JP4276501B2 - 走行玩具 - Google Patents

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本発明は、磁石を備え、磁性体の平面であれば、垂直な壁や逆平面となる天井面などを走行可能とする走行玩具に関するものである。
従来から、図5に示すように、自動車の形をした走行玩具10であって、車体底部15に磁石19を設け、この磁石19により鉄板などの磁性体平面に走行玩具10を吸い付けるようにして垂直な壁面での走行を可能とする走行玩具(例えば特許文献1)や、ループ状の走行軌道を容易に通過させる走行玩具(例えば特許文献2)が提供されている。
これらの走行玩具10は、多くの場合、自動車の模型として形成され、普通では自動車が走行することのできない垂直面や自動車が下になる逆平面などを走行するため、遊びに極めて奇抜な面白味を与えることのできる玩具とされていた。
実開昭63−29593号公報 実公平4−25195号公報
前述のように、車体底部に磁石を備えた走行玩具は、垂直な壁や玩具が逆向きとなる天井などであっても、磁性体の平面であれば走行させることができ、奇抜で面白味のある走行を行わせることができる。
しかし、床から壁への走行場所の変化及び壁から天井への走行場所の変化、棚上から棚側面への走行場所の変化など、角度や方向が急に変化する平面を連続して走行することができず、稜線などを越えようとするときに走行面から落下してしまうことが多かった。
この平面の角度や方向が急に大きく変化する箇所での落下を防止して稜線などを超えさせるために、磁石を大きくして磁力を強くすることが試みられるも、磁石の大型化により走行玩具の重量が増加し、やはり稜線の位置などの角度が急激に変化する位置で走行玩具が落下することが多く、又、小型で強力な磁力を有する磁石は、磁石の単価が高くなり、安価な走行玩具に適さない欠点があった。
本発明は、車輪の間に磁石を揺動可能に取付けることにより、稜線などの角部を越えて磁性体平面の走行を可能とする走行玩具を提供するものである。
本発明は、1対とされた左右の前輪の間及び1対とされた左右の後輪の間に各々車体の前後方向へ揺動可能に支持された磁石を設けると共に、前後4輪全てを駆動輪とした走行玩具とするものである。
又、本発明としては、前輪の間に設けられる磁石及び後輪の間に設けられる磁石を、各々揺動杆の先端に固定し、揺動杆により、駆動軸の下方から前方へ、及び、駆動軸の下方から後方へ揺動可能として支持し、磁石が車体下方から前方及び後方に揺動する構造とすることが好ましい。
そして、本発明としては、前輪の間に設けられた磁石の揺動中心を前輪車軸の回転中心と同軸とし、後輪の間に設けられた磁石の揺動中心は後輪車軸の回転中心と同軸とする場合がある。
更に、本発明としては、前輪の間に設けられる磁石と後輪の間に設けられる磁石とは、揺動杆先端の磁極極性が同一とすることが好ましい。
又、本発明としては、前輪の間に設ける揺動杆は、磁石を駆動軸の斜め下方前方に位置させるように付勢することがある。
前輪の間及び後輪の間に磁石を前後方向へ揺動可能に設けて4輪駆動の走行玩具とする本願発明は、4輪駆動の走行玩具とするものであるから、この走行玩具は駆動力が強く、前輪の間及び後輪の間に各々磁石を有しているため、この各磁石によって前輪及び後輪を磁性体の走行面に圧接させるように玩具を走行面に吸い付かせることができる。
そして、磁石を前輪の間及び後輪の間で走行面に接近させることができるため、磁気量が少なくても前輪や後輪を強く走行面に圧接させることができる。
更に、磁石を前後方向へ揺動可能に支持しているため、磁性体の走行面が車体に対して例えば上方又は下方に直角に変化することにより、走行している車体に大きな姿勢の変化若しくは急激な変化が生じた場合でも、走行面と磁石との磁束の乱れを少なくし、走行玩具が走行面から脱落又は落下する危険を少なくできる。
又、磁石を揺動杆の先端に固定する本願発明は、磁石を走行面に接近させることができると共に、走行面の方向が急激に変化して走行玩具が走行面に対して傾く場合にも、磁石が最も走行面に近接するように揺動して走行玩具を走行面に吸い付かせることができる。
そして、磁石の揺動中心を前輪や後輪の駆動軸の回転中心と同軸とする本願発明は、前輪における走行面との接線と後輪における走行面との接線との2つの接線が、一直線となる場合のみでなく、2つの接線が交わるように前輪走行面と後輪走行面との角度や方向が変化する場合でも、磁石の位置を揺動により変化させて磁石と走行面との距離を一定に保つことができる。従って、走行面と磁石との吸引力を一定に保って走行玩具を走行面に吸い付かせることができる。
更に、揺動杆先端における前輪間の磁石の極性と後輪間の磁石の極性とを同一とする本願発明は、前輪間の磁石と後輪間の磁石とが互いに吸引して走行面から離れた車体中央下方の近くに位置することを防止し、走行玩具を確実に走行面へ吸い付かせることができる。
そして、前輪間の磁石を駆動軸の斜め前方に付勢する本願発明は、非磁性体の床面から垂直などの磁性体傾斜面に走行面が変わるとき、磁石をより早く磁性体走行面の近くに位置させて前輪を磁性体の傾斜面に圧接し、玩具を急斜面などの走行面に確実に吸い付かせることができる。
本発明は、4輪駆動の走行玩具10であって、前輪21の間と後輪41の間とに各々磁石を設けるものとし、前輪21の間における前方磁石35は、左の前輪21と右の前輪21との中央に位置させるものとして前輪21の回転中心と同軸の揺動中心とされる揺動杆33の先端に設け、後輪41の間における後方磁石55は、左の後輪41と右の後輪41との中央に位置させるものとして後輪41の回転中心と同軸の揺動中心とされる揺動杆53の先端に設け、両磁石35,55は揺動杆33,53の先端位置の磁極極性を同一極性とするものである。
本発明に係る走行玩具10は、図1に示すように、前輪21や後輪41を取付けたボディー13であって走行用のモーター17を備えたボディー13に、自動車の形状としたボディーカバー11を被せたものである。
このボディー13の内部には、走行用モーター17の他、図示していない減速歯車列や電池が収納されており、減速歯車列によりモーター17の回転を減速して前輪21と後輪41とを同一方向に同一速度で回転させるようにしたものである。
この左右の前輪21の間には、図2に示すように、前方磁石35を有し、左右の後輪41の間には、後方磁石55を有するものである。
この前方磁石35は、棒状の揺動杆33の先端に固定されるものであり、又、揺動杆33は、その後端をパイプ状の揺動支持軸31と一体とするように形成されるものである。そして、揺動支持軸31は、その内径を前輪21の駆動軸23の直径と略同一とし、揺動支持軸31の内部に駆動軸23を貫通させたとき、揺動支持軸31に対して駆動軸23がガタつくことなく自在に回転することができるようにしている。
更に、この駆動軸23の両端には、各々前輪21を嵌合させるものであり、左の前輪21又は右の前輪21に近接した内側の所要位置に前輪駆動歯車25を嵌合し、左右の前輪21及び駆動軸23は前輪駆動歯車25と一体に回転するようにしている。そして、この駆動軸23は、車体底部15から突設させた車軸支持部14により回転自在にボディー13に取付けるものであって、このとき、前輪駆動歯車25をボディー13に組み込んだ減速歯車列と噛合わせておくものである。
又、この前輪21の駆動軸23は、回転自在として揺動支持軸31に貫通させているものであり、前輪21の揺動支持軸31は、その両端が前輪駆動歯車25と車軸支持部14とに摺動自在に軽く接触し、前方磁石35を固定する揺動杆33を左の前輪21と右の前輪21との中央位置に位置させるようにしている。
そして、前方磁石35は、棒状の揺動杆33の先端に固定され、左右の前輪21を走行面に接地させたとき、前方磁石35の磁極を走行面に近接させた位置に位置させると共に、揺動支持軸31を揺動中心として揺動可能とする長さの揺動杆33で揺動支持軸31に取付けられるものである。
更に、揺動支持軸31を貫通する駆動軸23を車体底部15から突出する車軸支持部14に取付けることにより、駆動軸23を中心として揺動杆33を大きく前後に揺動可能としているものである。
尚、この揺動杆33及び前方磁石35の揺動範囲は、当該走行玩具10を水平な走行面に置いたとき、揺動杆33を車体の前方方向には鉛直方向から60度乃至90度程度まで揺動可能とし、車体の後方方向にも鉛直方向から60度乃至90度近くまで揺動可能とするものである。
又、後方磁石55も、前方磁石35と同様に、揺動杆53の先端に固定し、揺動支持軸51により揺動杆53を左右の後輪41の中央に位置させて後輪41の駆動軸を揺動中心として揺動可能とし、車体底部15から突出する車軸支持部14で回転自在に駆動軸43をボディー13に取付けて揺動杆53を鉛直方向から車体の前方方向には60度乃至90度近くまで揺動可能とし、車体の後方方向には鉛直方向から60度乃至90度程度まで揺動可能とするものである。
尚、左右の後輪41は、駆動軸43に嵌合させた後輪駆動歯車45によりボディー13に内蔵された減速歯車列の回転が伝達され、前輪21と同様に駆動輪として走行玩具10を走行させるものである。
更に、前記前方磁石35を先端に固定した揺動杆33には、図3に示すように、付勢用弾性体39を設けることがある。
この付勢用弾性体39は、弦巻バネなどの弾性体を用い、弾性体の内部に揺動支持軸31を貫通させ、弾性体の一端を車体底部15に圧接し、他端を揺動支持軸31の突起などに接触させて揺動杆33を前方に回転させるように付勢するものである。
そして、この付勢用弾性体39により、走行玩具10を水平な走行面に置いたとき、走行面が非磁性体であれば前方磁石35を前輪21の駆動軸23から斜め前方とするように揺動杆33を鉛直方向から60度乃至80度程度傾斜させ、走行面が磁性体であれば磁石35の吸引力によって前方磁石35を走行面に接近させるように駆動軸23の真下に位置させることができるようにしているものである。
又、走行玩具10が前進走行だけでなく、後進も可能とされている場合は、後方磁石55も、付勢用弾性体を揺動支持軸51に取付けることにより、揺動杆53を後輪41の駆動軸23から斜め後方に傾斜させて後方磁石55を後方に移動させた位置に付勢することがある。
そして、前方磁石35の端面に生じる磁極の極性と後方磁石55の端面に生じる磁極の極性とは同一極性とすることにより、前方磁石35が後方に回動し、後方磁石55が前方に回動して前方磁石35と後方磁石55とがボディー13の中央下方で近接しても、前方磁石35と後方磁石55とが互いに吸引して両磁石35,55が走行面から離れてしまうことを防止するようにしている。
尚、前方磁石35の極性と後方磁石55の極性とを同一とする場合、揺動杆33,53の軸方向と磁極軸の方向とを一致させて揺動杆33,53の先端方向を単極のN極又はS極として前方磁石35の極性と後方磁石55の極性とを同一とする場合に限ることなく、磁極軸の方向を揺動杆33,53の軸方向と直行させることもある。
この場合は、例えば、前方磁石35の左側をN極又はS極とし、右側をS極又はN極として後方磁石55も同様に左側をN極又はS極とし右側をS極又はN極とするようにして同一方向を同一極性とすることにより、前方磁石35の極性と後方磁石55の極性とを同一とするものである。
このように、左右の前輪21の間、及び、左右の後輪41の間に磁石35,55を揺動可能に取付けた走行玩具10は、図4にAとして示すように、水平な磁性体の走行面である走行床面61を移動するように走行するとき、前方磁石35及び後方磁石55の両磁石を各々駆動軸23の真下である鉛直方向に位置させて走行床面61を磁力により吸引し、前輪21及び後輪41を強く走行床面61に圧接させて走行する。
そして、磁性体による垂直な走行面である走行壁面63に前輪21を接触させ、後輪41の駆動力などにより図4にBとして示すように前輪21が垂直な走行面である走行壁面63に沿って持ち上がるとき、前方磁石35は走行壁面63に最も接近する位置に移動するように揺動して前輪21を走行壁面63に強く圧接させ、且つ、車体の前方が持ち上がって車体が傾いても、後方磁石55も水平の走行床面61に最も近接した位置を保つように揺動して走行床面61を吸引し、後輪41を走行床面61に強く圧接させ続けて走行玩具10を走らせ、水平な走行床面61から垂直な走行壁面63への移動を確実に行わせることができる。
更に、垂直な走行壁面63から水平な走行面に移行するに際しては、図4にDとして示すように、前輪21が稜線の角に乗り上げると前方磁石35は後方に揺動して稜線との距離を一定に保って前輪21を稜線に強く圧接させ、前輪21が稜線角を越えて車体の傾斜が変化しても前方磁石35を走行面に最も近接させた状態とすると共に、後方磁石55を前方に揺動させて走行面に最も近接させた状態を維持し(図4のF参照)、前輪21や後輪41を強く走行面に圧接させることにより、落下することなく稜線を乗り越えるものである。
尚、水平な走行面となる走行床面61が非磁性体の場合は、付勢用弾性体39を有しない走行玩具10では、前方磁石35及び後方磁石55を各々自重により駆動軸23,43の鉛直下方に位置させて走行し、付勢用弾性体39を備える走行玩具10では、前方磁石35を付勢用弾性体39により駆動軸23から斜め前方下方に位置させ、又、後方磁石55を付勢用弾性体により駆動軸から斜め後方下方の方向に位置させて走行し、前進によって垂直などの急傾斜の壁面に衝突したとき、壁面が磁性体であれば前方磁石35を壁面に近づけて磁力吸引により前輪21を壁面に圧接するものであり、付勢用弾性体39を有していれば、より早く前方磁石35を壁面に接近させて吸引力を働かせることができる。
又、前方磁石35を左右の前輪21の中央に位置させているため、左の前輪21と右の前輪21とを均等に走行面に圧接させることができ、後方磁石55を左右の後輪41の中央に位置させているため、左の後輪41と右の後輪41とを均等に走行面に圧接させることができる。
そして、走行玩具10のボディーカバー11は、その先端が前輪21の前方に突出しないように、又、ボディーカバー11の後端も後輪41の後方に突出しないように車体形状をデザインしておけば、水平面から垂直面を登るように走行面を変化させる際、前輪21などを垂直面に確実に押し当てて車体を持ち上げることができる。
更に、図2及び図3に示した実施例は、揺動支持軸31,51に駆動軸23,43を貫通させて前方磁石35や後方磁石55の揺動中心を前輪21や後輪41の回転中心と一致させることにより、前方磁石35や後方磁石55が揺動しても前輪21や後輪41が接触している走行面と磁石35,55との距離が変化しないようにしているも、前方磁石35や後方磁石55の揺動中心を前輪21や後輪41の駆動軸23よりも下方とするように揺動中心を車体底部15から離し、揺動により磁石と走行面との距離に多少の変化が生じるとしても、前方磁石35や後方磁石55の揺動範囲を容易に確保できるようにすることもある。
又、前述の実施例は、モーター17により前輪21や後輪41を回転させるものであるも、ゼンマイやはずみ車を用いて前輪21及び後輪41を回転させて走行する走行玩具10とすることもある。
本発明は、磁性体の走行面に稜線が設けられて走行面の傾斜角が急に変化する場合でも、稜線を越えて走行することが可能な走行玩具であり、奇抜な走行を可能とする面白味のある走行玩具を提供することができる。
本発明に係る走行玩具の一例を示す図。 本発明に係る走行玩具の底部を示す図。 本発明に係る走行玩具の要部を示す図。 本発明に係る走行玩具の走行状態を示す図。 従来の走行玩具の一例を示す図。
符号の説明
10 走行玩具
11 ボディーカバー 13 ボディー
14 車軸支持部 15 車体底部
17 モーター 19 磁石
21 前輪 23 駆動軸
25 前輪駆動歯車 31 揺動支持軸
33 揺動杆 35 前方磁石
39 付勢用弾性体
41 後輪 43 駆動軸
45 後輪駆動歯車 51 揺動支持軸
53 揺動杆 55 後方磁石
61 走行床面 63 走行壁面

Claims (5)

  1. 1対とされる前輪の間に、車体の前後方向へ揺動可能に支持された磁石を有すると共に1対とされる後輪の間にも車体の前後方向へ揺動可能に支持された磁石を有し、更に、前後の4輪全てが駆動輪とされていることを特徴とする走行玩具。
  2. 前輪の間に設けられる磁石、及び、後輪の間に設けられる磁石は、各々揺動杆の先端に固定され、各揺動杆により各々の磁石が車体下方から前方及び後方へ揺動可能とされていることを特徴とする請求項1に記載した走行玩具。
  3. 前輪の間に設けられた磁石の揺動中心軸が前輪の回転中心軸と同軸とされ、後輪の間に設けられた磁石の揺動中心軸が後輪の回転中心軸と同軸とされていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載した走行玩具。
  4. 前輪の間に設けられる磁石と後輪の間に設けられる磁石とは、揺動杆先端の磁極極性が同一とされていることを特徴とする請求項2又は請求項3に記載した走行玩具。
  5. 前輪の間に設けられた揺動杆は、磁石を前輪駆動軸の斜め下方前方に位置させるように付勢されていることを特徴とする請求項2乃至請求項4のいずれかに記載した走行玩具。
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