JP2020088062A - 多層配線板の製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
(a)支持体、剥離樹脂層及び金属箔をこの順に備えた積層シートを用意する工程と、
(b)前記金属箔にエッチングを伴うパターニングを施して第1配線層を形成する工程と、
(c)前記積層シートの前記第1配線層側の面に絶縁層及び配線層を順に又は交互に形成して、前記第1配線層が埋め込み配線層の形で組み込まれた多層配線板とし、その際、前記絶縁層と前記剥離樹脂層との間の剥離強度が、前記支持体と前記剥離樹脂層との間の剥離強度よりも低いものとなる工程と、
(d)前記多層配線板から前記支持体を前記剥離樹脂層とともに剥離して単体の多層配線板を得る工程と、
を含む、方法が提供される。
本発明による多層配線板の製造方法は、(1)積層シートの用意、(2)第1配線層の形成、(3)多層配線板の形成、(4)支持体及び剥離樹脂層の剥離、及び(5)所望により行われる多層配線板の加工の各工程を含む。
図1(i)に示されるように、多層配線板を形成するためのベースとなる積層シート10を用意する。積層シート10は支持体12、剥離樹脂層14及び金属箔16をこの順に備える。なお、図1(i)に示される態様は説明の簡略化のために支持体12の片面に剥離樹脂層14及び金属箔16を設けて多層配線板24を形成するように描かれているが、支持体12の両面に剥離樹脂層14及び金属箔16を設けて当該両面に対して多層配線板24を形成するのが望ましい。積層シート10の好ましい態様については後述するものとする。
図1(ii)に示されるように、金属箔16にエッチングを伴うパターニングを施して第1配線層18を形成する。このように、金属箔16を利用して第1配線層18を形成することで、後述する多層配線板の形成工程の前に金属箔16の不要部分を除去することができる。エッチングを伴うパターニングはいかなる手法で行ってもよく、例えばMSAP(モディファイド・セミアディティブ・プロセス)法、SAP(セミアディティブ・プロセス)法、サブトラクティブ法等の公知の工法が使用可能である。
図1(iii)に示されるように、積層シート10の第1配線層18側の面に絶縁層20及び第n配線層22(nは2以上の整数)を順に又は交互に形成して、第1配線層18が埋め込み配線層の形で組み込まれた多層配線板24とする。その際、絶縁層20と剥離樹脂層14との間の剥離強度が、支持体12と剥離樹脂層14との間の剥離強度よりも低くなるように設定されている。そのため、第1配線層18を埋め込むための絶縁層20を積層する前に金属箔16の不要部分をエッチング除去しても、ビルドアップ層を構成する絶縁層20及び第n配線層22の形成後に支持体12及び剥離樹脂層14を一緒に剥離することが可能となる。
多層配線板24から支持体12を剥離樹脂層14とともに剥離して単体の多層配線板24を得る。剥離の方法は、物理的な引き剥がしが好ましく、この引き剥がし方法については、機械若しくは冶具、手作業又はこれらの組合せによる方法が採用され得る。上述したように、本発明では第1配線層18を形成する段階で金属箔16の不要部分を予めエッチング除去しているため、支持体12及び剥離樹脂層14を一緒に剥離しさえすれば、埋め込み回路である第1配線層18を備えた単体の多層配線板24を得ることができる。換言すれば、支持体12及び剥離樹脂層14の剥離後に、多層配線板24の第1配線層18側表面にフラッシュエッチングを行うことを要しないため、オーバーエッチングによる第1配線層18における回路凹みの発生を回避できる。その結果、従来のコアレスビルドアップ法で問題とされていた埋め込み回路の高さ不良が効果的に抑制された、表面平坦性に優れた埋め込み回路を備えた多層配線板を得ることができる。
こうして得られた単体の多層配線板24を必要に応じて加工し、プリント配線板を得ることもできる。この工程では、上記剥離工程により得られた単体の多層配線板24を用いて所望の多層プリント配線板に加工する。多層配線板24から多層プリント配線板への加工方法は公知の種々の方法を採用すればよい。例えば、多層配線板24にさらにビルドアップ配線層としての絶縁層と配線層を任意の層数として積層してもよく、或いは第1配線層18の表面にソルダーレジストを形成し、Ni−Auめっき、Ni−Pd−Auめっき、水溶性プレフラックス処理等の外層パッドとしての表面処理を施してもよい。さらには外層パッドに柱状のピラー等を設けてもよい。この際、本発明の製造方法で作製された第1配線層18は回路凹みの発生が極めて少ないものとなる。このため、回路厚さの極端に薄い部位や回路凹み等に起因する表面処理工程における局所的な処理不良やソルダーレジスト残渣不良、更には実装パッドの凹凸による実装不良等の不具合発生率の少ない、実装信頼性に優れたプリント配線板を得ることができる。
前述したとおり、本発明の方法で用いられる積層シート10は、支持体12、剥離樹脂層14及び金属箔16をこの順に備える(図1(i))。
積層シートを作製し、この積層シートを用いてMSAP法により埋め込み配線層を備えたサンプル基板を作製した。具体的には以下のとおりである。
スチレン−ブタジエン共重合体(JSR株式会社製、TR2250)58.0重量部、ポリスチレン樹脂(DIC株式会社製、CR2500)30.0重量部、α−メチルスチレンダイマー(五井化成株式会社製、AMSD)9.0重量部、ポリフェニレンエーテル樹脂(三菱ガス化学株式会社製、OPE−2St 2200)1.0重量部、シリコーン樹脂(信越化学工業株式会社製、KP−301)1.0重量部、及びフッ素系界面活性剤(DIC株式会社製、F−553)1.0重量部を、溶剤であるトルエンに溶解し、樹脂固形分20重量%の樹脂ワニスを調製した。この樹脂ワニスを厚さ3μm、表面の算術平均粗さRaが0.30μmの銅箔に均一に塗布し、風乾後、120℃で3分間の加熱処理を行い、剥離樹脂層付銅箔を得た。このとき、剥離樹脂層14の厚さは50μmとした。得られた剥離樹脂層付銅箔の剥離樹脂層14側の表面に、支持体12としてプリプレグ(三菱ガス化学株式会社製、830NS、厚さ200μm、軟化点255℃、熱膨張係数10ppm/℃)を当接させ、圧力30kgf/cm2及び温度220℃で90分間の熱間プレス成形を行って、支持体12、剥離樹脂層14及び金属箔16である銅箔をこの順に備えた積層シート10を得た。なお、剥離樹脂層14のフッ素濃度は7000ppm、支持体12の剥離樹脂層14側の表面の算術平均粗さRaは2.10μmであった。
上記得られた積層シート10に対して酸性脱脂剤(メルテックス株式会社製、メルプレートPC−316)を用いて洗浄を行った。洗浄した積層シート10の銅箔表面にドライフィルム(日立化成株式会社製、RY5319)を貼り付け、露光及び現像を行い、フォトレジスト17aを所定のパターンで形成した。フォトレジスト17aが形成された積層シート10にパターンめっきを行い、銅箔の露出表面(すなわちフォトレジスト17aでマスキングされていない部分)に厚さ20μmの銅層を形成した後、フォトレジスト17aを剥離した。その後、積層シート10を過酸化水素及び硫酸を含むエッチング液(三菱ガス化学株式会社製、CPE−800)で処理することにより、フォトレジスト17aの剥離により露出した銅箔の不要部分を溶解除去し、ライン/スペース=20μm/20μmの第1配線層18を形成した。
第1配線層18の表面に対して、有機酸系マイクロエッチング剤(メック株式会社製、CZ−8101)を用いて内層処理(CZ処理)を施した。次いで、第1配線層18上にプリプレグ(三菱ガス化学株式会社製、830NSF、厚さ45μm×3枚)を絶縁層20として積層し、圧力30kgf/cm2及び温度200℃で90分間の熱間プレス成形を行い、剥離樹脂層14の表面形状が転写された絶縁層20により、第1配線層18が埋め込み配線層の形で組み込まれたサンプル積層体を作製した。その後、このサンプル積層体から支持体12及び剥離樹脂層14を物理的に剥離して、埋め込み配線層を備えたサンプル基板を得た。なお、このサンプル基板は多層配線板ではないものの、支持体12及び剥離樹脂層14の剥離前に、絶縁層20上に公知の工法を用いて更なる配線層等を形成することで、本発明の製造方法で作製された多層配線板とすることが可能である。
積層シートを作製し、この積層シートを用いてサブトラクティブ法により埋め込み配線層を備えたサンプル基板を作製した。具体的には以下のとおりである。
厚さ12μmの銅箔を用いたこと以外は、例1(1)と同様の手順により積層シート10を作製した。
得られた積層シート10に対して脱脂剤(メルテックス株式会社製、メルプレートPC−316)を用いて洗浄を行った。洗浄した積層シート10の銅箔表面にドライフィルム(日立化成株式会社製、RY5319)を貼り付け、露光及び現像を行い、エッチングレジスト17cを所定のパターンで形成した。その後、積層シート10の銅箔表面を塩化第二銅エッチング液で処理して、エッチングレジスト17c間から銅を溶解除去した後、エッチングレジスト17cを剥離して、ライン/スペース=30μm/30μmの第1配線層18を形成した。
例1(3)と同様の手順により第1配線層18が埋め込み配線層の形で組み込まれたサンプル積層体を作製した。このサンプル積層体から支持体12及び剥離樹脂層14を剥離して、埋め込み配線層を備えたサンプル基板を得た。
例1及び2で作製されたサンプル積層体及び/又はサンプル基板について、剥離樹脂層の剥離前後における断面の観察を行った。具体的には以下のとおりである。
まず、支持体12及び剥離樹脂層14を剥離する前のサンプル積層体を所定のサイズに切り出して試料片とした。この試料片に対してミクロトーム(Leica Biosystems社製、RM2265)で切削を行って第1配線層18の断面を露出させた。露出した試料片の断面に対してデジタルマイクロスコープ(株式会社フローベル製、XD500)を用いて倍率2000倍で写真撮影を行った。こうして得られたサンプル積層体の断面の写真は図4(例1、MSAP法)及び図6(例2、サブトラクティブ法)に示されるとおりであった。
支持体12及び剥離樹脂層14を除去した後のサンプル基板を所定のサイズに切り出して試料片とした。この試料片の第1配線層18側の表面に保護用の樹脂を塗工し、上記同様にして層断面の写真撮影を行った。得られたサンプル基板の断面の写真は図5(例1、MSAP法)及び図7(例2、サブトラクティブ法)に示されるとおりであった。
12 支持体
14 剥離樹脂層
16,116,136 金属箔
17a,120 フォトレジスト
17b 電気めっき層
17c エッチングレジスト
18,126 第1配線層
20,128 絶縁層
22,140 第n配線層
24,144 多層配線板
110,130 キャリア付金属箔
112,132 キャリア
114,134 剥離層
118 コアレス支持体
122 パターンめっき
124 配線パターン
126a 回路凹み
138 第2配線層
142 ビルドアップ層
146 プリント配線板
Claims (12)
- 多層配線板の製造方法であって、
(a)支持体、剥離樹脂層及び金属箔をこの順に備えた積層シートを用意する工程と、
(b)前記金属箔にエッチングを伴うパターニングを施して第1配線層を形成する工程と、
(c)前記積層シートの前記第1配線層側の面に絶縁層及び配線層を順に又は交互に形成して、前記第1配線層が埋め込み配線層の形で組み込まれた多層配線板とし、その際、前記絶縁層と前記剥離樹脂層との間の剥離強度が、前記支持体と前記剥離樹脂層との間の剥離強度よりも低いものとなる工程と、
(d)前記多層配線板から前記支持体を前記剥離樹脂層とともに剥離して単体の多層配線板を得る工程と、
を含む、方法。 - 前記絶縁層と前記剥離樹脂層との間の剥離強度が、前記支持体と前記剥離樹脂層との間の剥離強度の0.1倍以上0.8倍以下である、請求項1に記載の方法。
- 前記支持体の前記剥離樹脂層側の表面の算術平均粗さRaであるR0が2.0μm以上であり、硬化後の前記絶縁層の前記剥離樹脂層側の表面の算術平均粗さRaであるR1が2.0μm未満であって、かつ、R0に対するR1の比R1/R0が0.5以下である、請求項1又は2に記載の方法。
- 前記支持体の軟化点が180℃以上である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
- 前記支持体の熱膨張係数が1ppm/℃以上400ppm/℃以下である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
- 前記支持体が、樹脂層と、該樹脂層の少なくとも一方の表面に設けられる金属層とを備える、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
- 前記金属層が、Cu、Al及びNiからなる群から選択される少なくとも1種を含む金属又は合金で構成される、請求項6に記載の方法。
- 前記剥離樹脂層がフッ素を含有する、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
- 前記剥離樹脂層のフッ素濃度が300ppm以上100000ppm以下である、請求項8に記載の方法。
- 前記剥離樹脂層の前記支持体側表面のフッ素濃度F0が300ppm以上であり、かつ、F0に対する前記剥離樹脂層の前記支持体と反対側表面のフッ素濃度F1の比、すなわちF1/F0が2以上である、請求項8に記載の方法。
- 前記剥離樹脂層が、ポリイミド、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリベンゾイミダゾール、ポリエーテルサルフォン、液晶ポリマー、シンジオタクチックポリスチレン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリサルフォン、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルイミド、シクロオレフィン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリメチルペンテン、超高分子量ポリエチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリエチレンナフタレート、ポリオレフィン、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリフェニレンエーテル、ポリアリレート、フェノキシ樹脂、及びスチレン−ブタジエン共重合体からなる群から選択される少なくとも1種を含む、請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
- 前記金属箔がCu、Al、Ni、Co、Zn及びCrからなる群から選択される少なくとも1種の金属で構成される、請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法。
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