン 1ミリモル、ジ(η5 −ペンタメチルシクロペンタジエニル)サマリウム[Cp* 2Sm(THF)2 ] 0.1ミリモル、及びトルエン1mlの混合物を、25℃で15時間撹拌した。ガスクロマトグラフィーにより分析した結果、反応混合液中には、2−アセチルオキシプロパンニトリルが収率74%で生成していた。
【0067】
実施例22
アセトアルデヒドに代えて、プロパナールを1ミリモル用いた以外は、実施例21と同様に反応を行ったところ、2−アセチルオキシブタンニトリルが収率87%で生成していた。
【0068】
実施例23
アセトアルデヒドに代えて、ブタナールを1ミリモル用いた以外は、実施例21と同様に反応を行ったところ、2−アセチルオキシペンタンニトリルが収率84%で生成していた。
【0069】
実施例24
アセトアルデヒドに代えて、2−メチルプロパナールを1ミリモル用いた以外は、実施例21と同様に反応を行ったところ、2−アセチルオキシ−3−メチルブタンニトリルが収率86%で生成していた。
【0070】
実施例25
アセトアルデヒドに代えて、3−メチルブタナールを1ミリモル用いた以外は、実施例21と同様に反応を行ったところ、2−アセチルオキシ−4−メチルペンタンニトリルが収率82%で生成していた。
【0071】
実施例26
アセトアルデヒドに代えて、2,2−ジメチルプロパナールを1ミリモル用い、ジ(η5 −ペンタメチルシクロペンタジエニル)サマリウム[Cp* 2Sm(THF)2 ]に代えて、サマリウムイソプロポキシド[Sm(O−i−Pr)3 ]を0.1ミリモル用いた以外は、実施例21と同様に反応を行ったところ、2−アセチルオキシ−3,3−ジメチルブタンニトリルが収率83%で生成していた。
【0072】
実施例27
アセトアルデヒドに代えて、シクロヘキサンカルバルデヒドを1ミリモル用いた以外は、実施例21と同様に反応を行ったところ、2−アセチルオキシ−2−シクロヘキシルエタンニトリルが収率90%で生成していた。
【0073】
実施例28
アセトアルデヒドに代えて、ベンズアルデヒドを1ミリモル用いた以外は、実施例21と同様に反応を行ったところ、2−アセチルオキシ−2−フェニルエタンニトリルが収率49%で生成していた。
【0074】
実施例29
アセトアルデヒドに代えて、フェニルアセトアルデヒドを1ミリモル用いた以外は、実施例21と同様に反応を行ったところ、2−アセチルオキシ−3−フェニルプロパンニトリルが収率67%で生成していた。
【0075】
実施例30
アセトアルデヒドに代えて、2−フランカルバルデヒドを1ミリモル用いた以外は、実施例21と同様に反応を行ったところ、2−アセチルオキシ−2−(2−フリル)エタンニトリルが収率18%で生成していた。
【0076】
実施例31
アセトアルデヒドに代えて、シクロヘキサノンを1ミリモル用い、反応温度を50℃とした以外は、実施例21と同様に反応を行ったところ、1−アセチルオキシシクロヘキサンニトリルが収率13%で生成していた。
【0077】
実施例32
調製例1で得られたアセチルオキシイミノシクロヘキサン 1ミリモル、ブタナール 1ミリモル、アセトンシアンヒドリン 1ミリモル、ジ(η5 −ペンタメチルシクロペンタジエニル)サマリウム[Cp* 2Sm(THF)2 ] 0.1ミリモル、及びトルエン1mlの混合物を、25℃で3時間撹拌した。ガスクロマトグラフィーにより分析した結果、反応混合液中には、2−アセチルオキシペンタンニトリルが収率51%で生成していた。
【0078】
実施例33
実施例1と同様の方法で得られた2−アセチルオキシブタンニトリル10ミリモル、水酸化カリウム20ミリモル、水5ml及びエタノール10mlの混合液を、60℃で3時間撹拌した。反応混合物を高速液体クロマトグラフィーにより分析したところ、2−ヒドロキシブタン酸が収率86%で生成していた。
【0079】
実施例34
2−アセチルオキシブタンニトリルに代えて、実施例2と同様の方法で得られた2−アセチルオキシペンタンニトリルを10ミリモル使用した以外は、実施例33と同様にして反応を行ったところ、2−ヒドロキシペンタン酸が収率78%で生成していた。
【0080】
実施例35
2−アセチルオキシブタンニトリルに代えて、実施例3と同様の方法で得られた2−アセチルオキシヘキサンニトリルを10ミリモル使用した以外は、実施例33と同様にして反応を行ったところ、2−ヒドロキシヘキサン酸が収率82%で生成していた。
【0081】
実施例36
2−アセチルオキシブタンニトリルに代えて、実施例4と同様の方法で得られた2−アセチルオキシヘプタンニトリルを10ミリモル使用した以外は、実施例33と同様にして反応を行ったところ、2−ヒドロキシヘプタン酸が収率77%で生成していた。
【0082】
実施例37
2−アセチルオキシブタンニトリルに代えて、実施例5と同様の方法で得られた2−アセチルオキシ−4−メチルペンタンニトリルを10ミリモル使用した以外は、実施例33と同様にして反応を行ったところ、2−ヒドロキシ−4−メチルペンタン酸が収率81%で生成していた。
【0083】
実施例38
2−アセチルオキシブタンニトリルに代えて、実施例6と同様の方法で得られた2−アセチルオキシ−3−フェニルプロパンニトリルを10ミリモル使用した以外は、実施例33と同様にして反応を行ったところ、2−ヒドロキシ−3−フェニルプロピオン酸が収率78%で生成していた。
【0084】
実施例39
2−アセチルオキシブタンニトリルに代えて、実施例7と同様の方法で得られた2−アセチルオキシプロパンニトリルを10ミリモル使用した以外は、実施例33と同様にして反応を行ったところ、2−ヒドロキシプロピオン酸が収率84%で生成していた。

Claims (7)

  1. 遷移金属触媒の存在下、式(1)
    Figure 0004279915
    (式中、Rは非反応性原子又は非反応性有機基を示す。R、R及びRは、同一又は異なって、水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基を示す。R、R及びRは、互いに結合して、隣接する1又は2個の炭素原子と共に環を形成していてもよい)で表されるエノールエステル化合物または式(2)
    Figure 0004279915
    (式中、R、Rは、同一又は異なって、非反応性原子又は非反応性有機基を示す。R及びRは、互いに結合して、隣接する炭素原子と共に環を形成していてもよい。Rは前記に同じ)で表されるオキシムエステル化合物と、式(3)
    Figure 0004279915
    (式中、R、Rは、同一又は異なって、非反応性原子又は非反応性有機基を示す。R及びRは、互いに結合して、隣接する炭素原子と共に環を形成していてもよい)で表されるカルボニル化合物と、シアンヒドリン化合物とを反応させて、式(4)
    Figure 0004279915
    (R、R、Rは前記に同じ)で表されるα−シアンヒドリンエステルを生成させるα−シアンヒドリンエステルの製造方法。
  2. 遷移金属触媒として、周期表3A族元素、4A族元素、5A族元素、6A族元素、7A族元素、8族元素、1B族元素又は2B族元素を含む遷移金属化合物を用いる請求項1記載のα−シアンヒドリンエステルの製造方法。
  3. が、水素原子、C1−6アルキル基、C2−6アルケニル基、C5−8シクロアルキル基、及びC6−10アリール基から選択された基である請求項1記載のα−シアンヒドリンエステルの製造方法。
  4. が水素原子又はメチル基であり、R及びRが水素原子である請求項1記載のα−シアンヒドリンエステルの製造方法。
  5. 及びRが、同一又は異なって、C1−6アルキル基、C5−8シクロアルキル基、及びC6−10アリール基から選択された基であるか、又はR及びRが、隣接する炭素原子と共に5〜10員のシクロアルカン環を形成している請求項1記載のα−シアンヒドリンエステルの製造方法。
  6. カルボニル化合物1モルに対して、炭素数3〜8の脂肪族α−シアンヒドリンを0.9〜1.5モル用いる請求項1記載のα−シアンヒドリンエステルの製造方法。
  7. 遷移金属触媒の存在下、式(1)
    Figure 0004279915
    (式中、Rは非反応性原子又は非反応性有機基を示す。R、R及びRは、同一又は異なって、水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基を示す。R、R及びRは、互いに結合して、隣接する1又は2個の炭素原子と共に環を形成していてもよい)で表されるエノールエステル化合物または式(2)
    Figure 0004279915
    (式中、R、Rは、同一又は異なって、非反応性原子又は非反応性有機基を示す。R及びRは、互いに結合して、隣接する炭素原子と共に環を形成していてもよい。Rは前記に同じ)で表されるオキシムエステル化合物と、式(3)
    Figure 0004279915
    (式中、R、Rは、同一又は異なって、非反応性原子又は非反応性有機基を示す。R及びRは、互いに結合して、隣接する炭素原子と共に環を形成していてもよい)で表されるカルボニル化合物と、シアンヒドリン化合物とを反応させて、式(4)
    Figure 0004279915
    (式中、R、R、Rは前記に同じ)で表されるα−シアンヒドリンエステルを生成させ、このα−シアンヒドリンエステルを加水分解して、式(5)
    Figure 0004279915
    (式中、R、Rは前記に同じ)で表されるα−ヒドロキシ酸又はその塩を生成させるα−ヒドロキシ酸又はその塩の製造方法。
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