JP4273588B2 - 空気調和装置の冷媒回路 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
【0002】
本願発明は、膨張機による動力回収によって高効率化を実現するようにした空気調和装置の冷媒回路に関するものである。
【従来の技術】
【0003】
図5には、臨界温度以下の領域で運転される従来一般的な蒸気圧縮式の冷凍サイクルを示している。また、図6には、このような蒸気圧縮式冷凍サイクルを用いた空気調和装置Z0のヒートポンプ冷媒回路を示しており、同図において符号61は室外機、62は室内機であって、該室外機61側には圧縮機63と四路切換弁68と室外熱交換器64と膨張弁66及びアキュムレータ67が備えられ、また上記室内機62側には室内熱交換器65が備えられ、これら各部材を冷媒管路で順次接続して冷媒循環系を構成している。そして、上記四路切換弁68の切換操作によって上記室内熱交換器65が蒸発器又は凝縮器として選択的に機能することで、冷房又は暖房が行われるものである。
【0004】
ところで、従来の冷媒回路においては、上記四路切換弁68が一つしか備えられていないため冷房時と暖房時とでは冷媒の流れ方向が逆転するが、上記膨張弁66が冷媒の流れ方向にあまり依存しない構造であることから、冷媒の流れ方向の逆転による問題は生じなかった。
【0005】
しかし、近年、冷凍サイクルの更なる高効率化を図る手段として、膨張弁に代えて膨張機を備え、冷媒が膨張する過程でその圧力エネルギーを該膨張機によって電力又は動力の形で回収し、その回収分だけシステムへの入力(圧縮機への入力)を少なくする動力回収サイクルが提案されており、特に、冷媒として高圧冷媒である二酸化炭素を用いた遷臨界冷凍サイクル(図7を参照)では、圧縮機仕事が多いことからその意義は大きい。
【0006】
即ち、膨張機を組み込んだ遷臨界冷凍サイクルにおいては、図8に示すように、圧縮機出口(点d)から凝縮されて過冷却となった冷媒ガス(点a)を膨張機に導入し、これを該膨張機において等エントロピー膨張によって膨張させた時、その蒸発器入口「点c」と、従来のように膨張弁によって「点a」から等エンタルピー膨張させた場合における蒸発器入口「点e」との間のエンタルピー量「ha」だけ、冷媒膨張時の圧力エネルギーが動力として冷媒システム側に回収される。その結果、圧縮機には、その必要入力「hb」から上記回収動力「ha」を差し引いた値「hb−ha」だけを実際に入力すればよく、圧縮機入力の低減分だけ冷媒サイクルの高効率化が実現されるものである。
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところが、膨張機は、その機能・構造上、これを流れる冷媒の流れ方向が規定されており、適正方向への冷媒流れに対しては所要の機能を発揮するものの、逆方向への冷媒流れに対してはその機能を発揮できないものである。このため、ヒートポンプ冷媒回路に膨張機を組み込んだ場合、冷房運転時又は暖房運転時のいずれか一方においてしか動力回収を行うことができず、冷凍サイクル全体としての動力回収率が低く、その高効率化の実現という点において十分とは言えないものである。
【0008】
そこで本願発明は、膨張機を組み込んだヒートポンプ冷媒回路において、膨張機による動力回収率を高めることで、より一層の高効率化を実現することを目的としてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本願発明ではかかる課題を解決するための具体的手段として次のような構成を採用している。
【0010】
本願の第1の発明では、圧縮機3と膨張機4と、室外熱交換器5と室内熱交換器6とを備え、上記圧縮機3からの吐出冷媒を上記室外熱交換器5と室内熱交換器6とに択一的に 供給可能とするとともに、該室外熱交換器5と室内熱交換器6からの冷媒を上記膨張機4に択一的に供給可能とした空気調和装置の冷媒回路において、上記膨張機4の吸込側冷媒管路34を上記室外熱交換器5と室内熱交換器6とに択一的に接続すると同時に該膨張機4の吐出側冷媒管路35を上記室内熱交換器6と室外熱交換器5とに択一的に接続し、上記室外熱交換器5からの冷媒の上記膨張機4における流れ方向と上記室内熱交換器6からの冷媒の上記膨張機4における流れ方向とが同一方向となるように冷媒の流れ方向を制御する方向制御手段Xを備える一方、上記膨張機4を室外機1に配置するとともに、上記室内熱交換器6を並列配置された複数の室内熱交換器6A〜6Cで構成したことを特徴としている。
【0011】
本願の第2の発明では、上記第1の発明に係る空気調和装置の冷媒回路において、上記圧縮機3の吐出側冷媒管路31を選択的に上記室外熱交換器5に接続する三路切換弁13Aと、上記圧縮機3の吸込側冷媒管路32を選択的に上記室外熱交換器5と上記各室内熱交換器6A,6B,6Cに接続する三路切換弁13Bと、上記各室内熱交換器6A,6B,6Cを上記圧縮機3の吐出側冷媒管路31と上記吸込側冷媒管路32に選択的に接続するように該各室内熱交換器6A,6B,6Cのそれぞれに対応して設けられた三路切換弁14,15,16を備えるとともに、上記各三路切換弁13A,13B,14,15,16が冷房運転と暖房運転で切り換えられる構成であることを特徴としている。
【0012】
本願の第3の発明では、圧縮機3と膨張機4と、室外熱交換器5と室内熱交換器6とを備え、上記圧縮機3からの吐出冷媒を上記室外熱交換器5と室内熱交換器6とに択一的に供給可能とするとともに、該室外熱交換器5と室内熱交換器6からの冷媒を上記膨張機4に択一的に供給可能とした空気調和装置の冷媒回路において、上記膨張機4の吸込側冷媒管路34を上記室外熱交換器5と室内熱交換器6とに択一的に接続すると同時に上記圧縮機3の吸込側冷媒管路32を上記室内熱交換器6と室外熱交換器5とに択一的に接続する第1の流路切換弁11と、上記圧縮機3の吐出側冷媒管路31を上記室外熱交換器5と室内熱交換器6とに択一的に接続すると同時に上記膨張機4の吐出側冷媒管路35を上記室内熱交換器6と室外熱交換器5とに択一的に接続する第2の流路切換弁12からなる方向制御手段Xを備え、上記室外熱交換器5と室内熱交換器6とを冷房運転時及び暖房運転時の双方で対向流構成が可能とする一方、上記膨張機4が室外機1に配置されるとともに、上記室内熱交換器6を並列配置された複数の室内熱交換器6A〜6Cで構成されていることを特徴としている。
【0013】
本願の第4の発明では、上記第1又は第2の発明に係る空気調和装置の冷媒回路において、冷媒として二酸化炭素を用いたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0014】
本願発明ではかかる構成とすることにより次のような効果が得られる。
【0015】
(1) 本願の第1の発明に係る空気調和装置の冷媒回路によれば、上記方向制御手段Xによって、上記室外熱交換器5からの冷媒が上記膨張機4において膨張作用を受ける冷房運転時における冷媒流れ方向と、上記室内熱交換器6からの冷媒が上記膨張機4において膨張作用を受ける暖房運転時における冷媒流れ方向とが同一方向となるように冷媒流れ方向が制御されることで、上記膨張機4が冷媒流れ方向に依存する特性を有するにも拘わらず、冷房運転時と暖房運転時の双方において該膨張機4による動力回収が行われ、例えば従来のように冷房運転時と暖房運転時のいずれか一方においてしか動力回収が行われない構成のものに比して、冷凍サイクル全体としての動力回収率が格段に高くなり、その高効率化がさらに促進されることになる。
【0016】
また、この発明では、上記方向制御手段Xを、上記膨張機4の吸込側冷媒管路34を上 記室外熱交換器5と室内熱交換器6とに択一的に接続すると同時に該膨張機4の吐出側冷媒管路35を上記室内熱交換器6と室外熱交換器5とに択一的に接続する流路切換弁11で構成しているので、該流路切換弁11を設けるというより簡単な構成によって、上記室外熱交換器5及び室内熱交換器6を流れる冷媒の流れ方向が冷房運転時と暖房運転時とにおいて逆転する流路構成をもつものでありながら、冷房運転時に上記室外熱交換器5から膨張機4を経て上記室内熱交換器6に至る冷媒流れと、暖房運転時に上記室内熱交換器6から上記膨張機4を経て上記室外熱交換器5に至る冷媒流れとが同一方向となり、この結果、上記膨張機4での動力回収を冷房運転時と暖房運転時の双方において行うことが可能となり、それだけ冷凍サイクルの高効率化が促進されるものである。
【0017】
さらに、この発明では、上記室内熱交換器6を、並列配置された複数の室内熱交換器6A〜6Cで構成することで、係る複数の室内熱交換器6A〜6Cを備えた、所謂「マルチタイプ」の空気調和装置においても、上記各効果を確実に得ることができるものである。
【0018】
(2) 本願の第2の発明に係る空気調和装置の冷媒回路によれば、上記(1)に記載の効果に加えて次のような特有の効果が奏せられる、即ち、この発明の空気調和装置の冷媒回路においては、上記圧縮機3の吐出側冷媒管路31を選択的に上記室外熱交換器5に接続する三路切換弁13Aと、上記圧縮機3の吸込側冷媒管路32を選択的に上記室外熱交換器5と上記各室内熱交換器6A,6B,6Cに接続する三路切換弁13Bと、上記各室内熱交換器6A,6B,6Cを上記圧縮機3の吐出側冷媒管路31と上記吸込側冷媒管路32に選択的に接続するように該各室内熱交換器6A,6B,6Cのそれぞれに対応して設けられた三路切換弁14,15,16を備えるとともに、上記各三路切換弁13A,13B,14,15,16が冷房運転と暖房運転で切り換えられる構成であるため、冷房専用運転時と暖房専用運転時及び冷房並行運転時の全てにおいて、上記膨張機4における冷媒流れ方向が同一方向とされ、冷房専用運転時と暖房専用運転時及び冷暖並行運転時の何れにおいても、上記膨張機4で冷媒の膨張に伴う圧力エネルギーを上記圧縮機3の駆動動力として回収することができ、その結果、上記膨張機4における回収動力分だけ上記圧縮機3への入力を減じることができ、冷凍サイクル全体としての高効率化が促進される。
【0019】
(3) 本願の第3の発明に係る空気調和装置の冷媒回路によれば、上記方向制御手段Xによって、上記室外熱交換器5からの冷媒が上記膨張機4において膨張作用を受ける冷房運転時における冷媒流れ方向と、上記室内熱交換器6からの冷媒が上記膨張機4において膨張作用を受ける暖房運転時における冷媒流れ方向とが同一方向となるように冷媒流れ方向が制御されることで、上記膨張機4が冷媒流れ方向に依存する特性を有するにも拘わらず、冷房運転時と暖房運転時の双方において該膨張機4による動力回収が行われ、例えば従来のように冷房運転時と暖房運転時のいずれか一方においてしか動力回収が行われない構成のものに比して、冷凍サイクル全体としての動力回収率が格段に高くなり、その高効率化がさらに促進されることになる。
【0020】
また、この発明によれば、上記方向制御手段Xを、上記膨張機4の吸込側冷媒管路34を上記室外熱交換器5と室内熱交換器6とに択一的に接続すると同時に上記圧縮機3の吸込側冷媒管路32を上記室内熱交換器6と室外熱交換器5とに択一的に接続する第1の流路切換弁11で構成するとともに、上記圧縮機3の吐出側冷媒管路31を上記室外熱交換器5と室内熱交換器6とに択一的に接続すると同時に上記膨張機4の吐出側冷媒管路35を上記室内熱交換器6と室外熱交換器5とに択一的に接続する第2の流路切換弁12を備え、上記室外熱交換器5と室内熱交換器6とを冷房運転時及び暖房運転時の双方で対向流構成を可能としているので、上記流路切換弁11と流路切換弁12の切換操作によって、冷房運転時に上記室外熱交換器5から膨張機4を経て上記室内熱交換器6に至る冷媒流れと、暖房運転時に上記室内熱交換器6から上記膨張機4を経て上記室外熱交換器5に至る冷媒流れとが同一方向となり、この結果、上記膨張機4での動力回収を冷房運転時と暖房 運転時の双方において行うことが可能となり、それだけ冷凍サイクルの高効率化が促進されるものである。
【0021】
さらに、冷房運転時には上記圧縮機3の吐出側冷媒管路31が上記流路切換弁12を介して上記室外熱交換器5に接続されるとともに上記膨張機4の吐出側冷媒管路35が上記流路切換弁12を介して上記室内熱交換器6に接続されることで、また、暖房運転時には上記膨張機4の吐出側冷媒管路35が上記流路切換弁12を介して上記室外熱交換器5に接続されるとともに上記圧縮機3の吐出側冷媒管路31が上記流路切換弁12を上記室内熱交換器6に接続されることで、上記室外熱交換器5及び上記室内熱交換器6においては、共に、冷房運転時における冷媒の流れ方向と暖房運転時における冷媒の流れ方向とが同一方向となる(換言すれば、冷房運転時と暖房運転時とで冷媒の流れ方向が逆転しない)冷媒循環形態の対向流構成(即ち、冷媒の流れ方向と冷却風の流れ方向とが対向し、冷媒流れの下流側から上流側に向けて冷却風を流す構成)が可能とされ、かかる対向流構成によって冷媒と冷却風との間における熱交換が促進され、冷凍サイクルにおける熱効率をさらに高めることができることになる。
【0022】
また、この発明によれば、上記室内熱交換器6を、並列配置された複数の室内熱交換器6A〜6Cで構成することで、係る複数の室内熱交換器6A〜6Cを備えた、所謂「マルチタイプ」の空気調和装置においても、上記各効果を確実に得ることができるものである。
【0023】
(4) 本願の第4の発明に係る空気調和装置の冷媒回路によれば、上記第1、第2又は第3の発明にかかる空気調和装置の冷媒回路において、冷媒として高圧冷媒である二酸化炭素を用いているのでその冷凍サイクルは圧縮機仕事の多い遷臨界冷凍サイクルとなるが、この場合、上記膨張機4における動力回収分だけ上記圧縮機3への必要入力が低減されることから、高圧冷媒を用いた遷臨界冷凍サイクルでありながら高効率のシステムを得ることができる。
【発明の実施の形態】
【0024】
以下、本願発明に係る空気調和装置の冷媒回路を好適な実施形態に基づいて具体的に説明する。
【0025】
第1の実施形態
図1には、本願の請求項1,2及び3に記載の発明が適用された第1の実施形態に係る空気調和装置Z1のヒートポンプ冷媒回路が示されており、同図において符号1は室外機、符号2は室内機である。
【0026】
上記室外機1には、モータ(図示省略)により回転駆動される圧縮機3と、該圧縮機3と一軸で連結された膨張機4と、室外熱交換器5と、上記圧縮機3の吸込側冷媒管路32に介設されたアキュムレータ7と、上記膨張機4の吸込側冷媒管路34に介設されたレシーバ8と、二つの四路切換弁11,12とが備えられている。また、上記室内機2には室内熱交換器6が備えられている。
【0027】
上記圧縮機3の吐出側冷媒管路31は、四路切換弁12を介して上記室外熱交換器5と室内熱交換器6とに択一的に接続可能とされている。上記圧縮機3の吸込側冷媒管路32は、上記四路切換弁12を介して上記室内熱交換器6と上記室外熱交換器5とに択一的に接続可能とされている。上記膨張機4の吸込側冷媒管路34は、上記四路切換弁11(請求項1における「方向制御手段X」及び請求項3における「流路切換弁11」にそれぞれ該当する)を介して上記室外熱交換器5と上記室内熱交換器6とに択一的に接続可能とされている。上記膨張機4の吐出側冷媒管路35は、上記四路切換弁11を介して上記室内熱交換器6と室外熱交換器5とに択一的に接続可能とされている。尚、図1においては、上記各四路切換弁11,12の切換位置を、冷房運転時には実線で、暖房運転時は破線で、それぞれ示している。
【0028】
この空気調和装置Z1の作動を説明すると次の通りである。
【0029】
冷房運転時には、上記圧縮機3から吐出された冷媒ガスは、上記四路切換弁12を経て上記室外熱交換器5において冷却され凝縮して液冷媒とされる。この液冷媒は、上記レシーバ8を経て上記膨張機4に導入され、該膨張機4において等エントロピー膨張により減圧された後、上記四路切換弁11を経て上記室内熱交換器6に導入される。室内熱交換器6に導入された液冷媒は、ここで蒸発してその蒸発熱によって室内の冷房を行うとともに、蒸発後のガス冷媒は上記四路切換弁12及びアキュムレータ7を経て上記圧縮機3に吸入される。
【0030】
一方、暖房運転時には、上記圧縮機3から吐出されたガス冷媒は、上記四路切換弁12を経て上記室内熱交換器6に導入され、ここで凝縮して液冷媒とされるが、その際の凝縮熱によって室内の暖房が行われる。上記室内熱交換器6において凝縮した液冷媒は、上記四路切換弁11を経て上記膨張機4に導入され、該膨張機4において等エントロピー膨張により減圧された後、上記四路切換弁11を経て上記室外熱交換器5に導入され、ここで蒸発してガス冷媒とされた後、上記四路切換弁12及びアキュムレータ7を経て上記圧縮機3に吸入される。
【0031】
このように、この実施形態の空気調和装置Z1においては、冷媒回路中に上記四路切換弁11を備えることで、冷房運転時と暖房運転時とにおいて上記室外熱交換器5及び室内熱交換器6における冷媒流れ方向は逆転する構成でありながら、上記膨張機4における冷媒流れ方向は冷房運転時と暖房運転時の双方において同一方向とされる。従って、上記膨張機4においては、冷房運転時と暖房運転時の双方で、冷媒の膨張による圧力エネルギーを上記圧縮機3の駆動動力として回収して、その回収動力分だけ上記圧縮機3への入力を減じることができる。このように、冷房運転時と暖房運転時の双方において膨張機4での動力回収が可能であることから、従来のように、例えば冷房運転時においてのみしか動力回収ができない場合に比して、動力回収率が格段に向上し、冷媒回路に膨張機を組み込むことによる冷凍サイクルの高効率化がより一層促進される。特に、冷媒として高圧冷媒である二酸化炭素冷媒を用いた場合には、冷凍サイクルが圧縮機仕事の多い遷臨界冷凍サイクルとなるため、冷凍サイクルの高効率化という点において、上記膨張機4での動力回収分だけ上記圧縮機3への必要入力が低減されることによる効果は顕著である。
【0032】
また、この実施形態のように、上記膨張機4の吸込側冷媒管路34にレシーバ8を介設することで、該レシーバ8における余剰冷媒の一時貯留によって、上記膨張機4への冷媒の過多導入が防止され該膨張機4の信頼性が高められるとともに、冷房運転時と暖房運転時との間における上記室外熱交換器5と室内熱交換器6との容積比の相違に起因する必要冷媒循環量の変化に対する適応性が高められ、これらの結果、冷凍システムの設計自由度の向上が期待できるものである。
【0033】
尚、この実施形態においては、室内機2として単一の室内熱交換器6を備えたものを一例として示しているが、係る構成のものに限定されるものではなく、上記室内機2に、複数の熱交換器を並列配置して構成されるマルチタイプの空気調和装置(図4を参照)にも適用できることは勿論である。
【0034】
第2の実施形態
図2には、本願の請求項1,2及び4に記載の発明が適用された第2の実施形態に係る空気調和装置Z2のヒートポンプ冷媒回路が示されており、同図において符号1は室外機、符号2は室内機である。
【0035】
上記室外機1には、モータ(図示省略)により回転駆動される圧縮機3と、該圧縮機3と一軸で連結された膨張機4と、室外熱交換器5と、上記圧縮機3の吸込側冷媒管路32に介設されたアキュムレータ7と、上記膨張機4の吸込側冷媒管路34に介設されたレシーバ8と、二つの四路切換弁11,12とが備えられている。また、上記室内機2には室内熱交換器6が備えられている。
【0036】
上記圧縮機3の吐出側冷媒管路31は、四路切換弁12(請求項4における「第2の流路切換弁12」に該当する)を介して上記室外熱交換器5と室内熱交換器6とに択一的に接続可能とされている。上記圧縮機3の吸込側冷媒管路32は、上記四路切換弁11(請求項1における「方向制御手段X」及び請求項4における「第1の流路切換弁11」にそれぞれ該当する)を介して上記室内熱交換器6と室外熱交換器5とに択一的に接続可能とされている。上記膨張機4の吸込側冷媒管路34は、上記四路切換弁11を介して上記室外熱交換器5と室内熱交換器6とに択一的に接続可能とされている。上記膨張機4の吐出側冷媒管路35は、上記四路切換弁12を介して上記室内熱交換器6と室外熱交換器5とに択一的に接続可能とされている。尚、図2においては、上記各四路切換弁11,12の切換位置を、冷房運転時には実線で、暖房運転時は破線で、それぞれ示している。
【0037】
この空気調和装置Z2の作動を説明すると次の通りである。
【0038】
冷房運転時には、上記圧縮機3から吐出された冷媒ガスは、上記四路切換弁12を経て上記室外熱交換器5において冷却され凝縮して液冷媒とされる。この液冷媒は、上記四路切換弁11及びレシーバ8を経て上記膨張機4に導入され、該膨張機4において等エントロピー膨張により減圧された後、上記四路切換弁12を経て上記室内熱交換器6に導入される。室内熱交換器6に導入された液冷媒は、ここで蒸発してその蒸発熱によって室内の冷房を行うとともに、蒸発後のガス冷媒は上記四路切換弁11及びアキュムレータ7を経て上記圧縮機3に吸入される。
【0039】
一方、暖房運転時には、上記圧縮機3から吐出されたガス冷媒は、上記四路切換弁12を経て上記室内熱交換器6に導入され、ここで凝縮して液冷媒とされるが、その際の凝縮熱によって室内の暖房が行われる。上記室内熱交換器6において凝縮した液冷媒は、上記四路切換弁11及びレシーバ8を経て上記膨張機4に導入され、該膨張機4において等エントロピー膨張により減圧された後、上記四路切換弁12を経て上記室外熱交換器5に導入され、ここで蒸発してガス冷媒とされた後、上記四路切換弁11及びアキュムレータ7を経て上記圧縮機3に吸入される。
【0040】
このように、この実施形態の空気調和装置Z2においては、冷媒回路中に、上記四路切換弁11と四路切換弁12とを備え、該四路切換弁11によって上記膨張機4の吸込側冷媒管路34を上記室外熱交換器5と室内熱交換器6とに択一的に接続可能とするとともに、上記四路切換弁12によって上記圧縮機3の吐出側冷媒管路31を上記室外熱交換器5と室内熱交換器6とに択一的に接続すると同時に上記膨張機4の吐出側冷媒管路35を上記室内熱交換器6と室外熱交換器5とに択一的に接続可能とすることで、
(ア)冷房運転時における上記膨張機4での冷媒流れ方向と暖房運転時における上記膨張機4での冷媒流れ方向とが同一となり、上記膨張機4での動力回収が冷房運転時と暖房運転時の双方において同様に行われ、従来のように、例えば冷房運転時においてのみしか動力回収ができない場合に比して、動力回収率が格段に向上し、冷媒回路に膨張機を組み込むことによる冷凍サイクルの高効率化が、より一層促進されるとともに、
(イ)上記室外熱交換器5及び上記室内熱交換器6においては、共に、これら各熱交換器5,6における冷房運転時の冷媒流れ方向と暖房運転時の冷媒流れ方向とが同一方向となることから、これら各熱交換器5,6における冷媒循環形態をそれぞれ対向流構成とし、冷媒と冷却風との間における熱交換によって冷凍サイクルの熱効率をさらに高めることができることになる。
【0041】
さらに、この実施形態の空気調和装置Z2においても、上記第1の実施形態の場合と同様に、上記膨張機4の吸込側冷媒管路34にレシーバ8を介設しているので、該レシーバ8における余剰冷媒の一時貯留によって、上記膨張機4への冷媒の過多導入が防止され該膨張機4の信頼性が高められるとともに、冷房運転時と暖房運転時との間における上記室外熱交換器5と室内熱交換器6との容積比の相違に起因する必要冷媒循環量の変化に対する適応性が高められ、これらの結果、冷凍システムの設計自由度の向上が期待できるものである。
【0042】
第3の実施形態
図3には、本願の請求項1,2,3及び5に記載の発明が適用された第3の実施形態に係る空気調和装置Z3におけるヒートポンプ冷媒回路が示されている。この空気調和装置Z3は、冷房運転、暖房運転及び冷暖並行運転が可能なマルチタイプの空気調和装置であって、同図において符号3はモータ(図示省略)により回転駆動される圧縮機、符号4は上記圧縮機3と一軸で連結された膨張機、符号5は室外熱交換器、符号6A〜6Cは室内熱交換器、符号7は上記圧縮機3の吸込側冷媒管路32に介設されたアキュムレータである。
【0043】
上記圧縮機3の吐出側冷媒管路31は、第1三路切換弁13Aを介して上記室外熱交換器5に選択的に接続可能とされているとともに、その管路途中から冷媒管路41が分岐されている。さらに、この冷媒管路41は、その下流側で複数の冷媒管路41A,41B,41Cに分岐されるとともに、該各冷媒管路41A,41B,41Cはそれぞれ三路切換弁14,15,16を介して上記各室内熱交換器6A,6B,6Cの冷媒管路49A,49B,49Cに選択的に接続可能とされている。
【0044】
また、上記圧縮機3の吸込側冷媒管路32は、第2三路切換弁13Bの切換操作によって、上記第1三路切換弁13Aを介して上記室外熱交換器5と、冷媒管路43とに択一的に接続可能とされている。この冷媒管路43は、その上流側において複数の冷媒管路42A,42B,42Cに分岐されており、さらにこれら各冷媒管路42A,42B,42Cはそれぞれ上記各三路切換弁14,15,16を介して上記各室内熱交換器6A,6B,6Cの冷媒管路49A,49B,49Cに選択的に接続可能とされている。
【0045】
一方、上記膨張機4の吸込側冷媒管路34は、第1四路切換弁11Aを介して上記室外熱交換器5と冷媒管路47とに択一的に接続可能とされている。また、この第1四路切換弁11Aは、上記吸込側冷媒管路34が上記室外熱交換器5に接続されたときには上記冷媒管路47を冷媒管路46に接続し、上記吸込側冷媒管路34が上記吸込側冷媒管路34に接続されたときには上記冷媒管路46を上記室外熱交換器5に接続するようになっている。
【0046】
さらに、上記膨張機4の吐出側冷媒管路35は、第2四路切換弁11Bを介して上記冷媒管路46と冷媒管路48とに択一的に接続可能とされている。この第2四路切換弁11Bは、上記吐出側冷媒管路35が上記冷媒管路48に接続されたときには上記冷媒管路46と冷媒管路47とを接続し、上記吐出側冷媒管路35が上記冷媒管路46に接続されたときには上記冷媒管路47を上記冷媒管路48に接続するようになっている。また、上記冷媒管路48は、上記各室内熱交換器6A,6B,6Cの各冷媒管路48A,48B,48Cにそれぞれ接続されている。
【0047】
尚、図3において、符号57A,57B,5Cは、それぞれ上記各室内熱交換器6A,6B,6C側に設けられた電動減圧弁である。また、この実施形態においては、上記第1四路切換弁11Aと第2四路切換弁11Bとによって、請求項1における「方向制御手段X」及び請求項3における「流路切換弁11」がそれぞれ構成されている。
【0048】
この空気調和装置Z3の作動を、その運転形態毎に説明すると、以下(a)〜(c)に記載する通りである。
【0049】
(a)冷房専用運転時
冷房専用運転時(即ち、上記各室内熱交換器6A,6B,6Cの全てが冷房作用を行う運転形態)には、上記各四路切換弁11A,11B及び各三路切換弁13A,13B,14,15,16はそれぞれ実線図示する弁位置に設定されている。かかる弁位置設定において、圧縮機3から吐出側冷媒管路31を通してガス冷媒が吐出されると、このガス冷媒は、上記冷媒管路41側が上記各三路切換弁14,15,16によって閉塞されているので、冷媒管路42Aを介して上記室外熱交換器5のみに導入される。該室外熱交換器5に導入されたガス冷媒は、ここで凝縮して液冷媒とされ、上記吸込側冷媒管路34を経て上記膨張機4に導入される。この膨張機4での膨張により減圧された液冷媒は、吐出側冷媒管路35、冷媒管路48及び各冷媒管路48A,48B,48Cを経て上記各室内熱交換器6A,6B,6Cのそれぞれに導入され、ここで蒸発してガス冷媒とされるが、その際、蒸発熱によって室内の冷房を行う。上記各室内熱交換器6A,6B,6Cからのガス冷媒は、それぞれ冷媒管路49A,49B,49Cを経て上記吸込側冷媒管路32から上記圧縮機3に吸い込まれる。
【0050】
(b)暖房専用運転時
暖房専用運転時(即ち、上記各室内熱交換器6A,6B,6Cの全てが暖房作用を行う運転形態)には、上記各四路切換弁11A,11B及び各三路切換弁13A,13B,14,15,16はそれぞれ破線図示する弁位置に設定されている。かかる弁位置設定において、圧縮機3から吐出側冷媒管路31を通してガス冷媒が吐出されると、このガス冷媒は、冷媒管路41及び各冷媒管路41A,41B,41Cを介して上記各室内熱交換器6A,6B,6Cに導入され、ここで凝縮して液冷媒とされる際、その凝縮熱によって室内の暖房が行われる。この各室内熱交換器6A,6B,6Cからの液冷媒は、各冷媒管路48A,48B,48C、冷媒管路48、第2四路切換弁11B及び冷媒管路47を経て吸込側冷媒管路34から上記膨張機4に導入される。そして、この膨張機4での膨張により減圧された液冷媒は、吐出側冷媒管路35から第2四路切換弁11B、冷媒管路46、第1四路切換弁11Aを経て上記室外熱交換器5に導入され、ここで蒸発してガス冷媒とされる。この室外熱交換器5からのガス冷媒は、第1三路切換弁13A及び第2三路切換弁13Bを介して吸込側冷媒管路32から上記圧縮機3に吸い込まれる。
【0051】
(c)冷暖並行運転時
冷暖並行運転時(ここでは、上記各室内熱交換器6A,6B,6Cのうち、室内熱交換器6A,6Cを冷房運転し、室内熱交換器6Bを暖房運転する場合を例にとって説明する)には、上記各四路切換弁11A,11B及び各三路切換弁13A,13B,14,15,16のうち、室内熱交換器6Bに対応する三路切換弁15のみが破線図示する弁位置に設定され、それ以外の弁は全て実線図示する弁位置に設定される。また、室内熱交換器6Bに対応する電動減圧弁57Bは減圧状態に設定される。
【0052】
かかる状態下で、上記圧縮機3から吐出側冷媒管路31を通してガス冷媒が吐出されると、このガス冷媒は、その一部は冷媒管路42A及び第1三路切換弁13Aを経て上記室外熱交換器5に導入され、ここで凝縮して液冷媒とされる。この液冷媒は、上記吸込側冷媒管路34を経て上記膨張機4に導入され、該膨張機4での膨張により減圧された後、吐出側冷媒管路35から冷媒管路48A及び冷媒管路48Cを経て上記室内熱交換器6A,6Cにそれぞれ導入され、ここで蒸発してガス冷媒とされる。この室内熱交換器6A,6Cにおいては、冷媒の蒸発による蒸発熱によって室内の冷房を行う。さらに、この各室内熱交換器6A,6Cからのガス冷媒は、それぞれ冷媒管路49A,49Cを経て上記吸込側冷媒管路32から上記圧縮機3に吸い込まれる。
【0053】
一方、上記圧縮機3から吐出されたガス冷媒の他の一部は、冷媒管路41、冷媒管路41B及び三路切換弁15を経て冷媒管路49Bから上記室内熱交換器6Bに導入され、この室内熱交換器6Bで凝縮されて液冷媒とされるが、その際、凝縮熱によって室内の暖房を行う。この室内熱交換器6Bからの液冷媒は、電動減圧弁57Bにおいて減圧され、上記膨張機4から冷媒管路48を通って流れる液冷媒と合流し、その下流側の室内熱交換器6C側に導入される。
【0054】
以上のように、この実施形態の空気調和装置Z3においては、冷媒回路中に上記第1四路切換弁11A及び第2四路切換弁11Bを備えることで、冷房専用運転時と暖房専用運転時及び冷房並行運転時の全てにおいて、上記膨張機4における冷媒流れ方向が同一方向とされる。従って、冷房専用運転時と暖房専用運転時及び冷暖並行運転時の何れにおいても、上記膨張機4で冷媒の膨張に伴う圧力エネルギーを上記圧縮機3の駆動動力として回収することができる(尚、冷暖並行運転時には、冷房分のみの動力回収となる)。この結果、上記膨張機4における回収動力分だけ上記圧縮機3への入力を減じることができ、冷凍サイクル全体としての高効率化が促進されるものである。
【0055】
また、この実施形態のように、上記膨張機4の吸込側冷媒管路34にレシーバ8を介設することで、該レシーバ8における余剰冷媒の一時貯留によって、上記膨張機4への冷媒の過多導入が防止され該膨張機4の信頼性が高められるとともに、冷房運転時と暖房運転時との間における上記室外熱交換器5と室内熱交換器6との容積比の相違に起因する必要冷媒循環量の変化に対する適応性が高められ、これらの結果、冷凍システムの設計自由度の向上が期待できるものである。
【0056】
第4の実施形態
図4には、本願の請求項1,2,4及び5に記載の発明が適用された第4の実施形態に係る空気調和装置Z4のヒートポンプ冷媒回路が示されている。この空気調和装置Z4は、上記第2の実施形態にかかる空気調和装置Z2を基本構成として展開したマルチタイプの空気調和装置であって、同図において符号3はモータ(図示省略)により回転駆動される圧縮機、符号4は上記圧縮機3と一軸で連結された膨張機、符号5は室外熱交換器、符号6A〜6Cは室内熱交換器、符号7は上記圧縮機3の吸込側冷媒管路32に介設されたアキュムレータ、符号8は上記膨張機4の吸込側冷媒管路34に介設されたレシーバである。
【0057】
上記圧縮機3の吐出側冷媒管路31は、四路切換弁12(請求項4における「第2の流路切換弁12」に該当する)を介して上記室外熱交換器5と各室内熱交換器6A,6B,6Cとに択一的に接続可能とされている。上記圧縮機3の吸込側冷媒管路32は、上記四路切換弁11(請求項1における「方向制御手段X」及び請求項4における「第1の流路切換弁11」にそれぞれ該当する)を介して上記各室内熱交換器6A,6B,6Cと室外熱交換器5とに択一的に接続可能とされている。上記膨張機4の吸込側冷媒管路34は、上記四路切換弁11を介して上記室外熱交換器5と上記各室内熱交換器6A,6B,6Cとに択一的に接続可能とされている。上記膨張機4の吐出側冷媒管路35は、上記流路切換弁12を介して上記各室内熱交換器6A,6B,6Cと室外熱交換器5とに択一的に接続可能とされている。尚、図4においては、上記各四路切換弁11,12の切換位置を、冷房運転時には実線で、暖房運転時は破線で、それぞれ示している。
【0058】
この空気調和装置Z4の作動を説明すると次の通りである。
【0059】
冷房運転時には、上記圧縮機3から吐出された冷媒ガスは、上記四路切換弁12を経て上記室外熱交換器5において冷却され凝縮して液冷媒とされる。この液冷媒は、上記流路切換弁11及びレシーバ8を経て上記膨張機4に導入され、該膨張機4において等エントロピー膨張により減圧された後、上記四路切換弁12,冷媒管路55Cを経て各冷媒管路55A,55B,55Cから上記各室内熱交換器6A,6B,6Cのそれぞれに導入される。該各室内熱交換器6A,6B,6Cに導入された液冷媒は、ここで蒸発してその蒸発熱によってそれぞれ室内の冷房を行うとともに、蒸発後のガス冷媒は冷媒管路56A,56B,56Cから冷媒管路56及び四路切換弁11を経て上記圧縮機3に吸入される。
【0060】
一方、暖房運転時には、上記圧縮機3から吐出されたガス冷媒は、上記四路切換弁12、冷媒管路55及び各冷媒管路55A,55B,55Cを経て上記各室内熱交換器6A,6B,6Cのそれぞれに導入され、ここで凝縮して液冷媒とされるが、その際の凝縮熱によって室内の暖房が行われる。上記各室内熱交換器6A,6B,6Cにおいてそれぞれ凝縮した液冷媒は、上記各冷媒管路56A,56B,56C、冷媒管路56及び四路切換弁11を経て上記膨張機4に導入され、該膨張機4において等エントロピー膨張により減圧された後、上記四路切換弁12を経て上記室外熱交換器5に導入され、ここで蒸発してガス冷媒とされた後、上記四路切換弁11及びアキュムレータ7を経て上記圧縮機3に吸入される。
【0061】
このように、この実施形態の空気調和装置Z4においては、冷媒回路中に、上記四路切換弁11と四路切換弁12とを備え、該四路切換弁11によって上記膨張機4の吸込側冷媒管路34を上記室外熱交換器5と各室内熱交換器6A,6B,6Cとに択一的に接続可能とするとともに、上記四路切換弁12によって上記圧縮機3の吐出側冷媒管路31を上記室外熱交換器5と各室内熱交換器6A,6B,6Cとに択一的に接続すると同時に上記膨張機4の吐出側冷媒管路35を上記室内熱交換器6A,6B,6Cと室外熱交換器5とに択一的に接続可能とすることで、
(ア)冷房運転時における上記膨張機4での冷媒流れ方向と暖房運転時における上記膨張機4での冷媒流れ方向とが同一となり、上記膨張機4での動力回収が冷房運転時と暖房運転時の双方において同様に行われ、従来のように、例えば冷房運転時においてのみしか動力回収ができない場合に比して、動力回収率が格段に向上し、冷媒回路に膨張機を組み込むことによる冷凍サイクルの高効率化が、より一層促進されるとともに、
(イ)上記室外熱交換器5及び上記各室内熱交換器6A,6B,6Cにおいては、共に、これら各熱交換器5,6A,6B,6Cにおける冷房運転時の冷媒流れ方向と暖房運転時の冷媒流れ方向とが同一方向となることから、これら各熱交換器5,6A,6B,6Cにおける冷媒循環形態をそれぞれ対向流構成とし、冷媒と冷却風との間における熱交換によって冷凍サイクルの熱効率をさらに高めることができることになる。
【0062】
さらに、この実施形態の空気調和装置Z4においても、上記第1の実施形態の場合と同様に、上記膨張機4の吸込側冷媒管路34にレシーバ8を介設しているので、該レシーバ8における余剰冷媒の一時貯留によって、上記膨張機4への冷媒の過多導入が防止され該膨張機4の信頼性が高められるとともに、冷房運転時と暖房運転時との間における上記室外熱交換器5と上記各室内熱交換器6A,6B,6Cとの容積比の相違に起因する必要冷媒循環量の変化に対する適応性が高められ、これらの結果、冷凍システムの設計自由度の向上が期待できるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本願発明に係る空気調和装置の第1の実施形態における冷媒回路図である。
【図2】 本願発明に係る空気調和装置の第2の実施形態における冷媒回路図である。
【図3】 本願発明に係る空気調和装置の第3の実施形態における冷媒回路図である。
【図4】 本願発明に係る空気調和装置の第4の実施形態における冷媒回路図である。
【図5】 従来の蒸気圧縮式冷凍サイクル図である。
【図6】 従来の蒸気圧縮式冷凍サイクルにおける冷媒回路図である。
【図7】 遷臨界冷凍サイクル図である。
【図8】 遷臨界冷凍サイクルでの動力回収サイクル図である。
【符号の説明】
1は室外機、2は室内機、3は圧縮機、4は膨張機、5は室外熱交換器、6及び6A〜6Cは室内熱交換器、7はアキュムレータ、8はレシーバ、11,11A,11B,12と四路切換弁、13A,13B,14,15,16は三路切換弁、31は圧縮機の吐出側冷媒管路、32は圧縮機の吸込側冷媒管路、34は膨張機の吸込側冷媒管路、35は膨張機の吐出側冷媒管路、Xは方向制御手段、Z1〜Z4は空気調和装置である。
Claims (4)
- 圧縮機(3)と膨張機(4)と、室外熱交換器(5)と室内熱交換器(6)とを備え、上記圧縮機(3)からの吐出冷媒を上記室外熱交換器(5)と室内熱交換器(6)とに択一的に供給可能とするとともに、該室外熱交換器(5)と室内熱交換器(6)からの冷媒を上記膨張機(4)に択一的に供給可能とした空気調和装置の冷媒回路であって、
上記膨張機(4)の吸込側冷媒管路(34)を上記室外熱交換器(5)と室内熱交換器(6)とに択一的に接続すると同時に該膨張機(4)の吐出側冷媒管路(35)を上記室内熱交換器(6)と室外熱交換器(5)とに択一的に接続し、上記室外熱交換器(5)からの冷媒の上記膨張機(4)における流れ方向と上記室内熱交換器(6)からの冷媒の上記膨張機(4)における流れ方向とが同一方向となるように冷媒の流れ方向を制御する方向制御手段(X)が備えられる一方、
上記膨張機(4)が室外機(1)に配置されるとともに、上記室内熱交換器(6)が並列配置された複数の室内熱交換器(6A〜6C)で構成されていることを特徴とする空気調和装置の冷媒回路。 - 請求項1において、
上記圧縮機(3)の吐出側冷媒管路(31)を選択的に上記室外熱交換器(5)に接続する三路切換弁(13A)と、上記圧縮機(3)の吸込側冷媒管路(32)を選択的に上記室外熱交換器(5)と上記各室内熱交換器(6A,6B,6C)に接続する三路切換弁(13B)と、上記各室内熱交換器(6A,6B,6C)を上記圧縮機(3)の吐出側冷媒管路(31)と上記吸込側冷媒管路(32)に選択的に接続するように該各室内熱交換器(6A,6B,6C)のそれぞれに対応して設けられた三路切換弁(14,15,16)を備えるとともに、上記各三路切換弁(13A,13B,14,15,16)が冷房運転と暖房運転で切り換えられる構成であることを特徴とする空気調和装置の冷媒回路。 - 圧縮機(3)と膨張機(4)と、室外熱交換器(5)と室内熱交換器(6)とを備え、上記圧縮機(3)からの吐出冷媒を上記室外熱交換器(5)と室内熱交換器(6)とに択一的に供給可能とするとともに、該室外熱交換器(5)と室内熱交換器(6)からの冷媒を上記膨張機(4)に択一的に供給可能とした空気調和装置の冷媒回路であって、
上記膨張機(4)の吸込側冷媒管路(34)を上記室外熱交換器(5)と室内熱交換器(6)とに択一的に接続すると同時に上記圧縮機(3)の吸込側冷媒管路(32)を上記室内熱交換器(6)と室外熱交換器(5)とに択一的に接続する第1の流路切換弁(11)と、上記圧縮機(3)の吐出側冷媒管路(31)を上記室外熱交換器(5)と室内熱交換器(6)とに択一的に接続すると同時に上記膨張機(4)の吐出側冷媒管路(35)を上記室内熱交換器(6)と室外熱交換器(5)とに択一的に接続する第2の流路切換弁(12)からなる方向制御手段(X)を備え、上記室外熱交換器(5)と室内熱交換器(6)とが冷房運転時及び暖房運転時の双方で対向流構成が可能とされる一方、
上記膨張機(4)が室外機(1)に配置されるとともに、上記室内熱交換器(6)が並列配置された複数の室内熱交換器(6A〜6C)で構成されていることを特徴とする空気調和装置の冷媒回路。 - 請求項1,2又は3において、
冷媒として二酸化炭素が用いられていることを特徴とする空気調和装置の冷媒回路。
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