JP4011968B2 - 配線基板およびその製造方法ならびに導体張板 - Google Patents

配線基板およびその製造方法ならびに導体張板 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電気・電子機器の回路系に使用される配線基板およびその製造方法、並びにこれらに用いられる導体張板に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、電子機器に対する高性能化および小型化などの要求に伴い、電子機器に組み込まれる電子部品の高密度実装化が急速に進んでいる。そのような高密度実装化に対応すべく、電子部品を実装するための基板などについては、配線が多層化された多層配線構造が採用される場合がある。
【0003】
多層配線構造を形成するための工法としては、一括積層法およびビルドアップ法が知られている。一括積層法においては、複数の絶縁層と当該絶縁層間の配線パターンとからなる積層構造は、一括的に一体化される。具体的には、まず、所定数の銅張積層板について、銅箔をエッチングすることにより所望の銅配線パターンが形成される。銅張積層板は、例えば、プリプレグの両面に電解銅箔が貼着されたものを用いる。次に、銅配線パターンが形成されている所定数の銅張積層板をプリプレグを介して重ね合わせ、加熱下においてこれらを厚み方向にプレスする。このとき、配線パターン間においてそれまで半硬化状態にあったプリプレグが硬化し、これによって、複数の絶縁層と当該絶縁層間の配線パターンとからなる積層構造が一括的に一体化されることとなる。次に、当該積層構造体を貫通するスルーホールが形成され、続いて、スルーホール表面にめっきが施される。各配線パターンは、当該スルーホールめっきを介して適宜導通される。
【0004】
一方、ビルドアップ法においては、絶縁層の形成と当該絶縁層上での配線パターンの形成とが順次繰り返されて、配線が多層化される。具体的には、まず、既に配線がパターン形成されているコア基板やビルドアップ絶縁層に対して、その配線パターンの上方からビルドアップ絶縁層を積層形成する。次いで、当該絶縁層に対してビアホールを形成する。ビアホールの形成手法としては、絶縁層材料として感光性樹脂を用いてフォトリソグラフィ技術により絶縁層に穴を形成する方法や、レーザを照射することによって絶縁層に穴を形成する方法などが採用される。絶縁層にビアホールを形成した後、無電解めっきや電気めっきによって、絶縁層上に導体材料を成膜する。このとき、導体材料によりビアホールにはビアが形成される。次に、絶縁層上に成膜された導体材料をエッチングすることによって配線パターンを形成する。このようにして絶縁層上において配線パターンを形成した後、絶縁層の積層形成から配線パターン形成までの一連の工程を所定回数繰り返すことによって、配線の多層化を図ることができ、その結果、回路の集積度を高めることができる。
【0005】
このような一括積層法やビルドアップ法による多層配線基板の製造においては、従来より、絶縁層表面や配線パターン表面に対して粗化処理を施すことなどによって、絶縁層と配線パターンとの密着性が確保されている。多層配線基板において、絶縁層に対する配線パターンの密着性が充分でないと、微細配線構造を適切に形成できないなどの不具合を生じ易いためである。配線基板における絶縁層と配線パターンとの密着性を向上させるための技術は、例えば、特開昭52−79273号公報、特開平3−108795号公報、特開平3−165596号公報、特開平4−261095号公報、特開平5−235548号公報、特開平6−283860号公報、特開平11−220255号公報などに開示されている。
【0006】
例えば、一括積層法においては、銅張積層板として、表面に粗化エッチングを施した銅箔を当該粗化面を介してプリプレグに貼着したものが使用される。粗化処理によって、銅箔におけるプリプレグとの貼着面には、例えばRz1.5μm程度の凹凸が形成されている。また、銅張積層板においてパターン形成された後の配線パターンの露出面も、黒化処理等により粗化される。この粗化面は、上述のプレス加工の際に、積層板間に介挿されるプリプレグに対して面接触する。
【0007】
また、ビルドアップ法においては、絶縁層の表面に粗化エッチングを施したうえで、当該絶縁層上に配線パターンが積層形成されている。より具体的には、膨潤液、粗化液、中和液に順次浸漬することによって、露出する絶縁層表面にRz1.5μm程度の凹凸を形成し、この上に、サブトラクティブ法やアディティブ法によって銅配線パターンが形成される。このとき、配線パターンにおいて絶縁層と接する側の面は、絶縁層表面の凹凸に対応するRz1.5μm程度の凹凸が転写されることによって、粗化されることとなる。この後、配線パターンの露出面は、黒化処理等により粗化される。この粗化面は、更に積層形成される絶縁層に対して面接触する。
【0008】
このように、従来より、絶縁層表面や銅配線パターン表面を粗化することによって、絶縁層と銅配線パターンとの密着性が確保されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、配線表面に対する上述の粗化技術は、信号の伝送損失抑制の観点から好ましくない。特に高周波領域用途のプリント配線基板では伝送損失の小さいことが強く望まれており、配線の表面粗さが上述のように大きいと、高周波の信号の伝送損失が不当に増大してしまう傾向にあるからである。伝送損失の一要因であるいわゆる導体損は、配線形状の影響を受けることが知られている。また、より高周波の信号は配線においてより表面を流れることも知られており、表面粗さの大きな配線では、高周波信号は配線の凹凸表面付近を流れることとなる。その結果、信号の伝送距離が長くなり、導体損ひいては伝送損失が大きくなってしまうのである。冗長な伝送距離は、信号遅延も招来してしまう。
【0010】
また、絶縁層に対して粗化エッチングを行うと、絶縁層表面を構成する樹脂材料が劣化してしまう。具体的には、絶縁層表面における樹脂材料の高分子立体構造の一部が、エッチング液の侵食作用により破壊されて低分子化するのである。この結果、樹脂材料が担うべき絶縁性が低下してしまう場合がある。
【0011】
本発明は、このような事情のもとで考え出されたものであって、絶縁層と配線パターンとの間における密着性が高く、且つ、表皮効果に基づく伝送損失の少ない配線基板およびその製造方法、ならびに、これらに用いられる導体張板を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明の第1の側面によると配線基板が提供される。この配線基板は、少なくとも1つの絶縁層、および、当該絶縁層に接する少なくとも1つの配線パターンを備え、配線パターンにおける、絶縁層と接する片面または両面には、配線パターンとは異なる金属系材料からなり相互に離隔する複数のアンカー部が設けられていることを特徴とする。
【0013】
本発明に係る配線基板では、配線パターンにおける絶縁層と接する面には複数のアンカー部が設けられている。そのため、アンカー部を介して接する配線パターンと絶縁層との密着性については、絶縁層に対するアンカー部のアンカー効果に基づいて良好なものとすることができる。また、本発明におけるアンカー部は、配線パターンとは異なる材料により構成されている。例えば、銅配線パターンに対しては、アンカー部は、銅とは異なる金属系材料、従って銅よりも高い抵抗率を有する材料により構成することができる。アンカー部が配線パターンよりも高い抵抗率を有する場合には、配線パターンを流れる電流ないし電気信号は、低抵抗率の配線パターンから、当該配線パターンとは異なる材料より構成されて且つ高抵抗率のアンカー部へは、通過経路ないし進路を取りにくい。したがって、高周波信号の表皮効果、即ち、より高周波の信号は配線部においてより表面を流れるという現象は、抑制される。更には、本発明における複数のアンカー部は、配線パターン上において相互に離隔して設けられている。そのため、伝送信号が極めて高周波で、その配線部内の伝送経路にアンカー部が含まれてしまう場合であっても、アンカー部が配線パターンよりも高い抵抗率を有する場合には、当該電気信号は、配線部において高抵抗率のアンカー部のみを伝わることはなく、アンカー部間の低抵抗率の配線パターン部をも必ず通過する。その結果、伝送損失が過大となるのが抑制される。このように、本発明に係る配線基板においては、絶縁層と配線パターンとの間における密着性が高く、且つ、表皮効果に基づく伝送損失を低減することが可能なのである。
【0014】
絶縁層と配線パターンとの密着性を向上させるための粗化技術としては、従来、エッチング処理、黒化処理、または粗化めっき等が知られている。エッチング処理によると、銅配線自体が粗化されるので、配線の表面凹凸も低抵抗率の銅により構成される。そのため、電流は当該凹凸部を流れ易く、高周波信号伝送時における表皮効果は抑制されない。黒化処理によると、銅配線自体が表面酸化されるので、銅配線パターンの表面の全体が、凹凸に富んだ酸化銅膜で覆われてしまう。そのため、伝送信号が高周波である場合には、当該電気信号は、配線部において高抵抗率の酸化銅膜を伝わり、伝送損失が過大となる。酸化銅膜は、それ自体は絶縁層との密着性は比較的高いものの、銅金属組織からは剥がれ易いという不具合も有する。また、従来の粗化めっきによると、銅配線パターンの表面の全体が、凹凸に富んだめっき膜で覆われてしまう。このめっき膜は、銅よりも高い抵抗率を有する。そのため、伝送信号が高周波である場合には、当該電気信号は、配線部において高抵抗率のめっき膜を伝わり、伝送損失が過大となる。これに対し本発明によると、アンカー部のアンカー効果に基づいて絶縁層と配線パターンとの密着性を向上しつつ高周波信号の表皮効果を抑制し、更には、伝送信号が極めて高周波であっても、伝送損失が過大となるのを抑制することができるのである。
【0015】
本発明の第2の側面によると配線基板の製造方法が提供される。この方法は、少なくとも1つの絶縁層、および、当該絶縁層に接する少なくとも1つの配線パターンを備える配線基板を製造するための方法であって、導体箔の片面または両面に対して触媒を付着させる工程と、無電解めっき法により、導体箔よりも高い抵抗率を有する金属材料を、導体箔上において触媒を核にして堆積成長させることによって、相互に離隔する複数のアンカー部を導体箔上に形成する工程と、アンカー部が形成された導体箔を、当該アンカー部を介して絶縁層に貼り合わせる工程と、導体箔をパターニングすることによって配線パターンを形成する工程と、を含むことを特徴とする。
【0016】
本発明の第3の側面によると配線基板の製造方法が提供される。この方法は、複数の絶縁層と当該絶縁層の間の配線パターンとを含む多層構造を有する配線基板を製造するための方法であって、絶縁基材の両面に配線パターンが形成されてなる積層板における当該配線パターンに対して触媒を付着させる工程と、無電解めっき法により、配線パターンよりも高い抵抗率を有する金属材料を、配線パターン上において触媒を核にして堆積成長させることによって、相互に離隔する複数のアンカー部を配線パターン上に形成する工程と、配線パターンが形成されている導体張板と絶縁膜材とを交互に積層し、当該積層体を積層方向に一括して加圧することによって多層構造を形成する工程と、を含むことを特徴とする。
【0017】
本発明の第4の側面によると配線基板の別の製造方法が提供される。この方法は、複数の絶縁層と当該絶縁層の間の配線パターンとを含む多層構造を有する配線基板を製造するための方法であって、絶縁基材および当該絶縁基材の両面に貼り合わされている導体箔からなる導体張板において、導体箔をパターニングすることによって、導体張板の両面において配線パターンを形成する工程と、配線パターンに対して触媒を付着させる工程と、無電解めっき法により、配線パターンよりも高い抵抗率を有する金属材料を、配線パターン上において触媒を核にして堆積成長させることによって、相互に離隔する複数のアンカー部を配線パターン上に形成する工程と、配線パターンが形成されている導体張板と絶縁膜材とを交互に積層し、当該積層体を積層方向に一括して加圧することによって多層構造を形成する工程と、を含むことを特徴とする。
【0018】
本発明の第5の側面によると配線基板の別の製造方法が提供される。この方法は、複数の絶縁層と当該絶縁層の間の配線パターンとを含む多層構造を有する配線基板を製造するための方法であって、絶縁基材および当該絶縁基材の両面に貼り合わされている導体箔からなる導体張板において、導体箔に対して触媒を付着させる工程と、無電解めっき法により、導体箔よりも高い抵抗率を有する金属材料を、導体箔上において触媒を核にして堆積成長させることによって、相互に離隔する複数のアンカー部を導体箔上に形成する工程と、アンカー部が形成された導体箔をパターニングすることによって、導体張板の両面において配線パターンを形成する工程と、配線パターンが形成されている導体張板と絶縁膜材とを交互に積層し、当該積層体を積層方向に一括して加圧することによって多層構造を形成する工程と、を含むことを特徴とする。
【0019】
本発明の第6の側面によると配線基板の別の製造方法が提供される。この方法は、複数の絶縁層と当該絶縁層の間の配線パターンとを含む多層構造を有する配線基板を製造するための方法であって、絶縁層の上に形成されている配線パターンに対して触媒を付着させる工程と、無電解めっき法により、配線パターンよりも高い抵抗率を有する金属材料を、配線パターン上において触媒を核にして堆積成長させることによって、相互に離隔する複数のアンカー部を配線パターン上に形成する工程と、配線パターンの上に更なる絶縁層を積層形成する工程と、を含むことを特徴とする。
【0020】
本発明の第7の側面によると配線基板の別の製造方法が提供される。この方法は、複数の絶縁層と当該絶縁層の間の配線パターンとを含む多層構造を有する配線基板を製造するための方法であって、絶縁層の上に貼り合わされている導体箔に対して触媒を付着させる工程と、無電解めっき法により、導体箔よりも高い抵抗率を有する金属材料を、導体箔上において触媒を核にして堆積成長させることによって、相互に離隔する複数のアンカー部を導体箔上に形成する工程と、導体箔をパターニングすることによって、配線パターンを形成する工程と、配線パターンの上に更なる絶縁層を積層形成する工程と、を含むことを特徴とする。
【0021】
本発明の第2から第7の側面に係る方法によると、第1の側面に係る配線基板を製造することができる。したがって、第2から第7の側面によっても、製造される配線基板において第1の側面に関して上述したのと同様の効果が奏され、絶縁層と配線パターンとの間における密着性が高く、且つ、表皮効果に基づく伝送損失の少ない配線基板を得ることができる。
【0022】
本発明の第1から第7の側面において、好ましくは、配線パターンからのアンカー部の高さは、0.03〜0.1μmとする。より好ましくは、アンカー部および配線パターンからなる配線部における、アンカー部が設けられている側の表面粗さRzは、0.2μm以下とする。
【0023】
好ましくは、アンカー部は、金属、および/または、金属材料が酸化されてなる金属酸化物よりなる。より好ましくは、アンカー部は、コバルト、クロム、ニッケル、亜鉛、コバルト酸化物、クロム酸化物、ニッケル酸化物、および亜鉛酸化物からなる群より選択される材料を含んで構成されている。
【0024】
好ましくは、アンカー部および配線パターンからなる配線部における、アンカー部が設けられている側の面と、絶縁層との間には、シランカップリング剤が介在している。シランカップリング剤は、ビニル基、エポキシ基、スチリル基、メタクリロキシ基、アクリロキシ基、アミノ基、ウレイド基、クロロプロピル基、メルカプト基、スルフィド基、およびイソシアネート基からなる群より選択される官能基を有するものが好ましい。
【0025】
好ましくは、絶縁層は、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、熱硬化性ポリフェニレンエーテル樹脂、および全芳香型ポリエステル系液晶ポリマー樹脂からなる群より選択される樹脂を主材として含んでいる。
【0026】
本発明の第8の側面によると導体張板が提供される。この導体張板は、絶縁基材、および、当該絶縁基材の片面または両面に貼り合わされている導体箔を備え、導体箔の片面または両面には、導体箔とは異なる金属系材料からなり相互に離隔する複数のアンカー部が設けられていることを特徴とする。
【0027】
このような構成の導体張板を用いると、第1の側面に係る配線基板を製造することができる。或は、第3の側面に係る方法により多層配線基板を製造することができる、したがって、第8の側面によっても、製造される配線基板において、第1の側面に関して上述したのと同様の効果が奏され、絶縁層と配線パターンとの間における密着性が高く、且つ、表皮効果に基づく伝送損失の少ない配線基板を得ることが可能となる。
【0028】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の第1の実施形態に係る多層配線基板X1の部分断面図である。図2は、図1の部分拡大図である。多層配線基板X1は、絶縁層11a,11bと、絶縁層11aおよび絶縁層11bの間に埋設されている配線パターン12aと、絶縁層11b上にて外部に露出している配線パターン12bと、スルーホールめっき13とを備える。配線パターン12aにおける絶縁層11bとの接触面には、複数のアンカー部14が設けられている。配線パターン12bにおける絶縁層11bとの接触面には、複数のアンカー部14が設けられている。スルーホールめっき13は、基板を貫通するスルーホール13’の内壁面に形成されている。
【0029】
絶縁層11a,11bは、基材に樹脂材料を含浸させてなるプリプレグを用いて形成されたものであって、当該樹脂は熱硬化されている。絶縁層11a,11bを構成するための基材としては、ガラス織布基材、ガラス不織布基材、アラミド織布基材、アラミド不織布基材などが挙げられる。絶縁層11a,11bを構成するための樹脂材料としては、ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂、ビスマレイミド樹脂、マレイミド樹脂、シアネート樹脂、熱硬化性ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリフェニレンオキサイド樹脂、フッ素含有樹脂、および全芳香型ポリエステル系液晶ポリマー樹脂などが挙げられる。
【0030】
配線パターン12a,12bは、銅により構成されており、各々、所望の形状にパターン形成されている。配線パターン12a,12bは、スルーホールめっき13によって相互に導通されており、このスルーホールめっき13は、例えば金、銀、銅などのめっきにより形成されている。
【0031】
アンカー部14は、コバルト、クロム、ニッケル、亜鉛などの金属、または、これらの酸化物により構成されている。これらの金属および金属酸化物は、配線パターンを構成する銅よりも高い抵抗率を有する。図2および図4に示すように、配線パターン12aに設けられている複数のアンカー部14は、配線パターン12a上にて相互に離隔している。図2および図4におけるアンカー部14の形状は模式的に表したものであって、本発明におけるアンカー部14には、後述のアンカー部形成工程において単一の核から成長しためっき堆積体であるアンカー部、および、複数の核から成長した複数のめっき堆積体が合一したアンカー部が含まれる。このようなアンカー部14の態様は、配線パターン12bに設けられているアンカー部14についても、同様である。アンカー部14の配線パターン表面からの高さは、0.03〜0.1μmである。配線パターン12a,12bと、このようなアンカー部14とからなる配線部において、アンカー部形成面の表面粗さRz(十点平均高さ)は、0.2μm以下である。ここで、十点平均高さとは、断面曲線から基準長さだけを抜き取った部分において、最高から5番目までの山頂の標高の平均値と、最深から5番目までの谷底の標高の平均値との差をいう。したがって、配線パターン12a,12b自体は、高さ0.03〜0.1μmのアンカー部14を伴いつつアンカー部形成面の表面粗さRzが0.2μm以下となるような表面粗さを有する。
【0032】
配線パターン12a,12bにおける、アンカー部14が設けられている側の面と絶縁層11bとの間には、シランカップリング剤を介在させてもよい。図3は、多層配線基板X1における配線パターン12aの、アンカー部14が設けられている側の面と絶縁層11bとの間に、シランカップリング剤が介在している場合の部分拡大図である。このようなカップリング剤の介在態様は、配線パターン12bに設けられているアンカー部14についても、同様である。
【0033】
シランカップリング剤としては、ビニル基、エポキシ基、スチリル基、メタクリロキシ基、アクリロキシ基、アミノ基、ウレイド基、クロロプロピル基、メルカプト基、スルフィド基、およびイソシアネート基からなる群より選択される官能基を有するものを使用することができる。より具体的には、シランカップリング剤としては、例えば、N−2(アミノメチル)3−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシランなどが挙げられる。
【0034】
図5〜図7は、一括積層法により多層配線基板X1を製造するための工程を表す。多層配線基板X1の製造においては、まず、図5(a)に示すような導体張積層板10を所定枚数用意する。導体張積層板10は、絶縁層11aと、当該絶縁層11aの両面に貼着された導体箔12とからなる。導体張積層板10は、高温高圧下においてプリプレグを熱硬化させつつ、導体箔12を当該プリプレグに圧着させることによって作製される。導体箔12は、例えば、表面粗さRzが0.1μm以下の電解銅箔または圧延銅箔である。
【0035】
導体張積層板10の各々について、図5(b)に示すように、所望の配線パターンを形成するためのレジストパターン20を導体箔12上に形成する。具体的には、導体箔12上にフォトレジストを積層し、所望の配線パターンに対応した露光処理および現象処理により当該フォトレジストをパターニングすることによって、レジストパターン20を形成する。次に、図5(c)に示すように、レジストパターン20をマスクとして導体箔12に対してエッチング処理を施すことによって、配線パターン12aを形成する。導体箔12として銅箔を採用する場合には、エッチング液としては、例えば塩化第二銅水溶液を使用することができる。この後、図5(d)に示すように、レジストパターン20を剥離する。
【0036】
次に、図5(e)に示すように、無電解めっき法により、配線パターン12aの表面にアンカー部14を形成する。具体的には、まず、Pdイオンを含む液剤に対して積層板10を浸漬することによって、当該Pdイオンを、配線パターン12a表面の構成元素と置換して配線パターン12aの表面に対して選択的にPdとして付着させる。このとき、浸漬温度は55〜65℃とし、浸漬時間は3〜5分とする。次に、アンカー部14を形成するためのめっき材料を含むめっき液に対して積層板10を浸漬することによって、当該めっき材料を、触媒としてのPdを核として配線パターン12a表面にて堆積成長させる。このとき、浸漬温度は79〜81℃とし、浸漬時間は10〜30秒とし、めっき材料が配線パターン12aの表面全体を覆わずに高さ0.1μm以下のアンカー部14を形成するように、めっき処理を終了させる。めっき材料としては、コバルト、クロム、ニッケル、亜鉛などを使用することができる。このような無電解めっき法によるアンカー部14の形成は、配線パターン12aを形成する前に、導体張積層板10の導体箔12に対して行ってもよい。その場合、アンカー部14が既に設けられている導体箔12から配線パターン12aが形成され、図5(e)に示す工程は行わない。
【0037】
アンカー部14を金属酸化物により構成する場合には、図5(e)に示す工程で金属製のアンカー部14を形成した後に、当該アンカー部14を酸化処理する。この酸化処理は、例えば、金属製のアンカー部14が形成されている積層板10を、酸素気流下および150〜250℃の条件で、1〜6時間放置することによって行う。
【0038】
また、配線パターン12aのアンカー部形成面と絶縁層11aとの間にシランカップリング剤を介在させる場合には、図5(e)に示す工程で金属製のアンカー部14を形成した後に、または、上述のようにして酸化処理を行った後に、当該表面に対してカップリング剤処理を施す。このカップリング剤処理は、シランカップリング剤を含む溶液をアンカー部形成面に対してスプレー塗布し、これを乾燥することによって行う。スプレー塗布に代えて、シランカップリング剤を含む溶液の、スピンコーターによる塗布、浸漬、流しかけを採用してもよい。
【0039】
次に、上述のようにして配線パターン12aの表面にアンカー部14が形成された複数の積層板10と、プリプレグ11b’と、アンカー部14が形成されている導体箔12とを、図6(a)に示すような配置関係にて積層する。当該導体箔12は、配線パターン12aの表面にアンカー部14を形成したのと同様の上述の手法により、導体箔12上にアンカー部14を形成することによって用意されたものである。次に、図6(b)に示すように、図6(a)の積層構造体を加熱下にて厚み方向にプレスする。これによって、プリプレグ11b’が硬化し、複数の積層板10と最外の2枚の導体箔12とが絶縁層11bを介して一体化される。
【0040】
次に、図7(a)に示すように、ドリルによって、積層構造体を貫通するようにスルーホール13’を形成する。次に、スルーホール13’の内壁を過マンガン酸塩水溶液によりデスミア処理した後、図7(b)に示すようにスルーホールめっき13を形成する。スルーホールめっき13は、スルーホール13’に対して無電解銅めっきに続いて電気銅めっきを施すことにより形成される。次に、図7(c)に示すように、最外の2枚の導体箔12から配線パターン12bを形成する。具体的には、配線パターン12bに対応する形状のレジストパターンを導体箔12上に形成し、これをマスクとしてエッチングを行った後、当該レジストパターンを剥離する。この後、必要に応じて、スルーホール13’に樹脂が充填される。
【0041】
以上の工程を経ることによって、絶縁層11a,11bと、配線パターン12a,12bと、スルーホールめっき13とを備えて、配線パターン12aにおける絶縁層11bとの接触面にアンカー部14が設けられ、且つ、配線パターン12bにおける絶縁層11bとの接触面にアンカー部14が設けられている多層配線基板X1が作製される。
【0042】
このような構成の多層配線基板X1においては、配線パターン12a,12bに設けられているアンカー部14の絶縁層11bに対するアンカー効果によって、絶縁層11bと配線パターン12aとの間、および、絶縁層11bと配線パターン12bとの間において、高い密着性が達成されている。絶縁材料に対する密着性については、金属よりも金属酸化物の方が高い傾向にあるので、アンカー部14が金属酸化物により構成されている場合には、金属により構成されている場合よりも、絶縁層11bと配線パターン12a,12bとの間において、より高い密着性を達成できる傾向にある。また、上掲のシランカップリング剤は、無機材料と結合可能な官能基(水酸基、メトキシ基、エトキシ基など)に加え、樹脂材料と結合可能な官能基(ビニル基、アミノ基、エポキシ基、イミダゾール基など)を有して無機材料および樹脂材料の間を架橋する機能を呈するので、アンカー部14および配線パターン12a,12bと絶縁層11bとの間に図3に示すようにシランカップリング剤が介在している場合には、そうでない場合よりも、絶縁層11bと配線パターン12a,12bとの間において、より高い密着性を達成できる場合がある。
【0043】
また、多層配線基板X1においては、高周波の信号が配線パターンを伝送される場合に、表皮効果が抑制される。アンカー部14は、配線パターン12a,12bよりも高抵抗率の材料により構成されているため、配線パターン12a,12bを流れる電流ないし電気信号は、低抵抗率の配線パターン12a,12bから、当該配線パターン12a,12bとは異なる材料より構成されて且つ高抵抗率のアンカー部14へは、通過経路ないし進路を取りにくい。したがって、高周波信号の表皮効果、即ち、より高周波の信号は配線部においてより表面を流れるという現象は、抑制される。
【0044】
更には、多層配線基板X1においては、伝送信号の表皮効果が顕著な場合であっても、伝送損失が過大となるのが抑制される。アンカー部14の配線パターン表面からの高さが0.03〜0.1μmであって且つ配線パターン12a,12bのアンカー部形成面の表面粗さRzが0.2μm以下であり、従来の粗化技術によるよりも、配線パターン12a,12bの表面粗さは小さい。そのため、伝送信号が極めて高周波であって且つ表皮効果に基づいてその高周波信号の伝送経路にアンカー部14が含まれてしまう場合であっても、従来の粗化技術によるよりも、信号伝送距離の冗長化の程度は少なく、伝送損失が過大となるのが抑制される。また、伝送信号が極めて高周波であって且つ表皮効果に基づいてその高周波信号の伝送経路にアンカー部14が含まれてしまう場合であっても、アンカー部14が配線パターン12a,12b上において相互に離隔して設けられているため、当該電気信号は、高抵抗率のアンカー部14のみを伝わることはなく、アンカー部間の低抵抗率の配線パターン12a,12bをも必ず通過する。その結果、伝送損失が過大となるのが抑制される。
【0045】
このように、本発明に係る多層配線基板X1においては、絶縁層11bと配線パターン12a,12bとの間における密着性が高く、且つ、表皮効果に基づく伝送損失は少ない。
【0046】
図8は、本発明の第2の実施形態に係る多層配線基板X2の部分断面図である。多層配線基板X2は、絶縁層11a,11bと、配線パターン12a,12bと、スルーホールめっき13と、アンカー部14とを備える。各部材の構成材料については、第1の実施形態に係る多層配線基板X1に関して上述したのと同様である。多層配線基板X2は、配線パターン12aにおける絶縁層11aとの接触面にもアンカー部14が設けられている点において、多層配線基板X1と異なる。したがって、多層配線基板X2においては、絶縁層11bと配線パターン12aとの間、および、絶縁層11bと配線パターン12bとの間に加えて、絶縁層11aと配線パターン12aとの間においても、高い密着性が達成されている。配線パターン12aおよびそれに設けられているアンカー部14と絶縁層11aとの間、および/または、配線パターン12aおよびそれに設けられているアンカー部14と絶縁層11bとの間には、多層配線基板X1に関して図3を参照して上述したのと同様に、シランカップリング剤を介在させてもよい。
【0047】
図9は、一括積層法により多層配線基板X2を製造するための工程を表す。多層配線基板X2の製造においては、まず、導体箔12の両面に対して、図9(a)に示すようにアンカー部14を形成する。導体箔12は、例えば、表面粗さRzが0.1μm以下の電解銅箔または圧延銅箔である。アンカー部14の形成に際しては、図5(e)に示す工程で配線パターン12a表面にアンカー部14を形成するための手法と同様の手法を用いる。
【0048】
アンカー部14の形成の後、図9(b)に示すように、導体張積層板10を形成する。具体的には、アンカー部14が形成されている導体箔12を、アンカー部14を介して所定のプリプレグ11a’の両面に貼着する。貼着に際しては、高温高圧下においてプリプレグ11a’を熱硬化させつつ、導体箔12をプリプレグ11a’に圧着させる。このようにして、絶縁層11aとこの両面に設けられた導体箔12とからなる導体張積層板10が所定数作製される。
【0049】
次に、図9(c)に示すように、所望の配線パターンを形成するためのレジストパターン20を導体箔12上に形成する。具体的には、導体箔12上にフォトレジストを積層し、所望の配線パターンに対応した露光処理および現象処理により当該フォトレジストをパターニングすることによって、レジストパターン20を形成する。次に、図9(d)に示すように、レジストパターン20をマスクとして導体箔12に対してエッチング処理を施すことによって、配線パターン12aを形成する。この後、図9(e)に示すように、レジストパターン20を剥離する。
【0050】
アンカー部14を金属酸化物により構成する場合には、例えば図9(a)に示す工程で金属製のアンカー部14を形成した後に、当該アンカー部14を酸化処理する。この酸化処理の方法は、多層配線基板X1に関して上述したアンカー部14の酸化処理と同様である。また、配線パターン12aのアンカー部形成面と絶縁層11aとの間にシランカップリング剤を介在させる場合には、例えば図9(a)に示す工程で金属製のアンカー部14を形成した後に、または、上述のようにして酸化処理を行った後に、当該表面に対してカップリング剤処理を施す。このとき、絶縁層11bと接することとなるアンカー部形成面に対してもカップリング剤処理してもよい。このカップリング剤処理は、多層配線基板X1に関して上述したカップリング剤処理と同様である。
【0051】
このようにして両面にアンカー部14が形成されて必要に応じて酸化処理および/またはカップリング剤処理が施された積層板10を用いて、多層配線基板X1に関して図6および図7を参照して上述したのと同様の工程を経ることによって、本実施形態に係る多層配線基板X2が作製される。
【0052】
上述の図9(a)に示す工程において無電解めっき法により導体箔12の片面にのみアンカー部14を形成し、続いて図9(b)に示す工程において、アンカー部14が形成されている導体箔12を、当該アンカー部14を介してプリプレグ11a’の両面に貼着して導体張板10を作製し、当該導体張板10を用いて図9(c)〜(e)、図6および図7の工程を行ってもよい。この場合、絶縁層11a,11bと、配線パターン12a,12bと、スルーホールめっき13とを備えて、配線パターン12aにおける絶縁層11aとの接触面にアンカー部14が設けられ、且つ、配線パターン12bにおける絶縁層11bとの接触面にアンカー部14が設けられている多層配線基板が作製される。
【0053】
上述の図9(a)に示す工程において無電解めっき法により導体箔12の片面にのみアンカー部14を形成し、続いて図9(b)に示す工程において、アンカー部14が形成されている導体箔12を、当該アンカー部14を露出させつつプリプレグ11a’の両面に貼着して導体張板10を作製し、当該導体張板10を用いて図9(c)〜(e)、図6および図7の工程を行ってもよい。この場合、絶縁層11a,11bと、配線パターン12a,12bと、スルーホールめっき13とを備えて、配線パターン12aにおける絶縁層11bとの接触面にアンカー部14が設けられ、且つ、配線パターン12bにおける絶縁層11bとの接触面にアンカー部14が設けられている多層配線基板X1が作製される。
【0054】
図10は、本発明の第3の実施形態に係る多層配線基板X3の部分断面図である。多層配線基板X3は、コア基板30と、この上に積層されている絶縁層31,32と、絶縁層31および絶縁層32の間に埋設されている配線パターン41とを備える。配線パターン41における絶縁層32との接触面には、複数のアンカー部14が相互に離隔して設けられている。配線パターン41に対するアンカー部14の形成の態様については、多層配線基板X1に関して図2および図4を参照して上述したのと同様である。
【0055】
コア基板30は、例えば、基材に樹脂を含浸させて当該樹脂をBステージの状態としたプリプレグを複数積層したものである。基材としては、ガラス織布基材、ガラス不織布基材、アラミド織布基材、アラミド不織布基材などが挙げられる。樹脂としては、ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂、ビスマレイミド樹脂、マレイミド樹脂、シアネート樹脂、熱硬化性ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリフェニレンオキサイド樹脂、フッ素含有樹脂、および全芳香型ポリエステル系液晶ポリマー樹脂などが挙げられる。コア基板30の表面には、銅により内層配線パターン40が形成されている。内層配線パターン40における絶縁層31との接触面には、複数のアンカー部14が相互に離隔して設けられている。
【0056】
絶縁層31,32の構成材料としては、例えば、コア基板10を形成するためのプリプレグの構成材料として上掲した樹脂を用いることができる。図10に示す多層配線基板X3において、絶縁層31には、ビアホール31aが形成されている。
【0057】
配線パターン41は、絶縁層31上においてパターン形成されたものである。配線パターン41と内層配線パターン40とは、ビアホール31aに形成されたビア41aを介して導通している。
【0058】
アンカー部14の構成材料および高さについては、多層配線基板X1のアンカー部14に関して上述したのと同様である。
【0059】
図11〜図13は、ビルドアップ法により多層配線基板X3を製造するための工程を表す。多層配線基板X3の製造においては、まず、図11の(a)および(b)に示すように、予め内層配線パターン40が既にパターン形成されているコア基板30の上に、未硬化の樹脂膜31’を積層して絶縁層31を形成する。内層配線パターン40の表面には、無電解めっき法により、予め複数のアンカー部14が相互に離隔して設けられている。アンカー部14の形成に際しては、多層配線基板X1の製造における図5(e)に示す工程で配線パターン12aの表面にアンカー部14を形成するための手法と同様の手法を用いる。絶縁層31の形成に際しては、樹脂膜31’を構成する樹脂材料の性質に応じて、加熱および加圧下で貼り合わせ工程を行う。
【0060】
次に、図11(c)に示すように、絶縁層31の所定箇所において、ビアホール31aを形成する。ビアホール31aの形成手段としては、炭酸ガスレーザ、エキシマレーザ、UV−YAGレーザなどを採用することができる。これらのレーザによりビアホール31aを形成すると、ビアホール31aの内壁には微細な凹凸形状が形成され、ビアホール31aの内壁とこれに接触形成されるビア41aとの間において充分なアンカー効果が得られる。
【0061】
次に、図12(a)に示すように、無電解銅めっき法により、絶縁層31上に厚さ0.05〜0.5μmの無電解銅めっき層41’を形成する。この無電解銅めっき法としては、例えば、絶縁層31の露出面に対する、コンディショニング、触媒前処理、触媒処理、反応促進処理、無電解銅めっき析出処理などの一連の処理工程を含む公知の手法を採用することができる。無電解銅めっき層41’は、絶縁層31上の全面を被覆し、後の工程の電気めっき処理における通電層として機能することとなる。
【0062】
次に、図12(b)に示すように、無電解銅めっき層41’上にレジストパターン50を形成する。具体的には、無電解銅めっき層41’上にフォトレジストを積層し、所望の配線パターンに対応した露光処理および現象処理により当該フォトレジストをパターニングすることによって、レジストパターン50を形成する。
【0063】
次に、図12(c)に示すように、無電解銅めっき層41’を通電層として、電気銅めっき処理を施す。これにより、レジストパターン50の非マスク領域に、厚さ10〜30μmの電気銅めっき層41’’を堆積成長させる。電気銅めっき法としては、例えば、酸性硫酸銅めっき液を用いた公知の手法を採用することができる。次に、図12(d)に示すように、レジストパターン50を剥離する。剥離液としては、水酸化ナトリウム水溶液や有機アミン系水溶液を用いることができる。
【0064】
次に、図13(a)に示すように、電気銅めっき層41’’に覆われていない無電解銅めっき層41’を除去する。具体的には、無電解銅めっき層41’は、例えば、過酸化水素と硫酸の混合水溶液、または、塩化第二銅水溶液などを用いてエッチング除去する。この結果、無電解銅めっき層41’および電気銅めっき層41’’からなる配線パターン41が、絶縁層31上にパターン形成されることとなる。
【0065】
次に、図13(b)に示すように、無電解めっき法により、配線パターン41の表面にアンカー部14を形成する。具体的には、多層配線基板X1の製造における図5(e)に示す工程で配線パターン12aの表面にアンカー部14を形成するための手法と同様の手法により、アンカー部14を形成する。
【0066】
配線パターン41に形成されたアンカー部14を金属酸化物により構成する場合には、図13(b)に示す工程で金属製のアンカー部14を形成した後に、当該アンカー部14を酸化処理する。この酸化処理の方法は、多層配線基板X1に関して上述したアンカー部14の酸化処理と同様である。また、配線パターン41のアンカー部形成面と絶縁層32との間にシランカップリング剤を介在させる場合には、図13(b)に示す工程で金属製のアンカー部14を形成した後に、または、上述のようにして酸化処理を行った後に、当該表面に対してカップリング剤処理を施す。このカップリング剤処理は、多層配線基板X1に関して上述したカップリング剤処理と同様である。
【0067】
次に、図13(c)に示すように、絶縁層31に対して、配線パターン41の上方から絶縁層32を積層形成する。これによって、図10に示した多層配線基板X3が作製される。
【0068】
図13(d)は、上述の、ビアホール31aの形成から配線パターン41の形成を経て絶縁層32の積層形成までの一連の工程を、絶縁層32上において再び繰り返した後の多層配線基板X3’を表す。このように、当該一連の工程を所定数繰り返すことによって、所望の積層数を達成することができる。また、多層配線基板X1,X2と同様に、多層配線基板X3,X3’においても、最外絶縁層上に配線パターンを更に設けてもよい。
【0069】
上述の多層配線基板X1,X2は、配線パターン12a,12b間の電気的接続を図るために、スルーホールめっき13を備えているが、本発明では、スルーホールめっき13と共に又はこれに代えて、埋め込みビアやブラインドビアを設けてもよい。このような構成によっても、配線パターン12a,12b間において良好な電気的接続を達成することができる。上述の多層配線基板X3,X3’では、多層配線構造はコア基板10の片面側にのみ形成されているが、本発明では、このような構成に限らず、多層配線構造はコア基板10の両面に形成してもよい。多層配線基板X3,X3’の製造においては、図12(a)〜図13(a)を参照して、セミアディティブ法により配線パターン41を形成する手法を説明したが、本発明では、配線パターン41の形成においてサブトラクティブ法またはフルアディティブ法を採用してもよい。サブトラクティブ法を採用する場合には、成膜された配線材料膜から配線パターン41をパターニングする前に、アンカー部14を配線材料膜表面に形成してもよい。
【0070】
また、上述の実施形態については、多層配線基板を例に挙げて説明したが、本発明は、そのように多層化が図られている配線基板に限らず、片面または両面のプリント配線基板においても実施することができる。また、本発明は、片面銅張板または両面銅張板などにおいても実施することができる。絶縁基材と銅箔との間で高い密着性が達成されているそのような銅張板を用いると、本発明に係る配線基板を作製することができる。また、そのような銅張板は、グランド接続用の導体部を備えた基板などとしても、好適に利用可能である。
【0071】
【実施例】
以下、本発明の実施例について、比較例とともに説明する。
【0072】
【実施例1】
<サンプル基板の作製>
厚さ0.1mmであってサイズ300×300mmのFR−4材の両面に厚さ18μmの銅箔が貼着されている両面銅張積層板(商品名:R−1766、松下電工製)を、脱脂液に3分間浸漬することによって脱脂処理した。この脱脂液は、ソフトエッチング剤(商品名:PT−0、ワールドメタル製)を10vol%の濃度で含む。続いて、この両面銅張積層板を、選択性パラジウム付与剤であるPd溶液(商品名:AT−90、ワールドメタル製)に浸漬し、銅箔表面に触媒としてのPdを付着させた。このとき、浸漬温度は60℃とし、浸漬時間は5分間とした。次に、両面銅張積層板を、無電解コバルトめっき液に浸漬した。この無電解コバルトめっき液は、ワールドメタル製のコンバスF−1とコンバスF−2とを1:1で混合したものである。このとき、浸漬温度を60℃とし、浸漬時間は20秒間とすることによって、わずかに外観色が変化する程度のめっきを施した。これにより、Pdを核として銅箔表面にて高さ0.1μm以下のコバルトアンカー部が形成された。コバルトアンカー部が銅箔表面全体を覆うことなく銅箔表面にて点在していることは、2次元X線元素分析により確認した。次に、コバルトアンカー部が形成された両面銅張積層板の両面に対して、FR−4材であるプリプレグ(商品名:ガラスエポキシマルチR−1661、松下電工製)を重ね合わせ、真空プレスによってこれらを一体化させた。このとき、プレス温度は180℃とし、プレス圧力は30kgf/cm2とした。このようにして、3層の絶縁層とこれらの間の2層の銅層とからなる本実施例のサンプル基板を作製した。
【0073】
<密着性の評価>
上述のようにして作製したサンプル基板について、絶縁層と銅箔との間における剥離強度を測定した。具体的には、サンプル基板を1cm幅に切り込み、この1cm幅のサンプル基板の最上位の絶縁層を、その幅方向に垂直であって基板に垂直な方向へ剥がし、剥がし速度が一定であるときに当該絶縁層に作用する力を測定した。その結果、本実施例のサンプル基板は、絶縁層と銅箔との間にて剥離強度0.8kgf/cmを示し、絶縁層と銅箔との間において充分な密着性が達成されていることが判った。
【0074】
<多層配線基板の作製>
厚さ0.1mmであってサイズ300×300mmのFR−4材の両面に厚さ18μmの銅箔が貼着されている両面銅張積層板(商品名:R−1766、松下電工製)の両面の各々において、ラミネート装置(ML−4801、MCK製)を使用して、厚み40μmのドライフィルムフォトレジスト(商品名:NIT−215、日合モートン製)をラミネートした。このとき、密着ロール温度は105℃とし、ロール圧力は4kg/cmとした。このレジストに対して露光処理および現像処理を施すことにより、レジストパターンを形成した。現像処理には、炭酸ナトリウム1wt%水溶液を用いたスプレー現像プロセスを採用した。次に、このレジストパターンの非マスク領域の銅箔を、過酸化水素−硫酸系エッチング液(商品名:SE−07、三菱ガス化学製)でエッチング除去した。この後、レジストパターンを剥離することによって、FR−4材の両面に銅配線パターンが形成された積層板を得た。このようにして所望の銅配線パターンが形成された積層板を、脱脂液に3分間浸漬することによって脱脂処理した。この脱脂液は、ソフトエッチング剤(商品名:PT−0、ワールドメタル製)を10vol%の濃度で含む。以降の工程については、サンプル基板の作製における脱脂処理後の工程と同様にして、3層の絶縁層とこれらの間の2層の配線パターンとからなる本実施例の多層配線基板を作製することができた。
【0075】
【実施例2】
アンカー部の形成において、無電解コバルトめっき液に代えて無電解ニッケルめっき液(商品名:ニムデンSX、上村工業製)を用いてニッケルアンカー部を形成した以外は実施例1と同様にして、剥離強度測定用のサンプル基板を作製した。このニッケルアンカー部には微量のリンが含有されている。このサンプル基板について、実施例1と同様にして剥離強度を測定したところ、本実施例におけるサンプル基板は0.8kgf/cmの剥離強度を示し、絶縁層と銅箔との間において充分な密着性が達成されていることが判った。また、アンカー部の形成において、無電解コバルトめっき液に代えて無電解ニッケルめっき液(商品名:ニムデンSX、上村工業製)を用いてニッケルアンカー部を形成した以外は実施例1と同様にして、本実施例の多層配線基板を作製することもできた。
【0076】
【実施例3】
両面銅張積層板を無電解コバルトめっき液に浸漬してコバルトアンカー部を形成した後に、更に、銅箔における当該アンカー部形成面を酸化処理することによって、コバルトアンカー部に代えてコバルト酸化物アンカー部を形成した以外は実施例1と同様にして、剥離強度測定用のサンプル基板を作製した。この酸化処理は、当該積層板を、酸素気流下および120℃の条件で、1時間放置することによって行った。このサンプル基板について、実施例1と同様にして剥離強度を測定したところ、本実施例におけるサンプル基板は0.8kgf/cmの剥離強度を示し、絶縁層と銅箔との間において充分な密着性が達成されていることが判った。また、両面銅張積層板を無電解コバルトめっき液に浸漬してコバルトアンカー部を形成した後に、更に、銅箔における当該アンカー部形成面を酸化処理することによって、コバルトアンカー部に代えてコバルト酸化物アンカー部を形成した以外は実施例1と同様にして、本実施例の多層配線基板を作製することもできた。
【0077】
【実施例4】
両面銅張積層板を無電解ニッケルめっき液に浸漬してニッケルアンカー部を形成した後に、更に、銅箔における当該アンカー部形成面を酸化処理することによって、ニッケルアンカー部に代えてニッケル酸化物アンカー部を形成した以外は実施例2と同様にして、剥離強度測定用のサンプル基板を作製した。この酸化処理は、当該積層板を、酸素気流下および120℃の条件で、1時間放置することによって行った。このサンプル基板について、実施例1と同様にして剥離強度を測定したところ、本実施例におけるサンプル基板は0.8kgf/cmの剥離強度を示し、絶縁層と銅箔との間において充分な密着性が達成されていることが判った。また、両面銅張積層板を無電解ニッケルめっき液に浸漬してニッケルアンカー部を形成した後に、更に、銅箔における当該アンカー部形成面を酸化処理することによって、ニッケルアンカー部に代えてニッケル酸化物アンカー部を形成した以外は実施例2と同様にして、本実施例の多層配線基板を作製することもできた。
【0078】
【実施例5】
酸化処理における酸化温度を120℃に代えて100℃とするとともに、ニッケル酸化物アンカー部が形成された後の銅箔表面をカップリング剤処理した以外は実施例4と同様にして、剥離強度測定用のサンプル基板を作製した。このカップリング剤処理は、主成分としてN−2(アミノメチル)3−アミノプロピルトリメトキシシランを含むアミノ系シランカップリング剤(商品名:KBM−603、信越シリコーン製)の水溶液に積層板を浸漬した後、これを乾燥することによって行った。このサンプル基板について、実施例1と同様にして剥離強度を測定したところ、本実施例におけるサンプル基板は1.0kgf/cmの剥離強度を示し、絶縁層と銅箔との間において充分な密着性が達成されていることが判った。また、酸化処理における酸化温度を120℃に代えて100℃とするとともに、ニッケル酸化物アンカー部が形成された後の銅箔表面をカップリング剤処理した以外は実施例4と同様にして、本実施例の多層配線基板を作製することもできた。
【0079】
以上のまとめとして、本発明の構成およびそのバリエーションを以下に付記として列挙する。
【0080】
(付記1)少なくとも1つの絶縁層、および、当該絶縁層に接する少なくとも1つの配線パターンを備え、
前記配線パターンにおける、前記絶縁層と接する片面または両面には、前記配線パターンとは異なる金属系材料からなり相互に離隔する複数のアンカー部が設けられていることを特徴とする、配線基板。
(付記2)前記配線パターンからの前記アンカー部の高さは、0.03〜0.1μmである、付記1に記載の配線基板。
(付記3)前記アンカー部および前記配線パターンからなる配線部における、前記アンカー部が設けられている側の表面粗さRzは、0.2μm以下である、付記2に記載の配線基板。
(付記4)前記アンカー部は、金属および/または金属酸化物よりなる、付記1から3のいずれか1つに記載の配線基板。
(付記5)前記アンカー部は、コバルト、クロム、ニッケル、亜鉛、コバルト酸化物、クロム酸化物、ニッケル酸化物、および亜鉛酸化物からなる群より選択される材料を含んでなる、付記4に記載の配線基板。
(付記6)前記アンカー部および前記配線パターンからなる配線部における、前記アンカー部が設けられている側の面と、前記絶縁層との間には、シランカップリング剤が介在している、付記1から5のいずれか1つに記載の配線基板。
(付記7)前記シランカップリング剤は、ビニル基、エポキシ基、スチリル基、メタクリロキシ基、アクリロキシ基、アミノ基、ウレイド基、クロロプロピル基、メルカプト基、スルフィド基、およびイソシアネート基からなる群より選択される官能基を有する、付記6に記載の配線基板。
(付記8)前記絶縁層は、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、熱硬化性ポリフェニレンエーテル樹脂、および全芳香型ポリエステル系液晶ポリマー樹脂からなる群より選択される樹脂を主材として含む、付記1から7のいずれか1つに記載の配線基板。
(付記9)少なくとも1つの絶縁層、および、当該絶縁層に接する少なくとも1つの配線パターンを備える配線基板を製造するための方法であって、
導体箔の片面または両面に対して触媒を付着させる工程と、
無電解めっき法により、前記導体箔よりも高い抵抗率を有する金属材料を、前記導体箔上において前記触媒を核にして堆積成長させることによって、相互に離隔する複数のアンカー部を前記導体箔上に形成する工程と、
前記アンカー部が形成された前記導体箔を、当該アンカー部を介して絶縁層に貼り合わせる工程と、
前記導体箔をパターニングすることによって配線パターンを形成する工程と、を含むことを特徴とする、配線基板の製造方法。
(付記10)複数の絶縁層と当該絶縁層の間の配線パターンとを含む多層構造を有する配線基板を製造するための方法であって、
絶縁基材の両面に配線パターンが形成されてなる積層板における当該配線パターンに対して触媒を付着させる工程と、
無電解めっき法により、前記配線パターンよりも高い抵抗率を有する金属材料を、前記配線パターン上において前記触媒を核にして堆積成長させることによって、相互に離隔する複数のアンカー部を前記配線パターン上に形成する工程と、
前記配線パターンが形成されている前記導体張板と絶縁膜材とを交互に積層し、当該積層体を積層方向に一括して加圧することによって前記多層構造を形成する工程と、を含むことを特徴とする、配線基板の製造方法。
(付記11)複数の絶縁層と当該絶縁層の間の配線パターンとを含む多層構造を有する配線基板を製造するための方法であって、
導体箔よりも高い抵抗率を有して相互に離隔する複数のアンカー部が片面または両面に設けられている導体箔が、当該アンカー部を介して絶縁基材の両面に貼り合わされてなる導体張板において、前記導体箔をパターニングすることによって、前記導体張板の両面において配線パターンを形成する工程と、
前記配線パターンが形成されている前記導体張板と絶縁膜材とを交互に積層し、当該積層体を積層方向に一括して加圧することによって前記多層構造を形成する工程と、を含むことを特徴とする、配線基板の製造方法。
(付記12)複数の絶縁層と当該絶縁層の間の配線パターンとを含む多層構造を有する配線基板を製造するための方法であって、
絶縁基材、および、当該絶縁基材の両面に貼り合わされている導体箔からなる導体張板において、前記導体箔に対して触媒を付着させる工程と、
無電解めっき法により、前記導体箔よりも高い抵抗率を有する金属材料を、前記導体箔上において前記触媒を核にして堆積成長させることによって、相互に離隔する複数のアンカー部を前記導体箔上に形成する工程と、
前記アンカー部が形成された前記導体箔をパターニングすることによって、前記導体張板の両面において配線パターンを形成する工程と、
前記配線パターンが形成されている前記導体張板と絶縁膜材とを交互に積層し、当該積層体を積層方向に一括して加圧することによって前記多層構造を形成する工程と、を含むことを特徴とする、配線基板の製造方法。
(付記13)複数の絶縁層と当該絶縁層の間の配線パターンとを含む多層構造を有する配線基板を製造するための方法であって、
絶縁層の上に形成されている配線パターンに対して触媒を付着させる工程と、
無電解めっき法により、前記配線パターンよりも高い抵抗率を有する金属材料を、前記配線パターン上において前記触媒を核にして堆積成長させることによって、相互に離隔する複数のアンカー部を前記配線パターン上に形成する工程と、
前記配線パターンの上に更なる絶縁層を積層形成する工程と、を含むことを特徴とする、配線基板の製造方法。
(付記14)複数の絶縁層と当該絶縁層の間の配線パターンとを含む多層構造を有する配線基板を製造するための方法であって、
絶縁層の上に成膜されている導体箔に対して触媒を付着させる工程と、
無電解めっき法により、前記導体箔よりも高い抵抗率を有する金属材料を、前記導体箔上において前記触媒を核にして堆積成長させることによって、相互に離隔する複数のアンカー部を前記導体箔上に形成する工程と、
前記導体箔をパターニングすることによって、配線パターンを形成する工程と、
前記配線パターンの上に更なる絶縁層を積層形成する工程と、を含むことを特徴とする、配線基板の製造方法。
(付記15)前記アンカー部は、前記配線パターンまたは前記導体箔からの高さが0.03〜0.1μmとなるように形成される、付記9から14のいずれか1つに記載の配線基板。
(付記16)前記アンカー部は酸化される、付記9から15のいずれか1つに記載の配線基板の製造方法。
(付記17)前記アンカー部および前記配線パターンからなる配線部における、前記アンカー部が設けられている側の面に、シランカップリング剤を付着させる工程を更に含む、付記9から16のいずれか1つに記載の配線基板の製造方法。
(付記18)絶縁基材、および、当該絶縁基材の片面または両面に貼り合わされている導体箔を備え、
前記導体箔の片面または両面には、前記導体箔とは異なる金属系材料からなり相互に離隔する複数のアンカー部が設けられていることを特徴とする、導体張板。
【0081】
【発明の効果】
本発明によると、絶縁層と配線パターンとの間における密着性が高く、且つ、表皮効果に基づく伝送損失の少ない、両面プリント配線板や多層配線基板などの配線基板を得ることができる。このような配線基板によると、電子機器に組み込まれる電子部品の高密度実装化に適切に対応することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る多層配線基板の部分断面図である。
【図2】図1の部分拡大図である。
【図3】図1の多層配線基板において、配線パターンにおけるアンカー部が設けられている側の面と前記絶縁層との間に、シランカップリング剤が介在している場合の部分拡大図である。
【図4】配線パターン上におけるアンカー部の形成態様を模式的に表す平面図である。
【図5】図1の多層配線基板の製造方法における一部の工程を表す。
【図6】図5に続く工程を表す。
【図7】図6に続く工程を表す。
【図8】本発明の第2の実施形態に係る多層配線基板の部分断面図である。
【図9】図8の多層配線基板の製造方法における一部の工程を表す。
【図10】本発明の第3の実施形態に係る多層配線基板の部分断面図である。
【図11】図10の多層配線基板の製造方法における一部の工程を表す。
【図12】図11に続く工程を表す。
【図13】図12に続く工程を表す。
【符号の説明】
X1,X2,X3,X3’ 多層配線基板
11a,11b,31,32 絶縁層
12a,12b,41 配線パターン
13 スルーホールめっき
14 アンカー部
20,50 レジストパターン

Claims (8)

  1. 少なくとも1つの絶縁層、および、当該絶縁層に接する少なくとも1つの配線パターンを備え、
    前記配線パターンにおける、前記絶縁層と接する片面または両面には、当該配線パターン上において加熱下での酸素暴露によって酸化されて、当該酸素暴露によって露出表面が酸化された当該配線パターンの母材よりも高い抵抗率を有するに至った、金属酸化物からなり相互に離隔する複数のアンカー部が設けられていることを特徴とする、配線基板。
  2. 前記配線パターンからの前記アンカー部の高さは、0.03〜0.1μmである、請求項1に記載の配線基板。
  3. 前記アンカー部は、コバルト酸化物、クロム酸化物、ニッケル酸化物、および亜鉛酸化物からなる群より選択される材料を含んでなる、請求項1または2に記載の配線基板。
  4. 前記アンカー部および前記配線パターンからなる配線部における、前記アンカー部が設けられている側の面と、前記絶縁層との間には、シランカップリング剤が介在している、請求項1から3のいずれか1つに記載の配線基板。
  5. 少なくとも1つの絶縁層、および、当該絶縁層に接する少なくとも1つの配線パターンを備える配線基板を製造するための方法であって、
    導体箔の片面または両面に対して触媒を付着させる工程と、
    無電解めっき法により、前記導体箔上において前記触媒を核にして金属材料を堆積成長させることによって、相互に離隔する複数のアンカー部を前記導体箔上に形成する工程と、
    前記導体箔上における加熱下での酸素暴露によって前記アンカー部を酸化して前記導体箔の母材よりも高い抵抗率を有するに至らしめる工程と、
    前記アンカー部が形成された前記導体箔を、当該アンカー部を介して絶縁層に張り合わせる工程と、
    前記導体箔をパターニングすることによって配線パターンを形成する工程と、を含むことを特徴とする、配線基板の製造方法。
  6. 複数の絶縁層と当該絶縁層の間の配線パターンとを含む多層構造を有する配線基板を製造するための方法であって、
    絶縁基材の両面に配線パターンが形成されてなる積層板における当該配線パターンに対して触媒を付着させる工程と、
    無電解めっき法により、前記配線パターン上において前記触媒を核にして金属材料を堆積成長させることによって、相互に離隔する複数のアンカー部を前記配線パターン上に形成する工程と、
    前記配線パターン上における加熱下での酸素暴露によって前記アンカー部を酸化して前記配線パターンの母材よりも高い抵抗率を有するに至らしめる工程と、
    前記配線パターンが形成されている前記積層板と絶縁膜材とを交互に積層し、当該積層体を積層方向に一括して加圧することによって前記多層構造を形成する工程と、を含むことを特徴とする、配線基板の製造方法。
  7. 複数の絶縁層と当該絶縁層の間の配線パターンとを含む多層構造を有する配線基板を製造するための方法であって、
    絶縁層の上に形成されている配線パターンに対して触媒を付着させる工程と、
    無電解めっき法により、前記配線パターン上において前記触媒を核にして金属材料を堆積成長させることによって、相互に離隔する複数のアンカー部を前記配線パターン上に形成する工程と、
    前記配線パターン上における加熱下での酸素暴露によって前記アンカー部を酸化して前記配線パターンの母材よりも高い抵抗率を有するに至らしめる工程と、
    前記配線パターンの上に更なる絶縁層を積層形成する工程と、を含むことを特徴とする、配線基板の製造方法。
  8. 絶縁基材、および、当該絶縁基材の片面または両面に張り合わされている導体箔を備え、
    前記導体箔の片面または両面には、当該導体箔上において加熱下での酸素暴露によって酸化されて、当該酸素暴露によって露出表面が酸化された当該導体箔の母材よりも高い抵抗率を有するに至った、金属酸化物からなり相互に離隔する複数のアンカー部が設けられていることを特徴とする、導体張板。
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