JP5018064B2 - 打撃音試聴・測定室 - Google Patents

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Description

本発明は、広くは、打撃音を発する音源位置と打撃音を試聴・測定する試聴・測定位置が定められた打撃音試聴・測定室に関する。特に、本発明は、試打ロボットが使用でき、低コストで作製できる打撃音試聴・測定室に関する。
近年、ゴルフボールをより遠くに飛ばすことのできる、反発係数の高い材料を打撃面に用いたゴルフクラブヘッド、例えば、チタン合金を打撃面に用いたゴルフクラブヘッドや、ゴルフボールの安定した飛距離が確保できる、スイートスポットが大きい、例えば、300ccを越える容積の中空ゴルフクラブヘッドなどが種々提供されている。
これらのゴルフクラブヘッドを備えたゴルフクラブは、ゴルフボールを遠くに飛ばすことができるにもかかわらず、鋭く金属的ではない打撃音を発するため、ゴルファーに飛距離の出ない、および、打撃音が不快なゴルフクラブであるとのイメージを与える場合がある。
このような背景から、ゴルフクラブヘッドがゴルフボールを打撃する際に発する打撃音を調整することが望まれている。
ここで、ゴルフクラブヘッドが発する打撃音は、通常の音が有する音の大きさ、高低という一般的な特性のみならず、時間とともに音の大きさが減衰するという特性をも有する非定常音である。そして、この音の大きさが所定の値の分低下して減衰するまでの時間(以下、残響時間と記す)は、ゴルファーがゴルフクラブヘッドが発する打撃音の快/不快のイメージを決める大きな要因の一つであると考えられている。
このため、ゴルフクラブヘッドが発する打撃音の評価には、音の大きさ、高低に加えて、残響時間も影響を与える。
ゴルフクラブヘッドが発する打撃音を調整する場合、まず、音の大きさ、高低に加えて、残響時間の正確なデータを多数測定する。すなわち、打撃音の調整は、この打撃音の大きさが所定の値に減衰するまで、測定の精度を阻害する音が混入しない環境で測定することを必要とする。このため従来は、測定の精度を阻害する虞のある反射音等の影響が無い屋外のフィールドにて、人間がゴルフクラブによりゴルフボールを実際に試打することにより、ゴルフクラブヘッドがゴルフボールを打撃する際に発する打撃音は測定されていた。その際、データのバラツキを防ぐため、同じ人間が試打を行う必要があり、以下の問題があった。
すなわち、人間が行う試打による打撃音の測定は、打撃数が限られること、打撃パターン(スピードおよび打撃位置)が意図的に変えらず異なる打撃パターンでの打撃音のデータが採れないこと、および、打撃パターンの安定性は試打を行う人間に依存し打撃音のデータにバラツキが含まれる虞があることが問題であった。また、人間が行う試打による打撃音の測定は、上記打撃パターンが制限されること、および、打撃パターンが必ずしも一定せず偶発的に変化することを要因として、打撃音の測定・解析方法の標準化にも悪影響を与えていた。
人間がゴルフボールを実際に試打することに起因する問題を解決するため、試打ロボットを屋外のフィールドに設置することも考えられる。試打ロボットが把持したゴルフクラブによりゴルフボールを実際に試打し、このとき発する打撃音を測定することにより、人間がゴルフボールを実際に試打することに起因する上記問題を解決できるが、以下の問題が生じる。
試打ロボットは、正確な試打を行うために、さらに、ゴルフクラブヘッドによるゴルフボールの打撃音以外の音の発生を防ぐために、屋外のフィールドに固定される必要がある。また、この試打ロボットは、屋外の外部環境にさらされ、多大のメインテナンスを必要とするといった煩雑さがある。
測定に影響を与えることがないように、反射音等の影響が無い屋外のフィールドと同じ条件を再現するため、反射音を吸収する無響室内に試打ロボットを設置することも考えられる。しかし、既設の無響室にゴルフボールを打ち出すための開口を設けることは、非常にコストが掛かり、実現が困難である。
また、ゴルフボールを打ち出すための開口を備えた無響室を新たにフィールドに隣接して建設することも、非常にコストが掛かり、実現が困難である。
下記特許文献1には、無響音室用吸音具が開示されている。この文献では、第1に、支持部および係止部が設けられたフレームが室内内周部に取り付けられ、次に、フレームに吸音部材が取り付けられ、フレームは吸音部材に覆われる。しかし、この無響音室用吸音具では、吸音部材やフレームが室内内周部へ個別に着脱できるようになり、保守点検作業の効率を向上させることはできるが、無響音室を低コストで建設することは難しい。
特開平7−102657号公報
図8は、打撃音試聴・測定室の壁の材質と音圧レベルの形で表わされる音の大きさを示すグラフである。
より詳しくは、図8は、打撃音試聴・測定室の壁および天井の表面の材質をパラメータとし、4kHzの音を発生させた場合の、一次反射音の音圧レベルを示す。図8中の◆印は、壁および天井の表面を完全反射面とした場合の一次反射音を示し、●印は、壁および天井の表面をグラスウールで覆った場合の一次反射音を示す。ここで、一次反射音とは、音源位置から発せられ、壁または天井に入射し1回反射した後、試聴・測定位置に到達する打撃音をいい、完全反射面とは、垂直入射反射率が100%の面をいう。また、図8中の曲線は人間の聴感補正時間マスキング曲線であり、この曲線上および上の領域にプロットされる一次反射音は、打撃音試聴・測定室での試聴および測定に影響を与える音圧レベルの音であることを示す曲線である。
図8より、壁および天井の表面を完全反射面とした場合の一次反射音(到達時間は12m秒、15m秒、18m秒および24m秒)は、人間の聴感補正時間マスキング曲線より上にあるので打撃音試聴・測定室での試聴および測定に影響を与える大きさの音である。また、壁および天井の表面をグラスウールで覆った場合の一次反射音(到達時間は18m秒)は、図8において●印が聴感補正時間マスキング曲線上にあるので、打撃音試聴・測定室での試聴および測定に影響を与える虞がある大きさの音である。このように、一次反射音は、打撃音試聴・測定室における打撃音の試聴および測定に影響を与えることが分かる。
打撃音試聴・測定室には、二次以上の反射音も存在する。二次以上の反射音は、例えばグラスウールで壁および天井を覆った場合、反射面で2回以上吸音されるため、打撃音の試聴および測定に影響を与えない。ここで、二次以上の反射音とは、音源位置から発せられ、反射ユニット、壁、および/または天井に2回以上入射し、反射した後、測定位置に到達する打撃音をいう。
以上より、例えばグラスウールで壁および天井を覆っただけでは、一次反射音が試聴および測定に影響を与える虞がある。このことから、一次反射音を生じさせないようにすることが必要である。
そこで、本発明は、上記問題点を解決するため、一次反射音が無い状態での打撃音の試聴および測定が可能で、低コストで作製できる打撃音試聴・測定室を提供することを目的とする。
また、一次反射音が無く、かつ、二次以上の反射音の音の大きさが測定に影響を与えない程度に小さい状態での打撃音の測定が可能で、低コストで作製できる打撃音測定室を提供することを目的とする。
さらにまた、一次反射音が無く、かつ、二次以上の反射音の音の大きさが測定に影響を与えない程度に小さい状態で、試打ロボットが試打する打撃音の測定が可能で、低コストで作製できる打撃音測定室を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、打撃音を発する音源位置と前記打撃音を試聴・測定する試聴・測定位置が空間内で定められた打撃音試聴・測定室であって、前記打撃音試聴・測定室を区画する複数の平面と、前記音源位置からの打撃音を反射する反射板を有する少なくとも1つの第1の反射ユニットと、を有し、前記反射板は、前記複数の平面の中の1つの平面を第1の鏡面と仮想し、前記音源位置の鏡像となる第1の点と前記試聴・測定位置とを結ぶ線分を第1の線分とし、この第1の線分と前記第1の鏡面とが交わる点を第2の点としたとき、前記第2の点と前記音源位置とを結ぶ線分上、または、前記第2の点と前記試聴・測定位置とを結ぶ線分上に設けられ、前記音源位置からの打撃音を反射した反射音が前記試聴・測定位置に直接には到達しないように前記反射板の向きが調整されていることを特徴とする打撃音試聴・測定室を提供する。
ここで、打撃音は点音源と考えられる音源位置から球面波状に拡がり、壁等で反射され、さらに球面波状に拡がるものであり、その一部分が試聴・測定位置に到達する。その際、試聴・測定位置にて試聴・測定される打撃音の主成分は、音源位置から発せられ試聴・測定位置にレーザ光のように直線的に到達し、あるいは直線的に反射面に入射し、反射して直線的に到達する。
本発明では、打撃音として、上記主成分を検討する。このため、打撃音は、点音源と考えられる音源位置から発せられる直線状に進行する音として扱う。したがって、本発明でいう入射は、レーザ光のように反射面に直線的に入射することをいい、反射は同様に同じ角度で反射することをいう。
さらに、反射板の向きが、音源位置からの打撃音を反射した反射音が試聴・測定位置に直接には到達しないように調整されているとは、反射板の向きが、音源位置から発せられて反射板に入射した打撃音が反射され、この反射音が試聴・測定位置に到達する前に打撃音試聴・測定室内の物体で反射するように調整されていることをいい、例えば打撃音試聴・測定室を区画する複数の平面の1つに到達するように調整されていることが好ましい。
また、前記複数の平面の少なくとも1つは、2〜10kHzでの垂直入射反射率が25%以下である吸音部材が表面に設けられていることが好ましい。
また、前記第1の反射ユニットは、2枚の板状部材をくさび形状に組み合わせて形成されたものであることが好ましい。
また、前記打撃音は、打撃具がボールを打撃する際に発する音であることが好ましい。
また、前記打撃具は、ゴルフクラブヘッドであり、前記ボールは、ゴルフボールであることが好ましい。
また、前記打撃音試聴・測定室は、人間の頭部を模し、集音マイクの配置された位置を前記試聴・測定位置とする耳部を備え、前記打撃音を試聴・測定するダミーヘッドと、把持しているゴルフクラブのゴルフクラブヘッドによりゴルフボールを試打する試打ロボットと、前記音源位置からの打撃音を反射する反射板を有する第2の反射ユニットとを有し、前記ダミーヘッドは、ダミーヘッドの顔部を前記音源位置の方向に向け配置固定され、前記試打ロボットは、前記音源位置を基準点として、前記ダミーヘッドの反対側の床面上の位置に配置され、前記第2の反射ユニットは、前記試打ロボットと前記音源位置との間の前記試打ロボットの前面に配置されることが好ましい。
また、前記第1の反射ユニットは、2〜10kHzでの垂直入射反射率が25%以下である吸音部材が反射板の表面に設けられていることが好ましく、前記第2の反射ユニットは、2〜10kHzでの垂直入射反射率が25%以下である吸音部材が反射板の表面に設けられていることが好ましい。
本発明の打撃音試聴・測定室は、音源位置からの打撃音を反射する反射板を有する少なくとも1つの第1の反射ユニットを有し、この反射板は、音源位置からの打撃音を反射した反射音が試聴・測定位置に直接には到達しないように向きが調整されている。この反射板は音源位置から発せられた打撃音を反射し、試聴・測定位置に到達する前に打撃音試聴・測定室内の物体で反射される反射音とすることができる。このため、一次反射音が無い状態での打撃音の試聴および測定が可能で、低コストで作製できる打撃音試聴・測定室を提供することができる。
また、打撃音測定室を区画する複数の平面の少なくとも1つは、2〜10kHzでの垂直入射反射率が25%以下である吸音部材が表面に設けられている。この吸音部材は、反射毎に反射音の音の大きさを25%以下にするので、二次以上の反射音の音の大きさは測定に影響を与えない程度に小さくできる。このため、一次反射音が無く、かつ、二次以上の反射音の音の大きさが測定に影響を与えない程度に小さい状態での打撃音の測定が可能で、低コストで作製できる打撃音測定室を提供することができる。
また、打撃音測定室は、人間の頭部を模し、集音マイクの配置された位置を測定位置とする耳部を備え、打撃音を測定するダミーヘッドと、把持しているゴルフクラブのゴルフクラブヘッドによりゴルフボールを試打する試打ロボットと、音源位置からの打撃音を反射する反射板を有する第2の反射ユニットとを有し、ダミーヘッドは、ダミーヘッドの顔部を音源位置の方向に向け配置固定され、試打ロボットは、音源位置を基準点として、ダミーヘッドの反対側の床面上の位置に配置され、第2の反射ユニットは、試打ロボットと音源位置との間の試打ロボットの前面に配置される。
このため、一次反射音が無く、かつ、二次以上の反射音の音の大きさが測定に影響を与えない程度に小さい状態で、試打ロボットが試打する打撃音の測定が可能で、低コストで作製できる打撃音測定室を提供することができる。
以下に、図1に示す第1の好適実施形態に基づいて、本発明の打撃音測定室の構造を詳細に説明する。本実施形態の打撃音測定室は、室内に試打ロボットおよびダミーヘッド(ダミーヘッドの耳部には集音マイクが設置されている)を配置し、試打ロボットが実際に屋外に向けゴルフボールを試打し、その打撃音をダミーヘッドが測定するためのものである。
図1(a)は、本発明の実施形態に係る打撃音測定室の構造を示す正面図であり、(b)は、図1(a)の平面図である。なお、図1(b)は第1の反射ユニット36の図示を省略している。
図1(a)および(b)に示すように、打撃音測定室10は、壁12、14、16、18と、天井20と、床22とで形成されている。また、打撃音測定室10は、試打ロボット24と、集音マイクを耳部に備えたダミーヘッド26と、第1の反射ユニット30、32、36と、第2の反射ユニット38と、吸音部材40と、人工芝42とを含んでいる。
壁12、14、16、18と、天井20と、床22とは、打撃音測定室10を区画するものである。壁12、14、16、18は公知の壁用建材により製作され、天井20は公知の天井用建材により製作され、床22は公知の床用建材により製作されている。また、壁12と14、壁16と18、および、天井20と床22は略平行に配置され、壁12と16、壁12と天井20、および、壁12と床22は略直交して配置されている。
なお、本実施形態では、開口44が壁18に設けられている。開口44は、試打ロボット24がゴルフボール46を屋外方向(矢印L方向)に向け打ち出すためのものであり、壁18に設けられている。また、開口44は、試打ロボット24およびダミーヘッド26の風雨除けのためのシャッター(図示せず)を備えている。また、人工芝42は床22の上面全体に載置されている。
ダミーヘッド26は、本出願人による特開2006−239132に開示されるダミーヘッドであり、音源位置48から発せられる打撃音を測定するためのものである。本実施形態では、音源位置48は、ゴルフボール46が載置される位置である。また、ダミーヘッド26は、人が耳で聞いた場合と同様の打撃音を測定するため、ダミーヘッド26の頭部の形状を人間の頭部を模した形状としている。また、集音マイクはダミーヘッド26の左耳部に配置されている。ダミーヘッド26の両耳部を結ぶ線分上の中点から矢印L方向と直交する直線上にゴルフボール46の載置位置が設けられている。このゴルフボール46の載置位置を以降基準点とする。ダミーヘッド26は、両耳部の中点の位置をこの基準点から上方に1500mm、壁14方向に1000mm、L方向に0mmの位置とし、顔部を音源位置48と定められるゴルフボール46に向けて配置される。
なお、本実施形態では、測定位置54は、集音マイクが配置されているダミーヘッド26の左耳部の位置に該当する。
試打ロボット24は、公知の試打ロボットであり、評価対象とするゴルフクラブヘッド50を備えたゴルフクラブ52を把持し、所定のスウィングパターンでゴルフボール46を試打するものである。この時、ゴルフクラブヘッド50がゴルフボール46を打撃し、音源位置48から打撃音が発する。
本実施形態では、試打ロボット24は、ゴルフボール46を基準として、ダミーヘッド26の反対側の床面上の位置に配置されている。
ここで、本発明において、打撃音は点音源と考えられる音源位置48から球面波状に拡がり、壁等で反射され、さらに球面波状に拡がるものであり、その一部分が測定位置54に到達する。その際、本発明において測定位置54にて測定される打撃音の主成分は、音源位置48から発せられ測定位置54にレーザ光のように直線的に到達し、あるいは直線的に反射面に入射し、反射して直線的に到達する。
本発明では、打撃音として、上記主成分を検討する。このため、打撃音は点音源と考えられる音源位置48から発せられる直線状に進行する音として扱う。したがって、本発明でいう入射は、レーザ光のように反射面に直線的に入射することをいい、反射は同様に同じ角度で反射することをいう。
さらに、本発明では、音源位置48から発せられ、測定位置54に直接到達する打撃音を直達音といい、音源位置48から発せられ、壁または天井に入射し1回反射した後、測定位置54に到達する打撃音を一次反射音という。また、音源位置48から発せられ、反射ユニット、壁、および/または天井に2回以上入射し、反射した後、測定位置54に到達する打撃音を二次以上の反射音という。
図1(a)(b)中では、直達音の進路を矢印S0で示し、壁16に向かう入射音の進路を矢印S1で示し、測定位置54に直接には到達しないように反射ユニット32にて反射された反射音の進路を矢印S2で示す。また、上述した2回入射し、反射した後、測定位置54に到達する打撃音の入射音の進路を矢印S3で示し、1回目の反射音(2回目の入射音)の進路を矢印S4で示し、二次反射音の進路を矢印S5で示す。
反射ユニット32は、一次反射音をなくすための反射板32aを有するものである。ここで、反射板32aは、音源位置48からの入射音S1を、壁12または天井20に向けて反射するためのものである。
本実施形態では反射ユニット32は、例えば、厚さ76mm、幅900mm、長さ(高さ)1800mmのSONEX one吸音材 SOH−3(イルブルック(Illbruck)社製)により形成される。
図2に示す通り、厚さ76mmのSONEX one吸音材 SOH−3は、2〜10kHzでの垂直入射反射率が25%以下の吸音部材である。入射音S1は、反射ユニット32に入射し反射された後、反射音S2となり、この反射音S2がさらに他の反射ユニットに入射し反射して、測定位置54に到達する二次反射音となる可能性がある。この場合においても、二次反射音の音の大きさを測定に影響を与えない程度に小さいものとするために、本実施形態では、反射ユニット32は吸音部材により形成される。
二次反射音が、SOH−3の表面で2回反射し、測定位置54に到達した場合、2000Hzの音の大きさは、入射音S1を基準として0.04倍(=20%×20%)に低下し、打撃音の測定に影響を与えない程度に小さいくなる。
また、反射ユニット32は、この2枚の板状部材を天井20から見て角度90度のくさび(L字型)形状に組み合わせて形成される衝立である。反射ユニット32の概略の配置位置は、壁16と音源位置48との間である。
なお、反射ユニット32の詳細の配置位置は、以下に詳細を説明する反射板32aの詳細の配置位置により規定される。
図3(a)は、反射板32aと図1のダミーヘッド26(測定位置54)、音源位置48および壁16との位置関係を、図1(a)中の壁12側から見て説明する図である。図3(b)は、反射板32aと図1のダミーヘッド26(測定位置54)、音源位置48および壁16との位置関係を、図1(a)中の天井20側から見て説明する図である。
反射板32aは、図3に示す点P3の位置に、仮想面FS1と一致しないように向きが調整されて配置されている。
ここで、点P3の位置は以下の手順にて定められる位置である。壁16の音源位置48側の表面16aを鏡面と仮想し、そのときの音源位置48の鏡像点をP1とし、P1と測定位置54とを結ぶ線分をL1とする。L1と表面16aが交わる点をP2とし、P2と音源位置48とを結ぶ線分をL2とする。点P3は、このL2上の音源位置48とP2との間に定められる。
ここで、仮想面FS1は以下のように規定される。P3と測定位置54とを結ぶ線分をL3とする。L3の延長上の、P3から測定位置54と反対側の方向に、P3と音源位置48との長さ離れた位置を点P4とする。P4と音源位置48とを結ぶ線分をL4とし、P4と音源位置48との中点をP5とする。このとき、仮想平面FS1は、P5を通り、L4を垂線とするように定める。
なお、P4は、音源位置48の仮想面FS1を鏡面と仮想したときの鏡像点である。このため、音源位置48からP3に入射した音は、仮想面FS1で反射された場合、測定位置54に到達する。すなわち、反射板32aを点P3の位置に、仮想面FS1と一致しない向きに向きを調整して配置すれば、音源位置48からP3に入射した音は、反射板32aで反射され、測定位置54以外の部分に到達して反射される。言い換えれば、壁12、14、16、18、天井20、床22のいずれかの面に到達して反射される。
図4(a)は、反射板32aと図1のダミーヘッド26(測定位置54)、音源位置48および壁16との別の位置関係を、図1(a)中の壁12側から見て説明する図である。図4(b)は、反射板32aと図1のダミーヘッド26(測定位置54)、音源位置48および壁16との別の位置関係を、図1(a)中の天井20側から見て説明する図である。
図3に示す実施形態では、P3はP2と音源位置48とを結ぶL2上から定めているが、P3の位置はこれには限定されず、図4に示すように、P2と測定位置54とを結ぶL2上から定めても良い。P3をP2と測定位置54とを結ぶL2上に定めた場合でも、図3に示す実施形態と同様に、L3、P4、L4、P5を求め、FS1を定めると良い。
この場合も、反射板32aは、点P3の位置で仮想面FS1と一致しない向きに向きを調整して配置されれば良く、音源位置48からP3に入射した音は、反射板32aで反射され、壁12、14、16、18、天井20、床22のいずれかの面に到達して反射される。
ここで、反射ユニット32は、一次反射音をなくすものであれば良く、実施形態の厚さ76mmの吸音材 SONEX one吸音材 SOH−3により形成される衝立には限定されない。一例として、アルミニウム製衝立、木製衝立としても良いが、薄手ガラスクロス付きのグラスウールなどの、図2に示す2〜10kHzでの垂直入射反射率が25%以下である吸音部材により形成される衝立であることがさらに好ましい。
また、反射ユニット32の形状は、一次反射音をなくす反射板32aを有する形状であれば良く、実施形態の2枚の板状部材を角度90度のくさび形状に組み合わせて形成される衝立には限定されない。一例として、2枚の板状部材を角度60度のくさび形状に組み合わせて形成される衝立、2枚の板状部材を角度120度のくさび形状に組み合わせて形成される衝立、1枚の板状部材よりなる衝立、および、3枚以上の板状部材が連続したくさび形状に組み合わされて形成される衝立のいずれであっても良い。
さらに反射板32a(すなわち反射ユニット32)の配置は、一次反射音をなくす配置であれば良く、図1に図示される実施形態には限定されない。反射板32aの配置は、図3または図4に示す様に点P3の位置で仮想面FS1と一致しない向きに向きを調整して配置されれば良い。
第1の反射ユニット30、36は、一次反射音をなくすための反射板30a、36aを有するものである。第1の反射ユニット30、36は、第1の反射ユニット32と同様のものにより、同様の形状に形成されている。第1の反射ユニット30、36の壁14、天井20に対する概略および詳細の配置位置も、第1の反射ユニット32の壁16に対する概略および詳細の配置位置と同様である。
第2の反射ユニット38は、一次反射音をなくすための反射板38aを有するものである。反射ユニット38は、厚さ76mm、幅900mm、長さ(高さ)600mmのSONEX one吸音材 SOH−3により形成される。また、第2の反射ユニット38は、この2枚の板状部材を天井20から見て角度90度のくさび形状に組み合わせて形成される衝立である。第2の反射ユニット38の概略の配置位置は、試打ロボット24と音源位置48との間の試打ロボット24の前面側であり、第2の反射ユニット38の詳細の配置位置は、反射板38aの詳細の配置位置により規定される。また、反射板38aの試打ロボット24に対する配置は、反射板32aの壁16に対する配置と同様に定められる。
ここで、第2の反射ユニット38は、一次反射音をなくすものであれば良く、実施形態の厚さ76mmの吸音材 SONEX one SOH−3により形成される衝立には限定されない。一例として、アルミニウム製衝立、木製衝立としても良いが、薄手ガラスクロス付きのグラスウールなどの、図2に示す2〜10kHzでの垂直入射反射率が25%以下である吸音部材により形成される衝立であることがさらに好ましい。
また、第2の反射ユニット38の形状は、一次の反射音をなくす反射板38aを有する形状であれば良く、実施形態の2枚の板状部材を角度90度のくさび形状に組み合わせて形成される衝立には限定されない。一例として、2枚の板状部材を角度60度のくさび形状に組み合わせて形成される衝立、2枚の板状部材を角度120度のくさび形状に組み合わせて形成される衝立、1枚の板状部材よりなる衝立、および、3枚以上の板状部材が連続したくさび形状に組み合わされて形成される衝立のいずれであっても良い。
さらに、反射板38a(すなわち第2の反射ユニット38)の配置は、一次反射音をなくす配置であれば良く、図1に図示される実施形態には限定されない。反射板38aの配置は、図3または図4に示される反射板32aの配置と同様に定められれば良い。
吸音部材40は、音源位置48から発せられた入射音S3を、2回反射し、音の大きさを小さくし、二次反射音S5とする部材である。薄手ガラスクロス(EP16A:JIS R3414)付きのグラスウール(厚さ50mm、密度32kg/m)により形成される平板であり、薄手ガラスクロス付きのグラスウールは、図2に示す2〜10kHzでの垂直入射反射率が25%以下の吸音部材である。
入射音S3は、グラスウールの壁面に入射し反射された後、1回目の反射音S4となり、この反射音S4がさらにグラスウールの壁面に入射し反射して、二次反射音S5となる。二次反射音S5の音の大きさを測定に影響を与えない程度に小さいものとするために、本実施形態では、壁および天井はグラスウールで覆われる。
二次反射音S5が、グラスウールの表面で2回反射し、測定位置54に到達した場合、3150Hzの音の大きさは、入射音S3を基準として0.0529倍(=23%×23%)に低下し、打撃音の測定に影響を与えない程度に小さくなる。
また、吸音部材40は、壁12、14、16、開口44を除く壁18、および、天井20の音源部48側の全面に配置されている。
なお、吸音部材40は、無響室で、2〜10kHzの周波数領域の反射音・反射率を実際に測定して選定したものである。
ここで、吸音部材40は、2〜10kHzでの垂直入射反射率が25%以下の吸音部材により形成されるものであれば良く、実施形態の薄手ガラスクロス付きのグラスウールには限定されない。一例として、図2に示す、厚さ76mmの吸音材 SONEX one SOH−3により形成されても良い。
次に、図1に基づいて、本実施形態の作用について詳細に説明する。
試打ロボット24は、測定対象とするゴルフクラブヘッド50を備えたゴルフクラブ52を把持し、試打を行い、この時、ゴルフクラブヘッド50がゴルフボール46を打撃する。打撃音は、点音源と考えられる音源位置48から球面波状に拡がり、壁等で反射され、さらに球面波状に拡がる。この壁等で反射され、さらに球面波状に拡がる打撃音は、屋外のフィールドでの試打時には存在しない音であり、打撃音の測定に影響を与える虞のある音である。
ここで、直接音S0は、音源位置48からダミーヘッド26の耳部に配置されている集音マイクに直接到達し、測定される。
また、入射音S1は、音源位置48から壁16方向に向かい、反射ユニット32に入射し、反射され反射音S2となり、反射音S2は壁12に向かう。このため、入射音S1は、一次反射音とならない。言い換えれば、ダミーヘッド26の耳部に配置されている集音マイクに到達する一次反射音は存在しない。
音源位置48から壁14、天井20、試打ロボット24方向に向かう入射音も、反射ユニット30、36、38に入射し、反射され壁16、12、16に向かう。したがって、1回だけ反射して集音マイクに到達する一次反射音は生じない。
図5は、一次反射音が、反射ユニット30、32、36、38により無くなる結果を示すグラフである。具体的には、本実施形態の打撃音測定室10内にてスピーカーを用い周波数4kHzの音を発生させた時の音の大きさを表わす相対音圧レベルの推移を調べた。
図8にて前述したとおり、壁および天井の表面をグラスウールで覆った場合、到達時間18m秒における一次反射音は、直達音との音圧レベル差が約20dBであり、打撃音測定室における測定に影響を与える虞がある。これに対し、図5に示す打撃音測定室10内における、同時点(音圧レベルのピーク値の発生時刻から18m秒後)における測定値とピーク値との音圧レベル差は、約30dBである。これより、図8にて打撃音測定室における測定に影響を与える虞有りと考えられた一次反射音は、無くなっていることが分かる。
また、入射音S3は、音源位置48から壁12方向に向かい、壁12の表面に設けられた吸音部材40に入射し、反射して1回目の反射音S4となる。さらに、反射音S4は、壁16の表面に設けられた吸音部材40に入射し、反射して二次反射音S5となり、ダミーヘッド26の耳部に配置されている集音マイクに到達する。
図2に示す通り、吸音部材40は3150Hzでの垂直入射反射率が23%のグラスウールにより形成されている。このため、二次反射音S5が、グラスウールの表面で2回反射し、測定位置54に到達した場合、3150Hzの音の大きさは、入射音S3を基準として0.0529倍(=23%×23%)に低下し、打撃音の測定に影響を与えない程度に小さくなる。
吸音部材40に加えて反射ユニット30、32、36、38も、図2に示す2〜10kHzでの垂直入射反射率が25%以下の吸音部材により形成することにより、二次反射音の音の大きさは、入射音を基準として0.0625倍以下(=25%×25%)となる。これにより、二次反射音の音の大きさを、打撃音測定室10内において打撃音の測定に影響を与えない程度に小さくすることができる。
また、三次以上の反射音が、吸音部材40または反射ユニット30、32、36、38の表面でさらに1回以上反射し、測定位置54に到達した場合、三次以上の反射音の音の大きさは、二次反射音を基準として0.25倍以下(入射音を基準として0.0157倍以下)となる。これにより、打撃音測定室10を、さらに二次以上の反射音の音の大きさが小さい打撃音測定室することができる。
図6(a)、(b)は、二次以上の反射音の音の大きさが、吸音部材40および反射ユニット30、32、36、38により、測定に与えない程度に小さいことを示すグラフである。図6(a)は、屋外のフィールドにおいて、ゴルフクラブヘッド50がゴルフボール46を打撃した時の、打撃音の音の大きさを表わす相対音圧レベルの推移を示しており、図6(b)は、本実施形態の打撃音測定室10内にて、ゴルフクラブヘッド50がゴルフボール46を打撃した時の、打撃音の音の大きさを表わす相対音圧レベルの推移を示している。図6(b)の相対音圧レベルの推移を示す曲線は、図6(a)の相対音圧レベルの推移を示す曲線とほぼ等しい形で時間経過とともになだらかに下がっている。また、図6(b)の相対音圧レベルの推移を示す曲線は、図8に示す聴感補正時間マスキング曲線より上に突き出ることも無い。
図6(a)は、フィールドにおける打撃音の相対音圧レベルの推移を示すものであり、この測定結果には反射音は含まれない。図6(b)は、本実施形態の打撃音測定室10内における打撃音の相対音圧レベルの推移を示すものであり、この測定結果には、二次以上の反射音が含まれるが、上述した通り一次反射音は含まれない。
上述したように、図6(b)の相対音圧レベルの推移を示す曲線は、図6(a)の相対音圧レベルの推移を示す曲線とほぼ等しい形で時間経過とともになだらかに下がっており、上方への突き出しは識別できない。これより、本実施形態の打撃音測定室10内においては、二次以上の反射音は、測定に影響を与えない程度に小さいレベルまで吸音部材により吸収されていることが分かる。
また、図6(b)の相対音圧レベルの推移を示す曲線は、図8に示す聴感補正時間マスキング曲線より上に突き出ることが無い。これによっても、本実施形態の打撃音測定室10内においては、二次以上の反射音は、測定に影響を与えない程度に小さい状態まで吸音部材により吸収されていることが分かる。
本実施形態の打撃音測定室10内においては、一次反射音が無く、かつ、二次以上の反射音の音の大きさが測定に影響を与えない程度に小さい状態での、すなわち、屋外のフィールドと同様の状態での打撃音の測定ができる。また、吸音部材40に加えて反射ユニット30、32、36、38も、図2に示す2〜10kHzでの垂直入射反射率が25%以下の吸音部材により形成することにより、打撃音の測定に影響を与える二次以上の反射音をさらに小さくできる。
さらに、この構成とすることにより、一次反射音が無く、かつ、二次以上の反射音の音の大きさが測定に影響を与えない程度に小さい状態で、試打ロボットが試打する打撃音の測定が可能で、しかも簡素な構成の反射ユニットを配置すればよいので低コストで作製できる打撃音測定室10を提供することができる。このため、打撃音測定室10を用いることにより、打撃音の録音・解析方法の標準化もできる。
なお、反射ユニット30、32、36、38の形状を、2枚または3枚以上の板状部材が連続したくさび形状に組み合わされて形成された衝立とすることにより、音源位置48と壁14、16、天井20、および、試打ロボット24との間隔を狭めることができる。この構成により、打撃音測定室10を小さくすることができる。
また、打撃音測定室10を例えばゴルフクラブヘッド50がゴルフボール46を打撃するときに発する減衰する打撃音の測定に用いることにより、反射音に影響されない減衰中の打撃音の測定ができる。
また、打撃音測定室10を4〜6kHzを主たる音域とするゴルフクラブヘッド50がゴルフボール46を打撃するときに発する打撃音の測定に用いることにより、測定に影響する二次以上の反射音をさらに小さくできる。
また、打撃音測定室10は、開口44にシャッタを備えることにより、試打ロボット24およびダミーヘッド26を風雨から確実に保護できる。
なお、打撃音は、ゴルフクラブヘッド50がゴルフボール46を打撃する時に発せられる打撃音を例として詳細を説明したが、本実施形態はこれには限定されず、打撃音は、打撃具がボールを打撃する時に発せられるいずれのものでも良い。一例として、野球用のバットが野球ボールを打撃する時に発せられる打撃音、テニスラケットでテニスボールを打撃する時に発せられる打撃音等の測定に本実施形態の打撃音測定室10は用いることができる。
次に、図7に示す第2の好適実施形態に基づいて、本発明の打撃音試聴室の構造を詳細に説明する。本実施形態は、本発明の打撃音試聴室をゴルフショップの試打スペースに用いたものである。
図7(a)は、本発明の実施形態に係る打撃音試聴室を示す正面図であり、(b)は、図7(a)の平面図である。なお、図7(a)は第1の吸音材34の図示を省略し、図7(b)は第1の吸音材36の図示を省略している。
図7(a)および(b)に示すように、打撃音試聴室60は、壁12、18と、天井20と、床22とで形成されている。また、打撃音試聴室60内には、音源位置48と試聴位置55とが定められている。また、打撃音試聴室60は、第1の反射ユニット28、34、36と、人工芝42と、ネット62を含んでいる。
壁12、18と、天井20と、床22とは、打撃音試聴室60を区画するものである。壁12、18は公知の壁用建材により製作され、天井20は公知の天井用建材により製作され、床22は公知の床用建材により製作されている。また、天井20と床22は略平行に配置され、壁12と18、壁12と天井20、および、壁12と床22は略直交して配置されている。また、壁12の反対側は開口域66となっており、壁18の反対側は開口域68となっている。
音源位置48は、ゴルフボール46の位置に定められ、試聴位置55は、詳細は後述する、ゴルファ64の耳位置に当たる。
反射ユニット28、34、36は一次反射音をなくすための反射板28a、34a、36aを有するものである。反射ユニット28、34、36は第1の実施形態の反射ユニット32と同様のものにより、同様の形状に形成されている。反射ユニット28、34、36の壁12、18、天井20に対する概略および詳細の配置位置も、第1の実施形態の反射ユニット32の壁16に対する概略および詳細の配置位置と同様である。
人工芝42は、ゴルフボール46の下方の床22上に載置される。また、ネット62は、ゴルフボール46が反射ユニット34および壁18へ衝突することを防ぐための公知のネットであり、ゴルフボール46と、反射ユニット34および壁18との間に配置される。
次に、本実施形態の作用について詳細に説明する。
ゴルファ64は、音源位置48と定められるゴルフボール46に顔を向け、打撃音試聴室60内の床22上の所定位置に立つ。これにより、ゴルファ64の耳位置が試聴位置55に当たる。この状態で、ゴルファ64は、試聴対象であるゴルフクラブヘッド50を備えたゴルフクラブ52を把持し、試打を行い、この時、ゴルフクラブヘッド50がゴルフボール46を打撃する。打撃音は、点音源と考えられる音源位置48から球面波状に拡がり、壁等で反射され、さらに球面波状に拡がる。この壁等で反射され、さらに球面波状に拡がる打撃音は、屋外のフィールドでの試打時には存在しない音であり、打撃音の試聴に影響を与える虞のある音である。
ここで、直接音S0は、音源位置48からゴルファ64の耳に直接到達し、試聴される。
また、入射音S1は、音源位置48から壁12に向かい、反射ユニット28に入射し、反射され反射音S2となり、反射音S2は開口域68に向かう。このため、入射音S1は、一次反射音とならない。言い換えれば、ゴルファ64の耳に到達する一次反射音は存在しない。
音源位置48から壁18、天井20方向に向かう入射音も、反射ユニット34、36に入射し、反射され反射音となり、いずれの反射音も開口域66に向かう。したがって、1回だけ反射してゴルファ64の耳に到達する一次反射音は生じない。
上述した構成により、一次反射音が無い状態で打撃音の試聴が可能で、低コストで作製できる打撃音試聴室60を提供することができる。
また、音源位置48から、壁12、18、天井20方向に向かう入射音が、反射ユニット28、34、36に入射し、反射され、壁18、12、12に向かうように、反射ユニット28を壁18の反対方向に、反射ユニット34を壁12の反対方向に、反射ユニット36の配置をを壁12の反対方向に移動させても良い。
この構成においても、1回だけ反射してゴルファ64の耳に到達する一次反射音は生じず、本実施形態の打撃音視聴室60内においては、一次反射音が無い状態で打撃音の試聴ができる。
なお、本実施形態の打撃音試聴室60は、建物内に設置するゴルフショップの試打スペースを例にとり説明したので、2方向の壁および天井に反射ユニットを配置している。しかし、一例として、ゴルフ練習場に用いる場合、ゴルファ64と壁12、18との距離が十分大きいとき、または、壁12、18が無いときは、反射ユニット30、36は設置しなくても良い。また、天井20が無いときは、反射ユニット38は設置しなくて良い。また、ゴルファ64の右側(壁18の反対側)に壁があるときは、この壁と音源位置48との間に、反射ユニットを設置しても良い。
以上、本実施形態では、ゴルフクラブヘッド50がゴルフボール46を打撃する時に発せられる打撃音を例として詳細を説明したが、本発明は上述の実施例に限定はされず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の改良または変更を行っても良いのは、もちろんである。
(a)は、本発明の実施形態に係る打撃音測定室の構造を示す正面図であり、(b)は、図1(a)の平面図である。 各吸音部材の垂直反射率を示すグラフである。 (a)は、反射板32aと図1のダミーヘッド26(測定位置54)、音源位置48および壁16との位置関係を、図1(a)中の壁12側から見て説明する図である。図3(b)は、反射板32aと図1のダミーヘッド26(測定位置54)、音源位置48および壁16との位置関係を、図1(a)中の天井20側から見て説明する図である。 (a)は、反射板32aと図1のダミーヘッド26(測定位置54)、音源位置48および壁16との別の位置関係を、図1(a)中の壁12側から見て説明する図である。図4(b)は、反射板32aと図1のダミーヘッド26(測定位置54)、音源位置48および壁16との別の位置関係を、図1(a)中の天井20側から見て説明する図である。 一次反射音が、反射ユニット30、32、36、38により無くなる結果を示すグラフである。 (a)、(b)は、二次以上の反射音の音の大きさが、吸音部材により、測定に影響を与えない程度に小さくなることを示すグラフである。 (a)は、本発明の実施形態に係る打撃音試聴室の構造を示す正面図であり、(b)は、図7(a)の平面図である。 打撃音測定室の壁および天井の表面の材質をパラメータとし、4kHzの音を発生させた場合の、一次反射音の音圧レベルを示すグラフである。
符号の説明
10、 打撃音測定室
12、14、16、18 壁
20 天井
22 床
24 試打ロボット
26 ダミーヘッド
28、30、32、34、36 第1の反射ユニット
38 第2の反射ユニット
28a、30a、32a、34a、36a、38a 反射板
40 吸音部材
42 人工芝
44 開口
46 ゴルフボール
48 音源位置
50 ゴルフクラブヘッド
52 ゴルフクラブ
54 測定位置
55 試聴位置
60 打撃音試聴室
62 ネット
64 ゴルファ
66、68 開口域
S0 直達音
S1、S3 入射音
S2 反射音
S4 (1回目の)反射音
S5 二次反射音
L ゴルフボールの打ち出し方向

Claims (9)

  1. 打撃音を発する音源位置と前記打撃音を試聴・測定する試聴・測定位置が空間内で定められた打撃音試聴・測定室であって、
    前記打撃音試聴・測定室を区画する複数の平面と、
    前記音源位置からの打撃音を反射する反射板を有する少なくとも1つの第1の反射ユニットと、を有し、
    前記複数の平面の中の1つの平面を第1の鏡面と仮想し、前記音源位置の鏡像となる第1の点と前記試聴・測定位置とを結ぶ線分を第1の線分とし、この第1の線分と前記第1の鏡面とが交わる点を第2の点としたとき、前記反射板は、前記第2の点と前記音源位置とを結ぶ線分上、または、前記第2の点と前記試聴・測定位置とを結ぶ線分上に設けられ、前記音源位置からの打撃音を前記反射板で反射した反射音が前記試聴・測定位置に直接には到達しないように前記反射板の向きが調整されていることを特徴とする打撃音試聴・測定室。
  2. 前記反射板の面は、反射音が前記複数の平面の1つに到達して反射されるように前記複数の平面の1つに向いている請求項1に記載の打撃音試聴・測定室。
  3. 前記複数の平面の少なくとも1つは、2〜10kHzでの垂直入射反射率が25%以下である吸音部材が表面に設けられている請求項1または2に記載の打撃音試聴・測定室。
  4. 前記第1の反射ユニットは、2枚の板状部材をくさび形状に組み合わせて形成されたものである請求項1〜3のいずれか1項に記載の打撃音試聴・測定室。
  5. 前記打撃音は、打撃具がボールを打撃する際に発する音である請求項1〜4のいずれか1項に記載の打撃音試聴・測定室。
  6. 前記打撃具は、ゴルフクラブヘッドであり、
    前記ボールは、ゴルフボールである請求項5に記載の打撃音試聴・測定室。
  7. 前記打撃音試聴・測定室は、
    人間の頭部を模し、集音マイクの配置された位置を前記試聴・測定位置とする耳部を備え、前記打撃音を試聴・測定するダミーヘッドと
    ゴルフクラブを把持してゴルフクラブヘッドによりゴルフボールを試打する試打ロボットと
    前記音源位置からの打撃音を反射する反射板を有する第2の反射ユニットとを有し、
    前記ダミーヘッドは、ダミーヘッドの顔部を前記音源位置の方向に向け配置固定され、
    前記試打ロボットは、前記音源位置を基準として、前記ダミーヘッドの反対側の床面上の位置に配置され、
    前記第2の反射ユニットは、前記試打ロボットと前記音源位置との間の前記試打ロボットの前面に配置される請求項6に記載の打撃音試聴・測定室。
  8. 前記第1の反射ユニットは、2〜10kHzでの垂直入射反射率が25%以下である吸音部材が反射板の表面に設けられている請求項1〜7のいずれか1項に記載の打撃音試聴・測定室。
  9. 前記第1の反射ユニットは、2〜10kHzでの垂直入射反射率が25%以下である吸音部材が反射板の表面に設けられ、
    前記第2の反射ユニットは、2〜10kHzでの垂直入射反射率が25%以下である吸音部材が反射板の表面に設けられている請求項7に記載の打撃音試聴・測定室。
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