JP4430269B2 - ヘッド速度測定装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ゴルフクラブのヘッド速度測定装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ゴルフボールの飛距離はゴルフクラブのスウィングにおけるインパクト時のクラブヘッドの速度と相関関係があることから、プレイヤーの打撃練習時における飛距離の増大の確認、プレイヤー毎の適切なクラブやボールの選択等のためにヘッド速度の測定が行われている。また、ゴルフクラブやゴルフボールの開発において、ゴルフクラブやゴルフボールの飛距離性能を正確に比較するためにヘッド速度の測定が行われている。
【0003】
このようなゴルフクラブのヘッド速度測定装置としては、従来、図4(a)〜(d)に示すもの等が開発されている。図4(a)のヘッド速度測定装置は、遮光型の第一光学センサ21及び第二光学センサ22を備えいる。この第一光学センサ21及び第二光学センサ22の互いの光軸23、24は、上下方向に向けられ、クラブヘッド25のスウィング方向Xにインパクト点であるゴルフボール26直前で交差するよう設置されている。この第一光学センサ21及び第二光学センサ22によってスウィング中のクラブヘッド25の通過を検知し、通過時間差及びスウィング方向Xに沿った両光軸23、24間の距離によってヘッド速度が測定される。かかる構造のヘッド速度測定装置は例えば特開平7−286838号公報等に開示されている。
【0004】
図4(b)及び(c)のヘッド速度測定装置は共に、同様の第一光学センサ21及び第二光学センサ22を備え、これらの光軸23、24が水平方向、かつ、スウィング方向Xと垂直方向を向くよう設置されている。図4(b)のヘッド速度測定装置は第一光学センサ21及び第二光学センサ22の光軸23、24がクラブヘッド25の高さに通され、図4(c)のヘッド速度測定装置は光軸23、24がクラブヘッド25のネック部分又はその付近の高さに通されている。これらの装置も同様に第一光学センサ21及び第二光学センサ22によってスウィング中のクラブヘッド25の通過を検知し、通過時間差及びスウィング方向Xに沿った両光軸間距離によってヘッド速度が測定される。
【0005】
図4(d)のヘッド速度測定装置は、上記(b)及び(c)の装置とほぼ同様であるが、第一光学センサ21及び第二光学センサ22の光軸23、24がプレイヤー側が低く、プレイヤーの対向側が高くなるよう傾斜している。こうすることで、長さの異なるクラブを使用してもクラブヘッド25のネック部分が光軸23、24を通過するよう構成されている。かかる構造のヘッド速度測定装置は例えば特許第3013986号公報、実公平5−27971号公報等に開示されている。
【0006】
その他図示していないが、スウィング軌道に沿って第一センサコイル及び第二センサコイルを備え、永久磁石が付設されたクラブヘッドの通過を検知し、通過時間差及び両センサコイル間距離によってヘッド速度が測定されるものも開発されている。この構造のヘッド速度測定装置は例えば特開平11−290496号公報等に開示されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上記図4(a)のヘッド速度測定装置は、クラブヘッド25が第一光学センサ21及び第二光学センサ22の両光軸23、24を通過するため、比較的正確なヘッド速度の測定が可能であるが、第一光学センサ21及び第二光学センサ22を上下に設置するため、十分な設置スペースが必要であり、可搬性を考慮すると屋内に限定され、屋外での使用は事実上困難である。
【0008】
上記図4(b)〜(d)のヘッド速度測定装置は、第一光学センサ21及び第二光学センサ22がほぼ水平に設置されるため、あまり広い設置スペースを必要とせず、屋外でも容易にヘッド速度の測定が可能である。但し、ゴルフクラブのスウィングを解析すると、インパクト点直前でもフェイスが所定の角度開いているため、いずれの装置でもクラブヘッド25のネック部分又はその付近でレーザービームを遮光することとなる。実際のヘッド速度は、プレイヤーの肩を中心にした腕の回転、手首を中心にしたシャフトの回転、及び、シャフト軸を中心にしたヘッドの回転から構成されている。従って、この装置のようにクラブヘッド25の打点とは異なるクラブヘッド25のネック部分又はその付近でレーザーを遮光すると、シャフト軸を中心にしたヘッドの回転要素による速度が計測されておらず、正しいヘッド速度を測定することができない。
【0009】
上記第一センサコイル及び第二センサコイルを使用する装置は、ゴルフクラブのヘッドに異物(永久磁石)を付設するため、クラブヘッドの質量が増加し、実際のヘッド速度の計測にはならない。
【0010】
本発明はこれらの不都合に鑑みてなされたものであり、設置スペースが比較的小さく、屋外でも設置が容易であり、かつ、ゴルフクラブのヘッド速度の正確な測定が可能なヘッド速度測定装置の提供を目的とするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するためになされた発明は、互いの光軸が略平行に位置するよう配設される第一光学センサ及び第二光学センサを備え、
この第一光学センサ及び第二光学センサによりスウィング軌道上におけるインパクト点直前のクラブヘッドの通過を検知するし、その通過時間差及びスウィング方向に沿った両光軸間距離に基づいてヘッド速度を演算するヘッド速度測定装置であって、
上記第一光学センサ及び第二光学センサの光軸がスウィング方向に対する垂直方向を基準としてオープン方向に傾斜していることを特徴とするヘッド速度測定装置である。
【0012】
ここで、「光軸がスウィング方向に対する垂直方向を基準としてオープン方向に傾斜していること」とは、右利きのプレイヤーの場合、光軸の水平面投影方向がスウィング方向に対する垂直方向を基準として右回り(時計回り)に所定の角度傾斜していることを意味し、左利きのプレイヤーの場合、光軸の水平面投影方向がスウィング方向に対する垂直方向を基準として左回り(反時計回り)に所定の角度傾斜していることを意味する。
【0013】
ゴルフクラブのスウィング中におけるフェイスの開き角を統計学的に解析すると、インパクト点直前でも相当程度開いており、その開き角はインパクト点に近いほど小さく、インパクト点から後方ほど大きくなっている。従って、当該ヘッド速度測定装置によれば、第一光学センサ及び第二光学センサの光軸がスウィング方向に対する垂直方向を基準としてオープン方向に傾斜していることから、スウィング方向後方側の光学センサの光軸をクラブヘッドのヒール側で遮光し、スウィング方向前方側の光学センサの光軸をクラブヘッドのトウ側で遮光させることができる。そのため、当該ヘッド速度測定装置によれば、シャフト軸を中心にしたヘッドの回転要素による速度をも測定することができ、その結果、より正確なヘッド速度の測定が可能になる。また、第一光学センサ及び第二光学センサの光軸がオープン方向に傾斜していることから、プレイヤー側に設置されるセンサの発光部又は受光部がボールよりに位置する。つまり、センサの光軸をスウィング方向と垂直に向ける従来の装置(図4(b)〜(d))と比較して、プレイヤー側に設置されるセンサ装置がスウィング方向に移動するため、センサがプレイヤーのスウィングの邪魔になり難い。
【0014】
上記第一光学センサ及び第二光学センサの光軸を上下方向に移動可能に構成するとよい。この手段によれば、アイアンやウッドなどのクラブの別及び番手の別に起因するクラブヘッドの通過高さに合わせて第一光学センサ及び第二光学センサの光軸の高さを調整でき、上記ヘッド速度の測定の正確性を促進することができる。
【0015】
上記第一光学センサ及び第二光学センサの光軸の上記オープン方向への傾斜角を調整可能に構成するとよい。インパクト点直前のフェイスの開き角はプレイヤーにより若干異なるため、かかる開き角の違いに合わせて第一光学センサ及び第二光学センサの光軸の上記オープン方向への傾斜角を調整することで、より正確なヘッド速度の測定が可能となる。
【0016】
上記第一光学センサ及び第二光学センサの光軸の上記オープン方向への傾斜角を5°以上10°以下とするとよい。ゴルフクラブのスウィング中におけるフェイスの開き角を統計学的に解析すると、一般的なプレイヤーがナイスショットをした場合、クラブ番手及びヘッド速度に関係なく、インパクト点(つまり、ゴルフボールの位置)からスウィング方向後方に30mmの位置では0°〜10°、スウィング方向後方に130mmの位置では5°〜15°であり、上記第一光学センサ及び第二光学センサ間でクラブヘッドが5°〜10°程度回転していることが分かった。従って、当該手段のように第一光学センサ及び第二光学センサの光軸の上記オープン方向への傾斜角を5°以上10°以下とすることで、一般的なプレイヤーについて、シャフト軸を中心にしたヘッドの回転要素による速度を加味したより正確なヘッド速度の測定が可能になる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、適宜図面を参照しつつ本発明の実施の形態を詳説する。図1は本発明の一実施形態に係るヘッド速度測定装置を示す斜視図、図2(a)及び(b)は図1のヘッド速度測定装置の模式的平面図及び模式的正面図、図3(a)及び(b)は図1のヘッド速度測定装置及び従来のヘッド速度測定装置における光学センサの遮光状態を説明する模式的平面図である。これらの平面図において、左方向がプレイヤーのスウィング方向である。
【0018】
図1及び図2のヘッド速度測定装置は、第一光学センサ1と、第二光学センサ2と、基台3と、ティー4とを備え、さらに図示していないが第一光学センサ1及び第二光学センサ2が検知したクラブヘッド6の通過の時間差を計測する計測手段と、この通過時間差に基づいてヘッド速度を演算する演算手段とを備えており、このティー4等に載置されたゴルフボール5をプレイヤーが打撃したときのクラブヘッド6の速度を測定するものである。
【0019】
第一光学センサ1は、いわゆる遮光型のものであり、具体的には第一発光部7と第一受光部8とを備え、この第一発光部7及び第一受光部8が第一光軸11を構成するように対向配置されている。この第一光学センサ1は、第一光軸11に沿って第一発光部7から第一受光部8に発射されるレーザービームのクラブヘッド6による遮光、つまりクラブヘッド6による第一光軸11の通過を検知することができる。
【0020】
第二光学センサ2も同様に、第二発光部9と第二受光部10とを備え、この第二発光部9及び第二受光部10が第二光軸12を構成するよう対向配置されている。この第二光学センサ2も、上記第一光学センサ1と同様に、クラブヘッド6による第二光軸12の通過を検知することができる。
【0021】
上記第一光学センサ1及び第二光学センサ2は、第一光軸11及び第二光軸12が、図2(a)及び(b)に示すように、互いに平行かつ水平に位置し、さらにスウィング方向Xに対する垂直方向Yを基準としてオープン方向に所定の角度θだけ傾斜するよう設置されている。また、第一光学センサ1及び第二光学センサ2は、第一光軸11及び第二光軸12がスウィング軌道にインパクト点(ゴルフボール5)直前で交差するよう設置されており、インパクト点直前のクラブヘッド6の通過を検知する。さらに、第一光学センサ1はスウィング方向Xの後方側に設置され、第二光学センサ2はスウィング方向Xの前方側に設置されている。
【0022】
次に、クラブヘッド6による第一光軸11及び第二光軸12に沿ったレーザービームの遮光状態を、図3に従って説明する。前述のようにスウィング中におけるクラブヘッド6のフェイスの開き角はインパクト点直前ほど小さく、インパクト点から後方ほど大きくなっている。従って、図3(a)に示すように、スウィング方向X後方側の第一光学センサ1の第一光軸11を通るレーザービームはクラブヘッド6のヒール13側で遮光され、スウィング方向前方側の第二光学センサ2の第二光軸12を通るレーザービームはクラブヘッド6のトウ14側で遮光される。そのため、当該ヘッド速度測定装置によれば、シャフト軸を中心にしたヘッド6の回転要素による速度をも測定することができる。なお、このようにシャフト軸を中心にしたヘッド6の回転要素による速度をも測定するためには、第一光軸11及び第二光軸12のオープン方向への傾斜角θは、スウィング方向X後方の第一光学センサ1による通過検知位置でのクラブヘッド6の開き角より小さく、スウィング方向X前方の第二光学センサ2による通過検知位置でのクラブヘッド6の開き角より大きくする必要がある。
【0023】
一方、図4(b)〜(c)に示す従来のヘッド速度測定装置の場合、図3(b)に示すように、第一光軸23及び第二光軸24はスウィング方向Xに対して垂直方向に向けられているため、スウィング方向X後方側の第一光学センサ21及びスウィング方向X前方側の第二光学センサ22のレーザービームは共にクラブヘッド25のヒール27側で遮光される。そのため、従来のヘッド速度測定装置では、シャフト軸を中心にしたヘッド25の回転要素による速度を測定することができない。
【0024】
第一光軸11がインパクト点であるゴルフボール5からスウィング方向X後方に30mmの位置を通り、第二光軸12がゴルフボール5からスウィング方向X後方に130mmの位置を通るよう第一光学センサ1及び第二光学センサ2を設置した場合、第一光軸11及び第二光軸12のオープン方向への傾斜角θとしては、5°以上10°以下が好ましく、5°以上9°以下が特に好ましい。前述のようにゴルフクラブのスウィング中におけるフェイスの開き角を統計学的に解析すると、一般的には、ゴルフボール5からスウィング方向X後方に30mmの位置では0°〜10°で、スウィング方向X後方に130mmの位置では5°〜15°であり、第一光学センサ1及び第二光学センサ2間でクラブヘッド6がシャフト軸中心に5°〜10°程度回転していることから、傾斜角θを上記範囲とすることで、一般的なプレイヤーについてシャフト軸を中心にしたヘッドの回転要素による速度を加味した正確なヘッド速度の測定が可能になる。
【0025】
また、第一光軸11及び第二光軸12のオープン方向への傾斜角θを調整可能に構成するとよい。スウィング中におけるインパクト直前のフェイスの開き角はプレイヤーにより個人差があるため、各プレイヤーのインパクト直前の開き角に適合させて傾斜角θを調整することで、各プレイヤーに合わせてシャフト軸中心のヘッドの回転要素による速度を適正に測定し、より正確なヘッド速度の測定が可能になる。この第一光軸11及び第二光軸12の傾斜角θを調整可能にする手段としては、特に限定されず、例えば、第一発光部7及び第二発光部9と、第一受光部8及び第二受光部10とをスウィング方向Xにそって逆方向に同一距離スライドさせる手段がある。
【0026】
さらに図2(b)に示すように、第一光学センサ1及び第二光学センサ2は、第一光軸11及び第二光軸12を上下方向に移動可能に構成するとよい。ウッドによりティー4に載置したゴルフボール5を打つ場合やアイアンにより基台3上に直接載置したゴルフボール5を打つ場合などではクラブヘッド6が通過する高さが異なるため、クラブヘッド6の通過位置に合わせて第一光軸11及び第二光軸12を上下方向に移動させることで、正確なヘッド速度の測定を促進することができる。この第一光軸11及び第二光軸12を昇降させる手段としては公知の手段を採用することができる。
【0027】
当該ヘッド速度測定装置において、上記第一光学センサ1及び第二光学センサ2が検知したクラブヘッド6の通過信号を計測手段に送信する。この通過信号を受信した計測手段において、クラブヘッド6の通過時間差を計測する。最後に、演算手段において、スウィング方向Xに沿った第一光軸11及び第二光軸12間距離を上記通過時間差で除すことでヘッド速度が得られる。得られたヘッド速度は、前述のようにシャフト軸を中心とするクラブヘッド6の回転要素に基づくヘッド速度が含まれており、より正確なヘッド速度となる。
【0028】
なお、本発明のヘッド速度測定装置は、上記実施形態に限定されるものではない。例えば、第一光学センサ1及び第二光学センサ2としては、上記遮光型のセンサに限定されず、クラブヘッド6の正確な通過が検知できればその他のタイプのセンサを使用することができる。
【0029】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のヘッド速度測定装置によれば、シャフト軸を中心にしたヘッドの回転要素による速度をも測定することができ、従来のヘッド速度測定装置と比較してより正確なヘッド速度の測定が可能になる。また、光学センサを水平に設置するため、光学センサを上下方向に設置する従来のヘッド速度測定装置と比較して設置スペースが小さく、例えば屋外でも容易に測定することができる。さらに、光学センサがスウィングの邪魔になることを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明の一実施形態に係るヘッド速度測定装置を示す斜視図である。
【図2】図2(a)及び(b)は図1のヘッド速度測定装置の模式的平面図及び正面図である。
【図3】図3(a)は図1のヘッド速度測定装置における光学センサの遮光状態を説明する模式的平面図で、図3(b)は従来のヘッド速度測定装置(スウィング方向と垂直方向の光軸を有する装置)における光学センサの遮光状態を説明する模式的平面図である。
【図4】図4(a)〜(d)は従来のヘッド速度測定装置を示す模式的平面図(左側)と模式的正面図(右側)である。
【符号の説明】
1・・・第一光学センサ
2・・・第二光学センサ
3・・・基台
4・・・ティー
5・・・ゴルフボール
6・・・クラブヘッド
7・・・第一発光部
8・・・第一受光部
9・・・第二発光部
10・・・第二受光部
11・・・第一光軸
12・・・第二光軸
13・・・ヒール
14・・・トウ
Claims (3)
- 互いの光軸が略平行に位置するよう配設される第一光学センサ及び第二光学センサを備え、
この第一光学センサ及び第二光学センサによりスウィング軌道上におけるインパクト点直前のクラブヘッドの通過を検知し、その通過時間差及びスウィング方向に沿った両光軸間距離に基づいてヘッド速度を演算するヘッド速度測定装置であって、
上記第一光学センサ及び第二光学センサの光軸がスウィング方向に対する垂直方向を基準としてオープン方向に傾斜しており、
上記第一光学センサ及び第二光学センサの光軸の上記オープン方向への傾斜角が調整可能に構成されていることを特徴とするヘッド速度測定装置。 - 上記第一光学センサ及び第二光学センサの光軸が上下方向に移動可能に構成されている請求項1に記載のヘッド速度測定装置。
- 上記第一光学センサ及び第二光学センサの光軸の上記オープン方向への傾斜角が5°以上10°以下である請求項1又は2に記載のヘッド速度測定装置。
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