JP4272907B2 - ストレーナ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、水,油等の流体の流れる管路において、この流体内に含まれるゴミ等の異物を濾過するスクリーンを備えたストレーナに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種のストレーナとしては、例えば、特許文献1(特開平11−244622号公報)記載のものが知られている。
このストレーナSは、図12に示すように、流入口1及び流出口2を有した流路を備えた本体10と、この本体10の流路内に設けられ開口21及び底部22を有したカップ状のスクリーン20と、本体10の側面に設けられスクリーンの出し入れを行なうための出入用孔11と、出入用孔11を閉塞する着脱可能な蓋12とを備えて構成されている。また、本体10の流入口1側の流路を形成する内壁内周には、スクリーン20の開口端部21aが嵌入される嵌合部13が形成されている。
【0003】
スクリーン20は、ステンレス等で形成され、パンチング等の手段で全面に複数の濾過用の小孔23が形成されており、また、両端外周21b,22bと中間外周24に補強リング25が溶接されている。更に、スクリーン20の中間外周24の補強リング25の位置に、補強リング25とともにスクリーン20の径方向へ貫通する貫通孔26が設けられている。
【0004】
そして、スクリーン20の開口端部21aを本体10の嵌合部13に嵌合し、スクリーン20の中間外周24を本体10に形成したボス部14と蓋12に形成したボス部15で係止し、ボス部14の取付孔16とボス部15の取付孔17にスクリーン20の貫通孔26を貫通させたピン18を嵌入させて、このスクリーン20をその軸方向と流路方向とを一致させて本体10に保持している。
【0005】
このストレーナSによれば、本体10の流入口1から流入した流体は、スクリーンの開口21からスクリーン20内に入り、スクリーン20の底部22を含めた全周から流出口2側に流出していき、スクリーン20によって流体中のゴミ等の異物が濾過される。
【0006】
【特許文献1】
特開平11−244622号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、スクリーン20の濾過精度を上げるために、スクリーン20の小孔23を小さくしたり、スクリーン20の内側に目の細かいネットを設けることを行なうが、上記の従来のストレーナSにあっては、スクリーン20を中間外周24のピン18で保持していることから、スクリーン20の開口端部21aと嵌合部13との間に僅かな隙間(ギャップd)が生じてしまい、そのため、流体がギャップdを流れて、このギャップdを流れる流体に含まれるゴミ等の異物がスクリーン20の目より大きくても、スクリーン20に濾過されずに通過してしまうことがあり、このため、小孔23やネットの目を細かくした効果が失われ、実質的に濾過精度を上げることができないことがあるという問題があった。
【0008】
例えば、スクリーン20を100メッシュ以上で目の間隔を0.15mm以下にして、0.15mm程度までのゴミ等の異物も濾過したい場合に、開口端部21aと嵌合部13との間に生じるギャップdがスクリーン20の目の間隔よりも粗くなって、この大きさのゴミ等の異物を濾過できなくなってしまう。
【0009】
また、上記問題の解消のため、嵌合部13及び開口端部21aの加工精度を高めて嵌合部13と開口端部21aとを密着させて嵌合させるようにし、ギャップdを小さく形成することも考えられるが、これでは、製造コストが高くなるばかりでなく、嵌合部13と開口端部21aが密着して嵌合するので、スクリーン20の取り付け,取り外しが難しくなってしまうという問題もあった。
更に、スクリーン20は、中間外周24の補強リング25の貫通孔26を貫通させたピン18で支持されているので、流体の流れによる力が貫通孔26の部分のみに局部的に作用することから、それだけ、押さえが弱くなっているとともに、スクリーン20の底部22の支持がないことから、底部22が撓んで膨出し易いという問題もあった。
【0010】
本発明は上記の問題点に鑑みて為されたもので、加工精度をあまり高めることなく、ギャップが生じないようにして、流体がスクリーンのみを通過できるようにし、目の細かいスクリーンにも対応できるストレーナを提供することを目的とする。
また、必要に応じ、スクリーンの支持を強固にする点も課題とした。
【0011】
【課題を解決するための手段】
このような目的を達成するための本発明のストレーナは、流入口及び流出口を有した流路を備えた本体と、該本体の流路内に設けられ開口及び底部を有したカップ状のスクリーンと、該本体の側面に設けられ上記スクリーンの出し入れを行なうための出入用孔と、該出入用孔を閉塞する着脱可能な蓋とを備え、上記本体の流入口側の流路を形成する内壁内周に上記スクリーンの開口端部が挿入され開口端面が当接可能な段部を有した端部保持部を形成してなるストレーナにおいて、上記スクリーンの開口端面が上記端部保持部の段部に密着するように該スクリーンを押圧する押圧手段を設けた構成としている。
【0012】
これにより、スクリーンは、押圧手段の押圧により装着される。この場合、スクリーンは、押圧手段によりその開口端面が段部に密接されて保持されるので、嵌合させて保持する場合に比較して、加工精度をさほど高めなくても良く、それだけ、製造が容易でコストダウンを図ることができる。
【0013】
また、スクリーンが装着されたストレーナに流体が流れると、この流体に混在する異物がスクリーンで濾過されていく。この場合、スクリーンの開口端面が段部に密着させられ、ギャップがほとんどないので、流体がこのスクリーンの開口端面と段部との間を流れることがほとんどなくなり、そのため、ゴミ等の異物も、このスクリーンの開口端面と段部との間を流れることがほとんどなくなる。このため、ほとんどのゴミ等の異物は、スクリーンに捕獲されていく。即ち、スクリーンのネットのメッシュに細かいものを使用しても、このメッシュより粗いゴミ等の異物がスクリーンの開口端面と段部との間から逃げ出すことがなく、目の細かいスクリーンにも対応できるようになる。
【0014】
そして、必要に応じ、上記押圧手段を、上記本体の流路を形成する内壁であって上記スクリーンの底部よりも流出口側に設けられる雌ネジ部と、一端側に上記雌ネジ部に螺合される雄ネジ部を有するボルトと、該ボルトに同軸に設けられ該ボルトの他端側に向けて末広がりの円錐台部と、上記円錐台部の円錐面に当接するテーパ面を有し該ボルトの雌ネジ部に対するネジ込みにより上記スクリーンを上記端部保持部の段部に向けて押圧する押圧部材とを備えて構成している。
これにより、スクリーンを装着するときは、ボルトを雌ネジ部に螺合し、ボルトを締め付け具で回転させてねじ込む。この際、円錐台部の円錐面が、テーパ面を徐々に押し下げていき、これに伴って、スクリーンの開口端部が段部方向に動き、開口端面が段部に密着していく。この場合、ボルトを雌ネジ部に対してねじ込むだけの操作でよく、スクリーンの装着が容易に行なわれる。
【0015】
また、必要に応じ、上記押圧部材をスクリーンの底部に設けた構成としている。押圧部材により底部が押圧されるので、それだけ、スクリーンの支持が確実になるとともに、スクリーンの底部が撓んで膨出しようとしてもボルトで押さえることができる。また、部品点数を低減できる。
更に、必要に応じ、上記押圧部材を上記底部外周に固設したリングで構成している。リングはスクリーンと一体なので、流路を阻害する事態が防止される。
更にまた、必要に応じ、上記ボルトの上下に上記円錐台部を一対設け、上記リングの外周に上記上側の円錐台部に当接するテーパ面を形成し、上記リングの内周に上記下側の円錐台部の円錐面に当接するテーパ面を形成した構成としている。押圧部材は、上側円錐台部と下側円錐台部の上下2つの円錐台部で押圧されるので、押圧力が均一にスクリーンに作用し、そのため、開口端面を段部へ偏り無く密着させることができる。
また、必要に応じ、上記リング間にスクリーンの底部に当接する当接部材を架設した構成としている。スクリーンの底部が補強されるので、底部が撓んで膨出してしまう事態が防止される。
【0016】
そしてまた、必要に応じ、上記押圧部材を、上記ボルトに挿通され該ボルトより大径の挿通孔を有し上記スクリーンの底部に当接可能なブロック体で形成し、該挿通孔の開口縁に上記円錐台部の円錐面が当接する円錐状のテーパ面を形成している。押圧を確実にすることができる。
【0017】
更に、必要に応じ、上記本体の流路を形成する内壁に、上記スクリーンをガイドする複数のガイド突起を設けた構成としている。スクリーンはガイド突起にガイドされるので、ぐらつくことなく円滑に移動させられる。これにより、開口端面が均一に段部に密着させられる。
更にまた、必要に応じ、上記スクリーンに把手を設けた構成としている。スクリーンの着脱の際に、把手を把持してスクリーンの出し入れを行なうことができ、操作性が極めてよくなる。
【0018】
また、必要に応じ、上記本体の外部に上記本体の流入口側と流出口側とを短絡する管路を設け、該管路に、上記流出口側を流れる流体の圧力が上記流入口側を流れる流体の圧力より所定圧低くなると該管路を開にして該管路に上記流体をフローさせる差圧弁と、該管路を流れる流体のフローを検出するフロー検出器とを備えた構成としている。フロー検出器が流体のフローを検出したときは、スクリーンの目詰まり状態があるものとして把握できるので、フロー検出器を定期的に点検すれば、スクリーンの洗浄時期や交換時期あるいは異常を知ることができる。この場合、差圧弁により管路を開閉するので応答性が良く、確実に流れ状態を把握できるようになる。
この構成において、上記管路の流入口側の入口に、該流入口側の流路に露出し上記スクリーンの目と同じ若しくはそれより目の細かいフィルタを設けたことが有効である。スクリーンのネットのメッシュに細かいものを使用しても、このメッシュより粗いゴミ等の異物が管路を通って逃げ出すことがなく、目の細かいスクリーンにも対応できるようになる。また、フィルタは流入口側の流路に露出しているので、流路を流れる流体に常時晒されることになり、そのため、フィルタに捕捉された異物を流してフィルタを常時洗浄できることからメンテナンスが容易になる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面に基づいて、本発明の実施の形態に係るストレーナについて詳細に説明する。
図1乃至図7には、本発明の実施の形態に係るストレーナSを示している。このストレーナSの基本的構成は、流入口31及び流出口32を有した流路を備えた本体30と、この本体30の流路内に設けられ開口61及び底部62を有したカップ状のスクリーン60とを備えてなる。
【0020】
詳しくは、本体30は、その流路を直線形状とする管体であって鋳物で形成されている。本体30の流入口31及び流出口32の外縁には、夫々、ボルト及びナットで締め付けて他の管体へ取り付けられるフランジ31a,32aが一体形成されている。本体30の側面には、スクリーン60の出し入れを行なうための出入用孔34が設けられている。
【0021】
35は出入用孔34を閉塞する着脱可能な蓋である。蓋35は本体30と同様の鋳物で形成されている。本体30の出入用孔34の周囲には蓋35を固定するための雌ネジ36が形成され、蓋35にはこの雌ネジ36に対応する位置に孔37が形成され、この孔37にナット38a付のボルト38を挿通して雌ネジ36にボルト38をねじ込みナット38aを締め付けることにより蓋35を固定できるようにしている。また、蓋35と本体30との当接面には、リング状のパッキン39が備えられており、流体の本体30外部への流出を防止している。
【0022】
また、本体30の流入口31側の流路を形成する内壁40内周には、スクリーン60の開口端部61aが挿入され開口端面61bが当接可能な段部51を有した端部保持部50が形成されている。端部保持部50の段部51とスクリーン60の開口端面61bとは、密接する平面で形成されている。
【0023】
更に、本体30の流路を形成する内壁40には、本体30の軸Xaとスクリーン60の軸Xbが同軸になるようにスクリーン60を支持してガイドする複数のガイド突起41が設けられている。ガイド突起41は、流入口31側の内壁40の下面及び両側面であって端部保持部50に連続して3つ設けられるとともに、流出口32側の内壁40の下面及び両側面に3つ設けられている。流入口31側のガイド突起41aはスクリーン60の開口端部61a側を支持し、流出口32側のガイド突起41bはスクリーン60の底部62側を支持する。ガイド突起41のスクリーン60と当接する当接面はスクリーン60の外側に沿うように円周面42に形成されている。
【0024】
スクリーン60は、例えばステンレス等の金属で形成されるカップ体63を備えている。このカップ体63の側面64あるいは底部62には小孔(図示せず)が多数設けられ、流路を流れる流体はこの小孔を通過する。また、このカップ体63の内側66には、流路を流れる流体に含まれるゴミ等の異物を濾過して分離するネット67が備えられている。ネット67は、例えば100メッシュ(1インチ四方に、1×104個の目を持つもの)以上で目の開きが0.15mm以下のものが使用される。
【0025】
カップ体63の開口61には、開口61を補強するステンレス製のリング状の補強体61cが設けられている。この補強体61cの端面が、端部保持部50の段部51に密接する平面で形成された開口端面61bとして構成されている。
更に、カップ体63の外側面には出入用孔34から出し入れする際に把持する把手68が設けられている。
【0026】
また、実施の形態に係るストレーナSは、スクリーン60の開口端面61bが端部保持部50の段部51に密着するように、スクリーン60を押圧する押圧手段Pを備えている。
この押圧手段Pは、本体30の流路を形成する内壁40であってスクリーン60の底部62よりも流出口32側に設けられる雌ネジ部70と、一端側に雌ネジ部70に螺合される雄ネジ部71を有するボルトBと、ボルトBに同軸に設けられボルトBの他端側に向けて末広がりの円錐台部72と、円錐台部72の円錐面73に当接するテーパ面85を有しボルトBの雌ネジ部70に対するネジ込みによりスクリーン60を端部保持部50の段部51に向けて押圧する押圧部材80とを備えて構成されている。ボルトBの軸Xc線とスクリーン60の軸Xb線とは直交しており、テーパ面85と円錐台部72の円錐面73とは、互いに接合する適宜の傾斜角度に形成されている。実施の形態では、テーパ面85と円錐台部72の円錐面73の傾斜角度は45度である。
【0027】
押圧部材80は、スクリーン60の底部62に設けられ、カップ体63の底部62外周に固設したリングRで構成されている。スクリーン60の底部62に押圧部材80を設けているので、部品数が少なくなり、着脱が容易になる。
また、円錐台部72はボルトBの上下に一対設けられている。そして、押圧部材80であるリングRの外周に上側の円錐台部72aの円錐面73aに当接するテーパ面85aが形成され、リングRの内周に下側の円錐台部72bの円錐面73bに当接するテーパ面85bが形成されている。
また、図3に示すように、上記リングR間には、スクリーン60の底部62に当接する十字状の当接部材80aが架設されている。これにより、スクリーン60の底部62が補強されるので、底部62が撓んで膨出してしまう事態が防止される。また、スクリーン60の底部62が膨出しようとしてもボルトBで押さえることができる。
更に、雌ネジ部70は、真鍮等の金属性のブッシュ70aに形成され、このブッシュ70aは本体30の流出口32側にネジ手段により固着されている。
また、本体30の内壁40には、ボルトBの円錐台部72の円柱部72cを摺接させてガイドするガイド部材43が突設されている。
【0028】
これにより、スクリーン60は、押圧部材80の押圧により装着される。この場合、スクリーン60は、押圧手段Pによりその開口端面61bが段部51に密接されて保持されるので、嵌合させて保持する場合に比較して、加工精度をさほど高めなくても良く、それだけ、製造が容易でコストダウンを図ることができる。
【0029】
また、図6に示すように、実施の形態に係るストレーナSにおいて、本体30の外部には、本体30の流入口31側と流出口32側とを短絡する管路Kが設けられ、この管路Kに、流出口32側を流れる流体の圧力が流入口31側を流れる流体の圧力より所定圧低くなると管路Kを開にして管路Kに流体をフローさせる差圧弁90と、管路K内の流体のフローを検出するフロー検出器96とが設けられている。
【0030】
図6に示すように、差圧弁90には、1次開口91と2次開口92が備えられ、差圧弁90の1次開口91を閉塞できる大きさの金属で形成される球体93と、球体93を差圧弁90の一次側に常時付勢する弾性体94が備えられている。差圧弁90の1次開口91側には、球体93が当接しシール可能な円弧面95が形成されている。
【0031】
また、弾性体94はコイルスプリング94aで形成され、球体93に当接し球体93よりも2次開口92側に備えられ、球体93を1次開口91側へ常時付勢している。更に、差圧弁90の検出の閾値はこのコイルスプリング94aの弾性力によって変えることができ、本実施の形態の場合、コイルスプリング94aを、例えば、1次側と2次側に0.05MPaの差圧が生じた際に差圧弁90が作動する弾性力に定めている。
また、フロー検出器96は、管路K内の流路の軸と同軸な螺旋形状の有色のフィン(図示せず)を内部に設け、これを目視可能に設けられる窓を側面に備えて構成されている。
また、管路Kの流入口31側の入口には、この流入口31側の流路に露出しスクリーン60より目の細かいカップ状のフィルタ100が設けられている。
【0032】
従って、本発明の実施の形態に係るストレーナSにおいて、スクリーン60を装着するときは、まず、図7(1)に示すように、蓋35を取り外し、スクリーン60の把手68を把持して、出入用孔34からスクリーン60を本体30内に入れ、ガイド突起41に載置し、開口端部61aを端部保持部50に挿入する。それから、図5(a)及び図7(2)に示すように、ボルトBを雌ネジ部70に螺合し、ボルトBの頭を締め付け具で回転させてねじ込む。
【0033】
この際、円錐台部72の円錐面73が、リングRに設けられるテーパ面85を徐々に押し下げる。そして、リングRはスクリーン60の底部62に固着され、またスクリーン60はガイド突起41に載置されていることからボルトBの軸方向に移動せず、ガイド突起41の円周面42に沿って、流入口31側に進む。これにより、図5(b)及び図7(3)に示すように、スクリーン60の開口端部61aが段部51方向に動き、開口端面61bが段部51に密着していく。
【0034】
この場合、スクリーン60の開口端面61bを段部51へ密着させるにはボルトBを雌ネジ部70に対してねじ込んで行なえば良く、操作が容易に行なわれる。また、この際、スクリーン60はガイド突起41にガイドされるので、ぐらつくことなく円滑に移動させられる。これにより、開口端面61bが均一に段部51に密着させられる。
更に、押圧部材80であるリングRは、上側円錐台部72aと下側円錐台部72bの上下2つの円錐台部72で押圧されるので、押圧力が均一にスクリーン60に作用するので、開口端面61bを段部51へ偏り無く密着させることができる。
これにより、スクリーン60が後流側に移動しないよう固定され、開口端面61bが段部51に密着させられる。そのため、段部51と開口端面61bとの間のギャップdが、ほとんどなくなり、スクリーン60のネット67のメッシュの目よりも小さくなる。
【0035】
それから、図7(4)に示すように、蓋35を出入用孔34に被せてボルト38及びナット38aで本体30に固定する。
【0036】
このようにして、スクリーン60が装着されたストレーナSに流体が流れると、この流体に混在する異物がスクリーン60で濾過されていく。この場合、スクリーン60の開口端面61bが段部51に密着させられ、ギャップdがほとんどないので、流体がこのスクリーン60の開口端面61bと段部51との間を流れることがほとんどなくなり、そのため、ゴミ等の異物も、このスクリーン60の開口端面61bと段部51との間を流れることがほとんどなくなる。このため、ほとんどのゴミ等の異物は、スクリーン60に捕獲されていく。即ち、このことは、スクリーン60のネット67のメッシュに細かいものを使用しても、このメッシュより粗いゴミ等の異物がスクリーン60の開口端面61bと段部51との間から逃げ出すことがなく、目の細かいスクリーン60にも対応できるようになることを意味する。従って、スクリーン60のネット67の選択により、流路を流れる流体から所望の大きさ以上の異物の分離濾過を行なうことができる。
【0037】
また、流体が流れる際に、スクリーン60より流出口32側にボルトBがあるが、ボルトBは比較的細いので、流体の流れを阻害することがなく、流体は円滑に流れていく。更にまた、押圧部材80をリングRで構成したので、この点においても、流路を阻害することがなく、流体を円滑に流すことができる。
【0038】
流体が流れている際、スクリーン60にゴミ等の異物が濾過されて溜まってくると、スクリーン60を流体が通過し難くなることから、流出口32側の流体の圧力が流入口31側よりも低くなる。その際、流入口31側と流出口32側の流体の差圧が0.05MPa以上になると、流入口31側の流体が弾性体94の付勢力に抗し差圧弁90の球体93を押し開き、流体が管路Kを流れるようになり、フロー検出器96のフィンを回転させる。
【0039】
これにより、フロー検出器96が流体のフローを検出したときは、スクリーン60の目詰まり状態があるものと把握できるので、フロー検出器96を定期的に点検すれば、スクリーン60の洗浄時期や交換時期あるいは異常を知ることができる。この場合、差圧弁90により管路Kを開閉するので応答性が良く、確実に流れ状態を把握できるようになる。
また、管路Kの流入口31側の入口には、流入口31側の流路に露出しスクリーン60の目と同じ若しくはそれより目の細かいフィルタ100が設けられているので、スクリーン60のネット67のメッシュに細かいものを使用しても、このメッシュより粗いゴミ等の異物が管路Kを通って逃げ出すことがなく、目の細かいスクリーン60にも対応できるようになる。また、フィルタ100は流入口31側の流路に露出しているので、流路を流れる流体に常時晒されることになり、そのため、フィルタ100に捕捉された異物を流してフィルタ100を常時洗浄できることからメンテナンスが容易になる。
更に、スクリーン60の洗浄や交換の際には、蓋35を取り外し、ナット38aを緩めて、把手68を把持してスクリーン60を取り外す。この場合、スクリーン60の把手68を把持して取り外すことができるので、作業が容易に行なわれる。
【0040】
図8乃至図10には、本発明の別の実施の形態に係るストレーナSを示している。別の実施の形態に係るストレーナSは、上記と略同様に構成されるが、上記の実施の形態のものとは、押圧部材80の構成が異なっている。押圧部材80は、ボルトBに挿通されるボルトBより大径の挿通孔87を有し、スクリーン60の底部62に当接可能なブロック体86で形成されている。ブロック体86は金属で形成され、一方の面がスクリーン60の底部62に当接し、縦柱88a及び横柱88bを夫々一対備えて形成される矩形枠状に形成されている。
挿通孔87は、横柱88bの中央に夫々設けられている。挿通孔87の開口縁89には、ボルトBに設けられた一対の円錐台部72の円錐面73が当接する円錐状のテーパ面85が形成されている。
【0041】
従って、このストレーナSにスクリーン60を装着するときは、図9に示すように、押圧部材80を流出口32側に移動させて挿通孔87とボルトBとを図9中eだけ偏心させ、端部保持部50と押圧部材80との間隔を広げ、この状態で、ストレーナSのガイド突起41にスクリーン60を載置する。次に、図10に示すように、押圧部材80の挿通孔87に挿通したボルトBを雌ネジ部70に対してねじ込む。これにより、円錐台部72が押圧部材80のテーパ面85に当接して、押圧部材80を流入口31側に移動させる。このため、スクリーン60の開口端面61bが段部51と密着させられ、スクリーン60が取り付けられる。この場合、スクリーン60の押圧を押圧部材80であるブロック体86の当接面全体で行なうことができ、より均一にスクリーン60を押圧することができ、段部51と開口端面61bに生じるギャップを取り除くことができる。他の作用,効果は上記と同様である。
【0042】
図11には、フロー検出器96の別の例を示している。このフロー検出器96は、管路Kの流体がフローするとライン97のスイッチをONにするセンサで構成されている。これによれば、別の場所の表示器(図示せず)を点灯させる等して離れた場所から異常を検出でき、点検の際逐一このストレーナSの配管してある場所に行かなくても良くなり、煩雑さを低減させることができる。
【0044】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のストレーナによれば、段部にスクリーンの開口端面が当接するシール面を形成し、スクリーンの開口端面がシール面に密着するようにスクリーンを押圧する押圧手段を設けたので、スクリーンは、押圧手段によりその開口端面が段部に密接されて保持され、そのため、嵌合させて保持する場合に比較して、加工精度をさほど高めなくても良く、それだけ、製造が容易でコストダウンを図ることができる。
【0045】
また、スクリーンの開口端面が段部に密着させられ、ギャップがほとんどないので、流体がこのスクリーンの開口端面と段部との間を流れることがほとんどなくなり、そのため、ゴミ等の異物も、このスクリーンの開口端面と段部との間を流れることがほとんどなくなる。このため、ほとんどのゴミ等の異物は、スクリーンに捕獲されていく。
【0046】
この結果、スクリーンのネットのメッシュに細かいものを使用しても、このメッシュより粗いゴミ等の異物がスクリーンの開口端面と段部との間から逃げ出すことがなく、目の細かいスクリーンにも対応できるようにすることができ、スクリーンのメッシュの選択により、流路を流れる流体から所望の大きさ以上の異物の分離濾過を可能にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係るストレーナを示す断面図である。
【図2】本発明の実施の形態に係るストレーナを示す図1中A−A線断面図である。
【図3】本発明の実施の形態に係るストレーナを示す図1中B−B線断面図である。
【図4】本発明の実施の形態に係るストレーナを示す図1中C−C線断面図である。
【図5】本発明の実施の形態に係るストレーナを示す要部断面図であり、(a)は押圧手段によるスクリーンの押圧前の状態を示す図、(b)は押圧手段によるスクリーンの押圧後の状態を示す図である。
【図6】本発明の実施の形態に係るストレーナの差圧検知を行なう管路の構成を示す断面図である。
【図7】本発明の実施の形態に係るストレーナにおいて、スクリーンを装着するときの工程を示す図である。
【図8】本発明の別の実施の形態に係るストレーナの押圧部材を示す斜視図である。
【図9】本発明の別の実施の形態に係るストレーナにおいて、スクリーンを装着するときの状態を示す断面図である。
【図10】本発明の別の実施の形態に係るストレーナにおいて、スクリーンを装着した状態を示す断面図である。
【図11】本発明の実施の形態に係るストレーナの差圧検知を行なう別の管路の構成を示す断面図である。
【図12】従来のストレーナの一例を示す断面図である。
【符号の説明】
S ストレーナ
Xa ストレーナの軸
Xb スクリーンの軸
Xc ボルトの軸
30 本体
31 流入口
32 流出口
31a,32a フランジ
34 出入用孔
35 蓋
40 内壁
41(41a,41b) ガイド突起
50 端部保持部
51 段部
60 スクリーン
61 開口
61a 開口端部
61b 開口端面
61c 補強体
62 底部
63 カップ体
67 ネット
68 把手
P 押圧手段
70 雌ネジ部
71 雄ネジ部
B ボルト
72(72a,72b) 円錐台部
73(73a,73b) 円錐面
80 押圧部材
R リング
85(85a,85b) テーパ面
86 ブロック体
87 挿通孔
K 管路
90 差圧弁
91 1次開口
92 2次開口
93 球体
94 弾性体
94a コイルスプリング
96 フロー検出器
Claims (10)
- 流入口及び流出口を有した流路を備えた本体と、該本体の流路内に設けられ開口及び底部を有したカップ状のスクリーンと、該本体の側面に設けられ上記スクリーンの出し入れを行なうための出入用孔と、該出入用孔を閉塞する着脱可能な蓋とを備え、上記本体の流入口側の流路を形成する内壁内周に上記スクリーンの開口端部が挿入され開口端面が当接可能な段部を有した端部保持部を形成してなるストレーナにおいて、
上記スクリーンの開口端面が上記端部保持部の段部に密着するように該スクリーンを押圧する押圧手段を設け、
上記押圧手段を、上記本体の流路を形成する内壁であって上記スクリーンの底部よりも流出口側に設けられる雌ネジ部と、一端側に上記雌ネジ部に螺合される雄ネジ部を有するボルトと、該ボルトに同軸に設けられ該ボルトの他端側に向けて末広がりの円錐台部と、上記円錐台部の円錐面に当接するテーパ面を有し該ボルトの雌ネジ部に対するネジ込みにより上記スクリーンを上記端部保持部の段部に向けて押圧する押圧部材とを備えて構成したことを特徴とするストレーナ。 - 上記押圧部材をスクリーンの底部に設けたことを特徴とする請求項1記載のストレーナ。
- 上記押圧部材を上記底部外周に固設したリングで構成したことを特徴とする請求項2記載のストレーナ。
- 上記ボルトの上下に上記円錐台部を一対設け、上記リングの外周に上記上側の円錐台部に当接するテーパ面を形成し、上記リングの内周に上記下側の円錐台部の円錐面に当接するテーパ面を形成したことを特徴とする請求項3記載のストレーナ。
- 上記リング間にスクリーンの底部に当接する当接部材を架設したことを特徴とする請求項3または4記載のストレーナ。
- 上記押圧部材を、上記ボルトに挿通され該ボルトより大径の挿通孔を有し上記スクリーンの底部に当接可能なブロック体で形成し、該挿通孔の開口縁に上記円錐台部の円錐面が当接する円錐状のテーパ面を形成したことを特徴とする請求項1記載のストレーナ。
- 上記本体の流路を形成する内壁に、上記スクリーンをガイドする複数のガイド突起を設けたことを特徴とする請求項1,2,3,4,5または6記載のストレーナ。
- 上記スクリーンに把手を設けたことを特徴とする請求項1,2,3,4,5,6または7記載のストレーナ。
- 上記本体の外部に上記本体の流入口側と流出口側とを短絡する管路を設け、該管路に、上記流出口側を流れる流体の圧力が上記流入口側を流れる流体の圧力より所定圧低くなると該管路を開にして該管路に上記流体をフローさせる差圧弁と、該管路を流れる流体のフローを検出するフロー検出器とを備えたことを特徴とする請求項1,2,3,4,5,6,7または8記載のストレーナ。
- 上記管路の流入口側の入口に、該流入口側の流路に露出し上記スクリーンの目と同じ若しくはそれより目の細かいフィルタを設けたことを特徴とする請求項9記載のストレーナ。
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