JP4271103B2 - 大型望遠鏡用イメージロテータ装置の光学系駆体の組み立て調整方法および大型望遠鏡用イメージロテータ装置の製造方法 - Google Patents
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Description
図1はイメージロテータの反射面の理想的な幾何学的配置を示す模式図である。
1〜3はイメージロテータ内の反射面である。ここで、これら各反射面1〜3内のゆがみを無視し、イメージロテータ回転軸4上を通る光線が順次各反射面1,2,3に入射する位置を含む微小平面が各反射面を代表すると仮定する。その場合、各反射面に要求される幾何学的配置は図1のように単純化することができる。この場合、反射面1〜3の調整は、望遠鏡からの入射主光線5とその射出主光線6を同一軸上に載せることと、この軸をイメージロテータ回転軸4と一致させることである。そこで、この発明の実施の形態1では、反射面1,2,3の組み立て構造として、調整を容易にし、上記条件を満たすことができる理想的なイメージロテータ装置の光学系躯体を以下のように提案する。
図2はこの発明の実施の形態1によるイメージロテータ装置の光学系躯体の構成を示す正面図である。
この光学系躯体は、図1の3個の反射面1,2,3を有するそれぞれの反射板M1,M2,M3を備えている。反射板M1,M2,M3は、各反射面に余計な力によるたわみが生じないように当該反射面をミラーセルで保持しており、ミラーセルは押し引きねじ等を用いて位置および傾斜が調整できるように製作されている。ここで、便宜上、イメージロテータ使用時における望遠鏡からの入射主光線5の進行方向を紙面左側から右側とし、反射面を左側より順に反射板M1,M2,M3と呼ぶこととする。イメージロテータ回転軸4上にある入射主光線5は順次各反射板M1,M2,M3で入射、反射が行われ、射出主光線6として取り出されるが、ここでは、入射主光線5と射出主光線6がイメージロテータ回転軸4に一致させられている。そのために、2つの反射板M1,M3上の入射主光線の入反射点が二等辺三角形(正三角形でもよい)の等しい2角の頂点を形成し、1つの反射板M2の入射主光線の入反射点がこの二等辺三角形の等しい2角と異なる角の頂点を形成するよう各反射板M1,M2,M3の位置を設定している。
下側板14、上側板15、入射側板16および射出側板13は、それぞれ十分な平行度を保って組み立てられている。また、この光学系躯体がたわまないようにするため、図では明記されていないが、紙面手前と反対側にも側板を備えておくことが好ましい。
まず、上側板15に反射板M2のベースプレート18を取り付け、反射板M2の反射面がイメージロテータ回転軸4と平行となるように設定する。そのために、図3に示すように、上側板15の反射板M2と同じ取り付け面上に十分な平行度をもつ調整用ミラー19を一時設置し、調整用ミラー19の上部に配置した調整用のレーザ装置20からのレーザ光線を調整用ミラー19に対し照射する。そして、調整用ミラー19による反射光がレーザ装置20の射出口に戻るようにレーザ装置20の向きを調整することで、上側板15に対する垂線を得る。次に、この上側板15の垂線となるレーザ光線が反射板M2上に位置するようにXYステージ等を用いてレーザ装置20を平行移動させ、レーザ装置20の射出口に反射板M2による反射光が戻るように反射板M2の傾きを調整し固定する。この調整は、例えば反射板M2を保持するミラーセルを三点支持する押し引きネジ加減することにより行なわれる。次に、この上側板15を射出側板13に直角に取り付け、さらに下側板14と入射側板16を取り付ける。この時点で、反射板M2の反射面は射出側板13の面に組み立て精度内で垂直となり、イメージロテータ回転軸4と平行になる。
まず、射出側板13のフランジ部13bの内側に調整用ミラー19を一時設置し、また、調整用のレーザ装置20を入射側板16より前方の離れた位置に設置する。次に、レーザ装置20から調整用ミラー19に対してレーザ光線を照射し、調整用ミラー19で反射したレーザ光線がレーザ装置20の射出口に戻るように射出側板13の面の角度を調整する。すなわちレーザ光線が射出側板13の垂線となるように調整する。
次に、射出側板13の開口部13aに調整用ピンホール板22を、例えば嵌め合いにより取り付ける。入射側板16側に設置されたレーザ装置20を射出側板13の面に対して平行移動させ、レーザ光線を入射側板16の開口部16a内に向けて照射する。レーザ装置20をさらに平行移動させ、このレーザ光線が調整用ピンホール板22のピンホール8を通るように調整する。このピンホール8を通ったときのレーザ光線をイメージロテータ回転軸4とする。このピンホール8の偏芯は射出側板13と調整用ピンホール板22の加工精度によって決まる。その後、入射側板16にも調整用ピンホール板21を取り付け、両調整用ピンホール板21,22のピンホール7,8をレーザ光線が同時に通るように上側板15、入射側板16の組み立ての状態を締め付けなどで調整する。この状態で、光学系躯体の各側板の組み立て調整を完了する。
反射板M1,M3は角柱ブロック17の上面にある互いに反対方向に傾斜した2つの矩形面に、例えば押し引きねじを用いて3点支持の方法により取り付けられる。その後、同様な方法で、この角柱ブロック17を下側板14の内側面に取り付け、反射板M1上に調整用のプリズム23を載せる。この場合、反射板M1とプリズム23の接触面は滑らかであるため吸い付くので、特に保持するための手段を別途用いなくてもよい。なお、プリズム23には、反射板M1,M2,M3上の入射主光線の入反射点が正三角形の頂点を形成する場合には60度の頂角を持つものが使用される。この状態で、射出側板13の垂線となるレーザ光線をプリズム23に照射し、反射光がレーザ装置20の射出口に戻って来るように反射板M1の傾きを調整する。この調整は、例えばミラーセルの3点支持を行なっている押し引きねじを加減することにより行なう。破線で示すように、同様に反射板M3上にプリズム13を載せ、レーザ光線の反射を利用して反射板M3の傾きを調整する。
まず、反射板M1,M2,M3に関する設計上の入射主光線との交点位置をそれぞれ記入した調整用フィルム24,25,26を反射板M1,M2,M3の反射面に貼り付ける。次に、射出側板13の垂線となるレーザ光線を入射側板16のピンホール板21のピンホール7を通して入射し、反射板M1への入射位置が調整用フィルム24の交点位置に一致するように、角柱ブロック17の位置をねじの押し引きなどの方法で調整する。この場合、紙面に垂直な方向に関しては、角柱ブロック17をスライドさせて調整を行なう。調整後、調整用フィルム24を反射板M1から取り外す。次に、反射板M1にて反射したレーザ光線の反射板M2への入射位置が調整用フィルム25の交点位置と一致するように、反射板M2のベースプレート18の位置を調整する。調整後、調整用フィルム25を取り外す。さらに、反射板M2にて反射したレーザ光線の反射板M3への入射位置が調整用フィルム26の交点位置と一致するよう角柱ブロック17を調整する。調整後、調整用フィルム26を取り外す。
上述したように調整を終えた光学系躯体は望遠鏡装置40に設けられたイメージロテータ駆動機構部に組み込まれる。イメージロテータ駆動機構部は、図8の部分拡大図に示すように、望遠鏡からの入射主光線の光軸41にイメージロテータ回転軸4が一致するように設けられた回転筒体42と、この回転筒体42を光軸41(またはイメージロテータ回転軸4)を中心として回転可能に支持するローラまたはギヤ(回転支持手段)28を備えている。回転筒体42は、光軸41に沿った開口部に、光学系躯体の射出側板13のフランジ部13bと合致する形状(例えば凹部)の装着部49を備えている。したがって、光学系躯体は、回転筒体42内に収容された際、射出側板13のフランジ部13bを装着部49に装着してねじ止めすることにより、回転筒体42内に回転可能に支持される。なお、図示していないが、上下側板15,14と直交する面(紙面に平行な面)にもメンテナンス用の窓を持つ側板を設けておくようにすれば、光学系駆体の自重による歪は抑えることができる。
以上のようにして、光学系躯体は高度軸内に設置され、イメージロテータ回転軸4を光軸41と一致させることができる。光軸41上のナスミス焦点位置、すなわち図8において、イメージロテータを通過した光線が集束する位置には、観測装置30が台29により設置されており、イメージロテータ装置内を通過した光によるナスミス焦点位置の像を観測装置30により観測することが可能となる。
Claims (2)
- 望遠鏡装置に設けられたイメージロテータ駆動機構部に分離可能に装着される大型望遠鏡用イメージロテータ装置の光学系躯体の組み立て調整方法であって、
上側板の一つの面に反射板M2と第1の調整用ミラーを設置し、上側板の上記一つの面の垂直方向に配置した第1のレーザ装置から第1の調整用ミラーにレーザ光線を照射して反射光が射出口に戻るように第1のレーザ装置の向きを調整するステップと、
第1のレーザ装置を平行移動してレーザ光線を反射板M2上に照射し、反射光が射出口に戻るように反射板M2の傾きを調整するステップと、
上側板と下側板を平行に配置し、イメージロテータ回転軸が通る開口部をそれぞれ持つ射出側板と入射側板をこれら上側板と下側板の一対の端部に直角に組み立て、組み立てにより射出側板にフランジ部を形成するステップと、
前記フランジ部の内側面に第2の調整用ミラーを設置し、入射側板より前方に設置した第2のレーザ装置から第2の調整用ミラーに対してレーザ光線を照射し、反射光が射出口に戻るように射出側板の垂直度を調整するステップと、
射出側板の開口部に第1の調整用ピンホール板を配置し、入射側板の開口部を通して照射した第2のレーザ装置のレーザ光線が第1の調整用ピンホール板のピンホールを通るように第2のレーザ装置を平行移動させて調整するステップと、
入射側板に第2の調整用ピンホール板を配置し、第2のレーザ装置のレーザ光線をイメージロテータ回転軸として想定して第1および第2の調整用ピンホール板のピンホールを同時に通るように上側板と入射側板の組み立て状態を調整するステップと、
反射板M1,M3を角柱ブロックの上面にある互いに反対方向に傾斜した2つの面に取り付け、この角柱ブロックを下側板の内側面に取り付けるステップと、
反射板M1またはM3上に調整用プリズムを載せ、射出側板または入射側板の垂線となる第2のレーザ装置のレーザ光線を調整用プリズムに照射し、その反射光が射出口に戻るように反射板M1またはM3の傾きを調整するステップと、
望遠鏡からの入射主光線の光軸との交点位置を記入した調整用フィルムを反射板M1,M2,M3の反射面にそれぞれ貼り付け、射出側板の垂線となる第2のレーザ装置のレーザ光線を第2の調整用ピンホール板のピンホールを通して照射し、反射板M1,M2,M3への入射位置が各調整用フィルムの交点位置と一致するように各反射板を順次調整するステップと、
第1および第2の調整用ピンホール板の両ピンホールをレーザ光線が通ることを確認し、第1の調整用ピンホール板のピンホールの位置にイメージロテータ回転軸と垂直になるように第3の調整用ミラーを置き、第2のレーザ装置のレーザ光線が第3の調整用ミラーで反射して光路を戻り射出口に到達することを確認し、その際、必要に応じて反射板M1,M2,M3を微調整するステップとを有することを特徴とする大型望遠鏡用イメージロテータ装置の光学系躯体の組み立て調整方法。 - 望遠鏡装置に設けられたイメージロテータ駆動機構部とこのイメージロテータ駆動機構部に分離可能に装着されるように組み立てられる光学系躯体とからなる大型望遠鏡用イメージロテータ装置の製造方法であって、
上側板の一つの面に反射板M2と第1の調整用ミラーを設置し、上側板の上記一つの面の垂直方向に配置した第1のレーザ装置から第1の調整用ミラーにレーザ光線を照射して反射光が射出口に戻るように第1のレーザ装置の向きを調整するステップと、
第1のレーザ装置を平行移動してレーザ光線を反射板M2上に照射し、反射光が射出口に戻るように反射板M2の傾きを調整するステップと、
上側板と下側板を平行に配置し、イメージロテータ回転軸が通る開口部をそれぞれ持つ射出側板と入射側板をこれら上側板と下側板の一対の端部に直角に組み立て、組み立てにより射出側板にフランジ部を形成するステップと、
前記フランジ部の内側面に第2の調整用ミラーを設置し、入射側板より前方に設置した第2のレーザ装置から第2の調整用ミラーに対してレーザ光線を照射し、反射光が射出口に戻るように射出側板の垂直度を調整するステップと、
射出側板の開口部に第1の調整用ピンホール板を配置し、入射側板の開口部を通して照射した第2のレーザ装置のレーザ光線が第1の調整用ピンホール板のピンホールを通るように第2のレーザ装置を平行移動させて調整するステップと、
入射側板に第2の調整用ピンホール板を配置し、第2のレーザ装置のレーザ光線をイメージロテータ回転軸として想定して第1および第2の調整用ピンホール板のピンホールを同時に通るように上側板と入射側板の組み立て状態を調整するステップと、
反射板M1,M3を角柱ブロックの上面にある互いに反対方向に傾斜した2つの面に取り付け、この角柱ブロックを下側板の内側面に取り付けるステップと、
反射板M1またはM3上に調整用プリズムを載せ、射出側板または入射側板の垂線となる第2のレーザ装置のレーザ光線を調整用プリズムに照射し、その反射光が射出口に戻るように反射板M1またはM3の傾きを調整するステップと、
望遠鏡からの入射主光線の光軸との交点位置を記入した調整用フィルムを反射板M1,M2,M3の反射面にそれぞれ貼り付け、射出側板の垂線となる第2のレーザ装置のレーザ光線を第2の調整用ピンホール板のピンホールを通して照射し、反射板M1,M2,M3への入射位置が各調整用フィルムの交点位置と一致するように各反射板を順次調整するステップと、
第1および第2の調整用ピンホール板の両ピンホールをレーザ光線が通ることを確認し、第1の調整用ピンホール板のピンホールの位置にイメージロテータ回転軸と垂直になるように第3の調整用ミラーを置き、第2のレーザ装置のレーザ光線が第3の調整用ミラーで反射して光路を戻り射出口に到達することを確認し、その際、必要に応じて反射板M1,M2,M3を微調整するステップとによって前記光学系躯体を組み立て、
組み立てた前記光学系躯体を前記イメージロテータ駆動機構部の回転筒体に収容し、イメージロテータ回転軸を望遠鏡からの入射主光線の光軸と一致させて前記光学系躯体を支持する該回転筒体の装着部に、射出側板に形成されたフランジ部を合致させるステップとを備えた大型望遠鏡用イメージロテータ装置の製造方法。
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