JP4273837B2 - 金属箔付き絶縁シート、多層配線板、及び多層配線板の製造方法 - Google Patents

金属箔付き絶縁シート、多層配線板、及び多層配線板の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、配線板の製造に利用される金属箔付き絶縁シート、この金属箔付き絶縁シートを利用して製造される多層配線板、及びこの多層配線板の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、民生、産業用等の電子機器に用いられるプリント配線板は、電子機器の小型・高性能化の著しい指向により、プリント配線板の回路高密度化への要求が高まってきている。この要求に対応するプリント配線板の小型高密度化の一手法として、例えば、一般のプリント配線板を内層材として、この内層材の表面上に金属箔付き絶縁シートを積層成形して多層化し、更に最外層に導体配線を形成して多層配線板を形成することが提案されている。
【0003】
このようなプリント配線板の多層化の手法としては、特許文献1に開示されているような方法がある。この方法では、内層材に積層配置された金属箔付き絶縁シートの所定位置において、金属箔をエッチング等によって部分的に除去した所謂コンフォーマルマスクを介して絶縁シートにレーザーを照射することで非貫通孔を形成した後、めっき処理を施すことで金属箔の外面にめっき層を形成すると共に非貫通孔の内面にホールめっきを形成し、更にエッチング処理により最外層に導体配線を形成するものである。
【0004】
このような手法によれば、外層と内層の各導体配線間の絶縁層にビアホールを容易に形成することができ、またビアホールは導体配線間の導通をとる必要がある箇所においてこの導体層間の絶縁層にのみ形成することができて、貫通スルーホールを形成する場合と較べるとホールを形成するために必要とされる領域が削減され、配線板の高密度化を容易にできるものである。
【0005】
しかし、このような金属箔付き絶縁シートを利用し、且つコンフォーマルマスクの形成工程を含む配線板の多層化工程では、ビアホールのホールめっき形成時に外層の金属箔にめっき層が形成されるためにその厚みが増大し、エッチング処理により導体配線を形成する際に特に微細配線の形成が困難となるものであった。
【0006】
そこで、金属箔付き絶縁シートを用いずに、内層材に絶縁層のみを形成した後に、ホール形成と導体配線形成とを行う方法も提唱されているが、このような方法では、外層の導体配線をめっき処理等により形成するにあたり、めっき導体と樹脂の密着強度確保が容易ではなかった。すなわち、金属箔付き絶縁シートを利用する場合には、金属箔付き絶縁シートは通常金属箔の粗面に対して絶縁シートが密着成形されているために、この金属箔から形成される導体配線は下層のシートから形成される絶縁層との間の密着性が高いものであるが、絶縁層に対して直接めっき処理等により形成した導体配線は、絶縁層との間の十分な密着強度を確保することが困難なものであった。
【0007】
そこで、このような導体配線の微細化と導体配線の密着強度の維持とを同時に達成するための方法として、図2に示すようなものが知られている。この方法では、まず絶縁層8の表面に導体配線7が積層成形された内層材に対して、金属箔付き絶縁シートを、内層材の導体配線7と金属箔付き絶縁シートの絶縁シート5とが対向するように積層一体化した後、金属箔付き絶縁シートの金属箔2をエッチング処理等により除去する。このとき、内層材の外層に残存する絶縁シート5からなる絶縁層6の外層表面は、金属箔2の粗面の形状が転写されて粗面化されている。次に、内層材の外層に残存する絶縁シート5からなる絶縁層6に、レーザ加工等により非貫通孔10を、内層材の導体配線7に達するまで穿設した後、めっき処理にて外層の導体配線12の形成と非貫通孔10の内面のホールめっき11の形成とを行うものである。
【0008】
この方法では、金属箔2の粗面の形状が転写されて粗面化された絶縁層6の表面にめっき処理により導体配線12を形成することで、導体配線12の密着強度を確保しようとしている。
【0009】
しかし、めっき処理によりホールめっき11や導体配線12を形成する前には、非貫通孔10内面に残存する樹脂残渣9(スミア)をデスミア処理液にて除去する必要がある。このデスミア処理時には外層の絶縁層6の表面もデスミア処理液に曝されて、この絶縁層6の表面がデスミア処理液に溶解し、絶縁層6の表面の凹凸がなだらかになってしまう。そのため、外層の導体配線12は、なだらかになった絶縁層6の表面に形成されることとなり、所望の導体配線12の密着強度を確保することは困難なものであった。
【0010】
【特許文献1】
特開平9−321432号公報
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、配線板の多層化に用いる金属箔付き絶縁シートであって、内層材に積層した後に金属箔を除去した際に残存する絶縁シートからなる絶縁層に、非貫通孔の形成と、この非貫通孔内の樹脂残渣の除去のためのデスミア処理を行っても、絶縁シートからなる絶縁層の表面に粗面化形状が維持され、この絶縁層の表面に導体配線を形成した際に優れた密着強度を確保することができる金属箔付き絶縁シート、この金属箔付き絶縁シートを用いて作製された、外層の絶縁層と導体配線との間に優れた密着強度が付与された多層配線板、並びにこの多層配線板の製造方法を提供することを目的とするものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る金属箔付き絶縁シートは、絶縁シート5の一面に金属箔2が貼着された金属箔付き絶縁シート1において、前記絶縁シート5が、金属箔2の粗面と直接隣接して形成される第一層3と、第一層3に対して金属箔2とは反対側に形成される第二層4とを含む少なくとも2種以上の複数の樹脂層から形成され、且つ前記第一層3が前記第二層4よりも、デスミア処理液による樹脂溶解性が低いものであることを特徴とする。この金属箔付き絶縁シート1を、配線板の多層化に利用すると、内層材14に絶縁シート5にて絶縁層6を積層成形すると共に金属箔2を除去した際に、絶縁層6の表面に金属箔2の粗面の形状が転写した粗面化形状が形成される。絶縁層6にビアホールを形成する際にデスミア処理を施しても、上記第一層3がデスミア処理液に対する樹脂溶解性が低いことから、絶縁層6の粗面化形状は破壊されずに維持され、絶縁層6の表面にめっき処理等により導体配線12を形成すると、アンカー効果により高い密着強度を付与することができる。
また、前記第一層3と前記第二層4とが同一の樹脂材料にて形成されると共に、その重合度が第二層4よりも第一層3の方が高くなるように形成され、第一層3と第二層4とが共に液状ゴムを含有すると共に第一層3よりも第二層4における液状ゴムの含有率が多いため、第一層3が第二層4よりもデスミア処理液による樹脂溶解性が低くなるように形成すると共に、第一層3と第二層4との間の層間密着性を向上することができる。
【0013】
上記第一層3の厚みは0.5〜10μmの範囲であることが好ましい。この範囲において、絶縁層6の表面に粗化面を形成する際にこの第一層3に粗化面が形成されるようにすることができ、且つ金属箔付き絶縁シート1の柔軟性を維持して金属箔付き絶縁シート1の取扱時等における割れ等の破損発生を抑制することができる。
【0014】
また、上記第一層3は、シリコーン系、四フッ化エチレン系、エンジニアリングプラスチック系から選ばれた少なくとも一種の樹脂から形成されていることが好ましいものであり、これらの樹脂はデスミア処理液に対する溶解性が低く、第一層3形成のために好適に用いることができる。
【0015】
また、上記第一層3と上記第二層4との、デスミア処理液のデスミアエッチレートは、20%以上異なることが好ましい。この場合、第一層3と第二層4との間のデスミア処理液に対する溶解性の差を十分に大きくして、デスミア処理による樹脂残渣9の除去時における絶縁層6の粗面化形状の破壊を確実に防止することができる。
【0016】
た、前記第一層3が、前記第二層4よりもフィラー含有率が高いことが好ましい。この金属箔付き絶縁シート1を、配線板の多層化に利用すると、内層材14に絶縁シート5にて絶縁層6を積層成形すると共に金属箔2を除去した後、絶縁層6にビアホールを形成する際にデスミア処理を施す場合、第一層3の表面がデスミア処理液に溶解したときにフィラーの脱落により絶縁層6の表面に粗面が形成され、この絶縁層6の表面にめっき処理等により導体配線12を形成すると、アンカー効果により高い密着強度を付与することができる。
【0017】
また、本発明に係る多層配線板13は、絶縁層8の表面に導体配線7が積層成形された内層材14に対して、上記のような金属箔付き絶縁シート1を、内層材14の導体配線7と金属箔付き絶縁シート1の絶縁シート5とが対向するように積層一体化し、前記金属箔付き絶縁シート1の金属箔2を除去した後に絶縁シート5にて形成される絶縁層6に非貫通孔10をその底面で前記導体配線7の一部が露出するように穿設し、非貫通孔10内面にデスミア処理液にてデスミア処理を行った後に、めっき処理にて外層の導体配線12と非貫通孔10内面のホールめっき11とを形成して成ることを特徴とする。デスミア処理後の外層の絶縁層6の表面には、粗面化形状が形成されており、この絶縁層6の外層にめっき処理にて形成された導体配線12は、アンカー効果により高い密着強度が付与されているものである。
【0018】
また、本発明に係る多層配線板の製造方法は、絶縁層8の表面に導体配線7が積層成形された内層材14に対して、金属箔付き絶縁シート1を、内層材14の導体配線7と金属箔付き絶縁シート1の絶縁シート5とが対向するように積層一体化し、前記金属箔付き絶縁シート1の金属箔2を除去した後に絶縁シート5にて形成される絶縁層6に非貫通孔10をその底面で前記導体配線7の一部が露出するように穿設し、非貫通孔10内面にデスミア処理液にてデスミア処理を行った後に、めっき処理にて外層の導体配線12形成と非貫通孔10内面のホールめっき11形成とを行う多層配線板13の製造方法において、前記金属箔付き絶縁シート1の絶縁シート5を、金属箔2の粗面と直接隣接して形成される第一層3と、第一層3に対して金属箔2とは反対側に形成される第二層4とを含む少なくとも2種以上の複数の樹脂層から形成し、且つ前記第一層3が前記第二層4よりも、前記デスミア処理液による樹脂溶解性が低いものとなるようにすることを特徴とする。絶縁シート5にて形成される絶縁層6から金属箔2を剥離する際には、絶縁層6の表面に金属箔2の粗面の形状が転写した粗面化形状が形成される。この粗面化形状は、デスミア処理後においても破壊されずに維持され、この絶縁層6の外層にめっき処理にて形成された導体配線12は、アンカー効果により高い密着強度が付与される。
また第一層3と第二層4とを同一の樹脂材料にて形成すると共に、その重合度が第二層4よりも第一層3の方が高くなるように形成し、第一層3と第二層4とに共に液状ゴムを含有させると共に第一層3よりも第二層4における液状ゴムの含有率を多くすることで、第一層3が第二層4よりもデスミア処理液による樹脂溶解性が低くなるように形成すると共に、第一層3と第二層4との間の層間密着性を向上することができる。
【0019】
た、前記第一層3が、前記第二層4よりもフィラー含有率が高いことが好ましい。デスミア処理時に、第一層3の表面が溶解すると、フィラーの脱落により、絶縁シート5にて形成される絶縁層6の表面に粗面が形成され、この絶縁層6の外層にめっき処理にて形成された導体配線12は、アンカー効果により高い密着強度が付与される。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、図1を示して説明する。
【0021】
内層材14は、少なくとも一層の絶縁層8を有し、且つ最外層に絶縁層8の表面に形成された導体配線7を有している。このような内層材14としては、適宜の配線板を適用することができ、例えば単層又は多層のプリント配線板を用いることができる。
【0022】
一方、金属箔付き絶縁シート1は、絶縁性樹脂にて形成された絶縁シート5の一面に、金属箔2を貼着して形成される。本発明では、絶縁シート5は金属箔2の一面と直接隣接して形成される第一層3と、第一層3に対して金属箔2とは反対側に形成される第二層4とを含む、少なくとも2種以上の複数の樹脂層から形成され、図示の例では絶縁シート5は第一層3と第二層4のみから形成されている。詳しい構成は後述する。
【0023】
このような内層材14と金属箔付き絶縁シート1とを用いて、多層配線板13を作製するにあたっては、まず内層材14に対して金属箔付き絶縁シート1を、内層材14の導体配線7と金属箔付き絶縁シート1の絶縁シート5とが対向するように重ね合わせ、この状態で積層一体化する。この積層一体化にあたっては、絶縁シート5の性状、特に絶縁シート5を構成する複数の樹脂層のうちの、内層材14と直接接触する樹脂層(図示では第二層4)の性状によって、適宜の手法が採用されるものであり、例えばBステージ状態の熱硬化性樹脂組成物にて形成される場合には、この熱硬化性樹脂組成物が加熱硬化する条件で加熱加圧成形することにより積層一体化する。
【0024】
次に、外層の金属箔2をエッチングにより除去する。このとき、内層材14の外層には、金属箔付き絶縁シート1の絶縁シート5から形成される絶縁層6が残存する。
【0025】
次に、この内層材14の外層に形成された絶縁層6の所定位置に、内層の導体配線7まで達するビアホール形成用の非貫通孔10をレーザ加工等により形成する。この非貫通孔10はその底面において内層の導体配線7が露出するように形成するが、底面に若干の樹脂残渣9(スミア)が残存していても良い。レーザ加工を行う場合には、炭酸ガスレーザやYAGレーザ等の適宜のレーザ光を、絶縁層6に穿設加工が可能であり、且つその内層の導体配線7を損耗させないような適宜の条件で照射する。
【0026】
次に、内層材14の外層に形成された絶縁層6の外面をデスミア処理液に浸漬するなどして曝して、非貫通孔10の内面にデスミア処理を施し、この非貫通孔10の内面に残存する樹脂残渣9(スミア)を除去する。デスミア処理液は絶縁シート5の樹脂層を構成する樹脂組成物の種類に応じて適宜選択されるが、詳しくは後述する。
【0027】
次に、外層の絶縁層6の表面にめっき処理を施すことにより、この絶縁層6の表面に導体配線12を形成すると共に、非貫通孔10の内面にホールめっき11を形成する。この導体配線12及びホールめっき11の形成は、絶縁層6の表面にパターンめっきを施したり、或いはパネルめっきを施した後にエッチング処理を施したりするなど、一般的な導体配線12及びホールめっき11の形成手法を用いて行うことができる。導体配線12やホールめっき11の厚みは適宜設定されるものであり、特に制限されないが、微細配線加工を施す場合には厚み10〜30μmの範囲となるようにすることが好ましい。
【0028】
以上のような工程を経ることにより、内層材14に対して多層化処理を施して、多層配線板13を得ることができる。またこの多層化された配線板を内層材14として、更に同様の多層化処理を施し、更に多層の多層配線板13を得ることもできる。
【0029】
次に、金属箔付き絶縁シート1の第一の実施形態の構成について詳しく説明する。
【0030】
金属箔2は適宜の材質にて形成することができるが、上記の多層化処理においてエッチング除去を容易とするためには銅箔にて形成することが好ましい。銅箔の厚みは適宜のものとすることができ、例えば9〜35μmの厚みとすることができる。この金属箔2の少なくとも一面は、粗面に形成する。この粗面の粗度は上記の多層化処理においてこの粗面の形状が転写された絶縁層6の表面に、後述するようにめっき処理にて形成される導体配線12が十分な密着強度を有するよう適宜設定されるが、好ましくはその十点平均粗さ(Rz)が1〜7μmの範囲となるようにする。
【0031】
また絶縁シート5は、配線板の絶縁層6形成用途に一般的に用いられる適宜の樹脂材料にて形成することができるが、この絶縁シート5を構成する第一層3と第二層4は、上記のデスミア処理において用いるデスミア処理液に対する樹脂溶解性が異なるものとなるように形成し、このとき第一層3の方が第二層4よりも樹脂溶解性が低くなるように形成する。特に、第一層3と第二層4との、デスミア処理液のデスミアエッチレートの差異の比率が20%以上となるようにすることが好ましい。また、このときデスミア処理液に対する第一層3のデスミアエッチレートは0.02〜0.10mg/cm、第二層4のデスミアエッチレートは0.03〜0.35mg/cmの範囲であることが好ましい。尚、デスミアエッチレートは、50〜80℃、処理時間15分間における、デスミア処理前とデスミア処理後の各樹脂層の単位面積あたりの質量減少量比率で定義されるものであり、面積S(cm)あたりの、デスミア処理前の樹脂層の質量をa(mg)、処理後の質量をb(mg)、デスミアエッチレートをW(mg/cm)は、W=(a−b)/Sで表される。また上記の第一層3と第二層4とのデスミアエッチレートの差異の比率は、第一層3のデスミアエッチレートをW1、第二層4のデスミアエッチレートをW2とすると、(W2−W1)/W2×100(%)で表される。
【0032】
また絶縁シート5は、第一層3と第二層4以外の樹脂層を有しても良く、その場合、この樹脂層のデスミア処理液に対する樹脂溶解性は特に制限されないが、この樹脂層よりも第一層3の方がデスミア処理液に対する樹脂溶解性が低くなるようにすることが好ましい。
【0033】
このような金属箔付き絶縁シート1を用いて、図1に示すような工程で多層配線板13を製造すると、図1(c)に示す金属箔2のエッチング除去においては、外層に絶縁シート5にて形成された絶縁層6の表面には、金属箔2の粗面の形状が転写された凹凸の粗化面が形成される。この粗化面は第一層3に形成されるため、図1(e)に示すデスミア処理工程において樹脂残渣9(スミア)をデスミア処理液にて溶解除去する場合、第一層3はデスミア処理液に溶解されにくく、このため粗化面の凹凸の形状が損なわれにくいものである。従って、図1(f)に示すように導体配線12とホールめっき11とをめっき処理にて形成すると、導体配線12は絶縁層6の粗化面に形成されることとなり、アンカー効果によって導体配線12と絶縁層6との間に高い密着強度が付与されるものである。
【0034】
上記のデスミア処理液、第一層3を形成するための樹脂材料、並びに第二層4を形成するための樹脂材料の組み合わせは、デスミア処理液に対する樹脂溶解性が、第一層3の方が第二層4より低くなるように選択すれば良く、特に制限されるものではないが、デスミア処理液としては過マンガン酸カリウム、重クロム酸ナトリウム等が用いられ、特に過マンガン酸カリウムが多用されているものであり、そしてデスミア処理工程において使用されるデスミア処理液に対して、第二層4を例えばエポキシ樹脂組成物やポリイミド樹脂等にて形成し、更に第一層3を、デスミア処理液に対する樹脂溶解性が第二層4よりも低い樹脂材料にて形成するものである。
【0035】
また、第一層3は、一般的に用いられる各種のデスミア処理液に対する耐溶解性が高い材料にて形成することが好ましい。このような第一層3を形成するための材料系の具体例としては、配線板の耐熱性も考慮してシリコーン系樹脂、四フッ化エチレン系樹脂、エンジニアリングプラスチック系樹脂、液晶ポリマー系樹脂などを例示できる。エンジニアリングプラスチック系樹脂としては、例えば、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリサルホン、ポリエーテルサルホン、ポリオキシベンジレン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンエーテル、ポリエーテルイミド、ポリイミドなどが例示できる。
【0036】
例えば第二層4をBステージ状態のエポキシ樹脂組成物にて形成し、第一層3を上記のような材料で形成し、デスミア処理液として過マンガン酸カリウムを選択すれば、第一層3の方が第二層4よりもデスミア処理液に対する樹脂溶解性が低くなるように形成することができる。
【0037】
また、第一層3を上記のような各種のデスミア処理液に対する耐溶解性が高い材料にて形成すると共に、第二層4を構成する成分の一部としてこの第一層3を構成する樹脂を含有させるようにしても良い。この場合は、異なる組成で形成された第一層3と第二層4との間の密着性を向上することができる。例えば第二層4をBステージ状態のエポキシ樹脂組成物にて形成すると共に、この第二層4中に上記のようなデスミア処理液に対する耐溶解性が高い材料を、2〜20重量%の範囲で含有させ、且つ第一層3を第二層4に含有させたものと同一のデスミア処理液に対する耐溶解性が高い材料にて形成するものである。
【0038】
また、本発明では、第一層3と第二層4とを同一の樹脂材料にて形成すると共に、その重合度が第二層4よりも第一層3の方が高くなるように形成することによって、第一層3が第二層4よりもデスミア処理液による樹脂溶解性が低くなるように形成すると共に、第一層3と第二層4との間の層間密着性を向上することできる。例えば第一層3と第二層4とを共にBステージ状態のエポキシ樹脂組成物にて形成する場合は、各層を構成するエポキシ樹脂組成物中におけるエポキシ樹脂1当量に対する硬化剤の当量を、第一層3よりも第二層4の方が少なく、且つこの第二層4における当量が1未満となるようにするものであり、具体的には、例えば第一層3においてはエポキシ樹脂中のエポキシ基1当量に対する硬化剤の官能基の当量を0.95〜1.3の範囲とし、第二層4においてはエポキシ樹脂中のエポキシ基1当量に対する硬化剤の官能基の当量を0.7〜0.9の範囲となるようにするものである。
【0039】
また、本発明では、第一層3と第二層4とに共に液状ゴムを含有させるようにして、第一層3と第二層4との間の層間密着性を向上することができる。このとき液状ゴムは、例えば各層中に5〜20重量%の範囲で含有させることができる。
【0040】
また、本発明では、液状ゴムによって第一層3と第二層4のデスミア処理液に対する溶解性を調整することできる。同一の樹脂材料にて第一層3と第二層4とを形成する場合に、第一層3と第二層4とに共に液状ゴムを含有させ且つ第一層3よりも第二層4における液状ゴムの含有率を多くすることで、第一層3が第二層4よりもデスミア処理液による樹脂溶解性が低くなるようにすることができる。尚、第一層3と第二層4とを異種の樹脂材料にて形成する場合でも、同様にして液状ゴムにより各層のデスミア処理液に対する溶解性を調整することもできる。
【0041】
上記の絶縁シート5の厚みは、適宜設定されるが、35〜100μmの範囲であることが好ましい。
【0042】
また、上記の第一層3の厚みは、絶縁層6の表面に粗化面を形成する際にこの第一層3に粗化面が形成されるようにすることができる程度であれば良く、好ましくは第二層4に比して薄くなるように形成するものであり、特にその厚みを0.5〜10μmの範囲に形成することが好ましい。この第一層3の厚みが厚くなりすぎると、デスミア処理液に対する溶解性を低くした第一層3は剛直性が高くなる傾向があるため、金属箔付き絶縁シート1の柔軟性が低下し、特に絶縁シート5全体の厚みを薄く形成する場合、金属箔付き絶縁シート1の取扱時に割れ等の破損が発生するおそれがある。
【0043】
また第二層4の厚みは、適宜調整されるものであり、例えば45〜70μmの範囲に形成することが好ましい。尚、絶縁シート5を第一層3と第二層4のみで形成する場合には、第二層4の厚みは、絶縁シート5の厚みと第一層3の厚みとの差となる。
【0044】
次に、金属箔付き絶縁シート1の第二の実施形態の構成について詳しく説明する。
【0045】
本実施形態における金属箔付き絶縁シート1では、第一層3中のフィラー含有率を、第二層4中のフィラー含有率よりも高くなるようにしている。この場合、第一層3中のフィラー含有率は10〜35重量%、第二層4中のフィラー含有率は5〜30重量%の範囲で、第一層3中のフィラー含有率を、第二層4中のフィラー含有率よりも高くなるようにすることが好ましい。
【0046】
このような金属箔付き絶縁シート1を用いて、図1に示すような工程で多層配線板13を製造すると、図1(e)に示すデスミア処理工程において樹脂残渣9(スミア)をデスミア処理液にて溶解除去する場合、外層の絶縁層6の表面、すなわち第一層3の表面がデスミア処理液に溶解すると、それにしたがって第一層3中のフィラーが脱落し、このフィラーが脱落した跡が凹凸に形成され、これにより絶縁層6の表面に粗化面が形成される。従って、図1(f)に示すように導体配線12とホールめっき11とをめっき処理にて形成すると、導体配線12は絶縁層6の粗化面に形成されることとなり、アンカー効果によって導体配線12と絶縁層6との間に高い密着強度が付与されるものである。
【0047】
この金属箔付き絶縁シート1を構成する金属箔2は、上記の第一の実施形態と同様のものを適用できるが、この金属箔2の、絶縁シート5が形成される側の一面は、必ずしも粗面に形成する必要はない。但し、この金属箔2の一面を第一の実施形態と同様の粗面に形成すれば、仮に図1(e)に示すデスミア処理工程における第一層3の溶解量が少なくフィラーの脱落量が少なくなった場合でも、第一の実施形態と同様にデスミア処理後における外層の絶縁層6の表面は充分に粗面化され、多層化処理においてこの粗面の形状が転写された絶縁層6の表面にめっき処理にて形成される導体配線12が、十分な密着強度を有するようになる。
【0048】
本実施形態は、特に多層配線板13に高い耐熱性、機械的強度などが求められる場合に好適に用いられる。すなわち、このような高い耐熱性、機械的強度を絶縁層6に付与しようとすると、その耐薬品性も向上し、この場合は、図1(e)に示すデスミア処理工程において使用されるデスミア処理液として、樹脂溶解力の非常に高いものを用いる必要がある。このように強力なデスミア処理液を用いる場合には、第一層3と第二層4の樹脂材料としてどのようなものを選択しても、デスミア処理液に対する溶解性に大きな差異を生じさせることは難しく、そのため外層の絶縁層6の表面がデスミア処理液により溶解しないようにすることは困難なものであるが、本実施形態では、第一層3中のフィラーの含有量を高めることによって、外層の絶縁層6の表面がデスミア処理液により溶解した際にこの絶縁層6の表面に粗化面が形成されるようにして、上記のように絶縁層6と導体配線12との間の密着強度を向上することができるものである。
【0049】
上記のデスミア処理液と、第二層4を形成するための樹脂材料との組み合わせは、デスミア処理工程において非貫通孔10内の樹脂残渣9(スミア)が十分に除去できるように、適宜選択すれば良く、特に制限されるものではないが、上記の通り、デスミア処理液としては過マンガン酸カリウム、重クロム酸ナトリウム等が用いられ、特に過マンガン酸カリウムが用いられる。
【0051】
【実施例】
以下、本発明を実施例によって詳述する。尚、配合量は特に示さない限り、重量基準である。
【0052】
(実施例1)
ブロム化エポキシ樹脂(東都化成社製、「YDB400EK60」)140部、液状エポキシ樹脂(東都化成社製、「YD8125」)20部、ブロム化フェノキシ樹脂(東都化成社製、「YPB40−PXM40」)90部、液状ゴム(宇部興産社製、「CTBN1300−13」)15部、硬化剤(明和化成社製、「MEH7500」)50部、硬化触媒(四国化成社製、「2PZ」)5部、およびメチルエチルケトン350部を配合して、ディスパーなどで各成分を均一溶解させた。
【0053】
その後、シリカ系フィラー(株式会社アドマテックス製社製、「SO−C3」)50部を追加配合してバスケットミルなどによって均一分散させ、第一層3形成用のワニス1を調製した。
【0054】
また、上記配合の中で液状ゴムの配合量を30部に増量し、硬化剤の配合量を30部に減量にした以外、ワニス1と同様な手順によって、第二層4形成用のワニス2を調製した。
【0055】
上記のワニス1を、マルチコーター(平野金属製)を用いて、銅箔(古河金属製、厚み18μm、粗面の十点平均粗さ(Rz)2.6μm)の粗面上に、固形分厚みが5μmとなるように塗工して、溶媒蒸発と初期硬化を行った後、その上面にワニス2を固形分厚みが65μmとなるように重ねて塗工・乾燥し、絶縁シート5の総厚みが約70μmの金属箔付き絶縁シート1を作製した。
【0056】
一方、内層配線基板(内層材14)としては、銅箔にて直径1mm、ピッチ3mmの試験用ランド配列配線を両面に形成した配線基板(松下電工株式会社製「R1766T」、厚み0.6mm、平面視寸法250×250mm、銅箔厚み18μm、回路形成後に銅箔は黒化処理済み)を準備した。
【0057】
この内層材14の両面にそれぞれ上記の金属箔付き絶縁シート1を配設してプレスにて加熱・圧締(130℃、1.5MPa/cmで30分処理後、170℃、3MPa/cmで90分処理)した。
【0058】
次いで、最外層の銅箔をエッチングによって全面除去した後、レーザー加工機(三菱電機株式会社製 ML605GT)によって、絶縁シート5にて形成された絶縁層6に、直径約150μmの非貫通孔10を形成した。
【0059】
次いで、シプレイ・ファーイースト社製の膨潤液「MLB−211」を用い、同社の技術カタログに基づいて浴濃度105%(0.8mol/l)の処理浴を調製し、80℃の浴温で絶縁層5を処理して膨潤処理を行った。
【0060】
次いで、シプレイ・ファーイースト社製のデスミア処理液(「MLB−213A」と「MLB−213A」との混合液;過マンガン酸カリウム濃度47g/l(1.3mol/l))を用いて、デスミア処理を行った。
【0061】
次に、外層の絶縁層6の表面に、厚み25μmの銅パネルめっき皮膜を形成し、評価用の多層配線板13を得た。
【0062】
参考例2)
第一層3形成用のワニス1として、ポリフェニレンエーテル樹脂(旭化成社製、「ザイロン」)100部、液状ゴム(宇部興産製、「CTBN1300−13」)15部、及びトルエン100部を溶解させて調製したものを用い、このワニス1を、銅箔の粗面上に、固形分厚さが7μmとなるように塗工した。
【0063】
それ以外は実施例1と同様にして、評価用の多層配線板13を得た。
【0064】
参考例3)
第一層3形成にあたって、ワニス1に代えて、ポリ四フッ化エチレンの微粉末(アズワン株式会社製、「バルフロンスプレー」)を用い、これを銅箔の粗面上に、体積換算で厚さ0.5μmとなるように噴射堆積させた。また、ワニス2の塗工厚みは70μmとなるようにした。
【0065】
それ以外は実施例1と同様にして、評価用の多層配線板13を得た。
【0066】
参考例4)
第一層3形成にあたって、ワニス1に代えて、アラミドフィルム(東レ株式会社製、「ミクトロン」)を用い、これを銅箔の粗面上に厚み10μmとなるように積層させ、250℃で30分の加熱圧締を行い銅箔と密着させた。
【0067】
それ以外は実施例1と同様にして、評価用の多層配線板13を得た。
【0068】
(実施例5)
実施例1におけるワニス1中のシリカ系フィラーの配合量を80部に変更し、ワニス2中のシリカ系フィラーの配合量を40部に変更した。
【0069】
それ以外は実施例1と同様にして、評価用の多層配線板13を得た。
【0070】
(実施例6)
実施例1におけるワニス1の塗工厚みを、15μmとし、且つワニス2の塗工厚みを55μmとした。
【0071】
それ以外は実施例1と同様にして、評価用の多層配線板13を得た。
【0072】
(実施例7)
実施例5のワニス1配合成分の内、フィラーを20部にした以外は実施例5と同様にして多層配線評価基板を作製した。
【0073】
(比較例1)
実施例1において、ワニス1の塗工を行わず、銅箔の粗面に対して直接ワニス2を厚みが70μmとなるように塗工した。
【0074】
それ以外は実施例1と同様にして、評価用の多層配線板13を得た。
【0075】
(評価)
以上のようにして得られた各実施例及び比較例における評価用の多層配線板13に対し、外層の銅パネルめっき皮膜と絶縁層6との間のピール強度測定、及び各実施例及び比較例における金属箔付き絶縁シート1について、絶縁シート5側を外側とした屈曲性試験による屈曲最小半径測定を行った。
【0076】
その結果を表1に示す。
【0077】
【表1】
Figure 0004273837
【0078】
【発明の効果】
上記のように請求項1に係る金属箔付き絶縁シートは、配線板の多層化に利用すると、内層材に対して絶縁シートにて絶縁層を積層成形すると共に金属箔を除去した際に、絶縁層の表面に金属箔の粗面の形状が転写した粗面化形状が形成され、この絶縁シートにて形成される絶縁層にビアホールを形成する際にデスミア処理を施しても、第一層がデスミア処理液に対する樹脂溶解性が低いことから、絶縁層の粗面化形状は破壊されずに維持されることとなり、この絶縁層の表面にめっき処理等により導体配線を形成しても、アンカー効果により高い密着強度を付与することができ、配線板の多層化工程において導体配線の厚膜化を防ぐために金属箔付き絶縁シートの金属箔を除去した後、ビアホール形成のためのデスミア処理を施す場合でも、デスミア処理後の絶縁層の表面がなだらかになってしまうことを防止し、絶縁シートにて形成される絶縁層とその表面に形成されるめっき処理による導体配線との間に優れた密着強度を付与することができるものである。
また記第一層と第二層とを同一の樹脂材料にて形成すると共に、その重合度が第二層よりも第一層の方が高くなるように形成し、第一層と第二層とに共に液状ゴムを含有させると共に第一層よりも第二層における液状ゴムの含有率を多くすることで、第一層が第二層よりもデスミア処理液による樹脂溶解性が低くなるように形成すると共に、第一層と第二層との間の層間密着性を向上することができるものである。
【0079】
また、請求項2の発明では、絶縁層の表面に粗化面を形成する際にこの第一層に粗化面が形成されるようにすることができ、且つ金属箔付き絶縁シートの柔軟性を維持して金属箔付き絶縁シートの取扱時等における割れ等の破損発生を抑制することができ、金属箔付き絶縁シートの取扱性を向上することができるものである。
【0080】
また、請求項3の発明では、第一層を構成する樹脂はデスミア処理液に対する溶解性が低く、第一層形成のために好適に用いることができるものであり、デスミア処理時における絶縁層の表面の粗面化形状の維持を更に確実なものとして、絶縁シートにて形成される絶縁層とその表面に形成されるめっき処理による導体配線との間の密着強度を更に向上することができるものである。
【0081】
また、請求項4の発明では、第一層と第二層との間のデスミア処理液に対する溶解性の差を十分に大きくして、デスミア処理による樹脂残渣の除去時における絶縁層の粗面化形状の破壊を更に抑制し、絶縁シートにて形成される絶縁層とその表面に形成されるめっき処理による導体配線との間の密着強度を更に向上することができるものである。
【0082】
また、請求項5に係る金属箔付き絶縁シートは、配線板の多層化に利用すると、絶縁シートにて形成される絶縁層にビアホールを形成する際にデスミア処理を施す場合、第一層の表面がデスミア処理液に溶解したときにフィラーの脱落により絶縁層の表面に粗面が形成され、この絶縁層の表面にめっき処理等により導体配線を形成すると、アンカー効果により高い密着強度を付与することができるものであり、配線板の多層化工程において導体配線の厚膜化を防ぐために金属箔付き絶縁シートの金属箔を除去した後、ビアホール形成のためのデスミア処理を施す場合でも、デスミア処理後の絶縁層の表面がなだらかになってしまうことを防止し、絶縁シートにて形成される絶縁層とその表面に形成されるめっき処理による導体配線との間に優れた密着強度を付与することができるものである。
【0083】
また、請求項6に係る多層配線板は、その製造過程において金属箔付き絶縁シートの絶縁シートから形成される絶縁層にデスミア処理が施されているにもかかわらず、その処理後の絶縁層には粗面化形状が形成されており、この絶縁層の外層にめっき処理により形成された導体配線は、アンカー効果により高い密着強度が付与されるものであり、しかもこの外層の導体配線は、金属箔が除去された後の絶縁層の外層に形成されることから、厚膜化を防止することが可能であり、この導体配線を細線加工することが容易となるものである。
【0084】
また、請求項7に係る多層配線板の製造方法は、内層材に対して絶縁シートにて絶縁層を積層成形すると共に金属箔を除去した際に、絶縁層の表面に金属箔の粗面の形状が転写した粗面化形状が形成され、デスミア処理後においても、第一層がデスミア処理液に対する樹脂溶解性が低いことから、絶縁層の粗面化形状は破壊されずに維持されることとなり、この絶縁層の表面にめっき処理により形成される導体配線は、アンカー効果により高い密着強度を付与されるものであり、しかもこの外層の導体配線は、金属箔が除去された後の絶縁層の外層に形成されることから、厚膜化を防止することが可能であり、この導体配線を細線加工することが容易となるものである。
また第一層と第二層とを同一の樹脂材料にて形成すると共に、その重合度が第二層よりも第一層の方が高くなるように形成し、第一層と第二層とに共に液状ゴムを含有させると共に第一層よりも第二層における液状ゴムの含有率を多くすることで、第一層が第二層よりもデスミア処理液による樹脂溶解性が低くなるように形成すると共に、第一層と第二層との間の層間密着性を向上することができるものである。
【0085】
また請求項8に係る多層配線板の製造方法は、デスミア処理時に、第一層の表面が溶解すると、フィラーの脱落により、絶縁シートにて形成される絶縁層の表面に粗面が形成され、この絶縁層に外層にめっき処理にて形成された導体配線は、アンカー効果により高い密着強度が付与されるものであり、しかもこの外層の導体配線は、金属箔が除去された後の絶縁層の外層に形成されることから、厚膜化を防止することが可能であり、この導体配線を細線加工することが容易となるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の一例を示すものであり、(a)乃至(f)は断面図である。
【図2】従来技術の一例を示すものであり、(a)乃至(e)は断面図である。
【符号の説明】
1 金属箔付き絶縁シート
2 金属箔
3 第一層
4 第二層
5 絶縁シート
6 絶縁層
7 導体配線
8 絶縁層
9 絶縁層
10 非貫通孔
11 ホールめっき
12 導体配線

Claims (8)

  1. 絶縁シートの一面に金属箔が貼着された金属箔付き絶縁シートにおいて、前記絶縁シートが、金属箔の粗面と直接隣接して形成される第一層と、第一層に対して金属箔とは反対側に形成される第二層とを含む少なくとも2種以上の複数の樹脂層から形成され、且つ前記第一層が前記第二層よりも、デスミア処理液による樹脂溶解性が低いものであり、
    前記第一層と前記第二層とが同一の樹脂材料にて形成されると共に、その重合度が第二層よりも第一層の方が高くなるように形成され、第一層と第二層とが共に液状ゴムを含有すると共に第一層よりも第二層における液状ゴムの含有率が多いことを特徴とする金属箔付き絶縁シート。
  2. 上記第一層の厚みが0.5〜10μmの範囲であることを特徴とする請求項1に記載の金属箔付き絶縁シート。
  3. 上記第一層が、シリコーン系、四フッ化エチレン系、エンジニアリングプラスチック系から選ばれた少なくとも一種の樹脂から形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の金属箔付き絶縁シート。
  4. 上記第一層と上記第二層との、デスミア処理液のデスミアエッチレートが、20%以上異なることを特徴とする請求項1乃至3に記載の金属箔付き絶縁シート。
  5. 記第一層が、前記第二層よりもフィラー含有率が高いことを特徴とする請求項1乃至4に記載の金属箔付き絶縁シート。
  6. 絶縁層の表面に導体配線が積層成形された内層材に対して、請求項1乃至5のいずれかに記載の金属箔付き絶縁シートを、内層材の導体配線と金属箔付き絶縁シートの絶縁シートとが対向するように積層一体化し、前記金属箔付き絶縁シートの金属箔を除去した後に絶縁シートにて形成される絶縁層に非貫通孔をその底面で前記導体配線の一部が露出するように穿設し、非貫通孔内面にデスミア処理液にてデスミア処理を行った後に、めっき処理にて外層の導体配線と非貫通孔内面のホールめっきとを形成して成ることを特徴とする多層配線板。
  7. 絶縁層の表面に導体配線が積層成形された内層材に対して、金属箔付き絶縁シートを、内層材の導体配線と金属箔付き絶縁シートの絶縁シートとが対向するように積層一体化し、前記金属箔付き絶縁シートの金属箔を除去した後に絶縁シートにて形成される絶縁層に非貫通孔をその底面で前記導体配線の一部が露出するように穿設し、非貫通孔内面にデスミア処理液にてデスミア処理を行った後に、めっき処理にて外層の導体配線形成と非貫通孔内面のホールめっき形成とを行う多層配線板の製造方法において、前記金属箔付き絶縁シートの絶縁シートを、金属箔の粗面と直接隣接して形成される第一層と、第一層に対して金属箔とは反対側に形成される第二層とを含む少なくとも2種以上の複数の樹脂層から形成し、且つ前記第一層と前記第二層とを同一の樹脂材料にて形成すると共に、その重合度が第二層よりも第一層の方が高くなるように形成し、第一層と第二層とに共に液状ゴムを含有させると共に第一層よりも第二層における液状ゴムの含有率を多くすることで、前記第一層が前記第二層よりも、前記デスミア処理液による樹脂溶解性が低いものとなるようにすることを特徴とする多層配線板の製造方法。
  8. 記第一層が、前記第二層よりもフィラー含有率が高いことを特徴とする請求項7に記載の多層配線板の製造方法
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