JP2006093746A - 多層配線基板製造方法および多層配線基板 - Google Patents

多層配線基板製造方法および多層配線基板 Download PDF

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Abstract

【課題】絶縁層と導体層との間において高い密着性を達成することのできる多層配線基板製造方法および多層配線基板を提供すること。
【解決手段】本発明の多層配線基板製造方法は、絶縁層20,30を介して多層化された導体層40を有する多層配線基板X1を製造するためのものであり、例えば、無機材料と結合可能な官能基を有するカップリング剤を、当該官能基を介して、無機材料よりなる支持体に付着させ、当該支持体表面にカップリング剤膜を形成する工程と、カップリング剤膜を絶縁層20上に転写する工程と、カップリング剤膜上に、無機材料よりなる導体層40を形成する工程とを含む。
【選択図】図1

Description

本発明は、電気・電子機器の回路系に使用される多層配線基板の技術に関する。
近年、電子機器に対する小型化、高性能化および低価格化等の要求に伴い、電子機器に組み込まれる電子部品の高密度実装化が急速に進んでいる。そのような高密度実装化に対応すべく、電子部品を実装するための基板などについては、配線が多層化されたビルドアップ多層配線構造が採用される場合がある。ビルドアップ多層配線構造においては、複数のビルドアップ絶縁層間に配線パターンが埋め込まれており、各配線パターン間は、絶縁層に開けられたビアホールに設けられるビアによって、電気的に接続されている。
ビルドアップ多層配線構造の形成においては、まず、既に配線パターンが形成されている支持基板やビルドアップ絶縁層に対して、その配線パターンの上方からビルドアップ絶縁層を積層形成する。次いで、当該絶縁層に対してビアホールを形成する。ビアホールの形成手法としては、絶縁層材料として感光性樹脂を用いてフォトリソグラフィ技術により絶縁層に穴を形成する方法や、レーザを照射することによって絶縁層に穴を形成する方法などが採用される。
絶縁層にビアホールを形成した後、無電解めっきや電気めっきによって、絶縁層上に導体材料を成膜する。このとき、導体材料によりビアホールにはビアが形成される。次いで、成膜された導体材料をエッチングすることによって配線パターンを形成する。このようにして絶縁層上において配線パターンを形成した後、絶縁層の積層形成から配線パターン形成までの一連の工程を所定回数繰り返すことによって、回路の多層化を図ることができ、その結果、回路の集積度を高めることができる。
このようなビルドアップ多層配線構造をとる従来の多層配線基板では、絶縁層と配線パターンとの密着性を確保すべく、絶縁層の表面に粗面化処理を施したうえで、当該絶縁層上に配線パターンが積層形成されている。より具体的には、膨潤液、粗化液、中和液に順次浸漬することによって、露出する絶縁層表面に例えばRmax5μm程度の凹凸を形成し、この上に、例えば無電解銅めっきおよび電気銅めっきを順次施すことによって銅配線パターンが形成されている。このような絶縁層表面の粗面化により、絶縁層と銅配線パターンとの間において、物理的なアンカー効果に基く密着性が得られる。
しかしながら、このような従来の手法によっては、絶縁層と配線パターンとの間に充分な密着性を達成できない場合があった。例えばJIS−C−6481に準じた90度剥離試験において示される剥離強度については、1kgf/cm未満である場合が多い。絶縁層に対する配線パターンの密着性が充分でないと、微細配線構造を適切に形成できない等の不具合が生じ易い。
また、表面粗さ(Rmax)5μm程度にまで絶縁層表面を粗面化すると、絶縁層との接触面積がより小さい配線においては、絶縁層に対する密着性が低下する傾向にあり、配線の微細化が阻害され得る。そのため、ビルドアップ配線構造における絶縁層に対する配線パターンの密着性については、配線の微細化を阻害しない程度にまで絶縁層の粗面化を抑えつつ、上述の90度剥離試験において1kgf/cm以上の剥離強度を達成することが求められている。
本発明は、このような事情のもとで考え出されたものであって、絶縁層と配線パターンないし導体層との間において高い密着性を達成することのできる多層配線基板製造方法および多層配線基板を提供することを目的とする。
本発明の第1の側面によると、絶縁層および配線パターンによる積層構造を有する多層配線基板を製造するための方法が提供される。この製造方法は、カップリング剤で表面が処理されている支持体を、カップリング剤を介して絶縁層に貼り合わせる工程と、カップリング剤を絶縁層上に残しつつ支持体を除去することによって、カップリング剤を絶縁層に転写する工程と、を少なくとも含むことを特徴とする。
このような構成によると、多層配線基板において、絶縁層と、これに積層される配線パターンとの密着性を高めることができる。本発明の第1の側面に係る方法により製造される多層配線基板では、有機材料である樹脂材料からなる絶縁層と、無機材料である金属材料からなる配線パターンとの間には、カップリング剤が介在している。カップリング剤としては、例えば、シラン系カップリング剤やチタネート系カップリング剤を用いることができる。このようなカップリング剤は、シラン系カップリング剤を例として図11に示すように、有機材料Aと結合可能な官能基(−Y:ビニル基、アミノ基、エポキシ基、イミダゾール基など)、および、無機材料Bと結合可能な官能基(−OR:水酸基、メトキシ基、エトキシ基など)を有する。本発明の第1の側面の方法により得られる多層配線基板では、−Yは、樹脂材料よりなる絶縁層の樹脂構造に組み込まれており、且つ、−ORは、金属材料よりなる配線パターンの表面と化学結合しているものと考えられる。カップリング剤のこのような働きにより、絶縁層に対する配線パターンの密着性は高くなっているものと考えられる。
本発明の第1の側面によると、カップリング剤は、例えばフィルム状の支持体表面に一旦付着されており、絶縁層に対する当該支持体の貼り合わせ工程を経て、絶縁層表面に転写される。これに対し、絶縁層表面にカップリング剤を付着させるためには、当該絶縁層をカップリング剤溶液に浸漬するなどして絶縁層表面に対して直接的にカップリング剤を作用させる手法も考え得る。しかしながら、本発明者らの鋭意研究の結果、カップリング剤溶液への材料の浸漬や、カップリング剤溶液の材料への噴霧などによるカップリング剤処理によっては、有機材料である樹脂材料よりなる絶縁層に対するよりも、無機材料である金属材料よりなる支持体に対する方が、カップリング剤は高い表面被覆率で付着するという知見が得られた。すなわち、カップリング剤を直接作用させる場合、単位面積あたりに付着するカップリング剤の量は、絶縁層よりも支持体の方が多いのである。その理由は、カップリング剤の有する−OR(水酸基、メトキシ基、エトキシ基など)が、支持体を構成する金属などの無機材料との間において、容易にアルコキシド様の結合(−O−M−,M:金属など)を形成するためであると考えられる。カップリング剤が−ORを介して支持体に付着すると、支持体表面を被覆する当該カップリング剤は、有機材料と結合可能な官能基(−Y)を外部に露出しつつ支持体表面に整列することとなる。
本発明の第1の側面では、カップリング剤は、このように官能基(−Y)を露出させつつ高い表面被覆率で支持体に付着しており、支持体は、当該カップリング剤を介して絶縁層表面に貼り合わされる。そして、例えば真空プレス装置や真空ラミネート装置により当該支持体を絶縁層に対して加熱・加圧することによって、カップリング剤の官能基(−Y)が絶縁層の樹脂構造に取り込まれるなどして、カップリング剤は官能基(−Y)を介して絶縁層に固定される。その後、支持体のみを例えばエッチングなどにより除去してカップリング剤を絶縁層に転写すると、高い表面被覆率でカップリング剤が絶縁層に付着している状態が得られる。このように高い表面被覆率で付着しているカップリング剤を介して絶縁層上に配線パターンが形成されると、絶縁層と配線パターンとの間においてより多くのカップリング剤が介在することとなり、その結果、絶縁層とこれに積層される配線パターンとの間において、より高い密着性を達成することが可能となる。このようにして、本発明の第1の側面によると、絶縁層表面をカップリング剤で直接的に処理する場合よりも、絶縁層に対するカップリング剤の付着状態を良好なものとすることができるのである。
更に、本発明の第1の側面によると、絶縁層に対して粗面化処理を施す場合であっても、配線の微細化を阻害しない程度にまで粗面化の程度を抑えつつ、絶縁層と配線パターンとの間において充分な密着性を得ることができる。その結果、多層配線基板において、微細配線構造を適切に形成することが可能となる。
なお、例えば下記特許文献1には、回路基板に形成されるバンプと基板本体との接合状態を向上すべく、回路基板表面に成膜される絶縁層とバンプとの間にカップリング剤を介在させる技術が開示されている。ただし、当該カップリング剤は、バンプ形成前の回路基板をカップリング剤溶液に浸漬することによって絶縁層表面に付着されており、支持体を用いて絶縁層表面にカップリング剤を転写する本発明とは異なる。また、密着性の向上が図られるのは、回路基板の最外絶縁層とこれに接触するバンプとの間であって、多層配線基板における絶縁層とこれに積層形成される配線パターンではない。一方、例えば下記特許文献2には、絶縁層と無電解めっき層との密着性を向上すべく、これらの間にカップリング剤を介在させる技術が開示されている。ただし、当該カップリング剤は、無電解めっき層形成前に当該絶縁層をカップリング剤溶液に浸漬することによって絶縁層表面に付着されており、支持体を用いて絶縁層表面にカップリング剤を転写する本発明とは異なる。
特開平5−335314号公報 特開2001−323381号公報
本発明の第2の側面によると、絶縁層および配線パターンによる積層構造を有する多層配線基板を製造するための他の方法が提供される。この製造方法は、金属含有密着層を有して当該金属含有密着層の露出面がカップリング剤で処理されている支持体を、カップリング剤および金属含有密着層を介して絶縁層に貼り合わせる工程と、カップリング剤および金属含有密着層を絶縁層上に残しつつ支持体を除去することによって、カップリング剤および金属含有密着層を絶縁層に転写する工程と、を少なくとも含むことを特徴とする。
このような構成によると、絶縁層に対する配線パターンの密着性を更に高めることができる。本発明の第2の側面における金属含有密着層は、金属材料よりなる配線パターンに対する密着性が高い金属化合物であって、且つ、カップリング剤の−OR基との間において、支持体よりも強い結合を形成することが可能な金属化合物よりなる。本発明の第2の側面に係る方法により製造される多層配線基板では、このような金属含有密着層が、カップリング剤とともに、絶縁層と配線パターンとの間に介在しており、カップリング剤の官能基(−Y)は絶縁層の樹脂構造に組み込まれ、官能基(−OR)は金属含有密着層または金属含有密着層を超えて配線パターンと化学結合しているものと考えられる。そして、金属含有密着層は、更に、配線パターンと化学結合しているものと考えられる。このようなカップリング剤および金属含有密着層の重畳的な働きにより、絶縁層に対する配線パターンの密着性は更に向上するのである。
第2の側面においては、カップリング剤は、支持体に設けられた金属含有密着層表面に一旦付着されるが、金属含有密着層も支持体と同様に金属を含む無機材料よりなる。そのため、有機材料である樹脂材料よりなる絶縁層に対するよりも、無機材料である金属含有密着層に対する方が、カップリング剤は高い表面被覆率で付着し得る。したがって、本発明の第2の側面によっても、カップリング剤を支持体から絶縁層に転写することによって、カップリング剤の表面被覆率について第1の側面に関して上述したのと同様の効果が奏される。また、本発明の第2の側面においては、金属含有密着層はカップリング剤とともに絶縁層に転写されるところ、当該転写のために行われる支持体の貼り合わせ工程は、例えば真空プレスや真空ラミネートにより、絶縁層に対して加圧した条件下で行うことができる。そのため、めっき技術などにより金属含有密着層を絶縁層に対して直接に成膜する場合よりも、金属含有密着層を絶縁層に対してより強固な接合状態で成膜することができる。加えて、本発明の第2の側面によると、第1の側面と同様に、絶縁層に対して粗面化処理を施す場合であっても、配線の微細化を阻害しない程度にまで粗面化の程度を抑えつつ、充分な密着性を得ることができる。その結果、多層配線基板において、良好な微細配線構造を形成することが可能となる。
本発明の第3の側面によると多層配線基板の他の製造方法が提供される。この方法は、支持体の表面をカップリング剤で処理する工程と、第1の配線パターンが形成されている面に対して絶縁層を形成する工程と、支持体を、カップリング剤を介して絶縁層に貼り合わせる工程と、カップリング剤を絶縁層上に残しつつ支持体を除去することによって、カップリング剤を絶縁層に転写する工程と、カップリング剤が転写された絶縁層上に第2の配線パターンを形成する工程と、を含むことを特徴とする。第1の配線パターンが形成されている面とは、支持基板を用いる場合には当該支持基板表面または絶縁層表面であり、全層がビルドアップ絶縁層からなる多層配線基板の場合にはビルドアップ絶縁層表面である。また、本発明において、カップリング剤処理工程と絶縁層形成工程とは、経時的には独立した工程であり、優先的な順列を有さない。本発明の第3の側面に係る方法によって得られる多層配線基板においても、絶縁層と配線パターンとの間にカップリング剤が介在し、このカップリング剤は、支持体から絶縁層へ転写されることによって設けられる。したがって、第3の側面においても、絶縁層に対する配線パターン(第2の配線パターン)の密着性について、第1の側面に関して上述したのと同様の効果が奏される。
本発明の第4の側面によると多層配線基板を製造するための他の方法が提供される。この方法は、支持体の表面をカップリング剤で処理する工程と、第1の配線パターンが形成されている面に対して絶縁層を形成する工程と、支持体を、カップリング剤を介して絶縁層に貼り合わせる工程と、カップリング剤を絶縁層上に残しつつ支持体を除去することによって、カップリング剤を絶縁層に転写する工程と、カップリング剤が転写された絶縁層に対してビアホールを形成する工程と、カップリング剤が転写された絶縁層上に第2の配線パターンを形成するとともにビアホールにビアを形成する工程と、を含むことを特徴とする。本発明の第4の側面に係る方法によって得られる多層配線基板においても、絶縁層と配線パターンとの間にカップリング剤が介在し、このカップリング剤は、支持体から絶縁層へ転写されることによって設けられる。したがって、第4の側面においても、絶縁層に対する配線パターン(第2の配線パターン)の密着性について、第1の側面に関して上述したのと同様の効果が奏される。
本発明の第3の側面における第2の配線パターンを形成する工程、または、第4の側面における第2の配線パターンとともにビアを形成する工程では、好ましくは、絶縁層上に無電解めっき膜を形成し、当該無電解めっき膜上にレジストパターンを形成し、当該レジストパターンの非マスク領域に電気めっき膜を形成し、レジストパターンを除去し、電気めっき膜に覆われていない無電解めっき膜を除去する。本発明では、このようなめっき技術により、絶縁層との密着性の高い配線パターン(第2の配線パターン)を形成することができる。
本発明の第5の側面によると多層配線基板を製造するための他の方法が提供される。この方法は、支持体上に金属含有密着層を形成する工程と、金属含有密着層の表面をカップリング剤で処理する工程と、第1の配線パターンが形成されている面に対して絶縁層を形成する工程と、支持体を、カップリング剤および金属含有密着層を介して絶縁層に貼り合わせる工程と、カップリング剤および金属含有密着層を絶縁層上に残しつつ支持体を除去することによって、カップリング剤および金属含有密着層を絶縁層に転写する工程と、金属含有密着層上に第2の配線パターンを形成する工程と、を含むことを特徴とする。本発明の第5の側面に係る方法によって得られる多層配線基板においても、絶縁層と配線パターンとの間にカップリング剤および金属含有密着層が介在し、これらカップリング剤および金属含有密着層は、支持体から絶縁層へ転写されることによって設けられる。したがって、第5の側面においても、絶縁層に対する配線パターン(第2の配線パターン)の密着性について、第2の側面に関して上述したのと同様の効果が奏される。
本発明の第6の側面によると多層配線基板を製造するための他の方法が提供される。この方法は、支持体上に金属含有密着層を形成する工程と、金属含有密着層の表面をカップリング剤で処理する工程と、第1の配線パターンが形成されている面に対して絶縁層を形成する工程と、支持体を、カップリング剤および金属含有密着層を介して絶縁層に貼り合わせる工程と、カップリング剤および金属含有密着層を絶縁層上に残しつつ支持体を除去することによって、カップリング剤および金属含有密着層を絶縁層に転写する工程と、カップリング剤および金属含有密着層が転写された絶縁層に対してビアホールを形成する工程と、金属含有密着層上に第2の配線パターンを形成するとともにビアホールにビアを形成する工程と、を含むことを特徴とする。
本発明の第6の側面に係る方法によって得られる多層配線基板においても、絶縁層と配線パターンとの間にカップリング剤および金属含有密着層が介在し、これらカップリング剤および金属含有密着層は、支持体から絶縁層へ転写されることによって設けられる。したがって、第6の側面においても、絶縁層に対する配線パターン(第2の配線パターン)の密着性について、第2の側面に関して上述したのと同様の効果が奏される。加えて、第6の側面によると、ビアホールには金属含有密着層が形成されないので、金属含有密着層に導電性の低い材料を使用する場合であっても、ビアを介する配線パターン間の電気的接合を適切に達成することができる。
本発明の第5の側面における第2の配線パターンを形成する工程、または、第6の側面における第2の配線パターンとともにビアを形成する工程では、好ましくは、金属含有密着層上に無電解めっき膜を形成し、当該無電解めっき膜上にレジストパターンを形成し、当該レジストパターンの非マスク領域に電気めっき膜を形成し、レジストパターンを除去し、電気めっき膜に覆われていない無電解めっき膜および金属含有密着層を除去する。
本発明の第2、第5および第6の側面において、好ましくは、金属含有密着層は、クロム、銅、ニッケル、コバルト、および亜鉛からなる群より選択される金属を含む金属化合物よりなる。より好ましくは、金属化合物は、クロム、銅、ニッケル、コバルト、および亜鉛からなる群より選択される金属の酸化物または水酸化物である。これらの金属化合物は、配線パターンを構成する導体材料の、絶縁層を構成する樹脂材料に対する密着性を向上させ得る。好ましくは、金属含有密着層は、絶縁層に対して10%以上の被覆率で設けられる。また、金属含有密着層は、0.01〜1.0μmの厚みを有するのが好ましい。これにより、配線構造ないし多層配線基板の薄肉形成が確保される。
本発明の第1から第6の側面において、好ましくは、支持体を貼り合わせる工程においては、支持体を絶縁層に対して加圧する。また、支持体を貼り合わせる工程は、加熱下で行うのが好ましい。これらのような構成により、絶縁層に対して支持体を貼り合わせる工程を、より良好に行うことができる。
好ましくは、支持体は、銅、アルミニウム、銅合金、およびアルミニウム合金からなる群より選択される金属材料よりなる。また、好ましくは、支持体の表面粗さは5μm以下であり、より好ましくは3μm以下である。ここで、表面粗さとは、いわゆる最大高さ粗さ(Rmax)をいい、材料表面の断面形状に現れる粗さ曲線の基準長さにおける山高さの最大値(基準値からの絶対値)と谷深さの最大値(基準値からの絶対値)の和をいうものとする。
従来の多層配線基板においては、絶縁層とこれに積層される配線パターンとの密着性向上の観点より、配線パターンが接する絶縁層の表面粗さは、比較的高く、積極的に粗面化処理を施すことによって5μm程度とされていた。このような高い表面粗さ即ち表面凹凸形状に基づく物理的なアンカー効果によって、絶縁層に対する配線パターンの密着性が確保されていた。これに対し、本発明では、表面粗さが5μm以下であってアンカー効果を殆ど期待できない場合であっても、支持体からの転写によって絶縁層上に設けられるカップリング剤または金属含有密着層が介在することによって、絶縁層に対する配線パターンの密着性が向上している。
本発明の第1から第6の側面において、好ましくは、絶縁層は、熱硬化性樹脂を含み、支持体を貼り合わせる工程の前において非完全硬化状態にあり、支持体を貼り合わせる工程において硬化させられる。このような構成により、絶縁層に対してカップリング剤や金属含有密着層を付着させる操作とともに、絶縁層を硬化させることができ、多層配線基板の製造の効率化が図られる。
本発明の第7の側面によると、絶縁層を介して多層化された配線パターンを有する多層配線基板が提供される。この多層配線基板は、少なくとも1つの絶縁層と当該絶縁層上に形成されている配線パターンとの間にカップリング剤が介在することを特徴とする。このような構成の多層配線基板は、本発明の第1および第3の側面に係る方法により製造することができる。したがって、第7の側面によると、絶縁層に対する配線パターンの密着性について、第1および第3の側面に関して上述したのと同様の利益を得ることができる。
好ましくは、更に、少なくとも1つの絶縁層上に形成されている配線パターンとカップリング剤との間に金属含有密着層を有する。このような構成の多層配線基板は、本発明の第2および第5の側面に係る方法により製造することができる。したがって、絶縁層に対する配線パターンの密着性について、第2および第5の側面に関して上述したのと同様の利益を得ることができる。
本発明の第8の側面によると、絶縁層を介して多層化された導体層を有する多層配線基板を製造するための方法が提供される。この方法は、無機材料と結合可能な官能基を有するカップリング剤を、当該官能基を介して、無機材料よりなる支持体に付着させ、当該支持体表面にカップリング剤膜を形成する工程(第1工程)と、カップリング剤膜を絶縁層上に転写する工程(第2工程)と、カップリング剤膜上に、無機材料よりなる導体層を形成する工程(第3工程)とを含む。
本発明の第8の側面における第1工程では、無機材料と結合可能な官能基を有するカップリング剤を、無機材料よりなる所定形状の支持体の表面に当該官能基を介して付着させることにより、当該官能基が支持体表面側の一方の面の側に配向し且つ当該カップリング剤が高い表面被覆率で当該支持体に付着してなる、高密度のカップリング剤膜を形成することができる。そして、第2工程では、当該カップリング剤膜が絶縁層上に転写される。具体的には、当該カップリング剤膜が、前記の一方の面とは反対の側の面が絶縁層に接するように絶縁層上に設けられる。これにより、高い表面被覆率でカップリング剤が絶縁層に付着し且つ当該カップリング剤において無機材料と結合可能な官能基が表面に露出している状態が得られる。その後、第3工程では、無機材料と結合可能な官能基が表面に露出しているカップリング剤膜上に(即ち、当該カップリング剤膜を介して絶縁層上に)、無機材料よりなる導体層が形成される。その結果、カップリング剤膜と導体層との間において高い密着性が得られ、従って、絶縁層と導体層との間において高い密着性を達成することが可能となる。このようにして、本発明の第8の側面によると、本発明の第1および第3の側面に関して上述したのと同様の利益を得ることができるのである。
本発明の第9の側面によると、絶縁層を介して多層化された導体層を有する多層配線基板を製造するための方法が提供される。この方法は、無機材料と結合可能な官能基を有するカップリング剤よりなり且つ官能基が一方の面の側に配向する、カップリング剤膜を、形成する工程(第1工程)と、前記の面とは反対の側の面を介してカップリング剤膜を絶縁層上に設ける工程(第2工程)と、カップリング剤膜上に、無機材料よりなる導体層を形成する工程(第3工程)とを含む。
本発明の第9の側面における第1工程では、例えば、無機材料と結合可能な官能基を有するカップリング剤を、無機材料よりなる所定形状の支持体の表面に当該官能基を介して付着させることにより、当該官能基が支持体表面側の一方の面の側に配向し且つ当該カップリング剤が高い表面被覆率で当該支持体に付着してなる、高密度のカップリング剤膜を形成することができる。そして、第2工程では、当該カップリング剤膜が、前記の一方の面とは反対の側の面が絶縁層に接するように絶縁層上に設けられる。これにより、高い表面被覆率でカップリング剤が絶縁層に付着し且つ当該カップリング剤において無機材料と結合可能な官能基が表面に露出している状態が得られる。その後、第3工程では、無機材料と結合可能な官能基が表面に露出しているカップリング剤膜上に(即ち、当該カップリング剤膜を介して絶縁層上に)、無機材料よりなる導体層が形成される。その結果、カップリング剤膜と導体層との間において高い密着性が得られ、従って、絶縁層と導体層との間において高い密着性を達成することが可能となる。このようにして、本発明の第9の側面によると、本発明の第1および第3の側面に関して上述したのと同様の利益を得ることができるのである。
本発明の第8および第9の側面において、好ましくは、官能基は、水酸基、メトキシ基、エトキシ基からなる群より選択される。
本発明において用いられる絶縁層を構成する材料としては、例えば、ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂、マレイミド樹脂、ビスマレイミド樹脂、シアネート樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリフェニレンオキサイド樹脂、オレフィン樹脂、フッ素含有樹脂、液晶ポリマー、ポリエーテルイミド樹脂、およびポリエーテルエーテルケトン樹脂などが挙げられる。
カップリング剤としては、例えばシラン系カップリング剤やチタネート系カップリング剤を用いることができる。シラン系カップリング剤としては、例えば、アミノ系シランカップリング剤、エポキシ系シランカップリング剤、或は、イミダゾール基、ジアルキルアミノ基、ピリジル基などを含むシラン系カップリング剤を用いることができる。より具体的には、例えば、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、およびγ−メルカプトプロピルトリメトキシシランなどが挙げられる。
一方、チタネート系カップリング剤としては、例えば、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリデシルベンゼンスルホニルチタネート、イソプロピルトリス(ジオクチルパイロホスフェート)チタネート、テトライソプロピルビス(ジオクチルホスファイト)チタネート、テトラオクチルビス(ジトリデシルホスファイト)チタネート、テトラ(2,2−ジアリルオキシメチル−1−ブチル)ビス(ジ−トリデシル)ホスファイトチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)オキシアセテートチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)エチレンチタネート、イソプロピルトリオクタノイルチタネート、イソプロピルジメタクリルイソステアロイルチタネート、イソプロピルイソステアロイルジアクリルチタネート、イソプロピルトリ(ジオクチルホスフェート)チタネート、イソプロピルトリクミルフェニルチタネート、およびイソプロピルトリ(N−アミノエチル−アミノエチル)チタネートなどが挙げられる。
図1は、本発明の第1の実施形態に係る多層配線基板X1の部分断面図である。図2は、多層配線基板X1の要部拡大断面図である。多層配線基板X1は、コア基板10と、この上に積層された絶縁樹脂層20,30と、絶縁樹脂層20と絶縁樹脂層30との間に埋設された配線パターン40とを備える。配線パターン40と絶縁樹脂層20との間には、図2において×印で表すように、カップリング剤50が介在している。
コア基板10は、ガラスクロスに樹脂を含浸させて、当該樹脂をBステージの状態としたプリプレグを複数積層したものである。コア基板10の表面には、銅により内層配線パターン11が形成されている。
絶縁樹脂層20,30の構成材料としては、例えば、ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂、マレイミド樹脂、ビスマレイミド樹脂、シアネート樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリフェニレンオキサイド樹脂、オレフィン樹脂、フッ素含有樹脂、液晶ポリマー、ポリエーテルイミド樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂などを挙げることができる。図1に示す多層配線基板X1において、絶縁樹脂層20には、ビアホール20aが形成されている。
配線パターン40は、絶縁樹脂層20上においてパターン形成されたものであり、無電解銅めっき層41と電気銅めっき層42とからなる。配線パターン40と内層配線パターン11とは、ビアホール20aに形成されたビア40aを介して導通している。
カップリング剤50は、絶縁樹脂層20と配線パターン40との間に介在することによって、絶縁樹脂層20に対する配線パターン40の密着性向上に寄与している。カップリング剤50としては、シラン系カップリング剤やチタネート系カップリング剤が用いられる。
図3〜図5は、図1に示す多層配線基板X1を製造するための工程を表す。多層配線基板X1の製造においては、まず、図3(a)に示すように、支持フィルム70の表面をカップリング剤50で処理する。具体的には、表面粗さが5μm以下の支持フィルム70を用意し、この表面にカップリング剤50の溶液を塗布したり、或はこれをカップリング剤50の溶液に浸漬し、その後に加熱乾燥する。このようにして、支持フィルム70の所定表面にカップリング剤50を付着させる。支持フィルム70としては、銅箔およびアルミニウム箔などの金属フィルムを用いるのが好ましい。このような金属フィルムに対しては、カップリング剤50は、無機材料と結合可能な官能基(−OR:水酸基、メトキシ基、エトキシ基など)を介して配向性よく且つ効率よく付着することができる。
次に、図3の(b)および(c)に示すように、予め内層配線パターン11をパターン形成したコア基板10の上に、多層配線基板X1の絶縁樹脂層20となる未硬化の絶縁樹脂膜20’を積層し、更に、カップリング剤50で処理した支持フィルム70を、カップリング剤50が絶縁樹脂膜20’に接するように重ね、これらを貼り合わせる。内層配線パターン11には、絶縁樹脂層20とのアンカー効果を得るための粗化処理が予め施されている。このとき、絶縁樹脂膜20’を構成する樹脂材料の性質によっては、加熱下で貼り合わせ工程を行ってもよいし、絶縁樹脂膜20’に対して支持フィルム70を加圧してもよい。また、加熱下で貼り合わせ工程を行う場合には、当該加熱によって、絶縁樹脂膜20’を固化ないし硬化させて、絶縁樹脂層20を併せて形成してもよい。支持フィルム70を加熱する必要のない場合には、絶縁樹脂膜20’を固化ないし硬化させるための加熱工程を別途行い、絶縁樹脂層20を形成する。
次に、図3(d)に示すように、絶縁樹脂層20上にカップリング剤50を残しつつ、支持フィルム70のみをエッチング処理などによって除去する。これによって、カップリング剤50が絶縁樹脂層20の表面に均一に転写される。支持フィルム70として銅箔やアルミニウム箔などの金属フィルムを用いる場合には、これらに対応する所定のエッチング液によって、良好にエッチング処理を行うことができる。エッチング液としては、銅箔に対しては、例えば過酸化水素−硫酸混合水溶液や塩化第二銅水溶液を用いることができる。また、アルミニウム箔に対しては、例えば塩酸を用いることができる。
次に、図4(a)に示すように、カップリング剤50が既に転写されている絶縁樹脂層20の所定箇所において、ビアホール20aを形成する。ビアホール20aの形成手段としては、炭酸ガスレーザ、エキシマレーザ、UV−YAGレーザなどを採用することができる。これらのレーザによりビアホール20aを形成すると、ビアホール20aの内壁には微細な凹凸形状が形成され、ビアホール20aの内壁とこれに接触形成されるビア40aとの間において充分なアンカー効果が得られる。
次に、図4(b)に示すように、カップリング剤50の上方から絶縁樹脂層20に対して無電解銅めっき処理を施して、厚さ0.05〜0.5μmの無電解銅めっき層41を形成する。無電解銅めっき法としては、例えば、絶縁樹脂層20の露出面に対する、コンディショニング、触媒前処理、触媒処理、反応促進処理、無電解銅めっき析出処理などの一連の処理工程を含む公知の手法を採用することができる。無電解銅めっき層41は、絶縁樹脂層20上の全面を被覆し、後の工程の電気めっき処理における通電層として機能することとなる。ただし、図4(b)以降の工程図において、簡潔化の観点よりカップリング剤50は省略する。
次に、図4(c)に示すように、無電解銅めっき層41上にレジストパターン80を形成する。具体的には、無電解銅めっき層41上にフォトレジストを積層し、所望の配線パターンに対応した露光処理および現象処理により当該フォトレジストをパターニングすることによって、レジストパターン80を形成する。
次に、図4(d)に示すように、無電解銅めっき層41を通電層として、電気銅めっき処理を施す。これにより、レジストパターン80の非マスク領域に、厚さ10〜30μmの電気銅めっき層42を堆積成長させる。電気銅めっき法としては、酸性硫酸銅めっき液を用いた公知の手法を採用することができる。例えば、酸性硫酸銅めっき液としては、例えば、硫酸銅五水和物を50〜100g/L、硫酸を150〜300g/L、塩素イオンを30〜100mg/L、光沢剤や平滑剤などの添加剤を0.1〜2%の濃度で含むものを用いることができる。また、電解時における電流密度は0.5〜5A/dm2の範囲が好ましい。
次に、図5(a)に示すように、レジストパターン80を剥離する。剥離液としては、水酸化ナトリウム水溶液や有機アミン系水溶液を用いることができる。次に、図5(b)に示すように、電気銅めっき層42に覆われていない無電解銅めっき層41を除去する。具体的には、無電解銅めっき層41は、例えば、過酸化水素と硫酸の混合水溶液、または、塩化第二銅水溶液などを用いてエッチング除去する。この結果、無電解銅めっき層41および電気銅めっき層42からなる配線パターン40が、カップリング剤50(図5において図示略)を介して、絶縁樹脂層20上にパターン形成されることとなる。この状態において、配線パターン40の電気銅めっき層42の表面には、次に積層形成される絶縁樹脂層30との間においてアンカー効果を得るため、粗面化処理が施される。
次に、図5(c)に示すように、絶縁樹脂層20に対して、配線パターン40の上方から絶縁樹脂層30を積層形成する。これによって、図1に示した多層配線基板X1が形成される。
図5(d)は、上述の、絶縁樹脂層20に対するカップリング剤50の転写から配線パターン40の形成を経て絶縁樹脂層30の積層形成までの一連の工程を、絶縁樹脂層30上において再び繰り返した後の多層配線基板X1’を表す。このように、当該一連の工程を所定数繰り返すことによって、所望の積層数を達成することができる。
図6は、本発明の第2の実施形態に係る多層配線基板X2の部分断面図である。図7は、多層配線基板X2要部拡大断面図である。多層配線基板X2は、コア基板10と、この上に積層された絶縁樹脂層20,30と、絶縁樹脂層20と絶縁樹脂層30との間に埋設された配線パターン40とを備える。配線パターン40と絶縁樹脂層20との間には、図7において×印で表すカップリング剤50、および、金属含有密着層60が介在している。多層配線基板X2は、配線パターン40と絶縁樹脂層20との間にカップリング剤50に加えて金属含有密着層が介在している点において、第1の実施形態の多層配線基板X1と異なる。
金属含有密着層60は、0.01〜1.0μmの厚みで、カップリング剤50で表面処理されている絶縁樹脂層20と配線パターン40との間に介在することによって、絶縁樹脂層20に対する配線パターン40の密着性向上に寄与している。金属含有密着層60を構成するための材料としては、例えば、クロム、チタン、ニッケル、コバルト、および亜鉛、或はこれらの酸化物または水酸化物を用いることができる。また、絶縁樹脂層20のビアホール20aには、金属含有密着層60は形成されていない。
図8〜図10は、図6に示す多層配線基板X2を製造するための工程を表す。多層配線基板X2の製造においては、まず、図8(a)に示すように、支持フィルム70の表面に金属含有密着層60を成膜したうえで、金属含有密着層60の表面をカップリング剤50により処理する。具体的には、表面粗さが5μm以下の支持フィルム70を用意し、その表面に、めっき処理などのウエットプロセスまたはスパッタ法や真空蒸着法などのドライプロセスによって、クロム、チタン、ニッケル、コバルト、および亜鉛などを構成材料に含んで、金属含有密着層60を、0.01〜1.0μmの厚みで形成する。特に、クロム酸または重クロム酸塩を含んだ水溶液を用いたクロメート処理により形成するのが好ましい。そして、金属含有密着層60の表面にカップリング剤50の溶液を塗布したり、或はこれをカップリング剤50の溶液に浸漬し、その後に加熱乾燥する。このようにして、支持フィルム70の金属含有密着層60の所定表面にカップリング剤50を付着させる。支持フィルム70としては、第1の実施形態に関して上述したように、金属フィルムを用いるのが好ましい。
次に、図8の(b)および(c)に示すように、予め内層配線パターン11をパターン形成したコア基板10と、未硬化状態の絶縁樹脂膜20’と、金属含有密着層60が形成されてカップリング剤50で処理された支持フィルム70とを、貼り合わせる。ただし、図8(c)以降の工程図において、簡潔化の観点よりカップリング剤50は省略する。次に、図8(d)に示すように、絶縁樹脂層20上にカップリング剤50および金属含有密着層60を残しつつ、支持フィルム70のみをエッチング処理などによって除去する。これによって、カップリング剤50および金属含有密着層60が絶縁樹脂層20の表面に転写される。
次に、図9(a)に示すように、カップリング剤50および金属含有密着層60が既に転写されている絶縁樹脂層20の所定箇所において、ビアホール20aを形成する。ビアホール20aの形成手段としては、炭酸ガスレーザ、エキシマレーザ、UV−YAGレーザなどを採用することができる。次に、図9(b)に示すように、第1の実施形態に関して上述したのと同様に、カップリング剤50および金属含有密着層60の上方からの無電解銅めっき処理を施して、厚さ0.05〜0.5μmの無電解銅めっき層41を形成する。金属含有密着層60が絶縁樹脂層20上の全面を被覆していない場合であっても、この無電解銅めっき処理によって形成される無電解銅めっき層41が絶縁樹脂層20上の全面を被覆し、後の工程の電気めっき処理における通電層として機能することとなる。ただし、金属含有密着層60が導電材料により全面にわたって積層形成されている場合には、当該金属含有密着層60が通電層として機能し得る。次に、図9(c)に示すように、無電解銅めっき層41上にレジストパターン80を形成する。具体的には、無電解銅めっき層41上にフォトレジストを積層し、所望の配線パターンに対応した露光処理および現象処理により、当該フォトレジストをパターニングする。次に、図9(d)に示すように、第1の実施形態に関して上述したのと同様に、無電解銅めっき層41を通電層として電気銅めっき処理を施す。これにより、レジストパターン80の非マスク領域に、厚さ10〜30μmの電気銅めっき層42を堆積成長させる。
次に、図10(a)に示すように、レジストパターン80を剥離する。剥離液としては、水酸化ナトリウム水溶液や有機アミン系水溶液を用いることができる。次に、図10(b)に示すように、電気銅めっき層42に覆われていない無電解銅めっき層41およびその下方の金属含有密着層60を除去する。具体的には、無電解銅めっき層41は、例えば、過酸化水素と硫酸の混合水溶液や塩化第二銅水溶液などを用いてエッチング除去し、続いて、金属含有密着層60は、例えば硝酸第二セリウムアンモニウム水溶液などを用いてエッチング除去する。これによって、無電解銅めっき層41および電気銅めっき層42からなる配線パターン40が、カップリング剤50および金属含有密着層60を介して、絶縁樹脂層20上にパターン形成される。この状態において、配線パターン40の電気銅めっき層42の表面には、次に積層形成される絶縁樹脂層30との間においてアンカー効果を得るため、粗面化処理が施される。次に、図10(c)に示すように、絶縁樹脂層20に対して、配線パターン40の上方から絶縁樹脂層30を積層形成する。これによって、図6に示した多層配線基板X2が形成される。図10(d)は、上述の、絶縁樹脂層20に対するカップリング剤50の転写から配線パターン40を経て絶縁樹脂層30の積層形成までの一連の工程を、絶縁樹脂層30上において再び繰り返した後の多層配線基板X2’を表す。このように、当該一連の工程を所定数繰り返すことによって、所望の積層数を達成することができる。図8〜図10に示した多層配線基板X2のの製造における他の構成および条件については、図3〜図5を参照して第1の実施形態に関して上述したのと同様である。
上述の本発明の第1および第2の実施形態では、多層配線構造はコア基板10の片面側にのみ形成されるが、本発明では、このような構成に限らず、多層配線構造はコア基板10の両面に形成することもできる。
<サンプル基板の作製>
支持フィルムとしての銅箔(厚さ:18μm、表面粗さ:Rmax1μm)を、カップリング剤としての0.4%γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン水溶液に浸漬した後、これを110℃で60分間乾燥することによって、当該銅箔の表面に対してカップリング剤処理を施した。次に、コア基板としての銅張BTレジン基板(100×100×1.6mm、三菱ガス化学製)の銅表面に、絶縁樹脂層としての熱可塑性ポリイミドフィルム(膜厚:35μm、商品名:エスパネックス、新日鉄化学製)を重ねた。次に、当該銅張BTレジン基板上に、カップリング剤表面処理を施した上述の銅箔を、カップリング剤処理面とポリイミドとが接するように重ね、これらを、真空プレス装置によりプレス温度210℃およびプレス圧力3MPaの条件にて60分間プレスした。次に、支持フィルムとしての銅箔を過酸化水素−硫酸の混合水溶液でエッチング除去し、絶縁樹脂層表面にカップリング剤を転写した。
次に、カップリング剤が転写された絶縁樹脂膜上の全面に無電解銅めっき膜(膜厚:0.3μm)を形成した。無電解銅めっき膜の形成には、以下の各処理液にめっき対象物を順次浸漬するキューポジットプロセス(シプレイ(株)製)を採用した。具体的には、絶縁樹脂層表面のコンディショニングとしてコンディショナ3320水溶液により40℃で5分間、触媒前処理としてキャタプリップ404水溶液により室温で90秒間、触媒処理としてキャタプリップ404およびキャタポジット44の混合水溶液により45℃で3分間、反応促進処理としてアクセラレータ19水溶液により室温で6分間、無電解銅めっき析出処理としてカッパーミックス328水溶液により室温で20分間処理した。
次に、このようにして形成された無電解銅めっき膜を通電層として、当該無電解銅めっき膜上に電気銅めっき膜(膜厚30μm)を成膜した。電気銅めっき液は、硫酸銅五水和物を75g/L、硫酸を190g/L、塩素イオンを60mg/Lの濃度で含む水溶液に、めっき液全体に対して0.4%の濃度となるように添加剤(商品名:AC−90、上村工業(株)製)を加えたものを用いた。また、電解は、電流密度1.5A/dm2で行った。その結果、絶縁樹脂層としてのポリイミド上に配線パターンとしての銅めっき膜が形成された。次に、170℃で1時間のアニール処理を施した後、銅めっき膜を1cm幅に切り込んだ。このようにして本実施例のサンプル基板を作製した。
<剥離強度の測定>
上述のようにして得られたサンプル基板における銅めっき膜について、剥離強度を測定した。具体的には、サンプル基板における1cm幅の銅めっき膜を、その幅方向に垂直であって基板に垂直な方向へ剥がし、剥がし速度が一定であるときに銅めっき膜に作用する力を測定した。その結果、本実施例における銅めっき膜は、ポリイミド樹脂に対して1.15kgf/cmの剥離強度を示した。また、銅めっき膜が剥離された後の絶縁樹脂層の表面粗さについて調べたところ、表面粗さはRmax1μmであった。
支持フィルムとして、表面粗さがRmax1μmの銅箔に代えて表面粗さがRmax5μmの銅箔を用いた以外は、実施例1と同様の方法によりサンプル基板を作製した。そして、このサンプル基板における銅めっき膜について、実施例1と同様にして、剥離強度を測定した。その結果、本実施例における銅めっき膜は、1.25kgf/cmの剥離強度を示した。また、剥離後の絶縁樹脂層の表面粗さはRmax5μmであった。
<サンプル基板の作製>
支持フィルムとしてのアルミニウム箔(厚さ:25μm、表面粗さ:Rmax2μm)を、カップリング剤としての0.4%γ−メタクリロキシプロピルメトキシシラン水溶液に浸漬した後、これを100℃で20分間乾燥することによって、当該アルミニウム箔の表面に対してカップリング剤処理を施した。次に、コア基板としての銅張BTレジン基板(100×100×1.6mm、三菱ガス化学製)の銅表面に、絶縁樹脂層としての半硬化状態(Bステージ)の熱硬化性エポキシ樹脂シート(膜厚:50μm、商品名:SH−9、味の素製)を重ねた。次に、当該銅張BTレジン基板上に、カップリング剤表面処理を施した上述のアルミニウム箔を、カップリング剤処理面とエポキシ樹脂とが接するように重ね、これらを、真空ラミネート装置により温度150℃および圧力1MPaの条件にて3分間ラミネートした。その後、銅張BTレジン基板およびアルミニウム箔よりなる積層体を真空ラミネート装置から取り出し、大気圧下にて170℃で1時間加熱し、絶縁樹脂層を硬化させた。次に、支持フィルムとしてのアルミニウム箔を塩酸でエッチング除去し、絶縁樹脂層表面にカップリング剤を転写した。次に、カップリング剤が転写された絶縁樹脂層上の全面に、実施例1と同様にして無電解銅めっき膜(膜厚:0.3μm)を形成した。次に、この無電解銅めっき膜を通電層として、当該無電解銅めっき膜上に、実施例1と同様にして電気銅めっき膜(膜厚30μm)を成膜した。その結果、絶縁樹脂層としてのエポキシ樹脂上に配線パターンとしての銅めっき膜が形成された。次に、170℃で1時間のアニール処理を施した後、銅めっき膜を1cm幅に切り込んだ。このようにして本実施例のサンプル基板を作製した。
<剥離強度の測定>
上述のようにして得られサンプル基板における銅めっき膜について、実施例1と同様にして、剥離強度を測定した。その結果、本実施例における銅めっき膜は、エポキシ樹脂に対して1.0kgf/cmの剥離強度を示した。また、銅めっき膜が剥離された後の絶縁樹脂層の表面粗さについて調べたところ、表面粗さはRmax2μmであった。
支持フィルムとしての銅箔(厚さ:18μm、表面粗さ:Rmax1μm)を、カップリング剤としての、0.3%γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランおよび0.3%γ−メタクリロキシプロピルメトキシシランを含む水溶液に浸漬した後、これを120℃で20分間乾燥することによって、当該銅箔の表面に対してカップリング剤処理を施した。次に、予め配線パターンを形成しておいたコア基板としての銅張BTレジン基板(100×100×1.6mm、三菱ガス化学製)の銅表面に、絶縁樹脂層としての未硬化のポリイミドフィルム(膜厚:25μm、商品名:アピカル、鐘淵化学工業製)を重ねた。次に、当該銅張BTレジン基板上に、カップリング剤表面処理を施した上述の銅箔を、カップリング剤処理面とポリイミドとが接するように重ね、これらを、真空ラミネート装置により温度180℃および圧力0.8MPaの条件にて10分間ラミネートした。その後、銅張BTレジン基板および銅箔よりなる積層体を真空ラミネート装置から取り出し、大気圧下にて210℃で30分間加熱し、絶縁樹脂層を硬化させた。次に、支持フィルムとしての銅箔を塩化第二銅水溶液でエッチング除去し、絶縁樹脂層表面にカップリング剤を転写した。次に、配線パターン間の導通をとるべく、絶縁樹脂層に対して炭酸ガスレーザでφ80μmのビアホールを形成した。次に、カップリング剤が転写された絶縁樹脂層上に、実施例1と同様にして、無電解銅めっきを施して通電層を成膜した。次に、通電層上にフォトレジスト(商品名:NIT−250、日合モートン製)を成膜し、これをパターニングすることによってレジストパターンを形成した。このレジストパターンの非マスク領域に対して、実施例1と同様にして、厚さ30μmの電気銅めっき層を堆積成長させた。その後、レジストパターンを剥離した。次に、電気銅めっき層に被覆されていない通電層を過酸化水素−硫酸の混合水溶液でエッチング除去して、絶縁樹脂層上に配線パターンを形成した。その結果、絶縁樹脂層に対する密着性が高く、配線幅30μmで配線間30μmの微細配線構造が形成された。
<サンプル基板の作製>
支持フィルムとしての銅箔(厚さ:18μm、表面粗さ:Rmax1μm)の表面に、銅−ニッケル合金の粗化めっきを行った後、クロメート処理を施すことによって、金属含有密着層としてのクロム密着層を形成した。次に、当該銅箔のクロメート処理表面に、カップリング剤としての0.5%γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン水溶液を塗布した後、これを100℃で20分間乾燥することによって、当該銅箔の金属含有密着層表面に対してカップリング剤処理を施した。次に、コア基板としての銅張BTレジン基板(100×100×1.6mm、三菱ガス化学製)の銅表面に、絶縁樹脂層としての熱可塑性ポリイミドフィルム(膜厚:25μm、商品名:エスパネックス、新日鉄化学製)を重ねた。次に、当該銅張BTレジン基板上に、カップリング剤表面処理を施した上述の銅箔を、カップリング剤処理面とポリイミドとが接するように重ね、これらを、真空プレス装置によりプレス温度210℃およびプレス圧力3MPaの条件にて60分間プレスした。次に、支持フィルムとしての銅箔を過酸化水素−硫酸の混合水溶液でエッチング除去し、絶縁樹脂層表面にカップリング剤および金属含有密着層を転写した。次に、カップリング剤および金属含有密着層が転写された絶縁樹脂層上の全面に、実施例1と同様にして無電解銅めっき膜(膜厚:0.3μm)を形成した。次に、この無電解銅めっき膜を通電層として、実施例1と同様にして、当該無電解銅めっき膜上に電気銅めっき膜(膜厚30μm)を成膜した。その結果、絶縁樹脂層としてのポリイミド上に配線パターンとしての銅めっき膜が形成された。次に、170℃で1時間のアニール処理を施した後、銅めっき膜を1cm幅に切り込んだ。このようにして本実施例のサンプル基板を作製した。
<剥離強度の測定>
上述のようにして得られサンプル基板における銅めっき膜について、実施例1と同様にして、剥離強度を測定した。その結果、本実施例における銅めっき膜は、熱硬化性エポキシ樹脂に対して1.2kgf/cmの剥離強度を示した。また、銅めっき膜が剥離された後の絶縁樹脂層の表面粗さについて調べたところ、表面粗さはRmax1μmであった。
支持フィルムとして、表面粗さが1μmの銅箔に代えて表面粗さがRmax3μmの銅箔を用いた以外は、実施例5と同様の方法によりサンプル基板を作製した。そして、このサンプル基板における銅めっき膜について、実施例1と同様にして、剥離強度を測定した。その結果、本実施例における銅めっき膜は、1.25kgf/cmの剥離強度を示した。また、剥離後の絶縁樹脂層の表面粗さはRmax3μmであった。
<サンプル基板の作製>
支持フィルムとしての銅箔(厚さ:35μm、表面粗さ:Rmax2μm)の表面に、銅−ニッケル合金の粗化めっきを行った後、クロメート処理を施すことによって、金属含有密着層としてのクロム密着層を形成した。次に、当該銅箔のクロメート処理表面に、カップリング剤としての0.5%γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン水溶液を塗布した後、これを120℃で15分間乾燥することによって、当該銅箔の金属含有密着層表面に対してカップリング剤処理を施した。次に、コア基板としての銅張BTレジン基板(100×100×1.6mm、三菱ガス化学製)の銅表面に、絶縁樹脂層としての半硬化状態(Bステージ)の熱硬化性エポキシ樹脂シート(膜厚:50μm、商品名:SH−9、味の素製)を重ねた。次に、当該銅張BTレジン基板上に、カップリング剤表面処理を施した上述の銅箔を、カップリング剤処理面とエポキシ樹脂とが接するように重ね、これらを、真空ラミネート装置により温度150℃および圧力1MPaの条件にて3分間ラミネートした。その後、銅張BTレジン基板および銅箔よりなる積層体を真空ラミネート装置から取り出し、大気圧下にて170℃で1時間加熱し、絶縁樹脂層を硬化させた。次に、支持フィルムとしての銅箔を塩化第二鉄水溶液でエッチング除去し、絶縁樹脂層表面にカップリング剤および金属含有密着層を転写した。次に、カップリング剤および金属含有密着層が転写された絶縁樹脂層上の全面に、実施例1と同様にして無電解銅めっき膜(膜厚:0.3μm)を形成した。次に、この無電解銅めっき膜を通電層として、当該無電解銅めっき膜上に、実施例1と同様にして電気銅めっき膜(膜厚30μm)を成膜した。その結果、絶縁樹脂層としてのエポキシ樹脂上に配線パターンとしての銅めっき膜が形成された。次に、170℃で1時間のアニール処理を施した後、銅めっき膜を1cm幅に切り込んだ。このようにして本実施例のサンプル基板を作製した。
<剥離強度の測定>
上述のようにして得られサンプル基板における銅めっき膜について、実施例1と同様にして、剥離強度を測定した。その結果、本実施例における銅めっき膜は、熱硬化性エポキシ樹脂に対して1.1kgf/cmの剥離強度を示した。また、銅めっき膜が剥離された後の絶縁樹脂層の表面粗さについて調べたところ、表面粗さはRmax2μmであった。
支持フィルムとしての銅箔(厚さ:18μm、表面粗さ:Rmax1μm)の表面に、銅−ニッケル合金の粗化めっきを行った後、クロメート処理を施すことによって、金属含有密着層としてのクロム密着層を形成した。次に、当該銅箔のクロメート処理表面に、カップリング剤としての0.5%メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン水溶液を塗布した後、これを100℃で20分間乾燥することによって、当該銅箔の表面に対してカップリング剤処理を施した。このように金属含有密着層を形成してカップリング剤処理を施した銅箔を用いて、これ以降の工程は実施例4と同様にして、絶縁樹脂層上に配線パターンを形成した。その結果、絶縁樹脂層に対する密着性が高く、配線幅30μmで配線間30μmの微細配線構造が形成された。
比較例1
真空プレスの工程において、銅張BTレジン基板に対して支持フィルムを積層せずに熱可塑性ポリイミドフィルムのみを積層して真空プレス硬化させ、且つ、その後にカップリング剤を介さずにポリイミド上に直接に無電解銅めっきおよび電気銅めっきを施した以外は、実施例1と同様にしてサンプル基板の作製を試みた。すると、電気銅めっき処理の最中にポリイミド表面から銅めっき膜が剥がれた部分が生じた。剥離の生じていない部分を用いて実施例1と同様にして剥離強度を測定したところ、0.1kgf/cm以下であり、有意な剥離強度は得られなかった。また、絶縁樹脂層の表面粗さはRmax1μmであった。
Figure 2006093746
表1によると、本発明によって製造される多層配線基板においては、絶縁樹脂層とこれに積層される配線パターンとの間にカップリング剤が介在することにより、または、カップリング剤および金属含有密着層が介在することにより、これらが介在しな場合と比較して、絶縁樹脂層に対する配線パターンの密着性が向上することが理解できよう。併せて、その密着性は、絶縁樹脂層の表面を粗面化処理せずとも、充分な程度に向上することも理解できよう。
本発明の第1の実施形態に係る多層配線基板の部分断面図である。 図1の多層配線基板の要部拡大断面図である。 図1の多層配線基板の製造方法における一部の工程を表す。 図3に続く工程を表す。 図4に続く工程を表す。 本発明の第2の実施形態に係る多層配線基板の部分断面図である。 図6の多層配線基板の要部拡大断面図である。 図6の多層配線基板の製造方法における一部の工程を表す。 図8に続く工程を表す。 図9に続く工程を表す。 有機材料と無機材料との間に介在するカップリング剤の模式図である。
符号の説明
X1,X2 多層配線基板
10 コア基板
20,30 絶縁樹脂層
20a ビアホール
40 配線パターン
40a ビア
50 カップリング剤
60 金属含有密着層
70 支持フィルム
80 レジストパターン

Claims (4)

  1. 絶縁層を介して多層化された導体層を有する多層配線基板を製造するための方法であって、
    無機材料と結合可能な官能基を有するカップリング剤よりなり且つ前記官能基が一方の面の側に配向する、カップリング剤膜を、形成する工程と、
    前記面とは反対の側の面を介して前記カップリング剤膜を絶縁層上に設ける工程と、
    前記カップリング剤膜上に、無機材料よりなる導体層を形成する工程と、を含む多層配線基板製造方法。
  2. 絶縁層を介して多層化された導体層を有する多層配線基板を製造するための方法であって、
    無機材料と結合可能な官能基を有するカップリング剤を、当該官能基を介して、無機材料よりなる支持体に付着させ、当該支持体表面にカップリング剤膜を形成する工程と、
    前記カップリング剤膜を絶縁層上に転写する工程と、
    前記カップリング剤膜上に、無機材料よりなる導体層を形成する工程と、を含む多層配線基板製造方法。
  3. 前記官能基は、水酸基、メトキシ基、エトキシ基からなる群より選択される、請求項1または2に記載の多層配線基板製造方法。
  4. 請求項1から3のいずれか一つの多層配線基板製造方法を経て製造された多層配線基板。
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