JP4278773B2 - 研磨液組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体ウエハー、半導体、各種メモリーといった半導体基板又は半導体素子の研磨に使用される研磨助剤及び研磨液組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体素子表面の平坦化を行うための手法として、グローバルプラナリゼーション(完全平坦化)が達成できるという利点があることから、最近では化学的研磨と機械的研磨とを組み合わせたケミカルメカニカル研磨加工(Chemical Mechanical Polishing: CMP)による平坦化が検討されている。そして、かかる手法において用いられる砥粒として、酸化アルミニウム、酸化ケイ素や酸化セリウム系研磨剤が検討されている。
しかしながら、かかる手法を用いても、研磨速度を上昇した場合には、研磨加工精度や研磨後の半導体基板又は半導体素子表面状態を満足させることができなかった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、各種砥粒を用いて半導体基板又は半導体素子を高速で研磨する場合であっても、良好な研磨加工精度及び表面状態を与えることができる研磨助剤及びそれを含有する研磨液組成物を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
即ち、本発明は、
(1)水溶性高分子を含有してなる半導体基板用又は半導体素子用研磨助剤であって、一次粒径が10〜100nmである砥粒の10重量%水スラリー100重量部に対し、該水溶性高分子を0.05重量部添加した時の、25℃における該水溶性高分子の砥粒への吸着率が50重量%以上である半導体基板用又は半導体素子用研磨助剤、
(2)砥粒と研磨助剤と水を含む研磨液組成物であって、当該研磨助剤の一種が前記(1)記載の半導体基板用又は半導体素子用研磨助剤である半導体基板用又は半導体素子用研磨液組成物、に関するものである。
【0005】
【発明の実施の形態】
1.半導体基板用又は半導体素子用研磨助剤
本発明の研磨助剤は、砥粒への吸着率が50重量%以上となる水溶性高分子を含有してなる。吸着率は、一次粒径が10〜100nmである砥粒の10重量%水スラリー100重量部に対して該水溶性高分子を0.05重量部添加し、25℃で攪拌を行ったのち、水に溶けている未吸着分の全有機炭素量を定量、算出することにより計算された値である。本発明において、かかる水溶性高分子を用いることにより、研磨速度が向上するとともに、研磨加工精度や研磨後の表面状態が良好となるという効果が発揮されるため、好ましい。水溶性高分子の砥粒への吸着率としては55〜100重量%が好ましく、60〜100重量%がより好ましい。
【0006】
該水溶性高分子化合物としては、吸着率向上の点からアルキレンオキシド付加物が好ましい。アルキレンオキシドとしては、エチレンオキシド、プロピレンオキシドが挙げられる。水溶性高分子化合物がアルキレンオキシド付加物である場合、該水溶性高分子のアルキレンオキシド中エチレンオキシド平均付加モル数は10以上が好ましく、15〜2000がより好ましく、20〜1000が特に好ましい。具体例としては、ポリエチレングリコール、ポリオキシエチレンモノエーテル類、ポリオキシエチレンジエーテル類、エチレンオキシドとプロピレンオキシドの重合体、多価アルコールのアルキレンオキシド付加物とその脂肪酸エステル類、脂肪族アミンのアルキレンオキシド付加物、ポリオキシエチレングリコールの脂肪酸エステル類や重合可能な不飽和基を持つ有機酸単量体と重合可能な不飽和基を持つアルキレンオキシドユニットを含有する単量体の共重合物等が挙げられる。これらの内、ポリエチレングリコール、ポリエチレングリコールモノエーテル類、エチレンオキシドとプロピレンオキシドの重合体、重合可能な不飽和基を持つ有機酸単量体と重合可能な不飽和基を持つアルキレンオキシドユニットを含有する単量体の共重合物が好ましい。さらに好ましくは、ポリエチレングリコール、ポリエチレングリコールアルキルエーテル、エチレンオキシドとプロピレンオキシドのブロック重合体、構造単位(a)と構造単位(b)とを必須の構造単位として有する共重合物が好ましい。特にエチレンオキシドとプロピレンオキシドのブロック重合体ではポリプロピレングリコールのエチレンオキシド付加物が好ましい。また、構造単位(a)と構造単位(b)とを必須の構造単位として有する共重合物(以下、共重合物という。)では、構造単位(a)と構造単位(b)とのモル比は、(a)/(b)=5/95〜98/2の範囲が好ましく、10/90〜95/5の範囲がより好ましく、20/80〜90/10の範囲が特に好ましい。モル比は、被研磨面の表面状態を良好に維持する点から5/95以上が好ましく、研磨速度の低下を抑える点から98/2以下が好ましい。
【0007】
構造単位(a)は、式(A)で表される構造単位からなる群より選ばれる一種以上である。即ち、構造単位(a)としては、次の式で表される構造単位のいずれか一種類のみであっても良く、複数種類が混在していても良い。
式(A):
【0008】
【化3】
【0009】
(式中、R1 〜R3 は同一でも異なっていても良く、水素原子、メチル基又は−(CH2 )m1 COOM2 を表し、M1 及びM2 は同一でも異なっていても良く、水素原子、アルカリ金属原子、アルカリ土類金属原子、アンモニウム又は有機アンモニウムを表し、m1 は0〜2の整数を表す。)。
ここで、上記アルカリ金属原子としてはリチウム、ナトリウム、カリウムが挙げられる。上記アルカリ土類金属原子としてはマグネシウム、カルシウムが挙げられる。有機アンモニウムを与える有機アミンとしてはモノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、トリメチルアミン等のアルキルモノアミン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、N,N−ジメチルアミノプロピルアミン等の多価アミン及びそれらのエチレンオキシド付加物等、及びこれらの混合物が挙げられる。好ましくはアンモニウムと有機アンモニウムである。
【0010】
式(A)で表される構造単位を与える化合物の具体例としては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸及びこれらの塩;無水マレイン酸、マレイン酸、無水イタコン酸、イタコン酸、無水シトラコン酸、シトラコン酸及びフマル酸等の不飽和ジカルボン酸系単量体及びこれらのアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、有機アンモニウム塩が挙げられる。
【0011】
構造単位(b)は、式(B):
【0012】
【化4】
【0013】
(式中、R4 〜R5 は同一でも異なっていても良く、水素原子又はメチル基を表し、Aはエチレン基単独又はエチレン基とプロピレン基の混合、m2 は0〜2の整数、nは2〜300の数、Xは−O−又は−COO−を示し、Yは水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基をそれぞれ表す。)で表される。
ここで、Aはエチレン基だけ又はエチレン基及びプロピレン基が混合した複数種の基から構成されていても良い。nは4〜150の数がより好ましい。Yのアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基が挙げられる。
【0014】
構造単位(b)を与える単量体成分の具体例としては、メトキシポリエチレングリコール、メトキシポリエチレンポリプロピレングリコール、エトキシポリエチレングリコール、エトキシポリエチレンポリプロピレングリコール、プロポキシポリエチレングリコール、プロポキシポリエチレンポリプロピレングリコール等の片末端アルキル封鎖ポリアルキレングリコールとアクリル酸、メタクリル酸又は脂肪酸の脱水素(酸化)反応物とのエステル化物や、アクリル酸、メタクリル酸又は脂肪酸の脱水素(酸化)反応物のエチレンオキシド、プロピレンオキシド付加物、アリルアルコール、メタアリルアルコールのエチレンオキシド、プロピレンオキシド付加物等が用いられる。ポリアルキレングリコールの平均付加モル数は2〜300が好ましい。エチレンオキシド、プロピレンオキシドの両付加物についてはランダム付加、ブロック付加、交互付加等のいずれでも用いることができる。被研磨表面への吸着性の低下や、加工精度における平滑化特性の悪化を抑える点から、上記ポリアルキレングリコールの平均付加モル数は2以上が好ましく、重合性の低下や、研磨粒子及び研磨粉の分散性能の悪化を抑える点から、300以下が好ましい。
【0015】
共重合物は、式(A)で表される構造単位を与える化合物、並びに式(B)で表される構造単位を与える化合物からなる群より選ばれる一種以上の化合物を単量体として、公知の方法で製造することができる。例えば、特開昭59−162163号公報、特公平2−11542号公報、特公平2−7901号公報、特公平2−7897号公報等に記載の溶媒重合法が挙げられる。
【0016】
共重合物の合成における溶媒重合法において用いる溶剤としては、水、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、ベンゼン、トルエン、キシレン、シクロヘキサン、n−ヘキサン、脂肪族炭化水素、酢酸エチル、アセトン、メチルエチルケトン等が挙げられる。取扱と反応設備から考慮すると水及び1〜4級アルコールが好ましい。
【0017】
共重合物の合成における水系の溶媒においては、過硫酸アンモニウム塩及び過酸化水素等の水溶性の重合開始剤を用いる。水系以外の溶媒においては、アゾビスイソブチロニトリル、ベンゾイルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド等の重合開始剤を用いる。
【0018】
また、重合開始剤と併用して、促進剤として亜硫酸水素アンモニウム、メルカプトエタノール又はアミン化合物を使用することも可能であり、これら重合開始剤あるいは促進剤を適宜選択して用いることができる。
【0019】
共重合物の重量平均分子量は、ゲルパーミュエーションクロマトグラフィーによりポリスチレンスルホン酸換算で求めた場合、500〜50万の範囲が好ましく、5000〜10万がより好ましい。被研磨面の平滑化特性の悪化を抑える点から500以上が好ましく、研磨速度の低下を抑える点から50万以下が好ましい。
【0020】
本発明の効果を損なわない範囲内で、共重合可能な他の単量体を用いて共重合物を製造しても良い。係る単量体成分としては、例えば、アクリロニトリル、アクリル酸エステル、アクリルアミド、メタクリルアミド、スチレン、アリルスルホン酸、メタクリルスルホン酸、スチレンスルホン酸等が挙げられる。
【0021】
水溶性高分子の研磨助剤中の含有量は、研磨特性維持の点から研磨助剤の0.01〜100重量%が好ましく、0.1〜100重量%がより好ましく、0.5〜100重量%が特に好ましい。
本発明の研磨助剤は、さらに他の成分、例えば、ポリオキシエチレンモノアルキルエーテル等の非イオン活性剤、アルキルベンゼンスルホン酸アンモニウム塩、アルキル硫酸アンモニウム塩等の陰イオン活性剤及びポリアクリル酸アンモニウム塩やポリビニルアルコール等の水溶性高分子を含有していても良い。
【0022】
2.半導体基板用又は半導体素子用研磨液組成物
本発明の研磨助剤を砥粒スラリーに添加して研磨液組成物として用いることができる。具体的には、本発明の研磨液組成物は、本発明の研磨助剤、砥粒及び水を含有してなる。かかる研磨液組成物は、研磨時の半導体基板や半導体素子の表面欠陥の発生を抑制し、研磨速度及び研磨精度の向上を図り得るという優れた性能を示す。なお、研磨液組成物には、本発明の研磨助剤以外の公知の研磨助剤が含有されていても良い。さらに、研磨液組成物は研磨促進剤として過酸化水素や過硫酸アンモニウム等の酸化剤・エッチング剤を含有しても良い。また、砥粒の沈降防止の観点から他の水溶性高分子や界面活性剤を併用しても良い。
【0023】
本発明の研磨助剤及び研磨液組成物は、表面欠陥の発生の抑制効果や、研磨速度及び研磨精度の向上効果が発揮されるため、CMP 技術が適用される半導体基板や半導体素子の研磨の際に好適に用いられ、例えば、SiO2 膜、SiOF膜、有機SOG膜等が挙げられ、取り分け、SiO2 絶縁膜等の半導体基板の層間絶縁膜や半導体素子上の絶縁膜の研磨に有用である。即ち、本発明においては、被研磨体としてかかる絶縁膜が好適な研磨対象である。
【0024】
本発明の研磨液組成物において、水溶性高分子の配合量は、砥粒100重量%に対して0.01〜30重量%が好ましく、0.1〜10重量%がより好ましい。十分な研磨加工精度を得る点から0.01重量%以上が好ましく、研磨速度の低下を抑える点から30重量%以下が好ましい。また、水溶性高分子の含有量は、研磨特性維持の点から研磨液組成物の0.0005〜12重量%が好ましく、0.001〜10重量%がより好ましく、0.005〜10重量%が特に好ましい。
【0025】
砥粒としては、高純度の酸化ケイ素、酸化セリウム、酸化アルミニウム、酸化鉄、炭化ケイ素、窒化ケイ素、酸化ジルコニウム、酸化チタン等を好ましく用いることができる。より好ましくは、酸化ケイ素、酸化セリウム、酸化アルミニウムであり、層間絶縁膜であるSiO2 膜の研磨には、酸化ケイ素、酸化セリウムが特に好ましい。これら砥粒は単独で用いても良く、二種以上を混合して用いても良い。
半導体基板や半導体素子の汚染防止のため、砥粒の純度は99%以上のものが好ましく、99.5%以上の高純度品がより好ましい。また、砥粒は、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属イオンやα線の発生源になり得る放射性元素等の不純物を含まない方がよい。
【0026】
砥粒の平均粒径は0.001〜5.0μmのものが好ましく、0.01〜3.0μmのものがより好ましい。研磨速度の低下を抑える点から0.001μm以上が好ましく、被研磨表面の傷の発生を防ぐ点から5.0μm以下が好ましい。なお、砥粒の平均粒径は、研磨液組成物0.1gを乾燥させて得られたものを走査型電子顕微鏡(SEM)で観察して画像解析により求めたものである。
【0027】
研磨液組成物中の砥粒の含有量は、0.1〜40重量%の範囲が好ましく、0.5〜30重量%の範囲がより好ましい。研磨速度の低下を抑える点から0.1重量%以上が好ましく、研磨圧力の低下や供給ムラを抑える点から40重量%以下が好ましい。
係る研磨液組成物のpHは3〜13の範囲で使用することが好ましい。砥粒が酸化セリウムの場合にはpH5〜10の範囲がより好ましく、層間絶縁膜を研磨する場合における砥粒が酸化ケイ素の場合では、アンモニア水等の添加によりpH9〜12の範囲で使用するのがより好ましい。
【0028】
本発明の研磨助剤及びそれを用いた研磨液組成物の使用時の研磨条件については、市販の片面研磨機、両面研磨機を用いて、押し圧、定盤回転数、スラリー供給量、研磨時間は通常の条件を使用できる。また、研磨パッドとしては発泡ウレタン又は特殊樹脂加工をほどこした不織布を用いることが好ましいが、これらに限定されるものではない。
【0029】
【実施例】
以下で使用したポリアルキレングリコールは市販品を用いた。又、以下に有機酸単量体とアルキレンオキシドユニット含有単量体の共重合物の製造例を示す。B1〜5にアルキレンオキシドユニットを含有する単量体を示す。又、比較のため、B−6を用いた。ただし、EOはエチレンオキシド、POはプロピレンオキシドを表す。
B−1:メタノールEO/メタクリル酸モノエステル(EO付加モル数=115)
B−2:メタノールEO/アクリル酸モノエステル(EO付加モル数=51)
B−3:アクリル酸EO付加物(EO付加モル数=20)
B−4:アクリル酸EO/POブロック付加物(EO付加モル数=135、PO付加モル数=5)
B−5:アリルアルコールEO付加物(EO付加モル数=15)
B−6:メタクリル酸モノメチルエステル
【0030】
共重合物製造例
攪拌機付き反応容器に水10モルを仕込み、攪拌しながら窒素置換し、窒素雰囲気中で75℃まで昇温した。1モルのアクリル酸、0.09モルのB−1及び水7.5モルを混合したもの、20%過硫酸アンモニウム水溶液12.2g及び2−メルカプトエタノール4gの三者を、それぞれ同時に上記反応容器に2時間かけて滴下した。次に20%過硫酸アンモニウム水溶液36.6gを30分間かけて滴下し、1時間同温度(75℃)を維持して熟成した。熟成後、95℃に昇温して、35%過酸化水素水溶液12gを1時間かけて滴下し、2時間同温度(95℃)を維持して熟成した。熟成終了後、アルカリで中和し、分子量22000の共重合物(試料番号d)を得た。
さらに、同様の方法によって表1に示す試料番号のポリアルキレングリコール、共重合物を調製した。なお、共重合物の重量平均分子量は、ゲルパーミュエーションクロマトグラフィーにより、ポリスチレンスルホン酸ナトリウムに換算して求めた。
【0031】
【表1】
【0032】
砥粒
砥粒A(ヒュームドシリカ、一次粒径30nm、純度99.9重量%以上、アエロジル社製:アエロジル50)
砥粒B(酸化セリウム、一次粒径10〜100nm、純度99.9重量%以上、阿南化成社製:S2タイプ)
【0033】
基板
シリカ薄膜が形成されたシリコンウエハを大量に入手することが困難なため、研磨加工評価に必要な特性が近似している溶融石英ガラスを、半導体素子である基板として用いた。
【0034】
〔研磨加工条件〕
研磨機:MUSASHINO DENKI社製:MA−300
研磨条件
研磨圧力:200gf/cm2
定盤回転数:60rpm
被研磨材保持台回転数:60rpm
研磨液組成物供給量:2L/分
研磨時間:10分間
研磨布:ロデール・ニッタ社製:IC1000(2層タイプ)
【0035】
〔評価方法〕
水溶性高分子の吸着率(重量%):
100mLスクリュー管に砥粒Aを5g、純水35g、水溶性高分子(有効分)0.025gを入れ、手にて振とうしながら、pHが11.0になるように10%アンモニア水を加えた。この砥粒スラリーの全体量が50.025gになるように純水を加えた。このスラリーを手で5分間振とうした後、2時間放置し、次いで遠心分離器(日立工機株式会社製 himac CP56G)で回転数10000rpmで1時間遠心分離を行った。その上澄み液を島津製作所製TOC−500で該上澄み液中の全炭素濃度を測定した。この炭素濃度と、既知濃度の水溶性高分子水溶液の炭素濃度との比較を行い、未吸着の水溶性高分子重量%を算出し、そして砥粒に吸着した水溶性高分子重量%を算出した。測定結果を表1に示す。なお、一連の操作におけるスラリーの温度は25℃とした。
【0036】
相対研磨速度:
研磨前後の基板の厚さを隣接2辺から5mmの距離の点と中心点の5点をマイクロメーターで測定し、研磨厚を測定した。研磨助剤無添加の研磨液組成物を基準として相対値を求めた。
相対研磨精度:
上記5点の研磨厚の最大値と最小値の差を算出し、研磨助剤無添加の研磨液組成物を基準として相対値を求めた。
表面状態:
研磨後の基板表面を光学顕微鏡(微分干渉顕微鏡)を用いて倍率×100で90度おきに4ヵ所観察した。傷が全くなかったものをA、傷が少し見られたものをB、多く傷が見られたものをCとした。
【0037】
実施例1〜10(参考例)、比較例1〜6
研磨液組成物全体に対し、砥粒Aが15重量%、水溶性高分子化合物が0.05重量%、アンモニア水でpHが11、残分が水になるように仕込み、攪拌を行って、各水溶性高分子化合物を含有する砥粒Aの研磨液組成物を得た。これらの研磨液を用いたときの相対研磨速度、相対研磨精度、表面状態を表2に示す。
【0038】
【表2】
【0039】
実施例11〜20(但し、実施例11〜13は参考例である)、比較例7〜12
研磨液組成物全体に対し、砥粒Bが3重量%、水溶性高分子化合物が0.2重量%、アンモニア水でpHが8、残分が水になるように仕込み、攪拌を行って、各水溶性高分子化合物を含有する砥粒Bの研磨液組成物を得た。これらの研磨液を用いたときの相対研磨速度、相対研磨精度、表面状態を表3に示す。
【0040】
【表3】
【0041】
表2及び表3に示すように、化合物の構造が本発明の範囲外の例(比較例1〜12)では、研磨速度を高めることができず、研磨精度及び表面状態も満足できるものではなかった。
【0042】
【発明の効果】
本発明の研磨助剤及び研磨液組成物は、半導体素子表面や半導体基板表面に傷を与えることなく、高い研磨速度、研磨精度を提供する。
Claims (5)
- 酸化セリウムと研磨助剤と水を含む半導体基板用又は半導体素子用研磨液組成物であって、前記研磨助剤が50重量%以上の吸着率(但し、該吸着率は一次粒径が10〜100nmの酸化セリウムの10重量%水スラリー100重量部に対し、水溶性高分子を0.05重量部添加した時の、25℃における該水溶性高分子の酸化セリウムへの吸着率をいう)を有する、下記:
式(A):
で表される構造単位からなる群より選ばれる一種以上の構造単位(a)と、
式(B):
で表される構造単位からなる群より選ばれる一種以上の構造単位(b)
とを必須の構造単位として有する、重量平均分子量が500〜50万の共重合物からなる水溶性高分子を含有しなる、半導体基板用又は半導体素子用研磨液組成物。 - 水溶性高分子の配合量が、酸化セリウム100重量%に対して0.01〜30重量%である、請求項1記載の研磨液組成物。
- 酸化セリウムの平均粒径が、0.001〜5.0μmである、請求項1又は2記載の研磨液組成物。
- 研磨液組成物中の酸化セリウムの含有量が、0.1〜40重量%である、請求項1〜3いずれか記載の研磨液組成物。
- 研磨液組成物のpHが3〜13である、請求項1〜4いずれか記載の研磨液組成物。
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