JP4275227B2 - ヒドロシリル化反応用触媒および有機電子写真感光体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、架橋樹脂の製造に適したヒドロシリル化反応用触媒とその反応方法、該触媒を含有する架橋性の液状組成物ならびに有機電子写真感光体に関する。さらに詳しくは、高い触媒活性と優れた保存安定性を有するヒドロシリル化反応用触媒と、この触媒を含む液状組成物、その使用方法ならびにこの触媒を用いて形成した有機電子写真感光体に関する。
【0002】
【従来の技術】
塗料や接着剤、ハードコート剤、オーバーコート剤、コーティング剤、パッキング剤、シーリング剤、有機電子写真感光体の感光層の塗工液などの分野においては、有機溶媒に可溶な樹脂などの材料を溶液状態に調製し、その溶液を、その使用形態に合わせて成形し、あるいは塗布するのが一般的である。
【0003】
そして、これら材料の機械的強度を向上させる必要のある場合、最終的にこの材料を架橋させる方法がよく採用されている。このような架橋反応性の溶液においては、塗工液の状態で架橋反応が進行した場合、溶液がゲル化して塗工作業に支障をきたすようになる。したがって、塗工液は、その調製段階から使用直前までの間、ゲル化することなく保存可能であることが要求される。この塗工液の保存可能期間は、用途によって要求される期間が異なり、たとえば、有機電子写真感光体の感光層などの形成に用いる塗工液においては、塗工液のディッピングにより有機電子写真感光体を製造する際、消費された塗工液を順次補う方式が採用されることが多く、この場合、初期充填分を全て消費して補充分と置きかわるまでの期間として3ケ月以上の長期安定性が必要とされている。
【0004】
このような要請に応えるためには、この塗工液の架橋化反応の制御をする必要があり、室温程度の条件では架橋反応が進行するようなことがなく、熱や光などの外部刺激を受けた場合にのみ、架橋反応が進行する潜在性を有することが要求される。また、この架橋反応の収率は、最終段階の機械的物性の良否に大きな影響を与えるため、できるだけ反応収率の高い架橋反応であることが望ましく、このようなタイプの架橋反応として、ヒドロシリル化反応による架橋化が検討されてきた。
【0005】
たとえば、特開平7−41678号公報においては、触媒を熱可塑性樹脂に添加し、粒子化する方法を提案している。しかしながら、この場合、樹脂に触媒を別途練り込む工程が必要となり、樹脂の種類によっては触媒含有樹脂と架橋性樹脂との相溶性不良を招くことがあるほか、これを加熱して架橋させる際の所要時間が長く生産性の低下を招くこともある。
【0006】
このほか、触媒に配位して反応を遅らせる物質(遅効剤)を添加する方法として、特開昭60−177029号公報においては、プロパギルアルコール類や、アルキン類、エン・イン化合物、ジビニルジシロキサン類、ベンゾトリアゾールが提案されており、特開平5−287206号公報においては、アルキニル基含有アクリル重合体が提案され、特開平5−51534号公報においては、脂肪族不飽和結合を有する化合物、有機リン化合物、有機硫黄化合物、窒素含有化合物、スズ化合物、有機過酸化物が提案されている。また、特表平9−507677号公報においては、マレイミド誘導体およびその加水分解物、ヒドロキノン誘導体、アセチレン性アルコール類が提案され、特開平9−10686号公報においては、エチニルアルコール類、プロパギルアルコール類、プロパギルアルコール誘導体シリルエーテル類、プロパギルアルコール誘導体エチレンオキサイド付加物が提案されており、特開平8−99332号公報においては、ホスフィン類、アルキルアミン類、ジアミン類、ベンゾトリアゾール類、硫黄含有化合物、アセチレン系化合物、エン・イン化合物、ハイドロパーオキシ化合物、マレイン酸誘導体が提案されている。さらに、特開平9−67440号公報においては、ジビニルジシロキサン類、ジアリルジシロキサン類などが提案されている。
【0007】
ところで、これら多くの遅効剤は、塗工液の調製段階からゲル化するまでの時間を、これら遅効剤を添加しない場合に数分間であったものを、遅効剤の添加によって、数日間程度にまで延長することが可能になるという効果が得られているが、いずれの場合においても、実際の使用環境において充分な保存安定性は得られていない。また、市販の熱潜在性ヒドロシリル化触媒(例えば、白金−カルボニル錯体、白金−シクロビニルメチルシロキサンなど)は、5℃の低い温度での保存であっても、溶液のゲル化時間は2〜3日であり、塗工作業の実情からは充分な保存安定性があるとはいえないという問題があった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記の事情に基づいてなされてものであり、常温における架橋反応による塗工液のゲル化が発生することなく、使用時に加熱するだけで速やかに架橋反応が進行するヒドロシリル化触媒、およびこの触媒を含有する有機電子写真感光体用樹脂塗工液を提供することを目的とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、前記課題を解決するために、鋭意研究を重ねた結果、不飽和化合物のヒドロシリル化能を有する遷移金属、特に白金に対して適度な配位能を持つアミド化合物と、既存のヒドロシリル化触媒、特に白金触媒とからなる触媒組成物が、常温(30℃以下)におけるヒドロシリル化の制御能力に優れ、かつ使用に際して加熱するだけの簡単な操作によって、ヒドロシリル化触媒としての能力を発現することを見出し、この知見に基づいて本発明をするに至った。
【0010】
すなわち、本発明の要旨は、下記のとおりである。
(1)ヒドロシリル化能を有する遷移金属触媒と、下記一般式〔1〕、
【0011】
【化2】
【0012】
〔式〔1〕中、R1 〜R4 は、各々独立に水素原子、炭素数1〜6の置換もしくは無置換のアルキル基または炭素数6〜12の置換もしくは無置換のアリール基であり、R1 〜R3 が互いに結合して環を形成していてもよい。また、nは、0または1である。〕で表されるアミド化合物を含有してなるヒドロシリル化反応用触媒。
(2)遷移金属触媒が、白金系触媒である前記(1)記載のヒドロシリル化反応用触媒。
(3)遷移金属触媒が、白金−シクロビニルメチルシロキサン錯体、白金−カルボニル錯体、白金−テトラメチルジビニルジシロキサン錯体および塩化白金酸の群から選択される少なくとも1種である前記(1)または(2)記載のヒドロシリル化反応用触媒。
(4)前記一般式〔1〕で表されるアミド化合物が、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジブチルホルムアミド、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、ε−カプロラクタム、アセトアニリドおよびN,N−ジメチルベンズアミドの群から選択される少なくとも1種である前記(1)〜(3)のいずれかに記載のヒドロシリル化反応用触媒。
(5)(a)前記(1)〜(4)のいずれかに記載のヒドロシリル化反応用触媒と、(b)炭素−炭素不飽和結合を少なくとも2個有する化合物、(c)珪素−水素結合を少なくとも2個有する化合物、または珪素−水素結合と加水分解により珪素−水酸基結合を生ずる基を持つ化合物、および(d)これら成分を溶解可能な有機溶媒を含有する液状組成物。
(6)前記(5)に記載の液状組成物を、30℃以下の温度において保存する液状組成物の保存方法。
(7)前記(5)に記載の液状組成物を、遷移金属触媒より前記一般式〔1〕で表されるアミド化合物が解離する温度および圧力条件とするヒドロシリル化反応方法。
(8)前記(5)に記載の液状組成物および電荷輸送物質を含有する、樹脂塗工液。
(9)有機電子写真感光体の感光層および/または電荷輸送層を前記(8)記載の樹脂塗工液を用いて形成してなる有機電子写真感光体。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明におけるヒドロシリル化反応用触媒は、ヒドロシリル化能を有する遷移金属触媒成分と、前記一般式〔1〕で表されるアミド化合物成分からなる触媒組成物である。
このヒドロシリル化反応を触媒可能な遷移金属触媒成分としては、公知の遷移金属触媒を使用することができ、この遷移金属触媒の中ても、周期律表の第VIII族〜第X族の遷移金属触媒が好ましく、具体的には、鉄触媒〔Fe(CO)5 〕、ルテニウム触媒〔RuCl3 〕、コバルト触媒〔Co2 (CO)8 〕、ロジウム触媒〔(Ph3 P)3 RhCl、(Rh(C2 H4 )2 Cl)2 〕、イリジウム触媒〔IrCl3 〕、ニッケル触媒〔(Ph3 P)2 Ni、(Ph3 P)2 NiCl2 〕、パラジウム触媒〔(Ph3 P)4 Pd、(Ph3 P)2 PdCl2 〕、白金触媒〔H2 PtCl6 ・6H2 O、(Ph3 P)4 Pt、(Pt(C2 H4 )Cl2 )2 、(Ph3 P)2 PtCl2 、Pt(C2 H4 )(Ph3 P)Cl2 、(PhCN)2 PtCl2 、K2 PtCl4 、Pt−Al2 O3 、Pt−C、白金−1,1,3,3−テトラメチル−1,3−ジビニルジシロキサン錯体、白金−シクロビニルメチルシロキサン錯体、白金−カルボニル錯体、Speier触媒(H2 PtCl6 ・6H2 O−イソプロパノール溶液)〕などが挙げられる。
【0014】
そして、前記一般式〔1〕で表されるアミド化合物としては、この式〔1〕におけるR1 〜R4 が表わす炭素数1〜6の置換もしくは無置換のアルキル基が、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基などであるものが好ましい。また、このR1 〜R3 が表わす炭素数6〜12の置換もしくは無置換のアリール基としては、フェニル基、トリル基、スチリル基、ビフェニル基、ナフチル基などであるものが好ましい。これらアミド化合物の具体例としては、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、N,N−ジブチルアセトアミド、N,N−ジメチルベンズアミド、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリシノン、ε−カプロラクタム、アセトアニリドなどが挙げられる。
【0015】
つぎに、これらヒドロシリル化反応を触媒可能な遷移金属触媒成分と、前記一般式〔1〕で表されるアミド化合物成分との組成比については、アミド化合物成分の配合割合が遷移金属触媒成分1モルに対して、1モル以上であればよいが、好ましくは10〜10000モル、さらに好ましくは50〜5000モルである。このアミド化合物成分の配合割合が1モル未満の触媒組成物では、ヒドロシリル化反応の制御効果が充分に得られないことがあり、またこの触媒組成物を加えてある不飽和化合物、たとえば電子写真感光体の感光層や電荷輸送層の形成用樹脂塗工液が、常温での保存中においても架橋して硬化することがある。
【0016】
そして、この触媒組成物の添加量については、これを添加する架橋性化合物の不飽和結合たとえばビニル基に対して、白金原子として1wtPPM〜1wt%、好ましくは100〜1000wtPPMの範囲において、架橋性化合物の反応性を考慮して適宜選択すればよい。この触媒組成物の添加量が、白金原子として1wtPPM未満である場合には、反応速度が遅く、ヒドロシリル化が充分に進行しないこともある。また、触媒組成物の添加量が白金原子として1wt%を超えると、ヒドロシリル化により得られる製品が着色するおそれが大きくなる。
【0017】
つぎに、この触媒組成物を適用することのできる反応としては、ヒドロシリル化を伴う反応の全てを対象とすることができるが、特に反応の進行により巨大分子が生成するような用途において好適に利用することができる。
このような反応系としては、(1)2つ以上の炭素−炭素不飽和結合を有する高分子化合物(オリゴマーを含む)と、2つ以上の珪素−水素結合を有する高分子化合物(オリゴマーを含む)との反応、(2)2つ以上の炭素−炭素不飽和結合を有する高分子化合物(オリゴマーを含む)と、2つ以上の珪素−水素結合を有する単量体との反応、(3)2つ以上の珪素−水素結合を有する高分子化合物(オリゴマーを含む)と、2つ以上の炭素−炭素不飽和結合を有する単量体との反応、(4)2つ以上の炭素−炭素不飽和結合を有する単量体と、2つ以上の珪素−水素結合を有する単量体との反応、(5)2つ以上の炭素−炭素不飽和結合を有する高分子化合物(オリゴマーを含む)と、珪素−水素結合および加水分解して珪素−水酸基結合を生ずる基を有する化合物との反応などが挙げられる。
【0018】
これらの反応に用いる、上記の2つ以上の炭素−炭素不飽和結合を有する高分子化合物(オリゴマーを含む)としては、例えば、下記一般式〔2〕、
【0019】
【化3】
【0020】
〔式〔2〕中、R5 は、各々独立にハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数6〜12のアリール基またはシアノ基であり、a1は0〜3の整数、a2は1〜4であり〔ただし、(a1+a2)は4以下の整数である〕、bは0〜6の整数であり、Xは、単結合、−O−、−CO−、−S−、−SO−、−SO2 −、−CR6 R7 −(ただし、R6 R7 は、各々独立に水素原子、炭素数1〜12のアルキル基、トリフルオロメチル基または炭素数6〜12のアリール基)、炭素数5〜12のシクロアルキリデン基、炭素数2〜12のα,ω−アルキレン基、9,9−フルオレニレン基、1,8−メンタンジイル基、2,8−メンタンジイル基、ピラジリデン基、炭素数6〜12のアリーレン基であり、Yは下記式〔3a〕〜〔3d〕、
【0021】
【化4】
【0022】
〔上記式〔3b〕〜〔3d〕中のAは、下記一般式〔4a〕、〔4b〕、
【0023】
【化5】
【0024】
(式〔4a〕中のcは1〜10の整数であり、〔4b〕中のR5 は、前記一般式〔2〕におけるR5 と同じ意味を有し、dは0〜4の整数である)で表される基を示し、cは1〜10の整数を示す。〕で表される繰返し単位(A)を単独で有するか、またはこの単位(A)と下記一般式〔5〕、
【0025】
【化6】
【0026】
〔上記式〔5〕中のR5 、X、Yは、前記一般式〔2〕におけるR5 、X、Yと同一の意味を有し、aは0〜4の整数である〕で表される繰返し単位(B)、または下記一般式〔6〕、
【0027】
【化7】
【0028】
〔上記式〔6〕中のR5 、Yは、前記一般式〔2〕におけるR5 、Yと同一の意味を有し、aは0〜4の整数である〕で表される繰返し単位(B’)を有し、かつ、分子鎖の末端構造が、下記一般式〔7a〕、〔7b〕、
【0029】
【化8】
【0030】
〔上記式〔7a〕、〔7b〕中のR5 、Y、bは、前記一般式〔2〕におけるR5 、Y、bと同一の意味を有し、a3は0〜4の整数、a4は1〜5の整数であり〔ただし、(a3+a4)は5以下の整数である〕、eは0〜5の整数を示す。〕で表される末端構造を有する高分子化合物である。
このような繰返し単位を有する高分子化合物としては、例えばポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポエーテル樹脂、ポリホルマール樹脂などが挙げられる。また、これらポリカーボネート樹脂などの縮合系樹脂のほか、ビニル基含有ポリシロキサン樹脂や不飽和ポリエステル樹脂、スチレン−ブタジエン共重合樹脂、スチレン−ブタジエン−スチレン共重合樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリイソプレン樹脂、ポリアクリル酸アリル樹脂、ポリアクリル酸ビニル樹脂、ポリメタクリル酸アリル樹脂、ポリメタクリル酸ビニル樹脂、末端アリル変性ポリエチレングリコール樹脂などを用いることができる。
【0031】
つぎに、この2つ以上の炭素−炭素不飽和結合を有する高分子化合物の一例として、ポリカーボネート樹脂について具体的に説明する。このような化学構造を有するポリカーボネート樹脂を製造するには、触媒や酸結合剤の存在下、炭素−炭素不飽和結合を持つ二価フェノールと炭素−炭素不飽和結合を持たない二価フェノールとを、必要に応じて末端停止剤や分岐剤などを用い、ホスゲンなどの炭酸エステル形成性化合物と反応させればよい。また、この炭酸エステル形成性化合物としてビスアリールカーボネートを用いてエステル交換反応を行う方法によって製造することもできる。
【0032】
この炭素−炭素不飽和結合を持つ二価フェノールとしては、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジビニルビフェニル、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジアリルビフェニル、3,3’,5,5’−テトラアリル−4,4’−ジヒドロキシビフェニル、ビス(3−ビニル−4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(3−アリル−4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(3−アリル−4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン、1,1−ビス(3−ビニル−4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(3−アリル−4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(3−アリル−4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、2,2−ビス(3−ビニル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−アリル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−ビニル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−アリル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−アリル−4−ヒドロキシ−5−フェニルフェニル)プロパン、2,2−ビス〔3−(3−ブテニル)−4−ヒドロキシフェニル〕プロパン、2,2−ビス〔3−(4−ペンテニル)−4−ヒドロキシフェニル〕プロパン、2,2−ビス〔3−(5−ヘキセニル)−4−ヒドロキシフェニル〕プロパン、2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−(3−アリル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジアリル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−ビニル−4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(3−アリル−4−ヒドロキシフェニル)ブタン、3,3−ビス(3−ビニル−4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、3,3−ビス(3−アリル−4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、1,1−ビス(3−ビニル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(3−アリル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、ビス(3−ビニル−4−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(3−アリル−4−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(3−ビニル−4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(3−アリル−4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(3−ビニル−4−ヒドロキシフェニル)スルホキシド、ビス(3−アリル−4−ヒドロキシフェニル)スルホキシド、ビス(3−ビニル−4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(3−アリル−4−ヒドロキシフェニル)スルホン、3,3’−ジビニル−4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン、3,3’−ジアリル−4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン、4,4’−ジヒドロキシベンザルアセトフェノン、9,9−ビス(3−ビニル−4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(3−アリル−4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(3−アリル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)フルオレン、1,3−ビス〔2−(3−アリル−4−ヒドロキシフェニル)プロピル〕ベンゼン、1,4−ビス〔2−(3−アリル−4−ヒドロキシフェニル)プロピル〕ベンゼン、1,3−ジヒドロキシ−4−アリルベンゼン、4,4’−ジヒドロキシ−3−アリルビフェニル、2,7−ジヒドロキシ−3,6−ジアリルナフタレン、4,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,6−ヘプタジエン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3−ブテン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2−プロペン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2−ビニルシクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2−アリルシクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2−(1−シクロヘキセニル)シクロヘキサンなどが挙げられる。
【0033】
また、前記の炭素−炭素不飽和結合を持たない二価フェノールとしては、例えば、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、3,3’−ジフルオロ−4,4’−ジヒドロキシビフェニル、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルビフェニル、4,4’−ジヒドロキシ−2,2’−ジメチルビフェニル、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジシクロヘキシルビフェニルなどの4,4’−ジヒドロキシビフェニル類;ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(3−ノニル−4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(3−クロロ−4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(2−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、ビス(2−ヒドロキシフェニル)メタン、2−ヒドロキシフェニル−4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(2−ヒドロキシ−4メチルフェニル)メタン、ビス(2−ヒドロキシ−4−メチル−6−tert−ブチルフェニル)メタン、ビス(2−ヒドロキシ−4,6−ジメチルフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)−1−フェニルエタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−フェニルフェニル)−1−フェニルエタン、2−(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)−2−(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、1,1−ビス(2−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)エタン、1−フェニル−1,1−ビス(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(2−ヒドロキシ−4−メチルフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(2−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−イソプロピル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−sec−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−クロロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−ブロモ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、1,1−ビス(2−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジクロロフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジフルオロフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジブロモフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−ブロモ−4−ヒドロキシ−5−クロロフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(2−ヒドロキシ−4−sec−ブチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(2−ヒドロキシ−4,6−ジメチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)ブタン1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2−メチルプロパン、1,1−ビス(2−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)−2−メチルプロパン、1,1−ビス(2−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ブタン、1,1−ビス(2−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ブタン、1,1−ビス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ペンチルフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジクロロフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジブロモフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3−メチルブタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3−メチルブタン、3,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘプタン、2,2−ビス(2−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ヘプタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)オクタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ノナン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)デカン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサンなどのビス(ヒドロキシフェニル)アルカン類;ビス(4−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)エーテルなどのビス(4−ヒドロキシフェニル)エーテル類;ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)スルフィドなどのビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド類;ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホキシド、ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)スルホキシドなどのビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホキシド類;ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)スルホンなどのビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン類;4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノンなどのビス(4−ヒドロキシフェニル)ケトン類;9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)フルオレンなどのビス(ヒドロキシフェニル)フルオレン類;4,4”−ジヒドロキシ−p−ターフェニルなどのジヒドロキシ−p−ターフェニル類;4,4’’’−ジヒドロキシ−p−クォーターフェニルなどのジヒドロキシ−p−クォーターフェニル類;2,5−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ピラジン、2,5−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,6−ジメチルピラジン、2,5−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2,6−ジエチルピラジンなどのビス(ヒドロキシフェニル)ピラジン類;1,8−ビス(4−ヒドロキシフェニル)メンタン、2,8−ビス(4−ヒドロキシフェニル)メンタン、1,8−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)メンタン、1,8−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)メンタンなどのビス(ヒドロキシフェニル)メンタン類;1,4−ビス〔2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−プロピル〕ベンゼン、1,3−ビス〔2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−プロピル〕ベンゼンなどのビス〔2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−プロピル〕ベンゼン類;1,3−ジヒドロキシナフタレン、1,4−ジヒドロキシナフタレン、1,5−ジヒドロキシナフタレン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、2,7−ジヒドロキシナフタレンなどのジヒドロキシナフタレン類;レゾルシン、ヒドロキノン、カテコールなどのジヒドロキシベンゼン類;α,ω−ジヒドロキシポリジメチルシロキサン、α,ω−ビス〔3−(2−ヒドロキシフェニル)プロピル〕ポリジメチルシロキサンなどのポリシロキサン類;1,1,8,8−テトラヒドロ−1,8−ジヒドロキシパーフルオロオクタン、1,1,6,6−テトラヒドロ−1,6−ジヒドロキシパーフルオロヘキサンなどのジヒドロパーフルオロアルカン類などが挙げられる。
【0034】
また、これら二価フェノールを原料としてポリカーホネートを製造する際に用いる触媒としては、一般に用いられているトリメチルアミンや、トリエチルアミン、トリブチルアミン、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン、ピリジン、ジメチルアニリンなどの三級アミン、トリメチルベンジルアンモニウムクロライド、トリエチルベンジルアンモニウムクロライド、トリブチルベンジルアンモニウムクロライド、トリオクチルメチルアンモニウムクロライド、テトラブチルアンモニウムクロライド、テトラブチルアンモニウムブロマイドなどの四級アンモニウム塩、テトラブチルホスホニウムクロライド、テトラブチルホスホニウムブロマイドなどの第四級ホスホニウム塩などを使用すればよい。
【0035】
そして、酸結合剤としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化セシウムなどのアルカリ金属水酸化物や、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムなどのアルカリ金属炭酸塩、ピリジンなどの有機塩基、あるいはこれらの混合物を用いることができる。
さらに、溶媒としては、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素や、塩化メチレン、クロロホルム、1.1−ジクロロエタン、1,2−ジクロロエタン、1,1,1−トリクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、1,1,1,2−テトラクロロエタン、1,1,2,2−テトラクロロエタン、ペンタクロロエタン、クロロベンゼンなどのハロゲン化炭化水素、アセトフェノンなどが好適なものとして挙げられる。これら溶媒は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。さらに、互いに混ざり合わない2種の溶媒を用いて界面重縮合反応を行ってもよい。
【0036】
前記末端停止剤としては、一価のカルボン酸とその誘導体や、一価のフェノールを用いることができる。例えば、p−tert−ブチル−フェノール、p−フェニルフェノール、p−クミルフェノール、p−パーフルオロノニルフェノール、p−(パーフルオロノニルフェニル)フェノール、p−(パーフルオロキシルフェニル)フェノール、p−tert−パーフルオロブチルフェノール、1−(P−ヒドロキシベンジル)パーフルオロデカン、p−〔2−(1H,1H−パーフルオロトリドデシルオキシ)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロピル〕フェノール、3,5−ビス(パーフルオロヘキシルオキシカルボニル)フェノール、p−ヒドロキシ安息香酸パーフルオロドデシル、p−(1H,1H−パーフルオロオクチルオキシ)フェノール、2H,2H,9H−パーフルオロノナン酸、1,1,1,3,3,3−テトラフロロ−2−プロパノールなどが好適であり、これらの添加割合は、共重合組成比として、0.05〜30モル%、さらに好ましくは0.1〜10モル%としてあるものが好ましい。
【0037】
また、前記分岐剤としては、フロログリシン、ピロガロール、4,6−ジメチル−2,4,6−トリス(4−ヒドロキシフェニル)−2−ヘプテン、2,6−ジメチル−2,4,6−トリス(4−ヒドロキシフェニル)−3−ヘプテン、2,4−ジメチル−2,4,6−トリス(4−ヒドロキシフェニル)ヘプタン、1,3,5−トリス(2−ヒドロキシフェニル)ベンゼン、1,3,5−トリス(4−ヒドロキシフェニル)ベンゼン、1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、トリス(4−ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、2,2−ビス〔4,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキシル〕プロパン、2,4−ビス〔2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2−プロピル〕フェノール、2,6−ビス(2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェノール、2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−(2,4−ジヒドロキシフェニル)プロパン、テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、テトラキス〔4−(4−ヒドロキシフェニルイソプロピル)フェノキシ〕メタン、2,4−ジヒドロキシ安息香酸、トリメシン酸、シアヌル酸、3,3−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−2−オキソ−2,3−ジヒドロインドール、3,3−ビス(4−ヒドロキシアリール)オキシインドール、5−クロロイサチン、5,7−ジクロロイサチン、5−ブロモイサチンなどが好適であり、その添加量は、共重合組成比で30モル%以下、好ましくは5モル%以下であるものが好ましい。
【0038】
そして、このようにして得られたポリカーボネート樹脂は、塩化メチレンを溶媒とする0.5g/デシリットルの濃度、20℃の温度で測定した還元粘度〔ηSP/c〕が0.01〜10デシリットル/gであるものが好ましい。この還元粘度〔ηSP/c〕が、0.01デシリットル/g未満であると、架橋樹脂の機械的強度が充分でないことがある。また、10デシリットル/gを超えるものでは、溶液とした際の粘度が上昇して、後述の有機電子写真感光体のバインダー樹脂として用いる際には、塗工液の塗布による有機電子写真感光体の製造が困難になることがある。
【0039】
つぎに、前記2つ以上の珪素−水素結合を有する高分子化合物としては、重合体の主鎖および/または末端に、珪素−水素結合を有するポリオルガノシロキサンを好適に用いることができる。
また、前記珪素−水素結合を有する単量体としては、2つ以上の珪素−水素結合を持つ化合物と、珪素−水素結合と加水分解により珪素−水酸基を生ずる基を持つ化合物が好適に用いられる。
【0040】
このうち、2つ以上の珪素−水素結合を持つ化合物としては、例えば、下記一般式〔8〕、
【0041】
【化9】
【0042】
〔上記式〔8〕中のR8 は、各々独立に水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基、ビニル基またはアリル基であり、fは1〜4の整数である〕で表される化合物、または下記一般式〔9〕、
【0043】
【化10】
【0044】
〔上記式〔9〕中のR8 は、各々独立に水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基、ビニル基またはアリル基であり、qは1〜100の整数である〕で表される化合物を用いることができる。
これら一般式〔8〕または〔9〕で表される化合物としては、例えば下記、
【0045】
【化11】
【0046】
で示される化合物などが好適に用いられる。
また、前記珪素−水素結合と加水分解により珪素−水酸基を生ずる基を持つ化合物としては、下記一般式〔10〕、
【0047】
【化12】
【0048】
〔上記式〔10〕中のR9 は、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素1〜6のアルコキシ基、炭素数6〜12のアリール基またはシアノ基であり、Zはハロゲン原子、炭素数1〜6のアルコキシ基またはトリアルキルシロキシ基であり、hは0〜2の整数であり、iは1〜3の整数〔ただし、(h+i)は3以下の整数である〕で表される化合物を用いることができる。
【0049】
この一般式〔10〕で表される化合物としては、例えば、トリメトキシシラン、トリエトキシシラン、メチルジエトキシシラン、メチルジメトキシシラン、ジメチルメトキシシラン、ジメチルエトキシシラン、トリプロポキシシラン、トリブトキシシラン、トリス(トリメチルシロキシ)シラン、メチルビス(トリメチルシロキシ)シラン、トリクロロシラン、メチルジクロロシラン、ジメチルクロロシラン、トリブロモシランなどが好適に用いられる。
【0050】
さらに、前記2つ以上の炭素−炭素不飽和結合を有する単量体としては、ジビニルベンゼン、ジアリルフタレート、ジアリルカーボネートのほか、下記一般式〔11〕、
【0051】
【化13】
【0052】
〔上記式〔11〕中のR10は、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数6〜12のアリール基またはシアノ基であり、Xは前記一般式〔2〕におけるXと同一であり、jは0〜4の整数である〕で表される化合物、または下記一般式〔12〕、
【0053】
【化14】
【0054】
〔上記式〔12〕中のR11は、炭素数1〜6のアルキル基または炭素数6〜12のアリール基であり、kは1〜6の整数である〕で表される化合物を用いることができる。
これら一般式〔11〕または〔12〕で表される化合物としては、例えば、下記、
【0055】
【化15】
【0056】
で示される化合物などが好適に用いられる。
そして、前記珪素−水素結合を持つ化合物成分と炭素−炭素不飽和結合を持つ化合物成分との使用比率については、架橋化された最終製品に要求されるの架橋密度や機械的強度に適合するように設定することが望ましく、通常は、(珪素−水素結合のモル数)/(炭素−炭素不飽和結合のモル数)の値を0.05〜50、好ましくは0.1〜10、さらに好ましくは0.5〜2とするのがよい。これら化合物の使用比率が0.05未満あるいは50以上である場合には、一方の成分が大過剰になり、架橋反応が円滑に進行しなくなることがある。
【0057】
つぎに、前記触媒を含む架橋性の液体組成物を調製するにあたっては、炭素−炭素不飽和結合を持つ化合物成分と珪素−水素結合を持つ化合物成分および遷移金属触媒が共存する前に、遷移金属触媒成分とアミド化合物成分とを共存させておくことが必要である。したがって、遷移金属触媒成分とアミド化合物成分とを共存させた状態で少なくとも1分間保持した後、これを炭素−炭素不飽和結合を持つ化合物成分と珪素−水素結合を持つ化合物成分との混合物に接触させるとよい。また、これら遷移金属触媒成分とアミド化合物成分を炭素−炭素不飽和結合を持つ化合物成分に加えた状態で少なくとも1分間保持した後、これを珪素−水素結合を持つ化合物成分と接触させる方法、あるいは、遷移金属触媒成分とアミド化合物成分を珪素−水素結合を持つ化合物成分に加えた状態で少なくとも1分間保持した後、これを炭素−炭素不飽和結合を持つ化合物成分と接触させる方法によって、上記液体組成物を調製することができる。
【0058】
つぎに、前記触媒組成物を用いてヒドロシリル化反応を行う際に用いる溶媒あるいは触媒成分を含む前記液体組成物の調製に用いる溶媒としては、例えば、塩化メチレン、クロロホルムなどのハロゲン化炭化水素類;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメトキシエタンなどのエーテル類;メタノール、エタノール、イソプロパノールなどのアルコール類;ヘキサン、トルエン、などの炭化水素類;アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類;酢酸エチルなどのエステル類;アセトニトリルなどのニトリル類;ジメチルホルムアミド、ジエチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジエチルアセトアミドなどのアミド類などが好適である。
【0059】
ここで用いる溶媒は、原料化合物を溶解し得るものであればよいのであるが、トリエチルアミンやテトラメチルエチレンジアミンなどのアミン類は、触媒毒となることがあるので使用することができない。
つぎに、この液体組成物を調製した後、使用するまでの期間保存しておく際の保存方法については、これを30℃以下において保存するのが好ましい。この温度が30℃を超えると遷移金属触媒に配位したアミド化合物が解離して、液体組成物のゲル化を招くおそれがある。この保存期間の温度を30℃以下に維持しておくことにより、例えば、アリル基を持つポリカーボネート樹脂とヘキサメチルトリシロキサンにカールステッド型白金触媒およびジメチルホルムアミドを加えた液体組成物においては、6ケ月の保存期間を経過した後においても、この液体組成物がゲル化したり、粘度の上昇をきたすようなことはなく、これをキャスト製膜したフィルムを120℃に加熱するとヒドロシリル化反応が速やかに進行して、いかなる溶剤にも溶解することのない強靱な架橋ポリカーボネートフィルムを得ることができる。
【0060】
このように、前記液体組成物を用いてヒドロシリル化反応を行う際には、これを基体に塗布あるいは成形、充填などに用いた後、これを加熱するだけの簡単な操作により架橋させることができる。この加熱温度は、遷移金属触媒に配位したアミド化合物が解離する温度であればヒドロシリル化活性が発現するのであるが、通常、100℃以上であれば充分である。
【0061】
つぎに、本発明の有機電子写真感光体は、導電性基体上に感光層を設けた有機電子写真感光体であって、少なくともその感光層が前記樹脂を含有する表面層を有するものである。
本発明の有機電子写真感光体は、このような感光層が導電性基体上に形成されたものである限り、その構造に特に制限はなく、単層型、積層型などの公知の種々の形式の有機電子写真感光体はもとより、どのようなものとしてもよい。通常は、感光層が少なくとも1層の電荷発生層と、表面層を形成する少なくとも1層の電荷輸送層を有する積層型電子写真感光体が好ましく、少なくとも1層の電荷輸送層中に、上記架橋樹脂がバインダー樹脂としておよび/または前記表面層として用いられていることが好ましい。上記架橋樹脂をバインダー樹脂として用いる場合、この樹脂は1種のみでも2種以上を組合せて用いてもよい。
【0062】
本発明の有機電子写真感光体に用いられる導電性基体としては、公知のものなど各種のものを使用することができ、具体的には、アルミニウムやニッケル、クロム、パラジウム、チタン、モリブデン、インジウム、金、白金、銀、銅、亜鉛、真鍮、ステンレス、酸化鉛、酸化錫、酸化インジウム、ITOもしくはグラファイトからなる板やドラム、シート、ならびに蒸着、スパッタリング、塗布などによりコーティングするなどして導電処理したガラス、布、紙もしくはプラスチックのフィルム、シートおよびシームレスベルト、ならびにアルミニウムなどの金属箔を積層したプラスチックのフィルム、シートおよびシームレスベルトならびに金属板のフィルム状シートおよびシームレスベルト、ならびに電極酸化などにより金属酸化処理した金属ドラムなどを使用することができる。
【0063】
積層型電子写真感光体の電荷発生層は、少なくとも電荷発生物質を含むものであり、この電荷発生層はその下地となる基体上に、真空蒸着法や化学蒸着法、スパッタリング法によって、電荷発生物質の層を形成するか、またはその下地となる層上に電荷発生物質をバインダー樹脂を用いて結着してなる層を形成せしめることによって得ることができる。バインダー樹脂を用いる電荷発生層の形成方法としては公知の方法など、各種の方法を使用することができるが、通常、たとえば、電荷発生物質をバインダー樹脂と共に適当な溶媒により分散もしくは溶解した塗工液を、所定の下地となる層上に塗布し、乾燥せしめる方法が好適に用いられる。このようにして得られる電荷発生層の厚さは、0.01〜2.0ミクロン、好ましくは0.1〜0.8ミクロンである。電荷発生層はの厚さを0.01ミクロン未満にすると均一な厚さに層を形成することが困難であり、また、2.0ミクロンを超えると電子写真特性の低下を招くことがあるからである。
【0064】
ここで用いる電荷発生物質としては、公知の各種のものを使用することができる。具体的な化合物としては、非晶性セレンや三方晶セレンなどのセレン単体、テルル単体、セレン−テルル合金、セレン−ヒ素合金などのセレン合金、As2 Se3 などのセレン化合物もしくはセレン含有組成物、酸化亜鉛、、硫化カドミウム、硫化アンチモン、硫化亜鉛、CdS−Seなどの合金、第12族および第16族元素からなる無機材料、酸化チタンなどの酸化物系半導体、アモルファスシリコンなどのシリコン系材料、τ型無金属フタロシアニン、χ型無金属フタロシアニンなどの無金属フタロシアニン顔料、α型銅フタロシアニン、β型銅フタロシアニン、γ型銅フタロシアニン、ε型銅フタロシアニン、X型銅フタロシアニン、A型チタニルフタロシアニン、B型チタニルフタロシアニン、C型チタニルフタロシアニン、D型チタニルフタロシアニン、E型チタニルフタロシアニン、F型チタニルフタロシアニン、G型チタニルフタロシアニン、H型チタニルフタロシアニン、K型チタニルフタロシアニン、L型チタニルフタロシアニン、M型チタニルフタロシアニン、N型チタニルフタロシアニン、Y型チタニルフタロシアニン、オキソチタニルフタロシアニン、X線回折図におけるブラック角2θが27.3±0.2度に強い回折ピークを示すチタニルフタロシアニンなどの金属フタロシアニン顔料、シアニン染料、アントラセン顔料、ビスアゾ顔料、ピレン顔料、多環キノン顔料、キナクリドン顔料、インジゴ顔料、ペリレン顔料、ピリリウム染料、スクェアリウム顔料、アントアントロン顔料、ベンズイミダゾール顔料、アゾ顔料、チオインジゴ顔料、キノリン顔料、レーキ顔料、オキサジン顔料、ジオキサジン顔料、トリフェニルメタン顔料、アズレニウム染料、トリアリールメタン染料、キサンチン染料、チアジン染料、チアピリリウム染料、ポリビニルカルバゾール、ビスベンゾイミダゾール顔料などが挙げられる。これら化合物は、1種単独で、あるいは2種以上のものを混合して、電荷発生物質として用いることができる。
【0065】
また、電荷発生層に用いるバインダー樹脂としては、特に制限はなく、公知の各種のものを使用することができる。具体的には、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルアセタール、アルキッド樹脂、アクリル樹脂、ポリアクリロニトリル、ポリカーボネート、ポリウレタン、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリアミド、ポリケトン、ポリアクリルアミド、ブチラール樹脂、ポリエステル樹脂、塩化ビニリデン−塩化ビニル共重合体、メタクリル樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体、シリコーン樹脂、シリコーン−アルキッド樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、スチレン−アルキッド樹脂、メラミン樹脂、ポリエーテル樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、エポキシアクリレート樹脂、ウレタンアクリレート樹脂、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリスルホン、カゼイン、ゼラチン、ポリビニルアルコール、エチルセルロース、ニトロセルロース、カルボキシ−メチルセルロース、塩化ビニリデン系ポリマーラテックス、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、ビニルトルエン−スチレン共重合体、大豆油変性アルキッド樹脂、ニトロ化ポリスチレン、ポリメチルスチレン、ポリイソプレン、ポリチオカーボネート、ポリアリレート、ポリハロアリレート、ポリアリルエーテル、ポリビニルアクリレート、ポリエステルアクリレートなどが挙げられる。上記電荷発生層におけるバインダー樹脂として、前記樹脂を使用することもできる。
【0066】
つぎに、電荷輸送層は、下地となる層(例えば電荷発生層)上に、電荷輸送物質をバインダー樹脂で結着してなる層を形成することによって得ることができる。この電荷輸送層の形成方法としては、通常、電荷輸送物質を、炭素−炭素不飽和結合を分子中に2つ以上持つ熱可塑性樹脂と、珪素−水素結合を分子中に2つ以上持つか、あるいは珪素−水素結合と加水分解により珪素−水酸基を生ずる基を持つ化合物などの架橋剤、ヒドロシリル化触媒および前記アミド化合物を、適当な溶媒に分散もしくは溶解させた塗工液を、所定の下地となる層上に塗布した後、加熱して架橋させ、さらに乾燥させる方法を採用することができる。この場合、電荷輸送物質と、炭素−炭素不飽和結合を分子中に2つ以上持つ熱可塑性樹脂との配合割合は、重量比において前者:後者=20:80〜80:20、さらに好ましくは30:70〜70:30である。
【0067】
この電荷輸送層においては、上記樹脂を1種単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。また、本発明の目的達成を阻害しない範囲で前記電荷発生層に用いられるバインダー樹脂として挙げたような樹脂を、上記樹脂と併用することもできる。
このようにして形成される電荷輸送層の厚さは、5〜100ミクロン、好ましくは10〜30ミクロンである。この厚さが5ミクロン未満にすると初期電位が低くなり、100ミクロンを超えると電子写真特性が低下することがある。
【0068】
前記電荷輸送物質としては、公知の各種の化合物を使用することができる。このような化合物としては、カルバゾール化合物、インドール化合物、イミダゾール化合物、オキサゾール化合物、ピラゾール化合物、オキサジアゾール化合物、ピラゾリン化合物、チアジアゾール化合物、アニリン化合物、ヒドラゾン化合物、芳香族アミン化合物、脂肪族アミン化合物、スチルベン化合物、フルオレノン化合物、キノン化合物、キノジメタン化合物、チアゾール化合物、トリアゾール化合物、イミダゾロン化合物、イミダゾリジン化合物、ビスイミダゾリジン化合物、オキサゾロン化合物、ベンゾチアゾール化合物、ベンズイミダゾール化合物、キナゾリン化合物、ベンゾフラン化合物、アクリジン化合物、フェナジン化合物、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリビニルピレン、ポリビニルアントラセン、ポリビニルアクリジン、ポリ−9−ビニルフェニルアントラセン、ピレン−ホルムアルデヒド樹脂、エチルカルバゾール樹脂、あるいはこれら構造を主鎖や側鎖に有する重合体などが好適に用いられる。これら化合物は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0069】
本発明の有機電子写真感光体においては、前記導電性基体と感光層との間に、通常使用されるような下引き層を設けることができる。この下引き層としては、酸化チタンや酸化アルミニウム、ジルコニア、チタン酸、ジルコン酸、ランタン鉛、チタンブラック、シリカ、チタン酸鉛、チタン酸バリウム、酸化錫、酸化インジウム、酸化珪素などの微粒子、ポリアミド樹脂、フェノール樹脂、カゼイン、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、セルロース、ニトロセルロース、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール樹脂などの成分を使用することができる。また、この下引き層に用いる樹脂として、前記バインダー樹脂を用いてもよい。これら微粒子や樹脂は単独または種々混合して用いることができる。これらの混合物として用いる場合には、無機質微粒子と樹脂を併用すると、平滑性のよい皮膜が形成されることから好適である。
【0070】
この下引き層の厚みは、0.01〜10ミクロン、好ましくは0.01〜1ミクロンである。この厚みが0.01ミクロン未満であると、下引き層を均一に形成することが困難であり、また10ミクロンを超えると電子写真特性が低下することがある。
また、前記導電性基体と感光層との間には、通常使用されるような公知のブロッキング層を設けることができる。このブロッキング層としては、前記のバインダー樹脂と同種の樹脂を用いることができる。このブロッキング層の厚みは、0.01〜20ミクロン、好ましくは0.1〜10ミクロンである。この厚みが0.01ミクロン未満であると、ブロッキング層を均一に形成することが困難であり、また20ミクロンを超えると電子写真特性が低下することがある。
【0071】
さらに、本発明の有機電子写真感光体には、感光層の上に、保護層を積層してもよい。この保護層には、前記のバインダー樹脂と同種の樹脂を用いることができる。この保護層の厚みは、0.01〜20ミクロン、好ましくは0.1〜10ミクロンである。そして、この保護層には、前記電荷発生物質、電荷輸送物質、添加剤、金属やその酸化物、窒化物、塩、合金、カーボンブラック、有機導電性化合物などの導電性材料を含有していてもよい。
【0072】
さらに、この有機電子写真感光体の性能向上のために、前記電荷発生層および電荷輸送層には、結合剤、可塑剤、硬化触媒、流動性付与剤、ピンホール制御剤、分光感度増感剤(増感染料)を添加してもよい。また、繰返し使用に対しての残留電位の増加、帯電電位の低下、感度の低下を防止する目的で種々の化学物質、酸化防止剤、界面活性剤、カール防止剤、レベリング剤などの添加剤を添加することができる。
【0073】
前記結合剤としては、シリコーン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリケトン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリメタクリレート樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリイソブレン樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ポリクロロプレン樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、エチルセルロース樹脂、ニトロセルロース樹脂、尿素樹脂、フェノール樹脂、フェノキシ樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ホルマール樹脂、酢酸ビニル樹脂、酢酸ビニル/塩化ビニル共重合樹脂、ポリエステルカーボネート樹脂などが挙げられる。また、熱および/または光硬化性樹脂も使用できる。いずれにしても、電気絶縁性で通常の状態で皮膜を形成し得る樹脂であれば、特に制限はない。
【0074】
この結合剤は電荷輸送物質に対して、5〜200重量%の配合割合で添加することが好ましく、10〜100重量%がより好ましい。この結合剤の配合割合が5重量%未満では感光層の皮膜が不均一になりやすく、画質が劣る傾向があり、200重量%を超えると感度が低下し、残留電位が高くなる傾向がある。
前記可塑剤の具体例としては、ビフェニル、塩化ビフェニル、o−ターフェニル、ハロゲン化パラフィン、ジメチルナフタレン、ジメチルフタレート、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレート、ジエチレングリコールフタレート、トリフェニルフォスフェート、ジイソブチルアジペート、ジメチルセバケート、ジブチルセバケート、ラウリル酸ブチル、メチルフタリールエチルグリコレート、ジメチルグリコールフタレート、メチルナフタレン、ベンゾフェノン、ポリプロピレン、ポリスチレン、フルオロ炭化水素などが挙げられる。
【0075】
前記硬化触媒の具体例としては、メタンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、ジノニルナフタレンジスルホン酸などが挙げられ、流動性付与剤としては、モダフロー、アクロナール4Fなどが挙げられ、ピンホール制御剤としては、ベンゾイン、ジメチルフタレートが挙げられる。
これら可塑剤や硬化触媒、流動付与剤、ピンホール制御剤は、前記電荷輸送物質に対して、5重量%以下で用いることが好ましい。
【0076】
また、分光感度増感剤としては、増感染料を用いる場合には,例えばメチルバイオレット、クリスタルバイオレット、ナイトブルー、ビクトリアブルーなどのトリフェニルメタン系染料、エリスロシン、ローダミンB、ローダミン3R、アクリジンオレンジ、フラペオシンなどのアクリジン染料、メチレンブルー、メチレングリーンなどのチアジン染料、カプリブルー、メルドラブルーなどのオキサジン染料、シアニン染料、メロシアニン染料、スチリル染料、ピリリュウム塩染料、チオピリリュウム塩染料などが適している。
【0077】
感光層には、感度の向上、残留電位の減少、反復使用時の疲労低減などの目的で、電子受容性物質を添加することができる。その具体例としては、無水コハク酸、無水マレイン酸、ジブロモ無水マレイン酸、無水フタル酸、テトラクロロ無水フタル酸、テトラブロモ無水フタル酸、3−ニトロ無水フタル酸、4−ニトロ無水フタル酸、無水ピロメリット酸、無水メリット酸、テトラシアノエチレン、テトラシアノキノジメタン、o−ジニトロベンゼン、m−ジニトロベンゼン、1,3,5−トリニトロベンゼン、p−ニトロベンゾニトリル、ピクリルクロライド、キノンクロルイミド、クロラニル、ブロマニル、ベンゾキノン、2,3−ジクロロベンゾキノン、ジクロロジシアノパラベンゾキノン、ナフトキノン、ジフェノキノン、トロポキノン、アントラキノン、1−クロロアントラキノン、ジニトロアントラキノン、4−ニトロベンゾフェノン、4,4’−ジニトロベンゾフェノン、4−ニトロベンザルマロンジニトリル、α−シアノ−β−(p−シアノフェニル)アクリル酸エチル、9−アントラセニルメチルマロンジニトリル、1−シアノ−(p−ニトロフェニル)−2−(p−クロロフェニル)エチレン、2,7−ジニトロフルオレノン、2,4,7−トリニトロフルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロフルオレノン、9−フルオレニリデン−(ジシアノメチレンマロノニトリル)、ポリニトロ−9−フルオレニリデン−(ジシアノメチレンマロノジニトリル)、ピクリン酸、o−ニトロ安息香酸、p−ニトロ安息香酸、3,5−ジニトロ安息香酸、ペンタフルオロ安息香酸、5−ニトロサリチル酸、3,5−ジニトロサリチル酸、フタル酸、メリット酸などの電子親和力の大きい化合物が好ましい。これら化合物は電荷発生層、電荷輸送層のいずれに加えてもよく、その配合割合は、電荷発生物質または電荷輸送物質に対して0.01〜200重量%、好ましくは0.1〜50重量%である。
【0078】
また、表面性の改良のため、四フッ化エチレン樹脂、三フッ化塩化エチレン樹脂、四フッ化エチレン六フッ化プロピレン樹脂、フッ化ビニル樹脂、フッ化ビニリデン樹脂、二フッ化二塩化エチレン樹脂およびそれらの共重合体、フッ素系グラフトポリマーを用いてもよい。これら表面改質剤の配合割合は、前記バインダー樹脂に対して、0.1〜60重量%、好ましくは5〜40重量%である。この配合割合が0.1重量%より少ないと、表面耐久性、表面エネルギー低下などの表面改質が充分でなく、60重量%より多いと、電子写真特性の低下を招くことがある。
【0079】
前記酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、芳香族アミン系酸化防止剤、ヒンダードアミン系酸化防止剤、スルフィド系酸化防止剤、有機リン酸系酸化防止剤などが好ましい。これら酸化防止剤の配合割合は、前記電荷輸送物質に対して、通常、0.01〜10重量%、好ましくは0.1〜2重量%である。
【0080】
これら酸化防止剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい、そして、これらは前記感光層のほか、表面保護層や下引き層、ブロッキング層に添加してもよい。
前記電荷発生層、電荷輸送層の形成の際に用いる溶媒としては、例えばベンゼン、トルエン、キシレン、クロルベンゼンなどの芳香族系溶媒や、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類、メタノール、エタノール、イソプロパノールなどのアルコール類、酢酸エチル、エチルセロソルブなどのエステル類、四塩化炭素、クロロホルム、ジクロロメタン、テトラクロロエタンなどのハロゲン化炭化水素、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル類、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジエチルホルムアミドなどが挙げられる。これら溶媒は、1種単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
【0081】
前記塗工液を調製する方法としては、前記の調合原料をボールミル、超音波、ペイントシェーカー、レッドデビル、サンドミル、ミキサー、アトライターなどを用いて、分散あるいは溶解させることができる。
このようにして得られた塗工液を塗工する方法については、浸漬塗工法、静電塗工法、粉体塗工法、スプレー塗工法、ロール塗工法、アプリケーター塗工法、スプレーコーター塗工法、バーコーター塗工法、ロールコーター塗工法、ディップコーター塗工法、ドクターブレード塗工法、ワイヤーバー塗工法、ナイフコーター塗工法、アトライター塗工法、スピナー塗工法、ビード塗工法、ブレード塗工法、カーテン塗工法などが採用できる。
【0082】
また、単層型電子写真感光体の感光層の形成は、前記の電荷輸送物質、電荷輸送物質、添加剤、バインダー樹脂の形成に用いる炭素−炭素不飽和結合を有する樹脂、架橋剤である珪素化合物、前記アミド化合物、触媒を溶媒に分散または溶解した溶液を所定の下地となる基体上に塗布し、前記樹脂中の炭素−炭素不飽和結合をヒドロシリル化することにより行われる。この場合の塗工液を調製やその塗工法、添加剤などに関しては、上記積層型電子写真感光体の感光層の形成の場合と同様である。さらに、この単層型電子写真感光体においても、上記と同様に下引き層、ブロッキング層、表面保護層を設けてもよい。これら層の形成にも、前記架橋樹脂を用いることが好ましい。
【0083】
単層型電子写真感光体における感光層の厚さは、5〜100ミクロン、好ましくは8〜50ミクロンであり、これが5ミクロン未満であると初期電位が低くなりやすく、100ミクロンを超えると電子写真特性が低下することがある。
この単層型電子写真感光体の製造に用いられる電荷発生物質:バインダー樹脂の比率は、重量比で1:99〜30:70、好ましくは3:97〜15:85である。また、電荷輸送物質:バインダー樹脂の比率は、重量比で10:90〜80:20、好ましくは30:70〜70:30である。
【0084】
つぎに、上記のように塗工して形成した塗膜中の炭素−炭素不飽和結合を有する樹脂と珪素化合物との反応を行うが、この場合の反応温度は50〜200℃、好ましくは100〜150℃であり、反応時間は1秒間〜24時間、好ましくは1分間〜12時間である。
このようにして得られる本発明の有機電子写真感光体は、優れた耐摩耗性を有し、長期間にわたって優れた耐刷性および電子写真特性を維持する感光体であり、複写機(モノクロ、マルチカラー、フルカラー;アナログ、デジタル)プリンター(レーザー、LED、液晶シャッター)、ファクシミリ、製版機などの各種の有機電子写真分野に好適に用いられる。
【0085】
また、本発明の有機電子写真感光体を使用するにあたっては、帯電には、コロナ放電(コロトロン、スコロトロン)、接触帯電(帯電ロール、帯電ブラシ)などが用いられる。また、露光には、ハロゲンランプや蛍光ランプ、レーザー(半導体、He−Ne)、LED、感光体内部露光方式のいずれを採用してもよい。現像には、カスケード現像、二成分磁気ブラシ現像、一成分絶縁トナー現像、一成分導電トナー現像などの乾式現像方式や湿式現像方式が用いられる。転写には、コロナ転写、ローラ転写、ベルト転写などの静電転写法や、圧力転写法、粘着転写法が用いられる。定着には、熱ローラ定着、ラジアントフラッシュ定着、オープン定着、圧力定着などが用いられる。さらに、クリーニング・除電には、ブラシクリーナー、磁気ブラシクリーナー、静電ブラシクリーナー、磁気ローラクリーナー、ブレードクリーナーなどが用いられる。
【0086】
【実施例】
以下、実施例により、本発明をさらに具体的に説明する。
〔実施例1〕
(1)炭素−炭素不飽和結合を有するポリカーボネート樹脂の製造
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン74gを、6重量%濃度の水酸化ナトリウム水溶液550ミリリットルに溶解した溶液に、塩化メチレン250ミリリットルを加えて攪拌しながら、冷却下、該溶液にホスゲンガスを950ミリリットル/分間の割合で15分間吹き込んだ。ついで、この反応液を静置して有機層を分離し、重合度が2〜4であり、分子末端がクロロホーメート基であるポリカーボネートオリゴマーの塩化メチレン溶液を得た。
【0087】
このポリカーボネートオリゴマーの塩化メチレン溶液200ミリリットルに、塩化メチレンを加えて全量を450ミリリットルとした後、これに、2,2−ビス(3−アリル−4−ヒドロキシフェニル)ブロパン20.6gを、8重量%濃度の水酸化ナトリウム水溶液150ミリリットルと混合し、さらに分子量調節剤としてp−tertーブチルフェノール2.0gを加えた。つぎに、この混合液を激しく攪拌しながら、触媒として7重量%濃度のトリエチルアミン水溶液を2ミリリットル加え、28℃において、攪拌下に1.5時間反応した。反応終了後、反応生成物を塩化メチレン1リットルで希釈し、ついで、水1.5リットルで2回、0.01規定濃度の塩酸1リットルで1回、さらに水1リットルで2回の順で洗浄した後、有機層をメタノール中に投入し、析出した固体を濾過して乾燥することにより、重合体鎖中に2つ以上の炭素−炭素不飽和結合を有するポリカーボネート樹脂を得た。
【0088】
上記で得られたポリカーボネート樹脂につき、塩化メチレンを溶媒とする濃度0.5g/デシリットルの溶液の20℃で測定(以下の実施例も同一条件において測定)した還元粘度〔ηsp/c〕は、0.89デシリットル/gであった。還元粘度の測定は、離合社製の自動粘度測定装置VMR−042を用い、自動粘度用ウッベローデ改良型粘度計(RM型)で測定した。また、このポリカーボネート樹脂について測定した1 H−NMRスペクトルにおいては、3.5ppmおよび5.1ppmにアリル基に基づく吸収ピークが認められ、また7〜8ppmに全芳香族に基づく吸収ピークが認められ、これらの強度比より、〔a〕2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンに由来する繰返し単位と、〔b〕2,2−ビス(3−アリル−4−ヒドロキシフェニル)プロパンに由来する繰返し単位との共重合組成を算出した結果、〔a〕:〔b〕=0.85:0.15であった。したがって、この炭素−炭素不飽和結合を有するポリカーボネート樹脂を構成する繰返し単位は、下記のとおりであると認められる。
【0089】
【化16】
【0090】
(2)炭素−炭素不飽和結合を有するポリカーボネート樹脂のヒドロシリル化反応
炭素−炭素不飽和結合を有する高分子化合物として、上記(1)で得られたポリカーボネート樹脂0.5gを用い、また前記一般式〔1〕で表されるアミド化合物として、ジメチルホルムアミド1gを用い、これらを塩化メチレン10ミリリットル中に溶解した。
【0091】
ついで、この塩化メチレン溶液に、遷移金属触媒として白金−ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体(チッソ社製:白金濃度3.5重量%のキシレン溶液)10mgを加えてしばらく静置した。
つぎに、この溶液に、珪素−水素結合を有する単量体として、1,4−ビス(ジメチルシリル)ベンゼン56mgを加えて液状組成物を得た。この液状組成物のうちの半分については23℃において静置し、他の半分については5℃において静置して、いずれも3ケ月にわたり、これら液状組成物の外観、具体的にはゲル化の有無、溶液の着色の有無、不溶解分の生成の有無を観察し続けた。
【0092】
さらに、3ケ月静置した後の液状組成物について、これらをそれぞれシャーレに流し込んでキャスト製膜し、得られた薄膜を120℃に加熱して、架橋反応を行い、得られた架橋ポリカーボネートフィルムの塩化メチレンへの溶解性により、ヒドロシリル化活性の有無を確認した。
ここで得られた、熱潜在性ヒドロシリル化反応用触媒と、炭素−炭素不飽和結合を有するポリカーボネート樹脂、珪素−水素結合を2個有する珪素化合物、およびこれらの溶媒である塩化メチレンからなる液状組成物についての保存安定性と、架橋ポリカーボネートフィルムの形態を、第1表に示す。
【0093】
ここで得られた架橋ポリカーボネート樹脂については、赤外線吸収スペクトル分析を行った結果、架橋反応を行う前の同分析において認められていた1640cm-1のビニル基の伸縮に基づく吸収が消失しており、このことから架橋反応を行う前のポリカーボネート樹脂に存在していたアリル基が架橋反応により飽和して、トリメチレン結合に変化したと考えられる。したがって、この架橋ポリカーボネート樹脂の化学構造は、下記のとおりであると認められた。
【0094】
【化17】
【0095】
〔実施例2〕
実施例1の(2)で用いたアミド化合物のジメチルホルムアミドの使用量を0.1gに変更した他は、実施例1の(2)と同様にした。
得られた液状組成物の保存安定性と、3ケ月の長期保存後のヒドロシリル化活性についての評価結果を第1表に示す。
【0096】
〔実施例3〕
実施例1の(2)で用いたアミド化合物のジメチルホルムアミドの使用量を0.01gに変更した他は、実施例1の(2)と同様にした。
得られた液状組成物の保存安定性と、3ケ月の長期保存後のヒドロシリル化活性についての評価結果を第1表に示す。
【0097】
〔実施例4〕
実施例1の(2)で用いたアミド化合物のジメチルホルムアミドに代えて、ジメチルアセトアミドを用いた他は、実施例1の(2)と同様にした。
得られた液状組成物の保存安定性と、3ケ月の長期保存後のヒドロシリル化活性についての評価結果を第1表に示す。
【0098】
〔実施例5〕
実施例1の(2)で用いたアミド化合物のジメチルホルムアミドに代えて、ジブチルアセトアミドを用いた他は、実施例1の(2)と同様にした。
得られた液状組成物の保存安定性と、3ケ月の長期保存後のヒドロシリル化活性についての評価結果を第1表に示す。
【0099】
〔実施例6〕
実施例1の(2)で用いたアミド化合物のジメチルホルムアミドに代えて、ジメチルベンズアミドを用いた他は、実施例1の(2)と同様にした。
得られた液状組成物の保存安定性と、3ケ月の長期保存後のヒドロシリル化活性についての評価結果を第1表に示す。
【0100】
〔実施例7〕
実施例1の(2)で用いたアミド化合物のジメチルホルムアミドに代えて、N−メチル−2−ピロリドンを用いた他は、実施例1の(2)と同様にした。
得られた液状組成物の保存安定性と、3ケ月の長期保存後のヒドロシリル化活性についての評価結果を第1表に示す。
【0101】
〔実施例8〕
実施例1の(2)で用いた遷移金属触媒の白金−ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体(白金濃度3.5重量%のキシレン溶液)に代えて、白金−シクロビニルメチルシロキサン錯体(白金濃度3.5重量%のシクロビニルメチルシロキサン溶液)10mgを用いた他は、実施例1の(2)と同様にした。
得られた液状組成物の保存安定性と、3ケ月の長期保存後のヒドロシリル化活性についての評価結果を第1表に示す。
【0102】
〔実施例9〕
実施例1の(2)で用いた遷移金属触媒の白金−ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体(白金濃度3.5重量%のキシレン溶液)に代えて、白金−カルボニル錯体(白金濃度3.5重量%のキシレン溶液)10mgを用いた他は、実施例1の(2)と同様にした。
得られた液状組成物の保存安定性と、3ケ月の長期保存後のヒドロシリル化活性についての評価結果を第1表に示す。
【0103】
〔実施例10〕
実施例1の(2)で用いた遷移金属触媒の白金−ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体(白金濃度3.5重量%のキシレン溶液)に代えて、塩化白金酸−イソプロパノノール溶液(白金濃度3.5重量%)10mgを用いた他は、実施例1の(2)と同様にした。
得られた液状組成物の保存安定性と、3ケ月の長期保存後のヒドロシリル化活性についての評価結果を第1表に示す。
【0104】
〔実施例11〕
実施例1の(2)で用いた炭素−炭素不飽和結合を有するポリカーボネート樹脂に代えて、粘度1500センチポイズのα,ω−ジビニルポリジメチルシロキサン0.5gを使用し、アミド化合物のジメチルホルムアミドの使用量を0.1gに変更するとともに、遷移金属触媒として白金−シクロビニルメチルシロキサン錯体(白金濃度3.5重量%のシクロビニルメチルシロキサン溶液)10mgを用いた。また、珪素−水素結合を有する化合物として、1,4−ビス(ジメチルシリル)ベンゼンに代えて、平均分子式が下記の式、
【0105】
【化18】
【0106】
で表されるヒドロシリル基含有化合物20mgを使用した他は、実施例1の(2)と同様にした。
得られた液状組成物の保存安定性と、3ケ月の長期保存後のヒドロシリル化活性についての評価結果を第1表に示す。
【0107】
〔実施例12〕
実施例1の(2)で用いた炭素−炭素不飽和結合を有するポリカーボネート樹脂に代えて、特開平9−10686号公報の実施例に記載の下記式、
【0108】
【化19】
【0109】
で表されるアルケニル基含有化合物0.5gを使用し、また、珪素−水素結合を有する化合物として、1,4−ビス(ジメチルシリル)ベンゼンに代えて、下記の式、
【0110】
【化20】
【0111】
で表されるヒドロシリル基含有化合物0.5gを使用し、さらに、遷移金属触媒をH2 PtCl6 ・6H2 O(白金原子2重量%のイソプロパノール溶液)10mgに変更するとともに、アミド化合物であるジメチルホルムアミドの使用量を0.1gに変更した他は、実施例1の(2)と同様にした。
得られた液状組成物の保存安定性と、3ケ月の長期保存後のヒドロシリル化活性についての評価結果を第1表に示す。
【0112】
〔実施例13〕
実施例1の(2)で用いた炭素−炭素不飽和結合を有するポリカーボネート樹脂に代えて、特開平9−10686号公報の製造例1に記載された方法で製造したアルケニル基含有アクリル樹脂0.5gを使用し、また、珪素−水素結合を有する化合物として、1,4−ビス(ジメチルシリル)ベンゼンに代えて、実施例12と同一のヒドロシリル基含有化合物0.5gを使用し、さらに、遷移金属触媒をH2 PtCl6 ・6H2 O(白金原子2重量%のイソプロパノール溶液)10mgに変更するとともに、アミド化合物であるジメチルホルムアミドの使用量を0.1gに変更した他は、実施例1の(2)と同様にした。
得られた液状組成物の保存安定性と、3ケ月の長期保存後のヒドロシリル化活性についての評価結果を第1表に示す。
【0113】
〔実施例14〕
実施例1の(2)で用いた炭素−炭素不飽和結合を有するポリカーボネート樹脂に代えて、市販のスチレン−ブタジエン樹脂0.5gを使用し、また、珪素−水素結合を有する化合物として、1,4−ビス(ジメチルシリル)ベンゼンに代えて、1,1,3,3,5,5−ヘキサメチルトリシロキサン50mgを使用し、アミド化合物であるジメチルホルムアミドの使用量を0.1gに変更した他は、実施例1の(2)と同様にした。
得られた液状組成物の保存安定性と、3ケ月の長期保存後のヒドロシリル化活性についての評価結果を第1表に示す。
【0114】
〔実施例15〕
実施例1の(2)で用いた炭素−炭素不飽和結合を有するポリカーボネート樹脂に代えて、市販の不飽和ポリエステル樹脂(無水フタル酸−無水マレイン酸−グリコール共重合体)0.5gを使用し、また、珪素−水素結合を有する化合物として、1,4−ビス(ジメチルシリル)ベンゼンに代えて、1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン40mgを使用し、アミド化合物であるジメチルホルムアミドの使用量を0.1gに変更した他は、実施例1の(2)と同様にした。得られた液状組成物の保存安定性と、3ケ月の長期保存後のヒドロシリル化活性についての評価結果を第1表に示す。
【0115】
〔実施例16〕
実施例1の(2)で用いた炭素−炭素不飽和結合を有するポリカーボネート樹脂に代えて、ポリメタクリル酸アリル樹脂0.5gを使用し、また、珪素−水素結合を有する化合物として、1,4−ビス(ジメチルシリル)ベンゼンに代えて、トリス(トリメチルシロキシ)シラン200mgを使用した他は、実施例1の(2)と同様にした。
得られた液状組成物の保存安定性と、3ケ月の長期保存後のヒドロシリル化活性についての評価結果を第1表に示す。
【0116】
〔実施例17〕
実施例1の(2)で用いた炭素−炭素不飽和結合を有するポリカーボネート樹脂に代えて、市販のポリブタジエン樹脂0.5gを使用し、また、珪素−水素結合を有する化合物として、1,4−ビス(ジメチルシリル)ベンゼンに代えて、1,1,3,3,5,5−ヘキサメチルトリシロキサン50mgを使用した他は、実施例1の(2)と同様にした。
得られた液状組成物の保存安定性と、3ケ月の長期保存後のヒドロシリル化活性についての評価結果を第1表に示す。
【0117】
〔比較例1〕
実施例1においてアミド化合物として用いたジメチルホルムアミドを使用しなかった他は、実施例1と同様にした。
【0118】
得られた液状組成物につき、実施例1と同様にその保存安定性と3ケ月の長期保存後のヒドロシリル化活性についての評価を試みた。その結果、23℃で保存したものは10分間後に、また、5℃で保存したものは6時間後に、その液状組成物がゲル化したため、3ケ月の長期保存後のヒドロシリル化活性についての評価はできなかった。
ここでの評価結果を第1表に示す。
【0119】
〔比較例2〕
実施例1において用いたアミド化合物を使用することなく、これに代えてトリエチルアミン0.5gを用いた他は、実施例1と同様にした。
得られた液状組成物の保存安定性の評価結果を、第1表に示す。なお、3ケ月の長期保存後のヒドロシリル化活性についての評価結果は、比較例1と同様であった。
【0120】
〔比較例3〕
実施例1において用いたアミド化合物を使用することなく、これに代えてN,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン10mgを用いた他は、実施例1と同様にした。
得られた液状組成物の保存安定性の評価結果を、第1表に示す。なお、3ケ月の長期保存後の液状組成物にはヒドロシリル化活性がなく、架橋させることができなかった。
【0121】
〔比較例4〕
実施例1において用いたアミド化合物を使用することなく、これに代えてトリフェニルホスフィン15mgを用いた他は、実施例1と同様にした。
得られた液状組成物の保存安定性の評価結果を、第1表に示す。なお、3ケ月の長期保存後の液状組成物にはヒドロシリル化活性がなく、架橋させることができなかった。
【0122】
〔比較例5〕
実施例1において用いたアミド化合物を使用することなく、これに代えてテトラヒドロフラン1gを用いた他は、実施例1と同様にした。
得られた液状組成物の保存安定性の評価結果を、第1表に示す。なお、3ケ月の長期保存後のヒドロシリル化活性についての評価結果は、比較例1と同様であった。
【0123】
〔比較例6〕
実施例1において用いたアミド化合物を使用することなく、これに代えて1,4−ジオキサン1gを用いた他は、実施例1と同様にした。
得られた液状組成物の保存安定性の評価結果を、第1表に示す。なお、3ケ月の長期保存後のヒドロシリル化活性についての評価結果は、比較例1と同様であった。
【0124】
〔比較例7〕
実施例1において用いたアミド化合物を使用することなく、これに代えて1,2−ジメトキシエタン1gを用いた他は、実施例1と同様にした。
得られた液状組成物の保存安定性の評価結果を、第1表に示す。なお、3ケ月の長期保存後のヒドロシリル化活性についての評価結果は、比較例1と同様であった。
【0125】
〔比較例8〕
実施例1において用いたアミド化合物を使用することなく、これに代えてアセトニトリル1gを用いた他は、実施例1と同様にした。
得られた液状組成物の保存安定性の評価結果を、第1表に示す。なお、3ケ月の長期保存後のヒドロシリル化活性についての評価結果は、比較例1と同様であった。
【0126】
〔比較例9〕
実施例8において用いたアミド化合物を使用しなかった他は、実施例8と同様にした。
得られた液状組成物を、保存することなく、すぐにシャーレに流し込んでキャスト製膜し、得られたフィルムを120℃に加熱してヒドロシリル化反応を行った。このようにして得たフィルムは、塩化メチレンに不溶であり、充分に架橋していることが確認された。
また、この液状組成物の保存安定性の評価結果は、第1表に示すとおりであり、3ケ月の長期保存後のヒドロシリル化活性についての評価はできなかった。
【0127】
〔比較例10〕
実施例1において用いたアミド化合物を使用することなく、これに代えて、3−メチル−1−ブテン−3−オール0.1gを用いた他は、実施例1と同様にした。
得られた液状組成物の保存安定性の評価結果を、第1表に示す。なお、3ケ月の長期保存後のヒドロシリル化活性についての評価結果は、比較例1と同様であった。
【0128】
〔比較例11〕
実施例11において用いたアミド化合物を使用しなかった他は、実施例11と同様にした。
得られた液状組成物の保存安定性の評価結果を、第1表に示す。なお、3ケ月の長期保存後のヒドロシリル化活性についての評価結果は、比較例1と同様であった。
【0129】
〔比較例12〕
実施例12において用いたアミド化合物を使用しなかった他は、実施例12と同様にした。
得られた液状組成物の保存安定性の評価結果を、第1表に示す。なお、3ケ月の長期保存後のヒドロシリル化活性についての評価結果は、比較例1と同様であった。
【0130】
〔比較例13〕
実施例13において用いたアミド化合物を使用しなかった他は、実施例13と同様にした。
得られた液状組成物の保存安定性の評価結果を、第1表に示す。なお、3ケ月の長期保存後のヒドロシリル化活性についての評価結果は、比較例1と同様であった。
【0131】
〔比較例14〕
実施例14において用いたアミド化合物を使用しなかった他は、実施例14と同様にした。
得られた液状組成物の保存安定性の評価結果を、第1表に示す。なお、3ケ月の長期保存後のヒドロシリル化活性についての評価結果は、比較例1と同様であった。
【0132】
〔比較例15〕
実施例15において用いたアミド化合物を使用しなかった他は、実施例15と同様にした。
得られた液状組成物の保存安定性の評価結果を、第1表に示す。なお、3ケ月の長期保存後のヒドロシリル化活性についての評価結果は、比較例1と同様であった。
【0133】
〔比較例16〕
実施例16において用いたアミド化合物を使用しなかった他は、実施例16と同様にした。
得られた液状組成物の保存安定性の評価結果を、第1表に示す。なお、3ケ月の長期保存後のヒドロシリル化活性についての評価結果は、比較例1と同様であった。
【0134】
〔比較例17〕
実施例17において用いたアミド化合物を使用しなかった他は、実施例17と同様にした。
得られた液状組成物の保存安定性の評価結果を、第1表に示す。なお、3ケ月の長期保存後のヒドロシリル化活性についての評価結果は、比較例1と同様であった。
【0135】
【表1】
【0136】
【表2】
【0137】
〔実施例18〕
導電性基体としてアルミニウム金属を蒸着したポリエチレンテレフタレート樹脂フィルムを用い、その表面に、電荷発生層と電荷輸送層を順次積層して積層型感光層を形成した電子写真感光体を製造した。
電荷発生物質としてオキソチタニウムフタロシアニン0.5重量部を用い、バインダー樹脂としてはブチラール樹脂0.5重量部を用いた。これらを溶媒の塩化メチレン19重量部に加え、ボールミルにて分散し、この分散液をバーコーターにより、前記導電性基体フィルム表面に塗工し、乾燥させることにより、膜厚約0.5ミクロンの電荷発生層を形成した。
【0138】
電荷輸送物質として4−ジベンジルアミノ−2−メチルベンズアルデヒド−1,1−ジフェニルヒドラゾン0.5gを用い、バインダー樹脂として前記実施例1の(1)で得られた炭素−炭素不飽和結合を有するポリカーボネート樹脂0.5gを用いた。また、触媒として白金−テトラメチルジビニルジシロキサン錯体のキシレン溶液(チッソ社製:白金濃度;3.5重量%)0.02gを用い、アミド化合物としてN,N−ジメチルホルムアミド0.05gを用いた。そして、これらを塩化メチレン5ミリリットルに溶解させて、1時間放置した。
【0139】
つぎに、この溶液に、架橋剤として1,4−ビス(ジメチルシリル)ベンゼン0.065gを溶解させて、これを塗工液とした。この塗工液を23〜28℃の室温において3ケ月保存したが、この保存期間の経過後にもゲルが発生することはなかった。
そして、この塗工液をアプリケーターにより、上記電荷発生層の上に塗布し、乾燥させた。つぎに、この塗膜に、120℃、常圧、4時間の加熱処理を施し、塗膜中の炭素−炭素不飽和結合を有するポリカーボネート樹脂のヒドロシリル化による架橋反応を行った。このようにして、塩化メチレン不溶成分(架橋ポリカーボネート樹脂)を含有する厚さ約20ミクロンの電荷輸送層を形成し、ひきつづいて120℃、1mmHgで12時間乾燥した。この電荷輸送層の形成の過程において、その塗工液の塗布、乾燥、架橋に至るまで、ポリカーボネート樹脂の結晶化による透明性の低下は見られなかった。
【0140】
ついで、このようにして得られた電子写真感光体の電子写真特性の評価を行った。その評価試験装置としては、株式会社川口電機製作所製の静電気帯電試験装置EPA−8100を用い、−6kvでコロナ放電を行った際の初期表面電位、10ルックス光照射から5秒後の残留電位、半減露光量(E1/2 )の測定を行った。これらの測定結果を第2表に示す。
【0141】
また、この電子写真感光体の耐久性を評価するため、感光層の耐摩耗性試験を実施した。試験機としては、スガ試験機株式会社製のスガ摩耗試験機NUS−ISO−3型を用い、摩耗試験の条件として、500gの荷重をかけた摩耗紙(粒径3μm のアルミナ粒子を含有)を感光層表面と接触させて2000回の往復運動を行い、重量減少量の測定をした。この結果を第2表に示す。
【0142】
〔実施例19〕
実施例18において、架橋剤として用いた1,4−ビス(ジメチルシリル)ベンゼンに代えて、トリス(トリメチルシロキシ)シラン0.2gを用いた他は、実施例18と同様にして電子写真感光体を製造した。得られた電子写真感光体の評価結果を第2表に示す。
【0143】
〔比較例18〕
実施例18においてアミド化合物として用いたN,N−ジメチルホルムアミドを添加しなかった他は、実施例18と同様にして塗工液の調製をした。
ここで得られた塗工液の保存安定性については、架橋剤の1,4−ビス(ジメチルシリル)ベンゼンの添加後3分間でゲル化した。したがって、電子写真感光体の製造には、この塗工液の調製後、直ちにアプリケーターにより、電荷発生層の上に塗工液を塗布し、乾燥して熱処理することにより電荷輸送層を形成した。得られた電子写真感光体の評価結果を第2表に示す。
【0144】
〔比較例19〕
実施例18においてアミド化合物として用いたN,N−ジメチルホルムアミドを添加しなかったほか、遷移金属触媒として、実施例18での触媒に代えて白金−シクロビニルメチルシロキサン錯体(チッソ社製;白金濃度3.5重量%シクロビニルメチルシロキサン溶液)を用いた他は、実施例18と同様にして塗工液の調製をした。
【0145】
ここで得られた塗工液の保存安定性については、架橋剤の1,4−ビス(ジメチルシリル)ベンゼンを添加した2日後にゲル化した。したがって、電子写真感光体の製造には、この塗工液の調製後、これがゲル化する前にアプリケーターにより、電荷発生層の上に塗工液を塗布し、乾燥して熱処理することにより電荷輸送層を形成した。得られた電子写真感光体の評価結果を第2表に示す。
【0146】
〔比較例20〕
実施例19においてアミド化合物として用いたジメチルホルムアミドを使用しなかった他は、実施例18と同様にして塗工液の調製をした。
ここで得られた塗工液の保存安定性については、架橋剤のトリス(トリメチルシロキシ)シランを添加した10分間後にゲル化した。したがって、電子写真感光体の製造には、この塗工液の調製後、直ちにアプリケーターにより、電荷発生層の上に塗工液を塗布し、乾燥して熱処理することにより、電荷輸送層を形成した。得られた電子写真感光体の評価結果を第2表に示す。
【0147】
【表3】
【0148】
【発明の効果】
本発明によれば、架橋性化合物の架橋反応に高い触媒活性を有するとともに、該架橋性化合物と、架橋剤、アミド化合物および触媒を含有し塗工可能に調製された液状組成物としたとき、該液状組成物に優れた保存安定性を付与するヒドロシリル化触媒組成物を提供することができる。また、これら架橋性化合物と触媒を含有する電子写真感光体製造用の塗工液および該塗工液を用いて製造した電子写真感光体を提供することができる。
Claims (9)
- (a)ヒドロシリル化能を有する白金系触媒と、下記一般式〔1〕
- 白金系触媒が、白金−シクロビニルメチルシロキサン錯体、白金−カルボニル錯体、白金−テトラメチルジビニルジシロキサン錯体および塩化白金酸の群から選択される少なくとも1種である請求項1記載の液状組成物。
- 前記一般式〔1〕で表されるアミド化合物が、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジブチルホルムアミド、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、ε−カプロラクタム、アセトアニリドおよびN,N−ジメチルベンズアミドの群から選択される少なくとも1種である請求項1または2記載の液状組成物。
- (b)炭素−炭素不飽和結合を少なくとも2個有する化合物が、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポエーテル樹脂、ポリホルマール樹脂、ビニル基含有ポリシロキサン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、スチレン−ブタジエン共重合樹脂、スチレン−ブタジエン−スチレン共重合樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリイソプレン樹脂、ポリアクリル酸アリル樹脂、ポリアクリル酸ビニル樹脂、ポリメタクリル酸アリル樹脂、ポリメタクリル酸ビニル樹脂または末端アリル変性ポリエチレングリコール樹脂である、請求項1〜3のいずれかに記載の液状組成物。
- (C)成分が、2つ以上の珪素−水素結合を有する高分子化合物(オリゴマーを含む)、2つ以上の珪素−水素結合を有する単量体、または珪素−水素結合および加水分解して珪素−水酸基結合を生ずる基を有する化合物である、請求項1〜4のいずれかに記載の液状組成物。
- 請求項1〜5のいずれかに記載の液状組成物を、30℃以下の温度において保存する液状組成物の保存方法。
- 請求項1〜5のいずれかに記載の液状組成物を、遷移金属触媒より前記一般式〔1〕で表されるアミド化合物が解離する温度および圧力条件とするヒドロシリル化反応方法。
- 請求項1〜5のいずれかに記載の液状組成物および電荷輸送物質を含有する樹脂塗工液。
- 有機電子写真感光体の感光層および/または電荷輸送層を請求項8記載の樹脂塗工液を用いて形成してなる有機電子写真感光体。
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